JP6302375B2 - 光受信器 - Google Patents

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Description

本発明は、光受信器に関し、より詳細には、シリコン集積回路で形成された波長分割多重信号用の光受信器に関する。
波長分割多重(Wavelength Division Multiplexing)信号用光受信器(以下、WDM光受信器)は、近年、100ギガビット/秒以上の高速なイーサネット(登録商標)信号を送受する装置が実用化されるにあたり、重要なデバイスとして盛んに開発が行われている。WDM光受信器は、入力するWDM信号を各波長の信号に分波し、各波長の信号をフォトディテクターで検出し、電気信号に変換して出力する機能を有する。
このようなWDM光受信器の第1の従来例としては、石英材料の平面光波回路によるアレイ導波路回折格子タイプの光波長分波回路と、フォトディテクターあるいはフォトディテクターアレイを組み合せた構成が提案されている(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。
図20は、第1の従来例によるWDM光受信器の構成を示した平面図である。ここでWDM光受信器は、入力導波路11、入力側スラブ導波路12、アレイ導波路13、出力側スラブ導波路14、およびマルチモード導波路である出力導波路15を備えたアレイ導波路回折格子のチップ10と、光結合用のレンズ16と、フォトディテクター17とを備える。
第1の従来例のWDM光受信器において、入力導波路11に入力した光は、入力側スラブ導波路12で広がり、アレイ導波路13の各アレイ導波路に分配されて伝搬後、出力側スラブ導波路14に入力して干渉し、波長に応じて出力側スラブ導波路14の異なる位置に集光する。この集光した光は、集光位置に設置された出力マルチモード導波路15のいずれかのモードに結合して伝搬し、光結合レンズ16を介してフォトディテクター17に達して受光される。ここで集光位置に配置された出力マルチモード導波路15が、十分に多数のモードを伝搬できる設計であれば、その導波路幅の範囲に集光した光のいずれも出力マルチモード導波路15とほぼ損失なく結合するので、フォトディテクター16の受光特性としては、ある波長範囲で平坦な波長特性を得ることができる。
また石英材料から成る導波路は複屈折が極めて小さく、偏波に対してほぼ依存性の無い光学特性を得ることができるため、本従来例のWDM光受信器における受光特性の偏波依存性も十分抑えられている。
このように石英材料の平面光波回路による光波長分波回路は優れた光特性を提供するが、チップサイズの小型化には限界があり、近年の光通信デバイスの小型化要求に追従できなくなりつつあることが指摘されている。
一方、シリコン細線光導波路による光回路は、石英など従来の材料に比して回路サイズを飛躍的に小さくできる利点を有し、研究開発が盛んにおこなわれている。またシリコン光回路は、光細線導波路と一連の製造工程において、フォトディテクターを形成することが可能であり、光細線導波路とフォトディテクターを同一チップ内に集積することができる。よってWDM光受信器を飛躍的に小型、かつ簡易に作製できる技術として、注目されている。
しかしながら一般にシリコン光細線導波路は、きわめて大きな実効複屈折を有する。すなわち、合分波回路としてAWG(Arrayed Waveguide Gratings)やリング共振器を使う場合、入力する光がTE偏光とTM偏光によって分波の特性が大きく異なってしまい、入力信号の偏波に依存しない受信特性が求められるWDM受信器には、そのままでは適用できない。この問題を解決し、シリコン光回路によってWDM受信器を実現する手段として、偏波ダイバーシティ構成が提案されている。
図21は、第2の従来例による、偏波ダイバーシティ構成を適用したシリコン光回路によるWDM受信器の構成を示した平面図である。ここでWDM受信器は、シリコン光回路のチップ20上に2つの同一のアレイ導波路回折格子を備え、アレイ導波路回折格子は、入力導波路(21a,21b)、入力側スラブ導波路(22a,22b)、アレイ導波路(23,23b)、出力側スラブ導波路(24a、24b)、およびマルチモード導波路である出力導波路(25a,25b)を備える。また、シリコン光回路のチップ20上は、入力導波路26、および偏波分離回転回路27を備える。さらに、シリコン光チップ20にはフォトディテクター28も集積されたている。
第2の従来例のWDM光受信器において、入力導波路26に入力した光は、偏波分離回転回路27でTE偏波成分とTM偏波成分に分離され、更にTM偏波成分はTE偏波に回転されて出力される。2つのアレイ導波路回折格子はTE偏波成分に対して正しく動作するよう設計されており、偏波分離回転回路27から出力された2つのTE偏波光を波長分波する。ここで各アレイ導波路回折格子の同じ出力ポートに対応する2つ導波路(25a,25b)からの光は同一のフォトディテクター28に双方向から入力し、受光される構成になっている。すなわち第2の従来例のWDM光受信器に入力した光は、偏波によって分離され、それぞれアレイ導波路回折格子によって波長分波されて、同じ波長の2つの光は同一のフォトディテクター28に達するので、回路全体としては偏波依存性なく動作することができる。また出力導波路(25a,25b)はマルチモード導波路であるので、フォトディテクター28の受光特性としては、ある波長範囲で平坦な波長特性を得ることができる。
国際公開2003/083534号パンフレット 特開2004−361660号公報
W. D. Sacher et al, "Polarization rotator-splitters in standard active silicon photonics platforms", OPTICS EXPRESS, Vol. 22, pp.3779-3786, (2014)
しかしながら、図21を参照して説明したシリコン光回路によるWDM光受信器には、以下のような課題がある。
第1に、波長分波回路(従来例ではアレイ導波路回折格子を適用)が2回路必要となり、またこの2回路の分波波長を共に信号波長に一致させる必要があるため、波長分波回路が1つである場合に比べて回路の製造歩留りが劣化する。
第2に、偏波分離・回転回路と、2つの波長分波回路と、フォトディテクターとをシリコン光回路のチップ20上に設け、更にフォトディテクターには2方向から光を入力するように構成するため、回路レイアウトの自由度が低い。
本発明は、かかる問題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、偏波ダイバーシティ構成を必要とせず、単一の波長分波回路で偏波依存性を十分に低減した、シリコン光回路によるWDM光受信器を提供することにある。
このような目的を達成するために、本発明の第1の態様の光受信器は、入力導波路、入力側スラブ導波路、アレイ導波路、出力側スラブ導波路、マルチモード導波路である出力導波路、およびフォトディテクター106を備えた光受信器である。第1の態様の光受信器は、入力導波路と入力側スラブ導波路の間に、入力されたTE偏波の基底モード光をTE偏波の基底モード光のまま出力し、入力されたTM偏波の基底モード光をTE偏波の1次モード光に変換して出力する偏波変換回路をさらに備える。
また、一実施形態では、偏波変換回路は、リブ部分とフィン部分とを備えたリブ型シリコン導波路であり、フィン部分のコアの厚さがリブ部分のコアの厚さよりも薄く、また、フィン部分のコア幅が徐々に拡大するテーパ形状である。
さらに、一実施形態では、偏波変換回路と入力側スラブ導波路との間に、中間テーパ導波路をさらに備えることができる。また、一実施形態では、偏波変換回路は、幅が徐々に拡大するテーパ導波路とすることができる。テーパ導波路は、コアと下部クラッドおよび上部クラッドとから成る導波路あり、コアはシリコンで形成し、下部クラッドおよび上部クラッドはシリコンよりも屈折率の低い材料で形成することができる。テーパ導波路の上部近辺の領域において、上部クラッドは、コアの上部に接する第一層と、当該第一層の上部に形成された第二層とを有してもよい。上部クラッドの第一層は、シリコンよりも屈折率の低い材料で形成し、第二層は、下部クラッドを形成する材料および第一層を形成する材料より屈折率が高く、シリコンよりも屈折率の低い材料で形成してもよい。また、コアの上面と上部クラッドの第二層の下面との距離は、コアの厚さと同等か、コアの厚さよりも薄くすることができる。
さらにまた、一実施形態では、偏波変換回路は、リブ部分とフィン部分とをそれぞれ備え相互に接続された第1および第2のリブ型シリコン導波路であり、フィン部分のコアの厚さがリブ部分のコアの厚さよりも薄く、第1のリブ型シリコン導波路は、リブ部分のコアの幅およびフィン部分のコア幅が徐々に拡大するテーパ形状とし、第2のリブ型シリコン導波路は、リブ部分のコア幅が徐々に拡大し、フィン部分のコア幅が徐々に減少するテーパ形状とすることができる。
さらにまた、一実施形態では、偏波変換回路は、リブ部分とフィン部分とを備えたリブ型シリコン導波路であり、リブ型シリコン導波路は、入力側スラブ導波路に直接接続され、フィン部分のコアの厚さがリブ部分のコアの厚さよりも薄く、リブ部分のコアの幅およびフィン部分のコア幅が徐々に拡大するテーパ形状とすることとができる。
以上説明したように、本発明によれば、偏波ダイバーシティ構成を必要とせず、単一の波長分波回路で偏波依存性を十分に低減した、シリコン光回路によるWDM光受信器を提供することができる。また、本発明によれば、回路の製造歩留りの劣化を防ぎ、回路サイズを低減して回路レイアウトの自由度を拡大することができる。
本発明の第1の実施形態にかかるWDM光受信器の構成を示す平面図である。 本発明の第1の実施形態にかかるWDM光受信器の偏波変換回路の近傍を拡大した図である。 図2のA−A’断面線における断面図である。 図2のB−B’断面線における断面図である。 図2の偏波変換回路107の主要部分113における、導波路113bのコア幅の変化に対する、実効屈折率の計算結果を示す図である。 図5の第2モードに関して、各偏波成分の強度比率を計算した結果を示す図である。 本発明の第1の実施形態における各フォトディテクターの受光感度の波長依存性を示す図である。 本発明の第2の実施形態にかかるWDM光受信器の偏波変換回路107の近傍を拡大した図である。 図8のC−C’断面線における断面図である。 本発明の第2の実施形態にかかるWDM光受信器の偏波変換回路のテーパ導波路202のシリコンコアの幅に対する、実効屈折率の計算結果を示す図である。 図10の第2モードに関して、各偏波成分の強度比率を計算した結果を示す図である。 偏波変換の効率と、窒化シリコン領域の幅の関係を示す図である。 本発明の第2の実施形態にかかるWDM光受信器の偏波変換回路107の近傍を拡大した図である。 本発明の第3の実施形態にかかるWDM光受信器の偏波変換回路107の近傍を拡大した図である。 図14のD−D’断面線における断面図である。 図14の第1のリブ型導波路テーパの左端から第2のリブ型導波路テーパの右端の各位置における、実効屈折率を計算した結果を示す図である。 図16の第2モードに関して、各偏波成分の強度比率を計算した結果を示す図である。 本発明の第4の実施形態にかかるWDM光受信器の偏波変換回路107の近傍を拡大した図である。 本発明の第4の実施形態における各フォトディテクターの受光感度の波長依存性を示す図である。 従来技術における、WDM光受信器の構成を示す平面図である。 従来技術における、WDM光受信器の構成を示す平面図である。
まず、本発明の各種実施形態に係る光受信器の動作原理ついて説明する。本発明の各種実施形態に係る光受信器は、シリコン光細線導波路で構成されたアレイ導波路回折格子は単一であり、偏波分離回転回路は無く、アレイ導波路回折格子の入力導波路101と入力側スラブ導波路102との間に偏波変換回路107が挿入されている点において、上記の従来例2の光受信器と異なる。
本発明の各種実施形態に係る光受信器における偏波変換回路107は、入力したTE偏波の基底モード光を、そのままTE偏波の基底モード光として出力し、入力したTM偏波の基底モード光を、TE偏波の1次モード光に変換して出力するという機能を有する。アレイ導波路回折格子はTE偏波に対して正しく動作するよう設計されており、入力したTE偏波の基底モード光を、波長に応じて出力側スラブ導波路104の異なる位置に集光する。このとき集光した光の電界分布は、入力側スラブ導波路102に入力したTE偏波の基底モードが再構成される。一方、入力したTM偏波の基底モード光は、仮に偏波変換回路107が無ければ、TM偏波の基底モード光のままアレイ導波路回折格子に入り、TE偏波の基底モード光と同様の波長分波はできないが、偏波変換回路107により、TE偏波の1次モード光に変換され、波長に応じてTE偏波の基底モード光と同じ位置に集光する。ただしこのとき集光した光の電界分布はTE偏波の1次モードが再構成される。
さらに、波長に応じて出力側スラブ導波路104の異なる位置に集光した光は、集光位置に設置された出力マルチモード導波路105のいずれかのモードに結合して伝搬し、フォトディテクター106に達して受光されるが、出力導波路(マルチモード導波路)105が、十分に多数のモードを伝搬できる設計であれば、TE偏波の基底モード光もTE偏波の1次モード光のいずれも出力導波路105とほぼ損失なく結合するので、フォトディテクター106に受光される光の波長特性は、ほとんど偏波に依存しないことになる。すなわち本発明によれば、単一のアレイ導波路回折格子だけを用いながら、偏波依存性のほとんどない受光特性の光受信回路を実現できる。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳細に説明する。
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る光受信器100の構成を示す平面図である。本実施形態の光受信器100は、入力導波路101と、入力側スラブ導波路102と、アレイ導波路103と、出力側スラブ導波路104と、マルチモード導波路である出力導波路105と、フォトディテクター106とを備える。また光受信器100は、入力導波路101と入力側スラブ導波路102を光学的に接続する偏波変換回路107を備える。
偏波変換回路107は、入力導波路101から入力したTE偏波の基底モード光を、そのままTE偏波の基底モード光として入力側スラブ導波路102に出射し、入力導波路101から入力したTM偏波の基底モード光を、TE偏波の1次モード光に変換して入力側スラブ導波路102に出射する機能を有する。
光受信器100は、シリコン光細線導波路(入力導波路101、アレイ導波路103、出力導波路105)のコア厚0.22μmであり、入力導波路101およびアレイ導波路103のコア幅は0.5μmであり、出力導波路105のコア幅は3μmである。シリコン光細線導波路のクラッド材料は石英である。アレイ導波路103の本数は75本で、導波路長は、内側から外側に向かって一定量ΔLずつ順次長くなるよう設計され、ΔLは11.73μmである。また入力側スラブ導波路102、出力側スラブ導波路104の長さは110μm、出力側スラブ導波路104に接続する部分における出力導波路105の配列間隔は4.5μm、入力側スラブ導波路102および出力側スラブ導波路104に接続する部分におけるアレイ導波路103の導波路間隔は1.2μmである。出力導波路105の本数すなわち分波のポート数は4であり、ポート間の合分波光周波数間隔が800GHzとなるように設計されている。
図2は、入力導波路101と入力側スラブ導波路102を光学的に接続する偏波変換回路107とその近傍を詳しく示した平面図である。偏波変換回路107は、その主要部分113において、図上左(入力導波路101側)から入力したTM偏波の基底モード光を、TE偏波の1次モード光に変換して図上右(入力側スラブ導波路102側)より出力し、図上左から入力したTE偏波の基底モード光を、TE偏波の基底モード光のまま図面上右より出力する。主要部分113は、中央のリブ部113aと、周辺フィン部113bから成るリブ型シリコン導波路(図4参照)で形成され、周辺フィン部113bのコア幅は幅がw1からw2まで広がるテーパ導波路になっている。中央のリブ部113aのコア幅は一定である。偏波変換回路107の主要部分113の前段(図上左)には、入力導波路101をリブ導波路113へ滑らかに接続するリブ型−チャネル型変換導波路が設けられている。リブ型−チャネル型変換導波路は、チャネル型からリブ型に導波路構造を変換する部分(リブ型導波路)111、リブ型導波路の中央部のコア幅を変化させる部分(リブ型導波路)112から構成されている。このリブ型−チャネル型変換導波路(111,112)は、偏波変換の機能には直接寄与しないが、前後に接続される入力導波路101の構造と主要部分113の構造の不連続性を解消し、光過剰損失を抑制する効果があり、設置されることが好ましい。
ここで偏波変換回路107のリブ型導波路113は、長さ(光の伝播方向の長さ、以下同様)が100μm、リブ部のコア幅が0.15μm、フィン部のコア幅が拡大するように変化しており、リブ型導波路112との境界におけるフィン部のコア幅がw1=0.9μm、入力側スラブ導波路102との境界におけるコア幅がw2=1.8μmである。リブ型−チャネル型変換導波路111および112においては、リブ型導波路111は、長さが50μm、リブ部のコア幅が0.5μm、フィン部のコア幅が0.5μmから0.9μmへ拡大するように変化しており、リブ型導波路112は、長さが200μm、リブ部のコア幅が0.5μmから0.15μmに変化させており、フィン部のコア幅は0.9μmである。
図3は、図2の入力導波路101のA−A’断面線における断面の回路構造を示す。チャネル型導波路のコアである入力導波路101は、シリコン基板123上において上部クラッド121および下部クラッド122に埋め込まれた導波路である。入力導波路101は、シリコンで形成されている。上部クラッド121および下部クラッド122は、ともに石英ガラスで形成されている。入力導波路101は、コア厚が0.22μm、上部クラッド121の厚さは1.5μm、下部クラッド122の厚さ(シリコン基板123から入力導波路101との間の距離に相当)が2μmである。
図4は、図2の偏波変換回路107のリブ型導波路113のB−B’断面線における断面での回路構造を示す。シリコンで形成されたリブ型導波路のリブ部コア113aおよびフィン部コア113bが、シリコン基板133上において下部クラッド132および上部クラッド131に埋め込まれている。上部クラッド131および下部クラッド132は、石英ガラスで形成されている。シリコン基板133、上部クラッド131および下部クラッド132は、図2におけるシリコン基板123、上部クラッド121および下部クラッド122にそれぞれ対応する。リブ部113aのコア厚さが0.22μm、フィン部113bのコア厚さが0.06μm、上部クラッド131の厚さが1.5μm、下部クラッド132の厚さが2μmである。リブ型−チャネル型変換導波路を構成する、リブ型導波路111および112についてもリブ型導波路113と同様の断面の回路構造を有しており、リブ部およびフィン部のコア厚さは、リブ型導波路113と同じである。
図5は、偏波変換回路107の主要部分113の機能を説明する図で、リブ型導波路のフィン部のコア幅wに対する、実効屈折率を計算した結果を示す図である。ここで材料、および導波路の断面構造は、図4を参照して説明したものと同様とし、フィン部のコア幅wだけを変化させて実効屈折率を3つまで算出している。ここで第1モードはwによらずTE偏波の基底モードが保持されるが、第2モードおよび第3モードはコア幅wの変化によってTE偏波成分とTM偏波成分が混合した複合モードになっている。コア幅wが0.8μm付近のときは、第2モードはほぼTM偏波の基底モード、第3モードはほぼTE偏波の1次モードになっている。一方、コア幅wが2.4μm付近のときは、第2モードはほぼTE偏波の1次モード、第3モードはほぼTM偏波の基底モードに入れ替わる。
図6は、図5における特に第2モードの計算結果から、TE偏波成分とTM偏波成分の強度比を表したものである。コア幅wが増大するにつれて、TM偏波成分の強度比が減少し、TE偏波成分の強度比が増加し、TM偏波成分とTE偏波成分が入れ替わる様子がわかる。偏波変換回路107の主要部分113は、フィン部のコア幅の狭い側(リブ型導波路112との境界側)のコア幅w1と、広い側(入力側スラブ導波路102との境界側)のコア幅w2とが、この第2モードの偏波成分が入れ替わる領域をなるべく含むように設計されている。つまり、コア幅w1は第2のモードがほぼTM偏波の基底モードになるような幅に、コア幅w2は第2のモードがほぼTE偏波の1次モードになるような幅に設定される。具体的に本実施形態では、上述したようにw1=0.9μm、w2=1.8μmである。図2においてリブ型導波路である主要部分113の左からTM偏波の基底モードの光が入力した場合、コア幅がw1からw2に徐々に拡大することで、伝搬する光波はTM偏波の基底モードからTE偏波の1次モードに変換され、右側から出力する。
本実施形態の光受信器において、入力導波路101に入力したTE偏波の基底モード光は、そのまま入力側スラブ導波路102に入力し、TE偏波の基底モード光は、アレイ導波路103により各アレイ導波路に分配されて結合し、アレイ導波路103を伝搬した後、出力側スラブ導波路104に入力して干渉し、波長に応じて出力側スラブ導波路104の異なる位置に集光する。このとき集光した光の電界分布は入力側スラブ導波路102に入力したTE偏波の基底モードが再構成される。この集光した光は、出力側スラブ導波路104の集光位置に設置された出力導波路(マルチモード導波路)105のいずれかのモードに結合して伝搬し、フォトディテクター106に達して受光される。この時、出力導波路105のどの導波路にどの波長域の光が結合するか、すなわちフォトディテクター106のどのディテクターにどの波長域の光が受光されるかは、アレイ導波路103で付与される光の遅延量によって決まる。
ここで入力導波路101にTM偏波の基底モード光が入力した場合、仮に偏波変換回路107が無ければ、TM偏波の基底モード光のまま入力側スラブ導波路102に入力し、TM偏波の基底モード光は、入力側スラブ導波路102により各アレイ導波路に分配されて結合する。アレイ導波路103を伝搬するのはTM偏波の基底モード光であるため、TE偏波とは付与される遅延量が異なり、各ディテクターに受光される波長域も異なってしまう。
しかし、偏波変換回路107を設けることにより、TM偏波の基底モード光はTE偏波の1次モード光に変換され、入力側スラブ導波路102に入力する。この場合、TE偏波の1次モード光は、アレイ導波路103により各アレイ導波路に分配されて結合し、アレイ導波路103を伝搬するため、アレイ導波路103において付与される遅延量は、入力導波路101でTE偏波を入力した場合と全く同じになる。よって出力側スラブ導波路104において干渉し、波長に応じて集光する位置も同じである。このとき集光した光の電界分布は入力側スラブ導波路102に入力したTE偏波の1次モードが再構成される。この集光した光は、集光位置に設置された出力導波路(マルチモード導波路)105のいずれかのモードに結合して伝搬し、フォトディテクター106に達して受光される。
つまり本実施形態の光受信器によれば、ある波長のTE偏波の基底モード光が入力した場合には、その波長に応じた集光位置にTE偏波の基底モード光の電界分布が再構成され、同じ波長のTM偏波の基底モード光が入力した場合には、TE偏波の基底モード光の時と同じ集光位置に、TE偏波の1次モード光の電界分布が再構成される。ここで集光位置に配置されたマルチモード導波路である出力導波路105が、十分に多数のモードを伝搬できる設計であれば、TE偏波の基底モード光もTE偏波の1次モード光のいずれも出力導波路105とほぼ損失なく結合するので、フォトディテクター106に受光される光の波長特性は、ほとんど偏波依存性が無いと言える。
図7は、本実施形態の光受信器において、入力光がその波長に応じて出力側スラブ導波路104での集光位置およびその電界分布と、出力導波路(マルチモード導波路)105との光結合から計算した、フォトディテクター106のそれぞれの受光感度の波長依存性を示す。ここで図1に示された4つのフォトディテクター106を、上からフォトディテクター1、2、3および4と呼んでいる。図7において、実線は入力光がTE偏波の基底モード光である場合の受光感度であり、破線は入力光がTM偏波の基底モード光である場合の受光感度を表す。また、受光感度は各フォトディテクターの波長中心における感度を基準とした相対感度で表している。図7より、フォトディテクターの受光感度の波長依存性は入力偏波が、TE偏波であるかTM偏波であるかに依らず、ほぼ同様で、かつ従来のWDM光受信器と同様に平坦な波形を得ることができる。
以上説明したように、本実施形態の光受信器により、偏波ダイバーシティ構成を必要とせず、単一の波長分波回路で偏波依存性を十分に低減したWDM光受信器を実現することができる。
[第2の実施の形態]
本発明の第2の実施形態に係る光受信器について説明する。本実施形態における光受信器の全体構成は第1の実施の形態の光受信器と同様で、図1に示した通りであり、アレイ導波路回折格子の設計パラメータも第1の実施の形態で例示したものと同様である。本実施形態の光受信器は、偏波変換回路107の構成が第1の実施形態の場合(図2等参照)と異なる。
図8は、本実施形態に係る光受信器の偏波変換回路107とその近傍を詳しく示した平面図である。偏波変換回路107は、コア幅がw1からw2まで広がるテーパ導波路である主要部分202を含む。主要部分(テーパ導波路)202は、出力側が入力側スラブ導波路102の入力側に接続され、また入力側が、入力導波路101と主要部分(テーパ導波路)202とを滑らかに接続する第2のテーパ導波路201の出力側に接続されている。テーパ導波路202および第2のテーパ導波路201は、入力導波路101と同様のチャネル型導波路である。
主要部分であるテーパ導波路202は、長さが50μm、入力導波路101側(第2のテーパ導波路側)のコアの幅がw1=0.64μm、入力側スラブ導波路102側のコアの幅がw2=0.74μmである。入力導波路101のコアの幅は0.5μm、第2のテーパ導波路201の長さは15μmである。
本実施形態の光受信器は、主要部分(テーパ導波路)202の上部(シリコン基板側の反対側、以下同様)に形成された窒化シリコンSi3N4の層を有する。図8において、領域204は、この窒化シリコンSi3N4の層が形成された領域を示す。加えて、本実施形態の光受信器は、第2のテーパ導波路201および入力側スラブ導波路102の上部に、窒化シリコンで形成されたテーパ構造の領域203および205が、それぞれ窒化シリコンSi3N4の層の領域204と接続して配置される。これは、シリコン導波路(201,202,102)の上部クラッドと下部クラッドとの間に屈折率の非対称性を生じさせ、これが摂動となりTM偏波の基底モードからTE偏波の1次モードへの偏波変換を生じさせるためである。
ここでテーパ構造の領域203は、入力導波路側から幅が0.2μmからw1=0.64μmまで変化する。テーパ構造の領域205は、主要部分202側から幅がw2=0.74μmから0.2μmまで変化する。このテーパ構造の領域203および205は、偏波変換の動作には直接寄与しないが、第2のテーパ導波路201と主要部分202、および主要部分202と入力側スラブ導波路102との接続部におけるモード不整合を緩和し、過剰損失の発生を抑える効果がある。すなわち、光エネルギーの反射や放射の原因となるモード不整合(テーパ構造間の構造の不連続性)を緩和することで、光エネルギーの反射や放射に起因する過剰損失の発生を抑制することができる。
図9は、図8の主要部のC−C’断面線における断面での回路構造を示す。シリコンで形成された主要部分(テーパ導波路)202のコアが、シリコン基板213上において下部クラッド212および上部クラッド211に埋め込まれている。上部クラッド211は、上部クラッドの第1層214と、上部クラッドの第二層204とを含む。下部クラッド212および上部クラッドの第1層214はともに石英で形成されている。上部クラッドの第二層204は、窒化シリコンで形成されている。第二層204は、下部クラッド212を形成する材料および第一層214を形成する材料より屈折率が高く、シリコンよりも屈折率の低い材料であれば良い。
主要部分(テーパ導波路)202は、コア厚さが0.22μm、上部クラッド211の厚さは1.5μm、下部クラッド212の厚さが2μmである。上部クラッドの第二層204の厚さが0.5μmであり、テーパ導波路202のコア上面から第二層204の下面までの上部クラッドの第一層214の厚さが0.1μmとなっている。このように、コア202の上面と第二層204の下面との距離は、コアの厚さと同等かそれよりも薄くてもよい。
ここで偏波変換回路107の適切な動作のためには、主要部分(テーパ導波路)202を伝搬する光が、テーパ導波路の上下の屈折率の非対称性を感じることが必要である。そのため、上部クラッドの第二層(窒化シリコン)204の幅は、テーパ導波路202の幅に比較して十分広いことが望ましく、本実施形態では2μmに設定されている。
図10は、偏波変換回路107の主要部分202の機能を説明する図で、シリコンのテーパ導波路202のコア幅wに対する、実効屈折率を計算した結果を示す図である。ここで材料、および導波路の断面構造は図9を参照して説明したものと同様とし、テーパ導波路202のコア幅wだけを変化させて実効屈折率を3つまで算出している。ここで第1モードはwによらずTE偏波の基底モードが保持されるが、第2モードおよび第3モードはコア幅wの変化によってTE偏波成分とTM偏波成分が混合した複合モードになっている。コア幅wが0.64μm付近のときは、第2モードはほぼTM偏波の基底モード、第3モードはほぼTE偏波の1次モードになっている。一方、コア幅wが0.74μm付近のときは、第2モードはほぼTE偏波の1次モード、第3モードはほぼTM偏波の基底モードに入れ替わる。
図11は、図10における特に第2モードの計算結果から、TE偏波成分とTM偏波成分の強度比を表したものである。コア幅wが増大するにつれて、TM偏波成分の強度比が減少、TE偏波成分の強度比が増加し、TM偏波成分とTE偏波成分が入れ替わる様子がわかる。偏波変換回路107の主要部分202は、本実施形態では、コア幅がw1=0.64μm、コア幅がw2=0.74μmと設定され、狭い側(第2のテーパ導波路側との境界側)のコア幅w1、広い側(入力側スラブ導波路102との境界側)のコア幅w2が、この第2モードの偏波成分が入れ替わる領域をなるべく含むように設計されている。つまり、コア幅w1は第2のモードがほぼTM偏波の基底モードになるような幅に、コア幅w2は第2のモードがほぼTE偏波の1次モードになるような幅に設定されている。
よって図8において入力導波路101から入力したTE偏波の基底モード光は、そのまま偏波変換回路107を通過して入力側スラブ導波路102に入力し、入力導波路101から入力したTM偏波の基底モード光は、テーパ導波路202を伝搬する過程でTE偏波の1次モード光に変換され、入力側スラブ導波路102に入力する。
従って本実施形態の光受信器においても、第1の実施形態の光受信器と同様の動作によって、ある波長のTE偏波の基底モード光が入力した場合には、その波長に応じた集光位置にTE偏波の基底モード光の電界分布が再構成され、同じ波長のTM偏波の基底モード光が入力した場合には、TE偏波の基底モード光の時と同じ集光位置に、TE偏波の1次モード光の電界分布が再構成される。さらにTE偏波の基底モード光もTE偏波の1次モード光のいずれもマルチモード導波路である出力導波路(マルチモード導波路)105とほぼ損失なく結合するので、フォトディテクター106での受光感度の波長依存性は偏波に依らずほぼ同様で、かつ従来のWDM光受信器と同様に平坦な波形を得ることができる。
加えて本実施形態の光受信器における偏波変換回路107は、第1の実施形態の光受信器のものと比較して、入力側スラブ導波路102との構造連続性が良く、偏波変換回路107と入力側スラブ導波路102との接合部分において反射や損失の生成が抑えられるという利点も有する。
以上から、本実施形態の光受信器により、偏波ダイバーシティ構成を必要とせず、単一の波長分波回路で偏波依存性を十分に低減し、かつ反射あるいは損失特性に優れた、WDM光受信器を実現することができる。
ここで、本実施形態においては、窒化シリコンで形成された上部クラッドの第二層204の幅を2μmに設定する例を示したが、本願発明は、この数値例に限定されるものではない。図12は、本実施形態の光受信器において、上部クラッドの第二層204の幅を変化させた場合の、偏波変換回路107における偏波変換の効率を示している。横軸は具体的に上部クラッドの第二層204の幅が、シリコンのテーパ導波路202のコア幅w2=0.74μmの何倍に当たるかを示している。図12から理解されるように、上部クラッドの第二層204の幅は、テーパ導波路202のコア幅w2の1.5倍以上あることが好ましい。上部クラッドの第二層204の幅=2μmはこの条件を満足し、100%に近い偏波変換が実現される。
また図13は、本実施形態の変形例として、偏波変換回路107の構成をわずかに変えた例を示したものである。具体的にはシリコンのテーパ導波路202と入力側スラブ導波路102の間に、更に第3のテーパ導波路221が設けられている。ここで第3のテーパ導波路221は、導波路のコアの幅をw2から更に拡大し、入力側スラブ導波路102に接続するものであり、TE偏波の基底モードの光とTE偏波の1次モードの光の両方が伝搬可能である。第3のテーパ導波路221は、テーパ導波路202および第2のテーパ導波路201と同様のチャネル型導波路である。第3のテーパ導波路221を、偏波変換回路と入力側スラブ導波路とを滑らかに接続する中間テーパ導波路とすることができる。よって第3のテーパ導波路221の設置により、光受信器の動作に何ら変化はないが、入力側スラブ導波路102に接続する導波路の開口幅を第3のテーパ導波路221によってある程度調整することが可能であるため、アレイ導波路回折格子の設計に自由度を持たせることができる点で好ましい。
[第3の実施の形態]
本発明の第3の実施形態に係る光受信器について説明する。本実施形態における光受信器の全体構成は、第1の実施の形態あるいは第2の実施の形態の光受信器と同様で、図1に示した通りであり、アレイ導波路回折格子の設計パラメータも第1の実施の形態で例示したものと同様である。本実施形態の光受信器は、偏波変換回路107の構成が第1の実施形態の場合(図2等参照)と異なる。なお、本実施形態における偏波変換回路107は非特許文献1にて報告されているものである。
図14は、本実施形態に係る光受信器の偏波変換回路107とその近傍を詳しく示した平面図である。入力導波路101と入力側スラブ導波路102との間に挿入された偏波変換回路107は、第1のリブ型導波路テーパ(301,302)と、第2のリブ型導波路テーパ(303,304)とを備える。第1のリブ型導波路テーパは、リブ部分301とリブ部分301の周辺のフィン部分302とを有する。リブ部分301は、左端が入力導波路101に接続され、左端の幅が入力導波路101の幅に等しく、右端の幅がw1に変化するテーパ形状である。第1のリブ型導波路テーパのフィン部分302は、左端の幅がリブ部分301の左端の幅(すなわち、入力導波路101の幅)に等しく、右端の幅がw3に変化するテーパ形状である。第2のリブ型導波路テーパは、リブ部分303とリブ部分303の周辺のフィン部分304とを有する。第2のリブ型導波路テーパのリブ部分303は、左端が第1のリブ型導波路テーパのリブ部分301の右端に接続し、左端の幅がw1であり、右端の幅がw2に変化するテーパ形状である。第2のリブ型導波路テーパのフィン部分304は、左端の幅はw3であり、右端の幅がw2に減少するテーパ形状である。
本実施形態において入力導波路101の幅が0.5μmであり、第1のリブ型導波路テーパ(301,302)の長さが50μm、幅がw1=0.55μm、w3=1.2μmであり、第2のリブ型導波路テーパ(303,304)の長さが50μm、幅がw2=0.85μmである。
図15は、図14の偏波変換回路107のD−D’断面線における断面での回路構造を示す。シリコンで形成された第2のリブ型導波路テーパのリブ部分のコア303およびフィン部分のコア304が、シリコン基板313上において下部クラッド312および上部クラッド311に埋め込まれている。上部クラッド311および下部クラッド312ははともに石英で形成されている。リブ部分のコア303の厚さが0.22μm、フィン部分のコア304の厚さが0.15μm、上部クラッド311の厚さが1.5μm、下部クラッド312の厚さが2μmである。第1のリブ型導波路テーパの回路構造の断面は、第2のリブ型導波路テーパと同様である。
図16は、偏波変換回路107の機能を説明する図で、第1のリブ型導波路テーパの左端(入力導波路101との接続端)から第2のリブ型導波路テーパの右端までの各位置(第1のリブ型導波路テーパの左端より0, 5, 10, 15, 20, 35, 50, 75, 100μmの位置)における実効屈折率を計算した結果を示す図である。ここで計算では実効屈折率を3つまで算出している。ここで第1モードは位置によらずTE偏波の基底モードが保持されるが、第2モードおよび第3モードは導波路を進むにつれてTE偏波成分とTM偏波成分が混合した複合モードになっている。位置が0μmのときは、第2モードはほぼTM偏波の基底モード、第3モードはほぼTE偏波の1次モードになっており、一方、位置が50μmでは、第2モードはほぼTE偏波の1次モード、第3モードはほぼTM偏波の基底モードに入れ替わる。
図17は、図16おける特に第2モードの計算結果から、TE偏波成分とTM偏波成分の強度比を表したものである。光が偏波変換回路107を進むにつれて、TM偏波成分の強度比が減少し、TE偏波成分の強度比が増加し、TM偏波成分とTE偏波成分が入れ替わる様子がわかる。
よって、図14において入力導波路101から入力したTE偏波の基底モード光は、そのまま偏波変換回路107を通過し、入力導波路101から入力したTM偏波の基底モード光は、偏波変換回路107を伝搬する過程でTE偏波の1次モード光に変換される。
更に本実施形態では、偏波変換回路107と入力側スラブ導波路102との間に第3のテーパ導波路305が設けられている。第3のテーパ導波路305は、導波路の幅をw2から更に拡大し、入力側スラブ導波路(102)に接続するものであり、TE偏波の基底モード光とTE偏波の1次モード光の両方が伝搬可能である。第3のテーパ導波路305は、チャネル型シリコン導波路である。第2のリブ型導波路テーパと第3のテーパ導波路305とを接続した構成を、偏波変換回路と入力側スラブ導波路とを滑らかに接続する中間テーパ導波路とすることができる。よって第3のテーパ導波路305の設置により、光受信器の動作に何ら変化はないが、入力側スラブ導波路102に接続する導波路の開口幅を第3のテーパ導波路305によってある程度調整することが可能であるため、アレイ導波路回折格子の設計に自由度を持たせることができる点で好ましい。
以上より本実施形態の光受信器においても、第1の実施形態あるいは第2の実施形態の光受信器と同様の動作によって、ある波長のTE偏波の基底モード光が入力した場合には、その波長に応じた集光位置にTE偏波の基底モード光の電界分布が再構成され、同じ波長のTM偏波の基底モード光が入力した場合には、TE偏波の時と同じ集光位置に、TE偏波の1次モード光の電界分布が再構成される。さらにTE偏波の基底モード光もTE偏波の1次モード光のいずれも出力導波路(マルチモード導波路)105とほぼ損失なく結合するので、フォトディテクター106での受光感度の波長依存性は偏波に依らずほぼ同様で、かつ従来のWDM光受信器と同様に平坦な波形を得ることができる。
加えて本実施形態の光受信器における偏波変換回路107は、第1の実施形態のものに比較して、入力側スラブ導波路102との構造連続性が良く、偏波変換回路107と入力側スラブ導波路102との接合部分において反射や損失の生成が抑えられるという利点も有する。
以上から、本実施例の光受信器により、偏波ダイバーシティ構成を必要とせず、単一の波長分波回路で偏波依存性を十分に低減し、かつ反射あるいは損失特性に優れた、WDM光受信器を実現することができる。
また図18は、本実施形態の変形例として、偏波変換回路107の構成をわずかに変えた例を示したものである。具体的には第2のリブ型導波路テーパ(303,304)において、フィン部分304の幅が入力側スラブ導波路102に向かってw4まで更に拡大する点、また第3のテーパ導波路305は存在せず、第2のリブ型導波路テーパが入力側スラブ導波路102に直接接続している点で図14の偏波変換回路107の構成と異なる。この変形例の第2のリブ型導波路テーパの設計の例としては、w2=1.0μm、w3=2.0μm、長さ100μmである。
図18に示す偏波変換回路107は、本実施形態の図14のものに比較して、入力側スラブ導波路102との構造連続性が更に良く、偏波変換回路107と入力側スラブ導波路102との接合部分において反射や損失の生成が更に抑えられるという利点を有する。
[第4の実施の形態]
本発明の第4の実施形態に係る光受信器について説明する。本実施形態における光受信器の構成は、第3の実施形態と同様であるが、受信するWDM信号の波長間隔が異なる例を説明する。本実施形態の光受信器の回路全体の構成は、図1の通りであり、出力導波路105のコア幅が3μm、出力側スラブ導波路104に接続する部分の出力導波路105の配列間隔が4.5μm、出力導波路105の本数が4、入力側スラブ導波路102および出力側スラブ導波路104に接続する部分のアレイ導波路103の導波路間隔が1.2μmであることは同様であるが、ポート間の合分波光波長間隔は20nmとなるように設計されている。そこで、アレイ導波路103の本数は40本で、内側の導波路より一定量ΔLずつ順次長くなるよう設計され、ΔLは3.88μm、入力側スラブ導波路(102)および出力側スラブ導波路(104)の長さは64μmである。
図19は、本実施形態の光受信器において、フォトディテクター106のそれぞれの受光感度の波長依存性を計算した結果を示す図である。ここで図1に示された4つのフォトディテクター106を、上からフォトディテクター1、2、3および4と呼んでいる。実線は入力光がTE偏波の基底モード光である場合の受光感度であり、破線は入力光がTM偏波の基底モード光である場合の受光感度を表す。また、受光感度は各フォトディテクターの波長中心における感度を基準とした相対感度で表している。他の実施形態と同様に、受光感度の波長依存性は、入力偏波がTE偏波であるかTM偏波であるかに依らず、ほぼ同様で、平坦な波形を得ることができる。またアレイ導波路回折格子の設計パラメータを変えるだけで、波長間隔20nmのような広波長間隔のWDM受信器も実現できることがわかる。
以上、種々の実施の形態から、本発明により、受光感度の波長依存性は偏波に依らずほぼ同様で、かつ従来のWDM光受信器と同様に平坦な波形を得ることができるところの、光受信器が実現できることを示した。
上記の実施の形態では、上部クラッド、および下部クラッドの材料として石英ガラスを用いたが、本発明の適用範囲は、この材料に限定されるものではない。シリコンより屈折率の低い材料で形成されれば良い。
上記の実施の形態では、上部クラッドおよび下部クラッドの厚さとして特定の数値を用いたが、本発明の適用範囲は、この数値に限定されるものではなく、コアと同程度以上の厚さがあればよい。
上記の実施の形態の光受信器における偏波変換回路部分では、シリコン導波路の設計パラメータを特定の値に限定したが、本発明の適用範囲は、このパラメータに限定されるものではない。TM偏波の基底モード光とTE偏波の1次モード光の間で変換が生じるシリコン導波路のコア幅の構造は、コアの厚さおよび幅、上部クラッドおよび下部クラッドの材料の屈折率によって決まる。
第1、第3、第4の実施形態におけるリブ型導波路のフィン部のコアの厚さも特定の値に限定されるものではないが、リブ部分のコアの厚さに匹敵する厚さになると、1次モード以上の不要な高次モードが発生し、特性の劣化を招く可能性がある。よって高次モード抑制の観点では、フィン部分のコアの厚さは、第1の実施形態においてはリブ部分のコアの厚さの1/3程度以下に、第3、第4の実施形態においてはリブ部分のコアの厚さの3/4程度以下に設定するのが好ましい。
また上記の実施の形態では、他の回路との接続性の観点から、入力導波路はシングルモード導波路であるか、シングルモード導波路に光学的に接続していることが好ましい。シリコン導波路のシングルモード条件は、上部クラッド、および下部クラッドの各材料の屈折率によって異なるが、最も一般的な石英をクラッドに用いた場合、チャネル型であれば、概ね導波路コアの断面積が0.2μm2以下であることが必要である。
10 アレイ導波路回折格子のチップ
11,21,26,101 入力導波路
12,22,102 入力側スラブ導波路
13,23,103 アレイ導波路
14,24,104 出力側スラブ導波路
15,25,105 出力導波路(マルチモード導波路)
16 光結合レンズ
17,28,106 フォトディテクター
20 シリコン光回路のチップ
27 偏波分離回転回路
100 光受信器
107 偏波変換回路
111,112 チャネル型−リブ型導波路変換回路
113 偏波変換回路の主要部分
113a リブ型導波路のリブ部分
113b リブ型導波路のフィン部分
121,131,211,311 上部クラッド
122,132,212,312 下部クラッド
123,133,213,313 シリコン基板
201 第2のテーパ導波路
202 テーパ導波路
203,205 テーパ構造
204 窒化シリコンの層(上部クラッドの第2層)
214 上部クラッドの第1層
221,305 第3のテーパ導波路
301 第1のリブ型導波路テーパのリブ部分
302 第1のリブ型導波路テーパのフィン部分
303 第2のリブ型導波路テーパのリブ部分
304 第2のリブ型導波路テーパのフィン部分

Claims (2)

  1. 入力導波路、入力側スラブ導波路、アレイ導波路、出力側スラブ導波路、マルチモード導波路である出力導波路、およびフォトディテクターを備えた光受信器であって、
    前記入力導波路と前記入力側スラブ導波路の間に、入力されたTE偏波の基底モード光をTE偏波の基底モード光のまま出力し、入力されたTM偏波の基底モード光をTE偏波の1次モード光に変換して出力する偏波変換回路をさらに備え
    前記偏波変換回路は、幅が徐々に拡大するテーパ導波路であり、前記テーパ導波路は、コアと下部クラッドおよび上部クラッドとから成る導波路であり、前記コアはシリコンで形成され、前記下部クラッドおよび前記上部クラッドは、シリコンよりも屈折率の低い材料で形成され、
    前記テーパ導波路の上部近辺の領域において、前記上部クラッドは、前記コアの上部に接する第一層と前記第一層の上部に形成された第二層とを有し、前記第一層は、シリコンよりも屈折率の低い材料で形成され、前記第二層は、前記下部クラッドを形成する材料および前記第一層を形成する材料より屈折率が高く、シリコンよりも屈折率の低い材料で形成され、前記コアの上面と前記第二層の下面との距離は、前記コアの厚さと同等か、前記コアの厚さよりも薄い、ことを特徴とする光受信器。
  2. 前記偏波変換回路と前記入力側スラブ導波路との間に、中間テーパ導波路をさらに備えること、を特徴とする請求項に記載の光受信器。
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