以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。図面の説明において、同一又は同等の要素には同一符号を用い、重複する説明を省略する。
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る測位支援システムを含む測位システムの構成を概略的に示す図である。図1に示されるように、測位システム1は、LCS(LoCation Service)クライアント10と、GW(gateway)20と、HLR(Home Location Register)30と、LB(load balancer)40と、SLP(SUPL Location Platform)50と、移動通信端末60と、を含んで構成される。このうち、GW20、HLR30、及びLB40により構成される測位支援システム2は、SLP50に対する呼を中継するとともに、LCSクライアント10からの測位要求に応じて、SLP50に移動通信端末60の位置情報を取得させる測位支援システムである。つまり、測位支援システム2は、LCSクライアント10とSLP50との間の通信、SLP50と移動通信端末60との間の通信を中継する。なお、各装置間の通信は、SUPL−MT(Secure User Plane Location - Mobile Terminated)呼(通信)またはSUPL−MO(Secure User Plane Location - Mobile Originated)呼(通信)を用いて行われる。以下の説明において、「通信」を「呼」と表現する場合がある。
LCSクライアント10は、第三者測位サーバであり、移動通信端末60の測位をSLP50に要求する測位要求元である。LCSクライアント10は、測位対象である被検索者の移動通信端末60以外の第三者(外部クライアント)であり、例えば警察、消防などの緊急通報受理機関であるが、緊急通報受理機関以外であってもよい。LCSクライアント10は、測位対象の移動通信端末60のMSISDN(Mobile Subscriber ISDN Number:電話番号)を指定した測位要求を測位支援システム2に送信する。この測位要求は、SUPL−MT呼を用いて行われる。
SLP50は、移動通信端末60との信号を終端するサーバであり、LCSクライアント10からの測位要求に応じて移動通信端末60の位置情報を提供する位置情報提供装置である。SLP50は複数のSLPからなる。SLP50は、測位支援システム2を介してLCSクライアント10から測位要求を受信し、測位要求に指定されたMSISDNで識別される移動通信端末60に測位要求を送信する。この測位要求は、SUPL−MT呼を用いて行われる。また、SLP50は、移動通信端末60に対して送信するアシストデータを格納しており、移動通信端末60からの要求に応じてアシストデータを移動通信端末60に送信する。このアシストデータの通知は、SUPL−MO呼を用いて行われる。また、SLP50は、移動通信端末60から測位結果を受信すると、SUPL−MT呼を用いてGW20に測位結果を送信する。
移動通信端末60は、ユーザにより用いられ、通信機能を有する装置である。移動通信端末60は、例えば、スマートフォン等の携帯電話機、タブレット型端末、ノートPC等である。また、移動通信端末60は、SUPL通信可能であり、SLP50からのアシストデータを利用したGPS(Global Positioning System)測位を行う機能を有する。例えば、第三者からの測位要求では、移動通信端末60は、SLP50から測位要求を受信すると、SUPL−MO呼を用いてSLP50にアシストデータを要求する。また、移動通信端末60は、ユーザの操作等に応じて、SUPL−MO呼を用いてSLP50にアシストデータを要求する。
移動通信端末60は、SLP50からアシストデータを受信すると、アシストデータを用いてGPS測位を行い、その測位結果をSUPL−MT呼を用いてSLP50に送信する。なお、移動通信端末60とSLP50との通信は、例えばTLS(Transport Layer Security)により秘匿化(暗号化)されることがある。また、移動通信端末60は、その種類に応じて、移動通信端末60のIMSI(International Mobile Subscriber Identity)またはMSISDNをSUPL−MO呼の信号に設定する。
GW20は、LCSクライアント10とのゲートウェイであり、LCSクライアント10からの測位要求を受信する。GW20は、機能的には、加入者情報取得部21と、信号処理部22と、を備える。HLR30は、加入者情報を管理する装置である。HLR30は、機能的には、加入者情報DB31を備える。LB40は、GW20とSLP50との通信、SLP50と移動通信端末60との通信を中継する装置であり、SLP50に対する信号を、複数のSLPに負荷分散して送信するロードバランサである。つまり、LB40は、移動通信端末60からSLP50への信号、及び、GW20からSLP50への信号を負荷分散して複数のSLPのいずれかに送信する。LB40は、機能的には、暗号処理部41と、輻輳監視部42と、信号判別部43と、優先呼記憶部44と、優先制御部45と、を備える。これらのGW20、HLR30、及びLB40は、図2に示されるハードウェアによって構成される。
図2は、測位支援システム2に含まれるGW20、HLR30、及びLB40のハードウェア構成図である。図2に示されるように、GW20、HLR30、及びLB40は、物理的には、CPU(Central Processing Unit)101、主記憶装置であるRAM(RandomAccess Memory)及びROM103(Read Only Memory)、通信を行うための通信モジュール104、並びに、ハードディスク等の補助記憶装置105等のハードウェアを備えるコンピュータとして構成される。これらの構成要素が動作することにより、各装置の機能が発揮される。
図1に戻って、測位支援システム2に含まれるGW20、HLR30、及びLB40の機能構成について詳細に説明する。加入者情報DB31は、MSISDNとIMSIとを対応付けて管理している。図3は、加入者情報DBに格納される加入者情報の一例を示す図である。MSISDN及びIMSIは、いずれも移動通信端末60を識別可能な識別情報である。この例では、MSISDN「XXX」はIMSI「xxx」に対応付けられている。つまり、MSISDN「XXX」で識別される移動通信端末60のIMSIは「xxx」であることを示している。
加入者情報取得部21は、LCSクライアント10から測位要求を受信し、測位要求に基づいて測位要求の測位対象となる移動通信端末60の識別情報を取得する識別情報取得手段として機能する。具体的には、加入者情報取得部21は、LCSクライアント10からの測位要求に応じて、測位要求で指定されたMSISDNに対応付けられたIMSIをHLR30から取得する。このIMSIの取得は、SUPL−MT呼を用いて行われる。信号処理部22は、MSISDNと加入者情報取得部21によって取得されたIMSIとを移動通信端末60の識別情報(キー情報)を示すパラメータとして測位要求に挿入する。信号処理部22は、パラメータを挿入した測位要求を、SUPL−MT呼を用いてLB40を経由してSLP50に送信する。また、信号処理部22は、SLP50から受信した測位結果を、SUPL−MT呼を用いて測位要求元のLCSクライアント10に送信する。
暗号処理部41は、受信した呼(信号)が秘匿化(暗号化)されているか否かを判別し、秘匿化されている場合には平文化(復号)する暗号処理手段として機能する。移動通信端末60からSLP50への通信(SUPL−MT呼、SUPL−MO呼)は、例えばTLSにより秘匿化されていることがあるので、呼種の判別には平文化する必要がある。このように、暗号処理部41は、移動通信端末60からSLP50への信号が秘匿化されている場合、秘匿化された信号を平文化し、平文化した信号をSLP50に送信する。つまり、TLSはSLP50の前段のネットワーク機器であるLB40にて終端される。また、暗号処理部41は、SLP50から移動通信端末60への信号を受信した場合、TLSにより秘匿化し、秘匿化した信号を移動通信端末60に送信する。このように、LB40と移動通信端末60との間の通信が秘匿化される。
輻輳監視部42は、SLP50が輻輳状態であるか否かを検出する監視手段として機能する。輻輳監視部42は、例えばSLP50へのトラフィックを監視し、トラフィックが予め定められた閾値T1以上である場合に、SLP50が輻輳状態であることを検出する。
信号判別部43は、LB40が受信した呼の種類、信号の発信元及び宛先、信号の種類等を判別する信号判別手段として機能する。信号判別部43は、例えば、受信した信号に含まれる所定のパラメータから、呼がSUPL−MT呼であるかSUPL−MO呼であるかを判別する。また、信号判別部43は、受信した信号に含まれるIPアドレスから、その信号の発信元及び宛先を判別し、さらにSLP50への信号(上り)であるかSLP50からの信号(下り)であるかを判別する。また、信号判別部43は、受信した信号に含まれる所定のパラメータから、測位要求、測位結果等の信号の種類を判別する。
優先呼記憶部44は、優先処理の対象となる移動通信端末60を登録する部分であり、加入者情報取得部21によって取得された識別情報を格納する優先呼記憶手段として機能する。具体的に説明すると、優先呼記憶部44は、GW20からSLP50に送信される測位要求であると信号判別部43によって判別された信号から、優先処理を行う移動通信端末60の識別情報としてIMSIを取得する。そして、優先呼記憶部44は、IMSIとその信号を受信した時刻を示す時刻情報とを対応付けて、優先呼管理テーブルに格納する。図4の(a)は、優先呼記憶部44が備える優先呼管理テーブルの一例を示す図である。
また、優先呼記憶部44は、GW20からSLP50に送信される測位要求であると信号判別部43によって判別された信号から、優先処理を行う移動通信端末60の識別情報としてMSISDNを取得し、MSISDNとその信号を受信した時刻を示す時刻情報とを対応付けて、優先呼管理テーブルに格納する。図4の(b)は、優先呼記憶部44が備える優先呼管理テーブルの他の例を示す図である。また、優先呼記憶部44は、GW20からSLP50に送信される測位要求であると信号判別部43によって判別された信号から、優先処理を行う移動通信端末60の識別情報としてIMSI及びMSISDNを取得し、IMSIとMSISDNとその信号を受信した時刻を示す時刻情報とを対応付けて、優先呼管理テーブルに格納してもよい。
優先制御部45は、輻輳監視部42によってSLP50が輻輳状態であることが検出されたことに応じて、SLP50に対する呼のうち優先処理を行う呼を決定する優先制御手段として機能する。優先制御部45は、例えば、呼の種類に応じて呼を優先処理の対象とするか否かを決定する。具体的には、優先制御部45は、呼がSUPL−MT呼である場合には、その呼を優先処理の対象とする。一方、優先制御部45は、呼がSUPL−MO呼である場合には、さらに、発信元が優先呼記憶部44の優先呼管理テーブルに格納された識別情報で識別される移動通信端末60であるか否かを判別する。
移動通信端末60の種類によって、信号中にIMSIが設定される場合と、MSISDNが設定される場合とがあるので、優先制御部45は、発信元の識別情報としてIMSIを取得した場合は、図4の(a)に示される優先呼管理テーブルを参照し、発信元の識別情報としてMSISDNを取得した場合は、図4の(b)に示される優先呼管理テーブルを参照する。そして、優先制御部45は、発信元が優先呼記憶部44の優先呼管理テーブルに格納された識別情報で識別される移動通信端末60である呼を優先処理の対象とし、発信元が優先呼記憶部44の優先呼管理テーブルに格納された識別情報で識別される移動通信端末60以外の呼を輻輳制御の対象とする。つまり、優先制御部45は、発信元の識別情報が優先呼記憶部44の優先呼管理テーブルに格納されている場合は、その呼を優先処理の対象とし、発信元の識別情報が優先呼記憶部44の優先呼管理テーブルに格納されていない場合は、その呼を輻輳制御の対象とする。
なお、呼の優先処理とは、SLP50が輻輳状態である場合に、呼を受け付けて優先的に処理することを意味する。つまり、優先制御部45は、優先処理の対象に決定した呼を、負荷分散して複数のSLPのいずれかに送信する。一方、呼の輻輳制御とは、SLP50が輻輳状態である場合に、呼の受付を拒否することを意味する。また、優先制御部45は、下り(SLP50から移動通信端末60へ)の呼については、優先処理の対象か否かの判断を行うことなくそのまま転送する。
優先制御部45は、優先呼記憶部44の優先呼管理テーブルに格納された時刻情報に基づいて、優先呼記憶部44の優先呼管理テーブルに格納された識別情報のうち所定の時刻以降の識別情報を抽出し、呼の発信元が、抽出した識別情報で識別される移動通信端末60であるか否かを判別してもよい。つまり、第三者測位では、GW20からSLP50への測位要求を受信してから、ある程度の時間内に、その測位要求に起因するSUPL−MO呼が生じるものと考えられる。このため、優先制御部45は、呼がSUPL−MO呼である場合に、呼を受信した時刻から予め定められた時間(例えば、3分)分だけ遡った時刻以降に優先呼記憶部44の優先呼管理テーブルに格納された識別情報を抽出してもよい。そして、優先制御部45は、呼の発信元が抽出された識別情報で識別される移動通信端末60である呼を優先処理の対象とし、呼の発信元が抽出された識別情報で識別される移動通信端末60でない呼を輻輳制御の対象としてもよい。
次に、図5及び図6を参照して、上りの通信に対してLB40で実行される処理を説明する。図5は、LB40によって実行される処理を示すフローチャートである。図6は、図5の優先制御を具体的に示すフローチャートである。図5に示される処理は、LB40がSLP50に対する呼を受信することにより開始される。
まず、暗号処理部41は、LB40が受信した呼が秘匿化(暗号化)されているか否かを判別する(ステップS01)。ステップS01において、呼が秘匿化されていると判別された場合(ステップS01;Yes)、暗号処理部41は、その呼を平文化(復号)する(ステップS02)。そして、信号判別部43は、信号に含まれるIPアドレス及び所定のパラメータから、信号がGW20からSLP50への測位要求であるか否かを判別する(ステップS03)。一方、ステップS01において、呼が秘匿化されていないと判別された場合(ステップS01;No)、そのままステップS03に進む。
ステップS03において、信号がGW20からSLP50への測位要求であると判別された場合(ステップS03;Yes)、優先呼記憶部44は、信号からIMSI及びMSISDNを取得し、その信号を受信した時刻を示す時刻情報と対応付けて優先呼管理テーブルに格納する(ステップS04:識別情報取得ステップ、優先呼記憶ステップ)。そして、輻輳監視部42は、SLP50が輻輳状態であるか否かを判別する(ステップS05:監視ステップ)。一方、ステップS03において、信号がGW20からSLP50への測位要求でない(つまり、移動通信端末60からSLP50への測位結果である)と判別された場合(ステップS03;No)、そのままステップS05に進む。
ステップS05において、SLP50が輻輳状態でないと判別された場合(ステップS05;No)、優先制御部45は、呼を受け付けて通常処理(転送処理)を行い(ステップS06)、LB40の処理を終了する。一方、ステップS05において、SLP50が輻輳状態であると判別された場合(ステップS05;Yes)、優先制御部45は、SLP50に対する呼のうち優先処理を行う呼を決定する優先制御を行う(ステップS07:優先制御ステップ)。
続いて、図6を参照して、ステップS07の優先制御の詳細を説明する。まず、信号判別部43は、呼がSUPL−MT呼であるか否かを判別する(ステップS11)。ステップS11において、呼がSUPL−MT呼であると判別された場合(ステップS11;Yes)、優先制御部45は、呼を優先処理の対象とし、呼を負荷分散して複数のSLPのいずれかに送信して(ステップS12)、LB40の処理を終了する。
ステップS11において、呼がSUPL−MT呼でない(つまり、SUPL−MO呼である)と判別された場合(ステップS11;No)、優先制御部45は、信号から発信元の移動通信端末60を識別可能なIMSIまたはMSISDNを取得し、取得したIMSIまたはMSISDNが優先呼記憶部44の優先呼管理テーブルにあるか否かを判別する(ステップS13)。
ステップS13において、信号に含まれているIMSIまたはMSISDNが優先呼記憶部44の優先呼管理テーブルにあると判別された場合(ステップS13;Yes)、優先制御部45は、呼を優先処理の対象とし、負荷分散して複数のSLPのいずれかに送信して(ステップS12)、LB40の処理を終了する。一方、ステップS13において、信号に含まれているIMSIまたはMSISDNが優先呼記憶部44の優先呼管理テーブルにないと判別された場合(ステップS13;No)、優先制御部45は、呼を輻輳制御の対象とし、呼の受付を拒否して(ステップS14)、LB40の処理を終了する。
このように、LB40では、SUPL−MT呼、及び、発信元が優先呼記憶部44の優先呼管理テーブルに格納された識別情報で識別される移動通信端末60であるSUPL−MO呼を優先処理の対象とし、発信元が優先呼記憶部44の優先呼管理テーブルに格納された識別情報で識別される移動通信端末60でないSUPL−MO呼を輻輳制御の対象としている。
次に、図7を参照して、測位支援システム2で実行される処理である測位支援方法を説明する。図7は、測位システム1によって実行される第三者測位の処理を示すフローチャートである。
まず、LCSクライアント10は、SUPL−MT呼を用いて、測位対象である被検索者の移動通信端末60のMSISDNを指定した測位要求をGW20に送信する(ステップS21)。そして、GW20の加入者情報取得部21は、LCSクライアント10から測位要求を受信すると、測位要求に基づいて移動通信端末60の識別情報を取得する(ステップS22:識別情報取得ステップ)。具体的には、加入者情報取得部21は、測位要求からMSISDNを取得し、取得したMSISDNをキーとして、MSISDNに対応付けられたIMSIをHLR30の加入者情報DB31から取得する。そして、GW20の信号処理部22は、SUPL−MT呼により、取得したMSISDNと加入者情報DB31から取得したIMSIとを含む測位要求をLB40を介してSLP50に送信する(ステップS23)。
続いて、LB40の優先呼記憶部44は、GW20からSLP50への測位要求を受信すると、ステップS22において取得された識別情報を優先呼管理テーブルに格納する(ステップS24:優先呼記憶ステップ)。具体的には、優先呼記憶部44は、測位要求に含まれるIMSI及びMSISDNを抽出し、その測位要求を受信した時刻を示す時刻情報と対応付けて優先呼管理テーブルに格納する。そして、LB40の優先制御部45は、ロードバランシング処理をして測位要求をSLP50に送信する(ステップS25)。ここで、LB40の輻輳監視部42がSLP50の輻輳状態を検出している場合でも、GW20からSLP50への測位要求は、SUPL−MT呼により行われているので、拒否されることなく、SLP50に送信される。
続いて、SLP50は、GW20から測位要求を受信すると、測位要求に含まれるIMSIまたはMSISDNで識別される移動通信端末60に対して、SUPL−MT呼により、測位要求を送信する(ステップS26)。この測位要求は、LB40を経由することなく、制御SMS(Short Message Service)によって移動通信端末60に送信される。そして、移動通信端末60は、SLP50から測位要求を受信すると、SLP50との間でSUPL−MO呼を用いて、SLP50からアシストデータを取得する(ステップS27)。
このSUPL−MO呼は、移動通信端末60とLB40との間では、TLSによって秘匿化されている。つまり、移動通信端末60は、SLP50に対して秘匿化した信号を送信し、LB40の暗号処理部41がその信号を平文化するとともに、LB40の優先制御部45がロードバランシング処理をして平文化された信号をSLP50に送信する。一方、SLP50は、移動通信端末60に対して秘匿化していない信号を送信し、LB40の暗号処理部41がその信号を秘匿化するとともに、LB40の優先制御部45が秘匿化された信号を移動通信端末60に送信する。ここで、移動通信端末60からSLP50へのSUPL−MO呼は、LCSクライアント10からの測位要求に起因して生じたものである。このため、このSUPL−MO呼は、LB40の輻輳監視部42がSLP50の輻輳状態を検出している場合でも、ステップS24において移動通信端末60の識別情報が優先呼管理テーブルに格納されているので、拒否されることなく、SLP50に送信される。
続いて、移動通信端末60は、アシストデータを用いてGPS測位を行う(ステップS28)。そして、移動通信端末60は、SUPL−MT呼を用いて、測位結果をLB40を介してSLP50に送信する(ステップS29)。このSUPL−MT呼は、移動通信端末60とLB40との間では、TLSによって秘匿化されている。つまり、移動通信端末60は、SLP50に対して秘匿化した信号を送信し、LB40がその信号を平文化するとともにロードバランシング処理をして平文化した信号をSLP50に送信する。ここで、LB40の輻輳監視部42がSLP50の輻輳状態を検出している場合でも、移動通信端末60からSLP50への測位結果は、SUPL−MT呼により行われているので、拒否されることなく、SLP50に送信される。
続いて、SLP50は、SUPL−MT呼を用いて、測位結果をGW20に送信する(ステップS30)。この測位結果は、LB40を経由することなくGW20に送信される。そして、GW20は、SLP50から測位結果を受信すると、SUPL−MT呼を用いて、測位要求元のLCSクライアント10に測位結果を送信し(ステップS31)、第三者測位の一連の処理が終了される。
ところで、移動通信端末60からSLP50へのSUPL−MO呼には、LCSクライアント10からの測位要求に起因して生じたものでない、ユーザの測位操作等によって生じた通常のSUPL−MO呼が含まれる。この通常のSUPL−MO呼は、発信元の移動通信端末60の識別情報が優先呼管理テーブルに格納されていないので、LB40の輻輳監視部42がSLP50の輻輳状態を検出している場合には、LB40の優先制御部45によって輻輳制御の対象とされて受付を拒否される。
次に、測位支援システム2及び測位支援システム2が行う測位支援方法の作用効果について説明する。測位支援システム2及び測位支援システム2が行う測位支援方法では、GW20の加入者情報取得部21が、LCSクライアント10からの測位要求の測位対象となる移動通信端末60の識別情報を取得し、LB40の優先呼記憶部44が、取得された識別情報を格納し、LB40の輻輳監視部42が、SLP50が輻輳状態であるか否かを検出する。そして、SLP50が輻輳状態であることが検出されたことに応じて、LB40の優先制御部45が、SLP50に対する呼のうち、呼がSUPL−MTである場合には、呼を優先処理の対象とする一方で、呼がSUPL−MOである場合には、発信元が優先呼記憶部44に格納された識別情報で識別される移動通信端末60である呼を優先処理の対象とし、発信元が優先呼記憶部44に格納された識別情報で識別される移動通信端末60でない呼を輻輳制御の対象とする。
この測位支援システム2及び測位支援方法によれば、SLP50が輻輳状態であることが検出されたことに応じて、SLP50に対する呼のうち、SUPL−MT呼及び発信元がLCSクライアント10からの測位要求の測位対象となる移動通信端末60であるSUPL−MO呼が優先処理の対象となり、発信元がLCSクライアント10からの測位要求の測位対象となる移動通信端末60でないSUPL−MO呼が輻輳制御の対象となる。これにより、SLP50が輻輳状態であっても、SUPL−MT呼及びLCSクライアント10からの測位要求によって生じた移動通信端末60からSLP50へのSUPL−MO呼が優先的に処理される。つまり、SUPL−MT呼は、SUPL−MO呼と比較して重要な通信であるので優先して処理され、SUPL−MT呼の延長で行われるSUPL−MO呼についても、優先して処理される。その結果、SLP50の輻輳時において、緊急通報受理機関等のLCSクライアント10からの測位要求を優先して処理することが可能となる。
なお、SUPL−MT呼と、SUPL−MO呼とは、独立したモジュールで行われているので、呼種の判別だけでは純粋なSUPL−MO呼であるか、SUPL−MT呼の延長で行われるSUPL−MO呼であるかを判別することはできない。しかし、測位支援システム2及び測位支援方法では、優先呼記憶部44が、LCSクライアント10からの測位要求の測位対象となる移動通信端末60の識別情報を格納しているので、呼の発信元が優先呼記憶部44に格納された識別情報で識別される移動通信端末60であるか否かを判別することにより、純粋なSUPL−MO呼であるか、SUPL−MT呼の延長で行われるSUPL−MO呼であるかの判別が可能となる。
また、優先呼記憶部44は、測位要求に含まれる識別情報に対応付けて、測位要求を受信した時刻を示す時刻情報を格納している。優先制御部45は、優先呼記憶部44に格納された時刻情報に基づいて、優先呼記憶部44に格納された識別情報のうち所定の時刻以降の識別情報を抽出し、呼の発信元が、抽出した識別情報で識別される移動通信端末60であるか否かを判別する。優先呼記憶部44に格納された識別情報のうち所定の時刻以降の識別情報を用いることにより、LCSクライアント10からの測位要求とは無関係に生じた移動通信端末60からSLP50への呼が優先的に処理される可能性を低減できる。
また、暗号処理部41は、呼が秘匿化されているか否かを判別し、秘匿化されている場合には平文化する。このため、秘匿化された呼を平文化することにより、呼の種類及び発信元を判別することができる。したがって、SLP50が輻輳状態である場合に、秘匿化された呼についても優先処理を行うか否かを決定することが可能となる。また、LB40では、暗号処理部41をハードウェアで実装することが可能であるので、処理コストを低減できる。
[第2実施形態]
図8は、第2実施形態に係る測位支援システムを含む測位システムの構成を概略的に示す図である。図8に示されるように、測位システム1Aは、測位システム1と比較して、測位支援システム2に代えて測位支援システム2Aを備える点で相違している。測位支援システム2Aは、測位支援システム2と比較して、GW20に代えてGW20Aを備える点、及び、LB40に代えてLB40Aを備える点で相違している。この測位支援システム2Aでは、LCSクライアント10の種類に応じて、測位要求の優先度を決定し、優先度に応じた優先制御を行う。例えば、LCSクライアント10が警察及び消防等の緊急通報受理機関である場合に、測位要求の優先度が高く設定され、緊急通報受理機関からの測位要求が他のLCSクライアント10の測位要求よりも優先的に処理されるようにする。
GW20Aは、GW20と比較して、信号処理部22に代えて信号処理部22Aを備える点、及び、優先度管理DB23をさらに備える点で相違している。優先度管理DB23は、LCSクライアント10ごとの優先度を管理する優先度管理テーブルを格納する優先度情報管理手段として機能する。具体的に説明すると、優先度管理DB23は、LCSクライアント10の識別情報であるLCSクライアントIDと、LCSクライアントIDで識別されるLCSクライアント10の優先度を示す優先度情報と、を対応付けて、優先度管理テーブルに格納している。図9は、優先度管理DB23に格納される優先度管理テーブルの一例を示す図である。図9に示されるように、この例では、LCSクライアントIDが「AAA」及び「CCC」のLCSクライアント10の優先度は「高」であり、LCSクライアントIDが「BBB」のLCSクライアント10の優先度は「普通」である。
信号処理部22Aは、優先度管理DB23に格納された優先度管理テーブルに基づいて、LCSクライアント10の優先度情報を取得する優先度情報取得手段として機能する。具体的には、信号処理部22Aは、LCSクライアント10からの測位要求に含まれるLCSクライアントID(つまり、測位要求元のLCSクライアント10のLCSクライアントID)を参照し、優先度管理DB23に格納された優先度管理テーブルからLCSクライアントIDに対応付けられた優先度情報を取得する。そして、信号処理部22Aは、MSISDNと加入者情報取得部21によって取得されたIMSIとを移動通信端末60の識別情報として測位要求に挿入するとともに、取得した優先度情報に対応した優先呼フラグを測位要求に挿入する。
優先呼フラグは、例えば、優先度情報が「高」を示す場合、その値が「1」に設定され、優先度情報が「普通」を示す場合、その値が「0」に設定される。信号処理部22Aは、各パラメータを挿入した測位要求を、SUPL−MT呼を用いてLB40Aを経由してSLP50に送信する。また、信号処理部22Aは、SLP50から受信した測位結果を、SUPL−MT呼を用いて測位要求元のLCSクライアント10に送信する。
LB40Aは、LB40と比較して、輻輳監視部42に代えて輻輳監視部42Aを備える点、優先呼記憶部44に代えて優先呼記憶部44Aを備える点、及び、優先制御部45に代えて優先制御部45Aを備える点で相違している。輻輳監視部42Aは、SLP50が輻輳状態であるか否かを検出する監視手段として機能する。輻輳監視部42Aは、SLP50へのトラフィックを監視する。輻輳監視部42Aは、SLP50へのトラフィックが予め定められた閾値T1以上である場合に、SLP50が輻輳状態であることを検出する。また、輻輳監視部42Aは、SLP50へのトラフィックが予め定められた閾値T2以上である場合に、SLP50が高度の輻輳状態であることを検出する。なお、閾値T2は閾値T1よりも大きい。
優先呼記憶部44Aは、優先呼記憶部44の機能に加えて、加入者情報取得部21によって取得された識別情報に対応付けて、信号処理部22Aによって取得された優先度情報をさらに格納する優先呼記憶手段として機能する。具体的に説明すると、優先呼記憶部44Aは、GW20AからSLP50に送信される測位要求であると信号判別部43によって判別された信号から、優先処理を行う移動通信端末60の識別情報としてIMSIを取得するとともに、その信号から優先呼フラグを取得する。そして、優先呼記憶部44Aは、IMSIとその信号を受信した時刻を示す時刻情報と優先呼フラグによって示される優先度を示す優先度情報とを対応付けて、優先呼管理テーブルに格納する。図10の(a)は、優先呼記憶部44Aが備える優先呼管理テーブルの一例を示す図である。
また、優先呼記憶部44Aは、GW20AからSLP50に送信される測位要求であると信号判別部43によって判別された信号から、優先処理を行う移動通信端末60の識別情報としてMSISDNを取得するとともに、その信号から優先呼フラグを取得する。そして、優先呼記憶部44Aは、MSISDNとその信号を受信した時刻を示す時刻情報と優先呼フラグによって示される優先度を示す優先度情報とを対応付けて、優先呼管理テーブルに格納する。図10の(b)は、優先呼記憶部44Aが備える優先呼管理テーブルの他の例を示す図である。また、優先呼記憶部44Aは、GW20AからSLP50に送信される測位要求であると信号判別部43によって判別された信号から、優先処理を行う移動通信端末60の識別情報としてIMSI及びMSISDNを取得するとともに、その信号から優先呼フラグを取得し、IMSIとMSISDNとその信号を受信した時刻を示す時刻情報と優先呼フラグによって示される優先度を示す優先度情報とを対応付けて、優先呼管理テーブルに格納してもよい。
優先制御部45Aは、優先制御部45の機能に加えて、さらに、優先呼記憶部44Aの優先呼管理テーブルに格納された識別情報に対応付けられた優先度情報に応じて、優先処理を行う呼を決定する優先制御手段として機能する。優先制御部45Aは、輻輳監視部42Aによって、SLP50へのトラフィックが閾値T1以上であることが検出された場合、SUPL−MT呼を優先処理の対象とする。一方、優先制御部45Aは、輻輳監視部42Aによって、SLP50へのトラフィックが閾値T1以上であることが検出された場合、SUPL−MO呼については、さらに、発信元が優先呼記憶部44Aの優先呼管理テーブルに格納された識別情報で識別される移動通信端末60であるか否かを判別する。そして、優先制御部45Aは、発信元が優先呼記憶部44Aの優先呼管理テーブルに格納された識別情報で識別される移動通信端末60でないSUPL−MO呼を輻輳制御の対象とする。
また、優先制御部45Aは、輻輳監視部42Aによって、SLP50へのトラフィックが閾値T1以上であり閾値T2未満であることが検出された場合、呼の発信元が優先呼記憶部44Aの優先呼管理テーブルに格納された識別情報で識別される移動通信端末60であるSUPL−MO呼を優先処理の対象とする。一方、優先制御部45Aは、輻輳監視部42Aによって、SLP50へのトラフィックが閾値T2以上であることが検出された場合、呼の発信元が優先呼記憶部44Aの優先呼管理テーブルに格納された識別情報で識別される移動通信端末60であり、かつ、優先呼管理テーブルにおいてその識別情報に対応付けられた優先度情報が「高」である呼を優先処理の対象とし、呼の発信元が優先呼記憶部44Aの優先呼管理テーブルに格納された識別情報で識別される移動通信端末60であり、かつ、優先呼管理テーブルにおいてその識別情報に対応付けられた優先度情報が「普通」である呼を輻輳制御の対象とする。
優先制御部45Aは、優先制御部45と同様に、優先呼記憶部44Aの優先呼管理テーブルに格納された時刻情報に基づいて、優先呼記憶部44Aの優先呼管理テーブルに格納された識別情報のうち所定の時刻以降の識別情報を抽出し、呼の発信元が、抽出した識別情報で識別される移動通信端末60であるか否かを判別してもよい。
次に、図11及び図12を参照して、上りの通信に対してLB40Aで実行される処理を説明する。図11は、LB40Aによって実行される処理を示すフローチャートである。図12は、図11の優先制御を具体的に示すフローチャートである。図11に示される処理は、LB40AがSLP50に対する呼を受信することにより開始される。なお、ステップS41〜ステップS44の処理は、図5のステップS01〜ステップS04の処理と同様であるので、その説明を省略する。
ステップS45では、輻輳監視部42Aは、SLP50へのトラフィックが閾値T1以上であるか否かを判別する(ステップS45:監視ステップ)。ステップS45において、SLP50へのトラフィックが閾値T1未満であると判別された場合(ステップS45;No)、優先制御部45Aは、呼を受け付けて通常処理(転送処理)を行い(ステップS46)、LB40Aの処理を終了する。一方、ステップS45において、SLP50へのトラフィックが閾値T1以上であると判別された場合(ステップS45;Yes)、優先制御部45Aは、SLP50に対する呼のうち優先処理を行う呼を決定する優先制御を行う(ステップS47:優先制御ステップ)。
続いて、図12を参照して、ステップS47の優先制御の詳細を説明する。ここで、ステップS51〜ステップS54の処理は、図6のステップS11〜ステップS14の処理と同様であるので、その説明を省略する。ステップS53において、信号に含まれているIMSIまたはMSISDNが優先呼記憶部44Aの優先呼管理テーブルにあると判別された場合(ステップS53;Yes)、優先制御部45Aは、優先呼管理テーブルにおいてそのIMSIまたはMSISDNに対応付けられた優先度情報を取得し、その優先度情報が「高」を示すか否かを判別する(ステップS55)。ステップS55において、IMSIまたはMSISDNに対応付けられた優先度情報が「高」を示すと判別された場合(ステップS55;Yes)、優先制御部45Aは、呼を優先処理の対象とし、負荷分散して複数のSLPのいずれかに送信して(ステップS52)、LB40Aの処理を終了する。
一方、ステップS55において、IMSIまたはMSISDNに対応付けられた優先度情報が「高」を示さない(「普通」を示す)と判別された場合(ステップS55;No)、輻輳監視部42Aは、SLP50へのトラフィックが閾値T2以上であるか否かを判別する(ステップS56)。ステップS56において、SLP50へのトラフィックが閾値T2未満であると判別された場合(ステップS56;No)、優先制御部45Aは、呼を優先処理の対象とし、負荷分散して複数のSLPのいずれかに送信して(ステップS52)、LB40Aの処理を終了する。一方、ステップS56において、SLP50へのトラフィックが閾値T2以上であると判別された場合(ステップS56;Yes)、優先制御部45Aは、呼を輻輳制御の対象とし、呼の受付を拒否して(ステップS54)、LB40Aの処理を終了する。
このように、LB40Aでは、SUPL−MT呼、及び、発信元が優先呼記憶部44Aの優先呼管理テーブルに格納された識別情報で識別される移動通信端末60であるSUPL−MO呼でありかつ優先度が「高」である呼を優先処理の対象とし、発信元が優先呼記憶部44の優先呼管理テーブルに格納された識別情報で識別される移動通信端末60でないSUPL−MO呼を輻輳制御の対象としている。さらに、LB40Aでは、発信元が優先呼記憶部44の優先呼管理テーブルに格納された識別情報で識別される移動通信端末60であるSUPL−MO呼でありかつ優先度が「普通」である呼については、SLP50へのトラフィックが閾値T1以上であり閾値T2未満である場合に優先処理の対象とし、SLP50へのトラフィックが閾値T2以上である場合に輻輳制御の対象としている。
次に、図13を参照して、測位支援システム2Aで実行される処理である測位支援方法を説明する。図13は、測位システム1Aによって実行される第三者測位の処理を示すフローチャートである。なお、ステップS61及びステップS62の処理は、図7のステップS21及びステップS22の処理と同様であるので、その説明を省略する。
ステップS62に引き続き、GW20Aの信号処理部22Aは、優先度管理DB23に格納された優先度管理テーブルを参照し、測位要求元のLCSクライアント10のLCSクライアントIDに対応付けられた優先度情報を取得する(ステップS63)。そして、GW20Aの信号処理部22Aは、SUPL−MT呼により、MSISDNと加入者情報DB31から取得したIMSIと優先度管理DB23から取得した優先度情報に対応した優先呼フラグとを含む測位要求をLB40を介してSLP50に送信する(ステップS64)。
続いて、LB40Aの優先呼記憶部44Aは、GW20AからSLP50への測位要求を受信すると、ステップS62において取得された識別情報及びステップS63において取得された優先度情報を優先呼管理テーブルに格納する(ステップS65:優先呼記憶ステップ)。具体的には、優先呼記憶部44Aは、測位要求に含まれるIMSI及びMSISDNを抽出するとともに、優先呼フラグを抽出する。そして、優先呼記憶部44Aは、IMSI及びMSISDNとその測位要求を受信した時刻を示す時刻情報と優先呼フラグによって示される優先度を示す優先度情報とを対応付けて、優先呼管理テーブルに格納する。そして、LB40Aの優先制御部45Aは、ロードバランシング処理をして測位要求をSLP50に送信する(ステップS66)。以降のステップS67〜ステップS72の処理は、図7のステップS26〜ステップS31の処理と同様であるので、その説明を省略する。
この測位支援システム2A及び測位支援システム2Aが行う測位支援方法においても、上記第1実施形態と同様の効果が奏される。また、測位支援システム2A及び測位支援システム2Aが行う測位支援方法では、GW20Aの優先度管理DB23が、LCSクライアント10と優先度を示す優先度情報とを対応付けた優先度管理テーブルを格納し、GW20Aの信号処理部22Aが、LCSクライアント10からの測位要求の測位対象である移動通信端末60の識別情報とともに、優先度管理テーブルから取得したLCSクライアント10の優先度情報を含む測位要求をLB40Aを介してSLP50に送信する。そして、LB40Aの優先呼記憶部44Aが、GW20AからSLP50への測位要求から抽出した識別情報と優先度情報とを対応付けて格納し、優先制御部45Aが、さらに、優先呼記憶部44Aに格納された識別情報に対応付けられた優先度情報に応じて、優先処理を行う呼を決定する。このため、SLP50の輻輳時において、LCSクライアント10の優先度に応じて、LCSクライアント10からの測位要求を優先して処理することができる。例えば、LCSクライアント10が緊急通報受理機関である場合に、LCSクライアント10の優先度を高く設定することにより、緊急通報受理機関からの測位要求をさらに優先して処理することが可能となる。
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。例えば、優先制御部45,45Aは、呼種の判別を行うことなく、呼の発信元が優先呼記憶部44,44Aの優先呼管理テーブルに格納された識別情報で識別される移動通信端末60であるか否かを判別し、発信元が優先呼記憶部44,44Aの優先呼管理テーブルに格納された識別情報で識別される移動通信端末60であると判別した場合、その呼を優先処理の対象としてもよい。
この場合、SLP50が輻輳状態であることが検出されたことに応じて、SLP50に対する呼のうち、発信元がLCSクライアント10からの測位要求の測位対象となる移動通信端末60である呼が優先処理の対象となる。これにより、SLP50が輻輳状態であっても、LCSクライアント10からの測位要求によって生じた移動通信端末60からSLP50への呼が優先的に処理される。その結果、SLP50の輻輳時において、LCSクライアント10からの測位要求に起因する呼を優先して処理することができ、外部クライアントからの測位要求を優先して処理することが可能となる。
また、優先呼記憶部44,44Aは、GW20,20AからSLP50に送信される測位要求であると信号判別部43によって判別された信号から、優先処理を行う移動通信端末60の識別情報としてIMSI及びMSISDNのいずれかを取得してもよい。そして、優先呼記憶部44,44Aは、IMSI及びMSISDNのいずれかとその信号を受信した時刻を示す時刻情報とを対応付けて、優先呼管理テーブルに格納してもよい。
また、優先呼記憶部44,44Aは、優先呼管理テーブルに識別情報を格納してから予め定められた時間が経過したことに応じて、優先呼管理テーブルからその識別情報を削除してもよい。
また、測位支援システム2Aでは、LCSクライアント10の優先度を2段階に分類しているが、3段階以上に分類してもよく、輻輳監視部42Aは、SLP50の輻輳状態を3段階以上に分類して検出してもよい。この場合、優先制御部45Aは、SLP50の輻輳状態が高度であるほど、優先度が高いLCSクライアント10からの測位要求に起因するSUPL−MO呼を優先処理の対象としてもよい。