以下、発明を実施するための形態について、図面を参照しながら説明する。なお、上下方向、左右方向、前後方向については図1に示す方向とする。
(第一の実施形態)
図1は、電気掃除機100の外観斜視図を示している。図1において、1は掃除機本体であり、この掃除機本体1にサイクロン方式の集塵装置10が着脱自在に備えられており、掃除機本体1は吸引ホース2を介して手元ハンドル3と接続され、手元ハンドル3は延長管6を介して吸口体7と接続されている。掃除機本体1には掃除機本体1を自在に移動できる車輪15が備えられている。
また、手元ハンドル3には、掃除機本体1に内蔵して備えられている電動送風機14(図4参照)の制御や、吸口体7に設けられている電動回転ブラシ(回転清掃体)(図示せず)の駆動制御を行う操作部4を備えている。操作部4には、運転を開始する(強・中・弱)ボタンや運転を停止する(切)ボタンを配置した操作ボタン5が備えられている。
図2は、掃除機本体1から集塵装置10を取り外した状態の外観斜視図、図3は、掃除機本体1の上ケース1aを取り外した状態の斜視図である。図3は、掃除機本体1の左右方向略中央の断面図を示している。掃除機本体1は上ケース1a、及び下ケース1bを組み合わせて形成している。上ケース1a、及び下ケース1bはプラスチック等の材料で形成されている。下ケース1bの前部にはホース取り付け口11を形成している。掃除機本体1の内部には、吸引力を発生するモータケース16に収納された電動送風機14を配置すると共に、排気を清浄化するプリーツ状の高捕塵フィルタ29を配置してある。
掃除機本体1の正面左側には集塵装置10と流体的に接続される導入管出口12を備え、正面上部には、電動送風機14と連通するダクト21のダクト入口部13を備えている。ダクト入口部13には、電動送風機14への異物侵入を防止するために保護フィルタ(図示せず)を設け、保護フィルタは格子状のフィルタカバー17で覆われている。集塵装置10は、掃除機本体1の前側上部に前下がりに傾斜した状態で着脱自在に取り付けられる。集塵装置10が掃除機本体1に取り付けられた状態では、集塵装置10は、導入管20及びダクト21と流体的に接続されている。電動送風機14は、ダクト21と高捕塵フィルタ29と流体的に接続されている。集塵装置10が掃除機本体1に取り付けられた状態では、ホース取り付け口11から高捕塵フィルタ29に至るまで、一連の流路となっている。また、詳細は省略するが、各部品の接続部(接触部)にはパッキング(図示せず)を設けており、運転中の気密を保持している。また、集塵装置10を掃除機本体1に取り付けた際に容易に気密を保持できるように、掃除機本体1には集塵装置10の位置決めのための構造や固定するための構造を備えている。図2に示す掃除機本体1の取っ手収納部22は、集塵装置10の後方に備えている取っ手35が入り、集塵装置10の位置決めのための構造を有している。また、掃除機本体1における集塵装置10の取り付け箇所の下部には、集塵装置10の底蓋31の底面との嵌合部が設けられており、集塵装置10の固定のための構造を有している。そして、詳細は後述するが、掃除機本体1の上部に設けた蓋体19で、集塵装置10の上部を固定する。なお、取って収納部22には、集塵装置10の取っ手35が嵌合する構造としてもよい。
図3に示すように、電動送風機14を収納するモータケース16は掃除機本体1右側後方に配置し、左側後方にはコンセント等から電動送風機などへ電力を供給するための電源コード23aを収納するためのコードリール23を配置している。モータケース16及びコードリール23の配置の関係上、導入管20及び導入管出口12を左側に配置しているがこの限りではなく、導入管20を右側に配置しても構わない。導入管20を掃除機本体1の中央ではなく、左右どちらかに寄せるよう配置するのは、詳細は後述するが集塵装置10の外周接線方向から空気を流入し旋回流を発生させ易くするためである。したがって、導入管20の配置により、旋回流の回転方向が異なるが、回転方向はどちらでも構わない(左側に配置した場合は時計回りの旋回流となる)。また、例えば、導入管20を左側(若しくは中央)に配置し、導入管出口12が右側になるような曲がり部の多い導入管20形状にしても構わないが、圧力損失が増加する傾向にある。よって、導入管20は本実施例のような配置とし、導入管20の圧力損失の増加を極力抑えるために、ホース取り付け口11から可能な限り大きな半径で導入管出口12と繋がるような形状としている。また、導入管20内の容積も、圧力損失の増加を極力抑えるために可能な限り大きく設けている。
図4は、第一の実施形態を示す掃除機本体を側面から見た掃除機本体の中央断面図である。このような電気掃除機100において、空気は図4に示す矢印のように流れる。吸口体7から吸引された塵埃を含む空気は、ホース取り付け口11から導入管20を介して集塵装置10へ至り、集塵装置10に設けた捕塵フィルタ32を経て、ダクト21を介し、電動送風機14、高捕塵フィルタ29を経由して掃除機本体1の外部に排出されるようになっている。高捕塵フィルタ29は、捕塵フィルタ32で捕集できなかった微小な塵埃や電動送風機14のカーボンブラシ(図示せず)の摩耗屑を取り除き、ほぼ塵埃を含まないきれいな空気にして掃除機本体1の外部へ排気する。
次に、集塵装置10について図5から図8を用いて説明する。図5は集塵装置10の正面図、図6は集塵装置10の左側面図、図7は集塵装置10の背面図、図8は集塵装置10の展開図である。
集塵装置10は概ね、外筒30、内筒40、捕塵フィルタ32、捕塵フィルタ32を収納するフィルタケース33、及び底蓋31で形成されており、外筒30の上部にフィルタケース33、下部に底蓋31を備え、外筒30と同心円状になるよう内筒40を備えている。
詳細は後述するが、集塵装置は、外筒30と内筒40との間に空間を有しており、外筒30と内筒40とで形成される空間のうち、上部に塵埃分離部を備え、下部に塵埃集塵部を備える。
外筒30は上下が開口した略円筒状で、側面に流入管38を備えている。流入管38は外筒30と接線で繋がるように形成されており、開口部38aは略四角形状である。本発明の外筒30は、上方向は円筒状の形状であり、ある部分から下方がテーパ状に拡大していく形状であり、本実施形態では中心軸を垂直にした状態で水平面から約11度傾斜している。このように、下方をテーパ状にすることで外筒30の容積を拡大し、より多く塵埃を堆積できるようにしている。
外筒30には、集塵装置10を持ち運ぶための取っ手35を備えており、取っ手35の上部には、ごみを排出(廃棄)するためのごみ捨てボタン35aを備えている。取っ手35は、容易に持てるように外筒30との間に約33mm隙間を設けている。また、集塵装置10の前後方向の大きさを抑えるために、取っ手35を設けた集塵装置10後方側の外筒30は上方向(又は下方向)から見て略D字にカットしている。これにより、上方向(又は下方向)から見て取っ手35が外筒30から大きく飛び出すことのないようにしている。外筒30の前方下側には、底蓋31と連結する回転軸31aを備えている。
また、外筒30上部に設けているフィルタケース33は、上面が蓋構造となっており、フィルタケース上部33aとフィルタケース下部33bとに分割される。フィルタケース下部33bは外筒30上部と一体となっており、捕塵フィルタ32を受けるフィルタ受け部34を収納する。
フィルタ受け部34は、外筒30に設けたフィルタケース下部33bに全体が収まるようにフィルタケース下部33bの内壁面をオフセットした形状であり、フィルタケース下部33bに容易に着脱できる最大寸法で形成している。また、フィルタ受け部34の略中心部は開口しており、後述する内筒40と流体的に連通している。さらに、フィルタ受け部34の外殻底面には、気密部材34aを備えており、気密部材34aはフィルタケース下部33bの底部と接することでフィルタ受部34とフィルタケース下部33bとの気密をとる。
図9に集塵装置10のフィルタケース上部33aと捕塵フィルタ32を取り外したときの外観図を、図10には図9においてフィルタ受け部34を取り外したときの外観図を示す。フィルタ受け部34の外殻上部の外周に固定リブ34bを設けており、フィルタ受け部34をフィルタケース下部33bの所定の位置に装着した後、図中矢印方向に回すことで、フィルタケース下部33bに設けた固定レール33cと固定リブ34bとが嵌合し、フィルタケース下部33bとフィルタ受け部34とを気密を保った状態で固定することができる。また、フィルタ受け部34の上面は鍔状の捕塵フィルタ受け部34cを設けており、後述する捕塵フィルタ32の外周に設けたパッキング32aの下面側と接する。
捕塵フィルタ32は、通気面積を拡大するためにプリーツ状(山折り)に折られており、円状の枠体に接着されている。また、捕塵フィルタ32は外周が鍔状の鍔部32bとなっており、鍔部32bの上下面にゴム部材等で成型されたパッキング32aを設けている。前述したように、フィルタ受け部34に捕塵フィルタ32を装着すると、パッキング32aの下面側とフィルタ受け部34に備えた捕塵フィルタ受け部34cとが接し、パッキング32aの上面側は、フィルタケース上部33aと接する。
前述したフィルタケース上部33aには、後方に爪部36、前方にロック機構37を備えており、爪部36をフィルタケース下部33bの係止部33dに引っ掛け、前方のロック機構37により外筒30と固定が可能となる。よって、フィルタケース下部33bに、フィルタ受け部34、及び捕塵フィルタ32を装着しフィルタケース上部33aを装着することで、捕塵フィルタ32前後の気密を保持することができる。
以上のような構造の集塵装置10を掃除機本体1に備えることで、塵埃を含んだ空気は次のような流れとなる。図11及び図13に示す矢印で掃除機運転時の集塵装置10内の流れを説明する。
操作部4に設けられた操作ボタン5により使用者が運転を開始すると、電動送風機14が回転し空気を吸い込む。吸い込んだ空気は、導入管20を経て、流入管38より集塵装置20内に流入する。外筒30の接線方向から流入した空気は、旋回流となり、塵埃に遠心力が働き、塵埃と空気は分離される。分離された空気の多くは上部内筒41に設けた吸気口42より内筒40の内部に流入する。そして、空気はフィルタ受け部34を経て捕塵フィルタ32を通過し、フィルタケース上部33aの開口を経て、電動送風機14へ至る。このとき、吸気口42のメッシュ部材42aを通過した微細な塵埃は、捕塵フィルタ32で捕集される。
一方、遠心力で分離された塵埃は、重力と一部の空気流により外筒30と傘部44との間の集塵室入口を通り、集塵室内に搬送される。このとき、塵埃には遠心力が働いているため、集塵室内で旋回する。そして、掃除機の使用を続けると、徐々に塵埃が堆積し、底蓋31に設けた底面リブ31cを基点に塵埃の旋回が止まり、ドーナツ状に堆積する。集塵室内に流入した空気は、筒体46、内傘部45の空間44a形状に沿って、傘部44の外周付近から上部内筒41側へ流れる。この空気の流れによる、塵埃の上部内筒41側への戻りを抑制するためには傘部44の深さが必要である。本発明は、塵埃を押し出すために、摺動距離を大きくしているため、ごみ排出効果と同時に傘部44に十分な深さを設けることができる。
そして、塵埃が傘部44の上面以下に設けたごみ捨てラインまで達したら、ごみ捨てを行う。ごみ排出機構は前述した通りであり、吸引した塵埃の量が少ない場合でも、内傘部45のごみ排出機構、及び外筒30のテーパ形状により、塵埃の排出は可能である。
次に、内筒40について、図11、及び図12を用いて説明する。図11は図6におけるB−B断面図、図12は内筒40の分解図である。
内筒40は、略円筒状であり、先述したように外筒30と同心円状となるように備えている。内筒40は、上側に吸気部42を備えた上部円筒41、下側には筒体46を内包した傘部44で構成されている。上部円筒41の吸気部42は、格子状の枠体(支骨)によって形成されている。本実施例では上下方向の枠体(支骨)としているが、上下左右方向に枠体(支骨)のある格子状でも構わない。吸気部42は、外周面にメッシュ部材42aが掛け渡されており、メッシュ部材42aは被覆またはインサート成型などによって枠体(支骨)に保持されている。吸気部42にメッシュ部材42aを設けることで、上部内筒41はフィルタ機能を有し、内筒40内部への微細な塵埃の流入を抑制する。本実施例では、メッシュ部材42aは、ポリエステルを使用しているが、金属(例えば、ステンレス)でも良く、枠体(支骨)ではなく小径の貫通孔(金型で成型可能なφ2mm程度の孔)を複数設けた吸気部42でも構わない。貫通孔は、枠体(支骨)にメッシュ部材42aを掛け渡した場合と違い、強度や破れに対し有効であり、二次成型が不要といった利点がある。しかし、貫通孔の径(開口面積)は、メッシュ部材42aの開口面積よりも大きくなると、内筒40の内部への微細な塵埃の流入に対しては不利である。
上部内筒41は先述したようにフィルタ受け部34の略中心部の開口と連通している。本実施例では、内筒40の上面にフランジ部40aを備え、フランジ部40aをフィルタ受け部34の底面に固定する構成としているが、内筒40の上面とフィルタ受け部34の底面を一体に形成しても良い。また、フランジ部40aを設けずに、内筒30がフィルタ受け部34と着脱可能な構造にしても構わない。
内筒40の下部には、本発明の特徴とするところの傘部44を備えている。傘部44は、上部内筒41と同心円状に設けており、略円筒状で上面が閉塞している。言い換えると、底面が開口し空間44aを有した形状である。そして、傘部44の空間44aに内包するように傘部44の傘部形状をオフセットした内傘部45を設け、内傘部45には、上面から下方に凸になるような筒体46を設けている。筒体46は、内傘部45と同心円状に設けており、底面47が閉塞し略半球状となっており、底面47に向かって先細りになるようなテーパ形状である。筒体46を先細りになるようなテーパ形状にすることで、外筒30下部の先太りのテーパ部と合わせて下向きに拡大する容器形状となるため、ごみ捨ての際にごみが落下しやすくなる。また、筒体46の表面には凹み部48を設けており、凹み部48に微細な塵埃を溜めることができ、微細な塵埃が吸気口42から吹き抜ける量を低減することができる。この筒体46は、集塵容積を拡大するために筒体46の径を小さくし、傾斜角度を水平面から見て垂直に近づけても構わない。
詳細は後述するが、内傘部45を傘部44に内包し、上下方向に摺動する機構を設けることで、ごみ捨て時の排出のアシストを行う。内傘部45は、吸引時などのごみ捨て時以外は傘部44内に収まっており、ごみ捨て時に下方へ摺動することで、集塵装置1内の塵埃を押し出す。
内傘部45の上下の摺動距離は、傘部44の空間44aの高さ未満としている。言い換えると、内傘部45の上面45aは、傘部44の底面44bを越えないようにしている。これは、ごみ捨て時の傘部44の底面44bと内傘部45の上面45aとの間に隙間をなくすことで、底面44bと上面45aとの間への塵埃の挟まりの恐れを抑制するためである。また、内傘部45は、傘部44内の空間44aを容易に摺動できる必要最小限のギャップを設けている。また、傘部45は塵埃が堆積する部分であるため、内傘部45とのギャップが小さすぎるとギャップ内に塵埃が噛み込み、摺動しにくくなることも考えられる。本実施例では、塵埃の噛み込みを考慮したギャップを設け、内傘部45の外周に複数のリブ45bを設けることで、ギャップを大きくしたことによる摺動する際のガタつきを低減している。更に、内傘部45の底面に鍔部45cを設け、内傘部45が傘部44の空間に収まった状態で、鍔部45cと傘部44の底面44bが接するようにしている。これにより、塵埃吸引時の傘部44と内傘部45内との隙間への塵埃の入り込みを抑制している。
また、先述した外筒30の形状に示したように、外筒30の後方側には略D字にカットしているため、傘部44及び内傘部45の形状も、外筒30の形状をオフセットするように略D字にカットしている。これにより、外筒30と傘部44との隙間を一定に保ち、隙間へのごみの挟まりを抑制することができる。
次に、本実施例での内傘部45の摺動機構について説明する。摺動機構は、内傘部45にバネ座を形成した構造となっており、内傘部45の略中央にバネケース70及びバネ軸71を備えている。そして、傘部44にはバネケース70に入れ子状となるピストン部72を備えている。バネ軸71にはストッパー73を固定できるようにネジで締結する構造となっており、バネケース70に上方からバネ74を挿入し、傘部44と一体になった入れ子状のピストン部72を装着した後、ストッパー73をバネ軸71に固定することで、内傘部45の摺動機構が構成される。ストッパー73は傘部44の上面に備えたストッパー受け部75まで摺動する。よって、前述したように摺動距離は傘部44の空間44aの高さ未満であるため、ストッパー73の高さも摺動距離と略同等となっている。そして内傘部45に設けたバネケース70の外周は、前述した筒体46で覆い、内傘部45にネジ等で締結している。
このような摺動機構において、バネ74が自然長に近い状態が、内傘部45が最も飛び出した状態であり、底蓋31を閉じるとバネ74を縮めた状態になる。よって、ごみ捨て時に後述する底蓋31のロックを解除すると、内傘部45が下向きに飛び出し、内傘部45で塵埃を押し出す。
底蓋31は、深さをもった皿状で中央部が突出している。中央部には突出した部分から凹みとなる窪み部31bを備えている。底蓋31は皿状にすることで強度を増している。また、窪み部31bは、筒体46の底面47の球形状の球半径よりも大きくしており、窪み部31bの深さは、底蓋31が開状態(外筒30の底面に対して垂直状態)で窪み部31bに水平面ができないようにしている。言い換えると、窪み部31bは極力浅くしている。これは、ごみ排出の際に窪み部31bに塵埃が残らないようにするためである。また、底蓋31内には、図に示すような底面リブ31cを設けている。これは、外筒30の下部テーパ内を旋回する塵埃の回転を止めて、底面リブ31cを基点に塵埃を圧縮するためである。本実施例では、底面リブ31は、底蓋31内の外周側に底蓋31の深さと略同等の高さから、中心に向うほど低くなるような略三角形状をしており、前側と左右に配置している。このような底面リブ31cは、集塵容積や傘部44の形状等により調整をおこなっているため、形状はこの限りではない。また、本実施例では、窪み部31bを別体で形成しており、底蓋31開閉での筒体46との摩擦による部材の磨耗を低減するようにPOMなどの材料を用いているが、一体で成形しても構わない。
以上のようなごみ排出機構において、ごみ捨て時の動作を図13、及び図14を用いて説明する。図13は、底蓋31を閉じた状態の図5に示すA−A断面図、図14はごみを排出した後(底蓋31が開いた状態)の図5に示すA−A断面図である。
底蓋31は、集塵装置10に設けた取っ手35上部に備えたごみ捨てボタン35aを押下ことで解除される。底蓋31は取っ手35の反対側に回転軸31aを備え、取っ手35側には底蓋31の開閉機構を備えている。取っ手35の上部に備えたごみ捨てボタン35aは、取っ手35内のロッド80を下向きに動かし、取っ手35下部のスライドクランプ81を押す。詳細は省略するが、スライドクランプ81は、ロッド80と斜面で接触しているため、ロッド80の上下方向の動きをスライドクランプ81で左右方向に変換し、スライドクランプ80に設けたバネを縮める。そして、底蓋31に設けたクランプ受け82からスライドクランプ81の爪部83が外れ、底蓋31が開口する。底蓋31の回転軸31aには捩りバネを備えており、底蓋21はバネ力で開く。ごみ捨てボタン35aの押下を解除すると、スライドクランプ81に設けたバネが自然長に戻るため、ロッド80は上方に戻り、スライドクランプ80はごみ捨てボタン35aの押下前の位置に戻る。
以上のような、内傘部摺動機構及び底蓋ロック機構による、ごみ捨て時の各機構部の動きを以下に説明する。
ごみ捨ての際、集塵装置10の取っ手35上部のごみ捨てボタン35aを押すと、底蓋31のクランプ受け82に掛かった爪部83がスライドし、底蓋31は外力を受けることで回転軸31aを中心に開くようになる。外力は、内傘部45及び筒体46が下方向に動くことによる底蓋31を下向きに押す力と、底蓋31の回転軸31aに設けた捩りバネの反発力である。本実施例では、底蓋31の回転軸31aに捩りバネを設けているが、捩りバネを設けず内傘部45及び筒体46の摺動による底蓋31を押す力のみでも底蓋31を開くことができる。
底蓋31が開くと同時に、バネ74によって内傘部45及び筒体46が下向きに飛び出す。これにより、内筒40の一部である内傘部45は、底蓋31が閉じた状態の位置よりも底蓋31が開いた状態の位置が、外筒30の下面の開口寄りの位置となる。
ごみ捨て後、底蓋31を閉じる際、下方に飛び出した筒体46の底面47と、底蓋31の中央に設けた窪み部31bが接触し、内傘部45及び筒体46は上方へ押される。筒体46の底面47と窪み部31bは球状に接するため、底蓋31を閉じる動作で底蓋31の角度が変わっても、筒体46の底面47と窪み部31bとの接触面積を一定に保つことができるため、内傘部45は傘部内44にスムーズに収まる。そして、底蓋31を略水平状態まで閉じると、クランプ受け82が爪部83と接触し、スライドクランプ81は、スライドクランプ81に設けたバネが縮む方向に移動し、爪部83がクランプ受け82を乗り越えた時点でバネが戻り、底蓋31は気密を保持した状態でロックされる。
以上のような、外筒30、内筒40、捕塵フィルタ32、フィルタケース33、底蓋31を組み合わせ、塵埃を吸引できる状態での集塵装置10について、図11及び図12を用いて説明する。本実施例において、掃除機本体1のホース取り付け口11から電動送風機14へ至るまでの流路で、ホース取り付け口11の断面積が最小となるように各部の寸法を設定している。ホース取り付け口11の断面積は、約1500mm2(約φ43mm)である。集塵装置10の出口は上部内筒41の内側開口面積となるので、開口面積を1500mm2以上に設定するために、上部内筒41の外径をφ55mmとして、肉厚を2mmで内径はφ51mmとなり開口面積は約2000mm2となる。
集塵装置10の入口である流入口管38は、接線方向に流入するために流入管38の出口で絞り38bを設けている。絞り38bは外筒30の円弧を延長し、流入管の開口部38aから投影した際、上部内筒41が隠れる範囲までとしている。この絞り38bにより、開口した円弧の長さと流入管38高さの積を1500mm2以上とするためには、流入管38の高さは約47mmが必要となる。このように、流入管38の高さはホース取り付け口11の断面積を基準に設定しているが、外筒30の径を大きくすることで流入管38の高さを低くすることも可能である。しかしながら、掃除機本体1をコンパクトに設計するためには、外筒30の径を小さくする必要があり、本実施例では外筒30の径をφ100mmに設定し、各部の寸法を設定している。従って、外筒30の径や流入管38の高さなどはこの限りでなく、掃除機本体1のデザイン等で所望の寸法を決定すれば良い。
上部内筒41の高さにおいても、吸気口42の総面積が1500mm2以上となるように設定する。吸気口42の外周にはメッシュ部材42aを設けるため、メッシュ部材42aの開口率により、上部内筒41の高さは変化する。本実施例では、メッシュサイズを80メッシュ〜100メッシュとし、開口率は46%前後である。よって、吸気口42の総面積を約3000mm2となるように設定すれば良く、上部内筒41の高さは流入管38高さと略同等としている。吸気口42は縦方向の複数の柱で構成しているが、上部内筒41の強度を増すために格子状にしても良く、同等の吸気口42の総面積や強度が得られる形状であればこの限りではない。
先述したように、内筒40の下側には傘部44を設けている。傘部44の外周は集塵装置10内の下方向で外筒30と内筒40の間に形成される塵埃集塵部への入口であり、外筒30のテーパ部内に傘部44を設けることで、塵埃集塵部の面積が徐々に拡大するため塵埃を搬送しやすい。また、塵埃集塵部に流れた空気は、すべて上部内筒41の吸気口42を通るように流れるため、この空気の流れによって、ごみは上部内筒41側へ移動するような動きになるが、塵埃集塵部から見ると出口(塵埃集塵部入口)が徐々に狭まっているため、塵埃が上部内筒41へ戻りにくくなる。本実施例のテーパ部は、集塵装置10をコンパクトにするために最大径をφ120mmとしているがこの限りでなく、最大径を更に大きくしても良い。最大径を大きくすることで、集塵容積を拡大でき、より多くの塵埃を堆積することができる。
傘部44は、外径がφ78mmとしており、外筒30の内壁面と傘部44との外周との隙間は約10mmとしている。この隙間を狭くすると塵埃集塵部から塵埃が戻る現象を更に抑制でき、塵埃分離性能の向上が見込める。しかし、隙間を通過できず塵埃収容部に収まらない大きさの異物を吸引する場合も在り得るため、隙間を狭くし過ぎず、塵埃集塵部から塵埃が戻り過ぎない隙間として、約10mmに設定している。
塵埃集塵部を形成するテーパ部の高さは約50mmとしているが、更に高くするほど集塵容積が拡大できる上、塵埃分離性能も向上できる。しかし、本実施例においては、掃除機本体1のコンパクト化に際し、集塵装置10の大きさ(高さ)を予め設定しており、流入管38の高さや捕塵フィルタ32の大きさ(高さ)を基準としているため、テーパ部の高さを約50mmとしているが、この限りではない。
傘部44は、内傘部45を収納した状態で肉厚を含め高さを約21mmとして、摺動距離は約15mmとしている。テーパ部の高さを約50mmとしているため、傘部44の底面から外筒30のテーパ部の底面までの高さは約29mmである。吸引した塵埃は傘部44の底面に圧縮されるため、摺動距離は傘部44の底面からの距離の1/2以上としている。この摺動距離は、ごみ捨て時に内傘部45でごみを押し出す際に、堆積した塵埃の高さの半分以上を外筒30底面から露出させるためであり、ごみが落下しやすくなる。また、外筒30と筒体46から形成される空間は、下向きに広がった形状であるため、容易に塵埃を押し出すことができる。更に、筒体46の先細り形状も下向きに摺動することで塵埃を押し出す効果が得られる。
このような、ごみ排出機構を設けることで、傘部44底面を超えて、傘部外周と外筒との間まで塵埃が堆積しても、塵埃を容易に押し出せるため、ごみ捨てを促すごみ捨てラインの位置を高く設定でき、コンパクトな集塵装置10ながら、集塵容積、または吸引可能な塵埃の量を多くすることができる。
このような構造の集塵装置10を備えることで、塵埃を含んだ空気は次のような流れとなる。図11及び図13に示す矢印で掃除機運転時の集塵装置10内の流れを説明する。
操作部4に設けられた操作ボタン5により使用者が運転を開始すると、電動送風機14が回転し空気を吸い込む。吸い込んだ空気は、導入管20を経て、流入管38より集塵装置20内に流入する。外筒30の接線方向から流入した空気は、旋回流となり、塵埃に遠心力が働き、塵埃と空気は分離される。つまり、塵埃集塵部10内の上部である塵埃分離部にて、塵埃と空気とは分離される。分離された空気の多くは上部内筒41に設けた吸気口42より内筒40の内部に流入する。そして、空気はフィルタ受け部34を経て捕塵フィルタ32を通過し、フィルタケース上部33aの開口を経て、電動送風機14へ至る。このとき、吸気口42のメッシュ部材42aを通過した微細な塵埃は、捕塵フィルタ32で捕集される。
一方、遠心力で分離された塵埃は、重力と一部の空気流により外筒30と傘部44との間の塵埃集塵部入口を通り、塵埃集塵部内に搬送される。このとき、塵埃には遠心力が働いているため、塵埃集塵部内で旋回する。そして、掃除機の使用を続けると、徐々に塵埃が堆積し、底蓋31に設けた底面リブ31cを基点に塵埃の旋回が止まり、ドーナツ状に堆積する。集塵室内に流入した空気は、筒体46、内傘部45の空間44a形状に沿って、傘部44の外周付近から上部内筒41側へ流れる。この空気の流れによる、塵埃の上部内筒41側への戻りを抑制するためには傘部44の深さが必要である。本発明は、塵埃を押し出すために、摺動距離を大きくしているため、ごみ排出効果と同時に傘部44に十分な深さを設けることができる。
そして、塵埃が傘部44の上面以下に設けたごみ捨てラインまで達したら、ごみ捨てを行う。ごみ排出機構は前述した通りであり、吸引した塵埃の量が少ない場合でも、内傘部45のごみ排出機構、及び外筒30のテーパ形状により、塵埃の排出は可能である。
以上のようなごみ排出機構を集塵装置10に設けることで、ごみ捨て時、集塵装置10内の塵埃を容易に排出することができる。また、ごみ排出後、塵埃が傘部44内や傘部44と外筒30との間への挟まりを大きく軽減できるため、ごみ捨て後に集塵装置10内の残留したごみを使用者が取り除く等の手間を軽減でき、また、ごみに直接手で触れることを抑制できるため、使い勝手を大きく向上することができる。
次に、本発明の特徴である、掃除機本体1に集塵装置10を固定する際のフィルタケース33のスライドロック機構37について図15から図19を用いて詳細に説明する。図15は、フィルタケース33のスライドロック機構37がロックしている状態の集塵装置10の外観正面図である。図16は、フィルタケース33のスライドロック機構37のロックを解除した状態の集塵装置10の外観正面図である。図17は、スライド体90を取り外した状態の集塵装置10の正面側の分解図である。図18は、スライド体90を取り外した状態の集塵装置10の背面側の分解図である。図19は、スライド体90を後方から見た単品の外観図である。
フィルタケース上部33aの外観面には、上面に掃除機本体1から集塵装置10を取り外すための持ち手55、前方に掃除機本体1と固定するためのクランプ部50、及びクランプ部50を駆動するボタン60を備えており、後方には電動送風機14と流体的に接続される開口部39を設けている。開口部39は保護フィルタ及びフィルタカバー17を介しダクト21と接続される。フィルタカバー17は捕塵フィルタ32と同様に、外周部の前後面にゴム部材等で成型されたパッキングを設け、開口部39とダクト21との間の気密を保持している。前述した持ち手55は、掃除機本体1装着時、掃除機本体1に設けた蓋体19で覆うようになっている。これは、掃除機本体1を持ち運ぶ際に、本体ハンドル18ではなく、持ち手55を持ち上げることを防止するためである。蓋体19には、回転軸部にねじりバネ(図示せず)を備えている。蓋体19は、開いた状態(蓋体19が直立した状態)から前方へ倒す際にねじりバネに捩り力が加わり、蓋体19底面の前側に設けた爪部19aを前述したフィルタケース上部33aのクランプ部50に引っ掛けて蓋体19を閉じた状態となる(図4参照)。このとき、ねじりバネが戻ろうとする力も加わり、集塵装置10を掃除機本体1側へ押し付けることができ、気密保持と集塵装置10の固定を両立している。従って、蓋体19を閉じた状態において、フィルタケース上部33aのボタン60を押すと、クランプ部50が解除され、蓋体19がバネ力で持ち上がり持ち手55が現われる。持ち手55が現われた状態で、持ち手55を引き上げることで集塵装置10を容易に取り外すことができる。言い換えると、蓋体19が開いた状態では、持ち手55を引き上げても掃除機本体1を持ち上げられない構造となっており、誤動作の防止を行っている。
更に、フィルタケース33には、フィルタケース上部33aとフィルタケース下部33bとを固定するスライドロック機構37を備えている。フィルタケース上部33aとフィルタケース下部33bとの固定は、後方に備える位置固定部56と前方に備えるスライドロック機構37で行う。
後方の位置固定部56は、フィルタケース上部33aに備えている。位置固定部56には係止部33dが設けられており、フィルタケース下部33bに備えた爪部36に、係止部33dを引っ掛ける構造となっている。フィルタケース下部33bは、前述したようにフィルタ受け部34の固定リブ34aを装着するために後方の一部分の外周面がオフセットしており、爪部36はオフセット面に設けている。従って、フィルタケース上部33aの一固定部56は、フィルタケース下部33bのオフセット面を覆うような形状で爪部36と嵌合する。
前方のスライドロック機構37は、フィルタケース下部33bに備える位置合わせリブ57と、フィルタケース上部33aに備え位置合わせリブ57と嵌合する切り欠き部58を備えたレール体59と、スライド体90と、で構成されている。レール体59には、図19に示すスライド体90に設けたスライドピン91を挿入し、スライド体90を左右移動可能に装着できる。スライド体90は、レール体59全体を覆うカバー形状となっており一部(側面)に開口部92を設けている。本実施例では、図15に示す図中矢印方向(左側)にスライド体90を移動するとロックが解除できるように右側が開口面となっているが、反対側にスライド体90を移動してロック解除できる構造でも構わない。
このようなスライドロック機構37において、フィルタケース下部33bにフィルタケース上部33aを固定する際、まず後方にあるフィルタケース下部33bの爪部36にフィルタケース上部33aの係止部33dを引っ掛けて、爪部36を軸にフィルタケース上部33aを前方へ倒すようにフィルタケース下部33bに合わせる。
このとき、スライド体90は開状態(左側へ移動した状態)でなければならない。スライド体90が閉状態(右側へ移動した状態)では、スライド体90でフィルタケース上部33aのレール体59に設けた切り欠き部58が隠れた状態となり、スライド体90の底部93とフィルタケース下部33bの位置合わせリブ57がぶつかるため嵌合できない。
フィルタケース上部33aとフィルタケース下部33bとが合った状態で、かつ、スライド体90が開状態(左側へ移動した状態)で、スライド体90を右側へ移動させることで、フィルタケース上部33aとフィルタケース下部33bは固定された状態(ロックした状態)となる。このとき、フィルタケース下部33bに、フィルタ受け部34、及び捕塵フィルタ32を装着しフィルタケース上部33aを装着することで、捕塵フィルタ32前後の気密を保持することができる。
本発明において更に特徴とするところは、先述した集塵装置10を掃除機本体1に固定する際の、蓋体19による掃除機本体1へ押し付けるためのクランプ部50と、スライドロック機構37を同一面に設けたことにある。言い換えると、集塵装置10において、クランプ部50とスライドロック機構37とは同一方向である前方に設けられている。ここで、特許文献1のように、スライドロック機構37を集塵装置10の左右に設けた場合、蓋体19による掃除機本体1への押し付けの影響でフィルタケース33の前方において、フィルタケース上部33aが持ち上がり、フィルタケース上部33aとフィルタケース下部33bとの気密が保持できない状態となる恐れがある。言い換えると、フィルタケース上部33aが上向きに引っ張られ、フィルタケース下部33bとの間に隙間ができる状態となる恐れがある。これに対し、本実施形態のように、クランプ部50とスライドロック機構37とを同一面(同一方向である前方向)に設けることで、フィルタケース下部33bに対して上向きに引っ張られ易いフィルタケース上部33aを、クランプ部50と同一面にあるスライドロック機構37でロックしてあるので上向きへの引っ張りを抑える効果を奏する。
よって、本発明のような掃除機本体1への集塵装置10の固定方法において、本実施例に示すスライドロック機構37にすることで、集塵装置10の気密を保持しつつ、掃除機本体1に集塵装置10を固定することができる。
そして、集塵装置10の正面のみにスライドロック機構37を設けているため、掃除機使用中などに使用者や家具などに不用意に接触することがなく、集塵装置10を誤って分解、落下することがない。また、ロック機構が1つで済むため、使い勝手が良く、部品点数が少なく製造上でも有効である。
なお、本発明に係る実施形態について適宜図面を参照して説明したが、本実施形態は上記の内容に限定されるものではなく、本発明の趣旨の範囲内において適宜変更して実施可能である。