JP6301258B2 - 免疫染色試料を調製するための方法および構成物 - Google Patents

免疫染色試料を調製するための方法および構成物 Download PDF

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Description

本発明は、エピトープを抗体結合のためにさらに接触しやすくすることにより、タンパク質の検出を向上させる方法および構成物に関する。
組織および細胞の試料の固定は、タンパク質の架橋に起因して、免疫染色に関して、タンパク質に基づくエピトープを不活性に、または利用しがたくさせる。抗原賦活化(AR)は、標的エピトープを免疫染色のために接触しやすくするプロセスである。固定により引き起こされた架橋の問題を克服すれば、タンパク質の三次構造内に埋没した標的エピトープを、一次抗体との結合のために接触しやすくできる。抗原賦活化はまた、有利なことに、抗原の検出に対する閾値を下げて、それにより検出に必要な抗体の量を減少させ、バックグラウンド染色を減少させて、偽陰性の結果の発生を最少化する。それ故、免疫組織化学(IHC)および免疫細胞化学(ICC)のプロトコルは、免疫染色の強度を増強するための、および関心のある抗原を回復させるための前処理ステップをしばしば含む。
免疫染色のための多くの既存の前処理ステップは、免疫染色のための試料を調製するために、関心のある細胞または組織試料を、種々の溶液(例えば、緩衝剤、EDTA、酸、塩基、界面活性剤)中において約80℃以上の高温でインキュベートすることを含む。これらのタイプの試料前処理法は非常に発展しており、組織試料を処理するために最適化されている。組織は、処理の高温に耐えて形態を維持することができ、その理由は、これらの組織が、しばしばホルマリン中で固定され、次いで切片作製およびIHC処理に先だってパラフィン中に包埋され、組織切片が周囲の間質組織構造の支持を維持するためである。細胞診検体は、組織試料と同程度には固定されず、通常はパラフィン中に包埋されず、高熱前処理中に細胞の形態を維持するための間質支持材料を含有しない。したがって、エピトープ露出の増大および一次抗体への利用しやすさに役立つ高熱前処理方法は、細胞診検体の細胞の形態を崩壊させる。
それ故、抗原賦活化に効果的でありながら、細胞の形態を維持させる前処理方法および構成物が、細胞診試料の処理に、特に、免疫染色のための調製に必要とされる。
免疫染色のための試料を調製するための構成物および方法が、本明細書において提供される。本明細書中で開示される構成物は、界面活性剤を含む第1の溶液と、カオトロピック剤を含む第2の溶液とを含むキットを含む。これら2種の溶液の用途は、細胞または組織などの試料を、第1の溶液と、次いで第2の溶液と順に接触させることにより、タンパク質エピトープを回復することにある。露出した抗原は、次に抗体に対する結合に利用することができ、当技術分野において公知の任意の方法を使用して検出することができる。本開示の方法および構成物により、過度の加熱をしない抗原賦活化が可能になり、したがって細胞の形態の維持が可能になる。
以下の実施形態は本発明に含まれる。
1.a)界面活性剤を含む第1の溶液と、b)カオトロピック剤を含む第2の溶液とを含むキット。
2.前記界面活性剤が、アニオン性界面活性剤である、実施形態1に記載のキット。
3.前記アニオン性界面活性剤が、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)である、実施形態2に記載のキット。
4.前記第1の溶液が、約0.01%から約1%のSDSを含む、実施形態3に記載のキット。
5.前記第1の溶液が、約0.05%から約0.5%のSDSを含む、実施形態4に記載のキット。
6.前記第1の溶液が、約0.1%のSDSを含む、実施形態5に記載のキット。
7.前記第1の溶液が、水溶液である、実施形態1〜6のいずれか1項に記載のキット。
8.前記カオトロピック剤が、カオトロピック塩である、実施形態1〜7のいずれか1項に記載のキット。
9.前記カオトロピック塩が、チオシアン酸塩または過塩素酸塩である、実施形態8に記載のキット。
10.前記チオシアン酸塩が、チオシアン酸グアニジンである、実施形態9に記載のキット。
11.前記第2の溶液が、約0.3Mから約30Mのチオシアン酸グアニジンを含む、実施形態10に記載のキット。
12.前記第2の溶液が、約1Mから約10Mのチオシアン酸グアニジンを含む、実施形態11に記載のキット。
13.前記第2の溶液が、約3Mのチオシアン酸グアニジンを含む、実施形態12に記載のキット。
14.前記過塩素酸塩が、過塩素酸リチウムである、実施形態9に記載のキット。
15.前記第2の溶液が、約0.3Mから約30Mの過塩素酸リチウムを含む、実施形態14に記載のキット。
16.前記第2の溶液が、約1Mから約10Mの過塩素酸リチウムを含む、実施形態15に記載のキット。
17.前記第2の溶液が、約3Mの過塩素酸リチウムを含む、実施形態16に記載のキット。
18.前記第2の溶液が、弱い界面活性剤をさらに含む、実施形態1〜17のいずれか1項に記載のキット。
19.前記弱い界面活性剤が、非イオン性界面活性剤である、実施形態18に記載のキット。
20.前記非イオン性界面活性剤が、ノニルフェノキシポリエトキシエタノール(NP−40)である、実施形態19に記載のキット。
21.前記第2の溶液が、約0.01%から約1%のNP−40を含む、実施形態20に記載のキット。
22.前記第2の溶液が、約0.05%から約0.5%のNP−40を含む、実施形態21に記載のキット。
23.前記第2の溶液が、約0.1%のNP−40を含む、実施形態22に記載のキット。
24.前記第2の溶液が、水溶液である、実施形態1〜23のいずれか1項に記載のキット。
25.前記キットが、抗原に特異的に結合する抗体をさらに含む、実施形態1〜24のいずれか1項に記載のキット。
26.前記抗原が、核抗原である、実施形態25に記載のキット。
27.前記抗原が、MCM2、MCM7、p16、およびKi67からなる群から選択される、実施形態25に記載のキット。
28.前記キットが、ペルオキシダーゼ阻害試薬、タンパク質ブロッキング剤、抗体の前記抗原に対する結合を検出するための化学物質、対比染色剤、ブルーイング剤、および使用説明書をさらに含む、実施形態25〜27のいずれか1項に記載のキット。
29.抗体結合を検出するための前記化学物質が、色原体と、標識されたポリマーにコンジュゲートされた二次抗体とを含み、色原体は3’,3’−ジアミノベンジジンを含み、標識されたポリマーはデキストランポリマーにコンジュゲートされた西洋ワサビペルオキシダーゼを含む、実施形態28に記載のキット。
30.前記対比染色剤が、ヘマトキシリンを含む、実施形態28または29に記載のキット。
31.前記ブルーイング剤が、トリス緩衝生理食塩水(pH7.4)、Tween−20、およびアジ化ナトリウムを含む溶液を含む、実施形態28〜30のいずれか1項に記載のキット。
32.陽性対照試料をさらに含む、実施形態25〜31のいずれか1項に記載のキット。
33.パパニコロウ(Pap)染色のための試薬をさらに含む、実施形態1〜32のいずれか1項に記載のキット。
34.Pap染色のための試薬が、EA50およびオレンジGを含む、実施形態33に記載のキット。
35.免疫学的染色のための試料を調製する方法であって、
a)試料を界面活性剤を含む第1の溶液に接触させるステップと、
b)試料をカオトロピック剤を含む第2の溶液に接触させるステップと
を含む方法。
36.前記界面活性剤が、アニオン性界面活性剤である、実施形態35に記載の方法。
37.前記アニオン性界面活性剤が、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)である、実施形態36に記載の方法。
38.前記第1の溶液が、約0.01%から約1%のSDSを含む、実施形態37に記載の方法。
39.前記第1の溶液が、約0.05%から約0.5%のSDSを含む、実施形態38に記載の方法。
40.前記第1の溶液が、約0.1%のSDSを含む、実施形態39に記載の方法。
41.前記第1の溶液が、水溶液である、実施形態35〜40のいずれか1項に記載の方法。
42.前記カオトロピック剤が、カオトロピック塩である、実施形態35〜41のいずれか1項に記載の方法。
43.前記カオトロピック塩が、チオシアン酸塩または過塩素酸塩である、実施形態42に記載の方法。
44.前記チオシアン酸塩が、チオシアン酸グアニジンである、実施形態43に記載の方法。
45.前記第2の溶液が、約0.3Mから約30Mのチオシアン酸グアニジンを含む、実施形態44に記載の方法。
46.前記第2の溶液が、約1Mから約10Mのチオシアン酸グアニジンを含む、実施形態45に記載の方法。
47.前記第2の溶液が、約3Mのチオシアン酸グアニジンを含む、実施形態46に記載の方法。
48.前記過塩素酸塩が、過塩素酸リチウムである、実施形態43に記載の方法。
49.前記第2の溶液が、約0.3Mから約30Mの過塩素酸リチウムを含む、実施形態48に記載の方法。
50.前記第2の溶液が、約1Mから約10Mの過塩素酸リチウムを含む、実施形態49に記載の方法。
51.前記第2の溶液が、約3Mの過塩素酸リチウムを含む、実施形態50に記載の方法。
52.前記第2の溶液が、弱い界面活性剤をさらに含む、実施形態35〜51のいずれか1項に記載の方法。
53.前記弱い界面活性剤が、非イオン性界面活性剤である、実施形態52に記載の方法。
54.前記非イオン性界面活性剤が、ノニルフェノキシポリエトキシエタノール(NP−40)である、実施形態53に記載の方法。
55.前記第2の溶液が、約0.01%から約1%のNP−40を含む、実施形態54に記載の方法。
56.前記第2の溶液が、約0.05%から約0.5%のNP−40を含む、実施形態55に記載の方法。
57.前記第2の溶液が、約0.1%のNP−40を含む、実施形態56に記載の方法。
58.前記第2の溶液が、水溶液である、実施形態35〜57のいずれか1項に記載の方法。
59.前記試料を、前記第1の溶液と共に少なくとも1分間インキュベートする、実施形態35〜58のいずれか1項に記載の方法。
60.前記試料を、前記第1の溶液と共に約1分から約120分間インキュベートする、実施形態59に記載の方法。
61.前記試料を、前記第1の溶液と共に約10分から約60分間インキュベートする、実施形態60に記載の方法。
62.前記試料を、前記第1の溶液と共に約19分間インキュベートする、実施形態61に記載の方法。
63.前記試料を、前記第1の溶液中において室温でインキュベートする、実施形態35〜62のいずれか1項に記載の方法。
64.前記試料を、前記第1の溶液と共に加熱する、実施形態35〜62のいずれか1項に記載の方法。
65.前記試料を、前記第1の溶液と共に約20℃から約60℃でインキュベートする、実施形態35〜62のいずれか1項に記載の方法。
66.前記試料を、前記第1の溶液と共に約37℃から約55℃でインキュベートする、実施形態65に記載の方法。
67.前記試料を、前記第1の溶液と共に約50℃でインキュベートする、実施形態66に記載の方法。
68.前記試料を、前記第2の溶液と共に少なくとも1分間インキュベートする、実施形態35〜67のいずれか1項に記載の方法。
69.前記試料を、前記第2の溶液と共に約1分から約120分間インキュベートする、実施形態68に記載の方法。
70.前記試料を、前記第2の溶液と共に約10分から約60分間インキュベートする、実施形態69に記載の方法。
71.前記試料を、前記第2の溶液と共に約19分間インキュベートする、実施形態70に記載の方法。
72.前記試料を、前記第2の溶液と共に室温でインキュベートする、実施形態35〜71のいずれか1項に記載の方法。
73.前記試料を、前記第2の溶液と共に加熱する、実施形態35〜71のいずれか1項に記載の方法。
74.前記試料を、前記第2の溶液と共に約30℃から約60℃でインキュベートする、実施形態35〜71のいずれか1項に記載の方法。
75.前記試料を、前記第2の溶液と共に約37℃から約55℃でインキュベートする、実施形態74に記載の方法。
76.前記試料を、前記第2の溶液と共に約50℃でインキュベートする、実施形態75に記載の方法。
77.前記試料を、第1の溶液と接触させた後、第2の溶液と接触させる前に洗浄する、実施形態35〜76のいずれか1項に記載の方法。
78.前記試料を、緩衝生理食塩水で洗浄する、実施形態77に記載の方法。
79.前記緩衝生理食塩水が、トリス緩衝生理食塩水である、実施形態78に記載の方法。
80.抗体を使用して前記試料中の抗原を検出するステップをさらに含む、実施形態35〜79のいずれか1項に記載の方法。
81.前記抗原が、核抗原である、実施形態80に記載の方法。
82.前記抗原が、MCM2、MCM7、p16、およびKi67からなる群から選択される、実施形態80に記載の方法。
83.前記試料が、子宮頸部の試料である、実施形態35〜82のいずれか1項に記載の方法。
84.前記試料が、細胞または組織を含む、実施形態35〜83のいずれか1項に記載の方法。
85.前記試料の形態学的分析を実行するステップをさらに含む、実施形態35〜84のいずれか1項に記載の方法。
86.試料をパパニコロウ(Pap)染色するステップをさらに含む、実施形態35〜84のいずれか1項に記載の方法。
本発明のこれらのおよび他の態様は、以下に示す本発明の説明でさらに詳細に開示される。
抗Ki67抗体で免疫染色した、SurePath(登録商標)(TriPath Imaging、Inc.)の高度扁平上皮内病変(HSIL)がある子宮頸部細胞試料の像を示す図である。免疫染色に先だって、試料を0.1%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)中50℃で19分間インキュベートし、トリス緩衝生理食塩水(TBS)で洗浄して、次に3M過塩素酸リチウム(LiClO)/0.1%ノニルフェニルポリエトキシ−エタノール(NP−40)中50℃で19分間インキュベートした。試料を、パパニコロウ(Pap)染色で対比染色した。 抗Ki67抗体で免疫染色したSiHa(ヒト子宮頸部扁平上皮癌)細胞の像を示す図である。免疫染色に先だって、細胞を0.1%SDS中50℃で19分間インキュベートし、TBSで洗浄して、次に3MのLiClO/0.1%NP−40中50℃で19分間インキュベートした。細胞をPap染色で対比染色した。 抗p16抗体で免疫染色した、SurePath(登録商標)のHSIL子宮頸部細胞診試料の像を示す図である。免疫染色に先だって、試料を0.1%のSDS中50℃で19分間インキュベートし、TBSで洗浄して、次に3MのLiClO/0.1%NP−40中50℃で19分間インキュベートした。試料をPap染色で対比染色した。 抗p16抗体で免疫染色したSiHa細胞の像を示す図である。免疫染色に先だって、細胞を0.1%のSDS中50℃で19分間インキュベートし、TBSで洗浄して、次に3MのLiClO/0.1%NP−40中50℃で19分間インキュベートした。細胞をPap染色で対比染色した。 2種の抗MCM2抗体および1種の抗MCM7抗体で免疫染色したパラフィン包埋扁桃組織の組織学的切片の像を示す図である。扁桃組織は、10%ホルムアルデヒド中で少なくとも24時間固定して、次にパラフィン中に包埋した後、切片にした。免疫染色に先だって、切片は0.1%のSDS中50℃で19分間インキュベートし、TBSで洗浄して次に3MのLiClO/0.1%NP−40中50℃で19分間インキュベートした。 パラフィンで包埋した2種の抗MCM2抗体および1種の抗MCM7抗体で免疫染色した子宮頸部上皮内新生物3(CIN3)組織の組織学的切片の像を示す図である。子宮頸部組織は、10%ホルムアルデヒド中で少なくとも24時間固定して、次にパラフィン中に包埋した後切片にした。免疫染色に先だって、切片を0.1%のSDS中50℃で19分間インキュベートし、TBSで洗浄して、次に3MのLiClO/0.1%NP−40中50℃で19分間インキュベートした。 2種の抗MCM2抗体および1種の抗MCM7抗体で免疫染色した、SurePath(登録商標)の低度扁平上皮内病変(LSIL)がある子宮頸部細胞診試料の像を示す図である。免疫染色に先だって、試料を0.1%のSDS中室温で19分間インキュベートし、TBSで洗浄して、次に3MのLiClO/0.1%NP−40中室温で19分間インキュベートした。試料をPap染色で対比染色した。 2種の抗MCM2抗体および1種の抗MCM7抗体で免疫染色した、SurePath(登録商標)の高度扁平上皮内病変(HSIL)のある子宮頸部細胞診試料の像を示す図である。免疫染色に先だって、試料を0.1%のSDS中室温で19分間インキュベートし、TBSで洗浄して次に3MのLiClO/0.1%NP−40中室温で19分間インキュベートした。試料をPap染色で対比染色した。
タンパク質エピトープを露出させることによる、免疫学的染色のための試料を調製するための構成物および方法を開示する。該構成物は、界面活性剤を含む第1の溶液(前処理溶液1)およびカオトロピック剤を含む第2の溶液(前処理溶液2)を含むキット、を含む。該方法は、試料を、界面活性剤を含む第1の前処理溶液と、次にカオトロピック剤を含む第2の前処理溶液と接触させることを含む。試料が調製されてエピトープが露出すれば、抗原を抗体と接触させて抗原抗体結合を検出する当技術分野において公知の任意の方法を使用して、抗原を検出することができる。本明細書で開示した2溶液法により、細胞の形態を維持しながら、過度の加熱なしで免疫学的染色のために十分な抗原賦活化が可能になる。このことは、過度の加熱に敏感で、しばしば抗原賦活化が必要になる細胞診試料にとって特に有用である。抗原賦活化過程中における細胞の形態の維持は、これより後に細胞の形態を評価する試料にとって重要である。例えば、本明細書で開示した構成物および方法は、標準的パパニコロウ対比染色と組み合わせて、子宮頸部の細胞診試料中の(1以上の)抗原を検出するために使用することができる。
本明細書で開示した構成物および方法は、免疫学的染色のための試料の調製を指向する。免疫学的染色または免疫染色とは、試料を少なくとも1種の抗体と接触させて、抗原抗体結合を検出するために当技術分野において公知の任意の方法を使用して、試料中の対応する抗原に対する抗体の結合を検出するプロセスのことを指す。免疫学的染色の例として、組織試料内の抗原が検出される免疫組織化学、および細胞試料内の抗原が検出される免疫細胞診が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の構成物および方法は、免疫学的染色のための試料の調製に効果的であり、それは、染色プロセスで使用される抗体のその抗原に対する接近を可能にするための試料の改変に関連する。そのような改変として、細胞膜および幾つかの場合には核膜の膜透過処理、固定剤により誘発されたタンパク質架橋の切断(例えば、アルデヒド固定により惹起されたメチレンブリッジ;例えば、French and Edsall(1945) Adv Protein Chem 2:277;Pearse(1980) Histochemistry:Theoretical and Applied vol.1;Fox et al.(1985) J.Histochem.Cytochem.33:845を参照されたい)、およびタンパク質抗原の変性が挙げられる。抗体の抗原に対する接近を可能にする、免疫学的染色のための試料を調製するプロセスも、本明細書において、抗原賦活化または前処理とも称する。
本明細書において使用される用語「抗原」は、抗原活性を有するポリペプチドを指す。「抗原活性」とは、抗体の産生に使用されるべきポリペプチドの能力を指す。本明細書で開示した方法および構成物は、細胞表面であっても細胞外であっても発現した、核および細胞質の任意のタイプの抗原を検出するための試料を調製するために使用することができる。幾つかの実施形態において、本明細書で開示した構成物および方法は、核抗原の免疫学的染色を増強するために使用することができ、したがって細胞膜および核膜の両方を透過性にすることができる。本明細書で開示した方法を使用して免疫染色され得る核抗原の例として、MCM2、MCM3、MCM4、MCM5、MCM6、MCM7、およびMCM10、およびトポイソメラーゼIIなどのミニ染色体維持(MCM)タンパク質が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書で開示した方法を使用して免疫染色することができる抗原の追加の例として、エストロゲン受容体(ER)、プロゲステロン受容体(PR)、およびp53が挙げられるが、これらに限定されない。これらの実施形態の幾つかにおいて、本明細書で開示した方法は、ER、PR、p53、およびKi67を含む抗原の一群を免疫染色するために使用することができる。他の実施形態において、本明細書で開示した構成物および方法は、p16またはKi67の免疫学的染色の増強に効果的である。
本明細書で開示した構成物および方法は、免疫学的染色のための試料を調製するために、2種の溶液を使用する。本明細書において使用される用語「溶液」は、少なくとも2種の物質の混合物を指す。用語「溶液」は、均一な混合物に限定されず、本明細書においては、秩序相を含む混合物と同様に、より無秩序な相を含む混合物も指して使用される。例えば、水または他の極性液体中に界面活性剤を含む溶液は、溶液中のミセルの秩序相または自由な界面活性剤分子もしくはイオンの無秩序相、またはそれらの組合せを含有することができる。幾つかの実施形態において、第1のまたは第2の前処理溶液または両方の前処理溶液は、水溶液である。本明細書において使用される用語「水溶液」は、水を含む混合物を指す。これらの実施形態において、界面活性剤またはカオトロピック剤は、または両方とも、水中に分散または溶解しており、それらは追加の成分を含んでいてもいなくてもよい。他の実施形態において、界面活性剤またはカオトロピック剤、または両方は水以外の極性液体に分散または溶解される。
本明細書で開示した構成物および方法は、界面活性剤を含む第1の溶液(前処理溶液1)を含み、幾つかの実施形態においては、第2の溶液(前処理溶液2)も界面活性剤を含む。本明細書において使用される用語「界面活性剤」、「表面活性剤」および「洗剤」は、本明細書において互換的に使用することができ、液体の表面張力を減少させることができる分子を指す。界面活性剤は、親水性と疎水性両方の性質を有し、したがって、水または非極性溶媒のどちらの中でもある程度溶解され得る。界面活性剤は、4通りの基本的な群:すなわち、カチオン性、アニオン性、非イオン性、および双性イオン性に分類される。如何なる理論または作用機構にも束縛されず、第1の前処理溶液中における、および幾つかの実施形態においては第2の前処理溶液中における界面活性剤の存在が細胞膜の、および幾つかにおいては核膜の膜透過処理に寄与すると考えられる。さらに、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)などの界面活性剤も、タンパク質の疎水性内部に浸透してタンパク質の電荷分布を平衡化させ、それによりタンパク質を変性させて、エピトープの露出および一次抗体への利用しやすさを増大させる。
本明細書で開示した方法および構成物の幾つかの実施形態において、第1の前処理溶液は、アニオン性界面活性剤を含む。アニオン性界面活性剤は、水溶液に溶解または分散したときに正味の負電荷を有する界面活性剤である。代表的アニオン性界面活性剤の例として、ラウリル硫酸アンモニウムおよびドデシル硫酸ナトリウム(SDS)などの硫酸アルキル;ラウレス硫酸ナトリウムおよびミレス硫酸ナトリウムなどの硫酸アルキルエーテル;ジオクチルナトリウムスルホスクシネートなどのドキュセート;ペルフルオロオクタンスルホネートおよびペルフルオロブタンスルホネートなどのスルホネートフッ素系界面活性剤;アルキルベンゼンスルホネート;アルキルアリールエーテルホスフェート;アルキルエーテルホスフェート;脂肪酸塩およびステアリン酸ナトリウムなどのアルキルカルボン酸塩;ラウロイルサルコシン酸ナトリウム;ペルフルオロノナネートおよびペルフルオロオクタノエートなどのカルボキシレートフッ素系界面活性剤;セチル硫酸ナトリウムなどのアルキル硫酸エステル塩;ドデシルスルホン酸ナトリウムおよびアルキルアリルスルホン酸塩などのアルキルスルホン酸塩;ステアリン酸ナトリウム;デオキシコール酸ナトリウム;およびラウロイルサルコシン酸ナトリウムが挙げられるが、これらに限定されない。
他の実施形態において、第1の前処理溶液中の界面活性剤は、カチオン性(すなわち、水溶液中に溶解または分散したときに正味の正電荷を有する)、非イオン性(すなわち、水溶液中に溶解または分散したときに電荷を有しない)、または双性イオン性(すなわち、水溶液中に溶解または分散したときに正味の中性電荷を有するが、界面活性剤分子内の異なった位置に負電荷および正電荷の両方を有する)である。
ある実施形態において、第1の前処理溶液は、ラウリル硫酸ナトリウム(sodium laurilsulfate)またはラウリル硫酸ナトリウム(sodium lauryl sulfate)(SLS)とも称されるドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を含む。SDSは、硫酸基に付いた12個の炭素尾部からなり、分子式はNaC1225SOである。これらの実施形態の幾つかにおいて、第1の前処理溶液は、約0.001%から約10%のSDSを含み、約0.001%、約0.05%、約0.01%、約0.02%、約0.03%、約0.04%、約0.05%、約0.06%、約0.07%、約0.08%、約0.09%、約0.1%、約0.2%、約0.3%、約0.4%、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.9%、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、および約0.001%と約10%の間の他のそのような値のSDSを含むが、これらに限定されない。ある実施形態において、第1の前処理溶液は約0.01%から約1%のSDSを含む。他の実施形態において、第1の前処理溶液は、約0.05%から約0.5%のSDSを含む。これらの実施形態の幾つかにおいて、第1の前処理溶液は、約0.1%のSDSを含む。
本明細書で開示した構成物および方法で利用される第2の前処理溶液は、カオトロピック剤を含む。本明細書において使用される用語「カオトロピック剤」とは、水素結合、ファンデルワールス力、および疎水性相互作用などの非共有結合の力により媒介される分子内相互作用を不安定化させる能力を有する物質を指し、それはタンパク質などの非極性化合物が、水溶液に溶解しやすくなることを可能にする。如何なる理論または作用機構にも束縛されず、第2の前処理溶液中のカオトロピック剤は、水分子をタンパク質の内部に浸透させ、および非極性側鎖を溶媒和させ、それにより未変性コンホメーションを通常は安定化している疎水的相互作用を破壊することにより、生物学的膜の溶解およびタンパク質の変性に寄与すると考えられる。本明細書で開示した方法および構成物における使用に適したカオトロピック剤の例として、カオトロピック塩、尿素、およびチオ尿素が挙げられるが、これらに限定されない。
幾つかの実施形態において、第2の前処理溶液はカオトロピック塩を含む。本明細書において使用される用語「カオトロピック塩」とは、本明細書において他の箇所で定義したカオトロピック剤として機能し得るカチオンおよびアニオンを含むイオン化合物を指す。一般的に、それは、カオトロピック塩のカオトロピック性に寄与する塩のアニオンである。タンパク質に溶媒和するそれらの能力に基づいてイオンを順序づける、ホフマイスターシリーズにおけるイオンの位置(例えば、Hofmeister(1888) Arch.Exp.Pathol.Pharmacol.24:247−260;Zhang and Cremer(2006) Curr Opin Chem Biol 10:658−663を参照されたい。これらの各文献は、その全体が本明細書に組込まれる)は、カオトロピック塩を、本明細書で開示した構成物および方法で使用するために選択するために使用することができる。SCN、ClO 、I、ClO 、およびBrなどのホフマイスターシリーズで後ろの方に現れるイオンが、より大きいカオトロピック性を有すると期待されるであろう。したがって、幾つかの実施形態において、カオトロピック塩は、SCN-(チオシアン酸イオン)、CNS-、ClO 、ClO -(過塩素酸イオン)、I-、Br-、NO 、Cl、CHCO -(酢酸イオン)からなる群から選択されるアニオンを含む。本明細書で開示した方法および構成物で使用するために適したカオトロピック塩の代表的な例として、グアニジン塩酸塩、チオシアン酸グアニジン、および過塩素酸リチウムが挙げられるが、これらに限定されない。
特定の実施形態において、カオトロピック塩は、チオシアン酸塩または過塩素酸塩であり、それらはカチオンおよびアニオンを含む塩に当てはまり、この場合アニオンは、チオシアン酸イオン(SCN)または過塩素酸イオン(ClO4)である。これらの実施形態の幾つかにおいて、カオトロピック塩は過塩素酸塩である。本明細書で開示した方法および構成物で使用するために適した過塩素酸塩の例として、過塩素酸アンモニウム(NHClO)、過塩素酸セシウム(CsClO)、過塩素酸リチウム(LiClO)、過塩素酸マグネシウム(Mg(ClO、過塩素酸カリウム(KClO)、過塩素酸ルビジウム(RbClO)、過塩素酸銀(AgClO)、過塩素酸(HClO)、過塩素酸カルシウム(Ca(ClO)、および過塩素酸ナトリウム(NaClO)が挙げられるが、これらに限定されない。ある実施形態において、第2の前処理溶液中のカオトロピック塩は過塩素酸リチウム(LiClO4)である。
第2の前処理溶液が過塩素酸リチウムを含むこれらの実施形態の幾つかにおいて、過塩素酸リチウムは、第2の前処理溶液中で約0.3Mから約30Mの濃度で存在し、約0.3M、約0.4M、約0.5M、約0.6M、約0.7M、約0.8M、約0.9M、約1M、約2M、約3M、約4M、約5M、約6M、約7M、約8M、約9M、約10M、約11M、約12M、約13M、約14M、約15M、約16M、約17M、約18M、約19M、約20M、約21M、約22M、約23M、約24M、約25M、約26M、約27M、約28M、約29M、および約30Mを含むが、これらに限定されない。ある実施形態において、第2の前処理溶液は、約1Mから約10Mの過塩素酸リチウムを含む。これらの実施形態の幾つかにおいて、第2の前処理溶液は、約3Mの過塩素酸リチウムを含む。
他の実施形態において、第2の前処理溶液中に存在するカオトロピック塩は、チオシアン酸塩である。本明細書で開示した方法および構成物で使用するために適したチオシアン酸塩の例として、チオシアン酸カリウム(KSCN)、チオシアン酸ナトリウム(NaSCN)、チオシアン酸アンモニウム(NHSCN)、およびチオシアン酸グアニジン塩(CS;チオシアン酸グアニジニウムとも称される)が挙げられるが、これらに限定されない。ある実施形態において、カオトロピック塩はチオシアン酸グアニジンであり、それは、グアニジニウムカチオン(CH )およびチオシアン酸アニオン(SCN)を含む。
第2の前処理溶液がチオシアン酸グアニジンを含むこれらの実施形態の幾つかにおいて、チオシアン酸グアニジンは、第2の前処理溶液中で約0.3Mから約30Mの濃度で存在し、約0.3M、約0.4M、約0.5M、約0.6M、約0.7M、約0.8M、約0.9M、約1M、約2M、約3M、約4M、約5M、約6M、約7M、約8M、約9M、約10M、約11M、約12M、約13M、約14M、約15M、約16M、約17M、約18M、約19M、約20M、約21M、約22M、約23M、約24M、約25M、約26M、約27M、約28M、約29M、約30M、および約0.3Mから約30Mの間の他のそのような値を含むが、これらに限定されない。ある実施形態において、第2の前処理溶液は、約1Mから約10Mのチオシアン酸グアニジンを含む。これらの実施形態の幾つかにおいて、第2の前処理溶液は、約3Mのチオシアン酸グアニジンを含む。
ある実施形態においては、カオトロピック剤に加えて、第2の前処理溶液は弱い界面活性剤を含む。本明細書において使用される用語「弱い界面活性剤」とは、哺乳動物細胞を溶解することはできるが、細胞の形態を維持するまたは細胞の形態に対して最小の影響しか有しない界面活性剤または界面活性剤の濃度を指す。弱い界面活性剤の例として、非イオン性または双性イオン性界面活性剤が挙げられるが、これらに限定されない。あるいは、弱い界面活性剤は、細胞の形態を、ある濃度で変えることができるが(例えば、アニオン性界面活性剤)、第2の前処理溶液中に、界面活性剤が細胞の形態に対して最小の影響しか有しないように十分低い濃度で存在する界面活性剤分子であってもよい。
双性イオン性界面活性剤は、水溶液中に溶解または分散したときに正味の中性電荷を有するが、負および正電荷の両方を界面活性剤分子内の異なった位置に有する界面活性剤である。本明細書で開示した方法および構成物で使用するために適した双性イオン性界面活性剤の代表的な例として、第一級、第二級、または第三級アミンまたは3−[(3−クロロアミドプロピル)ジメチルアンモニオ]−1−プロパンスルホネート(CHAPS)などのスルホネートと対になった第四級アンモニウムカチオン、ベタインおよびアミノ酸などのカルボン酸塩、またはレシチンなどのリン酸塩に基づくものが挙げられるが、これらに限定されない。
非イオン性界面活性剤は、水溶液中に溶解または分散したときに電荷を有しない界面活性剤である。本明細書で開示した方法および構成物で使用するために適した非イオン性界面活性剤の代表的な例として、ポリエトキシ化ソルビタン脂肪酸エステル(例えば、Tween(登録商標)化合物)、例えば、ポリオキシエチレン(POE)ソルビタンモノオレエート(Tween(登録商標)80)、POEソルビタンモノステアレート(Tween(登録商標)60)、POEソルビタンモノラウレート(Tween(登録商標)20)、およびPOEソルビタンモノパルミテート(Tween(登録商標)40)などを含むがこれらに限定されないポリソルベート;ソルビタン誘導体(例えば、Span(登録商標)化合物);エチレンオキシド/プロピレンオキシドコポリマー(例えば、Pluronic(登録商標)化合物、ポロキサマーとしても知られている);ポリオキシエチレンエーテル化合物、例えば、ポリオキシエチレンステアリルエーテル(ポリオキシエチレン(100)ステアリルエーテルとしてもおよび商品名Brij(登録商標)700により知られている)を含むがこれらに限定されないBrij(登録商標)ファミリーのものなど;ポリオキシエチレンp−t−オクチルフェノール(Triton X−100(登録商標))などのポリオキシエチレングリコールオクチルフェノールエーテル;ポリオキシプロピレングリコールアルキルエーテル;オクチルグルコシドなどのグルコシドアルキルエーテル;グリセリンアルキルエーテル;ポリオキシエチレングリコールアルキルフェノールエーテル;ノニルフェノキシルポリエトキシエタノール(NP−40;Tergitol(登録商標)タイプNP−40としても知られている);および脂肪族アルコールのエーテルが挙げられるが、これらに限定されない。
幾つかの実施形態において、第2の前処理溶液は、ノニルフェノールエトキシレート(NP−40)を含む。第2の前処理溶液がNP−40を含むこれらの実施形態の幾つかにおいて、NP−40は、第2の前処理溶液中に、約0.001%、約0.05%、約0.01%、約0.02%、約0.03%、約0.04%、約0.05%、約0.06%、約0.07%、約0.08%、約0.09%、約0.1%、約0.2%、約0.3%、約0.4%、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.9%、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、および約0.001%と約10%の他のそのような値を含むが、それらに限定されない約0.001%から約10%の濃度で存在する。ある実施形態において、第2の前処理溶液は、約0.01%から約1%のNP−40を含む。他の実施形態において、第2の前処理溶液は、約0.05%から約0.5%のNP−40を含む。これらの実施形態の幾つかにおいて、第2の前処理溶液は、約0.1%のNP−40を含む。
したがって、幾つかの実施形態において、第2の前処理溶液は、約3Mの過塩素酸リチウムまたはチオシアン酸グアニジンおよび約0.1%のNP−40の水溶液を含む。これらの実施形態の幾つかにおいて、この第2の前処理溶液は、免疫学的染色のための試料を調製するための約0.1%のSDSの水溶液を含む第1の前処理溶液と組み合わせて使用される。
本明細書において開示した2種の前処理溶液は、免疫学的染色のための試料の調製で使用される。本明細書において使用される用語「試料」は、生物学的試料またはタンパク質の発現が検出され得る生物学的材料から得られた試料を指す。生物学的試料の例として、細胞(細胞診試料および培養細胞を含む)、組織、生検、スメア、ならびに体液、例えば、血液、リンパ液、尿、唾液、および婦人科の液体などが挙げられるが、これらに限定されない。生物学的試料は、例えば、洗浄、領域の掻き取りまたは綿棒によるぬぐい取りにより、または体液を吸引する注射針の使用による種々の技法により患者から得ることができる。種々の生物学的試料を収集する方法は、当技術分野において周知である。
試料は、固定しなくてもよく、または当技術分野において公知の任意の方法もしくは固定剤を使用して固定してもよい。本明細書で開示した構成物および方法における使用に適した固定剤の例として、メチレンブリッジの形成を通してタンパク質間の共有結合を作り出すアルデヒド(例えば、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド、ホルマリン)などの架橋固定剤(例えば、FrenchおよびEdsall(1945) Adv Protein Chem 2:277;Pearse(1980) Histochemistry:Theoretical and Applied vol.1;Fox et al.(1985) J.Histochem.Cytochem.33:845を参照されたい);アルコール(例えば、エタノール、メタノール)およびアセトンなどの沈殿固定剤;四酸化オスミウム、重クロム酸カリウム、クロム酸、および過マンガン酸カリウムなどの酸化剤;B−5およびZenker’sなどの水銀剤;およびピクリン酸塩が挙げられるが、これらに限定されない。
幾つかの実施形態において、試料は組織試料を含む。組織試料は、組織を凍結するかまたはパラフィンもしくはエポキシもしくはアクリル系樹脂に包埋した後、切片にすることを含む当技術分野において公知の任意の方法を使用して調製することができる。ある実施形態において、組織試料は、約10%ホルムアルデヒドを含む溶液中で約24時間固定した後、切片にされる。
特定の実施形態において、試料は、子宮頸部細胞を、子宮頸部組織試料としてまたは特に液体を主体にした調製において懸濁液中の子宮頸部細胞として含む。幾つかの実施形態において、子宮頸部試料は、例えば、SurePath(登録商標)(TriPath Imaging、Inc.)またはThinPrep(登録商標) preparation (CYTYC、Inc.)などの液体を主体にした細胞検体調製指針にしたがって収集される。子宮頸部試料は、拡大して調べるためにガラススライドに移すことができる。これらの実施形態の幾つかにおいて、患者の子宮頸部試料は、例えば、SurePath(商標)収集バイアル(TriPath Imaging、Inc.)中などの液体培地に収集される。さらに分析するために、PrepStain(商標)システム(TriPath Imaging、Inc.)などの自動化処理装置が、細胞を液体培地から収集して、それらをガラススライド上に単層で沈着させるために使用される。
一実施形態において、子宮頸部試料は、収集されて処理され、本明細書において引用により組込まれる米国特許第5,346,831号で説明されているように、単層試料で提供されるであろう。単層法は、細胞診の材料の単層を、カチオンで電荷を帯びた基材上に作製する方法に関する。該方法は、細胞診の材料を遠心分離により密度勾配で分離するステップ、細胞診の材料の詰め込まれたペレットを作製するステップ、細胞診の材料のペレットを混合するステップ、混合したペレットから所定の体積の部分標本を引き出すステップ、その部分標本および所定の体積の水を、取り外せるようにカチオンで電荷を帯びた基材に固定した沈降容器中に入れるステップ、細胞診の材料を重力下で基材上に定着させるステップ、細胞診の材料の定着後、沈降容器から水を除去するステップを含む。自動化分析のために、沈降容器は、基材から取り外すことができる。解凝集は、注射器による吸引吐出の繰り返し、トリプシン処理、超音波処理、振盪、ボルテックス処理などの当技術分野において公知の任意の方法によるか、またはその内容を引用により本明細書に組込まれる米国特許第5,316,814号に記載されたデバイスの使用によることができる。
スライド検体は、固定しても固定しなくてもよく、調製に続いて直ちに分析してもよく、または後で分析するために貯蔵してもよい。幾つかの実施形態において、調製されたスライドは、約95%エタノール中において最低で24時間貯蔵される。あるいは、他の実施形態において、スライドは、本明細書において開示した第1の前処理溶液(すなわち、界面活性剤を含む溶液)中で貯蔵される。
免疫学的染色のための試料を調製する本明細書で開示した方法にしたがって、試料は最初に、界面活性剤を含む第1の前処理溶液と、および次にカオトロピック剤を含む第2の前処理溶液と接触させ、幾つかの実施形態においては、弱い界面活性剤と接触させられる。試料は、試料が溶液と接触する結果になる任意の方法を使用して、本明細書で開示した前処理溶液と接触させることができる。それ故、幾つかの実施形態においては、前処理溶液を、試料を溶液で覆うような様式で、試料に加えることができる。あるいは、試料を、前処理溶液に加えることもでき、および幾つかの実施形態においては、試料を、溶液中に浸漬することができる。
幾つかの実施形態においては、試料を、第1の前処理溶液と少なくとも1分間インキュベートする。他の実施形態においては、試料を第1の前処理溶液と、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約30、約40、約50、約60、約70、約80、約90、約100、約110、約120分、および約1分と約120分の間の他のそのような値を含むがこれらに限定されない、約1分間から約120分間インキュベートする。特定の実施形態においては、試料を第1の前処理溶液と約10分間から約60分間インキュベートする。これらの実施形態の幾つかにおいては、試料を、界面活性剤を含む第1の前処理溶液と約19分間インキュベートする。
他の実施形態において、第1の前処理溶液は、試料の、特に固定された試料のための貯蔵緩衝液としても供することができ、その場合試料は、第1の前処理溶液中で、少なくとも約24時間、約48時間、約72時間、約4日、約5日、約7日、約2週間、約1カ月、約1年またはそれを超えて貯蔵される。
試料は、第1の前処理溶液中において室温でインキュベートすることができ、または加熱を適用することができる。したがって、幾つかの実施形態において、第1の前処理溶液における試料のインキュベーション温度は、約20℃、約21℃、約22℃、約23℃、約24℃、約25℃、約26℃、約27℃、約28℃、約29℃、約30℃、約31℃、約32℃、約33℃、約34℃、約35℃、約36℃、約37℃、約38℃、約39℃、約40℃、約41℃、約42℃、約43℃、約44℃、約45℃、約46℃、約47℃、約48℃、約49℃、約50℃、約51℃、約52℃、約53℃、約54℃、約55℃、約56℃、約57℃、約58℃、約59℃、約60℃、および約20℃と約60℃の間の他のそのような値を含むがこれらに限定されない約20℃から約60℃である。ある実施形態においては、試料を、第1の前処理溶液と約37℃から約55℃の温度でインキュベートする。これらの実施形態の幾つかにおいて、インキュベーション温度は約50℃である。
特定の実施形態においては、試料を第1の前処理溶液と約50℃で約19分間インキュベートする。これらの実施形態の幾つかにおいて、第1の前処理溶液は、約0.1%のSDSを含む水溶液である。
界面活性剤を含む第1の前処理溶液中における試料のインキュベーションに続いて、試料を、カオトロピック剤と、幾つかの実施形態においては弱い界面活性剤とを含む第2の前処理溶液と接触させる。このことは、第1の前処理溶液から試料から取り出してまたは溶液を試料から除去して、次に試料を第2の前処理溶液に移すかまたは第2の溶液を試料に適用することにより達成することができる。試料から第1の前処理溶液を除去するかまたは第1の前処理溶液から試料を取り出すのに続いて、第2の前処理溶液と接触させる前に、試料を洗浄して残留している第1の前処理溶液を除去してもよい。
本明細書において使用される用語「洗浄」は、試料に関する場合、試料を第1のまたは第2の前処理溶液以外の溶液と一時的に接触させて、微量の前処理溶液の活性成分(例えば、界面活性剤、カオトロピック剤)を除去することを指す。幾つかの実施形態において、洗浄溶液は水または緩衝生理食塩水である。細胞のおよび分子の生物学的方法のために使用される種々の緩衝食塩水が当技術分野において公知であり、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、HEPES緩衝生理食塩水、およびトリス緩衝生理食塩水(TBS)が挙げられるがこれらに限定されない。幾つかの実施形態において、試料は、第1の前処理溶液の除去後、試料を第2の前処理溶液と接触させる前に、トリス緩衝生理食塩水で洗浄される。試料は、1回以上洗浄溶液で洗浄することができる。
次に、試料を、カオトロピック剤および幾つかの実施形態においては弱い界面活性剤を含む第2の前処理溶液と接触させる。幾つかの実施形態においては、試料を第2の前処理溶液と少なくとも1分間インキュベートする。他の実施形態においては、溶液を、第2の前処理溶液と、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約30、約40、約50、約60、約70、約80、約90、約100、約110、約120分、および約1分と約120分の間の他のそのような値を含むがこれらに限定されない約1分間から約120分間インキュベートする。特定の実施形態においては、試料を、第2の前処理溶液と約10分間から約60分間インキュベートする。これらの実施形態の幾つかにおいては、試料を第2の前処理溶液で約19分間インキュベートする。
試料は、第2の前処理溶液中において室温でインキュベートすることができ、または加熱を適用することができる。したがって、幾つかの実施形態において、第2の前処理溶液における試料のインキュベーション温度は、約20℃、約21℃、約22℃、約23℃、約24℃、約25℃、約26℃、約27℃、約28℃、約29℃、約30℃、約31℃、約32℃、約33℃、約34℃、約35℃、約36℃、約37℃、約38℃、約39℃、約40℃、約41℃、約42℃、約43℃、約44℃、約45℃、約46℃、約47℃、約48℃、約49℃、約50℃、約51℃、約52℃、約53℃、約54℃、約55℃、約56℃、約57℃、約58℃、約59℃、約60℃、および約20℃と約60℃の間の他のそのような値を含むがこれらに限定されない約20℃から約60℃である。ある実施形態においては、試料を、第2の前処理溶液と約37℃から約55℃の温度でインキュベートする。これらの実施形態の幾つかにおいて、インキュベーション温度は約50℃である。
特定の実施形態においては、試料を第2の前処理溶液と約50℃で約19分間インキュベートする。これらの実施形態の幾つかにおいては、試料を、第1の前処理溶液と約50℃で約19分間インキュベートした後、第2の前処理溶液でインキュベートする。
当業者は、第1の、第2の、または第1および第2の前処理溶液によるインキュベーション温度およびインキュベーション時間は、免疫染色のために調製される試料のタイプおよび試料が固定された程度に応じて変化することを理解するであろう。例えば、架橋固定剤で固定されたこれらの試料は、アルコールで固定された試料と比較して、第1の、第2の、または第1および第2の前処理溶液によるさらに高い温度またはさらに長いインキュベーション時間を必要とすることもある。さらに、パラフィン包埋組織試料は、細胞診試料よりも、第1の、第2の、または第1および第2の前処理溶液によるさらに高いインキュベーション温度およびさらに長いインキュベーション時間に、細胞の形態に影響を受けることなく耐えることができることもある。
試料を第1および第2の前処理溶液と接触させることにより試料を調製してしまえば、該方法は、調製された試料中の抗原を、抗体を使用して検出するために当技術分野において公知の任意の方法を使用することをさらに含んでもよい。用語「抗体」および「抗体(複数)」は、天然に生ずる形態の抗体および組み替え抗体、例えば、単鎖抗体、キメラおよびヒト化抗体および多特異的抗体など、ならびに少なくとも抗原性の結合部位を有する前出の全ての断片および誘導体を広く包含する。抗体誘導体は、抗体にコンジュゲートしたタンパク質または化学的部分を含んでいてもよい。
「抗体」および「免疫グロブリン」(Ig)は、同じ構造的特性を有する糖タンパク質である。抗体は抗原に特異的な結合を示すが、免疫グロブリンは、抗体と抗原特異性を欠く他の抗体様分子の両方を含む。後者の種類のポリペプチドは、例えば、低いレベルでリンパ系により、および増大したレベルで骨髄腫により産生される。
用語「抗体」は、最も広い意味で使用され、完全に会合した抗体、抗原に結合することができる抗体断片(例えば、Fab’、F’(ab)、Fv、単鎖抗体、二重特異性抗体)、および前出を含む組み替えペプチドを包含する。
本明細書において使用される用語「モノクローナル抗体」とは、実質的に均一な抗体の集団から得られた抗体を指し、すなわち、少量存在するかもしれない自然に生ずることが可能な変異を例外として、集団を構成する個々の抗体が同一であることを意味する。
「抗体断片」は、完全な抗体の一部分、好ましくは、完全な抗体の抗原結合領域または可変領域を含む。抗体断片の例として、Fab、Fab’、F(ab’)2、およびFv断片;二重特異性抗体;線状抗体(Zapata et al.(1995) Protein Eng.8(10):1057−1062);単鎖抗体分子;および抗体断片から形成された多重特異性抗体が挙げられる。抗体のパパイン消化により、単一の抗原結合部位を各々有する「Fab」断片と呼ばれる同一の抗原結合断片が2つ、および残余の「Fc」フラグメント(その名は容易に35結晶化する能力を反映する)が生ずる。ペプシン処理により、2つの抗原結合部位を有し、まだ抗原を架橋することができるF(ab’)2フラグメントが生ずる。
「Fv」は、完全な抗原認識部位および抗原結合部位を含有する最小の抗体フラグメントである。二本鎖Fv種において、この領域は、1つの重鎖と1つの軽鎖とのダイマーの緊密な非共有結合の会合をした可変ドメインからなる。単鎖Fv種においては、1つの重鎖可変ドメインと1つの軽鎖可変ドメインが、フレキシブルペプチドリンカーにより共有結合で連結していてもよく、その結果軽鎖と重鎖とが二本鎖Fv種における構造と類似の「ダイマー」構造で会合することができる。各可変ドメインの3つのCDRが相互作用してV−Vダイマーの表面上における抗原結合部位を画定するのはこの配置においてである。集団的に、6つのCDRが抗原結合特異性を抗体に与える。しかしながら、単一の可変ドメイン(または、Fvの半分であり、抗原に対して特異的な3つのCDRのみを含む)でさえ、全結合部位より弱い親和性ではあるが、抗原を認識して結合する能力を有する。
Fabフラグメントも、軽鎖の定常ドメインおよび重鎖の第1の定常ドメイン(C1)を含有する。Fab断片は、抗体のヒンジ部から1つまたは複数のシステインを含有する重鎖のC1ドメインのカルボキシ末端に2〜3個の残基が付加されることにより、Fab’断片と異なる。Fab’−SHは、定常ドメインのシステイン残基(単数または複数)が自由チオール基を担持するFab’についての本明細書における呼称である。F(ab’)2抗体断片は、元来、それらの間にヒンジシステインを有するFab’断片の対として産生された。
ポリクローナル抗体は、適当な対象(例えば、ウサギ、ヤギ、マウス、または他の哺乳類)をタンパク質免疫原で免役することにより調製することができる。免疫された対象における抗体力価は、免疫されたタンパク質を使用して酵素結合免疫吸着検定(ELISA)などの標準的技法により経時的にモニターすることができる。免疫後の適当なときに、例えば、抗体力価が最高であるときに、抗体産生細胞を対象動物から得て、最初Kohler and Milstein(1975) Nature 256:495−497により記載されたハイブリドーマ技法、ヒトB細胞ハイブリドーマ技法(Kozbor et al.(1983) Immunol.Today 4:72)、EBV−ハイブリドーマ技法(Cole et al.(1985)、Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy,ed.Reisfeld and Sell(Alan R.Liss,Inc.,New York,NY),pp.77−96)またはトリオーマ技法などの標準的技法により、モノクローナル抗体を調製するために使用することができる。ハイブリドーマを作製する技法は周知である(一般的に、Coligan et al.,eds.(1994) Current Protocols in Immunology(John Wiley & Sons、Inc.,New York、NY);Galfre et al.(1977) Nature 266:550−52;Kenneth(1980)in Monoclonal Antibodies:A New Dimension In Biological Analyses(Plenum Publishing Corp.,NY);およびLerner(1981) Yale J.Biol.Med.,54:387−402を参照されたい)。
モノクローナル抗体を分泌するハイブリドーマを調製する代替法として、組換えコンビナトリアル免疫グロブリンのライブラリー(例えば、抗体ファージディスプレイライブラリー)を、関心のあるタンパク質についてスクリーニングすることによりモノクローナル抗体を同定および単離して、それにより関心のあるタンパク質に結合する免疫グロブリンライブラリーのメンバーを単離することができる。ファージディスプレイライブラリーを発生させてスクリーニングするためのキットは市販されている(例えば、Pharmaciaの組み替えファージ抗体システム、カタログ番号27−9400−01;およびStratagene SurfZAPθのファージディスプレイキット、カタログ番号240612)。それに加えて、抗体ディスプレイライブラリーの発生およびスクリーニングにおいて使用するために特に対応できる方法および試薬の例は、例えば、米国特許第5,223,409号;PCT公開番号WO92/18619;WO91/17271;WO92/20791;WO92/15679;93/01288;WO92/01047;92/09690;および90/02809;Fuchs et al.(1991) Bio/Technology 9:1370−1372;Hay et al.(1992) Hum.Antibod.Hybridomas 3:81−85;Huse et al.(1989) Science 246:1275−1281;Griffiths et al.(1993) EMBO J.12:725−734に見出される。
試料と第1および第2の前処理溶液とのインキュベーションに続いて、抗体とのインキュベーションの前に、試料は、適当なブロッキング剤、例えば、過酸化水素などのペルオキシダーゼブロッキング剤を使用してブロッキングすることができる。幾つかの実施形態において、試料は、抗体の非特異的結合を防止するために、タンパク質ブロッキング剤を使用してブロッキングされる。タンパク質ブロッキング剤は、例えば、精製されたカゼインを含むことができる。
次に抗体、特に関心のある抗原に対するモノクローナル抗体を、試料とインキュベートする。免疫染色手順で2種以上の抗体を使用してもよい。2種以上の抗体が使用される場合、これらの抗体は、単一の試料に、個々の抗体試薬として順にまたは抗体カクテルとして同時に加えてもよい。あるいは、個々の各抗体を、同じ患者からの別の試料に加えて、生じるデータをプールしてもよい。
抗体結合を検出する技法は、当技術分野において周知である。関心のある抗原に対する抗体結合は、抗体結合のレベル、すなわち、抗原の発現レベルに対応する検出可能なシグナルを発生する化学試薬の使用により検出することができる。抗原抗体結合の検出に使用することができる検出可能な物質の例として、種々の酵素、補欠分子族、蛍光性材料、発光性材料、生物発光性材料、および放射性材料が挙げられるが、これらに限定されない。適当な酵素の例として、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリ性ホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、またはアセチルコリンエステラーゼが挙げられ;適当な補欠分子族複合体の例として、ストレプトアビジン/ビオチンおよびアビジン/ビオチンが挙げられ;適当な蛍光性材料の例として、ウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、塩化ダンシルまたはフィコエリトリンが挙げられ;発光性材料の例としてルミノールが挙げられ;生物発光材料の例として、ルシフェラーゼ、ルシフェリン、およびエクオリンが挙げられ;および適当な放射性材料の例として、125I、131I、35S、またはHが挙げられる。
幾つかの実施形態において、抗体結合は、標識されたポリマーにコンジュゲートした二次抗体の使用により検出される。標識されたポリマーの例として、ポリマー−酵素複合体が挙げられるが、これらに限定されない。これらの複合体中の酵素は、典型的には、抗原抗体結合部位における色原体の沈着を触媒するために使用され、それにより関心のある抗原の発現レベルに対応する細胞染色を生ずる。特に興味ある酵素として、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)およびアルカリ性ホスファターゼ(AP)が挙げられる。市販の抗体検出系、例えばDakoのEnvision+システムおよびBiocareのMedical’s Mach 3システムなどが、本発明を実行するために使用することができる。
特定の実施形態において、抗原に対する抗体結合は、二次抗体にコンジュゲートしたHRP標識ポリマーの使用により検出される。抗体結合は、マウスモノクローナル抗体に結合するマウスプローブ試薬、およびマウスプローブ試薬に結合するHRPにコンジュゲートしたポリマーの使用により検出することもできる。試料は、色原体の3,3−ジアミノベンジジン(DAB)を使用して抗体結合を染色し、次にヘマトキシリンおよび、場合により、水酸化アンモニウムまたはTBS/Tween−20などのブルーイング剤を用いて対比染色される。本発明の幾つかの態様において、試料は、細胞検査技師および/または病理学者により顕微鏡で検査されて細胞染色を評価される。あるいは、試料は、自動化された顕微鏡により、または陽性に染色された細胞の同定を容易にするコンピュータソフトウェアの補助で人により検査することができる。
抗体染色の検出に関して、当技術分野においては、生物学的試料中の複数の分子種の量を定量的に決定するビデオ顕微鏡およびソフトウェアの方法も存在し、存在する各分子種は特異的な色を有する代表的染料マーカーにより表示される。そのような方法は、比色分析法としても当技術分野において公知である。これらの方法において、ビデオ顕微鏡は、試料の像を、特定の関心のある抗原の存在を視覚的に示すために染色した後、提供するために使用される。これらの方法の幾つか、例えば、引用により本明細書に組込まれるMarcelpoil et al.の米国特許出願第09/957,446号およびMarcelpoil et al.の米国特許出願第10/057,729号に開示されたものなどは、存在する各分子の種の相対量を、代表的な色の染料マーカーの存在に基づいて決定する撮像システムおよび関連するソフトウェアの使用を開示しており、各分子の種の相対量は、それぞれ、撮像システムおよび関連するソフトウェアにより決定されるこれらの色の染料マーカーの光学的密度または透過率の値により示される。これらの技法は、その成分の色部分に「分解した」単一のビデオ像を使用して、染色された生物学的試料中の各分子の種の相対量を定量的に決定する。
さらに、細胞内における抗原の所在も、免疫学的染色方法における重要な考慮すべき事柄である。核、細胞、または膜の染色パターンを示すタンパク質は、形態学的に確認することができ、免疫組織化学的方法に適している。しかしながら、細胞のおよび膜の染色では、免疫細胞化学アッセイにおける子宮頸部疾患の重要な形態学的特性(例えば、細胞に対する核の比)を同定することが困難になる。対照的に、核中で発現した核染色パターンを示すタンパク質は、抗体染色の検出を容易にして形態学的分析も可能にする。したがって、幾つかの実施形態において、核中で選択的に発現したタンパク質だけが、本明細書で開示した前処理および免疫染色手順を使用して検出される。
当業者は、抗体力価および検出化学の最適化が、特定の抗体についてのシグナル対ノイズ比を最大化するために必要であることを理解するであろう。関心のある抗原に対する特異的結合を最大にし、および非特異的結合(または「バックグラウンド」)を最小にする抗体濃度が決定されるであろう。抗体力価および検出条件を最適化するアッセイのデザインは、標準的であり、十分当業者の日常的能力の範囲内である。
さらに、当業者は、本明細書で開示した方法を実施するために使用される特定の抗体の濃度が、その抗原に対する抗体の結合時間および特異性のレベルのような要因に依存して変化することを理解するであろう。その上、複数の抗体が使用される場合、必要とされる濃度は、抗体が試料に適用される順、すなわち、カクテルとして同時にであるかまたは個々の抗体試薬として順にであるかにより影響され得る。さらに、関心のある抗原に対する抗体結合を視覚化するために使用される検出の化学は、所望のシグナル対ノイズ比を生ずるように最適化されなければならない。
本明細書で開示した前処理方法は、試料の細胞の形態の維持を可能にする。それ故、幾つかの実施形態において、試料の形態学的特性を評価することができる。例えば、免疫染色は、従来の方法からの全ての形態学的情報が保存されるように、従来のPap染色と組み合わせることができる。この様式において、引用によりその全体が本明細書に組込まれる米国特許第7,510,838号に開示されたものなどの特異的バイオマーカーの検出は、Papスメア試験の高い偽陰性率を減少させることができて、多数の自動化されたスクリーニングを促進することができる。幾つかの実施形態において、免疫染色手順は、従来のPap染色と組み合わされて単一の方法になる。組み合わされた免疫細胞化学およびPap染色法は、高度子宮頸部疾患において選択的に過発現した両方のバイオマーカーおよび細胞形態の可視化を、単一の試料で可能にする(例えば、子宮頸部細胞の単層を含む顕微鏡スライド)。組み合わされた免疫細胞化学およびPap染色法は、特に従来のPap試験によって正常、LSIL、またはASCUSと誤って分類されていた場合に、より正確な同定および高度子宮頸部疾患の診断を可能にすることができる。
当業者は、この組み合わされた方法のための染色パラメータ(例えば、インキュベーション時間、洗浄条件、色原体/染色濃度、その他)は、免疫染色出力(例えば、色原体染色)とPap染色の間の十分な対比が得られるように、最適化される必要があることを理解するであろう。染色パラメータを最適化するためのアッセイデザインは標準的であり、十分当業者の日常的能力の範囲内である。
さらに、当業者は、本発明の方法における任意のまたは全てのステップは、人により実行されるか、あるいは、例えば、Autostainer Universal Staining System(Dako)またはBiocare Nemesis Autostainer(Biocare)を使用して自動化された方式で実施できることを理解するであろう。したがって、試料調製、試料染色、および抗原発現検出のステップは自動化することができる。
本明細書で開示した構成物は、本明細書で開示した免疫染色の前処理方法を実施するためのキットを含む。これらのキットは、界面活性剤(幾つかの実施形態において、SDSなどのアニオン性界面活性剤である)を含む第1の溶液と、カオトロピック剤(幾つかの実施形態において、チオシアン酸グアニジンなどのチオシアン酸塩、または、過塩素酸リチウムなどの過塩素酸塩である)および幾つかの実施形態においては弱い界面活性剤(例えば、NP−40)を含む第2の溶液とを含む。
幾つかの実施形態において、キットは、抗原に特異的に結合する抗体をさらに含む。これらの実施形態の幾つかにおいて、キットは、少なくとも2種の別の抗原の発現を特異的に検出する2種以上の抗体をさらに含む。各抗体は、キット中で、個々の試薬として、または別法では異なった関心のある抗原に対する全ての抗体を含む抗体カクテルとして提供することができる。
キットは、抗原に対する抗体の結合を検出するための化学物質と、幾つかの実施形態においては、対比染色剤と、場合により、陽性の染色細胞の同定を容易にするブルーイング剤とをさらに含むことができる。一実施形態において、キットは、HRP標識されたポリマーにコンジュゲートした二次抗体を含む。コンジュゲートした酵素と適合性の色原体(例えば、HRP標識された二次抗体の場合にはDAB)、および、非特異的染色をブロッキングするための過酸化水素などの溶液が、さらに提供される。他の実施形態において、抗原に対する抗体結合は、マウスモノクローナル抗体に結合するマウスプローブ試薬を使用して、次にマウスプローブ試薬に結合するHRPとコンジュゲートしたデキストランポリマーを添加することにより検出される。そのような検出試薬は、例えばBiocare Medicalから市販されている。
本発明のキットは、ペルオキシダーゼブロッキング剤(例えば、過酸化水素)、タンパク質ブロッキング剤(例えば、精製されたカゼイン)、および、対比染色剤(例えば、ヘマトキシリン)をさらに含むことができる。ブルーイング剤(例えば、Tween−20およびアジ化ナトリウムを添加した水酸化アンモニウムまたはTBS、pH7.4)が陽性染色細胞の検出を容易にするためにキット中でさらに提供されてもよい。
陽性および/または陰性対照は、本発明にしたがって使用される試薬の活性を確認しおよび用法を正すために、キット中に含まれてもよい。対照は、関心のある抗原の存在について、陽性また陰性のいずれであるか知られている組織切片、ガラススライド上に固定された細胞などの試料を含んでいてもよい。特定の実施形態において、陽性対照はSiHa細胞を含む。これは高異数三倍体(hypertriploid)の、かつ、HPV−16感染について陽性のヒト子宮頸部扁平上皮癌細胞株であり、それ故、高度子宮頸部疾患状態におけるバイオマーカーの過剰発現のための陽性対照として役立つ。SiHa対照細胞は、本明細書で開示したキット中で調製されたスライドとしてまたはスライド調製に適合した細胞懸濁液として提供することができる。対照のデザインおよび使用は標準的であり、十分当業者の日常的能力の範囲内である。
本明細書で開示した前処理方法および免疫染色とPap染色の組み合わされた方法を実施するためのキットも、本発明に包含される。そのようなキットは、本明細書において上に記載した前処理ステップ、免疫染色手順のために必要な試薬、ならびに従来のPap染色のための試薬、特にEA50およびオレンジGを含む。
本明細書において開示したキットは、用手のおよび自動化された前処理および免疫染色技法の両方に適合する。任意のまたは全てのキット試薬は、外部の環境からそれらを保護する入れ物の中で、例えば密封したコンテナ中で提供することができる。
用語「a」または「an」存在物は存在物の1つまたは複数を指すことに留意すべきである。例えば、「an抗体」は1種または複数の抗体を表すと理解される。正確な意味で、用語「a」(または「an」)、「1つまたは複数」および「少なくとも1つ」は、本明細書において互換的に使用することができる。
本明細書および請求項の全体を通して、用語「comprise」、「comprises」および「comprising」は、特に断りのない限り、排除的でない意味で使用される。
本明細書において使用される用語「約」は、値を指している場合、特定の量から、幾つかの実施形態においては±50%、幾つかの実施形態においては±20%、幾つかの実施形態においては±10%、幾つかの実施形態においては±5%、幾つかの実施形態においては±1%、幾つかの実施形態においては±0.5%、および幾つかの実施形態においては±0.1%の変動を含むことが意図されており、それは、そのような変動は、開示された方法を実施しまたは開示された構成物を使用するために適当であるためである。
さらに、量、濃度、または他の値またはパラメータが、範囲、好ましい範囲、または好ましい上限値および好ましい下限値のリストのいずれかとして与えられた場合、範囲が別々に開示されているかどうかに関わらず、これは、任意の上の範囲の限界または好ましい値と任意の下の範囲の限界、または好ましい値との任意の対から形成される全ての範囲を特異的に開示していると理解すべきである。数値の範囲が本明細書において挙げられている場合、特に断らない限り、範囲は、それらの終点を、および範囲内の全て整数および端数を含むことが意図される。本明細書で開示した対象の事物の範囲が、範囲を定めるときに挙げた特異値に限定されることは意図されない。
特に断らない限り、本明細書において使用する全ての技術的および科学的用語は、本発明に関連する当業者により共通的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書におけるのと同様な任意の方法および材料は、本発明の実施または試験において使用することができるが、好ましい方法および材料は本明細書に記載されている。
以下の例は、例示として提供するが、限定するものではない。
<例1.抗原賦活化溶液の分析およびインキュベーション温度>
歴史的に、組織を主体にした大部分の抗原賦活化(AR)技法は、高熱、約100℃および/または種々の溶液を用いる処理を利用してきた。SurePath(登録商標)(TriPath Imaging、Inc.)の子宮頸部細胞診試料中の抗原MCM2およびMCM7を検出するためのAR手順を、全体が引用により本明細書に組込まれる米国特許第7,595,380号(27C5.6および26H6.19抗MCM2抗体)および第7,632,498号(2E6.2抗MCM7抗体)に開示された3種の抗体のカクテルを使用して、細胞形態を維持するために、複数のAR溶液およびインキュベーション温度を調べることにより、細胞診検体の適当な免疫染色を確保しつつ、本明細書において以下に記載したように最適化した。
広範囲の、可能性のあるAR(前処理)溶液(n=43)をSurePath(登録商標)の細胞診検体で試験して、どの溶液が、3種の抗体のカクテル(2種の抗MCM2抗体および1種の抗MCM7抗体)を用いる免疫染色に対して、高度子宮頸部疾患を検出する陽性効果を有するかを決定した。試験溶液および初期観察を以下にグループ分けした。
・酵素(例えば、ペプシン、トリプシン)(n=6) 細胞の形態を崩壊させ、免疫活性においては実質的増大なし。
・酸および塩基(n=4) 実質的免疫活性は観察されない。
・有機溶媒/その他(n=9) 実質的免疫活性は観察されない。
・緩衝剤(例えばEDTA、クエン酸塩)およびカオトロピック塩(n=15) 強いカオトロピック塩、特に過塩素酸リチウム(LiClO)の単独、および幾つかの界面活性剤との組合せが、形態を保存して強い免疫活性を示した。他のものは免疫活性の限られた上昇を示した。
・界面活性剤(例えばTween20、Brij35)(n=9) 大部分は免疫染色における実質的増大を示さなかった。ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)およびノニルフェノキシポリエトキシエタノール(NP−40)は、単独で、および幾つかのカオトロピック塩溶液の活性との組合せで、免疫染色において、中程度の上昇を示した。
有望な活性を示した前処理溶液の組合せをさらに試験した。SurePath(登録商標)の試料について最適のMCM2/MCM7免疫染色および細胞の形態という結果になった前処理プロセスは、2ステップの手順を含み、それらの手順では、細胞を最初に0.1%のSDSで処理し、続いて3MのLiClO/0.1%NP−40でインキュベートした。この2ステップのプロセスは、2通りの別の抗原賦活化機構を強化して免疫活性を増強する。SDSおよびNP−40は両方ともに界面活性剤であり、如何なる理論または作用機構にも束縛されないが、SDSおよびNP−40の主な作用機構は、細胞膜および核膜の両方の透過率を増大させることであると考えられる。3種抗体カクテルのタンパク質標的(MCM2およびMCM7)は細胞核内にあり、それ故一次抗体は、細胞膜と核膜の両方を通過する必要がある。これらの細胞の構造の透過率を増大させることは、一次抗体の両障壁を透過して標的抗原に達する能力を助ける。如何なる理論または作用機構にも束縛されないが、2溶液前処理方法の第2の作用機構は、強いタンパク質変性剤、特異的にカオトロピック塩の使用によるタンパク質の変性であると考えられる。カオトロピック塩は、内部のタンパク質結合を乱し、その結果タンパク質の3次構造を開き、遮蔽された標的エピトープの利用しやすさを増大させることにより、この作用を発揮する。
本明細書の例1における以下に記載した残りの実験において、抗原賦活化プロセスでは、前処理溶液1(0.1%のSDS)および前処理溶液2(3MのLiClO/0.1%NP−40)を利用した。次に、試料のために、各溶液で最適のインキュベーション温度および時間を決定した。
高温(80℃以上)は、組織を主体にした免疫組織化学(IHC)のための大部分の抗原賦活化手順で共通である。加熱は、組織固定中に惹起された架橋結合を破壊することを促進する。大部分のIHC手順における現行の加熱方法は、水浴、マイクロ波オーブンおよび/または圧力釜を含む。組織は、これらの過酷なAR処理に耐えることができ、その理由は、それらが、ホルムアルデヒド溶液を使用して固定されていること、および組織が、組織構造および細胞形態の保存を助ける支持間質の細胞材料を含むことである。対照的に、細胞検体は、一般的に固定されていないかまたは軽く固定されており、また伴う間質の支持がない離散的細胞で構成されており、そのような試料は、標準的な高温のAR処理に敏感になる。AR溶液を用いるAR温度およびインキュベーション時間の範囲を試験して、最適の細胞の形態を維持しながら適当な免疫染色を生じさせる温度および時間を決定した。
AR温度の範囲を、3種抗体カクテル(27C5.6および26H6.19抗MCM2抗体および2E6.2抗MCM7抗体)を使用してSurePath(登録商標)の子宮頸部細胞診試料について調べた。前処理溶液1および前処理溶液2で順次10から30分の範囲の時間、および30℃から80℃の温度範囲でインキュベートした90個の子宮頸部細胞診試料の分析を実施した。全てのスライドを、資格のある細胞検査士が評価した。免疫染色を示す異常な子宮頸部細胞のパーセンテージを、各試料の細胞の形態と同様に記録した。形態は、1〜3の尺度で記録し、1は許容できない(形態学的崩壊が存在)および3は最適である(標準的AR方法との差なし)。本明細書において提供した試験例の各々において比較として使用し、および本明細書において「スチーマー法(steamer method)」とも称される標準的ARの方法は、以下のステップからなるものであった。すなわち、1)スチーマーまたは水浴中で0.5%Sandopan LS(ナトリウムラウレス−13−カルボキシレート)を入れたコプリンジャーを95℃を超える温度に加熱するステップ;2)スライドを、加熱された0.5%Sandopan LS溶液中に20分間浸漬するステップ;および3)コプリンジャーを熱供給源から取り出すステップおよび該ジャーを10分間冷えるに任せてから免疫染色手順に進むステップ。
データは、55℃以下の抗原賦活化温度で処理した全ての子宮頸部試料は、正常子宮頸部細胞の形態の最適の保存を保ったが、一方80℃の抗原賦活化温度では崩壊した子宮頸部細胞の形態が生じたことを示した(表1を参照されたい)。
Figure 0006301258
抗原賦活化温度の追加の検討を行って、37℃から60℃の絞ったAR温度範囲を調べた。これらの検討は、扁平上皮細胞の周縁部の僅かなカーリングなどの微妙な細胞の特徴が、60℃のインキュベーション温度で明確になることを示した。表2は、37℃または60℃のいずれかのAR温度で合計1時間処理した12個の対応済みの子宮頸部細胞診検体のデータを含む。試料をAR溶液1中60℃で30分間、およびAR溶液2中60℃で30分間インキュベーション後、細胞質のフォールディングが明らかになった。それ故、60℃がSurePath(登録商標)の試料についての抗原賦活化溶液でインキュベートするための上方の温度の限界であると決定された。
Figure 0006301258
60℃という上方のAR温度限界は、インキュベーションの長さに依存しない。60℃で15、30または60分間、前処理溶液1および前処理溶液2の各々の中でインキュベートしてプールした高度の子宮頸部検体は、細胞質のカーリング(cytoplasmic curling)を示したが、一方、37℃または42℃のいずれかで同じ時間インキュベートした検体では、形態学的崩壊がなかった(表3を参照されたい)。これらのデータは、標準的液体に基づくSurePath(登録商標)のPapと同等の最適の細胞の形態を確保するために、60℃未満のAR温度を維持する重要なデザインの制約を裏付ける。
Figure 0006301258
ARの検討は、細胞の形態が、42℃と55℃の温度範囲の間で維持され得ることを示す。SurePath(登録商標)の試料について、2種の抗MCM2抗体と1種の抗MCM7抗体の3種抗体カクテルを使用する追加の検討をするために、50℃のAR温度を選択したが、それは、最適の免疫染色を生じ、60℃という上方温度限界より十分低かったためである。
<例2.子宮頸部細胞診試料における高熱前処理法を用いる2ステップ前処理法の免疫染色および形態に対する効果の比較>
この試験では、第2のインキュベーションステップのために2種の異なったカオトロピック塩溶液を使用する2ステップ前処理法を、互いにおよび高熱を利用する前処理方法(すなわち、例1に記載したスチーマー法)と比較した。
これらの実験においては、SurePath(登録商標)の子宮頸部細胞診検体は、内部で開発したPrepStain Plus(登録商標)Instrument(Tripath Imaging、Inc.)を使用して加工処理し、染色のために沈着させた(deposited)。2ステップの前処理方法で処理したこれらの試料について、スライドは特別にデザインしたスライド加熱トレイで50℃に加熱して、前処理溶液1(0.1%のSDS)を適用し、スライドを50℃で19分間インキュベートした。細胞は標準的トリス緩衝生理食塩水(TBS)溶液で洗浄した。次に、前処理溶液2(3MのLiClO/0.1%NP−40または3Mのチオシアン酸グアニジン/0.1%NP−40のいずれか)を加えて、細胞をさらに19分50℃でインキュベートした。3MのLiClO/0.1%NP−40を含む前処理溶液2(または前処理溶液2でインキュベートしたこれらの試料)は、本明細書においてLiClOと称し、および3Mのチオシアン酸グアニジン/0.1%NP−40を含む前処理溶液2(または溶液2とインキュベートしたこれらの試料)は、本明細書においてGTと称する。このインキュベーションに続いて、スライドを再びTBSで洗浄し、免疫染色のためにMCM2/MCM7と3種抗体の組合せ(27C5.6および26H6.19抗MCM2抗体および2E6.2抗MCM7抗体)で処理してPrepStain Plus(登録商標)装置でPAP対比染色した。次にスライドのカバーを外して細胞学者および/または細胞病理学者が検査した。
表4に、これらの検討で分析した481個の子宮頸部細胞診試料の特性を示す。
Figure 0006301258
2ステップ抗原賦活化法を使用して処理した試料において、免疫応答に対する感度または特異性またはバックグラウンドに関して、LiClOとGT溶液2の間で統計的に差はない。チオシアン酸グアニジンで処理した試料では、過塩素酸リチウムと比較して感度が2.11%向上したが、2処理法は同じ特異性という結果であった(表5を参照されたい)。過塩素酸リチウムで処理した試料より多くのチオシアン酸グアニジン処理した試料が、かすかなバックグラウンド染色を有した。
Figure 0006301258
スチーマー法に対して2ステップ前処理法を使用して調製したこれらの試料を比較すると、CIN2+の場合に対する免疫染色について陽性または陰性であったこれらの試料については統計的な差はなかった。しかしながら、データは、細胞免疫陽性率(%)の分布に関して統計的に差を示した。特に、スチーマー法対GT(77vs.43)およびスチーマー法対LiClO(77vs.36)によって免疫染色された異常細胞が50%を超える場合について増加が見られた(表6および7を参照されたい)。
Figure 0006301258
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チオシアン酸グアニジン処理した試料と過塩素酸リチウム処理した試料との間で、細胞免疫陽性率(%)の分布に関して統計的に差はなかった。CIN2+の場合について、過塩素酸リチウム処理した試料よりもチオシアン酸グアニジン処理した試料において、25パーセントを超える陽性細胞の例が多かった(121vs.117)(表8を参照されたい)。HSIL/CIN2+の場合について、過塩素酸リチウム処理した試料と比べてチオシアン酸グアニジン処理した試料において50%を超える異常な細胞免疫染色の症例が増加した(28vs.23)(表9を参照されたい)。比較において、スチーマー法を使用して調製した場合、HSIL/CIN2+の症例の14%(12/84)が75%を超える陽性を有した(表10を参照されたい)。
Figure 0006301258
Figure 0006301258
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スチーマー法または本明細書において開示した2ステップ前処理法を使用して調製した子宮頸部細胞診試料の形態を検査すると、結果は、細胞学分類の分布に関して統計的な差(p<0.0001)があることを示した。チオシアン酸グアニジン処理は、スチーマー法よりも21多いASCUS+の症例および39多いHSIL症例を分類し、および過塩素酸リチウム処理は、スチーマー法よりも30多いASCUS+の症例および52多いHSILの症例を分類した(表11〜14を参照されたい)。
Figure 0006301258
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Figure 0006301258
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スチーマー法によりNILMと分類された160症例中、過塩素酸リチウム処理は、チオシアン酸グアニジンより8例多い細胞学的に異常な症例を同定した(32vs.24)(表15を参照されたい)。スチーマー法によりASCUS+と分類された319症例中、チオシアン酸グアニジン処理は、過塩素酸リチウム処理より6例多いASCUSを分類した(49vs.43)(表16を参照されたい)。さらに、スチーマー法によりHSIL+と分類された134症例中、過塩素酸リチウム処理は、チオシアン酸グアニジンより3例多いHSILを分類した(129vs.126)。
Figure 0006301258
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全体として、グアニジンチオシアン酸塩および過塩素酸リチウム処理はスチーマー法と比較して細胞の形態を崩壊させなかった。さらに、2ステップ前処理法で処理した腺細胞および萎縮性の試料は、スチーマー法を使用して加工処理したものより少ない免疫染色を示した。2ステップの抗原賦活化方法は、スチーマー法と比較して免疫/臨床的性能を低下させなかったが、スチーマー法で加工処理したこれらの試料と比較して免疫陽性であった細胞のパーセンテージにおいて低下が観察された。NILMおよびCIN2が確認された症例について、2ステップ前処理法は細胞学の分類の等級を上げた。
例3.子宮頸部細胞診試料における2ステップ前処理プロセスを使用する抗原Ki67およびp16の検出
これらの実験で、SurePath(登録商標)の子宮頸部細胞診検体を、内部で開発したPrepStain Plus(登録商標)Instrument(Tripath Imaging、Inc.)を使用して加工処理し、染色のために沈着させた。細胞沈着に続いて、特別にデザインしたスライド加熱トレイ上でスライドを50℃に加熱してAR溶液1(0.1%のSDS)を適用し、スライドを50℃で19分間インキュベートした。細胞を標準的トリス緩衝生理食塩水(TBS)溶液で洗浄した。次にAR溶液2(3M LiC1O/0.1%NP−40)を加えて、細胞をさらに19分50℃でインキュベートした。このインキュベーションに続いて、スライドを再びTBSで洗浄し、免疫染色のために加工処理して、PrepStain Plus(登録商標)InstrumentでPAP対比染色した。次にスライドのカバーを外して細胞学者および/または細胞病理学者が検査した。抗Ki67または抗p16抗体で免疫染色した子宮頸部細胞診試料の代表的結果を、図1および3に、それぞれ示す。SiHa細胞を同様に処理して抗Ki67(図2)または抗p16抗体で免疫染色した(図4)。
例4.2ステップ前処理プロセスを使用する扁桃および子宮頸部組織におけるMCM2およびMCM7の検出
扁桃および子宮頸部組織試料を10%ホルムアルデヒド中で少なくとも24時間固定して、次にパラフィン中に包埋した後切片にした。組織切片を溶液1(0.1%のSDS)と50℃で19分間インキュベートした。切片をTBSで洗浄し、次に溶液2(3MのLiClO/0.1%NP−40)中において50℃で19分間インキュベートした。このインキュベーションに続いて、組織切片を再びTBSで洗浄し、3種抗体カクテル(27C5.6および26H6.19抗MCM2抗体および2E6.2抗MCM7抗体)を用いる免疫染色およびPrepStain Plus(登録商標)Instrument上のPAP対比染色のために加工処理した。免疫染色した代表的な扁桃組織および子宮頸部組織を図5および6に、それぞれ示す。これらの結果は、本明細書において開示した2ステップ前処理プロセスが、組織試料からの抗原を効果的に回復させることができて、効果的な免疫染色が生じることを示す。
例5.加熱なしで2ステップ前処理プロセスを使用する子宮頸部細胞における核抗原の検出
SurePath(登録商標)の低度扁平上皮内病変(LSIL)および高度扁平上皮内病変(HSIL)子宮頸部細胞診検体を、抗原賦活化のために、例3で記載したように試料を前処理溶液1(0.1%のSDS)中で19分間インキュベートし、続いてTBSで洗浄し、前処理溶液2(3MのLiClO/0.1%のSDS)中で19分間インキュベートすることにより加工処理した。しかしながら、例3で記載した実験と対照的に、2種の前処理溶液でのインキュベーションステップ中、外部からの加熱は試料に適用しなかった。それ故、前処理溶液1および2を用いるインキュベーションステップは、室温で実施した。
前処理に続いて、試料を3種抗体カクテル(27C5.6および26H6.19抗MCM2抗体および2E6.2抗MCM7抗体)で免疫染色してPAP対比染色した。代表的試料を図7(LSIL)および図8(HSIL)に示す。これらのデータは、本明細書で開示した2ステップ前処理法の、加熱なしの場合でさえ、細胞診試料の細胞の形態を維持しながらエピトープを効果的に露出させるという予期せぬ効果を示している。
本明細書中で言及した全ての公開資料および特許出願は、本発明に関連する当業者のレベルを示す。全ての刊行物および特許出願は、あたかも個々の各刊行物または特許出願が具体的におよび個々に引用により示されたのと同程度に、引用により本明細書に組込まれる。
本明細書において説明した本発明の多くの改変および他の実施形態が、前出の記載および関連する図面で提示した教示の利益を有する、これらの発明が関連する当業者には思い浮かぶであろう。それ故、本発明は開示した特定の実施形態に限定されないこと、および改変および他の実施形態は実施形態の前出のリストおよび添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれることが意図されることが理解されるべきである。特定の用語が本明細書において使用されているが、それらは、総称的および記述的意味でのみ使用されており、限定する目的のためではない。

Claims (29)

  1. a)アニオン性界面活性剤を含む第1の水溶液と、
    b)カオトロピック塩および非イオン性界面活性剤または双性イオン性界面活性剤の少なくとも一方を含む第2の水溶液と、
    c)免疫学的染色のための細胞診試料の調製における使用説明書と
    を含むキット。
  2. d)前記細胞診試料中の抗原に特異的に結合する抗体、
    e)ペルオキシダーゼブロッキング剤;タンパク質ブロッキング剤;抗体の前記抗原に対する結合を検出するための化学物質;対比染色剤;ブルーイング剤、
    f)陽性対照試料、および/または、
    g)パパニコロウ(Pap)染色のための試薬
    をさらに含む、請求項1に記載のキット。
  3. 前記アニオン性界面活性剤が、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)である、請求項2に記載のキット。
  4. 前記第1の水溶液が、約0.1%のSDSを含む、請求項2に記載のキット。
  5. 前記カオトロピック塩が、チオシアン酸塩または過塩素酸塩である、請求項2に記載のキット。
  6. 前記抗原が、核抗原である、請求項2に記載のキット。
  7. 前記対比染色がヘマトキシリンを含む、請求項2に記載のキット。
  8. 前記ブルーイング剤が、トリス緩衝生理食塩水(pH7.4)、Tween−20およびアジ化ナトリウムを含む溶液を含む、請求項2に記載のキット。
  9. 前記パパニコロウ(Pap)染色のための試薬が、EA50およびオレンジGを含む、請求項2に記載のキット。
  10. 前記チオシアン酸塩が、チオシアン酸グアニジンであり、または、前記過塩素酸塩が、過塩素酸リチウムである、請求項5に記載のキット。
  11. 前記第2の水溶液が、約3Mのチオシアン酸グアニジンまたは過塩素酸リチウムを含む、請求項2に記載のキット。
  12. 前記非イオン性界面活性剤が、ノニルフェノキシポリエトキシエタノール(NP−40)である、請求項2に記載のキット。
  13. 前記第2の水溶液が、約0.1%のNP−40を含む、請求項2に記載のキット。
  14. 前記抗原が、MCM2、MCM7、p16、およびKi67からなる群から選択される、請求項2に記載のキット。
  15. 抗体結合を検出するための前記化学物質が、色原体と、標識されたポリマーにコンジュゲートされた二次抗体とを含み、色原体は3’,3’−ジアミノベンジジンを含み、標識されたポリマーはデキストランポリマーにコンジュゲートされた西洋ワサビペルオキシダーゼを含む、請求項2に記載のキット。
  16. 免疫学的染色のための細胞診試料を調製する方法であって、
    a)細胞診試料をアニオン性界面活性剤を含む第1の水溶液に接触させるステップと、
    b)前記細胞診試料をカオトロピック塩および非イオン性界面活性剤または双性イオン性界面活性剤の少なくとも一方を含む第2の水溶液に接触させるステップと
    を含む方法。
  17. 前記方法が、
    前記カオトロピック塩が好ましくはチオシアン酸塩または過塩素酸塩であり、
    前記試料を、前記第1の水溶液中において室温でインキュベートするか、または、前記試料を、前記第1の水溶液と共に約50℃でインキュベートし、
    前記試料を、前記第2の水溶液と共に少なくとも1分間インキュベートし、
    前記試料を、前記第2の水溶液中において室温でインキュベートするか、または、前記試料を、前記第2の水溶液と共に約50℃でインキュベートし、
    前記試料を、第1の水溶液と接触させた後、第2の水溶液と接触させる前に洗浄するものであり、かつ、
    前記方法が、抗体を使用して前記細胞診試料中の抗原を検出するステップをさらに含み、ここで、
    前記細胞診試料が、子宮頸部の試料であり、
    前記細胞診試料が、細胞または組織を含み、
    前記方法が、前記細胞診試料の形態学的分析を実行するステップをさらに含み、および/または、
    前記方法が、細胞診試料をパパニコロウ(Pap)染色するステップをさらに含む、
    請求項16に記載の方法。
  18. 前記アニオン性界面活性剤が、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)である、請求項17に記載の方法。
  19. 前記第1の水溶液が、約0.1%のSDSを含む、請求項17に記載の方法。
  20. 前記カオトロピック塩が、チオシアン酸塩または過塩素酸塩である、請求項17に記載の方法。
  21. 前記細胞診試料を、前記第1の水溶液と共に約19分間インキュベートする、請求項17に記載の方法。
  22. 前記細胞診試料を、前記第2の水溶液と共に約19分間インキュベートする、請求項17に記載の方法。
  23. 前記細胞診試料を、緩衝生理食塩水で洗浄する、請求項17に記載の方法。
  24. 前記チオシアン酸塩が、チオシアン酸グアニジンであり、または、前記過塩素酸塩が、過塩素酸リチウムである、請求項20に記載の方法。
  25. 前記第2の水溶液が、約3Mのチオシアン酸グアニジンまたは過塩素酸リチウムを含む、請求項20に記載の方法。
  26. 前記非イオン性界面活性剤が、ノニルフェノキシポリエトキシエタノール(NP−40)である、請求項17に記載の方法。
  27. 前記第2の水溶液が、約0.1%のNP−40を含む、請求項17に記載の方法。
  28. 前記緩衝生理食塩水が、トリス緩衝生理食塩水である、請求項23に記載の方法。
  29. 前記抗原が、MCM2、MCM7、p16、およびKi67からなる群から選択される、請求項17に記載の方法。
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