JP6294574B2 - 金ナノプレートを含む被験物質を検出するための組成物及びその用途 - Google Patents
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Description
本発明は、金ナノプレート又は被験物質に対する特異的結合物質を担持した金ナノプレートを含む、被験物質を検出するための組成物又は凍結乾燥物、及び、それらを利用した被験物質の検出方法に関する。
貴金属ナノ粒子ベースの局在表面プラズモン共鳴(Localized Surface Plasmon Resonance:LSPR)由来の光吸収は、先進的なバイオセンシング技術に応用されており、その吸収波長は、当該ナノ粒子の形状や金属の特性などに依存している。この技術分野では種々の金属ナノ粒子が研究されており、金ナノ粒子又は金ナノプレートも、感受性の高いバイオセンサーの開発において注目を集めている(特許文献1〜4、非特許文献1及び2)。金ナノプレートは、可視光から近赤外光の領域に最大吸収波長を有し、形状の制御によってその最大吸収波長の位置を操作することができる。
Chen L., et al., Nano Letters (2014), Vol. 14, No. 12, pp. 7201-7206
Scarabelli L, et al., ACS Nano (2014), Vol. 8, No. 6, pp. 5833-5842
しかしながら、例えば、肉眼での検出のしやすさ、及び、抗体などの被験物質に対する特異的結合物質の担持のしやすさを兼ね揃えた金ナノプレートは開発されておらず、金ナノプレートの応用範囲は十分には広がっていなかった。本発明は、特に被験物質を検出するために適した金ナノプレートを含む組成物を提供することを目的としている。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、金ナノプレートの平均アスペクト比を特定の範囲内に設定し、かつ、組成物中の特定の第四級アンモニウムカチオンの濃度を少なくすることで、金ナノプレートを含む組成物が被験物質を検出するために適したものとなることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下に示す被験物質を検出するための組成物、被験物質を検出するための凍結乾燥物、被験物質を検出する方法、及び被験物質を検出するためのキットを提供するものである。
〔1〕金ナノプレートを含む、被験物質を検出するための組成物であって、
前記金ナノプレートの平均アスペクト比(金ナノプレートの最大長さを厚さで割った値)が、1より大きく10以下であり、
前記組成物中の第四級アンモニウムカチオンの濃度が、0〜1mMであり、
前記第四級アンモニウムカチオンが、N+(R)4(各Rは、それぞれ独立して、炭素数1〜20の直鎖又は分枝鎖アルキル基から選択される)で表されることを特徴とする、組成物。
〔2〕前記第四級アンモニウムカチオンが、デシルトリメチルアンモニウムカチオン、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムカチオン、及び、ヘプタデシルトリメチルアンモニウムカチオンから成る群から選択される、前記〔1〕に記載の組成物。
〔3〕分子量500以上の水溶性高分子を含まない、前記〔1〕又は〔2〕に記載の組成物。
〔4〕分子量500以上の水溶性高分子をさらに含み、前記組成物中の前記分子量500以上の水溶性高分子の濃度が、0より大きく1質量%以下である、前記〔1〕又は〔2〕に記載の組成物。
〔5〕分子量500以上の水溶性高分子をさらに含み、前記組成物中の前記分子量500以上の水溶性高分子の濃度が、0より大きく100μM以下である、前記〔1〕又は〔2〕に記載の組成物。
〔6〕前記金ナノプレートと前記水溶性高分子とが複合体を形成している、前記〔4〕又は〔5〕に記載の組成物。
〔7〕前記水溶性高分子が、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、及び、チオール末端ポリエチレングリコールから成る群から選択される、前記〔4〕〜〔6〕のいずれか一項に記載の組成物。
〔8〕クエン酸ナトリウムを含まない、前記〔1〕〜〔7〕のいずれか一項に記載の組成物。
〔9〕クエン酸ナトリウムをさらに含み、前記組成物中の前記クエン酸ナトリウムの濃度が、0より大きく50mM以下である、前記〔1〕〜〔7〕のいずれか一項に記載の組成物。
〔10〕前記金ナノプレートの平均最大長さが、100nmより小さい、前記〔1〕〜〔9〕のいずれか一項に記載の組成物。
〔11〕前記金ナノプレートが、表面プラズモン共鳴による光吸収ピークを550〜740nmの波長領域に有する、前記〔1〕〜〔10〕のいずれか一項に記載の組成物。
〔12〕赤色、マゼンタ、紫色、紺色、青色、シアン、又は、薄水色の色調を呈する、前記〔1〕〜〔11〕のいずれか一項に記載の組成物。
〔13〕前記金ナノプレートが、前記被験物質に対する特異的結合物質を担持している、前記〔1〕〜〔12〕のいずれか一項に記載の組成物。
〔14〕前記被験物質と前記特異的結合物質の組み合わせが、抗原とそれに結合する抗体、抗体とそれに結合する抗原、糖鎖又は複合糖質とそれに結合するレクチン、レクチンとそれに結合する糖鎖又は複合糖質、ホルモン又はサイトカインとそれに結合する受容体、受容体とそれに結合するホルモン又はサイトカイン、タンパク質とそれに結合する核酸アプタマー若しくはペプチドアプタマー、酵素とそれに結合する基質、基質とそれに結合する酵素、ビオチンとアビジン又はストレプトアビジン、アビジン又はストレプトアビジンとビオチン、IgGとプロテインA又はプロテインG、プロテインA又はプロテインGとIgG、及び、第1の核酸とそれに結合する第2の核酸から成る群から選択される、前記〔13〕に記載の組成物。
〔15〕被験物質を検出するための、前記〔1〕〜〔14〕のいずれか一項に記載の組成物の凍結乾燥物。
〔16〕前記〔13〕又は〔14〕に記載の組成物又は前記〔15〕に記載の凍結乾燥物を使用して、前記被験物質を検出する方法であって、
該組成物、又は、該凍結乾燥物の再懸濁液を、該被験物質と混合して、該被験物質と前記特異的結合物質を担持した金ナノプレートとの複合体を形成する工程、及び、
該複合体を検出する工程を含むことを特徴とする、方法。
〔17〕前記複合体の形成を、消光度測定、吸光度測定、濁度測定、粒度分布測定、粒子径測定、ラマン散乱光測定、色調変化の観察、凝集又は沈殿形成の観察、イムノクロマトグラフィー、電気泳動、及び、フローサイトメトリーから成る群から選択される手段によって検出する、前記〔16〕に記載の方法。
〔18〕前記〔1〕〜〔12〕のいずれか一項に記載の組成物中の金ナノプレートに、前記被験物質に対する特異的結合物質を担持させて、前記〔13〕又は〔14〕に記載の組成物を調製する工程、及び/又は、前記〔15〕に記載の凍結乾燥物を再懸濁する工程をさらに含む、前記〔16〕又は〔17〕に記載の方法。
〔19〕前記〔1〕〜〔14〕のいずれか一項に記載の組成物又は前記〔15〕に記載の凍結乾燥物を含む、前記〔16〕〜〔18〕のいずれか一項に記載の方法に使用するためのキット。
〔20〕前記〔1〕〜〔14〕のいずれか一項に記載の組成物又は前記〔15〕に記載の凍結乾燥物を製造する方法であって、(1)金ナノプレート種粒子の懸濁液を調製する工程、及び、
(2)金ナノプレートの懸濁液を調製する工程
を含むことを特徴とする、方法。
〔21〕前記工程(1)が、金ナノプレート種粒子を予備成長させる工程を含まない、前記〔20〕に記載の方法。
すなわち、本発明は、以下に示す被験物質を検出するための組成物、被験物質を検出するための凍結乾燥物、被験物質を検出する方法、及び被験物質を検出するためのキットを提供するものである。
〔1〕金ナノプレートを含む、被験物質を検出するための組成物であって、
前記金ナノプレートの平均アスペクト比(金ナノプレートの最大長さを厚さで割った値)が、1より大きく10以下であり、
前記組成物中の第四級アンモニウムカチオンの濃度が、0〜1mMであり、
前記第四級アンモニウムカチオンが、N+(R)4(各Rは、それぞれ独立して、炭素数1〜20の直鎖又は分枝鎖アルキル基から選択される)で表されることを特徴とする、組成物。
〔2〕前記第四級アンモニウムカチオンが、デシルトリメチルアンモニウムカチオン、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムカチオン、及び、ヘプタデシルトリメチルアンモニウムカチオンから成る群から選択される、前記〔1〕に記載の組成物。
〔3〕分子量500以上の水溶性高分子を含まない、前記〔1〕又は〔2〕に記載の組成物。
〔4〕分子量500以上の水溶性高分子をさらに含み、前記組成物中の前記分子量500以上の水溶性高分子の濃度が、0より大きく1質量%以下である、前記〔1〕又は〔2〕に記載の組成物。
〔5〕分子量500以上の水溶性高分子をさらに含み、前記組成物中の前記分子量500以上の水溶性高分子の濃度が、0より大きく100μM以下である、前記〔1〕又は〔2〕に記載の組成物。
〔6〕前記金ナノプレートと前記水溶性高分子とが複合体を形成している、前記〔4〕又は〔5〕に記載の組成物。
〔7〕前記水溶性高分子が、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、及び、チオール末端ポリエチレングリコールから成る群から選択される、前記〔4〕〜〔6〕のいずれか一項に記載の組成物。
〔8〕クエン酸ナトリウムを含まない、前記〔1〕〜〔7〕のいずれか一項に記載の組成物。
〔9〕クエン酸ナトリウムをさらに含み、前記組成物中の前記クエン酸ナトリウムの濃度が、0より大きく50mM以下である、前記〔1〕〜〔7〕のいずれか一項に記載の組成物。
〔10〕前記金ナノプレートの平均最大長さが、100nmより小さい、前記〔1〕〜〔9〕のいずれか一項に記載の組成物。
〔11〕前記金ナノプレートが、表面プラズモン共鳴による光吸収ピークを550〜740nmの波長領域に有する、前記〔1〕〜〔10〕のいずれか一項に記載の組成物。
〔12〕赤色、マゼンタ、紫色、紺色、青色、シアン、又は、薄水色の色調を呈する、前記〔1〕〜〔11〕のいずれか一項に記載の組成物。
〔13〕前記金ナノプレートが、前記被験物質に対する特異的結合物質を担持している、前記〔1〕〜〔12〕のいずれか一項に記載の組成物。
〔14〕前記被験物質と前記特異的結合物質の組み合わせが、抗原とそれに結合する抗体、抗体とそれに結合する抗原、糖鎖又は複合糖質とそれに結合するレクチン、レクチンとそれに結合する糖鎖又は複合糖質、ホルモン又はサイトカインとそれに結合する受容体、受容体とそれに結合するホルモン又はサイトカイン、タンパク質とそれに結合する核酸アプタマー若しくはペプチドアプタマー、酵素とそれに結合する基質、基質とそれに結合する酵素、ビオチンとアビジン又はストレプトアビジン、アビジン又はストレプトアビジンとビオチン、IgGとプロテインA又はプロテインG、プロテインA又はプロテインGとIgG、及び、第1の核酸とそれに結合する第2の核酸から成る群から選択される、前記〔13〕に記載の組成物。
〔15〕被験物質を検出するための、前記〔1〕〜〔14〕のいずれか一項に記載の組成物の凍結乾燥物。
〔16〕前記〔13〕又は〔14〕に記載の組成物又は前記〔15〕に記載の凍結乾燥物を使用して、前記被験物質を検出する方法であって、
該組成物、又は、該凍結乾燥物の再懸濁液を、該被験物質と混合して、該被験物質と前記特異的結合物質を担持した金ナノプレートとの複合体を形成する工程、及び、
該複合体を検出する工程を含むことを特徴とする、方法。
〔17〕前記複合体の形成を、消光度測定、吸光度測定、濁度測定、粒度分布測定、粒子径測定、ラマン散乱光測定、色調変化の観察、凝集又は沈殿形成の観察、イムノクロマトグラフィー、電気泳動、及び、フローサイトメトリーから成る群から選択される手段によって検出する、前記〔16〕に記載の方法。
〔18〕前記〔1〕〜〔12〕のいずれか一項に記載の組成物中の金ナノプレートに、前記被験物質に対する特異的結合物質を担持させて、前記〔13〕又は〔14〕に記載の組成物を調製する工程、及び/又は、前記〔15〕に記載の凍結乾燥物を再懸濁する工程をさらに含む、前記〔16〕又は〔17〕に記載の方法。
〔19〕前記〔1〕〜〔14〕のいずれか一項に記載の組成物又は前記〔15〕に記載の凍結乾燥物を含む、前記〔16〕〜〔18〕のいずれか一項に記載の方法に使用するためのキット。
〔20〕前記〔1〕〜〔14〕のいずれか一項に記載の組成物又は前記〔15〕に記載の凍結乾燥物を製造する方法であって、(1)金ナノプレート種粒子の懸濁液を調製する工程、及び、
(2)金ナノプレートの懸濁液を調製する工程
を含むことを特徴とする、方法。
〔21〕前記工程(1)が、金ナノプレート種粒子を予備成長させる工程を含まない、前記〔20〕に記載の方法。
本発明に従って、金ナノプレートの平均アスペクト比(金ナノプレートの最大長さを厚さで割った値)が1より大きく10以下の範囲になるように金ナノプレートを作製し、N+(R)4(各Rは、それぞれ独立して、炭素数1〜20の直鎖又は分枝鎖アルキル基から選択される)で表される第四級アンモニウムカチオンの濃度が1mM以下に組成物を作製すれば、可視光域に最大吸収波長を有し、かつ、抗体などの被験物質に対する特異的結合物質を容易に担持することのできる金ナノプレートを含む組成物を提供することができる。そして、後述するように、第四級アンモニウムカチオンは、金ナノプレートと被験物質に対する特異的結合物質との結合性を低下させ得るものであるし、生体毒性が懸念されるものであるから、第四級アンモニウムカチオンの濃度が低減されている本発明の組成物は、被験物質を検出するのに好適なものである。
また、金ナノプレートは、厚みが薄いプレートの形状であるから、その平均最大長さと同じ粒子径の球状金ナノ粒子よりも体積及び質量が小さい。そのため、金ナノプレートは、分散媒中で安定に分散しやすく、分散剤が必要な場合であっても、球状金ナノ粒子の分散に必要な量よりも少ない量の分散剤で分散することができる。そして、抗体などの被験物質に対する特異的結合物質は、分散剤としても機能し得るが、高価であることが多いので、その使用量が少なければ製造コストを削減できる。その他の分散剤は、金ナノプレートと被験物質に対する特異的結合物質との結合を妨げることがあるので、金ナノプレートの懸濁液中の分散剤の量が少なければ、当該金ナノプレート上に被験物質に対する特異的結合物質を効率よく担持でき、そのことによっても、当該被験物質に対する特異的結合物質の使用量を節約することができる。
また、金ナノプレートは、厚みが薄いプレートの形状であるから、その平均最大長さと同じ粒子径の球状金ナノ粒子よりも体積及び質量が小さい。そのため、金ナノプレートは、分散媒中で安定に分散しやすく、分散剤が必要な場合であっても、球状金ナノ粒子の分散に必要な量よりも少ない量の分散剤で分散することができる。そして、抗体などの被験物質に対する特異的結合物質は、分散剤としても機能し得るが、高価であることが多いので、その使用量が少なければ製造コストを削減できる。その他の分散剤は、金ナノプレートと被験物質に対する特異的結合物質との結合を妨げることがあるので、金ナノプレートの懸濁液中の分散剤の量が少なければ、当該金ナノプレート上に被験物質に対する特異的結合物質を効率よく担持でき、そのことによっても、当該被験物質に対する特異的結合物質の使用量を節約することができる。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明の被験物質を検出するための組成物は、平均アスペクト比が1より大きく10以下である金ナノプレートを含み、かつ該組成物中のN+(R)4(各Rは、それぞれ独立して、炭素数1〜20の直鎖又は分枝鎖アルキル基から選択される)で表される第四級アンモニウムカチオンの濃度が0〜1mMであることを特徴としている。
本発明の被験物質を検出するための組成物は、平均アスペクト比が1より大きく10以下である金ナノプレートを含み、かつ該組成物中のN+(R)4(各Rは、それぞれ独立して、炭素数1〜20の直鎖又は分枝鎖アルキル基から選択される)で表される第四級アンモニウムカチオンの濃度が0〜1mMであることを特徴としている。
本明細書に記載の「金ナノプレート」とは、金から製造されたナノプレート(板)のことをいい、上面と下面の形状は三角形、四角形、五角形、六角形などの多角形(角が丸みを帯びた形状を含む)又は円形などの板状構造を有している。金ナノプレートの上面と下面、それぞれ最大長が異なる場合もあり、このとき長い方が金ナノプレートの最大長さとなる。また、ナノプレートの最大長さを厚さで割った値をアスペクト比といい、これはナノプレートの形状を表すための指標の1つとして用いることができる。金ナノプレートの形状が変わると、その最大吸収波長の位置も変化するので、金ナノプレートのアスペクトは、最大吸収波長の指標ともいえる。本発明の金ナノプレートのアスペクト比の平均値(平均アスペクト比)は、1より大きく10以下である。アスペクト比が1より大きいことによって、前記金ナノプレートは、球状の金ナノ粒子では達成することのできない色調を示すことができる。そして、アスペクト比が1より大きく10以下であると、前記金ナノプレートは、可視光領域又はその周辺に最大吸収波長を有するようになるので、特に被験物質の有無を目視で判定する検出方法に有利に使用することができる。例えば、前記金ナノプレートの厚さが10nm一定で平均アスペクト比が、1より大きく10以下であると、水懸濁液中における表面プラズモン共鳴による光吸収ピーク(最大吸収波長)を550nm以上〜740nmの波長領域に調節することができ、前記金ナノプレートの平均アスペクト比が、3.5〜8.6であると、水懸濁液中において最大吸収波長を600nm〜700nmの範囲で調節することができる。このような最大吸収波長を有する金ナノプレートの水懸濁液は赤色、マゼンタ、紫色、紺色、青色、シアン、又は、薄水色の色調を呈し、水懸濁液中の金ナノプレートの濃度によって色の濃淡を制御することが可能である。また、金ナノプレートは、キューブ形状やロッド形状の金ナノ粒子と比較し、最大吸収波長付近の光吸収波形がシャープになるため、その懸濁液は鮮やかな色調を呈する。また、金ナノプレート以外の粒子が濁液中に混在することは特に制限されないが、プレート状ではない多面体又は球状の金ナノ粒子(最大吸収波長:540nm)が混在している場合、その比率によって色調の鮮やかさが異なる。金ナノプレートの懸濁液が鮮やかな色調を呈するためには、(1)金ナノプレートの最大吸収波長である550nm〜740nmの消光度を、(2)プレート状ではない多面体又は球状の金ナノ粒子の最大吸収波長である540nmの消光度、で除算したときの値が1.25以上であってもよく、好ましくは1.5以上、さらに好ましくは1.75以上である。前記金ナノプレートの最大長さの平均値(平均最大長さ)は、被験物質の検出のために使用できるものであれば特に制限されないが、例えば100nmより小さくてもよく、好ましくは95〜10nm、さらに好ましくは95〜15nmである。前記金ナノプレートの最大長さ及び厚さは、例えば、走査電子顕微鏡(SEM)観察、走査透過電子顕微鏡(STEM)観察、透過型電子顕微鏡(TEM)観察を行って計測してもよく、最大長に関しては動的光散乱式粒度分布測定装置(DLS)で測定してもよい。SEM観察写真、STEM観察写真、及びTEM観察写真から金ナノプレートの最大長さを計測する場合、任意の金ナノプレート100個について、各粒子の最大長さを計測した計100点のデータの内、上下10%を除いた80点の平均値を用いてもよい。なお、球状の金ナノ粒子は、板状構造を有していないし、平均アスペクト比は1であるので、本発明の金ナノプレートの定義には含まれない。
また、金ナノプレートの表面に担持させる抗体などの被験物質に対する特異的結合物質の表面電荷が正電荷である場合、金ナノプレートのゼータ電位が好ましくはマイナスである。
金ナノプレートは吸収波長を制御可能であり、生体内で使用可能な電磁波(光)を照射することで治療や診断などへの利用も期待されている。例えば、吸収した光エネルギーを熱に変換する光熱変換効果を利用したがんの温熱療法(ハイパーサーミア)や、発生した熱により温められた周囲の媒質が体積膨張した際に生じる音響波、すなわち光音響効果(フォトアコースティック効果)を検出する光音響波イメージングへの利用も期待される。
また、金ナノプレートの表面に担持させる抗体などの被験物質に対する特異的結合物質の表面電荷が正電荷である場合、金ナノプレートのゼータ電位が好ましくはマイナスである。
金ナノプレートは吸収波長を制御可能であり、生体内で使用可能な電磁波(光)を照射することで治療や診断などへの利用も期待されている。例えば、吸収した光エネルギーを熱に変換する光熱変換効果を利用したがんの温熱療法(ハイパーサーミア)や、発生した熱により温められた周囲の媒質が体積膨張した際に生じる音響波、すなわち光音響効果(フォトアコースティック効果)を検出する光音響波イメージングへの利用も期待される。
本発明の被験物質を検出するための組成物は、前記金ナノプレートを含んでいる。前記組成物中の金含有率は、被験物質を検出するために必要な量であればよく、前記組成物の総質量に対して、例えば、0.000001〜50質量%であってもよく、好ましくは0.00001〜10質量%、さらに好ましくは0.00005〜1質量%、特に好ましくは0.0001〜0.1質量%である。
金ナノプレートを含む組成物中の金含有率は、例えばICP発光分析装置や紫外可視分光光度計で測定してもよい。
ICP発光分析装置で測定する場合、具体的には、以下の手順に示すように、懸濁液を遠心分離後、上澄み液を除去し、得られた沈殿物を、除去した上澄み液と同量の超純水で再度懸濁する。そして、その懸濁液に王水を添加後、煮沸して、得られた溶液を、ICP発光分析装置を用いて分析する。
1)金ナノプレート懸濁液を遠心分離(8,000×g)後、上澄み液を除去し、得られた沈殿物を、除去した上澄み液と同量の超純水で再度懸濁する。
2)上記工程1で得られた懸濁液に王水を添加後、5分間煮沸して、金及び銀を王水中へ溶解させる。
3)上記工程2で得られた溶液を、ICP発光分析装置を用いて測定する。金の濃度は、任意濃度の標準サンプルを上述と同様に測定することで作成した検量線より算出する。
紫外可視分光光度計で測定する場合、具体的には、以下の手順に示すように測定して、金含有率を算出する。
1)金ナノプレート合成液のICP測定、または金添加量より金含有率を算出
精製前の金ナノプレート合成液(例えば、実施例の懸濁液AやKなど)中の金含有率をICP発光分析装置で測定する。または、金ナノプレート合成時に添加する金の総量に基づき、合成の収率が100%であると仮定して、金含有率Aを算出する。
2)金ナノプレート合成液の光学特性を紫外可視分光光度計で測定
金ナノプレート合成液を超純水で4倍希釈して紫外可視分光光度計で測定する。
3)消光度1あたりの金含有率の算出
得られた消光スペクトルの540nmの消光度B(プレート状ではない多面体又は球状金ナノ粒子の消光度)、及び、550〜740nmの最大吸収波長の消光度Cの合計値が、金ナノプレート合成液中の金の総量に由来する消光であるとする。そうすると、消光度1あたりの金含有率は、以下の式によって求められる。
消光度1あたりの金含有率(質量%/消光度)=A÷(B+C)
4)金ナノプレート精製液の光学特性を紫外可視分光光度計で測定
金ナノプレートの精製液(例えば、実施例の懸濁液BやO)を超純水で4倍希釈して紫外可視分光光度計で測定する。
5)金含有率の算出
得られた消光スペクトルの540nmの消光度D(プレート状ではない多面体又は球状金ナノ粒子の消光度)、及び、550〜740nmの最大吸収波長の消光度Eの合計値に、上記消光度1あたりの金含有率を乗算して、金含有率をそれぞれ算出する。
金含有率(質量%)=(D+E)×(A÷(B+C))
金ナノプレートを含む組成物中の金含有率は、例えばICP発光分析装置や紫外可視分光光度計で測定してもよい。
ICP発光分析装置で測定する場合、具体的には、以下の手順に示すように、懸濁液を遠心分離後、上澄み液を除去し、得られた沈殿物を、除去した上澄み液と同量の超純水で再度懸濁する。そして、その懸濁液に王水を添加後、煮沸して、得られた溶液を、ICP発光分析装置を用いて分析する。
1)金ナノプレート懸濁液を遠心分離(8,000×g)後、上澄み液を除去し、得られた沈殿物を、除去した上澄み液と同量の超純水で再度懸濁する。
2)上記工程1で得られた懸濁液に王水を添加後、5分間煮沸して、金及び銀を王水中へ溶解させる。
3)上記工程2で得られた溶液を、ICP発光分析装置を用いて測定する。金の濃度は、任意濃度の標準サンプルを上述と同様に測定することで作成した検量線より算出する。
紫外可視分光光度計で測定する場合、具体的には、以下の手順に示すように測定して、金含有率を算出する。
1)金ナノプレート合成液のICP測定、または金添加量より金含有率を算出
精製前の金ナノプレート合成液(例えば、実施例の懸濁液AやKなど)中の金含有率をICP発光分析装置で測定する。または、金ナノプレート合成時に添加する金の総量に基づき、合成の収率が100%であると仮定して、金含有率Aを算出する。
2)金ナノプレート合成液の光学特性を紫外可視分光光度計で測定
金ナノプレート合成液を超純水で4倍希釈して紫外可視分光光度計で測定する。
3)消光度1あたりの金含有率の算出
得られた消光スペクトルの540nmの消光度B(プレート状ではない多面体又は球状金ナノ粒子の消光度)、及び、550〜740nmの最大吸収波長の消光度Cの合計値が、金ナノプレート合成液中の金の総量に由来する消光であるとする。そうすると、消光度1あたりの金含有率は、以下の式によって求められる。
消光度1あたりの金含有率(質量%/消光度)=A÷(B+C)
4)金ナノプレート精製液の光学特性を紫外可視分光光度計で測定
金ナノプレートの精製液(例えば、実施例の懸濁液BやO)を超純水で4倍希釈して紫外可視分光光度計で測定する。
5)金含有率の算出
得られた消光スペクトルの540nmの消光度D(プレート状ではない多面体又は球状金ナノ粒子の消光度)、及び、550〜740nmの最大吸収波長の消光度Eの合計値に、上記消光度1あたりの金含有率を乗算して、金含有率をそれぞれ算出する。
金含有率(質量%)=(D+E)×(A÷(B+C))
本明細書では、組成物中の金ナノプレートの純度を表す指標として、金ナノプレートの「純度指数」を使用してもよい。本明細書に記載の「純度指数」とは、金ナノプレートを含む組成物中におけるプレート状ではない多面体又は球状金ナノ粒子の金ナノプレートに対する比率のことをいう。具体的には、金ナノプレートの純度指数は、金ナノプレートを含む組成物を紫外可視分光光度計で測定し、得られた消光スペクトルの540nmの消光度B(プレート状ではない多面体又は球状金ナノ粒子由来)を、550〜740nmの最大吸収波長の消光度C(金ナノプレート由来)で除算することで算出する。
純度指数=B÷C
前記純度指数の値が低いほど金ナノプレートの純度が高いと言える。本発明の被験物質を検出するための組成物においては、被験物質の検出が可能である限り、金ナノプレートの純度指数は限定されるものではないが、例えば、前記純度指数は、0.05〜2.00であってもよく、好ましくは0.10〜1.0である。金ナノプレートの純度指数は、金含有率、金ナノプレートの平均最大長さ、及び金ナノプレートの最大吸収波長が等しい組成物同士を比較する場合に有用であり得る。
純度指数=B÷C
前記純度指数の値が低いほど金ナノプレートの純度が高いと言える。本発明の被験物質を検出するための組成物においては、被験物質の検出が可能である限り、金ナノプレートの純度指数は限定されるものではないが、例えば、前記純度指数は、0.05〜2.00であってもよく、好ましくは0.10〜1.0である。金ナノプレートの純度指数は、金含有率、金ナノプレートの平均最大長さ、及び金ナノプレートの最大吸収波長が等しい組成物同士を比較する場合に有用であり得る。
本発明の被験物質を検出するための組成物は、前記金ナノプレートが分散媒中に懸濁した懸濁液の形態であり得る。前記分散媒としては、金ナノプレートを分散できるものであれば特に制限なく用いることができる。例えば、前記分散媒は、水、水性緩衝液(リン酸緩衝生理食塩水、トリス塩酸緩衝液、HEPES緩衝液など)、アルコール類(エタノール、メタノールなど)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトンなど)、及びテトラヒドロフランなどを1種類又はそれ以上含んでもよく、好ましくは、生化学実験において好適である水又は水性緩衝液を含む。また、前記分散媒は、後述の本発明の組成物に含まれ得る任意成分を含んでいてもよい。前記金ナノプレートの懸濁液は、静置状態で前記分散媒中に分散しているものであってもよく、静置状態では沈降しているが振盪や超音波処理によって前記分散媒中に分散するものであってもよい。
本発明の被験物質を検出するための組成物においては、N+(R)4(各Rは、それぞれ独立して、炭素数1〜20の直鎖又は分枝鎖アルキル基から選択される)で表される第四級アンモニウムカチオンの濃度が、前記分散媒中で0〜1mM、好ましくは0〜0.5mMであり、さらに好ましくは、前記第四級アンモニウムカチオンは、前記分散媒中には含まれない(すなわち、その濃度は0mMである)。前記第四級アンモニウムカチオンは、可視光領域に最大吸収波長を示す金ナノプレートを作製するために必要な化合物であるが、これは、前記金ナノプレートと後述する被験物質に対する特異的結合物質との結合性を低下させ得るものである。このため、前記分散媒中の前記第四級アンモニウムカチオンの濃度、特に前記金ナノプレートと被験物質に対する特異的結合物質とを結合する際の前記第四級アンモニウムカチオンの濃度は、低い方が好ましい。また、上記の温熱療法や光音響イメージングといった生体内で金ナノプレートが使用される場合に、第四級アンモニウムカチオンの生体毒性が懸念されるという点でも、前記第四級アンモニウムカチオンの濃度が低いほうが好ましい。前記第四級アンモニウムカチオンの4種のRの組み合わせは、例えば、炭素数1〜9(好ましくは1〜6、さらに好ましくは1〜3)の直鎖又は分枝鎖アルキル基(Ra)と炭素数10〜20(好ましくは12〜18、さらに好ましくは14〜17)の直鎖又は分枝鎖アルキル基(Rb)との組み合わせであってもよく、好ましくは2種のRaと2種のRbとの組み合わせ、さらに好ましくは3種のRaと1種のRbとの組み合わせである。このような第四級アンモニウムカチオンは、例えば、デシルトリメチルアンモニウムカチオン、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムカチオン、又は、ヘプタデシルトリメチルアンモニウムカチオンであってもよい。前記第四級アンモニウムカチオンの対イオンとしては、このカチオンの対イオンとして通常採用されているものを特に制限なく用いることができ、例えば、塩化物イオン、臭化物イオン、又は、ヨウ化物イオンを採用してもよい。
前記溶媒中の前記第四級アンモニウムカチオンの濃度は、当技術分野で通常使用される方法によって特に制限されることなく測定及び/又は計算することができる。例えば、前記金ナノプレートを作製するときの第四級アンモニウムカチオンの使用量から、当該第四級アンモニウムカチオンの濃度を算出し、さらにその後の遠心分離などによる分散媒置換工程における希釈倍率をかけることで、結果として得られる懸濁液の分散媒中の前記第四級アンモニウムカチオンの濃度を計算してもよい。また、前記分散媒中の前記第四級アンモニウムカチオンを、核磁気共鳴分光法(NMR)、質量分析(MS)、又は高速液体クロマトグラフィー(HPLC)などによって直接測定して、その濃度を計算してもよい。
NMRの場合、本発明の組成物を乾燥させ、得られた固形分を重溶媒で溶解(分散)させて測定する。重溶媒には既知濃度の内部標準物質(例えば、マレイン酸)を予め添加し、得られたスペクトル中の第四級アンモニウムカチオン由来のシグナルの積分値と内部標準物質由来のシグナルの積分値を比較することで第四級アンモニウムカチオンの濃度を算出することができる。
また、MSの場合、既知濃度の第四級アンモニウムカチオンを含む溶液を測定し、第四級アンモニウムカチオン由来のシグナル強度より検量線を作成する。次に、本発明の組成物を測定し、得られた検出強度より第四級アンモニウムカチオンの濃度を算出することができる。例えば、飛行時間型質量分析計を使用する場合、一定強度のイオン化レーザーにより既知濃度の第四級アンモニウムカチオンを含む試料を測定後、本発明の組成物を測定し、シグナル強度を比較することで第四級アンモニウムカチオンの濃度を算出することができる。若しくは、本発明の組成物に既知濃度内部標準物質を添加し、得られたスペクトル中の第四級アンモニウムカチオン由来のシグナル強度と内部標準物質由来のシグナル強度を比較することで第四級アンモニウムカチオンの濃度を算出することができる。
さらにHPLCの場合、初めに複数の既知濃度の第四級アンモニウムカチオンを含む溶液を測定し、得られたチャート中の第四級アンモニウムカチオン由来のピーク面積より検量線を作成する。次に、本発明の組成物を測定し、得られたチャート中の第四級アンモニウムカチオン由来のピーク面積より第四級アンモニウムカチオンの濃度を算出することができる。例えば、第四級アンモニウムカチオンの分離カラムにはShodex Asahipak GF−310 HQ(昭和電工株式会社製)、第四級アンモニウムカチオンの検出には電気伝導度検出器や示差屈折率検出器が使用できる。
また、MSの場合、既知濃度の第四級アンモニウムカチオンを含む溶液を測定し、第四級アンモニウムカチオン由来のシグナル強度より検量線を作成する。次に、本発明の組成物を測定し、得られた検出強度より第四級アンモニウムカチオンの濃度を算出することができる。例えば、飛行時間型質量分析計を使用する場合、一定強度のイオン化レーザーにより既知濃度の第四級アンモニウムカチオンを含む試料を測定後、本発明の組成物を測定し、シグナル強度を比較することで第四級アンモニウムカチオンの濃度を算出することができる。若しくは、本発明の組成物に既知濃度内部標準物質を添加し、得られたスペクトル中の第四級アンモニウムカチオン由来のシグナル強度と内部標準物質由来のシグナル強度を比較することで第四級アンモニウムカチオンの濃度を算出することができる。
さらにHPLCの場合、初めに複数の既知濃度の第四級アンモニウムカチオンを含む溶液を測定し、得られたチャート中の第四級アンモニウムカチオン由来のピーク面積より検量線を作成する。次に、本発明の組成物を測定し、得られたチャート中の第四級アンモニウムカチオン由来のピーク面積より第四級アンモニウムカチオンの濃度を算出することができる。例えば、第四級アンモニウムカチオンの分離カラムにはShodex Asahipak GF−310 HQ(昭和電工株式会社製)、第四級アンモニウムカチオンの検出には電気伝導度検出器や示差屈折率検出器が使用できる。
本発明の被験物質を検出するための組成物は、水溶性高分子を任意に含んでもよく、含まなくてもよい。本明細書に記載の「水溶性高分子」とは、分子量が500以上、好ましくは500〜1,000,000、さらに好ましくは500〜100,000の水溶性物質のことをいう。本明細書に記載の「水溶性」とは、常温常圧下で高分子が水に0.001質量%以上溶解することをいう。前記水溶性高分子としては、例えば、ポリスチレンスルホン酸又はそのナトリウム塩、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリエチレングリコール、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアリルアミン、デキストラン、ポリメタクリルアミド、ポリビニルフェノール、ポリ安息香酸ビニル、ウシ血清アルブミン(BSA)、カゼイン、又は、ビス(p−スルホナトフェニル)フェニルホスフィンを使用してもよく、これらは、本発明の金ナノプレートと化学結合する官能基である水酸基、メルカプト基、ジスルフィド基、アミノ基、カルボキシル基などで修飾されていてもよい。好ましくは、前記水溶性高分子は、ポリスチレンスルホン酸又はそのナトリウム塩、PVP、又は、チオール末端ポリエチレングリコールである。これらの水溶性高分子を含有している、塗料やインクなどに用いられる市販の分散剤を、本発明の組成物に配合する水溶性高分子として使用してもよい。
本発明の組成物に含まれる水溶性高分子の種類は、その組成物の用途に応じて選択することができる。例えば、生体実験や細胞実験に使用する場合、生体適合性が良好なポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコールやポリビニルアルコールなどを用いてもよい。
本発明の組成物が水溶性高分子を含む場合には、その組成物中に溶解又は分散している水溶性高分子の濃度は、例えば100μM以下であってもよく、好ましくは50μM以下、さらに好ましくは10μM以下である。あるいは、前記水溶性高分子の濃度は、例えば1質量%以下であってもよく、好ましくは0.5質量%以下、さらに好ましくは0.1質量%以下である。
本発明は、特定の理論に拘束されるものではないが、本発明の組成物に水溶性高分子を配合すると、前記組成物中において金ナノプレートの分散安定性が向上する。また、水溶性高分子の濃度が100μM以下又は1質量%以下であると、その濃度が100μM又は1質量%を超える場合と比較して、例えば、前記被験物質に対する特異的結合物質が金ナノプレートに良好に担持されるか、又は、被験物質に対する特異的結合物質を担持した金ナノプレートが被験物質と安定した複合体を形成するため、結果としてその被験物質の検出感度を高めることができる。
本発明の組成物が水溶性高分子を含む場合には、その組成物中に溶解又は分散している水溶性高分子の濃度は、例えば100μM以下であってもよく、好ましくは50μM以下、さらに好ましくは10μM以下である。あるいは、前記水溶性高分子の濃度は、例えば1質量%以下であってもよく、好ましくは0.5質量%以下、さらに好ましくは0.1質量%以下である。
本発明は、特定の理論に拘束されるものではないが、本発明の組成物に水溶性高分子を配合すると、前記組成物中において金ナノプレートの分散安定性が向上する。また、水溶性高分子の濃度が100μM以下又は1質量%以下であると、その濃度が100μM又は1質量%を超える場合と比較して、例えば、前記被験物質に対する特異的結合物質が金ナノプレートに良好に担持されるか、又は、被験物質に対する特異的結合物質を担持した金ナノプレートが被験物質と安定した複合体を形成するため、結果としてその被験物質の検出感度を高めることができる。
水溶性高分子の濃度の測定方法として、核磁気共鳴分光法(NMR)、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)(例えば、ゲルろ過クロマトグラフィー(GPC))、示唆熱・熱重量測定(TG−DTA)などが挙げられる。
NMRの場合、本発明の組成物を乾燥させ、得られた固形分を重溶媒で溶解(分散)させて測定する。重溶媒には既知濃度の内部標準物質(例えば、マレイン酸)を予め添加し、得られたスペクトル中の水溶性高分子由来のシグナルの積分値と内部標準物質由来のシグナルの積分値を比較することで水溶性高分子の濃度を算出することができる。
また、GPCの場合、初めに複数の既知濃度の水溶性高分子水溶液を分析し、得られたチャート中の水溶性高分子由来のピーク面積より検量線を作成する。次に、本発明の組成物を測定し、得られたチャート中の水溶性高分子由来のピーク面積より水溶性高分子の濃度を算出することができる。
さらに、TG−DTAの場合、本発明の組成物の乾燥固形分を測定した際の、重量変化から水溶性高分子量を算出することができる。
NMRの場合、本発明の組成物を乾燥させ、得られた固形分を重溶媒で溶解(分散)させて測定する。重溶媒には既知濃度の内部標準物質(例えば、マレイン酸)を予め添加し、得られたスペクトル中の水溶性高分子由来のシグナルの積分値と内部標準物質由来のシグナルの積分値を比較することで水溶性高分子の濃度を算出することができる。
また、GPCの場合、初めに複数の既知濃度の水溶性高分子水溶液を分析し、得られたチャート中の水溶性高分子由来のピーク面積より検量線を作成する。次に、本発明の組成物を測定し、得られたチャート中の水溶性高分子由来のピーク面積より水溶性高分子の濃度を算出することができる。
さらに、TG−DTAの場合、本発明の組成物の乾燥固形分を測定した際の、重量変化から水溶性高分子量を算出することができる。
本発明の被験物質を検出するための組成物は、クエン酸ナトリウムを任意に含んでもよく、含まなくてもよい。クエン酸ナトリウムが含まれていると、前記組成物中の金ナノプレートの分散性が向上する。前記組成物がクエン酸ナトリウムを含む場合には、その組成物中のクエン酸ナトリウムの濃度は、例えば50mM以下であってもよく、好ましくは25mM以下、さらに好ましくは13mM以下である。クエン酸ナトリウムの濃度が50mM以下であると、前記組成物中の金ナノプレートは凝集しにくい。
本発明の組成物は、金ナノプレートへ悪影響を与えない限り任意の成分を含んでいてもよい。任意成分としては、例えば、金ナノプレートを製造する際に用いた試薬(例えば、水素化ホウ素ナトリウムやアスコルビン酸)や分散剤(例えば、分子量が500より小さいポリエチレングリコール)などがあげられる。
本発明の被験物質を検出するための組成物は、被験物質に対する特異的結合物質、すなわち検出試薬を標識するために用いることができる。換言すると、本発明の金ナノプレートは、被験物質に対する特異的結合物質を担持することができる。本明細書に記載の「担持」とは、共有結合若しくは非共有結合又は直接的若しくは間接的な結合などの様式にかかわらず、金ナノプレートと被験物質に対する特異的結合物質とが結合して複合体を形成していることを意味している。担持の方法としては、通常の担持方法を特に制限なく用いることができ、物理吸着、化学吸着(表面への共有結合)、化学結合(共有結合、配位結合、イオン結合又は金属結合)等を利用して、金ナノプレートと被験物質に対する特異的結合物質とを直接的に結合させる方法や、金ナノプレートの表面に前述の水溶性高分子の一部を結合させて、その水溶性高分子の末端又は主鎖若しくは側鎖に、直接的又は間接的に被験物質に対する特異的結合物質を結合させる方法を採用することができる。例えば、被験物質に対する特異的結合物質が抗体である場合には、本発明の金ナノプレートと抗体の溶液とを混合し、振盪し、遠心分離することで、抗体を担持した金ナノプレート(標識された検出試薬)を沈殿物として得ることができる。また、本発明の金ナノプレートと抗体とを静電吸着により担持させる場合、マイナス電荷を有するポリスチレンスルホン酸で前記金ナノプレート表面を被覆すると、前記抗体の担持効率が向上し得る。なお、前記被験物質に対する特異的結合物質は、前記水溶性高分子と同様に、懸濁液である本発明の組成物中での前記金ナノプレートの分散安定性を向上し得るので、特に前記被験物質に対する特異的結合物質を担持する金ナノプレートの分散剤としても好適である。
本発明の被験物質に対する特異的結合物質としては、検出の対象である被験物質を、該被験物質との複合体形成により検出できるものであって、金ナノプレートを標識として利用することができるものであれば、特に制限なく用いることができる。被験物質と被験物質に対する特異的結合物質との組み合わせの具体例としては、抗原とそれに結合する抗体、糖鎖又は複合糖質とそれに結合するレクチン、レクチンとそれに結合する糖鎖又は複合糖質、ホルモン又はサイトカインとそれに結合する受容体、受容体とそれに結合するホルモン又はサイトカイン、タンパク質とそれに結合する核酸アプタマー若しくはペプチドアプタマー、酵素とそれに結合する基質、基質とそれに結合する酵素、ビオチンとアビジン又はストレプトアビジン、アビジン又はストレプトアビジンとビオチン、IgGとプロテインA又はプロテインG、プロテインA又はプロテインGとIgG、あるいは、第1の核酸とそれに結合する(ハイブリダイズする)第2の核酸等があげられる。前記第2の核酸は、前記第1の核酸と相補的な配列を含む核酸であってもよい。
被験物質が抗原である場合には、該抗原に対する特異的結合物質は抗体であってもよい。前記抗体は、前記抗原に対して特異的に結合するポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、単鎖抗体又はそれらの断片であってもよく、該断片は、F(ab)フラグメント、F(ab’)フラグメント、F(ab’)2フラグメント又はF(v)フラグメントであってもよい。被験物質としての抗原は、コンカナバリンA(ConA)、麦芽アグルチニン及びリシンなどのレクチンであってもよく、インフルエンザウイルス、アデノウイルス、RSウイルス、ロタウイルス、ヒトパピローマウイルス、ヒト免疫不全ウイルス及びB型肝炎ウイルス、ジカウイルス、デングウイルスなどのウイルス又はそれらが有する物質(例えば、B型肝炎ウイルス抗原(HBs抗原)又はインフルエンザウイルスのヘマグルチニン)であってもよく、アスペルギルス・フラバス、クラミジア、梅毒トレポネーマ、溶連菌、炭疽菌、黄色ブドウ球菌、赤痢菌、大腸菌、サルモネラ菌、ネズミチフス菌、パラチフス菌、緑膿菌及び腸炎ビブリオ菌などの病原性微生物又はそれらが有する物質(例えば、アスペルギルス・フラバスのアフラトキシン(B1、B2、G1、G2又はM1など)、腸管出血性大腸菌のベロ毒素又は溶連菌のストレプトリジンO)であってもよく、免疫グロブリンG(IgG)、リウマチ因子及びC反応性タンパク質(CRP)などの血中タンパク質であってもよく、ムチンなどの糖タンパク質であってもよく、インスリン、下垂体ホルモン(例えば、成長ホルモン(GH)、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、卵胞刺激ホルモン(FSH)、黄体形成ホルモン(LH)、プロラクチン、又はメラニン細胞刺激ホルモン(MSH))、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)、甲状腺ホルモン(例えば、ジヨードサイロニン又はトリヨードサイロニン)、絨毛性ゴナドトロピン、カルシウム代謝調節ホルモン(例えば、カルシトニン又はパラトルモン)、膵ホルモン、消化管ホルモン、血管作動性腸管ペプチド、卵胞ホルモン(例えば、エストロン)、天然又は合成黄体ホルモン(例えば、プロゲステロン)、男性ホルモン(例えば、テストステロン)、及び副腎皮質ホルモン(例えば、コルチゾール)などのホルモンであってもよく、セロトニン、ウロキナーゼ、フェリチン、サブスタンP、プロスタグランジン及びコレステロールなどのその他生体内物質であってもよく、前立腺性酸性フォスファターゼ(PAP)、前立腺特異抗原(PSA)、アルカリ性フォスファターゼ、トランスアミナーゼ、トリプシン、ペプシノーゲン、α−フェトプロテイン(AFP)及び癌胎児性抗原(CEA)などの腫瘍マーカーであってもよく、血液型抗原などの糖鎖抗原であってもよく、ヘモグロビン及びトランスフェリンなどの便潜血の検出に用いられるマーカーであってもよく、血液凝固・線溶系において活性型第XIII因子作用によりクロスリンクを受けた安定化フィブリンがプラスミンによって分解されたフィブリン分解産物の一種であるDダイマーであってもよい。そして、被験物質である抗原がホルモン又はサイトカインなどの生体内物質である場合には、該生体内物質に対する特異的結合物質は、抗体だけでなく受容体であってもよく、被験物質である抗原が糖鎖又は糖鎖を有する複合糖質である場合には、該糖鎖又は糖鎖を有する複合糖質に対する特異的結合物質は、抗体だけでなくレクチンであってもよい。また、被験物質としての抗原は、ペニシリン及びカドミウムなどのハプテンであってもよい。
被験物質が抗体である場合には、該抗体に対する特異的結合物質は抗原であってもよい。前記抗原は、前記抗体に対して特異的に結合する抗原全体又はその断片であってもよく、それらを他の担体と結合した融合物質であってもよい。被験物質としての抗体は、抗環状シトルリン化ペプチド(CCP)抗体又は抗リン脂質抗体などの自己抗体であってもよく、抗クラミジア抗体、抗HIV抗体又は抗HCV抗体などの外来抗原に対する抗体であってもよい。
被験物質が糖鎖である場合には、該糖鎖に対する特異的結合物質はレクチンであってもよい。前記レクチンは、前記糖鎖に特異的に結合するガレクチン、C型レクチン、マメ科レクチン又はそれらの断片であってもよい。被験物質としての糖鎖は、単糖又は多糖であってもよく、それらがタンパク質又は脂質に結合した複合糖質であってもよい。例えば、被験物質がマンノースを含む糖鎖である場合には、該糖鎖に対する特異的結合物質としてマメ科レクチンのコンカナバリンA(ConA)を使用することができる。
被験物質がレクチンである場合には、該レクチンに対する特異的結合物質は糖鎖であってもよい。前記糖鎖は、前記レクチンに特異的に結合する単糖、多糖、複合糖質又はそれらが他の担体と結合した融合物質であってもよい。被験物質としてのレクチンは、ガレクチン、C型レクチン又はマメ科レクチンであってもよい。例えば、被験物質がマメ科レクチンのコンカナバリンA(ConA)である場合には、該レクチンに対する特異的結合物質としてマンノースを含む糖鎖を使用することができる。
被験物質と被験物質に対する特異的結合物質との組み合わせが、タンパク質とそれに結合する核酸アプタマー若しくはペプチドアプタマーである場合には、核酸アプタマーは、例えば、炭疽菌(Bacillus anthracis)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、D群赤痢菌・ソンネ赤痢菌(Shigella sonnei)、大腸菌(Escherichia coli)、ネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)、溶連菌(Streptococcus hemolyticus)、パラチフス(Salmonella paratyphi A)、ブドウ球菌エンテロトキシンB(Staphylococcal enterotoxin B)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、腸炎ビブリオ(Vibrio parahaemolyticus)等の細菌、ムチン1等の上皮の細胞表面に表れる腫瘍マーカー、若しくはβ−ガラクトシダーゼやトロンビン等の酵素等と結合するDNAアプタマー、又は、ヒト免疫不全ウイルスのTatタンパク質やRevタンパク質と結合するRNAアプタマーであってもよく、ペプチドアプタマーは、例えば、ヒトパピローマウイルス(HPV)の腫瘍性タンパク質HPV16 E6と結合するペプチドアプタマーであってもよい。
被験物質がビタミン類である場合には、該ビタミン類に対する特異的結合物質は、ビタミンDと結合するトランスカルシフェリン及びビタミンB12と結合するトランスコバラミンなどのビタミン結合タンパク質であってもよい。被験物質が抗生物質である場合には、該抗生物質に対する特異的結合物質は、ペニシリンに結合するPBP1及びPBP2などのペニシリン結合タンパクであってもよい。
被験物質又は被験物質に結合する物質としての核酸は、例えば、DNA、RNA、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、又は、それらの増幅物であってもよい。
被験物質又は被験物質に結合する物質としての核酸は、例えば、DNA、RNA、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、又は、それらの増幅物であってもよい。
ある態様では、本発明は、被験物質を検出するための凍結乾燥物に関しており、前記凍結乾燥物は、前記被験物質を検出するための組成物の凍結乾燥物である。本発明の凍結乾燥物は、当技術分野で通常使用される方法によって特に制限されることなく、前記被験物質を検出するための組成物から作製することができる。本発明の凍結乾燥物は、前記被験物質を検出する物質を運搬又は保管するのに好適な形態である。本発明の凍結乾燥物は、被験物質を検出するときに、分散媒に再懸濁して使用することができる。本発明の凍結乾燥物の分散媒としては、前記被験物質を検出するための組成物に使用され得る前述の分散媒を、特に制限されることなく使用することができる。
ある態様では、本発明は、被験物質を検出する方法にも関する。前記被験物質に対する特異的結合物質を担持した金ナノプレートは、対応する被験物質に結合して、それを検出することができる。本発明の被験物質を検出する方法は、本発明の組成物、又は、本発明の凍結乾燥物の再懸濁液を、被験物質と混合して、前記被験物質と前記被験物質に対する特異的結合物質を担持した金ナノプレートとの複合体を形成する工程、及び、その複合体を検出する工程を含む。本発明の被験物質に対する特異的結合物質を担持した金ナノプレートは、本発明の被験物質を検出する方法を実施する直前に調製してもよい。換言すれば、本発明の被験物質を検出する方法は、金ナノプレートに、被験物質に対する特異的結合物質を担持させる工程をさらに含んでもよい。また、本発明の被験物質を検出する方法は、本発明の凍結乾燥物を再懸濁する工程をさらに含んでもよい。
前記複合体は、被験物質の検出の分野で通常用いられる手段又は凝集物若しくは沈殿物を検出するのに通常用いられる手段を、特に制限なく利用することによって検出することができる。例えば、前記複合体の形成を、消光度測定、吸光度測定、濁度測定、粒度分布測定、粒子径測定、ラマン散乱光測定、色調変化の観察、凝集又は沈殿形成の観察、イムノクロマトグラフィー法、電気泳動、及び、フローサイトメトリーから成る群から選択される手段によって検出してもよい。
前記複合体は、被験物質の検出の分野で通常用いられる手段又は凝集物若しくは沈殿物を検出するのに通常用いられる手段を、特に制限なく利用することによって検出することができる。例えば、前記複合体の形成を、消光度測定、吸光度測定、濁度測定、粒度分布測定、粒子径測定、ラマン散乱光測定、色調変化の観察、凝集又は沈殿形成の観察、イムノクロマトグラフィー法、電気泳動、及び、フローサイトメトリーから成る群から選択される手段によって検出してもよい。
吸光度は、平行光線が物体中を透過するときの該物体の光吸収の強さをいうが(狭義の吸光度)、実測にあたっては、該物体の表面での反射又は散乱などによる光の損失も考慮する必要がある(広義の吸光度)。光の吸収、反射及び散乱などのあらゆる要因による光の損失の強度を意味する広義の吸光度を、本明細書では特に消光度という。被験物質とその被験物質に対する特異的結合物質を担持した金ナノプレートとの複合体が形成すると、金ナノプレートの最大吸収波長前後の波長領域における消光度又は吸光度が減少する。
消光度測定又は吸光度測定は、200〜2500nmの範囲の波長領域で行ってもよく、430〜2000nmの範囲の金ナノプレートの最大吸収波長において行ってもよい。消光度又は吸光度は、これらの測定のために通常用いられる紫外可視分光光度計(例えば、紫外可視近赤外分光光度計MPC3100UV−3100PC、株式会社島津製作所)などによって測定してもよい。
消光度測定又は吸光度測定は、200〜2500nmの範囲の波長領域で行ってもよく、430〜2000nmの範囲の金ナノプレートの最大吸収波長において行ってもよい。消光度又は吸光度は、これらの測定のために通常用いられる紫外可視分光光度計(例えば、紫外可視近赤外分光光度計MPC3100UV−3100PC、株式会社島津製作所)などによって測定してもよい。
被験物質とその被験物質に対する特異的結合物質を担持した金ナノプレートとの複合体が形成すると、金ナノプレート同士が前記被験物質を介して架橋され、単独の金ナノプレートよりも粒子径が大きくなる。本発明の組成物中に分散している粒子の粒子径が大きくなると、その組成物に入射する光の吸収、反射又は散乱が増大し、その組成物は濁りを示す。濁りを示す組成物での光の吸収、反射又は散乱は、消光度又は吸光度として測定することができ、このような濁り度合いに依存して上昇する消光度又は吸光度を濁度ともいう。
本発明の組成物においては、被験物質とその被験物質に対する特異的結合物質を担持した金ナノプレートとの複合体が形成することで複数の粒子が隣接して存在する場合、双極子−双極子相互作用により金ナノプレートの最大吸収波長よりも長波長側に、前記複合体の形成に依存して消光度又は吸光度が上昇する波長領域が存在している(Nano Lett., Vol. 4, No. 9, (2004), p.1627-1631)。この波長領域における消光度又は吸光度を濁度として測定することにより、前記複合体を検出してもよい。例えば、金ナノプレートの最大吸収波長が560nmである場合には、660〜840nmの波長領域において濁度測定を行ってもよく、金ナノプレートの最大吸収波長が620nmである場合には、720〜900nmの波長領域において濁度測定を行ってもよい。濁度は、その測定のために通常用いられる紫外可視分光光度計(例えば、紫外可視近赤外分光光度計MPC3100UV−3100PC、株式会社島津製作所)又は濁度計などによって測定してもよい。
本発明の組成物においては、被験物質とその被験物質に対する特異的結合物質を担持した金ナノプレートとの複合体が形成することで複数の粒子が隣接して存在する場合、双極子−双極子相互作用により金ナノプレートの最大吸収波長よりも長波長側に、前記複合体の形成に依存して消光度又は吸光度が上昇する波長領域が存在している(Nano Lett., Vol. 4, No. 9, (2004), p.1627-1631)。この波長領域における消光度又は吸光度を濁度として測定することにより、前記複合体を検出してもよい。例えば、金ナノプレートの最大吸収波長が560nmである場合には、660〜840nmの波長領域において濁度測定を行ってもよく、金ナノプレートの最大吸収波長が620nmである場合には、720〜900nmの波長領域において濁度測定を行ってもよい。濁度は、その測定のために通常用いられる紫外可視分光光度計(例えば、紫外可視近赤外分光光度計MPC3100UV−3100PC、株式会社島津製作所)又は濁度計などによって測定してもよい。
イムノクロマトグラフィー法では、検出部位(ライン状)に金ナノプレートが集合する。このとき、金ナノプレートが可視域の光を吸収する場合、前記複合体の形成を色として認識することができる。本試験の結果は目視判定と、輝度差解析によって数値化できる。目視判定はイムノクロマト試験後の検出ライン有無を目視によって確認し、検出ラインが確認可能な最低被験物質濃度を検出感度とすることができる。輝度解析では、以下の輝度差1から輝度差2を引いた値の絶対値が2(検出限界輝度差)以上である時の最低被験物質濃度を検出感度とすることができる。
1.被験物質を含まない展開液を使用したイムノクロマト試験時の検出ラインと検出ライン以外の部分(対照領域)との輝度差
2.被験物質を含む展開液を使用したイムノクロマト試験時のイムノクロマト担体上の検出ラインと検出ライン以外の部分(対照領域)との輝度差
また、近赤外域の光を吸収する金ナノプレートを使用したイムノクロマト試験においては、試験後に近赤外光を検出部に照射し、そのときの吸光を測定することで検出を確認することができる。
1.被験物質を含まない展開液を使用したイムノクロマト試験時の検出ラインと検出ライン以外の部分(対照領域)との輝度差
2.被験物質を含む展開液を使用したイムノクロマト試験時のイムノクロマト担体上の検出ラインと検出ライン以外の部分(対照領域)との輝度差
また、近赤外域の光を吸収する金ナノプレートを使用したイムノクロマト試験においては、試験後に近赤外光を検出部に照射し、そのときの吸光を測定することで検出を確認することができる。
金ナノプレートは、厚みが薄いプレートの形状であるから、その平均最大長さと同じ粒子径の球状金ナノ粒子よりも体積及び質量が小さい。そのため、本発明の組成物中の金ナノプレート(被験物質に対する特異的結合物質を担持している金ナノプレート)は、イムノクロマト担体上で良好な移動能(展開性)を示し、球状金ナノ粒子を使用した場合と比較して、検出ラインと検出ライン以外の部分(対照領域)との輝度差を大きくすることができる。また、本発明の組成物中の金ナノプレート(被験物質に対する特異的結合物質を担持している金ナノプレート)は、イムノクロマト担体上で速やかに展開するため、被験物質の判定(検出)に要する時間を短縮することができる。加えて、一般に、イムノクロマト担体のバックグラウンドの色は、完全な白よりも青白い方がより白く見えて、検出ラインの色が強調されるところ、青色を呈する金ナノプレートを白いイムノクロマト担体に使用すると、たとえ展開後の担体に金ナノプレートの色が残ったとしても、当該担体はほんのり青みがかった白色になるため、赤色にしか調製できない球状金ナノ粒子を使用した場合と比較して、顕著に検出ラインの視認性を向上することができる。
上述のように、本発明の被験物質を検出するための組成物を用いれば、高感度で被験物質を検出することができるので、被験物質に対する特異的物質の使用量を抑えることができる。抗体などの被験物質に対する特異的物質は高価であるので、本発明に従って被験物質に対する特異的物質の使用量が減少すれば、被験物質の検出のためのコストを削減することが可能となる。
ある態様では、本発明は、前記被験物質を検出するための組成物又は前記被験物質を検出するための凍結乾燥物を含む、前記被験物質を検出する方法に使用するためのキットに関する。本発明のキットは、被験物質の標準品、イムノクロマト試験紙、又は、使用方法を記載した取扱説明書などをさらに含んでもよい。
ある態様では、本発明は、(1)金ナノプレート種粒子の懸濁液を調製する工程、及び、(2)金ナノプレートの懸濁液を調製する工程を含む、前記被験物質を検出するための組成物又は前記被験物質を検出するための凍結乾燥物を製造する方法に関する。前記工程(1)は、金ナノプレート種粒子を予備成長させる工程及びそれを本成長させる工程の2段階の工程を含んでもよいし、金ナノプレート種粒子を予備成長させる工程含まず、いきなり本成長させる工程を開始してもよい。金ナノプレート種粒子を予備成長させてから本成長させる場合には、まずヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリドなどの第四級アンモニウムカチオンの濃度が低い条件(例えば、15mM)で種粒子を効率的に成長させ(予備成長)、その後前記第四級アンモニウムカチオンの濃度を高く(例えば、50mM)して粒子成長速度を落とし、種粒子を均一に成長させる(本成長)。金ナノプレート種粒子を予備成長させずに、いきなり本成長させる場合には、前記第四級アンモニウムカチオンの濃度を途中で変更する必要がないので、より簡便に種粒子を製造することができる。予備成長工程があると、種粒子の形状や大きさが揃いやすいが、その工程がなくても、前記被験物質を検出するための組成物、前記被験物質を検出する方法、及び、前記キットに使用する金ナノプレートを製造するために必要な均一性を十分に備えた種粒子を製造することができる。金ナノプレートを製造する際に生成し得るプレート状ではない多面体又は球状の金ナノ粒子(最大吸収波長:540〜550nm)を除去する精製方法として、懸濁液中の第四級アンモニウムカチオンの濃度を高め、金ナノプレートを選択的に沈殿させる方法(枯渇凝集法)や、粒子サイズの違いを利用した精製方法の限外ろ過(例えば、タンジェンシャルフロー・フィルトレーションによる限外ろ過)、サイズ除外クロマトグラフィー(例えば、ゲルろ過クロマトグラフィー)、密度勾配遠心法などが挙げられる。
また、前記種粒子から調製された金ナノプレートの懸濁液の分散媒中の第四級アンモニウムカチオンの濃度は、遠心分離法、透析、サイズ排除クロマトグラフィー(例えば、ゲルろ過クロマトグラフィー)、及び/又は限外ろ過(例えば、タンジェンシャルフロー・フィルトレーションによる限外ろ過)などにより、当該分散媒を第四級アンモニウムカチオンを含まない分散媒と置換することによって減少させることができる。例えば、遠心分離法により第四級アンモニウムカチオン濃度を低減する場合、具体的には、金ナノプレートの懸濁液を遠心分離して上澄み液を除去し、得られた沈殿物の質量を測定した後、除去した上澄み液と同量の分散媒(第四級アンモニウムカチオンを含まないもの)で当該沈殿物を再度懸濁する。例えば、沈殿物の質量が1gであり、再懸濁に使用した分散媒の質量が99gであると、金ナノプレートを含む懸濁液の分散媒中の第四級アンモニウムカチオンの濃度は、100倍に希釈される。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明の範囲はこれら実施例に限定されるものではない。
1.金ナノプレートを含む懸濁液
(1)金ナノプレート種粒子の懸濁液の作製
100mMのヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド(CTAC)水溶液24gに、50mMの塩化金酸水溶液0.13g、10mMの水素化ホウ素ナトリウム水溶液1.5gを撹拌しながら添加した。得られた溶液をインキュベーター(30℃)中で120分間静置し、金ナノプレート種粒子懸濁液を作製した。作製した懸濁液(原液)の光学特性を図1に示す。光学特性の測定は、株式会社島津製作所製の紫外可視近赤外分光光度計MPC3100UV−3100PCを用い、光路長:1cm及び測定波長:190−1300nmの条件下で行われた。
金ナノプレート種粒子懸濁液の金含有率は、懸濁液の総質量に対して0.0049質量%であった。この懸濁液の光学特性を図1に示す。
(1)金ナノプレート種粒子の懸濁液の作製
100mMのヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド(CTAC)水溶液24gに、50mMの塩化金酸水溶液0.13g、10mMの水素化ホウ素ナトリウム水溶液1.5gを撹拌しながら添加した。得られた溶液をインキュベーター(30℃)中で120分間静置し、金ナノプレート種粒子懸濁液を作製した。作製した懸濁液(原液)の光学特性を図1に示す。光学特性の測定は、株式会社島津製作所製の紫外可視近赤外分光光度計MPC3100UV−3100PCを用い、光路長:1cm及び測定波長:190−1300nmの条件下で行われた。
金ナノプレート種粒子懸濁液の金含有率は、懸濁液の総質量に対して0.0049質量%であった。この懸濁液の光学特性を図1に示す。
(2)金ナノプレートの懸濁液の作製
(2−1)予備成長を含まない合成
(2−1−1)金ナノプレートの懸濁液(懸濁液A)の作製
50mMのCTAC水溶液36gに強力攪拌子(φ8×38mm)を入れ、500rpmで攪拌し、50mMの塩化金酸水溶液を0.5g、10mMのよう化ナトリウム水溶液を0.3g、そして100mMのL−アスコルビン酸水溶液を0.4g添加した。30秒間攪拌後、金ナノプレート種粒子懸濁液の10倍希釈溶液を0.3g添加し、5秒間攪拌した。得られた懸濁液をインキュベーター(30℃)内で12時間静置し、金ナノプレートの懸濁液(懸濁液A)を作製した。この懸濁液の作製に使用したCTAC水溶液からの希釈率により比例計算(ただし、各溶液の比重は1と仮定し、前記金ナノプレート種粒子懸濁液の10倍希釈溶液中のCTACの量は無視)すると、懸濁液Aの分散媒中のCTAC濃度は48.0mMと求められた(特に断らない限り、他の実施例でも同様の計算方法を採用した)。
懸濁液Aを超純水で4倍容に希釈したときの懸濁液の色調は青色であった。この4倍希釈懸濁液の光学特性を図2に示す。最大吸収を示す波長は648nm(消光度:0.86)であった。プレート状ではない多面体又は球状の金ナノ粒子の最大吸収波長である540nmの消光度は0.52であったので、金ナノプレートの純度指数は0.60と計算された。光学特性の測定は、株式会社島津製作所製の紫外可視近赤外分光光度計MPC3100UV−3100PCを用い、光路長:1cm及び測定波長:190−1300nmの条件下で行われた。得られた懸濁液A中の金ナノプレートを、超高分解能分析走査電子顕微鏡SU−70(株式会社日立製作所製)により、走査電子顕微鏡(SEM)観察を行った結果を図3に示す。SEM観察より、金ナノプレートの最大長さは50nm、厚さは24nmで、アスペクト比は2.1であることがわかった。
懸濁液AのpHは、室温下(20℃)で測定した結果、2.4であった。pH測定は株式会社堀場製作所のTwin pHメータ B−212(ガラス電極法)を用いた。
懸濁液Aの金含有率は、懸濁液の総質量に対して0.0131質量%であった。
(2−1)予備成長を含まない合成
(2−1−1)金ナノプレートの懸濁液(懸濁液A)の作製
50mMのCTAC水溶液36gに強力攪拌子(φ8×38mm)を入れ、500rpmで攪拌し、50mMの塩化金酸水溶液を0.5g、10mMのよう化ナトリウム水溶液を0.3g、そして100mMのL−アスコルビン酸水溶液を0.4g添加した。30秒間攪拌後、金ナノプレート種粒子懸濁液の10倍希釈溶液を0.3g添加し、5秒間攪拌した。得られた懸濁液をインキュベーター(30℃)内で12時間静置し、金ナノプレートの懸濁液(懸濁液A)を作製した。この懸濁液の作製に使用したCTAC水溶液からの希釈率により比例計算(ただし、各溶液の比重は1と仮定し、前記金ナノプレート種粒子懸濁液の10倍希釈溶液中のCTACの量は無視)すると、懸濁液Aの分散媒中のCTAC濃度は48.0mMと求められた(特に断らない限り、他の実施例でも同様の計算方法を採用した)。
懸濁液Aを超純水で4倍容に希釈したときの懸濁液の色調は青色であった。この4倍希釈懸濁液の光学特性を図2に示す。最大吸収を示す波長は648nm(消光度:0.86)であった。プレート状ではない多面体又は球状の金ナノ粒子の最大吸収波長である540nmの消光度は0.52であったので、金ナノプレートの純度指数は0.60と計算された。光学特性の測定は、株式会社島津製作所製の紫外可視近赤外分光光度計MPC3100UV−3100PCを用い、光路長:1cm及び測定波長:190−1300nmの条件下で行われた。得られた懸濁液A中の金ナノプレートを、超高分解能分析走査電子顕微鏡SU−70(株式会社日立製作所製)により、走査電子顕微鏡(SEM)観察を行った結果を図3に示す。SEM観察より、金ナノプレートの最大長さは50nm、厚さは24nmで、アスペクト比は2.1であることがわかった。
懸濁液AのpHは、室温下(20℃)で測定した結果、2.4であった。pH測定は株式会社堀場製作所のTwin pHメータ B−212(ガラス電極法)を用いた。
懸濁液Aの金含有率は、懸濁液の総質量に対して0.0131質量%であった。
(2−2)予備成長を含む合成
(2−2−1)金ナノプレートの懸濁液(懸濁液K)の作製
15mMのCTAC水溶液3.16gを攪拌し、20mMのよう化ナトリウム水溶液を0.004g、50mMの塩化金酸水溶液を0.013g、そして100mMのL−アスコルビン酸水溶液0.013gを添加し、予備成長液を作製した。次いで、51mMのCTAC水溶液40gを攪拌し、20mMのよう化ナトリウム水溶液を0.15g、50mMの塩化金酸水溶液を0.5g、そして100mMのL−アスコルビン酸水溶液0.4gを添加し、本成長液を作製した。予備成長液へ金ナノプレート種粒子懸濁液の10倍希釈溶液を0.031g添加し、予備成長金ナノプレート懸濁液を作製した。予備成長金ナノプレート懸濁液全量を本成長液へ添加した。得られた懸濁液をインキュベーター(30℃)内で12時間静置し、金ナノプレートの懸濁液(懸濁液K)を作製した。懸濁液Kの分散媒中のCTAC濃度は47.2mMと計算された。
懸濁液Kを超純水で4倍容に希釈したときの懸濁液の色調は青色であった。この4倍希釈懸濁液の光学特性を図17に示す。最大吸収を示す波長は644nm(消光度:0.94)であった。プレート状ではない多面体又は球状の金ナノ粒子の最大吸収波長である540nmの消光度は0.53であったので、金ナノプレートの純度指数は0.56と計算された。光学特性の測定は、株式会社島津製作所製の紫外可視近赤外分光光度計MPC3100UV−3100PCを用い、光路長:1cm及び測定波長:190−1300nmの条件下で行われた。得られた懸濁液K中の金ナノプレートを、超高分解能分析走査電子顕微鏡SU−70(株式会社日立製作所製)により、走査電子顕微鏡(SEM)観察を行った結果を図18に示す。また、懸濁液KのpHは、室温下(20℃)で測定した結果、2.5であった。pH測定は株式会社堀場製作所のTwin pHメータ B−212(ガラス電極法)を用いた。
懸濁液Kの金含有率は、懸濁液の総質量に対して0.0114質量%であった。
(2−2−1)金ナノプレートの懸濁液(懸濁液K)の作製
15mMのCTAC水溶液3.16gを攪拌し、20mMのよう化ナトリウム水溶液を0.004g、50mMの塩化金酸水溶液を0.013g、そして100mMのL−アスコルビン酸水溶液0.013gを添加し、予備成長液を作製した。次いで、51mMのCTAC水溶液40gを攪拌し、20mMのよう化ナトリウム水溶液を0.15g、50mMの塩化金酸水溶液を0.5g、そして100mMのL−アスコルビン酸水溶液0.4gを添加し、本成長液を作製した。予備成長液へ金ナノプレート種粒子懸濁液の10倍希釈溶液を0.031g添加し、予備成長金ナノプレート懸濁液を作製した。予備成長金ナノプレート懸濁液全量を本成長液へ添加した。得られた懸濁液をインキュベーター(30℃)内で12時間静置し、金ナノプレートの懸濁液(懸濁液K)を作製した。懸濁液Kの分散媒中のCTAC濃度は47.2mMと計算された。
懸濁液Kを超純水で4倍容に希釈したときの懸濁液の色調は青色であった。この4倍希釈懸濁液の光学特性を図17に示す。最大吸収を示す波長は644nm(消光度:0.94)であった。プレート状ではない多面体又は球状の金ナノ粒子の最大吸収波長である540nmの消光度は0.53であったので、金ナノプレートの純度指数は0.56と計算された。光学特性の測定は、株式会社島津製作所製の紫外可視近赤外分光光度計MPC3100UV−3100PCを用い、光路長:1cm及び測定波長:190−1300nmの条件下で行われた。得られた懸濁液K中の金ナノプレートを、超高分解能分析走査電子顕微鏡SU−70(株式会社日立製作所製)により、走査電子顕微鏡(SEM)観察を行った結果を図18に示す。また、懸濁液KのpHは、室温下(20℃)で測定した結果、2.5であった。pH測定は株式会社堀場製作所のTwin pHメータ B−212(ガラス電極法)を用いた。
懸濁液Kの金含有率は、懸濁液の総質量に対して0.0114質量%であった。
(2−2−2)金ナノプレートの懸濁液(懸濁液L)の作製
上記金ナノプレート種粒子懸濁液の10倍希釈溶液の添加量を0.031gから0.016gに変更した以外は、金ナノプレートの懸濁液(懸濁液K)と同様にして、金ナノプレートの懸濁液(懸濁液L)を作製した。懸濁液Lの分散媒中のCTAC濃度は47.1mMと計算された。
懸濁液Lを超純水で4倍容に希釈したときの懸濁液の色調は青色であった。この4倍希釈懸濁液の光学特性を図19に示す。最大吸収を示す波長は668nm(消光度:0.99)であった。プレート状ではない多面体又は球状の金ナノ粒子の最大吸収波長である540nmの消光度は0.48であったので、金ナノプレートの純度指数は0.48と計算された。光学特性の測定は、株式会社島津製作所製の紫外可視近赤外分光光度計MPC3100UV−3100PCを用い、光路長:1cm及び測定波長:190−1300nmの条件下で行われた。得られた懸濁液L中の金ナノプレートを、超高分解能分析走査電子顕微鏡SU−70(株式会社日立製作所製)により、走査電子顕微鏡(SEM)観察を行った結果を図20に示す。また、懸濁液LのpHは、室温下(20℃)で測定した結果、2.5であった。pH測定は株式会社堀場製作所のTwin pHメータ B−212(ガラス電極法)を用いた。
懸濁液Lの金含有率は、懸濁液の総質量に対して0.0114質量%であった。
上記金ナノプレート種粒子懸濁液の10倍希釈溶液の添加量を0.031gから0.016gに変更した以外は、金ナノプレートの懸濁液(懸濁液K)と同様にして、金ナノプレートの懸濁液(懸濁液L)を作製した。懸濁液Lの分散媒中のCTAC濃度は47.1mMと計算された。
懸濁液Lを超純水で4倍容に希釈したときの懸濁液の色調は青色であった。この4倍希釈懸濁液の光学特性を図19に示す。最大吸収を示す波長は668nm(消光度:0.99)であった。プレート状ではない多面体又は球状の金ナノ粒子の最大吸収波長である540nmの消光度は0.48であったので、金ナノプレートの純度指数は0.48と計算された。光学特性の測定は、株式会社島津製作所製の紫外可視近赤外分光光度計MPC3100UV−3100PCを用い、光路長:1cm及び測定波長:190−1300nmの条件下で行われた。得られた懸濁液L中の金ナノプレートを、超高分解能分析走査電子顕微鏡SU−70(株式会社日立製作所製)により、走査電子顕微鏡(SEM)観察を行った結果を図20に示す。また、懸濁液LのpHは、室温下(20℃)で測定した結果、2.5であった。pH測定は株式会社堀場製作所のTwin pHメータ B−212(ガラス電極法)を用いた。
懸濁液Lの金含有率は、懸濁液の総質量に対して0.0114質量%であった。
(2−2−3)金ナノプレートの懸濁液(懸濁液M)の作製
上記金ナノプレート種粒子懸濁液の10倍希釈溶液の添加量を0.031gから0.062gに変更した以外は、金ナノプレートの懸濁液(懸濁液K)と同様にして、金ナノプレートの懸濁液(懸濁液M)を作製した。懸濁液Mの分散媒中のCTAC濃度は47.1mMと計算された。
懸濁液Mを超純水で4倍容に希釈したときの懸濁液の色調は青色であった。この4倍希釈懸濁液の光学特性を図21に示す。最大吸収を示す波長は628nm(消光度:0.84)であった。プレート状ではない多面体又は球状の金ナノ粒子の最大吸収波長である540nmの消光度は0.59であったので、金ナノプレートの純度指数は0.70と計算された。光学特性の測定は、株式会社島津製作所製の紫外可視近赤外分光光度計MPC3100UV−3100PCを用い、光路長:1cm及び測定波長:190−1300nmの条件下で行われた。得られた懸濁液M中の金ナノプレートを、超高分解能分析走査電子顕微鏡SU−70(株式会社日立製作所製)により、走査電子顕微鏡(SEM)観察を行った結果を図22に示す。また、懸濁液MのpHは、室温下(20℃)で測定した結果、2.4であった。pH測定は株式会社堀場製作所のTwin pHメータ B−212(ガラス電極法)を用いた。
懸濁液Mの金含有率は、懸濁液の総質量に対して0.0114質量%であった。
上記金ナノプレート種粒子懸濁液の10倍希釈溶液の添加量を0.031gから0.062gに変更した以外は、金ナノプレートの懸濁液(懸濁液K)と同様にして、金ナノプレートの懸濁液(懸濁液M)を作製した。懸濁液Mの分散媒中のCTAC濃度は47.1mMと計算された。
懸濁液Mを超純水で4倍容に希釈したときの懸濁液の色調は青色であった。この4倍希釈懸濁液の光学特性を図21に示す。最大吸収を示す波長は628nm(消光度:0.84)であった。プレート状ではない多面体又は球状の金ナノ粒子の最大吸収波長である540nmの消光度は0.59であったので、金ナノプレートの純度指数は0.70と計算された。光学特性の測定は、株式会社島津製作所製の紫外可視近赤外分光光度計MPC3100UV−3100PCを用い、光路長:1cm及び測定波長:190−1300nmの条件下で行われた。得られた懸濁液M中の金ナノプレートを、超高分解能分析走査電子顕微鏡SU−70(株式会社日立製作所製)により、走査電子顕微鏡(SEM)観察を行った結果を図22に示す。また、懸濁液MのpHは、室温下(20℃)で測定した結果、2.4であった。pH測定は株式会社堀場製作所のTwin pHメータ B−212(ガラス電極法)を用いた。
懸濁液Mの金含有率は、懸濁液の総質量に対して0.0114質量%であった。
(2−2−4)金ナノプレートの懸濁液(懸濁液N)の作製
上記金ナノプレート種粒子懸濁液の10倍希釈溶液の添加量を0.031gから0.155gに変更した以外は、金ナノプレートの懸濁液(懸濁液K)と同様にして、金ナノプレートの懸濁液(懸濁液N)を作製した。懸濁液Nの分散媒中のCTAC濃度は47.0mMと計算された。
懸濁液Nを超純水で4倍容に希釈したときの懸濁液の色調は紫色であった。この4倍希釈懸濁液の光学特性を図23に示す。消光スペクトルの内、最大吸収を示す波長の長波長側に有るピークの位置(金ナノプレート由来のピーク)は602nm(消光度:0.58)であった。プレート状ではない多面体又は球状の金ナノ粒子の最大吸収波長である540nmの消光度は0.64であったので、金ナノプレートの純度指数は1.10と計算された。光学特性の測定は、株式会社島津製作所製の紫外可視近赤外分光光度計MPC3100UV−3100PCを用い、光路長:1cm及び測定波長:190−1300nmの条件下で行われた。得られた懸濁液N中の金ナノプレートを、超高分解能分析走査電子顕微鏡SU−70(株式会社日立製作所製)により、走査電子顕微鏡(SEM)観察を行った結果を図24に示す。また、懸濁液NのpHは、室温下(20℃)で測定した結果、2.4であった。pH測定は株式会社堀場製作所のTwin pHメータ B−212(ガラス電極法)を用いた。
懸濁液Nの金含有率は、懸濁液の総質量に対して0.0114質量%であった。
上記金ナノプレート種粒子懸濁液の10倍希釈溶液の添加量を0.031gから0.155gに変更した以外は、金ナノプレートの懸濁液(懸濁液K)と同様にして、金ナノプレートの懸濁液(懸濁液N)を作製した。懸濁液Nの分散媒中のCTAC濃度は47.0mMと計算された。
懸濁液Nを超純水で4倍容に希釈したときの懸濁液の色調は紫色であった。この4倍希釈懸濁液の光学特性を図23に示す。消光スペクトルの内、最大吸収を示す波長の長波長側に有るピークの位置(金ナノプレート由来のピーク)は602nm(消光度:0.58)であった。プレート状ではない多面体又は球状の金ナノ粒子の最大吸収波長である540nmの消光度は0.64であったので、金ナノプレートの純度指数は1.10と計算された。光学特性の測定は、株式会社島津製作所製の紫外可視近赤外分光光度計MPC3100UV−3100PCを用い、光路長:1cm及び測定波長:190−1300nmの条件下で行われた。得られた懸濁液N中の金ナノプレートを、超高分解能分析走査電子顕微鏡SU−70(株式会社日立製作所製)により、走査電子顕微鏡(SEM)観察を行った結果を図24に示す。また、懸濁液NのpHは、室温下(20℃)で測定した結果、2.4であった。pH測定は株式会社堀場製作所のTwin pHメータ B−212(ガラス電極法)を用いた。
懸濁液Nの金含有率は、懸濁液の総質量に対して0.0114質量%であった。
(3)懸濁液の精製
(3−1)懸濁液Aの精製(懸濁液Bの作製)
懸濁液A30gに、1.0MのCTAC水溶液を4.0g注入して攪拌した。30℃で、12時間静置し、上澄み液を除去した。沈殿物を50mMのCTAC水溶液20gで分散し、懸濁液Aの精製物(懸濁液B)を作製した。懸濁液Bの分散媒中のCTAC濃度は50mMとみなした(再分散時に使用した分散媒におけるCTAC濃度)。
懸濁液Bを超純水で4倍容に稀釈したときの懸濁液の色調はシアン調であった。この4倍希釈懸濁液の光学特性を図4Aに示す。最大吸収を示す波長は644nm(消光度:0.61)であった。プレート状ではない多面体又は球状の金ナノ粒子の最大吸収波長である540nmの消光度は0.22であったので、金ナノプレートの純度指数は0.36と計算された。消光度比率より、懸濁液Bの金含有率の概算値は、懸濁液の総質量に対して0.0079質量%であった。最大吸収波長における消光度の高さを合せるために測定波長域すべての消光度に1.41を乗算した懸濁液Bの消光スペクトル(実線)と、上記懸濁液Aの消光スペクトル(破線)との比較を図4Bに示す。懸濁液Bの消光スペクトルでは、プレート状ではない多面体又は球状の金ナノ粒子の最大吸収波長である540nmの消光度が、39%減少していた。光学特性の測定は、株式会社島津製作所製の紫外可視近赤外分光光度計MPC3100UV−3100PCを用い、光路長:1cm及び測定波長:190−1300nmの条件下で行われた。得られた懸濁液B中の金ナノプレートを超高分解能分析走査電子顕微鏡SU−70(株式会社日立製作所製)により、走査電子顕微鏡(SEM)観察を行った結果を図5に示す。SEM観察より、金ナノプレートの最大長さは52nm、厚さは19nmで、アスペクト比は2.7であることがわかった。
懸濁液B中の金ナノプレートのゼータ電位は+41.4 ± 1.2であった。ゼータ電位測定は大塚電子株式会社のPhotal ELS−Zを用いた。
また、上記懸濁液Aの沈殿物を50mMのCTAC水溶液0.02gで分散し、懸濁液Aの精製物(懸濁液W)を作製した時、金含有率の概算値は、懸濁液の総質量に対して7.9質量%であった。
(3−1)懸濁液Aの精製(懸濁液Bの作製)
懸濁液A30gに、1.0MのCTAC水溶液を4.0g注入して攪拌した。30℃で、12時間静置し、上澄み液を除去した。沈殿物を50mMのCTAC水溶液20gで分散し、懸濁液Aの精製物(懸濁液B)を作製した。懸濁液Bの分散媒中のCTAC濃度は50mMとみなした(再分散時に使用した分散媒におけるCTAC濃度)。
懸濁液Bを超純水で4倍容に稀釈したときの懸濁液の色調はシアン調であった。この4倍希釈懸濁液の光学特性を図4Aに示す。最大吸収を示す波長は644nm(消光度:0.61)であった。プレート状ではない多面体又は球状の金ナノ粒子の最大吸収波長である540nmの消光度は0.22であったので、金ナノプレートの純度指数は0.36と計算された。消光度比率より、懸濁液Bの金含有率の概算値は、懸濁液の総質量に対して0.0079質量%であった。最大吸収波長における消光度の高さを合せるために測定波長域すべての消光度に1.41を乗算した懸濁液Bの消光スペクトル(実線)と、上記懸濁液Aの消光スペクトル(破線)との比較を図4Bに示す。懸濁液Bの消光スペクトルでは、プレート状ではない多面体又は球状の金ナノ粒子の最大吸収波長である540nmの消光度が、39%減少していた。光学特性の測定は、株式会社島津製作所製の紫外可視近赤外分光光度計MPC3100UV−3100PCを用い、光路長:1cm及び測定波長:190−1300nmの条件下で行われた。得られた懸濁液B中の金ナノプレートを超高分解能分析走査電子顕微鏡SU−70(株式会社日立製作所製)により、走査電子顕微鏡(SEM)観察を行った結果を図5に示す。SEM観察より、金ナノプレートの最大長さは52nm、厚さは19nmで、アスペクト比は2.7であることがわかった。
懸濁液B中の金ナノプレートのゼータ電位は+41.4 ± 1.2であった。ゼータ電位測定は大塚電子株式会社のPhotal ELS−Zを用いた。
また、上記懸濁液Aの沈殿物を50mMのCTAC水溶液0.02gで分散し、懸濁液Aの精製物(懸濁液W)を作製した時、金含有率の概算値は、懸濁液の総質量に対して7.9質量%であった。
(3−2)懸濁液Kの精製(懸濁液Oの作製)
懸濁液K30gに、1.0MのCTAC水溶液を4.0g注入して攪拌した。30℃で、12時間静置し、上澄み液を除去した。沈殿物を50mMのCTAC水溶液20gで分散し、懸濁液Kの精製物(懸濁液O)を作製した。懸濁液Oの分散媒中のCTAC濃度は50mMとみなした。
懸濁液Oを超純水で4倍容に稀釈したときの懸濁液の色調はシアン調であった。この4倍希釈懸濁液の光学特性を図25Aに示す。最大吸収を示す波長は644nm(消光度:0.80)であった。プレート状ではない多面体又は球状の金ナノ粒子の最大吸収波長である540nmの消光度は0.29であったので、金ナノプレートの純度指数は0.36と計算された。消光度比率より、懸濁液Oの金含有率の概算値は、懸濁液の総質量に対して0.0085質量%であった。最大吸収波長における消光度の高さを合せるために測定波長域すべての消光度に1.18を乗算した懸濁液Oの消光スペクトル(実線)と、上記懸濁液Kの消光スペクトル(破線)との比較を図25Bに示す。懸濁液Oの消光スペクトルでは、プレート状ではない多面体又は球状の金ナノ粒子の最大吸収波長である540nmの消光度が、36%減少していた。光学特性の測定は、株式会社島津製作所製の紫外可視近赤外分光光度計MPC3100UV−3100PCを用い、光路長:1cm及び測定波長:190−1300nmの条件下で行われた。得られた懸濁液O中の金ナノプレートを超高分解能分析走査電子顕微鏡SU−70(株式会社日立製作所製)により、走査電子顕微鏡(SEM)観察を行った結果を図26Aに示す。鮮明な像を観察するため、懸濁液Oにチオール末端ポリエチレングリコール(Mw:20,000)を添加し、透過走査電子顕微鏡(STEM)観察を行った結果を図26Bに示す。SEM、STEM観察より、金ナノプレートの最大長さは65nm、厚さは31nmで、アスペクト比は2.1であることがわかった。
懸濁液O中の金ナノプレートのゼータ電位は+42.0 ± 1.5であった。ゼータ電位測定は大塚電子株式会社のPhotal ELS−Zを用いた。
懸濁液K30gに、1.0MのCTAC水溶液を4.0g注入して攪拌した。30℃で、12時間静置し、上澄み液を除去した。沈殿物を50mMのCTAC水溶液20gで分散し、懸濁液Kの精製物(懸濁液O)を作製した。懸濁液Oの分散媒中のCTAC濃度は50mMとみなした。
懸濁液Oを超純水で4倍容に稀釈したときの懸濁液の色調はシアン調であった。この4倍希釈懸濁液の光学特性を図25Aに示す。最大吸収を示す波長は644nm(消光度:0.80)であった。プレート状ではない多面体又は球状の金ナノ粒子の最大吸収波長である540nmの消光度は0.29であったので、金ナノプレートの純度指数は0.36と計算された。消光度比率より、懸濁液Oの金含有率の概算値は、懸濁液の総質量に対して0.0085質量%であった。最大吸収波長における消光度の高さを合せるために測定波長域すべての消光度に1.18を乗算した懸濁液Oの消光スペクトル(実線)と、上記懸濁液Kの消光スペクトル(破線)との比較を図25Bに示す。懸濁液Oの消光スペクトルでは、プレート状ではない多面体又は球状の金ナノ粒子の最大吸収波長である540nmの消光度が、36%減少していた。光学特性の測定は、株式会社島津製作所製の紫外可視近赤外分光光度計MPC3100UV−3100PCを用い、光路長:1cm及び測定波長:190−1300nmの条件下で行われた。得られた懸濁液O中の金ナノプレートを超高分解能分析走査電子顕微鏡SU−70(株式会社日立製作所製)により、走査電子顕微鏡(SEM)観察を行った結果を図26Aに示す。鮮明な像を観察するため、懸濁液Oにチオール末端ポリエチレングリコール(Mw:20,000)を添加し、透過走査電子顕微鏡(STEM)観察を行った結果を図26Bに示す。SEM、STEM観察より、金ナノプレートの最大長さは65nm、厚さは31nmで、アスペクト比は2.1であることがわかった。
懸濁液O中の金ナノプレートのゼータ電位は+42.0 ± 1.5であった。ゼータ電位測定は大塚電子株式会社のPhotal ELS−Zを用いた。
(3−3)懸濁液Lの精製(懸濁液Pの作製)
懸濁液L30gに、1.0MのCTAC水溶液を注入して攪拌した。注入量は懸濁液Lの上澄みが赤紫色になる量とした。30℃で、12時間静置し、赤紫色の上澄み液を除去した。沈殿物を50mMのCTAC水溶液30gで分散し、懸濁液Lの精製物(懸濁液P)を作製した。懸濁液Pの分散媒中のCTAC濃度は50mMとみなした。
懸濁液Pを超純水で4倍容に稀釈したときの懸濁液の色調は薄水色調であった。この4倍希釈懸濁液の光学特性を図27Aに示す。最大吸収を示す波長は668nm(消光度:0.58)であった。プレート状ではない多面体又は球状の金ナノ粒子の最大吸収波長である540nmの消光度は0.17であったので、金ナノプレートの純度指数は0.29と計算された。消光度比率より、懸濁液Pの金含有率の概算値は、懸濁液の総質量に対して0.0059質量%であった。最大吸収波長における消光度の高さを合せるために測定波長域すべての消光度に1.70を乗算した懸濁液Pの消光スペクトル(実線)と、上記懸濁液Lの消光スペクトル(破線)との比較を図27Bに示す。懸濁液Pの消光スペクトルでは、プレート状ではない多面体又は球状の金ナノ粒子の最大吸収波長である540nmの消光度が、40%減少していた。光学特性の測定は、株式会社島津製作所製の紫外可視近赤外分光光度計MPC3100UV−3100PCを用い、光路長:1cm及び測定波長:190−1300nmの条件下で行われた。得られた懸濁液中の金ナノプレートを超高分解能分析走査電子顕微鏡SU−70(株式会社日立製作所製)により、走査電子顕微鏡(SEM)観察を行った結果を図28Aに示す。鮮明な像を観察するため、懸濁液Pにチオール末端ポリエチレングリコール(Mw:20,000)を添加し、透過走査電子顕微鏡(STEM)観察を行った結果を図28Bに示す。SEM、STEM観察より、金ナノプレートの最大長さは91nm、厚さは41nmで、アスペクト比は2.2であることがわかった。
懸濁液P中の金ナノプレートのゼータ電位は+41.6 ± 2.0であった。ゼータ電位測定は大塚電子株式会社のPhotal ELS−Zを用いた。
懸濁液L30gに、1.0MのCTAC水溶液を注入して攪拌した。注入量は懸濁液Lの上澄みが赤紫色になる量とした。30℃で、12時間静置し、赤紫色の上澄み液を除去した。沈殿物を50mMのCTAC水溶液30gで分散し、懸濁液Lの精製物(懸濁液P)を作製した。懸濁液Pの分散媒中のCTAC濃度は50mMとみなした。
懸濁液Pを超純水で4倍容に稀釈したときの懸濁液の色調は薄水色調であった。この4倍希釈懸濁液の光学特性を図27Aに示す。最大吸収を示す波長は668nm(消光度:0.58)であった。プレート状ではない多面体又は球状の金ナノ粒子の最大吸収波長である540nmの消光度は0.17であったので、金ナノプレートの純度指数は0.29と計算された。消光度比率より、懸濁液Pの金含有率の概算値は、懸濁液の総質量に対して0.0059質量%であった。最大吸収波長における消光度の高さを合せるために測定波長域すべての消光度に1.70を乗算した懸濁液Pの消光スペクトル(実線)と、上記懸濁液Lの消光スペクトル(破線)との比較を図27Bに示す。懸濁液Pの消光スペクトルでは、プレート状ではない多面体又は球状の金ナノ粒子の最大吸収波長である540nmの消光度が、40%減少していた。光学特性の測定は、株式会社島津製作所製の紫外可視近赤外分光光度計MPC3100UV−3100PCを用い、光路長:1cm及び測定波長:190−1300nmの条件下で行われた。得られた懸濁液中の金ナノプレートを超高分解能分析走査電子顕微鏡SU−70(株式会社日立製作所製)により、走査電子顕微鏡(SEM)観察を行った結果を図28Aに示す。鮮明な像を観察するため、懸濁液Pにチオール末端ポリエチレングリコール(Mw:20,000)を添加し、透過走査電子顕微鏡(STEM)観察を行った結果を図28Bに示す。SEM、STEM観察より、金ナノプレートの最大長さは91nm、厚さは41nmで、アスペクト比は2.2であることがわかった。
懸濁液P中の金ナノプレートのゼータ電位は+41.6 ± 2.0であった。ゼータ電位測定は大塚電子株式会社のPhotal ELS−Zを用いた。
(3−4)懸濁液Mの精製(懸濁液Qの作製)
懸濁液M30gに、1.0MのCTAC水溶液を注入して攪拌した。注入量は懸濁液Mの上澄みが赤紫色になる量とした。30℃で、12時間静置し、赤紫色の上澄み液を除去した。沈殿物を50mMのCTAC水溶液30gで分散し、懸濁液Mの精製物(懸濁液Q)を作製した。懸濁液Qの分散媒中のCTAC濃度は50mMとみなした。
懸濁液Qを超純水で4倍容に稀釈したときの懸濁液の色調は薄水色調であった。この4倍希釈懸濁液の光学特性を図29Aに示す。最大吸収を示す波長は628nm(消光度:0.69)であった。プレート状ではない多面体又は球状の金ナノ粒子の最大吸収波長である540nmの消光度は0.31であったので、金ナノプレートの純度指数は0.45と計算された。消光度比率より、懸濁液Qの金含有率の概算値は、懸濁液の総質量に対して0.0080質量%であった。最大吸収波長における消光度の高さを合せるために測定波長域すべての消光度に1.22を乗算した懸濁液Qの消光スペクトル(実線)と、上記懸濁液Mの消光スペクトル(破線)との比較を図29Bに示す。懸濁液Qの消光スペクトルでは、プレート状ではない多面体又は球状の金ナノ粒子の最大吸収波長である540nmの消光度が、36%減少していた。光学特性の測定は、株式会社島津製作所製の紫外可視近赤外分光光度計MPC3100UV−3100PCを用い、光路長:1cm及び測定波長:190−1300nmの条件下で行われた。得られた懸濁液中の金ナノプレートを超高分解能分析走査電子顕微鏡SU−70(株式会社日立製作所製)により、走査電子顕微鏡(SEM)観察を行った結果を図30Aに示す。鮮明な像を観察するため、懸濁液Qにチオール末端ポリエチレングリコール(Mw:20,000)を添加し、透過走査電子顕微鏡(STEM)観察を行った結果を図30Bに示す。SEM、STEM観察より、金ナノプレートの最大長さは54nm、厚さは27nmで、アスペクト比は2.0であることがわかった。
懸濁液Q中の金ナノプレートのゼータ電位は+42.1± 1.0であった。ゼータ電位測定は大塚電子株式会社のPhotal ELS−Zを用いた。
懸濁液M30gに、1.0MのCTAC水溶液を注入して攪拌した。注入量は懸濁液Mの上澄みが赤紫色になる量とした。30℃で、12時間静置し、赤紫色の上澄み液を除去した。沈殿物を50mMのCTAC水溶液30gで分散し、懸濁液Mの精製物(懸濁液Q)を作製した。懸濁液Qの分散媒中のCTAC濃度は50mMとみなした。
懸濁液Qを超純水で4倍容に稀釈したときの懸濁液の色調は薄水色調であった。この4倍希釈懸濁液の光学特性を図29Aに示す。最大吸収を示す波長は628nm(消光度:0.69)であった。プレート状ではない多面体又は球状の金ナノ粒子の最大吸収波長である540nmの消光度は0.31であったので、金ナノプレートの純度指数は0.45と計算された。消光度比率より、懸濁液Qの金含有率の概算値は、懸濁液の総質量に対して0.0080質量%であった。最大吸収波長における消光度の高さを合せるために測定波長域すべての消光度に1.22を乗算した懸濁液Qの消光スペクトル(実線)と、上記懸濁液Mの消光スペクトル(破線)との比較を図29Bに示す。懸濁液Qの消光スペクトルでは、プレート状ではない多面体又は球状の金ナノ粒子の最大吸収波長である540nmの消光度が、36%減少していた。光学特性の測定は、株式会社島津製作所製の紫外可視近赤外分光光度計MPC3100UV−3100PCを用い、光路長:1cm及び測定波長:190−1300nmの条件下で行われた。得られた懸濁液中の金ナノプレートを超高分解能分析走査電子顕微鏡SU−70(株式会社日立製作所製)により、走査電子顕微鏡(SEM)観察を行った結果を図30Aに示す。鮮明な像を観察するため、懸濁液Qにチオール末端ポリエチレングリコール(Mw:20,000)を添加し、透過走査電子顕微鏡(STEM)観察を行った結果を図30Bに示す。SEM、STEM観察より、金ナノプレートの最大長さは54nm、厚さは27nmで、アスペクト比は2.0であることがわかった。
懸濁液Q中の金ナノプレートのゼータ電位は+42.1± 1.0であった。ゼータ電位測定は大塚電子株式会社のPhotal ELS−Zを用いた。
(3−5)懸濁液Nの精製(懸濁液Rの作製)
懸濁液N30gに、1.0MのCTAC水溶液を注入して攪拌した。注入量は懸濁液Nの上澄みが赤紫色になる量とした。30℃で、12時間静置し、赤紫色の上澄み液を除去した。沈殿物を50mMのCTAC水溶液30gで分散し、懸濁液Nの精製物(懸濁液R)を作製した。懸濁液Rの分散媒中のCTAC濃度は50mMとみなした。
懸濁液Rを超純水で4倍容に稀釈したときの懸濁液の色調は薄水色調であった。この4倍希釈懸濁液の光学特性を図31Aに示す。最大吸収を示す波長は602nm(消光度:0.28)であった。プレート状ではない多面体又は球状の金ナノ粒子の最大吸収波長である540nmの消光度は0.16であったので、金ナノプレートの純度指数は0.57と計算された。消光度比率より、懸濁液Rの金含有率の概算値は、懸濁液の総質量に対して0.0041質量%であった。最大吸収波長における消光度の高さを合せるために測定波長域すべての消光度に2.06を乗算した懸濁液Rの消光スペクトル(実線)と、上記懸濁液Nの消光スペクトル(破線)との比較を図31Bに示す。懸濁液Rの消光スペクトルでは、プレート状ではない多面体又は球状の金ナノ粒子の最大吸収波長である540nmの消光度が、48%減少していた。光学特性の測定は、株式会社島津製作所製の紫外可視近赤外分光光度計MPC3100UV−3100PCを用い、光路長:1cm及び測定波長:190−1300nmの条件下で行われた。得られた懸濁液中の金ナノプレートを超高分解能分析走査電子顕微鏡SU−70(株式会社日立製作所製)により、走査電子顕微鏡(SEM)観察を行った結果を図32Aに示す。鮮明な像を観察するため、懸濁液Rにチオール末端ポリエチレングリコール(Mw:20,000)を添加し、透過走査電子顕微鏡(STEM)観察を行った結果を図32Bに示す。SEM、STEM観察より、金ナノプレートの最大長さは37nm、厚さは19nmで、アスペクト比は1.9であることがわかった。
懸濁液R中の金ナノプレートのゼータ電位は+41.1± 1.8であった。ゼータ電位測定は大塚電子株式会社のPhotal ELS−Zを用いた。
懸濁液N30gに、1.0MのCTAC水溶液を注入して攪拌した。注入量は懸濁液Nの上澄みが赤紫色になる量とした。30℃で、12時間静置し、赤紫色の上澄み液を除去した。沈殿物を50mMのCTAC水溶液30gで分散し、懸濁液Nの精製物(懸濁液R)を作製した。懸濁液Rの分散媒中のCTAC濃度は50mMとみなした。
懸濁液Rを超純水で4倍容に稀釈したときの懸濁液の色調は薄水色調であった。この4倍希釈懸濁液の光学特性を図31Aに示す。最大吸収を示す波長は602nm(消光度:0.28)であった。プレート状ではない多面体又は球状の金ナノ粒子の最大吸収波長である540nmの消光度は0.16であったので、金ナノプレートの純度指数は0.57と計算された。消光度比率より、懸濁液Rの金含有率の概算値は、懸濁液の総質量に対して0.0041質量%であった。最大吸収波長における消光度の高さを合せるために測定波長域すべての消光度に2.06を乗算した懸濁液Rの消光スペクトル(実線)と、上記懸濁液Nの消光スペクトル(破線)との比較を図31Bに示す。懸濁液Rの消光スペクトルでは、プレート状ではない多面体又は球状の金ナノ粒子の最大吸収波長である540nmの消光度が、48%減少していた。光学特性の測定は、株式会社島津製作所製の紫外可視近赤外分光光度計MPC3100UV−3100PCを用い、光路長:1cm及び測定波長:190−1300nmの条件下で行われた。得られた懸濁液中の金ナノプレートを超高分解能分析走査電子顕微鏡SU−70(株式会社日立製作所製)により、走査電子顕微鏡(SEM)観察を行った結果を図32Aに示す。鮮明な像を観察するため、懸濁液Rにチオール末端ポリエチレングリコール(Mw:20,000)を添加し、透過走査電子顕微鏡(STEM)観察を行った結果を図32Bに示す。SEM、STEM観察より、金ナノプレートの最大長さは37nm、厚さは19nmで、アスペクト比は1.9であることがわかった。
懸濁液R中の金ナノプレートのゼータ電位は+41.1± 1.8であった。ゼータ電位測定は大塚電子株式会社のPhotal ELS−Zを用いた。
(4)PSS被覆金ナノプレートの懸濁液(懸濁液C〜E)の作製(懸濁液Bの分散媒中のCTAC濃度の低減)
上記(3)で作製した懸濁液Bを40mL遠心分離(8,000×g、30℃、10分間)して金ナノプレートを沈殿させ、上澄み液39.6mLを除去した。その後、遠沈管底部の金ナノプレートに20μMのポリ(p−スチレンスルホン酸ナトリウム)(Na−PSS)水溶液を39.6mL添加して再分散させ、PSS被覆金ナノプレート中間体1懸濁液(懸濁液C)を作製した。懸濁液Cの分散媒中のCTAC濃度は0.50mMと計算され、PSS濃度は20μMとみなした(再分散時に使用した分散媒におけるPSS濃度)。懸濁液C中の金ナノプレートのゼータ電位は−51.0 ± 0.7であった。ゼータ電位測定は大塚電子株式会社のPhotal ELS−Zを用いた。
懸濁液Cを遠心分離(8,000×g、30℃、10分間)してPSS被覆金ナノプレート中間体1を沈殿させ、上澄み液39.6mLを除去した。その後、遠沈管底部のPSS被覆金ナノプレート中間体1に20μMのPSS水溶液を39.6mL添加して再分散させ、PSS被覆金ナノプレート中間体2懸濁液(懸濁液D)を作製した。懸濁液Dの分散媒中のCTAC濃度は0.50×10 -2 mMと計算され、PSS濃度は20μMとみなした。懸濁液D中の金ナノプレートのゼータ電位は−51.0 ± 0.4であった。ゼータ電位測定は大塚電子株式会社のPhotal ELS−Zを用いた。懸濁液Dを遠心分離(8,000×g、30℃、10分間)してPSS被覆金ナノプレート中間体2を沈殿させ、上澄み液39.6mLを除去した。その後、PSS被覆金ナノプレート中間体2に20μMのPSS水溶液を39.6mL添加して再分散させ、PSS被覆金ナノプレート懸濁液(懸濁液E)を作製した。懸濁液Eの分散媒中のCTAC濃度は0.50×10 -4 mMと計算され、PSS濃度は20μMとみなした。懸濁液E中の金ナノプレートのゼータ電位は−54.5 ± 2.0であった。ゼータ電位測定は大塚電子株式会社のPhotal ELS−Zを用いた。PSS被覆金ナノプレートの懸濁液のpHは、室温下(20℃)で測定した結果、7.0であった。pH測定は株式会社堀場製作所のTwin pHメータ B−212(ガラス電極法)を用いた。
懸濁液Eを超純水で4倍容に希釈した懸濁液の色調はシアン調であった。この4倍希釈懸濁液の光学特性を図6に示す。最大吸収を示す波長は638nm(消光度:0.64)であった。プレート状ではない多面体又は球状の金ナノ粒子の最大吸収波長である540nmの消光度は0.25であったので、金ナノプレートの純度指数は0.39と計算された。消光度比率より、懸濁液Eの金含有率の概算値は、懸濁液の総質量に対して0.0085質量%であった。光学特性の測定は、株式会社島津製作所製の紫外可視近赤外分光光度計MPC3100UV−3100PCを用い、光路長:1cm及び測定波長:190−1300nmの条件下で行われた。
懸濁液E中の金ナノプレートを超高分解能分析走査電子顕微鏡SU−70(株式会社日立製作所製)により、走査電子顕微鏡(SEM)観察を行った結果を図7に示す。SEM観察より、金ナノプレートの最大長さは53nm、厚さは19nmで、アスペクト比は2.8であることがわかった。
上記(3)で作製した懸濁液Bを40mL遠心分離(8,000×g、30℃、10分間)して金ナノプレートを沈殿させ、上澄み液39.6mLを除去した。その後、遠沈管底部の金ナノプレートに20μMのポリ(p−スチレンスルホン酸ナトリウム)(Na−PSS)水溶液を39.6mL添加して再分散させ、PSS被覆金ナノプレート中間体1懸濁液(懸濁液C)を作製した。懸濁液Cの分散媒中のCTAC濃度は0.50mMと計算され、PSS濃度は20μMとみなした(再分散時に使用した分散媒におけるPSS濃度)。懸濁液C中の金ナノプレートのゼータ電位は−51.0 ± 0.7であった。ゼータ電位測定は大塚電子株式会社のPhotal ELS−Zを用いた。
懸濁液Cを遠心分離(8,000×g、30℃、10分間)してPSS被覆金ナノプレート中間体1を沈殿させ、上澄み液39.6mLを除去した。その後、遠沈管底部のPSS被覆金ナノプレート中間体1に20μMのPSS水溶液を39.6mL添加して再分散させ、PSS被覆金ナノプレート中間体2懸濁液(懸濁液D)を作製した。懸濁液Dの分散媒中のCTAC濃度は0.50×10 -2 mMと計算され、PSS濃度は20μMとみなした。懸濁液D中の金ナノプレートのゼータ電位は−51.0 ± 0.4であった。ゼータ電位測定は大塚電子株式会社のPhotal ELS−Zを用いた。懸濁液Dを遠心分離(8,000×g、30℃、10分間)してPSS被覆金ナノプレート中間体2を沈殿させ、上澄み液39.6mLを除去した。その後、PSS被覆金ナノプレート中間体2に20μMのPSS水溶液を39.6mL添加して再分散させ、PSS被覆金ナノプレート懸濁液(懸濁液E)を作製した。懸濁液Eの分散媒中のCTAC濃度は0.50×10 -4 mMと計算され、PSS濃度は20μMとみなした。懸濁液E中の金ナノプレートのゼータ電位は−54.5 ± 2.0であった。ゼータ電位測定は大塚電子株式会社のPhotal ELS−Zを用いた。PSS被覆金ナノプレートの懸濁液のpHは、室温下(20℃)で測定した結果、7.0であった。pH測定は株式会社堀場製作所のTwin pHメータ B−212(ガラス電極法)を用いた。
懸濁液Eを超純水で4倍容に希釈した懸濁液の色調はシアン調であった。この4倍希釈懸濁液の光学特性を図6に示す。最大吸収を示す波長は638nm(消光度:0.64)であった。プレート状ではない多面体又は球状の金ナノ粒子の最大吸収波長である540nmの消光度は0.25であったので、金ナノプレートの純度指数は0.39と計算された。消光度比率より、懸濁液Eの金含有率の概算値は、懸濁液の総質量に対して0.0085質量%であった。光学特性の測定は、株式会社島津製作所製の紫外可視近赤外分光光度計MPC3100UV−3100PCを用い、光路長:1cm及び測定波長:190−1300nmの条件下で行われた。
懸濁液E中の金ナノプレートを超高分解能分析走査電子顕微鏡SU−70(株式会社日立製作所製)により、走査電子顕微鏡(SEM)観察を行った結果を図7に示す。SEM観察より、金ナノプレートの最大長さは53nm、厚さは19nmで、アスペクト比は2.8であることがわかった。
(5)クエン酸被覆金ナノプレート懸濁液の作製
(5−1)クエン酸被覆金ナノプレート懸濁液(懸濁液F〜H)の作製(PSS被覆金ナノプレート水懸濁液E中のCTAC濃度の低減及びPSS濃度の低減)
上記(4)で作製したPSS被覆金ナノプレート水懸濁液(懸濁液E)の40mLを遠心分離(8,000×g、30℃、10分間)してPSS被覆金ナノプレートを沈殿させ、上澄み液39.6mLを除去した。その後、遠沈管底部のPSS被覆金ナノプレートに4.5mMのクエン酸三ナトリウム水溶液を39.6mL添加して再分散させ、クエン酸被覆金ナノプレート中間体1懸濁液(懸濁液F)を作製した。懸濁液Fの分散媒中のCTAC濃度は0.50×10 -6 mMと計算され、PSS濃度は0.20μMと計算された。懸濁液F中の金ナノプレートのゼータ電位は−47.5 ± 1.0であった。ゼータ電位測定は大塚電子株式会社のPhotal ELS−Zを用いた。懸濁液Fを遠心分離(8,000×g、30℃、10分間)してクエン酸被覆金ナノプレート中間体1を沈殿させ、上澄み液39.6mLを除去した。その後、遠沈管底部のクエン酸被覆金ナノプレート中間体1に4.5mMのクエン酸三ナトリウム水溶液39.6mLを添加して再分散させ、クエン酸被覆金ナノプレート中間体2懸濁液(懸濁液G)を作製した。懸濁液Gの分散媒中のCTAC濃度は0.50×10 -8 mMと計算され、PSS濃度は0.20×10 -2 μMと計算された。懸濁液G中の金ナノプレートのゼータ電位は−44.2 ± 1.7であった。ゼータ電位測定は大塚電子株式会社のPhotal ELS−Zを用いた。懸濁液Gを遠心分離(8,000×g、30℃、10分間)してクエン酸被覆金ナノプレート中間体2を沈殿させ、上澄み液39.6mLを除去した。その後、クエン酸被覆金ナノプレート中間体2に4.5mMのクエン酸水溶液を39.6mL添加して再分散させ、クエン酸被覆金ナノプレート懸濁液(懸濁液H)を作製した。懸濁液Hの分散媒中のCTAC濃度は0.50×10 -10 mMと計算され、PSS濃度は0.20×10 -4 μMと計算された。懸濁液H中の金ナノプレートのゼータ電位は−42.2 ± 1.4であった。ゼータ電位測定は大塚電子株式会社のPhotal ELS−Zを用いた。懸濁液HのpHを室温下(20℃)で測定した結果、pH8.4であった。pH測定は株式会社堀場製作所のTwin pHメータ B−212(ガラス電極法)を用いた。
懸濁液Hを超純水で4倍容に希釈した懸濁液の色調はシアン調であった。この4倍希釈懸濁液の光学特性を図8に示す。最大吸収を示す波長は638nm(消光度:0.33)であった。プレート状ではない多面体又は球状の金ナノ粒子の最大吸収波長である540nmの消光度は0.14であったので、金ナノプレートの純度指数は0.42と計算された。消光度比率より、懸濁液Hの金含有率の概算値は、懸濁液の総質量に対して0.0045質量%であった。光学特性の測定は、株式会社島津製作所製の紫外可視近赤外分光光度計MPC3100UV−3100PCを用い、光路長:1cm及び測定波長:190−1300nmの条件下で行われた。
懸濁液H中の金ナノプレートを超高分解能分析走査電子顕微鏡SU−70(株式会社日立製作所製)により、走査電子顕微鏡(SEM)観察を行った結果を図9に示す。SEM観察より、金ナノプレートの最大長さは55nm、厚さは19nmで、アスペクト比は2.9であることがわかった。
(5−1)クエン酸被覆金ナノプレート懸濁液(懸濁液F〜H)の作製(PSS被覆金ナノプレート水懸濁液E中のCTAC濃度の低減及びPSS濃度の低減)
上記(4)で作製したPSS被覆金ナノプレート水懸濁液(懸濁液E)の40mLを遠心分離(8,000×g、30℃、10分間)してPSS被覆金ナノプレートを沈殿させ、上澄み液39.6mLを除去した。その後、遠沈管底部のPSS被覆金ナノプレートに4.5mMのクエン酸三ナトリウム水溶液を39.6mL添加して再分散させ、クエン酸被覆金ナノプレート中間体1懸濁液(懸濁液F)を作製した。懸濁液Fの分散媒中のCTAC濃度は0.50×10 -6 mMと計算され、PSS濃度は0.20μMと計算された。懸濁液F中の金ナノプレートのゼータ電位は−47.5 ± 1.0であった。ゼータ電位測定は大塚電子株式会社のPhotal ELS−Zを用いた。懸濁液Fを遠心分離(8,000×g、30℃、10分間)してクエン酸被覆金ナノプレート中間体1を沈殿させ、上澄み液39.6mLを除去した。その後、遠沈管底部のクエン酸被覆金ナノプレート中間体1に4.5mMのクエン酸三ナトリウム水溶液39.6mLを添加して再分散させ、クエン酸被覆金ナノプレート中間体2懸濁液(懸濁液G)を作製した。懸濁液Gの分散媒中のCTAC濃度は0.50×10 -8 mMと計算され、PSS濃度は0.20×10 -2 μMと計算された。懸濁液G中の金ナノプレートのゼータ電位は−44.2 ± 1.7であった。ゼータ電位測定は大塚電子株式会社のPhotal ELS−Zを用いた。懸濁液Gを遠心分離(8,000×g、30℃、10分間)してクエン酸被覆金ナノプレート中間体2を沈殿させ、上澄み液39.6mLを除去した。その後、クエン酸被覆金ナノプレート中間体2に4.5mMのクエン酸水溶液を39.6mL添加して再分散させ、クエン酸被覆金ナノプレート懸濁液(懸濁液H)を作製した。懸濁液Hの分散媒中のCTAC濃度は0.50×10 -10 mMと計算され、PSS濃度は0.20×10 -4 μMと計算された。懸濁液H中の金ナノプレートのゼータ電位は−42.2 ± 1.4であった。ゼータ電位測定は大塚電子株式会社のPhotal ELS−Zを用いた。懸濁液HのpHを室温下(20℃)で測定した結果、pH8.4であった。pH測定は株式会社堀場製作所のTwin pHメータ B−212(ガラス電極法)を用いた。
懸濁液Hを超純水で4倍容に希釈した懸濁液の色調はシアン調であった。この4倍希釈懸濁液の光学特性を図8に示す。最大吸収を示す波長は638nm(消光度:0.33)であった。プレート状ではない多面体又は球状の金ナノ粒子の最大吸収波長である540nmの消光度は0.14であったので、金ナノプレートの純度指数は0.42と計算された。消光度比率より、懸濁液Hの金含有率の概算値は、懸濁液の総質量に対して0.0045質量%であった。光学特性の測定は、株式会社島津製作所製の紫外可視近赤外分光光度計MPC3100UV−3100PCを用い、光路長:1cm及び測定波長:190−1300nmの条件下で行われた。
懸濁液H中の金ナノプレートを超高分解能分析走査電子顕微鏡SU−70(株式会社日立製作所製)により、走査電子顕微鏡(SEM)観察を行った結果を図9に示す。SEM観察より、金ナノプレートの最大長さは55nm、厚さは19nmで、アスペクト比は2.9であることがわかった。
(5−2)クエン酸被覆金ナノプレート懸濁液(懸濁液S〜V)の作製
金ナノプレート懸濁液Bを懸濁液Hとする上記工程を、懸濁液O〜Rについても同様に実施し、クエン酸被覆金ナノプレート懸濁液(懸濁液S〜V)を作製した。
懸濁液S
懸濁液Sの分散媒中のCTAC濃度は0.50×10 -10 mMと計算され、PSS濃度は0.20×10 -4 μMと計算された。懸濁液S中の金ナノプレートのゼータ電位は−41.5 ± 0.5であった。懸濁液SのpHを室温下(20℃)で測定した結果、pH7.9であった。懸濁液Sを超純水で4倍容に希釈した懸濁液の色調はシアン調であった。最大吸収を示す波長は634nm(消光度:0.32)であった。プレート状ではない多面体又は球状の金ナノ粒子の最大吸収波長である540nmの消光度は0.12であったので、金ナノプレートの純度指数は0.38と計算された。消光度比率より、懸濁液Sの金含有率の概算値は、懸濁液の総質量に対して0.0034質量%であった。
懸濁液T
懸濁液Tの分散媒中のCTAC濃度は0.50×10 -10 mMと計算され、PSS濃度は0.20×10 -4 μMと計算された。懸濁液T中の金ナノプレートのゼータ電位は−42.2 ± 1.2であった。懸濁液TのpHを室温下(20℃)で測定した結果、pH8.2であった。懸濁液Tを超純水で4倍容に希釈した懸濁液の色調は薄水色調であった。最大吸収を示す波長は658nm(消光度:0.23)であった。プレート状ではない多面体又は球状の金ナノ粒子の最大吸収波長である540nmの消光度は0.07であったので、金ナノプレートの純度指数は0.30と計算された。消光度比率より、懸濁液Tの金含有率の概算値は、懸濁液の総質量に対して0.0023質量%であった。
懸濁液U
懸濁液Uの分散媒中のCTAC濃度は0.50×10 -10 mMと計算され、PSS濃度は0.20×10 -4 μMと計算された。懸濁液U中の金ナノプレートのゼータ電位は−41.7 ± 2.7であった。懸濁液UのpHを室温下(20℃)で測定した結果、pH8.1であった。懸濁液Uを超純水で4倍容に希釈した懸濁液の色調は青色調であった。最大吸収を示す波長は618nm(消光度:0.28)であった。プレート状ではない多面体又は球状の金ナノ粒子の最大吸収波長である540nmの消光度は0.13であったので、金ナノプレートの純度指数は0.46と計算された。消光度比率より、懸濁液Uの金含有率の概算値は、懸濁液の総質量に対して0.0033質量%であった。
懸濁液V
懸濁液Vの分散媒中のCTAC濃度は0.50×10 -10 mMと計算され、PSS濃度は0.20×10 -4 μMと計算された。懸濁液V中の金ナノプレートのゼータ電位は−40.8 ± 1.5であった。懸濁液VのpHを室温下(20℃)で測定した結果、pH8.2であった。懸濁液Vを超純水で4倍容に希釈した懸濁液の色調は青色調であった。最大吸収を示す波長は592nm(消光度:0.11)であった。プレート状ではない多面体又は球状の金ナノ粒子の最大吸収波長である540nmの消光度は0.07であったので、金ナノプレートの純度指数は0.64と計算された。消光度比率より、懸濁液Uの金含有率の概算値は、懸濁液の総質量に対して0.0017質量%であった。
懸濁液S〜Vのゼータ電位測定は大塚電子株式会社のPhotal ELS−Zを用いた。懸濁液S〜VのpH測定は株式会社堀場製作所のTwin pHメータ B−212(ガラス電極法)を用いた。懸濁液S〜Vの光学特性の測定は、株式会社島津製作所製の紫外可視近赤外分光光度計MPC3100UV−3100PCを用い、光路長:1cm及び測定波長:190−1300nmの条件下で行われた。また、懸濁液S〜Vの懸濁液の光学特性を図33、最大吸収波長の消光度を1.0とした際の光学特性を図34に示す。
金ナノプレート懸濁液Bを懸濁液Hとする上記工程を、懸濁液O〜Rについても同様に実施し、クエン酸被覆金ナノプレート懸濁液(懸濁液S〜V)を作製した。
懸濁液S
懸濁液Sの分散媒中のCTAC濃度は0.50×10 -10 mMと計算され、PSS濃度は0.20×10 -4 μMと計算された。懸濁液S中の金ナノプレートのゼータ電位は−41.5 ± 0.5であった。懸濁液SのpHを室温下(20℃)で測定した結果、pH7.9であった。懸濁液Sを超純水で4倍容に希釈した懸濁液の色調はシアン調であった。最大吸収を示す波長は634nm(消光度:0.32)であった。プレート状ではない多面体又は球状の金ナノ粒子の最大吸収波長である540nmの消光度は0.12であったので、金ナノプレートの純度指数は0.38と計算された。消光度比率より、懸濁液Sの金含有率の概算値は、懸濁液の総質量に対して0.0034質量%であった。
懸濁液T
懸濁液Tの分散媒中のCTAC濃度は0.50×10 -10 mMと計算され、PSS濃度は0.20×10 -4 μMと計算された。懸濁液T中の金ナノプレートのゼータ電位は−42.2 ± 1.2であった。懸濁液TのpHを室温下(20℃)で測定した結果、pH8.2であった。懸濁液Tを超純水で4倍容に希釈した懸濁液の色調は薄水色調であった。最大吸収を示す波長は658nm(消光度:0.23)であった。プレート状ではない多面体又は球状の金ナノ粒子の最大吸収波長である540nmの消光度は0.07であったので、金ナノプレートの純度指数は0.30と計算された。消光度比率より、懸濁液Tの金含有率の概算値は、懸濁液の総質量に対して0.0023質量%であった。
懸濁液U
懸濁液Uの分散媒中のCTAC濃度は0.50×10 -10 mMと計算され、PSS濃度は0.20×10 -4 μMと計算された。懸濁液U中の金ナノプレートのゼータ電位は−41.7 ± 2.7であった。懸濁液UのpHを室温下(20℃)で測定した結果、pH8.1であった。懸濁液Uを超純水で4倍容に希釈した懸濁液の色調は青色調であった。最大吸収を示す波長は618nm(消光度:0.28)であった。プレート状ではない多面体又は球状の金ナノ粒子の最大吸収波長である540nmの消光度は0.13であったので、金ナノプレートの純度指数は0.46と計算された。消光度比率より、懸濁液Uの金含有率の概算値は、懸濁液の総質量に対して0.0033質量%であった。
懸濁液V
懸濁液Vの分散媒中のCTAC濃度は0.50×10 -10 mMと計算され、PSS濃度は0.20×10 -4 μMと計算された。懸濁液V中の金ナノプレートのゼータ電位は−40.8 ± 1.5であった。懸濁液VのpHを室温下(20℃)で測定した結果、pH8.2であった。懸濁液Vを超純水で4倍容に希釈した懸濁液の色調は青色調であった。最大吸収を示す波長は592nm(消光度:0.11)であった。プレート状ではない多面体又は球状の金ナノ粒子の最大吸収波長である540nmの消光度は0.07であったので、金ナノプレートの純度指数は0.64と計算された。消光度比率より、懸濁液Uの金含有率の概算値は、懸濁液の総質量に対して0.0017質量%であった。
懸濁液S〜Vのゼータ電位測定は大塚電子株式会社のPhotal ELS−Zを用いた。懸濁液S〜VのpH測定は株式会社堀場製作所のTwin pHメータ B−212(ガラス電極法)を用いた。懸濁液S〜Vの光学特性の測定は、株式会社島津製作所製の紫外可視近赤外分光光度計MPC3100UV−3100PCを用い、光路長:1cm及び測定波長:190−1300nmの条件下で行われた。また、懸濁液S〜Vの懸濁液の光学特性を図33、最大吸収波長の消光度を1.0とした際の光学特性を図34に示す。
2.金被覆銀ナノプレートを含む懸濁液
(1)銀ナノプレート種粒子の作製
2.5mMのクエン酸三ナトリウム水溶液20mLに、0.5g/Lの分子量70,000ポリスチレンスルホン酸水溶液1mLと、10mMの水素化ホウ素ナトリウム水溶液1.2mLとを添加し、次いで、20mL/分で攪拌しながら、0.5mMの硝酸銀水溶液50mLを添加した。得られた溶液をインキュベーター(30℃)中で60分間静置し、銀ナノプレート種粒子の懸濁液を作製した。
作製した懸濁液(原液)の光学特性を図10に示す。光学特性の測定は、株式会社島津製作所製の紫外可視近赤外分光光度計MPC3100UV−3100PCを用い、光路長:1cm及び測定波長:190−1300nmの条件下で行われた。銀ナノプレート種粒子の最大吸収波長は、球状銀ナノ粒子のLSPR由来の最大吸収波長に相当する396nm(消光度3.3)であった。なお、本発明の消光度とは懸濁液を分光光度計で測定した際の吸光度の値である。また、超高分解能分析走査電子顕微鏡SU−70(株式会社日立製作所製)により、走査電子顕微鏡(SEM)観察を行った結果を図11に示す。SEM観察より、粒子径は主に3nm以上、10nm未満の粒子(アスペクト比は約1.0)であることがわかった。
(1)銀ナノプレート種粒子の作製
2.5mMのクエン酸三ナトリウム水溶液20mLに、0.5g/Lの分子量70,000ポリスチレンスルホン酸水溶液1mLと、10mMの水素化ホウ素ナトリウム水溶液1.2mLとを添加し、次いで、20mL/分で攪拌しながら、0.5mMの硝酸銀水溶液50mLを添加した。得られた溶液をインキュベーター(30℃)中で60分間静置し、銀ナノプレート種粒子の懸濁液を作製した。
作製した懸濁液(原液)の光学特性を図10に示す。光学特性の測定は、株式会社島津製作所製の紫外可視近赤外分光光度計MPC3100UV−3100PCを用い、光路長:1cm及び測定波長:190−1300nmの条件下で行われた。銀ナノプレート種粒子の最大吸収波長は、球状銀ナノ粒子のLSPR由来の最大吸収波長に相当する396nm(消光度3.3)であった。なお、本発明の消光度とは懸濁液を分光光度計で測定した際の吸光度の値である。また、超高分解能分析走査電子顕微鏡SU−70(株式会社日立製作所製)により、走査電子顕微鏡(SEM)観察を行った結果を図11に示す。SEM観察より、粒子径は主に3nm以上、10nm未満の粒子(アスペクト比は約1.0)であることがわかった。
(2)銀ナノプレートの作製
超純水200mLに、10mMのアスコルビン酸水溶液4.5mLを添加し、上記(1)で作製した銀ナノプレート種粒子の懸濁液2mLをさらに添加した。得られた溶液に、0.5mMの硝酸銀水溶液120mLを30mL/分で攪拌しながら添加した。硝酸銀水溶液の添加が終了した4分後に攪拌を停止し、25mMのクエン酸三ナトリウム水溶液20mLを添加し、得られた溶液を大気雰囲気下のインキュベーター(30℃)中で100時間静置し、銀ナノプレートの懸濁液を作製した。
作製した懸濁液を超純水で4倍容に希釈した懸濁液の光学特性を図12に示す。最大吸収を示す波長は618nm(消光度1.20)であった。光学特性の測定は、株式会社島津製作所製の紫外可視近赤外分光光度計MPC3100UV−3100PCを用い、光路長:1cm及び測定波長:190−1300nmの条件下で行われた。懸濁液中の銀ナノプレートをSEMにより観察したところ、銀ナノプレートの平均粒子径は50nmであり、平均厚さは10nmで、アスペクト比は5.0であることがわかった。SEM観察写真の解析には株式会社日立製作所製の超高分解能分析走査電子顕微鏡SU−70を用いた。
超純水200mLに、10mMのアスコルビン酸水溶液4.5mLを添加し、上記(1)で作製した銀ナノプレート種粒子の懸濁液2mLをさらに添加した。得られた溶液に、0.5mMの硝酸銀水溶液120mLを30mL/分で攪拌しながら添加した。硝酸銀水溶液の添加が終了した4分後に攪拌を停止し、25mMのクエン酸三ナトリウム水溶液20mLを添加し、得られた溶液を大気雰囲気下のインキュベーター(30℃)中で100時間静置し、銀ナノプレートの懸濁液を作製した。
作製した懸濁液を超純水で4倍容に希釈した懸濁液の光学特性を図12に示す。最大吸収を示す波長は618nm(消光度1.20)であった。光学特性の測定は、株式会社島津製作所製の紫外可視近赤外分光光度計MPC3100UV−3100PCを用い、光路長:1cm及び測定波長:190−1300nmの条件下で行われた。懸濁液中の銀ナノプレートをSEMにより観察したところ、銀ナノプレートの平均粒子径は50nmであり、平均厚さは10nmで、アスペクト比は5.0であることがわかった。SEM観察写真の解析には株式会社日立製作所製の超高分解能分析走査電子顕微鏡SU−70を用いた。
(3)金被覆銀ナノプレートの作製(色調:シアン)
上記(2)で作製した銀ナノプレートの懸濁液120mLに、0.125mMのポリビニルピロリドン(PVP)(分子量:40,000)の水溶液9.1mLを添加し、0.5Mのアスコルビン酸水溶液1.6mLを添加した後、0.14mMの塩化金酸水溶液9.6mLを0.5mL/分で攪拌しながら添加した。得られた溶液をインキュベーター(30℃)中に24時間静置し、銀ナノプレートの表面が金で被覆された金被覆銀ナノプレートの懸濁液を作製した。
金被覆銀ナノプレートの懸濁液の主要分散媒は水であった。この懸濁液に含まれる金被覆銀ナノプレートは、主面の最大長(粒子径)の平均が50nmの三角形状を含む多角形状、円形状であるプレートの混合物であり、厚さの平均は10nmであった。また、当該金被覆銀ナノプレートにおける金の厚さの平均は0.30nmであった。
金被覆銀ナノプレートの懸濁液のpHは、室温下(20℃)で4.0であった。pH測定は株式会社堀場製作所のTwin pHメータ B−212(ガラス電極法)を用いた。
金被覆銀ナノプレートの懸濁液の銀含有率は、懸濁液の総質量に対して0.0016質量%であった。
上記(2)で作製した銀ナノプレートの懸濁液120mLに、0.125mMのポリビニルピロリドン(PVP)(分子量:40,000)の水溶液9.1mLを添加し、0.5Mのアスコルビン酸水溶液1.6mLを添加した後、0.14mMの塩化金酸水溶液9.6mLを0.5mL/分で攪拌しながら添加した。得られた溶液をインキュベーター(30℃)中に24時間静置し、銀ナノプレートの表面が金で被覆された金被覆銀ナノプレートの懸濁液を作製した。
金被覆銀ナノプレートの懸濁液の主要分散媒は水であった。この懸濁液に含まれる金被覆銀ナノプレートは、主面の最大長(粒子径)の平均が50nmの三角形状を含む多角形状、円形状であるプレートの混合物であり、厚さの平均は10nmであった。また、当該金被覆銀ナノプレートにおける金の厚さの平均は0.30nmであった。
金被覆銀ナノプレートの懸濁液のpHは、室温下(20℃)で4.0であった。pH測定は株式会社堀場製作所のTwin pHメータ B−212(ガラス電極法)を用いた。
金被覆銀ナノプレートの懸濁液の銀含有率は、懸濁液の総質量に対して0.0016質量%であった。
(4)金被覆銀ナノプレートの懸濁液のpH調整
上記(3)で得られた懸濁液の1.95mLに、200mMのリン酸緩衝生理食塩水(二価イオンを含まない;以下、「PBS(−)緩衝液」ということもある)0.05mLおよび190mMの炭酸ナトリウム水溶液0.025mLを攪拌しながら添加し、pH調整された金被覆銀ナノプレートの懸濁液(懸濁液I)を作製した。
懸濁液Iを超純水で3.4倍容に希釈した懸濁液の光学特性を図13に示す。最大吸収を示す波長は628nm(消光度1.07)であった。光学特性の測定は、株式会社島津製作所製の紫外可視近赤外分光光度計MPC3100UV−3100PCを用い、光路長:1cm及び測定波長:190−1300nmの条件下で行われた。
懸濁液Iの主要分散媒は水であった。
懸濁液Iに含まれる金被覆銀ナノプレートは、三角形状を含む多角形状であるプレートと円形状であるプレートとの混合物であり、主面の最大長の平均は50nmで、厚さの平均は10nmであった。また、懸濁液Iに含まれる金被覆銀ナノプレートにおける金の厚さの平均は0.30nmであった。超高分解能分析走査電子顕微鏡SU−70(株式会社日立製作所製)により、走査電子顕微鏡(SEM)観察を行った結果を図14に示す。
懸濁液Iの3倍希釈溶液の色調はシアンであった。
懸濁液IのpHは、室温下(20℃)で7.3であった。
懸濁液Iの銀含有率は、懸濁液の総質量に対して0.0015質量%であった。
上記(3)で得られた懸濁液の1.95mLに、200mMのリン酸緩衝生理食塩水(二価イオンを含まない;以下、「PBS(−)緩衝液」ということもある)0.05mLおよび190mMの炭酸ナトリウム水溶液0.025mLを攪拌しながら添加し、pH調整された金被覆銀ナノプレートの懸濁液(懸濁液I)を作製した。
懸濁液Iを超純水で3.4倍容に希釈した懸濁液の光学特性を図13に示す。最大吸収を示す波長は628nm(消光度1.07)であった。光学特性の測定は、株式会社島津製作所製の紫外可視近赤外分光光度計MPC3100UV−3100PCを用い、光路長:1cm及び測定波長:190−1300nmの条件下で行われた。
懸濁液Iの主要分散媒は水であった。
懸濁液Iに含まれる金被覆銀ナノプレートは、三角形状を含む多角形状であるプレートと円形状であるプレートとの混合物であり、主面の最大長の平均は50nmで、厚さの平均は10nmであった。また、懸濁液Iに含まれる金被覆銀ナノプレートにおける金の厚さの平均は0.30nmであった。超高分解能分析走査電子顕微鏡SU−70(株式会社日立製作所製)により、走査電子顕微鏡(SEM)観察を行った結果を図14に示す。
懸濁液Iの3倍希釈溶液の色調はシアンであった。
懸濁液IのpHは、室温下(20℃)で7.3であった。
懸濁液Iの銀含有率は、懸濁液の総質量に対して0.0015質量%であった。
3.PVP安定化球状金ナノ粒子の懸濁液
(1)PVP安定化球状金ナノ粒子懸濁液の作製
市販の球状金ナノ粒子(粒子径:40nm、濃度:0.0068質量%)12mLに0.125mMのポリビニルピロリドン(PVP)(分子量:40,000)の水溶液0.91mLを攪拌しながら添加した。得られた溶液をインキュベーター(30℃)中に24時間静置し、PVP安定化球状金ナノ粒子懸濁液を作製した。
(2)PVP安定化球状金ナノ粒子懸濁液のpH調整
(1)で得られた懸濁液Jの1.95mLに200mMのPBS緩衝液0.05mLおよび190mMの炭酸ナトリウム水溶液0.025mLを攪拌しながら添加し、pH調整されたPVP安定化球状金ナノ粒子懸濁液(懸濁液J)を作製した。
調製した懸濁液Jを超純水で3.8倍容に希釈した水懸濁液の光学特性を図15に示す。最大吸収を示す波長は522nm(消光度0.38)であった。光学特性の測定は、株式会社島津製作所製の紫外可視近赤外分光光度計MPC3100UV−3100PCを用い、光路長:1cm及び測定波長:190−1300nmの条件下で行われた。
懸濁液の主要分散媒は水であった。
懸濁液Jに含まれる球状金ナノ粒子は、平均粒子径が40nmであった。
懸濁液Jの色調は赤色であった。
懸濁液JのpHは、室温下(20℃)で7.0であった。
懸濁液Jの金含有率は、懸濁液の総質量に対して質量0.0061質量%であった。
(1)PVP安定化球状金ナノ粒子懸濁液の作製
市販の球状金ナノ粒子(粒子径:40nm、濃度:0.0068質量%)12mLに0.125mMのポリビニルピロリドン(PVP)(分子量:40,000)の水溶液0.91mLを攪拌しながら添加した。得られた溶液をインキュベーター(30℃)中に24時間静置し、PVP安定化球状金ナノ粒子懸濁液を作製した。
(2)PVP安定化球状金ナノ粒子懸濁液のpH調整
(1)で得られた懸濁液Jの1.95mLに200mMのPBS緩衝液0.05mLおよび190mMの炭酸ナトリウム水溶液0.025mLを攪拌しながら添加し、pH調整されたPVP安定化球状金ナノ粒子懸濁液(懸濁液J)を作製した。
調製した懸濁液Jを超純水で3.8倍容に希釈した水懸濁液の光学特性を図15に示す。最大吸収を示す波長は522nm(消光度0.38)であった。光学特性の測定は、株式会社島津製作所製の紫外可視近赤外分光光度計MPC3100UV−3100PCを用い、光路長:1cm及び測定波長:190−1300nmの条件下で行われた。
懸濁液の主要分散媒は水であった。
懸濁液Jに含まれる球状金ナノ粒子は、平均粒子径が40nmであった。
懸濁液Jの色調は赤色であった。
懸濁液JのpHは、室温下(20℃)で7.0であった。
懸濁液Jの金含有率は、懸濁液の総質量に対して質量0.0061質量%であった。
4.イムノクロマト試験
実施例及び比較例の各懸濁液を下記手順のイムノクロマト試験を用いて、試験結果を評価した。
(1)イムノクロマト試験に使用する展開液の作製(金ナノプレートの各種懸濁液への特異的結合物質の担持;検出試薬の標識)
1mMのPBS(−)緩衝液中における濃度50μg/mLのB型肝炎ウイルス抗原(HBs抗原)に対する抗体(品名:Goat anti HBsAg、製造元:Arista Biologicals,Inc.)(イムノクロマト法における検出抗体)の溶液0.2mLと、金ナノプレートの各種懸濁液(懸濁液A〜H、S〜V)1.8mLとを混合し、得られた混合物を室温下で60分間振とうした。次いで、1mMのPBS(−)緩衝液中における濃度0.4mMの末端がチオール基で修飾されたポリエチレングリコールであるSUNBRIGHT ME−020SH(分子量:2,000、NOF CORPORATION製)の溶液0.044mLを添加し、得られた懸濁液を室温下で30分間振とうした。次いで、1mMのPBS(−)緩衝液中における濃度0.5mMのウシ血清アルブミン(品名:Bovine Serum Albumin、略称:BSA、分子量:66kDa、製造元:Sigma−Aldrich)の溶液を0.100mL添加し、得られた懸濁液を室温下で30分間振とうした。次いで、この懸濁液を遠心分離(8,000×g、30℃、10分間)して抗体−金ナノプレート複合体を沈殿させ、上澄み液1.90mLを除去した。その後、抗体−金ナノプレート複合体に、1mMのPBS(−)緩衝液(4.9μMのBSA含有)を0.40mL添加して再分散させ、株式会社島津製作所製の紫外可視近赤外分光光度計MPC3100UV−3100PCを使用して消光度(Extinction)が1.0になるように調整し、展開液を作製した。
実施例及び比較例の各懸濁液を下記手順のイムノクロマト試験を用いて、試験結果を評価した。
(1)イムノクロマト試験に使用する展開液の作製(金ナノプレートの各種懸濁液への特異的結合物質の担持;検出試薬の標識)
1mMのPBS(−)緩衝液中における濃度50μg/mLのB型肝炎ウイルス抗原(HBs抗原)に対する抗体(品名:Goat anti HBsAg、製造元:Arista Biologicals,Inc.)(イムノクロマト法における検出抗体)の溶液0.2mLと、金ナノプレートの各種懸濁液(懸濁液A〜H、S〜V)1.8mLとを混合し、得られた混合物を室温下で60分間振とうした。次いで、1mMのPBS(−)緩衝液中における濃度0.4mMの末端がチオール基で修飾されたポリエチレングリコールであるSUNBRIGHT ME−020SH(分子量:2,000、NOF CORPORATION製)の溶液0.044mLを添加し、得られた懸濁液を室温下で30分間振とうした。次いで、1mMのPBS(−)緩衝液中における濃度0.5mMのウシ血清アルブミン(品名:Bovine Serum Albumin、略称:BSA、分子量:66kDa、製造元:Sigma−Aldrich)の溶液を0.100mL添加し、得られた懸濁液を室温下で30分間振とうした。次いで、この懸濁液を遠心分離(8,000×g、30℃、10分間)して抗体−金ナノプレート複合体を沈殿させ、上澄み液1.90mLを除去した。その後、抗体−金ナノプレート複合体に、1mMのPBS(−)緩衝液(4.9μMのBSA含有)を0.40mL添加して再分散させ、株式会社島津製作所製の紫外可視近赤外分光光度計MPC3100UV−3100PCを使用して消光度(Extinction)が1.0になるように調整し、展開液を作製した。
(2)イムノクロマト試験に使用する展開液の作製(金被覆銀ナノプレートへの特異的結合物質の担持(検出試薬の標識))
1mMのPBS(−)緩衝液中における濃度50μg/mLのB型肝炎ウイルス抗原(HBs抗原)に対する抗体(品名:Goat anti HBsAg、製造元:Arista Biologicals,Inc.)(イムノクロマト法における検出抗体)の溶液0.2mLと、金被覆銀ナノプレート懸濁液(懸濁液I)1.8mLとを混合し、得られた混合物を室温下で60分間振とうした。次いで、1mMのPBS(−)緩衝液中における濃度0.4mMの末端がチオール基で修飾されたポリエチレングリコールであるSUNBRIGHT ME−020SH(分子量:2,000、NOF CORPORATION製)の溶液0.044mLを添加し、得られた懸濁液を室温下で30分間振とうした。次いで、1mMのPBS(−)緩衝液中における濃度0.5mMのウシ血清アルブミン(品名:Bovine Serum Albumin、略称:BSA、分子量:66kDa、製造元:Sigma−Aldrich)の溶液0.100mLを添加し、得られた懸濁液を室温下で30分間振とうした。次いで、この懸濁液を遠心分離(26,000×g、30℃、10分間)して抗体−金被覆銀ナノプレート複合体を沈殿させ、上澄み液1.90mLを除去した。その後、抗体−金被覆銀ナノプレート複合体に、1mMのPBS(−)緩衝液(4.9μMのBSA含有)を1.90mL添加して再分散させ、株式会社島津製作所製の紫外可視近赤外分光光度計MPC3100UV−3100PCを使用して消光度(Extinction)が1.0になるように調整し、展開液I(色調:シアン)を作製した。
1mMのPBS(−)緩衝液中における濃度50μg/mLのB型肝炎ウイルス抗原(HBs抗原)に対する抗体(品名:Goat anti HBsAg、製造元:Arista Biologicals,Inc.)(イムノクロマト法における検出抗体)の溶液0.2mLと、金被覆銀ナノプレート懸濁液(懸濁液I)1.8mLとを混合し、得られた混合物を室温下で60分間振とうした。次いで、1mMのPBS(−)緩衝液中における濃度0.4mMの末端がチオール基で修飾されたポリエチレングリコールであるSUNBRIGHT ME−020SH(分子量:2,000、NOF CORPORATION製)の溶液0.044mLを添加し、得られた懸濁液を室温下で30分間振とうした。次いで、1mMのPBS(−)緩衝液中における濃度0.5mMのウシ血清アルブミン(品名:Bovine Serum Albumin、略称:BSA、分子量:66kDa、製造元:Sigma−Aldrich)の溶液0.100mLを添加し、得られた懸濁液を室温下で30分間振とうした。次いで、この懸濁液を遠心分離(26,000×g、30℃、10分間)して抗体−金被覆銀ナノプレート複合体を沈殿させ、上澄み液1.90mLを除去した。その後、抗体−金被覆銀ナノプレート複合体に、1mMのPBS(−)緩衝液(4.9μMのBSA含有)を1.90mL添加して再分散させ、株式会社島津製作所製の紫外可視近赤外分光光度計MPC3100UV−3100PCを使用して消光度(Extinction)が1.0になるように調整し、展開液I(色調:シアン)を作製した。
(3)イムノクロマト試験に使用する展開液の作製(球状金ナノ粒子への特異的結合物質の担持;検出試薬の標識)
1mMのPBS(−)緩衝液中における濃度50μg/mLのB型肝炎ウイルス抗原(HBs抗原)に対する抗体(品名:Goat anti HBsAg、製造元:Arista Biologicals,Inc.)(イムノクロマト法における検出抗体)の溶液0.2mLと、PVP安定化球状金ナノ粒子懸濁液(懸濁液J)1.8mLとを混合し、得られた混合物を室温下で60分間振とうした。次いで、1mMのPBS(−)緩衝液中における濃度0.8mMの末端がチオール基で修飾されたポリエチレングリコールであるSUNBRIGHT ME−020SH(分子量:2,000、NOF CORPORATION製)の溶液0.044mLを添加し、得られた懸濁液を室温下で30分間振とうした。次いで、1mMのPBS(−)緩衝液中における濃度0.5mMのウシ血清アルブミン(品名:Bovine Serum Albumin、略称:BSA、分子量:66kDa、製造元:Sigma−Aldrich)の溶液0.100mLを添加し、得られた懸濁液を室温下で30分間振とうした。次いで、この懸濁液を遠心分離(4200×g、30℃、10分間)して抗体−球状金ナノ粒子複合体を沈殿させ、上澄み液1.90mLを除去した。その後、抗体−球状金ナノ粒子複合体に、1mMのPBS(−)緩衝液(4.9μMのBSA含有)を1.90mL添加して再分散させ、株式会社島津製作所製の紫外可視近赤外分光光度計MPC3100UV−3100PCを使用して消光度(Extinction)が1.0になるように調整し、展開液J(色調:赤色)を作製した。
1mMのPBS(−)緩衝液中における濃度50μg/mLのB型肝炎ウイルス抗原(HBs抗原)に対する抗体(品名:Goat anti HBsAg、製造元:Arista Biologicals,Inc.)(イムノクロマト法における検出抗体)の溶液0.2mLと、PVP安定化球状金ナノ粒子懸濁液(懸濁液J)1.8mLとを混合し、得られた混合物を室温下で60分間振とうした。次いで、1mMのPBS(−)緩衝液中における濃度0.8mMの末端がチオール基で修飾されたポリエチレングリコールであるSUNBRIGHT ME−020SH(分子量:2,000、NOF CORPORATION製)の溶液0.044mLを添加し、得られた懸濁液を室温下で30分間振とうした。次いで、1mMのPBS(−)緩衝液中における濃度0.5mMのウシ血清アルブミン(品名:Bovine Serum Albumin、略称:BSA、分子量:66kDa、製造元:Sigma−Aldrich)の溶液0.100mLを添加し、得られた懸濁液を室温下で30分間振とうした。次いで、この懸濁液を遠心分離(4200×g、30℃、10分間)して抗体−球状金ナノ粒子複合体を沈殿させ、上澄み液1.90mLを除去した。その後、抗体−球状金ナノ粒子複合体に、1mMのPBS(−)緩衝液(4.9μMのBSA含有)を1.90mL添加して再分散させ、株式会社島津製作所製の紫外可視近赤外分光光度計MPC3100UV−3100PCを使用して消光度(Extinction)が1.0になるように調整し、展開液J(色調:赤色)を作製した。
使用した金ナノプレートの懸濁液の物性と作製された展開液との関係を、次の表1に示す。懸濁液及び展開液のそれぞれについて、C〜H及びS〜Vが本発明の実施例に相当し、A、B、I、及びJが比較例に相当する。
(4)イムノクロマト試験
図16に示す手順により、B型肝炎ウイルス抗原(HBs抗原)を被験物質としたイムノクロマト試験を、抗HBs抗体(捕獲抗体)を直線状(図16の検出ライン)に固定化したイムノクロマト試験紙を用いて行った。
イムノクロマト試験紙はイムノクロマト試験紙の受託作製会社(有限会社バイオデバイステクノロジー)より購入したものを使用した。捕獲抗体を直線状に固定する際、捕獲抗体を5mM PBS(−)緩衝液で濃度1mg/mLに調整したものを使用した。
第1展開液(図16(a)で用いる展開液)は、1mMのPBS(−)緩衝液中におけるHBs抗原(品名:HBsAg Protein(Subtype adr)、製造元:Fitzgerald Industries International Inc.)の溶液であった。第1展開液として、HBs抗原の濃度が6.0μM、0.6μM、0.06μM、0.006μM、0M(ブランク)の溶液を用意した。
第2展開液は1mMのPBS(−)緩衝液であった。
第3展開液(図16(c)で用いる展開液)は、上述の展開液A〜Jである。
図16に示す手順により、B型肝炎ウイルス抗原(HBs抗原)を被験物質としたイムノクロマト試験を、抗HBs抗体(捕獲抗体)を直線状(図16の検出ライン)に固定化したイムノクロマト試験紙を用いて行った。
イムノクロマト試験紙はイムノクロマト試験紙の受託作製会社(有限会社バイオデバイステクノロジー)より購入したものを使用した。捕獲抗体を直線状に固定する際、捕獲抗体を5mM PBS(−)緩衝液で濃度1mg/mLに調整したものを使用した。
第1展開液(図16(a)で用いる展開液)は、1mMのPBS(−)緩衝液中におけるHBs抗原(品名:HBsAg Protein(Subtype adr)、製造元:Fitzgerald Industries International Inc.)の溶液であった。第1展開液として、HBs抗原の濃度が6.0μM、0.6μM、0.06μM、0.006μM、0M(ブランク)の溶液を用意した。
第2展開液は1mMのPBS(−)緩衝液であった。
第3展開液(図16(c)で用いる展開液)は、上述の展開液A〜Jである。
具体的な試験手順は以下の通りであった。
イムノクロマト試験紙に、第1展開液15μLを展開させた(図16(a))。第1展開液の展開により、HBs抗原が試験紙の検出ライン上に固定化された捕獲抗体によって捕獲される(図16(b))。
次いで、第2展開液30μLを展開させて、イムノクロマト試験紙上の余剰抗原の洗浄を行った。
最後に、第3展開液60μLを展開させた(図16(c))。第3展開液の展開により、試験紙の検出ライン上で捕獲されたHBs抗原へ検出抗体(抗体−PSS被覆金ナノプレート複合体など)が結合する(図16(d))。
同一の手順をHBs濃度の異なる第1展開液ごとに繰り返した。
イムノクロマト試験紙に、第1展開液15μLを展開させた(図16(a))。第1展開液の展開により、HBs抗原が試験紙の検出ライン上に固定化された捕獲抗体によって捕獲される(図16(b))。
次いで、第2展開液30μLを展開させて、イムノクロマト試験紙上の余剰抗原の洗浄を行った。
最後に、第3展開液60μLを展開させた(図16(c))。第3展開液の展開により、試験紙の検出ライン上で捕獲されたHBs抗原へ検出抗体(抗体−PSS被覆金ナノプレート複合体など)が結合する(図16(d))。
同一の手順をHBs濃度の異なる第1展開液ごとに繰り返した。
(5)イムノクロマト試験の目視判定による評価
第3展開液展開後の検出ラインにおける金属ナノ粒子の着色を目視で確認することにより、HBs抗原の有無を判定した。結果を次の表2に示す。
++:検出ラインにおける濃い着色を確認できた。
+:検出ラインにおける着色を確認できた。
−:検出ラインにおける着色を確認できなかった。
第3展開液展開後の検出ラインにおける金属ナノ粒子の着色を目視で確認することにより、HBs抗原の有無を判定した。結果を次の表2に示す。
+:検出ラインにおける着色を確認できた。
−:検出ラインにおける着色を確認できなかった。
(6)イムノクロマト試験の輝度解析による評価
第3展開液展開後のイムノクロマト試験紙をスキャニング(装置名:Cano Scan LiDE500F、製造元:キヤノン株式会社)し、検出ライン(捕獲抗体の固定化部分)の最低輝度と、検出ライン以外の部分(対照領域)の最低輝度とを画像解析ソフト(Image−J:アメリカ国立衛生研究所でWayne Rasbandが開発したオープン・ソースで公有の画像処理ソフトウェア(http://imagej.nih.gov/ij/))を用いて数値化した。最低輝度は、検出ラインと対照領域における異なる5箇所の輝度をそれぞれ1回ずつ測定し、得られた数値の中央値を採用した。輝度差(検出ラインの最低輝度−対照領域の最低輝度)を計算し、結果を次の表3に示す。
第3展開液展開後のイムノクロマト試験紙をスキャニング(装置名:Cano Scan LiDE500F、製造元:キヤノン株式会社)し、検出ライン(捕獲抗体の固定化部分)の最低輝度と、検出ライン以外の部分(対照領域)の最低輝度とを画像解析ソフト(Image−J:アメリカ国立衛生研究所でWayne Rasbandが開発したオープン・ソースで公有の画像処理ソフトウェア(http://imagej.nih.gov/ij/))を用いて数値化した。最低輝度は、検出ラインと対照領域における異なる5箇所の輝度をそれぞれ1回ずつ測定し、得られた数値の中央値を採用した。輝度差(検出ラインの最低輝度−対照領域の最低輝度)を計算し、結果を次の表3に示す。
(7)イムノクロマト試験後の乾燥耐性試験
第1展開液中のHBs抗原濃度が6.0μMであり、第3の展開液展開後のイムノクロマト試験紙を温度20℃、湿度50%の室内で乾燥させた。乾燥開始時(0時間)、乾燥開始後24時間、48時間、168時間、720時間、720時間、2160時間経過時にイムノクロマト試験紙をスキャニング(装置名:Cano Scan LiDE500F、製造元:キヤノン株式会社)し、得られた画像をビットマップ画像編集ソフトウェアのAdobe Photoshopで取り込み、検出ライン、及び対象領域(検出ライン又は検出ライン以外の部分)のCIELAB D50を測定した。検出ラインと対象領域の色差(ΔE)を、次の式1より算出した。
(式1)色差算出式
ΔE=√(ΔL2+Δa2+Δb2)
ΔL=L1−L2
Δa=a1−a2
Δb=b1−b2
(補色空間の一種であるLab色空間において、L値は明度を示し、a値及びb値は色味の強弱を示す。a値がプラスのときは赤味を示し、マイナスのとき緑味を示す。b値がプラスのときは黄味を示し、マイナスのときは青紫味を示す。式1中、L1は検出ラインのL値、L2は対照領域のL値、a1は検出ラインのa値、a2は対照領域のa値、b1は検出ラインのb値、そして、b2は対照領域のb値をそれぞれ意味する。)
第1展開液中のHBs抗原濃度が6.0μMであり、第3の展開液展開後のイムノクロマト試験紙を温度20℃、湿度50%の室内で乾燥させた。乾燥開始時(0時間)、乾燥開始後24時間、48時間、168時間、720時間、720時間、2160時間経過時にイムノクロマト試験紙をスキャニング(装置名:Cano Scan LiDE500F、製造元:キヤノン株式会社)し、得られた画像をビットマップ画像編集ソフトウェアのAdobe Photoshopで取り込み、検出ライン、及び対象領域(検出ライン又は検出ライン以外の部分)のCIELAB D50を測定した。検出ラインと対象領域の色差(ΔE)を、次の式1より算出した。
(式1)色差算出式
ΔE=√(ΔL2+Δa2+Δb2)
ΔL=L1−L2
Δa=a1−a2
Δb=b1−b2
(補色空間の一種であるLab色空間において、L値は明度を示し、a値及びb値は色味の強弱を示す。a値がプラスのときは赤味を示し、マイナスのとき緑味を示す。b値がプラスのときは黄味を示し、マイナスのときは青紫味を示す。式1中、L1は検出ラインのL値、L2は対照領域のL値、a1は検出ラインのa値、a2は対照領域のa値、b1は検出ラインのb値、そして、b2は対照領域のb値をそれぞれ意味する。)
色差算出結果を次の表4に示す。
N.D.:データなし
イムノクロマト試験において、抗体を担持していない金ナノプレートを含む第3展開液を使用しても検出ラインの着色は観察されず、輝度差も生じていなかったが(データは掲載せず)、懸濁液C〜H又はS〜Vに由来する抗体を担持した金ナノプレートを含む第3展開液を使用すると、抗体を担持した金被覆銀ナノプレートや抗体を担持した球状の金ナノ粒子を含む第3展開液を使用した場合と同様に、目視で判定可能な明瞭なラインが観察され、顕著な輝度差も測定された。特に、前記金ナノプレートを使用した場合には、速やかに検出ラインが出現した。これに対して、懸濁液A及びBに由来する抗体を担持した金ナノプレートを含む第3展開液を使用すると、検出ラインの着色は観察されず、輝度差も生じていなかった。これは、CTACが、金ナノプレート上への抗体の担持を阻害したからであると考えられる。すなわち、CTACのヘキサデシルトリメチルアンモニウムカチオンが金ナノプレート表面で二重層を形成することで、当該カチオンが金ナノプレートの最表面を覆い、ゼータ電位がプラスになると、抗体もプラスの電荷を有しているため、金ナノプレートと抗体とが反発し合い、金ナノプレート上への抗体の担持が阻害される。一方、ポリアニオン系高分子であるPSSを用いた処理や、それに次ぐクエン酸処理を施すことで、組成物中のCTACの濃度を低減させるとともに、金ナノプレート表面をこれらの物質で覆うと、金ナノプレートのゼータ電位がマイナスとなり、当該金ナノプレート上に抗体を担持させることが可能となる。
本実施例のイムノクロマト試験と同様の結果は、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)などの他の被験物質を対象としたイムノクロマト試験においても得ることができたので、本発明の利点は、特定の実施態様に限定されるべきものではないと理解される。
本実施例のイムノクロマト試験と同様の結果は、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)などの他の被験物質を対象としたイムノクロマト試験においても得ることができたので、本発明の利点は、特定の実施態様に限定されるべきものではないと理解される。
以上より、金ナノプレートの平均アスペクト比(金ナノプレートの最大長さを厚さで割った値)が1より大きく10以下の範囲になるように金ナノプレートを作製し、N+(R)4(各Rは、それぞれ独立して、炭素数1〜20の直鎖又は分枝鎖アルキル基から選択される)で表される第四級アンモニウムカチオンの濃度が1mM以下になるように組成物を作製すれば、可視光域に最大吸収波長を有し、かつ、抗体などの被験物質に対する特異的結合物質を容易に担持することのできる金ナノプレートを含む組成物を提供することができることがわかった。
Claims (21)
- 金ナノプレートを含む、被験物質を検出するための組成物であって、
前記金ナノプレートの平均アスペクト比(金ナノプレートの最大長さを厚さで割った値)が、1より大きく10以下であり、
前記組成物中の第四級アンモニウムカチオンの濃度が、0mMより大きく1mM以下であり、
前記第四級アンモニウムカチオンが、N+(R)4(各Rは、それぞれ独立して、炭素数1〜20の直鎖又は分枝鎖アルキル基から選択される)で表されることを特徴とする、組成物。 - 前記第四級アンモニウムカチオンが、デシルトリメチルアンモニウムカチオン、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムカチオン、及び、ヘプタデシルトリメチルアンモニウムカチオンから成る群から選択される、請求項1に記載の組成物。
- 分子量500以上の水溶性高分子を含まない、請求項1又は2に記載の組成物。
- 分子量500以上の水溶性高分子をさらに含み、前記組成物中の前記分子量500以上の水溶性高分子の濃度が、0より大きく1質量%以下である、請求項1又は2に記載の組成物。
- 分子量500以上の水溶性高分子をさらに含み、前記組成物中の前記分子量500以上の水溶性高分子の濃度が、0より大きく100μM以下である、請求項1又は2に記載の組成物。
- 前記金ナノプレートと前記水溶性高分子とが複合体を形成している、請求項4又は5に記載の組成物。
- 前記水溶性高分子が、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、及び、チオール末端ポリエチレングリコールから成る群から選択される、請求項4〜6のいずれか一項に記載の組成物。
- クエン酸ナトリウムを含まない、請求項1〜7のいずれか一項に記載の組成物。
- クエン酸ナトリウムをさらに含み、前記組成物中の前記クエン酸ナトリウムの濃度が、0より大きく50mM以下である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の組成物。
- 前記金ナノプレートの平均最大長さが、100nmより小さい、請求項1〜9のいずれか一項に記載の組成物。
- 前記金ナノプレートが、表面プラズモン共鳴による光吸収ピークを550〜740nmの波長領域に有する、請求項1〜10のいずれか一項に記載の組成物。
- 赤色、マゼンタ、紫色、紺色、青色、シアン、又は、薄水色の色調を呈する、請求項1〜11のいずれか一項に記載の組成物。
- 前記金ナノプレートが、前記被験物質に対する特異的結合物質を担持している、請求項1〜12のいずれか一項に記載の組成物。
- 前記被験物質と前記特異的結合物質の組み合わせが、抗原とそれに結合する抗体、抗体とそれに結合する抗原、糖鎖又は複合糖質とそれに結合するレクチン、レクチンとそれに結合する糖鎖又は複合糖質、ホルモン又はサイトカインとそれに結合する受容体、受容体とそれに結合するホルモン又はサイトカイン、タンパク質とそれに結合する核酸アプタマー若しくはペプチドアプタマー、酵素とそれに結合する基質、基質とそれに結合する酵素、ビオチンとアビジン又はストレプトアビジン、アビジン又はストレプトアビジンとビオチン、IgGとプロテインA又はプロテインG、プロテインA又はプロテインGとIgG、及び、第1の核酸とそれに結合する第2の核酸から成る群から選択される、請求項13に記載の組成物。
- 被験物質を検出するための、請求項1〜14のいずれか一項に記載の組成物の凍結乾燥物。
- 請求項13又は14に記載の組成物又は請求項15に記載の凍結乾燥物を使用して、前記被験物質を検出する方法であって、
該組成物、又は、該凍結乾燥物の再懸濁液を、該被験物質と混合して、該被験物質と前記特異的結合物質を担持した金ナノプレートとの複合体を形成する工程、及び、
該複合体を検出する工程を含むことを特徴とする、方法。 - 前記複合体の形成を、消光度測定、吸光度測定、濁度測定、粒度分布測定、粒子径測定、ラマン散乱光測定、色調変化の観察、凝集又は沈殿形成の観察、イムノクロマトグラフィー、電気泳動、及び、フローサイトメトリーから成る群から選択される手段によって検出する、請求項16に記載の方法。
- 請求項1〜12のいずれか一項に記載の組成物中の金ナノプレートに、前記被験物質に対する特異的結合物質を担持させて、請求項13又は14に記載の組成物を調製する工程、及び/又は、請求項15に記載の凍結乾燥物を再懸濁する工程をさらに含む、請求項16又は17に記載の方法。
- 請求項1〜14のいずれか一項に記載の組成物又は請求項15に記載の凍結乾燥物を含む、請求項16〜18のいずれか一項に記載の方法に使用するためのキット。
- 請求項1〜14のいずれか一項に記載の組成物又は請求項15に記載の凍結乾燥物を製造する方法であって、
(1)金ナノプレート種粒子の懸濁液を調製する工程、及び、
(2)金ナノプレートの懸濁液を調製する工程
を含むことを特徴とする、方法。 - 前記工程(1)が、金ナノプレート種粒子を予備成長させる工程を含まない、請求項20に記載の方法。
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