JP6298964B1 - 超音波診断装置及びそれにおける信号処理方法、信号処理プログラムを格納した記録媒体 - Google Patents

超音波診断装置及びそれにおける信号処理方法、信号処理プログラムを格納した記録媒体 Download PDF

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Abstract

複雑な演算処理やメモリ消費量の増大を伴わず、ドプラ信号に含まれるノイズの影響を確実に低減でき、折り返り速度を超えても良質なカラードプラ画像を得る。超音波診断装置1のフィルタリング手段85は、中央処理部87、入力制御部86を備える。入力制御部86は、符号拡張部91、象限推移判定部92、フィルタ係数切換部93、位相オフセット部94を有する。符号拡張部91は上位ビットを拡張して拡張ドプラ信号とする。象限推移判定部92は、拡張ドプラ信号と直前の拡張ドプラ信号とに基づき位相角の推移判定を行う。フィルタ係数切換部93は、第1→第3象限への推移、第4→第2象限への推移のときにフィルタ係数を小さくする。位相オフセット部94は、第2−第3象限間での推移のときに、拡張ドプラ信号における位相の値にπに相当する位相分を加算または減算する。選択図:図5

Description


本発明は、平滑化されたドプラ信号に基づいてカラードプラ画像データを生成する超音波診断装置及びそれにおける信号処理方法、信号処理プログラムを格納した記録媒体に関するものである。

医療現場では、一般的な注射、神経ブロック注射、採血、カテーテルの挿入など、生体(被検体)に対して穿刺する行為が広く行われている。神経ブロック注射やカテーテルの挿入などの処置を行う場合、被検体における目的の部位に対して正確に穿刺を行わないと、生体を損傷させてしまう可能性がある。このような背景の中、近年では、超音波プローブを用いて目的の部位及び穿刺針の様子を捉え、超音波断層画像でそれらを観察しながら穿刺を行うといった超音波ガイド技術が提案されている。

従来、超音波ガイド技術を用いた装置では、通常の超音波プローブ(いわゆるシングルプレーン型プローブ)を用いて1つの断層画像を捉え、この断層画像を表示することで穿刺を行っていた。しかしながら、従来の装置では、短軸像(横断面)及び長軸像(縦断面)のいずれか一方しか確認することができず、被検体における目的の部位及び穿刺針の全貌を同時に捉えることができなかった。そのため、穿刺針が正確に穿刺されていないような場合でも、作業者がそれに気付きにくいという問題があった。従って、正確な穿刺を行うためには、細かいプローブ操作を繰り返しながら、少しずつ穿刺針の前進させるようにして穿刺を行わなければならず、操作が煩雑であった。

そこで、本願発明者らは、目的の部位及び穿刺針の全貌を同時に捉えるべく、直交する2断面(横断面及び縦断面)で同時に観察をすることができる超音波プローブ(いわゆるバイプレーン型プローブ)を過去に提案している(例えば、特許文献1等参照)。そしてこのタイプの超音波プローブを用いれば、各断面の超音波画像(短軸像及び長軸像)を表示することができ、作業者はこれら2つの超音波画像を観察することで、目的の部位及び穿刺針の全貌を同時に捉えることが可能になる。

ところで、特許文献1に記載の従来技術によると、例えば動脈と静脈との判別や、血管と神経との判別が超音波画像上にて困難になることがある。ここで、超音波診断装置の付加機能であるカラーフローマッピング(CFM)を利用すれば、血液の流れから生じるドプラシフト(周波数偏移)を抽出して生成されたカラードプラ画像が超音波画像上に重畳される。その結果、カラードプラ画像の色の有無や種類を観察することで、これらの判別を容易に行うことが可能になる。なお、1つの断層画像を表示するタイプの装置であるが、例えば特許文献2には、超音波画像上において指定されたマッピング領域にてカラードプラ画像を重畳する技術が開示されている。

カラードプラ機能を有する超音波診断装置では、例えば被検体内の移動体である血液に対する超音波送受信を複数回行い、複数の反射波の位相差から移動体の速度を検出するようになっている。具体的には、複数の反射波の受信信号に基づき、移動体に関する位相情報を含むドプラ信号を得て、さらにそのドプラ信号に基づいてカラードプラ画像データを生成することで、速度に対応した色が付加されたカラードプラ画像が表示されるようになっている。

特許第5292581号公報 特許第4653454号公報 特許第5269439号公報 特許第4729765号公報

ここで、移動体が血液である場合、位相情報を得るまでの過程でドプラ信号にノイズが混入することが一般的である(図13(a)参照)。ゆえに、このような信号に基づいてそれ以降の処理を行ったとしても正確な位相情報(正確な速度情報)を取得することができず、ひいては良質なカラードプラ画像を得ることができない。そして、例えば血液の速度が折り返り速度を超えるような場合、言い換えると位相が±πの範囲を超えるような場合には、いわゆる折り返し現象(エイリアシング)が発生することが知られている。即ち、この場合には速度情報がデータ長を超えてしまうのでデータの符号が反転し、カラードプラ画像の色が本来の速度情報を反映したものではなくなってしまう。その結果、観察が困難になったり、血流方向の判断を誤りやすくなったりする等の不具合が発生してしまう。

さらに、このような折り返し現象が発生する境界領域にノイズがあると、ドプラ信号の処理を行うことで、速度がプラスマイナスに大きく振れチャタリングを起こしたような波形となってしまう(図13(b)参照)。それゆえ、例えばドプラ信号をローパスフィルタでフィルタリング処理(平滑化処理)して低周波成分のみを取り出し、ノイズの影響を低減することが従来行われている。しかしながら、平滑化処理を行うと、折り返りに対応した立ち上がり部及び立ち下がり部が鈍ってしまう結果、どうしても波形が不自然になる。ゆえに、折り返りが起きていることを正確に認識できなくなる(図13(c)参照)。

ここで、特許文献3には、位相変化の連続性を仮定して2πを超える位相を検出する手法としてアンラップ処理を行うことが開示されている。また、特許文献4には、折り返り補正に関して、位相修正パターンで2πの整数倍の位相を加算または減算することで位相差を修正する位相差修正手段を備えたものが開示されている。しかしながら、これら従来技術の方法には、複雑な演算処理を必要としたり、演算処理にあたって多くのメモリを消費したりする等といった欠点がある。

本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、複雑な演算処理やメモリ消費量の増大を伴うことなく、ドプラ信号に含まれるノイズの影響を確実に低減でき、折り返り速度を超える場合でも良質なカラードプラ画像を得ることができる超音波診断装置及びそれにおける信号処理方法を提供することにある。また、別の目的は、上記超音波診断装置に内蔵されるコンピュータを動作させるための信号処理プログラムを格納した記録媒体を提供することにある。

上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、被検体内の移動体に関する位相情報を含むドプラ信号を平滑化処理して出力するフィルタリング手段を備え、前記フィルタリング手段からの出力信号に基づいてカラードプラ画像データを生成する超音波診断装置であって、前記フィルタリング手段は、あらかじめ設定した所定のフィルタ係数で前記平滑化処理を行う中央処理部と、その前段に設けられた入力制御部とを備えるとともに、前記入力制御部は、前記ドプラ信号の上位ビットを拡張して拡張ドプラ信号とする符号拡張部と、前記拡張ドプラ信号とそれの直前の前記拡張ドプラ信号とに基づいて、位相角が第1乃至第4象限のどこからどこへ推移したかを判定する象限推移判定部と、前記象限推移判定部が、前記第1象限から前記第3象限への推移または前記第4象限から前記第2象限への推移が起きたと判定したときに、前記フィルタ係数を小さくするフィルタ係数切換部と、前記象限推移判定部が、前記第2象限と前記第3象限との間で推移が起きたと判定したときに、前記拡張ドプラ信号における位相の値にπに相当する位相分を加算または減算する位相オフセット部とを有することを特徴とする超音波診断装置をその要旨とする。

従って、請求項1に記載の発明によると、入力制御部の符号拡張部においてドプラ信号の上位ビットを拡張して拡張ドプラ信号とされることで、速度情報がデータ長を超えなくなり、位相が±πを超えてもデータの符号反転が起こらなくなる。また、第1象限から第3象限への推移または第4象限から第2象限への推移が起きたと判定されたとき、つまり互いに隣接しない象限間で推移が起きたと判定されたときには、フィルタ係数切換部がフィルタ係数を小さくする。その結果、中央処理部において平滑化処理を行う際に、新たな拡張ドプラ信号の影響を小さくすることができる。また、第2象限と第3象限との間で推移が起きたと判定されたとき、つまり位相が±πを超えて折り返りが起こる条件となったときには、位相オフセット部が拡張ドプラ信号における位相の値にπに相当する位相分を加算または減算する。その結果、本来であれば折り返りが起こる部分の波形がオフセットされ、連続的な波形とすることができる。以上のような諸処理を経て入力された拡張ドプラ信号に基づいて中央処理部が平滑化処理を行うことで、ドプラ信号に含まれるノイズの影響を確実に低減することができる。よって、折り返り速度を超える場合でも良質なカラードプラ画像を得ることができる。また、このような処理によれば、複雑な演算処理やメモリ消費量の増大も回避することができる。

請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記フィルタリング手段は、前記中央処理部の後段に設けられた出力処理部をさらに備えるとともに、前記出力処理部は、折り返りした前記位相情報の表示を許可すべく、前記拡張ドプラ信号から拡張された前記上位ビットを削除してその下位ビットを抜き出す折り返り許可処理、または、折り返りした前記位相情報の表示を禁止すべく、拡張された前記上位ビット及びその下位ビットからなる前記拡張ドプラ信号の位相が+πまたは−πまで進んだときに前記位相をその値にクリッピングする折り返り禁止処理を実行することをその要旨とする。

従って、請求項2に記載の発明によると、これらの処理を経ることにより、拡張されたビットが元に戻されるため(符号戻し)、それ以降の処理を元のビット数の信号にて行うことができる。従って、複雑な演算処理やメモリ消費量の増大を確実に回避することができる。また、折り返り許可処理を行った場合には、折り返りした位相情報の表示が許可されるため、折り返りが起きていることを自然に見せることができ、作業者はその事実を容易かつ正確に認識することが可能となる。また、折り返り禁止処理を行った場合には、折り返りした位相情報が表示されなくなる一方で所定の値にクリッピングされる。このため、作業者は折り返りの事実を認識できないものの、色の反転がなく不自然さのないカラードプラ画像を見ることが可能となる。

請求項3に記載の発明は、請求項2において、前記出力処理部は、前記折り返り許可処理及び前記折り返り禁止処理のいずれかを選択して実行可能であることをその要旨とする。

請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項において、前記フィルタ係数切換部は、前記象限推移判定部が、前記第1象限から前記第3象限への推移または前記第4象限から前記第2象限への推移が起きたと判定したときに、前記平滑化処理を行う際の前記フィルタ係数をゼロにすることをその要旨とする。

従って、請求項4に記載の発明によると、中央処理部において平滑化処理を行う際に、新たな拡張ドプラ信号を無効化して、その直前の拡張ドプラ信号のみに基づいて平滑化処理を行うことができる。

請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれか1項において、前記中央処理部は、前記入力制御部から出力された前記拡張ドプラ信号に対し、前記中央処理部にてバッファリングしておいた直前の前記拡張ドプラ信号を、前記フィルタ係数に基づいて加算することにより、前記平滑化処理を行うことをその要旨とする。

請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5のいずれか1項において、前記被検体内の前記移動体は生体内を流れる血液であり、前記ドプラ信号は血流信号であることをその要旨とする。

請求項7に記載の発明は、請求項6において、前記超音波診断装置は、血管に対する穿刺ガイド機能を備えるとともに、超音波振動子列が直交して配置された超音波プローブを備えることをその要旨とする。

請求項8に記載の発明は、被検体内の移動体に関する位相情報を含むドプラ信号を平滑化処理して出力するフィルタリング手段を備え、前記フィルタリング手段からの出力信号に基づいてカラードプラ画像データを生成する超音波診断装置における信号処理方法であって、あらかじめ設定した所定のフィルタ係数で前記平滑化処理を行う平滑化ステップを実行する前に、前記ドプラ信号の上位ビットを拡張して拡張ドプラ信号とする符号拡張ステップと、前記拡張ドプラ信号とそれの直前の前記拡張ドプラ信号とに基づいて、位相角が第1乃至第4象限のどこからどこへ推移したかを判定する象限推移判定ステップと、前記第1象限から前記第3象限への推移または前記第4象限から前記第2象限への推移が起きたと判定したときに、前記フィルタ係数を小さくするフィルタ係数制御ステップと、前記第2象限と前記第3象限との間で推移が起きたと判定したときに、前記拡張ドプラ信号における位相の値にπに相当する位相分を加算または減算する位相オフセットステップとを実行することを特徴とする超音波診断装置の信号処理方法をその要旨とする。

従って、請求項8に記載の発明によると、符号拡張ステップにおいては、ドプラ信号の上位ビットを拡張して拡張ドプラ信号とされることで、速度情報がデータ長を超えなくなり、位相が±πを超えてもデータの符号反転が起こらなくなる。象限推移判定ステップにおいて、第1象限から第3象限への推移または第4象限から第2象限への推移が起きたと判定されたとき、つまり互いに隣接しない象限間で推移が起きたと判定されたときには、さらにフィルタ係数制御ステップにおいてフィルタ係数を小さくする。その結果、平滑化ステップにおいて平滑化処理を行う際に、新たな拡張ドプラ信号の影響を小さくすることができる。また、象限推移判定ステップにおいて、第2象限と第3象限との間で推移が起きたと判定されたとき、つまり位相が±πを超えて折り返りが起こる条件となったときには、位相オフセットステップにおいて拡張ドプラ信号における位相の値にπに相当する位相分を加算または減算する。その結果、本来であれば折り返りが起こる部分の波形がオフセットされ、連続的な波形とすることができる。以上のような諸ステップを経た拡張ドプラ信号に基づいて平滑化処理を行うことで、ドプラ信号に含まれるノイズの影響を確実に低減することができる。よって、折り返り速度を超える場合でも良質なカラードプラ画像を得ることができる。また、このような処理によれば、複雑な演算処理やメモリ消費量の増大も回避することができる。

請求項9に記載の発明は、被検体内の移動体に関する位相情報を含むドプラ信号を平滑化処理して出力するフィルタリング手段を備え、前記フィルタリング手段からの出力信号に基づいてカラードプラ画像データを生成する超音波診断装置の内蔵するコンピュータに、あらかじめ設定した所定のフィルタ係数で前記平滑化処理を行う平滑化ステップを実行させるとともに、前記平滑化ステップの実行前に、前記ドプラ信号の上位ビットを拡張して拡張ドプラ信号とする符号拡張ステップと、前記拡張ドプラ信号とそれの直前の前記拡張ドプラ信号とに基づいて、位相角が第1乃至第4象限のどこからどこへ推移したかを判定する象限推移判定ステップと、前記第1象限から前記第3象限への推移または前記第4象限から前記第2象限への推移が起きたと判定したときに、前記フィルタ係数を小さくするフィルタ係数制御ステップと、前記第2象限と前記第3象限との間で推移が起きたと判定したときに、前記拡張ドプラ信号における位相の値にπに相当する位相分を加算または減算する位相オフセットステップとを実行させるための信号処理プログラムを格納した記録媒体をその要旨とする。

以上詳述したように、請求項1〜9に記載の発明によると、複雑な演算処理やメモリ消費量の増大を伴うことなく、ドプラ信号に含まれるノイズの影響を確実に低減でき、折り返り速度を超える場合でも良質なカラードプラ画像を得ることができる。

本発明を具体化した実施形態の超音波診断装置を示す全体概略図。 上記超音波診断装置の電気的構成を示すブロック図。 実施形態における超音波プローブのプローブ本体を示す斜視図。 ドプラ位相演算処理部の電気的構成を示すブロック図。 ドプラ位相演算処理部を構成するフィルタリング手段の電気的構成を示すブロック図。 上記超音波プローブの使用方法を示す説明図。 穿刺針の挿入前かつカラードプラ画像重畳前の状態の第1断層画像及び第2断層画像を示す説明図。 穿刺針の挿入前かつカラードプラ画像重畳後の状態の第1断層画像及び第2断層画像を示す説明図。 穿刺針の挿入後かつカラードプラ画像重畳後の状態の第1断層画像及び第2断層画像を示す説明図。 フィルタリング手段における諸処理(主として象限推移判定処理)を説明するための図。 フィルタリング手段における諸処理を説明するための表。 実施形態において、(a)は平滑化処理後の(中央処理部から出力される)拡張ドプラ信号の波形を示すグラフ、(b)は(a)の信号を折り返り許可処理した後のドプラ信号の波形を示すグラフ、(c)は(a)のドプラ信号を折り返り禁止処理した後のドプラ信号の波形を示すグラフ。 従来技術において、(a)はノイズを含む血流信号の波形を示すグラフ、(b)は(a)の信号を折り返り許可処理した後のドプラ信号の波形を示すグラフ、(c)は(b)のドプラ信号を平滑化処理した状態の波形を示すグラフ。

以下、本発明を超音波診断装置としての血管穿刺用のカラードプラ超音波診断装置に具体化した一実施形態を図面に基づき詳細に説明する。図1は、本実施形態の超音波診断装置1を示す全体概略図であり、図2は、その超音波診断装置1の電気的構成を示すブロック図である。

図1及び図2に示されるように、本実施形態の超音波診断装置1は、装置本体2と、その装置本体2に接続される超音波プローブ3とを備えている。この超音波診断装置1は、例えば生体4(被検体)内の静脈76にカテーテルなどの穿刺針6を挿入する際に使用される。この超音波診断装置1は、静脈76の横断面を示す第1断層画像8(短軸像)と静脈76の縦断面を示す第2断層画像9(長軸像)とを同一の画面10上に同時に表示する(図7〜図9参照)。

図1、図2、図3に示されるように、超音波プローブ3は、信号ケーブル11と、信号ケーブル11の先端に接続されるプローブ本体12と、プローブ本体12に対して着脱可能に固定される穿刺ガイド用アタッチメント14(穿刺ガイド機構)と、信号ケーブル11の基端に設けられるプローブ側コネクタ15とを備える。装置本体2にはコネクタ16が設けられ、そのコネクタ16に超音波プローブ3のプローブ側コネクタ15が接続されている。

超音波プローブ3は、リニア式電子走査を行うためのリニアプローブであり、例えば、5MHzの超音波を直線的に走査する。プローブ本体12の底面となる振動子設置面20上には、配列方向が相互に直交して略T字状となるように複数の超音波振動子23,24(探触子)が配列されている。

より詳しくは、プローブ本体12は、第1断層画像8を取得するための複数の第1の超音波振動子23を収納する第1素子ユニット25と、第2断層画像9を取得するための複数の第2の超音波振動子24を収納する第2素子ユニット26とを有する。第1素子ユニット25における複数の第1の超音波振動子23は、横断面に対応した短軸方向Xに沿って直線的に配列されている。また、第2素子ユニット26における複数の第2の超音波振動子24は、縦断面に対応した長軸方向Yに沿って直線的に配列されている。本実施形態において、第1素子ユニット25に収納される第1の超音波振動子23の素子数は、例えば48個であり、第2素子ユニット26に収納される第2の超音波振動子24の素子数は、それよりも多い数(例えば80個)である。従って、各超音波振動子23,24の配列方向の長さは、第1素子ユニット25よりも第2素子ユニット26の方が長くなっている。

第2素子ユニット26において、長軸方向Yに延びる超音波振動子列27は、振動子設置面20におけるプローブ本体12の中心線L0上に位置している。さらに、この超音波振動子列27は、始端が短軸方向Xの超音波振動子列28のほぼ中央に位置している。

本実施形態の超音波プローブ3において、略T字状の超音波振動子列27,28における超音波の走査は、例えば、短軸方向Xの超音波振動子列28の一端(例えば図2の右端となる始端)の超音波振動子23から開始される。そして、短軸方向Xの超音波振動子列28の他端(例えば図2の左端となる終端)の超音波振動子23に向けて1素子ずつ順番に行われる。その後、短軸方向Xの超音波振動子列28のほぼ中央に位置する長軸方向Yの超音波振動子列27の一端(図2では下端となる始端)の超音波振動子24から他端(図2では上端となる終端)の超音波振動子24に向けて1素子ずつ順番に超音波の走査が行われる。

本実施の形態の超音波プローブ3では、プローブ本体12において底面に位置する振動子設置面20が生体4との接触面であり、超音波の送受信を行うための送受信面となる。この振動子設置面20において、略T字状に超音波振動子列27,28が配置される部分には、図示しない音響整合層を介して略T字状の音響レンズ29が配設されている。音響レンズ29は、例えばシリコーン樹脂からなり、第1素子ユニット25及び第2素子ユニット26において超音波振動子23,24の超音波放射面30側に設けられている。音響レンズ29は、生体4と接触する外面が湾曲した凸面状に形成されており、超音波振動子23,24の超音波放射面30からその法線方向に出力される超音波のビームを絞って所定の焦点位置にて収束させる。また、超音波振動子23,24において超音波放射面30の反対側には、後方への超音波の伝播を防止するための図示しないバッキング材が配設されている。

プローブ本体12において、長軸方向Yの超音波振動子列27の延長線(振動子設置面20におけるプローブ本体12の中心線L0)上かつ振動子設置面20の端縁部(図2では下側、図3では左側の端縁部)には、位置決め部31が設けられている。位置決め部31は、生体4に対する穿刺針6の挿入位置を決める際に、穿刺針6の先端6a側を当接させて案内するための凹部である。さらに、生体4が接触するプローブ本体12の振動子設置面20において、短軸方向Xの両端部には、生体4の観察部位の圧迫を回避するための凸条部32が長軸方向Yに沿って設けられている(図3参照)。プローブ本体12の振動子設置面20にて一対の凸条部32を離間して設けることで、振動子設置面20側における一対の凸条部32間の領域があまり強く圧迫されなくなる。よって、観察部位にある静脈76が押し潰されることが防止され、静脈76への穿刺を確実に行うことが可能となる。

図1、図2に示されるように、穿刺ガイド用アタッチメント14は、穿刺針6を案内するためのガイド溝33が形成された穿刺針ガイド部34と、穿刺針6の挿入角度を多段階的に調整可能な角度調整機構35と、プローブ本体12の側面下部に嵌め込んで固定する固定部36とを備える。穿刺ガイド用アタッチメント14は、第1断層画像8が示す横断面の中央部に穿刺針6が位置した状態で、第2断層画像9が示す縦断面に沿って穿刺針6が所定の角度で生体4に挿入されるように、穿刺針6を案内する。本実施形態の穿刺ガイド用アタッチメント14は、可撓性を有する樹脂材料を用いて形成された樹脂成型部品である。

プローブ本体12の下部は、先端側に配置される第1素子ユニット25が横方向に出っ張ったハンマーヘッド型の外形形状(略T字形状)を有する(図2及び図3参照)。穿刺ガイド用アタッチメント14において、固定部36は、そのハンマーヘッド型の外形形状に沿って環状に形成されている。固定部36の内周側には、例えば係合凹部(図示略)が形成されており、プローブ本体12に形成された係合凸部(図示略)に係合凹部が係合することによって、穿刺ガイド用アタッチメント14がプローブ本体12に固定されている。

穿刺ガイド用アタッチメント14において、固定部36の一端に角度調整機構35が設けられ、角度調整機構35に穿刺針ガイド部34が着脱可能に装着されている。穿刺針ガイド部34は、振動子設置面20から上方に離間した位置にて突出している。角度調整機構35は、プローブ本体12の位置決め部31を中心とした周方向に穿刺針ガイド部34を多段階的に移動させるとともに各位置にて固定可能に設けられた調整機構である。この角度調整機構35には、例えば3段階の切り替え位置が設けられている。

穿刺針ガイド部34のガイド溝33は、振動子設置面20からの投影視にて、プローブ本体12の中心線L0上に存在するとともに、その中心線L0に沿って延びるように形成されている。穿刺針ガイド部34は、長軸方向Yの超音波振動子列27の配列方向と平行な方向に延設されかつ基端部が互いに連結された2本の棒状部材40により構成され、上方から見た形状が略U字状となるよう形成されている。そして、穿刺針ガイド部34において2本の棒状部材40間に設けられた隙間がガイド溝33となっている。穿刺ガイド用アタッチメント14をプローブ本体12に装着した状態では、プローブ本体12の中心線L0上にガイド溝33が配置される。ガイド溝33には、穿刺針6を導入するための開口41と、導入した穿刺針6を当接させる底部42とが設けられている。さらに、穿刺針ガイド部34のガイド溝33には、開口41の側に行くに従って徐々に溝幅が広くなるよう形成された穿刺針導入部43が設けられている。

そして、ガイド溝33の底部42とプローブ本体12の位置決め部31との組み合わせにより穿刺針6の挿入角度が決定される。つまり、プローブ本体12の位置決め部31に穿刺針6の先端6aを当接させるとともに、ガイド溝33の底部42に穿刺針6の側面を当接させることによって、生体4に対する穿刺針6の挿入角度が決定される。また、穿刺ガイド用アタッチメント14において、角度調整機構35を操作し、穿刺針ガイド部34を移動させてガイド溝33の底部42の位置を変更することにより、底部42と位置決め部31とにより決定される穿刺針6の挿入角度が多段階的に調整されるようになっている。

次に、図2等に基づいて超音波診断装置1における電気的な構成について詳述する。

図2に示されるように、超音波診断装置1の装置本体2は、コントローラ50、パルス発生回路51、送信回路52、受信回路53、メモリ56、記憶装置57、入力装置58、表示装置59、Bモード検波処理部71、Bモード表示座標算出部72、ドプラ位相演算処理部73、ドプラ表示座標算出部74、画像データ合成部75等を備える。コントローラ50は、周知の中央処理装置(CPU)を含んで構成されたコンピュータであり、メモリ56を利用して制御プログラムを実行し、装置全体を統括的に制御する。

パルス発生回路51は、コントローラ50からの制御信号に応答して動作し、所定周期のパルス信号を生成して出力する。送信回路52は、超音波プローブ3における超音波振動子23,24の素子数に対応した複数の遅延回路(図示略)を含み、パルス発生回路51から出力されるパルス信号に基づいて、各超音波振動子23,24に応じて遅延させた駆動パルスを出力する。各駆動パルスの遅延時間は、超音波プローブ3から出力される超音波が所定の照射点で焦点を結ぶように設定されている。

受信回路53は、図示しない信号増幅回路、遅延回路、整相加算回路、A/D変換回路を含む。この受信回路53では、超音波プローブ3における各超音波振動子23,24で受信された各反射波信号(エコー信号)が増幅されるとともに、受信指向性を考慮した遅延時間が各反射波信号に付加された後、整相加算される。この加算によって各超音波振動子23,24の受信信号の位相差が調整され、さらにデジタル信号に変換された後に出力される。

Bモード検波処理部71は、対数変換回路と包絡線検波回路とから構成されており、受信回路53からの信号に基づいて、信号強度を輝度の明るさで表現したデータ(Bモードデータ)を生成する。対数変換回路は信号を対数変換し、弱い信号を相対的に強調する。包絡線検波回路は対数変換回路の出力信号の包絡線検波を行い、超音波周波数成分を除去して振幅情報のみを検出する。

Bモード表示座標算出部72は、Bモード検波処理部71が生成したBモードデータに基づいて所定の表示座標算出処理を行い、Bモードの超音波画像(断層画像)を生成する。具体的には、Bモード表示座標算出部72は、信号の振幅(信号強度)に応じた輝度のBモード画像データを生成する。生成されたBモード画像データは逐次メモリ56に記憶される。本実施形態において具体的には、生体4の横断面を示す第1断層画像8及び生体4の縦断面を示す第2断層画像9の画像データが生成され、メモリ56に記憶される。

図3に示されるように、ドプラ位相演算処理部73は、直交成分生成部81、ローパスフィルタ82,83、MTIフィルタ84、フィルタリング手段85を備えている。直交成分生成部81は、受信回路53からの信号(ドプラ受波信号)を直交検波し、実成分と虚成分とからなる複素型のドプラ信号を検出する。一方のローパスフィルタ82は、複素型のドプラ信号における実成分(I信号)の高周波成分を除去した後、そのI信号をMTIフィルタ84に出力する。他方のローパスフィルタ83は、複素型のドプラ信号における虚成分(Q信号)の高周波成分を除去した後、そのQ信号をMTIフィルタ84に出力する。低域成分除去用のデジタルフィルタであるMTIフィルタ84は、ドプラ受波信号に含まれている血流に起因した成分(血流成分)を抽出し、臓器の呼吸性移動や拍動性移動などに起因した成分(クラッタ成分)を除去する。そして、MTIフィルタ84は、位相情報が含まれたドプラ信号をフィルタリング手段85に出力する。フィルタリング手段85は、位相情報を含むドプラ信号を平滑化処理して、ノイズ成分(高周波成分)を除去したうえで出力する。なお、フィルタリング手段85の詳細については後述する。

ドプラ表示座標算出部74は、フィルタリング手段85からの出力信号(即ち、平滑化処理後のドプラ信号)に基づいて、ドプラ表示のための座標を算出する処理を行い、カラードプラ画像データを生成する。本実施形態において具体的には、あらかじめ設定された関心領域についての、血流の平均流速値に対応した明度情報と、速度分散値に対応した対応した色相情報を各々の画素値として設定することにより、平均流速値及び速度分散値の同時観測が可能なカラードプラ画像データが生成される。なお、生成されたカラードプラ画像データは逐次メモリ56に記憶される。ちなみに本実施形態においては、前述の関心領域として、第1断層画像8の略中央部を通る仮想直線L2上に位置するライン状のマッピング領域80が設定される(図7〜図9参照)。そして、ドプラ表示座標算出部74は、このライン状のマッピング領域80に限ってドプラ表示座標算出処理を行い、カラードプラ画像データを生成するようになっている。

画像データ合成部75は、メモリ56に記憶しておいたBモード画像データ及びカラードプラ画像データを所定の表示フォーマットに変換し、変換処理されたこれら画像データを合成する。この処理により、表示装置59に表示させるためのデータが生成される。

入力装置58は、キーボード61やトラックボール62などで構成されており、ユーザからの要求や指示等の入力に用いられる。表示装置59は、例えば、LCDやCRTなどのディスプレイであり、生体4の第1断層画像8及び第2断層画像9や、各種設定の入力画面を表示するために用いられる。

本実施形態の表示装置59の画面10には、図7〜図9に示すように、第1断層画像8及び第2断層画像9が左右に並べて同時に表示される。第1断層画像8の中央部には画面垂直方向に沿って直線的に延びる仮想直線L2が存在するものとした場合、その仮想直線L2に対応する位置には、穿刺針6の進む方向を示す第1のガイドライン65(垂直ライン)が実際に表示される。また、第2断層画像9上には、穿刺針6の挿入角度での進路を示す第2のガイドライン66が、画面左上から右下の方向に向かって直線的に延びるように表示される。第1断層画像8上及び第2断層画像9上の各ガイドライン65,66は、本実施形態では同じ線種(例えば破線)及び線色(例えば黄色)で表示される。つまり、垂直ラインとしての第1のガイドライン65は、カラードプラ画像78,79に用いられる青及び赤以外の有彩色を用いて表示されるようになっている。

さらに、第1断層画像8上及び第2断層画像9上には、穿刺針6の先端6aが見え始める深さ位置を作業者に事前に示す位置表示部が表示される。本実施形態では、位置表示部として、水平ライン67及びガイドマーク68が表示される。本実施形態のガイドマーク68は、第1断層画像8上におけるガイドライン65と水平ライン67との交差位置において、枠内に断層画像を表示した四角形の枠状のマークである。このガイドマーク68は、穿刺針6の先端6aに対応した画像の直径よりも大きなサイズ(例えば1.5倍〜3倍程度大きなサイズ)を有している。なお、本実施形態においてコントローラ50は、表示装置59にガイドマーク68を表示させるガイドマーク表示手段として機能する。

水平ライン67は、プローブ本体12における振動子設置面20に対して水平なラインである。水平ライン67は、ガイドライン65,66と異なる線種(例えば一点鎖線)及び異なる線色(例えば緑色)で表示される。一方、ガイドマーク68は、ガイドライン65,66と同じ線種(例えば点線)及び線色(例えば黄色)で表示される。つまり、水平ライン67も、カラードプラ画像78,79に用いられる青及び赤以外の有彩色を用いて表示されるようになっている。なお、上記の各ガイドライン65,66、水平ライン67及びガイドマーク68の画像データはメモリ56内に格納されている。コントローラ50はこれら画像データを読み出すとともに、画像データ合成部75でこれらを合成させて表示データを生成し、表示装置59に表示させるようになっている。

記憶装置57は、磁気ディスク装置や光ディスク装置などであり、制御プログラム及び各種のデータを記録媒体に格納している。コントローラ50は、入力装置58による指示に従い、プログラムやデータを記憶装置57からメモリ56へ転送し、それを逐次実行する。なお、コントローラ50が実行するプログラムとしては、メモリカード、フレキシブルディスク(FD)、CD−ROM、DVD、光ディスクなどの記憶媒体に記憶されたプログラムや、通信媒体を介してダウンロードしたプログラムでもよく、その実行時には記憶装置57にインストールして利用する。

ここで、上記ライン状のマッピング領域80は、仮想直線L2上(実際には垂直ラインとしての第1のガイドライン65上)にて表示されている管状構造物(即ち静脈76や動脈77)の画像の内径よりも小さい幅(例えば1/20〜1/3程度の幅)となるようにあらかじめ設定されている。また、ライン状のマッピング領域80は、穿刺針6の先端6aに対応した画像の直径の0.5倍以上2倍以下の幅、好ましくは1倍以上2倍以下の幅となるように設定されている。さらに、ライン状のマッピング領域80は、ガイドマーク68に対応した画像の最大幅よりも小さい幅(例えば1/10〜1/2程度の幅)となるように設定されている。

次に、本実施形態の超音波診断装置1を用いてカテーテルの穿刺針6を生体4の静脈76に挿入する際の操作例について説明する。

ここでは、医者などの作業者は、まず患者の処置部に適した穿刺針6の挿入角度を判断する。そして、作業者は、その挿入角度となるように角度調整機構35を操作して穿刺針ガイド部34の位置を設定した穿刺ガイド用アタッチメント14をプローブ本体12に装着する。その後、作業者は、位置情報入力手段としての入力装置58のキーボード61を操作し、角度調整機構35で設定している穿刺針6の挿入角度の設定位置に応じた位置情報を入力する。このとき、コントローラ50は、その位置情報をメモリ56に一旦記憶する。

さらに、作業者は、処置部となる生体4の表面(例えば、図6に示すような静脈76がある前腕4aの表面)に、音響媒体(無菌ゲルや滅菌ゲル)を塗った後、その音響媒体を介してプローブ本体12の振動子設置面20を接触させる。この後、作業者は、入力装置58に設けられている走査開始ボタン(図示略)を操作する。すると、コントローラ50は、そのボタン操作を判断し、生体4の断層画像8,9を表示するための処理を開始する。

この処理において、コントローラ50は、パルス発生回路51を動作させ、超音波プローブ3による超音波の送受信を開始させる。受信回路53からの反射信号は、Bモード検波処理部71及びドプラ位相演算処理部73にそれぞれ入力される。Bモード検波処理部71に入力された前記信号はBモード表示座標算出部72を経てBモード画像データに変換され、コントローラ50はそのBモード画像をメモリ56に記憶させる。一方、ドプラ位相演算処理部73に入力された前記信号はドプラ表示座標算出部74を経てライン状のマッピング領域80に限るカラードプラ画像データに変換され、コントローラ50はそのカラードプラ画像データをメモリ56に記憶させる。また、挿入角度判定手段としてのコントローラ50は、メモリ56に記憶された位置情報を読み出し、その位置情報に基づいて穿刺針6の挿入角度を判断する。そして、ガイドライン表示手段としてのコントローラ50は、穿刺針6の挿入角度に応じたガイドライン65,66の表示データを生成する。さらに、位置表示手段としてのコントローラ50は、穿刺針6の挿入角度に基づいて、第1断層画像8と第2断層画像9とにおいて、穿刺針6の先端6aが見え始める深さ位置を予測するとともに、作業者に対してその深さ位置を事前に示す位置表示部(水平ライン67及びガイドマーク68)の表示データを生成する。

その後、コントローラ50は、Bモード画像データ、カラードプラ画像データ、ガイドライン65,66、水平ライン67及びガイドマーク68の表示データをメモリ56から呼び出し、画像データ合成部75にてこれらデータを合成させ、さらに合成画像のデータを表示装置59に表示させる。この結果、図9等に示されるように、表示装置59の画面10に第1断層画像8及び第2断層画像9が左右に並べて同時に表示される。そして、これらの断層画像8,9上には、ガイドライン65,66、水平ライン67及びガイドマーク68が重畳されて表示される。同時に、第1断層画像8内にて指定されたライン状のマッピング領域80上には、カラードプラ画像78,79が重畳して表示される。なお、本実施形態では、最も奥側に断層画像8,9が表示される。カラードプラ画像78,79は第1断層画像8の手前側に重畳され、ガイドライン65、水平ライン67及びガイドマーク68はさらにその手前側に重畳されるようになっている。また、ガイドライン66及び水平ライン67は、第2断層画像9の手前側に重畳されるようになっている。

次いで作業者は、表示装置59に表示された第1断層画像8及び第2断層画像9を視認しながら、超音波プローブ3の位置を調整する。具体的には、まず、第1断層画像8(短軸像)上に静脈76の横断面が撮影されるとともに第1断層画像8上の第1のガイドライン65が静脈76の中心に位置するように、超音波プローブ3の第1素子ユニット25側を移動させる。さらに、第2断層画像9(長軸像)上に沿って静脈76の縦断面が撮影されるように、超音波プローブ3の第2素子ユニット26側を移動させて、静脈76が延びる方向(軸方向)とプローブ本体12の長軸方向Yとを一致させる。なおこのとき、超音波プローブ3の第1素子ユニット25側(短軸側)の位置をキープした状態で、後側となる第2素子ユニット26側(長軸側)を左右に振るようにして位置合わせを行うようにする。

ここで作業者は、第1断層画像8上及び第2断層画像9上の水平ライン67及びガイドマーク68、第2断層画像9上の第2のガイドライン66に基づいて、穿刺針6の挿入角度が静脈76への穿刺に適した角度か否かを判断する。なお、図7、図8には穿刺針6を挿入する前の様子が示されており、第1断層画像8上及び第2断層画像9上において、静脈76への穿刺を行う処置部よりも水平ライン67及びガイドマーク68が上方に位置している。穿刺針6の挿入角度が静脈76への穿刺に適した角度であると判断した場合、作業者は、穿刺ガイド用アタッチメント14の穿刺針ガイド部34において、ガイド溝33の開口41からカテーテルの穿刺針6を導入する。そして、作業者は、プローブ本体12の位置決め部31の位置に穿刺針6の先端6aを当接させるとともに、ガイド溝33の底部42に穿刺針6の側面を当接させた後、生体4(前腕4a)に対して穿刺針6を挿入させていく。

すると、穿刺針6を挿入した後の様子を示す図9を見てもわかるように、第1断層画像8及び第2断層画像9に穿刺針6が表示されるようになる。ここではまず、穿刺針6が第1断層画像8におけるガイドマーク68の枠内に表示された後、第2断層画像9における第2のガイドライン66上に表示される。作業者は、第2断層画像9における第2のガイドライン66に沿って穿刺針6の挿入位置を確認しつつ、穿刺針6を挿入していく。

このとき作業者は、第1断層画像8の仮想直線L2上に表示されたガイドマーク68を視認することで、穿刺針6の先端6aが見え始める位置を容易にかつ正確に予見することができる。また、ライン状のマッピング領域80は仮想直線L2上においてガイドマーク68を除く位置に指定される。そのため、カラードプラ画像78,79を重畳してもガイドマーク68及びそれにより囲まれる領域が埋没することがない。よって、ガイドマーク68及び穿刺針6の先端6aの視認性を維持することができる。また、この枠状のガイドマーク68は、穿刺針6の先端6aに対応した画像の直径よりも大きなサイズで表示されるので、ガイドマーク68自体と穿刺針6の画像とが重なり合わず、穿刺針6が見え始める瞬間をより確実に確認することができる。

図7等に示されるように、被検体である生体4(前腕4a)において比較的浅い位置には管状構造物である静脈76が位置しており、比較的深い位置には同じく管状構造物である動脈77が位置している。そして、第1断層画像8の仮想直線L2上には幅の狭いライン状のマッピング領域80が指定されており、そのライン状のマッピング領域80にはカラードプラ画像78,79が重畳された状態で表示されている。ここで、静脈76内にて表示されるカラードプラ画像78と、動脈77内にて表示されるカラードプラ画像79とでは色調が異なっている。即ち、静脈76内には第1断層画像8の手前側方向から奥側方向に向かう血流(第2断層画像9の左側方向から右側方向に向かう血流)が存在していることから、前者のカラードプラ画像78は青色を呈する。これに対して、動脈77内には第1断層画像8の奥側方向から手前側方向に向かう血流(第2断層画像9の右側方向から左側方向に向かう血流)が存在していることから、後者のカラードプラ画像79は赤色を呈する。従って、穿刺針6の先端6aを血管壁に対して挿入する前に、作業者は、カラードプラ画像78,79の色の違いによって、静脈76及び動脈77を簡単にかつ正確に判別することができる。

また、これらのカラードプラ画像78,79は、いずれも幅狭であって被検体における目的部位の画像、即ち静脈76及び動脈77の断層画像よりも十分小さい。具体的にいうと、カラードプラ画像78,79の幅は、静脈76及び動脈77の断層画像の1/20〜1/3程度、穿刺針6の先端6aに対応した画像の直径の1倍〜2倍程度、ガイドマーク68に対応した画像の最大幅の1/10〜1/2程度である。よって、カラードプラ画像78,79は、静脈76及び動脈77の断層画像全体ではなく、その一部に対して重畳されることになる。ゆえに、カラードプラ画像78,79を重畳表示したときでも、静脈76及び動脈77の断層画像がカラードプラ画像78,79により埋没しなくなり、血管壁の様子が分かりやすくなる。また、この程度の幅を有するカラードプラ画像78,79であれば、小面積すぎて赤色及び青色の判別が難しくなるといったこともなく、好適な視認性を維持することができる。

そして作業者は、上記の要領で静脈76の血管壁に穿刺針6の先端6aが到達したと判断したら、次いでその血管壁を穿刺針6の先端6aで貫通させ、静脈76内に穿刺針6の先端6aを挿入する。作業者は、第2断層画像9に基づいて穿刺針6の先端6aが静脈76内に到達したことを確認した後、穿刺針6の穿刺動作を止める。

その後、作業者は、入力装置58に設けられている走査終了ボタン(図示略)を操作する。コントローラ50は、そのボタン操作を判断し、生体4の断層画像8,9を表示するための処理を終了する。さらに、作業者は、穿刺針6の穿刺状態を維持したまま(穿刺ルートを残したまま)、ガイド溝33に沿ってプローブ本体12を移動させる。そして、作業者は、ガイド溝33の開口41を通して超音波プローブ3(穿刺ガイド用アタッチメント14及びプローブ本体12)を穿刺針6から取り外す。この後、作業者は、カテーテル操作を行い、静脈76内にカテーテルを挿入して所定の治療を行う。

続いて、この超音波診断装置1におけるフィルタリング手段85の構成及び動作について詳細に説明する。

図4、図5に示されるように、本実施形態のフィルタリング手段85は、中央処理部87と、中央処理部87の前段に設けられた入力制御部86と、中央処理部87の後段に設けられた出力処理部88とを備えている。

中央処理部87は、MTIフィルタ84から出力されたドプラ信号(正確には拡張ドプラ信号)を、あらかじめ設定された所定のフィルタ係数で平滑化処理するためのデジタルフィルタであって、具体的には1ビット拡張されたIIRフィルタによって構成されている。中央処理部87は、加算器101、乗算器102,103、遅延素子104、係数制御部105を有している。入力された拡張ドプラ信号のデジタルデータは、乗算器102において、あらかじめ設定された所定のフィルタ係数で処理された後(ここではαを乗算した後)、加算器101に出力される。遅延素子104には時間的に1つ前に平滑化処理された拡張ドプラ信号のデジタルデータが保持されており、このように遅延バッファされたデータは加算器101に対してフィードバックされる。具体的にいうと、このデータは乗算器103において、あらかじめ設定された所定のフィルタ係数で処理された後(ここでは(128−α)を乗算した後)、加算器101に出力される。従って、加算器101では、最新の拡張ドプラ信号のデジタルデータと、その直前の拡張ドプラ信号(平滑化処理後のもの)のデジタルデータとが所定の割合で加算される。そして、これによる加算結果、つまり平滑化処理された拡張ドプラ信号は、後段にある出力処理部88に出力されるようになっている。なお、フィルタ係数の変更は係数制御部105により行われる。

入力制御部86は、符号拡張部91、象限推移判定部92、フィルタ係数切換部93及び位相オフセット部94を有している。なお、入力制御部86には、図13(a)にて示したような波形のドプラ信号、即ち高周波のノイズ成分を含んだ信号がMTIフィルタ84から入力されてくる。符号拡張部91は、MTIフィルタ84からきたドプラ信号の上位ビットを拡張して拡張ドプラ信号とする処理を実行する(符号拡張ステップ)。本実施形態では、MTIフィルタ84から出力されたドプラ信号が8ビットの信号からなるので、その上位ビットを1ビット分だけ拡張することで、9ビットの拡張ドプラ信号としている。即ち、この符号拡張ステップを行うことにより、位相情報(速度情報)がデータ長を超えなくなり、位相角が±πを超えてもデータの符号反転が起こらなくなる。つまり、ドプラ信号が図13(b)にて示したような波形にはならなくなる。

象限推移判定部92は、新たに入力された拡張ドプラ信号とそれの直前の拡張ドプラ信号とに基づいて、位相角が第1乃至第4象限のどこからどこへ推移したかを判定する(象限推移判定ステップ)。そして、フィルタ係数切換部93及び位相オフセット部94は、それぞれ象限推移判定部92の判定結果に基づいて所定の処理を行う。なお、入力制御部86には、中央処理部87における遅延素子104からの遅延バッファ信号(即ち直前の拡張ドプラ信号)が入力され、その信号を利用して上記の象限推移判定が行われるようになっている。

図10、図11(a)に示されるように、象限推移判定ステップにおいて、位相角が第1象限から第3象限へ推移したと判定、あるいは第4象限から第2象限へ推移したと判定されたときには、フィルタ係数切換部93がフィルタ係数をα(0<α<1)からゼロに変更する(フィルタ係数変更ステップ)。このとき、フィルタ係数切換部93はフィルタ係数を変更する旨の指示情報を係数制御部105に対して出力し、これに基づいて係数制御部105はフィルタ係数をゼロに変更する。つまり、このような推移が起きた場合には、例えば折り返し現象によるチャタリングの影響があると考えられ、データの信憑性が低いと考えられるので、新たに入力した拡張ドプラ信号が実質的に無効化されることになる(図10では「×…無効」として説明」)。換言すると、新たに入力した拡張ドプラ信号ではなくて、その直前に平滑化処理された拡張ドプラ信号が採用されることになる。

また、第2象限と第3象限との間で位相角の推移が起きたと判定されたときには、位相オフセット部が拡張ドプラ信号における位相の値にπに相当する位相分を加算または減算する(位相オフセットステップ)。より具体的には、第2象限から第3象限へ位相角が推移したときにはπに相当する位相分を加算し、第3象限から第2象限へ位相角が推移したときにはπに相当する位相分を減算する。つまり、位相オフセットステップでは、位相が±πを超えて折り返りが起こる条件となったときに、本来であれば折り返りが起こる部分の波形をオフセットし、連続的な波形とする対策を講じる(図10では「△…対策」として説明」)。

また、上記以外の場合、即ち第3象限から第1象限への位相角の推移、第2象限から第4象限への位相角の推移、第1象限と第2象限との間での位相角の推移、第1象限と第4象限との間での位相角の推移、第3象限と第4象限との間での位相角の推移が起きたと判定、あるいは位相角推移が特に起きていないと判定されたときには、フィルタ係数の変更も位相オフセットも特に行われないようになっている。つまり、このような場合には、データの信憑性に問題がないと考えられるので、新たに入力した拡張ドプラ信号の採用を許可し、これと直前の平滑化処理後のドプラ信号とに基づいて平滑化処理を行うようになっている(図10では「○…許可」として説明」)。

図11(b)に示されるように、出力処理部88は、中央処理部87から入力した平滑化処理後の拡張ドプラ信号(図12(a)を参照)に対して、折り返り許可処理及び折り返り禁止処理のいずれかを選択的に実行した後に、ドプラ表示座標算出部74に上記信号を出力する。ここで、折り返り許可処理では、平滑化処理後の拡張ドプラ信号から、拡張された前記上位ビットを削除してその下位ビットを抜き出す処理を行う。ここで具体的には、9ビットからなる平滑化処理後の拡張ドプラ信号から、拡張された前記上位ビットである1ビット分を削除して、その下位ビットである8ビット分を抜き出す処理を行う。そしてこの処理を行うと、折り返りした位相情報の表示が許可される。具体的には、図12(b)に示されるような波形の信号が出力される。このときの信号波形は、折り返り部分の立ち上がり及び立ち下がりが鈍ることなくシャープになり、極めて自然で理想的な波形となる。一方、折り返り禁止処理では、拡張された上位ビット及びその下位ビットからなる前記拡張ドプラ信号の位相が+πまたは−πまで進んだときに、位相をその値にクリッピング(固定)する処理を行う。そしてこの処理を行うと、折り返りした位相情報の表示が禁止される。具体的には、図12(c)に示されるような波形の信号が出力される。このときの信号波形は、折り返り部分にて立ち上がり及び立ち下がりがない代わりに、それらをつなぐ領域が水平な直線となる。ちなみに、仮に折り返り許可処理も折り返り禁止処理も行わなければ、図12(a)に示されるような波形の信号が出力されることになる。

従って、本実施形態によれば以下の効果を得ることができる。

(1)本実施形態の超音波診断装置1は、入力制御部86、中央処理部87及び出力処理部88を有するフィルタリング手段85を備えており、入力制御部86が上述のような符号拡張部91、象限推移判定部92、フィルタ係数切換部93及び位相オフセット部94を有していることを特徴とする。そして符号拡張ステップでは、符号拡張部91においてドプラ信号の上位ビットを拡張して拡張ドプラ信号とされる。その結果、速度情報がデータ長を超えなくなり、位相が±πを超えてもデータの符号反転が起こらなくなる。続く象限推移判定ステップでは、象限推移判定部92において、位相角が第1乃至第4象限のどこからどこへ推移したかが判定される。第1象限から第3象限への推移または第4象限から第2象限への推移が起きたと判定されたとき、つまり互いに隣接しない象限間で推移が起きたと判定されたときには、フィルタ係数制御ステップにおいてフィルタ係数切換部93がフィルタ係数をゼロにする。その結果、平滑化ステップにおいて平滑化処理を行う際に、新たな拡張ドプラ信号の影響が実質的に無効化される。つまり、新たに入力した拡張ドプラ信号によるデータの更新が行われなくなり、その直前に平滑化処理された拡張ドプラ信号がそのまま採用されることになる。また、第2象限と第3象限との間で推移が起きたと判定されたとき、つまり位相が±πを超えて折り返りが起こる条件となったときには、位相オフセットステップにおいて位相オフセット部94が拡張ドプラ信号における位相の値にπに相当する位相分を加算または減算する。その結果、本来であれば折り返りが起こる部分の波形がオフセットされ、連続的な波形とすることができる。

以上のような諸ステップを経た拡張ドプラ信号に基づいて、中央処理部87が所定の平滑化処理を行うことで、ドプラ信号に含まれるノイズの影響が確実に低減され、上記図12(a)のような理想的な波形の出力を得ることができる。従って、このような信号に基づいてそれ以降の処理を行うことにより、正確な位相情報(正確な速度情報)を取得することが可能となり、ひいては良質なカラードプラ画像を得ることが可能となる。また、本実施形態の超音波診断装置1では、符号拡張ステップでドプラ信号を1ビット分拡張した後に、象限推移判定ステップ、フィルタ係数切換ステップ及び位相オフセットステップという比較的単純な処理を行ったうえで平滑化処理を行っている。ゆえに、複雑な演算処理を必要としたり、演算処理にあたって多くのメモリを消費したりする従来技術とは異なり、本実施形態によれば複雑な演算処理やメモリ消費量の増大も回避することができる。

(2)本実施形態の超音波診断装置1のフィルタリング手段85は、折り返り許可処理及び折り返り禁止処理のいずれかを選択して実行可能な出力処理部88をさらに備えることを特徴とする。そしてこれらの処理を経ることにより、拡張されたビットが元に戻されて8ビットの信号になるため(符号戻し)、それ以降の処理を元のビット数の信号にて行うことができる。従って、複雑な演算処理やメモリ消費量の増大を確実に回避することができる。また、折り返り許可処理を行った場合には、折り返りした位相情報の表示が許可されるため、折り返りが起きていることを自然に見せることができ、作業者はその事実を容易かつ正確に認識することが可能となる。また、折り返り禁止処理を行った場合には、折り返りした位相情報が表示されなくなる一方で所定の値にクリッピングされる。このため、作業者は折り返りの事実を認識できないものの、色の反転がなく不自然さのないカラードプラ画像を見ることが可能となる。従って、いずれの場合においても、作業者は誤りなく血流方向を把握することができ、ひいては静脈76及び動脈77の位置を正確に把握することが可能となる。

なお、本発明の実施の形態は以下のように変更してもよい。

・上記実施形態では、静脈76等の断層画像8,9を表示してカテーテルによる治療を行う際に本発明の超音波診断装置1を使用する例を示したが、本発明の超音波診断装置1を採血などの他の処置を行う場合に使用してもよい。勿論、本発明の超音波診断装置1は、穿刺とは関係のない用途に使用してもよい。

・上記実施形態の超音波診断装置1は、生体4内を流れる血液を移動体として、これについてカラードプラ画像を得るものであったが、例えば、生体4内を流れる血流以外の液体(例えばリンパ液や消化液など)を移動体とし、これについてカラードプラ画像を得るものであってもよい。

・本実施形態ではバイプレーン型プローブを用いた超音波診断装置1の例を示したが、これに限定されない。例えば、通常の超音波プローブ(いわゆるシングルプレーン型プローブ)を用いて1つの断層画像を捉え、この断層画像を表示する超音波診断装置1に本発明を適用しても勿論よい。

・上記実施形態では、MTIフィルタ84から出力されるドプラ信号が8ビットの信号からなるので、符号拡張部91にてその上位ビットを1ビット分だけ拡張して9ビットの拡張ドプラ信号として中央処理部87で処理を行うようにしたが、例えばこれを2ビット分以上拡張するようにしてもよい。また、上記実施形態では、9ビットの拡張ドプラ信号を中央処理部87で処理した後、出力処理部88で符号戻しを行って8ビットの信号にしてから出力するようにしたが、例えば9ビットのまま出力してもよい。

・上記実施形態では、第1断層画像8の仮想直線L2上にける幅の狭いライン状のマッピング領域80が関心領域として指定され、そこにカラードプラ画像78,79が重畳された状態で表示されるように構成したが、関心領域は任意の位置にて任意の形状で指定されてもよい。

・上記実施形態では、第3象限から第1象限への位相角の推移、第2象限から第4象限への位相角の推移が起きたと判定されたときに、フィルタ係数の変更も位相オフセットも特に行わないように構成したが(図10では「○…許可」として説明」)、これに限定されない。例えば、図10にて「△…対策」として説明したように、フィルタ係数の変更を行わないで位相オフセットを行うように構成してもよい。

1…超音波診断装置

3…超音波プローブ

4…被検体としての生体

27,28…超音波振動子列

85…フィルタリング手段

86…入力制御部

87…中央処理部

88…出力処理部

91…符号拡張部

92…象限推移判定部

93…フィルタ係数切換部

94…位相オフセット部

Claims (9)


  1. 被検体内の移動体に関する位相情報を含むドプラ信号を平滑化処理して出力するフィルタリング手段を備え、前記フィルタリング手段からの出力信号に基づいてカラードプラ画像データを生成する超音波診断装置であって、

    前記フィルタリング手段は、あらかじめ設定した所定のフィルタ係数で前記平滑化処理を行う中央処理部と、その前段に設けられた入力制御部とを備えるとともに、

    前記入力制御部は、

    前記ドプラ信号の上位ビットを拡張して拡張ドプラ信号とする符号拡張部と、

    前記拡張ドプラ信号とそれの直前の前記拡張ドプラ信号とに基づいて、位相角が第1乃至第4象限のどこからどこへ推移したかを判定する象限推移判定部と、

    前記象限推移判定部が、前記第1象限から前記第3象限への推移または前記第4象限から前記第2象限への推移が起きたと判定したときに、前記フィルタ係数を小さくするフィルタ係数切換部と、

    前記象限推移判定部が、前記第2象限と前記第3象限との間で推移が起きたと判定したときに、前記拡張ドプラ信号における位相の値にπに相当する位相分を加算または減算する位相オフセット部と

    を有することを特徴とする超音波診断装置。

  2. 前記フィルタリング手段は、前記中央処理部の後段に設けられた出力処理部をさらに備えるとともに、

    前記出力処理部は、

    折り返りした前記位相情報の表示を許可すべく、前記拡張ドプラ信号から拡張された前記上位ビットを削除してその下位ビットを抜き出す折り返り許可処理、または、

    折り返りした前記位相情報の表示を禁止すべく、拡張された前記上位ビット及びその下位ビットからなる前記拡張ドプラ信号の位相が+πまたは−πまで進んだときに前記位相をその値にクリッピングする折り返り禁止処理

    を実行する

    ことを特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。

  3. 前記出力処理部は、前記折り返り許可処理及び前記折り返り禁止処理のいずれかを選択して実行可能であることを特徴とする請求項2に記載の超音波診断装置。

  4. 前記フィルタ係数切換部は、前記象限推移判定部が、前記第1象限から前記第3象限への推移または前記第4象限から前記第2象限への推移が起きたと判定したときに、前記平滑化処理を行う際の前記フィルタ係数をゼロにすることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の超音波診断装置。

  5. 前記中央処理部は、

    前記入力制御部から出力された前記拡張ドプラ信号に対し、前記中央処理部にてバッファリングしておいた直前の前記拡張ドプラ信号を、前記フィルタ係数に基づいて加算することにより、前記平滑化処理を行う

    ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の超音波診断装置。

  6. 前記被検体内の前記移動体は生体内を流れる血液であり、前記ドプラ信号は血流信号であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の超音波診断装置。

  7. 前記超音波診断装置は、血管に対する穿刺ガイド機能を備えるとともに、超音波振動子列が直交して配置された超音波プローブを備えることを特徴とする請求項6に記載の超音波診断装置。

  8. 被検体内の移動体に関する位相情報を含むドプラ信号を平滑化処理して出力するフィルタリング手段を備え、前記フィルタリング手段からの出力信号に基づいてカラードプラ画像データを生成する超音波診断装置における信号処理方法であって、

    あらかじめ設定した所定のフィルタ係数で前記平滑化処理を行う平滑化ステップを実行する前に、

    前記ドプラ信号の上位ビットを拡張して拡張ドプラ信号とする符号拡張ステップと、

    前記拡張ドプラ信号とそれの直前の前記拡張ドプラ信号とに基づいて、位相角が第1乃至第4象限のどこからどこへ推移したかを判定する象限推移判定ステップと、

    前記第1象限から前記第3象限への推移または前記第4象限から前記第2象限への推移が起きたと判定したときに、前記フィルタ係数を小さくするフィルタ係数制御ステップと、

    前記第2象限と前記第3象限との間で推移が起きたと判定したときに、前記拡張ドプラ信号における位相の値にπに相当する位相分を加算または減算する位相オフセットステップと

    を実行することを特徴とする超音波診断装置の信号処理方法。

  9. 被検体内の移動体に関する位相情報を含むドプラ信号を平滑化処理して出力するフィルタリング手段を備え、前記フィルタリング手段からの出力信号に基づいてカラードプラ画像データを生成する超音波診断装置の内蔵するコンピュータに、

    あらかじめ設定した所定のフィルタ係数で前記平滑化処理を行う平滑化ステップを実行させるとともに、

    前記平滑化ステップの実行前に、

    前記ドプラ信号の上位ビットを拡張して拡張ドプラ信号とする符号拡張ステップと、

    前記拡張ドプラ信号とそれの直前の前記拡張ドプラ信号とに基づいて、位相角が第1乃至第4象限のどこからどこへ推移したかを判定する象限推移判定ステップと、

    前記第1象限から前記第3象限への推移または前記第4象限から前記第2象限への推移が起きたと判定したときに、前記フィルタ係数を小さくするフィルタ係数制御ステップと、

    前記第2象限と前記第3象限との間で推移が起きたと判定したときに、前記拡張ドプラ信号における位相の値にπに相当する位相分を加算または減算する位相オフセットステップと

    を実行させるための信号処理プログラムを格納した記録媒体。
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