JP6293718B2 - 毛髪変形処理剤 - Google Patents

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Description

本発明は、毛髪の形状を半永久的又は永久的に変形させることができる毛髪変形処理剤に関する。
毛髪の形状を半永久的ないし永久的に変形するための方法として、パーマネントウェーブのように還元剤を用いる方法や、アルカリリラクサーに代表されるpH12〜14の強アルカリ性処理剤を用いる方法がある。しかし、これらの方法は毛髪への負荷が大きく、毛髪にダメージが残りやすいことがよく知られている。また、近年毛髪の形状を半永久的ないし永久的に変形する上で毛髪へのダメージが少ない方法として、ホルムアルデヒドを多量に用いる縮毛矯正方法も開発されている。しかし、毒性の強いホルムアルデヒドを用いる方法では、その高い揮発性のため、慎重に取り扱わねばならず、決して好ましい毛髪処理方法とは言えない。
そこで、髪を傷めず、かつホルムアルデヒドを用いない、人体に対してより安全な施術方法が探索されている。例えば特許文献1では、α−ケト酸、特にグリオキシル酸を毛髪に適用し、フラットアイロンで200℃±50℃で加熱処理して強い縮毛を直毛化する技術が開示されている。また、特許文献2では、架橋剤、特にジアルデヒドを用いて毛髪を直毛化する方法が開示されている。
一方、毛髪化粧料の分野において、カテキンに代表されるフラボノイド類を使用することが検討されている。例えば特許文献2では、架橋剤と共にエピガロカテキンを配合すると、毛髪化粧料のコンディショニング性能が改善する、と記載されている。また特許文献3では、フラボノイド、過酸化水素、酵素を配合する毛髪化粧料が髪を修復し、強化すると記載されている。また、特許文献4では、ジヒドロキシアセトンを用いた染毛剤において、染毛性を改善し、悪臭を抑制するために、カテキンやグリオキサール等のカルボニルを使用することが記載されている。
欧州特許出願公開第2538916号明細書 国際公開第2009/035970号パンフレット 国際公開第2013/087644号パンフレット 独国特許出願公開第102011017519号明細書
しかしながら、特許文献1又は2に記載の方法では、半永久的な直毛化をすることはできても、毛髪に半永久的ないし永久的なウェーブやカール形状を付与することはできなかった。また、一度作った半永久的ないし永久的なストレート形状を再度、ウェーブやカールなど別の半永久的ないし永久的な形状に変えたい場合は、従来行われている還元剤を用いた施術が再度必要であるため、非常に時間と手間がかかるうえ、毛髪がダメージを受けてしまう。
また、特許文献2に記載の技術は、有効成分が遺伝子毒性を有するため、毛髪形状の変形効果を強くしたくても有効成分を多量に入れることが難しかった。更に毛髪化粧料塗布後、48時間は洗い流さずに毛髪に塗布した状態を維持しなければならない場合もあり、非常に時間と手間がかかりあまり使い勝手の良いものでは無かった。更に、特許文献3及び4のようにフラボノイドを単に毛髪に適用しても、毛髪の形状を半永久的に変形するようなことは実現できなかった。
従って、本発明は、毛髪に施術した場合にも人体に対し安全で毛髪へのダメージが少なく、半永久的ないし永久的に、直毛形状だけでなくウェーブやカール形状を付与することもでき、更には一度作った形状を、還元剤等の毛髪変形処理剤を用いずに簡単に、かつ毛髪にダメージを与えることなく、半永久的ないし永久的な別の毛髪形状に変えることができる毛髪変形処理剤及び毛髪処理方法に関する。
本発明者らは、グリオキシル酸と特定のカテキン類似化合物とを含有する毛髪処理剤が、毛髪に対して半永久的に直毛形状やカール、ウェーブ形状を付与できるばかりでなく、一度この毛髪処理剤で毛髪を処理すれば、その後は還元剤等の毛髪処理剤で処理しなくてもヘアアイロンやカーラー等の加熱手段を用いるだけで、全く異なる任意の髪型に半永久的ないし永久的に変形することが可能であることを見出し、発明を完成した。
本発明は、以下の成分(A)、(B)及び(C)を含有し、成分(A)の含有量に対する成分(B)の含有量のモル比(B)/(A)が0.01以上5以下である毛髪変形処理剤を提供するものである。
(A)グリオキシル酸又はその水和物若しくは塩
(B)次の一般式(1)で表される化合物から選ばれる1種又は2種以上
Figure 0006293718
〔式中、
1は、水素原子又はメチル基を示し、
Xは、水素原子、水酸基又はメトキシ基を示し、
Yは、水素原子、酸素原子、水酸基又はメトキシ基を示し、
Zは、水素原子又は炭素数1〜5の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基若しくはアルケニル基を示し、
xは、水素原子、酸素原子、水酸基、メトキシ基、又は水酸基若しくはメトキシ基が3個まで置換してもよく1,3-ジオキソランとの縮合環を形成してもよい芳香族炭化水素基を示し、
yは、水素原子、水酸基、メトキシ基、若しくは水酸基若しくはメトキシ基が3個まで置換してもよく1,3-ジオキソランとの縮合環を形成してもよい芳香族炭化水素基、又は水酸基若しくはメトキシ基が3個まで置換してもよいアリールカルボニルオキシ基若しくはアラルキルカルボニルオキシ基を示し、
破線は2重結合であってもよいことを示す。
ただし、Rx又はYに隣接する破線及び実線は、Rx又はYが酸素原子である場合のみ2重結合を示し、それ以外の場合には単結合を示す。
また、Zが炭素数1〜5の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基となるのは、Rx又はRyがo,p-ジヒドロキシ芳香族炭化水素基である場合のみであり、それ以外の場合には水素原子である。〕
(C)水
更に本発明は、下記工程(i)及び(ii)を含む、毛髪形状を半永久的ないし永久的に変形する毛髪処理方法を提供するものである。
(i)前記の毛髪変形処理剤を毛髪に塗布し、毛髪内に浸透させるステップ
(ii)毛髪変形処理剤が浸透した毛髪を加熱して形付けするステップ
本発明の毛髪変形処理剤は、人体に対する安全性が高く、髪のダメージも少なく、毛髪の形状を半永久的ないし永久的に変形することができ、この毛髪変形はシャンプー等で洗っても崩れない。また、一度施術すれば、再度毛髪処理剤を毛髪に浸透させる必要なしに、熱を与えるだけで、毛髪を自在に繰り返し半永久的にないし永久的に変形させることもできる。更に、熱により任意に繰り返し変形した毛髪も、毛髪形状の耐洗髪性が高く、シャンプーや水等によって形が崩れることがない。
本発明において、「半永久的ないし永久的な毛髪変形」とは、耐洗髪性が極めて優れており、シャンプーを繰り返しても毛髪の形状が維持されることをいう。具体的には、変形させた毛髪をシャンプーで洗浄し、十分に水で洗い流した後、自然乾燥させた場合、シャンプー前後で毛髪の形状が維持されていることをいう。なお、毛髪の形状が維持されるとは、例えばウェーブ形状の髪であればシャンプー前後でウェーブの数が実質的に変わらない、ストレート形状の髪であれば、シャンプーによってウェーブや縮れ毛が実質的に生じないことをいう。
本発明において、「毛髪変形」とは、毛髪内の蛋白質のS−S結合の切断及び再結合によらない変形であって、直毛状の毛髪をカール等に変形することのほか、ウェーブ、カール等の変形を付与した毛髪や天然の縮れ毛等を直毛状に変形することを含む。
〔成分(A):グリオキシル酸又はその水和物若しくは塩〕
成分(A)には、グリオキシル酸のほか、グリオキシル酸の水和物及びグリオキシル酸の塩が含まれる。グリオキシル酸の水和物としては、グリオキシル酸一水和物が挙げられる。グリオキシル酸の塩としては、グリオキシル酸アルカリ金属塩、グリオキシル酸アルカリ土類金属塩が挙げられ、アルカリ金属塩としては、例えばリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等が挙げられ、アルカリ土類金属塩としては、マグネシウム塩、カルシウム塩等が挙げられる。
本発明の毛髪変形処理剤中における成分(A)の含有量は、本発明の毛髪変形処理剤による処理後の毛髪形状の変化をより顕著にし、その毛髪形状の耐洗髪性をより一層優れたものとし、加熱による毛髪形状の半永久的な再変形時の形状の変化をより顕著にし、再変形後の毛髪形状の耐洗髪性もより一層優れたものとする観点から、グリオキシル酸換算で、好ましくは2.5質量%以上、より好ましくは3質量%以上、更に好ましくは4質量%以上、更に好ましくは5質量%以上であり、また、上述の観点に加え、皮膚への刺激を抑制する観点から、好ましくはグリオキシル酸換算で30質量%以下、より好ましくは25質量%以下、更に好ましくは20質量%以下、更に好ましくは15質量%以下、更に好ましくは12質量%以下である。
〔成分(B):一般式(1)で表される化合物〕
成分(B)は、次の一般式(1)で表される化合物である。
Figure 0006293718
〔式中、
1は、水素原子又はメチル基を示し、
Xは、水素原子、水酸基又はメトキシ基を示し、
Yは、水素原子、酸素原子、水酸基又はメトキシ基を示し、
Zは、水素原子又は炭素数1〜5の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基若しくはアルケニル基を示し、
xは、水素原子、酸素原子、水酸基、メトキシ基、又は水酸基若しくはメトキシ基が3個まで置換してもよく1,3-ジオキソランとの縮合環を形成してもよい芳香族炭化水素基を示し、
yは、水素原子、水酸基、メトキシ基、若しくは水酸基若しくはメトキシ基が3個まで置換してもよく1,3-ジオキソランとの縮合環を形成してもよい芳香族炭化水素基、又は水酸基若しくはメトキシ基が3個まで置換してもよいアリールカルボニルオキシ基若しくはアラルキルカルボニルオキシ基を示し、
破線は2重結合であってもよいことを示す。
ただし、Rx又はYに隣接する破線及び実線は、Rx又はYが酸素原子である場合のみ2重結合を示し、それ以外の場合には単結合を示す。
また、Zが炭素数1〜5の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基となるのは、Rx又はRyがo,p-ジヒドロキシ芳香族炭化水素基である場合のみであり、それ以外の場合には水素原子である。〕
Zにおける炭素数1〜5の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基としては、例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、sec-ペンチル基、tert-ペンチル基、ネオペンチル基、1-メチルペンチル基、ビニル基、アリル基、ブテニル基等が挙げられる。
x又はRyにおける芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。1,3-ジオキソランとの縮合環を形成した芳香族炭化水素基としては、1,3-ベンゾジオキソール-5-イル基等が挙げられる。
yにおけるアリールカルボニルオキシ基としては、ベンゾイルオキシ基等が挙げられ、アラルキルカルボニルオキシ基としては、ベンジルカルボニルオキシ基、フェニルエチルカルボニルオキシ基、フェニルプロピルカルボニルオキシ基、フェニルブチルカルボニルオキシ基等が挙げられる。
一般式(1)で表される化合物として、具体的には以下の(1-1)〜(1-5)が挙げられる。
(1-1) 以下の一般式(1-1)で表されるフラバノール(flavanol)類
Figure 0006293718
〔式中、
1及びXは、前記と同じ意味を示し、
1は、水素原子、水酸基又はメトキシ基を示し、
x1は、水酸基又はメトキシ基が3個まで置換してもよく1,3-ジオキソランとの縮合環を形成してもよい芳香族炭化水素基を示し、
y1は、水素原子、水酸基、メトキシ基、若しくは水酸基若しくはメトキシ基が3個まで置換してもよく1,3-ジオキソランとの縮合環を形成してもよい芳香族炭化水素基、又は水酸基若しくはメトキシ基が3個まで置換してもよいアリールカルボニルオキシ基若しくはアラルキルカルボニルオキシ基を示す。〕
(1-2) 以下の一般式(1-2)で表されるフラバノン(flavanone)類又はフラバノノール(Flavanonol)類
Figure 0006293718
〔式中、R1、X、Z及びRx1は、前記と同じ意味を示し、Ry2は、水素原子、水酸基又はメトキシ基を示す。
ただし、Zが炭素数1〜5の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基となるのは、Rx1がo,p-ジヒドロキシ芳香族炭化水素基である場合のみであり、それ以外の場合には水素原子である。〕
(1-3) 以下の一般式(1-3)で表されるフラボン(Flavone)類又はフラボノール(Flavonol)類
Figure 0006293718
〔式中、R1、X、Z、Rx1及びRy2は前記と同じ意味を示す。
ただし、Zが炭素数1〜5の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基となるのは、Rx1がo,p-ジヒドロキシ芳香族炭化水素基である場合のみであり、それ以外の場合には水素原子である。〕
(1-4) 以下の一般式(1-4)で表されるイソフラボン類又はイソフラバン類
Figure 0006293718
〔式中、
1、X、Z及び破線は、前記と同じ意味を示し、
2は、水素原子又は酸素原子を示し、
x2は、水素原子、水酸基又はメトキシ基を示し、
y3は、水酸基又はメトキシ基が3個まで置換してもよく1,3-ジオキソランとの縮合環を形成してもよい芳香族炭化水素基を示す。
ただし、Y2に隣接する破線及び実線は、Y2が酸素原子である場合のみ2重結合を示し、それ以外の場合には単結合を示す。
また、Zが炭素数1〜5の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基となるのは、Ry3がo,p-ジヒドロキシ芳香族炭化水素基である場合のみであり、それ以外の場合には水素原子である。〕
(1-5) 以下の一般式(1-5)で表されるクマリン類
Figure 0006293718
〔式中、R1及びXは、前記と同じ意味を示す〕
(1-1)の化合物としては、以下の(1-1-A)〜(1-1-C)が好ましい。
(1-1-A) 以下の一般式(1-1-A)で表されるフラバン-3-オール(Flavan-3-ol)類
Figure 0006293718
〔式中、R1、X及びRx1は前記と同じ意味を示し、Ry11は、水酸基、メトキシ基、若しくは水酸基若しくはメトキシ基が3個まで置換してもよく1,3-ジオキソランとの縮合環を形成してもよい芳香族炭化水素基、又は水酸基若しくはメトキシ基が3個まで置換してもよいアリールカルボニルオキシ基若しくはアラルキルカルボニルオキシ基を示す。〕
一般式(1-1-A)で表されるフラバン-3-オール類としては、式中のR1及びXが前記と同じ意味を示し、Rx1が水酸基又はメトキシ基が3個まで置換してもよい芳香族炭化水素基を示し、Ry1が水素原子、水酸基、メトキシ基、又は水酸基若しくはメトキシ基が3個まで置換してもよいアリールカルボニルオキシ基若しくはアラルキルカルボニルオキシ基を示す化合物が好ましい。
(1-1-A)に該当する化合物としては、カテキン(Catechin)、エピカテキン(Epicatechin)、エピガロカテキン(Epigallocatechin)、メシアダノール(Meciadanol)、アフゼレキン(Afzelechin)、エピアフゼレキン(Epiafzelechin)、カテキンガレート(Catechin gallate)、エピカテキンガレート(Epicatechin gallate)、エピガロカテキンガレート(Epigallocatechin gallate)、フィロフラバン(Phylloflavan)、フィセチニドール(Fisetinidol)、グイブルチニドール(Guibourtinidol)、ロビネチニドール(Robinetinidol)等が挙げられる。
(1-1-B) 以下の一般式(1-1-B)で表されるフラバン-4-オール(Flavan-4-ol)類
Figure 0006293718
〔式中、R1、X及びRx1は前記と同じ意味を示し、Y11は、水酸基又はメトキシ基を示す。〕
一般式(1-1-B)で表されるフラバン-4-オール類としては、式中のR1及びXが前記と同じ意味を示し、Y11が水酸基を示し、Rx1が水酸基又はメトキシ基が3個まで置換してもよい芳香族炭化水素基を示す化合物が好ましい。
(1-1-B)に該当する化合物としては、アピホロール(Apiforol)、ルテオホロール(Luteoforol)等が挙げられる。
(1-1-C) 以下の一般式(1-1-C)で表されるフラバン-3,4-ジオール(Flavan-3,4-diol)類
Figure 0006293718
〔式中、R1、X、Y11、Rx1及びRy11は前記と同じ意味を示す。〕
一般式(1-1-C)で表されるフラバン-3,4-ジオール類としては、式中のR1及びXが前記と同じ意味を示し、Y11が水酸基又はメトキシ基を示し、Rx1が水酸基又はメトキシ基が3個まで置換してもよい芳香族炭化水素基を示し、Ry1が水酸基又はメトキシ基を示す化合物が好ましい。
(1-1-C)に該当する化合物としては、ロイコシアニジン(Leucocyanidin)、ロイコデルフィニジン(Leucodelphinidin)、ロイコペラルゴニジン(Leucopelargonidin)、ロイコペオニジン(Leucopeonidin)、ロイコフィセチニジン(Leucofisetinidin)等が挙げられる。
(1-2)の化合物としては、以下の(1-2-A)及び(1-2-B)が好ましい。
(1-2-A) 以下の一般式(1-2-A)で表されるフラバノン(Flavanone)類
Figure 0006293718
〔式中、R1、X、Z及びRx1は前記と同じ意味を示す。
ただし、Zが炭素数1〜5の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基となるのは、Rx1がo,p-ジヒドロキシ芳香族炭化水素基である場合のみであり、それ以外の場合には水素原子である。〕
一般式(1-2-A)で表されるフラバノン類としては、式中のR1及びXが前記と同じ意味を示し、Zが水素原子を示し、Rx1が水酸基又はメトキシ基が3個まで置換してもよい芳香族炭化水素基を示す化合物が好ましい。
(1-2-A)に該当する化合物としては、エリオジクチオール(Eriodictyol)、ナリンゲニン(Naringenin)、ピノセムブリン(Pinocembrin)、ヘスペレチン(Hesperetin)、ホモエリオジクチオール(Homoeriodictyol)、イソサクラネチン(Isosakuranetin)、ステルビン(Sterubin)、サクラネチン(Sakuranetin)、アルピネチン(Alpinetin)、ブチン(Butin)等が挙げられる。
(1-2-B) 以下の一般式(1-2-B)で表されるフラバノノール(Flavanonol)類
Figure 0006293718
〔式中、R1、X、Z及びRx1は前記と同じ意味を示し、Ry21は、水酸基又はメトキシ基を示す。
ただし、Zが炭素数1〜5の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基となるのは、Rx1がo,p-ジヒドロキシ芳香族炭化水素基である場合のみであり、それ以外の場合には水素原子である。〕
一般式(1-2-B)で表されるフラバノノール類としては、式中のR1及びXが前記と同じ意味を示し、Zが水素原子を示し、Rx1が水酸基又はメトキシ基が3個まで置換してもよい芳香族炭化水素基を示し、Ry1が水酸基又はメトキシ基を示す化合物が好ましい。
(1-2-B)に該当する化合物としては、アロマデンドリン(Aromadendrin)、タキシフォリン(Taxifolin)、ジヒドロケンペリド(Dihydrokaempferide)等が挙げられる。
(1-3)の化合物としては、以下の(1-3-A)及び(1-3-B)が好ましい。
(1-3-A) 以下の一般式(1-3-A)で表されるフラボン(Flavone)類
Figure 0006293718
〔式中、R1、X、Z及びRx1は前記と同じ意味を示す。
ただし、Zが炭素数1〜5の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基となるのは、Rx1がo,p-ジヒドロキシ芳香族炭化水素基である場合のみであり、それ以外の場合には水素原子である。〕
一般式(1-3-A)で表されるフラボン類としては、式中のR1及びXが前記と同じ意味を示し、Zが水素原子を示し、Rx1が水酸基又はメトキシ基が3個まで置換してもよい芳香族炭化水素基を示す化合物が好ましい。
(1-3-A)に該当する化合物としては、ルテオリン(Luteolin)、アピゲニン(Apigenin)、クリシン(Chrysin)、ノルアルトカルペチン(Norartocarpetin)、トリセチン(Tricetin)、ジオスメチン(diosmetin)、アカセチン(Acacetin)、クリソエリオール(Chrysoeriol)、ゲンクワニン(Genkwanin)、テクトクリシン(Techtochrysin)、トリシン(Tricin)、4',7-ジヒドロキシフラボン(4',7-Dihydroxyflavone)、プラトール(Pratol)等が挙げられる。
(1-3-B) 以下の一般式(1-3-B)で表されるフラボノール(Flavonol)類
Figure 0006293718
〔式中、R1、X、Z、Rx1及びRy21は前記と同じ意味を示す。
ただし、Zが炭素数1〜5の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基となるのは、Rx1がo,p-ジヒドロキシ芳香族炭化水素基である場合のみであり、それ以外の場合には水素原子である。〕
一般式(1-3-B)で表されるフラボノール類は、式中のR1及びXが前記と同じ意味を示し、Zが水素原子を示し、Rx1が水酸基又はメトキシ基が3個まで置換してもよい芳香族炭化水素基を示し、Ry1が水酸基又はメトキシ基を示す化合物が好ましい。
(1-3-B)に該当する化合物としては、クェルセチン(Quercetin)、ミリセチン(Myricetin)、モリン(Morin)、ケンペロール(Kaempferol)、ガランギン(Galangin)、ケンペリド(Kaempferide)、タマリキセチン(Tamarixetin)、ラリシトリン(Laricitrin)、アンヌラチン(Annulatin)、イソラムネチン(Isorhamnetin)、シリンゲチン(Syringetin)、ラムネチン(Rhamnetin)、オイペロチン(Europetin)、アザレアチン(Azaleatin)、5-O-メチルミリセチン(5-O-Methylmyricetin)、レツシン(Retusin)、パキポドール(Pachypodol)、ラムナジン(Rhamnazin)、アヤニン(Ayanin)、オンブイン(Ombuin)、フィセチン(Fisetin)等が挙げられる。
(1-4)の化合物としては、以下の(1-4-A)〜(1-4-C)が好ましい。
(1-4-A) 以下の一般式(1-4-A)で表されるイソフラボン(Isoflavone)類
Figure 0006293718
〔式中、R1、X、Z及びRy3は前記と同じ意味を示す。
ただし、Zが炭素数1〜5の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基となるのは、Ry3がo,p-ジヒドロキシ芳香族炭化水素基である場合のみであり、それ以外の場合には水素原子である。〕
一般式(1-4-A)で表されるイソフラボン類としては、式中のR1及びXが前記と同じ意味を示し、Zが水素原子又は炭素数1〜5の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基若しくはアルケニル基を示し、Ry3が水酸基若しくはメトキシ基が3個まで置換してもよく1,3-ジオキソランとの縮合環を形成してもよい芳香族炭化水素基を示す化合物が好ましい。
(1-4-A)に該当する化合物としては、ゲニステイン(Genistein)、ダイゼイン(Daidzein)、オロボール(Orobol)、ビオカニンA(Biochanin A)、プラテンセイン(Pratensein)、5-O-メチルゲニステイン(5-O-Methylgenistein)、プルネチン(Prunetin)、カリコシン(Calycosin)、ホルモノネチン(Formononetin)、7-O-メチルルテオン(7-O-Methylluteone)、ルテオン(Luteone)、プソイドバプチゲニン(Pseudobaptigenin)等が挙げられる。
(1-4-B) 以下の一般式(1-4-B)で表されるイソフラバン(Isoflavane)類
Figure 0006293718
〔式中、R1、X及びRy3は前記と同じ意味を示す。〕
一般式(1-4-B)で表されるイソフラバン類としては、式中のR1及びXが前記と同じ意味を示し、Ry3が水酸基若しくはメトキシ基が3個まで置換してもよく1,3-ジオキソランとの縮合環を形成してもよい芳香族炭化水素基を示す化合物が好ましい。
(1-4-B)に該当する化合物としてはエクオール(Equol)等が挙げられる。
(1-4-C) 以下の一般式(1-4-C)で表されるイソフラベン(Isoflavene)類
Figure 0006293718
〔式中、R1、Rx2及びRy3は前記と同じ意味を示す。〕
一般式(1-4-C)で表されるイソフラベン類としては、式中のR1及びRx2が前記と同じ意味を示し、Ry3が水酸基若しくはメトキシ基が3個まで置換してもよく1,3-ジオキソランとの縮合環を形成してもよい芳香族炭化水素基を示す化合物が好ましい。
(1-4-C)に該当する化合物としては、ハギニンD(Haginin D)、ハギニンE(Haginin E)、2-メトキシジュダイシン(2-Methoxyjudaicin)等が挙げられる。
(1-5)に該当する化合物としては、ウンベリフェロン(Umbelliferone)等が挙げられる。
これらのうち、一般式(1)で表される化合物としては、一般式(1-1-A)で表されるフラバン-3-オール(Flavan-3-ol)、一般式(1-3-B)で表されるフラボノール(Flavonol)類、一般式(1-2-A)で表されるフラバノン(Flavanone)類、一般式(1-3-A)で表されるフラボン(Flavone)、一般式(1-4-A)で表されるイソフラボン(Isoflavone)類、一般式(1-4-B)で表されるイソフラバン(Isoflavane)類、一般式(1-5)で表されるクマリン(Coumarin)類が好ましく、更に具体的には、カテキン(Catechin)、エピカテキン(Epicatechin)、エピガロカテキン(Epigallocatechin)、カテキンガレート(Catechin gallate)、エピカテキンガレート(Epicatechin gallate)、エピガロカテキンガレート(Epigallocatechin gallate)、クェルセチン(Quercetin)、モリン(Morin)、ヘスペレチン(Hesperetin)、ナリンゲニン(Naringenin)、クリシン(Chrysin)、ダイゼイン(Daidzein)、エクオール(Equol)、ウンベリフェロン(Umbelliferone)等が好ましい。更にはカテキン、エピガロカテキン、エピガロカテキンガレート、ナリンゲニン、エクオールが好ましい。また、緑茶抽出物等、上記の化合物を含む混合物を利用することもできる。
また、一般式(1)で表される化合物の分子量は、分子量150以上が好ましい。また、毛髪内部への浸透性の観点から、分子量1000以下、更には700以下、更には500以下が好ましい。
成分(B)は単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができるが、2種以上を用いることがより好ましい。本発明の毛髪変形処理剤中における成分(B)の含有量は、本発明の毛髪処理剤による処理後の毛髪形状の変化をより顕著にし、毛髪形状の耐洗髪性をより優れたものとし、加熱による毛髪形状の半永久的な再変形時の形状の変化をより顕著にし、再変形後の毛髪形状の耐洗髪性も一層優れたものとする観点から、好ましくは0.2質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは1質量%以上、更に好ましくは1.5質量%以上であり、また、処方配合性の観点から、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下、更に好ましくは23質量%以下、更に好ましくは20質量%以下である。
本発明の毛髪変形処理剤中における成分(A)の含有量に対する成分(B)の含有量のモル比(B)/(A)は、毛髪内で形成する成分(A)と成分(B)との縮合物により本発明の毛髪変形処理剤による処理後の毛髪形状の変化をより顕著にし、その毛髪形状の耐洗髪性をより一層優れたものとし、加熱による毛髪形状の半永久的な再変形時の形状の変化をより顕著にし、再変形後の毛髪形状の耐洗髪性も一層優れたものとする観点から、0.01以上であって、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.3以上、更に好ましくは0.5以上であり、また、5以下であって、好ましくは4以下、より好ましくは3以下、更に好ましくは2以下、更に好ましくは1.5以下である。
〔成分(C):水〕
本発明の毛髪変形処理剤は、水を媒体とする。また、必要に応じ、水に加え、メタノール、エタノール等の炭素数1〜3の低級アルコールを併用することもできる。この場合、本発明の毛髪変形処理剤中の炭素数1〜3の低級アルコールの含有量は、好ましくは60質量%以下、より好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは20質量%以下、更に好ましくは15質量%以下、更に好ましくは10質量%以下である。また、0.1質量%以上が好ましい。
本発明の毛髪変形処理剤は、2剤式等の多剤式、1剤式のいずれの形態とすることもできる。成分(A)と成分(B)の毛髪内への浸透性を良好にし、本発明の効果を高くする観点から、成分(A)と成分(B)とをそれぞれ別の剤に含有する多剤式、より好ましくは2剤式とすることがより好ましい。多剤式の場合、本発明においては成分(B)を含有する剤を第一剤、成分(A)を含有する剤を第二剤とする。
多剤式の場合、第一剤中の成分(B)の含有量は、好ましくは0.2質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは1質量%以上、更に好ましくは1.5質量%以上であり、また、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下、更に好ましくは23質量%以下、更に好ましくは20質量%以下である。
多剤式の場合、第二剤中の成分(A)の含有量は、グリオキシル酸換算で、好ましくは2.5質量%以上、より好ましくは3質量%以上、更に好ましくは4質量%以上、更に好ましくは5質量%以上であり、また、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下、更に好ましくは20質量%以下、更に好ましくは15質量%以下、更に好ましくは12質量%以下である。
多剤式において第一剤と第二剤等とを混合して使用する場合、その混合比は特に定めないが、合剤後の組成物が本発明の毛髪変形処理剤となるように混合することが好ましい。従って、多剤式の場合、特に定めが無い場合には各成分の含有量は合剤後の組成物中における含有量である。また、多剤式にする場合、成分(C)は各剤の溶媒として含有することができ、2剤式とする場合、成分(C)は成分(A)を含有する剤と成分(B)を含有する剤の両方に含有させることが好ましい。
本発明の毛髪変更処理剤のpHは、毛髪内への浸透性の観点から、1剤式の場合、好ましくは4以下、より好ましくは3以下、更に好ましくは2.5以下、更に好ましくは2以下であり、また、毛髪ダメージ抑制、皮膚刺激抑制の観点から、好ましくは1以上、より好ましくは1.2以上、更に好ましくは1.5以上である。多剤式の場合は、成分(A)を含有する剤、すなわち第二剤を上記範囲とすることが好ましい。また、多剤式の場合、処理剤の変色を防止する観点から、成分(B)を含有する剤、すなわち第一剤のpHは、好ましくは6以下、より好ましくは5以下、更に好ましくは4.5以下であり、かつ好ましくは2.5以上、より好ましくは3以上、更に好ましくは3.5以上である。なお、本発明において、毛髪処理剤のpHとは、毛髪変形処理剤を希釈等することなく、室温(25℃)において、pHメーター(HORIBA製 / 型番:F-52)でそのまま測定して得られた値を指す。
毛髪変更処理剤のpHを上記範囲に調整するために、適宜pH調整剤を用いることができる。pH調整剤としては、アルカリ剤として、アンモニア又はその塩;モノエタノールアミン、イソプロパノールアミン、2-アミノ-2-メチルプロパノール、2-アミノブタノール等のアルカノールアミン又はその塩;1,3-プロパンジアミン等のアルカンジアミン又はその塩;炭酸グアニジン、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の炭酸塩;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水酸化物等を使用することができる。また、酸剤として、塩酸、リン酸等の無機酸;塩酸モノエタノールアミン等の塩酸塩;リン酸二水素一カリウム、リン酸一水素二ナトリウム等のリン酸塩;乳酸、リンゴ酸等の成分(A)以外の有機酸等を使用することができる。
本発明の毛髪変形処理剤は、毛髪処理後の髪の感触を改善し、本願発明の効果を一層向上させる観点から、カチオン性界面活性剤を含有することが好ましい。カチオン性界面活性剤は1個の炭素数8〜24のアルキル基及び3個の炭素数1〜4のアルキル基を有するモノ長鎖アルキル四級アンモニウム塩が好ましい。
好ましくは、少なくとも1種のモノアルキル四級アンモニウム界面活性剤は、下記一般式で表される化合物から選択される。
Figure 0006293718
〔式中、R2は炭素数8〜22の飽和若しくは不飽和の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基、R6−CO−NH−(CH2)m−又はR6−CO−O−(CH2)m−(R6は炭素数7〜21の飽和又は不飽和の直鎖又は分岐鎖のアルキル鎖を示し、mは1〜4の整数を示す)を示し、R3、R4及びR5は独立して、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のヒドロキシルアルキル基を示し、An-は塩化物イオン、臭化物イオン、メトサルフェートイオン又はエトサルフェートイオンを示す。〕
好適なカチオン性界面活性剤としては、例えば、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、ミリスチルトリメチルアンモニウムクロリド、ベヘントリモニウムクロリド、セチルトリメチルアンモニウムブロミド、ステアラミドプロピルトリモニウムクロリド等の長鎖四級アンモニウム化合物が挙げられ、これらは単独で使用することもでき、これらの混合物として使用することもできる。
本発明の毛髪変形処理剤中におけるカチオン性界面活性剤の含有量は、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上であり、また、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下である。毛髪変形処理剤が多剤式である場合、カチオン性界面活性剤は第一剤に含有しても良く、第二剤に含有しても良く、第一剤と第二剤の両方に含有していても良い。
また、本発明の毛髪変形処理剤は、毛髪処理後の髪の感触を改善し、まとまりを良くする観点からシリコーンを含むことが好ましい。シリコーンとしてはジメチルポリシロキサン及びアミノ変性シリコーンが好ましい。
ジメチルポリシロキサンとしては、いずれの環状又は非環状のジメチルポリシロキサンポリマーを用いることもでき、その例としてSH200シリーズ、BY22-019、BY22-020、BY11-026、B22-029、BY22-034、BY22-050A、BY22-055、BY22-060、BY22-083、FZ-4188(いずれも東レ・ダウコーニング株式会社)、KF-9088、KM-900シリーズ、MK-15H、MK-88(いずれも信越化学工業株式会社)が挙げられる。
アミノ変性シリコーンとしては、アミノ基又はアンモニウム基を有するあらゆるシリコーンを用いることができ、その例として、全部又は一部の末端ヒドロキシル基がメチル基等で末端封止されたアミノ変性シリコーンオイル及び末端封止されていないアモジメチコンが挙げられる。好ましいアミノ変性シリコーンとして、例えば次式で示される化合物を用いることができる。
Figure 0006293718
〔式中、R'は水素原子、水酸基又はRZを示し、RZは置換又は非置換の炭素数1〜20の一価炭化水素基を示し、JはRX、R"−(NHCH2CH2)aNH2、ORZ又は水酸基を示し、R"は炭素数1〜8の二価炭化水素基を示し、aは0〜3の数を示し、b及びcはその和が数平均で、10以上20000未満、好ましくは20以上3000未満、より好ましくは30以上1000未満、更に好ましくは40以上800未満となる数を示す。〕
好適なアミノ変性シリコーンの市販品の具体例としては、SF8452C、SS3551(いずれも東レ・ダウコーニング株式会社)、KF-8004、KF-867S、KF-8015(いずれも信越化学工業株式会社)等のアミノ変性シリコーンオイル、SM8704C、SM8904、BY22-079、FZ-4671、FZ4672(いずれも東レ・ダウコーニング株式会社)等のアモジメチコンエマルションが挙げられる。
本発明の毛髪変形処理剤中におけるシリコーンの含有量は、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上、更に好ましくは0.5質量%以上であり、また、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下、更に好ましくは5質量%以下である。毛髪変形処理剤が多剤式である場合、シリコーンは第一剤に含有しても良く、第二剤に含有しても良く、第一剤と第二剤の両方に含有していても良い。
また、本発明の毛髪変形処理剤は、毛髪処理後の髪の感触を改善する観点からカチオン性ポリマーを含有することが好ましい。
カチオン性ポリマーは、カチオン基又はカチオン基にイオン化され得る基を有するポリマーをいい、全体としてカチオン性となる両性ポリマーも含まれる。すなわち、ポリマー鎖の側鎖にアミノ基若しくはアンモニウム基を含むか、又はジアリル4級アンモニウム塩を構成単位として含む水溶液のもの、例えばカチオン化セルロース誘導体、カチオン性澱粉、カチオン化グアーガム誘導体、ジアリル4級アンモニウム塩の重合体又は共重合体、4級化ポリビニルピロリドン誘導体等が挙げられる。これらのうち、すすぎ時やシャンプー時の感触の柔らかさ、滑らかさ及び指の通り易さ、乾燥時のまとまり易さ及び保湿性という効果及び剤の安定性の点から、ジアリル4級アンモニウム塩を構成単位として含むポリマー、4級化ポリビニルピロリドン誘導体、カチオン化セルロース誘導体が好ましく、ジアリル4級アンモニウム塩の重合体又は共重合体、カチオン化セルロース誘導体がより好ましい。
好適なジアリル4級アンモニウム塩の重合体又は共重合体の具体例としては、塩化ジメチルジアリルアンモニウム重合体(ポリクオタニウム-6、例えばマーコート100;ルーブリゾール・アドバンスト・マテリアルズ社)、塩化ジメチルジアリルアンモニウム/アクリル酸共重合体(ポリクオタニウム-22、例えばマーコート280、同295;ルーブリゾール・アドバンスト・マテリアルズ社)、塩化ジメチルジアリルアンモニウム/アクリルアミド共重合体(ポリクオタニウム-7、例えばマーコート550;ルーブリゾール・アドバンスト・マテリアルズ社)等が挙げられる。
好適な4級化ポリビニルピロリドン誘導体の具体例としては、ビニルピロリドンコポリマーとジメチルアミノエチルメタクリレートとを重合して得られるポリマー(ポリクオタニウム11、例えばガフカット734、ガフカット755、ガフカット755N(以上、アシュランド社))が挙げられる。
好適なカチオン化セルロースの具体例としては、ヒドロキシセルロースにグリシジルトリメチルアンモニウムクロライドを負荷したポリマー(ポリクオタニウム10、例えばレオガードG、同GP(以上、ライオン社)、ポリマーJR-125、同JR-400、同JR-30M、同LR-400、同LR-30M(以上、アマーコール社))や、ヒドロキシエチルセルロースジメチルジアリルアンモニウムクロリド(ポリクオタニウム-4、例えばセルコートH-100、同L-200(以上、アクゾノーベル社))等が挙げられる。
本発明の毛髪変形処理剤中におけるカチオン性ポリマーの含有量は、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上、更に好ましくは0.05質量%以上であり、また、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下である。毛髪変形処理剤が多剤式である場合、カチオン性ポリマーは第一剤に含有しても良く、第二剤に含有しても良く、第一剤と第二剤の両方に含有していても良い。
更に、本発明の毛髪変形処理剤には、通常含有する程度の量の酸化防止剤を含有しても良い。酸化防止剤としては毛髪化粧料の分野で一般的に用いられているものであればよく、例えばアスコルビン酸等が挙げられる。
本発明の毛髪変形処理剤には、以上の成分のほか、通常毛髪化粧料に配合される成分を適宜含有させることができる。ただし、過酸化水素のような強い酸化剤やジヒドロキシアセトンは実質的に含まない方が好ましい。
更に本発明の毛髪変形処理剤は、毛髪還元剤を実質的に含有しないことが好ましい。本発明は、毛髪内の蛋白質のS−S結合の切断によらず毛髪の変形を可能とした点に特徴があり、還元剤を用いて毛髪内の蛋白質のS−S結合を切断することで毛髪を変形させるパーマ剤とは全く異なる技術である。毛髪還元剤としては、チオグリコール酸、ジチオグリコール酸、システイン、アセチルシステイン等のチオール、亜硫酸水素及びその塩が挙げられる。
なお、本発明において、「実質的に含有しない」とは、毛髪変形処理剤中における対象化合物の含有量が、好ましくは0.1質量%未満、より好ましくは0.01質量%未満であることをいい、更に好ましくは、毛髪変形処理剤中に対象化合物を含有しないことをいう。
本発明の毛髪変形処理剤は人体に対して安全性が高く、髪ダメージも少ないことから、特に人間の頭髪に対して好適に使用できる。
〔毛髪変形処理方法〕
本発明の毛髪変形処理剤を用いて毛髪形状を半永久的ないし永久的に変形する毛髪処理は、下記工程(i)及び(ii)を含む毛髪処理方法により行うことができる。
(i)本発明の毛髪変形処理剤を毛髪に塗布し、毛髪に浸透させるステップ
(ii)毛髪変形処理剤が浸透した毛髪を加熱して形付けするステップ
工程(i)において、毛髪変形処理剤は、乾燥した毛髪に対し塗布しても濡れた毛髪に対し塗布してもよいが、毛髪を膨潤させ毛髪処理剤の毛髪への浸透を促進するため、工程(i)の前に、水で毛髪を濡らしておくことが好ましい。工程(i)において毛髪に塗布する毛髪変形処理剤の質量は、毛髪の質量に対する浴比(毛髪変形処理剤の質量/毛髪の質量)で、好ましくは0.05以上、より好ましくは0.1以上、更に好ましくは0.25以上、更に好ましくは0.5以上であり、また好ましくは5以下、より好ましくは3以下、更に好ましくは2以下である。処理の対象となる毛髪は、頭髪の全部でも、その一部でも構わない。
工程(i)において、毛髪変形処理剤は任意の方法で毛髪に塗布できる。また、毛髪変形処理剤が多剤式の場合、成分(B)を含有する第一剤と成分(A)を含有する第二剤とを混合してから髪に塗っても良いし、第一剤と第二剤の一方を毛髪に塗布した後、その塗布部の上に他方を重ねて塗布しても良い。重ねて塗布する場合、毛髪変形処理剤の浸透を促進し、効果を高める観点から、一方の剤を塗布した後、毛髪処理剤が塗布された毛髪を放置し、その後、他方の剤を塗布しても重ねて塗布しても良い。その場合の放置時間は、毛髪変形処理剤を毛髪内に浸透・拡散させるため、好ましくは1分以上、より好ましくは3分以上、更に好ましくは5分以上であり、また、好ましくは1時間以下、より好ましくは30分以下、更に好ましくは20分以下である。そしてこのとき、毛髪変形処理剤の浸透を促進する観点から加温してもよい。加温する場合は40〜90℃で加温するのが好ましい。また、重ねて塗布する場合、塗布する順番は任意で構わないが、毛髪変形処理剤の浸透を促進し、効果を高める観点から、第一剤を毛髪に塗布した後、第二剤を毛髪に塗布するのがより好ましい。
また、工程(i)において、第一剤と第二剤とを重ねて塗布する場合、第一剤を塗布し放置した後、第二剤を塗布する前に、第一剤をすすぎ流す工程(以降、中間すすぎ工程と記載する)を含んでも良い。処理時間の短縮の観点からは中間すすぎ工程は含まない方が好ましい。中間すすぎ工程を含まない場合、毛髪変形効果をより一層高める観点から、第一剤に含まれる成分(B)の分子量は100〜180であることが好ましく、100〜140であることがより好ましい。一方、毛髪変形処理後の感触向上の観点からは中間すすぎ工程を含む方が好ましい。中間すすぎ工程を含む場合、毛髪変形効果をより一層高め、かつ変形後の感触を良好にする観点から、第一剤に含まれる成分(B)の分子量は140〜1000であることが好ましく、180〜1000であることがより好ましい。
また、重ねて塗布する場合には、第一剤と第二剤の塗布量は特に定めない。毛髪に塗布した第二剤中の成分(A)の量に対する、毛髪に塗布した第一剤中の成分(B)の量のモル比(B)/(A)が、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.1以上、より好ましくは0.3以上、更に好ましくは0.5以上であり、また、好ましくは5以下、より好ましくは4以下、より好ましくは3以下、更に好ましくは2以下、更に好ましくは1.5以下となるよう塗布する。具体的には、例えば第一剤中の成分(B)の含有量と毛髪上への第一剤の塗布量から算出される成分(B)の毛髪への適用量と、第二剤中の成分(A)の含有量と毛髪上への第二剤の塗布量から算出される成分(A)の毛髪への適用量との比率が、モル比で上述の範囲となれば良い。
工程(i)と工程(ii)の間に、毛髪処理剤が塗布された毛髪を放置するステップを入れてもよい。その場合の放置時間は、毛髪変形処理剤を毛髪内に浸透・拡散させるため、好ましくは1分以上、より好ましくは3分以上、更に好ましくは5分以上であり、また、好ましくは1時間以下、より好ましくは30分以下、更に好ましくは20分以下である。
また、放置するステップにおいて、毛髪変形処理剤の浸透を促進する観点から毛髪を加温してもよい。加温する場合は40〜90℃で加温するのが好ましい。この加温によって、工程(ii)の前に低次のオリゴマーを毛髪内で重合することができるため、工程(ii)をより有利に進めることができる点でも好ましい。
工程(i)と工程(ii)の間に、毛髪処理剤が塗布された毛髪をすすいでもよく、またすすがなくてもよいが、毛髪内に毛髪処理剤成分を十分に保持し、毛髪に半永久的な形状を付与し、更に熱により再度、毛髪形状を半永久的に変形する効果をより一層強くする観点から、すすがない方が好ましい。
工程(ii)における加熱温度は、成分(A)、成分(B)と毛髪内のタンパク質との相互作用を大きくし、また毛髪内において成分(A)と成分(B)との縮合反応を促進することで本発明の効果を得るため、好ましくは50℃以上、より好ましくは60℃以上、更に好ましくは80℃以上であり、また、加熱中の水分の急激な蒸発を抑制するため、好ましくは250℃以下、より好ましくは240℃以下、更に好ましくは230℃以下である。加熱方法としては、ヘアアイロン、電熱ロッド、ホットカーラー等を用いる方法が挙げられる。
工程(ii)における加熱時間は、使用する加熱器具・加熱温度によって適宜選ばれるが、毛髪変形処理剤を毛髪内に浸透・拡散させ、十分な重合を起こす観点から、1秒以上、好ましくは5秒以上、より好ましくは1分以上、更に好ましくは5分以上、更に好ましくは15分以上、更に好ましくは30分以上であり、また、毛髪ダメージ抑制のため、好ましくは2時間以下、より好ましくは1時間以下、更に好ましくは45分以下である。
工程(ii)における形付けには、ストレート状の形付け、カール状の形付けのいずれも含まれる。毛髪をストレート状に形付けする方法としては、手、くし、ブラシ等の道具により毛髪を引っ張りながらドライヤーでブローする方法、ヘアアイロンを用いて加熱する方法等があるが、変形の容易さの観点から、ヘアアイロンを用いる方法が好ましい。ヘアアイロンを用いて毛髪を加熱しながらストレート状に形付けするには、毛髪をフラットアイロンで挟んだ後に挟んだまま根元から毛先に滑らせる方法、手、くし、ブラシ等の道具により毛髪を引っ張りながらフラットアイロンで挟んでそのまま保持する方法等、及びその両者の組合せ等によればよい。また、毛髪をカール状に形付けする場合、毛髪を電熱ロッド、ホットカーラー等に巻いて加熱しながら保持する方法、毛髪をカールアイロンに巻いて保持する方法等が挙げられる。
工程(ii)は、水分の急激な蒸発が抑制される環境下で行われることが好ましい。水分の蒸発を抑制する具体的手段としては、毛髪処理剤が塗布された毛髪を、食品用ラップフィルム等のプラスチックフィルム、キャップ等で覆う方法、過熱水蒸気等の水蒸気を毛髪に継続的に噴霧する方法等が挙げられる。
工程(ii)の後、毛髪をすすいでもよく、またすすがなくてもよいが、余剰の重合物による毛髪感触低下を防ぐ観点から、すすぐ方が好ましい。
これらの処理によって、毛髪内に成分(A)及び(B)が浸透し、毛髪内タンパク質との相互作用を生じるものと思われる。また、毛髪内において成分(A)と成分(B)との熱可塑性縮合物が生成すると思われる。このため、毛髪を加熱することによって容易に毛髪形状を変形させることができ、また、一度施術すれば、再度毛髪処理剤を塗布することなく、熱を与えるだけで、毛髪を自在に繰り返し半永久的ないし永久的に変形させることが可能となる。更に、本発明の方法により付与された毛髪変形は、シャンプー等を繰り返しても崩れることがない。
(再変形処理方法)
工程(i)又は工程(ii)を含む方法により毛髪を変形処理した後、熱を与えて毛髪を別の形に半永久的に再変形させる工程を行うことができる。再変形する際に与える熱は、好ましくは30℃以上、より好ましくは40℃以上であり、また、好ましくは230℃以下、より好ましくは220℃以下、更に好ましくは210℃以下である。また、再変形処理をする際には本発明の毛髪変形処理剤も、いわゆるパーマ剤のように還元剤を含む毛髪処理剤やアルカリリラクサー等の既知の毛髪変形処理剤も、塗布しないことが好ましい。
以下、熱を与えて毛髪を別の形に半永久的に再変形させる工程を行う場合の具体的な手順を説明する。
・カール状に変形処理した毛髪をストレート状に再変形する場合
カール状に変形処理した毛髪をストレート状に再変形するには、手や、くし、ブラシ等の道具により毛髪を引っ張りながらドライヤーでブローする方法、ヘアアイロンを用いて加熱する方法等があるが、変形の容易さの観点から、ヘアアイロンを用いる方法が好ましい。ヘアアイロンを用いて毛髪を加熱しながらストレート状に形付けするには、毛髪をヘアアイロンで挟んだ後に挟んだまま根元から毛先に滑らせる方法、手や、くし、ブラシ等の道具により毛髪を引っ張りながらヘアアイロンで挟んでそのまま保持する方法等、及びその両者の組合せ等によればよい。
この場合における毛髪加熱時の到達温度(毛髪の温度)は、用いるヘアアイロンの種類、加熱部の材質、設定温度、アイロンの操作方法にかかわらず、毛髪形状を半永久的ないし永久的に変形させる観点から、好ましくは120℃以上、より好ましくは150℃以上であり、また、毛髪の損傷防止と毛髪形状の半永久的ないし永久的な変形とを両立する観点から、好ましくは230℃以下、より好ましくは220℃以下、更に好ましくは210℃以下である。毛髪の加熱温度は、例えばSENTRY社製放射温度計(型番ST653)等を用いて測定することができる。
・ストレート状に変形処理した毛髪をカール状に再変形する場合
ストレート状に処理した毛髪をカール状に変形するには、毛髪をロッド、カーラー等に巻いて加熱しながら保持する方法、毛髪をヘアアイロンに巻いて保持する方法等が挙げられる。
この場合における毛髪加熱時の到達温度(毛髪の温度)は、毛髪形状を半永久的ないし永久的に変形させる観点から、好ましくは30℃以上、より好ましくは40℃以上であり、また、毛髪の損傷防止と毛髪形状の半永久的ないし永久的な変形とを両立する観点から、好ましくは180℃以下、より好ましくは120℃以下、更に好ましくは100℃以下、更に好ましくは80℃以下、更に好ましくは60℃以下である。
毛髪を再変形させる場合も、加熱をする際には、毛髪が乾燥している状態で加熱する方法でも、水で濡らした後に加熱する方法でもよいが、毛髪形状を半永久的ないし永久的に変形させる観点から、水で濡らした後に加熱する方法が好ましい。
毛髪を再変形させる場合の毛髪の加熱時間は、使用する加熱道具、加熱温度によって適宜選ばれるが、毛髪形状を半永久的ないし永久的に変形させる観点から、好ましくは1秒以上、より好ましくは5秒以上、更に好ましくは1分以上、更に好ましくは5分以上、更に好ましくは15分以上、更に好ましくは30分以上であり、また、毛髪ダメージ抑制のため、好ましくは2時間以下、より好ましくは1時間以下、更に好ましくは45分以下である。
毛髪を半永久的ないし永久的に変形させる、好ましい毛髪処理方法としては、以下の3パターンが挙げられる。
パターン1:毛髪処理剤が1剤式の場合
1)任意で毛髪を水で濡らす。
2)以下の成分(A)、(B)及び(C)を含有し、成分(A)の含有量に対する成分(B)の含有量のモル比が0.01〜5である本発明の毛髪処理剤を毛髪に塗布し、浸透させる。
成分(A):グリオキシル酸又はその水和物若しくは塩
成分(B):カテキン、エピガロカテキン、エピガロカテキンガレート、ナリンゲニン、エクオール、緑茶抽出物から選ばれる1種又は2種以上。
成分(C):水
3)任意で、毛髪処理剤を塗布した毛髪を1分以上1時間以下放置する。このとき、任意で40〜90℃に加温してもよい。
4)毛髪を50〜250℃で加熱して形付ける。
5)任意で髪をすすぐ。
6)任意で40〜230℃で加熱して毛髪を再変形する。
パターン2:毛髪処理剤が2剤式の場合−1
1)任意で毛髪を水で濡らす。
2)以下の成分(B)及び(C)を含有する第一剤と、成分(A)及び(C)を含有する第二剤とを、成分(A)の含有量に対する成分(B)の含有量のモル比が0.01〜5となるように混合した本発明の毛髪処理剤を毛髪に塗布し、浸透させる。
成分(A):グリオキシル酸又はその水和物若しくは塩
成分(B):カテキン、エピガロカテキン、エピガロカテキンガレート、ナリンゲニン、エクオール及び緑茶抽出物から選ばれる1種又は2種以上。
成分(C):水
3)任意で、毛髪処理剤を塗布した毛髪を1分以上1時間以下放置する。このとき、任意で40〜90℃に加温してもよい。
4)毛髪を50〜250℃で加熱して形付ける。
5)任意で髪をすすぐ。
6)任意で40〜230℃で加熱して毛髪を再変形する。
パターン3:毛髪処理剤が2剤式の場合−2
1)任意で水を濡らす。
2)以下の成分(B)及び(C)を含有する第一剤を毛髪に塗布し、浸透させる。
成分(B):カテキン、エピガロカテキン、エピガロカテキンガレート、ナリンゲニン、エクオール及び緑茶抽出物から選ばれる1種又は2種以上。
成分(C):水
3)任意で、毛髪を1分以上1時間以下放置する。このとき、任意で40〜90℃に加温してもよい。
4)任意で、毛髪上の第一剤を洗い流す。
5)以下の成分(A)及び(C)を含有する第二剤を、成分(A)の含有量に対する成分(B)の含有量のモル比が0.01〜5となるように毛髪の第一剤塗布部の上に重ねて塗布し、浸透させる。
成分(A):グリオキシル酸又はその水和物若しくは塩
成分(C):水
6)任意で、毛髪を1分以上1時間以下放置する。このとき、任意で40〜90℃に加温してもよい。
7)毛髪を50〜250℃で加熱して形付ける。
8)任意で髪をすすぐ。
9)任意で40〜230℃で加熱して毛髪を再変形する。
本発明の毛髪処理方法は、還元剤を用いたパーマ処理や、pH12〜14の強アルカリ性の毛髪処理剤を用いたリラクサー処理とは全く異なる原理によって毛髪を自在に変更することを可能とする技術であるので、還元剤を含む毛髪処理剤やpH12〜14の強アルカリ性の毛髪処理剤を髪に塗布するステップは含まない。従って、本発明の毛髪処理方法は、髪を傷めることなく毛髪を変形させることができることも上記従来の毛髪変形方法に比べ有利な点といえる。
以上述べた実施形態に関し、以下に本発明の好ましい態様を更に開示する。
<1>
以下の成分(A)、(B)及び(C)を含有し、成分(A)の含有量に対する成分(B)の含有量のモル比(B)/(A)が0.01以上5以下である毛髪変形処理剤。
(A)グリオキシル酸又はその水和物若しくは塩
(B)次の一般式(1)で表される化合物から選ばれる1種又は2種以上
Figure 0006293718
〔式中、
1は、水素原子又はメチル基を示し、
Xは、水素原子、水酸基又はメトキシ基を示し、
Yは、水素原子、酸素原子、水酸基又はメトキシ基を示し、
Zは、水素原子又は炭素数1〜5の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基若しくはアルケニル基を示し、
xは、水素原子、酸素原子、水酸基、メトキシ基、又は水酸基若しくはメトキシ基が3個まで置換してもよく1,3-ジオキソランとの縮合環を形成してもよい芳香族炭化水素基を示し、
yは、水素原子、水酸基、メトキシ基、若しくは水酸基若しくはメトキシ基が3個まで置換してもよく1,3-ジオキソランとの縮合環を形成してもよい芳香族炭化水素基、又は水酸基若しくはメトキシ基が3個まで置換してもよいアリールカルボニルオキシ基若しくはアラルキルカルボニルオキシ基を示し、
破線は2重結合であってもよいことを示す。
ただし、Rx又はYに隣接する破線及び実線は、Rx又はYが酸素原子である場合のみ2重結合を示し、それ以外の場合には単結合を示す。
また、Zが炭素数1〜5の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基となるのは、Rx又はRyがo,p-ジヒドロキシ芳香族炭化水素基である場合のみであり、それ以外の場合には水素原子である。〕
(C)水
<2>
成分(A)の含有量に対する成分(B)の含有量のモル比(B)/(A)が、好ましくは0.02以上、より好ましくは0.1以上、更に好ましくは0.3以上、更に好ましくは0.5以上であり、また、好ましくは4以下、更に好ましくは3以下、更に好ましくは2以下、更に好ましくは1.5以下、更に好ましくは1以下、更に好ましくは0.6以下である、<1>に記載の毛髪変形処理剤。
<3>
成分(A)の含有量が、グリオキシル酸換算で、好ましくは2.5質量%以上、より好ましくは3質量%以上、更に好ましくは4質量%以上、更に好ましくは5質量%以上であり、また、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下、更に好ましくは20質量%以下、更に好ましくは15質量%以下、更に好ましくは12質量%以下である<1>又は<2>に記載の毛髪変形処理剤。
<4>
成分(B)の含有量が、好ましくは0.2質量%以上、更には0.5質量%以上、更には1質量%以上、更には1.5質量%以上であり、また、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下、更に好ましくは23質量%以下、更に好ましくは20質量%以下である、<1>〜<3>のいずれかに記載の毛髪変形処理剤。
<5>
pHが、好ましくは4以下、より好ましくは3以下、更に好ましくは2.5以下、更に好ましくは2以下であり、また、好ましくは1以上、より好ましくは1.2以上、更に好ましくは1.5以上である、<1>〜<4>のいずれかに記載の毛髪変形処理剤。
<6>
成分(B)の分子量が、好ましくは150以上であり、また、好ましくは1000以下、より好ましくは700以下、更に好ましくは500以下である<1>〜<5>のいずれかに記載の毛髪変形処理剤。
<7>
成分(B)が、好ましくは一般式(1-1-A)で表されるフラバン-3-オール(Flavan-3-ol)類、一般式(1-3-B)で表されるフラボノール(Flavonol)類、一般式(1-2-A)で表されるフラバノン(Flavanone)類、一般式(1-3-A)で表されるフラボン(Flavone)類、一般式(1-4-A)で表されるイソフラボン(Isoflavone)類、一般式(1-4-B)で表されるイソフラバン(Isoflavane)類、及び一般式(1-5)で表されるクマリン(Coumarin)類から選ばれる1種又は2種以上である<1>〜<6>のいずれかに記載の毛髪変形処理剤。
Figure 0006293718
〔式中、R1及びXは前記と同じ意味を示し、Rx1は、水酸基又はメトキシ基が3個まで置換してもよく1,3-ジオキソランとの縮合環を形成してもよい芳香族炭化水素基を示し、Ry11は、水酸基、メトキシ基、若しくは水酸基若しくはメトキシ基が3個まで置換してもよく1,3-ジオキソランとの縮合環を形成してもよい芳香族炭化水素基、又は水酸基若しくはメトキシ基が3個まで置換してもよいアリールカルボニルオキシ基若しくはアラルキルカルボニルオキシ基を示す。〕
Figure 0006293718
〔式中、R1、X、Z及びRx1は前記と同じ意味を示し、Ry21は水酸基又はメトキシ基を示す。
ただし、Zが炭素数1〜5の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基となるのは、Rx1がo,p-ジヒドロキシ芳香族炭化水素基である場合のみであり、それ以外の場合には水素原子である。〕
Figure 0006293718
〔式中、R1、X、Z及びRx1は前記と同じ意味を示す。
ただし、Zが炭素数1〜5の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基となるのは、Rx1がo,p-ジヒドロキシ芳香族炭化水素基である場合のみであり、それ以外の場合には水素原子である。〕
Figure 0006293718
〔式中、R1、X、Z及びRx1は前記と同じ意味を示す。
ただし、Zが炭素数1〜5の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基となるのは、Rx1がo,p-ジヒドロキシ芳香族炭化水素基である場合のみであり、それ以外の場合には水素原子である。〕
Figure 0006293718
〔式中、R1、X及びZは前記と同じ意味を示し、Ry3は水酸基又はメトキシ基が3個まで置換してもよく1,3-ジオキソランとの縮合環を形成してもよい芳香族炭化水素基を示す。
ただし、Zが炭素数1〜5の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基となるのは、Ry3がo,p-ジヒドロキシ芳香族炭化水素基である場合のみであり、それ以外の場合には水素原子である。〕
Figure 0006293718
〔式中、R1、X及びRy3は前記と同じ意味を示す。〕
Figure 0006293718
〔式中、R1及びXは、前記と同じ意味を示す〕
<8>
成分(B)が、好ましくはカテキン(Catechin)、エピカテキン(Epicatechin)、エピガロカテキン(Epigallocatechin)、カテキンガレート(Catechin gallate)、エピカテキンガレート(Epicatechin gallate)、エピガロカテキンガレート(Epigallocatechin gallate)、クェルセチン(Quercetin)、モリン(Morin)、ヘスペレチン(Hesperetin)、ナリンゲニン(Naringenin)、クリシン(Chrysin)、ダイゼイン(Daidzein)、エクオール(Equol)、ウンベリフェロン(Umbelliferone)、及び緑茶抽出物から選ばれる1種又は2種以上、より好ましくはカテキン、エピガロカテキンン、エピガロカテキンガレート、ナリンゲニン、及びエクオールから選ばれる1種又は2種以上、更に好ましくはカテキン、エピガロカテキン、エピガロカテキンガレート、ナリンゲニン、及びエクオールから選ばれる1種又は2種以上である<1>〜<7>のいずれかに記載の毛髪変形処理剤。
<9>
好ましくは、毛髪の変形が、毛髪蛋白質のS−S結合の切断及び再結合によるものでない、<1>〜<8>のいずれかに記載の毛髪変形処理剤。
<10>
毛髪内の蛋白質を還元する成分の合計量が、好ましくは0.1質量%未満、より好ましくは0.01質量%未満であり、更に好ましくは、毛髪変形処理剤中に当該成分を含有しない<1>〜<9>のいずれかに記載の毛髪変形処理剤。
<11>
好ましくは、毛髪内の蛋白質を還元する成分がチオール、亜硫酸水素、及びそれらの塩である<10>に記載の毛髪変形処理剤。
<12>
チオールが、好ましくはチオグリコール酸、ジチオグリコール酸、システイン、アセチルシステインである<11>に記載の毛髪変形処理剤。
<13>
過酸化水素及びジヒドロキシアセトンのそれぞれの含有量が、好ましくは0.1質量%未満、より好ましくは0.01質量%未満であり、更に好ましくは、毛髪変形処理剤中に当該化合物を含有しない<1>〜<12>のいずれかに記載の毛髪変形処理剤。
<14>
好ましくは、成分(B)を含む第一剤と成分(A)を含む第二剤とを含む多剤式である<1>〜<13>のいずれかに記載の毛髪変形処理剤。
<15>
第二剤のpHが、好ましくは4以下、より好ましくは3以下、更に好ましくは2.5以下、更に好ましくは2以下であり、また、好ましくは1以上、より好ましくは1.2以上、更に好ましくは1.5以上である、<14>に記載の毛髪変形処理剤。
<16>
第二剤中の成分(A)の含有量が、グリオキシル酸換算で、好ましくは2.5質量%以上、より好ましくは3質量%以上、更に好ましくは4質量%以上、更に好ましくは5質量%以上であり、また、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下、更に好ましくは20質量%以下、更に好ましくは15質量%以下、更に好ましくは12質量%以下である<14>又は<15>に記載の毛髪変形処理剤。
<17>
第一剤中の成分(B)の含有量が、好ましくは0.2質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは1質量%以上、更に好ましくは1.5質量%以上であり、また、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下、更に好ましくは23質量%以下、更に好ましくは20質量%以下である、<14>〜<16>のいずれかに記載の毛髪変形処理剤。
<18>
混合後の組成物が<1>〜<13>のいずれかに記載された組成物となる<14>〜<17>のいずれかに記載の多剤型毛髪変形処理剤。
<19>
下記工程(i)及び(ii)を含む、毛髪形状を半永久的ないし永久的に変形する毛髪処理方法。
(i)<1>〜<18>のいずれかに記載の毛髪変形処理剤を毛髪に塗布するステップ
(ii)毛髪変形処理剤が塗布された毛髪を加熱し形付けするステップ
<20>
好ましくは、工程(i)が、<14>〜<18>に記載の多剤型毛髪変形処理剤の第一剤と第二剤とを混合し、混合物を毛髪に塗布するステップである<19>に記載の毛髪処理方法。
<21>
好ましくは、工程(i)が、<14>〜<18>に記載の多剤型毛髪変形処理剤における第一剤と第二剤の一方を毛髪に塗布した後、その塗布部の上に他方を重ねて塗布するステップである<19>に記載の毛髪処理方法。
<22>
好ましくは、工程(i)が成分(B)を含有する第一剤を塗布した後、その塗布部の上に成分(A)を含有する第二剤を重ねて塗布するステップである<19>に記載の毛髪処理方法。
<23>
好ましくは、第一剤と第二剤を重ねて塗布する際の第一剤と第二剤の塗布量が、毛髪上において、成分(A)に対する成分(B)のモル比(B)/(A)が好ましくは0.01以上、より好ましくは0.1以上、より好ましくは0.3以上、更に好ましくは0.5以上であり、また、好ましくは5以下、より好ましくは4以下、より好ましくは3以下、更に好ましくは2以下、更に好ましくは1.5以下であるような量である<21>又は<22>に記載の毛髪処理方法。
<24>
好ましくは、第一剤と第二剤の一方を毛髪に塗布するステップと、その塗布部の上に他方を重ねて塗布するステップの間に一方の剤が塗布された毛髪を放置するステップを含む<21>〜<23>のいずれかに記載の毛髪処理方法。
<25>
一方の剤が塗布された毛髪を放置する際に、好ましくは毛髪を40〜90℃で加温しながら放置する<24>に記載の毛髪処理方法。
<26>
好ましくは、工程(i)の前に毛髪を濡らすステップを含む、<19>〜<25>のいずれかに記載の毛髪処理方法。
<27>
工程(ii)における加熱温度が、好ましくは50℃以上、より好ましくは60℃以上、更に好ましくは80℃以上であり、また、好ましくは250℃以下、より好ましくは240℃以下、更に好ましくは230℃以下である、<19>〜<26>のいずれかに記載の毛髪処理方法。
<28>
好ましくは工程(ii)が、水分の蒸発が抑制される環境下で行われるものである、請求項<19>〜<27>のいずれかに記載の毛髪処理方法。
<29>
好ましくは、還元剤を含む毛髪処理剤やpH12〜14の強アルカリ性の毛髪処理剤を髪に塗布するステップを含まない<19>〜<28>のいずれかに記載の毛髪処理方法。
<30>
工程(i)において毛髪に塗布する毛髪変形処理剤の質量が、毛髪の質量に対する浴比(毛髪変形処理剤の質量/毛髪の質量)で、好ましくは0.05以上、より好ましくは0.1以上、更に好ましくは0.25以上、更に好ましくは0.5以上であり、また好ましくは5以下、より好ましくは3以下、更に好ましくは2以下である<19>〜<29>のいずれかに記載の毛髪処理方法。
<31>
工程(ii)における加熱時間が、好ましくは1秒以上、更には5秒以上、更には1分以上、更には5分以上、更には15分以上、更には30分以上であり、また、好ましくは2時間以下、更には1時間以下、更には45分以下である<19>〜<30>のいずれかに記載の毛髪処理方法。
<32>
好ましくは工程(i)と工程(ii)の間に、毛髪処理剤が塗布された毛髪を放置するステップを含む<19>〜<31>のいずれかに記載の毛髪処理方法。
<33>
放置時間が、好ましくは1分以上、より好ましくは3分以上、更に好ましくは5分以上であり、また、好ましくは1時間以下、より好ましくは30分以下、更に好ましくは20分以下である<32>に記載の毛髪処理方法。
<34>
好ましくは工程(i)と工程(ii)の間の放置時間において、毛髪を好ましくは40〜90℃で加温する<32>又は<33>に記載の毛髪処理方法。
<35>
好ましくは工程(i)と工程(ii)の間に、毛髪処理剤が塗布された毛髪をすすぐステップを含まない<19>〜<34>のいずれかに記載の毛髪処理方法。
<36>
好ましくは工程(ii)の後、毛髪をすすぐステップを含む<19>〜<35>のいずれかに記載の毛髪処理方法。
<37>
好ましくは工程(ii)の後、加熱により異なる形状に毛髪を再変形する<19>〜<36>のいずれかに記載の毛髪処理方法。
<38>
好ましくは、毛髪を再変形する際に毛髪変形処理剤を塗布しない<37>に記載の毛髪処理方法。
<39>
好ましくは、毛髪を再変形する際の加熱温度が好ましくは30℃以上、より好ましくは40℃以上であり、また、230℃以下、より好ましくは220℃以下、更に好ましくは210℃以下である<37>又は<38>に記載の毛髪処理方法。
<40>
<1>〜<18>のいずれかに記載の組成物の、半永久的ないし永久的な毛髪変形のための使用。
実施例1〜12、比較例1〜4
表1に示す2剤式の処理剤を調製し、以下の3段階の毛髪処理を行い、それぞれの形状付与効果を評価した。この結果を表1に併せて示す。なお、各組成物のpHは調整した組成物を室温(25℃)において、そのままpHメーター(HORIBA製 / 型番:F-52)で測定した。
<I:半永久的カール形状付与>
1.コーカシアン直毛の0.5g、長さ25cmの毛束を30℃の水道水で30秒間濡らした後、濡れた毛束を直径14mmのプラスチック製ロッドに巻き付け、クリップで固定した。
2.ロッドに巻き付けられた毛束に処方一剤を1g塗布し、ロッドの全体をラップで覆って密封し、90℃設定のオーブンにて1時間加熱した。
3.毛束をオーブンから取り出し、室温に戻した。
4.ロッドに巻き付けられた毛束に処方二剤を1g塗布し、ロッドの全体をラップで覆って密封し、90℃設定のオーブンにて1時間加熱した。
5.毛束をオーブンから取り出し、室温に戻した。
6.毛束をロッドから外し、水道水の30℃流水にて30秒すすぎ、評価用シャンプーで60秒泡立てた。
7.水道水の30℃流水にて30秒すすぎ、30℃の水道水中に無限浴比で60秒浸漬した後、毛束の根本を持って静かに水中から引き上げ、軽く振動を与えて水を切った。
8.実験室中に2時間吊して静置し、乾燥させ、クシを通した後、吊して真横から写真を撮った。写真をもとに、毛束の最もカールの強い部分の曲率半径を求め、これを2倍することでカール直径を求めた。
(評価基準)
A:カール直径が、使用したロッド(直径14mm)の1倍以上2倍未満
B:カール直径が、使用したロッド(直径14mm)の2倍以上3倍未満
C:カール直径が、使用したロッド(直径14mm)の3倍以上4倍未満
D:カール直径が、使用したロッド(直径14mm)の4倍以上50倍未満
E:直毛のままであり、処理前と形状の変化なし
<II:半永久的カール形状付与毛に対する半永久的ストレート形状付与>
1.<I:半永久的カール形状付与>で評価した毛束に対し、クシを通して絡まりをとった後に、実測温度180℃のフラットアイロンで5cm/secの速度で6回スライドした。
2.水道水の30℃流水にて30秒すすぎ、評価用シャンプーで60秒泡立てた後、水道水の30℃流水にて30秒すすぎ、タオルドライした。
3.毛髪の自然な形状が出るよう振動を与えながら乾かし(ドライヤー不使用)、クシを通した後、吊して真横から目視観察する。
(評価基準)
A:カールが残っておらず、完全に直毛化している
B:フラットアイロン処理前よりはカールは弱くなっているが、完全に直毛化はしていない
C:カール毛のままであり、処理前と形状の変化なし
<III:半永久的ストレート形状付与毛に対する半永久的カール形状付与>
1.<II:半永久的カール形状付与毛に対する半永久的ストレート形状付与>で評価した毛束を30℃の水道水で30秒間濡らした後、濡れた毛束を直径14mmのプラスチック製ロッドに巻き付け、クリップで固定した。
2.ロッドの全体をラップで覆って密封し、40℃設定のオーブンにて1時間加熱した。
3.毛束をオーブンから取り出し、室温に戻した。
4.毛束をロッドから外し、水道水の30℃流水にて30秒すすぎ、評価用シャンプーで60秒泡立てた。
5.水道水の30℃流水にて30秒すすぎ、30℃の水道水中に無限浴比で60秒浸漬した後、毛束の根本を持って静かに水中から引き上げ、軽く振動を与えて水を切った。
6.実験室中に2時間吊して静置し、乾燥させ、クシを通した後、吊して真横から写真を撮った。写真をもとに、毛束の最もカールの強い部分の曲率半径を求め、これを2倍することでカール直径を求めた。
(評価基準)
A:カール直径が、使用したロッド(直径14mm)の1倍以上2倍未満
B:カール直径が、使用したロッド(直径14mm)の2倍以上3倍未満
C:カール直径が、使用したロッド(直径14mm)の3倍以上4倍未満
D:カール直径が、使用したロッド(直径14mm)の4倍以上50倍未満
E:直毛のままであり、処理前と形状の変化なし
<評価用シャンプーの処方>
成分 (質量%)
ラウレス硫酸ナトリウム 15.5
ラウラミドDEA 1.5
安息香酸ナトリウム 0.5
EDTA-2Na 0.3
リン酸 pH7に調整する量
イオン交換水 バランス
合計 100
Figure 0006293718
実施例13
表2に示す処理剤を調製し、以下の3段階の毛髪処理を行い、それぞれの形状付与効果
を評価した。この結果を表2に併せて示す。
<I:半永久的ストレート形状付与>
1.コーカシアン人種由来のやや広がりを持った直毛の毛束(未処理毛)(重さ0.5g / 長さ25cm)を30℃の水道水で30秒間濡らした後、濡れた毛束を直径14mmのプラスチック製ロッドに巻き付け、クリップで固定した。
2.ロッドに巻き付けられた毛束に処方一剤を1.0g塗布し、ロッド全体をラップフィルムで覆って密封し、90℃設定のオーブンにて1時間加熱した。
3.毛束をオーブンから取り出し、室温に戻した。
4.ラップフィルムを外し、タオルで軽く水を切った。
5.ロッドに巻き付けられた毛束に処方二剤を1.0g塗布し、ロッド全体をラップフィルムで覆って密封し、40℃設定のオーブンにて1時間加熱した。
6.毛束をオーブンから取り出し、室温に戻した。
7.ラップフィルムを外してロッドから毛束を取り外し、タオルで軽く水気を切った後、ドライヤーで完全に乾くまで温風乾燥した。
8.毛束に櫛を通して絡まりを取った後、毛束を実測温度230℃のフラットアイロンで5cm/secの速度で6回スライドし、毛束の根元から毛先まで完全に直毛のスタイルを作った。
9.毛束を水道水の30℃流水にて30秒すすぎ、評価用シャンプーで60秒泡立てた。その後、水道水の30℃流水にて30秒すすぎ、タオルドライした。
10.毛髪の有する形状がそのまま出るよう、振動を与えながら乾かし、クシを通した後、吊して真横から目視観察した。
(評価基準)
A:毛束の広がりがなくなり、根元から毛先まで完全なピンストレート直毛が維持されている。
B:毛束の広がりが抑えられた直毛だが、わずかな広がりがある。
C:毛束の広がりは、未処理の状態と同等である
<II:半永久的ストレート形状付与毛に対する半永久的カール形状付与>
1.<I:半永久的ストレート形状付与>で評価した毛束を30℃の水道水で30秒間濡らした後、濡れた毛束を直径14mmのプラスチック製ロッドに巻き付け、クリップで固定した。
2.ロッドの全体をラップで覆って密封し、40℃設定のオーブンにて1時間加熱した。
3.毛束をオーブンから取り出し、室温に戻した。
4.毛束をロッドから外し、水道水の30℃流水にて30秒すすぎ、評価用シャンプーで60秒泡立てた。
5.水道水の30℃流水にて30秒すすぎ、30℃の水道水中に無限浴比で60秒浸漬した後、毛束の根本を持って静かに水中から引き上げ、軽く振動を与えて水を切った。
6.実験室中に2時間吊して静置し、乾燥させ、クシを通した後、吊して真横から写真を撮った。写真をもとに、毛束の最もカールの強い部分の曲率半径を求め、これを2倍することでカール直径を求めた。
(評価基準)
A:カール直径が、使用したロッド(直径14mm)の1倍以上2倍未満
B:カール直径が、使用したロッド(直径14mm)の2倍以上3倍未満
C:カール直径が、使用したロッド(直径14mm)の3倍以上4倍未満
D:カール直径が、使用したロッド(直径14mm)の4倍以上50倍未満
E:直毛のままであり、処理前と形状の変化なし
<III:半永久的カール形状付与毛に対する半永久的ストレート形状付与>
1.<II:半永久的ストレート形状付与毛に対する半永久的カール形状付与>で評価した毛束に対し、クシを通して絡まりをとった後に、実測温度180℃のフラットアイロンで5cm/secの速度で6回スライドした。
2.水道水の30℃流水にて30秒すすぎ、評価用シャンプーで60秒泡立てた後、水道水の30℃流水にて30秒すすぎ、タオルドライした。
3.毛髪の自然な形状が出るよう振動を与えながら乾かし(ドライヤー不使用)、クシを通した後、吊して真横から目視観察した。
(評価基準)
A:カールが残っておらず、完全に直毛化している
B:フラットアイロン処理前よりはカールは弱くなっているが、完全に直毛化はしていない
C:カール毛のままであり、処理前と形状の変化なし
Figure 0006293718
実施例14
表3に示す処理剤を調製し、以下の3段階の毛髪処理を行い、それぞれの形状付与効果を評価した。この結果を表3に併せて示す。
<I:半永久的カール形状付与>
1.コーカシアン直毛の0.5g、長さ25cmの毛束を30℃の水道水で30秒間濡らした後、濡れた毛束を直径14mmのプラスチック製ロッドに巻き付け、クリップで固定した。
2.ロッドに巻き付けられた毛束に処方一剤を1g塗布し、ロッドの全体をラップで覆って密封し、90℃設定のオーブンにて1時間加熱した。
3.毛束をオーブンから取り出し、室温に戻した。
4.ラップから毛束を取り出し、毛髪を水道水の30℃流水にて30秒すすぎ、評価用シャンプーで60秒泡出て、水道水の30℃流水にて30秒すすいだ。
5.濡れた毛束を直径14mmのプラスチック製ロッドに巻き付け、クリップで固定した。
6.ロッドに巻き付けられた毛束に処方二剤を1g塗布し、ロッドの全体をラップで覆って密封し、90℃設定のオーブンにて1時間加熱した。
7.毛束をオーブンから取り出し、室温に戻した。
8.毛束をロッドから外し、水道水の30℃流水にて30秒すすぎ、評価用シャンプーで60秒泡立てた。
9.水道水の30℃流水にて30秒すすぎ、30℃の水道水中に無限浴比で60秒浸漬した後、毛束の根本を持って静かに水中から引き上げ、軽く振動を与えて水を切った。
10.実験室中に2時間吊して静置し、乾燥させ、クシを通した後、吊して真横から写真を撮った。写真をもとに、毛束の最もカールの強い部分の曲率半径を求め、これを2倍することでカール直径を求めた。
なお、実施例4と実施例14は同一の処方を用いているが、毛束の感触は実施例4に比べて実施例14の方がより一層良かった。
(評価基準)
A:カール直径が、使用したロッド(直径14mm)の1倍以上2倍未満
B:カール直径が、使用したロッド(直径14mm)の2倍以上3倍未満
C:カール直径が、使用したロッド(直径14mm)の3倍以上4倍未満
D:カール直径が、使用したロッド(直径14mm)の4倍以上50倍未満
E:直毛のままであり、処理前と形状の変化なし
<II:半永久的カール形状付与毛に対する半永久的ストレート形状付与>
1.<I:半永久的カール形状付与>で評価した毛束に対し、クシを通して絡まりをとった後に、実測温度180℃のフラットアイロンで5cm/secの速度で6回スライドした。
2.水道水の30℃流水にて30秒すすぎ、評価用シャンプーで60秒泡立てた後、水道水の30℃流水にて30秒すすぎ、タオルドライした。
3.毛髪の自然な形状が出るよう振動を与えながら乾かし(ドライヤー不使用)、クシを通した後、吊して真横から目視観察した。
(評価基準)
A:カールが残っておらず、完全に直毛化している
B:フラットアイロン処理前よりはカールは弱くなっているが、完全に直毛化はしていない
C:カール毛のままであり、処理前と形状の変化なし
<III:半永久的ストレート形状付与毛に対する半永久的カール形状付与>
1.<II:半永久的カール形状付与毛に対する半永久的ストレート形状付与>で評価した毛束を30℃の水道水で30秒間濡らした後、濡れた毛束を直径14mmのプラスチック製ロッドに巻き付け、クリップで固定した。
2.ロッドの全体をラップで覆って密封し、40℃設定のオーブンにて1時間加熱した。
3.毛束をオーブンから取り出し、室温に戻した。
4.毛束をロッドから外し、水道水の30℃流水にて30秒すすぎ、評価用シャンプーで60秒泡立てた。
5.水道水の30℃流水にて30秒すすぎ、30℃の水道水中に無限浴比で60秒浸漬した後、毛束の根本を持って静かに水中から引き上げ、軽く振動を与えて水を切った。
6.実験室中に2時間吊して静置し、乾燥させ、クシを通した後、吊して真横から写真を撮った。写真をもとに、毛束の最もカールの強い部分の曲率半径を求め、これを2倍することでカール直径を求めた。
(評価基準)
A:カール直径が、使用したロッド(直径14mm)の1倍以上2倍未満
B:カール直径が、使用したロッド(直径14mm)の2倍以上3倍未満
C:カール直径が、使用したロッド(直径14mm)の3倍以上4倍未満
D:カール直径が、使用したロッド(直径14mm)の4倍以上50倍未満
E:直毛のままであり、処理前と形状の変化なし
Figure 0006293718
比較例5
特許文献2(国際公開第2009/035970号パンフレット)の実施例1に準じて試験を行った。すなわち、以下の表4の組成物を調製し、以下の毛髪処理を行い、形状付与効果を評価した。
<I:半永久的ストレート形状付与>
1.コーカシアン人種由来のやや広がりを持った直毛の毛束(未処理毛)(重さ0.5g / 長さ25cm)を30℃の水道水で30秒間濡らした後、濡れた毛束をラップの上にのせ、直線状に整えた。
2.毛束に処理剤を1g塗布し、よくなじませた後、毛束の全体をラップで覆って密封し、室温で30分放置した。
3.ラップから毛束を取り出し、タオルで軽く水気を切った後、ドライヤーで完全に乾くまで温風乾燥した。
4.毛束に櫛を通して絡まりを取った後、毛束を実測温度230℃のフラットアイロンで7.5cm/secの速度で10回スライドし、毛束の根元から毛先まで完全に直毛スタイルを作った。
5.毛束を水道水の30℃流水にて30秒すすぎ、評価用シャンプーで60秒泡立てた。その後、水道水の30℃流水にて30秒すすぎ、タオルドライした。
6.毛髪の有する形状がそのまま出るよう、振動を与えながら乾かし、クシを通した後、吊して真横から目視観察した。
(評価基準)
A:毛束の広がりがなくなり、根元から毛先まで完全な直毛が維持されている。
B:毛束の広がりが抑えられた直毛だが、わずかな広がりがある。
C:毛束の広がりは、未処理の状態と同等である
<II:半永久的ストレート形状付与毛に対する半永久的カール形状付与>
1.<I:半永久的ストレート形状付与>で評価した毛束を30℃の水道水で30秒間濡らした後、濡れた毛束を直径14mmのプラスチック製ロッドに巻き付け、クリップで固定した。
2.ロッドの全体をラップで覆って密封し、40℃設定のオーブンにて1時間加熱した。
3.毛束をオーブンから取り出し、室温に戻した。
4.毛束をロッドから外し、水道水の30℃流水にて30秒すすぎ、評価用シャンプーで60秒泡立てた。
5.水道水の30℃流水にて30秒すすぎ、30℃の水道水中に無限浴比で60秒浸漬した後、毛束の根本を持って静かに水中から引き上げ、軽く振動を与えて水を切った。
6.実験室中に2時間吊して静置し、乾燥させ、クシを通した後、吊して真横から写真を撮った。写真をもとに、毛束の最もカールの強い部分の曲率半径を求め、これを2倍することでカール直径を求めた。
(評価基準)
A:カール直径が、使用したロッド(直径14mm)の1倍以上2倍未満
B:カール直径が、使用したロッド(直径14mm)の2倍以上3倍未満
C:カール直径が、使用したロッド(直径14mm)の3倍以上4倍未満
D:カール直径が、使用したロッド(直径14mm)の4倍以上50倍未満
E:直毛のままであり、処理前と形状の変化なし
表4に示すように、半永久ストレート形状を付与した後にはカール形状を付与することが出来ず、熱により任意に形状を変化させることができる本願発明の効果はみられなかった。
Figure 0006293718

Claims (14)

  1. 以下の成分(A)、(B)及び(C)を含有し、成分(A)の含有量に対する成分(B)の含有量のモル比(B)/(A)が0.01以上5以下であり、毛髪に塗布して浸透させた後、毛髪を加熱して形付けする毛髪処理のための毛髪変形処理剤。
    (A)グリオキシル酸又はその水和物若しくは塩
    (B)次の一般式(1)で表される化合物から選ばれる1種又は2種以上
    Figure 0006293718
    〔式中
    Xは、水素原子又は水酸基を示し、
    Yは、水素原子又は酸素原子を示し
    x 及びR y は、一方が水酸基が置換したフェニル基を、他方が水素原子、水酸基又は水酸基が置換したベンゾイルオキシ基を示し、
    に隣接する破線及び実線は、が酸素原子である場合には2重結合を示し、Yが水素原子の場合には単結合を示す
    (C)水
  2. 成分(A)の含有量に対する成分(B)の含有量のモル比(B)/(A)が0.1以上2以下である、請求項1に記載の毛髪変形処理剤。
  3. 成分(A)の含有量が2.5質量%以上30質量%以下である、請求項1又は2に記載の毛髪変形処理剤。
  4. 成分(B)の含有量が0.2質量%以上30質量%以下である、請求項1〜3のいずれかに記載の毛髪変形処理剤。
  5. pHが4以下である、請求項1〜4のいずれかに記載の毛髪変形処理剤。
  6. 成分(B)を含む第一剤と成分(A)を含む第二剤とを含む多剤型であり、第二剤のpHが4以下である請求項1〜5のいずれかに記載の毛髪変形処理剤。
  7. 毛髪蛋白質を還元する成分の合計量が0.1質量%未満である、請求項1〜6のいずれかに記載の毛髪変形処理剤。
  8. 下記工程(i)及び(ii)を含む、毛髪形状を半永久的ないし永久的に変形する毛髪処理方法。
    (i)請求項1〜7のいずれかに記載の毛髪変形処理剤を毛髪に塗布し、浸透させるステップ
    (ii)毛髪変形処理剤が浸透した毛髪を加熱して形付けするステップ
  9. 工程(i)が、請求項6に記載の毛髪変形処理剤における第一剤と第二剤の一方を毛髪に塗布した後、その塗布部の上に他方を重ねて塗布するステップである請求項8に記載の毛髪処理方法。
  10. 工程(i)の前に毛髪を濡らすステップを含む、請求項8又は9に記載の毛髪処理方法。
  11. 工程(ii)における加熱温度が50℃以上250℃以下である、請求項8〜10のいずれかに記載の毛髪処理方法。
  12. 工程(ii)が、水分の蒸発が抑制される環境下で行われるものである、請求項8〜11のいずれかに記載の毛髪処理方法。
  13. 還元剤を含む毛髪処理剤又はpH12〜14の毛髪処理剤を髪に塗布するステップを含まない請求項8〜12のいずれかに記載の毛髪処理方法。
  14. 工程(ii)の後に、再度加熱し、毛髪を変形させるステップを含む請求項8〜13の何れかに記載の毛髪処理方法。
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