JP6293214B2 - 水素誘起割れ抵抗性に優れた高炭素鋼線材、高炭素鋼鋼線及びこれらの製造方法 - Google Patents

水素誘起割れ抵抗性に優れた高炭素鋼線材、高炭素鋼鋼線及びこれらの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、水素誘起割れ抵抗性に優れた高炭素鋼線材、高炭素鋼鋼線及びこれらの製造方法に係り、より詳しくは、深海原油輸送用アーマーケーブル(ARMOR CABLE)などに好ましく適用することができる水素誘起割れ抵抗性に優れた高炭素鋼線材、高炭素鋼鋼線及びこれらの製造方法に関する。
深海原油輸送用アーマーケーブル(ARMOR CABLE)は、海上で原油を輸送するフレキシブル(Flexible)パイプにかかる荷重を支える補強材として、高強度の他にもHS環境における優れた水素誘起割れ(HIC、HYDROGEN INDUCED CRACKING)抵抗性を要する製品として知られている。
高強度を具現するために、共晶鋼(eutectoid steel)で構成された線材を使用すると、引張強度は1600MPa水準であり、亜共析鋼(hypo−eutectoid steel)に比べて400MPa高い。また、強度が高いため、最終製品の厚さ減少により長さが増加するので、さらに深い深海でも油井採取が可能である。しかし、炭素含量が増加するにつれてパーライト分率が増加し、これは、水素誘起割れ抵抗性の良くない組織として知られている。また、炭素含量が増加しながら腐食敏感度が増加するため、炭素の含量が増加すれば耐食性も低下し得るという問題点がある(例えば、特許文献1参照)。
また、S、Ca、Pなどは、MnS、CaO、FePなどに結合して、強度以外の他の特性、特に、水素誘起割れ抵抗性を悪化させると知られている。特に、軟質性介在物であるMnSの場合、線材を伸線または圧延のうち圧延方向に延伸するため、基地と介在物の界面積が増加し、基地と不整合の関係を有するので、空き空間が存在するしかない。
最近、大陸棚エネルギーの枯渇により、油井採取環境が深海に移動しているため、既存より強度に優れながらも水素誘起割れ抵抗性に優れた高炭素鋼線材、高炭素鋼鋼線及びこれらの製造方法に対する開発が要求されている。
特開平8−337845号公報
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであってその目的とするところは、水素誘起割れ抵抗性に優れた高炭素鋼線材、高炭素鋼鋼線及びこれらの製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するためになされた本発明の水素誘起割れ抵抗性に優れた高炭素鋼線材は、重量%で、C:0.7〜0.9%、Mn:0.4〜0.9%、Si:0.07〜0.5%、P:0.015%以下、S:0.0005〜0.005%、Ca:0.001〜0.012%、残部Fe及びその他の不可避な不純物を含み、Ca/S重量比が1以上、3以下を満たすことを特徴とする。
本発明の水素誘起割れ抵抗性に優れた高炭素鋼線材の製造方法は、重量%で、C:0.7〜0.9%、Mn:0.4〜0.9%、Si:0.07〜0.5%、P:0.015%以下、S:0.0005〜0.005%、Ca:0.001〜0.012%、残部Fe及びその他の不可避な不純物を含み、Ca/S重量比が1以上、3以下を満たすビレットをAe+200℃〜Ae+300℃で950分以上維持する段階と、上記ビレットをAe+200℃以上で圧延した後、Acm+70℃〜Acm+150℃の冷却終了温度まで冷却して線材を得る段階と、上記線材を巻き取る段階と、上記巻き取られた線材を450〜550℃まで10℃/s以上の冷却速度で冷却した後、5℃/s以下の冷却速度で冷却する段階とを含むことを特徴とする。
上記課題を解決するためになされた水素誘起割れ抵抗性に優れた高炭素鋼鋼線は、重量%で、C:0.7〜0.9%、Mn:0.4〜0.9%、Si:0.07〜0.5%、P:0.015%以下、S:0.0005〜0.005%、Ca:0.001〜0.012%、残部Fe及びその他の不可避な不純物を含み、Ca/S重量比が1以上、3以下を満たすことを特徴とする。
本発明によると、合金組成及びCa/Sの重量比を適切に制御することで、優れた引張強度を有し、水素誘起割れ抵抗性に優れた高炭素鋼線材、高炭素鋼鋼線及びこれらの製造方法を提供することができる効果がある。
以下、本発明の好ましい実施形態について説明する。
〔水素誘起割れ抵抗性に優れた高炭素鋼線材〕
本発明の一側面による水素誘起割れ抵抗性に優れた高炭素鋼線材は、重量%で、C:0.7〜0.9%、Mn:0.4〜0.9%、Si:0.07〜0.5%、P:0.015%以下、S:0.0005〜0.005%、Ca:0.001〜0.012%、残部Fe及びその他の不可避な不純物を含み、Ca/S重量比が1以上、3以下を満たす。
先ず、本発明の一側面による水素誘起割れ抵抗性に優れた高炭素鋼線材の合金組成について詳しく説明する。以下、各合金組成の単位は、重量%である。
〔C:0.7〜0.9%〕
Cは、素材強度を確保するために添加する元素であり、パーライト組織で硬質セメンタイト相を形成させて強度を大きく増加させる元素である。一般的にC含量が0.1%増加すれば、100MPa程度の強度が向上すると知られている。
C含量が0.7%未満の場合、高強度を確保し難く、C含量が0.9%超の場合、Cの偏析が増加し得て、これにより、水素抵抗性が悪化する問題点がある。従って、C含量は、0.7〜0.9%であることが好ましい。
〔Si:0.07〜0.5%〕
Siは、フェライト内の固溶が容易で炭化物の形成を抑制させる役割をし、Siを添加すれば強度が増加する効果が発生する。一般的に、Si含量が0.1%増加すれば、14〜16MPa程度の強度が向上すると知られている。
Si含量が0.07%未満の場合、上述した効果が不十分であり、Si含量が0.5%超の場合は、強度の増加効果が大きくない。従って、Si含量は、0.07〜0.5%であることが好ましい。
〔Mn:0.4〜0.9%〕
Mnは、オーステナイト安定化元素であり、パーライト変態時に成長を遅延させ、一般的に、Mn含量が0.1%増加すれば、20MPa程度の強度が向上すると知られている。しかし、伸線材でMnは、伸線加工前に組織微細化のために行う熱処理において、焼入れ性を確保するために添加することが一般的である。
Mn含量が0.4%未満の場合、焼入れ性の確保が難しく、Mn含量が0.9%超の場合、中心偏析を引き起こし得る問題点がある。従って、Mn含量は、0.4〜0.9%であることが好ましい。
〔Ca:0.001〜0.012%〕
Caは、強力な脱酸材の一つであり、CaOなどの低融点硬質性介在物を形成させ、Sと結合してCaSの球形介在物を形成して、軟質性介在物であるMnSの形成を抑制させると知られている。
Ca含量が0.001%未満の場合、MnSの形成を充分に抑制させることができず、Ca含量が0.012%超の場合、硬質性介在物が多量生成されて、伸線中に断線を誘発し得る問題点がある。従って、Ca含量は、0.001〜0.012%であることが好ましい。
〔P:0.015%以下〕
Pは、不純物であり、特に含有量は規定しないが、従来の線材及び鋼線と同様に、軟性を確保する観点で、0.015%以下にすることが好ましい。
〔S:0.0005〜0.005%〕
Sは、不純物であり、一般的にMn、Mo、Znなどと親和力の高い元素であり、Mnが添加された鋼では、Mnと結合してMnS介在物を形成させる。MnS介在物は、軟質性介在物として熱間圧延及び伸線中に長さ方向に延伸するが、基地組織と結合されていないため、界面に割れが生じる。このような割れの箇所には、油井内に含まれた水素(H)が凝集し、これは、割れを成長及び拡大させて破壊させる。従って、従来の線材及び鋼線では、一般的に0.015%以下に制御されているが、本発明では、MnSの形成を抑制することができるようにS含量をさらに制御する必要がある。
S含量が0.005%超の場合、MnS及びCaSの形成が多くなり、水素誘起割れ抵抗性を悪化させる問題点がある。従って、S含量の上限は、0.005%であることが好ましい。より好ましい上限は、0.004%である。
一方、S含量が低いほど水素誘起割れ抵抗性の側面では有利であるが、0.0005%未満に制御することは、過多な費用が消耗される問題点があるため、その下限は0.0005%であることが好ましい。より好ましい下限は、0.001%である。
本発明の残部の成分は、鉄(Fe)である。但し、通常の製造過程では、原料または周囲環境から意図しない不純物が不可避に混入することがあるので、これを排除することはできない。これらの不純物は、通常の製造過程の技術者であれば誰もが分かるため、その全ての内容を特に本明細書では言及しない。
また、上述した各合金組成を満たすだけでなく、Ca及びSが1≦Ca/S≦3を満たさなければならない。
本発明において、Ca/S重量比を制御する理由は、軟質性MnS介在物の形成を抑制し、球形硬質性CaS介在物の数を増加させるためである。
Ca/S重量比が1未満の場合、MnS介在物の形成を効果的に抑制することができないため、MnS介在物が多量形成されて、水素誘起割れ抵抗性が劣る問題点がある。
一方、Ca/S重量比が3超の場合、CaS介在物の数は増加するが、低融点硬質性CaO系介在物も多量形成され、中心偏析帯でCaO系介在物が増加して割れ敏感度が増加するため、水素誘起割れ抵抗性を悪化する問題点がある。
従って、Ca及びSが1≦Ca/S≦3を満たすように制御することが好ましい。
一方、上記線材は、1〜10μmの大きさのMnS介在物を5個/mm以下、CaS介在物を15個/mm以上、CaO系介在物は10個/mm以下であってよい。1〜10μmの大きさの介在物に限定した理由は、このような大きさの介在物の数が最も多く存在するからである。
MnS介在物は、軟質性介在物で熱間圧延及び伸線中に長さ方向に延伸するが、基地組織と結合されていないため、界面に割れが生じる。このような割れ箇所には、油井内に含まれた水素(H)が凝集し、これは割れを成長及び拡大させて破壊させる。
CaO系介在物は、CaO−SiO−Al、Al−CaO、SiO−Cao、MgO+Al+SiO+CaOなどの複合介在物を意味する。CaO系介在物は、低融点の特性を有し、水素誘起割れ抵抗性を低下させる問題点がある。
CaS介在物は、MnS介在物と異なり硬質性で球形である。CaS介在物は、硬質性で線材圧延中に長さ方向に延伸ができないため、軟質性であるMnS介在物に比べて割れが形成される箇所が少なく、割れの大きさが増加しないので、水素誘起割れ抵抗性を向上させる作用をする。
即ち、MnS介在物及びCaO系介在物の数は少ないほど水素誘起割れ抵抗性が向上し、CaS介在物は増加するほど水素誘起割れ抵抗性を向上させる。但し、CaO系介在物は、CaS介在物の増加に比例して増加する傾向があり、硬質性であるCaO系介在物及びCaS介在物が伸線中に断線を引き起こし得る。
従って、1〜10μmの大きさのMnS介在物を5個/mm以下、CaS介在物を15個/mm以上、CaO系介在物は10個/mm以下に制御することで、水素誘起割れ抵抗性を向上させることができる。
この時、本発明による高炭素鋼線材の微細組織は、97面積%以上のパーライト、3面積%以下の初析セメンタイトを含むことができる。初析セメンタイトにHが凝集して水素誘起割れを発生させ得るため、初析セメンタイトは3面積%以下であることが好ましい。
また、本発明による高炭素鋼線材の引張強度は、980MPa以上であってよい。
〔水素誘起割れ抵抗性に優れた高炭素鋼線材の製造方法〕
以下、本発明の他の一側面である伸線性に優れた高炭素鋼線材の製造方法について詳しく説明する。
本発明の他の一側面である伸線性に優れた高炭素鋼線材の製造方法は、上述した合金組成及びCa/S重量比を満たすビレットをAe+200〜Ae+300℃で950分以上維持する段階と、上記ビレットをAe+200℃以上で圧延した後、Acm+70〜Acm+150℃の冷却終了温度まで冷却して線材を得る段階と、上記線材を巻き取る段階と、上記巻き取られた線材を450〜550℃まで10℃/s以上の冷却速度で冷却した後、5℃/s以下の冷却速度で冷却する段階とを含む。
〔ビレット加熱及び維持段階〕
上述した合金組成及びCa/S重量比を満たすビレットを線材加熱炉でAe+200℃〜Ae+300℃に加熱し、90分以上維持する。これは、粗大なセメンタイトを組織内に固溶させ、単相オーステナイトを形成させるためである。
Ae+200℃〜Ae+300℃の温度範囲は、オーステナイト単相が維持されながらオーステナイト結晶粒が粗大化しない温度範囲であり、残存する炭化物の除去に効果的な温度範囲である。
Ae+300℃を超える場合、オーステナイト結晶粒が非常に粗大となり、冷却後に形成される最終微細組織が粗大化し得る問題点があり、Ae+200℃未満の場合は、全部オーステナイト化しないこともあり、残存する炭化物(セメンタイト)の除去が不十分なこともある。従って、Ae+200℃〜Ae+300℃の温度範囲で加熱することが好ましい。
加熱時間が90分未満の場合、セメンタイトが充分に溶解しないこともある。一方、長期間維持すれば生産性が顕著に減少するため、維持時間を150分以下に制限することができる。
〔圧延段階及び巻取段階〕
上記ビレットをAe+200℃以上で圧延した後、Acm+70℃〜Acm+150℃の冷却終了温度まで冷却して巻き取る。
圧延温度がAe+200℃未満の場合は、圧延中に変形による微細組織の出現及び初析フェライトが形成される問題点がある。また、冷却終了温度をAcm+70℃〜Acm+150℃に限定したことは、冷却中に初析セメンタイトが形成されることを抑制して、初析セメンタイトが3面積%以下になるようにするためである。
〔冷却段階〕
上記巻き取られた線材を450〜550℃の冷却終了温度まで10℃/s以上の冷却速度で冷却した後、5℃/s以下の冷却速度で冷却する。
450〜550℃まではパーライト変態及び成長に影響を与える温度区間であるため、10℃/s以上に冷却する。
それ未満の温度ではコイルの形状に影響を与えるため、5℃/sに冷却して、製造原価の上昇をなるべく抑制することが好ましい。また、200℃までは上記冷却速度を維持することが好ましい。
〔水素誘起割れ抵抗性に優れた高炭素鋼鋼線及びその製造方法〕
以下、本発明のさらに他の一側面である水素誘起割れ抵抗性に優れた高炭素鋼鋼線について説明する。
高炭素鋼鋼線の場合、線材を伸線及び圧延して製造するため、MnS介在物による割れ発生の可能性がさらに大きくなり得るが、上述したように、合金組成及びCa/S重量比を適切に制御することで、本発明の高炭素鋼鋼線は、水素誘起割れ抵抗性に優れ、優れた強度を表す。
本発明の高炭素鋼鋼線の引張強度は、1600MPa以上であってよく、微細組織は、97面積%以上のパーライト、3面積%以下の初析セメンタイトを含んでよい。
また、本発明の高炭素鋼鋼線を酢酸、塩化ナトリウム及び蒸留水を含み、pH4.2の混合水溶液に浸漬した後、HS:99.5%ガスを上記混合水溶液内に注入して12時間維持した後、下記関係式1によって測定したCLR値が50%以下であることができる。
[関係式1]CLR(%)=(断面割れ長さの総合/断面長さ)×100
上記CLR値は、水素誘起割れ(HIC)抵抗性に対する指標として、CLR値が低いほど水素誘起割れ(HIC)抵抗性に優れる。
〔水素誘起割れ抵抗性に優れた高炭素鋼鋼線の製造方法〕
一方、上記高炭素鋼鋼線を製造するための方法は、好ましくは、重量%で、C:0.7〜0.9%、Mn:0.4〜0.9%、Si:0.07〜0.5%、P:0.015%以下、S:0.0005〜0.005%、Ca:0.001〜0.012%、残部Fe及びその他の不可避な不純物を含み、Ca/S重量比が1以上、3以下を満たすビレットをAe+200℃〜Ae+300℃で950分以上維持する段階と、上記ビレットをAe+200℃以上で圧延した後、Acm+70℃〜Acm+150℃の冷却終了温度まで冷却して線材を得る段階と、上記線材を巻き取る段階と、上記巻き取られた線材を450〜550℃まで10℃/s以上の冷却速度で冷却した後、5℃/s以下の冷却速度で冷却する段階と、上記冷却した線材を950℃で1分以上維持し、鉛浴で500℃以上の温度で1分以上維持する熱処理段階と、上記熱処理された線材を30〜50%の総減面量を印加して100〜300m/minの伸線速度で伸線し、40〜60%の総減面量を印加して板圧延する段階とを含むことができる。
冷却以前の段階は、上述した線材の製造方法と同一であるので、その後の工程について説明する。
〔熱処理段階〕
巻き取られた線材を冷却した後、950℃で1分以上維持し、鉛浴で500℃以上の温度で1分以上維持する。
950℃未満であるか1分以下で維持すると、厚いセメンタイトを充分に固溶させることができず、微細な炭化物が冷却後に存在して、伸線及び圧延割れの発生を引き起こし得る問題点がある。また、鉛浴の熱処理温度が500℃未満の場合、上部ベイナイト+パーライトの混入組織が発生して、伸線中に断線を引き起こし得る問題点があるからである。
〔伸線及び板圧延段階〕
上記熱処理された線材を30〜50%の総減面量を印加して100〜300m/minの伸線速度で伸線し、40〜60%の総減面量を印加して板圧延する。
伸線速度が100m/min未満の場合、生産性が低く、300m/min超の場合、熱間クラックが発生する可能性があるからである。
減面量は、下記のように計算する。
伸線時の総減面量(%)=100×[1−(伸線後の直径/伸線前の直径)2]
板圧延時の総減面量(%)=100×[1−(板圧延後の断面積/板圧延前の断面積)]
以下、実施例を通じて本発明をより具体的に説明する。
表1に表した成分組成を有する鋼片を利用して、下記のように同一の製造条件で線材及び板圧延した鋼線を製造して、線材のTS(引張強度)、MnS介在物数、CaS介在物数及びCaO系介在物数、板圧延した鋼線のTS(引張強度)及びCLRを測定して、表2に表した。
線材の製造条件としては、加熱炉:1000℃で95分維持、圧延温度:980℃、圧延後の冷却終了温度:880℃、巻取温度:880℃、ステルモア冷却台:500℃まで10℃/sの冷却速度で冷却した後、200℃まで5℃/sで冷却して16mmの線材を製造した。
上記線材を1000℃で2分間維持し、550℃の鉛浴で2分間維持し、40%の総減面量を印加して200m/minの伸線速度で伸線した後、50%の総減面量を印加して板圧延した。一方、発明例及び比較例の両方とも、引張強度は、下記の表1に記載されているように、980MPa程度であり、微細組織は、3%以下の初析フェライトと97%以上のパーライトを含む。
介在物の個数は、試片の長さ(t)の中央部分(1/2t)を切断してポリッシングした後、1×1mm領域で幅厚さが1〜10μmの大きさを有するMnS、CaS、CaO系介在物数を測定した。
CLRは、99.5%のHSガス注入雰囲気において、pH4.2の混合溶液(酢酸+塩化ナトリウム+蒸留水)に板圧延した鋼線を12時間浸漬した後、断面部で観察された割れの長さを試片断面長軸の長さで除して得られる値で比較した。CLRは、関係式1で定義し、CLR値が低いほど水素誘起割れ(HIC)抵抗性に優れる。
[関係式1]CLR(%)=(断面部に形成された割れ長さの総合/断面長軸の長さ)×100
Figure 0006293214
Figure 0006293214
比較例1〜3及び発明例1〜3は、S含量40ppmにおけるCa含量による変化を比較したものである。
引張強度の場合、比較例1〜3も発明例1〜3と類似した値を表したが、比較例1は、本発明のCa含量及びCa/S値を満たせなかった場合で、大部分がMnS介在物であり、CLRが310%で、水素誘起割れ抵抗性が劣っていた。
比較例2及び3は、本発明のCa/S値を満たせなかった場合である。比較例2は、Ca/S値が本発明で制御した範囲より低い場合で、CLR値は285%であり、比較例3は、Ca/S値が本発明で制御した範囲より高い場合で、CLR値は305%で測定されて、水素誘起割れ抵抗性が劣っていることが分かる。従って、本発明で制御したCa/S値を満たさなければ水素誘起割れ抵抗性に優れた線材を得ることができないことを確認することができた。
比較例4、5及び発明例4〜6は、S含量10ppmにおけるCa含量による変化を比較したものである。
比較例4は、本発明のCa含量及びCa/S値を満たさない場合で、CLR値が241%であり、比較例5は、Ca/S値が本発明で制御した範囲より高い場合で、CLR値は272%で測定されて、水素誘起割れ抵抗性が劣っていることが分かる。
従って、本発明で提示した各合金組成の範囲を満すだけでなく、Ca/S値を満たすと、水素誘起割れ抵抗性の向上が可能なことを確認することができた。
以上、実施例に基づいて説明したが、当該技術分野の熟練した当業者は、下記の特許請求の範囲に記載された本発明の思想及び領域から逸脱しない範囲内で本発明を多様に修正及び変更可能なことが理解できるであろう。

Claims (9)

  1. 重量%で、C:0.7〜0.9%、Mn:0.4〜0.9%、Si:0.07〜0.5%、P:0.015%以下、S:0.0005〜0.005%、Ca:0.001〜0.012%、残部Fe及びその他の不可避な不純物からなり、
    Ca/S重量比が1以上、3以下を満たし、1〜10μmの大きさのMnS介在物が5個/mm 以下、CaS介在物が15個/mm 以上、CaO系介在物は10個/mm 以下であることを特徴とする水素誘起割れ抵抗性に優れた高炭素鋼線材。
  2. 前記線材の微細組織は、97面積%以上のパーライト、3面積%以下の初析セメンタイトを含むことを特徴とする請求項1に記載の水素誘起割れ抵抗性に優れた高炭素鋼線材。
  3. 前記線材の引張強度は、980MPa以上であることを特徴とする請求項1に記載の水素誘起割れ抵抗性に優れた高炭素鋼線材。
  4. 重量%で、C:0.7〜0.9%、Mn:0.4〜0.9%、Si:0.07〜0.5%、P:0.015%以下、S:0.0005〜0.005%、Ca:0.001〜0.012%、残部Fe及びその他の不可避な不純物からなり、
    Ca/S重量比が1以上、3以下を満たすビレットをAe+200℃〜Ae+300℃で90分以上、150分以下に維持する段階と、
    前記ビレットをAe+200℃以上で圧延した後、Acm+70℃〜Acm+150℃の冷却終了温度まで冷却して線材を得る段階と、
    前記線材を巻き取る段階と、
    前記巻き取られた線材を450〜550℃まで10℃/s以上の冷却速度で冷却した後、5℃/s以下の冷却速度で冷却する段階とを含むことを特徴とする水素誘起割れ抵抗性に優れた高炭素鋼線材の製造方法。
  5. 重量%で、C:0.7〜0.9%、Mn:0.4〜0.9%、Si:0.07〜0.5%、P:0.015%以下、S:0.0005〜0.005%、Ca:0.001〜0.012%、残部Fe及びその他の不可避な不純物からなり
    Ca/S重量比が1以上、3以下を満たし、
    1〜10μmの大きさのMnS介在物が5個/mm 以下、CaS介在物が15個/mm 以上、CaO系介在物は10個/mm 以下であることを特徴とする水素誘起割れ抵抗性に優れた高炭素鋼鋼線。
  6. 前記高炭素鋼鋼線の微細組織は、97面積%以上のパーライト、3面積%以下の初析セメンタイトを含むことを特徴とする請求項に記載の水素誘起割れ抵抗性に優れた高炭素鋼鋼線。
  7. 前記高炭素鋼鋼線の引張強度は、1600MPa以上であることを特徴とする請求項に記載の水素誘起割れ抵抗性に優れた高炭素鋼鋼線。
  8. 前記高炭素鋼鋼線を酢酸、塩化ナトリウム及び蒸留水を含み、pH4.2の混合水溶液に浸漬した後、HS:99.5%ガスを前記混合水溶液内に注入して12時間維持した後、下記関係式1によって測定したCLR値が50%以下であることを特徴とする請求項に記載の水素誘起割れ抵抗性に優れた高炭素鋼鋼線。
    [関係式1] CLR(%)=(断面割れ長さの総合/断面長さ)×100
  9. 重量%で、C:0.7〜0.9%、Mn:0.4〜0.9%、Si:0.07〜0.5%、P:0.015%以下、S:0.0005〜0.005%、Ca:0.001〜0.012%、残部Fe及びその他の不可避な不純物からなり
    Ca/S重量比が1以上、3以下を満たすビレットをAe+200℃〜Ae+300℃で90分以上、150分以下に維持する段階と、
    前記ビレットをAe+200℃以上で圧延した後、Acm+70℃〜Acm+150℃の冷却終了温度まで冷却して線材を得る段階と、
    前記線材を巻き取る段階と、
    前記巻き取られた線材を450〜550℃まで10℃/s以上の冷却速度で冷却した後、5℃/s以下の冷却速度で冷却する段階と、
    前記冷却した線材を前記冷却した線材を950℃以上で1分以上維持し、鉛浴で500℃以上の温度で1分以上維持する熱処理段階と、
    前記熱処理された線材を30〜50%の総減面量を印加して100〜300m/minの伸線速度で伸線し、40〜60%の総減面量を印加して板圧延する段階と、を含むことを特徴とする水素誘起割れ抵抗性に優れた高炭素鋼鋼線の製造方法。
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