JP6307210B2 - 病態解析装置とそれを用いたリハビリテーション技術教育装置 - Google Patents
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Description
この装置は、図9に示すように、訓練者が人体モデル7を使ってリハビリテーションの訓練を行うとき、人体モデル7の可動関節部6に対して種々の制御を行う処理制御部2を備えている。
この処理制御部2は、人体の関節に発症する動的拘縮、静的拘縮、硬直、及び関節変形などの病態の症状を数値化した病態情報DI等を記憶する記憶部9と、記憶部9に記憶された病態情報DIに基づいて可動関節部6に病態を再現させる病態再現部10と、病態再現部10の指示等に基づいて人体モデル7の可動関節部6の動きを制御する可動制御部8と、訓練者が人体モデル7に治療手技を施したとき、その治療手技に基づく可動関節部6の擬似的病態の変化(関節角度、関節位置及び関節可動時の速さ等の変化率)を計測し、治療手技情報RIとして記憶部9に格納する治療手技情報取得部11と、その治療手技情報RIに応じて、可動関節部6が提示する擬似的病態を、徐々に症状が緩和しているように変化させる緩和制御部12とを備えている。
訓練者は、この装置の人体モデルに治療手技を施すことで、病態に係る症状を把握することができ、治療手技による症状の回復を体験することができる。また、訓練者は、自身が行った治療手技に対する客観的な評価を知ることができる。
リハビリテーション技術教育装置において、患者の関節の病態を正しくデータ化できなければ、人体モデルを通じて患者の症状を精確に把握することができず、また、訓練者が行った治療手技に対して適切な評価を下すことができない。
患者の前腕に固定されて前腕の運動に追随する前腕固定部と、前腕固定部の前腕への追随を可能にする前腕駆動機構とを有し、前腕の運動を表す前腕時系列データを順次出力する前腕駆動アームと、
上腕時系列データと前腕時系列データとを解析して上肢の病態を表す病態データを生成する上肢制御部と、
を備え、上腕駆動機構及び前腕駆動機構は、複数の回転型アクチュエータと、回転型アクチュエータの間を繋ぐリンク部とを有し、複数の回転型アクチュエータの回転角度を含む情報が上腕時系列データ及び前腕時系列データとして上肢制御部に順次出力されることを特徴とする。
この病態解析装置は、上肢用の装置であり、患者の上腕に固定された上腕固定部と前腕に固定された前腕固定部とが患者の上肢の運動に追随し、この運動が上腕駆動アーム及び前腕駆動アームを構成する回転型アクチュエータの位置や回転角度等の情報から解析される。
患者が自力で上肢を動かせないときは、施術者が患者の上肢を持って動かして上肢の病態データを取得する。
そのため、この病態解析装置は、患者に片麻痺回復のための運動療法を施す装置としても利用できる。
例えば、腕を曲げる動作は、上腕二頭筋が収縮し、上腕三頭筋が弛緩することによって生じる。こうした複雑な筋肉の動きを伴う上肢の動作は、順方向回転アクチュエータと逆方向回転アクチュエータとを用いることで解析が容易になる。
そのため、患者は、上腕固定部や前腕固定部に固定された腕などを動かす時に大きな抵抗を感じない。
このリハビリテーション技術教育装置では、病態解析装置により患者の精確な病態データが得られるため、その患者に適した治療手技をリハビリテーション技術教育装置を通じて学習することができる。
そのため、病態解析装置は、患者に対して適切な治療を施す上肢運動療法装置として動作することができる。
この装置は、患者の上肢の病態をデータ化する病態解析装置40と、データ化された病態をヒトの上肢を模した人体モデルロボット60に再現させるロボット制御部50とを備えている。
上腕駆動アーム21及び前腕駆動アーム22の詳細は後述するが、これらのアームは、複数の回転型アクチュエータと、回転型アクチュエータの間を繋ぐリンクとを有しており、例えば施術者が患者の症状を確認するために患者の上肢を持って動かしたとき、複数の回転型アクチュエータの回転角度を示すデータがロギングデータとして上肢制御部30に出力される。
なお、上肢制御部30はコンピュータで構成され、病態データ解析部32及び駆動アーム可動制御部33は、コンピュータがプログラムに基づく処理を実行することにより実現される。
なお、ロボット制御部50はコンピュータで構成され、病態再現動作解析部52、人体モデルロボット可動制御部53、治療手技情報取得部54及び治療手技情報解析部55は、コンピュータがプログラムに基づく処理を実行することにより実現される。
これらのアームは、図4に示すように、固定位置に設置される基台23と、軸25を回転駆動する第1回転アクチュエータ24と、軸25に固定された第1支軸271を中心に回動自在である第1リンク部材261と、第1リンク部材261の一端に固定されたカウンターウエイト281と、第2支軸272が固定され、この第2支軸272を中心に第1リンク部材261に対して回動自在である第2リンク部材262と、第2リンク部材262の一端に固定されたカウンターウエイト282と、第2リンク部材262の他端に回転自在に接続された固定部29と、回転軸が第1支軸271と係合するように第1リンク部材261に固定される第2回転アクチュエータ71と、回転軸が第2支軸272と係合するように第1リンク部材261に固定される第3回転アクチュエータ72とを備えている。
順方向モータ701及び逆方向モータ702には、DCモータやステッピングモータ等、各種のモータが使用できる。
なお、第2回転アクチュエータ71及び第3回転アクチュエータ72の順方向モータ701を図6に示す位置に取付け、逆方向モータ702を第1リンク部材261の反対側の面に順方向モータ701と対向するように取付けても良い。
腕挿通部291の内側には、スポンジ等の弾性部材が配置され、腕挿通部291の円の径は調整ピン292により調整される。
図6では、第2リンク部材262に対する支軸294の回転方向をDで示し、保持部293に対する腕挿通部291の回転方法をEで示している。
また、第1リンク部材261及び第2リンク部材262には、カウンターバランスを取るためのカウンターウエイト281、282が固定されているため、患者は、腕挿通部291に装着された腕を動かす時に大きな抵抗を感じない。
第1回転アクチュエータ24、第2回転アクチュエータ71及び第3回転アクチュエータ72の順方向モータ701及び逆方向モータ702の回転角度やトルクの情報は上肢制御部30に送られる。
この人体モデルロボット60は、3Dプリンタで作成された上肢の骨格モデル61と、ヒトの関節の動きを再現するために骨格モデル61の各関節部分に一端が係止された複数のワイヤ62と、ワイヤ62の他端を引っ張り/緩める複数の回転型アクチュエータ63とを備えている。
ワイヤ62は、ヒトの筋に相当する。この人体モデルロボット60は、さらに、柔軟性のある表皮で覆われる。
図6では、回転型アクチュエータ63として、3個の回転型アクチュエータを連接したものを示している。各回転型アクチュエータは、それぞれ、図5と同様に、回転角度検出手段やトルクセンサを備えた順方向モータ701及び逆方向モータ702から成る。
人体モデルロボット60の各回転型アクチュエータの情報は、ロボット制御部50に送られる。また、ロボット制御部50は、各回転型アクチュエータの回転速度や回転角度を制御し、それにより、人体モデルロボット60が患者の上肢の動きを再現する。
まず、病態解析装置40の上腕駆動アーム21の上腕固定部を患者の上腕に取付け、前腕駆動アーム22の前腕固定部を患者の前腕に取付ける(ステップ1)。
次いで、上腕固定部及び前腕固定部を取付けた患者の上肢を運動させる。患者自身が上肢を動かせる場合は、患者の意思で上肢を動かしてもらい、それができない場合は、施術者が患者の上肢を持って動かす。そして、この運動時に上腕駆動アーム21及び前腕駆動アーム22から得られる検出データ(第1回転アクチュエータ24、第2回転アクチュエータ71及び第3回転アクチュエータ72の順方向モータ701及び逆方向モータ702における回転角度やトルクの時系列データ)に基づいて、上腕や前腕を曲げることができる角度、曲げる動作の速度、曲げるための付加力等のデータ(病態データ)を算出する(ステップ2)。
このとき、患者の3次元座標上での上腕や前腕の位置及び角度、並びに、上腕と前腕との相対角度は、上腕駆動アーム21や前腕駆動アーム22を構成する各回転型アクチュエータの回転角度(検出値)と各リンクの既知の長さとから求めることができる。また、その角度の時間変化率から動作速度を求めることができる。また、各回転型アクチュエータのトルクから上腕や前腕を曲げるための力を求めることができる。
ロボット制御部50は、この病態データで表される症状を人体モデルロボット60で再現するための人体モデルロボット60の制御データを作成し、患者の上肢と同じ症状を人体モデルロボット60に再現する(ステップ4)。
学生は、この人体モデルロボット60に対して治療手技を実習する(ステップ5)。
ロボット制御部50は、患者の症状を再現する人体モデルロボット60の関節に対して学生の治療手技が与えた影響を表す治療手技情報、即ち、関節角度の変化、関節の動作速度の変化、及び、関節に作用した力を表す情報を人体モデルロボット60から取得し、記録部51に格納する(ステップ6)。
学生が実習を終了する場合(ステップ7でYes)、ロボット制御部50は、ステップ6で得た治療手技情報に基づいて学生の治療手技レベルを評価する(ステップ9)。
このとき、特許文献1と同様に、複数の治療手技レベルにある理学療法士等が治療手技を行ったときの治療手技情報を予め記録部51に記録し、その治療手技情報とステップ6で得た治療手技情報とを比較して学生の治療手技レベルを評価するようにしても良い。
また、ここでは、第1回転アクチュエータ24、第2回転アクチュエータ71及び第3回転アクチュエータ72を順方向モータ701及び逆方向モータ702で構成する場合について説明した。そうすることで、収縮する筋肉と弛緩する筋肉との作用で生じる腕の曲げ伸ばしの動きを容易に解析でき、また、複雑なギア切換機構を必要としない等の効果が得られる。しかし、各回転アクチュエータを1つのモータで構成し、その回転方向を順方向及び逆方向に切替えるようにしても良い。
また、ここでは、上腕駆動アーム21と前腕駆動アーム22とが同一形状の場合について説明したが、それらの形状は、上腕と前腕との形状や動き等の違いに応じて、変えても良い。
22 前腕駆動アーム
23 基台
24 第1回転アクチュエータ
25 軸
29 固定部
30 上肢制御部
31 記録部
32 病態データ解析部
33 駆動アーム可動制御部
40 病態解析装置
50 ロボット制御部
51 記録部
52 病態再現動作解析部
53 人体モデルロボット可動制御部
54 治療手技情報取得部
55 治療手技情報解析部
60 人体モデルロボット
61 骨格モデル
62 ワイヤ
63 複数の回転型アクチュエータ
70 ケース
71 第2回転アクチュエータ
72 第3回転アクチュエータ7
261 第1リンク部材
262 第2リンク部材
271 第1支軸
272 第2支軸
281 カウンターウエイト
282 カウンターウエイト
291 腕挿通部
292 調整ピン
293 保持部
294 支軸
701 順方向モータ
702 逆方向モータ
711 回転軸
722 回転軸
Claims (8)
- 片麻痺患者の上肢の病態をデータ化する病態解析装置であって、
患者の上腕に固定されて前記上腕の運動に追随する上腕固定部と、該上腕固定部の前記上腕への追随を可能にする上腕駆動機構とを有し、前記上腕の運動を表す上腕時系列データを順次出力する上腕駆動アームと、
患者の前腕に固定されて前記前腕の運動に追随する前腕固定部と、該前腕固定部の前記前腕への追随を可能にする前腕駆動機構とを有し、前記前腕の運動を表す前腕時系列データを順次出力する前腕駆動アームと、
前記上腕時系列データと前記前腕時系列データとを解析して前記上肢の病態を表す病態データを生成する上肢制御部と、
を備え、
前記上腕駆動機構及び前腕駆動機構は、複数の回転型アクチュエータと、該回転型アクチュエータの間を繋ぐリンク部とを有し、前記複数の回転型アクチュエータの回転角度を含む情報が前記上腕時系列データ及び前腕時系列データとして前記上肢制御部に順次出力される、
ことを特徴とする病態解析装置。 - 請求項1に記載の病態解析装置であって、前記上腕駆動アーム及び前腕駆動アームは、前記患者以外のヒトが前記患者の上肢を持って前記運動を行わせたときの前記上腕時系列データ及び前腕時系列データを前記上肢制御部に出力することを特徴とする病態解析装置。
- 請求項1に記載の病態解析装置であって、前記上肢制御部は、さらに、前記患者の上肢に運動を行わせるための指示を前記上腕駆動アーム及び前腕駆動アームに出力し、前記上腕駆動アーム及び前腕駆動アームが前記指示にしたがって前記患者の上腕及び前腕を動かし、上肢運動療法装置として動作することを特徴とする病態解析装置。
- 片麻痺患者の下肢の病態をデータ化する病態解析装置であって、
患者の大腿に固定されて前記大腿の運動に追随する大腿固定部と、該大腿固定部の前記大腿への追随を可能にする大腿駆動機構とを有し、前記大腿の運動を表す大腿時系列データを順次出力する大腿駆動レッグと、
患者の下腿に固定されて前記下腿の運動に追随する下腿固定部と、該下腿固定部の前記下腿への追随を可能にする下腿駆動機構とを有し、前記下腿の運動を表す下腿時系列データを順次出力する下腿駆動レッグと、
前記大腿時系列データと前記下腿時系列データとを解析して前記下肢の病態を表す病態データを生成する下肢制御部と、
を備え、
前記大腿駆動機構及び下腿駆動機構は、複数の回転型アクチュエータと、該回転型アクチュエータの間を繋ぐリンク部とを有し、前記複数の回転型アクチュエータの回転角度を含む情報が前記大腿時系列データ及び下腿時系列データとして前記下肢制御部に順次出力される、
ことを特徴とする病態解析装置。 - 請求項1又は4に記載の病態解析装置であって、前記回転型アクチュエータの少なくとも一つは、順方向に回転する順方向回転アクチュエータと、逆方向に回転する逆方向回転アクチュエータとの対から成ることを特徴とする病態解析装置。
- 請求項1又は4に記載の病態解析装置であって、患者の前記運動時の負荷を軽減するため、前記リンク部の少なくとも一つには、カウンターウエイトが設けられていることを特徴とする病態解析装置。
- 請求項1又は4に記載の病態解析装置を備えるリハビリテーション技術教育装置であって、
ヒトの上肢又は下肢を模した人体モデルロボットと、
前記人体モデルロボットの動作を制御するロボット制御部と
をさらに備え、
前記ロボット制御部は、
前記病態解析装置から出力された前記病態データを記憶する記憶部と、
前記病態データに基づいて前記人体モデルロボットの上肢又は下肢の動きを制御する可動制御部と、
前記人体モデルロボットに対してヒトによる治療手技が行われたとき、前記治療手技による前記上肢又は下肢の関節の角度の変化、前記関節の運動速度の変化、及び、前記関節に加わる力の変化の少なくとも一つを表す情報を治療手技情報として取得する治療手技情報取得部と、
前記治療手技情報取得部が取得した前記治療手技情報に基づいて前記人体モデルロボットに対して行われた前記治療手技を評価する治療手技情報解析部と、
を備えることを特徴とするリハビリテーション技術教育装置。 - 請求項7に記載のリハビリテーション技術教育装置であって、前記記憶部には、前記治療手技情報解析部が前記治療手技を評価するときに参照する複数の治療手技レベルの治療手技情報が格納され、最も治療手技レベルが高い治療手技の治療手技情報が、上肢運動療法装置として動作する前記病態解析装置の上肢制御部に送られることを特徴とするリハビリテーション技術教育装置。
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