以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
〔遊技機の基本構成〕
図1は、本実施の形態に係るパチンコ遊技機100の概略正面図である。
図1に示す遊技機の一例としてのパチンコ遊技機100は、遊技者の指示操作により打ち出された遊技球が入賞すると賞球を払い出すように構成されたものである。このパチンコ遊技機100は、遊技球が打ち出される遊技盤110と、遊技盤110を囲む枠部材150とを備えている。遊技盤110は、枠部材150に着脱自在に取り付けられている。
遊技盤110は、前面に、遊技球により遊技を行うための遊技領域111と、下方から発射された遊技球が上昇して遊技領域111の上部位置へ向かう通路を形成するレール部材112と、遊技領域111の右側に遊技球を案内する案内部材113とを備えている。
本実施の形態では、遊技者により視認され易い遊技領域111の位置に、演出のための各種の画像を表示する画像表示部114が配設されている。この画像表示部114は、液晶ディスプレイ等による表示画面を備え、遊技者によるゲームの進行に伴い、例えば、図柄抽選結果(図柄変動結果)を遊技者に報知するための装飾図柄を表示したり、キャラクタの登場やアイテムの出現による演出画像や後述の保留表示を用いた演出画像を表示したりする。
また、遊技盤110の前面に、各種の演出に用いられる可動役物115および盤ランプ116を備えている。可動役物115は、遊技盤110上で動作することにより各種の演出を行い、また、盤ランプ116は、発光することで各種の演出を行う。
遊技領域111には、遊技球が落下する方向に変化を与えるための図示しない遊技くぎおよび風車等が配設されている。また、遊技領域111には、入賞や抽選に関する種々の役物が所定の位置に配設されている。また、遊技領域111には、遊技領域111に打ち出された遊技球のうち入賞口に入賞しなかったものを遊技領域111の外に排出する排出口117が配設されている。
本実施の形態では、入賞や抽選に関する種々の役物として、遊技球が入賞すると特別図柄抽選(大当たり抽選)が始動する第1始動口121および第2始動口122と、遊技球が通過すると普通図柄抽選(開閉抽選)が始動する始動ゲート(以下、単にゲートと呼ぶ)124と、が遊技盤110に配設されている。なお、図1において、ゲート124は、遊技領域111の左右にそれぞれ設けられており、左側のゲート124は124Lと記載し、右側のゲート124は124Rと記載している。また、ここにいう第1始動口121および第2始動口122とは、予め定められた1の特別図柄表示器の作動契機となる入賞口をいう。具体的には、第1始動口121および第2始動口122には、入賞の際に遊技球の通過を検知するスイッチ(後述の第1始動口スイッチ211および第2始動口スイッチ212)が設けられている。そして、第1始動口121または第2始動口122に遊技球が入賞した際にこのスイッチが遊技球の通過を検知することが、特別図柄表示器を作動させる契機となる。
第2始動口122は、チューリップの花の形をした一対の羽根が電動ソレノイドにより開閉すると共に点灯する普通電動役物としての電動チューリップ(開閉部材)123を備えている。電動チューリップ123は、羽根が閉じていると、遊技球が第2始動口122へ入り難い一方で、羽根が開くと第2始動口122の入口が拡大して遊技球が第2始動口122へ入り易くなるように構成されている。そして、電動チューリップ123は、普通図柄抽選に当選すると、点灯ないし点滅しながら羽根が規定時間(例えば0.15秒ないし1.8秒間)および規定回数(例えば1回ないし3回)だけ開く。
パチンコ遊技機100は、遊技状態として、大当たり抽選の当選確率に基づき、当選確率の低い低確率状態と、低確率状態よりも当選確率の高い高確率状態とを有している。そして、所定の条件において低確率状態と高確率状態とのいずれかの状態に制御される。また、パチンコ遊技機100は、第2始動口122への入賞機会が少ない時短無状態と、時短無状態よりも第2始動口122への入賞機会が多い時短状態とを有している。そして、所定の条件において、時短無状態と、時短状態とのいずれかの状態に制御される。時短状態とは、たとえば、普通図柄抽選の当たり当選確率を高確率にする、普通図柄変動時間を短縮する、あるいは電動チューリップ123の開時間を延長する、のいずれか一つまたは複数の組合せによって制御される遊技状態である。なお、時短状態では、特別図柄の特別図柄変動時間が短縮されていてもよい。
また、本実施の形態では、入賞や抽選に関するその他の役物として、特別図柄抽選の結果に応じて開放する特別電動役物としての大入賞口125と、遊技球が入賞しても抽選を行わない普通入賞口126と、が遊技盤110に配設されている。
本実施の形態では、遊技盤110の右下の位置に、抽選結果や保留数に関する表示を行う表示器130が配設されている。
また、遊技盤110の裏面には、特別図柄の当選の判定等を行う遊技制御基板、演出を統括的に制御する演出制御基板、画像および音による演出を制御する画像制御基板、各種のランプおよび可動役物115による演出を制御するランプ制御基板などの図示しない各種の基板等が取り付けられる。また、遊技盤110の裏面には、供給された24VのAC電源をDC電源に変換して各種の基板等に出力するスイッチング電源(不図示)が配設されている。
枠部材150は、遊技者がハンドル151に触れてレバー152を時計方向に回転させる操作を行うとその操作角度に応じた打球力にて遊技球を所定の時間間隔(例えば1分間に100個)で電動発射する発射装置(不図示)を備えている。また、枠部材150は、遊技者のレバー152による操作と連動したタイミングで発射装置に遊技球を1つずつ順に供給する供給装置(不図示)と、供給装置が発射装置に供給する遊技球を一時的に溜めておく皿153と、を備えている。この皿153には、例えば払い出しユニットによる払出球が払い出される。
なお、本実施の形態では、皿153を上下皿一体で構成しているが、上皿と下皿とを分離する構成例も考えられる。また、発射装置のハンドル151を所定条件下で発光させる構成例も考えられる。
また、枠部材150は、発射装置のハンドル151に遊技者が触れている状態であっても遊技球の発射を一時的に停止させるための停止ボタン154と、皿153に溜まっている遊技球を箱(不図示)に落下させて取り出すための取り出しボタン155と、を備えている。
また、枠部材150は、パチンコ遊技機100の遊技状態や状況を告知したり各種の演出を行ったりするスピーカ156および枠ランプ157を備えている。スピーカ156は、楽曲や音声、効果音による各種の演出を行う。枠ランプ157は、LED等の発光体で構成され、点灯・点滅によるパターンや発光色の違い等で光による各種の演出を行う。なお、枠ランプ157については、光の照射方向を変更する演出を行うことを可能にする構成例が考えられる。
また、枠部材150は、遊技盤110を遊技者と隔てるための透明板(不図示)を備えている。
図2は、本実施の形態に係るパチンコ遊技機100を説明する図であり、図2(a)は、遊技盤110の右下に配設された表示器130の一例を示す拡大図であり、図2(b)は、パチンコ遊技機100の部分平面図である。
パチンコ遊技機100の表示器130は、図2(a)に示すように、第1始動口121の入賞に対応して作動する第1特別図柄表示器221と、第2始動口122の入賞に対応して作動する第2特別図柄表示器222と、ゲート124の通過に対応して作動する普通図柄表示器223と、を備えている。第1特別図柄表示器221は、第1始動口121の入賞に基づき、特別図柄を変動表示した後に停止させて抽選結果を表示する。第2特別図柄表示器222は、第2始動口122の入賞に基づき、特別図柄を変動表示した後に停止させて抽選結果を表示する。普通図柄表示器223は、遊技球がゲート124を通過したことに基づき、普通図柄を変動表示した後に停止させて抽選結果を表示する。本実施の形態では、第1特別図柄表示器221、第2特別図柄表示器222は、各々LEDを配列した表示装置で構成され、その点灯態様によって特別図柄抽選の抽選結果が表示される。同様に、普通図柄表示器223も、LEDを配列した表示装置で構成され、その点灯態様によって普通図柄抽選の抽選結果が表示される。
また、表示器130は、第1特別図柄表示器221での保留に対応して作動する第1特別図柄保留表示器218と、第2特別図柄表示器222での保留に対応して作動する第2特別図柄保留表示器219と、普通図柄表示器223での保留に対応して作動する普通図柄保留表示器220と、を備えている。本実施の形態では、第1特別図柄保留表示器218、第2特別図柄保留表示器219および普通図柄保留表示器220は、各々LEDを配列した表示装置で構成され、その点灯態様によって保留数が表示される。
ここで、保留について説明する。特別図柄の変動表示動作中(入賞1回分の変動表示が行なわれている間)にさらに第1始動口121または第2始動口122に遊技球が入賞した場合、特別図柄が変動中であるために、後の入賞に基づく特別図柄の変動表示動作を開始することができない。そのため、後の入賞は規定個数(例えば4個)を限度に記憶され、その入賞した遊技球に対する特別図柄を始動させるための権利が、先に入賞した遊技球に対する変動表示動作が終了するまで、保留される。なお、普通図柄に関しても、特別図柄と同様の処理を行う。このような保留がなされていることおよびその保留の数(未変動数)が、第1特別図柄保留表示器218、第2特別図柄保留表示器219および普通図柄保留表示器220に表示される。
さらに、表示器130は、パチンコ遊技機100の状態を表示する状態表示器224を備えている。本実施の形態では、状態表示器224は、3個のLEDを配列した表示装置で構成されている。3個のLEDのうち1つは、パチンコ遊技機100の状態が、特別図柄抽選の当選確率が高確率である高確率状態となっているか否かを点灯により報知するものである。また、他の1つは、パチンコ遊技機100の状態が、第2始動口122に入賞しやすい時短状態となっているか否かを点灯により報知するものである。さらに他の1つは、右打ちすることによって(遊技球の打球力を変更することによって)遊技者に有利な状態となっているか否かを点灯により報知するものである。
なお、状態表示器224が表示するパチンコ遊技機100の状態は上記の例に限らず、他の状態を表示することができる。例えばパチンコ遊技機100の状態として低確率状態よりも当選確率が高く高確率状態よりは当選確率が低い中確率状態が設定される場合、状態表示器224は、中確率状態となっているか否かを点灯により報知しても良い。
また、表示器130は、特別図柄抽選の抽選結果に応じて行われる大当たり遊技において大入賞口125が作動される際のラウンド数を表示するラウンド数表示器225を備えている。なお、大当たり遊技については後述する。ラウンド数表示器225は、LEDを配列した表示装置で構成され、その点灯態様によって大当たり遊技における大入賞口125の作動ラウンド数が表示される。
パチンコ遊技機100の枠部材150は、遊技者が演出に対する入力を行うための入力装置を備えている。図2(b)に示すように、本実施の形態では、入力装置の一例として、演出ボタン161と、演出ボタン161に隣接し、略十字に配列された複数のキーからなる演出キー162と、が枠部材150に配設されている。図示の例において、遊技者は、例えば、十字に配列された4つのキーからなる演出キー162を操作することにより、画像表示部114に表示されている複数の画像の何れかを指示することが可能であり、また、演出ボタン161を操作することにより、指示した画像を選択することが可能である。また、入力装置の形態としては、図示した演出ボタン161および演出キー162の他、レバーやダイヤル等、演出の内容等に応じて様々な入力形態を採用することができる。
〔制御ユニットの構成〕
次に、パチンコ遊技機100での動作制御や信号処理を行う制御ユニットについて説明する。
図3は、制御ユニットの内部構成を示すブロック図である。図3に示すように、制御ユニットは、メイン制御手段として、特別図柄の当選の判定等を行う遊技制御部200を備えている。また、サブ制御手段として、演出を統括的に制御する演出制御部300と、画像および音響を用いた演出を制御する画像/音響制御部310と、各種のランプおよび可動役物115を用いた演出を制御するランプ制御部320と、払出球の払い出し制御を行う払出制御部330と、を備えている。
なお、本実施の形態では、遊技制御部200が遊技状態設定手段の一例として機能する。また、演出制御部300が演出実行手段や回数表示手段の一例として機能する。
前述したように、遊技制御部200、演出制御部300、画像/音響制御部310、ランプ制御部320、および払出制御部330各々は、遊技盤110の後面に配設されたメイン基板としての遊技制御基板、サブ基板としての演出制御基板、画像制御基板、ランプ制御基板、および払出制御基板において個別に構成されている。
〔遊技制御部の構成・機能〕
遊技制御部200は、特別図柄の当選の判定等を行う際の演算処理を行うCPU201と、CPU201にて実行されるプログラムや各種データ等が記憶されたROM202と、CPU201の作業用メモリ等として用いられるRAM203と、を備えている。
遊技制御部200は、第1始動口121または第2始動口122に遊技球が入賞すると特別図柄抽選を行い、その抽選結果を演出制御部300に送る。また、高確率状態と低確率状態の変更情報、時短無状態と時短状態の変更情報を演出制御部300に送る。
さらに、遊技制御部200は、普通図柄抽選の当たり当選確率を高確率にする、普通図柄変動時間を短縮する、あるいは電動チューリップ123の開時間を延長する制御を行う。また、遊技制御部200は、遊技球が連続的に第1始動口121または第2始動口122へ入賞したときの未変動分の限度個数(例えば4個)までの保留や、遊技球が連続的にゲート124を通過したときの未変動分の限度個数(例えば4個)までの保留を設定する。
さらにまた、遊技制御部200は、特別図柄抽選の結果に応じて、特別電動役物である大入賞口125が所定条件(例えば29.5秒経過または遊技球10個の入賞)を満たすまで開状態を維持するラウンドを所定回数だけ繰り返すように制御する。さらには、大入賞口125が開く際の開閉動作間隔を制御する。
さらに、遊技制御部200は、第1始動口121、第2始動口122、大入賞口125および普通入賞口126に遊技球が入賞すると、遊技球が入賞した場所に応じて1つの遊技球当たり所定数の賞球を払い出すように、払出制御部330に対する指示を行う。例えば、第1始動口121に遊技球が入賞すると3個の賞球、第2始動口122に遊技球が入賞すると4個の賞球、大入賞口125に遊技球が入賞すると13個の賞球、普通入賞口126に遊技球が入賞すると10個の賞球をそれぞれ払い出すように、払出制御部330に指示命令(コマンド)を送る。なお、ゲート124を遊技球が通過したことを検出しても、それに連動した賞球の払い出しは払出制御部330に指示しない。
払出制御部330が遊技制御部200の指示に従って賞球の払い出しを行った場合には、遊技制御部200は、払い出した賞球の個数に関する情報を払出制御部330から取得する。それにより、払い出した賞球の個数を管理する。
遊技制御部200には、検知手段として、図3に示すように、第1始動口121への遊技球の入賞を検出する第1始動口検出部(第1始動口スイッチ(SW))211と、第2始動口122への遊技球の入賞を検出する第2始動口検出部(第2始動口スイッチ(SW))212と、電動チューリップ123を開閉する電動チューリップ開閉部213と、ゲート124への遊技球の通過を検出するゲート検出部(ゲートスイッチ(SW))214と、が接続されている。
さらに、遊技制御部200には、大入賞口125への遊技球の入賞を検出する大入賞口検出部(大入賞口スイッチ(SW))215と、大入賞口125を閉状態と突出傾斜した開状態とに設定する大入賞口開閉部216と、普通入賞口126への遊技球の入賞を検出する普通入賞口検出部(普通入賞口スイッチ(SW))217と、が接続されている。
また、遊技制御部200には、特別図柄の変動中に第1始動口121へ入賞した未変動分の保留個数を限度個数内(例えば4個)で表示する第1特別図柄保留表示器218と、特別図柄の変動中に第2始動口122へ入賞した未変動分の保留個数を限度個数内で表示する第2特別図柄保留表示器219と、普通図柄の変動中にゲート124を通過した未変動分の保留個数を限度個数内で表示する普通図柄保留表示器220と、が接続されている。
さらに、遊技制御部200には、第1始動口121への遊技球の入賞により行われる特別図柄の変動表示および特別図柄抽選の結果を表示する第1特別図柄表示器221と、第2始動口122への遊技球の入賞により行われる特別図柄の変動表示および特別図柄抽選の結果を表示する第2特別図柄表示器222と、普通図柄の変動表示および普通図柄抽選の結果を表示する普通図柄表示器223と、パチンコ遊技機100の状態を表示する状態表示器224と、が接続されている。
そして、第1始動口スイッチ211、第2始動口スイッチ212、ゲートスイッチ214、大入賞口スイッチ215および普通入賞口スイッチ217にて検出された検出信号が、遊技制御部200に送られる。また、遊技制御部200からの制御信号が、電動チューリップ開閉部213、大入賞口開閉部216、第1特別図柄保留表示器218、第2特別図柄保留表示器219、普通図柄保留表示器220、第1特別図柄表示器221、第2特別図柄表示器222、普通図柄表示器223および状態表示器224に送られる。それにより、遊技制御部200は、上記した払い出し賞球数に関連する各種制御を行う。
さらに、遊技制御部200には、ホールに設置されたホストコンピュータ(不図示)に対して各種の情報を送信する盤用外部情報端子基板350が接続されている。そして、遊技制御部200は、払出制御部330から取得した、払い出した賞球数に関する情報や遊技制御部200の状態等を示す情報を、盤用外部情報端子基板350を介してホストコンピュータに送信する。
〔演出制御部の構成・機能〕
演出制御部300は、演出を制御する際の演算処理を行うCPU301と、CPU301にて実行されるプログラムや各種データ等が記憶されたROM302と、CPU301の作業用メモリ等として用いられるRAM303と、日時を計測するリアルタイムクロック(RTC)304と、を備えている。
演出制御部300は、例えば遊技制御部200から送られる特別図柄抽選での当選か否かの判定結果および変動パターンに基づいて、演出内容を設定する。その際、演出ボタン161または演出キー162を用いたユーザからの操作入力を受けて、操作入力に応じた演出内容を設定する場合もある。この場合、例えば演出ボタン161等のコントローラ(不図示)から操作に応じた信号(操作信号)を受け付け、この操作信号により識別される操作内容を演出の設定に反映させる。
また、演出制御部300は、遊技が所定期間中断された場合には、演出の一つとして客待ち用の画面表示の設定を指示する。
さらには、演出制御部300は、遊技制御部200より受信した高確率状態と低確率状態の変更情報、時短無状態と時短状態の変更情報に基づいて演出内容を設定する。
また、演出制御部300は、設定した演出内容の実行を指示するコマンドを画像/音響制御部310およびランプ制御部320に送る。
〔画像/音響制御部の構成・機能〕
画像/音響制御部310は、演出内容を表現する画像および音響を制御する際の演算処理を行うCPU311と、CPU311にて実行されるプログラムや各種データ等が記憶されたROM312と、CPU311の作業用メモリ等として用いられるRAM313と、を備えている。
そして、画像/音響制御部310は、演出制御部300から送られたコマンドに基づいて、画像表示部114に表示する画像およびスピーカ156から出力する音響を制御する。
具体的には、画像/音響制御部310のROM312には、画像表示部114において遊技中に表示する図柄画像や背景画像、遊技者に抽選結果を報知するための装飾図柄、遊技者に予告演出を表示するためのキャラクタやアイテム等といった画像データが記憶されている。
ROM312には、さらに、画像データと同期させて、または画像データとは独立にスピーカ156から出力させる楽曲や音声、さらにはジングル等の効果音等といった各種音響データが記憶されている。CPU311は、ROM312に記憶された画像データや音響データの中から、演出制御部300から送られたコマンドに対応したものを選択して読み出す。さらには、読み出した画像データを用いて背景画像表示、図柄画像表示、図柄画像変動、およびキャラクタ/アイテム表示等のための画像処理と、読み出した音響データを用いた音声処理とを行う。
そして、画像/音響制御部310は、画像処理された画像データにより画像表示部114での画面表示を制御する。また、音声処理された音響データによりスピーカ156から出力される音響を制御する。
〔ランプ制御部の構成・機能〕
ランプ制御部320は、盤ランプ116や枠ランプ157の発光、および可動役物115の動作を制御する際の演算処理を行うCPU321と、CPU321にて実行されるプログラムや各種データ等が記憶されたROM322と、CPU321の作業用メモリ等として用いられるRAM323と、を備えている。
そして、ランプ制御部320は、演出制御部300から送られたコマンドに基づいて、盤ランプ116や枠ランプ157の点灯/点滅や発光色等を制御する。また、可動役物115の動作を制御する。
具体的には、ランプ制御部320のROM322には、演出制御部300にて設定される演出内容に応じた盤ランプ116や枠ランプ157での点灯/点滅パターンデータおよび発光色パターンデータ(発光パターンデータ)が記憶されている。CPU321は、ROM322に記憶された発光パターンデータの中から、演出制御部300から送られたコマンドに対応したものを選択して読み出す。そして、ランプ制御部320は、読み出した発光パターンデータにより盤ランプ116や枠ランプ157の発光を制御する。
また、ランプ制御部320のROM322には、演出制御部300にて設定される演出内容に応じた可動役物115の動作パターンデータが記憶されている。CPU321は、可動役物115に対しては、読み出した動作パターンデータによりその動作を制御する。
〔払出制御部の構成・機能〕
払出制御部330は、払出球の払い出しを制御する際の演算処理を行うCPU331と、CPU331にて実行されるプログラムや各種データ等が記憶されたROM332と、CPU331の作業用メモリ等として用いられるRAM333と、を備えている。
そして、払出制御部330は、遊技制御部200から送られたコマンドに基づいて、払出球の払い出しを制御する。
具体的には、払出制御部330は、遊技制御部200から、遊技球が入賞した場所(第1始動口121等)に応じた所定数の賞球を払い出すコマンドを取得する。そして、コマンドに指定された数だけの賞球を払い出すように払出駆動部334を制御する。ここでの払出駆動部334は、遊技球の貯留部から遊技球を送り出す駆動モータで構成される。
また、払出制御部330には、払出駆動部334により遊技球の貯留部から実際に払い出された賞球の数を検出する払出球検出部335と、貯留部(不図示)での遊技球の貯留の有無を検出する球有り検出部336と、遊技者が遊技する際に使用する遊技球や払い出された賞球が保持される皿153が満タン状態に有るか否かを検出する満タン検出部337と、が接続されている。そして、払出制御部330は、払出球検出部335、球有り検出部336および満タン検出部337にて検出された検出信号を受け取り、これらの検出信号に応じた所定の処理を行う。
さらに、払出制御部330には、ホールに設置されたホストコンピュータに対して各種の情報を送信する枠用外部情報端子基板340が接続されている。そして、払出制御部330は、例えば払出駆動部334に対して払い出すように指示した賞球数に関する情報や払出球検出部335にて検出された実際に払い出された賞球数に関する情報等を枠用外部情報端子基板340を介してホストコンピュータに送信する。また、遊技制御部200に対しても、同様の情報を送信する。
〔遊技制御部の機能構成〕
続いて、遊技制御部200の機能構成を説明する。
図4は、遊技制御部200の機能構成を示すブロック図である。図4に示すように、遊技制御部200は、各種抽選処理を実行する機能部として、乱数取得部231と、普通図柄判定部232と、特別図柄変動制御部233と、特別図柄判定部234と、普通図柄変動制御部236と、を備えている。
また、遊技制御部200は、特別図柄変動に伴う処理を実行する機能部として、変動パターン選択部235を備えている。
さらに、遊技制御部200は、各種役物の動作制御や賞球等に関するデータ処理を実行する機能部として、大入賞口動作制御部237と、電動チューリップ動作制御部238と、賞球処理部239と、出力制御部240と、乱数制御部241と、を備えている。
乱数取得部231は、第1始動口121や第2始動口122に遊技球が入賞した場合に、特別図柄に関する乱数の取得を行う。具体的には、所定の範囲の数値の中から一つの数値(乱数値)が選択(取得)されて、特別図柄判定部234による判定に用いられる。
乱数取得部231は、ゲート124を遊技球が通過した場合に、普通図柄に関する乱数の取得を行う。具体的には、所定の範囲の数値の中から一つの数値(乱数値)が選択(取得)されて、普通図柄判定部232による判定に用いられる。
特別図柄変動制御部233は、特別図柄の抽選が行われた場合に、その抽選結果に応じて特別図柄の変動を制御する。
特別図柄判定部234は、特別図柄の変動開始時に、図17に示すような乱数テーブルを用いて、その抽選結果が「大当たりか否か」、「大当たりに当選した場合の大当たりの種類」、「大当たりに当選していない場合での小当たりかはずれか」を判定する。すなわち、乱数取得部231は、検知手段である第1始動口スイッチ211または第2始動口スイッチ212により遊技球の通過が検知されたことを契機として特別図柄に関する乱数値を取得し、特別図柄判定部234は、取得した乱数値に基づいて、遊技者にとって有利な特別遊技(大当たり遊技等)を行うか否かを判定する。なお、前述した特別図柄の抽選(大当たり抽選)は、乱数取得部231および特別図柄判定部234における処理のことをいう。
ここで、「大当たり」は、大当たり遊技の終了後に発生する遊技状態に応じて複数の種類に分けられる。具体的には、時短無状態か時短状態か、および高確率状態か低確率状態かの組み合わせによって大当たりの種類が決まる。すなわち、大当たり遊技の終了後に発生する遊技状態に基づく大当たりの種類としては、大当たり遊技の終了後に、時短状態および高確率状態の両方の状態を有する高確率時短遊技状態となる大当たり(以下、高確率時短遊技状態の大当たり)、時短状態および低確率状態の両方の状態を有する低確率時短遊技状態となる大当たり(以下、低確率時短遊技状態の大当たり)、時短無状態および高確率状態の両方の状態を有する高確率時短無遊技状態となる大当たり(以下、高確率時短無遊技状態の大当たり)、時短無状態および低確率状態の両方の状態を有する低確率時短無遊技状態となる大当たり(以下、低確率時短無遊技状態の大当たり)が有り得る。これらの大当たりは、各々個別の特別図柄に対応付けられており、特別図柄抽選において当選した特別図柄の種類に応じて大当たりの種類が確定する。
また、「大当たり」は、大当たり遊技の時間が長く多量の遊技球の払い出しが期待できる大当たりと、大当たり遊技の時間が短く遊技球の払出がほとんど期待できない大当たりとに分けられる場合がある。前者は「長当たり」と呼ばれ、後者は「短当たり」と呼ばれる。例えば、「長当たり」では、大入賞口125の開状態が所定条件(例えば29.5秒経過または10個の遊技球の入賞)を満たすまで維持されるラウンドが所定回数(例えば15回)繰り返される。また、「短当たり」では、一定時間(例えば0.1秒)だけ大入賞口125が開状態となるラウンドが所定回数(例えば15回)繰り返される。
また、大当たりに当選していない場合の「小当たり」は、例えば0.1秒だけ大入賞口125が開状態となる態様が所定回数(例えば15回)行われる小当たり遊技が行われる。なお、小当たり当選時には、小当たり遊技が終了した後においても小当たり当選前の遊技状態を継続する。すなわち、小当たり当選時の遊技状態が高確率時短遊技状態である場合には、小当たり遊技の終了後においても高確率時短遊技状態が継続され、遊技状態は移行しない。同様に、小当たりの当選時の遊技状態が低確率時短無遊技状態である場合には、小当たり遊技の終了後においても低確率時短無遊技状態が継続され、遊技状態は移行しない。
また、「小当たり」は、「はずれ」の一種であり、遊技者に有利となる上記の遊技状態の何れも設定されない。
変動パターン選択部235は、第1特別図柄表示器221や第2特別図柄表示器222にて表示する特別図柄の変動パターン(変動時間)を選択する。ここでは、変動パターン選択部235は、大当たり遊技を行うか否かの判定結果およびリーチを行うか否かの判定結果等に基づいて、変動パターンを決定する。そして、変動パターン選択部235により選択された変動パターンに基づいて、特別図柄変動制御部233が特別図柄の変動を制御する。変動パターン選択部235および特別図柄変動制御部233の動作の詳細については後述する。
ここで、「リーチ」とは、後述する装飾図柄において遊技者に大当たりを期待させるための演出である。
普通図柄判定部232は、普通図柄の抽選が行われた場合に、普通図柄の抽選結果が「当選かはずれであるか」を判定する。
普通図柄変動制御部236は、普通図柄の抽選結果に応じて、普通図柄の変動を制御する。
電動チューリップ動作制御部238は、普通図柄の抽選により「当選」と判定された場合には、電動チューリップ123を規定時間および規定回数だけ開放し、第2始動口122に遊技球が入賞容易となる状態を発生させる。また、「はずれ」と判定された場合には、電動チューリップ123のこのような開放状態を発生させない。
大入賞口動作制御部237は、大入賞口125の開放動作を制御する。
賞球処理部239は、入賞や抽選に関する種々の役物への入賞個数の管理および入賞に応じた賞球の払い出しの制御用コマンドをセットする。
出力制御部240は、遊技制御部200から演出制御部300および払出制御部330へ制御用コマンドの出力を制御する。
乱数制御部241は、メイン制御手段による処理で用いられる各種の乱数値の更新を制御する。
〔遊技機の基本動作〕
次に、パチンコ遊技機100の基本動作を説明する。
パチンコ遊技機100の遊技制御部200は、電源が投入されると、起動時の基本処理として、各種装置の初期化や初期設定を行う。そして、基本処理を行った後、遊技制御部200は、遊技の進行に関する一連の処理である主制御処理を繰り返し実行する。また、電源を遮断する際には、遊技制御部200は、一連の電源遮断時処理を実行する。
図5−1は、遊技制御部200による基本処理の動作を示すフローチャートである。
遊技制御部200は、パチンコ遊技機100の電源が投入されると、まず、RAM203(図3参照)へのアクセスを許可する(ステップ(以下、ステップを「S」と記載する)101)。そして、遊技制御部200は、RAM203をクリアするためのRAMクリアスイッチがONとなっているか否かを判断する(S102)。
RAMクリアスイッチがOFFである場合(S102でNo)、次に、遊技制御部200は、電源遮断時の動作に関するバックアップフラグがONとなっているか否かを判断する(S103)。
バックアップフラグがONである場合(S103でYes)、次に、遊技制御部200は、電源遮断時に作成されたチェックサムが正常か否かを判断する(S104)。
チェックサムが正常である場合(S104でYes)、次に、遊技制御部200は、復帰処理を実行する(S105)。この復帰処理において、遊技制御部200は、電源が遮断された状態からの復帰に伴う、演出制御部300等のサブ制御手段の設定を行う。具体的には、遊技制御部200は、電源が遮断される際におけるパチンコ遊技機100の内部状態(大当たり遊技中か否か、高確率状態と低確率状態のいずれか、時短状態と時短無状態のいずれか)を反映させるように、サブ制御手段を設定するためのコマンドを演出制御部300へ出力する。また、この復帰処理において、遊技制御部200は、バックアップフラグをOFFにする。
一方、RAMクリアスイッチがON(S102でYes)、バックアップフラグがOFF(S103でNo)、チェックサムが異常(S104でNo)のいずれかに該当する場合、次に遊技制御部200は、初期化処理として、RAM203の記憶内容をクリアし(S106)、RAM203の作業領域を設定する(S107)。そして、遊技制御部200は、サブ制御手段を設定(初期化)するためのコマンドを演出制御部300へ出力し、サブ基板(サブ制御手段)の設定を行う(S108)。サブ基板の設定には、各サブ基板に搭載されているRAM303、313、323をクリアすること等が含まれる。
復帰処理(S105参照)が終了した後、またはサブ基板の設定(S108参照)が終了した後、遊技制御部200は、遊技制御に用いられる各種のカウンタおよびタイマーを設定する(S109)。そして、遊技制御部200は、割り込み許可(S110)、割り込み禁止(S111)、図柄乱数制御処理(S112)、初期値乱数更新処理(S113)、電源遮断フラグがONとなっているか否かの判断(S114)をループ処理として繰り返し実行する。
ここで、割り込み許可(S110)および割り込み禁止(S111)は、このループ処理(S110〜S114)の実行中に割り込み処理の実行を可能とするために設けられている。本実施の形態では、この割り込み処理により、遊技制御における主制御処理が実行される。主制御処理の詳細については後述する。
図柄乱数制御処理(S112)において、遊技制御部200は、特別図柄抽選で用いられる変動パターン乱数の更新を行う。
初期値乱数更新処理(S113)において、遊技制御部200は、遊技制御において用いられる各種の乱数値の初期値を更新する。
電源遮断フラグの判断において、電源遮断フラグがOFFである場合(S114でNo)、パチンコ遊技機100の電源は遮断されず、遊技制御部200は、ループ処理(S110〜S114)と共に割り込みによる主制御処理を繰り返し実行する。一方、電源遮断フラグがONである場合(S114でYes)、遊技制御部200は、パチンコ遊技機100の電源を遮断するための処理(電源遮断時処理)を開始する。
図5−2は、遊技制御部200による電源遮断時処理の動作を示すフローチャートである。
電源遮断時処理において、遊技制御部200は、まず、各種の出力を行うための出力ポートの設定をクリアする(S115)。次に、遊技制御部200は、チェックサムを作成し、RAM203に格納する(S116)。次に、遊技制御部200は、バックアップフラグをONにし(S117)、RAM203へのアクセスを禁止して(S118)、無限ループに移行する。
〔遊技機の主制御処理〕
次に、パチンコ遊技機100の主制御処理を説明する。
遊技制御部200は、主制御処理において、パチンコ遊技機100における遊技を制御すると共に、サブ制御手段である演出制御部300に対して演出の制御を指示し、払出制御部330に対して賞球の払い出しの制御を指示する。
図5−3は、遊技制御部200の主制御処理を示すフローチャートである。
主制御処理は、遊技制御における一連の処理からなり、予め設定された一定時間(例えば4ミリ秒)ごとに繰り返し実行される。本実施の形態において、遊技制御部200は、予め設定された一定時間ごとに割り込みを発生させ、図5−1に示すループ処理の中で割り込みが許可(S110参照)されると、割り込み処理として主制御処理を実行する。図5−3に示すように、主制御処理では、乱数更新処理、スイッチ処理、図柄処理、電動役物処理、賞球処理、出力処理が順次実行される(S501〜S506)。
乱数更新処理(S501)では、遊技制御部200は、乱数制御部241の機能(サブルーチン)を呼び出し、遊技制御部200による遊技制御で用いられる各種の乱数の値を更新する。乱数の設定および乱数値の更新の詳細については後述する。
スイッチ処理(S502)としては、始動口スイッチ処理、ゲートスイッチ処理が行われる。
始動口スイッチ処理では、遊技制御部200は、乱数取得部231の機能(サブルーチン)を呼び出し、図3の第1始動口スイッチ211および第2始動口スイッチ212の状態を監視し、スイッチがONとなった場合に、特別図柄抽選のための処理を実行する。
ゲートスイッチ処理では、遊技制御部200は、普通図柄判定部232の機能(サブルーチン)を呼び出し、図3のゲートスイッチ214の状態を監視し、スイッチがONとなった場合に、普通図柄抽選のための処理を実行する。
これらのスイッチ処理の詳細な内容については後述する。
図柄処理(S503)としては、特別図柄処理、普通図柄処理が行われる。
特別図柄処理では、遊技制御部200は、特別図柄変動制御部233、特別図柄判定部234、変動パターン選択部235の各機能(サブルーチン)を呼び出し、特別図柄変動およびこの図柄変動に伴う処理を実行する。
普通図柄処理では、遊技制御部200は、普通図柄変動制御部236の機能(サブルーチン)を呼び出し、普通図柄変動およびこの図柄変動に伴う処理を実行する。
これらの図柄処理の詳細な内容については後述する。
電動役物処理(S504)としては、大入賞口処理、電動チューリップ処理が行われる。
大入賞口処理では、遊技制御部200は、大入賞口動作制御部237の機能(サブルーチン)を呼び出し、所定の条件に基づいて大入賞口125の開放動作を制御する。
電動チューリップ処理では、遊技制御部200は、電動チューリップ動作制御部238の機能(サブルーチン)を呼び出し、所定の条件に基づいて電動チューリップ123の開放動作を制御する。
これらの電動役物処理の詳細な内容については後述する。
賞球処理(S505)では、遊技制御部200は、賞球処理部239の機能(サブルーチン)を呼び出し、入賞個数の管理および入賞に応じた賞球の払い出しの制御用コマンドをセットする。
出力処理(S506)では、遊技制御部200は、出力制御部240の機能(サブルーチン)を呼び出し、演出制御用のコマンドを演出制御部300へ出力し、払い出し制御用のコマンドを払出制御部330へ出力する。演出制御用コマンドは、S502からS504までの各処理において生成され、RAM203に設けられた制御用コマンドの格納領域に格納(セット)される。払い出し制御用コマンドは、S505の処理において生成され、RAM203に設けられた制御用コマンドの格納領域に格納(セット)される。RAM203には、制御用コマンドの種類ごとに格納領域が設定されている。
出力制御部240は、RAM203の各制御用コマンドの格納領域を順に調べ、個々の格納領域に制御用コマンドが格納されていれば(すなわち、S502〜S505の処理で制御用コマンドが生成されていれば)、その制御用コマンドを読み出し、出力先(演出制御部300または払出制御部330へ出力する。
本実施の形態では、図5−3に示したように、一連の主制御処理の最後に出力処理を行う。すなわち、第1の処理手段としての上記各機能によるS502〜S505の各処理において生成されたコマンドを、その各処理においてはRAM203の対応する格納領域に格納しておく。そして、これらの処理の後に、第2の処理手段としての出力制御部240が、RAM203の格納領域に蓄積された、各処理で生成されたコマンドをまとめて出力する。言い換えれば、本実施の形態では、主制御処理を1サイクル実行すると、その1サイクルの実行において生成されたコマンドが、その1サイクルの実行における最後のコマンド生成が行われた後に、出力される。
〔遊技機の基本動作の変形例〕
なお、図5−1乃至図5−3を参照して説明した動作例では、基本処理におけるループ処理の部分で割り込みを許可し、割り込み処理として一連の処理からなる主制御処理を実行した。しかしながら、主制御処理は、一定時間ごとに繰り返し実行されるように構成されていれば良く、具体的な実現手段(実行手順)は、図5−1乃至図5−3に示した例には限定されない。例えば、基本処理の一連の動作の中に主制御処理を組み入れておき、所定のタイミングで経過時間を計測し、一定時間(例えば4ミリ秒)ごとに主制御処理へ戻る構成としても良い。また、基本処理の一連の動作の中に主制御処理を組み入れる一方で、図5−1乃至図5−3を参照して説明した動作と同様に、一定時間ごとに割り込みを発生させ、割り込みが発生したならば基本処理中に組み入れられた主制御処理へ戻る構成としても良い。
また、基本処理で生成されたコマンドを出力する場合は、原則として、コマンドを生成する度に、RAM203のコマンド格納領域に格納し、第2の処理手段である出力制御部240の機能を呼び出して出力する。基本処理は、電源投入時に行われる初期動作等の特別処理であり、電源投入時のパチンコ遊技機100の状態等の条件に基づく分岐により処理手順が変動する場合があるため、出力処理に漏れが無いように、生成したコマンドを速やかに出力するためである。なお、関連する複数の処理により連続的にコマンドが生成される場合等、具体的な処理の要請に応じて、複数のコマンドをRAM203のコマンド格納領域に格納し、まとめて出力する処理手順を採っても良い。
〔遊技制御部での始動口スイッチ処理〕
図6は、図5−3のS502に示したスイッチ処理のうちの始動口スイッチ処理の内容を示すフローチャートである。
この始動口スイッチ処理は、第1始動口121における入賞に対する処理と、第2始動口122における入賞に対する処理とが順次行われる。図6を参照すると、遊技制御部200は、まず、第1始動口121に遊技球が入賞して第1始動口スイッチ211がONとなったか否かを判断する(S601)。第1始動口スイッチ211がONとなったならば、次に遊技制御部200は、第1始動口121の入賞における未変動分の保留数U1が上限値未満か否かを判断する(S602)。図6に示す例では、上限値を4個としている。保留数U1が上限値に達している場合は(S602でNo)、それ以上未変動分の入賞を保留することができないので、第1始動口121における入賞に対する処理を終了する。
一方、保留数U1が上限値未満である場合(S602でYes)、次に遊技制御部200は、保留数U1の値を1加算する(S603)。そして、遊技制御部200の乱数取得部231は、今回の入賞による抽選のための乱数値を取得し、RAM203に格納する(S604)。ここでは、第1始動口121の入賞なので、特別図柄抽選のための乱数値が取得される。このとき取得される乱数値は、S501の乱数更新処理で更新された値である。そして、この乱数値により、後の特別図柄処理において特別図柄抽選の結果が確定される。ここにいう乱数値としては、大当たり、小当たりまたははずれを決定する大当たり乱数値、大当たりの種類(大当たり遊技の終了後における時短状態か時短無状態、高確率状態と低確率状態、長当たり、短当たり)を決定する図柄乱数値(大当たり図柄乱数値)、図柄変動における変動パターンを特定するための変動パターン乱数値、はずれのときにリーチ有り演出をするか否かを決定するリーチ乱数値、等が含まれる。
次に、遊技制御部200は、特別図柄の変動表示動作が保留されている(すなわち未抽選の)入賞球(保留球)に対して、抽選結果の予告演出を行うための事前判定処理を行う(S605)。この事前判定処理は、抽選結果の判定を図柄変動開始時ではなく始動口入賞時に(すなわちS605において)行うものである。なお、事前判定に基づく予告演出を行わない遊技機においては、この事前判定処理を省略する場合がある。
この後、遊技制御部200は、S603による保留数U1の増加を演出制御部300に通知するための保留数増加コマンドをRAM203にセットし(S606)、第1始動口121における入賞に対する処理を終了する。S605の事前判定処理が行われた場合は、保留数増加コマンドには、S605で得られた事前判定の判定結果の情報が含まれる。
次に、第2始動口122における入賞に対する処理が行われる。図6を参照すると、次に遊技制御部200は、第2始動口122に遊技球が入賞して第2始動口スイッチ212がONとなったか否かを判断する(S607)。第2始動口スイッチ212がONとなったならば、次に遊技制御部200は、第2始動口122の入賞における未変動分の保留数U2が上限値未満か否かを判断する(S608)。図6に示す例では、上限値を4個としている。保留数U2が上限値に達している場合は(S608でNo)、それ以上未変動分の入賞を保留することができないので、第2始動口122における入賞に対する処理を終了する。
一方、保留数U2が上限値未満である場合(S608でYes)、次に遊技制御部200は、保留数U2の値を1加算する(S609)。そして、遊技制御部200の乱数取得部231は、今回の入賞による抽選のための乱数値を取得し、RAM203に格納する(S610)。ここでは、第2始動口122の入賞なので、上記のS604と同様に、特別図柄抽選のための乱数値(大当たり乱数値、大当たり図柄乱数値)、リーチ乱数値、変動パターン乱数値など)が取得される。このとき取得される乱数値は、S501の乱数更新処理で更新された値である。そして、この乱数値により後の特別図柄処理において特別図柄抽選の結果が確定される。
次に、遊技制御部200は、特別図柄の変動表示動作が保留されている(すなわち未抽選の)入賞球(保留球)に対して、抽選結果の予告演出を行うための事前判定処理を行う(S611)。この事前判定処理の内容は、上記のS605と同様である。この事前判定処理も、事前判定に基づく予告演出を行わない遊技機においては、この事前判定処理を省略する場合がある。
この後、遊技制御部200は、S609による保留数U2の増加を演出制御部300に通知するための保留数増加コマンドをRAM203にセットし(S612)、第2始動口122における入賞に対する処理を終了する。S611の事前判定処理が行われた場合は、保留数増加コマンドには、S611で得られた事前判定の判定結果の情報が含まれる。
〔遊技制御部でのゲートスイッチ処理〕
図7は、ゲート124を遊技球が通過した場合のゲートスイッチ処理の内容を示すフローチャートである。
このゲートスイッチ処理において、遊技制御部200は、まず、ゲート124を遊技球が通過してゲートスイッチ214がONとなったか否かを判断する(S701)。ゲートスイッチ214がONとなったならば、次に遊技制御部200は、未変動分の保留数Gが上限値未満か否かを判断する(S702)。図7に示す例では、上限値を4個としている。保留数Gが上限値に達している場合は(S702でNo)、それ以上未変動分の入賞を保留することができないので、ゲートスイッチ処理を終了する。
一方、保留数Gが上限値未満である場合(S702でYes)、次に遊技制御部200は、保留数Gの値を1加算する(S703)。そして、遊技制御部200の乱数取得部231は、今回の入賞による抽選のための乱数値を取得し、RAM203に格納する(S704)。ここでは、ゲート124の入賞なので、普通図柄抽選のための乱数値(当たり乱数値など)が取得される。
S704で乱数値が取得された後、遊技制御部200は、S703による保留数Gの増加を演出制御部300に通知するための保留数G増加コマンドをRAM203にセットし(S705)、ゲート124における入賞に対する処理を終了する。
〔遊技制御部での特別図柄処理〕
図8は、図5−3のS503に示した図柄処理のうちの特別図柄処理の内容を示すフローチャートである。
この特別図柄処理において、遊技制御部200の特別図柄変動制御部233は、まず、RAM203においてセットされるフラグの設定(以下、フラグ設定)において当たり遊技フラグがONになっているか否かを調べる(S801)。ここで、当たり遊技フラグは、特別図柄抽選の結果が大当たりであることを識別するためにセットされるフラグである。当たりの種類に応じて、長当たり遊技フラグ、短当たり遊技フラグの何れかがセットされる。本実施の形態では、これらを総称して当たり遊技フラグと呼ぶ。
当たり遊技フラグがONである場合、既にパチンコ遊技機100は大当たり中であるので、特別図柄変動を開始することなく特別図柄処理を終了する(S801でYes)。一方、当たり遊技フラグがOFFである場合(S801でNo)、次に特別図柄変動制御部233は、パチンコ遊技機100の現在の状態が特別図柄変動中か否かを判断する(S802)。特別図柄変動中でない場合(S802でNo)、次に特別図柄変動制御部233は、特別図柄の未変動分の保留数U1、U2(図6参照)に関する処理を行う(S803〜S806)。本実施の形態では、第1始動口121の入賞に係る保留数U1と第2始動口122の入賞に係る保留数U2とを区別しているので、この処理も対応する始動口ごとに個別に行う。
具体的には、特別図柄変動制御部233は、まず第2始動口122の入賞に係る保留数U2が1以上か判断する(S803)。保留数U2が1以上である場合(S803でYes)、特別図柄変動制御部233は、保留数U2の値を1減算する(S804)。一方、保留数U2=0である場合は(S803でNo)、特別図柄変動制御部233は、次に第1始動口121の入賞に係る保留数U1が1以上か判断する(S805)。保留数U1が1以上である場合(S805でYes)、特別図柄変動制御部233は、保留数U1の値を1減算する(S806)。一方、保留数U1=0である場合は(S805でNo)、特別図柄の抽選を始動するための入賞が無いことを意味するため、特別図柄変動を開始せず、別ルーチンの客待ち設定処理を実行して処理を終了する(S816)。
S804またはS806で保留数U1または保留数U2を減算した後、特別図柄変動制御部233は、RAM203のフラグ設定においてセットされた客待ちフラグをOFFとする(S807)。客待ちフラグは、パチンコ遊技機100が客待ち状態であることを識別するためのフラグであり、客待ち設定処理(S816、図12参照)においてセットされる。
次に、特別図柄変動制御部233は、別ルーチンによる大当たり判定処理および変動パターン選択処理を実行する(S808、S809)。詳しくは後述するが、この大当たり判定処理および変動パターン選択処理によって、第1特別図柄表示器221に変動表示される特別図柄の変動用の設定情報(大当たり図柄、遊技状態、変動パターン等)が決定される。なお、これらの情報は演出制御部300に送られる変動開始コマンドに含まれる。
この後、特別図柄変動制御部233は、大当たり判定処理および変動パターン選択処理で決定された設定内容に基づき、図2に示す第1特別図柄表示器221、第2特別図柄表示器222により表示される特別図柄の変動を開始する(S810)。そして、この設定内容を示す設定情報(大当たり図柄、遊技状態、変動パターン等)を含んだ変動開始コマンドを生成し、RAM203にセットする(S811)。S811でセットされた変動開始コマンドは、図5−3のS506に示した出力処理で演出制御部300へ送信される。
S802で特別図柄変動中と判断された場合(S802でYes)、またはS811で変動開始コマンドがセットされた後、特別図柄変動制御部233は、変動時間を経過したか否かを判断する(S812)。すなわち、S810で特別図柄の変動を開始してからの経過時間がS809の変動パターン選択処理で設定された変動時間に達したか否かが判断される。変動時間を経過していなければ(S812でNo)、特別図柄変動が継続されるので、そのまま特別図柄処理が終了する。
一方、変動時間を経過した場合(S812でYes)、特別図柄変動制御部233は、まず、第1特別図柄表示器221、第2特別図柄表示器222における特別図柄の変動をS808の大当たり判定処理で決定された図柄で停止する(S813)。後述する装飾図柄を停止させるための変動停止コマンドをRAM203にセットする(S814)。そして、別ルーチンの停止中処理を実行する(S815)。停止中処理の内容については後述する。S814でセットされた変動停止コマンドは、図5−3のS506に示した出力処理で演出制御部300へ送信される。
〔遊技制御部による大当たり判定処理〕
図9は、大当たり判定処理(図8のS808)の内容を示すフローチャートである。
この大当たり判定処理において、遊技制御部200の特別図柄判定部234は、まず、今回の特別図柄抽選における大当たり乱数値の判定を行い(S901)、大当たりまたは小当たりしたか否かを判断する(S902、S905)。大当たりまたは小当たりしたか否かは、図6のS604またはS610で取得した大当たり乱数の値が、大当たりの当選値として設定された値または小当たりの当選値として設定された値と一致したか否かを判断することによって決定される(図17(a)参照)。
S901の乱数判定の結果が大当たりだった場合(S902でYes)、次に特別図柄判定部234は、大当たり図柄乱数値の判定を行う(S903)。この判定の結果に応じて、大当たりの種類(高確率状態か低確率状態、時短状態か時短無状態、長当たり、短当たり)が決定される。何れの大当たりとなるかは、図6のS604またはS610で取得した大当たり図柄乱数の値が、大当たりの種類ごとに予め設定された値のうちの何れと一致したかによって決定される(図17(b)参照)。
以上の判定の後、特別図柄判定部234は、大当たり図柄乱数の判定により決定された大当たりの種類を表す図柄(大当たり図柄)を設定情報としてRAM203にセットする(S904)。
S901の乱数判定の結果が小当たりだった場合(S902でNo、S905でYes)、次に特別図柄判定部234は、小当たりであることを表す図柄(以下、小当たり図柄)を設定情報としてRAM203にセットする(S906)。
S901の乱数判定の結果が大当たりでも小当たりでもない場合(S902、S905でNo)、次に特別図柄判定部234は、抽選にはずれたことを表す図柄(以下、はずれ図柄)を設定情報としてRAM203にセットする(S907)。
〔遊技制御部による変動パターン選択処理〕
図10は、変動パターン選択処理(図8のS809)の内容を示すフローチャートである。
この変動パターン選択処理において、遊技制御部200の変動パターン選択部235は、まず、大当たり判定処理(図9)のS902の判断結果を用いて今回の特別図柄抽選で大当たりしたか否かを判断する(S1001)。そして、大当たりだった場合(S1001でYes)、変動パターン選択部235は、大当たり用の変動パターンテーブルをROM202から読み出してRAM203にセットする(S1002)。
一方、大当たりしなかった場合(S1001でNo)、次に変動パターン選択部235は、遊技者に大当たりを期待させるためのいわゆるリーチ演出を行うか否かを決定するための乱数値の判定を行う(S1003)。リーチ演出を行うか否かは、図6のS604またはS610で取得したリーチ乱数の値が予め設定された値と一致したか否かを判断することによって決定される(図17(c)参照)。
乱数値を用いた判定の結果、リーチ演出を行う場合(S1004でYes)、変動パターン選択部235は、リーチ用の変動パターンテーブルをROM202から読み出してRAM203にセットする(S1005)。また、リーチ演出を行わない場合(S1004でNo)、変動パターン選択部235は、はずれ用の変動パターンテーブルをROM202から読み出してRAM203にセットする(S1006)。
ここで、変動パターンテーブルとは、予め用意されている複数の変動パターン(変動時間10秒、30秒、60秒、90秒など)と変動パターン乱数の値とを対応付けたテーブルである。
次に、変動パターン選択部235は、図6のS604またはS610で取得した変動パターン乱数値およびS1002、1005、1006でセットされた変動パターンテーブルを用いて、変動パターン乱数値の判定を行う(S1007)。すなわち、変動パターン選択部235は、RAM203にセットされた変動パターンテーブルを参照し、変動パターン乱数の乱数値に応じた変動パターンを選択する。したがって、同じ乱数値が取得された場合でも、特別図柄抽選の結果が、大当たりしたか否か、大当たりしていない場合はリーチ演出を行うか否か、といった状態の違いに応じて参照される変動パターンテーブルが異なるので、決定される変動パターンが異なる。
この後、変動パターン選択部235は、S1007で選択した変動パターンを設定情報としてRAM203にセットする(S1008)。S1008でセットされた変動パターンの設定情報は、図8のS811でセットされる変動開始コマンドに含まれ、図5−3のS506に示した出力処理で演出制御部300へ送信される。本実施の形態で選択される変動パターンおよびその設定の詳細については後述する。
〔遊技制御部による停止中処理〕
図11は、停止中処理(図8のS815)の内容を示すフローチャートである。
この停止中処理において、遊技制御部200は、まず、RAM203のフラグ設定において時短状態であることを示すフラグ(以下、時短フラグ)がONになっているか否かを調べる(S1101)。時短フラグがONである場合(S1101でYes)、遊技制御部200は、時短状態での抽選回数(変動回数)Jの値を1減算し(S1102)、抽選回数Jが0になったか否かを調べる(S1103)。そして、抽選回数J=0であれば(S1103でYes)、時短フラグをOFFにする(S1104)。なお、時短フラグをONにする操作と、抽選回数Jの初期値の設定は、後述の大入賞口処理(図14)における遊技状態設定処理(図15)で行われる。
時短フラグがOFFであった場合(S1101でNo)またはS1104で時短フラグをOFFにした後、あるいは抽選回数Jの値が0でない場合(S1103でNo)、次に遊技制御部200は、RAM203のフラグ設定において高確率状態であることを示すフラグ(以下、確変フラグ)がONになっているか否かを調べる(S1105)。なお、この確変フラグと先の時短フラグが共にONである場合は、高確率時短遊技状態であり、確変フラグがONであり時短フラグがOFFである場合は、高確率時短無遊技状態である。
確変フラグがONである場合(S1105でYes)、遊技制御部200は、高確率状態での抽選回数(変動回数)Xの値を1減算し(S1106)、抽選回数Xが0になったか否かを調べる(S1107)。そして、抽選回数X=0であれば(S1107でYes)、確変フラグをOFFにする(S1108)。なお、確変フラグをONにする操作と、抽選回数Xの初期値の設定は、後述の大入賞口処理(図14)における遊技状態設定処理(図15)で行われる。
確変フラグがOFFであった場合(S1105でNo)またはS1108で確変フラグをOFFにした後、あるいは抽選回数Xの値が0でない場合(S1107でNo)、次に遊技制御部200は、今回の特別図柄抽選で大当たりしたか否かを判断する(S1109)。そして、大当たりだった場合(S1109でYes)、次に遊技制御部200は、大当たりの種類が長当たりか否かを判断する(S1110)。
ここで、大当たりか否かの判断は、大当たり判定処理(図9)の判定結果に基づいて判断することができる。例えば、後述する図17(b)の図表に示す図柄の何れかがセットされているならば、S1109でYesである。大当たり判定処理によりRAM203に、はずれ図柄または小当たり図柄がセットされているならば、S1109でNoである。
大当たりの種類が長当たりであった場合(S1110でYes)、遊技制御部200は、長当たり遊技フラグをONにする(S1111)。これにより、RAM203の遊技状態の設定が、大当たりの種類が長当たりである大当たり遊技状態(長当たり遊技状態)となる。なお、ここでは長当たりにおいて、高確率状態か低確率状態かを区別していない。高確率状態となるか低確率状態となるかは、後述の大入賞口処理(図14)における遊技状態設定処理(図15)で該当するフラグをONにすることによって特定される。
大当たりの種類が長当たりでなかった場合(S1110でNo)、遊技制御部200は、短当たり遊技フラグをONにする(S1112)。これにより、RAM203の遊技状態の設定が、大当たりの種類が短当たりである大当たり遊技状態(短当たり遊技状態)となる。長当たりの場合と同様、短当たりの場合も高確率状態か低確率状態かを区別していない。
S1111またはS1112で当たり遊技フラグをONにした後、遊技制御部200は、抽選回数J、Xの値を初期化する(S1113)。また、遊技制御部200は、S1101において時短フラグがONであって、S1103において抽選回数Jが0でなかった場合に、時短フラグをOFFにする(S1114)。同様に、S1105において確変フラグがONであって、S1107において抽選回数Xが0でなかった場合に、確変フラグをOFFにする(S1114)。
一方、今回の特別図柄抽選の結果が大当たりでなかった場合(S1109でNo)、次に遊技制御部200は、今回の特別図柄抽選の結果が小当たりであったか否かを判断する(S1115)。小当たりでなかった場合は(S1115でNo)、停止中処理を終了する。
一方、小当たりであった場合(S1115でYes)、遊技制御部200は、小当たり遊技を開始する(S1116)。これにより、RAM203の遊技状態の設定が小当たり遊技状態となる。なお、小当たり遊技では、前述したように、大入賞口125を所定回数開閉し、所定時間経過後に終了する。
S1113で抽選回数J、Xの値を初期化した後、遊技制御部200は、オープニング動作を開始する(S1117)。ここで、オープニング動作の内容は、S1111、S1112の何れで当たり遊技フラグがONとなったかに応じて異なる。すなわち、当たり遊技フラグの状態に応じて、長当たり遊技、短当たり遊技の各遊技状態において設定されたオープニング動作の何れかが行われることとなる。
この後、遊技制御部200は、演出制御部300において当たり遊技フラグに応じたオープニング動作における演出を行うためのオープニングコマンドをRAM203にセットして(S1118)、停止中処理を終了する。このオープニングコマンドは、図5−3のS506に示した出力処理で演出制御部300へ送信される。
〔遊技制御部による客待ち設定処理〕
図12は、客待ち設定処理(図8のS816)の内容を示すフローチャートである。
この客待ち設定処理において、遊技制御部200は、まず、RAM203のフラグ設定において客待ちフラグがONになっているか否かを調べる(S1201)。ここで、客待ちフラグは、パチンコ遊技機100が客待ち状態であることを識別するためにセットされるフラグである。
客待ちフラグがONである場合、パチンコ遊技機100は客待ち状態であるので、そのまま処理を終了する(S1201でYes)。一方、客待ちフラグがOFFである場合、遊技制御部200は、客待ちコマンドを生成してRAM203にセットし(S1202)、客待ちフラグをONにする(S1203)。S1202でセットされた客待ちコマンドは、図5−3のS506に示した出力処理で演出制御部300へ送信される。なお、客待ちフラグとは、特別図柄の変動が停止して、保留が無い状態でセットされるものである。
〔遊技制御部による普通図柄処理〕
図13は、図5−3のS503に示した図柄処理のうちの普通図柄処理の内容を示すフローチャートである。
この普通図柄処理において、遊技制御部200の普通図柄変動制御部236は、まず、RAM203のフラグ設定において補助遊技フラグがONになっているか否かを調べる(S1301)。ここで、補助遊技フラグは、普通図柄抽選で当選した場合にセットされるフラグである。補助遊技フラグが設定されている状態は、電動チューリップ123が後述の電動チューリップ処理(図16)にしたがって開放され、第2始動口122に入賞し易い状態である(補助遊技状態)。
補助遊技フラグがONである場合、既に補助遊技状態となっており、普通図柄が停止している状態なので、普通図柄変動を開始することなく普通図柄処理を終了する(S1301でYes)。一方、補助遊技フラグがOFFである場合(S1301でNo)、次に普通図柄変動制御部236は、パチンコ遊技機100の現在の状態が普通図柄変動中か否かを判断する(S1302)。普通図柄変動中でない場合(S1302でNo)、次に普通図柄変動制御部236は、普通図柄の未変動分の保留数G(図7参照)が1以上か判断する(S1303)。保留数G=0である場合は(S1303でNo)、普通図柄の抽選を始動するための入賞が無いことを意味するため、普通図柄変動を開始せずに処理を終了する。
これに対し、保留数Gが1以上である場合(S1303でYes)、普通図柄変動制御部236は、保留数Gの値を1減算し(S1304)、今回の普通図柄抽選における当たり乱数の判定を行って、普通図柄抽選に当選したか否かを判断する(S1305)。当選したか否かは、図7のS704で取得した当たり乱数の値が、後述する図17(d)に示すテーブル等において当選値として設定された値と一致したか否かを判断することによって決定される。
次に、普通図柄変動制御部236は、普通図柄抽選の結果に応じて普通図柄の設定を行う(S1306)。すなわち、普通図柄抽選に当選した場合は、当選したことを表す図柄(以下、当たり図柄)を設定情報としてRAM203にセットする。一方、普通図柄抽選に当選しなかった場合は、抽選にはずれたことを表す図柄(以下、はずれ図柄)を設定情報としてRAM203にセットする。
次に、普通図柄変動制御部236は、普通図柄の変動時間の設定を行う(S1307)。この変動時間は、図11におけるS1104、S1114、後述の図15におけるS1504、S1507等の処理で設定される時短フラグに基づいて設定される。すなわち、S1307による設定の際に時短フラグがONである場合は、短時間(例えば1.5秒)に設定され、時短フラグがOFFである場合は、長時間(例えば4.0秒)に設定される。この設定の後、普通図柄変動制御部236は、S1307の設定内容に基づき、図2(a)および図3に示す普通図柄表示器223における普通図柄の変動を開始する(S1308)。
S1308で普通図柄の変動を開始した後、またはS1302で普通図柄変動中と判断された場合(S1302でYes)、普通図柄変動制御部236は、変動時間を経過したか否かを判断する(S1309)。すなわち、S1308で普通図柄の変動を開始してからの経過時間がS1307で設定された変動時間に達したか否かが判断される。変動時間を経過していなければ(S1309でNo)、普通図柄変動が継続されるので、そのまま普通図柄処理が終了する。
一方、変動時間が終了した場合(S1309でYes)、普通図柄変動制御部236は、普通図柄表示器223における普通図柄の変動を停止する(S1310)。そして、普通図柄変動制御部236は、停止した普通図柄に基づき普通図柄抽選に当選したか否かを判断する(S1311)。当選したならば(S1311でYes)、補助遊技フラグをONにする(S1312)。一方、抽選にはずれたならば(S1311でNo)、補助遊技フラグをONにすること無く普通図柄処理を終了する。
〔遊技制御部による大入賞口処理〕
図14は、図5−3のS504に示した電動役物処理のうちの大入賞口処理の内容を示すフローチャートである。
この大入賞口処理において、遊技制御部200の大入賞口動作制御部237は、まず、RAM203のフラグ設定において当たり遊技フラグがONになっているか否かを調べる(S1401)。当たり遊技フラグがOFFである場合、大入賞口125への入賞はないので、大入賞口処理を終了する(S1401でNo)。一方、当たり遊技フラグがONである場合(S1401でYes)、次に大入賞口動作制御部237は、パチンコ遊技機100が停止中処理(図11)で開始された大当たり時の動作制御におけるオープニング動作の最中か否かを判断する(S1402)。
パチンコ遊技機100がオープニング中である場合(S1402でYes)、次に大入賞口動作制御部237は、予め設定されたオープニング動作が行われるべき時間(オープニング時間)を経過したか否かを判断する(S1403)。オープニング時間を経過していないならば、大入賞口125でのオープニング動作が継続されるので、大入賞口処理を終了する(S1403でNo)。一方、オープニング時間を経過したならば(S1403でYes)、次に大入賞口動作制御部237は、大入賞口125の作動設定を行い(S1404)、入賞個数Cを初期化(C=0)し(S1405)、大入賞口125の作動のラウンド数Rの値を現在の値から1加算して(S1406)、大入賞口125を作動開始(開放)する(S1407)。
S1404の作動設定では、大入賞口125の作動パターンと、その作動パターンで作動させるラウンド数(作動ラウンド数)とが設定される。大入賞口125が作動する場合としては、特別図柄抽選で、長当たりまたは短当たりの大当たりであった場合と、小当たりであった場合がある。作動パターンおよびラウンド数は、これらの当たりの種類に応じて様々に設定される。一例としては、長当たりの場合、例えば、15ラウンド(15R)作動させ、1ラウンドでは29.5秒の開放を1回行う。短当たりの場合、例えば、15ラウンド(15R)作動させ、1ラウンドでは0.1秒の開放を1回行う。小当たりの場合、例えば、1ラウンド(1R)作動させ、この1ラウンドで0.1秒の開放を15回行う。ここで、短当たりでの作動と小当たりでの作動を上記の例で比較すると、共に0.1秒の開放が15回行われることとなる。すなわち、遊技者から見える大入賞口125の動作は、短当たりの場合と小当たりの場合とで同じであり、遊技盤110上の大入賞口125の動作のみから短当たりと小当たりとを区別することはできない。
また、別の例としては、長当たりでは、15ラウンド(15R)作動させ、1ラウンドでは29.5秒の開放を1回行い、短当たりでは、2ラウンド(2R)作動させ、1ラウンドでは0.9秒の開放を2回行い、小当たりでは、1ラウンド(1R)作動させ、この1ラウンドで0.9秒の開放を2回行う。この場合も、短当たりでの作動と小当たりでの作動を比較すると、共に0.9秒の開放が2回行われることとなり、遊技者から見える大入賞口125の動作は、短当たりの場合と小当たりの場合とで同様となる。
なお、小当たりの際には、大入賞口125の開放累積時間が1.8秒以内に設定されなければならないことが法令により定められている。一方で、大当たり(長当たりまたは短当たり)の際には、大入賞口125を複数回連続開放させなければならない。そこで、上記のように小当たりでの作動と短当たりでの作動を外見上区別し難くしようとする場合、小当たりでは、1作動での開放累積時間が1.8秒以内を満たす範囲で、大入賞口125が2回以上開放する作動形態が設定され、短当たりでは、小当たりの開放回数と同数のラウンド数が設定される。
次に、大入賞口動作制御部237は、S1404で設定された作動パターンにおける開放時間を経過したか否かを判断する(S1408)。大入賞口125での開放状態が開放時間を経過していない場合(S1408でNo)、次に大入賞口動作制御部237は、大入賞口125への入賞個数Cが規定の個数(例えば9個)以上か否かを判断する(S1409)。開放時間を経過しておらず、かつ入賞個数Cが規定個数未満である場合は、大入賞口125の作動状態(開放状態)が継続されるので、大入賞口処理を終了する(S1409でNo)。一方、開放時間を経過したか(S1408でYes)、または入賞個数Cが規定個数に達した場合(S1409でYes)、大入賞口動作制御部237は、大入賞口125を作動終了(閉口)する(S1410)。
次に、大入賞口動作制御部237は、大入賞口125の作動のラウンド数RがS1404で設定された最大値に達したか否かを判断する(S1411)。そして、最大値に達していないならば、残りの作動が行われるため、大入賞口処理を終了する(S1411でNo)。
大入賞口125の作動のラウンド数Rが最大値に達したならば(S1411でYes)、次に大入賞口動作制御部237は、エンディング動作を開始する(S1412)。ここで、エンディング動作の内容は、長当たり遊技、短当たり遊技の各遊技状態において設定されたエンディング動作のうち、当たり遊技フラグの状態に対応するものとなる。
この後、大入賞口動作制御部237は、演出制御部300において当たり遊技フラグに応じたエンディング動作における演出を行うためのエンディングコマンドをRAM203にセットする(S1413)。このエンディングコマンドは、図5−3のS506に示した出力処理で演出制御部300へ送信される。
次に、大入賞口動作制御部237は、大入賞口125の作動のラウンド数Rを0にリセットした後(S1414)、エンディング動作の開始からの経過時間が予め設定されたエンディング動作が行われるべき時間(エンディング時間)を経過したか否かを判断する(S1417)。エンディング時間を経過していないならば、エンディング動作が継続されるので、大入賞口処理を終了する(S1417でNo)。一方、エンディング時間を経過したならば(S1417でYes)、次に大入賞口動作制御部237は、遊技制御部200による遊技状態設定処理を経た後(S1418)、当たり遊技フラグをOFFにして、大入賞口処理を終了する(S1419)。遊技状態設定処理の内容については後述する。
S1402で、パチンコ遊技機100がオープニング中ではないと判断した場合(S1402でNo)、次に大入賞口動作制御部237は、エンディング中か否かを判断する(S1415)。そして、エンディング中であるならば(S1415でYes)、上記S1417以降の動作を実行する。
一方、パチンコ遊技機100がエンディング中でもないならば(S1415でNo)、次に大入賞口動作制御部237は、大入賞口125が作動(開放)中か否かを判断する(S1416)。そして、作動中でないならば(S1416でNo)、上記S1405以降の動作を実行し、作動中であるならば(S1416でYes)、上記S1408以降の動作を実行する。
なお、前述した小当たり遊技で行われる演出は、短当たり遊技で行われる演出と同様であり、演出から短当たりと小当たりとを区別することはできない。
〔遊技状態設定処理〕
エンディング時間が経過した場合(S1417でYes)に実行される、遊技制御部200による遊技状態設定処理(S1418)の内容を図15に示す。
遊技状態設定処理が行われる場合、前提として、図14のS1401で当たり遊技フラグがONとなっている。そこで、図15に示すように、遊技制御部200は、まず、その当たりの種類を判断する(S1501、S1502、S1503、S1506)。これらの判断は、例えば大当たり判定処理(図9)でRAM203に設定情報としてセットされた図柄の種類に基づいて判断することができる。なお、これらの判断は大当たり判定処理(図9)のS902、S903、S905と概ね同様であるので、S902、S903、S905の判断結果を用いても良い。
小当たりである場合(S1501でYes)、遊技状態(パチンコ遊技機100の内部状態)は変更しないので、遊技状態設定処理を終了する。
当たりの種類が低確率時短遊技状態の大当たりである場合(S1501でNo、S1502、S1503でYes)、遊技制御部200は、時短フラグをONにする(S1504)。これにより、RAM203の遊技状態の設定が低確率時短遊技状態となる。また、遊技制御部200は、抽選回数Jの初期値を設定し(S1505)、遊技状態設定処理を終了する。抽選回数Jの初期値は、図示の例では100回である。したがって、低確率時短遊技状態における抽選が100回行われたならば、低確率時短遊技状態が終了し、低確率時短無遊技状態となる。
一方、当たりの種類が低確率時短無遊技状態の大当たりである場合(S1501でNo、1502でYes、S1503でNo)、遊技制御部200は、時短フラグ、確変フラグともONにせずに処理を終了する。したがって、この大当たりの後の遊技に対するRAM203の遊技状態の設定は、低確率時短無遊技状態となる。
当たりの種類が高確率時短遊技状態の大当たりである場合(S1501、S1502でNo、S1506でYes)、遊技制御部200は、時短フラグをONにし(S1507)、抽選回数Jの初期値を設定する(S1508)。この場合の抽選回数Jの初期値は、図示の例では10000回である。また、遊技制御部200は、確変フラグをONにし(S1509)、抽選回数Xの初期値を設定する(S1510)。抽選回数Xの初期値は、図示の例では10000回である。これにより、RAM203の遊技状態の設定が高確率時短遊技状態となる。そして、この高確率時短遊技状態における抽選が10000回行われたならば、高確率時短遊技状態が終了し、低確率時短無遊技状態となる。
一方、当たりの種類が高確率時短無遊技状態の大当たりである場合(S1501、S1502、S1506でNo)、遊技制御部200は、確変フラグのみをONにし(S1509)、抽選回数Xの初期値(10000回)を設定する(S1510)。これにより、RAM203の遊技状態の設定が高確率時短無遊技状態となる。そして、この高確率時短無遊技状態における抽選が10000回行われたならば、高確率時短無遊技状態が終了し、低確率時短無遊技状態となる。
〔遊技制御部による電動チューリップ処理〕
図16は、図5−3のS504に示した電動役物処理のうちの電動チューリップ処理の内容を示すフローチャートである。
電動チューリップ処理において、遊技制御部200の電動チューリップ動作制御部238は、まず、RAM203のフラグ設定において補助遊技フラグがONになっているか否かを調べる(S1601)。補助遊技フラグがOFFである場合、電動チューリップ123は開放しないため、電動チューリップ処理を終了する(S1601でNo)。一方、補助遊技フラグがONである場合(S1601でYes)、次に電動チューリップ動作制御部238は、電動チューリップ123が作動中か否かを判断する(S1602)。
電動チューリップ123が作動中でない場合(S1602でNo)、電動チューリップ動作制御部238は、電動チューリップ123の作動パターンの設定を行い(S1603)、設定した作動パターンで電動チューリップ123を作動させる(S1604)。ここで、作動パターンは、図11におけるS1104、S1114、図15におけるS1504、S1507等の処理で設定される時短フラグに基づいて設定される。例えば、S1603による設定の際に時短フラグがOFFである場合は、0.15秒の開放時間で1回開放する作動パターンが設定され、時短フラグがONである場合は、1.80秒の開放時間で3回開放する作動パターンが設定される。このように、通常、時短フラグがONであるとき(時短状態のとき)は、電動チューリップ123が長時間、複数回開放され、第2始動口122に入賞し易くなる入賞サポート(電チューサポート)が行われる。
S1602で電動チューリップ123が作動中と判断された場合(S1602でYes)、またはS1604で電動チューリップ123を作動させた後、電動チューリップ動作制御部238は、設定されている作動パターンにおける開放時間が経過したか否かを判断する(S1605)。開放時間を経過していなければ、電動チューリップ123の作動状態(開放状態)が継続されるので、電動チューリップ処理を終了する(S1605でNo)。一方、開放時間を経過したならば(S1605でYes)、電動チューリップ動作制御部238は、補助遊技フラグをOFFとして、電動チューリップ処理を終了する(S1606)。
〔乱数による判定の手法〕
ここで、大当たり判定処理(図9)、変動パターン選択処理(図10)、普通図柄処理(図13)等で行われる、乱数による判定の手法について詳細に説明する。
図17は、本実施の形態において特別図柄抽選および普通図柄抽選で用いられる乱数(判定テーブル)の構成例を示す図である。
図17(a)には特別図柄抽選で用いられる大当たり乱数の構成例、図17(b)には特別図柄抽選で用いられる大当たり図柄乱数の構成例、図17(c)には特別図柄抽選で用いられるリーチ乱数の構成例、図17(d)には普通図柄抽選で用いられる当たり乱数の構成例が、それぞれ示されている。
図17(a)を参照すると、大当たり乱数の判定値として、大当たり判定時のパチンコ遊技機100の遊技状態が低確率状態の場合の大当たりと大当たり判定時の遊技状態が高確率状態の場合の大当たりの2種類と、小当たりとが設定されている。乱数(大当たり乱数)の値の範囲は、何れも0〜399の400個である。低確率状態の特別図柄抽選(大当たり抽選)の場合、当選値は1つだけが設定され、当選確率は1/400である。また高確率状態の特別図柄抽選の場合、当選値は10個設定され、当選確率は10/400(=1/40)である。すなわち図示の例では、高確率状態で始動口121、122に入賞し特別図柄抽選が行われると、低確率状態で特別図柄抽選が行われる場合に比べて、当選確率が10倍となる。また、小当たりの当選値は、低確率状態か高確率状態かに関わらず3個設定され、当選確率は3/400である。
図17(b)を参照すると、大当たり図柄には、第1始動口121に入賞したことを契機とする特別図柄に基づく大当たりの種類として、図柄A、図柄Bおよび図柄Cの3種類が設定されている。また、第2始動口122に入賞したことを契機とする特別図柄に基づく大当たりの種類として、図柄Dおよび図柄Eの2種類が設定されている。
そして、図柄Aは、16R長当たりであり、図柄Bは、4R長当たりであり、図柄Cは、4R短当たりである。また、図柄Dは、16R長当たりであり、図柄Eは、4R長当たりである。
図17(b)の例では、乱数値(大当たり図柄乱数値)の範囲は、第1始動口121と第2始動口122の何れに入賞した場合も0〜99の100個である。
そして、第1始動口121に入賞した場合、図柄Aの当選値は4個(値「0」〜「3」)設定され、当選確率は4/100である。図柄Bの当選値は90個(値「4」〜「93」)設定され、当選確率は90/100である。図柄Cはの当選値は6個(値「94」〜「99」)設定され、当選確率は6/100である。
一方、第2始動口122に入賞した場合、図柄Dの当選値は50個(値「0」〜「49」)設定され、当選確率は50/100である。図柄Eの当選値は50個(値「50」〜「99」)設定され、当選確率は50/100である。
また、図17に示す各種の大当たり(図柄A、図柄B、図柄C、図柄Dおよび図柄E)は全てが、大当たり遊技後のパチンコ遊技機100の遊技状態が高確率遊技状態に移行する。したがって、図17の例において、特別図柄抽選で大当たりに当選した場合の確変突入率は、100%である。また、本実施形態では、高確率遊技状態は、特別図柄抽選が80回行われるまで継続する。
さらに、大当たり遊技後に時短状態となる大当たり(図柄A、図柄B、図柄Dおよび図柄E)では、上記の高確率状態に伴って、特別図柄抽選が80回行われるまで時短状態が継続し、電動チューリップ123の開放による第2始動口122への入賞サポート(電チューサポート)が行われる。
なお、このように高確率状態の継続期間が限定されているパチンコ遊技機100をST(スペシャル・タイム)機などともいう。
以上のように、図17(b)に示す例では、例えば第1始動口121に入賞した場合の大当たりは、4R長当たり(図柄B)に当選する確率が高くなっている。一方、第2始動口122に入賞した場合の大当たりは、第1始動口121に入賞した場合と比較して、16R長当たり(図柄D)に当選する確率が高い。また、第2始動口122に入賞した場合の大当たりは、16R長当たり(図柄D)と4R長当たり(図柄E)とに当選する確率が半々に設定されている。
このように、第1始動口121に入賞した場合と第2始動口122に入賞した場合における大当たりの種類の当選確率を相違させることにより、様々な遊技性を持たせることができる。また、遊技盤110における第1始動口121と第2始動口122の配置を工夫し、特定の状態では第1始動口121と第2始動口122の何れか一方を狙い易くなるように構成することによって、遊技者にさらに積極的な遊技への参加を促すことも可能である。
次に、リーチ乱数の判定について説明する。
図17(c)を参照すると、乱数の値の範囲は0〜249の250個であり、リーチ演出を行う抽選結果(リーチ有)に22個の乱数値が割り当てられ、リーチ演出を行わない抽選結果(リーチ無)に228個の乱数値が割り当てられている。すなわち図示の例では、特別図柄抽選で大当たりしなかった場合に、22/250(=11/125)の確率でリーチ演出が行われる。
なお、リーチ乱数によって決定されるリーチ有り演出、リーチ無し演出というのは、画像表示部114において行われる演出の態様を示すものである。すなわち、特別図柄の変動表示中には、例えば1〜9の数字が縦方向に連続して記された数列からなる図柄が三列表示されており、特別図柄の変動表示が開始されるのと同時に、これら図柄がスクロールを開始する。
そして、リーチ有り演出においては、スクロールの開始後、所定時間経過後にスクロールが停止して各図柄を停止表示する際に、まず、いずれか2つの図柄(数列)が先に停止する。このとき、横または斜めにわたる一直線上に同一の数字が停止表示するとともに、最後の一列がスクロール速度を徐々に遅くして、一直線上に同一の数字が3つ揃うのではないかという期待感を遊技者に与える。このようなリーチ有り演出のなかには、最後の1列のスクロールが停止する前に、さまざまなキャラクタが登場したり、ストーリーが展開したりするいわゆるスーパーリーチ演出が含まれている。一方、リーチ無し演出は、リーチ有り演出とは異なり、遊技者に期待感を与えるような演出がなされることなく、横または斜めにわたる一直線上に同一の数字が揃わない状態で図柄が停止表示するものである。
このように、リーチ乱数は、大当たり乱数の判定の結果がはずれであった場合に、画像表示部114においてリーチ有り演出を行うか、リーチ無し演出を行うかを決定するためのもので、所定の確率でリーチ有り演出が出現するようにして、遊技者に対して適度に期待感を与えるようにしている。
付言すると、大当たりに当選した場合には、リーチ有り演出が必ず行われ、最終的に横または斜めにわたる一直線上に、同一の数字が揃った状態で装飾図柄が停止表示する。これに対して、小当たりに当選した場合やはずれの場合のリーチ有り演出は、上記一直線上に、同一の数字が揃わない状態で装飾図柄が停止表示する。
次に、普通図柄抽選に用いられる当たり乱数の判定について説明する。
図17(d)を参照すると、乱数の値の範囲は0〜9の10個であり、時短フラグOFFのときの当選値として1個の値が割り当てられ、時短フラグONのときの当選値として9個の値が割り当てられている。したがって、時短無状態のときにゲート124を遊技球が通過して普通図柄抽選(開閉抽選)が行われると、1/10の確率で当選する。これに対し、時短状態のときにゲート124を遊技球が通過して普通図柄抽選(開閉抽選)が行われると、9/10の確率で当選する。
各種の抽選に用いられる判定情報としての乱数値は、所定の初期値から始まって、図5−3に示す乱数更新処理(S501)が行われるたびに1ずつ加算される。そして、各抽選が行われた時点の値が始動口スイッチ処理(図6)およびゲートスイッチ処理(図7)で取得され、特別図柄処理(図8)や普通図柄処理(図13)で使用される。なお、この乱数値のカウンタは無限ループカウンタであり、設定されている乱数の最大値(例えば図17(a)に示した大当たり乱数では299)に達した後は再び0に戻る。また、乱数更新処理は一定時間ごとに行われるため、各乱数の初期値が特定されてしまうと、これらの情報に基づいて当選値が推定される恐れがある。そこで、一般に、適当なタイミングで各乱数の初期値をランダムに変更する仕組みが導入されている。
なお、図17の各乱数の構成例に示した乱数の範囲、当選値の割合、当選値の各値は例示に過ぎず、図示の値に限定されるものではない。
〔変動パターンの設定例〕
次に、図10に示した変動パターン選択処理において用いられる変動パターンの設定例について説明する。
図18は、図10に示した変動パターン選択処理において用いられる変動パターンの設定例を示す図である。
図18に示す例では、特別図柄抽選の判定結果が大当たりであった場合(図10のS1001でYesの場合)の変動パターンとして、3種類の変動パターンA〜Cが設定されている。また、特別図柄抽選の判定結果がはずれ(図10のS1001でNoの場合)であった場合の変動パターンとして、6種類の変動パターンD〜Iが設定されている。変動時間は、変動パターンAが90秒、変動パターンBが60秒、変動パターンCが30秒、変動パターンDが60秒、変動パターンEが30秒、変動パターンFが15秒、変動パターンGが13秒、変動パターンHが7秒、変動パターンIが3秒にそれぞれ設定されている。すなわち、特別図柄の変動パターンは、特別図柄抽選における判定結果および特別図柄の変動時間を定める。
また、変動パターンD〜Fは、リーチ演出が行われる場合(図10のS1004でYesの場合)に選択される変動パターンであり、変動パターンG〜Iは、リーチ演出が行われない場合(図10のS1004でNoの場合)に選択される変動パターンとして設定されている。なお、特別図柄抽選の判定結果が大当たりのときには必ずリーチ演出を行うように構成しているため、変動パターンA〜Cが選択される場合においてリーチ演出の有無は参照されない。
さらに、変動パターンG〜Iのうち、変動パターンGは保留数が0個であるとき、変動パターンHは保留数が1個または2個であるとき、変動パターンIは保留数が3個または4個であるときにそれぞれ選択される変動パターンとして設定されている。すなわち、特別図柄抽選における判定の保留数が多いほど、特別図柄変動の平均時間が短くなるように設定されている。
遊技制御部200は、遊技球が始動口121、122に入賞した際に取得した変動パターン乱数値(図6のS604、S610参照)と、図18の設定例に示す判定結果、リーチ演出の有無、保留数等の条件とに基づいて特別図柄の変動パターンを決定する。そして、決定された特別図柄の変動パターンの情報は、変動開始コマンドに含まれて、遊技制御部200から演出制御部300へ送られる。演出制御部300では、後述するように、特別図柄変動時の演出として、変動開始コマンドに含まれる変動パターンの情報に基づいて特定される変動時間に対応する(その変動時間で実行可能な)演出が選択されて実行される。
なお、図示はしていないが、特別図柄抽選の判定結果が大当たりであった場合に選択される変動パターンA〜Cのうち、最も高い割合で変動パターンAが選択され、次に高い割合で変動パターンBが選択され、最も低い割合で変動パターンCが選択されるように設定することができる。
また、図18に示した例では、遊技球が第1始動口121に入賞した場合と第2始動口122に入賞した場合とを区別していないが、第1始動口121と第2始動口122の何れに入賞したかに応じて変動パターンの設定を異ならせることもできる。
〔コマンドの構成および伝送方式〕
ここで、遊技制御部200から演出制御部300へ出力されるコマンド(演出制御用コマンドおよび設定用コマンド)の構成および伝送方式について説明する。
図19−1は、コマンドの構成を示す図である。図19−1(a)はコマンドのデータ構造を示し、図19−1(b)はコマンドのビット列としての構造を示す。
図19−1(a)に示すように、遊技制御部200から演出制御部300へ出力されるコマンドは、1コマンドが2バイトで構成される。このコマンドは、第1データ部としての1バイトの「コード」と、第2データ部としての1バイトの「データ」で構成されている。「コード」は、コマンドの種類を示し、「データ」は、コマンドの値を示す。このコマンドは、1本のシリアル信号により調歩同期を用いて、遊技制御部200から演出制御部300へ送信される。なお、より一般的には、第1データ部である「コード」は、aビット(aは2以上の整数)のサイズで、先頭の1ビットの値が1または0の何れか一方に特定され、第2データ部である「データ」は、n×aビット(nは1以上の整数)のサイズで、先頭の1ビットの値が前記第1データ部の先頭の1ビットの値とは異なる値に特定されている。
調歩同期を用いるため、コマンドを構成する「コード」および「データ」の各々の先頭には1ビットのスタートビット(図中、「S」と記載されたビット)が設けられ、最後尾には1ビットのエンドビット(図中、「E」と記載されたビット)が設けられる。また、コマンドを構成する「コード」および「データ」の各々には1ビットのパリティビット(図中、「P」と記載されたビット)が設けられる。
図19−1(a)に示したように、コマンドを構成する「コード」と「データ」とは、どちらも1バイト(8ビット)のデータサイズを有する。そして、伝送される際、「コード」および「データ」には、それぞれ、スタートビット、エンドビットおよびパリティビットが設けられる。そのため、コマンドを受信する演出制御部300において、受信したデータ列がコマンドの「コード」であるのか「データ」であるのかを、データ列の外形から識別することは容易ではない。そこで、本実施の形態では、「コード」と「データ」とを識別するためのフラグを設定する。具体的には、「コード」を構成する8ビット値の特定箇所の値と、「データ」を構成する8ビット値のうち「コード」の特定箇所に対応する箇所の値とが異なるようにする。
図19−1(b)に示す例では、「コード」および「データ」のそれぞれの先頭の1ビットをフラグとして用いている。すなわち、「コード」を構成する8ビット値においては、先頭の1ビットの値を「1」とし、「データ」を構成する8ビット値においては、先頭の1ビットの値を「0」とする。これにより、演出制御部300は、受信したデータ列のスタートビットに続く先頭の1ビットの値を調べることにより、そのデータ列が「コード」か「データ」かを識別することができる。なお、フラグの具体的な値は例示に過ぎず、「コード」と「データ」とを識別可能であれば、上記に示す値とは異なる値を用いても良い。
ここで、「コード」は先頭の1ビットの値が「1」に特定されているので、「コード」が取り得る値の範囲は、10000000B(=80H)から11111111B(=FFH)までの128個である。なお、各値に付された文字「B」は2進数表記であることを示し、文字「H」は16進数表記であることを示す。また、「データ」は先頭の1ビットの値が「0」に特定されているので、「データ」が取り得る値の範囲は、00000000B(=00H)から01111111B(=7FH)までの128個である。すなわち、図19−1(a)、(b)に示す構成によれば、各々128種類の値を取り得る、128種類のコマンドを設定することができる。
ところで、パチンコ遊技機100では、遊技状態や特別図柄抽選の判定結果等に応じて多くの種類の演出が実行される。そのため、演出制御用のコマンドも多くのコマンド数が用意される。特に、コマンドの具体的な内容を示す値である「データ」は、上記の128個では不足することもあり得る。一方、コマンドの種類を示す「コード」は、通常、上記の128個よりも小さい数で足りる。そこで、「コード」のビット列の一部を、「データ」の値を記述するために用いることが考えられる。
例えば、「コード」の最後尾の1ビットを「データ」の値の記述に用いる場合を考える。以下、「コード」および「データ」を構成する8ビットのビット列における各ビットを、第1ビット〜第8ビットと呼ぶ。また、「コード」を構成するビット列とは別に、実際にコマンドの種類を示す「コード」の値を「コード値」と呼び、「データ」を構成するビット列とは別に、実際にコマンドの値を示す「データ」の値を「データ値」と呼ぶ。すると、コード値は、「コード」のビット列のうち、第1ビットから第7ビットまでを用いて記述され、データ値は、「データ」のビット列の全て(第1ビットから第8ビットまで)と、「コード」の第8ビットとを用いて記述される。
このように構成すれば、コード値の取り得る範囲は、第1ビットの値が「1」に特定されており、全体で7ビットのサイズであるので、1000000B(=40H)から1111111B(=7FH)までの64個である。また、データ値の取り得る範囲は、第1ビットの値が「0」に特定された「データ」の8ビットで表現される128個と「コード」の第8ビットの値「0」、「1」とを合わせて、256個である。したがって、データ値として256種類の値を持つコマンドを設定することが可能となる。
なお、「コード」の一部を用いてデータ値を記述する場合における上記の構成は例示に過ぎず、具体的なビット数や値は上記の構成例には限定されない。例えば、「コード」の第7ビットおよび第8ビットを用いてデータ値を記述するように構成しても良い。より一般的には、第1データ部である「コード」を構成する所定のビットと、第2データ部である「データ」を構成するビットとを用いて、所定の種類のデータ(データ値)が記録される。そして、第1データ部である「コード」における上記の所定のビットを除く残りのビットを用いて、所定の種類のデータ(データ値)とは異なる他の種類のデータ(コード値)が記録される。言い換えると、第2データ部である「データ」を構成するaビットと、第1データ部である「コード」を構成するbビット(bはa−1よりも小さく、1以上の整数)とを用いて、(a+b)ビットのサイズのデータ値が記録される。
また、扱うことができるデータ値の数を増やす手段としては、データ値を記述する「データ」のビット列を増やすことも考えられる。例えば、データ値を記述するビット列として、「第1データ」と「第2データ」とを用意することが考えられる。この場合、各ビット列を8ビットとすれば、合計で16ビットのビット列によりデータ値を記述することが可能となる。「第1データ」と「第2データ」とを識別するために、8ビットのビット列のうち第2ビットをフラグとして用いることにすると、例えば、「第1データ」の第1ビットおよび第2ビットを「00B」とし、「第2データ」の第1ビットおよび第2ビットは「01B」とすることができる。なお、第1ビットは、「コード」と識別するためのフラグとして値「0」となっている。すなわち、第2データ部である「データ」は、個々のデータ値を表すビット列(「第1データ」、「第2データ」、……)のサイズである8ビットごとに(より一般的には、上記aビットごとに)、先頭の1ビットの値と同じ値が設定される。
このように構成すると、「第1データ」の取り得る値の範囲は、00000000B(=00H)から00111111B(=3FH)までの64個であり、「第2データ」の取り得る値の範囲は、01000000B(=40H)から01111111B(=7FH)までの64個であるので、合計で4096(=64×64)個となる。なお、ここでは、「コード」と「データ」(「第1データ」および「第2データ」)を識別するためのフラグとして第1ビットを用い、「第1データ」と「第2データ」とを識別するためのフラグとして第2ビットを用いることとしたが、第1、第2ビットを用いて4種類のビット列を識別するためのフラグを設定しても良い。例えば、「コード」は第1、第2ビットの値を「11B」とし、「データ」は第1、第2ビットの値を「00B」、「01B」、「10B」の何れかとすることが考えられる。
〔演出制御部の動作〕
次に、演出制御部300の動作を説明する。
図19−2は、演出制御部300の動作を示すフローチャートである。
演出制御部300の動作は、図19−2(a)に示すメイン処理と、図19−2(b)に示す割り込み処理とからなる。図19−2(a)を参照すると、演出制御部300は、まず起動時に初期設定を行い(S1901)、CTC(Counter/Timer Circuit)の周期設定を行った後(S1902)、設定された周期にしたがって、演出制御において用いられる乱数を更新しながら(S1903)、割り込み処理を受け付ける。
割り込み処理は、S1902で設定された周期にしたがって定期的に行われる。図19−2(b)を参照すると、この割り込み処理において、演出制御部300は、遊技制御部200からのコマンドを受信してコマンド受信処理を行う(S1911)。このコマンド受信処理において、演出パターンが選択される。また、演出制御部300は、遊技者による演出ボタン161等の操作を受け付けるための演出ボタン処理を行う(S1912)。この後、演出制御部300は、選択した演出パターンの情報を含むコマンドを画像/音響制御部310およびランプ制御部320に送信するコマンド送信処理を行う(S1913)。これにより、画像表示部114への画像表示や音響出力、可動役物115の動作、盤ランプ116や枠ランプ157の発光等による演出が行われる。
〔演出制御部によるコマンド受信処理〕
図20は、コマンド受信処理(図19−2(b)のS1911)の内容を示すフローチャートである。
このコマンド受信処理において、演出制御部300は、まず、受信したコマンドが保留数を増加するためのコマンド(保留数増加コマンド)か否かを判断する(S2001)。この保留数増加コマンドは、遊技制御部200において、図6に示した始動口スイッチ処理においてセットされ(S606、S612)、図5−3に示した出力処理(S506)で演出制御部300へ送信される。保留数増加コマンドであった場合(S2001でYes)、演出制御部300は、RAM303に保持されている保留数の値を1加算し(S2002)、加算後の保留数の値を示す保留数コマンドをRAM303にセットする(S2003)。
受信したコマンドが保留数増加コマンドでない場合(S2001でNo)、またはS2003の保留数増加コマンドのセット後にコマンドを受信した場合、演出制御部300は、受信したコマンドが変動開始コマンドか否かを判断する(S2004)。この変動開始コマンドは、遊技制御部200において、図8に示した特別図柄処理においてセットされ(S811)、図5−3に示した出力処理(S506)で演出制御部300へ送信される。
受信したコマンドが変動開始コマンドであった場合(S2004でYes)、演出制御部300は、演出選択処理を実行する(S2005)。演出選択処理の詳細については後述する。
受信したコマンドが変動開始コマンドでない場合(S2001およびS2004でNo)、またはS2005の演出選択処理の実行後にコマンドを受信した場合、演出制御部300は、受信したコマンドが変動停止コマンドか否かを判断する(S2006)。この変動停止コマンドは、遊技制御部200において、図8に示した特別図柄処理においてセットされ(S814)、図5−3に示した出力処理(S506)で演出制御部300へ送信される。
受信したコマンドが変動停止コマンドであった場合(S2006でYes)、演出制御部300は、変動演出終了中処理を実行する(S2007)。変動演出終了中処理の詳細については後述する。
受信したコマンドが変動開始コマンドおよび変動停止コマンドでない場合(S2001、S2004およびS2006でNo)、またはS2007の変動演出終了中処理の実行後にコマンドを受信した場合、演出制御部300は、受信したコマンドが大当たり演出におけるオープニングを開始するためのオープニングコマンドか否かを判断する(S2008)。このオープニングコマンドは、図11に示した停止中処理においてセットされ(S1118)、図5−3に示した出力処理(S506)で演出制御部300へ送信される。
受信したコマンドがオープニングコマンドであった場合(S2008でYes)、演出制御部300は、当たり演出選択処理を実行する(S2009)。当たり演出選択処理の詳細については後述する。
受信したコマンドが変動開始コマンド、変動停止コマンドおよびオープニングコマンドでない場合(S2001、S2004、S2006およびS2008でNo)、またはS2009の当たり演出選択処理の実行後にコマンドを受信した場合、演出制御部300は、受信したコマンドが大当たり演出におけるエンディングを開始するためのエンディングコマンドか否かを判断する(S2010)。このエンディングコマンドは、図14に示した大入賞口処理においてセットされ(S1413)、図5−3に示した出力処理(S506)で演出制御部300へ送信される。
受信したコマンドがエンディングコマンドであった場合(S2010でYes)、演出制御部300は、エンディング演出選択処理を実行する(S2011)。エンディング演出選択処理の詳細については後述する。
受信したコマンドが変動開始コマンド、変動停止コマンド、オープニングコマンドおよびエンディングコマンドでない場合(S2001、S2004、S2006、S2008およびS2010でNo)、またはS2011のエンディング演出選択処理の終了後にコマンドを受信した場合、次に演出制御部300は、受信したコマンドが客待ち状態に移行するための客待ちコマンド受信処理を実行する(S2012)。客待ちコマンド受信処理の詳細については後述する。
図21は、モードフラグの設定例を示す図である。
演出制御部300により演出が行われる場合、設定される演出モードに基づき、種々の演出パターンが選択されて実行される。この演出モードは、RAM303にセットされるモードフラグによって決定される。ここで、モードフラグは、0〜4の値のいずれかが設定されており、それぞれAモードからEモードまでの5種類の演出モードが割り当てられている。なお、モードフラグは、特別図柄抽選の抽選結果または特別図柄抽選の抽選回数に応じて設定される。
図柄A、図柄B、図柄Dおよび図柄Eの大当たりであってM値が80〜41である場合にはにはモードフラグ1が、図柄A、図柄B、図柄Dおよび図柄Eの大当たりであってM値が40〜11である場合にはモードフラグ2が、図柄A、図柄B、図柄Dおよび図柄Eの大当たりであってM値が10〜1である場合にはモードフラグ3が、図柄Cの大当たりおよび小当たりであってM値が30〜1である場合にはモードフラグ4が、それぞれ割り当てられている。ここで、これらの図柄の種類は、図17(b)に示したものと同様である。何れの当たりにもモードフラグ0は割り当てられていない。なお、モードフラグ1〜4において、特別図柄抽選を所定回数実行することでモードフラグ0が設定される。
さらに、図21に示す例では、変動演出終了中処理で用いられるパラメータM(M値)が、Aモードを除く各モードに対して個別に設定されている。
なお、各モードの具体例な内容については、後に詳しく説明する。
図22は、図20の演出選択処理(S2005)の内容を示すフローチャートである。
この演出選択処理において、演出制御部300は、まず受信した変動開始コマンドを解析する(S2201)。また、演出制御部300は、RAM303の設定からパチンコ遊技機100の現在のモードフラグを参照し(S2202)、RAM303に保持されている保留数の値を1減算する(S2203)。そして、演出制御部300は、変動開始コマンドの解析結果から得られる各種の設定情報(大当たりの種類、大当たり遊技後の遊技状態、変動パターン等の情報)およびモードフラグにより決定される演出モードに基づき、その演出モードで画像表示部114に表示する画像による図柄変動の演出パターン(変動演出パターン)を選択する(S2204)。最後に、演出制御部300は、選択した演出パターンによる演出に用いられる画像データや音響データをROM302から読み出し、これらのデータと共に、選択した演出の実行開始を指示する変動演出開始コマンドをRAM303にセットして、演出選択処理を終了する(S2205)。
詳述しないが、S2204における図柄変動の演出パターンの選択処理では、演出モードと変動パターンと演出乱数(図19−2のS1903において更新されている乱数の一つであり、変動開始コマンド受信時に演出乱数値を取得している)とに基づいて演出パターンが決定される。ここで決定された演出パターンに基づいて、装飾図柄の変動表示、背景演出および予告演出が決定される。なお、装飾図柄の変動表示とは、第1特別図柄表示器221または第2特別図柄表示器222で行われる特別図柄の変動表示に伴い、画像表示部114にて行われる演出表示である。この装飾図柄の変動表示において、リーチ演出等が実行される。
図23は、図20の変動演出終了中処理(S2007)の内容を示すフローチャートである。
この変動演出終了中処理において、演出制御部300は、まず受信した変動停止コマンドを解析する(S2301)。また、演出制御部300は、RAM303の設定からパチンコ遊技機100の現在のモードフラグを参照する(S2302)。そして、演出制御部300は、変動停止コマンドの解析の結果から得られる特別図柄変動が停止した際の図柄の種類を示す情報に基づいて特別図柄抽選の抽選結果が当たり(大当たりまたは小当たり)か否かを判断する(S2303)。何らかの当たりである場合は(S2303でYes)、その当たりの種類に応じて、図21に示した設定例に基づきRAM303にセットされているモードフラグを変更する(S2304)。
一方、特別図柄抽選の抽選結果が当たりでない場合(S2303でNo)、次に演出制御部300は、モードフラグの値が0か否かを調べる(S2305)。モードフラグが0でない場合(S2305でNo)、演出制御部300は、パラメータMを1減算し(S2306)、Mの値が0になったか否かを調べる(S2307)。Mの値が0になったならば(S2307でYes)、演出制御部300は、モードフラグを0に設定する(S2308)。
S2305でモードフラグが0であった場合(S2305でYes)、S2307でパラメータMの値が0にならなかった場合(S2307でNo)、またはS2308でモードフラグを0に設定した後、あるいはS2304でモードフラグを変更した後、演出制御部300は、図柄変動の演出の終了を指示するための変動演出終了コマンドをRAM303にセットして、変動演出終了中処理を終了する(S2309)。ここで、図21を参照すると、S2304でモードフラグを変更した場合は、変動演出終了後の演出モードは当たりの種類に応じた演出モードとなる。また、S2305でモードフラグが0であった場合およびS2308でモードフラグを0に設定した場合は、変動演出終了後の演出モードはAモードとなる。また、S2307でパラメータMの値が0にならなかった場合は、これまでの演出モードが継続される。
図24は、図20の当たり演出選択処理(S2009)の内容を示すフローチャートである。
この当たり演出選択処理において、演出制御部300は、まず受信したオープニングコマンドを解析し(S2401)、モードフラグに基づく演出モードの内容に応じて演出のパターン(当たり演出パターン)を選択する(S2402)。そして、演出制御部300は、選択した演出パターンによる演出に用いられる画像データや音響データをROM302から読み出し、これらのデータと共に、選択した演出を指示する当たり演出開始コマンドをRAM303にセットして、当たり演出選択処理を終了する(S2403)。これにより、大当たり中の演出が決定される。
図25は、図20のエンディング演出選択処理(S2011)の内容を示すフローチャートである。
このエンディング演出選択処理において、演出制御部300は、まず受信したエンディングコマンドを解析し(S2501)、モードフラグに基づく演出モードの内容に応じて演出のパターン(エンディング演出パターン)を選択する(S2502)。そして、演出制御部300は、選択した演出パターンによる演出に用いられる画像データや音響データをROM302から読み出し、これらのデータと共に、選択した演出を指示するエンディング演出開始コマンドをRAM303にセットして、エンディング演出選択処理を終了する(S2503)。
図26は、図20の客待ちコマンド受信処理(S2012)の内容を示すフローチャートである。
演出制御部300は、客待ち状態に移行するための客待ちコマンドを受信したか否かを判断する(S2601)。客待ちコマンドを受信した場合(S2601でYes)、演出制御部300は、経過時間の計測を開始し(S2602)、RAM303において計測フラグをONにする(S2603)。一方、受信したコマンドが客待ちコマンドでなかった場合(S2601でNo)、演出制御部300は、RAM303に保持されている計測フラグがONになっているか否かを判断する(S2604)。計測フラグがOFFであれば(S2604でNo)、客待ちコマンド受信処理を終了する。
計測フラグがONである場合(S2604でYesまたはS2603でONにした後)、次に演出制御部300は、計測時間があらかじめ定められたタイムアップ時間に達したか否かを判断する(S2605)。タイムアップしていない場合(S2605でNo)、客待ちコマンド受信処理を終了する。一方、タイムアップした場合(S2605でYes)、演出制御部300は、RAM303に保持されている計測フラグをOFFにし(S2606)、客待ち演出を行うための客待ち演出コマンドをRAM303にセットして客待ちコマンド受信処理を終了する(S2607)。
以上のようにしてコマンド受信処理が完了すると、RAM303には、変動演出開始コマンド、変動演出終了コマンド、当たり演出開始コマンド、エンディング演出開始コマンド、客待ち演出コマンドの何れかがセットされている。
図27は、演出ボタン処理(図18(b)のS1812)の内容を示すフローチャートである。
この演出ボタン処理において、演出制御部300は、まず遊技者による演出ボタン161等の操作手段が操作されたか否かを判断する(S2701)。ここで、操作手段の操作とは、演出ボタン161が押下されてONとなること、演出キー162の中央キーや周囲キーが押下されてONとなることを含む。また、タッチパネル等、演出ボタン161および演出キー162以外の操作用デバイスがパチンコ遊技機100に設けられている場合は、そのデバイスの操作を検知したことを含む。演出制御部300は、これらのデバイスのコントローラから操作信号を受け付けて、操作が行われたことを検知する。
演出ボタン161等の操作手段が操作されたならば(S2701でYes)、演出制御部300は、操作手段の操作内容を示す情報を含む演出ボタンコマンドをRAM303にセットして演出ボタン処理を終了する(S2702)。
この後、演出制御部300は、図18(b)のコマンド送信処理(S1813)を行って、上記のコマンド受信処理および演出ボタン処理でRAM303にセットされたコマンドを画像/音響制御部310およびランプ制御部320に送信する。そして、画像/音響制御部310およびランプ制御部320が、受信したコマンドに基づき、画像表示部114への画像表示、音響出力、可動役物115の動作、盤ランプ116や枠ランプ157の発光等を制御して、設定された演出を実行する。
また、本実施の形態のパチンコ遊技機100では、変動演出を行う際に、例えば疑似連続演出(疑似連)を進行させる場合がある。疑似連演出は、特別図柄の一変動分の変動表示において、複数回分の装飾図柄の変動表示が行われているかのようにみせる演出である。疑似連演出では、例えば、装飾図柄を仮停止させた後、その仮停止した装飾図柄を含めて再び装飾図柄の変動表示を開始させる。なお、仮停止とは、装飾図柄が一見すると停止しているように見えるが、完全に停止せず例えば装飾図柄が僅かに動いている状態のことである。
また、本実施の形態では、大当たりに当選する確率(期待度)が高い場合に、疑似連演出を実行するようにしている。特に、期待度がより高い場合に、疑似連演出の連続回数(疑似2連、疑似3連など)がより多くなるようにしている。そして、本実施の形態のパチンコ遊技機100では、疑似連演出を実行することによって、例えば大当たりに当選することを遊技者に期待させるようにしている。
〔事前判定に基づく予告演出〕
次に、本実施の形態による事前判定に基づく予告演出について説明する。
本実施の形態では、図6を参照して説明したように、第1始動口121(図1または図3参照)に遊技球が入賞して第1始動口スイッチ211(図3参照)がONとなった場合、および第2始動口122(図1または図3参照)に遊技球が入賞して第2始動口スイッチ212(図3参照)がONとなった場合に、図柄変動時の抽選による判定(図8のS808、S809参照)に先立って、特別図柄抽選の抽選結果の事前判定(先読み)を行う(図6のS05、S611参照)。
また、本実施の形態では、上記の事前判定の結果に基づいて、判定結果を遊技者に示唆する予告演出(示唆演出)を行う。この予告演出は、事前判定が行われた入賞球(保留球)に対する図柄変動よりも先に行われる他の入賞球に対する図柄変動の際に実行される。本実施の形態では、保留球は、一つの始動口(第1始動口121または第2始動口122)につき4個を上限としている(図6参照)。また、第2始動口122の保留球の消化を優先するものとする。この場合、例えば、第2始動口122のある保留球について事前判定を行った場合、その保留球についての図柄変動が行われる前に、現在変動中の変動(当該変動と呼ぶ)を含め、最大で4個の入賞球についての図柄変動が行われることとなる。事前判定が行われた保留球に係る予告演出において、その保留球についての図柄変動が行われる前に複数回の図柄変動が行われる場合、その複数回の図柄変動にまたがる予告演出を行っても良い。
〔予告演出を行うための遊技制御部のRAMおよび演出制御部のRAMの構成〕
このような事前判定に基づく予告演出を実行するために、本実施の形態における遊技制御部200のRAM203および演出制御部300のRAM303は、以下のような構成を有する。
図28は、本実施の形態に係る遊技制御部200のRAM203(図3参照)の構成例を説明するブロック図である。図28(a)は、記憶領域204の構成を示すブロック図であり、図28(b)は、図28(a)に示す記憶部の各々の構成を示すブロック図である。
図28(a)に示すように、RAM203は、大当たり乱数抽選により取得した大当たり乱数を記憶する特別図柄保留記憶領域としての記憶領域204を備えている。この記憶領域204は、第1始動口121の保留数と第2始動口122の保留数の最大値に対応する8つの記憶部を有している(各保留数の上限値が4の場合)。具体的に説明すると、記憶領域204は、第1記憶部204a、第2記憶部204b、第3記憶部204c、第4記憶部204d、第5記憶部204e、第6記憶部204f、第7記憶部204g、第8記憶部204hを有している。
また、図28(b)に示すように、これらの記憶部204a〜204hの各々は、大当たりに当選した際の変動回数Nが記憶される領域と、入賞した始動口(第1始動口121または第2始動口122)の別を表す情報が記憶される領域と、を有する。また、記憶部204a〜204hの各々は、取得された大当たり乱数が記憶される領域と、図柄乱数が記憶される領域と、リーチ乱数が記憶される領域と、を有する。すなわち、記憶部204a〜204hの各々には、大当たり乱数、図柄乱数およびリーチ乱数が記憶される。
ここで、各乱数は、第1記憶部204aから順に記憶していく。より具体的に説明すると、例えば、第1記憶部204a〜第8記憶部204hの何れにも乱数が記憶されていないときには、取得した乱数が第1記憶部204aに記憶されることになる。また、例えば、第1記憶部204a〜第4記憶部204dに乱数がすでに記憶されているときには、取得した乱数が第5記憶部204eに記憶されることになる。
図29は、本実施の形態に係る演出制御部300のRAM303(図3参照)の構成例を説明するブロック図である。図29(a)は、保留記憶領域305、306の構成を示すブロック図であり、図29(b)は、図29(a)に示す記憶部の各々の構成を示すブロック図である。
図29(a)に示すように、RAM303は、保留球が保留されている状況を記憶する保留状況記憶領域としての第1保留記憶領域305および第2保留記憶領域306を備えている。この第1保留記憶領域305および第2保留記憶領域306は、第1始動口121への入賞に対する保留および第2始動口122への入賞に対する保留にそれぞれ対応しており、各々4つの記憶部を有している。具体的には、第1保留記憶領域305は、第1記憶部305a、第2記憶部305b、第3記憶部305c、第4記憶部305dを有している。また、第2保留記憶領域306は、第1記憶部306a、第2記憶部306b、第3記憶部306c、第4記憶部306dを有している。
また、図29(b)に示すように、これらの記憶部305a〜305d、306a〜306dの各々は、保留フラグをON/OFFする保留フラグ記憶領域と、報知フラグをON/OFFする報知フラグ記憶領域と、を有している。保留フラグは、各記憶部305a〜305d、306a〜306dごとに保留球の有無を識別するためのフラグである。すなわち、例えば第1始動口121への入賞による保留数が3である場合、第1〜3記憶部305a、305b、305cの3つの保留フラグ記憶領域において、保留フラグがONとなる。報知フラグは、個々の保留球に関して後述する先読み結果の報知コマンドの有無を識別するためのフラグである。すなわち、例えば上記3つの保留球に対して事前判定処理(図6のS605、S611および後述の図30参照)が行われ、3番目の保留球に対して報知コマンドがセットされた場合、第3記憶部305cの報知フラグ記憶領域において、報知フラグがONとなる。
すなわち、RAM203およびRAM303は、遊技制御部200および演出制御部300において、所定数を限度として所定の始動条件の成立に基づく始動情報である保留情報を記憶する記憶手段として機能する。また、遊技制御部200は、この始動情報である保留情報に基づいて、この始動情報に対応する前記始動条件の成立を契機とする特別図柄判定部234の判定が行われる前に、特別遊技状態に移行するか否かに関する事前判定処理を行う事前判定手段である。演出制御部300は、事前判定結果を予告(示唆)するための予告演出を行う演出制御手段である。
また、特に図示しないが、図28(a)に示した構成とは別に、RAM203は、事前判定情報が記憶される領域(以下、事前判定情報格納領域)を有する。事前判定情報とは、上記の各乱数に基づく事前判定処理(図6のS605、S611参照)によって得られた情報である。事前判定情報の内容は、特別図柄処理(図8参照)における各種の判定結果として得られる情報と同様であり、具体的には、当たりの種類(大当たり、小当たり、はずれ)、大当たりであった場合にはその大当たりの種類、演出の内容はリーチ有り演出であるのかリーチ無し演出であるのかといったことを示すための情報である。事前判定情報格納領域に格納された事前判定情報は、事前判定処理が行われた入賞球(保留球)に対応する保留に関する情報(以下、保留情報)と共に、あるいはこの保留情報とは別に独自のタイミングで、保留数増加コマンドや変動開始コマンドに含められて遊技制御部200から演出制御部300へ送られる。
〔事前判定処理〕
次に、事前判定処理(図6のS605,S611参照)について詳細に説明する。
まず、事前判定処理での乱数による判定の手法について説明する。
図30は、本実施の形態における事前判定処理で用いられる乱数の構成例を示す図である。図30(a)には事前判定処理での大当たり乱数の構成例、図30(b)には事前判定処理での図柄乱数の構成例、図30(c)には事前判定処理でのリーチ乱数の構成例が、それぞれ示されている。
図30(a)を参照すると、事前判定処理での大当たり乱数は、図17(a)に示した大当たり判定処理における大当たり乱数と同様の構成となっている。すなわち、パチンコ遊技機100の遊技状態が低確率状態の大当たりと高確率状態の大当たりの2種類が設定されている。乱数の値の範囲は、何れも0〜299の300個である。事前判定における当選確率は、低確率状態では1/300であり、高確率状態では10/300(=1/30)である。
また、特別図柄抽選ではずれのときに行われる小当たりか否かの判定についても、図17(a)に示した乱数と同様の構成となっている。すなわち、小当たりの当選確率は、低確率状態か高確率状態かに関わらず、3/300(=1/100)である。
図30(b)を参照すると、事前判定処理での大当たり図柄乱数は、図17(b)に示した大当たり判定処理における大当たり図柄乱数と同様の構成となっている。すなわち、第1始動口121に入賞したことを契機とする特別図柄に基づく大当たりの種類として、低確率図柄Aの大当たり、低確率図柄Bの大当たり、高確率図柄Aの大当たり、高確率図柄Bの大当たり、潜確図柄の大当たりの5種類が用意されている。また、第2始動口122に入賞したことを契機とする特別図柄に基づく大当たりの種類として、低確率図柄Aの大当たり、低確率図柄Bの大当たり、高確率図柄Aの大当たり、高確率図柄Bの大当たりの4種類が用意されている。
乱数値の範囲は、第1始動口121と第2始動口122の何れに入賞した場合も0〜249の250個である。また、高確率図柄Aおよび高確率図柄Bについては、第1始動口121に入賞した場合と第2始動口122に入賞した場合とで異なる当選値が設定されており、当選確率が異なっている。
図30(c)を参照すると、事前判定処理でのリーチ乱数は、図17(c)に示した変動パターン選択処理におけるリーチ乱数と同様の構成となっている。すなわち、乱数の値の範囲は0〜249の250個であり、リーチ演出を行う抽選結果(リーチ有)に22個の乱数値が割り当てられ、リーチ演出を行わない抽選結果(リーチ無)に228個の乱数値が割り当てられている。したがって、特別図柄抽選で大当たりしなかった場合に、事前判定により、8.8/100(=22/250)の確率でリーチ演出が行われると判定される。
〔遊技制御部による事前判定処理〕
図31は、本実施の形態に係る事前判定処理(図6のS605、S611)の内容を示すフローチャートである。
図31に示すフローチャートでは、遊技制御部200は、内部状態が高確率状態か否かを判断し(S3101)、高確率状態であると判断すると(S3101でYes)、始動口スイッチ処理(図6参照)において獲得した大当たりの抽選の権利が、現在の高確率状態に移行してから、何回目の大当たりの抽選の権利に相当するものであるのかを判断する。
すなわち、大当たり遊技後の遊技状態が高確率状態となる大当たり(図30(b)に示す例では、高確率図柄Aの大当たりおよび高確率図柄Bの大当たり)の当選が確定すると、大当たりに当選した際の変動回数Nが、基準回数Mに設定される。例えば、電源をONしてから200回目の大当たりの抽選(特別図柄の変動表示)によって、高確率図柄Aの大当たりに当選した場合には、RAM203に「200」というデータが記憶され、それに伴って、内部状態が高確率時短遊技状態となる。したがって、電源をONしてから、201回目に行われる大当たりの抽選は、高確率時短遊技状態に移行してから、1回目の大当たりの抽選に相当し、同様に、210回目に行われる大当たりの抽選は、高確率時短遊技状態に移行してから、10回目の大当たりの抽選に相当することとなる。このように、始動口スイッチ処理(図6参照)によって取得した大当たりの抽選の権利が、高確率時短遊技状態に移行してから何回目の大当たりの抽選に相当するのかを演算する。具体的には、遊技制御部200が変動回数Nから基準回数Mを減算することによって演算値Zを取得する(S3102)。
そして、遊技制御部200は、演算値Zが所定回数X以下であるか否かを判断する(S3103)。ここでいう所定回数Xというのは、高確率状態用の当たり判定用テーブル(図30(a)参照)に基づいて大当たり乱数が判定される上限回数である。
ここで、例えば、大当たり遊技後の遊技状態が高確率時短遊技状態となる大当たりに当選すると、以後、100回を上限として、大当たり乱数の判定が高確率状態用の当たり判定用テーブルに基づいて行われる場合を考える。この場合、所定回数Xは100と設定されることとなり、演算値Zが100以下であるか否かを判断することとなる。
すなわち、始動口スイッチ処理(図6参照)によって取得した大当たり乱数が、高確率状態用の当たり判定用テーブルに基づいて判定されるのか、それとも、高確率時短遊技状態が終了して低確率状態用の当たり判定用テーブル(図30(a)参照)に基づいて判定されるのかを、ここで判断することとなる。
例えば、電源をONしてから200回目の大当たりの抽選(変動回数N=200)によって高確率図柄Aの大当たり(高確率時短遊技状態となる長当たり)に当選したとする。その後、高確率時短率遊技状態になってから98回の大当たりの抽選が行われ、いまだ大当たりに当選していない状況で、変動回数N=299の保留A、変動回数N=300の保留B、変動回数N=301の保留Cが、RAM203に記憶されたとする。このとき、基準回数M=200と設定されているため、保留Aは演算値Z=99となり、保留Bは演算値Z=100となり、保留Cは演算値Z=101となる。したがって、保留Aおよび保留BはS3103で「Yes」と判断され、保留CはS3103で「No」と判断される。
このように、S3102およびS3103の処理によって、現在の内部状態ではなく、あくまでも特別図柄処理時の内部状態に基づいて、大当たりの判定を行うことが可能となる。したがって、高確率状態から低確率状態へと遊技状態が変化する場合にも、正確な判定結果を導き出すことができる。
遊技制御部200は、演算値Zが所定回数X以下であると判断すると(S3103でYes)、次に、大当たり遊技後の内部状態を低確率状態に変更する大当たり(図31では「確変無しの大当たり」と記載)に係る事前判定情報が、始動口スイッチ処理(図6参照)の開始前に記憶されているか否かを判断する(S3104)。なぜなら、このような保留球が先に保留されているとなれば、始動口スイッチ処理(図6参照)において保留された保留球を消化するときに、遊技状態が低確率状態になってしまうからである。
したがって、S3104でNoと判断した場合には、高確率状態(確変時)用の当たり判定用テーブルを選択し(S3106)、S3104でYesと判断した場合には、低確率状態(通常時)用の当たり判定用テーブルを選択する(S3107)。
一方、現在の遊技状態が低確率状態である場合(S3101でNo)や、現在の遊技状態が高確率状態であっても演算値Zが所定回数Xを超えていると判断した場合(S3103でNo)には、次のような処理を行う。すなわち、遊技制御部200は、RAM203の事前判定情報格納領域に、大当たり遊技後の遊技状態を高確率状態に変更する大当たり(図31では「確変有りの大当たり」と記載)に係る事前判定情報が、始動口スイッチ処理(図6参照)の開始前に記憶されているか否かを判断する(S3105)。例えば、始動口スイッチ処理(図6参照)のS605において、記憶領域204の第6記憶部204f(図28参照)に保留情報としての乱数を記憶した場合には、第1記憶部204a〜第5記憶部204e(図28参照)に記憶された保留情報に係る保留に対応する事前判定情報として、事前判定情報格納領域に、高確率状態となる大当たりの何れかに係る事前判定情報が記憶されているか否かを判断する。すなわち、始動口スイッチ処理(図6参照)において今回生じた保留球よりも先に消化される保留球に、内部状態を高確率状態に変更するものがあるかを判断する。なぜなら、このような保留球が先に存在するとなれば、始動口スイッチ処理において今回生じた保留球を消化するときに、内部状態が高確率状態になってしまうからである。
したがって、S3105でNoと判断した場合には、低確率状態(通常時)用の当たり判定用テーブルを選択し(S3107)、Yesと判断した場合には、高確率状態(確変時)用の当たり判定用テーブルを選択する(S3106)。
なお、詳しくは図示しないが、S3104およびS3105において、仮に、大当たり遊技後の遊技状態を高確率状態に変更する大当たりと、大当たり遊技後の遊技状態を低確率状態に変更する大当たりとが事前判定情報格納領域に記憶されている場合には、遊技制御部200は、これら2つの大当たりのうち、後に消化される保留球に係る事前判定情報に基づいて上記の判断(S3104、S3105)を行う。
このように、S3104およびS3105の処理によって、特別図柄処理の際の内部状態に基づいて、大当たりの判定を行うことが可能となる。したがって、高確率状態から低確率状態へと内部状態が変化する場合や、低確率状態から高確率状態へと内部状態が変化する場合にも、正確な事前判定の結果を導き出すことができる。
この後、遊技制御部200は、選択した判定用テーブルに基づいて各乱数の判定を行い(S3108)、その判定結果を事前判定情報として事前判定情報格納領域に記憶する(S3109)。そして、その判定結果が大当たりまたは小当たりであったか否かを判断し(S3110)、大当たりまたは小当たりであった場合には(S3110でYes)、先読み結果の報知コマンド(図では単に報知コマンドと記載)をセットし(S3111)、また、ハズレであった場合(S3110でNo)には、通常コマンドをセットして(S3112)、事前判定処理が終了する。通常コマンドとは、後述の保留表示演出において事前判定(先読み)の結果を報知せず保留数の表示のみを行わせるためのコマンドである。セットされたこれらのコマンドは、保留数増加コマンド(図6のS606、S612参照)に含まれ、出力処理(図5のS506参照)において演出制御部300に送信される。
なお、事前判定処理において、図31に図示されていない制御を採用することも考えられる。例えば、ハズレであった場合(S3110でNo)、当該変動中にリーチ演出が行われるか否かを判定し、リーチ演出が行われると判定したときはリーチコマンドをセットする。また、大当たりであると事前判定された場合には(S3110でYes)、大当たりの種類が事前判定される。
〔演出制御部による予告演出〕
パチンコ遊技機100では、特別図柄の変動中にさらに始動口へ遊技球が入賞して保留球が発生した場合に、表示器130(図1、2(a)参照)の第1特別図柄保留表示器218および第2特別図柄保留表示器219により保留数に応じた表示が行われる。また、この表示器130による表示に加えて、演出表示の一部として、画像表示部114に保留球に関する情報(有無、保留数等)を表示する演出(保留表示演出)を行うパチンコ遊技機100がある。さらに、上記のように保留球に関して事前判定を行った場合、判定結果を報知または示唆する予告演出を行うことができる。この予告演出を行うために、演出制御部300により上記の報知コマンドの受け付け処理が行われる。
上述したように、報知コマンドおよび通常コマンドは、保留数増加コマンドに含まれて遊技制御部200から演出制御部300へ送られる。したがって、コマンド受信処理(図19−2(b)のS1911および図20参照)において、保留数増加コマンドを受信した場合に、演出制御部300は、保留数の加算および保留数コマンドをセット(S20001乃至2003参照)するだけでなく、保留数増加コマンドから報知コマンドまたは通常コマンドを抽出し、RAM303に格納する。
〔報知コマンドの受け付け処理〕
図32は、演出制御部300による報知コマンドの受け付け処理の内容を示すフローチャートである。
上記の保留数増加コマンドの受信時の処理の後、演出制御部300は、保留数増加コマンドから抽出された報知コマンドがRAM303に記憶されているか否かを判断する(S3201)。報知コマンドが記憶されていると判断すると(S3201でYes)、演出制御部300は、RAM303における今回の保留球に対応する記憶領域(第1〜4記憶部305a〜305dおよび第1〜4記憶部306a〜306dの何れか)において、保留フラグおよび報知フラグをONにする。保留数増加コマンドから報知コマンドではなく通常コマンドが抽出された場合は、保留フラグのみをONにする(S3202)。なお、報知コマンドが記憶されていない場合(S3201でNo)には、報知コマンド受け付け処理を終了する。
次に、演出制御部300は、RAM303の第1〜4記憶部305a〜305dおよび第1〜4記憶部306a〜306dの何れかにおいて、報知フラグがONとなっているか否かを判断する(S3203)。記憶部305a〜305d、306a〜306dの何れかにおいて報知フラグがONとなっていると判断した場合(S3203でYes)、次に演出制御部300は、変動時間Tが所定値Kよりも大きいか否かを判断する(S3204)。そして、変動時間Tが所定値Kよりも大きいと判断した場合には(S3204でYes)には、予告演出(報知演出)を行うための報知演出コマンドをセットし(S3205)、報知コマンド受け付け処理を終了する。
一方、第1〜4記憶部305a〜305dおよび第1〜4記憶部306a〜306dの何れにおいても報知フラグがONとなっていないと判断した場合(S3203でNo)および変動時間Tが所定値K以下であると判断した場合(S3204でNo)、演出制御部300は、先読み結果を報知しない通常演出を行うための通常演出コマンドをセットし(S3206)、報知コマンド受け付け処理を終了する。
なお、これらのコマンドは、演出制御処理において、保留数を遊技者に報知するためのものであり、保留球ごとの個別情報(第1始動口121および第2始動口122の何れ係る保留球か、各始動口における何番目の保留球か等)を有している。また、報知演出コマンドには、第1〜4記憶部305a〜305dおよび第1〜4記憶部306a〜306dの何れにおいて報知フラグがONとなっているのかという情報も含まれている。
より詳しくは、ここにいう変動時間Tとは、大当たり判定処理(図9参照)による特別図柄が変動する時間であり、当該変動に係る変動時間ということもできる。また、所定値Kは、予告演出を行うのに必要な時間(尺)よりも大きな値である。例えば、実行しようとする予告演出の尺が3秒である場合、所定値Kとして4秒の値を採用することが考えられる。これは、変動時間Tが実行しようとする予告演出の尺よりも長くなければ、図柄変動中に予告演出を行うことができないためである。したがって、第1〜4記憶部305a〜305dおよび第1〜4記憶部306a〜306dの何れにおいて報知フラグがONとなっている場合であっても、変動時間Tが所定値K以下である場合には、報知演出コマンドではなく通常演出コマンドがセットされる(S3203、S3204、S3206参照)。
なお、変動時間Tは、必ずしも、1回の特別図柄の変動時間(1個の入賞球(保留球)に係る特別図柄の変動が行われる時間)に限定しない。すなわち、変動時間Tとして、複数回(保留数の上限が4個である場合は2回または3回)の図柄変動が行われる時間を設定することができる。言い換えれば、複数回の変動時間を加算した時間がTの値となる。この場合、演出は、複数回の図柄変動にまたがって行われる予告演出(いわゆる連続予告)として行われる。
予告演出が複数回の図柄変動にまたがる場合は、図31のS3104に示したように全体の変動時間Tの下限値を保証するだけでなく、予告演出(連続予告)の尺に対して全体の変動時間Tの長さが余り過ぎないように、予告演出の対象となる図柄変動における変動時間を制限する必要がある。
〔回数表示演出〕
本実施の形態のパチンコ遊技機100は、図17を参照しながら説明したように、何れの大当たり図柄で当選した場合であっても、大当たり遊技終了後の遊技状態が高確率状態に移行する。また、この高確率状態は、特別図柄抽選が予め定められた回数(本実施の形態では80回)行われるまで継続する。そして、本実施の形態では、高確率状態が継続される特別図柄抽選の回数(以下、ST回数と呼ぶ)の残り回数を報知する演出として「回数表示演出」を実行する。
なお、本実施の形態では、図17を参照しながら説明したように、図柄A、図柄B、図柄Dおよび図柄Eのいずれかの大当たり図柄に当選した場合には、大当たり遊技終了後に、高確率状態に伴って時短状態も設定される高確率時短遊技状態に移行する。この場合には、回数表示演出によって表示される残り回数は、時短遊技状態が継続される特別図柄抽選の回数(以下、時短回数と呼ぶ)の残り回数を表示する演出としても捉えることができる。
図33は、本実施の形態の回数表示演出の説明図である。
上述のとおり、本実施の形態では、ST回数が80回に設定される高確率時短遊技状態が実行される。この場合において、特別図柄抽選に伴って変動演出が実行される際に、図33(a)に示すように、装飾図柄51が画像表示部114の画面(以下、単に画面とよぶ)に表示される。そして、本実施の形態では、装飾図柄51とともにST回数の残り回数を示す回数表示52が画面に表示される。図33(a)の例では、回数表示52として「残り65回」のテキストが表示されている。さらに、本実施の形態では、電動チューリップ123が遊技領域111の右側に配置されている。そのため、画面に「右打ち」のテキストおよび右側を向く「矢印」からなる右打ち指示画像57を表示する。また、本実施の形態では、保留球を表示する保留表示58も併せて表示する。
そして、特別図柄抽選がさらに行われるに従って、ST回数の残り回数は少なくなる。そして、図33(b)に示す例では、回数表示52として「残り55回」が画面に表示される。
ここで、図33(b)に示すように、変動演出において2つの装飾図柄51が揃おうとする状態になる。そして、リーチ演出が実行される。リーチ演出が実行されると、図33(c)に示すように、例えば「リーチ!!」といったようにリーチ演出が実行されることを報知する報知画像53が画面に表示される。その後、図33(d)に示すように、大当たり図柄の変動パターンに応じて所定のリーチ演出の演出画像54が画面にて実行される。なお、本実施の形態では、報知画像53や演出画像54は、画面において全体的に表示される。
そして、本実施の形態では、リーチ演出に伴う報知画像53や演出画像54の表示が行われる場合には、図33(c)および図33(d)に示すように、回数表示52の表示を消すようにしている。これによって、回数表示52がリーチ演出に伴う画像表示を隠さず、遊技者がリーチ演出を楽しめるようにしている。
なお、本実施の形態では、図33(c)および図33(d)に示すように、右打ち指示画像57については、報知画像53や演出画像54が表示されたタイミングにおいても、表示を継続するようにしている。一方で、保留表示58については、報知画像53や演出画像54が表示されるときには、回数表示52と同様に、表示を消すようにしている。
ここで、上述した例では、リーチが成立した後(図33(d))に、回数表示52の表示を消すようにしているが、これに限定されない。ST中の残り回数の回数表示52は、回数表示52を表示する領域に影響が及ぶような演出が実行される場合には、回数表示52よりもその演出を優先して画面に表示するようにする。つまり、回数表示52の表示を消しても構わない。
例えば、リーチが成立するか否かのタイミングにおいて、回数表示52よりも演出の画像を優先し、回数表示52を消すようにしても良い。例えば、図33(b)に示すように、リーチが成立する直前に、画面内において全体的に演出の画像を表示し、リーチになるか否かを煽る表示演出を行う場合がある。このような場合には、回数表示52よりも遊技者側となる上位のレイヤに、リーチが成立するか否かの演出の画像を表示し、回数表示52の一部に、その演出の画像を重ねたり、あるいは、回数表示52の全部に、その演出の画像を重ねたりしても良い。
そして、リーチ演出の結果として、リーチが成立した場合には、回数表示52を消した状態を継続して、上述のとおり、報知画像53や演出画像54の表示を行う。一方で、リーチが成立するか否かのタイミングで、回数表示52を消し、その後、リーチが成立しなければ、成立しなかったタイミングで回数表示52の表示を再び行うようにする。
さらに、例えば、図33(d)に示すように、リーチが成立したものの、大当たり抽選の結果として、はずれであった場合には、回数表示52を再び表示させる。この場合における回数表示52の復帰のタイミングは、演出画像54を用いた演出が終了し、通常の画面表示(例えば図33(a))に戻るときとしている。なお、回数表示52の復帰のタイミングは、装飾図柄51の新たな変動開始のタイミングに限定されず、装飾図柄51の変動開始の直前や、変動開始後の所定のタイミングで構わない。
なお、上述した例では、リーチ演出が実行される場合には、回数表示52の表示を消すようにしているが、これに限定されない。すなわち、図33(e)に示すように、リーチ演出が実行される際には、回数表示52の表示態様を、リーチ演出が実行されていない場合に対して異ならせても構わない。
具体的には、リーチ演出が実行されていない場合と比較して、回数表示52の表示サイズを小さくしても良い。また、リーチ演出が実行されていない場合に対して、回数表示52の表示位置を変えても良い。さらに、リーチ演出が実行されていない場合と比較して、例えば回数を示す数字のみにするなど表示態様を簡略化しても良い。
また、リーチ演出が実行される場合に、常に、回数表示52の表示を消すことに限定されない。例えば、リーチ演出において、内容によっては、一連の映像と他の一連の映像との間の区切りや、内容の展開に応じて区切りが生じる場合には、その区切りのタイミングで回数表示52を表示しても構わない。
さらに、回数表示52の表示を消すタイミングは、上述したリーチ演出の開始のタイミングに限定されない。例えば可動役物115が画像表示部114の前に移動するなどの可動役物115の動作に伴って、回数表示52を消すようにしても構わない。
続いて、ST回数の残り回数に応じた回数表示演出について説明する。
図34は、ST回数の残り回数に応じた回数表示演出の説明図である。
大当たり遊技後の特別図柄抽選の回数がST回数に達すると、本実施の形態では、高確率状態から低確率状態に移行する。従って、残り回数が少なくなってくると、遊技者は、ST回数の残り回数が非常に気になるものとなる。
そして、本実施の形態では、ST回数の残り回数が予め定めた基準回数よりも多い場合に、リーチ演出が実行される際には、回数表示52を消すようにしている。一方、残り回数が基準回数以下の場合であってリーチ演出が実行される際には、リーチ演出の開始に伴って表示を消した回数表示52を、そのリーチ演出中の所定のタイミングで再び表示するようにしている。
なお、基準回数は、残り回数が1桁になった場合や、ST回数の1割になった場合など、大当たりに当選する確率に対するST回数の残り回数に基づいて、大当たり遊技に当選せずに高確率遊技状態が終わってしまうだろうと遊技者が感じるような回数に設定することができる。
以下、残り回数が基準回数以下の場合であってリーチ演出が実行される場合について具体的に説明する。
特別図柄抽選に伴って変動演出が実行される際に、図34(a)に示すように、装飾図柄51が画面に表示される。そして、本実施の形態では、装飾図柄51とともにST回数の残り回数を示す回数表示52が画面に表示される。また、図34(a)の例では、回数表示52として「残り5回」のテキストが表示される。
そして、図34(a)に示すように、2つの装飾図柄51が揃おうとする状態になる。そして、図34(b)に示すように、画面には、報知画像53が表示されるとともに、回数表示52については表示が消される。さらに、図34(c)に示すように、画面には、演出画像54が表示される。このときも、回数表示52については表示が消される。
ここで、図34(d)に示すリーチ演出の演出画像54に関して、結果的に大当たりに当選する場合には、演出画像54では、ボクサー同士の打ち合いにより、主人公が相手を倒すことに成功するシーンを表示する。一方、結果的にはずれである場合には、ボクサー同士の打ち合いにより、主人公が相手を倒すことに失敗するシーンを表示する。そして、本実施の形態では、ボクシングの勝敗が決まるタイミングで、演出ボタン161(図2参照)の操作を遊技者に促す。図34(d)の例では、演出ボタン161の操作を促すために、操作ボタン画像55を表示するとともに、スピーカ156から演出ボタン161の操作を促す音声を出力する。
そして、演出ボタン161が操作されたタイミング、または、演出ボタン161の操作を遊技者に促してから所定時間の経過に伴って、上記の勝敗の結果を見せるとともに、装飾図柄51を停止表示させる。
そして、本実施の形態では、図34(d)に示すように、勝敗が決まるタイミングであって、装飾図柄51を停止表示させるタイミングで、回数表示52を表示する。具体的には、「残り5回だよ!」といった内容で回数表示52表示を行うことによって、リーチ演出が実行される際の残り回数を改めて表示する。また、回数表示52として「ラストチャンス?!」のテキストも併せて表示する。つまり、特別図柄抽選の抽選回数が残りわずかであり、今回のリーチが大当たりに当選する機会として最後の可能性であることを示唆する。また、この場合には、回数表示52の表示サイズをリーチ演出が実行される前の表示態様よりも大きくするとともに、より目立つ表示態様によって表示する。このように、図34(d)の例では、残り回数が少ない場合には、少なくともリーチ演出が行われる前の回数表示52とは異なる表示態様にて、回数表示52を表示するようにしている。
その後、本実施の形態では、例えば演出ボタン161(図2参照)が操作されたこと、または、操作指示から所定時間が経過したことをもって回数表示52の表示を消すようにしている。
なお、図34(b)および図34(c)に示すように一旦消した回数表示52を、図34(d)に示すように再び表示する契機は、上述のように演出ボタン161の表示のタイミングに限定されない。例えば、リーチ演出において、残りの1つの装飾図柄51に関して、「7」と「7」以外の数字とのどちらかで停止するかを煽るような演出を実行する場合には、その煽りの演出を実行するタイミングで、回数表示52を再び表示するようにしても良い。
すなわち、特別図柄抽選の抽選結果を表示するタイミングで、回数表示52を再び表示する。これによって、遊技者は、その抽選結果が大当たりであるかはずれなのか、はずれた場合に残りの抽選回数(チャンス)が何回あるかの情報を同時に得られることで、遊技を楽しむことができる。
なお、上述した回数表示演出は、リーチ演出が実行される場合に限定されない。例えば、疑似連演出が実行される場合など、遊技者に対して大当たりに当選することを期待させる演出を行う際に、回数表示演出を行うようにして構わない。例えば、疑似連演出が実行される場合には、疑似連演出の開始に伴って回数表示52を消す。その後に、疑似的な複数回分の変動の間などの変動演出の区切りとなるタイミングで回数表示52を表示させるようにしても構わない。
また、上述の例では、リーチ演出が開始されるに伴って回数表示52を一旦消すようにしているが、これに限定されない。
例えば、ST回数の残り回数が基準回数よりも多い場合にリーチ演出が行われる際には、回数表示52の表示を消す。
一方、ST回数の残り回数が基準回数以下の場合にリーチ演出が行われる際には、リーチ演出の開始から終了(装飾図柄51の停止表示)まで回数表示52を表示するようにしても構わない。その場合に、回数表示52の表示態様は、ST回数の残り回数が基準回数よりも多い場合と、基準回数以下の場合とで異ならせることができる。例えば、ST回数の残り回数が基準回数以下であってリーチ演出とともに回数表示52を表示する場合には、リーチ演出の邪魔にならないように、回数表示52の表示サイズを小さくしたり、回数表示52の表示態様を簡略化したり、回数表示52の表示位置を異ならせたりしても良い。
また、ST回数の残り回数が基準回数以下であって、リーチ演出とともに回数表示52を表示する場合には、遊技者に残り回数が少なくなっておりラストチャンスになる可能性を強調するために、回数表示52を大きく目立つように表示しても構わない。
図35は、回数表示演出における回数表示の継続表示の説明図である。
上述した図34(d)を参照しながら説明したように、本実施の形態では、回数表示52を再び表示した後、例えば演出ボタン161(図2参照)の操作によって、回数表示52の表示を消すようにしている。しかしながら、例えば装飾図柄51が揃わず、抽選の結果がはずれであった場合には、その後の新たに特別図柄抽選が行われる際に、図35(a)に示すように、回数表示52を再び表示させたり、演出ボタン161の操作によっても回数表示52の表示を消さずにそのまま継続して表示を行ったりしても良い。
また、この場合に、図35(b)に示すように、残り回数が少なくなるにつれて、回数表示52の表示サイズを大きくするなど、回数表示52がより目立つようにしても構わない。さらに、図35(c)に示すように、残り回数の減少に伴って、回数表示52の表示態様を順に変化させ、回数表示52の表示態様が次第に派手になるようにする。なお、本実施の形態では、残り回数が0回になるまで同様にして回数表示52の表示を行うことができる。
図36は、回数表示演出における表示の説明図である。
次に、本実施の形態における回数表示演出の所定のタイミングで表示される画像の表示の例を説明する。
図36(a)に示すように、例えば、ST回数の残り回数が、50回、30回、20回のなど区切りの回数となる特定の回数に達したタイミングでは、回数表示52とは別に、回数表示52よりも大きく第2回数表示252を表示する。この第2回数表示252は、残り回数に達したタイミングで、数秒間などの一瞬だけ表示され、直ぐに消すようにしている。そして、本実施の形態では、区切りの残り回数を強調して表示する。
さらに、図36(b)に示すように、残り回数が少なくなる場合(例えば、5回〜1回など)においても、回数表示52に加えて、回数表示52よりも大きく表示される第2回数表示252を行うようにしても良い。つまり、回数表示52と第2回数表示252とで同じ残り回数の表示を複数行うようにしている。
また、残り回数が1回の場合には、回数ではなく、「ラスト」や「最後」など、数字ではなくメッセージを表示するようにしても構わない。
なお、図36(c)に示すように、本実施の形態では、ST回数の残り回数が0回となり、ST中に大当たりせず、高確率時短遊技状態が終了した場合には、大当たりの継続回数と、払い出し賞球数に対応する数値とを画面に表示するようにしている。
さらに、本実施の形態では、ST回数の残り回数が0回となると、高確率時短遊技状態から低確率時短無遊技状態に移行する。この場合に、遊技状態が変更される際に、本実施形態では、画面に、「左に戻して下さい」のテキストを表示する。そして、遊技者に対して、遊技領域111の左側に向けて遊技球を発射することを促すようにしている。
次に、演出モードと残り回数に応じた回数表示演出について説明する。
図37は、演出モードと残り回数に応じた回数表示演出の説明図である。
まず、本実施の形態の演出モードについて具体的に説明する。図21を参照しながら説明したように、本実施の形態では、大当たり図柄と特別図柄抽選の抽選回数に応じて、演出モードが切り替わるようにしている。特に、高確率時短遊技状態に移行した場合、特別図柄抽選の抽選回数(ST回数の残り回数)に応じて、演出モードが変化する。具体的には、ST回数の残り回数が80回〜41回である場合には、演出モードBに設定される。また、ST回数の残り回数が40回〜11回である場合には、演出モードCに設定される。そして、ST回数の残り回数が10回〜1回である場合には、演出モードDに設定される。
そして、本実施の形態では、演出モードBの一例として、「対決モード」と称してボクサーが予選を勝ち抜くような場面が設定される。そして、例えば大当たりに当選する場合には、主人公が相手を倒すという内容の演出を行う。一方、はずれる場合には、主人公が相手を倒せないという内容の演出を行う。
また、演出モードCの一例として、「特訓モード」と称してボクサーが練習を行うという場面が設定される。そして、例えば大当たりに当選する場合には、主人公が階段の最上段で両手を突き上げるという内容の演出を行う。また、はずれる場合には、主人公が階段の最上段まで上がることができないという内容の演出を行う。
さらに、演出モードDの一例として、「決戦モード」と称してボクサーがタイトル戦に挑むという場面が設定される。そして、例えば大当たりに当選する場合には、主人公が相手を倒すという内容の演出を行う。また、はずれる場合には、主人公が相手を倒せないという内容の演出を行う。
以上のように、本実施の形態のパチンコ遊技機100では、高確率時短遊技状態において、ST回数の残り回数に応じて、演出モードが変わるように設定されている。さらに、上述したとおり、各演出モードにて、大当たりに当選した場合に実行される演出内容が異なっている。そこで、本実施の形態では、各モードにおける残り回数に応じて、回数表示52の表示を制御する。
特別図柄抽選に伴って変動演出が実行される際に、図37(a)に示すように、装飾図柄51が画面に表示される。そして、本実施の形態では、装飾図柄51とともにST回数の残り回数を示す回数表示52が画面に表示される。また、図37(a)の例では、回数表示52として「残り12回」のテキストが表示される。さらに、この場合の演出モードは、ST回数の残り回数が12回であるため、演出モードCである「特訓モード」に設定されている。そこで、画面には、演出モードを表示するモード表示56が表示される。
その後、図37(a)に示すように、2つの装飾図柄51が揃おうとする。そして、リーチ演出が実行される。そうすると、図37(b)に示すように、画面には、報知画像53が表示されるとともに、回数表示52およびモード表示56については表示が消される。さらに、図37(c)に示すように、画面には、演出画像54が表示され、同様に、回数表示52およびモード表示56については表示が消された状態が維持される。
そして、本実施の形態では、「特訓モード」であるため、主人公が階段の最上段に上れるか否かのタイミングで、演出ボタン161(図2参照)の操作を遊技者に促す。その後、演出ボタン161が操作されたタイミング、または、演出ボタン161の操作を遊技者に促してから所定時間の経過に伴って、階段の最上段に上がれたか否かの結果を見せるとともに、装飾図柄51を停止表示させる。
そして、本実施の形態では、図37(d)に示すように、結果が決まるタイミングであって、装飾図柄51が停止表示させるタイミングで、再び回数表示52の表示を行う。具体的には、「残り12回!」といった内容の回数表示52の表示を行うことによって、リーチ演出が実行される際の残り回数を改めて表示する。また、回数表示52として「特訓モードで△演出が見られるのは、ラストチャンス!?」のテキストも併せて表示する。つまり、本実施の形態では、「特訓モード」にて、主人公が階段の最上段に上がれるという演出を見られる機会が最後となる可能性が高いことを示唆する。
また、本実施の形態では、回数表示52の表示サイズをリーチ演出が実行される前の表示態様よりも大きくするとともに、より目立つ表示態様によって表示する。このように、図37(d)の例では、少なくともリーチ演出が行われる前の回数表示52とは異なる表示態様にて、回数表示52を表示するようにしている。
なお、上述した回数表示演出は、現在変動中の変動(当該変動)の抽選結果に基づいて、リーチ演出中に回数表示52の表示を行うか否かを決定しても良い。例えば、ST回数の残り回数が少なくなった状況で、リーチ演出が実行される際、そのリーチ演出が大当たりに当選した場合のリーチ演出であれば、上述したように回数表示52の表示を行うようにしても良い。一方、ST回数の残り回数が少なくなった状況で、リーチ演出が実行される際、そのリーチ演出がはずれの場合のリーチ演出であれば、回数表示52の表示を行わないようにしても良い。
また、上述した回数表示演出は、事前判定(先読み)の結果に基づいて、リーチ演出中に回数表示52の表示を行うか否かを決定しても良い。例えば、ST回数の残り回数が上述した基準回数以下である場合であって、リーチ演出が行われる状況が複数回生じる場合も想定される。そして、先のリーチ演出は、はずれの場合のリーチ有り演出であり、後のリーチ演出が大当たりの場合のリーチ有り演出であるとする。このような場合には、残り回数が基準回数以下であっても、先のはずれの場合のリーチ有り演出が実行される際には、回数表示52を行わず、後の大当たりに伴うリーチ演出が実行される際に回数表示52をリーチ演出とともに表示する。
図38は、回数表示演出における変形例1の画面構成の説明図である。
本実施の形態では、パチンコ遊技機100において比較的大きい表示領域を占める画像表示部114(図1参照)において回数表示演出を行う例について説明したが、これに限定されない。例えば、図38(a)に示すように、パチンコ遊技機100に、画像表示部114に加えて、サブとして画像表示部114とは別に第2画像表示部114Bを設けても構わない。
そして、変形例1の画面構成では、図38(a)に示すように、大当たり遊技後に高確率時短遊技状態に移行することで、画像表示部114の画面に回数表示52の表示を行う。その後、図38(b)に示すように、リーチ演出が実行される際には、画像表示部114の画面の回数表示52を消すとともに、報知画像53を表示する。このとき、第2画像表示部114Bの画面に回数表示52を表示する。さらに、図38(c)に示すように、画像表示部114の画面に演出画像54を表示する。そして、同様に、第2画像表示部114Bの画面に回数表示52を表示しても良い。
なお、この場合において、回数表示52の表示態様は、画像表示部114の画面に表示していた回数表示52と同様であっても良く、また、異ならせても構わない。
さらに、第2画像表示部114Bに回数表示52を表示するタイミングは、図34(d)を参照しながら説明したように、演出ボタン161を操作するときや、特別図柄抽選の抽選結果が報知されるときとしても良い。
図39は、回数表示演出における変形例2の画面構成の説明図である。
さらに、本実施の形態では、例えば図34(d)を参照しながら説明したように、画面内において演出画像54に重畳するように回数表示52を表示しているが、これに限定されない。
例えば、変形例2の画面構成では、図39(a)に示すように、大当たり遊技後に高確率時短遊技状態に移行することで、画像表示部114の画面に回数表示52の表示を行う。その後、図39(b)に示すように、リーチ演出が実行される際に、画像表示部114の画面を左右方向において分かれるように分割表示する。そして、比較的大きな第1分割画面114R内に全体的に大きく報知画像53を表示する。また、比較的小さい第2分割画面114Lには回数表示52を表示する。さらにその後、図39(c)に示すように、第1分割画面114Rに全体的に大きく演出画像54を表示する。そして、同様に、第2分割画面114Lに回数表示52を表示する。
なお、画像表示部114の画面の分割は、例えば上下方向において分かれるようにしても構わない。
なお、本実施の形態では、高確率時短遊技における回数表示演出について説明したが、例えば時短遊技を伴わない高確率遊技において、回数表示演出を行うようにしても良い。さらに、例えば低確率時短遊技の継続期間が、特別図柄抽選の抽選回数によって限定されているパチンコ遊技機100においても同様に回数表示演出を行うことができる。さらに、中確率状態の継続期間が、特別図柄抽選の抽選回数によって限定されているパチンコ遊技機100においても同様に回数表示演出を行うことができる。
以上のように、大当たり遊技後に、特別図柄抽選の抽選回数が所定回数に達するまで、通常の遊技状態(低確率遊技状態)とは異なる特定の遊技状態(高確率時短遊技状態、高確率遊技状態、時短遊技状態、中確率遊技状態等)に設定される遊技機において、上述した回数表示演出を行うようにして構わない。
以上説明したように、パチンコ遊技機100は、回数表示52を表示する回数表示演出と、特別図柄抽選に伴って実行される遊技演出(リーチ演出等)の演出画像との両方の演出を楽しむことができる。
なお、本書にて種々の構造や制御等について説明したが、説明した内容の全部または一部を他の構造や制御等に応用ないし組み合わせることは、本書に言及がない場合であっても可能である。また、種々の変形例についても言及したが、かかる変形例の内容を他の構造や制御等に応用ないし組み合わせることは、本書に言及がない場合であっても可能である。
なお、本実施の形態では、遊技制御部200の主制御処理において、主制御処理の各処理で生成されたコマンドを最後にまとめて演出制御部300へ出力する動作について説明した(図5−3参照)。
また、本実施の形態では、電源復帰時に、遊技制御部200により初期的に実行される基本処理において、設定の初期化を指示するコマンド等を演出制御部300へ出力するために、主制御処理で用いられる出力制御部240の機能(サブルーチン)を呼び出して実行することについて説明した(図5−1参照)。
また、本実施の形態では、遊技制御部200から演出制御部300へ出力されるコマンドを「コード部」と「データ部」とで構成し、各々の先頭ビットに識別用のフラグを設けることについて説明した(図19−1参照)。
また、本実施の形態では、遊技制御部200から演出制御部300へ出力されるコマンドの「コード部」の一部を、データ値を記述するために用いる構成について説明した。
〔本実施の形態の技術的特徴〕
◆上記のように、本実施の形態では、遊技制御手段の動作を制御する制御命令の増加を削減するため、遊技制御部200により所定の時間間隔で繰り返し実行される主制御処理において、1サイクルの主制御処理の最後に、その1サイクルの実行で生成されたコマンドをまとめて、演出制御部300へ出力することとした。すなわち、上記の目的を達成する遊技機は、遊技の進行に応じて演出を行う遊技機(例えば、パチンコ遊技機100)であって、遊技の進行に関する一連の処理である主制御処理を所定の条件にしたがって繰り返し実行し、当該主制御処理を実行して得られた遊技に関する情報を含むデータを生成する遊技制御手段(例えば、遊技制御部200)と、一連の前記主制御処理を1サイクル実行する度に、当該1サイクルの実行により生成された前記データを、当該1サイクルの実行における最後のデータの生成が行われた後に出力する出力手段(例えば、出力制御部240)と、前記出力手段(例えば、出力制御部240)から出力されたデータを受け付け、受け付けたデータに基づき演出を行う演出制御手段(例えば、演出制御部300)と、を備える。
このようにすれば、生成されたデータごとに出力処理を行う必要がないため、出力処理を行うための制御命令を削減し、プログラムサイズの増大を抑制することができる。また、データが生成される度に出力処理を行う必要がないため、出力処理全体に要する時間を短縮することができる。
また、より詳細には、上記の遊技機において、前記主制御処理で生成されたデータを、データごとに設定された記憶領域(例えば、コマンド格納領域)に記憶する記憶手段(例えば、RAM203)をさらに備え、前記遊技制御手段(例えば、遊技制御部200)は、前記主制御処理において生成した前記データを、生成したデータに対応付けられた前記記憶領域(例えば、コマンド格納領域)に記憶させ、前記出力手段(例えば、出力制御部240)は、前記記憶手段(例えば、RAM203)の各記憶領域に対してデータが記憶されているか否かを調べ、データが記憶されている記憶領域からデータを読み出して出力する。
このようにすれば、出力処理を行う度に、各記憶領域を確認して、記憶されているデータを出力するので、データ出力の漏れを防止することができる。
◆また、上記の目的を達成する他の遊技機は、遊技の進行に応じて演出を行う遊技機(例えば、パチンコ遊技機100)であって、遊技の進行に関する一連の処理である主制御処理を所定の条件にしたがって繰り返し実行し、当該主制御処理とは異なる条件にしたがって当該主制御処理とは異なる特別処理を実行する遊技制御手段(例えば、遊技制御部200)と、前記遊技制御手段(例えば、遊技制御部200)から出力されたデータを受け付け、前記データに基づき演出に関わる処理を行う演出制御手段(例えば、演出制御部300)と、を備え、前記主制御処理において前記遊技制御手段(例えば、遊技制御部200)による処理は、遊技の進行に基づく処理を行うと共に、当該処理を実行して得られた情報を含むデータを生成する1または複数の第1の処理手段(例えば、遊技制御部200)を呼び出して実行する部分と、前記第1の処理手段(例えば、遊技制御部200)の実行により生成されたデータを前記演出制御手段(例えば、演出制御部300)へ出力する第2の処理手段(例えば、出力制御部240)を呼び出して実行する部分と、を含み、前記特別処理において前記遊技制御手段(例えば、遊技制御部200)による処理は、遊技機(例えば、パチンコ遊技機100)の設定を行う設定処理を実行する部分と、前記設定処理において生成されたデータを、前記主制御処理における前記第2の処理手段(例えば、出力制御部240)を呼び出して、前記演出制御手段(例えば、演出制御部300)へ出力する部分と、を含む、構成とすることができる。
このようにすれば、特別処理で生成されたデータの出力処理を行うために個別の制御命令を用意する必要がないため、出力処理を行うための制御命令を削減し、プログラムサイズの増大を抑制することができる。
また、より詳細には、上記の遊技機において、前記主制御処理で生成されたデータを、データごとに設定された記憶領域に記憶する記憶手段(例えば、RAM203)をさらに備え、前記主制御処理における前記第1の処理手段(例えば、遊技制御部200)は、処理の実行により生成した前記データを、生成したデータに対応付けられた前記記憶領域(例えば、コマンド格納領域)に順次記憶させ、前記主制御処理における前記第2の処理手段(例えば、出力制御部240)は、前記記憶手段(例えば、RAM203)の各記憶領域に対してデータが記憶されているか否かを調べ、データが記憶されている記憶領域からデータを読み出して出力し、前記特別処理における前記設定処理では、前記設定処理において生成されたデータを、前記記憶手段(例えば、RAM203)における所定の前記記憶領域に記憶させる。
このようにすれば、出力処理を行う度に、各記憶領域を確認して、記憶されているデータを出力するので、データ出力の漏れを防止することができる。
◆また、本実施の形態では、遊技制御手段から演出制御手段へのデータ伝送の精度を向上させるため、第1データ部である「コード」の所定のビットと、第2データ部である「データ」の所定のビットを、「コード」と「データ」とを識別するためのフラグとして用いた。すなわち、上記の目的を達成する遊技機は、遊技の進行に応じて演出を行う遊技機(例えば、パチンコ遊技機100)であって、遊技の進行に関する主制御処理を実行し、当該主制御処理を実行して得られた遊技に関する情報を含むデータを生成して出力する遊技制御手段(例えば、遊技制御部200)と、前記遊技制御手段(例えば、遊技制御部200)から出力されたデータを受け付け、受け付けたデータに基づき演出に関わる処理を行う演出制御手段(例えば、演出制御部300)と、を備え、前記遊技制御手段(例えば、遊技制御部200)により生成される前記データは、aビット(aは2以上の整数)のサイズで、先頭の1ビットの値が1または0の何れか一方に特定されている第1データ部(例えば、「コード」)と、n×aビット(nは1以上の整数)のサイズで、先頭の1ビットの値が前記第1データ部(例えば、「コード」)の先頭の1ビットの値とは異なる値に特定されている第2データ部(例えば、「データ」)と、を含む、構成とすることができる。
このようにすれば、先頭の1ビットの値を認識することにより、第1データ部と第2データ部とを明確に区別することができるため、遊技制御手段から演出制御手段へのデータ伝送の精度を向上させることができることができる。
また、より好ましくは、上記の遊技機において、前記遊技制御手段(例えば、遊技制御部200)により生成される前記データの前記第2データ部(例えば、「データ」)は、先頭からaビットごとに、先頭の1ビットの値と同じ値が設定される。
このようにすれば、第2データ部のサイズが大きい場合でも、特定のサイズごとに切り分けて、各々が第2データ部であることを識別することが容易となる。
◆また、本実施の形態では、実行対象の変動パターンを特定するコマンドを送信する場合のように、大きなサイズのデータを送る必要がある場合にも、遊技制御手段から演出制御手段へ送られるデータ全体のサイズの増大を抑制するため、第1データ部である「コード」の所定のビットをデータ値を記述するために用い、「コード」の一部と第2データ部である「データ」とでデータ値を記述する手法を提案した。すなわち、上記の目的を達成する遊技機は、遊技の進行に応じて演出を行う遊技機(例えば、パチンコ遊技機100)であって、遊技の進行に関する主制御処理を実行し、当該主制御処理を実行して得られた遊技に関する情報を含むデータを生成して出力する遊技制御手段(例えば、遊技制御部200)と、前記遊技制御手段(例えば、遊技制御部200)から出力されたデータを受け付け、当該データに基づき演出に関わる処理を行う演出制御手段(例えば、演出制御部300)と、を備え、前記遊技制御手段(例えば、遊技制御部200)により生成される前記データは、aビット(aは3以上の整数)のサイズで、先頭の1ビットの値が1または0の何れか一方に特定されている第1データ部(例えば、「コード」)と、n×aビット(nは1以上の整数)のサイズで、先頭の1ビットの値が前記第1データ部(例えば、「コード」)の先頭の1ビットの値とは異なる値に特定されている第2データ部(例えば、「データ」)と、を含み、前記第1データ部(例えば、「コード」)を構成する所定のビットと、前記第2データ部(例えば、「データ」)を構成するビットとを用いて、所定の種類のデータが記録され、当該第1データ部(例えば、「コード」)における当該所定のビットを除く残りのビットを用いて、当該所定の種類のデータとは異なる他の種類のデータが記録される構成とすることができる。
また、上記の目的を達成する他の本発明による遊技機は、遊技の進行に応じて演出を行う遊技機(例えば、パチンコ遊技機100)であって、遊技の進行に関する主制御処理を実行し、当該主制御処理を実行して得られた遊技に関する情報を含むデータを生成して出力する遊技制御手段(例えば、遊技制御部200)と、前記遊技制御手段(例えば、遊技制御部200)から出力されたデータを受け付け、当該データに基づき演出に関わる処理を行う演出制御手段(例えば、演出制御部300)と、を備え、前記遊技制御手段(例えば、遊技制御部200)により生成される前記データは、aビット(aは3以上の整数)のサイズで、先頭の1ビットの値が1または0の何れか一方に特定されている第1データ部(例えば、「コード」)と、aビットのサイズで、先頭の1ビットの値が前記第1データ部(例えば、「コード」)の先頭の1ビットの値とは異なる値に特定されている第2データ部(例えば、「データ」)と、を含み、前記第1データ部(例えば、「コード」)を構成するbビット(bはa−1よりも小さく、1以上の整数)と、前記第2データ部(例えば、「データ」)を構成するaビットとを用いて、(a+b)ビットのサイズのデータが記録される構成とすることができる。
上記のような構成とすれば、第1データ部および第2データ部の合計サイズを変えることなく、第2データ部に記録されるべきデータのサイズを、より大きくすることが可能となるため、遊技制御手段から演出制御手段へ大きなサイズのデータを送る場合に、伝送されるデータ全体のサイズの増大を抑制することができる。
なお、パチンコ遊技機100(図1参照)は遊技機の一例である。遊技制御部200(図3参照)は遊技制御手段の一例である。演出制御部300(図3参照)は演出制御手段の一例である。出力制御部240(図4参照)は出力手段の一例である。RAM203(図3参照)は記憶手段の一例である。コマンド格納領域は記憶領域の一例である。