実施形態について、図面を参照して説明する。
<第1実施形態>
[A]太陽熱集熱装置の全体構成
図1,図2は、第1実施形態に係る太陽熱集熱装置を示す側面図である。
図1,図2は、第1の水平方向H1(例えば、南北方向)(図14参照)を視線としたときの側面であって、反射鏡11を太陽に追尾させるときの様子を模式的に示している。各図において、図1は、図19と同様に、追尾範囲のうち、太陽熱を集熱して利用できる条件が実現できる太陽の高度が最も高い場合、即ち真上である場合を示している。図2は、図17と同様に、追尾範囲のうち、太陽熱を集熱して利用できる条件が実現できる、太陽の高度が最も低い場合を示している。図2では、図17と同様に、太陽光線Lが東側から照射される場合を示している。
本実施形態は、図1,図2に示すように、集熱器1の配列が従来技術(図17から図20を参照)の場合と異なる。この点、および、これに関連する点を除き、上記の従来技術の場合と同様である。このため、本実施形態において、上記の従来技術と重複する個所については、適宜、説明を省略する。
太陽熱集熱装置は、図1,図2に示すように、反射鏡11と集熱管12とを有する集熱器1を備えている。
集熱器1を構成する各部について、順次説明する。
[A−1]反射鏡11
反射鏡11は、図1,図2に示すように、従来技術と同様に、トラフ型の曲面鏡であって、入射した太陽光線Lを反射面で反射して焦点FPに集光させることによって、太陽熱を集熱する(図14参照)。具体的には、反射鏡11は、長手方向に垂直な断面が、放物線形状である。反射鏡11は、長手方向に垂直な断面が線対称であり、反射面の焦点FPと放物線の頂点PPとを結んだ放物線軸PXが対称軸である。
反射鏡11は、長手方向が第1の水平方向(例えば、南北方向)に沿うように設置されている(図14参照)。これと共に、反射鏡11は、その第1の水平方向H1に対して直交する第2の水平方向H2(例えば、東西方向)において、複数が、間を隔てて配置されている。図1,図2においては、第2の水平方向H2に並ぶ複数の列のうち、第1列H21と、その第1列H21の隣に位置する第2列H22とを示しているが、他の列(図示省略)においても、これと同様に、反射鏡11が配列されている。反射鏡11の配列の詳細については、後述する。
また、図示を省略しているが、反射鏡11は、焦点FPを結んだ水平軸を回転中心軸として回転移動するように支持されており、太陽追尾機構(図示省略)によって、太陽の高度に合わせて反射鏡11が太陽を追尾して回転移動するように構成されている。ここでは、太陽の高度が高くなるに伴って、水平方向に対する放物線軸PXの角度が大きくなるように反射鏡11が回転移動する。これにより、太陽光線Lは、放物線軸PXに対して、第1の水平方向H1から見た時に平行に進行して反射鏡11の反射面に入射し、反射面において反射して焦点FPに集光される。
[A−2]集熱管12
集熱管12は、図1,図2に示すように、従来技術の場合と同様に、反射鏡11の焦点FPにおいて、反射鏡11の長手方向(第1の水平方向H1)に沿うように設置されている(図14参照)。集熱管12は、第2の水平方向H2に配置された複数の反射鏡11に対応して、複数が、間を隔てて配置されている。集熱管12は、大地GRに設置された支柱20に支持されている。
集熱管12は、熱媒体M(図14参照)が外部から内部に流入する。集熱管12においては、反射鏡11が集熱した太陽熱によって、その流入した熱媒体Mが加熱される。
[B]集熱器の配列と、太陽を追尾するときの様子とについて
第2の水平方向H2に並ぶ複数の集熱器1の配列と、太陽を追尾するときの様子とについて、図1,図2を参照して、更に詳細に説明する。
本実施形態では、図1に示すように、集熱器1は、追尾範囲にて高度が最も高い太陽に複数の反射鏡11を追尾させたとき、即ち真上のときに、前方(図1では、第1列H21)の反射鏡11の影が、その後方(第2列H22)に位置する反射鏡11の反射面にかからないように、第2の水平方向H2に、複数列が設置されている。
また、複数列の集熱器1は、図1に示すように、追尾範囲のうち最も高い太陽高度に太陽が移動した時に、即ち真上のときに、隣の列の影がかからないような距離まで隣の列との間隔が狭められて配列されている。つまり、追尾範囲にて太陽が真上のときには、前方(第1列H21)の反射鏡11と、その後方(第2列H22)の反射鏡11とが、隙間なく並ぶように、複数の反射鏡11が配置されている。
このため、本実施形態では、追尾範囲において太陽が最も高い太陽高度に位置したとき、即ち真上のときには、図1に示すように、第2の水平方向H2に並ぶ複数の反射鏡11の間を太陽光線Lが通過せずに、その太陽光線Lの全てが、直接、その複数の反射鏡11の反射面に入射して集光される。換言すると、大地GRの水平面において、太陽光線Lで第1列H21の反射鏡11を投影させた領域A1と、太陽光線Lで第2列H22の反射鏡11を投影させた領域A2とは、互いが隣接しており、両者の領域A1,A2の間においては、従来技術の場合のように、太陽光線Lが反射鏡11で集光されずに照射される領域A12(図19参照)が介在していない。
その結果、本実施形態では、追尾範囲のうち高度が最も高いときに、図1に示すように、最大の集光量を実現することができる。
上記のように複数の集熱器1が配列されているため、図2に示すように、追尾範囲において、太陽熱を集熱して利用できる条件が実現できる、最も低い太陽高度に太陽が移動した場合には、前方(第1列H21)の反射鏡11の影が、その後方(第2列H22)の反射鏡11にかかる。つまり、追尾範囲にて太陽の高度が最も低い場合に、前列(第1列H21)の反射鏡11と、その隣に位置する後列(第2列H22)の反射鏡11とが、太陽光線Lの進行方向において、重複する部分を含むように、第2の水平方向H2に配列されている。
後列の反射鏡11(第2列H22)の反射面のうち、前列の反射鏡11(第1列H21)の影がかかる部分11Sは、太陽光線Lが入射しない領域であって、集熱に利用されない。
しかし、本実施形態では、図2に示すように、追尾範囲にて太陽の高度が最も低い場合であっても、第2の水平方向H2に並ぶ複数の反射鏡11の間を太陽光線Lが通過しない。換言すると、図2に示すように、大地GRの水平面において、第1列H21の反射鏡11が太陽光線Lで投影される領域A1と、第1列H21がない場合に第2列H22の反射鏡11が太陽光線Lで投影される領域A2とは、一部が重複している。このため、大地GRの水平面において、両者の領域A1,A2の間には、従来技術の場合のように、太陽光線Lが反射鏡11で集光されずに照射される領域A12(図19参照)が介在していない。
このように、本実施形態では、図2に示すように、第2の水平方向H2においては、第1列H21の反射鏡11と第2列H22の反射鏡11との間を太陽光線Lが通過しないので、入射する太陽光線Lの全てが複数の反射鏡11によって集光される。
したがって、本実施形態では、追尾範囲にて太陽の高度が最も低い場合においても、図2に示すように、太陽の高度が最も高い場合、即ち真上の場合と同様に、最大の集光量を実現することができる。
なお、図1、図2から判るように、当然ながら、追尾範囲のうち、最も太陽高度が高いときと最も低いときとの間においても、本実施形態では、反射鏡11の反射面に入射せずに複数の反射鏡11の間を通過する太陽光線Lがない。このため、本実施形態では、追尾範囲の全般にわたって、最大の集光量を実現することができる。
[C]まとめ
以上のように、本実施形態の太陽熱集熱装置は、集熱器1を備えている。集熱器1は、トラフ型の反射鏡11を太陽高度に対して追尾させながら太陽光線Lを集光することで、太陽熱を集熱する。ここでは、反射鏡11の長手方向が第1の水平方向H1に沿って配置されており、その第1の水平方向H1に直交する第2の水平方向H2に、集熱器1が、複数列、並んで設置されている。そして、複数列の集熱器1は、追尾範囲のうち最も高い高度、即ち真上に移動した太陽を追尾したときに、第2の水平方向H2において、隙間なく並ぶように配列されている(図1参照)。
このため、本実施形態は、上述したように、追尾範囲の全てにおいて、第2の水平方向H2に並ぶ複数の反射鏡11の間を太陽光線Lが通過しない。その結果、追尾範囲の全てにおいて、第2の水平方向H2に並ぶ複数列の反射鏡11によって、入射する太陽光線Lの全てが集光されて集熱されるので、最大の集光量を実現することができる(図1,図2参照)。
本実施形態は、太陽高度が高いときから低いときの間、集光量が従来技術と同じである。しかし、本実施形態では、第2の水平方向H2に並ぶ複数列の集熱器1の間の距離が、従来技術(図17から図20参照)の場合よりも短いので、敷地面積を小さくすることができる。このため、集熱量当たりの敷地面積を小さくすることができる。また、敷地面積当たりの集熱量を大きくすることができる。
<第2実施形態>
本実施形態では、反射鏡の回転駆動角度に制約がある場合や、正午前後しか集熱しないプラントの場合において、反射鏡の長手方向を、例えば、東西方向に配置する場合について説明する。
[A]太陽熱集熱装置の全体構成
図3,図4,図5は、第2実施形態に係る太陽熱集熱装置を示す側面図である。
図3,図4,図5の各図は、第1の水平方向H1(図14参照)を視線としたときの側面であって、反射鏡11を太陽に追尾させるときの様子を模式的に示している。各図においては、図20と同様に、例えば、東西方向を視線としている。各図において、図3は、追尾範囲のうち、太陽の高度が最も高い場合を示している。図4および図5の両者は、追尾範囲のうち、太陽の高度が最も低い場合を示している。図4では、太陽光線Lが南側から照射される場合を示している。これに対して、図5では、太陽光線Lが北側から照射される場合を示している(図15に示すように、春分から夏至を経て秋分になる期間においては、太陽光線Lが北側から照射される時間帯があるため)。
本実施形態は、図3,図4,図5に示すように、第1実施形態の場合と異なり、反射鏡11の長手方向が、例えば、東西方向である場合を示しており、集熱器1の配列等が第1実施形態(図1,図2を参照)の場合と異なる。この点、および、これに関連する点を除き、上記の第1実施形態の場合と同様である。このため、本実施形態において、第1実施形態と重複する個所については、適宜、説明を省略する。
反射鏡11は、図3,図4,図5に示すように、長手方向が第1の水平方向に沿うように設置されている(図14参照)。これと共に、反射鏡11は、その第1の水平方向H1に対して直交する第2の水平方向H2において、複数が、間を隔てて配置されている。上述したように、本実施形態では、第1実施形態の場合と異なり、反射鏡11は、例えば、東西方向に、長手方向が沿うように設置されている。そして、反射鏡11は、例えば、南北方向に、複数が間を隔てて配置されている。
集熱管12は、図3,図4,図5に示すように、反射鏡11の焦点FPにおいて、反射鏡11の長手方向(第1の水平方向H1)に沿うように設置されている(図14参照)。集熱管12は、第2の水平方向H2に配置された複数の反射鏡11に対応して、複数が、間を隔てて配置されている。本実施形態では、第1実施形態の場合と異なり、集熱管12は、例えば、東西方向に長手方向が沿うように設置されている。そして、集熱管12は、例えば、南北方向に複数が間を隔てて配置されている。
[B]集熱器の配列と、太陽を追尾するときの様子とについて
第2の水平方向H2に並ぶ複数の集熱器1の配列と、太陽を追尾するときの様子とについて、図3から図5を参照して、更に詳細に説明する。
本実施形態では、図3に示すように、集熱器1は、追尾範囲にて高度が最も高い太陽に複数の反射鏡11を追尾させたときに、前方(図3では、第1列H21)の反射鏡11の影が、その後方(第2列H22)に位置する反射鏡11の反射面にかからないように、第2の水平方向H2に、複数列が設置されている。
また、複数列の集熱器1は、図3に示すように、追尾範囲のうち最も高い太陽高度に太陽が移動した時に、隣の列の影がかからないような距離まで隣の列との間隔が狭められて配列されている。つまり、追尾範囲にて太陽の高度が最も高いときには、前方(第1列H21)の反射鏡11の最上端と、その後方(第2列H22)の反射鏡11の最下端とが、太陽光線Lの進行方向に沿って並ぶように、複数の反射鏡11が配置されている。
このため、本実施形態では、追尾範囲において太陽が最も高い太陽高度に位置したときには、図3に示すように、第2の水平方向H2に並ぶ複数の反射鏡11の間を太陽光線Lが通過せずに、その太陽光線Lの全てが、直接、その複数の反射鏡11の反射面に入射して集光される。換言すると、大地GRの水平面において、太陽光線Lで第1列H21の反射鏡11を投影させた領域A1と、太陽光線Lで第2列H22の反射鏡11を投影させた領域A2とは、互いが隣接しており、両者の領域A1,A2の間においては、従来技術の場合のように、太陽光線Lが反射鏡11で集光されずに照射される領域A12(図20参照)が介在していない。
その結果、本実施形態では、追尾範囲のうち高度が最も高いときに、図3に示すように、最大の集光量を実現することができる。
上記のように複数の集熱器1が配列されているため、図4に示すように、追尾範囲において最も低い太陽高度に太陽が移動した場合であって南側から北側へ太陽光線Lが進行するときには、前方(第1列H21)の反射鏡11の影が、その後方(第2列H22)の反射鏡11にかかる。また、図5に示すように、追尾範囲において最も低い太陽高度に太陽が移動した場合であって北側から南側へ太陽光線Lが進行するときには、上記と同様に、前方(第2列H22)の反射鏡11の影が、その後方(第1列H21)の反射鏡11にかかる。つまり、追尾範囲にて太陽の高度が最も低い場合に、前列(図4では第1列H21、図5では第2列H22)の反射鏡11と、その隣りに位置する後列(図4では第2列H22、図5では第1列H21)の反射鏡11とが、太陽光線Lの進行方向において、重複する部分を含むように、第2の水平方向H2に配列されている。
後列の反射鏡11(図4では第2列H22、図5では第1列H21)の反射面のうち、前列の反射鏡11(図4では第1列H21、図5では第2列H22)の影がかかる部分11Sは、太陽光線Lが入射しない領域であって、集熱に利用されない。
しかし、本実施形態では、図4および図5に示すように、追尾範囲にて太陽の高度が最も低い場合であっても、第2の水平方向H2に並ぶ複数の反射鏡11の間を太陽光線Lが通過しない。換言すると、図4に示すように、大地GRの水平面において、第1列H21の反射鏡11が太陽光線Lで投影される領域A1と、第1列H21がない場合に第2列H22の反射鏡11が太陽光線Lで投影される領域A2とは、一部が重複している。同様に、図5に示すように、大地GRの水平面において、第2列H22の反射鏡11が太陽光線Lで投影される領域A2と、第2列H22がない場合に第1列H21の反射鏡11が太陽光線Lで投影される領域A1とは、一部が重複している。このため、大地GRの水平面において、両者の領域A1,A2の間には、従来技術の場合のように、太陽光線Lが反射鏡11で集光されずに照射される領域A12(図20参照)が介在していない。
このように、本実施形態では、図4および図5に示すように、第2の水平方向H2においては、第1列H21の反射鏡11と第2列H22の反射鏡11との間を太陽光線Lが通過しないので、入射する太陽光線Lの全てが複数の反射鏡11によって集光される。
したがって、本実施形態では、追尾範囲にて太陽の高度が最も低い場合においても、図4および図5に示すように、太陽の高度が最も高い場合と同様に、最大の集光量を実現することができる。
なお、図3、図4、および、図5から判るように、当然ながら、追尾範囲のうち、最も太陽高度が高いときと最も低いときとの間においても、本実施形態では、反射鏡11の反射面に入射せずに複数の反射鏡11の間を通過する太陽光線Lがない。このため、本実施形態では、追尾範囲の全般にわたって、最大の集光量を実現することができる。
[C]まとめ
以上のように、本実施形態の太陽熱集熱装置は、集熱器1を備えている。集熱器1は、トラフ型の反射鏡11を太陽高度に対して追尾させながら太陽光線Lを集光することで、太陽熱を集熱する。ここでは、反射鏡11の長手方向が第1の水平方向H1に沿って配置されており、その第1の水平方向H1に直交する第2の水平方向H2に、集熱器1が、複数列、並んで設置されている。そして、複数列の集熱器1は、追尾範囲のうち最も高い高度に移動した太陽を追尾したときに、第2の水平方向H2において、隣の列の影がかからないような距離まで隣の列との間隔が狭められて配列されている(図3参照)。
このため、本実施形態は、上述したように、追尾範囲の全てにおいて、第2の水平方向H2に並ぶ複数の反射鏡11の間を太陽光線Lが通過しない。その結果、追尾範囲の全てにおいて、第2の水平方向H2に並ぶ複数列の反射鏡11によって、入射する太陽光線Lの全てが集光されて集熱されるので、最大の集光量を実現することができる(図3から図5参照)。
本実施形態は、太陽高度が高いときから低いときの間、集光量が従来技術と同じである。しかし、本実施形態では、第2の水平方向H2に並ぶ複数列の集熱器1の間の距離が、従来技術の場合よりも短いので、敷地面積を小さくすることができる。このため、集熱量当たりの敷地面積を小さくすることができる。また、敷地面積当たりの集熱量を大きくすることができる。
<第3実施形態>
[A]太陽熱集熱装置の全体構成
図6,図7は、第3実施形態に係る太陽熱集熱装置を示す側面図である。
図6,図7は、第1の水平方向H1(例えば、南北方向)(図14参照)を視線としたときの側面であって、反射鏡を太陽に追尾させるときの様子を模式的に示している。これらの図において、図6は、図19と同様に、反射鏡11を太陽の高度に追尾させる追尾範囲のうち、太陽の高度が最も高い場合、すなわち真上の場合を示している。図7は、図17と同様に、その追尾範囲のうち、太陽の高度が最も低い場合を示している。図7では、図17と同様に、太陽光線Lが東側から照射される場合を示している。
本実施形態の太陽熱集熱装置は、図6,図7に示すように、集熱器1(第1集熱器)の他に、追設集熱器1b(第2集熱器)を有する。本実施形態は、この点、および、これに関連する点を除き、上記の従来技術の場合と同様である。このため、本実施形態において、上記の従来技術等と重複する個所については、適宜、説明を省略する。
追設集熱器1bは、図6,図7に示すように、第2の水平方向H2に配列された既設の集熱器1の間に、追加して設置される。例えば、1つの追設集熱器1bが、第1列H21の集熱器1と第2列H22の集熱器1との間に、設置されている。
追設集熱器1bは、既設の集熱器1と同様に、反射鏡11bと集熱管12bとを有する。
追設集熱器1bを構成する各部について、順次説明する。
[A−1]追設集熱器1bの反射鏡11b
追設集熱器1bにおいて、反射鏡11bは、既設の集熱器1の反射鏡11bと同様に、トラフ形状の曲面鏡である。反射鏡11bは、反射面に入射した太陽光線Lを反射して焦点FPbに集光させることによって、太陽熱を集熱する。反射鏡11bは、長手方向に垂直な断面が、放物線形状であり、放物線の焦点FPbと、放物線の頂点PPbとを結んだ放物線軸PXbを対称軸として対称になっている。
追設集熱器1bの反射鏡11bは、長手方向が第1の水平方向(例えば、南北方向)に沿うように設置されている。
また、図示を省略しているが、追設集熱器1bの反射鏡11bは、既設の集熱器1の反射鏡11と同様に、焦点FPbを回転中心軸として回転移動するように支持されており、太陽追尾機構(図示省略)によって、太陽の高度に合わせて反射鏡11bが太陽を追尾して回転移動するように構成されている。
[A−2]追設集熱器1bの集熱管12b
追設集熱器1bにおいて、集熱管12bは、既設の集熱器1(第1集熱器)の集熱管12と同様に、反射鏡11bの長手方向(第1の水平方向H1)に対して平行に延在している。集熱管12bは、反射鏡11bの焦点FPbに位置しており、大地GRに設置された支柱20bに支持されている。
追設集熱器1bの集熱管12bは、熱媒体M(図14参照)の流路において、既設の集熱器1の集熱管12に対して、例えば、直列に連結されている。追設集熱器1bの集熱管12bは、既設の集熱器1(第1集熱器)の集熱管12bと同様に、熱媒体M(図14参照)が外部から内部に流入し、反射鏡11が太陽光線Lを集光することによって集熱した太陽熱により、その熱媒体Mが加熱される。
なお、追設集熱器1bの集熱管12bは、熱媒体M(図14参照)の流路において、既設の集熱器1の集熱管12に対して、並列に連結されていてもよい。また、追設集熱器1bの反射鏡11bに照射される太陽光線Lがない、または、少ない場合には、追設集熱器1bによる加熱能力もない、または、少ないので、追設集熱器1bの集熱管12bに熱媒体Mを流通させずに、追設集熱器1bの集熱管12bに並列に設けられた流路に熱媒体Mを流通させてもよい。つまり、集熱管12bをバイパスさせてもよい。その他、追設集熱器1bの集熱管12bと、既設の集熱器1の集熱管12とを連結させずに、追設集熱器1bの集熱管12bで加熱された熱媒体によって、従来技術の被加熱流体とは異なる被加熱流体を加熱するように構成してもよい。
[B]集熱器1および追設集熱器1bの配列と、太陽を追尾するときの様子とについて
第2水平方向H2に並ぶ集熱器1および追設集熱器1bの配列と、太陽を追尾するときの様子とについて、図6,図7を参照して、更に詳細に説明する。
上述したように、既設の集熱器1は、第2の水平方向H1において、追尾範囲のうち最も低い高度に太陽が移動したときに隣の列の影がかからないような距離が確保されるような隣の列との間隔で複数が配列されている(図17,図18参照)。このため、追設集熱器1bが設置されていない従来技術では、追尾範囲のうち最も低い高度に太陽が移動したときには、既設の集熱器1の反射鏡11で集光されずに、その既設の集熱器1の反射鏡11の間を通過する太陽光線Lが存在する(図19参照)。
しかしながら、本実施形態では、従来技術において既設の集熱器1の反射鏡11の間を通過する太陽光線Lを追設集熱器1bが集光するように、追設集熱器1bが第2の水平方向H1において既設の集熱器1の間に配列されている。
具体的には、図6に示すように、集熱器1(第1集熱器)の反射鏡11と追設集熱器1bの反射鏡11bとの両者を追尾範囲にて高度が最も高い太陽に追尾させたとき、即ち真上に移動した太陽を追尾したときに、反射鏡11,11bの影が、その反射鏡11,11bに隣接して配置された他の反射鏡11,11bの反射面にかからないように、それぞれの反射鏡11,11bが設置されている。このため、本実施形態では、真上に移動した太陽を追尾したときに、第2の水平方向H2に並ぶ複数の反射鏡11,11bの間を太陽光線Lが通過せずに、その太陽光線Lの全てが、直接、その複数の反射鏡11,11bの反射面に入射して集光される。
換言すると、図6に示すように、大地GRの水平面において、第1列H21に設置された集熱器1の反射鏡11を太陽光線Lで投影した領域A1と、第2列H22に設置された集熱器1の反射鏡11を太陽光線Lで投影した領域A2とは、離間している。このため、上述したように、両者の領域A1,A2の間には、太陽光線Lが集熱器1の反射鏡11では集光されない領域A12が存在するが、この領域A12に進行する太陽光線Lを、追設集熱器1bの反射鏡11bが集光する。また、大地GRの水平面において、第1列H21と第2列H22との間の位置H211に設置された追設集熱器1bの反射鏡11bを太陽光線Lで投影した領域A121は、第1列H21の反射鏡11を太陽光線Lで投影した領域A1と、第2列H22の反射鏡11を太陽光線Lで投影した領域A2との両者に隣接している。このため、各領域A1,A121,A2の間においては、太陽光線Lが照射されない。
したがって、本実施形態では、追尾範囲にて最も高い高度に太陽が移動したとき、即ち太陽が真上のときに、最大の集光量を実現することができる。
上記のように複数の集熱器1と複数の追設集熱器1bとが配列されているため、図7に示すように、追尾範囲において高度が最も低い太陽に複数の反射鏡11を追尾させたときには、前方に位置する反射鏡11,11bの影が、その後方に位置する反射鏡11,11bにかかる。
具体的には、図7に示すように、追尾範囲にて太陽の高度が最も低い場合には、追設集熱器1bの反射鏡11bの反射面に、第1列H21に位置する集熱器1の反射鏡11の影がかかる。
図7に示すように、反射鏡11bの反射面のうち、前方に配置された他の反射鏡11の影がかかる部分11Sbは、太陽光線Lが入射しない領域であって、集熱に利用されない。
しかし、本実施形態では、図7に示すように、追尾範囲にて太陽の高度が最も低い場合には、第2の水平方向H2に並ぶ複数の反射鏡11,11bの間を太陽光線Lが通過しない。本実施形態では、追尾範囲にて太陽の高度が最も低い場合に、前方の反射鏡11,11bと、その隣に位置する後方の反射鏡11,11bとが、太陽光線Lの進行方向において、重複する部分を含むように、第2の水平方向H2に配列されている。このため、隣り合って並ぶ反射鏡11,11bの間を太陽光線Lが通過せずに、入射する太陽光線Lの全てが、第2の水平方向H2に並ぶ複数の反射鏡11,11bによって集光される。
したがって、本実施形態では、追尾範囲にて太陽の高度が最も低い場合においても、太陽の高度が最も高い場合と同様に、最大の集光量を実現することができる。
なお、太陽光線Lの進行方向が水平方向に対して傾斜する角度は、太陽の高度が高くなるに伴って大きくなるので、図7から判るように、太陽の高度が高くなるに伴って、追設集熱器1bの反射鏡11bに入射する太陽光線Lの量が増加する。そして、追尾範囲において太陽の高度が最も高くなったとき、即ち太陽が真上のときには、図6に示した状態になる。このように、本実施形態では、追尾範囲のうち、最も太陽高度が高いときと最も低いときとの間の場合においても、第2の水平方向H2に並ぶ反射鏡11,11bのいずれかに太陽光線Lが入射し、それぞれの反射鏡11,11bの間を太陽光線Lが通過しない。したがって、最も太陽高度が高いときと最も低いときとの間の場合においても、当然に、最大の集光量を実現することができる。
[C]まとめ
以上のように、本実施形態の太陽熱集熱装置は、既設の集熱器1(第1集熱器)の他に、追設集熱器1b(第2集熱器)を有する。集熱器1(第1集熱器)は、従来技術と同様に、複数が第2の水平方向H2に配列されており、その複数の集熱器1(第1集熱器)は、反射鏡11を追尾させる太陽高度の範囲のうち最も低い高度に太陽が移動したときに隣の列の影がかからないような距離まで隣の列との間隔が狭められている。これに対して、追設集熱器1b(第2集熱器)は、第2の水平方向H2において複数の集熱器1(第1集熱器)の間に配列されている。
また、本実施形態では、追尾範囲のうち最も高い高度に太陽が移動したとき、即ち真上に太陽が移動したときに、仮に、追設集熱器1b(第2集熱器)がなければ集熱器1(第1集熱器)の列間にて集光できない太陽光線Lの全てを、追設集熱器1b(第2集熱器)の反射鏡11bが集光する。その結果、本実施形態では、太陽光線Lを効率的に利用して、集熱を行うことができる。
具体的には、本実施形態は、従来技術と比較して、追尾範囲のうち太陽が最も低い高度のときは、集光量が同じであるが、この場合以外の高度のときには、集光量が増えるため、集熱量が増加する。このため、従来技術と比較して、敷地面積当たりの集熱量が大きくなり、集熱量当たりの敷地面積を小さくすることができる。
[D]変形例
本実施形態では、1つの追設集熱器1bを既設の集熱器1の間に設置する場合について示したが、これに限らない。集熱器1の間に、追設集熱器1bを複数設置してもよい。
本実施形態では、追設集熱器1b(第2集熱器)の反射鏡11bが、既設の集熱器1(第1集熱器)の反射鏡11よりも小さい場合について示したが、これに限らない。追設集熱器1b(第2集熱器)の反射鏡11bは、どのような大きさであってもよい。
<第4実施形態>
本実施形態では、第2実施形態の場合と同様に、反射鏡の回転駆動角度に制約がある場合や、正午前後しか集熱しないプラントにおいて、反射鏡の長手方向を、例えば、東西方向に配置する場合について説明する。
[A]太陽熱集熱装置の全体構成
図8,図9,は、第4実施形態に係る太陽熱集熱装置を示す側面図である。
図8,図9は、第1の水平方向H1(図14参照)を視線としたときの側面であって、反射鏡を太陽に追尾させるときの様子を模式的に示している。各図においては、図20と同様に、例えば、東西方向を視線としている。これらの図において、図8は、反射鏡11を太陽の高度に追尾させる追尾範囲のうち、太陽の高度が最も高い場合を示している。図9は、その追尾範囲のうち、太陽の高度が最も低い場合を示している。図9では、太陽光線Lが南側から照射される場合を示している。
本実施形態の太陽熱集熱装置は、図8,図9に示すように、第3実施形態の場合と同様に、集熱器1(第1集熱器)の他に、追設集熱器1b(第2集熱器)を有する。しかし、本実施形態では、第3実施形態の場合と異なり、反射鏡11の長手方向が、例えば、東西方向である場合を示しており、集熱器1の配列等が第3実施形態(図6,図7を参照)の場合と異なる。本実施形態は、この点、および、これに関連する点を除き、第3実施形態の場合と同様である。このため、本実施形態において、第3実施形態と重複する個所については、適宜、説明を省略する。
追設集熱器1bは、図8,図9に示すように、第2の水平方向H2(例えば、南北方向)に配列された既設の集熱器1の間に、追加して設置される。本実施形態では、第3実施形態の場合と異なり、例えば、2つの追設集熱器1bが、第1列H21の集熱器1と第2列H22の集熱器1との間に、設置されている。
追設集熱器1bにおいて、反射鏡11bは、既設の集熱器1の反射鏡11と同様に、長手方向が第1の水平方向H1に沿うように設置されている。本実施形態では、第3実施形態の場合と異なり、既設の集熱器1の反射鏡11、および、追設集熱器1bの反射鏡11bは、例えば、東西方向に長手方向が沿うように設置されている。
また、追設集熱器1bにおいて、集熱管12bは、既設の集熱器1(第1集熱器)の集熱管12と同様に、反射鏡11bの長手方向(第1の水平方向H1)に対して平行に延在している。本実施形態では、第3実施形態の場合と異なり、既設の集熱器1の集熱管12、および、追設集熱器1bの集熱管12bは、例えば、東西方向に長手方向が沿うように設置されている。
[B]集熱器1および追設集熱器1bの配列と、太陽を追尾するときの様子とについて
第2水平方向H2に並ぶ集熱器1および追設集熱器1bの配列と、太陽を追尾するときの様子とについて、図8,図9を参照して、更に詳細に説明する。
既設の集熱器1は、第2の水平方向H1において、追尾範囲のうち最も低い高度に太陽が移動したときに隣の列の影がかからないような距離まで隣の列との間隔が狭められて複数が配列されている。このため、追設集熱器1bが設置されていない従来技術では、追尾範囲のうち最も低い高度に太陽が移動したときには、既設の集熱器1の反射鏡11で集光されずに、その既設の集熱器1の反射鏡11の間を通過する太陽光線Lが存在する(図20参照)。
しかしながら、本実施形態では、従来技術(図20参照)において既設の集熱器1の反射鏡11の間を通過する太陽光線Lを追設集熱器1bが集光するように、追設集熱器1bが第2の水平方向H1において既設の集熱器1の間に配列されている。
具体的には、図8に示すように、集熱器1(第1集熱器)の反射鏡11と追設集熱器1bの反射鏡11bとの両者を追尾範囲にて高度が最も高い太陽に追尾させたときに、前方の反射鏡11,11bの影が、その後方の反射鏡11,11bの反射面にかからないように、反射鏡11,11bが設置されている。ここでは、前方の反射鏡11,11bの最上端と、その後方の反射鏡11,11bの最下端とが、太陽光線Lの進行方向に沿って並ぶように、複数の反射鏡11,11bが間を隔てて配置されている。このため、本実施形態では、追尾範囲にて太陽の高度が最も高いときに、第2の水平方向H2に並ぶ複数の反射鏡11,11bの間を太陽光線Lが通過せずに、その太陽光線Lの全てが、直接、その複数の反射鏡11,11bの反射面に入射して集光される。
換言すると、図8に示すように、大地GRの水平面において、第1列H21に設置された集熱器1の反射鏡11を太陽光線Lで投影した領域A1と、第2列H22に設置された集熱器1の反射鏡11を太陽光線Lで投影した領域A2とは、離間している。このため、上述したように、両者の領域A1,A2の間には、太陽光線Lが集熱器1の反射鏡11では集光されない領域A12が存在するが、この領域A12に進行する太陽光線Lを、追設集熱器1bの反射鏡11bが集光する。また、大地GRの水平面において、第1の位置H211に設置された追設集熱器1bの反射鏡11bが太陽光線Lで投影された領域A121と、第2の位置H211に設置された追設集熱器1bの反射鏡11bが太陽光線Lで投影された領域A122との両者は、互いが隣接している。上記のように、それぞれの反射鏡11,11bが太陽光線Lで投影される領域A1,A121,A122,A2は、それぞれが隣接しており、各領域A1,A121,A122,A2の間においては、太陽光線Lが照射されない。
したがって、本実施形態では、追尾範囲にて最も高い高度に太陽が移動したときに、最大の集光量を実現することができる。
上記のように複数の集熱器1と複数の追設集熱器1bとが配列されているため、図9に示すように、追尾範囲において高度が最も低い太陽に複数の反射鏡11を追尾させたときには、前列の反射鏡11,11bの影が、その後列の反射鏡11,11bにかかる。
具体的には、図9に示すように、追尾範囲にて太陽の高度が最も低い場合であって南側から北側へ太陽光線Lが進行するときには、第1の位置H211および第2の位置H212に設置された追設集熱器1bの反射鏡11bの反射面に、第1列H21に位置する集熱器1の反射鏡11の影がかかる。これと共に、第2の位置H212に設置された追設集熱器1bの反射鏡11bの影が、第2列H22に位置する集熱器1の反射鏡11の反射面にかかる。
図9に示すように、それぞれの反射鏡11,11bの反射面のうち、前方に配置された他の反射鏡11,11bの影がかかる部分11S,11Sbは、太陽光線Lが入射しない領域であって、集熱に利用されない。
しかし、本実施形態では、図9に示すように、追尾範囲にて太陽の高度が最も低い場合に、第2の水平方向H2に並ぶ複数の反射鏡11,11bの間を太陽光線Lが通過しない。本実施形態では、追尾範囲にて太陽の高度が最も低い場合に、前列の反射鏡11,11bと、その隣に位置する後列の反射鏡11,11bとが、太陽光線Lの進行方向において、重複する部分を含むように、第2の水平方向H2に配列されている。このため、隣り合って並ぶ反射鏡11,11bの間を太陽光線Lが通過せずに、入射する太陽光線Lの全てが、第2の水平方向H2に並ぶ複数の反射鏡11,11bによって集光される。
したがって、本実施形態では、追尾範囲にて太陽の高度が最も低い場合においても、太陽の高度が最も高い場合と同様に、最大の集光量を実現することができる。
なお、太陽光線Lの進行方向が水平方向に対して傾斜する角度は、太陽の高度が高くなるに伴って大きくなるので、図9から判るように、太陽の高度が高くなるに伴って、追設集熱器1bの反射鏡11bに入射する太陽光線Lの量が増加する。そして、追尾範囲において太陽の高度が最も高くなったときには、図8に示した状態になる。このように、本実施形態では、追尾範囲のうち、最も太陽高度が高いときと最も低いときとの間の場合においても、第2の水平方向H2に並ぶ反射鏡11,11bのいずれかに太陽光線Lが入射し、それぞれの反射鏡11,11bの間を太陽光線Lが通過しない。したがって、最も太陽高度が高いときと最も低いときとの間の場合においても、当然に、最大の集光量を実現することができる。
[C]まとめ
以上のように、本実施形態の太陽熱集熱装置は、既設の集熱器1(第1集熱器)の他に、追設集熱器1b(第2集熱器)を有する。集熱器1(第1集熱器)は、従来技術と同様に、複数が第2の水平方向H2に配列されており、その複数の集熱器1(第1集熱器)は、反射鏡11を追尾させる太陽高度の範囲のうち最も低い高度に太陽が移動したときに隣の列の影がかからないような距離まで隣の列との間隔が狭められている。これに対して、追設集熱器1b(第2集熱器)は、第2の水平方向H2において複数の集熱器1(第1集熱器)の間に配列されている。
また、本実施形態では、追尾範囲のうち最も高い高度に太陽が移動したときに、仮に、追設集熱器1b(第2集熱器)がなければ集熱器1(第1集熱器)の列間にて集光できない太陽光線Lの全てを、追設集熱器1b(第2集熱器)の反射鏡11bが集光する。その結果、本実施形態では、太陽光線Lを効率的に利用して、集熱を行うことができる。
具体的には、本実施形態は、従来技術と比較して、追尾範囲のうち太陽が最も低い高度のときは、集光量が同じであるが、この場合以外の高度のときには、集光量が増えるため、集熱量が増加する。このため、従来技術と比較して、敷地面積当たりの集熱量が大きくなり、集熱量当たりの敷地面積を小さくすることができる。
[D]変形例
本実施形態では、2つの追設集熱器1bを既設の集熱器1の間に設置する場合について示したが、これに限らない。集熱器1の間に、追設集熱器1bが1つであってもよく、3つ以上であってもよい。
本実施形態では、追設集熱器1b(第2集熱器)の反射鏡11bが、既設の集熱器1(第1集熱器)の反射鏡11よりも小さい場合について示したが、これに限らない。追設集熱器1b(第2集熱器)の反射鏡11bは、どのような大きさであってもよい。
本実施形態では、図8に示したように、集熱器1(第1集熱器)の反射鏡11と追設集熱器1b(第2集熱器)の反射鏡11bとの両者を追尾範囲にて高度が最も高い太陽に追尾させたときに、前方に位置する反射鏡11,11bの影が、その後方に位置する反射鏡11,11bの反射面にかからないように、集熱器1(第1集熱器)と追設集熱器1b(第2集熱器)とが配列されているが、これに限らない。前方の反射鏡11,11bの影が、その後方の反射鏡11,11bの反射面にかかるように、既設の集熱器1の間に追設集熱器1bを設置してもよい。この場合であっても、既設の集熱器1の反射鏡11と、追設集熱器1bの反射鏡11bとのいずれかに集光されるので、第2の水平方向H2に並ぶ反射鏡11,11bのそれぞれの間を太陽光線Lが通過しない。このため、最大の集光量を実現することができる。
本実施形態では、図8に示したように、集熱器1(第1集熱器)の反射鏡11と追設集熱器1b(第2集熱器)の反射鏡11bとの両者を、追尾範囲にて高度が最も高い太陽に追尾させたときに、前方に位置する反射鏡11,11bの影が、その後方に位置する反射鏡11,11bの反射面にかからない距離まで間隔が狭められて、集熱器1および追設集熱器1bが配列されているが、これに限らない。集熱器1(第1集熱器)の反射鏡11と追設集熱器1b(第2集熱器)の反射鏡11bとの間を太陽光線Lが通過して、集光されない太陽光線Lが存在するように、配列させてもよい。この場合であっても、従来技術の場合よりも、追設集熱器1bによって集光される太陽光線Lの量が増加するため、効率的に集熱を行うことができる。ただし、当然ながら、上記の実施形態の場合の方が、集光量が多く、最大の集光量を実現することができるため、好ましい。
<第5実施形態>
[A]太陽熱集熱装置の全体構成
図10,図11,図12は、第5実施形態に係る太陽熱集熱装置を示す側面図である。
図10,図11,図12の各図は、第1の水平方向H1(例えば、南北方向)(図14参照)を視線としたときの側面であって、反射鏡を太陽に追尾させるときの様子を模式的に示している。これらの図において、図10および図11の両者は、図17および図18と同様に、反射鏡11を太陽の高度に追尾させる追尾範囲のうち、太陽の高度が最も低い場合を示している。図10では、図17と同様に、太陽光線Lが東側から照射される場合を示している。これに対して、図11では、図18と同様に、太陽光線Lが西側から照射される場合を示している。この他に、図12は、図19と同様に、反射鏡11を太陽の高度に追尾させる追尾範囲のうち、太陽の高度が最も高い場合、即ち太陽が真上に位置する場合を示している。
本実施形態の太陽熱集熱装置は、図10,図11,図12に示すように、集熱器1の反射鏡11cの構成が、従来技術(図17から図19を参照)の場合と異なる。本実施形態は、この点、および、これに関連する点を除き、上記の従来技術の場合と同様である。このため、本実施形態において、上記の従来技術等と重複する個所については、適宜、説明を省略する。
本実施形態の集熱器1において、反射鏡11cは、対称部111と延長部112とを含む。対称部111と延長部112とは、一体で構成されている。
反射鏡11cにおいて、対称部111は、長手方向に垂直な断面が放物線形状である反射面の焦点FPと、その放物線の頂点PPとを結んだ放物線軸PXを対称軸として対称な部分である。
これに対して、反射鏡11cにおいて、延長部112は、対称部111の両端のうち一方から延長された部分である。
すなわち、本実施形態の反射鏡11cは、非対称であって、従来技術の反射鏡11(図17から図19参照)に延長部112が延長されたものに相当する。
例えば、従来技術の太陽熱集熱装置(図14から図19参照)において、反射鏡11が交換可能である場合に、本実施形態の反射鏡11cを交換することによって、本実施形態の太陽熱集熱装置が構成される。
[B]太陽を追尾するときの様子について
本実施形態において、太陽を追尾するときの様子について、図10から図12を参照して、更に詳細に説明する。
図10に示すように、追尾範囲において太陽の高度が最も低い場合であって東側から西側へ太陽光線Lが進行するときには、前方(第1列H21)の反射鏡11のうち対称部111の影が、その後方(第2列H22)の反射鏡11の延長部112にかかる。また、図11に示すように、追尾範囲にて太陽の高度が最も低い場合であって西側から東側へ太陽光線Lが進行するときには、上記と同様に、前方(第2列H22)の反射鏡11のうち延長部112の影が、その後方(第1列H21)の反射鏡11の対称部111にかかる。
後方の反射鏡11(図10では第2列H22、図11では第1列H21)の反射面のうち、前方の反射鏡11(図10では第2列H21、図11では第1列H22)の影がかかる部分11Sは、太陽光線Lが入射しない領域であって、集熱に利用されない。
しかし、本実施形態では、図10,図11に示すように、従来技術の場合と同様に、追尾範囲にて太陽の高度が最も低い場合には、第2の水平方向H2に並ぶ複数の反射鏡11の間を太陽光線Lが通過しない。
換言すると、図10に示すように、大地GRの水平面において、第1列H21の反射鏡11が太陽光線Lで投影される領域A1と、第1列H21がない場合に第2列H22の反射鏡11が太陽光線Lで投影される領域A2とは、一部が重複している。同様に、図11に示すように、大地GRの水平面において、第2列H22の反射鏡11が太陽光線Lで投影される領域A2と、第2列H22がない場合に第1列H21の反射鏡11が太陽光線Lで投影される領域A1とは、一部が重複している。このため、大地GRの水平面において、両者の領域A1,A2の間には、従来技術の場合のように、太陽光線Lが反射鏡11で集光されずに照射される領域A12(図19参照)が介在していない。
このように、本実施形態では、第2の水平方向H2において、第1列H21の反射鏡11と第2列H22の反射鏡11との間を太陽光線Lが通過しないので、入射する太陽光線Lの全てが複数の反射鏡11によって集光される。
このため、本実施形態では、追尾範囲にて太陽の高度が最も低い場合に、従来技術と同様な最大の集光量を実現することができる。さらに最前列の反射鏡11は、従来技術よりも多くの太陽光線Lを受けているので、集光量は増えている。
これに対して、追尾範囲において高度が最も高い太陽に複数の反射鏡11を追尾させたとき、即ち太陽が真上のときには、図12に示すように、第1列H21の反射鏡11の影が、第2列H22の反射鏡11にかからないが、第1列H21の反射鏡11と、第2列H22の反射鏡11とが、第2の水平方向H2において離れている。このため、追尾範囲にて太陽の高度が最も高い、即ち真上であるときには、第2の水平方向H2に並ぶ複数の反射鏡11の間を太陽光線Lが通過する。換言すると、大地GRの水平面において、第1列H21の反射鏡11を太陽光線Lで投影した領域A1と、第2列H22の反射鏡11を太陽光線Lで投影した領域A2とは、離間しており、両者の間には、太陽光線Lが反射鏡11で集光されずに大地GRの水平面に照射される領域A12が存在する。
しかし、本実施形態では、集熱器1の反射鏡11は、従来技術の場合と異なり、対称部111の他に、延長部112を含む。このため、図12に示すように、従来技術の場合と異なり、第1列H21に設置された集熱器1においては、対称部111の他に、延長部112に太陽光線Lが入射する。これと同様に、第2列H22に設置された集熱器1においては、対称部111の他に、延長部112に太陽光線Lが入射する。
このように、本実施形態では、追尾範囲において最も高い高度、即ち真上に太陽が移動したときには、集熱器1の延長部112に太陽光線Lが入射するので、従来技術の場合よりも太陽光線Lを多く集光することができる。
なお、図10,図11,図12から判るように、太陽の高度が最も低い状態と、最も高い状態(即ち真上)との間においても、当然ながら、従来技術の場合よりも太陽光線Lを多く集光することができる。具体的には、太陽の高度が最も低い状態から高くなるに伴って、反射鏡11の延長部112に入射する太陽光線Lの量が増加する。延長部112に入射する太陽光線Lの増加は、前列の反射鏡11の最上端を通過する太陽光線Lが後列の反射鏡11の最下端を通過するような状態になるまで続く。その状態よりも更に太陽の高度が高くなったときには、第2の水平方向H2に並ぶ反射鏡11の間を太陽光線Lが通過することになる。しかし、上記したように、本実施形態の反射鏡11においては、従来技術の場合と異なり、対称部111の他に延長部112に太陽光線Lが入射する。このため、本実施形態では、従来技術の場合よりも、太陽光線Lを多く集光することができる。
[C]まとめ
以上のように、本実施形態では、反射鏡11は、対称部111と、その対称部111の両端のうち一方から延長された延長部112とを含む。
このため、本実施形態では、上述したように、太陽光線Lを効率的に利用して、集熱を行うことができる。具体的には、本実施形態は、従来技術と比較して、追尾範囲のうち太陽が最も低い高度のときは、集光量が同じであるが、この場合以外の高度のときには、集光量が増えるため、集熱量が増加する。その結果、従来技術と比較して、敷地面積当たりの集熱量が大きくなり、集熱量当たりの敷地面積を小さくすることができる。
<第6実施形態>
本実施形態では、第2実施形態および第4実施形態の場合と同様に、反射鏡の回転駆動角度に制約がある場合や、正午前後しか集熱しないプラントにおいて、反射鏡の長手方向を、例えば、東西方向に配置する場合について説明する。
[A]太陽熱集熱装置の全体構成
図13は、第6実施形態に係る太陽熱集熱装置を示す側面図である。
図13は、第1の水平方向H1(図14参照)を視線としたときの側面であって、反射鏡を太陽に追尾させるときの様子を模式的に示している。図13においては、図20と同様に、例えば、東西方向を視線としている。図13は、図20と同様に、反射鏡11を太陽の高度に追尾させる追尾範囲のうち、太陽の高度が最も高い場合を示している。
なお、図10および図11の両者において、反射鏡11cの長手方向を、図13と同様に、例えば、東西方向にした状態が、本実施形態において、追尾範囲のうち太陽の高度が最も低い場合に相当する。具体的には、本実施形態では、図10は、太陽光線Lが南側から照射される場合に相当する。これに対して、図11は、太陽光線Lが北側から照射される場合に相当する(図15に示すように、春分から夏至を経て秋分になる期間においては、太陽光線Lが北側から照射される時間帯があるため)。
このため、図13の他に、図10,図11を用いて、本実施形態について説明を行う。
本実施形態の太陽熱集熱装置は、図10,図11,図13に示すように、集熱器1の反射鏡11cを追尾する動作の一部が、第5実施形態の場合と異なる。本実施形態は、この点、および、これに関連する点を除き、第5実施形態の場合と同様である。このため、本実施形態において、第5実施形態と重複する個所については、適宜、説明を省略する。
本実施形態の集熱器1において、反射鏡11cは、第5実施形態と同様に、対称部111と延長部112とを含む。対称部111と延長部112とは、一体で構成されている。
[B]太陽を追尾するときの様子について
本実施形態において、太陽を追尾するときの様子について、図10,図11,図13を参照して、更に詳細に説明する。
図10に示すように、追尾範囲において太陽の高度が最も低い場合であって南側から北側へ太陽光線Lが進行するときには、前方(第1列H21)の反射鏡11のうち対称部111の影が、その後方(第2列H22)の反射鏡11の延長部112にかかる。また、図11に示すように、追尾範囲にて太陽の高度が最も低い場合であって北側から南側へ太陽光線Lが進行するときには、上記と同様に、前方(第2列H22)の反射鏡11のうち延長部112の影が、その後方(第1列H21)の反射鏡11の対称部111にかかる。
後方の反射鏡11(図10では第2列H22、図11では第1列H21)の反射面のうち、前方の反射鏡11(図10では第2列H21、図11では第1列H22)の影がかかる部分11Sは、太陽光線Lが入射しない領域であって、集熱に利用されない。
しかし、本実施形態では、図10,図11に示すように、追尾範囲にて太陽の高度が最も低い場合には、第2の水平方向H2に並ぶ複数の反射鏡11の間を太陽光線Lが通過しない。
換言すると、図10に示すように、大地GRの水平面において、第1列H21の反射鏡11が太陽光線Lで投影される領域A1と、第1列H21がない場合に第2列H22の反射鏡11が太陽光線Lで投影される領域A2とは、一部が重複している。同様に、図11に示すように、大地GRの水平面において、第2列H22の反射鏡11が太陽光線Lで投影される領域A2と、第2列H22がない場合に第1列H21の反射鏡11が太陽光線Lで投影される領域A1とは、一部が重複している。このため、大地GRの水平面において、両者の領域A1,A2の間には、従来技術の場合のように、太陽光線Lが反射鏡11で集光されずに照射される領域A12(図20参照)が介在していない。
このように、本実施形態では、第2の水平方向H2において、第1列H21の反射鏡11と第2列H22の反射鏡11との間を太陽光線Lが通過しないので、入射する太陽光線Lの全てが複数の反射鏡11によって集光される。
このため、本実施形態では、追尾範囲にて太陽の高度が最も低い場合に、従来技術と同様な最大の集光量を実現することができる。さらに最前列の反射鏡11は、従来技術よりも多くの太陽光線Lを受けているので、集光量は増えている。
これに対して、追尾範囲において高度が最も高い太陽に複数の反射鏡11を追尾させたときには、図13に示すように、第1列H21の反射鏡11の影が、その第1列H11の後方に位置する第2列H22の反射鏡11にかからないが、第1列H21の反射鏡11の最上端と、第2列H22の反射鏡11の最下端とが、太陽光線Lの進行方向に沿って並んでいない。このため、追尾範囲にて太陽の高度が最も高いときには、第2の水平方向H2に並ぶ複数の反射鏡11の間を太陽光線Lが通過する。換言すると、大地GRの水平面において、第1列H21の反射鏡11を太陽光線Lで投影した領域A1と、第2列H22の反射鏡11を太陽光線Lで投影した領域A2とは、離間しており、両者の間には、太陽光線Lが反射鏡11で集光されずに大地GRの水平面に照射される領域A12が存在する。
しかし、本実施形態では、集熱器1の反射鏡11は、従来技術の場合と異なり、対称部111の他に、延長部112を含む。このため、図13に示すように、従来技術の場合と異なり、第1列H21に設置された集熱器1においては、対称部111の他に、延長部112に太陽光線Lが入射する。これと同様に、第2列H22に設置された集熱器1においては、対称部111の他に、延長部112に太陽光線Lが入射する。
このように、本実施形態では、追尾範囲において最も高い高度に太陽が移動したときには、集熱器1の延長部112に太陽光線Lが入射するので、従来技術の場合よりも太陽光線Lを多く集光することができる。
なお、図10,図11,図13から判るように、太陽の高度が最も低い状態と、最も高い状態との間においても、当然ながら、従来技術の場合よりも太陽光線Lを多く集光することができる。具体的には、太陽の高度が最も低い状態から高くなるに伴って、反射鏡11の延長部112に入射する太陽光線Lの量が増加する。延長部112に入射する太陽光線Lの増加は、前列の反射鏡11の最上端を通過する太陽光線Lが後列の反射鏡11の最下端を通過するような状態になるまで続く。その状態よりも更に太陽の高度が高くなったときには、第2の水平方向H2に並ぶ反射鏡11の間を太陽光線Lが通過することになる。しかし、上記したように、本実施形態の反射鏡11においては、従来技術の場合と異なり、対称部111の他に延長部112に太陽光線Lが入射する。このため、本実施形態では、従来技術の場合よりも、太陽光線Lを多く集光することができる。
[C]まとめ
以上のように、本実施形態では、反射鏡11は、対称部111と、その対称部111の両端のうち一方から延長された延長部112とを含む。
このため、本実施形態では、上述したように、太陽光線Lを効率的に利用して、集熱を行うことができる。具体的には、本実施形態は、従来技術と比較して、追尾範囲のうち太陽が最も低い高度のときは、集光量が同じであるが、この場合以外の高度のときには、集光量が増えるため、集熱量が増加する。その結果、従来技術と比較して、敷地面積当たりの集熱量が大きくなり、集熱量当たりの敷地面積を小さくすることができる。
<その他>
上記の各実施形態では、集熱管が焦点位置に配置されているが、反射鏡の回転中心と焦点が異なる位置である太陽熱集熱装置であってもよい。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。