本発明に係る遊技機の実施形態について、遊技機の一種である弾球遊技機の一例としてのパチンコ機100を説明し、その後に変形例や他の種類の遊技機を説明する。まず、パチンコ機100の実施形態について、構造的な構成、電気的な構成、各種の制御処理を順に説明する。
<構造的な構成>
まず、図1から図9を主に参照して、パチンコ機100の構造部分の構成について説明する。図1〜図4は、パチンコ機100の各種状態を示す斜視図であり、図1はパチンコ機100の閉鎖状態を示し、図2は外枠101に対して前ブロック102及び中間ブロック103が一体的に開放されている状態を示し、図3は中間ブロック103に対して前ブロック102が開放されている状態を示し、図4は中間ブロック103に対して後ブロック104が開放されている状態を示している。また、図5は、パチンコ機100の正面図であり、図6は、図5の状態からパチンコ機100の前ブロック102を取り外した状態を示している。なお、各図において各種の配線は省略されており、また、図3及び図6において遊技盤400の構成の一部は省略されている。
パチンコ機100は、例えば、図1〜図4に示すように、外枠101と、前ブロック102と、中間ブロック103と、後ブロック104とを備え、これら各部位を所定の操作により相対的に変位可能に構成されている。
外枠101は、パチンコ機100の本体部分を支持する本体支持手段としての機能を有している。外枠101は、例えば、図2に示すように、天板部111、底板部112、左側板部113及び右側板部114が組み付けられた略四辺形状の枠体であり、パチンコ機100を設置する遊技場に設けられた遊技機設置設備(島設備)に嵌め込まれると共に固定具(図示せず)によって強固に固定される。なお、パチンコ機100において外枠101は必須の構成ではなく、外枠101又は外枠101と同一の内形形状を有し、外枠101を除いたパチンコ機100の構成に相当する本体部分を支持する支持機構や、その本体部分を施錠する施錠機構の一部が島設備に備え付けられた構成としても良い。
外枠101における左右方向の一方側(左側板部113側)には、中間ブロック支持機構121,122が設けられている。この中間ブロック支持機構121,122によって外枠101と中間ブロック103とが接続(連結)され、パチンコ機100の本体部分が、パチンコ機100の正面視における左右方向の一端側(左側)を回動基端側とし、他端側(右側)を回動先端側として前方へ回動可能に構成されている。
中間ブロック支持機構121,122は、例えば、図1に示すように、外枠101の上端部と下端部とに離間して設けられている。中間ブロック支持機構121,122の各々は、例えば、外枠101に設けられる軸支持部によって、中間ブロック103に設けられる軸部が下側より支持され、軸支持部に設けられる軸孔に軸部が差し込まれた状態とされることにより、回動可能に構成されている。なお、中間ブロック103を含むパチンコ機100の本体部分を回動可能とする構成は、上記構成に限らず、中間ブロック103側に軸孔を設け、外枠101側に軸部を形成するなど、他の構成としても良い。
中間ブロック支持機構121,122には、所定の取り外し操作によって外枠101と中間ブロック103との接続状態を解除する機能が設けられ、中間ブロック103を含むパチンコ機100の本体部分が外枠101に対して取り外し可能に取り付けられている。例えば、外枠101に対して中間ブロック103を一定量以上開放し、且つ、上方側へ一定量移動させるという所定の取り外し操作をすることにより、外枠101に対する中間ブロック103の接続状態が解除される。これにより、外枠101に対してパチンコ機100の本体部分が取り外し可能とされている。
中間ブロック103に対して前側には、前ブロック102が重なるようにして配置され、正面視左側に設けられる前ブロック支持機構131,132によって中間ブロック103と前ブロック102とが接続されている。前ブロック支持機構131,132は、中間ブロック支持機構121,122と同様の構成とされ、中間ブロック103に対して前ブロック102を前方へ回動可能に支持し、且つ、所定の取り外し操作により取り外し可能に構成されている。
中間ブロック103に対して後側には、後ブロック104が重なるようにして配置され、正面視左側に設けられる後ブロック支持機構136,137(図8参照)によって中間ブロック103と後ブロック104とが接続されている。後ブロック支持機構136,137には、中間ブロック支持機構121,122及び前ブロック支持機構131,132と同様の構成とされ、中間ブロック103に対して後ブロック104を後方へ回動可能に支持し、且つ、所定の取り外し操作により取り外し可能に支持する構成とされている。
また、パチンコ機100には、外枠101に対する中間ブロック103の開閉を規制する中間ブロック施錠機構と、中間ブロック103に対する前ブロック102の開閉を規制する前ブロック施錠機構と、中間ブロック施錠機構及び前ブロック施錠機構の解錠や施錠を行うために操作される錠操作機構とが設けられている。また、図3に示すように、中間ブロック103には、前ブロック102の開口を通してパチンコ機100の前面側に露出する錠操作機構としてのキーシリンダ141が設けられている。
キーシリンダ141に対する所定の操作として、操作キー(図示せず)による右回転操作をした場合には、中間ブロック103に設けられた中間ブロック施錠機構の可動部143が作動する。これにより、中間ブロック施錠機構の一部として外枠101に設けられた被係合部142と可動部143との係合が解除されて、中間ブロック103は外枠101に対して開閉許容状態となる。
一方、キーシリンダ141に対する所定の操作キーによる左回転操作に応じて、中間ブロック103に設けられた前ブロック施錠機構の可動部144が作動する。これにより、前ブロック施錠機構の一部として前ブロック102に設けられた被係合部145と可動部144との係合が解除されて、前ブロック102は中間ブロック103に対して開閉許容状態となる。
また、パチンコ機100には、中間ブロック103に対する後ブロック104の開閉を規制する後ブロック開閉規制機構が設けられている。この後ブロック開閉規制機構により、中間ブロック103に対して後ブロック104は、開閉が禁止された状態(開閉禁止状態)と開閉が許容された状態(開閉許容状態)とを所定の操作によって切り替え可能とされている。
後ブロック開閉規制機構は、例えば、図4に示すように、中間ブロック103に設けられる2つの開閉規制部150A,150Bと、後ブロック104に設けられる1つの開閉規制部150Cとによって構成されている。これら3つの開閉規制部150A〜150Cには、回転操作が可能な回動片151A〜151Cが設けられている。回動片151A〜151Cは、回転操作により、後ブロック104の閉鎖状態において前後に重なるように配置される開口部分との係合状態が変化し、これにより、開閉禁止状態に対応した開閉禁止姿勢と、開閉許容状態に対応した開閉許容姿勢とを切り替え操作可能とされている。全ての回動片151A〜151Cを開閉許容姿勢にすると各回動片151A〜151Cが開口を通過可能となって、後ブロック104が中間ブロック103に対して開閉許容状態となる。なお、開閉禁止姿勢及び開閉許容姿勢としては、開閉禁止状態と開閉許容状態が回動片151A〜151Cの位置及び向きの少なくともいずれかの変化により切り替えられれば良く、一定位置で回転のみする構成としても良いし、一定方向に移動する構成としても良いし、移動と回転との組合せにより動作する構成としても良い。以下、各装置における構成部材が複数の姿勢の間を移行する場合における姿勢の変化についても同様とする。
3つの回動片151A〜151Cのうち、それらの一部に相当する2つの回動片151A,151Bは、図2に示すように、後ブロック104の開閉禁止状態において後ブロック104に形成された開口を通してパチンコ機100の背面側に露出し、残り部分に相当する1つの回動片151Cは、図6に示すように、中間ブロック103の前側に露出している。このため、パチンコ機100の背面側、又は中間ブロック103の前面側といった一方側からの操作だけでは、全ての回動片151A〜151Cを開閉許容姿勢に切り替えることはできず、これにより、防犯性が高められている。
また、パチンコ機100には、中間ブロック103から前ブロック102への遊技球の移動を規制する遊技球移動規制機構が設けられている。遊技球移動規制機構は、例えば、図3及び図6に示すように、中間ブロック103に設けられた流下規制片161と、前ブロック102に設けられた規制変更部162との組合せにより構成され、前ブロック102が位置する前方側へ流下規制片161がコイルバネ(図示せず)により付勢される構成とされている。
中間ブロック103に対して前ブロック102が閉鎖された状態(前ブロック102の閉鎖状態)においては、流下規制片161は、遊技球の流下を許容する移動許容状態とされ、具体的には、規制変更部162により中間ブロック103の後方側へ押圧されて押し込まれる。流下規制片161は、移動許容状態において中間ブロック103から前ブロック102に遊技球を誘導するための誘導通路(図示せず)に対して後側にずれて配置される。これにより、前ブロック102の閉鎖状態においては、中間ブロック103から前ブロック102への遊技球の移動が許容される。
一方、中間ブロック103に対して前ブロック102が開放された状態(前ブロック102の開放状態)においては、規制変更部162による流下規制片161の押圧が解除され、前ブロック102の閉鎖状態に比べて流下規制片161が前ブロック102側へ突出する移動禁止状態とされる。流下規制片161は、移動禁止状態において誘導通路内に突出し、下流側への遊技球の流下を阻止する。これにより、中間ブロック103から前ブロック102への遊技球の移動が禁止される。
また、パチンコ機100には、図2に示すように、例えば中間ブロック103の後側であって回動先端側(背面視左側)における下端部に、外枠101に対して中間ブロック103が閉鎖されているか否かを検出する開閉検出スイッチ108が設けられ、また、図3に示すように、例えば中間ブロック103の前側であって回動先端側(正面視右側)における下端部に、中間ブロック103に対して前ブロック102が閉鎖されているか否かを検出する開閉検出スイッチ109が設けられている。
次に、前ブロック102、中間ブロック103及び後ブロック104の各構成について順に説明する。
前ブロック102は、図1及び図3に示すように、パチンコ機100の前面の略全体を形成し、前後方向に厚みを有する略長方形状の部材であり、パチンコ機100の前側表面部分を装飾する前面装飾手段としての機能を有している。前ブロック102は、合成樹脂製の基枠201を主体に構成され、基枠201の前後に複数の機能部品を取り付けて構成されている。基枠201の前面側には、パチンコ機100の前面を形成する前面装飾体210が、前ブロック102の正面視中央部分を含んで形成される開口210Aの外縁に沿って開口210Aを囲った状態にして取り付けられている。前ブロック102を構成する基枠201と前面装飾体210とを組み合わせた状態においては、前面装飾体210が取り付けられた外周部を除いた広範囲にわたって開口210Aが前後方向に貫通形成される。この開口210Aを通じて、前ブロック102の後側に位置する遊技盤400を含む中間ブロック103が遊技者から視認可能に構成されている。
また、前ブロック102には、図1及び図3に示すように、開口210Aを塞ぐように基枠201の背面側に設けられた中央パネル220と、遊技球を貯留する主貯留機構230と、遊技球を貯留する補助貯留機構240と、主貯留機構230に貯留されている遊技球を発射するために遊技者によって操作される発射操作装置250とを備えている。
また、前ブロック102には、図1及び図5に示すように、前面装飾体210の一部として、開口210Aの周縁を囲う開口周縁部211と、開口210Aに対して下側において前方に突出する上側突出部217と、上側突出部217に対して下側に位置して前方に突出する下側突出部218と、下側突出部218の右側であって上側突出部217及び下側突出部218より奥側に位置する概ね平坦な領域で構成されて発射操作装置250が配置される平坦部219とが形成されている。上側突出部217には、主貯留機構230が配置され、下側突出部218には、補助貯留機構240が配置される。
中央パネル220は、基枠201と前面装飾体210とを組み合わせた状態において前後方向に貫通形成される開口210Aを塞ぎつつ後方側を視認可能とするカバー体としての機能を有している。中央パネル220は、例えば、図1及び図3に示すように、基枠201の後方側から取着されるパネル枠221(図3参照)と、パネル枠221の前側に嵌め込まれた光透過性の前方板222(図1参照)と、パネル枠221の後側に前方板222と所定の間隙を隔てて略平行に嵌め込まれた光透過性の後方板223(図3参照)とを備えている。
主貯留機構230は、遊技進行に応じて獲得した遊技球や、遊技場から貸し出された遊技球を貯留する機能を有している。主貯留機構230は、例えば、図1に示すように、貯留部231と、球抜き機構(図示せず)と、その球抜き機構を作動させる球抜き操作部材232とを備えている。貯留部231には、パチンコ機100の内部から貯留部231へ遊技球を流入させる流入口231Aと、貯留部231からパチンコ機100の内部へ遊技球を流出させる流出口(図示せず)と、流出口より上流側に形成される放出口(図示せず)とが設けられている。この放出口の開放により貯留部231から遊技球がパチンコ機100の内部に取り込まれることなく遊技者側に放出される。球抜き機構は、遊技球の放出先を、流出口と放出口との間で切り換える機能を有している。
遊技進行に応じて獲得した遊技球や、後述する貸出操作装置292に対する貸出操作に応じて貸し出された遊技球は、主に流入口231Aを通して貯留部231に流入する。また、貯留部231は、上方側に開口形成されており、この開口部分を通じて、遊技者が所有する遊技球が手操作により投入されたり、遊技場において貸し出される遊技球が供給されたりする。
貯留部231に流入した遊技球は一列に整列させられながら流出口及び放出口の形成されている側(図1の右上側)へ順次に案内される。球抜き操作部材232に対する球抜き操作(例えば、押下操作)が行われていない場合には遊技球は流出口を通して後述する発射装置330(図3参照)に誘導される。一方、球抜き操作部材232に対する球抜き操作が行われている場合には、遊技球は放出口を通して補助貯留機構240(図1参照)に誘導される。
補助貯留機構240は、図1及び図5に示すように、遊技球の流入口241A,241C(図5参照)及び放出口241B(図1参照)を有する貯留部241と、放出口241Bを開閉させる球抜き機構243と、その球抜き機構243を作動させる球抜き操作部材242とを備えている。遊技進行に応じて獲得した遊技球等は主に主貯留機構230に流入するが貯留部231が満杯であれば流入口241Aを通して貯留部241に流入する。また、球抜き操作部材232に対する球抜き操作に応じても、遊技球は流入口241Cを通して貯留部231から貯留部241に流入する。
貯留部241の底面は放出口241Bに向けて下降傾斜している。球抜き操作部材242に対する球抜き操作(例えば、押圧操作)によって放出口241Bを開放すると、貯留部241に貯留されている全ての遊技球を順次にパチンコ機100の外部に放出できる。なお、球抜き操作部材242に対する球抜き操作によって放出口241Bが完全に開放された場合には、球抜き操作部材242に対する復帰操作(例えば、再度の押圧操作)がなされるまで、その開放状態に維持される。流入口241Aの奥方には貯留部241に過剰に遊技球が貯留されているか否かを検出する球溢れスイッチ249(図10参照)が設けられている。
発射操作装置250は、図1及び図5に示すように、前面装飾体210の平坦部219から前方に突出する台座251と、台座251の周囲に設けられた回動自在な発射ハンドル252と、発射ハンドル252の回転操作量を検出する可変抵抗器253(図10参照)と、発射ハンドル252に遊技者が接触していることを検出する接触センサ254(図10参照)と、発射ハンドル252の回転操作に伴う遊技球の射出を遊技者の操作によって無効化する発射停止スイッチ255(図5参照)とを含んでいる。遊技者によって発射ハンドル252が回転操作されると、その回転操作量に対応する強度で発射装置330(図3参照)から遊技球が遊技盤400(図3参照)に向けて射出される。なお、接触センサ254によって発射ハンドル252と遊技者との接触が検出されていない場合や、発射停止スイッチ255の操作によって発射操作が無効化されている場合には、発射ハンドル252が回転操作されていても発射装置330から遊技球は射出されない。
また、前ブロック102における前面装飾体210の奥方には、枠発光装置271〜275(図10参照)が設けられている。枠発光装置271〜275は、前面装飾体210の開口周縁部211に対して奥側に重なるようにして配置され、基枠201に取り付けられている。開口周縁部211は、図5に示すように、上側中央縁部211Aと、上側中央縁部211Aに対して左右両側に位置する左上側縁部211B及び右上側縁部211Cと、左上側縁部211Bに対して下側に位置する左側縁部211Dと、右上側縁部211Cに対して下側に位置する右側縁部211Eとを発光部として有し、それぞれの発光部に対応して枠発光装置271〜275が設置されている。
枠発光装置271〜275は、上側中央縁部211Aに対応する上中央枠発光装置271と、左上側縁部211Bに対応する左上枠発光装置272と、右上側縁部211Cに対応する右上枠発光装置273と、左側縁部211Dに対応する左側枠発光装置274と、右側縁部211Eに対応する右側枠発光装置275(図10参照)とにより構成されている。枠発光装置271〜275の各々は、1又は複数の発光手段としての発光ダイオード(LED)と、LEDを制御するための抵抗等の電子部品と、これら電子部品を一体化して電気的に接続するプリント基板とを有している。
また、前ブロック102には、図5に示すように、例えばその開口周縁部211の上部に、左上音響出力口211Fと、右上音響出力口211Gとが設けられ、また、それら左上音響出力口211F及び右上音響出力口211Gのそれぞれに対応して左上音響装置281及び右上音響装置282(図3及び図10参照)が設けられている。左上音響装置281及び右上音響装置282は、前面装飾体210の開口周縁部211の奥方(後方)に位置するようにして基枠201に取り付けられている。
また、前ブロック102には、図1に示すように、例えば上側突出部217の上面右側部分に、遊技球貸出装置290が設けられている。遊技球貸出装置290は、パチンコ機100に並んで配置されるカードユニット(図示せず)に投入された紙幣やカード等の残額に応じた数値を表示する度数表示装置291と、遊技球の貸し出しを受ける際に遊技者によって操作される貸出操作装置292と、カードユニットに投入された紙幣やカード等を返却させる際に遊技者によって操作される返却操作装置293とを含んでいる。カードユニットに紙幣やカード等を投入して、それらの金額に対応する数値が度数表示装置291に表示されている有効状態において、貸出操作装置292に対して貸出操作が行われると、貸出操作に応じて所定の個数の遊技球が後ブロック104の払出装置540(図8参照)から貸し出され、遊技球の貸し出しに伴って度数表示装置291の表示が更新される。一方、有効状態において返却操作装置293に対して返却操作が行われると、返却操作に応じて残額に対応する紙幣の等価物や残額を記録したカードがカードユニットから返却される。
また、前ブロック102には、図1に示すように、遊技者によって発射操作とは別の入力操作が可能な入力操作装置260が設けられている。入力操作装置260は、例えば、押込操作が可能な押圧操作装置261と、回転操作が可能な回転操作装置262と、上下左右の方向操作が可能な選択操作装置263とを備えている。これら操作装置261〜263により、パチンコ機100において実行される演出を選択する演出選択操作や、パチンコ機100の演出を実行する各装置の音量や光量を設定する装置設定操作、或いは、遊技者に関する情報を入力して前回以前の遊技に応じたパチンコ機100の演出を実行可能とする演出設定操作等が実行可能とされ、これら操作を必要に応じて遊技者や遊技場の管理者が実行可能とされている。なお、入力操作装置260において遊技者が接触する入力操作部(例えば、回転操作装置262における円環状の回転操作部)は、モータやソレノイド等の入力操作部駆動手段によって回転、上下動、又は、振動等の動作がパチンコ機100の制御(例えば、副制御基板940(図10参照)の制御)により実行可能に構成されることが好ましく、入力操作の前後、又は、入力操作中のいずれか又は複数のタイミングで入力部分を動作させることにより、入力操作を積極的に促すなど入力操作を伴う演出を多様にすることができる。
次に、中間ブロック103について説明する。中間ブロック103は、前ブロック102と略同一サイズの略長方形状をした部材であり、前ブロック102と後ブロック104とが取り付けられることにより、パチンコ機100の本体部分を一体化した状態にする機能を有している。中間ブロック103は、基枠301に対して遊技盤400を含む複数の機能部品を取り付けて構成されている。
中間ブロック103は、図3及び図4に示すように、開口を有する基枠301と、基枠301の開口を覆いつつ前面側より取着される遊技盤400(図3参照)と、基枠301に対して遊技盤400を回動自在及び着脱自在に支持する遊技盤支持機構と、基枠301に対して遊技盤400の位置を固定する遊技盤固定機構と、遊技盤400に遊技球を射出する発射装置330(図3参照)と、遊技盤400の背面側に装着されて遊技進行を統括的に制御する主制御装置370(図4参照)と、主制御装置370からの命令に基づいて遊技演出や状態報知を制御する副制御装置390(図4参照)とを備えている。
基枠301には、図3に示すように、後述する払出装置540(図8参照)から放出された遊技球を前ブロック102に誘導する誘導通路が内部に形成される誘導通路部301Aと、複数の配線(図示せず)や信号中継装置311が位置する開孔301Bとが設けられている。開孔301Bは、遊技盤400より下側において前後方向に貫通する形状をなし、開孔301Bに挿通される複数の配線は、前ブロック102に設けられる種々の装置(例えば、枠発光装置271〜275、左上音響装置281及び右上音響装置282)と、中間ブロック103の背面側や後ブロック104に設けられる装置(例えば、主制御装置370や副制御装置390)とを電気的に接続するための配線を含み、信号中継装置311は、その配線の一部を中継する中継基板としての機能を有している。
遊技盤400は、図3に示すように、排出口401A等の遊技球が前後に通過可能な貫通孔を有する平板状の基体401と、基体401の左下から右上に亘り滑らかに湾曲する外レール402と、基体401の右下から左上に亘り滑らかに湾曲する内レール403と、内レール403の左上側の先端に取着された戻り球防止機構404と、外レール402の右上側の先端に取着される反跳防止部材405とを備えている。外レール402は、後述する発射装置330から発射された遊技球を遊技領域内へ誘導するものである。戻り球防止機構404は、外レール402及び内レール403が平行に対向する間部分で形成される発射通路401Bから遊技領域内へ一旦放出された遊技球が発射通路401Bに戻ることを防止する。反跳防止部材405は、遊技盤400の上部中央を越えて右側に向かった遊技球が再び上部中央を経由して左側に戻るような遊技球の大幅な反跳を防止する衝撃吸収性を有し、例えば、制振ゴム等の材料により形成されている。
前ブロック102の背面側下部には、図3に示すように、戻り球通路部163が形成されている。発射装置330から発射通路401Bの方向へ遊技球を誘導する誘導部材335と外レール402との間には間隙があり、発射装置330から発射されたが戻り球防止機構404を超えるに至らず発射通路401Bを逆戻りする遊技球は、この間隙の下方に配置される戻り球通路部163を介して流入口241A(図5参照)から補助貯留機構240(図5参照)に返却される。
戻り球防止機構404を超えて進行した遊技球は、遊技領域に到達し、遊技領域内を自重により落下しながら移動(流下)する。遊技領域は、略円形状の外周形状をなし、遊技球の直径より僅かに大きな前後幅を有する領域を大部分とする形状に区画されている。遊技領域は、概ね、外レール402及び内レール403とで外周部分が区画され、前側が中央パネル220の後方板223によって略平面状に区画され、後側が遊技盤400の基体401によって略平面状に区画されている。なお、遊技領域に設けられる各種の構造物については後述する。
発射装置330は、図3に示すように、主貯留機構230に貯留されている遊技球を順次に発射位置に送り出す球送り機構331と、球送り機構331を駆動する球送りソレノイド332(図10参照)と、発射位置に配置された遊技球を射出する発射機構333と、発射機構333を駆動する発射ソレノイド334(図10参照)と、発射機構333から発射された遊技球を遊技盤400の発射通路401Bに誘導する誘導部材335とを備えている。発射装置330は、上述のように発射操作装置250に対する発射操作に応じて作動し、発射操作装置250に対する発射操作に応じて発射ソレノイド334の駆動制御が変化して発射力が調整される。
主制御装置370は、図4に示すように、主制御基板920(図10参照)と、主制御基板920を収容する2つ割り構造の基板ケース371とを備えている。主制御基板920は、痕跡を残さずには開封できないように封止された透光性を有する基板ケース371の内部に収容されている。
また、主制御装置370は、遊技盤400の背面側に回動自在に取り付けられている。具体的には、遊技盤400の基体401に対して背面側に取り付け部372が回動可能に連結固定され、その取り付け部372に主制御装置370が取り付けられている。これにより、主制御装置370の背面側(表面側)だけでなく、取り付け部372を回動操作することで主制御装置370の前面側(裏面側)も、遊技盤400に主制御装置370を取り付けたままで容易に確認可能とされている。取り付け部372に対して主制御装置370は、痕跡を残さずには取り外しできないように連結しても良く、主制御装置370の取り外し状況を管理し易くしても良い。
副制御装置390は、副制御基板940(図10参照)と、副制御基板940を収容する2つ割り構造の基板ケース391とを備えている。副制御基板940は、例えば、主制御基板920と同様に痕跡を残さずには開封できないように封止された透光性を有する基板ケース391の内部に収容された状態にして遊技盤400の背面側に取り付けられている。
ここで、遊技盤400において、遊技領域に配置される各種の構造物について、図7を主に参照して説明する。図7は、遊技盤400の正面図である。
遊技盤400は、図7に示すように、基体401と、遊技球の流下方向や流下速度に変化を与える釘411や風車412等の流下変化部材と、基体401の概ね中央に配置された中央構造体420と、中央構造体420に対して下側に配置された第1特別図柄に係る始動装置(具体的には、上側中始動入賞装置431A及び下側中始動入賞装置431B)と、中央構造体420に対して右下側に配置された第2特別図柄に係る始動装置(具体的には、右始動入賞装置432)と、右始動入賞装置432の下方に配置された大入賞装置433(具体的には、下大入賞装置433)と、上側中始動入賞装置432Aの下方に配置された大入賞装置434(具体的には、中大入賞装置434)と、右始動入賞装置432の上側(上流側)に配置された普通図柄に係る始動装置436と、遊技盤400の右上側であって大入賞装置433,434に対して上方(上流側)に配置された役連作動装置435と、下側中始動入賞装置431Bの左右両側に配置された一般入賞装置439A,439Bとを備えている。
また、遊技盤400には、上記した上側中始動入賞装置431A等に対応して遊技球の通過を検出する検出手段としてのスイッチが複数設けられており(図10参照)、各スイッチに対応した所定領域への遊技球の進入が検出可能とされている。例えば、上側中始動入賞装置431Aに進入した遊技球を検出する中始動入賞スイッチ(上側中始動入賞スイッチ441A)、下側中始動入賞装置431Bに進入した遊技球を検出する中始動入賞スイッチ(下側中始動入賞スイッチ441B)、右始動入賞装置432に進入した遊技球を検出する右始動入賞スイッチ442、下大入賞装置433に進入した遊技球を検出する下大入賞スイッチ443、中大入賞装置434に進入した遊技球を検出する中大入賞スイッチ444、役連作動装置435に進入した遊技球を検出する役連作動スイッチ445、始動装置436に進入した遊技球を検出する始動スイッチ446、下大入賞装置433の内部に形成された非特定通路(図示せず)に進入した遊技球を検出する非特定通路スイッチ447、下大入賞装置433の内部に形成された特定通路(図示せず)に進入した遊技球を検出する特定通路スイッチ448、一般入賞装置439A,439Bに進入した遊技球を各々検出する一般入賞スイッチ449A,449B等が遊技盤400に設置されている。
中央構造体420及び始動装置436の遊技球の入口部分は入球口を構成し、各入球口に進入した遊技球は遊技領域に放出される。各入賞装置、具体的には、上側中始動入賞装置431A、下側中始動入賞装置431B、右始動入賞装置432、下大入賞装置433、中大入賞装置434及び一般入賞装置439A,439Bの遊技球の入口部分は入賞口を構成し、各入賞口に進入した遊技球は基体401に形成された貫通孔を通して基体401の背面側に形成された回収排出通路(図示せず)に案内される。また、各入賞装置に進入しなかった遊技球は、遊技領域の最下流側部分に設けられる排出口401Aを通して回収排出通路へ案内される。回収排出通路に案内された遊技球は、パチンコ機100から遊技場に設けられた遊技球循環装置(図示せず)に排出される。いずれかの入賞装置に遊技球が進入した場合には、入賞装置の種類に応じた所定の個数の遊技球が払出装置540(図8及び図9参照)から払い出される。なお、各入賞装置は、他の入賞装置と別々に構成されても良いし、2以上の入賞装置(例えば、上側中始動入賞装置431A及び下側中始動入賞装置431B)が一体化された装置によって入賞装置が構成されても良く、また、上側中始動入賞装置431A等の始動装置については必ずしも遊技球が進入した場合に所定の個数の遊技球が払い出される入賞口とする必要はなく、遊技球が払い出されることなく遊技領域に再び放出される入球口としても良い。
第1特別図柄に係る上側中始動入賞装置431A及び下側中始動入賞装置431B、並びに、一般入賞装置439A及び一般入賞装置439Bの各々は、それらへの遊技球の進入確率を変化させず、進入した遊技球を基体401の背面側へ誘導する。また、第2特別図柄に係る右始動入賞装置432は、その内部への遊技球の進入確率を変化させる機構を有している。なお、遊技球の進入確率を変化させる機構は、第2特別図柄に係る始動装置のみに設ける必要はなく、それに代えて、又は、それに加えて、第1特別図柄に係る始動装置、一般入賞装置439A,439Bのいずれか又は複数に設けても良い。また、遊技球の進入確率を変化させる機構は、電気的に駆動されるソレノイド等の駆動手段により構成しても良いし、所定領域へ入球した遊技球の自重により動作する機構に代表される機械的に動作する機構により構成しても良い。
第2特別図柄に係る右始動入賞装置432は、進入許容姿勢と進入禁止姿勢との間の移行によって、その内部への遊技球の進入確率を変化させる右進入規制機構452と、右進入規制機構452を駆動する右進入規制ソレノイド462(図10参照)とを備えている。右進入規制機構452は、右進入規制ソレノイド462によって駆動される2つの可動片を備えており、右進入規制機構452が進入禁止姿勢である場合には、2つの可動片が進入口(入賞口)を狭窄する(又は閉鎖する)配置をとることによって遊技球は右始動入賞装置432に進入できないが、右進入規制機構452が進入許容姿勢である場合には、2つの可動片がそれらの先端部の間隔が拡大するような配置をとることによって遊技球は右始動入賞装置432に進入できるようになる。右進入規制機構452は、普通図柄に係る始動装置436へ進入した遊技球が始動スイッチ446で検出されることに基づく抽選(以下において「普通図柄抽選」とも称す)で当選した場合に、右進入規制ソレノイド462による駆動に応じて所定の回数及び所定の時間だけ進入許容姿勢に移行する。
下大入賞装置433には、図7に示すように、進入許容姿勢と進入禁止姿勢との間の移行によって、その内部への遊技球の進入を規制する下進入規制機構453と、下進入規制機構453の姿勢を変化させる下進入規制ソレノイド463(図10参照)と、非誘導姿勢と誘導姿勢との間の移行によって、下大入賞装置433に進入した遊技球を非特定通路又は特定通路に振り分ける振分機構(図示せず)と、振分機構の姿勢を変化させて遊技球の誘導先を切り換える切換ソレノイド465(図10参照)とが設けられている。下大入賞装置433の下進入規制機構453が進入禁止姿勢である場合には、下進入規制機構453が進入口(入賞口)を閉鎖することによって遊技球は下大入賞装置433に進入できないが、下進入規制機構453が進入許容姿勢である場合には、下進入規制機構453が進入口を開放することによって遊技球は下大入賞装置433に進入できるようになる。また、下大入賞装置433に進入した遊技球は、振分機構が前方に突出する非誘導姿勢である場合には非特定通路に案内され、振分機構が後方に没入する誘導姿勢である場合には特定通路に誘導される。特定通路、非特定通路及び振分機構は、遊技状態の移行を多様にするために設けられ、特定通路へ遊技球が進入した場合には、遊技者に特典として有利な遊技状態が付与される。
中大入賞装置434には、図7に示すように、その内部へ遊技球が進入する入口部分としての入賞部440と、進入許容姿勢と進入禁止姿勢との間の移行によって、入賞部440への遊技球の進入を規制する中進入規制機構454と、中進入規制機構454の姿勢を変化させる中進入規制ソレノイド464(図10参照)とが設けられている。中進入規制機構454が進入禁止姿勢である場合には、遊技球は中大入賞装置434に進入できないが、中進入規制機構454が進入許容姿勢である場合には、中進入規制機構454が進入口へ遊技球を誘導することによって遊技球は中大入賞装置434に進入できるようになる。ここで、中進入規制機構454は、中大入賞装置434の内部へ通じる入賞部440へ遊技球を誘導しない状態となる(具体的には、位置及び向きに配置される)ことにより中大入賞装置434への遊技球の進入を規制するものであり、詳細については図36等を参照して後述する。
なお、進入規制機構452〜454の少なくともいずれかの内部への遊技球の進入確率を変化させる機構としての進入許容姿勢及び進入禁止姿勢としては、各機構を構成して各装置の入賞口(又は入球口)に遊技球が進入可能な特別状態と、遊技球が進入不能な通常状態とを切り替える可動部材の姿勢変化に対応し、各姿勢に応じて可動部材の位置及び向きの少なくともいずれかが異なるものであれば良い。また、右進入規制機構452〜454の少なくともいずれかの遊技球の進入確率を変化させる機構として、遊技球が進入不能な状態を通常状態とする必要は必ずしもなく、通常状態においても遊技球の進入を許容し、特別状態においては通常状態より遊技球が進入し易い状態に可動部材の姿勢が変化する構成としても良い。
下大入賞装置433及び中大入賞装置434には、大当りの抽選に当選した場合に遊技球が進入可能となる。具体的には、第1特別図柄に係る上側中始動入賞装置431A若しくは下側中始動入賞装置431Bへ進入した遊技球が上側中始動入賞スイッチ441A若しくは下側中始動入賞スイッチ441Bで検出されることに基づく抽選(以下において「第1特別図柄抽選」とも称す)に当選した場合、又は、第2特別図柄に係る右始動入賞装置432へ進入した遊技球が右始動入賞スイッチ442で検出されることに基づく抽選(以下において「第2特別図柄抽選」とも称す)に当選した場合には、下進入規制ソレノイド463又は中進入規制ソレノイド464の少なくとも一方が作動する。この作動によって所定の回数に亘り所定の時間だけ下進入規制機構453又は中進入規制機構454の少なくとも一方が進入許容姿勢をとる。また、振分機構は、下進入規制機構453の進入許容姿勢への移行から所定の時間後に切換ソレノイド465の作動に応じて誘導姿勢に移行し、更に誘導姿勢への移行から所定の時間後に切換ソレノイド465の停止に応じて非誘導姿勢に戻る。
ここで、大当りの抽選に当選した場合に発生する特別遊技状態として、下大入賞装置433が作動する特別遊技状態と、中大入賞装置434が作動する特別遊技状態との2種類が設定されている。いずれの特別遊技状態が発生するかは、大当りの抽選とは別に行われる大当りの種別抽選によって定められ、特別図柄の種類及び実行中の遊技状態のそれぞれに対応して大当りの種別抽選の当選比率が予め定められている。
役連作動装置435は、下大入賞装置433が作動する特別遊技状態を開始するために必要な条件を設定するための装置である。役連作動装置435は、下大入賞装置433の上流側に設けられ、役連作動装置435を通過する遊技球は、下大入賞装置433の配置される位置に到達する場合がある設定とされている。大当りの抽選に当選し、下大入賞装置433が作動する特別遊技状態の発生が決定した後には、役連作動装置435の遊技球の通過を条件として、下大入賞装置433が作動を開始する。下大入賞装置433は、通常遊技状態において遊技球が流下する領域(中央構造体420の左側を遊技球が流下する領域)とは異なる領域にあり、遊技者は、下大入賞装置433が作動する場合には、通常遊技状態とは異なる領域(中央構造体420の右側)を遊技球が流下するように遊技手法(具体的には、遊技球の流下開始位置)を変更する必要がある。よって、通常遊技状態において大当りに当選した後に下大入賞装置433が作動する場合には、遊技手法の変更を遊技の進行に必須の条件とすることができるので、その作動に気づかず獲得可能な特典を逸失してしまう状況を回避することができる。また、遊技者は、自らの意図するタイミングで、下大入賞装置433が作動する特別遊技状態を開始させることができ、例えば、下大入賞装置433が作動する特別遊技状態に連続して当選した場合でも一旦遊技を中断して休憩をすることができる。
また、中大入賞装置434は、役連作動装置435を通過する遊技球が通過不能な位置(すなわち、役連作動装置435の上流側又は下流側に相当しない別経路)に配置されており、役連作動装置435の遊技球の通過は、中大入賞装置434が作動する特別遊技状態を開始するために必要な条件とはなってない。中大入賞装置434は、通常遊技状態において遊技球が流下する領域に設けられ、遊技者は、遊技手法の変更をしないでも、発射操作を継続するだけで、大当りの当選に対する特典を確実に獲得することができる。
ここで、役連作動装置435を通過する遊技球が通過可能な領域(上流側又は下流側)には、下大入賞装置433の他に、右始動入賞装置432と、始動装置436とが設けられ、これら装置の作動により、通常遊技状態より右始動入賞装置432に遊技球が進入し易い有利な遊技状態(後述する時短遊技状態及び確変遊技状態)が発生可能に構成されている。この有利な遊技状態は、中大入賞装置434が作動する特別遊技状態の後より、下大入賞装置433が作動する特別遊技状態の後に遷移する確率が高く設定されることが好ましく、これにより、遊技状態の変更に伴う遊技手法の変更回数を少なくして、簡易に遊技を実行可能とすることができる。
なお、必ずしも役連作動装置435の遊技球の通過を条件として、下大入賞装置433が作動を開始する構成とする必要はなく、それに代えて、又は、それに加えて、役連作動装置435の遊技球の通過を条件として中大入賞装置434が作動を開始するものとしても良いし、予め定めた時間の経過により下大入賞装置433又は中大入賞装置434のいずれかが作動を開始するものとしても良い。
また、遊技盤400には、図7に示すように、図柄の変動表示や抽選結果を表示する表示装置471〜473と、遊技の保留回数を表示する表示装置476〜478とが一体化された複数の発光部を有する表示器が、遊技盤400の一部に相当する左下部分に設けられている。複数の発光部は、各装置に対応する発光領域に予め区画され、各装置の状態が発光状態によって表示される。
具体的には、遊技盤400には、第1特別図柄抽選に伴って、第1特別図柄を変動表示したり、第1特別図柄を抽選結果に応じた停止図柄で確定表示したりする第1特別図柄に係る特別図柄表示装置471と、第2特別図柄抽選に伴って、第2特別図柄を変動表示したり、第2特別図柄を抽選結果に応じた停止図柄で確定表示したりする第2特別図柄に係る特別図柄表示装置472と、第1特別図柄に係る単位遊技の保留回数を表示する特別図柄保留表示装置476と、第2特別図柄に係る単位遊技の保留回数を表示する特別図柄保留表示装置477とが設けられている。第1特別図柄に係る単位遊技の権利及び第2特別図柄に係る単位遊技の権利はそれぞれ最大4回まで保留される。ここで、単位遊技とは、1回の始動入賞に基づいて実行される1回分の遊技であり、1回の始動入賞に基づいて実行される抽選の当否判定と、その当否判定に基づいた抽選結果を表示するまでの変動表示の開始から終了までを含む一連の遊技をいう。
第1特別図柄に係る単位遊技の権利が最大回数まで保留されている場合には、始動入賞装置431に進入した遊技球が上側中始動入賞スイッチ441A(図10参照)又は下側中始動入賞スイッチ441B(図10参照)によって検出されたとしても第1特別図柄に係る単位遊技の権利は追加されない。同様に、第2特別図柄に係る単位遊技の権利が最大回数まで保留されている場合に、右始動入賞装置432に進入した遊技球が右始動入賞スイッチ442(図10参照)によって検出されたとしても第2特別図柄に係る単位遊技の権利は追加されない。
第1特別図柄に係る特別図柄表示装置471及び第2特別図柄に係る特別図柄表示装置472の各々は、複数の発光部で構成されており、主制御基板920(図10参照)によって制御される。第1特別図柄の表示及び第2特別図柄の表示の各々は、複数の発光部の発光パターン(発光色を含む発光状態(消灯、点灯、点滅)の組合せ)によって表現される。第1特別図柄に係る特別図柄保留表示装置476及び第2特別図柄に係る特別図柄保留表示装置477は、2個の単色の発光部の発光状態(消灯、点灯、点滅)の組合せによって保留回数を表示する。
また、遊技盤400には、普通図柄抽選に伴って、普通図柄を変動表示したり、普通図柄を抽選結果に応じた停止図柄で確定表示したりする普通図柄表示装置473と、普通図柄に係る単位遊技の権利の保留回数を表示する普通図柄保留表示装置478とが設けられている。普通図柄に係る単位遊技の権利は最大4回まで保留される。普通図柄に係る単位遊技の権利が最大回数まで保留されている場合には、始動装置436に進入した遊技球が始動スイッチ446によって検出されたとしても普通図柄に係る単位遊技の権利は追加されない。
普通図柄表示装置473は、複数の発光部で構成されており、主制御基板920(図10参照)によって制御される。普通図柄は、複数の発光部の発光パターンによって表現される。また、普通図柄保留表示装置478は、2個の単色の発光部の発光状態(消灯、点灯、点滅)の組合せによって保留回数を表示する。
また、遊技盤400には、中央構造体420の後方に重なるようにして、第1特別図柄及び第2特別図柄に係る単位遊技において、装飾図柄を変動表示したり、装飾図柄を確定表示したりする装飾図柄表示装置479が設けられている。装飾図柄の変動表示及び確定表示は、副制御基板940により制御され、主制御基板920による第1特別図柄や第2特別図柄の変動表示及び確定表示と同期している。装飾図柄の変動表示においては、第1特別図柄や第2特別図柄の変動表示よりも複雑かつ多様な演出が実行される。なお、第1特別図柄や第2特別図柄の変動表示及び確定表示と装飾図柄の変動表示及び確定表示とは、必ずしも完全に一致するタイミングで変動開始したり、確定表示として停止表示をしたりする必要はなく、各タイミングに僅かな時間差を設けつつ略同じタイミングで変動を開始し、略同じタイミングで確定表示が行われる設定としても良い。
また、遊技盤400は、各種の構造物の裏側に設けられた盤面発光装置490(図10参照)を備えており、盤面発光装置490は、副制御基板940による制御に基づいて遊技進行に伴う各種の発光演出や発光による状態報知を実行する。
ここで、各種の遊技状態及び遊技状態間の移行について説明する。通常時の遊技状態(以下において「通常遊技状態」とも略記する)は、第1特別図柄、第2特別図柄及び普通図柄の変動表示時間が長い状態(以下において「非時短状態」とも称す)に対応する。
第1特別図柄抽選又は第2特別図柄抽選において大当りに当選した場合には、その当選に基づいて移行する特別遊技状態中に遊技球が特定通路(下大入賞装置433の内部通路)へ進入するか否かに対応して、特別遊技状態後に移行する遊技状態が異なる。特別遊技状態中に遊技球が特定通路へ進入しなかった場合には、第1特別図柄抽選、第2特別図柄及び普通図柄の変動表示時間が非時短状態よりも短い状態(以下において「時短状態」とも称す)であって、かつ、第1特別図柄抽選及び第2特別図柄抽選における大当りの当選確率が通常遊技状態と同一の状態(以下において「低確率状態」とも称す)である遊技状態(以下において「時短遊技状態」とも称す)へ移行する。一方、特別遊技状態中に遊技球が特定通路へ進入した場合には、時短状態であって、かつ、第1特別図柄抽選及び第2特別図柄抽選における大当りの当選確率が通常遊技状態より高い状態(以下において「高確率状態」とも称す)である遊技状態(以下において「確変遊技状態」とも称す)へ移行する。
時短遊技状態は、第1特別図柄及び第2特別図柄に係る単位遊技の総数が所定の回数(例えば、50回)となるまで維持されるが、その後は通常遊技状態に戻る。また、確変遊技状態は、第1特別図柄及び第2特別図柄に係る単位遊技の総数が所定の回数(例えば、100回)となるまで維持されるが、その後は通常遊技状態に戻る。
なお、遊技状態及び遊技状態間の移行について、必ずしも上述した構成とする必要はなく、例えば、高確率状態が次回の大当りの当選まで継続する構成としても良いし、他の内容によって上記遊技状態の少なくとも1つを構成しても良いし、上述した各遊技状態とは別の遊技状態を更に含む構成としても良いし、上述した条件とは異なる条件によって遊技状態間が移行する構成としても良い。
次に、遊技盤400の主要な装置の動作について概ね時系列に沿って説明する。主制御基板920においては、特別図柄(第1特別図柄及び第2特別図柄で共通)に係る当選乱数、大当り図柄乱数、停止パターン乱数、各種の変動パターン乱数が生成されており、各種の遊技状態において第1特別図柄に係る始動入賞装置431A,431Bのいずれかに進入した遊技球が中始動入賞スイッチ441A,441B(図10参照)のいずれかによって検出された場合に第1特別図柄の始動入賞となる。第1特別図柄の始動入賞時に、第1特別図柄に係る単位遊技の権利が最大回数まで保留されていない場合には、特別図柄に係る当選乱数、大当り図柄乱数及び停止パターン乱数が取得されて、主制御基板920のRAMの所定の領域に格納される。
第1特別図柄の始動入賞に基づいて取得された乱数による単位遊技は、特別遊技状態中でなく、第1特別図柄又は第2特別図柄に係る単位遊技中でもなく、第1特別図柄に係る単位遊技の権利が保留されていない場合には、それらの乱数の格納の直後に開始される。また、特別遊技状態中でない場合であっても、第1特別図柄又は第2特別図柄に係る単位遊技中や第1特別図柄又は第2特別図柄に係る単位遊技の権利が保留されている場合には、今回の入賞より前に保留されていた全ての特別図柄(第1特別図柄及び第2特別図柄)に係る単位遊技の終了後に、今回の始動入賞に基づく単位遊技が開始される。特別遊技状態中に第1特別図柄の始動入賞に基づいて各乱数が取得された場合には、その乱数による単位遊技は、特別遊技状態後において今回の始動入賞より前に保留されていた全ての特別図柄に係る単位遊技の後に開始される。
また、第1特別図柄の始動入賞に基づいて取得された乱数による単位遊技は、第2特別図柄に係る全ての単位遊技の終了後に開始される。すなわち、今回の始動入賞の後に第2特別図柄の始動入賞に基づいて各乱数が取得された場合には、その第2特別図柄の始動入賞に基づく単位遊技が優先して実行される。なお、必ずしも第2特別図柄の始動入賞に基づく単位遊技が第1特別図柄に係る単位遊技に優先して実行される構成とする必要はなく、始動入賞の順に第1特別図柄と第2特別図柄に係る単位優位制御が実行される構成であっても良いし、2つの特別図柄が択一的でなく同時に変動可能な構成であっても良い。
第1特別図柄の始動入賞に基づく第1特別図柄抽選において大当りに当選している場合には、更に、取得された大当り図柄乱数に基づいて第1特別図柄抽選の大当り当選に対応する停止図柄(大当り図柄)の種類が決定される。この停止図柄の種類と大当りの種類とが対応し、例えば、下進入規制機構453又は中進入規制機構454が進入許容姿勢をとる回数に相当するラウンド数(例えば、5ラウンドと16ラウンド)や、特別遊技状態後に移行する遊技状態(確変遊技状態へ移行させるか否か)といった遊技状態の種類に対応して大当りの種類が複数種類設定され、その種類毎に大当り図柄が設定されている。第1特別図柄抽選において大当りに当選しなかった場合には、大当り図柄とは別のハズレ図柄が停止図柄として設定される。
第1特別図柄抽選の後に、現在の遊技状態、抽選結果、停止パターン乱数の値、各種の変動パターン乱数の値、第1特別図柄に係る単位遊技の権利の保留回数に基づいて、第1特別図柄の変動表示時間が決定されると共に、装飾図柄の変動パターンが選択される。その後、第1特別図柄に係る特別図柄表示装置471における第1特別図柄の変動表示及び装飾図柄表示装置479における装飾図柄の変動表示(変動演出)が開始され、第1特別図柄にあっては変動表示時間に亘って一定のパターンによる変動表示が継続され、装飾図柄にあっては変動表示時間に亘って変動パターンに従った変動表示が継続される。その後、変動表示時間の経過に伴って、第1特別図柄に係る停止図柄が確定表示され、また、装飾図柄として第1特別図柄の停止図柄に対応する図柄が確定表示される。第1特別図柄及び装飾図柄の確定表示は少なくとも所定の一定時間に亘って継続される。
第1特別図柄に係る停止図柄が大当り図柄である場合には、第1特別図柄の確定表示後に、遊技状態は特別遊技状態に移行する。特別遊技状態においては、下大入賞装置433の下進入規制機構453及び中大入賞装置434の中進入規制機構454が、大当りの種類に応じた所定の順序で所定の回数だけ進入許容姿勢となる。下進入規制機構453及び中進入規制機構454における各回の進入許容姿勢中において、所定の個数(例えば、8球)の遊技球が大入賞スイッチ443,444によって検出された場合、又は、所定の最大進入許容時間(例えば、29.5秒)が経過した場合には、下進入規制機構453又は中進入規制機構454は進入禁止姿勢に移行する。その後、所定の進入禁止時間の経過後に、再度、下進入規制機構453又は中進入規制機構454のいずれかが進入許容姿勢に復帰する。この進入規制動作が大当りの種類に対応した所定の順序で所定の回数だけ繰り返される。
下進入規制機構453及び中進入規制機構454は、特別遊技状態中においていずれか一方のみが進入許容姿勢をとる構成とされ、特別遊技状態の開始から所定の待機時間が経過した後(オープニング期間後)に初回の進入許容姿勢に一方が移行する。また、最終回の進入禁止姿勢への復帰から所定の進入禁止時間が経過し、更にその後に所定の待機時間が経過した後(エンディング期間後)に特別遊技状態は終了する。特別遊技状態の終了後には、上述のように、時短遊技状態又は確変遊技状態に移行する。
各種の遊技状態において、第2特別図柄に係る右始動入賞装置432に進入した遊技球が右始動入賞スイッチ442によって検出された場合に第2特別図柄の始動入賞となる。第2特別図柄の始動入賞に基づく単位遊技の制御は、上述した第1特別図柄に係る制御と同様に実行される。すなわち、第2特別図柄の始動入賞時に第2特別図柄に係る単位遊技の権利が最大回数まで保留されていなければ、特別図柄に係る各乱数が取得されて、この始動入賞に基づく単位遊技が実行される。また、第2特別図柄抽選に応じた停止図柄の決定、装飾図柄の変動パターンの選択、変動表示の実行、及び、遊技状態の移行制御等についても、第1特別図柄に係る制御と同様に実行される。
各種の遊技状態において、始動装置436に進入した遊技球が始動スイッチ446によって検出された場合、普通図柄に係る単位遊技の権利が最大回数まで保留されていなければ、普通図柄に係る当選乱数が取得されて、主制御基板920のRAMの所定の領域に格納される。このとき、普通図柄に係る単位遊技中でなければ、その格納の直後に、その取得された普通図柄に係る単位遊技が開始される。一方、普通図柄に係る単位遊技中であれば、既得の普通図柄に係る単位遊技の権利に基づく単位遊技の終了後に、その取得された普通図柄に係る単位遊技が開始される。
普通図柄に係る単位遊技においては、当選乱数の値に基づいて当選したか否かが判定され、当選した場合には、停止図柄として所定の当り図柄が設定される。一方、普通図柄抽選において当選しなかった場合には、停止図柄として所定のハズレ図柄が設定される。普通図柄抽選後に、普通図柄表示装置473において普通図柄の変動表示が開始され、非時短状態にあっては所定の変動表示時間に亘って一定のパターンによる変動表示が継続され、時短状態にあっては非時短状態よりも短い所定の変動表示時間に亘って一定のパターンによる変動表示が継続される。遊技状態に応じた所定の時間の経過に伴って、普通図柄に係る停止図柄が一定時間に亘って確定表示される。
普通図柄に係る停止図柄が当り図柄である場合には、普通図柄の確定表示後に、右始動入賞装置432の右進入規制機構452が少なくとも1回は進入許容姿勢に移行する。具体的には、非時短状態(通常遊技状態及び特別遊技状態)において当選した場合には、右始動入賞装置432が所定の最大進入許容時間(例えば、略0.1秒)に亘って進入許容状態へ移行し、時短状態(時短遊技状態及び確変遊技状態)における当選の場合には、右始動入賞装置432が非時短状態の場合より長い所定の最大進入許容時間(例えば、略4.8秒)に亘って間欠的に(例えば、3回に分けて)進入許容姿勢に移行する。但し、所定の個数(例えば、10球)の遊技球が右始動入賞スイッチ442によって検出された場合には、右進入規制機構452は最大進入許容時間の経過を待たずに進入禁止姿勢に移行し、また、進入許容姿勢への移行回数が所定の回数に到達していなくても、今回の普通図柄に係る単位遊技における右始動入賞装置432の動作が終了する。
次に、本実施形態のパチンコ機100の遊技性について説明する。第2特別図柄抽選を受けるためには、まず、普通図柄抽選において当選しなければならず、更に、その当選に基づく右始動入賞装置432の進入許容状態において遊技球が右始動入賞装置432へ進入しなければならない。通常遊技状態における普通図柄に係る当りの当選確率は時短遊技状態における当選確率と同一であるが、通常遊技状態における当りの当選に基づく右始動入賞装置432の進入許容状態の滞在時間(例えば、略0.1秒)が時短状態における滞在時間(例えば、略4.8秒)に比べて極めて短く設定されているために、通常遊技状態において、第2特別図柄抽選を受けられる単位時間当りの機会は、第1特別図柄抽選を受けられる単位時間当りの機会よりも大幅に小さい。逆に、時短遊技状態や確変遊技状態等の時短状態においては、第2特別図柄抽選を受けられる単位時間当りの機会は、第1特別図柄抽選を受けられる単位時間当りの機会よりも大幅に大きい。
したがって、遊技者は、第1特別図柄抽選において大当りに当選し、その後の特別遊技状態において遊技球を特定通路へ進入させることによる確変遊技状態への移行を目指して遊技する。一方、時短遊技状態及び確変遊技状態においては、各遊技状態が終了する前に第2特別図柄抽選において大当りに当選することを目指して遊技する。
具体的には、遊技盤400には、遊技球が流下する遊技領域の中央部に中央構造体420が設けられ、主に中央構造体420の左側から遊技球を流下させる遊技手法(左打ち遊技手法)と、主に中央構造体420の右側から遊技球を流下させる遊技手法(右打ち遊技手法)とが選択的に行える構成となっている。遊技者は、通常遊技状態においては、左打ち遊技手法によって遊技を行い、時短遊技状態及び確変遊技状態においては、右打ち遊技手法によって遊技を行う。また、下大入賞装置433が作動する特別遊技状態は、右打ち遊技手法によって遊技を行い、中大入賞装置434が作動する特別遊技状態は、左打ち遊技手法によって遊技を行う構成とされている。
次に、後ブロック104について説明する。図8及び図9は、それぞれ、パチンコ機100を示す背面側斜視図及び背面図である。なお、図8においては、理解の容易のために、外枠101を省略して示している。
後ブロック104は、図8及び図9に示すように、基体501に他の部材や装置が取着されて構成されている。この基体501と中間ブロック103とが後ブロック支持機構136,137によって接続されることにより、後ブロック104が中間ブロック103に対して開閉可能に支持されている。
後ブロック104は、遊技球を貯留する球貯留部としての遊技球タンク510と、遊技球タンク510の下流側に連続して遊技球を(例えば、1列に)整流させると共に1段に整列させる球整列部としてのタンクレール520と、タンクレール520の下流側においてタンクレール520から流入した遊技球を誘導する球誘導部としてのケースレール530と、ケースレール530の下流側において遊技球の払い出しや遊技球の貸し出しを実行する払出装置540と、払出装置540の下流側において払出装置540から流出した遊技球を基体501に形成された誘導通路(図示せず)に誘導する球誘導部としての誘導部材550と、払出装置540による遊技球の払い出しや遊技球の貸し出しを制御する払出制御装置560と、外部電力を各種の装置等で必要とする所定の電圧の電力に変換して出力する電力供給手段としての機能と発射操作装置250に対する発射操作に基づく遊技球の射出を主制御基板920と協同して制御する発射制御手段としての機能とを有する電源・発射制御装置570と、払出制御装置560及び遊技球貸出装置290(図1参照)とパチンコ機100の側方に配置されるカードユニット(図示せず)との間の信号を中継する中継装置950とを備えている。
基体501は、樹脂(例えば、ABS樹脂)により一体成型されており、前側部分に対応するベース部502と、ベース部502よりも後方に位置した保護カバー部503とを含んでいる。ベース部502は、その上側部分が後ブロック104の外形に沿って略枠状に形成されると共に、下側部分が前後方向に厚みを有する略平坦状に形成されており、他の装置が取り付けられる被取付部としての機能を有している。
保護カバー部503は、前後方向に厚みを有する略板状に形成されている。また、保護カバー部503は、中間ブロック103の背面全域を覆う形状でなく、主制御装置370の一部といった頻繁に検査や確認が必要な中間ブロック103の背面における一部をパチンコ機100の背面に露出するための窓部を形成する大きさに設定されている。保護カバー部503の背面には、主制御装置370及び副制御装置390における発熱の放熱性を向上させる機能を有する多数の通気孔503Aが形成されている。
遊技球タンク510は、上方に開口した横長の箱型容器であり、その長手方向の一端側に、島設備の球循環装置(図示せず)から供給される遊技球が逐次補給される。遊技球タンク510における遊技球の供給される側と異なる長手方向の一端側には開口(図示せず)が形成されている。遊技球タンク510の底面は長手方向に緩やかに傾斜し、遊技球タンク510に供給された遊技球は開口側に自重によって移動する。また、遊技球タンク510の底面は、長手方向に比して、長手方向と直交する方向(前後方向)にも傾斜し、開口が設けられる側(例えば、前側)に優位に遊技球を誘導する。また、遊技球タンク510の底面には、その上に重なるようにして金属製の帯電防止板(図示せず)が取着され、帯電防止板が接地電位に接続されて遊技球タンク510内及びその下流側の遊技球の静電気が除去される。
タンクレール520は、遊技球タンク510の開口が形成される側に取り付けられ、遊技球タンク510の開口を通して遊技球が流入する。タンクレール520は、遊技球が1列に並んで通過する幅を有する略樋状の遊技球の通路を形成する通路形成部材521と、通路形成部材521により形成される通路の上面として次第に高さが低くなる天面部を有してその通路を流下する遊技球を上下に重なった高さから次第に1段の高さに整流する整流部材522とを備えている。タンクレール520により形成される通路は、下流側に向けて緩やかに傾斜しており、遊技球タンク510とは反対側へ遊技球を誘導する。
ケースレール530は、タンクレール520の下側に連続するように縦長に形成されており、タンクレール520からの遊技球が流入する。ケースレール530には、遊技球が勢いよく流れないように左右に湾曲しつつ下方に連続している。また、ケースレール530における球通路の途中部分には、球切れを検出するための貯留球スイッチ591(図10参照)が取着されている。貯留球スイッチ591は、ケースレール530又はその上流側で球詰り等が発生してケースレール530内に遊技球が正常に補給されていない球切れ状態を検出する。
払出装置540は、遊技球を送り出す送出機構と、送出機構を駆動する駆動手段としての払出モータ542(図10参照)と、払出計数スイッチ592(図10参照)とを備えている。払出制御装置560による制御に基づく払出モータ542の作動に応じて、球通路に貯留されている遊技球が下流側へ放出される。放出された遊技球の球通路の通過は、払出計数スイッチ592に検出され、これにより、払出制御装置560(払出制御基板930)が遊技球の払い出し数を計数する。
払出制御装置560及び電源・発射制御装置570は、図8及び図9に示すように、後ブロック104の背面側下部に位置するように基体501のベース部502における下部背面に重なるようにして取り付けられている。これら払出制御装置560及び電源・発射制御装置570を含む後ブロック104は、機種変更等において遊技盤400を別の遊技盤に交換した場合にも、継続利用可能とされている。
払出制御装置560は、払出制御基板930(図10参照)と、払出制御基板930を収容する基板ケースとを備え、払出制御基板930は、主制御基板920と同様に、開封の痕跡を残さずに開封できないように封止された基板ケースの内部に収容されている。
電源・発射制御装置570は、電源・発射制御基板900(図10参照)と、電源・発射制御基板900を収容する基板ケースとを備え、電源・発射制御基板900は、主制御基板920と同様に、封止された基板ケースの内部に収容されている。
<電気的な構成>
次に、パチンコ機100の電気的構成について説明する。図10は、パチンコ機100の電気的構成を示すブロック図である。パチンコ機100は、図10に示すように、電源・発射制御基板900、電源監視基板910、主制御基板920、払出制御基板930、副制御基板940等の制御回路装置を備えている。なお、図10において、各種の信号を中継するだけの中継回路装置については省略している。以下に、これらの主要な制御回路装置を個別に詳細に説明する。
電源・発射制御基板900は、パチンコ機100の各部に電源供給路(図中の破線)を介して所定の電圧の電力を供給する電源部901と、発射操作装置250の操作に応じて発射装置330の駆動を制御する発射制御部902と、初期化スイッチ907からの初期化信号や球溢れスイッチ249からの球溢れ信号を中継する信号中継部903とを備えている。
電源部901は、外部より供給される外部電力(例えば、交流24ボルト)を取り込んで内部電力(例えば、直流24ボルト)に変換すると共に、その内部電力から各種の電力を生成する。電源部901により生成される電力は、各種のソレノイドや各種のモータ等の機器を駆動するための駆動用電圧(例えば、直流12ボルト)の電力、各種のスイッチを駆動したり制御処理を実行したりするための制御用電圧(例えば、直流5ボルト)の電力、主制御基板920のRAMの内容を保持させるためのバックアップ用電圧の電力等を含んでいる。
電源部901は、内部電力から生成した各種の電力を、電源監視基板910、主制御基板920、払出制御基板930、副制御基板940等に供給する。具体的には、電源監視基板910に対しては、内部電力、駆動用電圧、制御用電圧及びバックアップ電圧の電力が供給される。主制御基板920に対しては、駆動用電圧、制御用電圧及びバックアップ電圧の電力が供給され、これら電力は、電源監視基板910の電源監視部911を介して供給される。払出制御基板930に対しては、駆動用電圧及び制御用電圧の電力が供給される。副制御基板940に対しては、駆動用電圧及び制御用電圧の電力が供給される。発射制御部902及び信号中継部903に対しては、駆動用電圧及び制御用電圧の電力が供給される。
電源部901には、電源スイッチ909が接続されており、電源スイッチ909がオフ状態である場合には外部電力の取り込みが停止される。なお、電源スイッチ909をオフ状態にしたり、電源スイッチ909を介して電源部901に接続される電源プラグ(図示せず)を外部電力の供給コンセント(図示せず)から抜脱したりすることによってパチンコ機100の内部への電力の供給が停止している状態や、外部電力自体の供給が停止している状態を「停電状態」と総称する。
電源部901は、停電状態への移行後においても所定の期間にわたり制御用電圧の電力を正常に出力するように構成されている。これによって、主制御基板920は、現在の制御状態に復帰できるように状態を保存して制御を終了させることができる。
発射制御部902は、主制御基板920と協同して、発射装置330の球送りソレノイド332及び発射ソレノイド334の駆動を制御する。なお、球送りソレノイド332及び発射ソレノイド334は、所定条件が整っている場合に作動が許可される。具体的には、遊技者が発射ハンドル252(図1参照)に触れていることが接触センサ254からの接触センサ信号に基づいて検知されていること、発射を停止させるための発射停止スイッチ255が操作されていないことを条件に、発射制御部902はオン状態の発射許可信号を主制御基板920に出力する。また、発射許可信号と発射異常信号とに基づいて主制御基板920は発射ソレノイド制御信号及び球送りソレノイド制御信号を発射制御部902に出力する。発射制御部902は、オン状態の球送り制御信号に基づいて球送りソレノイド332を作動させ、オン状態の発射ソレノイド制御信号の受信と可変抵抗器253の抵抗値とに基づいて発射ソレノイド334を作動させる。これによって、発射装置330から可変抵抗器253の抵抗値(発射ハンドル252の回転操作量)に応じた強さで遊技球が順次に発射される。
信号中継部903は、初期化スイッチ907が押下された場合に、主制御基板920へオン状態の初期化信号を出力する。主制御基板920においては、オン状態の初期化信号の受信に応じて主制御基板920のRAMに保存された保存情報を初期化する。なお、初期化スイッチ907は、必ずしも信号中継部903を介して主制御基板920に信号を出力する構成とする必要はなく、例えば、初期化スイッチ907を主制御基板920に直接搭載する等して基板ケース371内に初期化スイッチ907が収容される構成としても良く、これにより信号が伝送される区間を狙った不正な信号入力を抑止することができる。
また、信号中継部903は、球溢れスイッチ249が遊技球を検出した場合に、主制御基板920へオン状態の球溢れ信号を出力する。主制御基板920においては、オン状態の球溢れ信号の検知に基づいて払出制御基板930に低速払出信号を出力し、低速払出信号を受信した払出制御基板930は、払出モータ542の回転速度(払出装置540からの遊技球の払出速度)を低速化させる。また、主制御基板920は、オフ状態の球溢れ信号の検知に基づいて払出制御基板930に高速払出信号を出力し、高速払出信号を受信した払出制御基板930は、払出モータ542の回転速度を高速化させる。
電源監視基板910は、電源・発射制御基板900からの電力供給状態を監視する電源監視部911と、電源・発射制御基板900と主制御基板920との間の電力供給及び各種の信号の伝達を中継する信号中継部912とを含んでいる。電源監視部911は、停電状態への移行に応じて主制御基板920へ停電信号を出力するものでもあり、電源部901から出力される最大電圧である直流安定24ボルトの電圧を監視し、この電圧が22ボルト未満である状態が所定の時間だけ継続した場合に停電状態であると判断して、オン状態の停電信号を主制御基板920へ出力する。主制御基板920は、オン状態の停電信号の受信によって停電状態への移行を認識する。
主制御基板920は、パチンコ機100の動作を統括的に制御する。主制御基板920には、1チップマイコンとしてのMPU(図示せず)が搭載されている。MPUは、演算処理装置としてのCPU(図示せず)と、CPUにより実行される各種の制御プログラムや固定データを記憶したROM(図示せず)と、制御プログラムの実行に際して一時的に各種のデータ等を記憶するRAM(図示せず)とを含んでいる。主制御基板920には、その他、タイマ回路(図示せず)、カウンタ回路(図示せず)、クロック発生回路(図示せず)、信号送受信回路(図示せず)等の各種回路が搭載されている。主制御基板920のRAMは、停電状態への移行後においても電源・発射制御基板900からのバックアップ電圧の電力供給によって内部データを維持(バックアップ)できる構成となっている。
払出制御基板930は、主制御基板920からの指示に応じた払出装置540による遊技球の払い出し動作や遊技球貸出装置290の操作に応じた払出装置540による遊技球の貸し出し動作を制御する。払出制御基板930は、主制御基板920と同様に、CPU(図示せず)、ROM(図示せず)及びRAM(図示せず)を含む1チップマイコンとしてのMPU(図示せず)、タイマ回路(図示せず)、カウンタ回路(図示せず)、クロック発生回路(図示せず)、信号送受信回路(図示せず)等の各種回路が搭載されている。また、払出制御基板930は、他の装置と情報通信可能に接続する接続手段としての入出力ポートが搭載されており、例えば、主制御基板920及び中継装置950とは双方向の情報入出力通信が可能に接続され、開閉検出スイッチ108,109、貯留球スイッチ591、及び、払出計数スイッチ592とは、一方向のみの情報入力通信のみが可能に接続され、払出モータ542とは、一方向のみの情報出力通信のみが可能に接続されている。なお、払出制御基板930のRAMは、主制御基板920のRAMと同様に、停電状態において一定の期間にわたって内部データを維持可能とするバックアップ機能を有する構成としても良いし、主制御基板920のRAMとは異なり、停電状態において内部データを維持しない構成としても良い。
副制御基板940は、主制御基板920からの指示に基づいて、各種の演出装置や各種の発光装置や各種の音響装置等の動作を制御する。副制御基板940は、他の装置と情報通信可能に接続する接続手段としての入出力ポートが搭載されており、例えば、主制御基板920とは一方向のみの情報入力通信のみが可能に接続され、入力操作装置260とは双方向に情報通信可能に接続され、装飾図柄表示装置479等とは一方向の情報出力通信のみが可能に接続されている。
<各種の制御処理>
次に、主制御基板920によって実行される各種の制御処理について説明する。主制御基板920における制御処理は、大別すると、停電状態からの復帰に伴い起動されるメイン処理と、定期的に(本形態では2ms(ミリ秒)周期で)メイン処理に割込みをかけて実行されるタイマ割込み処理とで構成されている。
まず、図11を参照して、主制御基板920によって実行されるメイン処理について説明する。図11は、主制御基板920のメイン処理(図11においては「主制御メイン処理」と略記)を示すフローチャートである。
主制御基板920のメイン処理において、まず、主制御基板920の立ち上げや各種の情報を初期設定するための一連の制御開始処理(プログラム開始処理S1001〜乱数初期設定処理S1019)が一度だけ実行され、その後は、割込みを禁止する割込み禁止処理S1020と、特別図柄に係る当選乱数初期値カウンタ(RAMの一部の領域)及び大当り図柄乱数初期値カウンタ(RAMの一部の領域)並びに普通図柄に係る当選乱数初期値カウンタ(RAMの一部の領域)の値を更新する乱数初期値更新処理S1021と、変動時間や変動パターン等を決定するための第1の変動種別カウンタ〜第4の変動種別カウンタ(RAMの一部の領域)の値を更新する変動用カウンタ更新処理S1022と、割込みを許可する割込み許可処理S1023とが繰り返し実行される。なお、割込み許可処理S1023の前にタイマ割込みの要求が発生した場合には、割込み許可処理S1023の直後にタイマ割込み処理が実行される。
一連の制御開始処理において、プログラムの実行を制御するスタックポインタ(RAMの一部の領域)に初期値を設定するプログラム開始処理S1001と、割込みモードを設定する割込みモード設定処理S1002と、払出制御基板930及び副制御基板940等が立ち上がるまで所定の時間だけ待機する立上待機処理S1003とが実行される。
立上待機処理S1003の後に、電源・発射制御基板900の初期化スイッチ907からの初期化信号の出力状態の判定処理S1004、停電情報(RAMの一部の領域)の値の判定処理S1005、保存情報の記憶状態の判定処理S1007が行われ、これらの判定結果に基づいてRAMの保存情報を消去するか否かが判定される。ここで、保存情報とは、停電前の遊技の状態に復帰させるために必要な情報であって、停電前に遊技の進行に応じて更新されていたRAMの一部の領域に対応し、実行中の単位遊技に関するカウンタの値や、始動入賞によって格納されたカウンタの値等が例示される。
保存情報の記憶状態は、次のように判定される。まず、RAMの所定の範囲の記憶領域に対するチェックサム値を算出して(チェックサム算出処理S1006)、その現在のチェックサム値と前回の停電状態への移行に伴い停電監視処理S1202(図12参照)において算出されたチェックサム値の2の補数であるRAM判定値との排他的論理和が「0」であるか否か(判定処理S1007)が判定され、これにより、現在のチェックサム値と停電状態への移行時のチェックサム値とが同一であるか否かが判定される。
初期化信号がオン状態である場合(S1004:Y)、停電情報が停電状態への移行時に保存情報を保存して終了したことを示す所定の停電値でない場合(S1005:N)、又は、保存情報が正常に保持されていない場合(S1007:N)には、RAMの保存情報を消去するRAMクリア処理S1008が実行される。保存情報が正常に保持されていると判断された後(S1007:Y)、又は、RAMクリア処理S1008が実行された後には、主制御基板920に接続されている各種の装置を初期化するハードウェア初期化処理S1009が実行される。
ハードウェア初期化処理S1009の後には、停電情報が停電値であるか否かの判定処理S1010が実行される。停電情報が停電値である場合(S1010:N)には、保持情報の復帰を含め各種の情報を初期設定するRAM復帰設定処理S1011と、その設定完了を示す復帰コマンドが設定される(復帰コマンド出力処理S1012)。RAM復帰設定処理S1011における保持情報の復帰によって、前回の停電状態への移行直前の制御状態に主制御基板920の制御状態が復帰する。
一方、停電情報が停電値でない場合(S1010:Y)には、保持情報の復帰は行わずに各種の情報が初期設定され(RAM初期設定処理S1013)、その設定完了を示す初期化コマンドが出力される(初期化コマンド出力処理S1014)。
なお、RAM復帰設定処理S1011及びRAM初期設定処理S1013において、停電情報は停電値と異なる所定の通電値に設定され、また、前回の停電状態への移行直前において不正検知エラー等の各種のエラー状態が発生していてもそれらのエラー状態は全て解除される。また、主制御基板920から払出制御基板930及び副制御基板940の双方に復帰コマンドか初期化コマンドのいずれかが出力され、復帰コマンド又は初期化コマンドを受信した払出制御基板930及び副制御基板940の各々においても所定の初期化処理が実行される。
立上時の状況に応じたRAMの初期設定(判定処理S1004〜初期化コマンド出力処理S1014)の後に、前回の停電状態への移行時に条件装置が作動していた場合には、特別遊技状態に復帰させるための準備が行われる(特別遊技状態復帰準備処理S1015)。具体的には、特別遊技状態復帰準備処理S1015においては、条件装置と役物連続作動装置の作動状態が判定され、停電状態時における遊技の状況に対応した処理が、副制御基板940において実行される。
特別遊技状態復帰準備処理S1015の後には、時短状態フラグが設定されているか否かを判定することにより時短状態であるか非時短状態であるかが判定され(判定処理S1016)、時短状態である場合(S1016:Y)には、時短コマンドが出力される(時短コマンド出力処理S1017)。一方、非時短状態である場合(S1016:N)には、非時短コマンドが出力される(非時短コマンド出力処理S1018)。その後、特別図柄に係る当選乱数カウンタ(RAMの一部の領域)の値が初期化される(乱数初期設定処理S1019)。
次に、図12を参照して、主制御基板920によって実行されるタイマ割込み処理について説明する。図12は、主制御基板920によって実行されるタイマ割込み処理(図中では「主制御割込み処理」と略記)を示したフローチャートである。
主制御基板920のタイマ割込み処理では、まず、タイマ割込みを開始させるための割込み開始処理S1201が実行される。具体的には、割込み制御レジスタに所定の値が設定される。これにより、本タイマ割込み以外の割込みが禁止される。その後に、パチンコ機100の遊技の進行制御や各種センサの監視等といった実質的な制御に係る停電監視処理S1202〜外部情報出力処理S1221が順次に実行される。但し、各種の不正の検知に基づいて遊技進行が停止されている場合(S1207:Y)には、制御信号出力処理S1208〜外部情報出力処理S1221は実行されない。最後に、次回のタイマ割込みを許可する割込み許可処理S1222が実行されて、今回のタイマ割込み処理が終了する。以下において、各種の主要な処理について個別に説明する。
停電監視処理S1202においては、電源監視基板910の電源監視部911から出力されている停電信号の出力状態に基づいて停電情報(RAMの一部の領域)の値が更新される。具体的には停電信号の出力状態が3度に亘り確認され、3度ともオン状態が検出された場合に停電状態であると判定される。この判定において停電状態であると判定されなかった場合には、停電情報は通電値に維持される。
一方、停電監視処理S1202において停電状態であると判定された場合には、以下の処理が実行される。まず、停電情報の値がRAM復帰設定処理S1011又はRAM初期設定処理S1013(図11参照)において設定された通電値から所定の停電値に変更される。また、RAMの所定の範囲の記憶領域に対するチェックサム値を算出し、そのチェックサム値の2の補数をRAM判定値として設定する。これにより、パチンコ機100は、遊技の進行や各種センサの監視等といった実質的な制御を行わない無限ループに入り、RAM判定値が設定された後のRAMの状態がバックアップ電力に基づいて保持される。なお、停電信号の出力状態が3度に亘り確認されるために、停電信号の受信を初めて検知してから、タイマ割込みの各処理は2回に亘り実行される。
乱数更新処理S1203においては、特別図柄に係る当選乱数カウンタ、大当り図柄乱数カウンタ、停止パターン選択カウンタ及び普通図柄に係る当選乱数カウンタが更新される。具体的には、特別図柄に係る当選乱数カウンタの値が、規定最大値(例えば、「576」)と異なる値である場合には、現在値より「1」だけ大きい値に変更され、特別図柄に係る当選乱数カウンタの値が規定最大値である場合には、規定最小値(「0」)に変更される。但し、変更後の値が特別図柄に係る当選乱数カウンタに対する循環初期値と同一の値となる場合には、特別図柄に係る当選乱数カウンタの値が、特別図柄に係る当選乱数初期値カウンタと同一の値に設定され、また、循環初期値も当選乱数初期値カウンタと同一の値に設定される。
大当り図柄乱数カウンタ、停止パターン選択カウンタ及び普通図柄に係る当選乱数カウンタについても、特別図柄に係る当選乱数カウンタの場合と同様にして更新される。ただし、各カウンタの規定最大値と規定最小値とにより定められる更新範囲としては各カウンタに固有の値が設定され、複数のカウンタが非同期で更新される構成とされ、各カウンタの循環初期値には各カウンタに固有の初期値カウンタが参照される。例えば、特別図柄に係る当選乱数カウンタと特別図柄に係る当選乱数初期値カウンタとは値の範囲が同一であり、大当り図柄乱数カウンタと大当り図柄乱数初期値カウンタとは値の範囲が同一であり、普通図柄に係る当選乱数カウンタと普通図柄に係る当選乱数初期値カウンタとは値の範囲が同一である。
乱数初期値更新処理S1204においては、特別図柄に係る当選乱数初期値カウンタ、大当り図柄乱数初期値カウンタ及び普通図柄に係る当選乱数初期値カウンタが更新される。具体的には、特別図柄に係る当選乱数初期値カウンタの値が規定最大値(例えば、「576」)と異なる値である場合には、現在値より「1」だけ大きい値に変更され、特別図柄に係る当選乱数初期値カウンタの値が規定最大値である場合には、規定最小値(「0」)に変更される。特別図柄に係る図柄乱数初期値カウンタ及び普通図柄に係る当選乱数初期値カウンタについても、規定最大値や規定最小値がそれらのカウンタに固有の値であること以外は、特別図柄に係る当選乱数初期値カウンタの場合と同様にして更新される。
変動用カウンタ更新処理S1205においては、変動時間や変動パターン等を決定するための第1の変動種別カウンタ〜第4の変動種別カウンタの値が更新される。具体的には、第1の変動種別カウンタの値が規定最大値(例えば、「187」)と異なる値である場合には、現在値より「1」だけ大きい値に変更され、第1の変動種別カウンタの値が規定最大値である場合には、規定最小値(「0」)に変更される。第2の変動種別カウンタ〜第4の変動種別カウンタについても、規定最大値や規定最小値がそれらのカウンタに固有の値であること以外は、第1の変動種別カウンタの場合と同様にして更新される。
遊技停止判定処理S1206においては、不正検知情報が不正検知値である場合には、遊技停止値に更新されると共に、遊技進行を停止させるための各種の情報が設定される。一方、不正検知情報が不正検知値でない場合や既に遊技停止値である場合には、遊技進行を停止させるための各処理は実行されずに遊技停止判定処理S1206は終了する。なお、不正検知情報は、不正検知処理S1211において各種の不正の発生が検知された場合に不正検知値に設定される。また、判定処理S1207においては、不正検知情報が遊技停止値であるか否かによって遊技停止中であるか否かが判定される。
制御信号出力処理S1208においては、出力バッファに格納された制御データに基づいて、第1の特別図柄に係る特別図柄表示装置471、第2の特別図柄に係る特別図柄表示装置472及び普通図柄に係る普通図柄表示装置473等の各種の報知装置を制御する信号が出力される。また、出力バッファに格納された制御データに基づいて、球送りソレノイド332、発射ソレノイド334、右進入規制ソレノイド462、下進入規制ソレノイド463、中進入規制ソレノイド464、切換ソレノイド465等の各種のアクチュエータを制御する信号が出力される。
スイッチ読込処理S1209においては、中始動入賞スイッチ441A,441B、右始動入賞スイッチ442、下大入賞スイッチ443、中大入賞スイッチ444、役連作動スイッチ445、始動スイッチ446、非特定通路スイッチ447、特定通路スイッチ448、及び、一般入賞スイッチ449A,449Bの各々からの信号状態が読み込まれて、各種のスイッチによる遊技球の検出状態の変化が検知される。
具体的には、スイッチ読込処理S1209において、各種のスイッチからの信号状態が所定の時間間隔を隔てて2度に亘り入力バッファ(RAMの一部の領域)に読み込まれ、各種のスイッチからの信号ごとに、1回目に読み込まれた信号状態(以下において「第1の信号状態」と略記する)と、2回目に読み込まれた信号状態(以下において「第2の信号状態」と略記する)と、前回のタイマ割込みで検知された検出状態(以下において「前回の検出状態」と略記する)とに基づいて、各種のスイッチの検出状態の変化が検知される。そして、各スイッチに対して、前回の検出状態がオフ状態である場合において、第1の信号状態がオン状態であり、第2の信号状態がオン状態である場合には、オン状態移行と判断されて、スイッチの種類に応じた検出フラグ(RAMの一部の領域)が設定される。なお、停電監視処理S1202で説明したように、電源供給が停止したとしても、タイマ割込みの各処理が2回に亘り実行されるために、電源供給が停止した直後に各種のスイッチのオン状態が開始された場合であっても各種のスイッチの検出フラグを正確に設定することができる。
タイマ更新処理S1210においては、特別図柄及び普通図柄の変動表示、各遊技状態の制御、及び、不正監視等に使用される各種のタイマ(RAMの所定の領域)が更新される。
不正検知処理S1211においては、各種の入賞装置に強制的に遊技球を進入させたり、各種の入賞装置を強制的に作動させたりするような不正行為が検知される。具体的には、右始動入賞装置432、下大入賞装置433及び中大入賞装置434の強制的な進入許容姿勢への移動、加振による下大入賞装置433の特定通路への遊技球の誘導、電波による右始動入賞装置432、下大入賞装置433及び中大入賞装置434の強制的な誤作動の誘発、磁気吸着による各種の入賞装置への遊技球の誘導、上側中始動入賞装置431A、下側中始動入賞装置431B、右始動入賞装置432、下大入賞装置433及び中大入賞装置434への異常なタイミングでの遊技球の誘導等の不正行為が行われた可能性の高い状況の発生を検知する。
入賞検知応答処理S1212においては、遊技盤400に設けられた各種のスイッチによる遊技球の検出に基づく制御が実行される。具体的には、上側中始動入賞スイッチ441A(図10参照)及び下側中始動入賞スイッチ441B(図10参照)による遊技球の検出に基づいて、中始動入賞スイッチ検出フラグが設定されている場合には、中始動入賞カウンタ(RAMの所定の領域)及び第1払出カウンタ(RAMの所定の領域)が更新される。また、右始動入賞スイッチ442(図10参照)による遊技球の検出に基づいて右始動入賞スイッチ検出フラグが設定されている場合には、第1払出カウンタが更新される。また、下大入賞スイッチ443(図10参照)による遊技球の検出に基づいて下大入賞スイッチ検出フラグが設定されている場合や、中大入賞スイッチ444(図10参照)による遊技球の検出に基づいて中大入賞スイッチ検出フラグが設定されている場合には、大入賞カウンタ(RAMの所定の領域)及び第2払出カウンタ(RAMの所定の領域)が更新される。
発射制御処理S1213においては、発射装置330による遊技球の発射を制御するための発射関連情報が更新される。具体的には、球送り機構331を駆動する球送りソレノイド332の作動フラグ及び発射機構333を駆動する発射ソレノイド334の作動フラグが更新される。
入力信号監視処理S1214においては、払出制御基板930を介した開閉検出スイッチ108(図10参照)からの信号の出力状態に基づいて、外枠101(図1及び図2参照)に対して中間ブロック103(図1及び図2参照)が閉鎖されているか否かが検知される。また、払出制御基板930(図10参照)を介した開閉検出スイッチ109からの信号の出力状態に基づいて、中間ブロック103(図2及び図3参照)に対して前ブロック102(図2及び図3参照)が閉鎖されているか否かが検知される。
払出状態監視処理S1215においては、払出制御基板930から出力される払出制御状態を示す情報が監視され、必要に応じて、払出制御状態に応じた各種の払出状態コマンドが設定される。なお、払出状態コマンドを受信した副制御基板940は、払出状態コマンドの種類に応じた報知を装飾図柄表示装置479、左上音響装置281及び右上音響装置282等に実行させる。
払出信号出力処理S1216においては、必要に応じて、第1払出カウンタ及び第2払出カウンタの値に基づいて各種の賞球コマンドを設定し、払出制御基板930に出力する。なお、第1払出カウンタ及び第2払出カウンタは、賞球コマンドの設定に応じて更新される。例えば、第1払出カウンタは、1回の入賞に相当する遊技球が検出される毎に1ずつ加算され、その入賞に基づく賞球コマンドが設定される毎に1ずつ減算される。払出制御基板930では、その入賞に対応する数(例えば、3個)の遊技球を払い出す制御を実行する毎に(詳細には、払い出しが完了する少し前に)、主制御基板920に賞球コマンドを要求し、賞球の払い出しが継続している状況においては、主制御基板920から更なる賞球コマンドが出力される。第2払出カウンタは、第1払出カウンタとは賞球数が異なる入賞(例えば、13個)に対応して更新されるカウンタであり、第2払出カウンタの値に基づく賞球コマンドを払出制御基板930が受信した場合には、払出制御基板930は、その賞球コマンドに対応した数分の遊技球を払い出す制御を実行する。
特別図柄関連処理S1217においては、第1特別図柄に係る単位遊技の権利の保留制御及び第1特別図柄に係る単位遊技の制御が実行される。具体的には、第1特別図柄に係る単位遊技の権利の保留制御において、第1特別図柄に係る特別図柄保留表示装置476の動作制御が実行される。また、第1特別図柄に係る単位遊技の制御において、第1特別図柄に係る特別図柄表示装置471の動作制御が実行され、第1特別図柄抽選において大当りに当選した場合には、下大入賞装置433及び中大入賞装置434の動作制御が更に実行される。
また、特別図柄関連処理S1217においては、第2特別図柄に係る単位遊技の権利の保留制御及び第2特別図柄に係る単位遊技の制御が実行される。具体的には、第2特別図柄に係る単位遊技の権利の保留制御において、第2特別図柄に係る特別図柄保留表示装置477の動作制御が実行される。また、第2特別図柄に係る単位遊技の制御において、第2特別図柄に係る特別図柄表示装置472の動作制御が実行され、第2特別図柄抽選において大当りに当選した場合には、下大入賞装置433及び中大入賞装置434の動作制御が更に実行される。
普通図柄関連処理S1218においては、普通図柄に係る単位遊技の権利の保留制御並びに普通図柄に係る単位遊技の制御が実行される。具体的には、普通図柄に係る単位遊技の権利の保留制御において、普通図柄保留表示装置478の動作制御が実行される。また、普通図柄に係る単位遊技の制御において、普通図柄に係る普通図柄表示装置473の動作制御が実行され、普通図柄抽選に当選した場合には更に右始動入賞装置432の動作制御が実行される。
表示制御処理S1219においては、特別図柄関連処理S1217における第1特別図柄に係る特別図柄表示装置471、第2特別図柄に係る特別図柄表示装置472、第1特別図柄に係る特別図柄保留表示装置476及び第2特別図柄に係る特別図柄保留表示装置477等の動作を制御するために更新される各種の情報に基づいて、それらの装置を具体的に作動させるための出力データが合成される。合成された出力データは、次回のタイマ割込みに基づく制御信号出力処理S1208において各装置に出力される。
モータ制御処理S1220においては、各種のモータの動作制御が実行される。外部情報出力処理S1221においては、パチンコ機100に電気的に接続されるデータ表示装置(図示せず)や管理装置(図示せず)等の外部装置に出力する出力データが設定される。
<装飾図柄表示処理>
次に、図13以降を参照して、装飾図柄表示処理について説明する。図13〜図16は、装飾図柄表示処理の原理の説明に供する図、図17〜図21は、装飾図柄の一例を示す図、図22〜図23は、装飾図柄表示処理手順を示すフローチャートである。
前述したように、主制御基板920(図10)は、第1特別図柄及び第2特別図柄の表示を制御すると共に、第1特別図柄及び第2特別図柄と同期させるためのタイミング信号を副制御基板940に供給する。副制御基板940は、タイミング信号に基づいて、装飾図柄表示処理(詳しくは後述する)を実行することにより、表示すべき画像データを生成し、装飾図柄表示装置479へ送信する。この結果、装飾図柄表示装置479には、第1特別図柄及び第2特別図柄に対応する装飾図柄が表示される。
副制御基板940は、3D(3Dimension)を用いた表示を行うようになされている。具体的に、副制御基板940の画像データ記憶部941(図10)には、装飾図柄に使用される移動体や背景などの3Dモデルデータと、3Dモデルデータの動きを表す動きデータが記憶されている。動きデータは、タイミング信号が表すタイミングに対応付けられて記憶されている。従って、副制御基板940の表示データ生成部942は、装飾図柄表示処理として、タイミング信号に応じて3Dモデルデータ及び動きデータを画像データ記憶部941から読み出すと共に、遊技者の顔の位置に応じた画像データを生成(詳細は後述する)し、当該画像データを装飾図柄表示装置479に供給する。この結果、装飾図柄表示装置479には、第1特別図柄及び第2特別図柄に対応する画像が表示される。
次に、表示データ生成部942による画像データの生成処理について具体的に説明する。パチンコ機100では、カメラ装置600によって遊技者がどの方向から装飾図柄表示装置479を視認しているかを表す視点角度を算出し、当該視点角度に応じた画像データを生成する。
図13(A)に示すように、3DモデルDDは3次元のモデルであり、装飾図柄表示装置479には、2次元に投影された状態に変換された画像として表示される。このとき、画像が投影される視点を投影視点と呼ぶ。遊技者が3DモデルDDをZ軸に平行な正面から視認している視点角度V1の場合、表示データ生成部942は、図13(B)に示すように、3DモデルDDをZ軸に平行な投影視点から投影した画像データを生成する。また、遊技者が3DモデルDDを左斜め上方向から視認している視点角度V2の場合、表示データ生成部942は、図13(C)に示すように、左斜め上方向の投影視点から投影した画像データを生成する。これにより、パチンコ機100は、ユーザに対してあたかも装飾図柄表示装置479の内部に3DモデルDDが存在するかのように感じさせることができ、ユーザを楽しませることができる。
ここで、図14(A)に示すように、通常、パチンコ機100を用いて遊技を行う場合、遊技者は椅子に座った状態で、装飾図柄表示装置479を視認する。このときの遊技者の視点角度が遊技者の標準的な視点角度であり、これを視点角度Vsとする。遊技者が上方向からのぞき込むように上方向へ視点角度Vu1を移動させる場合、図14(B)に示すように、遊技者はおしりを少しだけ浮かすようにして前につんのめることが多い。これは、図15に示すように、目の位置を前方に移動させた視点角度Vu1の方が、標準的な視点角度Vsからそのまま上方向に同じ高さだけ目の位置を移動させた視点角度Vu2よりも視点角度Vが急峻となるからである。
そこで、パチンコ機100には、カメラ装置600(図10)が設置されている。カメラ装置600は、遊技者の顔が撮影できるよう、例えば、外枠101、前ブロック102又は中間ブロック103(図1)などに設置され、具体的には、遊技盤400などに設置されており、有線又は無線によって副制御基板940に接続されている。カメラ装置600は、撮影された撮影データ(静止画データ又は動画データ)を副制御基板940に供給する。副制御基板940の顔検出部943は、カメラ装置600から供給される撮影データから遊技者の顔を検出し、当該顔から目の位置を検出すると共に、眼間距離DEとして顔のサイズを検出することにより、パチンコ機100と遊技者の目までの距離を推測し、視点角度Vを算出するようになされている。例えば、顔検出部943は、椅子に座って遊技する通常の状態における遊技者の顔(図16(A))を基準顔サイズとして登録(具体的には、副制御基板940のRAMに記憶保持)しておき、当該基準顔サイズを基準とした眼間距離DEの変化量Δde(図16(B))に基づいて、前後方向における遊技者の顔及び装飾図柄表示装置479間の距離を推測する。そして顔検出部943は、目の高さ位置PH及び眼の左右方向の位置(図示せず)に基づき、視点角度Vを算出し、表示データ生成部942に供給する。表示データ生成部942は、視点角度Vに応じた投影視点からの画像データを生成する。このとき、表示データ生成部942は、視点角度Vを視点とした画像データを生成することにより、ユーザに3Dモデルがあたかも装飾図柄表示装置479の内部に入ってるかのような感覚を抱かせることができる。一方、表示データ生成部942は、視点角度Vに対して重み付けを行うことにより、遊技者の実際の視点角度Vよりも投影角度を変化させることが可能である。例えば、視点角度Vを所定の係数を一律に乗算したり、視点角度Vの範囲を複数段階に分割し、当該範囲に応じた係数などを乗算したり加算したりすることにより重み付けを行う事ができる。
例えば、表示データ生成部942は、通常の画像データを表示している際には、視点角度Vを投影視点として画像データを生成する。一方、抽選結果のように、敢えて遊技者に覗き込ませることを意図した画像のとき、表示データ生成部942は、投影角度を視点角度Vよりも急峻にし、遊技者に少しだけ視点角度Vを変化させるだけで画像を大きく変化させることができる。
例えば、第1特別図柄抽選及び第2特別図柄抽選が開始されると、装飾図柄表示装置479に、図17のような蓋の閉じた状態の宝箱TBの画像が第1特別図柄及び第2特別図柄に対応する装飾図柄として表示される。そして抽選の終了と共に、図18に示すように、画像には蓋の開いているものの内容物CNが見えない状態の宝箱TBの画像が装飾図柄として表示される。このとき遊技者が、あたかも宝箱TBを上からのぞき込むように視点角度Vを上方向に移動させることにより、内容物CNが視認できる画像が表示される。例えば、図19及び図20のように、当選を表す画像や、図21に示すようにハズレを表す画像が装飾図柄として表示される。このとき、上述したように、投影角度を視点角度Vよりも大きく設定することにより、遊技者に簡易な動作によって内容物CNを視認させることが可能である。このように、抽選結果を敢えて遊技者に見えないように表示し、遊技者に宝箱TBの画像をのぞき込ませることにより、遊技に対する単調さを低減して遊技者の興味を増大させ、遊技者を楽しませることができる。なお、一定時間が経過しても遊技者が宝箱TBを覗き込まない場合には、宝箱TBから内容物CNを飛び出させたり、内容物CNが見える状態の画像を装飾図柄表示装置479に表示させても良い。これにより、内容物を早く確認したい遊技者には、覗きこんで遊技を一層楽しませることができると共に、覗き込む動作を行いたくない遊技者に対しても内容物を確実に視認させることができる。
次に、図22を参照して、副制御基板940によって実行される装飾図柄表示処理について説明する。図22は、副制御基板940によって実行される装飾図柄表示処理を示したフローチャートである。この装飾図柄表示処理は、主制御基板920によって実行されるタイマ割込み処理と並行して実行される。
副制御基板940の装飾図柄表示処理では、まず、S100において、カメラ装置600から供給される撮影データから、人物の顔の検出が行われる顔検出処理が実行される。次いで、S101において、撮影データから、人物の顔が検出されたか否かについて判別される。顔の検出は、黒眼、肌色、唇などの検出又はこれらの組み合わせにより実行される。
ここで、遊技者が椅子に座って遊技を行っている場合であっても、例えば横を向いたり下を向いたりすることにより、一時的に遊技者の顔が検出されなくなる場合がある。このため、副制御基板940では、人物の顔が検出されるとトラッキングモードに遷移し、人物の顔が検出されなくても一定の解除時間に亘って人物の顔が検出されなくなるまで遊技者が存在するものとして処理を実行する。これにより、視点角度Vがむやみに変更されることを防止し、装飾図柄表示装置479に表示される画像が乱れることを防止することができる。
S102においては、現在のモードがトラッキングモードか否かが判別される。トラッキングモードでない場合には、S103へ移って現在のモードがトラッキングモードに遷移される。現在のモードがトラッキングモードである場合には、何もせずS104の処理が実行される。
S104においては、撮影データに基づき、遊技者の視点角度Vを算出する視点角度算出処理が実行され、視点角度Vが決定される。なお、視点角度算出処理については後述する。
S101において撮影データから人物の顔が検出されなかった場合、S107において、現在トラッキングモードであるか否かが判別される。現在トラッキングモードでないと判別された場合には、何ら処理が行われずにS110へ移る。現在トラッキングモードである場合には、S108において、解除時間以上であるか否かが判別される。すなわち、S108において、顔検出部943は、トラッキングモードにおいて、人物の顔が検出されない非検出時間をカウントするカウンタを有している。S108においては、人物の顔が検出されなかった場合にカウンタの値が1ずつ加算されると共に、当該カウンタの値が解除時間以上になったか否かが判別される。S108において否定結果がえられた場合には、何ら処理がなされることなくS111へ移る。
S109においては、解除時間に亘って人物の顔が検出されなかったため、遊技者が席を立った可能性が高いと判断され、トラッキングモードが解除される。このとき、S204(図23)において登録された基準顔サイズ(詳細は後述する)も併せて消去される。
S110においては、遊技者が席に存在しないため、画像データの生成に使用される視点角度Vとして、デフォルトで準備された初期視点角度が使用されることが決定される。
S111においては、何らかの理由により人物の顔が検出できなかったものの、遊技者がまだ遊技中である可能性があるため、前回使用した視点角度Vが使用されることが決定される。これにより、遊技者が遊技を行っているにも拘わらず、急激な視点角度Vの変化により画像が大きく変化して画像が乱れたという印象を遊技者に与えてしまうことを防止することができる。
S112においては、主制御基板920より供給されたタイミング信号から、使用する動きデータ及び3Dモデルが特定され、3次元の空間モデルが生成されると共に、S104,S110,S111において決定された視点角度Vから投影された画像が2次元の画像データとして生成される。
S113においては、生成された画像データが装飾図柄表示装置479に供給されることにより、装飾図柄表示装置479に装飾図柄が表示される。
次に、S104において実行される視点角度算出処理について説明する。
S201においては、撮影データから遊技者の高さ方向及び水平方向における目の位置が検出される。目の位置は、例えば遊技者における黒眼の位置によって検出されるが、遊技者がサングラスを掛けていた場合には、サングラスの中心位置を黒眼の位置として検出される。
S202においては、遊技者の眼間距離DEが顔のサイズとして検出される。顔のサイズとしては、眼間距離DE以外にも、眼と唇との距離を用いたり、これらを組み合わせるようにしても良い。
S203においては、基準となる基準顔サイズが登録されているか否かについて判別される。なお、基準顔サイズは、トラッキングモードが解除される(S109)度にリセットされ、遊技者ごとに登録される。S203において否定結果が得られた場合には、何ら処理がなされることなくS205へ移る。
S204においては、基準顔サイズが登録される。ここで、遊技者の性別や個性に応じて、顔のサイズは相違する。従って、眼間距離DEの値を一律に判断すると、視点角度Vの算出における誤差が大きくなってしまうおそれがある。遊技者ごとに基準顔サイズが登録されることにより、より正確な視点角度Vの推測が可能となる。なお、基準顔サイズは、遊技者が座って普通に遊技する状態の顔のサイズが登録されることが好ましい。この普通に遊技する状態としては、遊技者が着座して装飾図柄表示装置479を視認している状態であることが好ましく、装飾図柄の変動表示として複数の図柄が停止表示された状態において大当り当選に対応した一部の図柄が構成され、残りの一部の図柄が変動表示された状態(リーチ状態)や、遊技者が入力操作装置260を操作している状況であって装飾図柄表示装置479に当該操作に関する情報が表示された状態(例えば、パチンコ機100の設定操作を実行している場合において装飾図柄表示装置479に設定操作により選択された情報がハイライト表示された状態)などが例示される。
S205においては、S201において検出された目の位置と、S202において算出された眼間距離DEと、基準顔サイズとに基づいて、視点角度Vが算出される。すなわち、基準顔サイズに基づいて、遊技者の顔と装飾図柄表示装置479との距離が推測されると共に、当該推測された距離と目の位置とから、視点角度Vが算出される。
次に、以上説明したパチンコ機100の作用及び効果を説明する。
パチンコ機100においては、遊技者の目の位置を検出すると共に、遊技者の目の位置に応じた画像を装飾図柄表示装置479に表示することにより、遊技者に対し、あたかも装飾図柄表示装置479の内部に3Dモデルが存在するかのように感じさせることができ、パチンコ機100としての娯楽性を向上させることができる。
<カメラ装置の設置(1)>
次に、カメラ装置600の設置について説明する。図24に示すように、遊技者が帽子などを被っている場合がある。図25に示すように、仮にパチンコ機100の上端に近い位置にカメラ装置600を設置した場合、帽子のつばが邪魔となり、遊技者の顔が撮影できない可能性が生じてしまう。また、図24に示すように、パチンコ機100において、装飾図柄表示装置479は、遊技者の視線が中心にくるように配置されることが多く、遊技者の顔の正面近傍にカメラ装置600を設置することは、物理的に困難である。
図26に示すように、パチンコ機100では、装飾図柄表示装置479の上部に造形物491が設置されている。この造形物491は、機械仕掛けにより装飾図柄表示装置479の前面中心付近に移動可能に構成されている。パチンコ機100では、この造形物491の内部に、カメラ装置600としての第1カメラ装置600Aが設置されており、レンズ部601Aが造形物491のほぼ中心(鼻部分)から露出している。
通常時において、造形物491は、装飾図柄表示装置479の上部に位置し、遊技者を撮影する。図26では、装飾図柄表示装置479において抽選の度に抽選結果が表示される表示部として、複数の数字が周方向に並んで表示された円筒状の数字盤が回転する回転画像の様子を示している。
副制御基板940は、変動パターンとしてリーチ状態を発生させる変動パターンの一部において、以下に説明するように、造形物491を動作させる。図27に示すように、抽選結果に応じて回転画像があと一つで当選となるリーチ状態となると、造形物491は装飾図柄表示装置479の前面ほぼ中央に移動し(図27の状態)、最後の数字を一旦覆い隠す。リーチ状態において変動中の最後の数字は、一般的に遊技者が装飾図柄表示装置479を注目し易いので、この状況を利用して第1カメラ装置600Aによって遊技者の顔を正面側から撮影するものであり、しかも、遊技者の顔がより正面側から撮影しやすい位置まで造形物491(第1カメラ装置600A)が下に下がるのである。
そして、遊技者の顔が第1カメラ装置600Aによって撮影された後には、造形物491(第1カメラ装置600A)は上昇して元の位置(通常状態)に戻る。これにより、変動中の最後の数字を遊技者が視認し易い状態に復帰し、遊技者に抽選結果を視認する遊技を楽しませることができる。
その後、図28に示すように抽選結果が表示され、大当りに当選している場合には、画像データに宝箱TBが出現し、図29に示すように数字盤の前に大きく表示される。その後、図18に示したように宝箱TBの蓋が開き、図19〜図21に示したように抽選結果が表示される。この宝箱TBを用いた抽選結果の表示としては、大当りか否かの抽選結果ではなく、大当りの種類の抽選結果に対応している。すなわち、図26から図28の変動表示を経由した後、大当りの発生による特別遊技状態の後に移行する遊技状態として、確変遊技状態へ移行するか、それとも確変遊技状態よりも遊技者にとって価値の低い時短遊技状態へ移行するかが宝箱TBを用いて表示され、その移行する遊技状態が宝箱TBの内容物CNに対応している。
なお、宝箱TBを用いた抽選結果の表示として、遊技状態の移行先に対応する大当りの種類の抽選結果ではなく大当りの抽選結果を表示する場合には、図27に示すリーチ状態の後において、造形物491(第1カメラ装置600A)が元の位置(通常状態)に戻った後であって中央の図柄の変動継続中に、宝箱TBを数字盤の前に大きく表示して内容物CNを視認させる演出を実行し、その後に大当りか否かの抽選結果を表示すれば良い。
既述の通り、パチンコ機100では、カメラ装置600で撮影された撮影データに基づき、遊技者の目の位置を遊技者の顔の一部として検出する。図30に示すように、通常状態において、第1カメラ装置600A(図では600A(n)と記載)は、斜め上から遊技者の顔を撮影する。一方、リーチ状態において、造形物491は装飾図柄表示装置479のほぼ中央に移動する。このとき、第1カメラ装置600Aは、遊技者の顔のほぼ正面に位置することになる(図では600A(r)と記載し、下側移動状態という)。
そこで、パチンコ機100では、リーチ状態中における第1カメラ装置600Aの下側移動状態において撮影された撮影データに基づいて、基準顔サイズを修正(更新)するようになされている。すなわち、副制御基板940の顔検出部943は、下側移動状態において撮影された撮影データから顔サイズを検出し、基準顔サイズとして登録する。例えば、顔検出部943は、下側移動状態に遷移するごとに1回、基準顔サイズを登録(記憶)する。これにより、顔検出部943は、遊技者のほぼ正面から撮影された撮影データを基準顔サイズにすることができるため、基準顔サイズの精度を向上させることができる。
また、図31に示すように、通常状態においては、第1カメラ装置600A(図では600A(n)と記載)が下側移動状態よりも上側に位置し、遊技者よりも上に位置する場合が生じ得る。このため、帽子を被った遊技者が下を向いたり、パチンコ機100に近づいたりした場合、第1カメラ装置600Aが遊技者を撮影できない場合が生じ易くなってしまう。
そこで、パチンコ機100では、図32に示すように、カメラ装置600として、第2カメラ装置600Bを設置している。第2カメラ装置600Bは、上方向から遊技者の顔が撮影できない場合であっても遊技者の顔が確実に撮影できるよう、下側移動状態における第1カメラ装置600Aより下に設置され、遊技者の顔よりも下に設置される。すなわち、副制御基板940の顔検出部943は、常に第1カメラ装置600A及び第2カメラ装置600Bによって遊技者を撮影しており、第1カメラ装置600Aの撮影データ(以下、これを第1撮影データと呼ぶ)から顔が検出された場合には、第1撮影データを使用して視点角度Vを算出する。一方、第1撮影データから顔が検出されない場合には、第2カメラ装置600Bの撮影データ(以下、これを第2撮影データと呼ぶ)を使用して視点角度Vを算出する。これにより、顔検出部943は、第1カメラ装置600Aで遊技者の顔が撮影できない場合であっても、第2カメラ装置600Bで撮影した第2撮影データから遊技者の顔を検出することができ、撮影できないケースを著しく減少することができる。
次に、図33を参照して、副制御基板940の顔検出部943によって実行される顔検出処理について説明する。図33は、顔検出部943によって実行される顔検出処理を示したフローチャートである。この顔検出処理は、副制御基板940の装飾図柄表示処理(図22)のうち、S100において実行される。
まず、S301において、第1カメラ装置600A(図では第1カメラと記載)によって撮影された第1撮影データから顔が検出されたか否かについて判別される。第1撮影データから顔が検出されなかった場合には、何ら処理が実行されることなく、S309へ移る。第1撮影データから顔が検出された場合には、S302へ移り、現在の状態がリーチ状態中であって第1カメラ装置600Aの下側移動状態中であるか否かについて判別される。第1カメラ装置600Aの下側移動状態中である場合には、S303〜S309の処理が実行され、第1カメラ装置600Aの下側移動状態中でない、すなわち通常状態であった場合には、何ら処理が実行されることなく、S310へ移る。
S303においては、今回のリーチ状態において、第1撮影データに基づく基準顔サイズが既に登録されたか否かについて判別される。既に登録されていた場合には、何ら処理が実行されることなく、S310へ移る。未だ登録されていなかった場合には、S304において、撮影データから顔サイズが検出される。S305においては、基準顔サイズが登録される。これにより、第1カメラ装置600Aが下がって遊技者の正面に位置するリーチ状態の一部における、遊技者の顔サイズが基準顔サイズとして登録され得る。
また、第1カメラ装置600Aが下がって基準顔サイズが登録された場合に、そのタイミングにおいて第2カメラ装置600Bによって基準顔サイズが登録され得る。S306〜S309では、第2撮影データに基づく基準顔サイズが登録される。S306においては、第2カメラ装置600Bに基づく第2撮影データから顔が検出されたか否かが判別される。顔が検出されなかった場合には、何ら処理が実行されることなく、S310へ移る。S307においては、今回のリーチ状態において、第2撮像データに基づく基準顔サイズが既に登録されたか否かについて判別される。既に登録されていた場合には、何ら処理が実行されることなく、S310へ移る。未だ登録されていなかった場合には、S307において、撮影データから顔サイズが検出される。S305においては、基準顔サイズが登録される。これにより、リーチ状態にあり、注目度が高く、装飾図柄表示装置479を真っ直ぐ凝視している可能性が高い状態の遊技者の顔が第2カメラ装置600Bに対しての基準顔サイズとして登録され得る。
S310においては、第1カメラ装置600Aによって撮影された撮影データを使用して遊技者の視点を検出することが決定され、S101(図22)へ移って処理が実行される。
S311においては、第2カメラ装置600B(図では第2カメラと記載)によって撮影された第2撮影データから顔が検出されたか否かについて判別される。第2撮影データから顔が検出された場合には、S312において、第2撮影データを使用して遊技者の視点を検出することが決定され、S101(図22)へ移って処理が実行される。顔が検出されなかった場合には、S313において遊技者の顔が検出されなかったと判断され、S101(図22)の処理が実行される。
このように、図33に示す顔検出処理においては、第1カメラ装置600Aが下がって基準顔サイズが登録(記憶)されたタイミングにおいて第2カメラ装置600Bによって基準顔サイズを登録(記憶)することができるため、第2カメラ装置600Bによって遊技者の目など顔の一部が直接撮影できなくても、遊技者が装飾図柄表示装置479を正面視した状況における目以外の耳、鼻、あご又は顔の外形等の他の部位の配置位置を撮影した撮影データを基準顔サイズとして登録することができる。このため、第1カメラ装置600Aが通常状態として上側に戻り、遊技者の顔(目)が第1カメラ装置600Aによって検出できない状況であっても遊技者が正面視した状況に対しての視点角度Vの変化を第2カメラ装置600Bによる撮影データを利用して推測することができ、視点角度Vの変化に対応した画像データを生成し易く、遊技者の顔(目)の状態変化に対応した画像データを装飾図柄表示装置479によって、より正確に表示することができる。
なお、図33におけるS310及びS312の処理において、第1カメラ装置600Aと第2カメラ装置600Bとの両方の撮影データを使用して遊技者の視点を検出する場合があるものとしても良い。第1カメラ装置600Aが通常状態として上側に戻った状況において、遊技者の顔が第1カメラ装置600A又は第2カメラ装置600Bのいずれか単体のみによっては検出できない状況であっても、遊技者が装飾図柄表示装置479を正面視した状況に対しての視点角度Vの変化を、第1カメラ装置600Aと第2カメラ装置600Bとの両方の撮影データを利用して推測することができる。これにより、視点角度Vの変化に対応した画像を装飾図柄表示装置479によって、一層正確に表示することができる。
また、図33におけるS307の処理を省略し、第1カメラ装置600Aによって基準顔サイズを登録した場合には、第2カメラ装置600Bによって基準顔サイズの登録があってもその登録データを更新することとしても良い。これにより、遊技者が装飾図柄表示装置479を正面視した状況に対しての第2カメラ装置600Bから見た遊技者の状態を、第2カメラ装置600B用の基準顔サイズとして正確に登録することができる。
<カメラ装置の設置(2)>
また、図34には、カメラ装置600としての第1カメラ装置600C及び第2カメラ装置600Dを、前ブロック102(図1〜図4)に設置した例を示している。前ブロック102にカメラ装置600を設置する場合、遊技者の顔の正面にカメラ装置600を設置することは物理的に困難である。仮に、1つのカメラ装置600を外枠101又は前ブロック102に1つだけ設置した場合、遊技者が設置されたカメラ装置600と逆方向を向いた場合に、遊技者の顔を検出できない可能性が生じる。
そこで、遊技者に対して左右2方向に、2つのカメラ装置600(第1カメラ装置600C及び第2カメラ装置600D)を設置している。第1カメラ装置600C及び第2カメラ装置600Dは、平均的な遊技者の視点よりも若干下に設けられており、背の低い遊技者や帽子を被った遊技者であっても、確実に顔を撮影できるようになされている。また、機種の変更に伴って遊技盤400を交換した場合であっても、外枠101及び前ブロック102は継続して使用されることから、機種変更に伴い新たなカメラ装置600を準備せずに済み、経済性に優れている。
副制御基板940の顔検出部943は、第1カメラ装置600Cによって撮影された第1撮影データ及び第2カメラ装置600Dによって撮影された第2撮影データのうち、少なくとも一つ以上の撮影データを使用して遊技者の顔を検出する。第1カメラ装置600C及び第2カメラ装置600Dの一方のみから遊技者の顔が検出された場合には、顔が検出された一方の撮影データを使用して、遊技者の視点を算出する。また、第1カメラ装置600C及び第2カメラ装置600Dの両方から遊技者の顔が検出された場合には、例えば2つの撮影データから視点角度をそれぞれ算出し、平均値を視点角度Vとする。また、2つの撮影データを合成して一つの合成画像データを生成し、合成画像データから遊技者の視点を算出することもできる。このように、2つのカメラ装置600を使用することにより、2つの撮影データから遊技者の顔を検出できた場合には、2つの撮影データを使用して視点角度Vの精度を高めることができる。また、2つのカメラ装置600を補完的に使用することにより、撮影データから遊技者の顔を検出する確率を上昇させ得る。
また、視点角度Vの精度が高まるため、遊技者の視点角度Vの小さな動きを検出し、当該小さな動きに応じて投影画像を大きく動かすといった動作を行うことができる。遊技者の遊技時間は様々であるが、遊技時間が長くなると、覗き込む動作をするのがおっくうになる場合が生じる。例えば、遊技者の視点角度Vが僅かに上方向へ移動したのを検出すると、表示データ生成部942は、投影画像における視点を視点角度Vの移動分に所定の係数を乗算した値分だけ変化させた位置に設定する。これにより、遊技者に飽きさせることなく装飾図柄表示装置479の画像に対する動作を行わせることができる。また、あたかも3Dモデルが装飾図柄表示装置479に存在するように見せるためには、遊技者の前後方向の動きに対して、投影画像を変化させる必要はない。しかし、遊技者が前方向に顔を近づける場合には、遊技者が3Dモデルの少なくとも一部を凝視したいと思っている可能性が高い。そこで、表示データ生成部942は、遊技者が前方向に顔を近づけたことを検出すると、予め予測された遊技者が凝視したい部分を拡大表示する。
このように、複数のカメラ装置600を使用して視点角度Vの算出精度を向上させることにより、遊技者の視点に応じて遊技者の望む投影画像を表示することができる。
次に、図35を参照して、副制御基板940の顔検出部943によって実行される顔検出処理について説明する。図35は、顔検出部943によって実行される顔検出処理を示したフローチャートである。この顔検出処理は、副制御基板940の装飾図柄表示処理(図22)のうち、S100において実行される。
S401において、第1カメラ装置600C(図では第1カメラと記載)によって撮影された第1撮影データから顔が検出されたか否かについて判別される。顔が検出された場合、S406〜S408の処理が実行される。一方、S401において第1撮影データから顔が検出されなかった場合、S402〜S404の処理が実行される。
S402においては、第2カメラ装置600D(図では第2カメラと記載)によって撮影された第2撮影データから顔が検出されたか否かについて判別される。第2撮影データから顔が検出されなかった場合には、S403において、2つのカメラ装置600の両方から遊技者の顔が検出されなかったと判断され、S101(図22)以降の処理が実行される。一方、第2撮影データから顔が検出された場合には、S404において、顔が検出された第2撮影データのみが使用することが決定され、当該第2撮影データを使用してS101(図22)以降の処理が実行される。
S406においては、第2撮影データから顔が検出されたか否かについて判別される。第2撮影データから顔が検出されなかった場合には、S407において、顔が検出された第1撮影データのみが使用することが決定され、当該第1撮影データを使用してS101(図22)以降の処理が実行される。一方、S406において第2撮影データから顔が検出された場合、顔の検出された第1及び第2撮影データの2つの撮影データが使用されることが決定され、当該2つの撮影データを使用してS101(図22)以降の処理が実行される。
このように、顔検出処理S100を実行することによって、複数のカメラ装置600のうち、装飾図柄表示処理(図22参照)において顔検出に利用するカメラ装置を好適に選択することができる。
<大入賞装置の構成(1)>
次に、中大入賞装置434の構成について説明する。図7に示したように、パチンコ機100の中大入賞装置434は、入賞部440と、中進入規制機構454とを有している。中大入賞装置434は、図36〜図38に示すように、大当りの抽選に当選した場合に中進入規制機構454の姿勢が変化し、この姿勢変化によって入賞部440に遊技球を入賞可能な大入賞装置として機能する。
具体的に、中大入賞装置434の入賞部440は、遊技盤面400Aから突出する箱型形状を有しており、その天井面が開口して入賞口455を構成している。中大入賞装置434は、遊技盤面400Aから突出する板状部材481と、当該板状部材481を駆動する中進入規制ソレノイド464とを有している。板状部材481は、中央下方向へ向けて、水平から約20°程度傾斜しており、遊技球を中央へ向けて誘導する釘499に連なるように配置されている。また、板状部材481は、中進入規制機構454(図7参照)の一部を構成し、中大入賞装置434の進入許容姿勢と進入禁止姿勢とのそれぞれの姿勢に対応して遊技球を誘導する可動式の誘導手段として機能する。
図36に示すように、通常遊技状態において、板状部材481は、入賞部440から離隔した位置に配置されている。通常遊技状態において、主制御基板920は、中大入賞装置434の中進入規制ソレノイド464を制御することにより、板状部材481を入賞部440から離隔した位置に配置し、中大入賞装置434を進入禁止姿勢にする。この入賞部440から離隔した位置としては、板状部材481を経由した遊技球が入賞部440へ到達し得ない程度に離れた位置に設定されている。
なお、入賞部440は、通常遊技状態において、遊技球が進入し得ない位置に配置される構成とすることが好ましいが、低確率(例えば、略0.01%)で遊技球が進入可能な位置に配置される構成としても良い。また、入賞部440から離隔した位置としては、板状部材481を経由した遊技球が入賞部440へ100%到達し得ない位置とすることが好ましいが、他の遊技球との干渉等、偶発的(例えば、略0.1%未満)に遊技球が進入し得る位置に配置しても良い。この離隔した位置としては、入賞部440と板状部材481との最も近い部分同士間の距離が、遊技球の直径(通常は11mm)の略1.5倍(16.5mm)、より好ましくは略2.0倍以上としても良い。また、板状部材481は、内側端部481aと入賞部440の外側までの左右方向の距離(以下、これを水平距離と呼ぶ)Vdが遊技球の直径(通常は11mm)よりも大きくなるように配置される構成としても良い。
従って、通常遊技状態において、遊技球は、第1誘導路51に誘導されて中央へ向けて並ぶ釘499(誘導部)上を進行すると、板状部材481上を進行し、板状部材481と入賞部440との間に形成された空間(以下、これを第1誘導空間と呼ぶ)にそのまま流下する。この遊技球は、そのまま排出口401Aへと誘導される。すなわち、連なって配置された釘499及び板状部材481、及び板状部材481と入賞部440とに形成された間隙(第1誘導空間)によって、第1誘導路51が構成されている。
一方、図37に示すように、特別遊技状態において、主制御基板920は、中大入賞装置434の中進入規制ソレノイド464を制御することにより、板状部材481を入賞部440の近傍に移動させ、中大入賞装置434を進入許容姿勢にする。このとき、板状部材481は、傾斜角度を殆ど変化させず、平行移動するようにして遊技盤面400A上を移動する。
なお、入賞部440は、特別遊技状態において中大入賞装置434が進入許容姿勢をとった場合に、板状部材481によって入賞部440側へ誘導される遊技球が進入し易い位置に配置される構成とすることが好ましく、この進入確率としては、略50%以上としても良く、略80%以上にすることが好ましく、略90%以上とすることが好適である。また、中大入賞装置434が進入許容姿勢をとった場合における板状部材481と入賞部440との距離とは、入賞口455に遊技球を進入し易くするため、入賞部440と板状部材481との最も近い部分同士の距離が、遊技球の直径(通常は11mm)の略1.5倍(11mm)未満、より好ましくは略0.7倍未満であることとしても良い。板状部材481は、内側端部481aと入賞部440の外側までの水平距離Vdが遊技球の直径(通常は11mm)未満になるように配置されている。
従って、特別遊技状態において下大入賞装置433が進入許容姿勢をとる場合に、釘499によって板状部材481側に誘導される遊技球の多くは、第2誘導路52に誘導されて中央へ向けて並ぶ釘499上を進行した後、そのまま板状部材481上を中央へ向けて進行し、そのまま入賞口455へと誘導される。
また、図38に示すように、特別遊技状態において中大入賞装置434が進入許容姿勢をとる場合には、中大入賞装置434は、板状部材481を真下ではなく、敢えて中央下方向へと斜めに移動させる。これにより、釘499と板状部材481の外側端部481bとの間に、遊技球が誘導される空間(以下、これを第3誘導空間と呼ぶ)が形成される。この空間は、下大入賞装置433が進入許容姿勢をとる状態において、釘499によって板状部材481側に進行した遊技球が板状部材481に支持されて入賞部440側へ誘導される遊技球の数を低減するために設けられている。下大入賞装置433が進入許容姿勢をとる状態において、釘499によって板状部材481側に進行した遊技球の一部は、板状部材481に支持されずに第3誘導空間に流下し、下大入賞装置433へ入賞不能となる。
下大入賞装置433が進入許容姿勢をとる状態において、釘499によって板状部材481側に進行した遊技球が板状部材481に支持されて入賞部440側へ誘導される確率(誘導確率)は、第3誘導空間の形によって異なる。第3誘導空間としては、水平距離Vdが遊技球の直径の略0.5倍(5.5mm)以上かつ略1.5倍未満としても良いし、略0.7倍以上かつ略1.0倍未満とすることが好ましい。また、第3誘導空間として、釘499と板状部材481との最も近い部分同士間の距離は、遊技球の直径の略1.0倍より大きくする必要があり、略1.2倍より大きく形成することが好ましい。
特別遊技状態において中大入賞装置434が進入許容姿勢をとった場合には、勢いの小さい一部の遊技球は、第2誘導路52に誘導されて中央へ向けて並ぶ釘499上を進行した後、板状部材481へ進行せず、第2誘導路52から分岐する第3誘導路53へと誘導されて方向を変え、釘499と、板状部材481との間に流下する。釘499と、板状部材481との間に流下した遊技球は、その下流側に設けられる下側中始動入賞装置431Bへ進入するか、又は、排出口401Aへと誘導される。すなわち、連なって配置された釘499及び板状部材481、及び釘499と板状部材481との間隙(第3誘導空間)によって、第2誘導路52及び第3誘導路53が構成されている。
上述したように、特別遊技状態において、装飾図柄表示装置479には、遊技者に大当りを知らせながら、遊技者の大当りを歓喜する動画像が表示される。このとき表示される動画像には、様々な趣向が凝らしてあることが多く、一定時間表示されることを前提としている。ところで、特別遊技状態では、中大入賞装置434が進入許容姿勢をとり、所定の数だけ入賞口455に遊技球が進入するラウンドが予め定めた回数終了すると、通常遊技状態に遷移する。すなわち、特別遊技状態に遷移してから通常遊技状態に戻るまでの時間は、中大入賞装置434が進入許容姿勢をとった状況にて入賞口455へ進入する遊技球の割合(確率)によって変化してしまい、入賞口455へ遊技球が集中するように設定されていると装飾図柄表示装置479に表示した動画像を遊技者に最後まで視認させる前に特別遊技状態が終了してしまう事態が生じてしまう。
これに対し、特別遊技状態において中大入賞装置434が進入許容姿勢をとった場合に、遊技球を入賞口455へ誘導する第2誘導路52から分岐する第3誘導路53が板状部材481によって形成され、遊技球の一部を入賞口455とは相違する方向に連続する第3誘導路53へと誘導することにより、特別遊技状態を長い時間維持することができ、装飾図柄表示装置479に表示した動画像を遊技者に最後まで視認させることが可能となる。また、特別遊技状態の時間が長くなるため、動画像を長く設定できる他、遊技者の気分を長い間高揚させて、遊技者を一層楽しませることができる。
また、通常遊技状態において入賞部440に対して離隔した位置に配置されている板状部材481を、特別遊技状態において入賞部440の近傍に配置する。この通常遊技状態においても、一定の割合で遊技球が入賞口455へ進入可能に設定しても良く、この場合には、一つの入賞口455を、通常遊技状態では一般入賞装置として機能させる一方、特別遊技状態では中大入賞装置434として機能させることができ、これまでにない新しいパターンの入賞装置を形成することが可能となる。
また、板状部材481は、中大入賞装置434の進入禁止姿勢において入賞部440に対して離隔し、入賞部440との間に遊技球の流下空間を形成する位置に配置され、進入許容姿勢に移行する場合に入賞部440の近傍に配置される。このため、進入許容姿勢となる直前に板状部材481に支持されて入賞部440側へ進行している遊技球は、入賞部440へ進入可能となり得る。よって、進入許容姿勢の開始直後に入賞が発生し易く、無駄な遊技球の消費を抑えて良い印象を遊技者に抱かせることができる。
ここで、中大入賞装置434が進入禁止姿勢から進入許容姿勢に移行する場合には、進入禁止姿勢において板状部材481の上面(誘導面)によって遊技球を誘導する斜め下方向側に板状部材481が移動する構成とすることが好ましく、遊技球を誘導する方向よりも更に下方側に板状部材481が移動する構成とすることが好適である。これにより、進入禁止姿勢において板状部材481の上面に支持された遊技球が板状部材481と入賞部440との間の隙間に落下し始めて、その隙間に挟まった状況を生じ難くすることができ、進入許容姿勢を適切に形成して入賞口455へ遊技球を確実に誘導し易くすることができる。
また、進入許容姿勢において入賞部440の近傍に配置されている板状部材481は、進入禁止姿勢に移行する場合に入賞部440から離隔し、入賞部440との間に遊技球の流下空間を形成する位置に配置される。このため、進入禁止姿勢となる直前に板状部材481に支持されて入賞部440側へ進行している遊技球であっても、入賞部440へ進入しない状況を発生させることができる。よって、特別遊技状態を構成する各ラウンドにおいて入賞部440に対して最大進入許容個数の遊技球の進入が主制御基板920に検出された場合には、進入禁止姿勢へ移行を開始した直後から入賞部440側への遊技球の進行を不能とし、最大進入許容個数を超えた遊技球の入賞の発生を抑えて予め設定した個数に遊技球の払出数を近づけてバラツキを少なくすることができる。
なお、第3誘導路53へ誘導される遊技球の割合は、上述した第3誘導空間の形状や大きさなどによって変化する。例えば、図39に示すように、板状部材481を平行移動させ、さらに傾斜角度が緩くなるように回転させて配置を変更すると、第3誘導空間における水平距離Vdを小さくでき、第3誘導路53へ誘導される遊技球の割合を低下させることができる。また、板状部材481を平行移動させるときの移動量を小さくしても、同様に第3誘導空間における水平距離Vdを小さくでき、第3誘導路53へ誘導される遊技球の割合を低下させることができる。例えば、大当りに2種類以上の種類がある場合、種類に応じて装飾図柄表示装置479における動画像の長さを変更し、それに併せて板状部材481の配置を変化させることにより、特別遊技状態を維持する時間を変化させることが可能となる。なお、第2誘導路52から第3誘導路53へ誘導される遊技球の割合は、大当りに歓喜する遊技者を苛立たせないよう、50%未満に設定されることが好ましい。
<大入賞装置の構成(2)>
また、図41に示すように、中大入賞装置434に代えて、中大入賞装置496を用いることも可能である。以下、図41〜図48を用いて、中大入賞装置496の構成について説明する。なお、図43は図42のA−A’断面図、図45は図44のB−B’断面図、図48は図44のC−C’断面図である。図41に示すように、中大入賞装置496は、上側中始動入賞装置431Aの下側に設置されている。図42〜図45に示すように、中大入賞装置496は、回転軸493を支点とする板状部材492の前後方向への回転動作によって開状態(進入許容姿勢)及び閉状態(進入禁止姿勢)へと移行させる構成でなる。
図42及び図43に示すように、通常遊技状態において、中大入賞装置496は閉状態となり、板状部材492が遊技盤面400A(すなわち鉛直方向)とほぼ平行に立ち、遊技盤面400Aよりも後ろ側に設けられた後壁面495に並んだ状態となる。板状部材492を回転させる支点となる回転軸493は、遊技盤面400Aよりも後ろ方向に設けられており、板状部材492全体が、遊技盤面400Aよりも後ろ方向に凹んだ状態で配置される。入賞口497は、後壁面495に設けられており、板状部材492によってその大部分が塞がれた状態にあり、開口部分が遊技球よりも小さく、入賞口497に遊技球が進入できない状態とされている。
従って、通常遊技状態において、中大入賞装置496に流下する遊技球は、第1誘導路61に誘導され、板状部材492の前方向を通過する。この遊技球は、そのまま排出口401Aへと誘導される。
図44及び図45に示すように、特別遊技状態において、中大入賞装置496は開状態となり、開状態において上側となる上面492Aが後ろ方向へ向けてわずかに(例えば5〜30°程度)傾斜した状態で板状部材492が固定される。2つの入賞口497は、板状部材492の左右方向端部近傍にそれぞれ設けられている。このとき、板状部材492の先端部分は遊技盤面400Aから突出し、上方向から流下する遊技球は、板状部材492の上面492Aに衝突し、後ろ方向へ方向を変化させる。図46に示すように、板状部材492上に流下した遊技球は、第2誘導路62に誘導され、後ろ方向に進行してそのまま入賞口497に進入、もしくは後壁面495に衝突してから左又は右に進行して入賞口497に進入し、後側に設置されている中大入賞スイッチ444に検出される。
ここで、板状部材492には、2つの第3誘導孔494が設けられている。図47及び図48に示すように、第2誘導路62に誘導された遊技球の一部は、第3誘導孔494に進入して第3誘導路63に誘導され、下方向に流下する。この遊技球は、そのまま排出口401Aへと誘導される。すなわち、板状部材492には、第2誘導路62から分岐する第3誘導路63が設けられており、第2誘導路62に誘導された遊技球の一部を第3誘導路63へと誘導する。これにより、入賞口497へ誘導される遊技球を間引いて特別遊技状態を長く維持することができるため、遊技者に遊技を一層楽しませることができる。
また、特別遊技状態において中大入賞装置496が開状態をとった場合に、第3誘導路63に遊技球が誘導された分、最大進入許容個数より多くの遊技球を板状部材492に支持させることができる。よって、多量の遊技球を板状部材492に向けて集中させる設定とし、入賞口497から離れた位置で排出口401Aへ向かう遊技球の数は少なくして遊技者にとっては無駄に消費される遊技球を少なくしながらも、1回の特別遊技状態において遊技者が獲得可能な特典に相当する遊技球の払出数は抑えて遊技場側の利益を確保し易くすることができる。
また、板状部材492の回転軸493を遊技盤面400Aより後側に設けることにより、開状態における板状部材492の前後方向の長さを大きくし、2つ以上の遊技球が第2誘導路62上に存在する確率を高められるため、第3誘導路63へ遊技球が誘導されたときであっても他の遊技球が第2誘導路62上に存在する確率が高くなり、遊技者に不快感を極力与えないようにできる。また、遊技球が板状部材492上にとどまる時間を長くすることができるため、遊技球が入賞口497まで到達する時間を長くして遊技者に第3誘導路63に誘導されてしまうかもしれないといったスリルを楽しませることができる。
<他の実施の形態>
本発明は、上記各実施形態に限られることはなく、上記各実施形態のいずれかに係る構成又は機能を他の実施形態に対して適用しても良いし、又は、以下に記載するように変形して実施しても良い。この場合に、以下に記載する各構成を上記各実施形態に対して適用しても良く、以下に記載する複数の構成を組み合わせて上記各実施形態に対して適用しても良い。
(1)上述した実施の形態においては、板状部材481が平行移動することによって配置を変化させるようにした場合について述べた。本発明はこれに限らず、図49〜図51に示すように、板状部材481Xが回転軸481Xbを支点として回転することによって配置を変えるようにしても、同様の効果を得ることが可能である。このとき、板状部材481Xが入賞部440Xに近づいて進入許容姿勢をとった状態において、入賞部440Xと板状部材481との間隙を、遊技球が流下可能な第3誘導空間とし、第2誘導路52Xから分岐する第3誘導路53Xとすることも可能である。ここで、この第3誘導空間を省略して板状部材481へ支持された遊技球が全て入賞部440Xへ進入するようにしても良く、進入許容姿勢をとった状態において、入賞部440Xと板状部材481との間に遊技球が流下しない程度に入賞部440Xと板状部材481とを近接して配置しても良い。
また、板状部材481Xが入賞部440Xに近づいて進入許容姿勢をとった状態において、板状部材481と、釘499との間に第2誘導路52Xから分岐する誘導路を設ける構成とし、進入許容姿勢における板状部材481Xと、釘499との間に遊技球が流下可能な間隙を誘導空間として形成する構成としても良い。
また、上述した実施の形態においては、第2誘導路52から分岐する第3誘導路53を設けるようにした場合について述べた。本発明はこれに限らず、必ずしも第3誘導路53は必要ではない。
また、中大入賞装置433として、板状部材481が1つの部材により構成される場合について説明したが、進入禁止姿勢と進入許容姿勢に対応して遊技球の誘導状態を切り替え可能であれば良く、例えば、板状部材が2以上の構成部材を組合せて構成されても良いし、必ずしも平板状に形成する必要はなく、遊技球を誘導する面が正面視で曲線を含むなど異なる形状とされても良いし、上面が平面状で下面に曲面を含むなど板厚が変動したり、機種に対応したキャラクタを模した形状を含むなど、他の形状に形成されても良い。
さらに、上述した実施の形態においては、板状部材492の上面492A上に凹凸が設けられてないように形成されるようにした場合について述べた。本発明はこれに限らず、例えば図52に示すように、板状部材492Xの上面492XAの後側領域において、中心から外側に向けて傾斜をつけて遊技球が第2誘導路62Xを経由して入賞口497へスムーズに誘導されるようにしたり、側部492XBを設けて、板状部材492Xの外側から遊技球がこぼれ落ちるのを防止したりするようにしても良い。また、図53に示すように、第3誘導路63Yとして、第3誘導孔の代わりに、板状部材492Y全体に、遊技球が中心から外側へ流れるよう中央が高く左右が低くなるような傾斜を設け、第3誘導路63Yとして遊技球を板状部材492Yの端部から流下させるようにしても良い。
また、上述した実施の形態においては、板状部材492が回転軸493を支点として回転することにより開状態及び閉状態へと移行するようにした場合について述べた。本発明はこれに限らず、例えば横長の箱形状を有する入賞装置の底面や前面に第3誘導孔を設けても良い。
さらに、上述した実施の形態においては、中大入賞装置434及び中大入賞装置496として本発明を使用するようにした場合について述べた。本発明はこれに限らず、例えば定期的に入賞口への遊技球の進入を許容又は高確率にする一般入賞装置や、遊技球が進入した場合に特別図柄に係る抽選が行われる始動入賞装置に本発明を適用することも可能である。
また、上述した実施の形態においては、第3誘導路63が遊技者から視認可能なようにした場合について述べた。本発明はこれに限らず、例えば図54に示すように、第3誘導路63よりも前方向に不透明な壁498を設け、第3誘導孔494を通じて遊技球が進入可能な第3誘導路63を遊技者に視認できないようにすることも可能である。これにより、遊技者が第3誘導路63への遊技球の進入を認識し難くすることができる。このときの第3誘導路63は、下流側にて遊技球を遊技盤面400Aより前方向に一旦排出する下流側接続通路としても良く、そのまま遊技盤400の後側に形成された排出誘導路へと排出する排出口としても良い。この場合に、第3誘導路63は、板状部材492が進入許容姿勢に対応して傾倒した状態において遊技球が進入可能であり、板状部材492が進入禁止姿勢に対応して起立した状態においては遊技球が進入不能とされることが好ましく、例えば、遊技盤面400Aより後側に第3誘導路63の入口が形成されることが好ましい。
すなわち、入賞口497とは別に、板状部材492が進入許容姿勢をとる状態において、板状部材492の上面(誘導面)によって下側を支持された遊技球が進入可能な排出誘導路の入口として第3誘導孔494が設けられ、排出誘導路は、板状部材492が進入禁止姿勢をとる状態において遊技球が進入不能であって、遊技球が進入しても所定の特典としての遊技球の払い出しが行われない構成とする。これにより、板状部材492の誘導面に支持されて遊技者が入賞口497への進入を期待できる対象となる遊技球の数を多くして遊技者の遊技継続の意欲を維持し易くしつつも、それらの遊技球の一部は入賞口497へ進入させずに済み、入賞口497へ入賞する単位時間当たりの数量(遊技球の割合)を好適に抑制することができる。
また、入賞口497と、排出誘導路の入口としての第3誘導孔494とは、板状部材492が進入許容姿勢をとって板状部材492の上面に遊技球の下側が支持された遊技球が、板状部材492の上面における外縁の少なくとも一部に相当する前端縁から離間して該誘導面の内側に相当する後側へ進行した場合に進入可能な位置に設けられている。このため、遊技者は、第3誘導孔494を通じて排出誘導路へ誘導される結果となる遊技球であっても、板状部材492の上面に支持されることで入賞口497への進入を期待し易くすることができる。
また、排出誘導路の入口としての第3誘導孔494が遊技盤面400Aより後側に設けられるので、板状部材492が進入禁止姿勢をとる遊技状態において排出誘導路の入口を遊技者が認識し難くすることができる。よって、板状部材492が進入許容姿勢をとった場合に入賞口497に遊技球が進入し難い遊技機であると前もって認識してしまうことによる遊技継続の意欲低下を抑制することができる。
ここで、第3誘導路63の入口に排出口であることを示す排出対応情報(例えば、「OUT」の表記)を付しても良く、排出対応情報としては、壁498の後側に重なる位置に配置し、遊技者が遊技盤面400Aに顔を近づけて上から覗き込まなければ視認し得ない位置に配置しても良い。
また、図53に示したように、排出誘導路へと遊技球を導く排出口497Z(破線で示す)を入賞口497と並んで設けても良い。排出口497Zの上側や後側には、排出口であることを示す排出対応情報(例えば、「OUT」の表記)を付しても良く、排出対応情報としては、板状部材492が進入禁止姿勢をとる状況では、不透明又は着色された半透明に構成された板状部材492の後側に排出対応情報が重なって遊技者が排出対応情報を認識し難くする構成としても良い。
(2)上記実施形態においては、人物の顔を検出するとトラッキングモードに遷移する構成としたが、必ずしもトラッキングモードを有する必要はない。例えば、常に検出された人物の顔から視点角度Vを算出するようにしても良い。
上記実施形態においては、水平2方向(前後及び左右)と鉛直方向の3次元における遊技者の眼の位置に基づいて視点角度Vを算出する構成としたが、必ずしも3次元の検出を行う必要はない。例えば、左右方向及び鉛直方向のみに基づいて視点角度Vを算出するようにしても良い。この場合、鉛直方向の眼の位置に基づいて、遊技者が目の位置を前後方向に移動させた場合には顔を前後方向に移動させたものと仮定して視点角度Vを算出するようにすることにより、本実施の形態と同様の効果を得ることができる。もちろん、左右方向及び鉛直方向のみを検出し、遊技者が目の位置を前後方向には移動させないという仮定で2次元敵に視点角度Vを算出しても良い。
上記実施形態においては、遊技者の目の位置が前後方向の移動を視点角度Vにのみ反映させる構成とした。本発明はこれに限らず、例えば、遊技者が装飾図柄表示装置479に対して顔を近づけると、眼に近い位置に存在する3Dモデルを拡大表示するようにしてもよい。これにより、遊技者がじっくりと見たいと思った3Dモデルを拡大して視認させる事ができ、娯楽性を向上させることができる。
上記実施形態においては、遊技者の顔サイズを登録して座っているときの基準とする構成としたが、必ずしも顔サイズを登録する必要はない。例えば、単純に眼間距離DEから装飾図柄表示装置479と遊技者との距離を推定するようにしても良い。
上記実施形態においては、顔の一部の状態として目の位置を検出する構成としたが、必ずしも目の位置を検出する必要はない。例えば、目の位置に代えて、又は、目の位置に加えて、口や耳、あごなど、他の位置を検出しても良いし、顔の向きを検出しても良いし、頭部全体の位置を検出してもよい。また、通常時には目の位置を検出し、遊技者がサングラスなどをかけていたことによって目の位置を検出できなかった場合に、口や耳などの位置から目の位置を推測するようにしても良い。
上記実施形態においては、顔の一部の状態として目の位置に応じた視点からの画像を画像データとして生成する構成について説明したが、当該構成に代えて、又は当該構成に加えて、顔の一部の向きに応じた視点からの画像を画像データとして生成しても良い。例えば、同一の目の高さ位置であっても、視線の向きの変化に応じて視点角度Vを変化させる構成としても良く、頭部全体としては一定の位置にあっても、顔を斜め上向きにしつつ視線を斜め下向きにして装飾図柄表示装置479を視認した場合に視点を上昇させて上から覗き込んだ状態の画像データを生成し、顔を斜め下向きにしつつ視線を斜め上向きにした場合に視点を下降させて下から見上げた状態の画像データを生成したりしても良い。左右方向に対しても、顔の向きを変化させつつ視線を顔の向きとは逆向きに変化させて装飾図柄表示装置479を視認した場合には、顔の向きを変化させた側へ視点を移動させた状態の画像データを生成しても良い。椅子に座った状態から視点を移動させるために、おしりを浮かせたり、逆にかがんだりする動作を煩わしく思ったり、左右に頭部を移動することで隣の遊技者への邪魔を心配したりする遊技者であっても、視点角度を変化させた画像による演出効果を楽しむことができる。また、視線の向きの変化に対応して視点角度を変化させた場合に、視点角度の変化を一般的な視線の向きの変化と一致させることができるので、視点の位置変化と視点角度の変化とが一致しなくても遊技者にとっては違和感の少ないものとすることができる。
上記実施の形態においては、装飾図柄表示装置479に抽選結果として複数の数字の組合せを表示するようにした。本発明はこれに限らず、例えば、数字に代えて、又は、数字に加えて、図柄や文字などの組み合わせによって抽選結果を表示しても良く、又は、装飾図柄表示装置479に表示した特定の文字やキャラクタ(例えば、魚群)を抽選結果に対応する構成とし、大当りの場合に限って特定の態様(例えば、確定の文字や、金色の魚群)によって抽選結果を表示しても良い。
上記実施の形態においては、第1カメラ装置600Cによって撮影された第1撮影データと第2カメラ装置600Dによって撮影された第2撮影データとの両方において顔が検出された場合には、2つの撮影データを使用して視点角度Vを算出するようにした場合について述べた。本発明はこれに限らず、例えばそれぞれの撮影データを解析し、遊技者の顔が向いている方向がより近く、信頼性が高いと判断された一の撮影データを使用して視点角度Vを算出するようにしても良い。
上記実施の形態の1つにおいては、第1カメラ装置600Aの下側移動状態において、基準顔サイズを更新する構成について説明したが、必ずしも下側移動状態において基準顔サイズを更新する必要はない。上記実施の形態のいずれかにおいて、遊技者が変更となったタイミングを検出した場合に基準顔サイズを更新するものとしても良く、例えば、発射ハンドル252に遊技者が接触していることを検出する接触センサ254(図10参照)において非接触の状態が一定時間(例えば、1分)以上継続した場合に基準顔サイズを消去し、その後に、遊技者が接触していることを検出する接触センサ254がオンとなった場合に基準顔サイズを新たに登録するようにしても良い。
上記実施の形態の1つにおいては、リーチ状態中における数字の変動表示部に重なるように第1カメラ装置600Aを移動させて基準顔サイズを登録(記憶)する構成について説明したが、必ずしもリーチ状態中に基準顔サイズを登録する必要はなく、前回以前の変動表示において登録した基準顔サイズを次回以降の変動表示における画像データの生成に使用しても良い。この場合には、基準顔サイズの登録がすでになされているか否かに応じて、第1カメラ装置600Aを下側移動状態にして基準顔サイズを登録する処理を実行するか否かを決定しても良い。すなわち、基準顔サイズの登録がすでになされている場合には、登録のない場合に比べて、第1カメラ装置600Aを下側移動状態にして基準顔サイズを登録する処理を実行する比率を低くして装飾図柄表示装置479の前に造形物491が重なる頻度を少なくし、一方、基準顔サイズの登録のない場合には第1カメラ装置600Aを下側移動状態にして基準顔サイズを登録する処理を実行する比率を高めて基準顔サイズを登録し易くしても良い。
上記実施の形態の1つにおいては、造形物491と一体化された第1カメラ装置600Aの下側移動状態において基準顔サイズを登録する構成について説明したが、造形物491が下側に移動する場合には、移動しない場合に比べて大当りの当選といった遊技者に有利な状況を遊技者が期待できる構成とすることが好ましく、例えば、低確率状態において造形物491が下側に移動しないリーチ状態においては略5%の確率で大当りの抽選結果が表示される一方、造形物491がリーチ状態において下側に移動した場合には移動しない場合の数倍以上の確率(例えば、30%以上の確率)で大当りの抽選結果が表示されるようにすることが好ましい。また、造形物491の移動動作を稀に発生させて遊技者が造形物491の移動動作を注目する構成とすることが好ましく、第1カメラ装置600Aの下側移動状態は、大当りの抽選確率(例えば、300分の1)に対して略5倍以下の動作確率(例えば、60分の1以下)に設定することが好ましく、略2倍以下の動作確率(例えば、150分の1以下)とすることが好適である。
上記実施の形態の1つにおいて、第1カメラ装置600Aの下側移動状態にて、基準顔サイズを検出できたか否かに応じて、装飾図柄表示装置479に表示される画像として視点角度Vの変化を利用した画像を表示するか否かを決定するものとしても良い。例えば、造形物491が下に下がった状態において、遊技者の顔サイズが第1カメラ装置600Aによって撮影された撮影データから検出できなかった場合には、図28に示すように大当りの抽選結果が表示された状態において、装飾図柄表示装置479に宝箱TBは表示せず、その後に視点角度Vの変化を用いない他の演出(例えば、複数のキャラクタが戦闘する演出)の画像を装飾図柄表示装置479に表示して、大当りの種類の抽選結果を表示するものとしても良い。
上記実施の形態においては、副制御基板940の表示データ生成部942は、3Dモデルデータを利用して視点からの投影画像を生成する構成について説明したが、必ずしも表示データ生成部942によって3Dモデルデータを利用して視点からの投影画像を生成する必要はない。画像データ記憶部941には、3Dモデルデータを利用した投影画像を2次元データに予め変換して画像データとして記憶し、その画像データとしては、複数の視点からの投影画像を記憶しておく。そして、表示データ生成部942によって、カメラ装置600によって検出された遊技者の状態に対応した視点からの投影画像を選択し、その投影画像を画像表示用のRAMに書き込むことによって視点からの投影画像を生成しても良い。
本発明を上記実施形態とは異なるタイプのパチンコ機等に実施しても良い。例えば、一度大当たりすると、それを含めて複数回(例えば2回、3回)大当たり状態が発生するまで、大当たり期待値が高められるようなパチンコ機として実施しても良い。また、大当たり図柄が表示された後に、所定の領域に球が入賞することを必要条件として特別遊技状態となるパチンコ機として実施しても良い。また、球が循環する封入式のパチンコ機に実施しても良い。さらに、パチンコ機以外にも、アレンジボール型パチンコ、雀球等の各種遊技機として実施するようにしても良い。また、パチンコ機に限定されることはなく、スロットマシンに適用しても良く、パチンコ機とスロットマシンとを融合した形式のパロット等の遊技機に適用しても良い。
〔上記実施形態から抽出される発明群〕
以下、上記した実施形態から抽出される発明群の特徴について、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。なお以下においては、理解の容易のため、上記各実施形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。また、各特徴に記載した用語の意味や例示等は、同一の文言にて記載した他の特徴に記載した用語の意味や例示として適用しても良い。
従来の遊技機においては、例えば液晶パネルからなる装飾図柄表示装置を備えており、当該装飾図柄表示装置に様々な画像を表示することが一般的である。上記従来の遊技機においては、これまでにない新しいタイプの画像を表示したいという要望があった。そこで、本発明に係る遊技機では、例えば、新しいタイプの画像を表示可能な遊技機を提供するという観点から、発明A群〜C群を抽出することができる。
<発明A群>
特徴A1:本発明の遊技機(パチンコ機100)は、
画像データを生成する画像データ生成手段(表示データ生成部942)と、
前記画像データを画像として表示する表示手段(装飾図柄表示装置479)と、
前記表示手段を視認する人物の顔を撮影する撮影手段(カメラ装置600)と、
前記撮影手段によって撮影された撮影データから、前記人物の顔の少なくとも一部を検出する顔検出手段(顔検出部943)とを備え、
前記画像データ生成手段は、
前記人物の顔の少なくとも一部(目、口、耳、及び、頭部全体のいずれか又は組合せ)の状態(位置及び向きの少なくとも一方)に応じた視点からの投影画像を前記画像データとして生成することを特徴とする。
特徴A1に記載の遊技機であれば、人物の顔の少なくとも一部(例えば、目)の位置に応じた画像を装飾図柄表示手段に表示させることができるため、新しいタイプの画像を表示できると共に、遊技者の画像に対する興味を惹くことができ、遊技者を一層楽しませることができる。
なお、特徴A1に記載の遊技機において、画像データ生成手段は、人物の顔の少なくとも一部の変化に応じた視点からの投影画像を画像データとして生成するとしても良いし、人物の顔の少なくとも一部の変化に応じて、その変化した状況(位置、向き又は量)とは異なる状況に対応した視点からの投影画像を画像データとして生成するとしても良いし、人物の顔の向きの変化に応じた視点角度による視点からの投影画像を画像データとして生成するとしても良い。
特徴A2:特徴A1に記載の遊技機において、前記顔検出手段は、
前記人物の顔の一部の位置として、水平2方向及び鉛直方向の3次元を検出することを特徴とする。
特徴A2に記載の遊技機であれば、人物の顔の一部の位置を3次元的に把握することができるため、正確な視点角度Vを算出して画像に反映させることができる。
なお、人物の顔の一部としては、目の位置であることが好ましい。遊技者の視点が明確となると共に、周囲との輝度差が大きく、検出が容易だからである。また、人物の顔の一部に応じた画像として、人物の視点角度(視点角度V)を算出し、当該視点角度からの投影画像として画像データを生成しても良く、また、例えば視点角度に重み付けを行うことにより敢えて視点角度と相違する角度からの投影画像を画像データとしても良い。
特徴A3:特徴A1又は11に記載の遊技機において、前記画像データ生成手段は、
前記表示手段の正面側(又は正面に近い側)に前記人物の視点があるときは、容器内(宝箱TB)の内容物が見えないように前記画像データを生成し、
前記表示手段の正面側(又は正面に近い側)よりも上方向に前記人物の視点があるときは、前記容器内の内容物が見えるように前記画像データを生成することを特徴とする。
特徴A3に記載の遊技機であれば、敢えて遊技者に容器内の内容物を見えない状態の画像を表示手段に表示させることにより、遊技者の興味を惹き付け、遊技者に上方向から覗き込ませて内容物を確認させることにより、遊技者のわくわく感を高め、遊技機としての娯楽性を向上させることができる。
特徴A4:特徴A1〜特徴A3のいずれかに記載の遊技機において、前記顔検出手段は、
前記人物の目の位置として、前記表示手段に対して上下方向及び左右方向の2次元を検出し、前記上下方向における前記人物の目の位置に基づいて、前記表示手段に対して前後方向の前記人物の目の位置を推測することを特徴とする。
特徴A4に記載の遊技機であれば、単一の方向側から撮影した画像から距離の変化を推測することができるので、撮影手段を低コストで構成しつつ前後の視点変化に応じた画像データを生成することができる。
特徴A5:特徴A1〜特徴A4のいずれかに記載の遊技機において、前記顔検出手段は、
前記人物が座った状態の顔を基準として、前記表示手段に対して前後方向の前記人物の目の位置を検出することを特徴とする。
特徴A5に記載の遊技機であれば、人物の顔のサイズや顔の特徴に拘わらず、本人の顔を基準として前後方向の目の位置を検出できるため、前後方向の目の位置の検出精度を向上させ得る。
<発明B群>
特徴B1:本発明の遊技機は、
人物の顔を撮影する撮影手段(第1カメラ装置600A)と、
前記撮影手段によって撮影された撮影データから、前記人物の顔の少なくとも一部を検出する顔検出手段と、
前記人物の顔の少なくとも一部の状態に応じた視点からの投影画像を画像データとして生成する画像データ生成手段と、
前記画像データを画像として表示する表示手段と、
を備え、
前記撮影手段は、
前記表示手段に対して前後方向に重なる位置に配置可能に設置されていることを特徴とする。
特徴B1に記載の遊技機であれば、遊技者の顔の正面に配置される表示手段に対して前後方向に重なる位置に撮影手段を配置できるため、遊技者の顔を正面に近い位置から撮影することができる。
なお、表示手段に対して前後方向に重なる位置に配置可能に設置されているとは、少なくとも一時的に表示手段の前後方向に重なる位置に配置可能に設置されていることを意味する。一般的に遊技機は縦長であり、表示手段は横長であるため、左右方向に撮影手段を設置するスペースがない場合が多いため、撮影手段を移動させる場合には、遊技機正面視において表示手段の表示部に対して上下方向に隣接又は近傍に位置するように、撮影手段が設置された撮影装置(造形物491)を移動させることがより好ましい。また、撮影手段を移動させる必要はなく、撮影手段と表示手段との間に、前後方向に間隔を設ける(例えば10〜30cm程度)ことにより、撮影手段と表示手段とが前後方向に重なっていても遊技者に表示手段を視認させることが可能となる。さらに、表示手段の後側に撮影手段を配置しておき、例えば光の作用やマジックミラーなどを利用して撮影を行う事も可能である。例えば、通常1秒に60枚画像が表示される場合、画像を1枚抜くと同時にシャッタースピードを1/60秒未満にして撮影手段によって撮影を行うことにより、遊技者に殆ど気づかれることなく撮影を行う事が可能になる。
特徴B2:特徴B1に記載の遊技機において、前記撮影手段は、特定の状態になったときに、前記表示手段の前面側に重なる所定位置に移動することを特徴とする。
特徴B2に記載の遊技機であれば、表示手段の前面、すなわち遊技者の顔のほぼ正面に撮影手段を配置させることができ、遊技者の顔をほぼ正面から撮影して遊技者の顔の少なくとも一部の位置を正確に把握することができる。
特徴B3:特徴B2に記載の遊技機において、画像データ生成手段は、
複数の数字や図柄などの抽選柄(又は識別情報)の組み合わせにより抽選結果を表す抽選盤(又は結果表示部)を表示し、
前記撮影手段は、
前記抽選盤(又は結果表示部)に表示された前記抽選柄(又は識別情報の組合せ)があと一つで当選を示すリーチ状態の際、前記表示手段(又は、その結果表示部)の前面側に重なる位置に移動することを特徴とする。
特徴B3に記載の遊技機であれば、遊技者が真剣に表示手段を凝視することが多いリーチ状態において、遊技者をほぼ正面から撮影できるため、遊技者の顔の少なくとも一部の位置を正確に把握することができる。
特徴B4:特徴B1〜特徴B3のいずれかに記載の遊技機において、
前記撮影手段によって遊技者の顔が撮影できない場合であっても、遊技者の顔が撮影できるように設置された補助撮影手段(第2カメラ装置600B)を有することを特徴とする。
特徴B4に記載の遊技機であれば、遊技者の服装など種々の要因に起因して遊技者の顔の少なくとも一部が撮影できない場合であっても、相違する角度から遊技者を撮影できるため、撮影の成功確率を向上させ得る。
特徴B5:特徴B1〜特徴B4のいずれかに記載の遊技機において、前記顔検出手段は、
前記人物が座った状態の顔を基準として、前記表示手段に対して前後方向の前記人物の目の位置を検出することを特徴とする。
特徴B5に記載の遊技機であれば、遊技者の正面に近い位置から撮影された画像に基づいて、基準からの拡大・縮小率によって人物の前後方向の位置を推測できるため、推測精度を向上させ得る。
特徴B6:特徴B5に記載の遊技機において、前記撮影手段が前記表示手段の前面側に重なる位置に移動したときの、前記人物が座った状態の顔を基準とすることを特徴とする。
特徴B6に記載の遊技機であれば、遊技者のほぼ正面の位置から撮影された画像に基づいて、人物の前後方向の位置を推測できるため、推測精度を一段と向上させ得る。
なお、特徴B6に記載の遊技機において、撮影手段は、人物の顔以外の体の一部を撮影するものであり、その顔以外の体の一部(例えば、肩)と顔との相対位置(例えば、高さ位置)によって人物が座った状態であるか否かを判定する着座判定手段を有し、着座判定手段の判定結果によって人物が座った状態であるか否かを検出するものとしても良い。
<発明C群>
特徴C1:本発明の遊技機は、
人物の顔を撮影する複数の撮影手段(第1カメラ装置600A及び第2カメラ装置600B、第1カメラ装置600C及び第2カメラ装置600D)と、
前記複数の撮影手段によって撮影された複数の撮影データのうち、少なくとも一以上の撮影データから、前記人物の顔の少なくとも一部を検出する顔検出手段と、
前記人物の顔の少なくとも一部の状態に応じた視点からの投影画像を画像データとして生成する画像データ生成手段と、
前記画像データを画像として表示する表示手段とを有することを特徴とする。
特徴C1に記載の遊技機であれば、相違する角度から撮影された複数の撮影データに基づいて人物の顔の少なくとも一部を撮影できるため、撮影の成功確率を向上させ得る。
特徴C2:特徴C1に記載の遊技機において、
前記画像データ生成手段は、
前記複数の撮影データのうち、前記複数の撮影手段によって撮影された2以上の撮影データから前記人物の顔の少なくとも一部が前記顔検出手段によって検出された場合には、当該2以上の撮影データを用いて前記画像データを生成することを特徴とする。
特徴C2に記載の遊技機であれば、2以上の撮影データを用いて遊技者の顔の少なくとも一部を検出できるため、検出精度を向上させ得る。
特徴C3:特徴C2に記載の遊技機において、
前記画像データ生成手段は、
前記複数の撮影データのうち、前記顔検出手段によって2以上の撮影データから前記人物の顔の少なくとも一部が検出された場合には、2以上の撮影データからそれぞれ算出された視点の平均値に基づいて前記投影画像を生成することすることを特徴とする。
特徴C3に記載の遊技機によれば、相違する角度から撮影された2以上の撮影データから算出された視点の平均値に基づいて投影画像の視点を決定できるため、視点の算出精度を向上させ得る。
特徴C4:特徴C3に記載の遊技機において、
前記複数の撮影データのうち、前記顔検出手段によって2以上の撮影データから前記人物の顔の少なくとも一部が検出された場合には、信頼性の高い撮影データから算出された視点を、前記投影画像を生成する際の視点とすることを特徴とする。
特徴C4に記載の遊技機によれば、信頼性の高い撮影データから算出された精度の高い視点を用いて、設計通りの投影画像を生成できる。
特徴C5:特徴C1〜特徴C4のいずれかに記載の遊技機において、画像データ生成手段は、人物の顔の少なくとも一部の変化に応じて、その変化した状況(位置、向き又は量)とは異なる状況に対応した視点からの投影画像を画像データとして生成することを特徴とする。
特徴C5に記載の遊技機によれば、視点の検出精度を向上させ得るため、例えば、遊技者の小さな動きに正確に反応して投影画像を大きく動かしたり、拡大させたりしても、違和感のない投影画像を生成できる。
特徴C6:特徴C1〜特徴C5のいずれかに記載の遊技機において、
前記複数の撮影手段として、
前記表示手段に対して前後方向に重なる位置に配置可能に設置された第1撮影手段(第1カメラ装置600A)と、
前記表示手段に対して前後方向に重ならない位置に配置された第2撮影手段(第2カメラ装置600B)とを備え、
前記顔検出手段は、前記第1撮影手段によって前記人物の顔の少なくとも一部を検出した場合に、前記第2撮影手段によって撮影された前記人物の顔の少なくとも一部を記憶する顔記憶手段(図33のS309の処理)を備え、
前記画像データ生成手段は、
前記顔記憶手段によって記憶された前記人物の顔の少なくとも一部と、その記憶後において前記第2撮影手段によって撮影された前記人物の顔の少なくとも一部との状態に応じた視点からの投影画像を前記画像データとして生成することを特徴とする。
特徴C6に記載の遊技機によれば、第1撮影手段によって表示手段に対して前後方向に重なる位置から人物の顔の少なくとも一部を検出したタイミングにおける第2撮影手段によって撮影された人物の顔の少なくとも一部を記憶手段によって記憶しておくことができる。このため、第2撮影手段のみによっては、遊技者が表示手段に対して正面側に位置するか否かの判定が困難な場合であっても、第1撮影手段を利用して遊技者の状況を判定し、その状況として好適なタイミングを第1撮影手段による撮影データによって正確に判定することができる。そして、その好適なタイミングにおける遊技者の状況を顔記憶手段によって第2撮影手段による撮影データとして記憶し、画像データ生成手段による画像の生成に利用することができるので、第1撮影手段による撮影データが利用不能な状況が後に発生しても、第2撮影手段による撮影データを利用して視点からの投影画像を生成することができる。よって、第1撮影手段を遊技者から邪魔にならない位置に移動(退避)させるなど第1撮影手段の配置位置を変化させても、人物の顔の少なくとも一部の状態変化に対応した投影画像を好適に生成することができ、表示手段と撮影手段とを利用した演出設定の自由度を高めることができる。
ここで、特徴A1〜A5、B1〜B6、C1〜C6に記載の遊技機において、人物の顔を撮影する撮影手段の表現に代えて、人物の顔の少なくとも一部を含む顔情報を入力する入力手段としても良い。また、撮影手段によって撮影された撮影データとしては、静止画のデータとしても良いし、撮影手段によって撮影された複数の静止画データの組合せによって構成される動画データの少なくとも一部のデータに相当する撮影データとしても良い。
また、特徴A1〜A5、B1〜B6、C1〜C6に記載の遊技機において、表示手段と他の手段との配置位置を特定する場合には、表示手段の表現に代えて、表示手段の結果表示部としても良く、結果表示部としては、遊技機において実行される抽選に対しての抽選結果が表示される表示領域に相当し、例えば、液晶表示装置の表示画面内において、図柄の組合せが停止表示される領域が例示され、又は、抽選結果に対応するキャラクタの動作や文字の表示される領域が例示される。
また、特徴A1〜A5、B1〜B6、C1〜C6に記載の遊技機において、画像データ生成手段は、人物の顔の少なくとも一部の状態に応じた視点からの投影画像を画像データとして生成するとは、3Dモデルデータと動きデータとを記憶する3次元データ記憶部を遊技機が備え、その記憶部に記憶されたデータを利用して視点からの投影画像を生成する構成としても良いし、3Dモデルデータを利用した投影画像を2次元データに予め変換した画像データであって複数の視点からの投影画像に対応した画像データを記憶する2次元データ記憶部を遊技機が備え、2次元データ記憶部に記憶された画像データから、遊技者の状態に対応した視点からの投影画像を選択し、その選択した投影画像を、表示手段に画像を表示するためのRAMに書き込むことにより画像データを生成する構成としても良い。
<発明D群>
従来の遊技機において、遊技球の進入を許容する進入許容姿勢と遊技球の進入を禁止する進入禁止姿勢とをとる可変入賞装置を備え、遊技球の進入許否は可変入賞装置の内部に設けられた可動部材の配置変化によって実現する構成が知られている。
例えば、遊技球が流下する遊技領域から後方に開口する入賞口に対して平板状の可動部材を設置し、可動部材によって入賞口を塞ぐ進入禁止姿勢と、可動部材を進入禁止姿勢から水平回転軸に対して回転させてその上端を前方に突出させた進入許容姿勢とをとり、上方から流下してくる遊技球を可動部材で受け止めて入賞口に誘導する構成や、上方に開口形成された入賞口を板状の可動部材によって塞ぐ進入禁止姿勢と進入禁止姿勢から可動部材を後方に移動させて入賞口を開放した進入許容姿勢とをとる構成、或いは、可動部材を下側を中心にして左右方向に広がるように駆動して入賞口を開放する構成などが挙げられる(例えば、特開2007−319361号公報参照)。
上記従来の遊技機において、可動手段によって所定の入賞口に近づく方向側に遊技球を誘導する構成について、未だ改良の余地がある。すなわち、進入許容姿勢において入賞口に遊技球が進入する数は、入賞口に到達する遊技球の数量に対応する。このため、進入許容姿勢において遊技球が入賞口に一定の割合で進入しない設定としたい場合には、入賞口付近に遊技球が集中しないよう、入賞口から離れた上流側部分で入賞口とは相違する方向に遊技球が流下するように設定しておかなければならない。しかしながら、入賞口から離れた上流側部分で入賞口とは相違する方向に遊技球が数多く進行する設定にしてしまうと、進入禁止姿勢をとる一般の遊技状態(例えば、通常遊技状態)において、遊技者は入賞口に遊技球が進入し難い遊技機であると認識してしまって、遊技継続の意欲が低下してしまう可能性がある。
特徴D1:本発明の遊技機は、
遊技球が進入した場合に所定の特典(所定の個数の遊技球払出)を付与する所定の入賞口(入賞口455,497)と、
該所定の入賞口に近づく方向側に進行した後に当該遊技球を前記所定の入賞口とは相違する方向へ導く第1誘導路(第1誘導路51,61)の一部を形成する第1状態(進入禁止姿勢の状態)と、該第1状態より高確率で前記所定の入賞口へ遊技球を導く第2誘導路(第2誘導路52,62)の一部を形成する第2状態(進入許容姿勢の状態)とに移行可能な可動手段(板状部材481,481X,492)と、
所定の条件が成立した場合に前記第1状態から前記第2状態に前記可動手段を移行させる制御を行う可動制御手段(主制御基板920)とを有し、
前記可動手段は、
前記第2状態において、前記第2誘導路から分岐し前記所定の入賞口とは相違する方向へ遊技球を導く第3誘導路(第3誘導路53,63)を形成する
ことを特徴とする。
特徴D1に記載の遊技機であれば、可動手段によって所定の入賞口に近づく方向側に遊技球を好適に誘導可能な遊技機を提供することができる。すなわち、第1状態と第2状態のうち、可動手段が第1状態をとった場合には、第1誘導路によって所定の入賞口に遊技球を近づけてから、その遊技球が所定の入賞口とは相違する方向へ導かれる。このため、可動手段が第1状態をとる遊技状態(例えば、通常遊技状態)においては、所定の入賞口へ遊技球が近づく状況を遊技者に視認させることができ、所定の入賞口に遊技球が進入し難い遊技機であると認識することによる遊技継続の意欲低下を抑制することができる。そして、可動手段が第2状態をとった場合には、第2誘導路を進行する遊技球の一部が第3誘導路によって所定の入賞口とは相違する方向へ誘導されるので、可動手段の設置位置までは遊技球が進行することで遊技者に大きな不満を抱かせることなく、遊技球の一部は所定の入賞口へ進入させずに済み、所定の入賞口へ入賞する単位時間当たりの数量(遊技球の割合)を好適に抑制することができる。
なお、第1誘導路は、遊技球を低確率で所定の入賞口へ導く通路としても良く、低確率としては、第1誘導路に導かれた遊技球の略10%未満が所定の入賞口に導かれる確率が例示され、遊技球が全く所定の入賞口に導かれない0%を含むものとする。
また、第2誘導路が所定の入賞口へ遊技球を導く高確率としては、第2状態を形成した可動手段によって所定の入賞口側へ誘導される遊技球を所定の入賞口へ導く確率としても良く、略30%以上の確率としても良いし、略50%以上とすることが好ましく、略70%以上とすることが好適である。
また、可動手段は、第1状態において、可動手段により形成された第1誘導路の一部より下流側にて所定の入賞口とは相違する方向に連続する第1空間を形成する第1状態をとり、第1状態より第2状態にて、第1空間を通過する遊技球の数を減らす又は第1空間を遊技球が通過不能な状態をとるものとしても良い。
また、可動手段は、可動手段により形成された第2誘導路の一部より上流側にて所定の入賞口とは相違する方向に分岐して第3誘導路を形成するとしても良い。
特徴D2:特徴D1に記載の遊技機において、
前記所定の入賞口に遊技球が進入したことを検出する検出手段を有し、
前記可動制御手段は、前記可動手段を第2状態に移行させてから前記所定の入賞口に進入した遊技球の数をカウントし、所定の数だけ遊技球が進入すると、前記可動手段を前記第1状態へ移行させることを特徴とする。
特徴D2に記載の遊技機であれば、第2誘導路に誘導された遊技球の一部を所定の入賞口に誘導させないため、第2状態を長く維持することができ、第2状態において提供される特別な画像表示や、第2状態において遊技者が感じる高揚感を遊技者に存分に楽しませることができる。また、本発明の可動手段を、特別図柄に係る抽選に当選した場合に作動する大入賞装置として使用することにより、当選した後にさらにゲーム手段によって遊技者にゲームを楽しませることができるため、遊技機としての娯楽性を一層高めることができる。
特徴D3:特徴D1又は特徴D2に記載の遊技機において、
前記可動手段は、
ほぼ水平方向に遊技球を進行させる前記第2誘導路に対して下方側に遊技球が流下可能な空間を設けることにより、前記第3誘導路を形成することを特徴とする。
なお、ほぼ水平方向とは、水平から30°未満のことである。
特徴D3に記載の遊技機によれば、第2誘導路上での遊技球の動きが比較的ゆっくりなため、遊技球が所定の入賞口に導かれるか否かを遊技者に視認させることができ、遊技者をどきどきさせて遊技の楽しみを一層高めることができる。
特徴D4:特徴D1〜特徴D3のいずれかに記載の遊技機において、
前記可動制御手段は、
前記可動手段の配置を制御することにより、前記第2誘導路から前記第3誘導路へ導かれる遊技球の確率を変化させることを特徴とする。
なお、可動手段の配置とは、可動手段の位置や角度をいう。
特徴D4に記載の遊技機によれば、状況に応じて第3誘導路へ導かれる遊技球の確率を変化させることができるので、第2状態の長さを調節したり、遊技球の消費球数を調節したりすることが可能となる。
特徴D5:特徴1〜特徴D4のいずれかに記載の遊技機において、
遊技球が流下する遊技領域を前面側に形成する遊技部材(遊技盤400の基体401)を備え、
前記可動手段は、
前記第2状態において、前記可動手段(板状部材492)の少なくともを前記遊技部材の前面(遊技盤面400A)よりも前方に位置させることにより、前記第2誘導路を形成し、
前記可動手段には、遊技球が通過可能な誘導孔(第3誘導孔494)が設けられ、該誘導孔を入口部分として前記第3誘導路が形成されることを特徴とする。
特徴D5に記載の遊技機によれば、可動手段に設けられた誘導孔から遊技球を流下させることにより第3誘導路を構成することができ、簡易な構成で第3誘導路を形成できる。
特徴D6:特徴D5に記載の遊技機において、
前記可動手段は、
前記第2状態において、ほぼ水平方向に連続した姿勢をとることにより、当該可動手段より後方側に設けられた前記所定の入賞口に遊技球を誘導する第2誘導路を形成し、
前記第1状態において、ほぼ鉛直方向に連続した姿勢をとることにより、遊技領域を流下する遊技球が前方側を通過する第1誘導路を形成する
ことを特徴とする。
なお、ほぼ鉛直方向とは、鉛直から略30°未満のこととしても良い。
特徴D6に記載の遊技機によれば、一般的な回転による開閉方式の構成を用いて、第3誘導路を有する従来にない新しいタイプの大入賞装置を形成することができる。
特徴D7:特徴D6に記載の遊技機において、
前記可動手段は、
前記遊技部材の前面よりも後ろ側に設けられた回転軸を中心に回転することを特徴とする。
特徴D7に記載の遊技機によれば、第1状態において、可動手段を遊技領域内へ突出させずに済むため、第1誘導路における遊技球の流れをスムーズにできると共に、可動手段を大きく形成できるため可動手段の面積と誘導孔の面積とで変化する第3誘導路へ誘導される遊技球の確率調整を容易にできる。
特徴D8:特徴D6又は特徴D7に記載の遊技機によれば、
前記可動手段に設けられた誘導孔は、
前記第1状態において、前記所定の入賞口と少なくとも一部が重複しない位置に設けられている
なお、少なくとも一部が重複しない位置は、第1状態において、前方向から誘導孔を介して視認可能な入賞口の開口部分が、遊技球が進入できないほど小さい、又は入賞口が全く視認できない状態とする位置としても良い。
特徴D9:特徴D1〜特徴D4のいずれかに記載の遊技機において、
前記可動手段(中進入規制機構454)は、
前記第2状態において前記遊技部材の前面より前方側に設けられた前記所定の入賞口(入賞口455)と、該所定の入賞口に対して上流側に設けられて遊技球を前記所定の入賞口側に誘導する誘導部材(釘499)との間に設けられ、前記所定の入賞口へ向けて遊技球を誘導する前記第2誘導路(第2誘導路52)の一部を形成し、
前記第1状態おいて、前記可動手段と前記所定の入賞口との間に遊技球が通過可能な隙間(第1誘導空間)を形成して前記第1誘導路(第1誘導路51)を形成することを特徴とする。
特徴D9に記載の遊技機によれば、第3誘導路を有する従来にない新しいタイプの大入賞装置を形成することができる。
特徴D10:本発明の遊技機は、
遊技球が進入した場合に所定の特典(所定の個数の遊技球払出)を付与する所定の入賞口(入賞口497)と、
該所定の入賞口に近づく方向側に進行した後に当該遊技球を前記所定の入賞口とは相違する方向へ導く第1誘導路(第1誘導路61)の一部を形成する第1状態(進入禁止姿勢の状態)と、該第1状態より高確率で前記所定の入賞口へ遊技球を導く第2誘導路(第2誘導路62)の一部を形成する第2状態(進入許容姿勢の状態)とに移行可能な可動手段(板状部材481X)と、
所定の条件が成立した場合に前記第1状態から前記第2状態に前記可動手段を移行させる制御を行う可動制御手段(主制御基板920)とを有し、
前記可動手段は、前記第2状態において遊技球の下側を支持し、前記所定の入賞口へ遊技球を誘導する誘導面(板状部材481Xの遊技球の下側を支持する上側を向く面)を有し、
前記所定の入賞口とは別に、前記第2状態において前記誘導面によって下側を支持された遊技球が進入可能な排出誘導部(排出口497Zを入口とする排出誘導路、進入許容姿勢をとる板状部材492の第3誘導孔494を通じて進入可能な第3誘導路63)が設けられ、
該排出誘導部は、前記第1状態において遊技球が進入不能であって、遊技球が進入しても前記所定の特典が付与されない構成とされていることを特徴とする。
特徴D10に記載の遊技機によれば、可動手段によって所定の入賞口に遊技球が進入し易い状態において所定の入賞口に進入する遊技球の割合を好適に抑制可能な遊技機を提供することができる。すなわち、可動手段が第2状態をとった場合には、可動手段の誘導面によって一旦下側を支持された遊技球は必ずしも所定の入賞口へは誘導されず、排出誘導部へと進入して所定の特典が付与されない状況が生じ得る。このため、可動手段の誘導面に支持されて遊技者が所定の入賞口への進入を期待できる対象となる遊技球の数を多くして遊技者の遊技継続の意欲を維持し易くしつつも、それらの遊技球の一部は所定の入賞口へ進入させずに済み、所定の入賞口へ入賞する単位時間当たりの数量(遊技球の割合)を好適に抑制することができる。
なお、特徴D10に記載の遊技機には、上記特徴D1〜D9に記載の遊技機の少なくとも一部の構成を付加しても良く、これにより、可動手段が所定の入賞口に遊技球が進入し易い第2状態において所定の入賞口に進入する遊技球の割合を好適に抑制可能であって、第1状態においては所定の入賞口に近づく方向側に遊技球を好適に誘導可能な遊技機を提供することができる。
また、特徴D10における誘導面は、遊技球を誘導可能な面を構成する部位であれば良く、平面、曲面、及び、起伏面の少なくともいずれかを含むものであっても良いし、遊技球が誘導可能な程度に細かな溝や貫通孔が形成された部位であっても良く、誘導面に代えて誘導部としても良い。
特徴D11:特徴D10に記載の遊技機において、
前記所定の入賞口と、前記排出誘導部とは、
前記可動手段が前記第2状態をとって前記誘導面に遊技球の下側が支持された遊技球が、前記誘導面の外縁の少なくとも一部から離間して該誘導面の内側へ進行した場合に進入可能な位置に設けられていることを特徴とする。
特徴D11に記載の遊技機によれば、所定の入賞口と、排出誘導部とが誘導面の外縁の少なくとも一部から離間して誘導面の内側に進行した先に設けられるので、遊技者は、排出誘導部へ誘導される結果となる遊技球であっても、所定の入賞口への進入を期待し易くすることができる。
特徴D12:特徴D10又はD11に記載の遊技機において、
遊技球が流下する遊技領域を前面側に形成する遊技部材(遊技盤400の基体401)を備え、
前記排出誘導部の入口は、前記遊技部材の前面(遊技盤面400A)よりも後側に設けられていることを特徴とする。
特徴D12に記載の遊技機によれば、排出誘導部の入口が遊技部材の前面より後側に設けられるので、可動手段が第1状態をとる遊技状態において排出誘導部の入口を遊技者が認識し難くすることができる。よって、可動手段が第1状態をとる遊技状態において、第2状態をとった場合に所定の入賞口に遊技球が進入し難い遊技機であると認識することによる遊技継続の意欲低下を抑制することができる。
<発明E群>
特徴E1:本発明の遊技機は、
遊技球が流下する遊技領域を前面側に形成する遊技部材(遊技盤400の基体401)と、
該遊技部材の前面(遊技盤面400A)より前方側に突出して設けられた所定の入賞口(入賞口455)と、
前記遊技部材の前面より前方側に位置し、遊技領域を流下する遊技球の下側を支持して前記入賞口の位置する側へ誘導する誘導面(板状部材481において遊技球の下側を支持する上側を向く面)を有し、該誘導面による前記所定の入賞口への遊技球の誘導状態が異なる第1状態(進入禁止姿勢の状態)と第2状態(進入許容姿勢の状態)とに移行可能な可動手段(板状部材481)と、
所定の条件が成立した場合に前記第1状態から前記第2状態に前記可動手段を移行させる制御を行う可動制御手段(主制御基板920)とを有し、
前記可動手段は、前記第1状態において、前記可動手段の端部が前記所定の入賞口と離隔した位置に配置され、前記所定の入賞口と当該可動手段との間に遊技球が流下可能な第1誘導路(第1誘導路51)を形成し、
前記第2状態において、前記可動手段の端部が前記第1状態より前記所定の入賞口に近い位置に配置され、前記可動手段の誘導面に支持された遊技球を前記所定の入賞口へ誘導可能な第2誘導路(第2誘導路52)を形成することを特徴とする。
従来の遊技機において、遊技球の進入を許容する進入許容姿勢と遊技球の進入を禁止する進入禁止姿勢とをとる可変入賞装置を備え、遊技球の進入許否は可変入賞装置の内部に設けられた可動部材の配置変化によって実現する構成が知られている。
例えば、遊技球が流下する遊技領域から後方に開口する入賞口に対して平板状の可動部材を設置し、可動部材によって入賞口を塞ぐ進入禁止姿勢と、可動部材を進入禁止姿勢から水平回転軸に対して回転させてその上端を前方に突出させた進入許容姿勢とをとり、上方から流下してくる遊技球を可動部材で受け止めて入賞口に誘導する構成や、上方に開口形成された入賞口を板状の可動部材によって塞ぐ進入禁止姿勢と進入禁止姿勢から可動部材を後方に移動させて入賞口を開放した進入許容姿勢とをとる構成、或いは、可動部材を下側を中心にして左右方向に広がるように駆動して入賞口を開放する構成などが挙げられる(例えば、特開2007−319361参照)。
上記従来の遊技機において、可動部材の配置を異ならせる状態の移行によって入賞口へ遊技球を進入させる機構について、未だ改良の余地がある。すなわち、遊技者側から見て可動部材の動作変化が小さく有利な遊技状態を認識し難い場合があるという問題点や、可動部材が進入禁止姿勢から進入許容姿勢をとる場合に遊技球に干渉して正常な動作が実行できなかったり、せっかく入賞口へ近づいた遊技球が可動部材の進入許容姿勢への移行によって入賞口から離れた方向へ飛ばされてしまう場合が生じ得るという問題点があった。
特徴E1に記載の遊技機であれば、所定の入賞口へ遊技球を好適に進入させることが可能な遊技機を提供することができる。すなわち、可動手段は、第1状態から第2状態へ移行する場合に所定の入賞口へ近づく構成とされているので、遊技者側から見て可動手段の第2状態への移行を認識し易くすることができる。よって、所定の入賞口へ遊技球が進入し易い状況において遊技領域へ遊技球を進入させる操作を促し、所定の特典を獲得する機会を遊技者が逸失し難くすることができる。
また、可動手段は、第1状態から第2状態へ移行する場合に所定の入賞口へ近づく構成とされているので、第1状態から第2状態に移行する直前において誘導面に支持された遊技球は、第2状態へ移行する場合に誘導面に支持された状態のままで所定の入賞口へ進入する状況を発生させることができる。よって、可動手段の第2状態への移行動作によって所定の入賞口側へ進行していた遊技球が他の方向へ飛ばされてしまう状況を少なくすることができ、且つ、第2状態の開始直後に所定の入賞口へ遊技球が進入し易くなり、無駄な遊技球の消費が抑えられた良い印象を遊技者に抱かせることができる。
また、第2状態において所定の入賞口の近くに配置されている可動手段は、第1状態へ移行する場合に所定の入賞口から離隔し、所定の入賞口と可動手段との間に第1誘導路が形成されて遊技球が流下可能となる。このため、第2状態となる直前に可動手段の誘導面に支持されて所定の入賞口側へ誘導されている遊技球であっても、所定の入賞口へ進入しない状況を発生させることができる。よって、第2状態をとる遊技状態の一部(例えば、特別遊技状態を構成する各ラウンド)において所定の入賞口に対して予め定めた数(最大進入許容個数)の遊技球の進入をもって第1状態へ移行させたい場合に、第1状態への移行を開始した後の早い段階から所定の入賞口側への遊技球の進行を不能とし、最大進入許容個数を超えた遊技球が所定の入賞口へ進入する状況(オーバー入賞)の発生を抑えて予め設定した量に所定の特典が付与される量を近づけてバラツキを少なくすることができる。
なお、第1状態より所定の入賞口に近い位置とは、誘導面の端部から所定の入賞口の端部(入賞口を構成する壁外側端部のうち、最も近い部分)までの距離Dが遊技球の直径(通常は11mm)の略1.5倍(通常は16.5mm)未満であることとしても良く、離隔した位置とは、距離Dが遊技球の直径の略1.5倍よりも大きいこととしても良い。
また、特徴E1における可動手段は、第1状態から第2状態に移行する場合に、第1状態において誘導面によって遊技球を誘導する方向側又は下方側の少なくとも一方を含む方向側に移動することが好ましく、これにより、第1状態において誘導面に支持された遊技球が可動手段と所定の入賞口との間の隙間に落下し始め、その隙間に挟まった状況を生じ難くすることができ、第2状態を適切に形成して所定の入賞口へ遊技球を確実に誘導し易くすることができる。
また、特徴E1における誘導面は、遊技球を誘導可能な面を構成する部位であれば良く、平面、曲面、及び、起伏面の少なくともいずれかを含むものであっても良いし、遊技球が誘導可能な程度に細かな溝や貫通孔が形成された部位であっても良く、誘導面に代えて誘導部としても良い。
特徴E2:特徴E1に記載の遊技機において、
前記可動手段は、
前記誘導面の少なくとも一部が前記遊技部材の前面に沿って移動することによって前記第1状態と前記第2状態との間を移行することを特徴とする。
特徴E2に記載の遊技機であれば、遊技部材の前面に沿った移動によって第1状態と第2状態との間を移行する、意外性のある動きを有する入賞装置を構成することができる。
なお、特徴E2において、誘導面が遊技部材の前面に沿って移動することには、誘導面が向きを変えつつ移動する場合や、複数の部材で誘導面が構成されて誘導面の形態が変化しつつ移動する場合を含む。
特徴E3:特徴E1又はE2に記載の遊技機において、
前記可動手段は、
前記誘導面の少なくとも一部が前記遊技部材の前面に交差する回動軸(遊技盤面400Aに垂直な回動軸)を中心に回動して前記第1状態と前記第2状態との間を移行することを特徴とする。
特徴E3に記載の遊技機によれば、遊技部材の前面に交差する回動軸を中心とした回動によって誘導面が移動するので、可動手段が遊技者側から見た視線を中心に回動することとなって、可動手段の動作を遊技者が一層認識し易くすることができる。
なお、特徴E3における誘導面の回動量は、略90度以上に設定することが好ましく、120度以上とすることが好適である。
特徴E4:特徴E1〜特徴E3のいずれかに記載の遊技機において、
前記可動手段は、
前記第2状態において、前記第2誘導路から分岐し前記所定の入賞口とは相違する方向へ遊技球を導く第3誘導路(第3誘導路53)を形成することを特徴とする。
特徴E4に記載の遊技機によれば、第2誘導路に誘導された遊技球の一部を第3誘導路へ誘導するため、可動手段の設置位置までは遊技球が進行することで遊技者に大きな不満を抱かせることなく、遊技球の一部は所定の入賞口へ進入させずに済み、所定の入賞口へ入賞する単位時間当たりの数量(遊技球の割合)を好適に抑制することができる。
特徴E5:特徴E4に記載の遊技機において、
前記誘導面側に遊技球が流下可能な上流側の通路を構成して前記誘導面側へ遊技球を誘導する誘導手段(釘499)を備え、
前記可動手段は、前記第3誘導路を前記誘導手段との間に形成することを特徴とする。
特徴E5に記載の遊技機によれば、所定の入賞口から少し離れた位置で第3誘導路と分岐するため、所定の入賞口を注視する遊技者に第3誘導路へ導かれる遊技球をさほど意識させずに済む。
特徴E6:特徴E4又はE5に記載の遊技機において、
前記可動手段は、
前記第2状態において、前記所定の入賞口との間に遊技球が流下可能な空間を形成することを特徴とする。
特徴E6に記載の遊技機によれば、第2状態であっても、所定の入賞口の直前で遊技球が所定の入賞口側へ進行しない状況が発生し得るため、最後まで遊技球が所定の入賞口に進入できるか否かがわからず、遊技者をどきどきさせて遊技をより一層楽しませることができる。
特徴E7:特徴E4〜特徴E6のいずれかに記載の遊技機において、
前記可動制御手段は、
前記第2状態として、少なくとも2種以上に設定された前記可動手段の姿勢に制御し、前記可動手段の設置位置に到達した遊技球が前記第3誘導路へ誘導される割合を少なくとも2種以上の割合に設定した複数種類の遊技状態を発生可能に構成されていることを特徴とする。
なお、可動手段の姿勢とは、第1状態を基準として可動手段の少なくとも一部の構成に移動および回動のいずれかを含む動作をさせて変化させた姿勢としても良く、可動手段の姿勢に代えて可動手段の配置としても良く、配置としては可動手段の位置や角度によって定まる配置が例示される。
特徴E7に記載の遊技機によれば、可動制御手段によって第3誘導路へ誘導される遊技球の割合を調整して、可動手段が第2状態をとって所定の入賞口へ予め定めた数の遊技球が進入する時間を複数種類に変化させることができる。よって、可動手段が第2状態をとる有利な遊技状態として所定の入賞口へ遊技球が進入する数量を一定に設定しても有利な遊技状態に必要な時間長さを複数種類に設定することができ、表示手段としての液晶表示装置などに表示したい動画像の長さに対応した有利な遊技状態を発生させ易くすることができる。
特徴E8:特徴E4〜特徴E7のいずれかに記載の遊技機において、
前記可動制御手段は、
前記第2状態として、前記第1状態を基準とした前記可動手段の移動量を少なくとも2種以上に制御し、前記可動手段の設置位置に到達した遊技球が前記第3誘導路へ誘導される割合を少なくとも2種以上の割合に設定した複数種類の遊技状態を発生可能に構成されていることを特徴とする。
特徴E8に記載の遊技機によれば、特に新しい機構や複雑な機構を作らなくても、移動量を変化させるだけの簡易な構成により、第3誘導路へ誘導される遊技球の割合が異なる有利な遊技状態を発生させ易くすることができる。
なお、特徴A1〜A5、B1〜B6、C1〜C6、D1〜D12、E1〜E8に記載の少なくとも1つの特徴を他のいずれか又は複数の特徴に組み合わせて適用しても良い。以下には、上記した各特徴を適用し得る遊技機の基本構成を示す。
パチンコ機:遊技者が操作する発射操作手段と、その発射操作手段の操作に基づいて遊技球を発射する遊技球発射手段と、その発射された遊技球を所定の遊技領域に導く通路部と、遊技領域内に配置された各遊技部品とを備え、それら各遊技部品のうち所定の通過部を遊技球が通過した場合に遊技者に特典を付与する遊技機。
スロットマシン等の回胴式遊技機:始動操作手段の操作に基づき周回体の回転を開始させ、停止操作手段の操作に基づき周回体の回転を停止させ、その停止後の絵柄に応じて遊技者に特典を付与する遊技機。