JP6297745B2 - 配線基板、配線基板の製造方法、及び配線基板を備えた静電容量センサ - Google Patents

配線基板、配線基板の製造方法、及び配線基板を備えた静電容量センサ Download PDF

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Description

本発明は、透明導電性高分子を用いた配線基板、この配線基板の製造方法、及びこの配線基板を用いた静電容量センサに関する。
透明導電性高分子を用いた配線基板は、パーソナルコンピュータ、携帯情報端末(PDA)、現金自動預払機(ATM)等の表示装置を備えた電子機器において、操作パネル表面の所望位置に操作者がペンや指を触接させることにより、表示装置における二次元座標データを指示する入力装置に用いられている。特に、LCD(液晶ディスプレイ)等の表示装置の画面に重ねて設置可能な、それ自体透明な構造を有する入力装置は、タッチパネルの呼称で広く利用されており、近年、携帯電話機能を有する携帯型端末装置への搭載も実現されている。
このような透明導電性高分子を用いた配線基板が適用された従来例として、特許文献1では、図16に示すようなパネル型入力装置910が提案されている。図16は、従来例のパネル型入力装置910を説明する分解斜視図である。
図16に示すパネル型入力装置910は、矩形平板の形状をしており、絶縁性の第1基板912及び絶縁性の第1基板912に形成された第1導電膜914を有する第1電極板962と、絶縁性の第2基板920及び第2基板920に形成された第2導電膜918を有する第2電極板964と、から構成されている。そして、第1電極板962と第2電極板964とは、スペーサを挟んで、第1導電膜914と第2導電膜918とが対向するように配設されている。
また、第1電極板962の第1導電膜914は、導電性ポリマーを用いて形成されており、図16に示すように、矩形輪郭の一対の対向辺に沿って並んで配設された複数の検出領域966と、それら検出領域966に隣接して配置され、複数の検出領域966の表面抵抗率よりも高い表面抵抗率を有する非動作領域968と、を備えている。同様にして、第2電極板964の第2導電膜918は、導電性ポリマーを用いて形成されており、図16に示すように、第1導電膜914の検出領域966と直交した方向に配設された複数の検出領域966と、それら検出領域966に隣接して配置され、複数の検出領域966の表面抵抗率よりも高い表面抵抗率を有する非動作領域968と、を備えている。
また、第1導電膜914及び第2導電膜918における非動作領域968の矩形枠状部分には、個々の検出領域966に個別に接続される複数の導線970及び導線972が形成されており、この複数の導線970及び導線972から検出領域966が受ける静電容量の変化を取り出している。
特開2009−211680号公報
しかしながら、従来例のような構成の配線基板(第1電極板962または第2電極板964)を用いた場合、パネル型入力装置910が湿度環境下に晒された際に、応答性や検出感度に変化が見られるという課題があった。
本発明は、上述した課題を解決するもので、湿度の影響を受けにくい配線基板、配線基板の製造方法、及び配線基板を備えた静電容量センサを提供することを目的とする。
この課題を解決するために、本発明の配線基板は、基材と、該基材の表面に形成された複数の電極と、該電極と接続された導体配線と、該導体配線と接続された複数の取出し配線と、を具備し、前記複数の電極と前記導体配線とを有した導体パターンが設けられたビューエリアと、前記複数の取出し配線が設けられた配線エリアと、を有した配線基板において、透明導電性高分子の一部が不導体化されてなる不導体部と、前記不導体部で区切られた前記透明導電性高分子からなる導体部と、を備え、前記ビューエリアにおいては、前記導体パターンが前記導体部から形成されており、前記配線エリアにおいては、前記取出し配線が前記透明導電性高分子よりも低い比抵抗を有する材質からなり、前記取出し配線が前記導体部及び前記不導体部と重ならないように配置されていることを特徴としている。
これによれば、本発明の配線基板は、取出し配線と基材との間に導体部及び不導体部が存在しないこととなり、導体部及び不導体部による影響を受けることがない。このため、湿度環境下において、導体部及び不導体部に水分が吸湿されて、導体部及び不導体部の抵抗値が変化し、取出し配線と基材との間の浮遊容量が変化するということがない。このことにより、湿度の影響を受けにくい配線基板を提供することができる。
また、本発明の配線基板は、前記ビューエリアの前記導体パターン間に、前記不導体部の一部が形成されていないトリミング部が設けられていることを特徴としている。
これによれば、このトリミング部が不導体部を区切る絶縁体となり、電極間或いは電極と導体配線間における絶縁耐圧を向上させることができる。このため、所望の絶縁耐圧を確保しながら、電極間或いは電極と導体配線間を狭くすることができる。このことにより、導体パターンのレイアウトを小さくすることができ、配線基板の小型化を図ることができる。
また、本発明の静電容量センサは、上記に記載の配線基板と、該配線基板の複数の電極と指等の指示体との静電容量を検出する検出部と、該検出部の検出値に基づいて信号を出力する制御部と、を備えたことを特徴としている。
これによれば、本発明の静電容量センサは、湿度の影響を受けにくい静電容量センサを提供することができる。
また、本発明の配線基板の製造方法は、基材と、該基材の表面に形成された複数の電極と、該電極と接続された導体配線と、該導体配線と接続された複数の取出し配線と、を具備し、前記複数の電極と前記導体配線とを有した導体パターンが設けられたビューエリアと、前記複数の取出し配線が設けられた配線エリアと、を有した配線基板の製造方法において、前記基材上に透明導電性高分子からなる透明導電層を形成する層形成工程と、前記透明導電層をパターニングするパターニング工程と、前記パターニング工程の後、前記複数の取出し配線を形成する配線形成工程と、を備え、前記パターニング工程は、前記透明導電層上にパターンニングされたレジスト膜を形成する膜形成工程と、前記透明導電層が晒された部分の前記透明導電性高分子を不導体化して不導体部を形成する不導体化工程と、前記配線エリアにおける前記不導体部を除去するエッチング工程と、を有することを特徴としている。
これによれば、本発明の配線基板の製造方法は、複数の取出し配線が設けられる配線エリアに不導体部が存在しない配線基板を得ることができる。このため、湿度環境下において、不導体部に水分が吸湿されて、不導体部の抵抗値が変化し、取出し配線と基材との間の浮遊容量が変化するということがない配線基板を得ることができる。このことにより、湿度の影響を受けにくい配線基板を提供することができる。
また、本発明の配線基板の製造方法は、基材と、該基材の表面に形成された複数の電極と、該電極と接続された導体配線と、該導体配線と接続された複数の取出し配線と、を具備し、前記複数の電極と前記導体配線とを有した導体パターンが設けられたビューエリアと、前記複数の取出し配線が設けられた配線エリアと、を有した配線基板の製造方法において、前記基材上の前記ビューエリアに透明導電性高分子からなる透明導電層を形成する層形成工程と、前記透明導電層をパターニングするパターニング工程と、前記パターニング工程の後、前記複数の取出し配線を形成する配線形成工程と、を備え、前記パターニング工程は、前記透明導電層上にパターンニングされたレジスト膜を形成する膜形成工程と、
前記透明導電層が晒された部分の前記透明導電性高分子を不導体化し、不導体化された不導体部と、前記不導体部で区切られた前記透明導電性高分子からなる導体部と、を形成するパターン化工程と、を有することを特徴としている。
これによれば、本発明の配線基板の製造方法は、複数の取出し配線が設けられる配線エリアに透明導電性高分子からなる導体部が存在しない配線基板を得ることができる。このため、湿度環境下において、導体部に水分が吸湿されて、導体部の抵抗値が変化し、取出し配線と基材との間の浮遊容量が変化するということがない配線基板を得ることができる。このことにより、湿度の影響を受けにくい配線基板を提供することができる。
また、本発明の配線基板の製造方法は、レーザ光を用いて、前記ビューエリアの前記導体パターン間に、前記不導体部の一部が形成されていないトリミング部を形成するレーザ加工工程を有していることを特徴としている。
これによれば、電極間或いは電極と導体配線間における絶縁耐圧を向上させることができる配線基板を容易に作製することができる。更に、トリミング部の幅を狭くして作製することができるとともに、所望の絶縁耐圧を確保しながら、電極間或いは電極と導体配線間を狭くしたレイアウトすることができる。このことにより、導体パターンの全体のレイアウトを小さくすることができ、小型化が図れた配線基板を提供することができる。
本発明の配線基板は、取出し配線と基材との間に導体部及び不導体部が存在しないこととなり、導体部及び不導体部による影響を受けることがない。このため、湿度環境下において、導体部及び不導体部に水分が吸湿されて、導体部及び不導体部の抵抗値が変化し、取出し配線と基材との間の浮遊容量が変化するということがない。このことにより、湿度の影響を受けにくい配線基板を提供することができる。
また、本発明の配線基板の製造方法は、複数の取出し配線が設けられる配線エリアに導体部及び不導体部が存在しない配線基板を得ることができる。このため、湿度環境下において、導体部及び不導体部に水分が吸湿されて、導体部及び不導体部の抵抗値が変化し、取出し配線と基材との間の浮遊容量が変化するということがない配線基板を得ることができる。このことにより、湿度の影響を受けにくい配線基板を提供することができる。
また、本発明の静電容量センサは、湿度の影響を受けにくい静電容量センサを提供することができる。
本発明の第1実施形態の配線基板を説明する上面図である。 本発明の第1実施形態の配線基板を説明する構成図であって、図1に示すII−II線における断面図である。 本発明の第1実施形態の配線基板を説明する上面図であって、図1において、オーバーコートを省略した図である。 本発明の第1実施形態の配線基板を説明する上面図であって、図3に示すP部分の拡大図である。 本発明の第1実施形態に係わる配線基板の効果を説明する図であって、図5(a)は、本案の実験サンプルの構成断面図であり、図5(b)は、比較として用いた比較サンプルの構成断面図である。 本発明の第1実施形態に係わる配線基板の効果を説明するグラフであって、図6(a)は、本案の実験サンプルの結果であり、図6(b)は、比較サンプルの結果である。 本発明の第1実施形態に係わる配線基板の効果を説明するグラフであって、図7(a)は、第1実施形態のトリミング部を有した配線基板の結果であり、図7(b)は、トリミング部を有しない比較サンプルの結果である。 本発明の第1実施形態に係わる配線基板の製造工程を説明する工程図AAである。 本発明の第1実施形態に係わる配線基板の製造工程を説明する工程図であって、図8の工程図AAに続く工程図BBである。 本発明の第2実施形態の配線基板を説明する分解斜視図である。 本発明の第2実施形態の配線基板を説明する構成断面図である。 本発明の第2実施形態に係わる配線基板の製造工程を説明する工程図CCである。 本発明の第2実施形態に係わる配線基板の製造工程を説明する工程図であって、図12の工程図CCに続く工程図DDである。 本発明の第3実施形態の静電容量センサを説明する分解斜視図である。 本発明の第3実施形態の静電容量センサを説明する構成断面図である。 従来例のパネル型入力装置を説明する分解斜視図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態の配線基板101を説明する上面図である。なお、図1には、電極11に2点鎖線で“A”から“O”まで付番を付けているが、15個の電極11を区別するため便宜上表記したものであって、電極11にそのようなパターンがあるわけではない。図2は、本発明の第1実施形態の配線基板101を説明する構成図であって、図1に示すII−II線における断面図である。なお、説明を分かり易くするため、図2の構成図は、実際のサイズとは異なって示している。図3は、本発明の第1実施形態の配線基板101を説明する上面図であって、図1において、オーバーコート58を省略した図である。図4は、図3に示すP部分の拡大図である。なお、図4では、基材19が露出している部分にハッチングを施している。
本発明の第1実施形態の配線基板101は、図1及び図3に示すような矩形の外形を呈しており、図2及び図3に示すように、基材19と、基材19の表面に形成された複数の電極11と、複数の電極11と接続された複数の導体配線13と、複数の電極11或いは複数の導体配線13と接続された複数の取出し配線15と、を備えて構成されている。そして、配線基板101は、図3に示すように、複数の電極11と複数の導体配線13とを有した導体パターンC2が設けられたビューエリアVAと、複数の取出し配線15が設けられた配線エリアLAと、で区切られたエリアを有している。また、第1実施形態の配線基板101には、図2に示すように、取出し配線15の下層に設けられたアンダーコート56と、取出し配線15を覆うカバレッジコート57と、電極11、導体配線13及び取出し配線15が形成された領域を覆う絶縁性のオーバーコート58と、を有している。この第1実施形態の配線基板101は、LCD(液晶ディスプレイ)等の表示装置の画面に重ねて設置され、複数の電極11のいずれかにユーザの手指等が近接または接触した際に、その電極11に対応した入力操作が行えるためのセンサ基板として用いられる。
また、本発明の配線基板101は、図3に示すように、ビューエリアVAにおいて、透明導電性高分子の一部が不導体化されてなる不導体部NCと、不導体部NCで区切られた透明導電性高分子からなる導体部CDと、を備えており、上述した導体パターンC2がこの導体部CDから形成されている。
また、本発明の配線基板101は、図3に示すように、配線エリアLAにおいて、複数の取出し配線15が導体部CD及び不導体部NCと重ならないように配置されている。つまり、図2に示すように、複数の取出し配線15の下層側に、導体部CD及び不導体部NCが設けられていなく、取出し配線15と基材19との間に導体部CD及び不導体部NCが存在しないこととなる。なお、複数の取出し配線15と複数の電極11或いは複数の導体配線13とが接続している部分(図3に例示しているQ)は、複数の取出し配線15と導体部CDとが重なって配置されているとは云わない。
次に、配線基板101の基材19は、透明なポリエチレンテレフタレート(PET、Polyethylene terephthalate)やポリエチレンナフタレート(PEN、Polyethylene naphthalate)等のフィルムを用いており、矩形の外形に加工されている。
次に、配線基板101の電極11は、基材19の片面側に形成され(図2を参照)、透明導電性高分子である、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)とポリスチレンスルホン酸(PSS)の混合体(以下、PEDOT:PSSと表記する)を用いている。このPEDOT:PSSは、透明であり、しかも充分な透明性を確保しつつ所望の導電性を得ることができる材料である。また、PEDOT:PSSは、水分散性であるので、容易に塗布することができるとともに、乾燥、硬化させることにより容易に成膜を行うことができる。
次に、配線基板101の導体配線13は、電極11と同様に、透明導電性高分子であるPEDOT:PSSを用いて形成されている。この導体配線13と電極11は、図3に示すように、導体パターンC2としてビューエリアVAに設けられている。また、導体配線13と電極11は、図2に示すように、透明導電性高分子の一部を不導体化して不導体部NCとすることで、不導体部NCで区切られた透明導電性高分子からなる導体部CDが形成され、導体パターンC2としている。また、ビューエリアVAに設けられた導体パターンC2と前述した基材19とが透明なので、配線基板101の背面に配設される表示装置の画面を容易にユーザが視認できる。
また、本発明の第1実施形態では、図4に示すように、ビューエリアVAの導体パターンC2間に、不導体部NCの一部が形成されていないトリミング部TMが設けられている。このトリミング部TMは、不導体部NCが形成されていないので、基材19が露出している(図4に示すハッチングの部分)。これにより、このトリミング部TMが不導体部NCを区切る絶縁体となり、電極11間或いは電極11と導体配線13間における絶縁耐圧を向上させることができる。このため、所望の絶縁耐圧を確保しながら、電極11間或いは電極11と導体配線13間を狭くすることができる。このことにより、導体パターンC2のレイアウトを小さくすることができ、配線基板101の小型化を図ることができる。なお、本発明の第1実施形態では、オーバーコート58が上層に形成されて、このトリミング部TMにオーバーコート58が充填されることとなるが、オーバーコート58が絶縁性なので、絶縁耐圧に関して何等問題は発生しない。
次に、配線基板101の取出し配線15は、図2に示すように、アクリル樹脂等の合成樹脂であるアンダーコート56上に、銀粉がバインダー中に分散された銀層15aと、カーボン粉がバインダー中に分散されたカーボン層15cと、が順に形成されて構成されている。つまり、図3に示す配線エリアLAに設けられた取出し配線15が基材19上に形成されたアンダーコート56上に設けられているので、配線エリアLAに設けられた取出し配線15が導体部CD及び不導体部NCと重ならないような構成となっている。このため、取出し配線15と基材19との間に導体部CD及び不導体部NCが存在しないこととなり、導体部CD及び不導体部NCによる影響を受けることがない。これにより、湿度環境下において、導体部CD及び不導体部NCに水分が吸湿されて、導体部CD及び不導体部NCの抵抗値が変化し、取出し配線15と基材19との間の浮遊容量が変化するということがない。このことにより、湿度の影響を受けにくい配線基板101を提供することができる。
また、取出し配線15は、銀層15aを備えているので、透明導電性高分子よりも低い比抵抗を有している。この取出し配線15は、ユーザが視認しない配線エリアLAに設けられているので、透明性が要求されず、より低い比抵抗を有した材質を利用することができる。そして、直接或いは導体配線13を介して各電極11に電気的に接続された取出し配線15は、図3に示すように、配線エリアLAに敷設されてまとめられ、基材19の取出し部19tからコネクタ(図示していない)を介して、外部機器に接続される。
また、図2に示すように、取出し配線15上には、アクリル樹脂等の合成樹脂からなるカバレッジコート57が形成されている。
最後に、配線基板101のオーバーコート58は、アクリル樹脂等の透明な合成樹脂を用い、電極11、導体配線13及び取出し配線15が形成された領域を覆うように形成されている。このオーバーコート58は、配線基板101の耐環境性の向上をはかるために用いている。
以上のように構成された本発明の第1実施形態の配線基板101における、効果について、検証結果を交えながら、以下に纏めて説明する。
図5(a)は、本案の実験サンプルS11の構成断面図であり、図5(b)は、比較として用いた比較サンプルH66の構成断面図である。実験サンプルS11と比較サンプルH66との違いは、比較サンプルH66には、取出し配線15の下層に不導体部NCが形成されており、取出し配線15と不導体部NCとが重なって配置されている所である。図6(a)は、本案の実験サンプルS11の結果のグラフであり、図6(b)は、比較サンプルH66の結果のグラフである。図6の横軸は、図3に示す15個の電極11を示し、縦軸は、アナログ/デジタル変換における周波数に対する応答性の変化を数値化した値である。変化が小さい(小さい値)方が良いと云う基準である。また、図6中のデータは、湿度環境に30分間曝露したデータで、白丸のデータは湿度60%、黒三角のデータは湿度65%、白四角のデータは湿度72%、黒菱形のデータは湿度78%のデータである。
図7(a)は、第1実施形態のトリミング部TMを有した配線基板101の実験サンプルS22の結果であり、図7(b)は、トリミング部TMを有しない比較サンプルH77の結果である。この実験サンプルS22は、導体パターンC2間の距離を極端に狭くした(具体的には50μmのスペース)サンプルである。また、図7の横軸は、図3に示す15個の電極11を示し、縦軸は、各電極11が出力した値を示している。各電極11での変化が少ない方が良いと云う基準である。また、図7中のデータは、初期値と湿度環境に30分間曝露したデータで、破線で接続したデータは初期値にデータであり、白菱形のデータは湿度76%、黒丸のデータは湿度84%、白三角のデータは湿度90%、黒四角のデータは湿度95%のデータである。
本発明の第1実施形態の配線基板101は、配線エリアLAに設けられた取出し配線15が導体部CD及び不導体部NCと重ならないように配置する構成とした。図5(a)に示す実験サンプルS11は、この構成で作製されている。このため、図5(b)に示す比較サンプルH66とは違い、取出し配線15と基材19との間に導体部CD及び不導体部NCが存在しないこととなり、実験サンプルS11は、導体部CD及び不導体部NCによる影響を受けることがない。これにより、図6(b)で、湿度72%(白四角のデータ)や湿度78%(黒菱形のデータ)に曝露されると、電極11によっては、応答性の変化値が大きくなるのと比較して、図6(a)で、いずれの電極11においても、応答性の変化値は小さいものとなっている。これは、湿度環境下において、導体部CD及び不導体部NCに水分が吸湿されて、不導体部NCの抵抗値が変化し、取出し配線15と基材19との間の浮遊容量が変化するということがないためと考えられる。このことは、取出し配線15と基材19との間に不導体部NCがより多く存在する、取出し部19tから遠い電極11(例えば“O”、“N”、“M”等)に、応答性の変化値が大きくなる傾向が見られることからも言える。以上のことにより、湿度の影響を受けにくい配線基板101を提供することができる。
また、本発明の第1実施形態では、ビューエリアVAの導体パターンC2間に、不導体の一部が除去されたトリミング部TMを設けるように、好適に構成した。このため、図7(a)に示すように、導体パターンC2間の距離を極端に狭くした実験サンプルS22でも、湿度環境に曝露された前後で出力値の変化が小さく、安定した出力が得られている。一方、比較サンプルH77では、導体パターンC2間の距離を極端に狭くしたため、図7(b)に示すように、湿度環境に曝露された前後での出力値の変化が大きいものとなっている。これは、このトリミング部TMが不導体部NCを区切る絶縁体となり、不導体部NCに水分が吸湿されることによる影響を低減していると考えられる。以上のことにより、所望の絶縁耐圧を確保しながら、電極11間或いは電極11と導体配線13間を狭くすることができる。このことにより、導体パターンC2のレイアウトを小さくすることができ、配線基板101の小型化を図ることができる。
次に、本発明の第1実施形態に係わる配線基板101の製造方法について説明する。図8は、本発明の第1実施形態に係わる配線基板の製造工程を説明する工程図AAであり、図8(a)は、層形成工程P11終了後を示した図であり、図8(b)は、レーザ加工工程PL2終了後を示した図であり、図8(c)は、膜形成工程P31終了後を示した図であり、図8(d)は、不導体化工程P32終了後を示した図であり、図8(e)は、レジスト印刷終了後を示した図であり、図8(f)は、エッチング工程P33終了後を示した図である。図9は、図8の工程図AAに続く工程図BBであり、図9(a)は、平坦化工程P41終了後を示した図であり、図9(b)は、導電層形成工程P42終了後を示した図であり、図9(c)は、被覆工程P43終了後を示した図であり、図9(d)は、カバー層工程PC終了後を示した図であり、図9(e)は、外形加工工程PE終了後を示した図である。
本発明の配線基板101の製造方法は、図8及び図9に示すように、基材19上に透明導電性高分子からなる透明導電層T2を形成する層形成工程P11と、トリミング部TMを形成するレーザ加工工程PL2と、透明導電層T2をパターニングするパターニング工程P3と、複数の取出し配線15を形成する配線形成工程P4と、を有して構成されている。他に、配線基板101の製造方法には、オーバーコート58を形成するカバー層工程PCと、基材19を切断して外形を形成する外形加工工程PEと、を備えている。
配線基板101の製造方法は、先ず、平坦な基材19を準備し、図8(a)に示すように、基材19の表面に透明導電性高分子からなる透明導電層T2を形成する層形成工程P11を行う。層形成工程P11における透明導電層T2の形成は、水溶液中に分散されたPEDOT:PSSを基材19上の全面に塗布し、乾燥/硬化することにより行われる。
次に、トリミング部TMを形成するレーザ加工工程PL2を行う。レーザ加工工程PL2は、YAGレーザ装置を用い、透明導電層T2にレーザ光を照射し、照射した部分の透明導電層T2を除去することにより、図8(b)に示すように、この除去された部分にトリミング部TMを形成している。このため、透明導電層T2が除去されているので、後の工程で、透明導電性高分子である透明導電層T2を不導体化して得られる不導体部NCがこのトリミング部TMに形成されることはない。これにより、電極11間或いは電極11と導体配線13間における絶縁耐圧を向上させることができる。また、レーザ光を用いているので、狭い幅のトリミング部TMを容易に作製することができる。
また、このトリミング部TMは、図3に示すビューエリアVAの導体パターンC2間に
相当する部分に形成されている。これにより、所望の絶縁耐圧を確保しながら、電極11
間或いは電極11と導体配線13間を狭くしたレイアウトすることができる。
次に、透明導電層T2をパターニングするパターニング工程P3を行う。パターニング工程P3は、図8(c)ないし図8(f)に示すように、レジスト膜R31を形成する膜形成工程P31と、不導体部NCを形成する不導体化工程P32と、配線エリアLAにおける不導体部NCを除去するエッチング工程P33と、を有している。
先ず、図8(c)に示すように、パターニング工程P3の膜形成工程P31で、透明導電層T2上に、パターンニングされたレジスト膜R31を形成する。このレジスト膜R31の形成は、スクリーン印刷でレジストインクを塗布し、乾燥/硬化することにより行われる。
次に、図8(d)に示すように、パターニング工程P3の不導体化工程P32で、透明導電層T2が晒された部分の透明導電性高分子を不導体化して不導体部NCを形成する。不導体部NCの形成は、酸化剤が含有されたエッチング液を用い、このエッチング液を透明導電性高分子に晒して、その部分の透明導電性高分子を酸化することにより行われる。この不導体部NCを形成することにより、レジスト膜R31で保護された透明導電性高分子が導体部CDとなり、複数の電極11と複数の導体配線13とを有した導体パターンC2が形成される。その後、レジスト膜R31を剥離して、洗浄/乾燥をする工程を行う。
次に、パターニング工程P3のエッチング工程P33を行う。先ず、図8(e)に示すように、図3に示すビューエリアVAの全体を覆うようにして、パターンニングされたエッチングレジスト膜R33を形成する。このエッチングレジスト膜R33の形成は、スクリーン印刷でレジストインクを塗布し、乾燥/硬化することにより行われる。その際に、図3に示す配線エリアLAにおける不導体部NCが晒される。
次に、エッチング工程P33は、酸化剤が含有されたエッチング液を用い、配線エリアLAの不導体部NCをエッチングして除去する。その後、エッチングレジスト膜R33を剥離した後、洗浄/乾燥して、図8(f)に示す状態とする。
パターニング工程P3が終了した後、次に、複数の取出し配線15を形成する配線形成工程P4を行う。配線形成工程P4は、図9(a)ないし図9(c)に示すように、アンダーコート56を形成する平坦化工程P41と、取出し配線15を形成する導電層形成工程P42と、カバレッジコート57を形成する被覆工程P43と、を有している。
先ず、図9(a)に示すように、配線形成工程P4の平坦化工程P41で、不導体部NCが除去された部分の基材19上に、アンダーコート56を形成する。このアンダーコート56の形成は、スクリーン印刷でアンダーコート用インクを塗布し、乾燥/硬化することにより行われる。
次に、図9(b)に示すように、配線形成工程P4の導電層形成工程P42で、銀層15aとカーボン層15cを形成する。先ず、銀粉がバインダー中に分散された銀ペーストを用い、スクリーン印刷でアンダーコート56上に銀ペーストを塗布し、乾燥/硬化することにより銀層15aを形成する。次に、カーボン粉がバインダー中に分散されたカーボンペーストを用い、スクリーン印刷で銀層15aにカーボンペーストを塗布し、乾燥/硬化することによりカーボン層15cを形成する。このようにして、基材19上に複数の取出し配線15が形成される。なお、このカーボン層15cは、銀層15aの耐環境性を向上させるために用いている。
次に、図9(c)に示すように、配線形成工程P4の被覆工程P43で、取出し配線15を覆うカバレッジコート57を形成する。このカバレッジコート57の形成は、スクリーン印刷でカバレッジコート用インクを塗布し、乾燥/硬化することにより行われる。
以上のようにして、図8(c)ないし図8(f)に示すパターニング工程P3と、図9(a)ないし図9(c)に示す配線形成工程P4と、を行うことによって、複数の取出し配線15が設けられる配線エリアLAに不導体部NCが存在しない配線基板101を得ることができる。このため、湿度環境下において、不導体部NCに水分が吸湿されて、不導体部NCの抵抗値が変化し、取出し配線15と基材19との間の浮遊容量が変化するということがない配線基板101を得ることができる。
次に、図9(d)に示すように、オーバーコート58を形成するカバー層工程PCを行う。カバー層工程PCは、オーバーコート用インクを用い、電極11、導体配線13及び取出し配線15が形成された領域にスクリーン印刷でオーバーコート用インクを塗布し、乾燥/硬化することにより行われる。
最後に、ビク型を用いて、外形加工工程PEを行い(図9(e)を参照)、図1に示すような外形にする。
以上のように行われる本発明の第1実施形態に係わる配線基板101の製造方法における、効果について、以下に纏めて説明する。
本発明の第1実施形態に係わる配線基板101の製造方法は、パターニング工程P3には、レジスト膜R31を形成する膜形成工程P31と、不導体部NCを形成する不導体化工程P32と、配線エリアLAにおける不導体部NCを除去するエッチング工程P33と、を有している。これにより、複数の取出し配線15が設けられる配線エリアLAに不導体部NCが存在しない配線基板101を得ることができる。このため、湿度環境下において、不導体部NCに水分が吸湿されて、不導体部NCの抵抗値が変化し、取出し配線15と基材19との間の浮遊容量が変化するということがない配線基板101を得ることができる。このことにより、湿度の影響を受けにくい配線基板101を提供することができる。
また、トリミング部TMを形成するレーザ加工工程PL2を有しているので、電極11間或いは電極11と導体配線13間における絶縁耐圧を向上させることができる配線基板101を容易に作製することができる。更に、トリミング部TMの幅を狭くして作製することができるとともに、所望の絶縁耐圧を確保しながら、電極11間或いは電極11と導体配線13間を狭くレイアウトすることができる。このことにより、導体パターンC2の全体のレイアウトを小さくすることができ、小型化が図れた配線基板101を提供することができる。
[第2実施形態]
図10は、本発明の第2実施形態の配線基板102を説明する分解斜視図である。図10では、導体パターンC2と取出し配線25の一部を省略している。図11は、本発明の第2実施形態の配線基板102を説明する構成断面図である。なお、図11の構成断面図は、説明を分かり易くするため、任意の箇所における断面の構成を実際のサイズとは異なって示している。また、第2実施形態の配線基板102は、第1実施形態に対し、2つの基材29(29A、29B)を設けている構成が主に異なる。なお、第1実施形態と同一構成については、同一符号を付して詳細な説明は省略する。
本発明の第2実施形態の配線基板102は、図10に示すような矩形の外形を呈しており、図10及び図11に示すように、2つの基材29(29A、29B)と、それぞれの基材29の表面に形成された複数の電極21(21A、21B)と、複数の電極21と接続された複数の導体配線23(23A、23B)(図11のみ図示)と、それぞれの複数の電極21(21A、21B)或いは複数の導体配線23(23A、23B)と接続された複数の取出し配線25(25A、25B)と、を備えて構成されている。そして、配線基板102は、図10に示すように、複数の電極21と複数の導体配線(図示していない)とを有した導体パターンC2が設けられたビューエリアVAと、複数の取出し配線25が設けられた配線エリアLAと、で区切られたエリアを有している。また、第2実施形態の配線基板102には、図10及び図11に示すように、基材29Aと基材29Bとを接着する接着層66と、基材29Bの下方側(図10に示すZ2側)に配設される成形体88と、成形体88と基材29と接着する接着層77と、を有している。この第2実施形態の配線基板102は、基材29Aの上方側(図10に示すZ1側)に図示していない表示パネルが配設され、この表示パネルにユーザの手指等が近接または接触した際に、配線基板102がユーザの手指等を検知し、表示パネルに対応した入力操作が行えるためのセンサ基板として用いられる。
また、本発明の配線基板102は、図11に示すように、ビューエリアVAにおいて、透明導電性高分子の一部が不導体化されてなる不導体部NCと、不導体部NCで区切られた透明導電性高分子からなる導体部CDと、を備えており、上述した導体パターンC2がこの導体部CDから形成されている。
また、本発明の配線基板102は、図11に示すように、配線エリアLAにおいて、複数の取出し配線25が導体部CD及び不導体部NCと重ならないように配置されている。つまり、図11に示すように、複数の取出し配線25Aの上層側或いは複数の取出し配線25Bの下層側に、導体部CD及び不導体部NCが設けられていなく、取出し配線25と基材29との間に導体部CD及び不導体部NCが存在しないこととなる。なお、第1実施形態と同様に、複数の取出し配線25と複数の電極21或いは複数の導体配線23とが接続している部分は、複数の取出し配線25と導体部CDとが重なって配置されているとは云わない。
次に、配線基板102の基材29A及び基材29Bは、透明なポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート(PEN)等のフィルムを用いており、矩形の外形に加工されている。
次に、配線基板102の電極21A及び電極21Bは、基材29の片面側に形成され(図11を参照)、透明導電性高分子である、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)とポリスチレンスルホン酸(PSS)の混合体(以下、PEDOT:PSSと表記する)を用いている。このPEDOT:PSSは、透明であり、しかも充分な透明性を確保しつつ所望の導電性を得ることができる材料である。また、PEDOT:PSSは、水分散性であるので、容易に塗布することができるとともに、乾燥、硬化させることにより容易に成膜を行うことができる。
次に、配線基板102の導体配線23A及び導体配線23Bは、電極21と同様に、透明導電性高分子であるPEDOT:PSSを用いて形成されている。この導体配線23と電極21は、図11に示すように、導体パターンC2としてビューエリアVAに設けられている。また、導体配線23と電極21は、図11に示すように、透明導電性高分子の一部を不導体化して不導体部NCとすることで、不導体部NCで区切られた透明導電性高分子からなる導体部CDが形成され、導体パターンC2としている。
また、本発明の第2実施形態では、図11に示すように、ビューエリアVAの導体パターンC2間に、不導体部NCの一部が形成されていないトリミング部TMが設けられている。このトリミング部TMは、不導体部NCが形成されていないので、基材29が露出している。そして、電極21A及び導体配線23Aと電極21B及び導体配線23Bとが対向するように基材29Aと基材29Bとが接着された際には、このトリミング部TMが接着層66で充填される。これにより、このトリミング部TMが不導体部NCを区切る絶縁体となり、電極21間或いは電極21と導体配線23間における絶縁耐圧を向上させることができる。このため、所望の絶縁耐圧を確保しながら、電極21間或いは電極21と導体配線23間を狭くすることができる。このことにより、導体パターンC2のレイアウトを小さくすることができ、配線基板102の小型化を図ることができる。なお、本発明の第2実施形態では、接着層66が絶縁性なので、絶縁耐圧に関して何等問題は発生しない。
次に、配線基板102の取出し配線25A及び取出し配線25Bは、図11に示すように、それぞれの基材29上に銀粉がバインダー中に分散された銀層25aと、カーボン粉がバインダー中に分散されたカーボン層25cと、が順に形成されて構成されている。つまり、図11に示す配線エリアLAに設けられた取出し配線25が基材29上に設けられているので、配線エリアLAに設けられた取出し配線25が導体部CD及び不導体部NCと重ならないような構成となっている。このため、取出し配線25と基材29との間に導体部CD及び不導体部NCが存在しないこととなり、導体部CD及び不導体部NCによる影響を受けることがない。これにより、湿度環境下において、導体部CD及び不導体部NCに水分が吸湿されて、導体部CD及び不導体部NCの抵抗値が変化し、取出し配線25と基材29との間の浮遊容量が変化するということがない。このことにより、湿度の影響を受けにくい配線基板102を提供することができる。
また、取出し配線25は、銀層25aを備えているので、透明導電性高分子よりも低い比抵抗を有している。この取出し配線25は、ユーザが視認しない配線エリアLAに設けられているので、透明性が要求されず、より低い比抵抗を有した材質を利用することができる。そして、直接或いは導体配線23を介して各電極21に電気的に接続された取出し配線25は、図10に示すように、配線エリアLAに敷設されて引き回され、基材29の取出し部29tからコネクタ(図示していない)を介して、外部機器に接続される。
次に、配線基板102の成形体88は、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリカーボネート(PC、polycarbonate)等の透明な合成樹脂を用いて、射出成形を行って成形されている。この成形体88と基材29A及び基材29Bが接着された基板とは、図11に示すように、接着層77で接着されている。なお、ビューエリアVAに設けられた導体パターンC2と前述した基材29とこの成形体88とが透明なので、例えば配線基板102の背面(図11に示すZ2側)に照光部材が配設された場合、表示パネルを視認するユーザに対して、照光により視認させやすくすることができる。
最後に、配線基板102の接着層66及び接着層77は、アクリル樹脂等の透明な合成樹脂を用いて形成され、ビューエリアVAにおける透明性を確保している。
以上のように構成された本発明の第2実施形態の配線基板102における、効果について、以下に纏めて説明する。
本発明の第2実施形態の配線基板102は、配線エリアLAに設けられた取出し配線25が導体部CD及び不導体部NCと重ならないように配置する構成とした。このため、取出し配線25(25A、25B)と基材29(29A、29B)との間に導体部CD及び不導体部NCが存在しないこととなり、導体部CD及び不導体部NCによる影響を受けることがない。つまり、湿度環境下において、導体部CD及び不導体部NCに水分が吸湿されて、不導体部NCの抵抗値が変化し、取出し配線25と基材29との間の浮遊容量が変化するということがないためと考えられる。このことにより、湿度の影響を受けにくい配線基板102を提供することができる。
また、本発明の第2実施形態では、ビューエリアVAの導体パターンC2間に、不導体の一部が除去されたトリミング部TMを設けるように、好適に構成した。このため、このトリミング部TMが不導体部NCを区切る絶縁体となり、不導体部NCに水分が吸湿されることによる影響を低減していると考えられる。このことにより、所望の絶縁耐圧を確保しながら、電極21(21A、21B)間或いは電極21と導体配線23(23A、23B)間を狭くすることができる。このことにより、導体パターンC2のレイアウトを小さくすることができ、配線基板102の小型化を図ることができる。
次に、本発明の第2実施形態に係わる配線基板102の製造方法について説明する。図12は、本発明の第2実施形態に係わる配線基板の製造工程を説明する工程図CCであり、図12(a)は、層形成工程P21終了後を示した図であり、図12(b)は、膜形成工程P31終了後を示した図であり、図12(c)は、パターン化工程PA32終了後を示した図であり、図12(d)は、レーザ加工工程PL4終了後を示した図であり、図12(e)は、配線形成工程P4終了後を示した図である。図13は、図12の工程図CCに続く工程図DDであり、図13(b)は、基材29Aと基材29Bとを対向させた状態を示した図であり、図13(b)は、貼合せ工程PB終了後を示した図であり、図13(c)は、外形加工工程PE終了後を示した図であり、図13(d)は、成形工程PF終了後を示した図である。
本発明の配線基板102の製造方法は、図12及び図13に示すように、基材29上に透明導電性高分子からなる透明導電層T2を形成する層形成工程P21と、透明導電層T2をパターニングするパターニング工程P3と、トリミング部TMを形成するレーザ加工工程PL4と、複数の取出し配線25を形成する配線形成工程P4と、を有して構成されている。他に、配線基板102の製造方法には、2枚の基材29(29A、29B)を貼り合わせる貼合せ工程PBと、基材29を切断して外形を形成する外形加工工程PEと、基材29を成形体88に貼り付ける成形工程PFと、を備えている。
配線基板102の製造方法は、先ず、平坦な基材29Aを準備し、図12(a)に示すように、基材29Aの表面に透明導電性高分子からなる透明導電層T2を形成する層形成工程P21を行う。層形成工程P21における透明導電層T2の形成は、マスクを用いて、水溶液中に分散されたPEDOT:PSSを基材29A上に塗布し、その後、乾燥/硬化することにより行われる。なお、PEDOT:PSSを塗布する範囲は、ビューエリアVAと一致させる。
次に、透明導電層T2をパターニングするパターニング工程P3を行う。パターニング工程P3は、図12(b)または図12(c)に示すように、レジスト膜R31を形成する膜形成工程P31と、不導体化により導体部CDと不導体部NCとを形成するパターン化工程PA32と、を有している。
先ず、図12(b)に示すように、パターニング工程P3の膜形成工程P31で、透明導電層T2上に、パターンニングされたレジスト膜R31を形成する。このレジスト膜R31の形成は、スクリーン印刷でレジストインクを塗布し、乾燥/硬化することにより行われる。
次に、図12(c)に示すように、パターニング工程P3のパターン化工程PA32で、透明導電層T2が晒された部分の透明導電性高分子を不導体化して不導体部NCを形成し、それ以外の部分の透明導電性高分子を残して導体部CDを形成する。この不導体部NCの形成は、酸化剤が含有されたエッチング液を用い、このエッチング液を透明導電性高分子に晒して、その部分の透明導電性高分子を酸化することにより行われる。この不導体部NCを形成することにより、レジスト膜R31で保護された透明導電性高分子が導体部CDとなり、複数の電極21Aと複数の導体配線23Aとを有した導体パターンC2が形成される。その後、レジスト膜R31を剥離して、洗浄/乾燥をする工程を行う。
パターニング工程P3が終了した後、次に、トリミング部TMを形成するレーザ加工工程PL4を行う。レーザ加工工程PL4は、YAGレーザ装置を用い、不導体部NCにレーザ光を照射し、照射した部分の不導体部NCを除去することにより、図12(d)に示すように、この除去された部分にトリミング部TMを形成している。これにより、電極21A間或いは電極21Aと導体配線23A間における絶縁耐圧を向上させることができる。また、レーザ光を用いているので、狭い幅のトリミング部TMを容易に作製することができる。
また、このトリミング部TMは、図11に示すビューエリアVAの導体パターンC2間に相当する部分に形成されている。これにより、所望の絶縁耐圧を確保しながら、電極21A間或いは電極21Aと導体配線23A間を狭くしたレイアウトすることができる。
次に、複数の取出し配線25Aを形成する配線形成工程P4を行う。配線形成工程P4は、図12(e)に示すように、基材29A上に、銀層25aとカーボン層25cを形成する。先ず、銀粉がバインダー中に分散された銀ペーストを用い、スクリーン印刷で基材29A上に銀ペーストを塗布し、乾燥/硬化することにより銀層25aを形成する。次に、カーボン粉がバインダー中に分散されたカーボンペーストを用い、スクリーン印刷で銀層25a上にカーボンペーストを塗布し、乾燥/硬化することによりカーボン層25cを形成する。このようにして、基材29A上に複数の取出し配線25Aが形成される。なお、このカーボン層25cは、銀層25aの耐環境性を向上させるために用いている。
以上のようにして、図12(a)に示す層形成工程P21と、図12(b)及び図12(c)に示すパターニング工程P3と、図12(e)に示す配線形成工程P4と、を行うことによって、複数の取出し配線25Aが設けられる配線エリアLAに不導体部NCが存在しない配線基板102を得ることができる。
また、上記の同様な工程を用いて、基材29Bに導体パターンC2と取出し配線25Bとが形成された基板を作製する(図13(a)を参照)。この基板においても、複数の取出し配線25Bが設けられる配線エリアLAに不導体部NCが存在しない配線基板102を得ることができる。これらのことにより、湿度環境下において、不導体部NCに水分が吸湿されて、不導体部NCの抵抗値が変化し、取出し配線25(25A、25B)と基材29(29A、29B)との間の浮遊容量が変化するということがない配線基板102を得ることができる。
次に、2枚の基材29(29A、29B)を貼り合わせる貼合せ工程PBを行う。貼合せ工程PBは、先ず、図13(a)に示すように、基材29Aの電極21A及び導体配線23Aと基材29Bの電極21B及び導体配線23Bとが対向するように、基材29Aと基材29Bとを配設する。そして、間に設けられた接着層66により、図13(b)に示すように、基材29Aと基材29Bとを接着する。
次に、ビク型を用いて、外形加工工程PEを行い(図13(c)を参照)、図10に示すような外形にする。
最後に、基材29Aと基材29Bを貼り合わせた基板を成形体88に貼り付ける成形工程PFを行う。成形工程PFは、基材29Bの裏側面(基材29Aと対向した面の反対側面)に接着層77を塗布し、この基板を型に挟み込んでインサート成形を行う。これにより、基材29Aと基材29Bを貼り合わせた基板が一体に形成された配線基板102を得ることができる。
以上のように行われる本発明の第2実施形態に係わる配線基板102の製造方法における、効果について、以下に纏めて説明する。
本発明の第2実施形態に係わる配線基板102の製造方法は、基材29(29A、29B)上のビューエリアVAに透明導電性高分子からなる透明導電層T2を形成する層形成工程P21を有しているので、複数の取出し配線25(25A、25B)が設けられる配線エリアLAに透明導電性高分子からなる導体部CD、ひいては不導体部NCが存在しない配線基板102を得ることができる。このため、湿度環境下において、導体部CD及び不導体部NCに水分が吸湿されて、導体部CD及び不導体部NCの抵抗値が変化し、取出し配線25と基材29との間の浮遊容量が変化するということがない配線基板102を得ることができる。このことにより、湿度の影響を受けにくい配線基板102を提供することができる。
また、トリミング部TMを形成するレーザ加工工程PL4を有しているので、電極21(21A、21B)間或いは電極21と導体配線23(23A、23B)間における絶縁耐圧を向上させることができる配線基板102を容易に作製することができる。更に、トリミング部TMの幅を狭くして作製することができるとともに、所望の絶縁耐圧を確保しながら、電極21間或いは電極21と導体配線23間を狭くレイアウトすることができる。このことにより、導体パターンC2の全体のレイアウトを小さくすることができ、小型化が図れた配線基板102を提供することができる。
[第3実施形態]
図14は、本発明の第3実施形態の静電容量センサCS3を説明する分解斜視図である。図14では、導体パターンC2と取出し配線15の一部を省略している。図15は、本発明の第3実施形態の静電容量センサCS3を説明する構成断面図である。なお、図15の構成断面図は、説明を分かり易くするため、任意の箇所における断面の構成を実際のサイズとは異なって示している。なお、第1実施形態と同一構成については、同一符号を付して詳細な説明は省略する。
本発明の第3実施形態の静電容量センサCS3は、図14及び図15に示すように、第1実施形態の配線基板101と、配線基板101に設けられた複数の電極11と指等の指示体との静電容量を検出する検出部S7と、検出部S7の検出値に基づいて信号を出力する制御部S8と、を備えて構成されている。他に、静電容量センサCS3には、配線基板101の上面側(図14に示すZ1側)を覆うカバー部材K44と、静電容量センサCS3と外部機器とを接続するためのコネクタCNと、検出部S7、制御部S8及びコネクタCNを搭載する回路基板S9と、を備えている。
ここで、静電容量センサCS3の配線基板101が第1実施形態の配線基板101なので、詳細な説明は省略する。なお、配線基板101の上面側には、透明なポリエチレンテレフタレートのフィルムなるカバー部材K44が設けられており、指等の指示体が摺接されても配線基板101へのダメージが防止できるように構成されている。
先ず、静電容量センサCS3の検出部S7は、集積回路(IC、Integrated Circuit)等を用いて構成されており、回路基板S9に搭載されている。そして、検出部S7は、取出し配線15と電気的に接続されて、電極11に生じる静電容量を検出している。例えば、ユーザの指等の支持体が電極11a(図14を参照)上に存在した場合、検出部S7は、支持体と電極11a間に生じる静電容量値を検出し、この検出値を制御部S8に出力している。また、取出し配線15と検出部S7との電気的な接続は、基材19の取出し部19tから図示していないフレキシブルプリント基板(FPC、Flexible printed circuits)を介して、回路基板S9に接続されて行われる。
次に、静電容量センサCS3の制御部S8は、集積回路(IC、Integrated Circuit)を用いて構成されており、回路基板S9に搭載されている。そして、制御部S8は、検出部S7からの検出値に基づいて、ユーザの指等の支持体を検知し、コネクタCNを介して回路基板S9に接続されている外部機器に対して信号を出力している。
最後に、静電容量センサCS3の回路基板S9は、片面S9aに銅または銅合金の配線パターン(図示していない)が形成されたプリント配線板(PWB、printed wiring board)を用いており、この回路基板S9には、前述した検出部S7及び制御部S8が搭載されているとともに、静電容量センサCS3と外部機器とを接続するためのコネクタCNが搭載されている。また、図示はしていないが、配線基板101と接続されたフレキシブルプリント基板が接続されている。なお、回路基板S9としてプリント配線板を用いたが、これに限るものではない。
以上のように構成された第1実施形態の本発明の静電容量センサCS3は、第1実施形態の配線基板101を用いているので、湿度の影響を受けにくい静電容量センサである。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば次のように変形して実施することができ、これらの実施形態も本発明の技術的範囲に属する。
<変形例1>
上記第1実施形態の配線基板101では、電極11及び導体配線13が片面側に形成された基材19を用いて構成したが、第2実施形態のように、1組の基材を用いて構成しても良い。
<変形例2>
上記第1実施形態の配線基板101では、図4に示す例には、電極11間に3個のトリミング部TMを例示しているが、この数に限るものではない。
<変形例3>
上記第1実施形態の配線基板101では、取出し配線15が設けられた配線エリアLAにアンダーコート56とカバレッジコート57とを設けた構成としたが、第2実施形態のように、アンダーコート56とカバレッジコート57とを設けない構成でも良い。
<変形例4>
上記第1実施形態の配線基板101の製造方法では、層形成工程P11の後にレーザ加工工程PL2を行い、透明導電性高分子である透明導電層T2の一部を除去してトリミング部TMを形成したが、第2実施形態のような工程の順であっても良い。つまり、パターニング工程P3が終了した後にレーザ加工工程PL4を行い、不導体化された不導体部NCの一部を除去してトリミング部TMを形成しても良い。
<変形例5>
上記第1実施形態及び第2実施形態では、取出し配線(15、25)として、銀層(15a、25a)及びカーボン層(15c、25c)の2層で構成したが、これに限るものではなく、銀層(15a、25a)のみの構成でも良いし、銀層(15a、25a)に限らず、透明導電性高分子よりも低い比抵抗を有する材質から構成されても良い。
<変形例6>
上記第3実施形態の静電容量センサCS3では、第1実施形態の配線基板101を用いて構成したが、これに限らず、第2実施形態の配線基板102を用いても良いし、他の本発明に係わる実施形態を用いても良い。
本発明は上記実施の形態に限定されず、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更することが可能である。
11、11a、21、21A、21B 電極
13、23、23A、23B 導体配線
15、25、25A、25B 取出し配線
R31 レジスト膜
19、29、29A、29B 基材
C2 導体パターン
CD 導体部
NC 不導体部
T2 透明導電層
TM トリミング部
LA 配線エリア
VA ビューエリア
101、102 配線基板
CS3 静電容量センサ
S7 検出部
S8 制御部
P11、P21 層形成工程
P3 パターニング工程
P31 膜形成工程
P32 不導体化工程
P33 エッチング工程
PA32 パターン化工程
P4 配線形成工程
PL2、PL4 レーザ加工工程

Claims (6)

  1. 基材と、該基材の表面に形成された複数の電極と、該電極と接続された導体配線と、該導体配線と接続された複数の取出し配線と、を具備し、
    前記複数の電極と前記導体配線とを有した導体パターンが設けられたビューエリアと、
    前記複数の取出し配線が設けられた配線エリアと、を有した配線基板において、
    透明導電性高分子の一部が不導体化されてなる不導体部と、前記不導体部で区切られた前記透明導電性高分子からなる導体部と、を備え、
    前記ビューエリアにおいては、前記導体パターンが前記導体部から形成されており、
    前記配線エリアにおいては、前記取出し配線が前記透明導電性高分子よりも低い比抵抗を有する材質からなり、
    前記取出し配線が前記導体部及び前記不導体部と重ならないように配置されていることを特徴とする配線基板。
  2. 前記ビューエリアの前記導体パターン間に、前記不導体部の一部が形成されていないトリミング部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の配線基板。
  3. 請求項1または請求項2に記載の配線基板と、
    該配線基板の複数の電極と指等の指示体との静電容量を検出する検出部と、
    該検出部の検出値に基づいて信号を出力する制御部と、を備えたことを特徴とする静電容量センサ。
  4. 基材と、該基材の表面に形成された複数の電極と、該電極と接続された導体配線と、該導体配線と接続された複数の取出し配線と、を具備し、
    前記複数の電極と前記導体配線とを有した導体パターンが設けられたビューエリアと、前記複数の取出し配線が設けられた配線エリアと、を有した配線基板の製造方法において、
    前記基材上に透明導電性高分子からなる透明導電層を形成する層形成工程と、
    前記透明導電層をパターニングするパターニング工程と、
    前記パターニング工程の後、前記複数の取出し配線を形成する配線形成工程と、を備え、
    前記パターニング工程は、前記透明導電層上にパターンニングされたレジスト膜を形成する膜形成工程と、
    前記透明導電層が晒された部分の前記透明導電性高分子を不導体化して不導体部を形成する不導体化工程と、
    前記配線エリアにおける前記不導体部を除去するエッチング工程と、を有することを特徴とする配線基板の製造方法。
  5. 基材と、該基材の表面に形成された複数の電極と、該電極と接続された導体配線と、該導体配線と接続された複数の取出し配線と、を具備し、前記複数の電極と前記導体配線とを有した導体パターンが設けられたビューエリアと、前記複数の取出し配線が設けられた配線エリアと、を有した配線基板の製造方法において、
    前記基材上の前記ビューエリアに透明導電性高分子からなる透明導電層を形成する層形成工程と、
    前記ビューエリアの前記透明導電層をパターニングするパターニング工程と、
    前記パターニング工程の後、前記複数の取出し配線を前記配線エリアに形成する配線形成工程と、を備え、
    前記パターニング工程は、前記ビューエリアの前記透明導電層上に、パターンニングされたレジスト膜を形成する膜形成工程と、
    前記ビューエリアの前記透明導電層が晒された部分の前記透明導電性高分子を不導体化し、不導体化された不導体部と、前記不導体部で区切られた前記透明導電性高分子からなる導体部と、を形成するパターン化工程と、を有することを特徴とする配線基板の製造方法。
  6. レーザ光を用いて、前記ビューエリアの前記導体パターン間に、前記不導体部の一部が形成されていないトリミング部を形成するレーザ加工工程を有していることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の配線基板の製造方法。
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