JP6314104B2 - 風力発電設備及び風力発電設備の制御方法 - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1には、風車形状より定まる最大出力が得られるような風車ロータの回転数に対するピッチ角の特性を求め、この特性に基づいて、風車のピッチ角制御を行うようにした風力発電機が開示されている。
このとき、ロータ正面からの風速成分は実際の風速に比べて小さくなるため、上述のようなピッチ角に基づく回転数制御が行われる風力発電設備では、ロータ回転数を維持しようとして、風車翼のピッチ角がファイン側に制御されて、フルファインピッチ角付近に維持される場合がある。この場合、風向きによっては、風車翼に過大な荷重が作用する。これにより翼の損傷や翼の位置によっては翼がタワーに接触するおそれがある。
風車翼を含むロータと、
前記ロータを回転可能に支持するためのナセルと、
前記ナセルを旋回させるように構成されたヨー駆動部と、
前記風車翼のピッチ角を変化させるように構成されたピッチ駆動部と、
前記ピッチ駆動部にピッチ角指令値を与えて前記ピッチ駆動部を制御するように構成された制御装置と、
を備える風力発電設備であって、
前記制御装置は、
少なくとも前記ロータの回転数に基づいてピッチ角要求値を算出するように構成された要求値算出部と、
少なくとも風向と前記ナセルの向きとの間の角度が閾値A1(ただし、A1>0である。)以上であるときに、フルファインピッチ角とフルフェザーピッチ角との間のピッチ角をリミット値として設定するためのリミット値設定部と、
前記ピッチ角要求値が前記リミット値よりも前記フルファインピッチ角側にある場合、前記リミット値を前記ピッチ角指令値に設定するとともに、前記ピッチ角要求値が前記リミット値である、又は、前記フルフェザーピッチ角側にある場合、前記ピッチ角要求値を前記ピッチ角指令値に設定するように構成された指令値算出部と、
を含む。
この点、上記(1)の構成では、風向とナセルの向きとの間の角度(風向偏差)が所定値よりも大きい場合に、ピッチ角のリミット値をフルファインピッチ角よりもフェザー側の値に設定し、ロータ回転数に基づいて算出されるピッチ角要求値に対して該リミット値による制限を付与するようにした。これにより、風向偏差が所定値よりも大きい場合であっても、風車翼のピッチ角がフルファインピッチ角付近に維持されるのを防ぐことができ、風向変化に起因する翼過大荷重を回避することができる。
なお、上記(1)のようなピッチ角のリミット値を設けなくても、風力発電設備をシャットダウンさせて風車翼のピッチ角をフルフェザーピッチ角にすることにより、風車翼に加わる荷重を低減させることも可能な場合がある。しかしながら、この場合、シャットダウン中に、風車翼のピッチ角がフルフェザーに移行する過程において、複数の風車翼間に大きな荷重偏差が生じるため、タワートップに大きな荷重が発生する場合がある。この点、上記(1)の構成では、風力発電設備をシャットダウンさせることなく翼過大荷重を回避できるので、翼及びタワートップの過大荷重も回避することができる。
上記(2)の構成によれば、風向偏差に応じて適切なピッチ角のリミット値を設定することができる。
典型的な風力発電設備には、風向偏差によらないピッチ角のリミットが設定されたロジックを採用したものがある。上記(3)の構成によれば、風向偏差が所定値よりも大きい場合に、風向偏差によらずに設定されるベースリミット値と風向偏差に基づいて定まるリミット補正量との和をピッチ角のリミット値として設定するので、典型的な風力発電設備のロジックに対する簡単な修正により、上記(1)又は(2)で述べた制御装置を構築することができる。
風向偏差が大きいほど、実際の風速に比べて風速の正面成分が小さくなるため、回転数制御によるピッチ角要求値はよりファイン側の値となり、翼に作用する荷重が大きくなる傾向となる。
この点、上記(4)の構成では、風向偏差がA1であるときよりも、風向偏差がA1よりも大きい閾値A2以上であるときにピッチ角のリミット値をよりフェザー側に設定して、翼に作用する荷重をより減少させるようにしたので、風向変化に起因する翼過大荷重を適切に回避することができる。
上記(5)の構成では、風向偏差がA1以上A2以下である範囲において、風向偏差の増加とともにリミット値をフェザー側に近づけるようにしたので、風向変化に起因する翼過大荷重をより適切に回避することができる。
上述のように、風向偏差が所定値以上である場合、ロータ正面の風速成分が小さいため、ロータ回転数を維持しようとしてピッチ角要求値はファイン側に固定されてしまい、翼に作用する荷重が大きくなる傾向にある。このとき、風車翼に作用する風速が大きいほど、ピッチ角要求値がファイン側に固定されることによる荷重増大傾向は顕著である。
この点、上記(7)の構成では、風速に基づいてリミット値を決定するようにしたので、翼の荷重を効果的に低減できる。
上述のように、風向偏差が所定値以上である場合、風車翼に作用する風速が大きいほど、ピッチ角要求値がファイン側に固定されることによる荷重増大傾向は顕著である。
この点、上記(8)の構成では、風速がU1であるときよりも、風速がU1よりも大きいU2以上である時にピッチ角のリミット値をよりフェザー側に設定して、翼に作用する荷重をより減少させるようにしたので、翼の荷重を効果的に低減できる。
上記(9)の構成では、風速がU1以上U2以下である範囲において、風速の増加とともにリミット値をフェザー側に近づけるようにしたので、風向変化に起因する翼過大荷重をより適切に回避することができる。
ある風車機種においては風向偏差が30°未満の場合、実際の風速とロータ正面の風速成分とのずれが比較的小さいため、風速がある程度大きければロータ回転数制御の下でピッチ角要求値はフェザー側に調節される。このため、風向偏差が30°未満の場合には翼に過大荷重が作用することは少ない。
一方、風向偏差が50°を超える場合、実際の風速とロータ正面の風速成分とのずれが大きく、風車翼に作用する風速がある程度大きくても、ロータ回転数制御の下でピッチ角要求値はフルファインピッチ角に固定されてしまうことが多い。このため、風向偏差が50°を超える場合、翼に過大荷重が作用しやすい。
この点、上記(11)の構成によれば、前記閾値A1を30°以上50°以下に設定したので、翼荷重の発生レベルに応じて上記(1)〜(10)で述べたリミット値によるピッチ角の制限を行って、翼過大荷重を効果的に回避できる。
上述したように、風向偏差が大きいほど、実際の風速に比べて風速の正面成分が小さくなるため、回転数制御によるピッチ角要求値はよりファイン側の値となり、翼に作用する荷重が大きくなる傾向となる。このため、風向偏差が大きくなるにしたがって、ロータ回転数に基づいて算出されるピッチ角要求値に対してリミット値による制限を付与する必要性が増大する。
この点、上記(12)の構成によれば、ピッチ角のリミット値のための閾値A1とA2との間隔を5°以上としたので、ピッチ角要求値に対して制限を付与する必要性に応じた適切なリミットをかけることができる。
風向偏差が所定値以上である場合、上述したようにピッチ角がフルファインピッチ角近傍に固定されると、翼過大荷重が生じるおそれがある。一方、ピッチ角をある程度フェザー側にしてしまうと、風力発電設備をシャットダウンさせる過程と同様の問題が生じうる。すなわち、風向偏差が所定値以上であるときに、ピッチ角がある程度フェザー側にあると、複数の風車翼間に大きな荷重偏差が生じるため、タワートップに大きな荷重が発生する場合がある。
この点、上記(13)の構成によれば、フルファインピッチ角よりも2°〜15°だけフェザー側のピッチ角を風向偏差がA2の時のリミット値としたので、風向偏差に起因する翼およびタワートップの過大荷重発生を適切に回避することができる。
風車翼を含むロータと、
前記ロータを回転可能に支持するためのナセルと、
前記ナセルを旋回させるように構成されたヨー駆動部と、
前記風車翼のピッチ角を変化させるように構成されたピッチ駆動部と、
を含む風力発電設備の制御方法であって、
前記ピッチ駆動部にピッチ角指令値を与えて前記ピッチ駆動部を制御するピッチ制御ステップと、
少なくとも前記ロータの回転数に基づいてピッチ角要求値を算出するように構成された要求値算出ステップと、
少なくとも風向と前記ナセルの向きとの間の角度が閾値A1(ただし、A1>0である。)以上であるときに、フルファインピッチ角(θ0)とフルフェザーピッチ角との間のピッチ角をリミット値として設定するためのリミット値設定ステップと、
前記ピッチ角要求値が前記リミット値よりも前記フルファインピッチ角側にある場合、前記リミット値を前記ピッチ角指令値に設定するとともに、前記ピッチ角要求値が前記リミット値である、又は、前記フルフェザーピッチ角側にある場合、前記ピッチ角要求値を前記ピッチ角指令値に設定するように構成された指令値算出ステップと、
を備える。
この点、上記(14)の方法では、風向とナセルの向きとの間の角度(風向偏差)が所定値よりも大きい場合に、ピッチ角のリミット値をフルファインピッチ角よりもフェザー側の値に設定し、ロータ回転数に基づいて算出されるピッチ角要求値に対して該リミット値による制限を付与するようにした。これにより、風向偏差が所定値よりも大きい場合であっても、風車翼のピッチ角がフルファインピッチ角付近に維持されるのを防ぐことができ、風向変化に起因する翼過大荷重を回避することができる。
なお、上記(14)のようなピッチ角のリミット値を設けなくても、風力発電設備をシャットダウンさせて風車翼のピッチ角をフルフェザーピッチ角にすることにより、風車翼に加わる荷重を低減させることで翼過大荷重を回避することも可能な場合がある。しかしながら、この場合、シャットダウン中に、風車翼のピッチ角がフルフェザーに移行する過程において、複数の風車翼間に大きな荷重偏差が生じるため、タワートップに大きな荷重が発生する場合がある。この点、上記(14)の方法では、風力発電設備をシャットダウンさせることなく翼過大荷重を回避できるので、翼及びタワートップの過大荷重も回避することができる。
この風力発電設備1では、風車翼2が受けた風の力によってロータ3全体が回転すると、回転シャフト6からドライブトレイン8に回転が入力される。回転シャフト6から入力された回転はドライブトレイン8によって回転シャフト9を介して発電機10に伝達される。ドライブトレイン8は、回転シャフト6から入力された回転を増速するように構成された増速機であってもよい。ドライブトレイン8は、油圧ポンプと、高圧油ラインと、低圧油ラインと、油圧モータとを含む油圧式ドライブトレインであってもよい。また、ドライブトレイン8は、機械式(ギヤ式)の増速機であってもよい。
また、風力発電設備1は、ハブ4と発電機10とがドライブトレイン8を介さずに直接連結されたダイレクトドライブ方式の風力発電設備であってもよい。
ドライブトレイン8及び発電機10は、タワー14に支持されるナセル12の内部に収容されていてもよい。タワー14は水上又は陸上の基礎に立設されてもよい。
ピッチ駆動部22は、風車翼2のピッチ角が制御装置100(図6参照)から受け取ったピッチ角指令値となるように、必要量の圧油を油圧シリンダに供給するように油圧バルブの開度を調整するようになっていてもよい。
図2において、矢印Uは風力発電設備1に向かって吹く風を表す。また、ナセル12の向きとは、ロータ3の回転面と直行する方向のことである。よって、矢印Uによって示される風向と、ナセル12の向きとがなす角度Aを、本明細書においては「風向偏差」と呼ぶ。
ナセル12の向き(ロータ3の回転面の向き)に応じてヨー角が制御される風力発電設備1では、風向に変化が生じると、ヨー駆動部20によってナセル12が風向に追従するように旋回される。このようにして、風向が変化してもロータ3の正面から風を受けて、風のエネルギーを効率的に電力エネルギーに変換できるようになっている。
しかしながら、このようにヨー制御される風力発電設備1において、急激な風向変化が生じると、ヨー追従に時間を要し、図2に示すように、風向とナセル12の向きとの間の角度である風向偏差Aが大きくなることがある。
なお、ピッチ角を「ファイン側」にするとは、風車翼2が受ける風により回転シャフト6にトルクが付与されるようにピッチ角を変化させることをいう。また、ピッチ角を「フェザー側」にするとは、風を受け流す(風車翼2に作用する風が回転シャフト6に対してトルクを与えない)ように風車翼2のピッチ角を変えることをいう。
また、図3の(B)に示すように、風向偏差Aが大きくなって、風車翼2がロータの斜め前方から風を受ける場合には、ロータ正面からの風速成分(WcosAとなる)は実際の風速に比べて小さくなる。このため、ピッチ角に基づく回転数制御においては、ロータ回転数を維持しようとして、風車翼2のピッチ角が、図3の(A)に示す場合よりもファイン側に制御される。そして、図3の(B)に示すように、フルファインピッチ角付近に維持されることがある。
図3(B)の場合においては、図3(A)の場合に比べて、風速Uの大きさは同一であるが、相対風速Wが大きいとともに、迎角αも大きいため、風車翼2に作用する揚力Lが大きくなる。また、図3(B)の場合には、風車翼2のピッチ角がフルファインピッチ角に近いため、揚力Lの大部分は、回転シャフト6の軸方向の成分(スラスト力)として風車翼2に作用する。すなわち、風車翼2に対して、風車翼2をタワー14に押し付ける方向に大きな荷重が作用し、風車翼2が最下部付近にきたときにタワーに接触する可能性もある。
図4及び5は、タワートップに荷重が生じる原理について説明する図である。図4には、風向偏差が大きくなったときに、風力発電設備1をシャットダウンさせずにピッチ角に基づく回転数制御を継続した場合の、風車翼2の断面が示される。図5には、風向偏差が大きくなったときに、風力発電設備1をシャットダウンさせて、ピッチ角をフルフェザーに変化させる途中の過程における、風車翼2の断面が示される。また、図4(A)及び図5(A)は、ロータ3が1回転するうち、風車翼2が最上部付近にきたときの風車翼2の断面を示すものであり、図4(B)及び図5(B)は、ロータ3が1回転するうち、風車翼2が最下部付近にきたときの風車翼2の断面を示すものである。
また、迎角αの絶対値は図5(A)のほうが図5(B)よりも大きいが、図5(A)及び(B)の双方において迎角αの値が負であり、迎角αに応じた揚力係数が負となる領域である。すなわち、風車翼2に作用する揚力の向きが、図4に示す場合と逆向きとなる。
したがって、図5(C)に示すように、相対風速W及び迎角αの絶対値の双方が、図5(B)の場合よりも図5(A)の場合に大きいため、風車翼2に作用する荷重の絶対値は風車翼2が最上部にあるときの荷重FAのほうが、風車翼2が最下部にあるときの荷重FBに比べて大きくなるとともに、これらの荷重の偏差が、風力発電設備1の運転中(図4参照)に比べて拡大する。また、風車翼2に作用する荷重の向きが、図4とは逆向きになるため、タワートップにおいては、首下げモーメント(ロータ3の回転面と、水平面とが交差する軸回りに作用するモーメント)が発生する。
図6は、一実施形態に係る制御装置の構成を示す図である。同図に示すように、制御装置100は、要求値算出部122と、リミット値設定部124と、指令値算出部126と、を含むピッチ制御部120を有し、ピッチ駆動部22に指令値算出部126で算出したピッチ角指令値を与えてピッチ駆動部22を制御するように構成される。
また、上述した風力発電設備1の制御フローによれば、風力発電設備1をシャットダウンさせることなく翼過大荷重を回避できるので、翼のみならずタワートップの過大荷重も回避することができる。
一実施形態に係るリミット値設定部124では、風向偏差A及び風速Uに基づいて、リミット値を決定する。
図8のブロック線図に示すように、リミット値設定部124は、風向偏差A及び風速Uを示す信号を入力として受け取る。なお、風向偏差Aは、風向とナセル12の向き(風車ロータの回転面の向き)との間の角度であり、風力発電設備1の例えばナセル12に設けられた風向計及びナセル方位計によって得られる計測値から取得されてもよい。また、風速Uは、風車翼2に作用する風速であり、風力発電設備1の例えばナセル12に設けられた風速計によって得られる計測値から取得されてもよい。
また、リミット値設定部124において、入力された風速Uを示す信号は、ローパスフィルタ132によって比較的高周波のノイズを除去するフィルタ処理を施された後、ルックアップテーブル134を参照して、風速Uに応じた係数c(ただし、0≦c≦1である。)を決定する。ルックアップテーブル134は、風速Uと係数cとの相関関係を予め定義したテーブルであり、制御装置100の記憶部(不図示)に記憶されていてもよい。
図9(A)のグラフに示されるように、リミット値設定部124では、風向偏差がゼロ以上閾値A1未満である時には暫定リミット値ΔθA *はゼロに設定され、閾値A1以上である領域において、暫定リミット値ΔθA *はゼロよりも大きい値に設定される。また、風向偏差が閾値A2以上(ただしA2>A1)であるときに、暫定リミット値ΔθA *は、風向偏差が閾値A1であるときよりも大きな値に設定される(すなわち、フェザー側に近づく)とともに、風向偏差が閾値A1以上前記閾値A2以下の範囲においては、風向偏差の増加とともに、暫定リミット値ΔθA *が増加するようになっている(すなわち、フェザー側に近づく)。また、風向偏差が閾値A2以上(ただしA2>A1)であるときに、暫定リミット値Δθ*は、一定値ΔθA2 *をとるように設定される。
風向偏差が大きいほど、実際の風速に比べて風速の正面成分が小さくなるため、回転数制御によるピッチ角要求値はよりファイン側の値となり、翼に作用する荷重が大きくなる傾向となる。
上述のように、風向偏差が大きくなるにしたがってリミット値をフェザー側に近づけることで、風向変化に起因する翼過大荷重を適切に回避することができる。
図9(B)のグラフに示されるように、リミット値設定部124では、風速がゼロ以上閾値U1未満である時には係数cはゼロに設定され、閾値U1よりも大きい領域において、係数cはゼロよりも大きい値に設定される。また、風向偏差が閾値U2以上(ただしU2>U1)であるときに、係数cは、風速が閾値U1であるときよりも大きな値である1に設定される(すなわち、フェザー側に近づく)とともに、風速が閾値U1以上前記閾値U2以下の範囲においては、風速の増加とともに、係数cが増加するようになっている(すなわち、フェザー側に近づく)。また、風速が閾値U2以上(ただしU2>U1)であるときに、係数cは、一定値をとるように設定される。
風向偏差が所定値(A1)以上である場合、ロータ3の正面の風速成分が小さいため、ロータ回転数を維持しようとしてピッチ角要求値はファイン側に固定されてしまい、翼に作用する荷重が大きくなる傾向にある。このとき、風車翼2に作用する風速が大きいほど、ピッチ角要求値がファイン側に固定されることによる荷重増大傾向は顕著である。
上述のように、風速Uに基づいてリミット値を決定することで、翼の荷重を効果的に低減できる。また、風速が大きいほどピッチ角のリミット値をよりフェザー側に設定して、翼に作用する荷重をより減少させるようにしたので、翼の荷重を効果的に低減できる。
ベースリミット値ΔθBaseは、フルファインピッチ角θ0であってもよい。また、ベースリミット値ΔθBaseは、発電機出力に応じて変化するようになっていてもよい。
あるいは、一実施形態では、風向偏差Aによらないベースリミット値ΔθBaseは設定されておらず、風向偏差に基づくリミット値ΔθAをそのままリミット値Δθとしてもよい。
翼の過大荷重は、風向偏差及び風速のいずれもが大きいときに発生しやすいので、上述のようなリミット値の設定とすることで、翼過大荷重を適切に回避することができる。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
また、本明細書において、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
また、本明細書において、一の構成要素を「備える」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
2 風車翼
3 ロータ
4 ハブ
5 ハブカバー
6 回転シャフト
8 ドライブトレイン
9 回転シャフト
10 発電機
12 ナセル
14 タワー
18 ヨー旋回座軸受
20 ヨー駆動部
22 ピッチ駆動部
100 制御装置
110 ヨー制御部
120 ピッチ制御部
122 要求値算出部
124 リミット値設定部
126 指令値算出部
128 ローパスフィルタ
130 ルックアップテーブル
132 ローパスフィルタ
134 ルックアップテーブル
136 乗算器
140 加算器
Claims (12)
- 風車翼を含むロータと、
前記ロータを回転可能に支持するためのナセルと、
前記ナセルを旋回させるように構成されたヨー駆動部と、
前記風車翼のピッチ角を変化させるように構成されたピッチ駆動部と、
前記ピッチ駆動部にピッチ角指令値を与えて前記ピッチ駆動部を制御するように構成された制御装置と、
を備える風力発電設備であって、
前記制御装置は、
少なくとも前記ロータの回転数に基づいてピッチ角要求値を算出するように構成された要求値算出部と、
少なくとも風向と前記ナセルの向きとの間の角度が閾値A1(ただし、A1>0である。)以上であるときに、フルファインピッチ角とフルフェザーピッチ角との間のピッチ角をリミット値として設定するためのリミット値設定部と、
前記ピッチ角要求値が前記リミット値よりも前記フルファインピッチ角側にある場合、前記リミット値を前記ピッチ角指令値に設定するとともに、前記ピッチ角要求値が前記リミット値である、又は、前記フルフェザーピッチ角側にある場合、前記ピッチ角要求値を前記ピッチ角指令値に設定するように構成された指令値算出部と、
を含み、
前記リミット値設定部は、前記風向と前記ナセルの向きとの間の前記角度に基づいて前記リミット値を決定するとともに、前記風向と前記ナセルの向きとの間の前記角度が前記閾値A 1 よりも大きい閾値A 2 以上であるときに、前記リミット値を、前記角度が前記閾値A 1 であるときよりもフェザー側に近づけるように構成された
ことを特徴とする風力発電設備。 - 前記リミット値設定部は、前記風向と前記ナセルの向きとの間の前記角度と前記閾値A1との大小関係によらず設定されるベースリミット値と、前記風向と前記ナセルの向きとの間の前記角度が前記閾値A1(ただし、A1>0である。)以上であるときに前記角度に基づいて定まるリミット補正量との和を前記リミット値として設定するように構成されたことを特徴とする請求項1に記載の風力発電設備。
- 前記リミット値設定部は、前記風向と前記ナセルの向きとの間の前記角度が前記閾値A1以上前記閾値A2以下である範囲において、前記角度の増加とともに、前記リミット値をフェザー側に近づけるように構成されたことを特徴とする請求項1又は2に記載の風力発電設備。
- 前記リミット値設定部は、前記風向と前記ナセルの向きとの間の前記角度が前記閾値A1以上前記閾値A2以下である範囲において、前記リミット値を前記角度に比例して増加させるように構成されたことを特徴とする請求項3に記載の風力発電設備。
- 前記リミット値設定部は、風速に基づいて前記リミット値を決定するように構成されたことを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の風力発電設備。
- 風車翼を含むロータと、
前記ロータを回転可能に支持するためのナセルと、
前記ナセルを旋回させるように構成されたヨー駆動部と、
前記風車翼のピッチ角を変化させるように構成されたピッチ駆動部と、
前記ピッチ駆動部にピッチ角指令値を与えて前記ピッチ駆動部を制御するように構成された制御装置と、
を備える風力発電設備であって、
前記制御装置は、
少なくとも前記ロータの回転数に基づいてピッチ角要求値を算出するように構成された要求値算出部と、
少なくとも風向と前記ナセルの向きとの間の角度が閾値A 1 (ただし、A 1 >0である。)以上であるときに、フルファインピッチ角とフルフェザーピッチ角との間のピッチ角をリミット値として設定するためのリミット値設定部と、
前記ピッチ角要求値が前記リミット値よりも前記フルファインピッチ角側にある場合、前記リミット値を前記ピッチ角指令値に設定するとともに、前記ピッチ角要求値が前記リミット値である、又は、前記フルフェザーピッチ角側にある場合、前記ピッチ角要求値を前記ピッチ角指令値に設定するように構成された指令値算出部と、
を含み、
前記リミット値設定部は、風速に基づいて前記リミット値を決定するとともに、前記風速が閾値U1よりも大きい閾値U2以上であるときに、前記リミット値を、前記風速が前記閾値U1であるときよりもフェザー側に近づけるように構成されたことを特徴とする風力発電設備。 - 前記リミット値設定部は、前記風速が前記閾値U1以上前記閾値U2以下である範囲において、前記風速の増加とともに、前記リミット値をフェザー側に近づけるように構成されたことを特徴とする請求項6に記載の風力発電設備。
- 前記リミット値設定部は、前記風速が前記閾値U1以上前記閾値U2以下である範囲において、前記リミット値を前記風速に比例して増加させるように構成されたことを特徴とする請求項7に記載の風力発電設備。
- 前記閾値A1は、30°以上50°以下であることを特徴とする請求項1乃至8の何れか一項に記載の風力発電設備。
- 前記閾値A2はA2(°)≧A1(°)+5°を満たすことを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の風力発電設備。
- 前記リミット値設定部は、前記風向と前記ナセルの向きとの間の前記角度が前記A2のときにフルファインピッチ角に対してΔθだけフェザー側のピッチ角をリミット値として設定するように構成され、前記Δθは、2°≦Δθ(°)≦15°を満たすことを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の風力発電設備。
- 風車翼を含むロータと、
前記ロータを回転可能に支持するためのナセルと、
前記ナセルを旋回させるように構成されたヨー駆動部と、
前記風車翼のピッチ角を変化させるように構成されたピッチ駆動部と、
を含む風力発電設備の制御方法であって、
前記ピッチ駆動部にピッチ角指令値を与えて前記ピッチ駆動部を制御するピッチ制御ステップと、
少なくとも前記ロータの回転数に基づいてピッチ角要求値を算出するように構成された要求値算出ステップと、
少なくとも風向と前記ナセルの向きとの間の角度が閾値A1(ただし、A1>0である。)以上であるときに、フルファインピッチ角とフルフェザーピッチ角との間のピッチ角をリミット値として設定するためのリミット値設定ステップと、
前記ピッチ角要求値が前記リミット値よりも前記フルファインピッチ角側にある場合、前記リミット値を前記ピッチ角指令値に設定するとともに、前記ピッチ角要求値が前記リミット値である、又は、前記フルフェザーピッチ角側にある場合、前記ピッチ角要求値を前記ピッチ角指令値に設定するように構成された指令値算出ステップと、
を備え、
前記リミット値設定ステップでは、前記風向と前記ナセルの向きとの間の前記角度に基づいて前記リミット値を決定するとともに、前記風向と前記ナセルの向きとの間の前記角度が前記閾値A 1 よりも大きい閾値A 2 以上であるときに、前記リミット値を、前記角度が前記閾値A 1 であるときよりもフェザー側に近づける
ことを特徴とする風力発電設備の制御方法。
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