JP6314376B2 - 導電性パターンを有する三次元構造体の製造方法及び三次元構造体 - Google Patents
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Description
この方法では、導電性光硬化樹脂と絶縁性光硬化樹脂とをあるピッチで選択的に積層していくことによって、三次元構造体および導電性パターンを形成する。そのため、三次元構造体表面および内部に導電性パターンを形成することが可能である。
また、光造形法に用いられる光硬化性樹脂は、ウレタン・アクリル・エポキシ系などに限られており、材料選択性が低いという問題がある。
しかし、FDM法は各層の接着時に層間に圧力がかからないため、層間の密着性が低いという問題がある。特に相溶性の無い異材を積層する場合には、さらに密着性が低下する。化学的な親和性が強い樹脂同士を選択する場合には問題とならないが、材料の選択性は低くなる。
FDM法を用いて異なる樹脂を積層し三次元構造体を作成する際には、積層時に層間に十分な圧力がかからないため、層間の密着性を得ることができない。そのため本発明では、層間にバインダー部を挟むことで層間の密着性を向上させる。
尚、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な実施の形態であるから技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は以下の説明において本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
図1に本発明に係る導電性パターンを有する三次元構造体の製造方法で製造された導電性パターンを有する三次元構造体の例と、その製造方法を示す。
図1(a)が製造された導電性パターンを有する三次元構造体の斜視図である。図1(b1)〜(b4)は、yz平面で三次元構造体を切断したときの各工程における断面図を示している。同様に、図1(c1)〜(c4)は、xz平面で三次元構造体を切断したときの各工程における断面図を示している。
FDM法では熱可塑性樹脂であれば広範な材料を用いることが可能である。
また、熱可塑性樹脂には機能性を出すために充填材としてフィラー等も混ぜることが可能である。フィラーとしては、例えば、充填材ガラス繊維、無機フィラー、炭素繊維、金属フレーク、金属粒子などが挙げられる。
そして、ヘッド101の搬送ステージ100に対向した面に設けられたノズル102から流動状態の樹脂を押出しながら、搬送ステージ100とヘッド101をXY方向に相対的に移動させることでXY平面上に(第一の)層状体11を作成する。層状体11の作成を終えたら、搬送ステージ100とヘッド101をZ軸方向に相対移動させ、次の(第二の)層状体12の作成を行う。
冷却手段103は、流動状態の樹脂を冷却することで固定化するためのものである。
ヘッド101は、第一〜第四供給孔107a,107b,107c,107dと、第三供給孔107c及び第四供給孔107dが連通する連通孔109と、加熱手段106(106a,106b)と、押出し手段108と、ノズル102と、を有する。押出手段108は複数設けられてなり、供給孔それぞれに対応して配置されている。
第一供給孔107a、第2供給孔107bの熱可塑性樹脂(第一の熱可塑性樹脂21、第二の熱可塑性樹脂22)については、押出手段108によって樹脂ワイヤーを送り込み、第一加熱手段106aによって流動状態とする。さらに押出手段108によって樹脂ワイヤーを送り込むことで、第一加熱手段106a近傍の流動状態の樹脂を押出し、ノズル102を通して細線形状として押し出されることで層状体(第一〜第三の層状体11,12,13等)を作成する。第三供給孔107c、第四供給孔107dの熱可塑性樹脂は、押出手段108によって同時に送り込まれ第二加熱手段106bによって流動状態となり、さらに押出手段108によって押出され、連通孔109で加圧一体化される。加圧一体化された第一の熱可塑性樹脂21と第二の熱可塑性樹脂22とからなる流動体は、ノズル102を通して細線形状として押し出されることで層状体(第一〜第三の層状体11,12,13等)を作成する。
なお、バインダー部に第三の熱可塑性樹脂23を用いる場合のヘッド概略を図3(b)、第一の熱可塑性樹脂21と第二の熱可塑性樹脂22とを主成分とするポリマーアロイを溶融混練する場合のヘッド概略を図3(c)に示す。
本実施の形態では、バインダー部3は第一の熱可塑性樹脂21と第二の熱可塑性樹脂22との多層構造として説明するが、必ずしもこの構成に限定されるものではない。第三の熱可塑性樹脂23をバインダー部3として用いる場合(図3(b)のヘッド構成の場合)や、第一の熱可塑性樹脂21と第二の熱可塑性樹脂22とを主成分とするポリマーアロイをバインダー部3として用いる場合(図3(c)のヘッド構成の場合)も同様である。
バインダー部が第一の熱可塑性樹脂と第二の熱可塑性樹脂との多層構造の場合、ヘッド内で第一の熱可塑性樹脂および第二の熱可塑性樹脂を一体化させるので、積層時に一体化させる場合と比べて高温高圧化での一体化が可能となり、二つの樹脂同士の密着性を高めることが可能となる。また、バインダー部に構造部と導電性パターン下地部と同じ材料を使用しているため、材料のコストを下げることが可能である。
まず、図(b1)および図(c1)に示すように搬送ステージ100上に第1の層状体11を作成する。
第一の層状体11は構造部1のみで構成される。構造部11の作成はFDM法によって第一の熱可塑性樹脂を層状に形成することで行う。
また、第一の熱可塑性樹脂に代えて、第一の熱可塑性組成物を用いてもよい。第一の熱可塑性組成物としては、カーボン・木粉等の有機物や、ガラス繊維・炭酸カルシウム粉末等の無機フィラーや、着色顔料を、前記第一の熱可塑性樹脂に添加したものが挙げられる。
バインダー部3は第一の熱可塑性樹脂と第二の熱可塑性樹脂とが多層化されたもので構成される(図4(a)、図4(b)参照。)。
また、第二の熱可塑性樹脂に代えて、第二の熱可塑性組成物を用いてもよい。第二の熱可塑性組成物としては、前記易めっき性の熱可塑性樹脂に鉄・銀・ニッケル・コバルト・錫・パラジウム等の金属ナノ粒子を含有した熱可塑性組成物や、前記難めっき性の熱可塑性樹脂に、同様に、鉄・銀・ニッケル・コバルト・錫・パラジウム等の金属ナノ粒子を含有した熱可塑性組成物等が挙げられる。
構造部1とバインダー部3に関しては第一の層状体11および第二の層状体12と同様であるため説明を省略する。
また、第三の熱可塑性樹脂に代えて、第三の熱可塑性組成物を用いてもよい。第三の熱可塑性組成物としては、極性の大きい樹脂、例えば塩化ビニル・ポリブチレンテレフタレート等が挙げられる。
以上の工程を繰り返すことで、図1(b4)および(c4)に示すような三次元構造体10を形成する。
この積層の際には、層状体が流動しない温度で余熱していることが好ましい。積層中の積層体が流動性を持たない温度で余熱することで、密着性を高めることが可能となるため好ましい。ここで、余熱するとは、成形物に熱を加えて、流動する温度以下でなるべく高い温度に保つということ、また、雰囲気の温度をコントロールすることで、充分に除冷されない状態を作る(徐冷する)ということを意味する。
バインダー部3は、第一の熱可塑性樹脂と第2の熱可塑性樹脂とが隣接しないように、その間に形成する。ただし、同一の層内(層状体内)で隣接する場合には、層間(積層された層状体の上下)の場合に比べて密着性は問題とならないためバインダー部を形成しなくてもよい。
次に、作成した三次元構造体10に無電解めっきにより導電性パターン201を選択的に形成する。選択的に第二の熱可塑性樹脂を粗面化することや触媒を含有した熱可塑性樹脂を用いることによって、第二の熱可塑性樹脂22上に導電性パターン201が形成される。触媒を添加していない場合には、第二の熱可塑性樹脂のみが膨潤する有機溶剤等により、第二の熱可塑性樹脂22の表面を粗面化する。その後、無電解めっきを行うことで銅・ニッケル等の導電性パターン201を作成する。
導電性パターン形成工程は、湿式めっきで行い選択的に導電性パターンを作成することで、導電性パターンとして導電性樹脂を用いる場合に比べて、低い体積抵抗率の導電性パターンの作成が可能となるため好ましい。
第二の実施形態を示す。装置概略は第一の実施形態に液滴付与手段200を追加したものである。
本実施の形態のヘッドの詳細を図3(c)に示す。第一の実施の形態のヘッドに混練手段110を加えたものである。図3(c)では混練手段110は一つであるが、複数個あってもよい。
第一の実施形態と同様、第一の熱可塑性樹脂からなる構造部1と第二の熱可塑性樹脂からなる導電性パターン下地部2とを積層していく。
本実施の形態では、バインダー部3は第一の熱可塑性樹脂または第一の熱可塑性組成物と、第二の熱可塑性樹脂または第二の熱可塑性組成物とを主成分とするポリマーアロイから構成されるものとして説明する。ただし、必ずしもこの構成に限定されるものではなく、第三の熱可塑性樹脂や第一熱可塑性樹脂と第二熱可塑性樹脂との多層構造である場合も同様である。
なお、主成分とは、質量分率の合計が70%を超えるものを意味する。
第二の熱可塑性樹脂には親液性の熱可塑性樹脂、第二の熱可塑性組成物には親液性の非導電性熱可塑性組成物を用いる。具体的には、ポリ乳酸やポリアミドやポリビニルアルコール等の吸水性熱可塑性樹脂に吸水性の無機フィラーが含まれているものが好ましいものとして挙げられる。吸水性の無機のフィラーとしては、アルミナ、二酸化ケイ素が好ましい。あるいは、吸水性の小さい樹脂に、吸水性の無機フィラーを含有させたものでもよい。
形成された三次元構造体10に対して、液滴付与手段200によって金属ナノ粒子が分散された溶液を導電性パターン下地部2に付与する(図5)。液滴付与手段200は、三次元構造物10に付与を行うため、インクジェット法などのような非接触なものが望ましい。使用するインクジェット法の方式に特に制限はない。
<導電性発現ステップ>
溶液が付与された三次元構造体に対して、赤外線照射や焼成などによってエネルギーを付与することで、金属ナノ粒子を融着させることで導電性パターンを形成する。
このように導電性パターンを形成することで、導電性パターンとして導電性樹脂を用いる場合に比べて、低い体積抵抗率の導電性パターンの作成が可能となるため好ましい。また、湿式めっきを用いる場合の洗浄工程など煩雑な工程を省くことが可能となる。
2 導電性パターン下地
3 バインダー部
10 三次元構造体
11 第一の層状体
12 第二の層状体
13 第三の層状体
21 第一の熱可塑性樹脂
22 第二の熱可塑性樹脂
23 第三の熱可塑性樹脂
100 搬送ステージ
101 ヘッド
102 ノズル
103 冷却手段
104 スプールボックス
105 樹脂スプール
106 加熱手段
106a 第一加熱手段
106b 第二加熱手段
107a 第一供給孔
107b 第二供給孔
107c 第三供給孔
107d 第四供給孔
108 押出手段
109 連通孔
110 混練手段
200 液滴付与手段
201 導電性パターン
Claims (9)
- 導電性パターンを有する三次元構造体の製造方法において、
第一の熱可塑性樹脂または第一の熱可塑性組成物を流動状態とし、ヘッドから押し出すことにより形成される第一の熱可塑性樹脂または第一の熱可塑性組成物を含む構造部と、
第二の熱可塑性樹脂または第二の熱可塑性組成物を流動状態とし、前記ヘッドから押し出すことにより形成される第二の熱可塑性樹脂または第二の熱可塑性組成物を含む導電性パターン下地部と、
前記構造部と前記導電性パターン下地部とを接着するバインダー部と、を有する層状体を形成する層状体形成工程と、
前記層状体を積層することによって三次元構造体を形成する三次元構造体形成工程と、
前記三次元構造体の前記導電性パターン下地部に導電性パターンを形成する導電性パターン形成工程と、を備え、
前記バインダー部は、第一の熱可塑性樹脂または第一の熱可塑性組成物と、第二の熱可塑性樹脂または第二の熱可塑性組成物と、を前記ヘッド内で流動状態とし、一体で押し出すことにより形成された多層構造であることを特徴とする導電性パターンを有する三次元構造体の製造方法。 - 導電性パターンを有する三次元構造体の製造方法において、
第一の熱可塑性樹脂または第一の熱可塑性組成物を流動状態とし、ヘッドから押し出すことにより形成される第一の熱可塑性樹脂または第一の熱可塑性組成物を含む構造部と、
第二の熱可塑性樹脂または第二の熱可塑性組成物を流動状態とし、前記ヘッドから押し出すことにより形成される第二の熱可塑性樹脂または第二の熱可塑性組成物を含む導電性パターン下地部と、
前記構造部と前記導電性パターン下地部とを接着するバインダー部と、を有する層状体を形成する層状体形成工程と、
前記層状体を積層することによって三次元構造体を形成する三次元構造体形成工程と、
前記三次元構造体の前記導電性パターン下地部に導電性パターンを形成する導電性パターン形成工程と、を備え、
前記バインダー部は、第三の熱可塑性樹脂または第三の熱可塑性組成物を含み、
該第三の熱可塑性樹脂または第三の熱可塑性組成物は、前記第一の熱可塑性樹脂または前記第一の熱可塑性組成物に対して相溶性を有し、且つ、前記第二の熱可塑性樹脂または前記第二の熱可塑性組成物に対して相溶性を有することを特徴とする導電性パターンを有する三次元構造体の製造方法。 - 前記第三の熱可塑性樹脂または第三の熱可塑性組成物は、前記第一の熱可塑性樹脂または前記第一の熱可塑性組成物と、前記第二の熱可塑性樹脂または前記第二の熱可塑性組成物と、を主成分とするポリマーアロイであることを特徴とする請求項2に記載の導電性パターンを有する三次元構造体の製造方法。
- 前記ポリマーアロイは、前記ヘッド内で、前記第一の熱可塑性樹脂または前記第一の熱可塑性組成物と、前記第二の熱可塑性樹脂または前記第二の熱可塑性組成物と、を溶融混練することによって作成されることを特徴とする請求項3に記載の導電性パターンを有する三次元構造体の製造方法。
- 前記第一の熱可塑性樹脂または前記第一の熱可塑性組成物は難めっき材料であり、
前記第二の熱可塑性樹脂または前記第二の熱可塑性組成物は易めっき材料であり、
前記導電性パターン形成工程は、湿式めっきで形成することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の導電性パターンを有する三次元構造体の製造方法。 - 前記第一の熱可塑性樹脂または前記第一の熱可塑性組成物は疎液性であり、
前記第二の熱可塑性樹脂または前記第二の熱可塑性組成物は親液性であり、
前記導電性パターン形成工程は、金属ナノ粒子が分散された溶液を前記導電性パターン下地部に付与するパターン形成ステップと、前記金属ナノ粒子を融着させる導電性発現ステップと、を含むことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の導電性パターンを有する三次元構造体の製造方法。 - 前記第二の熱可塑性樹脂または前記第二の熱可塑性組成物は、吸水性の無機物フィラー
を含有する吸水性の熱可塑性樹脂または吸水性の熱可塑性組成物であることを特徴とする請求項6に記載の導電性パターンを有する三次元構造体の製造方法。 - 前記三次元構造体形成工程における積層中に、前記層状体が流動しない温度で余熱していることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の導電性パターンを有する三次元構造体の製造方法。
- 第一の熱可塑性樹脂または第一の熱可塑性組成物を含む構造部と、第二の熱可塑性樹脂または第二の熱可塑性組成物を含む導電性パターン下地部と、前記構造部と前記導電性パターン下地部とを接着するバインダー部と、を有する層状体を積層してなる三次元構造体であって、
前記バインダー部は、前記構造部と前記導電性パターン下地部との間に形成されるとともに、少なくとも一部の同一層内では、前記構造部と前記導電性パターン下地部が前記バインダー部を介さずに接していることを特徴とする三次元構造体。
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