本発明の一実施形態である測位装置100について、図面を用いながら説明する。
図1は、本発明の一実施形態における測位システムの構成例を示すブロック図である。なお、本発明の一実施形態における測位システムの構成例は、図1に限られず、どのような構成であってもよい。なお、測位システムは、後述する図5や図6に例示する構成であってもよい。
図1に示すように、本発明の一実施形態における測位システムは、複数の衛星200を含む。複数の衛星200の各々は、互いに異なる周波数を用いて、衛星信号を発信する。例えば、複数の衛星200のうちの一の衛星200は、例えば、L1周波数(例えば、1575.42MHz)の衛星信号を発信する。また、他の衛星200は、例えば、L2周波数(例えば、1227.60MHz)の衛星信号を発信する。また、他の衛星200は、例えば、L5周波数(例えば、1176.45MHz)の衛星信号を発信する。また、他の衛星200は、例えば、L6周波数(例えば、1278.75MHz)の衛星信号を発信する。なお、衛星200の各々は、衛星信号だけでなく、補強信号を発信してもよい。また、補強信号は、衛星信号に含まれていてもよい。
複数の衛星200は、例えば、準天頂軌道、つまり特定の一地域の上空に長時間とどまる軌道をとる準天頂衛星を含む。また、複数の衛星200は、静止軌道(赤道上空の高度約35,786Kmの円軌道)を、地球の自転周期と同じ周期で肯定している静止衛星を含んでいてもよい。
複数の衛星200の1つであるGPS衛星は、例えば、測位用のL1周波数帯とL2周波数帯の送信機、および、複数のセシウムおよびルビジウム原子時計を搭載し、軌道高度約20.000km、周回周期0.5恒星日、6枚の軌道面に4個ずつ合計24個の衛星200により、衛星システムを構成する。
図1に示すように、本発明の一実施形態の測位システムは、測定装置100を含む。測位装置100は、複数の補強信号のうち、所定の条件に基づいて選択した補強信号を用いて、衛星信号に基づいて測位した測位結果を補正する機能を備える。測位装置100は、例えば、複数の衛星200の各々から発信された補強信号を受信し、衛星信号を用いて測位した測位結果を補強する機能(サブメータ級測位補強、センチメートル級測位補強など)を備える。
測位装置100は、例えば、L6周波数帯(例えば、1278.75MHz)を用いて送信される複数の補強信号を受信する。そして、測位装置100は、所定の条件に基づいて受信した複数の補強信号のいずれかを用いて、衛星信号(例えば、GPS信号など)に基づいて測位した測位結果を補正する。
ここで、準天頂衛星を準天頂軌道に配置し、所定の地域付近(例えば日本付近)で常に天頂方向に見えるようにした衛星システムである準天頂衛星システムにおいて、当該所定の地域で受信可能な特定地域上に留まる3機の衛星200からの補強信号を用いて、例えばGPSを補完及び補強することが可能である。準天頂衛星システムでは、準天頂衛星を3機以上用意して準天頂軌道から衛星信号や補強信号を送信し、地上から高仰角で観測できる準天頂衛星を常に1機は見通せることができるようにする。このようにすることで、例えば山間地やビル陰等に影響されず、所定の地域(例えば日本全国)をほぼ100%カバーする高精度の測位サービスの提供を実現可能である。なお、所定の地域は、日本に限られず、どのような単位であってもよく、例えば東南アジアや南米、その他の地域の国などであってもよい。また、所定の地域は、複数の国を1つの地域とみなしてもよいし、1つの国の一部の地域であってもよい。
準天頂衛星システムは、例えばGPSを補完・補強するサービスを含む。準天頂衛星システムにおけるGPS補完サービスは、例えばGPSと組み合わせ、準天頂軌道を利用して衛星の幾何学的配置を改善することにより、都市部や山間部等における測位可能エリア・時間を増大させる。また、準天頂衛星から、例えばL6周波数帯の補強信号を送信して、測位精度を向上させる。なお、準天頂システムが補完・補強可能な衛星信号は、GPSに限られず、どのようなシステムであってもよい。準天頂システムは、例えば、GPS以外にも、GLONASS、Galileo、QZSSなどのシステムを、補完・補強可能である。
準天頂衛星システムにおける補完・補強サービスは、準天頂衛星から、例えばL1−SAIF信号やLEX信号などの補強信号を送信することで、当該補強信号による高精度化を図るものである。準天頂衛星システムは、天頂に存在する衛星が1機(準天頂衛星)あるので、当該衛星を捕捉する。そして、補足した衛星を利用して他のGPS衛星を捕捉することにより、合計4機の衛星200を捕捉し、測位を開始する。
GPSなどによる衛星測位の誤差を生じさせる要因には、例えば、測位衛星システムの誤差要因として、衛星クロック誤差や信号間バイアス誤差、衛星軌道誤差がある。また、電波伝搬による誤差要因として、電離層伝搬遅延誤差や対流圏伝搬遅延誤差がある。本発明の一実施形態において、測位装置100は、L6周波数帯を用いて送信される補強信号を用いて、これらの誤差を補正し、より正確な測位結果を算出する。
測位装置100は、L6周波数帯(例えば、1278.75MHz)を用いて受信可能な“センチメータ級測位補強サービス(CLAS:Centimeter Level Augmentation Service)における補強信号”と、“複数GNSS高精度軌道時刻推定ツール(Multi―GNSS Advanced Demonstration tool for Orbit and Clock Analysis)における補強信号”とのいずれかを用いて、測位結果を補正する。
“CLAS”は、測位補強サービスのことを意味する場合もあれば、ベンダーID(Identifier)を意味する場合もある。CLASにおいて、補強信号に含まれる補正情報は、例えば、衛星クロック誤差や信号間バイアス誤差、衛星軌道誤差、電離層伝搬遅延誤差および対流圏伝搬遅延誤差を補正するための情報である。なお、CLASにおいて、補正情報は、これらの例に限られず、これらの一部であっても、さらの多くの補正情報を含んでいても良いことは言うまでもない。
また、“MADOCA”は、測位補強システムのことを意味する場合もあれば、補強信号そのものを意味する場合もある。MADOCAにおいて、補強信号に含まれる補正情報は、例えば、衛星クロック誤差と衛星軌道誤差を補正するための情報である。なお、MADOCAにおいて、補正情報は、これらの例に限られず、これらの一部であっても、さらに多くの補正情報(例えば、信号間バイアス誤差や電離層伝搬遅延誤差、対流圏伝搬遅延誤差を補正するための情報や、衛星コードバイアス情報、URA情報、高速時刻補正情報、搬送波位相バイアス情報など)を含んでいても良いことは言うまでもない。
なお、測位装置100は、複数の衛星200の各々から発信した衛星信号を受信し、災害/危機管理通報サービスや衛星航法補強(SBAS)システム等を提供する機能を備えていてもよい。
以下では、まず、CLASの補強信号における測位結果の補正について説明する。その後、MADOCAの補強信号における測位結果の補正について、説明する。そして、その後、本発明の一実施形態における測位装置100について、説明する。
<構成>
図2は、CLASの補強信号を用いて、衛星信号を補正するための測位システムの構成例を示す図である。図2に示すように、当該測位システムは、複数の衛星200と、測位装置100を含む。なお、CLASにおいて、測位装置100が、補強信号を送受信可能な衛星200の数は、所定数に限られる場合もある。その場合において、測位装置100は、所定数以上の衛星200とは、補強信号の送受信を実行しない。なお、所定数は、例えば「11」であるが、あくまでも例示であって、この数は増減してもよい。
図2に示すように、測位装置100は、アンテナ110と、受信部120と、データ変換部130と、測位部140と、を含んで構成される。なお、測位装置100は、従来の測位システムが有する機能については、必要な範囲で搭載されていてもよい。。
アンテナ110は、例えば、各種の衛星から発信された衛星信号を受信し、受信部120に伝達する。アンテナ110は、複数含まれていてもよい。アンテナ110は、例えば、L1周波数(例えば、1575.42MHz)、L2周波数(例えば、1227.60MHz)、L5周波数(例えば、1176.45MHz)、L6周波数(例えば、1278.75MHz)の衛星信号や補強信号を受信可能である。なお、アンテナ110が受信可能な周波数は、これらの例に限られず、どのような周波数であってもよい。
図2に示すように、測位装置100は、複数の衛星からの衛星信号や補強信号を同時に受信可能である。測位装置100は、例えば、一の衛星から送信されたL1周波数(例えば、1278.75MHz)の衛星信号や補強信号と、他の衛星から送信されたL6周波数(例えば、1278.75MHz)の衛星信号や補強信号とを、同時に受信可能である。また、測位装置100は、複数の衛星の各々から送信された複数のL6周波数の衛星信号や補強信号を受信可能である。
データ変換部130は、L6周波数の補強信号を用いて、GPSやGLONASS、Galileo、QZSSなどのシステムにおける測位を補完・補強するための補正値を計算する機能を含む。なお、補強信号は、衛星信号に含まれていてもよい。
補強信号は、例えば、中心周波数は1278.75MHz、補強信号の変調はKasami系列拡散符号を使用したBPSK(Binary Phase Shift Keying)で周期4msのショートコードと周期410msのロングコードを交互に切り替える仕様であってもよい。ショートコードには1フレーム2000ビットの航法メッセージ(例えば、LEXメッセージ)が重ね合わされていてもよい。メッセージは49ビットのヘッダ、1695ビットのデータ部と、誤り検出・訂正用256ビットのリードソロモン(Reed―Solomon)符号の計2000ビットで構成されていてもよい。
また、補強信号のヘッダは、メッセージ先頭を示す32ビットのプリアンブル、送信衛星識別用8ビットのPRN番号、GPS衛星の擬似ランダム雑音信号の番号を含むものであってもよい。測位装置は、当該番号を用いて、所定の擬似雑音符号を発生して受信波形と比較することにより、所望の衛星を捕捉・受信することができる。また、補強信号のヘッダは、メッセージ種別を表す8ビットのメッセージタイプID、および1ビットのアラートフラグを含んでいてもよい。1フレームのメッセージは、1秒間で送信されるため、高精度測位補強用の補正情報に利用可能であり、実効データ伝送レートは例えば1695bpsである。なお、補強信号のヘッダは、これらの例に限られず、どのような内容の情報が含まれていてもよい。
準天頂衛星から送信される補強信号は、例えば、、エフェメリスやSV(衛星ビークル)クロックパラメータQZSS、GPS衛星の高精度エフェメリス、SVクロックパラメータが含まれる。また、補正情報として、電離層遅延補正パラメータ(ノミナル放送周期12秒、更新周期30分)や、信号ヘルス(ノミナル放送周期1秒、更新周期1秒)が含まれる。
(データ変換部130の構成)
図3は、データ変換部130の構成例を示す図である。データ変換部130は、複数設けられていてもよい。データ変換部130は、補強信号を提供するサービス毎に設けられてもよい。例えば、測定装置100は、CLASサービスに対応したデータ変換部130と、MADOCAに対応したデータ変換部130とを含んでいてもよい。
図3に示すデータ変換部130は、補強信号を提供可能なサービスのうちの一のサービスに対応したデータ変換部130である。例えば、図3に示すデータ変換部130は、CLASサービスに対応したデータ変換部130である。なお、図3に示すデータ変換部は、CLASサービスに限られず、どのようなサービスに対応するものであってもよい。
図3に示すように、データ変換部130は、補強信号デコード部131と、衛星位置計算部132と、位置測位部133と、を含む。また、データ変換部130は、衛星時計誤差計算部134と、シグナルバイアス計算部135と、衛星軌道誤差計算部136と、対流圏誤差計算部137と、電離層誤差計算部138と、を含む。
補強信号デコード部131は、準天頂衛星からの補強信号をデコードする。なお、補強信号デコード部131は、複数の補強信号をデコード可能である。そして、補強信号デコード部131は、衛星信号に含まれる補強信号の各々を、衛星時計誤差計算部134と、シグナルバイアス計算部135と、衛星軌道誤差計算部136と、対流圏誤差計算部137と、電離層誤差計算部138とに、それぞれ出力する。
また、衛星位置計算部132は、衛星から受信した衛星信号から、当該衛星の軌道を計算可能である。衛星位置計算部132は、例えば、衛星軌道に基づいて、衛星軌道面内の衛星の位置を求める。また、位置測位部133は、例えば、単独測位により、測位装置100の位置を測位する。単独測位は、例えば、4個以上の衛星200から衛星信号を受信し、各衛星からの距離を算出して測位することにより、自装置の位置を測位する方法である。距離の算出には、例えばGPS衛星の場合には、送信される搬送波に含まれるC/AコードやPコードを利用する。
衛星時計誤差計算部134は、衛星時計誤差を計算するための機能を備える。衛星時計誤差は、複数の衛星200の各々に搭載されているクロック(時計)や、測位装置100に含まれる時計などの誤差である。衛星時計誤差計算部134は、補強信号に含まれる高速な情報(すなわち、周期が短い情報)を用いて、短い周期で衛星時計誤差を計算する。具体的には、衛星時計誤差計算部134は、高速な情報である高速補正情報に含まれる情報を用いて、衛星時計誤差を求める。
シグナルバイアス計算部135は、信号バイアスを出力する機能を備える。なお、信号バイアスは、各衛星信号のコード信号及び搬送波位相信号に含まれる距離バイアス情報である。信号バイアスは、補強信号に含まれる値(信号バイアス)を直接使用してもよい。
衛星軌道誤差計算部136は、衛星軌道誤差を計算するための機能を備える。衛星軌道誤差は、衛星200の軌道が不正確であることによって生じる。衛星軌道誤差計算部136は、補強信号に含まれる軌道誤差ベクトルと、衛星位置計算部132から入力される衛星の位置ベクトルと、位置計算部から入力される測位装置100のベクトルと、に基づいて、衛星軌道の誤差ベクトルを計算する。
対流圏誤差計算部137は、補正情報である対流圏遅延補正情報と、衛星位置計算部132から入力される衛星200の位置ベクトルと、位置計算部から入力される測位装置100のベクトルと、に基づいて、対流圏誤差を計算する。対流圏誤差は、衛星信号が対流圏(大気中)を通過する場合、真空中を通過する場合に比べて減速する効果と、伝播経路がわずかな曲率を持つため直線から延びる効果とによって生じる誤差である。対流圏誤差は、例えば、気象条件や測位装置100の位置、衛星200の位置などにより変化する。そこで、対流圏誤差計算部137は、衛星200や測位装置100の位置ベクトルに基づいて、対流圏誤差を計算する。
電離層誤差計算部138は、補正情報である電離層遅延補正情報と、位置計算部から入力される測位装置100のベクトルと、に基づいて、電離層誤差を計算する。電離層誤差は、衛星信号が電離層を通過する際に生じる誤差である。電離層は、地球大気上層の分子、原子が太陽光線を受けイオンと電子に電離したもので高度約50〜100Kmに分布している。そして、衛星信号が当該電離層を通過すると誤差が生じるが、当該誤差は測位装置100の位置と衛星200の位置とに影響を受ける。そこで、電離層誤差計算部は、測位装置100のベクトル等に基づいて、電離層誤差を計算する。
図2に示すように、測位装置100の測位部140は、補正値計算部150を含む。補正値計算部150は、衛星時計誤差計算部134と、シグナルバイアス計算部135と、衛星軌道誤差計算部136と、対流圏誤差計算部137と、電離層誤差計算部138から入力した補正値に基づいて、搬送波位相補正値および擬似距離補正値を計算する。搬送波位相補正値は、衛星時計誤差や、シグナルバイアス、衛星軌道誤差などから生じる衛星信号の位相の誤差を補正するための補正値である。疑似距離補正値は、電離層や対流圏による伝送遅延誤差などを補正するための補正値である。測定装置100は、搬送波位相補正値および擬似距離補正値を用いて、測位結果を補正することにより、より正確な測位結果を得ることが可能となる。
測位部140は、例えばGPS衛星などから受信した衛星信号から、当該衛星200の軌道を計算する。測位部140は、その後、計算した衛星軌道に基づいて、衛星軌道面内の衛星の位置を求める。そして、測位部140は、衛星軌道面内のXY座標を地球の重心を基準にした地心赤道座標(3次元のXYZ座標)に変換することにより、観測地点から衛星200方向の方位角、仰角及び距離を計算する。そして、測位部140は、計算した方位角、仰角及び距離を、補正値計算部150によって計算された搬送波位相補正値および擬似距離補正値に基づいて補正する。その後、測位部140は、補正した観測地点から衛星200方向の方位角、仰角及び距離を、測位結果として出力する。
(他のデータ変換部130の構成)
図4は、測位装置100に含まれる他のデータ変換部130の構成例を示す図である。図4に示すデータ変換部130は、例えば、MADOCAに対応したデータ変換部130である。なお、図4に示すデータ変換部は、MADOCAに限られず、どのようなシステム・サービスに対応するものであってもよい。
図4に示すように、データ変換部130は、補強信号デコード部131と、衛星時計誤差計算部134と、衛星軌道誤差計算部136と、を含む。図4のデータ変換部130は、例えば、MADOCAの衛星信号が、高速な補正情報と、長期補正情報である軌道誤差ベクトルとを含む場合におけるデータ変換部130の構成例である。なお、図4に示すMADOCAの構成例は、あくまでも例示であって、他の構成が含まれていてもよい。例えば、MADOCAの補強信号に、衛星時計誤差に関する情報と、衛星軌道誤差に関する情報以外の他の情報が含まれる場合には、データ変換部130は、当該他の情報に対応して、補正情報を計算するための構成が含まれていてもよい。
補強信号デコード部131は、準天頂衛星(衛星200)からの補強信号をデコードする。補強信号デコード部131は、衛星信号に含まれる補強信号の各々を、衛星時計誤差計算部134と、衛星軌道誤差計算部136とに、それぞれ出力する。
衛星時計誤差計算部134は、図3に示す衛星時計誤差計算部134と同様の構成である。すなわち、衛星時計誤差計算部134は、衛星時計誤差を計算するための機能を備える。衛星時計誤差は、複数の衛星200の各々に搭載されているクロック(時計)や、測位装置100に含まれる時計などの誤差である。衛星時計誤差計算部134は、補強信号に含まれる高速な情報(すなわち、周期が短い情報)を用いて、短い周期で衛星時計誤差を計算する。具体的には、衛星時計誤差計算部134は、高速な情報である高速補正情報に含まれる情報を用いて、衛星時計誤差を求める。
衛星軌道誤差計算部136は、図3に示す衛星軌道誤差計算部136と同様の構成である。すなわち、衛星軌道誤差計算部136は、補強信号に含まれる軌道誤差ベクトルと、衛星位置計算部132から入力される衛星の位置ベクトルと、位置計算部から入力される測位装置100のベクトルと、に基づいて、衛星軌道の誤差ベクトルを計算する。
補正値計算部150は、衛星時計誤差計算部134が計算した衛星時計誤差と、衛星軌道誤差計算部136が計算した衛星軌道の誤差ベクトルとを、測位部140に出力する。
補正値計算部150は、GPS衛星などから受信した衛星信号から、信号バイアス、対流圏誤差および電離層誤差の各々を補正するための補正情報を計算する。なお、衛星信号から信号バイアス、対流圏誤差および電離層誤差の各々を補正するための補正情報を計算する方法は、種々の方法やアルゴリズムを利用することが可能である。補正値計算部150が衛星信号から信号バイアスや対流圏誤差、電離層誤差の各々を補正するための補正情報を計算するためには、所定の時間を要する。所定の時間は、例えば、約30分であるが、この時間はあくまでも例示であって、より長い時間または短い時間であってもよい。
また、補正値計算部150は、計算した信号バイアス、対流圏誤差および電離層誤差と、データ変換部130から入力した衛星時計誤差および衛星軌道の誤差ベクトルと、を用いて、搬送波位相補正値および擬似距離補正値を計算する。
測位部140は、例えばGPS衛星などから受信した衛星信号から、当該衛星200の軌道を計算する。測位部140は、その後、計算した衛星軌道に基づいて、衛星軌道面内の衛星の位置を求める。そして、測位部140は、衛星軌道面内のXY座標を地球の重心を基準にした地心赤道座標(3次元のXYZ座標)に変換することにより、観測地点から衛星200方向の方位角、仰角及び距離を計算する。そして、測位部140は、計算した方位角、仰角及び距離を、補正値計算部150が計算した搬送波位相補正値および擬似距離補正値に基づいて補正する。その後、測位部140は、補正した観測地点から衛星200方向の方位角、仰角及び距離を、測位結果として出力する。
ここで、上述したように、本発明の一実施形態の測位装置100は、選択部160を含む。選択部160は、複数の測位システムの各々から送信される複数の補強信号から、所定の条件に基づいて、測位結果の補正に用いる補強信号を選択する機能を含む。
例えば、選択部160は、CLASの補強信号と、MADOCAの補強信号とのいずれを用いるかを選択可能である。また、選択部160は、CLASの補強信号を用いて計算した補正情報と、MADOCAの補強信号を用いて計算した補正情報とのいずれを用いて、測位結果を補正するかを、選択する機能を備えていてもよい。さらに、選択部160は、CLASの補強信号を用いて計算した補正情報により補正された測位結果と、MADOCAの補強信号を用いて計算した補正情報により補正された測位結果とのうち、測位結果として出力する測位結果を選択してもよい。
ここで、例えばMADOCAの補強信号を用いて測位結果を補正する場合、MADOCAの補強信号には衛星クロック誤差と衛星軌道誤差を補正するための情報しか含まれていない場合もあり、そのような場合には、信号バイアス、対流圏誤差および電離層誤差の各々を補正するための補正情報は、衛星信号から計算する必要がある。そのため、精度の高い補正情報を計算するには、所定の時間を要する。その結果、MADOCAの補強信号により誤差を補正し、cm級の測位結果を出力するまでには、所定の時間を要する場合がある。例えば、MADOCAにおいては、衛星軌道と衛星時計に関する補強信号を受信するだけであり、電離層遅延と対流圏遅延を衛星から実際に連続的に受信した観測値を元に数学的に確率論的に推定する必要があり、当該位置推定値がcm級測位に収束するまでには、30分程度要する場合がある。言い換えると、MADOCAにおいて、測位部150は、衛星から連続的に信号を受信し、受信した観測値を元に計算した測位装置100の位置と、測位部140で推定した測位装置100の位置の誤差を、カルマンフィルタを用いて小さくしていく処理を行うが、当該処理に例えば30分程度要するのである。この点、CLASの補強信号を用いて測位結果を補正する場合には、衛星軌道補正値や衛星時刻、電離層誤差値などを受信可能であるため、cm級測位は1分程度の数学的処理により位置推定が収束する。
一方、例えばCLASの補強信号を用いて測位結果を補正する場合、CLASのシステムにおいて送受信可能な衛星200の数が所定数に限られる場合があり、当該所定数の衛星200の位置が偏っていると、当該偏った衛星200からの補強信号を用いて補正情報を計算せざるを得ず、正確な補正情報が得られない恐れもある。また、CLASのシステムでは、測定装置100が高速移動している場合には、正しい補正情報を計算することができない恐れもある。
そこで、本発明の一実施形態における測位装置100は、異なる複数のシステムの各々に対応する複数の補強信号のうち、所定の条件に基づいて、測位結果を補正する補強信号を選択する選択部160を備える。当該選択部160を備える測位装置100は、所定の条件に基づいて、例えば適切な補強信号を選択することにより、より正確な測位結果を算出することが可能となる。
図1は、本発明の一実施形態における測位装置100の構成例を示す図である。図1に示すように、測位装置100は、受信部120とデータ変換部130との間に、選択部160を備える。図1に例示する測位装置100は、受信部120が受信した補強信号のうち、所定の条件を用いて選択した補強信号を用いて、補正情報を計算する。
また、図1に例示する測位装置100は、CLASからの補強信号と、MADOCAからの補強信号とを受信し、それぞれの補強信号から補正信号を算出することが可能である。そこで、測位装置100は、測位開始から所定の時間までは、CLASの補強信号を用いて補正情報を計算し、所定の時間以降はMADOCAの補強信号を用いて補正情報を計算してもよい。なお、所定の時間は、例えば、MADOCAの補強信号を用いて例えばcm級の測位結果を出力可能になるまでに要する時間であり、例えば、約30分である。なお、所定の時間は、約30分に限定されず、どのような時間であってもよい。
この場合において、測位部140は、CLASからMADOCAに切り替える際に、それまでCLASの補強信号を用いて計算していた補正情報の少なくとも一部を、MADOCAの補強信号を用いて計算した測位結果を収束させる処理の初期値として利用してもよい。例えば、CLASの補強信号は、cm級の測位結果が1分ほどで判明するため、当該測位結果をMADOCAにおける測位結果の収束処理の初期値として利用することにより、当該MADOCAにおける測位結果の収束時間を短縮させることが可能となる。
選択部160が、測位結果の補強に用いる補強信号を決定するための所定の条件は、例えば、“補強信号を受信していること”である。この場合、測位装置100は、受信している補強信号を用いて、測位結果の補正を行うと決定する。例えば、選択部160は、L6周波数(例えば、1278.75MHz)の補強信号のうち、受信している補強信号を用いて測位結果を補正すると決定する。具体的には、測位装置100は、CLASの補強信号と、MADOCAの補強信号とのうち、実際に受信している補強信号を用いて、データ変換部130により補正情報を計算する。
所定の条件は、例えば、“測位結果の補正の精度が高いこと”であってもよい。この場合、測位装置100は、受信する複数の補強信号のうち、測位結果の補正の精度が高い衛星信号を用いて、補正情報を計算すると決定する。例えば、選択部160は、同時に受信しているL6周波数の補強信号のうち、補正の精度が高い補強信号を用いて、測位結果の補正を行うと決定する。
上述したように、CLASでは、測位装置100が送受信可能な衛星200の数は、所定数に制限される場合がある。そのような場合において、所定数の衛星200の位置が偏っている場合には、補正の精度が低くなる恐れがある。そのような場合には、所定数を超えて衛星200と送受信可能なMADOCAの補強信号を用いた方が、測位結果の補正の精度が高まる。そこで、選択部160は、“測位結果の補正の精度が高いこと”という所定の条件に基づいて、例えば、MADOCAの補強信号を選択する。
また、所定の条件は、“補強信号を送受信可能な衛星200の数がより多いこと”であってもよい。この場合、測位装置100は、受信する複数の補強信号のうち、補強信号を送受信可能な衛星200の数がより多いシステムの補強信号を用いて、衛星信号の補正を行うと決定する。
CLASでは、測位装置100が送受信可能な衛星200の数は、所定数に制限される場合がある。一方、MADOCAでは、測位装置100は、所定数以上の衛星200と送受信可能である。そこで、選択部160は、測定装置100が所定数より多くの衛星200と接続可能な場合、“補強信号を送受信可能な衛星200の数がより多いこと”という所定の条件に基づいて、例えば、MADOCAの補強信号を選択する。なお、測位装置100の選択部160は、所定数以下の衛星200と接続可能な場合には、CLASまたはMADOCAのうち、補強信号を送受信可能な衛星200の数がより多い方の補強信号を選択する。また、MADOCAとCLASとにおいて、送受信可能な衛星200の数が同数の場合には、例えば他の所定の条件に基づいて、いずれかのシステムからの補強信号を選択する。
また、所定の条件は、例えば、“測位結果の収束に要する時間が短いこと”であってもよい。この場合、測位装置100は、受信する複数の補強信号のうち、cm級の測位結果の収束に要する時間が短い補強信号を用いて、衛星信号の補正を行うと決定する。例えば、選択部160は、同時に受信しているCLASの補強信号と、MADOCAの補強信号のうち、cm級の測位結果の収束に要する時間が短いCLAS(又はMADOCA)の補強信号を用い補正情報を計算すると決定する。
上述したように、MADOCAでは、補強信号に衛星クロック誤差と衛星軌道誤差を補正するための情報しか含まれていない場合もあり、そのような場合には、信号バイアス、対流圏誤差および電離層誤差の各々を補正するための補正情報は、衛星信号から計算する必要がある。そして、衛星信号から信号バイアスや対流圏誤差、電離層誤差の各々を補正するための補正情報を計算し、当該補正情報に基づいてcm級の測位結果に収束させるためには、所定の時間を要する。一方、CLASの補強信号には、衛星クロック誤差と衛星軌道誤差の他、信号バイアス、対流圏誤差および電離層誤差の補正に関する情報も含まれている。そのため、MADOCAに比べて、CLASの方が、cm級の測位結果の収束に要する時間が短い場合がある。そこで、選択部160は、“測位結果の収束に要する時間が短いこと”という所定の条件に基づいて、例えば、CLASの補強信号を選択する。
また、所定の条件は、動的に変更可能であってもよい。例えば、所定の条件は、一の時間帯(例えば、測位開始から30分未満)には“cm級の測位結果の収束に要する時間が短いこと”と設定し、他の時間帯(例えば、測位開始から30分以上)であれば“測位結果の補正の精度が高いこと”と設定してもよい。このような所定の条件により補強信号を選択することにより、測位装置100は、例えば、同時に受信しているCLASの補強信号と、MADOCAの補強信号のうち、測位開始から30分未満はCLASの補強信号を用いて、30分後からはMADOCAの補強信号を用いて、補正情報を計算すると決定する。
また、所定の条件は、例えば、“優先度が高いこと”であってもよい。例えば、複数の補強信号の各々に予め優先度を設定し、測位装置100は、受信する複数の補強信号のうち、優先度の高い補強信号を用いて、補正情報を計算すると決定する。
優先度の高い補正情報は、例えば、ユーザ等が任意に設定可能であり、MADOCA(又はCLAS)の補強信号の優先度を、CLAS(又はMADOCA)の補強信号の優先度よりも高く設定可能である。
補強信号の優先度は、測位装置100が起動した時間からの経過時間に応じて、変更可能であってもよい。例えば、測位装置100が起動してから経過時間が30分以内であれば、CLASの補強信号の優先度を高くし、30分経過後にはMADOCAの衛星信号の優先度を高く設定してもよい。
なお、補強信号の優先度の例は、これらに限られず、どのように設定してもよく、例えば、当該補強信号を発信する衛星の種類に基づいて、決定してもよい。例えば、ユーザが利用したいと考える衛星からの補強信号の優先度が、高く設定されてもよい。
また、測位装置100の選択部160は、複数の所定の条件を組み合わせて、複数の補強信号のうち、測位結果の補正に用いる補強信号を選択してもよい。例えば、選択部160は、“補強信号を送受信可能な衛星200の数がより多いこと”という第1の所定の条件と、“測位結果の収束に要する時間が短いこと”という第2の所定の条件を設定し、第1の所定の条件において補強信号を選択できない場合に、第2の所定の条件を用いて補強信号を選択してもよい。
上記の通り、選択部160は、同時に受信可能な複数の補強信号があった場合に、所定の条件に基づいて、いずれの補強信号を用いて、補正情報を計算するかを決定する。そのため、測位装置100は、同時に受信する複数の補強信号がある場合に、最適な衛星信号を用いて、補正情報を計算することが可能となる。
図5は、本発明の一実施形態における測位装置100の他の構成例を示す図である。図5に示すように、測位装置100は、データ変換部130の後に、選択部160を備える。図5に例示する測位装置100は、データ変換部130が計算した補正情報のうち、所定の条件を用いて選択した補正情報に基づいて、測位結果を補正する。
図5に示す測位装置100の選択部160は、所定の条件に基づいて、データ変換部130が計算した補正情報のうち、所定の条件に基づいて選択した補正情報を、測位部140に出力する。
なお、測位部140は、CLASからMADOCAに切り替える際に、それまでCLASの補強信号を用いて計算していた補正情報の少なくとも一部を、MADOCAの補強信号を用いて測位結果を収束させる場合の初期値として利用してもよい。例えば、CLASの補強信号を用いて計算した則結果を、MADOCAの補強信号から測位結果を収束させる場合の初期値として利用することにより、MADOCAの補強信号から測位結果を収束させる場合に要する時間を短縮することができる。
選択部160が、測位結果の補強に用いる補正情報を決定するための所定の条件は、例えば、“補正情報の入力があること”である。この場合、測位装置100は、入力している補正情報を用いて、測位結果の補正を行うと決定する。例えば、選択部160は、CLASの補強信号から計算された補正情報と、MADOCAの補強信号から計算された補正情報のうち、実際に入力のある補正情報を、測位部140に出力する。
所定の条件は、例えば、“測位結果の補正の精度が高いこと”であってもよい。この場合、測位装置100の選択部160は、複数の補正情報のうち、測位結果の補正の精度が高い補正情報を、測位部140に出力する。例えば、選択部160は、同時に入力のある補正情報のうち、補正の精度が高い補正情報を用いて、測位結果の補正を行うと決定する。
上述したように、CLASでは、測位装置100が送受信可能な衛星200の数は、所定数に制限される場合がある。そのような場合において、所定数の衛星200の位置が偏っている場合には、補正の精度が低くなる恐れがある。そのような場合には、所定数を超えて衛星200と送受信可能なMADOCAの補強信号を用いた方が、測位結果の補正の精度が高まる。そこで、選択部160は、複数の補正情報のうち、“測位結果の補正の精度が高いこと”という所定の条件に基づいて、例えば、MADOCAの補強信号から算出した補正情報を選択する。
また、所定の条件は、“補強信号を送受信可能な衛星200の数がより多いこと”であってもよい。この場合、測位装置100は、複数の補正情報のうち、補強信号を送受信可能な衛星200の数がより多いシステムの補強信号から算出された補正情報を用いて、衛星信号の補正を行うと決定する。
CLASでは、測位装置100が送受信可能な衛星200の数は、所定数に制限される場合がある。一方、MADOCAでは、測位装置100は、所定数以上の衛星200と送受信可能である。そこで、選択部160は、測定装置100が所定数より多くの衛星200と接続可能な場合、“補強信号を送受信可能な衛星200の数がより多いこと”という所定の条件に基づいて、例えば、MADOCAの補強信号から算出された補正情報を選択する。
また、所定の条件は、例えば、“測位結果の収束に要する時間が短いこと”であってもよい。この場合、測位装置100は、受信する複数の補強信号のうち、cm級の測位結果の収束に要する時間が短い補強信号から算出された補正信号を用いて、衛星信号の補正を行うと決定する。例えば、選択部160は、同時に受信しているCLASの補強信号と、MADOCAの補強信号のうち、cm級の測位結果の収束に要する時間が短いCLAS(又はMADOCA)の補強信号から算出された補正情報を選択する。
また、所定の条件は、例えば、“優先度が高いこと”であってもよい。例えば、複数の補正情報の各々に予め優先度を設定し、測位装置100は、受信する複数の補正情報のうち、優先度の高い補正情報を用いて、測位結果の補正を行うと決定する。
優先度の高い補正情報は、例えば、ユーザ等が任意に設定可能であり、MADOCA(又はCLAS)の補強信号から計算された補正情報の優先度を、CLAS(又はMADOCA)の補強信号から計算された補正情報の優先度よりも高く設定可能である。
なお、補正情報の優先度の例は、これらに限られず、どのように設定してもよく、例えば、ユーザが利用したいと考える衛星からの補強信号に基づいて計算された補正情報の優先度が、高く設定されてもよい。
上記の通り、選択部160は、同時に入力可能な複数の補正情報があった場合に、所定の条件に基づいて、いずれの補正情報を用いて、測位結果の補正を行うかを決定する。そのため、測位装置100は、同時に入力された複数の補正情報がある場合に、最適な補正情報を用いて、測位結果の補正を行うことが可能となる。
図6は、本発明の一実施形態における測位装置100の他の構成例を示す図である。図6に示すように、測位装置100は、測位部140の後に、選択部160を備える。図6に例示する測位装置100の選択部160は、複数の補正情報に基づいて算出した複数の測位結果のうち、所定の条件を用いて選択した測位結果を出力する。
なお、測位部140は、CLASからMADOCAに切り替える際に、それまでCLASの補強信号を用いて計算していた補正情報の少なくとも一部を、MADOCAの補強信号を用いて補正情報を算出する場合の初期値として利用してもよい。例えば、CLASの補強信号を用いて計算していた衛星軌道誤差に関する補正情報を、MADOCAの補強信号から補正情報を算出する場合の初期値として利用することにより、MADOCAの補強信号から補正情報を算出する場合の要する時間を短縮することができる。
選択部160が、複数の補正情報に基づいて算出した複数の測位結果のうち、出力する測位結果を決定するための所定の条件は、例えば、“補正情報の入力があること”である。この場合、測位装置100の測位部140は、入力している補正情報を用いて、測位結果の補正を行うと決定する。例えば、測位部140は、CLASの補正情報とMADOCAの補正情報とのうち、入力のある補正情報に基づいて補正された測位結果を出力すると決定する。
所定の条件は、例えば、“測位結果の補正の精度が高いこと”であってもよい。この場合、測位装置100の測位部140は、測位結果の補正の精度が高い補正情報を用いて算出された測位結果を出力する。例えば、測位部140は、複数の補正情報の各々を用いて補正された測位結果のうち、補正の精度が高い補正情報を用いて補正された測位結果を出力する。
また、所定の条件は、“補強信号を送受信可能な衛星200の数がより多いこと”であってもよい。この場合、測位装置100は、複数の測位結果のうち、補強信号を送受信可能な衛星200の数がより多いシステムの補強信号から算出された補正情報を用いて補正された測位結果を、出力する。
CLASでは、測位装置100が送受信可能な衛星200の数は、所定数に制限される場合がある。一方、MADOCAでは、測位装置100は、所定数以上の衛星200と送受信可能である。そこで、選択部160は、測定装置100が所定数より多くの衛星200と接続可能な場合、“補強信号を送受信可能な衛星200の数がより多いこと”という所定の条件に基づいて、例えば、MADOCAの補強信号から算出された補正情報を用いて補正された測位結果を出力する。
また、所定の条件は、例えば、“測位結果の収束に要する時間が短いこと”であってもよい。この場合、測位装置100は、受信する複数の補強信号のうち、cm級の測位結果の収束に要する時間が短い補強信号から算出された補正信号を用いて補正された測位結果を、出力する。例えば、選択部160は、同時に受信しているCLASの補強信号と、MADOCAの補強信号のうち、cm級の測位結果の収束に要する時間が短いCLAS(又はMADOCA)の補強信号から算出された補正情報を用いて補正された測位結果を、出力する。
また、所定の条件は、例えば、“優先度が高いこと”であってもよい。例えば、複数の補正情報の各々に予め優先度を設定し、測位部140は、優先度の高い補正情報を用いて補正された測位結果を出力する。
優先度の高い補正情報は、例えば、ユーザ等が任意に設定可能であり、MADOCA(又はCLAS)の補強信号から計算された補正情報の優先度を、CLAS(又はMADOCA)の補強信号から計算された補正情報の優先度よりも高く設定可能である。
なお、補正情報の優先度の例は、これらに限られず、どのように設定してもよく、例えば、ユーザが利用したいと考える衛星からの補強信号に基づいて計算された補正情報の優先度が、高く設定されてもよい。
上記の通り、測位部140は、複数の補正情報に基づいて算出した複数の測位結果のうち、所定の条件を用いて選択した測位結果を出力する。そのため、測位装置100は、複数の補正情報の各々に基づいて、複数の測位結果が算出された場合に、最適な測位結果を出力することが可能となる。
(動作例)
図7は、本発明の一実施形態における測位装置100の動作例を示すフローチャートである。なお、図7は、図1に示す測位装置100の動作例を示すフローチャートである。
図7に示すように、測位装置100の受信部120は、複数の衛星の少なくとも一部から、衛星信号および複数の補強信号を受信可能である(S101)。受信部120は、例えば、CLASの補強信号と、MADOCAの補強信号とを受信可能である。
選択部160は、受信部120が受信した複数の補強信号のうち、所定の条件に基づいて、測位結果を補正するために用いる補強信号を選択する(S102)。選択部160は、例えば、補強信号を受信していることという所定の条件に基づいて、MADOCAの補強信号を選択する。
データ変換部130は、選択部160が選択した補強信号に基づいて、測位結果を補正するための補正情報を計算する(S103)。データ変換部130は、例えば、選択部160が選択したMADOCAの補強信号を用いて、補正情報を計算する。
測位部は、受信部120が受信した衛星信号を用いて、自装置の位置を測位する(S104)。また、測位部は、測位した測位結果(すなわち、自装置の位置)を、データ変換部130が計算した補正情報に基づいて、補正する(S105)。
測位部は、補正情報に基づいて補正した測位結果を、出力する(S106)。
上記の通り、本発明の一実施形態における測位装置100は、同時に受信可能な複数の補強信号があった場合に、所定の条件に基づいて、いずれの補強信号を用いて、補正情報を計算するかを決定する。そのため、測位装置100は、同時に受信する複数の補強信号がある場合に、最適な衛星信号を用いて、補正情報を計算することが可能となる。
図8は、本発明の一実施形態における測位装置100の動作例を示すフローチャートである。なお、図8は、図5に示す測位装置100の動作例を示すフローチャートである。
図8に示すように、測位装置100の受信部120は、複数の衛星の少なくとも一部から、衛星信号および複数の補強信号を受信可能である(S201)。受信部120は、例えば、CLASの補強信号と、MADOCAの補強信号とを受信可能である。
データ変換部130は、複数の補強信号の各々に基づいて、測位結果を補正するための補正情報を計算する(S202)。例えば、データ変換部130は、CLASの補強信号とMADOCAの補強信号の各々について、補正情報を計算する。
選択部160は、データ変換部130が計算した複数の補正情報のうち、所定の条件に基づいて、測位結果を補正するために用いる補正情報を選択する(S203)。例えば、選択部160は、CLASの補強信号から計算した補正情報と、MADOCAの補強信号から計算した補正情報とうち、予め定められた優先度が高いことという所定の条件に基づいて、MADOCAの補強信号から計算した補正情報を選択する。
測位部は、受信部120が受信した衛星信号を用いて、自装置の位置を測位する(S204)。また、測位部は、測位した測位結果(すなわち、自装置の位置)を、選択部160が選択した補正情報に基づいて、補正する(S205)。
測位部は、補正情報に基づいて補正した測位結果を、出力する(S206)。
上記の通り、選択部160は、同時に入力可能な複数の補正情報があった場合に、所定の条件に基づいて、いずれの補正情報を用いて、測位結果の補正を行うかを決定する。そのため、測位装置100は、同時に入力された複数の補正情報がある場合に、最適な補正情報を用いて、測位結果の補正を行うことが可能となる。
図9は、本発明の一実施形態における測位装置100の動作例を示すフローチャートである。なお、図9は、図6に示す測位装置100の動作例を示すフローチャートである。
図9に示すように、測位装置100の受信部120は、複数の衛星の少なくとも一部から、衛星信号および複数の補強信号を受信可能である(S301)。受信部120は、例えば、CLASの補強信号と、MADOCAの補強信号とを受信可能である。
データ変換部130は、複数の補強信号の各々に基づいて、測位結果を補正するための補正情報を計算する(S302)。例えば、データ変換部130は、CLASの補強信号とMADOCAの補強信号の各々について、補正情報を計算する。
測位部150は、受信部120が受信した衛星信号を用いて、自装置の位置を測位する(S303)。また、測位部は、測位した測位結果(すなわち、自装置の位置)を、データ変換部130が算出した補正信号の各々を用いて補正する(S304)。例えば、測位部150は、CLASの補強信号から算出された補正情報と、MADOCAの補強信号から算出された補正情報の各々を用いて、測位結果を補正する。
選択部160は、測位部150が算出した複数の測位結果のうち、所定の条件に基づいて、出力する測位結果を選択し、選択した測位結果を出力する(S305)。選択部160は、例えば、cm級の測位結果の収束に要する時間が短いことという所定の条件に基づいて、CLASの補強信号から算出された補正情報を用いて補正した測位結果を、出力する。
上記の通り、測位部140は、複数の補正情報に基づいて算出した複数の測位結果のうち、所定の条件を用いて選択した測位結果を出力する。そのため、測位装置100は、複数の補正情報の各々に基づいて、複数の測位結果が算出された場合に、最適な測位結果を出力することが可能となる。
(変形例)
図10は、本発明の第1の実施形態における測位システムの他の構成例を示す図である。図10に示すように、測位システムは、複数の衛星と、測位装置100と、ネットワークとを含む。
図10に示す測位システムにおいて、測位装置100は、ネットワークから補強信号を受信してもよい。図10に示すように、測位装置100は、第2受信部180を用いて、例えば、MADOCA(及び/又はCLAS)の補強信号を、ネットワークから受信可能である。測位装置100のデータ変換部130は、ネットワークから受信した補強信号を用いて補正情報を算出可能である。なお、測位装置100は、衛星からの衛星信号や補強信号を、第1受信部170を用いて受信可能である。
ここで、ネットワークは、有線ネットワークや無線ネットワークであり、イントラネット、エクストラネット、仮想プライベート・ネットワーク(virtual private network:VPN)、ローカル・エリア・ネットワーク(local area network:LAN)、広域ネットワーク(wide area network:WAN)、インターネット、公衆交換電話網(Public Switched Telephone Network:PSTN)、ISDNs(integrated service digital networks)、無線LANs、LTE(long term evolution)CDMA(code division multiple access)、ブルートゥース(Bluetooth(登録商標))、衛星通信などである。なお、本発明の一実施形態において、ネットワークは、これらに限定されない。
図10に例示するように、測位装置100の選択部160は、アンテナ110を介して衛星200から受信した補強信号と、ネットワークから受信した補強信号とについて、所定の条件に基づいて、いずれかの補強信号を選択する。
なお、図10に例示する測位装置100の構成例は、あくまでも例示であって、選択部160は、図5のようにデータ変換部130の後に設けられていても、図6のように測位部140の後に設けられていてもよい。
なお、測位装置100は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、CPU(Central Processing Unit)を用いてソフトウェアによって実現してもよい。後者の場合、測位装置100は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するCPU、上記プログラムおよび各種データが情報処理装置(またはCPU)で読み取り可能に記録されたROM(Read Only Memory)または記憶装置(これらを「記録媒体」と称する)、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)等を備えている。そして、情報処理装置(またはCPU)が上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。また、上記プログラムは、当該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記情報処理装置に供給されてもよい。本発明は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
なお、上記プログラムは、例えば、ActionScript、JavaScript(登録商標)等のスクリプト言語、Objective-C、Java(登録商標)等のオブジェクト指向プログラミング言語、HTML5等のマークアップ言語等を用いて実装できる。また、上記プログラムによって実現される各機能を実現する各構成部を備えた携帯端末(例えば、測位装置100)と、上記各機能とは異なる残りの機能を実現する各構成部を備えたサーバとを含むゲームシステムも、本発明の範疇に入る。
本発明を諸図面や実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形や修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形や修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各手段、各ステップ等に含まれる機能等は論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の手段やステップ等を1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。また、上記実施の形態に示す構成を適宜組み合わせることとしてもよい。