JP6300672B2 - アレーアンテナ装置 - Google Patents
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Description
例えば、アレーアンテナ装置を航空機や自動車などに搭載する場合、積載スペースや積載重量が制限されるため、アレーアンテナ装置は、小型あるいは低姿勢で、かつ、軽量であることが求められる。
このキャビティアンテナを素子アンテナとして周期的に配列し、各々のキャビティアンテナに移相器を接続してフェーズドアレーアンテナ装置を構成する場合、ビームを走査する際には、各キャビティアンテナの間の相互結合やアンテナ開口の周期構造に起因して発生する表面波や漏れ波の影響によって、アレーアンテナ装置のアクティブインピーダンスが変化する。
その結果、使用する電波の周波数や、ビームの走査角度によっては、アクティブインピーダンスが劣化して、不整合損失の増大(アンテナ利得の低下)を招くおそれがある。
図7は特許文献3に開示されているアレーアンテナ装置を示す斜視図である。
このアレーアンテナ装置では、素子アンテナとしてダイポールアンテナ101を使用し、ダイポールアンテナ101が地導体板100上に周期的に配列されている。
ダイポールアンテナ101は、放射部101aと給電線路部101bから構成されており、給電線路部101bの高さ寸法は、使用する電波の周波数の略1/4波長に相当し、放射部101aは、地導体板100から略1/4波長の位置に設けられている。
なお、ダイポールアンテナ101は、広角方向(Z方向から離れた方向)にビームを走査しても、グレーティングローブが発生しない条件から決まる間隔で周期的に配列されている。
ポール102は、地導体板100上に略垂直に設置されている金属柱であり、ダイポールアンテナ101が配列されている周期と同一の周期で配列されている。
その結果、電波が照射された他のダイポールアンテナ101に誘起電流が励起されるため(特に、給電線路部101bに誘起電流が励起される)、他のダイポールアンテナ101から電波が空間に放射される電波の再放射が起こる。
このため、アレーアンテナ装置における電波の放射パターンのパターン形状は、一般的にビーム幅が細い形状になり、広角方向(Z方向から離れた方向)でのアンテナ利得が低下する。
任意の1つのダイポールアンテナ101に対して電波を給電すると、当該ダイポールアンテナ101から空間に放射された電波の一部がポール102にも照射されて、ポール102に誘起電流が励起されるため、ポール102から電波が空間に放射される電波の再放射が起こる。
ポール102での誘起電流によって再放射される電波のパターン形状は、図中、Z方向で低い利得になり、広角方向(Z方向から離れた方向)で高い利得を有するものになる。
その結果、電波が給電される1つのダイポールアンテナ101の放射パターンは、ポール102が配置されていない場合と比べてビーム幅が太くなり、広角方向でのアンテナ利得の低下が小さい放射パターンになる。
このアレーアンテナ装置では、導波管開口アンテナから空間に放射された電波の一部が、隣接している導波管開口アンテナに入り込む素子間結合の影響で、アクティブインピーダンスが大きく変化することがある。
そこで、導波管開口アンテナから空間に放射された電波の一部が、隣接している導波管開口アンテナに入り込まないようにするために、隣り合っている導波管開口アンテナの間に、電波を遮蔽する金属壁を設けている。この金属壁の高さは、使用する電波の周波数によって決定される。
また、非特許文献1の場合、導波管開口アンテナに給電する電波の周波数が変えられた場合、金属壁が電波を遮蔽する効果が低下し、広角方向でのアンテナ利得の低下を十分に抑えることができなくなってしまうという課題があった。
図1はこの発明の実施の形態1によるアレーアンテナ装置を示す斜視図である。
図2は図1のアレーアンテナ装置を示す上面図であり、図3は図1及び図2のアレーアンテナ装置のA−A断面図である。
図1から図3において、地導体板1は矩形状の開口部が周期的に施されている。図1及び図2では、9個の開口部が施されている例を示しているが、開口部の個数は、9個に限るものではなく、8個以下でも10個以上でもよい。
即ち、導電性キャビティ2は断面形状が矩形形状の導電性シャシで構成されており、開放面2a(図3中、導電性キャビティ2の上側)が地導体板1の開口部と一致している。
導電性キャビティ2における開放面2aと反対側の端面2b(図3中、導電性キャビティ2の下側)は、板状の導体からなる短絡導体壁によって塞がれ、電気的に短絡されている。
また、導電性キャビティ2の側壁2cには、給電プローブ挿入用の穴3が施されている。
導体平板5は断面形状が矩形の金属板であり、導電性キャビティ2の中心軸(図3中、Z方向)に対して垂直になるように、導電性キャビティ2の内部に配置されている。
なお、導電性キャビティ2、給電プローブ4及び導体平板5からキャビティアンテナ6が構成されており、図1及び図2では、9個のキャビティアンテナ6が周期的に配置されている例を示している。ただし、キャビティアンテナ6の個数は、9個に限るものではなく、8個以下でも10個以上でもよいが、所定のビーム走査範囲内で、ビームを走査する際、グレーティングローブが出ない間隔で周期的に配列されている。
金属柱7の高さ寸法は、給電プローブ4により給電される電波の周波数帯域に対応する波長のうち、その周波数帯域における低周波数側の帯域端に対応する波長の4分の1より長い長さに設定されている。
なお、各々の金属柱7は、キャビティアンテナ6が配列される周期と同一の周期で配列されている。
最初に、金属柱7が設けられていない場合を説明する。
給電プローブ4が導電性キャビティ2の内部に電波を給電すると、この電波は、導電性キャビティ2の内部を伝わり、導電性キャビティ2の開放面2aから空間に放射される。
このとき、導電性キャビティ2の内部には電界を遮るように導体平板5が配置されているので、導体平板5は、給電プローブ4の入力インピーダンスに対して並列の容量性及び誘導性の成分を付加するように作用し、いわゆる共振回路として動作する。即ち、導体平板5は、広帯域に亘ってインピーダンスの整合を実現する非励振素子として動作する。
ただし、キャビティアンテナ6の開口部(導電性キャビティ2の開放面2a)では、キャビティアンテナ6と外部の空間との不連続面になるため、矩形導波管のいわゆる高次モードであるTM11モードの電界(Y方向成分及びZ方向成分を持つ電界)も少なからず発生する。
外部の空間からキャビティアンテナ6との不連続面を見ると、所定の表面インピーダンスを有するものとなり、導体平板5は、その表面インピーダンスを周期的に有する構造とみなすことができる。
このような表面インピーダンスを周期的に有する導体平板5上は、表面波あるいは漏れ波と呼ばれる電波の伝搬が可能な状態になる。
E面ビーム走査を行う場合、一般的に、表面インピーダンスが誘導性のリアクタンス成分を持つ場合に限り、表面波あるいは漏れ波が発生することが知られており、表面波あるいは漏れ波の電界分布は、Y方向成分及びZ方向成分を有する分布になる。
キャビティアンテナ6の開口部(導電性キャビティ2の開放面2a)には、上述したように、TM11モードの電界(Y方向成分及びZ方向成分を持つ電界)が少なからず励起されるため、TM11モードの電界が表面波あるいは漏れ波を誘起することになる。
Y方向に隣接しているキャビティアンテナ6に給電される電波の位相差と、上記の表面波あるいは漏れ波がY方向に隣接しているキャビティアンテナ6の間を伝搬した際に生じる位相差とが同一になる場合、上記の表面波あるいは漏れ波が強く励起される。
表面波あるいは漏れ波が強く励起されると、空間に放射される電力が小さくなり、アンテナ利得が大きく低下する。
したがって、キャビティアンテナ6が周期的に配列されているアレーアンテナ装置でE面ビーム走査を行う場合のアンテナ利得の低下原因として、アンテナ開口面上を伝搬する表面波あるいは漏れ波の発生を挙げることができる。
給電プローブ4が導電性キャビティ2の内部に電波を給電すると、この電波は、導電性キャビティ2の内部を伝わり、導電性キャビティ2の開放面2aから空間に放射される。
導電性キャビティ2の内部の電界分布は、図5に示すように、主として、矩形導波管の基本モードであるTE01モードになり、Y方向に平行な電界成分を主として有する。空間に放射される電波(Z方向に照射される電波)もY方向に平行な偏波を主偏波として有する。
ただし、キャビティアンテナ6の開口部(導電性キャビティ2の開放面2a)では、金属柱7が設けられていない場合と同様に、矩形導波管の高次モードであるTM11モードの電界(Y方向成分及びZ方向成分を持つ電界)が少なからず発生する。
この実施の形態1では、Y方向成分の電界が強い位置(キャビティアンテナ6におけるX方向の中心付近)に金属柱7が立てられており、Y方向成分の電界が弱い位置(キャビティアンテナ6におけるX方向の端部付近)には金属柱7が立てられていないが、金属柱7が立てられていない位置の電界(キャビティアンテナ6におけるX方向の端部付近の電界)は、金属柱7が立てられている位置の電界(キャビティアンテナ6におけるX方向の中心付近の電界)に引きずられる形で、金属柱7によってZ方向成分の電界の発生が抑圧される。
なお、金属柱7の高さは、給電プローブ4により給電される電波の周波数帯域に対応する波長のうち、その周波数帯域における低周波数側の帯域端に対応する波長の4分の1より長い長さに設定されているので、給電プローブ4により給電される電波の周波数が、当該周波数帯域の範囲内であれば(当該周波数帯域の範囲外の周波数の電波は通常使用されない)、電波の周波数が変化しても、Z方向成分の電界の発生を抑圧することができる。
また、地導体板1の表面に対して金属柱7を立てるだけであるため、アレーアンテナ装置の重量が大幅に増大することがなく、また、アレーアンテナ装置が大型化することもない。このため、航空機や自動車等への搭載性の劣化を防止することができる。
上記実施の形態1では、Y方向成分の電界が強い位置(キャビティアンテナ6におけるX方向の中心付近)に金属柱7が立てられているものを示したが、金属柱7が立てられる位置は、Y方向成分の電界が強い位置(キャビティアンテナ6におけるX方向の中心付近)に限るものではない。
例えば、図6(a)に示すように、X方向に隣接しているキャビティアンテナ6の間において、キャビティアンテナ6におけるY方向の中心付近に金属柱7が立てられているものであってもよい。
また、図6(b)に示すように、キャビティアンテナ6の開口部の四隅に金属柱7が立てられているものであってもよい。
また、図6(c)に示すように、キャビティアンテナ6におけるX方向の端部付近に金属柱7が立てられているものであってもよい。
図6(a)〜(c)のような位置に金属柱7が立てられている場合、Y方向成分の電界が強い位置(キャビティアンテナ6におけるX方向の中心付近)に金属柱7が立てられる場合と比べて、Z方向成分の電界の発生抑圧効果の程度に差異を生じる可能性はあるが、同様に、Z方向成分の電界の発生を抑圧することができる。
また、上記実施の形態1では、周期的に配列されている全ての金属柱7が同一の高さであり、かつ、同じ太さであるものを想定しているが、各々の金属柱7の高さが異なっていてもよいし、各々の金属柱7の太さが異なっていてもよい。
また、上記実施の形態1では、隣接しているキャビティアンテナ6の間に、1つの金属柱7が設けられているものを示したが、隣接しているキャビティアンテナ6の間に、複数の金属柱7が設けられていてもよい。
地導体板1の表面に対して、金属柱7が取り付けられるものである場合、金属柱7の端部が嵌め合い用の軸構造を有するように金属柱7を成形し、また、地導体板1の表面に嵌め合い用穴を施すようにすればよい。これにより、金属柱7の端部における軸構造を、地導体板1の表面に形成されている嵌め合い用穴に圧入することで、金属柱7を地導体板1の表面に立てることができる。
Claims (6)
- 複数の開口部を有する地導体板と、
前記地導体板における複数の開口部に形成されている凹み部である導電性キャビティと、
前記導電性キャビティの側壁に施されている穴に挿入され、前記導電性キャビティの内部に電波を給電する給電部材と、
前記導電性キャビティの内部に設けられている導体平板と、
前記地導体板の表面に立てられている金属柱とを備え、
前記金属柱の高さ寸法が、前記給電部材により給電される電波の周波数帯域に対応する波長のうち、前記周波数帯域における低周波数側の帯域端に対応する波長の4分の1より長い長さに設定されていることを特徴とするアレーアンテナ装置。 - 前記導電性キャビティ及び前記金属柱のそれぞれが周期的に配列されていることを特徴とする請求項1記載のアレーアンテナ装置。
- 同じ方向に並んでいる前記導電性キャビティの間に前記金属柱がそれぞれ配置されていることを特徴とする請求項2記載のアレーアンテナ装置。
- 前記金属柱は、円柱形状、角柱形状、あるいは、平板形状の金属であることを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか1項記載のアレーアンテナ装置。
- 前記金属柱の端部が嵌め合い用の軸構造を有しており、前記金属柱の端部における軸構造が、前記地導体板の表面に形成されている嵌め合い用穴に圧入されることで、前記金属柱が前記地導体板の表面に立てられることを特徴とする請求項1から請求項4のうちのいずれか1項記載のアレーアンテナ装置。
- 前記金属柱の端部がネジ山を備えた軸構造を有しており、前記金属柱の端部における軸構造が、前記地導体板の表面に形成されているネジ穴にネジ止めされることで、前記金属柱が前記地導体板の表面に立てられることを特徴とする請求項1から請求項4のうちのいずれか1項記載のアレーアンテナ装置。
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