JP6298133B2 - モータ - Google Patents
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Description
特に、近年においては、車両に備えられる機器に搭載する場合には、搭載上の理由から薄型化することが求められている。
しかし、このように界磁磁石を2極とすると、当然磁界が弱くなり、トルクが低下してしまうという問題があった。
この問題を解消するために、界磁磁石を4極としてトルク低下を防止するととともに、薄型化したヨークハウジングに収まるよう小型化された回転電機が開発された(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に係る電動モータ(回転電機)は、筒部を有するヨークと、筒部の内周面に対向配置された2対の永久磁石と、永久磁石よりも径方向内側に回転自在に支持されたアーマチュアと、を備えて構成される。
また、本技術に係るヨークの筒部には、径方向で対向する少なくとも1対の第1平坦部が形成されており、これにより、本電動モータ(回転電機)は、扁平形状の薄型として形成される。
そして、本技術の特徴は、ヨークのこれら第1平坦部を避けた位置に永久磁石が配置されていることである。
このように、ヨークの筒部に第1平坦部を形成することにより、筒部を円筒状に形成した場合よりも電動モータを小型化することができるとともに、第1平坦部を避けた位置に永久磁石を配置することで、界磁磁石を4極としても、永久磁石の厚さに依存することなく電動モータの小型化を図ることができる。
しかしながら、特許文献1に係る技術によれば、マグネット(開)角度が小さくなるため、有効な磁束を確保することができないという問題点があった。
また、コギングトルクやトルクリップルを低減させるためには、適正なマグネット(開)角度が必要となるが、特許文献1に係る技術によれば、マグネット(開)角度が小さくなるため、コギングトルクやトルクリップルを抑えることができず、これが騒音の原因となるという問題が生じていた。
このとき、各々の前記マグネットは、前記曲面部に配設される肉厚部と、該肉厚部の周方向両端部から各々延出するとともに前記肉厚部よりも肉厚が薄い肉薄部と、を有して構成されていると好適である。
よって、マグネット(N極マグネット及びS極マグネット)の、マグネット開角度(「軸方向との直交面での断面において、軸心点(中心軸がのる点:中心点)から、両端部の端部を各々結んでできる中心角」)を大きくとることができる。
つまり、従来のように、平坦部にマグネットが存在しない構成では、このマグネット開角度が小さくなってしまうが、本構成によれば、マグネットの一端側が平坦部に配設されるため、マグネット開角度を従来に比して大きくとることが可能となる。
このように、マグネット開角度を適正に確保することで、コギングトルク及びトルクリップルを低減させ、騒音を抑えることができる。
更に、マグネット開角度を大きくとることで、磁束分布を滑らかにすることができ、騒音の発生を有効に防止することができる。
このように構成されていることで、上記同様に、マグネット開角度を適正に確保することができるとともに、マグネットの他端側と曲面部の内壁との間に形成された空間(マグネットの他端側と曲面部とは非当接であるため、両者の間には空間が形成される)は、例えば、接着剤の充填のための空間として使用することができる。
また、マグネットの一端が平坦部と当接していることで、当接部分の割れや欠けを有効に防止することができる。
さらに、軸方向との直交面での断面において、軸心点から、前記マグネットの両端を各々結んでできる中心角は、70度乃至80度となるように構成されていると好適である。
なお、以下に説明する構成は本発明を限定するものではなく、本発明の趣旨の範囲内で種々改変することができるものである。
なお、均等物を包含することはもちろんのことである。
本実施形態は、小型化(薄型化)を実現しながらも、磁束確保及び騒音低減が可能なステータ及びこれを備えたモータに関するものである。
なお、図2等、説明のため、本発明に直接関係の無い若しくは関係の薄い構成等は省略して図示してある。
本実施形態に係るモータMは、直流モータの構成を採用したものである。
本実施形態に係るモータMは、図1に示すように、出力軸となる回転軸としてのシャフト1と、巻線2が巻回された電機子3と、整流子4と、界磁を発生させるマグネット5と、ブラシ装置8と、これらを内部に収納し、マグネット5が固定されたヨーク6とを主たる構成要素として構成されている。
なお、マグネット5と、このマグネット5が固定されたヨーク6とで、ステータSを構成する。
なお、本実施形態においてはモータMとして一方向回転モータを例示しているため、シャフト1は一方向に回転する構成となる。
シャフト1には電機子3及び整流子4が固定されており、電機子3の周囲にはこの電機子3の外周を囲むようにマグネット5が配置されている。
本実施形態に係る電機子コア13は、複数のコアシート113が軸方向に積層されて形成された積層コアである。
これらのコアシート113は、例えば、ケイ素鋼板等の肉薄のシート状板素材から構成され、プレス打ち抜き処理を行うことにより所定形状に加工される。
つまり、放射状延出部と放射状延出部バー部とで、略T字形状の突出片が形成されており、この部分が積層されて、所謂「ティース部T」となり、隣接するティース部T,T間に電機子コア13の巻線部(所謂「スロットK」)が溝として形成される。
この整流子4は、回転に伴って、ブラシ装置8のブラシ本体と当接する整流子片4aが切り替わることにより、巻線2を流れる電流の向きを切り替える。
本実施形態においては、プラス側ブラシ装置とマイナス側ブラシ装置が備えられている。
ブラシ装置8は、例えば、収納ボックスと、スプリングと、給電用のリード線から給電されるピグテールとが更に備えられ、スプリングは、ブラシ本体を整流子4方向へと付勢する。
また、ピグテールは、ブラシ本体に接続されている。
このため、磁極中心線Ln,Ls上に配置されるプラス側ブラシ装置及びマイナス側ブラシ装置は、ヨーク6の平坦部6a,6aに対して45°の角度を成して傾くよう配置されるため、ブラシ本体の長さを大きくすることができる。
本実施形態においては、ステータSは、マグネット5とヨーク6を主要構成とする。
ステータSを構成するマグネット5は、永久磁石であり、ヨーク6の内壁面に固定される。
本実施形態では、図2に示すように、4極構造となっている。
本実施形態においては、曲面部6b,6bを円弧状に形成したが、これに限られることはなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、楕円弧形状等どのように形成されていてもよい。
また、本実施形態に係るヨーク6は、その平坦部6a,6a間が、その内部で電機子3が回転するために必要な最小限の間隙を有する程度に、極力小さくなるように(薄型となるように)構成されている。
本実施形態においては、N極マグネット5AとS極マグネット5Bとは、極性が異なるのみで、形状等他の構成は同様のものであり、隣接する極性が異なるように配置される。
なお、中心点Oを通る平坦部6aの平行線を平行線Lpとした。
また、N極マグネット5A(S極マグネット5B)は、その断面が、同心異半径の円弧で囲まれた略扇子形状の外側端部を切り欠いた形状をとる部材であるが、マグネット5の形状及び配設構成は、本実施形態の主要構成であるため後に詳述する。
上記の通り、N極マグネット5AとS極マグネット5Bとは、極性が異なるのみで、形状等他の構成は同様のものであるため、N極マグネット5Aを例に取り説明する。
なお、図3は説明のために、電機子3の図示は省略している。
つまり、図3(a)に示すように幅W2の平坦部6a,6aを形成することにより、W0−W1の分、断面円形のヨークに比してヨーク6の幅寸法が小さくなるように構成されており、これによりモータMの小型化(薄型化)が実現されている。
この配設は、どのような方法で行われていてもよいが、本実施形態においては、接着剤を用いて、マグネット5がヨーク6内壁面に貼付される構成をとる。
そして、本実施形態に係るステータSの特徴の一つは、一個のN極マグネット5Aが、平坦部6a及び曲面部6bに渡って配設されることである。
この構成と効果について説明する。
シャフト1の中心軸がのる点(以下、「中心点O」記す)を中心に、肉厚部5aの内周面の曲率半径は、電機子3の曲率半径より若干大きくなるように構成されており、また、肉厚部5aの外周面の曲率半径は、ヨーク6を構成する曲面部6b内周面の曲率半径とほぼ同一となるように構成されている。
つまり、立体的には、その外周側(つまり、ヨーク6の内周壁側)が、略三角柱状に切りかかれた形状をしている。
この形状は、つまり、ヨーク6の幅寸法W1(モータMを薄型化する寸法)に沿って薄肉化する形状である。
なお、最小肉厚t2は最大肉厚t1よりも小さくなるよう構成されていればよいが、最小肉厚t2は、最大肉厚t1に対して、約50%から約80%とすることが望ましい。
なお、他方の肉薄部5bは、曲面部6bに対向して(外周は接していない)配設されることとなる。
このとき、他方の肉薄部5bの外周面と曲面部6b内壁面との間に形成される空間U(図2参照)に接着剤を充填しておくと、N極マグネット5A(及びS極マグネット5B)の固定がより強固となるため好適である。
つまり、α1>α2となり、本実施形態においては、マグネット開角度を大きくとることが可能となる。
また、このように適正なマグネット開角度に設定することは、コギングトルクやトルクリップルを低減させるために好適であり、これにより、騒音を有効に抑制することが可能となる。
なお、上述の通り、他のマグネット5も同様に配置され、4極構造をとる。
換言すれば、平坦部6a内壁には、肉薄部5bが当節している部分とマグネット5が配設されない部分(間隙)が存在することとなる。
このように、肉薄部5bの一方は、平坦部6a内壁に固定されており、当該部分の割れや欠けを有効に防止できるよう構成されている。
図5には、マグネット開角度に対する有効磁束とコギングトルクとの関係を示した。
有効磁束を実線で示し、コギングトルクを点線で示した。
有効磁束は、大きい程好ましく、コギングトルクは小さい程好ましい。
このグラフより、マグネット開角度α1は、約70°から約80°であると、有効磁束は大きくなるとともに、コギングトルクは小さくなる。
よって、この範囲に設定されると好ましいと考えられる。
本実施形態のように、マグネット開角度を大きくとり(α1とし)、肉薄部5bを形成した状態の磁束分布を実践で示し、マグネット開角度が小さい(α1)従来例を点線にて示した。
図6に示すように、本実施形態のように、マグネット開角度を大きくとり(α1とし)、肉薄部5bを形成した場合には、磁束を示す曲線は綺麗な正弦曲線を示す(つまり、磁束分布が滑らかになる)が、マグネット開角度が小さい(α1)従来例では、磁束が正弦曲線からずれて乱れた状態となる。
特に、回転角度45°及び135°における磁束最大値の絶対値が低下し、回転効率が落ちる。
よって、電機子3を被覆するヨーク6を小型化(薄型化)しても、電機子3の回転を阻害することなく、マグネット開角度を大きくとることが可能となる。
これにより、有効な磁束を確保することができる。
また、このようにマグネット開角度を適切に設定することができるため、コギングトルクやトルクリップルを低減させることが可能となり、これにより、騒音を有効に抑制することができる。
2・・巻線、
3・・電機子、
13・・電機子コア、113・・コアシート、
K・・スロット、T・・ティース部、
4・・整流子、
4a・・整流子片、
5・・マグネット、5A,5A´・・N極マグネット、5B・・S極マグネット、
5a・・肉厚部、5b・・肉薄部、
6・・ヨーク、6a・・平坦部、6b・・曲面部、
7・・軸受、
8・・ブラシ装置、
Ln,Ls・・磁極中心線、
Lp・・平坦部の平行線、
O・・中心点、
M・・モータ、S・・ステータ、U・・空間
Claims (4)
- 互いに平行に対向する一対の平坦部と、該平坦部の対向端部間を連結するよう延びる一対の曲面部とを有する扁平円筒状のヨークと、該ヨークの内壁に各々配設された4個のマグネットと、を有して構成される薄型のステータと、
前記ステータの内側に回転可能に支持されたロータと、
前記ヨークの前記平坦部に対して45度の角度を成して傾くと共に磁極中心線上に配置されたプラス側ブラシ装置及びマイナス側ブラシ装置と、を備えたモータであって、
前記マグネットの一端部は、前記平坦部に沿うように延びており、
前記マグネットの他端部は、前記曲面部側に配設されるとともに、前記曲面部と非当接であることを特徴とするモータ。 - 各々の前記マグネットは、前記曲面部に配設される肉厚部と、該肉厚部の周方向両端部から各々延出するとともに前記肉厚部よりも肉厚が薄い肉薄部と、を有して構成されていることを特徴とする請求項1に記載のモータ。
- 各々の前記マグネットの一端部が前記平坦部と当接していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のモータ。
- 軸方向との直交面での断面において、軸心点から、前記マグネットの両端を各々結んでできる中心角は、70度乃至80度となるように構成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のモータ。
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