以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
<実施の形態1>
<構成>
図1は、実施の形態1による携帯端末装置1の構成を示す機能ブロック図である。携帯端末装置1は、タッチスクリーン108、人感センサ191、192、193、194、アンテナANT1(アンテナ121)、アンテナANT2(アンテナ122)、アンテナANT3(アンテナ123)、制御部101、記憶部104、無線回路402、アンテナ切替装置401を含む。無線回路402、アンテナ切替装置401によって、無線通信IF(Interface)112が構成される。
タッチスクリーン108は、ディスプレイ1081およびタッチパネル1082を含む。ディスプレイ1081は、メニュー画面においてアイコンや背景画像などを表示し、アプリケーションの動作によって静止画や動画などを表示する。ディスプレイ1081は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)や有機EL(electroluminescence)ディスプレイによって実現される。
タッチパネル1082は、ユーザの入力操作を受け付ける。タッチパネル1082は、例えば静電容量方式のものを用いることによってユーザの接触操作を受け付ける。タッチパネル1082は、ユーザによる入力操作を制御部101へ出力する。
人感センサ191、192、193、194は、携帯端末装置1に対する人体の位置を検出するためのセンサである。各グリップセンサは、例えば静電容量方式のタッチセンサにより実現することができる。人感センサ191、192、193、194は、携帯端末装置1に対して人体が近接していることを検出するためのセンサでもある。例えばグリップセンサを携帯端末装置1の側面に配置し、制御部101が各グリップセンサの出力結果を受け付けて、ユーザがグリップセンサに接触している面積の大きさに応じて携帯端末装置1に対する人体の位置を検出する。人感センサとしては、上記静電容量方式のほかにも、温度センサ、照度センサ、赤外線方式、その他、人体が近くにあることを感知する各種方式のセンサが使用可能である。
記憶部104は、例えばフラッシュメモリなどにより構成され、携帯端末装置1が使用するデータおよびプログラムを記憶する。
記憶部104は、OR型のフラッシュメモリ、マスクROM(Read Only Memory)その他のデバイスを、直接、バスに接続する形態によって実現してもよいし、あるいは制御用のブロックを介してNAND型のフラッシュメモリ、MMC(Multi Media Card)デバイス、ハードディスクドライブなどのデバイスを接続する形態で実現してもよい。
記憶部104は、アンテナ切替テーブル510と、放射パターン切替テーブル520とを記憶する。アンテナ切替テーブル510は、携帯端末装置1が通信に使用するアンテナを切り替えるため、携帯端末装置1の傾きと、携帯端末装置1に人体が接触する位置と、携帯端末装置1が使用するアンテナとを対応付けた情報である。放射パターン切替テーブル520は、携帯端末装置1が各アンテナの放射パターンを切り替えるため、携帯端末装置1の傾きと、携帯端末装置1に人体が接触する位置と、各アンテナの放射パターンの設定とを対応付けた情報である。
制御部101は、携帯端末装置1全体の動作を制御するためのプロセッサである。制御部101は、中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)を含み、記憶部104を構成するメモリに記憶された制御プログラムを読み出してCPUで実行する。これにより、制御部101は、状態検出部210と、通信制御部230と、表示制御部240としての機能を発揮する。
表示制御部240は、ディスプレイ1081の表示内容を制御する。表示制御部240は、画面回転機能を有する。
状態検出部210は、携帯端末装置1の各センサの出力結果に基づいて、ユーザが携帯端末装置1を把持している位置、および、携帯端末装置1の傾きを検出する。状態検出部210は、例えば、人感センサ191、192、193、194の出力に基づいて、ユーザが携帯端末装置1を把持している位置が、携帯端末装置1の側面のいずれであるかを検出する。
例えば、図2に示す携帯端末装置1の正面図において、操作キー105の近傍の側面を下部とし、その他の側面をそれぞれ上部、右部(右側面)、左部(左側面)として、ユーザが上部、下部、右部および左部のいずれの側面を把持しているかを状態検出部210が検出する。
通信制御部230は、無線通信IF112を用いた通信を制御するために、無線通信の設定に必要な各種の処理を行なう。通信制御部230は、選択部231として機能する。選択部231は、アンテナANT1(アンテナ121)、ANT2(アンテナ122)、ANT3(アンテナ123)のうち通信に使用するアンテナを無線通信方式に応じて選択する。通信制御部230(選択部231)は、状態検出部210の検出結果に基づいて、人体から離れているアンテナを特定し、特定したアンテナで通信するよう無線通信IF112を制御する。
無線回路402は、通信制御部230から出力されたベースバンド送信信号を所定の周波数帯域にアップコンバートすることによってRF(Radio Frequency)送信信号を生成し、生成されたRF送信信号をパワーアンプによって増幅する。無線回路402は、さらに、アンテナANT1〜ANT3のいずれか、または複数のアンテナを介して受信したRF受信信号をダウンコンバートすることによってベースバンド受信信号を生成し、生成されたベースバンド受信信号をローノイズアンプによって増幅する。
無線回路402は、減衰器407を含む。減衰器407は、パワーアンプによって増幅されたRF送信信号の送信出力を、比吸収率(SAR:Specific Absorption Rate)の規格の許容範囲まで減少させる。比吸収率(SAR)の許容値は、例えば人体の側頭部(頭部SAR)と、人体の側頭部以外の部位(Body SAR)について、法律、省令等に基づき規定されており、例えば、任意の組織10g(グラム)あたり2W/kgである。
アンテナ切替装置401は、通信制御部230(選択部231)の指令に従って、無線回路401とアンテナANT1,ANT2,ANT3との間の接続を切替えるためのスイッチ群である。アンテナANT1,ANT2,ANT3のうち通信制御部230によって選択された1または複数のアンテナが無線回路402と接続されることによって、各アンテナが使用される状態になる。
アンテナ切替装置401は、さらに、放射パターン切替部406を含む。図6〜図10で説明するように、放射パターン切替部406は複数の接地導体部を含む。制御部101の指令に従って、各アンテナ素子の給電点と各接地導体部との接続が切替わることによって、接地導体に流れるイメージ電流の流れる方向が変化する。この結果、アンテナの放射パターンが切り替わる。
図2は、携帯端末装置1の外観の構成を示す図である。図2(A)は、携帯端末装置1の正面図である。図2(B)は、携帯端末装置1の背面図である。図2(C)は、携帯端末装置1の上端の側面を示す図である。図2では、携帯端末装置1がスマートフォンまたはタブレット端末の場合の例を示す。
図2(A)に示すように、携帯端末装置1は、正面にタッチスクリーン108、操作キー105等の入力手段を備えてユーザの入力操作を受け付ける。また、携帯端末装置1は、タッチスクリーン108によって情報を表示する。携帯端末装置1の筐体の内部に複数のアンテナが配置されており、携帯端末装置1(A)に、各アンテナ(アンテナ121、アンテナ122およびアンテナ123)が内蔵されている位置を示す。
また携帯端末装置1は、人体を検出するための人感センサとして、筐体の側面に複数のグリップセンサ(人感センサ191、人感センサ192、人感センサ193および人感センサ194)を配置して、各グリップセンサの出力結果に基づいて、ユーザが携帯端末装置1を把持している部分を検出する。図2(A)に点線で、図2(B)と図2(C)に実線で位置を示すように、携帯端末装置1の各側面において、上部に人感センサ191を配置し、下部に人感センサ194を配置し、正面から見た右部(右側面)に人感センサ193を配置し、左部(左側面)に人感センサ192を配置する。
図3は、携帯端末1のハードウェア構成を表した図である。図3を参照して、携帯端末1は、プログラムを実行するCPU101と、ROM102と、RAM(Random Access Memory)103と、フラッシュメモリ104と、操作キー105と、スピーカ106と、カメラ107と、タッチスクリーン108と、無線通信IF(Interface)112と、第1アンテナ121と、第2アンテナ122と、第3アンテナ123と、グリップセンサ191〜194とを、少なくとも含んで構成されている。タッチスクリーン108は、上述したように、ディスプレイ1081と、タッチパネル1082とを含む。各構成要素101〜108,112,191〜194は、相互にデータバスによって接続されている。
第1〜第3アンテナ121〜123は、無線通信IF112に接続されている。第1〜第3アンテナ121〜123および無線通信IF112は、たとえば、基地局を介した、他の移動体端末、固定電話、およびPC(Personal Computer)との間における無線通信に用いられる。
ROM102は、不揮発性の半導体メモリである。ROM102は、携帯端末1のブートプログラムが予め格納されている。フラッシュメモリ104は、不揮発性の半導体メモリである。フラッシュメモリ104は、一例としてNAND型で構成してもよい。フラッシュメモリ104は、携帯端末1のオペレーティングシステム、携帯端末1を制御するための各種のプログラム、並びに、携帯端末1が生成したデータ、携帯端末1の外部装置から取得したデータ等の各種データを不揮発的に格納する。
携帯端末1における処理は、各ハードウェアおよびCPU101により実行されるソフトウェアによって実現される。このようなソフトウェアは、フラッシュメモリ104に予め記憶されている場合がある。また、ソフトウェアは、図示しないメモリカードその他の記憶媒体に格納されて、プログラムプロダクトとして流通している場合もある。あるいは、ソフトウェアは、いわゆるインターネットに接続されている情報提供事業者によってダウンロード可能なプログラムプロダクトとして提供される場合もある。このようなソフトウェアは、アンテナ121,122、123および無線通信IF112を介してダウンロードされた後、フラッシュメモリ104に一旦格納される。そのソフトウェアは、CPU101によってフラッシュメモリ104から読み出され、さらにフラッシュメモリ104に実行可能なプログラムの形式で格納される。CPU101は、そのプログラムを実行する。
本発明の本質的な部分は、フラッシュメモリ104その他の記憶媒体に格納されたソフトウェア、あるいはネットワークを介してダウンロード可能なソフトウェアであるともいえる。なお、記録媒体としては、DVD-ROM、CD−ROM、FD、ハードディスクに限られず、磁気テープ、カセットテープ、光ディスク、光カード、マスクROM、EPROM、EEPROM、フラッシュROMなどの半導体メモリ等の固定的にプログラムを担持する媒体でもよい。また、記録媒体は、当該プログラム等をコンピュータが読取可能な一時的でない媒体である。また、ここでいうプログラムとは、CPUにより直接実行可能なプログラムだけでなく、ソースプログラム形式のプログラム、圧縮処理されたプログラム、暗号化されたプログラム等を含む。
<データ構造>
図4を参照し、携帯端末装置1の処理において用いられるデータのデータ構造を説明する。図4は、記憶部104に記憶される、アンテナ切替テーブル510および放射パターン切替テーブル520を示す図である。
図4に示すように、アンテナ切替テーブル510に含まれる各レコードは、人体の検出512と、使用可能なアンテナ513とが対応付けられている。
人体の検出512は、各人感センサ(人感センサ191、人感センサ192、人感センサ193、人感センサ194)の出力結果に基づいて制御部101が検出する、携帯端末装置1に対する人体の位置を示す。
人体の検出512において、人感センサの出力結果に基づき制御部101が携帯端末装置1に対する人体の位置を検出できない場合を、状態「なし」として示している。
使用可能なアンテナ513は、各人感センサ191、192、193、194の出力結果と対応づけて、携帯端末装置1が通信に使用可能なアンテナを示す。
図4に示すように、放射パターン切替テーブル520に含まれる各レコードは、人体の検出522と、放射パターン523とが対応付けられている。
人体の検出522は、各人感センサ(人感センサ191、人感センサ192、人感センサ193、人感センサ194)の出力結果に基づいて制御部101が検出する、携帯端末装置1に対する人体の位置を示す。放射パターン523は、各人感センサ191、192、193、194の出力結果と対応づけて、各アンテナから放射する電波の放射パターンを示す。例えば、放射パターンとしてパターン「短手」が指定されている場合、携帯端末装置1は、筐体の短手方向に電波を放射するよう放射パターンを制御する。また、放射パターンとしてパターン「長手」が指定されている場合、携帯端末装置1は、筐体の長手方向に電波を放射するよう放射パターンを制御する。各アンテナからの電波の放射パターンは、図6等を用いて後述する。
<動作>
図5を参照し、携帯端末装置1の動作について説明する。
図5は、携帯端末1の処理の流れを表したフローチャートである。図5を参照して、携帯端末1のCPU101は、ステップS2において、基地局との間の通信について、通信終了の要求があったか否かを判断する。CPU101は、通信終了の要求があったと判断した場合(ステップS2においてYES)、一連の処理を終了する。CPU101は、通信終了の要求がない場合(ステップS2においてNO)には、処理をステップS10に移す。
ステップS10において、CPU101は、人感センサ191、192、193、194の出力信号に基づいて、携帯端末装置1と人体との接触または携帯端末装置1と人体とが近接しているか否かを判断し、携帯端末装置1に対する人体の位置を検出する。
ステップS12において、CPU101は、アンテナ切替テーブル510を参照して、人感センサ191、192、193、194の出力結果に基づいて、使用可能なアンテナを判断する。
ステップS14において、CPU101は、放射パターン切替テーブル520を参照して、使用するバンドに応じて使用するアンテナと当該アンテナの放射パターンを選択する。ステップS16において、CPU101は、回路の切替を行ない、選択したアンテナを使用可能な状態に設定する。なお、複数のアンテナを使う場合には、使用するバンドとバンド相互の妨害有無などを考慮して使用するアンテナと放射パターンを選択すればよい。
<アンテナ放射パターンの切替方法について>
次に、図1の放射パターン切替部406によるアンテナ放射パターンの切替方法について説明する。
図6は、放射パターン切替部406の構成を模式的に示す図である。図6を参照して、放射パターン切替部406は、メイングランドとしての接地導体部GND1と、接地導体部GNDの周辺に設けられるサブグランドとしての接地導体部GND2,GND3と、スイッチ素子SW2,SW3と、チョークコイル61,62とを含む。図6では、アンテナANTは給電部60に接続されるL字型のモノポールアンテナの例が示されているが、このアンテナANTの形態および形状に限定されるものでない。
接地導体部GND2は、矩形状の接地導体部GND1の辺64に沿って設けられる。接地導体部GND3は、接地導体部GND1の辺64に隣接する辺65に沿って設けられる。接地導体部GND2,GND3の電気長は、アンテナANTが使用する周波数に対応する波長の4分の1(λ/4)またはその近傍値に設定されている。
接地導体部GND2の一端はスイッチ素子SW2を介してアンテナANTの給電部60と接続され、接地導体部GND2の他端はチョークコイル61を介してアンテナ導体部GND1と接続される。同様に、接地導体部GND3の一端はスイッチ素子SW3を介してアンテナANTの給電部60と接続され、接地導体部GND3の他端はチョークコイル62を介してアンテナ導体部GND1と接続される。チョークコイル61,62は、高周波電流を阻止するインピーダンス素子として用いられている。
図7は、アンテナANTによって生じる放射パターンを説明するための図である(スイッチ素子SW2がオンの場合)。図7を参照して、スイッチ素子SW2がオンで、スイッチ素子SW3がオフの場合には、イメージ電流Iiはスイッチ素子SW2を介して接地導体部GND2を流れる。図7において、イメージ電流Iiが流れる部分にハッチングを付している。イメージ電流Iiは図7のY方向に流れる。放射パターン66A,66Bは、イメージ電流Iiを中心に、イメージ電流Iiと直交する方向に生成される。接地導体部GND1〜GND3が設けられている面内では、放射パターン66A,66BはX方向に生成される。
図8は、アンテナANTによって生じる放射パターンを説明するための図である(スイッチ素子SW3がオンの場合)。図8を参照して、スイッチ素子SW3がオンで、スイッチ素子SW2がオフの場合には、イメージ電流Iiはスイッチ素子SW3を介して接地導体部GND3を流れる。図8において、イメージ電流Iiが流れる部分にハッチングを付している。イメージ電流Iiは図8のX方向に流れる。放射パターン67A,67Bは、イメージ電流Iiを中心に、イメージ電流Iiと直交する方向に生成される。接地導体部GND1〜GND3が設けられている面内では、放射パターン67A,67BはY方向に生成される。
図9は、放射パターン切替部406の等価回路を示す図である(スイッチ素子SW2がオンの場合)。図9では、スイッチ素子SW2,SW3の一例としてPINダイオードが示されている。スイッチ素子SW2としてのPINダイオード(以下、PINダイオードSW2と記載する)のアノードは接地導体部GND2に接続され、PINダイオードSW2のカソードは給電部60に接続される。同様に、PINダイオードSW3のアノードは給電部60に接続され、PINダイオードSW3のカソードは接地導体部GND3に接続される。
図9に示すように、給電部60には、さらに、図1の通信制御部230から出力された制御信号を受ける制御端子63が接続されている。制御信号として接地導体部GND1に対する負電圧が通信制御部230から制御端子63に供給されているときには、PINダイオードSW2がオン状態となり、PINダイオードSW3がオフ状態となる。これによって、イメージ電流Iiは接地導体部GND2を流れる(図9において、イメージ電流Iiが流れる部分にハッチングを付している)。このイメージ電流Iiに対して垂直方向に放射パターン66A,66Bが生成される。
図10は、放射パターン切替部406の等価回路を示す図である(スイッチ素子SW3がオンの場合)。図10を参照して、制御信号として接地導体部GND1に対する正電圧が通信制御部230から制御端子63に供給されているときには、PINダイオードSW3がオン状態となり、PINダイオードSW2がオフ状態となる。これによって、イメージ電流Iiは接地導体部GND3を流れる(図10において、イメージ電流Iiが流れる部分にハッチングを付している)。このイメージ電流Iiに対して垂直方向に放射パターン67A,67Bが生成される。
以上のように、通信制御部230からの制御信号によってスイッチ素子SW2,SW3のオンおよびオフを切替えることによって接地導体部GND2,GND3のいずれか一方を選択することができる。これによって、選択した接地導体部GNDにイメージ電流Iiが流れ、この結果、アンテナANTの放射パターンが切替えられる。
<携帯端末装置におけるアンテナ放射パターンの例>
上記の図6〜図10で説明した放射パターン切替部406は、図1のアンテナANT1,ANT2,ANT3の各々に設けられている。ただし、メイングランドとしての接地導体部GND1は、各アンテナで共通化することができる。
図11は、図1の携帯端末装置に設けられたアンテナANT1〜ANT3の放射パターンの例を示す図である。
図11では、携帯端末装置がスマートフォンの場合を例としてアンテナANT1〜ANT3の配置が示されている。スマートフォンの筺体50の長手方向をY方向とし、短手方向をX方向とし、厚み方向をZ方向とする。筺体50の主面上にタッチスクリーン108が設けられ、主面上でタッチスクリーン108の下部に操作キー105が設けられている。タッチスクリーン108は、ディスプレイとタッチパネルとが一体的に形成されたものである。操作キー105は、たとえば、ホーム画面を表示させるためのホームキーとして機能する。
アンテナANT1〜ANT3は筺体50の内部に設けられる。具体的に、アンテナANT1は筺体50の長手方向(Y方向)の一端に近接して(すなわち、操作キー105の近傍に)設けられる。アンテナANT3は筺体50の長手方向(Y方向)の他端に近接して(すなわち、操作キー105の反対側に)設けられる。アンテナANT2は筺体50の短手方向(X方向)の一端に近接して設けられる。
図11では、アンテナANT1〜ANT3の各々を単独使用した場合の放射パターンの一例が示されている。アンテナANT1の場合、筺体50の短手方向(X方向)にイメージ電流が流れるように図1の放射パターン切替部406を制御することによって、筺体50の長手方向(Y方向)に放射パターン53A,53Bが生成される。なお、放射パターンはイメージ電流の方向に垂直に生成されるので、筺体50の厚み方向(Z方向)にもアンテナANT1の放射パターンが生成されている。しかしながら、筺体50の短手方向(X方向)の放射パターンは生成されない。
同様に、アンテナANT2の場合、筺体50の長手方向(Y方向)にイメージ電流が流れるように放射パターン切替部406を制御することによって、筺体50の短手方向(X方向)の放射パターン54A,54Bが生成される(筺体50の長手方向(Y方向)には放射パターンは生成されない)。
アンテナANT3の場合、筺体50の短手方向(X方向)にイメージ電流が流れるように放射パターン切替部406を制御することによって、筺体50の長手方向(Y方向)の放射パターン55A,55Bが生成される(筺体50の短手方向(X方向)には放射パターンは生成されない)。
また、図12は、図11のアンテナ配置において、アンテナANT1,ANT3に長手方向(Y方向)、アンテナANT2に短手方向(X方向)にイメージ電流が流れる場合の各アンテナに生じる放射パターンを示している。
具体的に、アンテナANT1の場合、筺体50の長手方向(Y方向)にイメージ電流が流れるように放射パターン切替部406を制御することによって、筺体50の短手方向(X方向)の放射パターン56A,56Bが生成される。
アンテナANT3の場合にも、筺体50の長手方向(Y方向)にイメージ電流が流れるように放射パターン切替部406を制御することによって、筺体50の短手方向(X方向)の放射パターン57A,57Bが生成される。
アンテナANT2の場合、筐体50の短手方向(X方向)にイメージ電流が流れるように放射パターン切替部406を制御することによって、筐体50の長手方向(Y方向)の放射パターン58A,58Bが生成される。
<実施の形態2>
図13から図17を参照して、実施の形態2の携帯端末装置2について説明する。実施の形態2の携帯端末装置2は、アンテナの給電点がユーザの手によって覆われているアンテナを推定し、推定したアンテナを使用不可に設定する。これにより、人体に対する電波の放射量を低減する。
図13は、実施の形態2による携帯端末装置2の構成を示す機能ブロック図である。実施の形態1と比較すると、加速度センサ111が、自装置の傾きを、重力方向の加速度として検出するためのセンサであり、例えば3軸加速度センサである。加速度センサ111は、検出した3軸の加速度を制御部101へ出力する。状態検出部210が、持手判断部211として機能する。制御部101は、可動領域推定部220として機能する。持手判断部211は、ユーザが携帯端末装置2に接触する位置に基づき、携帯端末装置2に接触している手が左手および右手のいずれであるかを判断する。
ユーザが携帯端末装置2を把持している状態(把持状態)の検出について、詳しく説明すれば、以下のとおりである。状態検出部210は、タッチパネル1082から出力される座標情報と、人感センサ191、192、193、194から出力される情報と、加速度センサ111からの加速度の情報とに基づき、ユーザが携帯端末装置2を把持している把持状態を検出する。より詳しくは、状態検出部210は、検知された接触位置の情報と、携帯端末装置2の姿勢情報(縦向きまたは横向き)と、接触している手が左手および右手のいずれであるかを表す持手情報とに基づき、把持状態を検出する。
状態検出部210は、検出した把持状態を、可動領域推定部220に送る。具体的には、状態検出部210は、把持状態を表す情報として、手の接触位置の情報と、携帯端末装置2の姿勢情報と、持手情報とを、可動領域推定部220に送る。
可動領域推定部220は、手の接触位置の情報と、姿勢情報と、持手情報とに基づき、接触している手の親指の表面における可動領域を推定する。具体的には、可動領域推定部220は、データテーブルD8を参照して、親指の主面における可動領域を推定する。具体的には、可動領域推定部220は、可動領域として、領域α,β,γ,δ(図14および図15参照)のうちから少なくとも1つの領域を推定する。また、可動領域推定部220は、手の接触位置の情報と、姿勢情報と、持手情報と、推定した可動領域を表す情報を、通信制御部230に送る。
<使用不可にするアンテナの選択>
図14、図15、図16を参照して、通信制御部230が、使用不可にするアンテナを選択する処理を説明する。なお図14、図15においては、アンテナが3本の場合の例を示す。
図14は、ユーザが携帯端末装置2を縦向きに把持した状態を表した図である。図14では、縦向きの姿勢の携帯端末装置2において右側面の下端寄りの位置(図14の場合には操作キー105に近い側)を、ユーザが右手で把持した状態が示されている。
この場合、アンテナANT2の給電点P2の近傍の表面(主面、背面、および側面)が手で覆われる。アンテナANT2による通信がユーザの手や指の影響を受ける。図13の携帯端末装置2の通信制御部230(選択部231)は、アンテナANT2が手や指で覆われており、人体へ放射される電波の放射量を低減するためアンテナANT2を使用不可にする。
図15は、ユーザが携帯端末装置2を横向きに把持した状態を表した図である。図15では、横向きの姿勢の携帯端末装置2において右側面(図15の場合には操作キー105と反対側)の下端寄りの位置を、ユーザが右手で把持した状態が示されている。
この場合には、アンテナANT3の給電点P3の近傍の携帯端末装置2の表面(主面、背面、および側面)が手で覆われることになる。アンテナANT3による通信がユーザの手や指の影響を受ける。図13の携帯端末装置2の通信制御部230(選択部231)は、アンテナANT3が手や指で覆われており、人体へ放射される電波の放射量を低減するためアンテナANT3を使用不可にする。
なお、「給電点の近傍の表面」とは、典型的には、給電点を通る主面の法線と当該主面との交点、給電点を通る背面の法線と当該背面との交点、および給電点を通る側面(典型的には、給電点に最も近い側面)の法線と当該側面との交点である。すなわち、「給電点の近傍の表面」とは、筺体10の主面、背面、および側面の各々に対する給電点の正射影点である。あるいは、「給電点の近傍の表面」は、上記各交点を含む予め定められた範囲の領域(たとえば、半径5mmの円領域、あるいは一辺が5mmの矩形領域)とすることができる。
<親指の可動範囲の推定>
実施の形態2の携帯端末装置2では、さらに、主面上で親指の可動領域を推定し、推定した可動領域がアンテナの給電点を覆っている場合にも当該アンテナが手の影響を受けると判定される。親指の可動領域の推定を簡単化するために、携帯端末装置2の主面は複数の領域に分割されている。
図14および図15を参照して、主面の領域は、一例として、複数の領域α,β,γ,δに分割(分類)される。領域α,β,γ,δの各々は、この順に、携帯端末装置2の姿勢が縦方向の場合の上端側から下端側(操作キー105側)に位置している。
給電点P3から主面への法線は、領域αで主面と交わる。つまり、給電点P3は、複数の領域α〜δにおける領域αの直下に位置する。
以下では、領域α,β,γ,δを用いて、ユーザが携帯端末装置2を把持している手の親指の主面における可動範囲を説明する。なお、上記においては、主面を4つの領域に分けているが、複数であればよく、4つに限定されるものではない。タブレット端末のように画面サイズが大型化するほど、領域の数を増やすのが望ましい。
主面上での親指の可動範囲の推定と、アンテナANT3が手で隠れているか否かの判定は、記憶部104に記憶されているデータテーブルD8に基づいて行われる。以下、データテーブルD8の概要について説明する。
図16は、データテーブルD8の概略構成を表した図である。図16を参照して、データテーブルD8では、携帯端末装置2の姿勢(縦,横)と、ユーザの携帯端末装置2の持ち手(把持している方の手)と、主面における接触領域(親指の接触領域)と、主面における親指の可動範囲(つまり、把持状態で親指が動くことが可能な主面上の領域)と、アンテナANT3の給電点が手で覆われる可能性があると判定されるか否か(すなわち手の影響を受ける可能性があるか否か)とが対応付けられている。
主面における接触領域は、説明の便宜上、複数の領域α,β,γ,δのいずれかとする。また、親指の可動範囲は、複数の領域α,β,γ,δのいずれか、または複数の領域α,β,γ,δのうちの2つまたは3つの組み合わせとする。アンテナANT3が手の影響を受ける可能性がある場合を「YES」とし、アンテナANT3が手の影響を受ける可能性がない場合を「NO」としている。
さらに、図16のデータテーブルD8では、携帯端末装置2を両手で把持することは想定していないが、両手で把持した場合も含めるようにデータテーブルD8を拡張することは容易にできる。
<アンテナANT3が手で覆われているかの判定処理>
以下、図13を参照して、携帯端末装置2において各アンテナの給電点が手で覆われているか判定する処理を説明する。人感センサ(グリップセンサ)191、192、193、194は、携帯端末装置2におけるユーザの手の接触位置を検知する。人感センサ(グリップセンサ)191、192、193、194は、検知した接触位置の座標情報を制御部101の状態検出部210に送る。
なお、各人感センサ191、192、193、194からの座標情報は、人感センサ毎に区別された状態で状態検出部210に送られる。
加速度センサ111は、携帯端末装置2の現在の向き(縦向きか横向きか)を重力により検知するとともに、ユーザの動作による携帯端末装置2の加速度を検出する。加速度センサ111は、測定した加速度の情報を制御部101に送る。より詳しくは、加速度センサ111は、測定した加速度の情報を、状態検出部210と表示制御部240とに送る。
状態検出部210は、ユーザによる携帯端末装置2の把持状態を検出する。状態検出部210の持手判断部211は、接触位置に基づき、携帯端末装置2に接触している手が左手および右手のいずれであるかを判断する。
把持状態の検出について、詳しく説明すれば、以下のとおりである。状態検出部210は、タッチパネル1082からの座標情報と、人感センサ191、192、193、194から出力される情報と、加速度センサ111からの加速度情報とに基づき、把持状態を検出する。より詳しくは、状態検出部210は、検知された接触位置の情報と、携帯端末装置2の姿勢情報(縦向きまたは横向き)と、接触している手が左手および右手のいずれであるかを表す持手情報とに基づき、把持状態を検出する。
状態検出部210は、検出した把持状態を、可動領域推定部220に送る。具体的には、状態検出部210は、把持状態を表す情報として、手の接触位置の情報と、携帯端末装置2の姿勢情報と、持手情報とを、可動領域推定部220に送る。
可動領域推定部220は、手の接触位置の情報と、姿勢情報と、持手情報とに基づき、接触している手の親指の表面における可動領域を推定する。具体的には、可動領域推定部220は、データテーブルD8を参照して、親指の主面における可動領域を推定する。具体的には、可動領域推定部220は、可動領域として、領域α,β,γ,δのうちから少なくとも1つの領域を推定する。また、可動領域推定部220は、手の接触位置の情報と、姿勢情報と、持手情報と、推定した可動領域を表す情報を、通信制御部230に送る。
通信制御部230の選択部231は、通信方式に応じて選択したアンテナANT3の給電点の近傍の携帯端末装置2の表面が手(親指の可動範囲を含む)で覆われているか否かを判定する。より詳しくは、選択部231は、携帯端末装置2の姿勢(縦方向か横方向か)、持ち手の情報、主面上の領域α〜γのうち親指の接触領域、親指の可動範囲の推定領域の判定結果に基づき、データテーブルD8を参照して、選択されたアンテナANT3が手の影響を受けるか否かを判定する。
具体例を挙げて説明すれば、以下のとおりである。図15に示すように、携帯端末装置2の姿勢が横向き、持ち手が右、主面における接触領域がαとなるように、ユーザが携帯端末装置2を把持していたとする。このとき、当該把持状態に基づき推定される親指の可動領域が、領域α,βであったとする。この場合、選択部231は、図16のデータテーブルD8を参照して、姿勢が「横」,持ち手が「右手」、主面における接触領域が「α」,および親指の可動領域が「α,β」に対応付けられた「YES」を読み出すことによって、アンテナANT3が手の影響を受けると判定する。通信制御部230の選択部231は、アンテナANT3が手の影響を受けると判定すると、アンテナANT3を用いた通信によって人体へと放射される電波量を低減するため、アンテナANT3を使用不可にする。
図17は、実施の形態2における各アンテナの放射パターンを示す図である。図17において、ユーザの手や指で覆われているアンテナを使用不可にして、使用可能なアンテナの放射パターンを、放射パターン切替テーブル520を参照して決定する。
図17(A)は、ユーザが携帯端末装置2を右手で保持している場合の放射パターンの例を示す。図17(A)において、アンテナANT2の給電点P2が、ユーザの手によって覆われている。通信制御部230は、アンテナANT2がユーザの手の影響を受けると判定し、アンテナANT2を使用不可にする。
図17(B)は、ユーザが携帯端末装置2を左手で保持している場合の放射パターンの例を示す。図17(B)において、アンテナANT4の給電点P4の近傍が、ユーザの手によって覆われている。通信制御部230は、アンテナANT4がユーザの手の影響を受けると判定し、アンテナANT4を使用不可にする。
<実施の形態3>
実施の形態3の携帯端末装置について説明する。実施の形態3の携帯端末装置は、最適なアンテナ整合を切り替える。実施の形態3の携帯端末装置は、図5に示すステップS16の処理の後、使用するアンテナの整合を、アンテナ整合テーブル34を参照して切り替える。これにより、各アンテナのアンテナ特性の劣化を改善するために、最適なアンテナ整合に切り替えることができる。また、各アンテナが広帯域の通信に対応して設計されている場合、通信に使用する通信規格、使用バンドに応じて周波数特性を補償することができる。
<携帯端末装置の全体構成>
図18は、実施の形態3による携帯端末装置の構成の一部を概略的に示すブロック図である。図18を参照して、携帯端末装置は、アンテナANT1〜ANT3とアンテナ切替装置401との間に接続されたアンテナ整合調整部70をさらに含む点で図13の携帯端末装置2と異なる。
なお、図1の携帯端末装置1および図13の携帯端末装置2と比較して、図18では、無線回路402を示していないが、実施の形態3の携帯端末装置にも無線回路402は含まれる。また、図1の携帯端末装置1および図13の携帯端末装置2において、記憶部104は、アンテナ切替テーブル510と放射パターン切替テーブル520とを記憶するものとして説明したが、実施の形態3の携帯端末装置においては、アンテナ切替テーブル510と放射パターン切替テーブル520とをひとまとめにしてアンテナ・放射パターン切替テーブル33として示している。また、実施の形態3の携帯端末装置においては、記憶部104は、アンテナ整合テーブル34を記憶している。
各アンテナANT1〜ANT3の周波数特性が広帯域に設計されている場合、通信に使用する通信規格および/またはバンドに応じて、通信に使用するアンテナの周波数特性を補償する必要がある。アンテナ整合調整部70は、制御部101の制御に従って、通信に使用するアンテナの整合状態および周波数帯域を調整する。
具体的に図18の場合、アンテナ整合調整部70は、アンテナANT1,ANT2,ANT3にそれぞれ対応する可変整合回路71,72,73を含む。可変整合回路71〜73の各々は、可変容量素子を含み、可変容量素子の容量値を変化させることによって対応するアンテナのインピーダンス整合を行うとともに、対応するアンテナの共振周波数を変化させることができる。
制御部101のCPUは、通信に使用する通信規格/バンドに応じて、アンテナ整合調整部70にアンテナチューニング情報(すなわち、可変整合回路71〜73の可変容量素子の設定値に関する情報)を出力する。アンテナ整合調整部70は、CPUから受信したアンテナチューニング情報に従って、可変整合回路71〜73の可変容量素子の設定値を変更する。
送受信する信号の周波数帯域(バンド)/通信規格と可変整合回路71〜73の可変容量素子の設定値との対応関係は、アンテナ整合テーブル34として記憶部104に記憶されている。制御部101は、アンテナ整合テーブル34を参照することによって可変整合回路71〜73に含まれる可変容量素子の設定値(アンテナチューニング情報)を決定する。
図18のその他の点は図1と同様であるので、同一または相当する部分には同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
<可変整合回路の構成例>
図19は、図18の可変整合回路71〜73の一例を示す回路図である。図19を参照して、可変整合回路71〜73の各々は、インダクタ素子84,85と、可変容量素子86とを含む。インダクタ素子84,85のインダクタンス値をそれぞれL1(nH)、L2(nH)とし、可変容量素子86の容量値をC1(pF)とする。
図19に示す例では、インダクタ素子84は入出力ノード82と83との間に接続され、インダクタ素子85は入出力ノード82と接地ノードGNDとの間に接続され、可変容量素子86は入出力ノード83と接地ノードGNDとの間に接続される。入出力ノード82,83の一方はアンテナANTに接続される。入出力ノード82,83の他方はアンテナ切替装置401に接続され、アンテナ切替装置401を介してデュプレクサと接続される。
可変容量素子86として、たとえば、可変容量ダイオード(バリキャップまたはバラクタとも称する)を用いることができる。もしくは、スイッチによって並列に接続されるコンデンサの個数を切り替えることによって容量値を変化させるタイプの可変容量素子を用いることもできる。もしくは、MEMS(Micro Electro Mechanical System)を利用してコンデンサの電極間距離を変化させるタイプの可変容量素子を用いることもできる。
なお、図19の構成と異なり、容量素子は一定の容量値を有し、インダクタ素子のインダクタンスが可変となるようにしてもよいし、容量素子の容量値およびインダクタ素子のインダクタンスの両方を可変としてもよい。
<アンテナ整合テーブルの例>
図20は、図18の記憶部104に記憶されるアンテナ整合テーブル34の一例を示す図である。図20に示すように、アンテナANTで使用される通信規格/バンドに応じて図19の可変容量素子86の容量値C1(pF)の設定値が定められている。インダクタ素子84,85のインダクタンス値L1,L2(nH)は固定値である。
<変形例>
上記の各実施形態において、通信制御部230が通信に使用するアンテナを選択した場合に、人体から比較的遠くに離れているアンテナに、送信電力の高い信号を出力してもよい。例えば、図4のアンテナ切替テーブル510において、携帯端末装置1の傾きと、携帯端末装置1に対する人体の位置とから、人体から最も遠く離れていると推定されるアンテナを予め使用可能なアンテナ513において指定しておく。
例えば、携帯端末装置1の傾きが傾き「縦」、携帯端末装置1に対する人体の位置が位置「下部」の場合、通信制御部230は、アンテナANT2とアンテナANT3とを選択するが、人体の位置が携帯端末装置1の下部にあるため、アンテナANT3が人体から最も遠いと推定される。そこで、通信制御部230は、アンテナ切替テーブル510を参照し、アンテナANT3を、送信電力の高い信号を出力するためのアンテナとして指定する。
図21は、アンテナが4本の場合に、人体から最も遠いアンテナに送信電力の高い信号を出力する例を示す図である。図21に示すように、携帯端末装置1に対する人体の位置が、携帯端末装置1の下部にあり、携帯端末装置1がアンテナANT3とアンテナANT4とを通信に使用する場合、アンテナANT3の方が人体から遠い。携帯端末装置1がバンドA(周波数f1)とバンドB(周波数f2)とを同時に使用して通信を行う場合に、送信信号の出力が、バンドAの方が大きいとする。この場合、送信信号の出力がバンドBのものより大きいバンドAの信号をアンテナANT3によって送信し、バンドBの信号を、アンテナANT4によって送信する。
<まとめ>
携帯端末装置が複数の通信方式、複数のバンドを同時に使用する場合において、携帯端末装置の筐体の背面や側面にセンサを設ける。携帯端末装置は、これらセンサに対する人体の接触位置等の情報を利用することにより、人体から離れているアンテナを自動で選択する。これにより、人体に対する電波の放射量を低減する。
携帯端末装置は、例えば、タブレット端末等の、側等部以外に端末を人体の近くに位置させて使用する可能性があるものである。これらの端末は、Body SARの対象となる装置であり、3以上のアンテナから、人体から離れたアンテナを2個選択して通信を行う。携帯端末装置は、人体を感知する人感センサを備える人感センサとは、例えば周辺温度分布によって人体を感知するセンサ、グリップセンサなどである。
携帯端末装置は、加速度センサを備え、携帯端末装置の傾きを検出する。携帯端末装置は、使用するアンテナを選択するためのアンテナ切替テーブルを記憶し、アンテナ切替テーブルを参照して、人体から離れたアンテナを2つ選択する。携帯端末装置は、選択されたアンテナの放射パターンを、人体から離れるように変更する。
各実施形態で説明した携帯通信装置は、プロセッサと、その上で実行されるプログラムにより実現される。本発明を実現するプログラムは、通信インタフェースを介してネットワークを利用した送受信等により提供される。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものでないと考えられるべきである。この発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。