ところで、上記のような良否判別機能を有する従来のパーツフィーダでは、例えば、撮像手段が得た画像データに二値化等の前処理を施し、前処理後の画像データに現れたワークを認識して、パターンマッチング等により当該ワークの姿勢や形状を判別している。
また、ワークとしては種々のものが用いられ、例えばワーク表面の反射効率もワークによって様々である。反射効率が低いワークは、光を吸収したり表面の凹凸により光が乱反射する(拡散性が高い)ことから、撮像手段で撮像すると画像データに暗く写る。また、反射効率が高い(鏡面)ワークは、撮像手段で撮像すると画像データに明るく写る。そのため、画像データにおいてワークを安定して認識するためには、搬送面において少なくとも撮像範囲内をワーク表面と反射効率を大きく異ならせることが通例である。
しかしながら、ワークとして図2に示すようにワーク本体W10の表面の一部が樹脂によりコーティングされて上面W1と下面W2とで反射効率が異なるもの、すなわち撮像手段と対向している面によって暗く現れたり、又は明るく現れたりするもの等を用いた場合、特許文献1,2に開示のパーツフィーダのように、搬送面のうち撮像範囲全体が同一の素材で形成されて撮像範囲内の反射効率が均一のものでは、ワークの正確な良否の判別が困難となって、判別ミス(例えばワークの大きさや形状を誤る、良否判別することなくワークを通過させる)が生じやすくなるという問題がある。
この理由を図13,14を用いて述べる。図2に示すようなワークWは、画像データにおいて反射効率が低い上面W1は暗く現れる一方、反射効率が高い下面W2は明るく現れる。そのため、仮に搬送路の搬送面210の反射効率を高く設定した場合、画像データにおいて、ワークWの上面W1は図13(a)に示すように搬送面210との明度差が大きく認識が容易であるが、ワークWの下面W2は図13(b)に示すように搬送面210と同化して認識されにくい。なお、画像データにおいて、ワークWの側面W3は、図13(c)に示すようにコーティングが施されている部分は搬送面210との明度差が大きく認識が容易であるが、それ以外の部分は搬送面210と同化して認識されにくい。そのため、搬送面210の反射効率を高く設定した場合、下面W2が撮像手段と対向するように搬送されてきたワークWは、画像データにおいて認識されにくい。
一方、仮に搬送面211の反射効率を低く設定した場合、画像データにおいて、ワークWの下面W2は図14(b)に示すように搬送面211との明度差が大きく認識が容易であるが、ワークWの上面W1は図14(a)に示すように搬送面211と同化して認識されにくい。なお、ワークWの側面W3は、図14(c)に示すようにコーティングされている部分は搬送面211と同化して認識されにくいが、それ以外の部分は搬送面211との明度差が大きく認識が容易となる。そのため、搬送面211の反射効率を低く設定した場合には、上面W1が撮像手段と対向するように搬送されてきたワークWは、画像データにおいて認識されにくい。
このように、搬送面の反射効率をどのように設定したとしても、ワークWの少なくとも何れかの面は画像データ中で認識されにくく、形状等が正確に認識されなかったワークWについて良否を正確に判別することは困難である。
なお、画像データを二値化する際の閾値を微調整することで、ワークWの表面と搬送面との明度差が小さい画像データからワークWを認識することも可能であるが、このような二値化処理は調整が難しく、実用的ではない。
本発明は、このような課題を有効に解決することを目的としており、表裏で光の反射効率が異なるワークを用いる場合でも、撮像手段で取得した画像データからワークを安定して認識することが可能なパーツフィーダを提供することを目的としている。
本発明は以上のような問題点を鑑み、次のような手段を講じたものである。
すなわち、本発明に係るパーツフィーダは、ワークを搬送させる搬送路と、前記搬送路の搬送面に対向する位置に設置され、前記搬送路に設定された撮像位置を通過する前記ワークを撮像する撮像手段と、前記撮像手段の撮像により取得された画像データから当該ワークを認識するワーク認識手段とを備えたものであって、前記搬送路の前記搬送面には、少なくとも前記撮像手段の撮像範囲内には、光の反射効率がそれぞれ異なる複数の反射領域が形成されており、当該複数の反射領域のうちの少なくとも1つは前記搬送路の一部を切り欠いてなり、これにより当該複数の反射領域は前記ワークの搬送方向と直交する方向に交互に低反射領域と高反射領域として形成されており、前記撮像手段は、前記撮像範囲内にワークが位置するときにワーク表面とともに当該ワーク周辺に表出している前記搬送面の前記反射領域が撮像された画像データを取得し、前記ワーク認識手段は、前記画像データにおける前記ワーク表面と前記反射領域との色要素差に基づいてワークを認識することを特徴とする。
ここで、光の反射効率とは撮像手段への入光量の程度を表すものであり、反射効率が高いものとは、それに反射した光のうち撮像手段へ入射する光の量が相対的に多いものをいい、反射効率が低いものとは、それに反射した光のうち撮像手段へ入射する光の量が相対的に少ないものをいう。また色要素は、明度や彩度の他に、輝度や照度など反射効率が異なることで画像データにおいて差異として現れるものを含む。
このような構成であることで、撮像位置を通過するワークが撮像手段により撮像されて、ワーク表面と複数の反射領域とが現れた画像データが得られる。この画像データにおいて、反射効率が相対的に高い反射領域が現れた部分は相対的に明るく(又はあざやかさの程度が高く)なり、反射効率が相対的に低い反射領域が現れた部分は相対的に暗く(又はあざやかさの程度が低く)なる。このように画像データにおいてワーク周辺に表出する搬送面に色要素が異なる複数の領域が存在することから、ワークとしてどのような反射効率のものを用いたとしても画像データの少なくとも一部にはワーク表面と搬送面とで色要素差が生じ、画像データに現れたワークをワーク認識手段により容易に認識することができる。したがって、表裏で光の反射効率が異なるワークを用いる場合であっても、撮像手段の撮像により得られた画像データからワークを安定して認識し、姿勢判別の機能を有効に高めることができる。
また、反射領域の具体的な配置としては、前記複数の反射領域が前記ワークの搬送方向と直交する方向に交互に形成されているので、明度差の大きい部分を搬送方向と直交する方向に沿って複数箇所に形成することができ、ワークの外縁を明確化することができる。
さらに、前記複数の反射領域のうちの少なくとも1つが、前記搬送路の一部を切り欠くことで形成されているので、切欠きが形成されている部分において搬送面とワークとの摩擦が低減し、ワークが搬送面を搬送することによって生じやすい静電気の発生を抑制することができる。
光を効果的に乱反射させるためには、前記複数の反射領域のうちの少なくとも1つが、前記搬送路の一部を下方に向かって幅が狭くなる断面視略V字状に切り欠くことで形成されていることが好適である。
前記撮像手段がラインカメラである場合、前記複数の反射領域が前記撮像手段の撮像範囲内、又は撮像範囲及びその周辺にのみ形成されていることが好適である。
一方、前記撮像手段がエリアカメラである場合、前記複数の反射領域が、前記搬送面の始端から終端にわたる略全体に形成されていることが好適である。
以上、説明した本発明によれば、搬送路の撮像範囲内に画像データにおいてそれぞれ色要素が異なる複数の反射領域を形成していることから、表裏で光の反射効率が異なるワークを用いる場合であっても、画像データから当該ワークを安定して認識することができるパーツフィーダを提供することが可能となる。
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
図1に示すように、本発明の第1の実施形態であるパーツフィーダ100は、搬送路1に沿って搬送物であるワークWを図示しない供給先に向けて図1の左から右へ搬送し、その搬送途中のワークWを撮像手段としてのラインカメラ2で撮像して、得られた画像データからワークWを安定して認識することを可能にするものである。
このようなパーツフィーダ100は、搬送路1と、この搬送路1を駆動させる駆動手段11と、ラインカメラ2と、搬送路1上から不適正な姿勢のワークWを排除する排除手段4と、ラインカメラ2により取得した画像データの取込みから当該画像データに基づいたワークWの姿勢判別までを行う制御装置3とを含んで構成される。パーツフィーダ100では種々のワークを搬送可能であり、例えば図2に示すような、金属性のワーク本体W10の一部に樹脂でコーティングを施したワークWを用いることができる。樹脂によるコーティングは、ワークWの上面W1から側面W3の一部にかけて施されており、これによって上面W1と下面W2とで光の反射効率が異なっている。ワークWは、その長手方向又は短手方向が搬送方向(以下単に「搬送方向」と記載する)と平行となるように搬送される。
図1に示すように、搬送路1上には、撮像位置(撮影点)P1が設定されており、この撮像位置P1の上方にはラインカメラ2が搬送面10と対向して設けられている。ラインカメラ2は、搬送方向に直交して1列に並ぶ複数の感度の高い撮像素子を有し、自然光もしくは適宜の光源から投光された光の反射光を受光することで搬送路1上を搬送されるワークWの撮像を行う。図3に示すラインカメラ2の撮像範囲(撮像エリア)20は、ワークWの長手方向が搬送方向と平行である場合、搬送方向に対してはワークWの長手方向の一部を撮像する範囲、搬送方向に直交する方向に対してはワークWの短手方向全体を撮像する範囲に設定され、ワークWの短手方向が搬送方向と平行である場合、搬送方向に対してはワークWの短手方向の一部を撮像する範囲、搬送方向に直交する方向に対してはワークWの長手方向全体を撮像する範囲に設定されている。
図3に示すように、搬送路1において撮像範囲20内には搬送方向に沿って複数の切欠き(ノッチ)11(本実施形態では6つ)が形成されている。この切欠き11は搬送路1の一部を下方に向かって幅が狭くなるように切り欠くことで形成されたものであり、搬送方向に直交する方向から見た形状が略V字状である。搬送路1の搬送面10は、切欠き11が形成されている部分以外の部分は平坦で鏡面性が高く、光の反射効率が高くなっている一方、切欠き11はその傾斜面で光が乱反射する(拡散性が高い)ことから光の反射効率が低くなっている。このように撮像範囲20内には、未加工の搬送面10により構成されて反射効率が高い高反射領域10Aと、切欠き11により構成されて反射効率が低い低反射領域11Aとが搬送方向と直交する方向に交互に形成されている。
ここで、ラインカメラ2を設置する位置は不適正な姿勢のワークWを排除するタイミングをとる上で重要であり、後述する噴射ノズル40に対して所定の位置に配置されることが好ましい。本実施形態では、切欠き11が撮像範囲20内及びその周辺の狭い範囲にのみ形成されていることから、この切欠き11を基準にしてラインカメラ2を設置することで、ラインカメラ2を所望の位置に精度良く設置することができる。また、このときにラインカメラ2で取得した画像データで切欠き11を確認することで、ラインカメラ2のピントを合わせることができる。
ラインカメラ2はワークWが撮像位置P1に到達する前から一定間隔で連続して撮像を行うように動作するものであり、下流側へ向けて搬送されているワークWが撮像位置P1を通過する間に複数回撮像を行ない、そのワークWの前端Wa(搬送方向下流側のワーク端部、図1,3参照)から後端Wb(搬送方向上流側のワーク端部、図1,3参照)にわたって当該ワークWの異なる位置がそれぞれ現れた複数の画像データを取得する。取得された画像データは、1回の撮像が行われるたびに図1に示す制御装置(コントローラ)3に転送される。
図1に示す制御装置3は、図示しないCPUやメモリ、インターフェース等を備えた通常のマイクロコンピュータユニットにより構成されるもので、メモリ内に適宜のプログラムが格納されており、CPUは逐次そのプログラムを読み込み、周辺ハードリソースと協働して画像取込手段30と、前処理手段31と、姿勢判別手段32としての役割を担う。
画像取込手段30はラインカメラ2が取得した画像データを撮像が行われるたびに即時に制御装置3に取り込むものである。
前処理手段31は、画像取込手段30を介して画像データが取り込まれると、その画像データ毎に即時に2値化処理等の所定の前処理を行うとともに、画像データにおいてワークWの前端Wa(図1,3参照)及び後端Wb(図1,3参照)を適宜の画像処理を通じて判別する。この判別処理についてはまた後述する。さらに前処理手段31は、ワークWの前端Waが現れた画像データから当該ワークWの後端Wbが現れた画像データまでを撮像順につなぎ合わせて、1つのワークWの略全体が現れた2次元の画像データとして図4に示すような合成画像データ50(50a〜50c)を生成する。なお、図4(a)に示す合成画像データ50aはラインカメラ2がワークWの上面W1を撮像した画像データから生成されたものを示し、図4(b)に示す合成画像データ50bはラインカメラ2がワークWの下面W2を撮像した画像データから生成されたものを示し、図4(c)に示す合成画像データ50cはラインカメラ2がワークWの側面W3を撮像した画像データから生成されたものを示す。
ここで、画像データ50において高反射領域10Aが現れている部分は比較的明るく、低反射領域11Aが現れている部分は比較的暗い。そのため、反射効率が低いワークWの上面W1は、図4(a)に示すように、高反射領域10Aとは色要素としての明度の差(以下「明度差」と記載する)が大きく境界が明確である一方、低反射領域11Aとは明度差が小さく、低反射領域11Aと同化して境界が分かりにくくなっている。なお、図4において比較的暗い部分には斜線を引いており、これは図5〜7,10,13,14も同様である。また、反射効率が高いワークWの下面W2は、図4(b)に示すように、低反射領域11Aとは明度差が大きく境界が明確である一方、高反射領域10Aとは明度差が小さく、高反射領域10Aと同化して境界が分かりにくくなっている。さらに、反射効率が高い部分(ワーク本体W10が露出している部分(図2参照))と反射効率が低い部分(樹脂によりコーティングが施されている部分W11(図2参照))とが混在するワークWの側面W3は、図4(c)に示すように、反射効率が高い部分と低反射領域11Aとは明度差が大きく、反射効率が高い部分と高反射領域10Aとは明度差が小さい。また、反射効率が低い部分と低反射領域11Aとは明度差が小さく、反射効率が低い部分と高反射領域10Aとは明度差が大きい。そのため、反射効率が高い部分は低反射領域11Aに対しては境界が明確であり、反射効率が低い部分は高反射領域10Aに対しては境界が明確である。
図1に示す姿勢判別手段32は、このような合成画像データ50に基づいてワークWの姿勢を判別(画像判別)する姿勢判別処理を行うものであり、合成画像データ50から得られる高反射領域データ150(150a〜150c)及び低反射領域データ151(151a〜151c)(ともに図4,5参照)においてワークWを認識するワーク認識手段としてのワーク認識部32aを備える。姿勢判別手段32は、図5〜8に示すように、合成画像データ50において高反射領域10Aに相当する部分を分離し、これらの部分を組み合わせて高反射領域データ150を得る。また、合成画像データ50において低反射領域11Aに相当する部分を分離し、これらの部分を組み合わせて低反射領域データ151を得る。図5に示すように、ワークWの上面W1は、低反射領域データ151aでは低反射領域11Aと同化して境界が分かりにくいものの、高反射領域データ150aでは高反射領域10Aとの境界が明確であることから、合成画像データ50にワークWの上面W1が現れている場合、ワーク認識部32aは高反射領域データ150aにおいてワークWを精度良く認識することができる。また、図6に示すように、ワークWの下面W2は、高反射領域データ150bでは高反射領域10Aと同化して境界が分かりにくいものの、低反射領域データ151bでは低反射領域11Aとの境界が明確であることから、合成画像データ50にワークWの下面W2が現れている場合、ワーク認識部32aは低反射領域データ151bにおいてワークWを精度良く認識することができる。さらに図7に示すように、ワークWの側面W3は、高反射領域データ150cにおいて反射効率が低い部分と高反射領域10Aとの境界が明確であり、低反射領域データ151cにおいて反射効率が高い部分と低反射領域11Aとの境界が明確であることから、合成画像データ50にワークWの側面W3が現れている場合、ワーク認識部32aは高反射領域データ150c及び低反射領域データ151cにおいてワークWを精度良く認識することができる。
姿勢判別手段32は、例えば、前述のメモリに適切な姿勢のワークWの画像データ(低反射領域データや高反射領域データ)を予め記憶しておき、上記のようにして得られた高反射領域データ150及び低反射領域データ151と、メモリに記憶された前記画像データとをパターンマッチングにより比較することでワークWの姿勢を判別する。なお、所定の姿勢以外の姿勢としては、例えば表裏が反転していたり、前後方向の向きが逆になっていることが挙げられる。また、ワーク認識部32aは高反射領域データ150におけるワークWと高反射領域10Aとの明度差と、低反射領域データ151におけるワークWと低反射領域11Aとの明度差を比較し、この明度差が大きいほうのデータのみからワークWを認識するように構成されてもよい。この場合、姿勢判別手段32は、ワークWが認識されたどちらか一方のデータと、メモリに記憶された前記画像データとを比較してワークWの姿勢を判別する。
このように合成画像データ50にはワークWの上面W1、下面W2及び側面W3の何れの面も少なくとも一部が明確に現れ、そしてこのことは合成画像データ50の元となる前記画像データにおいても同様である。そのため、ワークWの前端Waまたは後端Wbを撮像した前記画像データには、搬送方向に沿って明度が異なる部分が現れる。図1に示す前処理手段31は、前記判別処理の際、このような明度の違い等から画像データに現れたワークWの前端Wa及び後端Wbを検出(画像判別)する。なお、仮にワークWを搬送方向に沿って密接に搬送している場合でもワークW同士の間にはわずかに隙間ができていることから、画像データにおいてこのような隙間とワークWとの明度差からワークWの前端Wa及び後端Wbを判別することができる。
また制御装置3は、姿勢判別手段32が不適切な姿勢(不正姿勢)であると判定すると、図1に示す排除手段4に、搬送路1に設定された排除位置P2にあるワークWを搬送路1上から排除する排除処理(排除動作)を行わせるための指令を出力する。排除位置P2は前記撮像位置P1よりも搬送方向下流側に設定されている。排除手段4は、排除位置P2に向けて圧縮空気等を噴射する噴射ノズル40を有し、この噴射ノズル40から噴射された気体によりワークWに付勢力を付与してワークWを搬送路1上から排除する。
このようにして姿勢が不適切なワークWは排除され、適切な姿勢のワークWのみが供給先に供給される。
以上のように本実施形態のパーツフィーダ100は、ワークWを搬送させる搬送路1と、搬送路1の搬送面10に対向する位置に設置され、搬送路1に設定された撮像位置P1を通過するワークWを撮像する撮像手段としてのラインカメラ2と、ラインカメラ2の撮像により取得された画像データから当該ワークWを認識するワーク認識手段としてのワーク認識部32aとを備えたものであって、搬送路1の前記搬送面10には、少なくともラインカメラ2の撮像範囲20内に、光の反射効率がそれぞれ異なる複数の反射領域として低反射領域11Aおよび高反射領域10Aが形成されており、ラインカメラ2は、撮像範囲20内にワークWが位置するときにワークW表面とともに当該ワークWの周辺に表出している搬送面10の低反射領域11Aおよび高反射領域10Aが撮像された画像データを取得し、ワーク認識部32aは、画像データにおけるワークWの表面(上面W1、下面W2又は側面W3)と反射領域10A,11Aとの色要素差としての明度差に基づいてワークWを認識するように構成したものである。
このように構成したことから、撮像位置P1を通過するワークWがラインカメラ2により撮像されて、ワークWの表面と高反射領域10Aと低反射領域11Aとが現れた合成画像データ50が得られる。この合成画像データ50において、高反射領域10Aが現れた部分は相対的に明るくなり、低反射領域11Aが現れた部分は相対的に暗くなる。このように合成画像データ50においてワークWの周辺に表出する搬送面10に明度が異なる複数の領域が存在することから、ワークWとしてどのような反射効率のものを用いたとしても合成画像データ50の少なくとも一部にはワークWの表面と搬送面10とで明度差が生じ、ワーク認識部32aにより合成画像データ50からワークWを容易に認識することができる。したがって、表裏で光の反射効率が異なるワークWを用いる場合であっても、ラインカメラ2の撮像により得られた合成画像データ50からワークWを安定して認識し、姿勢判別の機能を有効に高めることができる。
また、高反射領域10Aと低反射領域11AとがワークWの搬送方向と直交する方向に交互に形成されるように構成したことから、明度差の大きい部分を搬送方向と直交する方向に沿って複数箇所に形成することができ、ワークWの外縁を明確化することができる。
また、低反射領域11Aが搬送路1の一部を切り欠いた切欠き11により形成されるように構成したことから、切欠き11が形成されている部分において搬送面10とワークWとの摩擦が低減し、ワークWが搬送面10を搬送することによって生じやすい静電気の発生を抑制することができる。
特に、低反射領域11Aが、搬送路1の一部を下方に向かって幅が狭くなる断面視略V字状に切り欠くことで形成されるように構成したことから、切欠き11の傾斜面により光を効果的に乱反射させて、合成画像データ50において低反射領域11Aが十分に暗く現れるようにすることができ、ワーク認識部32aにより安定してワークWを認識することができる。
また、撮像手段としてラインカメラ2を使用し、低反射領域11A及び高反射領域10Aの両方が撮像範囲20及びその周辺にのみ形成するように構成したことから、撮像範囲20が小さく、低反射領域11Aを構成する切欠き11を形成すべき範囲が狭くて済む。なお、搬送面10において低反射領域11Aを構成する切欠き11が形成されている部分は形成されていないその他の部分と摩擦係数等が異なるが、低反射領域11Aが撮像範囲20及びその周辺にのみ形成されていることから、搬送面10上を搬送するワークWに対して切欠き11が与える影響が少なく、ワークWを円滑に搬送させることができる。さらには、切欠き11が限られた狭い範囲にしか形成されていないことから、搬送途中のワークWの角が切欠き11にひっかかりにくくなり、ワークWの向きや搬送速度等が変化することを抑制することができる。
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
図8,9に示すように、本発明の第2の実施形態であるパーツフィーダ200は、撮像手段としてのエリアカメラ102に関する構成、及び搬送路101に形成される高反射領域110A及び低反射領域111Aに関する構成が第1の実施形態であるパーツフィーダ100と異なる。なお、第1の実施形態であるパーツフィーダ100と共通する構成については同じ符号を付して説明を省略する。
エリアカメラ102は、複数の撮像素子が網の目状に配列しているものであり、2次元の画像データを取得するものである。図8,9に示すようにエリアカメラ102の撮像範囲(撮像エリア)120は、ワークWの全体を撮像する範囲に設定されており、図10に示すように、このようなエリアカメラ102により取得される画像データ250(250a〜250c)はワークWの全体が現れている。そのため、制御装置103に備わる前処理手段131は、画像データを繋ぎ合わせて合成画像データ50を生成する必要がなく、この点が第1の実施形態に備わる前処理手段31と異なる。
また図9に示すように、搬送路101の始端101aから終端101b(ともに図8参照)にわたる略全体に、搬送方向に沿って複数の溝111(本実施形態では4本)が形成されている。溝111は搬送路101の一部を下方に向かって幅が狭くなるように切り欠くことで形成されており、搬送方向に直交する方向から見た形状が略V字状である。搬送路101の搬送面110は、溝111が形成されている部分以外の部分は平坦で鏡面性が高く、反射効率が高くなっている一方、溝111はその傾斜面で光が乱反射することから反射効率が低くなっている。このようにパーツフィーダ200においても図9に示すように撮像範囲120内には、溝111によって構成されて光の反射効率が低い低反射領域111Aと、未加工の搬送面110によって構成されて光の反射効率が高い高反射領域110Aとが搬送方向と直交する方向に交互に形成されていることから、第1の実施形態であるパーツフィーダ100と同様に、表裏で光の反射効率が異なるワークWを用いる場合であっても、エリアカメラ102が取得した画像データにおいてワークWを安定して認識することができる。
また、高反射領域110A及び低反射領域111Aの両方が搬送面110の始端101aから終端101bにわたる略全体に形成されるように構成したことから、搬送路101の略全体にわたってワークWと搬送面110との摩擦を低減させて静電気の発生を抑制することができ、静電気により空気中の埃等がワークWに付着することを抑制することができる。
また、エリアカメラ102を用いると撮像範囲120がある程度広くなることから、仮に撮像範囲120内にのみ高反射領域110A及び低反射領域111Aの両方を形成し、撮像範囲120内の摩擦係数が搬送面110の他の部分と異なった状態になると、撮像範囲120周辺でワークWの搬送速度が変化しやすくなる。これに対して本実施形態は、高反射領域110A及び低反射領域111Aの両方が搬送路101の略全体にわたって形成されていることから、搬送面110の略全体で摩擦係数が均一になり、ワークWを円滑に搬送することができる。
なお本実施形態においては、エリアカメラ102の上流側にワークWの位置を検出するレーザセンサを別途に設けて、このレーザセンサにより搬送路101の所定位置にワークWが到達したことを検出すると、エリアカメラ102に外部トリガを入力して撮像を行わせるように構成してもよい。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではない。
例えば、第1及び第2実施形態では高反射領域10A,110Aは搬送面10,110に何も処理を施さないことで構成しているが、低反射領域11A,111Aよりも反射効率が低くなるようであれば何らかの処理が施されてもよい。また、高反射領域10A,110A及び低反射領域11A,111Aは、搬送面10,110に着色などの塗装や表面処理が施されることで形成されてもよい。さらに、切欠き11及び溝111の形状は断面視略V字状に限定されず、例えば断面視略U字状や逆円錐形状等、高反射領域10A,110Aと反射効率を異ならせることができればどのような形状であってもよい。
また、第1及び第2実施形態では、搬送面10,110に高反射領域10A,110Aおよび低反射領域11A,111Aが形成されているが、これらと反射効率が異なる他の反射領域が形成されていてもよい。
また、第1及び第2実施形態では、不適切な姿勢であると判別されたワークWに対して搬送路1,101上から排除する排除処理を行っているが、排除手段4の代わりに姿勢矯正手段を設けて、不適切な姿勢であると判別されたワークWの姿勢を圧縮空気を噴射するなどして搬送路1,101上で矯正する構成としてもよい。
さらに、第1及び第2実施形態ではワークWの姿勢を判別しているが、姿勢以外に形状や色、ワークW上のシルク文字等、ワークWの外観を検査するように構成されてもよい。
またさらに、第1及び第2実施形態では、画像データにおけるワークW表面と反射領域10A,11A,110A,111Aとの明度差に基づいてワークWを認識しているが、明度差の代わりに、彩度、輝度や照度等の差に基づいて認識するようにしてもよい。
また、第1の実施形態では、ラインカメラ2として撮像素子が1列に配列したものを用いているが、本発明の効果が発揮される範囲内において撮像素子が2列以上配列したものを用いてもよい。
さらに第1の実施形態では、切欠き11は撮像範囲20及びその周辺にのみ形成されているが、搬送路1の始端から終端に亘る略全体に形成されていてもよい。さらに第1の実施形態では切欠き11が6つ形成されているが、図11に示すように1つだけ形成されていてもよく、2〜5つ又は7つ以上形成されてもよい。またさらに第2の実施形態では、溝111は搬送面110に4本形成されているが、例えば図12に示すように1本でもよく、2,3本又は5本以上でもよい。切欠き11や溝111を1本のみ設ける場合には、その切欠き11や溝111をワークWが確実に通過する位置に形成することが好ましい。搬送路1,101においてワークWが通過する範囲を限定するためには、搬送路1,101をワークWが1つのみ通過する程度に幅狭にしたり、搬送面10,110を傾斜させて自重によりワークWが搬送路1,101の一方側に偏って搬送されるように構成することが好ましい。
その他の構成も、例えば、ワーク認識部32aで利用した画像データを姿勢判別以外の良否判別に用いるなど、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。