以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る複数の送電装置が複数の受電装置へ電力伝送を行う無線給電システム(以下「N対N無線給電システム」という)の構成概念を示す図である。図1の無線給電システムは、核磁気共鳴方式により給電を行う複数の送電装置10と、複数の受電装置20で構成される。なお、図1の無線給電システムは、2台の送電装置10と4台の受電装置20とにより構成されているが、このような台数構成に限定されるものではない。
送電装置10は、例えば磁界共鳴方式により、受電装置20に無線で電力を伝送する。また、送電装置10は、受電装置20との間で、電力伝送のために必要なデータ通信を行う。受電装置20は、送電装置10から無線で電力を受けることができる。また、受電装置20は、送電装置10との間で、電力伝送のために必要なデータ通信を行う。
送電装置10は、受電装置20への電力伝送が実行可能な給電エリア30を有する。また、送電装置10は、他の送電装置10との間及び受電装置20との間でデータ通信が実行可能な通信エリア40を有する。給電エリア30と通信エリア40との関係は、給電エリア30より通信エリア40の方が広く、給電エリア30が通信エリア40に包含されるものとする。
1台の送電装置10の給電エリア30内に複数の受電装置20が存在する場合に、その送電装置10は、自身の給電エリア30内の複数の受電装置20に対して並行して電力伝送を行うことができる。例えば、1台の送電装置10は、複数の受電装置20に対して、同じ共振周波数により同時に電力伝送を行うこともできるし、別々の共振周波数により順番に電力伝送を行うこともできる。
本実施形態に係る無線給電システムでは、図1に示すように通信エリア40内に複数の送電装置10が存在する場合にはグループが形成されるものとし、1つの送電装置がマスターとなり、他の送電装置がスレーブとなる。送電装置10の仕様に応じて、例えば、スレーブ送電装置の通信エリアの一部は必ずマスター送電装置の通信エリアの一部と重複していなければならないという条件の下にグループが形成されるように設定することができる。一方、マスター送電装置の通信エリアの一部と重複していないが、マスター送電装置の通信エリアの一部と重複している別のスレーブ送電装置の通信エリアと重複している通信エリアを有するスレーブ送電装置もグループに入ることができるように設定してもよい。この場合に、マスター送電装置との間に介在するスレーブ送電装置の数を制限した構成とすることもできる。
マスター送電装置は、無線給電システム内の全ての電力伝送と通信を制御する。複数の送電装置10の各給電エリア30の重複エリア内に受電装置20が存在する場合、マスター送電装置は、どの送電装置から重複エリア内の受電装置20へ電力伝送を行うかを決定し、決定された送電装置から電力伝送を行うように制御を行う。その際に、重複エリア内にある受電装置20は、給電を受けない送電装置の給電エリア内にも入っているので、給電を受けない送電装置の影響を受けないように、共振周波数を調整する。
マスター送電装置は、自身の通信エリア40内にある受電装置20が自身の給電エリア30にも入っているか否かを、トレーニングによる給電を行うことで試して確認する。例えば、マスター送電装置は、給電するパワーを10%ずつ上げ下げすることで、給電エリア30を少しずつ広げたり狭めたりすることができる。
図2は、送電装置10の概略構成を示すブロック図である。なお、図2では、データのやり取りを実線で示し、電力の供給を破線で示している。送電装置10は、制御部110、無線送信部120、無線受信部130、AC電源140、電源供給部150及びSW回路160を有する。
制御部110は、内部バスにより無線送信部120及び無線受信部130と接続されており、送電装置10の全体的な動作を制御する。制御部110は、CPU111、ROM112、RAM113、HDD114、UI115及び電源制御部116を有する。CPU111は、ROM112やHDD114に格納された種々のプログラムをRAM113に展開し、実行することにより、送電装置10の動作を制御する。ROM112は、CPU111が使用するブートプログラム等の各種プログラムや、プログラムの実行に必要なデータを記憶する。RAM113は、CPU111のワークエリアとして使用され、また、各種の一時データを保存する。HDD114は、CPU111が使用するOSやアプリケーション、各種データ等を記憶する。
なお、後述する送電装置10の機能や処理は、CPU111がROM112又はHDD114に格納されているプログラムを読み出し、このプログラムを実行することにより実現されるものである。
UI115は、ユーザに種々の情報を表示する表示部であると共に、ユーザから種々の指示を受け付ける操作部であるユーザインタフェースである。電源制御部116は、SW回路160と接続されており、受電装置20の電源のオン/オフを制御する。電源制御部116は、受電装置20への電力伝送が不要なときには、CPU111からの制御に従い、無線送信部120の電源をオフし、送電装置10を省電力モードで動作させる。また、電源制御部116は、受電装置20への電力伝送が必要なときには、CPU111からの制御に従い、無線送信部120の電源をオンする。
無線送信部120は、電力を受電装置20へ無線で送信する。無線送信部120は、無線通信回路121、送電回路122、ダイプレクサ123及び送電コイル124を有する。無線通信回路121は、通信を行うための変調信号を生成する。送電回路122は、電力を送信するための変調信号を生成する。ダイプレクサ123は、無線通信回路121が生成した変調信号と送電回路122が生成した変調信号を合成する。送電コイル124は、ダイプレクサ123が合成した変調信号を受電装置20へ送信する。
無線受信部130は、受電装置20からデータを受信する。無線受信部130は、受電コイル131、受信回路132及び復調回路133を有する。受電コイル131は、通信を行うための変調信号を受電装置20から受信する。受信回路132は、受電コイル131が受信した変調信号を受信する。復調回路133は、受信回路132が受信した変調信号を復調する。
AC電源140は、交流電圧を送電コイル124と電源供給部150に供給する。電源供給部150は、AC電源140が供給する交流電圧を直流電圧へ変換し、直流電圧を制御部110、無線送信部120及び無線受信部130へ供給する。SW回路160は、無線送信部120の電源のオン/オフを行う。
図3は、受電装置20の概略構成を示すブロック図である。なお、図3でも、図2と同様に、データのやり取りを実線で示し、電力の供給を破線で示している。受電装置20は、制御部210、無線送信部220及び無線受信部230を有する。
制御部210は、内部バスにより無線送信部220及び無線受信部230と接続されており、受電装置20の全体的な動作を制御する。制御部210は、CPU211、ROM212、RAM213、HDD214及びUI215を有する。CPU211は、ROM212やHDD214に格納された種々のプログラムをRAM213に展開し、実行することにより、受電装置20の動作を制御する。ROM212は、CPU211が使用するブートプログラム等の各種プログラムや、プログラムの実行に必要なデータを記憶する。RAM213は、CPU211のワークエリアとして使用され、また、一時データを保存する。HDD214は、CPU211が使用するOSやアプリケーション、各種データ等を記憶する。UI215は、ユーザに種々の情報を表示する表示部であると共に、ユーザから種々の指示を受け付ける操作部であるユーザインタフェースである。
なお、後述する受電装置20の機能や処理は、CPU211がROM212又はHDD214に格納されているプログラムを読み出し、このプログラムを実行することにより実現されるものである。
無線送信部220は、送電装置10へデータを送信する。無線送信部220は、無線通信回路221及び送電コイル222を有する。無線通信回路221は、通信を行うための変調信号を生成する。送電コイル222は、無線通信回路221が生成した変調信号を送電装置10へ送信する。
無線受信部230は、電力を送電装置10から無線で受信する。無線受信部230は、受電コイル231、ダイプレクサ232、復調回路233、整流回路234、電圧安定化回路235及びバッテリ236を含む。受電コイル231は、送電装置10から変調信号を受信する。ダイプレクサ232は、受電コイル231が受信した変調信号を、通信を行うための変調信号と電力を送信するための変調信号に分ける。復調回路233は、ダイプレクサ232が分けた通信を行うための変調信号を復調する。整流回路234は、ダイプレクサ232が分けた電力を送信するための変調信号を整流して直流電圧を生成する。電圧安定化回路235は、整流回路234が生成した直流電圧を安定化させる。バッテリ236は、電圧安定化回路235が安定化した電圧を受けて、電力を蓄積する。また、バッテリ236は、蓄積した電力を制御部210、無線送信部220及び無線受信部230に直流電圧として供給する。
図4は、無線給電システムでの無線給電におけるスーパーフレームの構造を示す図である。無線給電システムにおいては、図4に示すようなスーパーフレームを繰り返すことによって無線給電が実現される。各スーパーフレームの期間は可変である。そして、1つのスーパーフレームは、関連付け期間410、電力伝送準備期間420、電力伝送期間430からなり、これらの各期間はそれぞれ可変である。
関連付け期間410は、送電装置10の通信エリア40内に別の送電装置があった場合に、送電装置間でデバイスID、給電エリア、通信エリア、最大送電電力等の情報を交換し、グループ形成を行い、無線給電システムを構築するための期間である。その際に、複数の送電装置10の中から、無線給電システム内の全ての電力伝送と通信を制御するマスター送電装置が決定される。
マスター送電装置は、受電装置20に対して、デバイスIDと電力伝送の必要性の確認を行う。また、スレーブ送電装置は、受電装置20へデバイスIDと電力伝送の必要性の確認を行い、確認した受電装置20のデバイスIDと電力伝送の必要性の情報をマスター送電装置に対して通知する。マスター送電装置は、スレーブ送電装置からの通知を受けて、無線給電システム内の各受電装置20にどの送電装置から電力伝送を行うかを決定する。電力伝送の必要のある受電装置20がある場合、関連付け期間410から電力伝送準備期間420へ移行する。
電力伝送準備期間420では、受電装置20が送電装置10のデータリクエストによるフレームのレスポンスやアクノリッジを送信することができる。なお、レスポンスフレームの長さ及びアクノリッジフレームの長さはそれぞれ可変である。電力伝送準備期間420が終了すると、電力伝送期間430へ移行する。
電力伝送期間430では、無線給電システム内の各送電装置10がそれぞれに割り当てられた受電装置20へ電力伝送を行う。電力伝送期間430において、受電装置20は、送電装置10からのリクエストフレームがなくても、フレームを送電装置10へ送信することができる。
複数の送電装置10によって無線給電システムが構築された場合、所定の条件が変化するまで、そのグループでの動作が維持される。例えば、1つの受電装置20における受電が完了すると、マスター送電装置は、その受電装置20からの電力伝送終了通知に従って、全ての電力伝送を停止し、無線給電システムを再構築する。また、マスター送電装置は、新たに受電装置20が追加されたときや電力伝送中だった受電装置20が削除されたときや、新たに送電装置10が追加されたときや電力伝送中だった送電装置10が削除されたときも、無線給電システムを再構築する。
図5は、フレームフォーマットの構造を示す図である。上述したスーパーフレーム(図4参照)においては、フレームフォーマットのパケットを用いて無線給電のためのデータ通信が実現される。フレームフォーマットは、フレームヘッダー510とフレームボディ520とからなる。
フレームヘッダー510は、データ転送時の宛先等を示し、ID511、フレームコントロール512、発信元アドレス513、行先アドレス514及びシーケンスナンバー515を含む。ID511は、無線給電システムでデータ通信を行うときに使われるIDである。フレームコントロール512は、送電装置10及び受電装置20のデータ交換のための情報である。
フレームコントロール512は、電力管理5120、エリア管理5121、Info管理5122、Status管理5123、割り当て管理5124を含む。電力管理5120は、電力の必要性を確認するデータである。エリア管理5121は、送電装置10の給電エリア30の広さを確認するデータであり、送電装置10は、自身の通信エリア40内にある受電装置20が給電エリア30内にあるか否かを確認し、給電エリア30の広さを示すデータを持つ。Info管理3122は、送電装置10の給電エリア30、通信エリア40、最大送信電力等の情報を確認するデータである。Status管理5123は、送電装置10の省電力モード等のステータスを確認するデータである。割り当て管理5124は、マスター送電装置が決定した、無線給電システム内の各受電装置20にどの送電装置10から送電するかを示すデータである。
発信元アドレス513は、データ転送時における発信元のアドレスである。行先アドレス514は、データ転送時における行先のアドレスである。シーケンスナンバー515は、フレームの番号である。
フレームボディ520は、データ転送時のデータ本体の情報である。フレームボディ520は、ペイロード521及びフレームチェックシーケンス522を含む。ペイロード521は、データ本体である。例えば、デバイスID5210がペイロード521に割り当てられる。フレームチェックシーケンス522は、ペイロード521のエラーチェックを行うデータである。
図6は、送電装置10が受電装置20に電力伝送を行う際の送電装置10と受電装置20の間のデータのやりとりを示すシーケンス図である。上述したスーパーフレーム(図4参照)において、図6に示すデータのやりとりが行われることによって、無線給電のためのデータ通信が実現される。図6のステップS601〜604は関連付け期間410での処理であり、ステップS605は電力伝送準備期間420での処理であり、ステップS606〜607は電力伝送期間430での処理である。
なお、送電装置10による処理は、送電装置10のCPU111が、ROM112に格納されたプログラムをRAM113に展開し、実行することにより、送電装置10を構成する各部の動作を制御することによって実現される。また、受電装置20による処理は、受電装置20のCPU211が、ROM212に格納されたプログラムをRAM213に展開し、実行することにより、受電装置20を構成する各部の動作を制御することによって実現される。
ステップS601において、送電装置10は、受電装置20に対してデバイスIDを要求する。このとき、フレームフォーマットのID511が用いられる。続くステップS602において、受電装置20は、デバイスID5210を送電装置10へ返し、送電装置10はデバイスID5210を取得する。このとき、フレームフォーマットのID511が用いられる。続いて、ステップS603において、送電装置10は、受電装置20に電力伝送の必要性の有無を確認する。このとき、フレームフォーマットの電力管理5120が用いられる。これに対して、ステップS604において、受電装置20は、送電装置10へ電力伝送の必要性の有無を回答する。このとき、フレームフォーマットの電力管理5120が用いられる。
送電装置10は、受電装置20から電力伝送の必要性有りとの回答を受けた場合、ステップS605において、受電装置20への電力伝送の準備を行う。次いで、ステップS606において、送電装置10は、受電装置20に電力伝送(送電)を行う。ステップS607において、受電装置20は、バッテリ236の充電が完了すると、送電装置10へ電力伝送終了通知を送信する。このとき、フレームフォーマットの電力管理5120が用いられる。電力伝送終了通知を受けた送電装置10は、受電装置20への電力伝送を終了する。
図7は、N対N無線給電システムを構成する複数の送電装置10と複数の受電装置20との間のデータのやりとりを示すシーケンス図である。上述したスーパーフレーム内で図7に示す通信及び電力伝送が行われることにより、無線給電システムにおける無線給電のためのデータ通信が実現される。なお、ここでは、2台の送電装置10と3台の受電装置20(以下「受電装置20A」、「受電装置20B」、「受電装置20C」とする)とによって無線給電システムが構築されるものとする。
ステップS701において、2台の送電装置10は、デバイスIDの情報を交換する。このとき、フレームフォーマットのID511が用いられる。続くステップS702において、2つの送電装置10は、給電エリア、通信エリア、最大送電電力等の情報を交換する。このとき、フレームフォーマットのInfo管理5122が用いられる。次いで、ステップS703において、2つの送電装置10はグループを形成する。これにより、一方の送電装置10がマスター送電装置10Mとして決定され、他方の送電装置10がスレーブ送電装置10Sとして決定される。なお、いずれの送電装置がマスター送電装置として決定されるかは、予め定められたルールに従うものとする。例えば、グループ内でCPUの処理能力が最も高い送電装置をマスター送電装置としてもよい。
次いで、ステップS704において、マスター送電装置10Mは、3台の受電装置20A〜20Cに対してデバイスIDを要求する。このとき、フレームフォーマットのID511が用いられる。なお、マスター送電装置10Mは、その通信エリア内の受電装置20B,20Cに対しては、直接、デバイスIDを要求する。一方、マスター送電装置10Mは、スレーブ送電装置10Sの通信エリア内の受電装置20Aに対しては、スレーブ送電装置10Sを介して、デバイスIDを要求する。
ステップS705において、マスター送電装置10Mは、受電装置20A〜20CからデバイスID5210を受け取る。このとき、フレームフォーマットのID511が用いられる。なお、マスター送電装置10Mは、その通信エリア内の受電装置20B,20Cからは、デバイスID5210を直接受け取る。一方、マスター送電装置10Mは、スレーブ送電装置10Sの通信エリア内の受電装置20Aからは、スレーブ送電装置10Sを介して、デバイスID5210を受け取る。
ステップS706において、マスター送電装置10Mは、トレーニング要求を行い、受電装置20A〜20Cがどの送電装置の給電エリアに入っているかを確認する。このとき、フレームフォーマットのエリア管理5121が用いられる。マスター送電装置10Mは、その通信エリア内の受電装置20B,20Cに対しては直接確認し、スレーブ送電装置10Sの通信エリア内の受電装置20Aに対しては、スレーブ送電装置10Sを介して確認する。なお、トレーニング要求とは、スレーブ送電装置10Sから電力伝送可能か否かを試す動作の実行を受電装置20Aへ要求すること及びマスター送電装置10Mから電力伝送可能か否かを試す動作の実行を受電装置20B,20Cへ要求することをいう。
ステップS707において、受電装置20A〜20Cは、トレーニングによる受電を行い、どの程度で受電できたかを算出し、そのトレーニング結果をマスター送電装置10Mへ通知する。このとき、受電装置20A〜20Cは、フレームフォーマットのエリア管理5121を用いる。マスター送電装置10Mの通信エリア内の受電装置20B,20Cは、トレーニング結果をマスター送電装置10Mに直接通知する。また、スレーブ送電装置10Sの通信エリア内の受電装置20Aは、スレーブ送電装置10Sを介してトレーニング結果をマスター送電装置10Mに通知する。ここで、ステップS707の処理は、マスター送電装置10Mが送電可能な受電装置を検出する検出処理の一例である。また、トレーニング結果は、送電可能な受電装置を検出したことを示す検出通知の一例であり、ステップS707の処理は、マスター送電装置10Mが、マスター送電装置以外の他の送電装置から検出通知を受信する受信処理の一例である。
ステップS708において、マスター送電装置10Mは、受電装置20A〜20Cに対して、電力伝送の必要性(受電装置20A〜20Cが充電を必要としているか否か)を確認する。このとき、フレームフォーマットの電力管理5120が用いられる。マスター送電装置10Mは、その通信エリア内の受電装置20B,20Cに対しては直接確認し、スレーブ送電装置10Sの通信エリア内の受電装置20Aに対しては、スレーブ送電装置10Sを介して確認する。
ステップS709において、受電装置20A〜20Cは、マスター送電装置10Mに対して、給電の必要性(電力伝送を受ける必要性)があれば、給電が必要である旨を回答(通知)し、給電の必要性がない場合には給電は不要である旨を回答する。このとき、受電装置20A〜20Cは、フレームフォーマットの電力管理5120を用いる。なお、マスター送電装置10Mの通信エリア内の受電装置20B,20Cは、マスター送電装置10Mに直接回答し、また、スレーブ送電装置10Sの通信エリア内の受電装置20Aは、スレーブ送電装置10Sを介してマスター送電装置10Mに回答する。
ステップS710において、マスター送電装置10Mとスレーブ送電装置10Sは、省電力モード等のステータスを交換する。このとき、フレームフォーマットのStatus管理5123が用いられる。続いて、ステップS711において、マスター送電装置10Mは、受電装置20A〜20Cに対して、マスター送電装置10Mとスレーブ送電装置10Sのどちらから電力伝送を行うかの割り当てを決定する。このとき、マスター送電装置10Mは、給電エリアや通信エリア、最大送電電力、ステータス等の情報及び受電装置20A〜20Cの必要電力情報等に基づいて割り当てを決定する。なお、ここでは、マスター送電装置10Mは受電装置20B,20Cへ電力伝送を行い、スレーブ送電装置10Sは受電装置20Aに電力伝送を行うように割り当てが決定されたものとする。
ステップS712において、マスター送電装置10Mは、決定した割り当てをスレーブ送電装置10Sに通知する。このとき、フレームフォーマットの割り当て管理5124が用いられる。ステップS713において、マスター送電装置10Mは受電装置20B,20Cへ電力伝送を行うための準備を、スレーブ送電装置10Sは受電装置20Aに電力伝送を行うための準備をそれぞれ行う。ステップS714において、マスター送電装置10Mは受電装置20B,20Cへ、スレーブ送電装置10Sは受電装置20Aへそれぞれ、電力伝送を開始する。
ステップS715において、受電装置20B,20Cは、それぞれが備えるバッテリ236の充電が完了すると(フルになると)、マスター送電装置10Mへ電力伝送終了通知を行う。また、受電装置20Aは、そのバッテリ236の充電が完了すると、スレーブ送電装置10Sへ電力伝送終了通知を行う。このとき、フレームフォーマットの電力管理5120が用いられる。マスター送電装置10Mの通信エリア内の受電装置20B,20Cは、マスター送電装置10Mに、直接、電力伝送終了を通知する。また、スレーブ送電装置10Sの通信エリア内の受電装置20Aは、スレーブ送電装置10Sを介して、マスター送電装置10Mに電力伝送終了を通知する。マスター送電装置10Mは、受電装置20A〜20Cのうちのどれか1台から電力伝送終了通知を受けると、全ての電力伝送を停止し、無線給電システムを再構築する。
次に、具体的にN対N無線給電システムの構成例(第1の例〜第4の例)を示して、その動作について説明する。
<第1の例>
図12は、第1の例に係る無線給電システムの当初の構成(A)と変更後の構成(B)とを示す図である。なお、図12中の破線矢印は、電力伝送を示している。第1の例に係る無線給電システムは、当初は図12(A)に示す通りに、マスター送電装置BSM10、スレーブ送電装置BSS10及び受電装置DSA20,DSB20,DSC20からなるものとする。
受電装置DSA20は、マスター通信エリア40M(マスター送電装置BSM10の通信エリア)内にある。しかし、受電装置DSA20は、マスター給電エリア30M(マスター送電装置BSM10の給電エリア)内にはなく、スレーブ通信エリア40S(スレーブ送電装置BSS10の通信エリア)内にない。そのため、受電装置DSA20は、マスター送電装置BSM10及びスレーブ送電装置BSS10のどちらからも給電(電力伝送)されていない。受電装置DSB20は、マスター給電エリア30M内にあるが、スレーブ通信エリア40S内になく、そのため、マスター送電装置BSM10から給電されている。受電装置DSC20は、マスター給電エリア30M内にあり、且つ、スレーブ給電エリア30S(スレーブ送電装置BSS10の給電エリア)内にあり、スレーブ送電装置BSS10から給電されている。
第1の例に係る無線給電システムに対して、図12(A)の当初状態から図12(B)に示すように、マスター送電装置BSM10及びスレーブ送電装置BSS10の双方から給電が可能な重複エリアに受電装置DSD20が追加されたものとする。このような構成変更が生じたときの無線給電システムの動作について、図8乃至図11を参照して説明する。
図8は、第1の例に係る無線給電システムに図12(A)から図12(B)への構成変更が生じたときのマスター送電装置BSM10の動作を示すフローチャートである。図8に示す各処理は、マスター送電装置BSM10のCPU111が、ROM112に格納されたプログラムをRAM113に展開し、実行することにより、マスター送電装置BSM10を構成する各部の動作を制御することによって実現される。以下の説明では、マスター送電装置BSM10のCPU111を「CPU111M」と記すこととする。
図8のフローチャートについての説明では、図9及び図10を参照する。図9及び図10は、マスター送電装置BSM10が無線給電システム全体を制御するために用いる管理テーブルの例を示す図である。管理テーブルは、無線給電システムを構成する複数の送電装置及び受電装置のIDやステータス等を管理するものである。管理テーブルは、マスター送電装置BSM10のRAM113等に格納されている。図9(A)の送電側管理テーブル901は、マスター送電装置BSM10及びスレーブ送電装置BSS10の通信エリア、給電エリア、最大供給電力、給電中の電力値等のステータス、通信エリア内の受電装置情報、給電中の受電装置とその周波数等を管理する。図9(B)の受電側管理テーブル902は、受電装置DSA20〜DSD20がどの送電装置の通信エリア、給電エリアにあり、どの送電装置から給電可能か、どの程度の大きさの電力伝送が必要か等の情報を管理する。
なお、図9(A)の送電側管理テーブル901及び図9(B)の受電側管理テーブル902は、無線給電システムが図12(A)の当初状態にあるときのものである。なお、後述するように、図9(C)の送電側管理テーブル901A及び図9(D)の受電側管理テーブル902Aは、無線給電システムが図12(B)の新たな構成に遷移したときのものである。図10の詳細については、図8の説明に合わせて、適宜、後述する。
図8のステップS801において、CPU111Mは、無線送信部120を介して、スレーブ送電装置BSS10及び受電装置DSA20〜DSD20にID511を要求する。なお、CPU111Mは、マスター通信エリア40M(マスター送電装置BSM10の通信エリア)外の受電装置が存在する場合には、スレーブ送電装置BSS10を介して、受電装置にID511を要求する。ステップS802において、CPU111Mは、無線受信部130を介して、スレーブ送電装置BSS10及び受電装置DSA20〜DSD20からID511を受け取ったか否かを判断する。CPU111Mは、IDを受け取るまで(S802でNO)、ステップS802の判断を繰り返す。なお、CPU111Mは、スレーブ送電装置BSS10から、スレーブ送電装置BSS10の通信エリア40S内にある受電装置DSC20,DSD20のID511も受け取る。
CPU111は、ID511を受け取ると(S802でYES)、処理をステップS803へ進める。ステップS803において、CPU111Mは、新規に受電装置が追加されたか否かを判断する。具体的には、CPU111Mは、図9(A)及び図9(B)の送電側管理テーブル901及び受電側管理テーブル902を参照し、ステップS802で受け取ったID511の中に新規IDが有るか否かを判断する。CPU111Mは、新規受電装置が追加された場合(S803でYES)、処理をステップS804へ進め、新規受電装置が追加されていない場合(S803でNO)、処理をステップS808へ進める。
ステップS804において、CPU111Mは、送電側管理テーブル901及び受電側管理テーブル902に新規受電装置を追加する。本例では、受電装置DSD20が新規受電装置として追加されており、受電装置DSD20は、マスター給電エリア30Mとスレーブ給電エリア30Sの重複エリア内にある。そのため、図9(A)の送電側管理テーブル901及び図9(B)の受電側管理テーブル902はそれぞれ、図9(C)の送電側管理テーブル901A及び図9(D)の受電側管理テーブル902Aの通りに更新される。
ステップS805において、CPU111Mは、無線送信部120を介して、スレーブ送電装置BSS10及び受電装置DSD20にトレーニング要求を行う。これにより、マスター送電装置BSM10及びスレーブ送電装置BSS10から受電装置DSD20に対してトレーニングが行われる。そして、ステップS806において、CPU111Mは、トレーニング結果があったか否かを判断し、トレーニング結果を受け取るまでステップS806の判断を繰り返す(S806でNO)。なお、トレーニングについては、図7を参照して既に説明している通りであり、ここでの説明を省略する。
CPU111Mは、無線受信部130を介してトレーニング結果を受け取ると(S806でYES)、処理をステップS807へ進める。ステップS807において、CPU111Mは、受け取ったトレーニング結果に応じて、図9(C)の送電側管理テーブル901A及び図9(D)の受電側管理テーブル902Aを更新する。本例の場合、受電装置DSD20がマスター給電エリア30Mとスレーブ給電エリア30Sの重複エリアにあるため、トレーニング結果は、マスター送電装置BSM10及びスレーブ送電装置BSS10のどちらからでも電力伝送可能という結果になる。その結果、ステップS807では、図9(C)の送電側管理テーブル901Aはそのままで、図9(D)の受電側管理テーブル902Aが図10(A)の受電側管理テーブル902Bへと更新される。
ステップS808において、CPU111Mは、無線送信部120を介して受電装置DSA20〜DSD20に電力伝送の必要性を確認し、無線受信部130を介して受電装置DSA20〜DSD20から電力伝送の必要性の有無の通知を受け取る。このとき、CPU111Mは、スレーブ送電装置BSS10から通信エリア40S内にある受電装置DSC20,DSD20の電力伝送の必要性の有無の通知も受け取る。
そして、ステップS809において、CPU111Mは、受電装置DSA20〜DSD20の中に電力伝送が必要な受電装置があるか否かを判断する。CPU111Mは、電力伝送の必要がない場合(S809でNO)、処理を終了させ、電力伝送の必要な受電装置がある場合(S809でYES)、処理をステップS810へ進める。
ステップS810において、CPU111Mは、マスター送電装置BSM10とスレーブ送電装置BSS10のステータスを確認する。本例では、ステップS810において、マスター送電装置BSM10とスレーブ送電装置BSS10のステータスが省電力モードか否かを確認する。但し、CPU111Mは、マスター送電装置BSM10のステータスの変化を認識することができるため、ステップS810では、スレーブ送電装置BSS10のステータスが変化した際に、その内容をマスター送電装置BSM10に通知するようにしてもよい。ステータス確認の結果、スレーブ送電装置BSS10のステータスが省電力モードであった場合には、CPU111Mは、省電力モードにあるスレーブ送電装置BSS10を割り当ての対象から外すように制御することができる。
続くステップS811において、CPU111Mは、受電装置DSA20〜DSD20に対して、マスター送電装置BSM10とスレーブ送電装置BSS10のどちらから電力伝送を行うかを決定する。そして、同じステップS811において、CPU111Mは、図9(C)の送電側管理テーブル901A及び図10(B)の受電側管理テーブル902Cを更新する。本例では、ステップS811では、図10(B)の受電側管理テーブル902Cはそのままで、図9(C)の送電側管理テーブル901Aが図10(C)の送電側管理テーブル901Bへ更新される。本例では、送電側管理テーブル901Bに記載の通り、CPU111Mは、スレーブ送電装置BSS10に対して、給電の割り当てを無くして、省電力モードに移行させるように制御を行っている。なお、ステップS811の処理の詳細については、図11を参照して後述する。
ステップS812において、CPU111Mは、決定した割り当てを、無線送信部120を介してスレーブ送電装置BSS10に通知する。ステップS813において、CPU111Mは、決定した割り当てに従い、電力伝送の準備を行う。本例では、スレーブ送電装置BSS10は省電力モードに入ることになる。仮に、スレーブ送電装置BSS10に所定の受電装置へ電力伝送を行うように割り当てがなされた場合には、スレーブ送電装置BSS10は、その割り当てに従って電力伝送の準備を行うこととなる。
ステップS814において、CPU111Mは、無線送信部120を介して、給電エリア30内にある受電装置DSB20〜DSD20に対して電力伝送を行い、これにより、受電装置DSB20〜DSD20の各バッテリ236への充電が開始される。その後、ステップS815において、CPU111Mは、受電装置DSB20〜DSD20のいずれかから電力伝送終了通知を受信したか否かを判断する。つまり、受電装置DSB20〜DSD20のそれぞれのバッテリ236のうちのどれか1つが満充電されるまで(S815でNO)、ステップS814の電力伝送が続けられる。
CPU111Mは、受電装置DSB20〜DSD20のいずれかから電力伝送終了通知を受信すると(S815でYES)、処理をステップS816へ進める。本例では、スレーブ送電装置BSS10は省電力モードに入っている。ただし、仮にスレーブ送電装置BSS10が所定の受電装置に対して電力伝送を行っており、その受電装置のバッテリが満充電となったときには、CPU111Mは、スレーブ送電装置BSS10から電力伝送終了通知を受け取る。
ステップS816において、CPU111Mは、無線送信部120を介して、全ての受電装置DSB20〜DSD20への電力伝送を停止する。これにより、本処理は終了となり、マスター送電装置BSM10とスレーブ送電装置BSS10は、無線給電システムを再構築する。
図11は、ステップS811における割り当てを決定する処理の詳細を示すフローチャートである。なお、図11の説明では、受電装置及びスレーブ送電装置を、図12に示した受電装置DSA20〜DSD20及びスレーブ送電装置BSS10に限定せずに、一般化した説明を行うものとする。
ステップS1101において、CPU111Mは、新規受電装置の要求電力が給電可能な範囲内か否かを判断する。給電可能範囲を超えている場合(S1101でNO)、CPU111Mは、ステップS1102においてエラー処理を行い、その後、本処理を終了させる。一方、給電可能範囲内である場合(S1101でYES)、CPU111Mは、処理をステップS1103へ進める。ステップS1103において、CPU111Mは、新規受電装置がどの給電エリアに追加されたか判断する。
スレーブ給電エリアとは重複しないマスター給電エリアのエリア内に受電装置が追加された場合、CPU111Mは、処理をステップS1103からステップS1104へ進める。ステップS1104において、CPU111Mは、マスター給電エリアとスレーブ給電エリアの重複エリアに給電が必要な受電装置があるか否かを確認する。CPU111Mは、重複エリアに給電が必要な受電装置がない場合(S1104でNO)、処理をステップS1114へ進め、重複エリアに給電が必要な受電装置がある場合(S1104でYES)、処理をステップS1105へ進める。
ステップ1105において、CPU111Mは、マスター給電エリアとは重複しないスレーブ給電エリアのエリア内に給電が必要な受電装置があるか否かを確認する。CPU111Mは、そのエリアに給電が必要な受電装置がない場合(S1105でNO)、処理をステップS1106へ進め、そのエリアに給電が必要な受電装置がある場合(S1105でYES)、処理をステップS1114へ進める。
ステップ1106において、CPU111Mは、全ての受電装置からの要求電力をマスター送電装置から給電可能か否かを判断する。CPU111Mは、給電可能な場合(S1106でYES)、処理をステップS1115へ進め、給電不可能の場合(S1106でNO)、処理をステップS1114へ進める。
CPU111Mは、新規受電装置がマスター給電エリアとスレーブ給電エリアの重複エリアに追加された場合、ステップS1103からステップS1107へ処理を進める。ステップS1107において、CPU111Mは、スレーブ給電エリアとは重複しないマスター給電エリアのエリア内に給電が必要な受電装置があるか否かを確認する。CPU111Mは、そのエリアに給電が必要な受電装置がない場合(S1107でNO)、処理をステップS1108へ進め、そのエリアに給電が必要な受電装置がある場合(S1107でYES)、処理をステップS1114へ進める。
ステップS1108において、CPU111は、マスター給電エリアとは重複しないスレーブ給電エリアのエリア内に給電が必要な受電装置があるか否かを確認する。CPU111Mは、そのエリアに給電が必要な受電装置がない場合(S1108でNO)、処理をステップS1109へ進め、そのエリアに給電が必要な受電装置がある場合(S1108でYES)、処理をステップS1117へ進める。
ステップS1109において、CPU111は、マスター給電エリアとスレーブ給電エリアの重複エリアに給電が必要な受電装置があるか否かを確認する。CPU111Mは、重複エリアに給電の必要な受電装置がない場合(S1109でNO)、処理をステップS1114へ進め、重複エリアに給電が必要な受電装置がある場合(S1109でYES)、処理をステップS1110へ進める。
ステップS1110において、CPU111Mは、ステップS1109で重複エリアにあると判断された受電装置に対して、マスター送電装置とスレーブ送電装置のどちらから給電が行われているかを確認する。CPU111Mは、マスター送電装置から給電が行われている場合には処理をステップS1114へ進め、スレーブ送電装置から給電が行われている場合には処理をステップS1117へ進める。
CPU111Mは、マスター給電エリアとは重複しないスレーブ給電エリアのエリア内に受電装置が追加された場合、処理をステップS1103からステップS1111へ進める。ステップS1111において、CPU111Mは、マスター給電エリアとスレーブ給電エリアの重複エリアに給電が必要な受電装置があるか否かを確認する。CPU111Mは、重複エリアに給電の必要な受電装置がない場合(S1111でNO)、処理をステップS1117へ進め、重複エリアに給電の必要な受電装置がある場合(S1111でYES)、処理をステップS1112へ進める。
ステップS1112において、CPU111Mは、スレーブ給電エリアとは重複しないマスター給電エリアのエリア内に給電が必要な受電装置があるか否かを確認する。CPU111Mは、そのエリアに給電の必要な受電装置がない場合(S1112でNO)、処理をステップS1113へ進め、そのエリアに給電の必要な受電装置がある場合(S1112でYES)、処理をステップS1117へ進める。
ステップS1113において、CPU111Mは、全ての受電装置からの要求電力をスレーブ送電装置から給電可能か否かを判断する。CPU111Mは、給電可能な場合(S1113でYES)、処理をステップS1116へ進め、給電不可の場合(S1113でNO)、処理をステップS1117へ進める。
ステップS1114において、CPU111Mは、当初からある受電装置の割り当てを変更せずに、新規受電装置に対してマスター送電装置から電力伝送を行って給電するように割り当てる。ステップS1115において、CPU111Mは、全ての受電装置に対してマスター送電装置から電力伝送を行って給電するように割り当てる。ステップS1116において、CPU111Mは、全ての受電装置に対してスレーブ送電装置から電力伝送を行って給電するように割り当てる。ステップS1117において、CPU111Mは、当初からある受電装置の割り当てを変更せずに、新規受電装置に対してスレーブ送電装置から電力伝送を行って給電するように割り当てる。ステップS1114〜S1117の割り当てにより、本処理は終了となる。
以上の第1の例によれば、N対N無線給電システムにおいて、マスター送電装置は、システムを構築乃至再構築する際に、省電力モードとすることができる送電装置がある場合に、その送電装置を省電力モードへ移行させる。これにより、N対N無線給電システムにおける消費電力を低減させることができる。
<第2の例>
図13は、第2の例に係る無線給電システムの当初の構成(A)と変更後の構成(B)とを示す図である。第2の例に係る無線給電システムは、図13(A)に示す通りに、マスター送電装置BSM10、スレーブ送電装置BSS10及び受電装置DSA20,DSB20,DSC20からなるものとする。
受電装置DSA20は、マスター給電エリア30M内にあるが、スレーブ通信エリア40S外にある。受電装置DSB20は、マスター給電エリア30Mとスレーブ給電エリア30Sの重複エリアにある。受電装置DSC20は、スレーブ給電エリア30S内にあるが、マスター通信エリア40M外にある。
図13(A)の当初状態では、受電装置DSA20はマスター送電装置BSM10から給電されており、受電装置DSB20,DSC20はスレーブ送電装置BSS10から給電されているものとする。その後、図13(A)の受電装置DSC20のバッテリ236が満充電となったとする。受電装置DSC20は、バッテリ236が満充電になると、スレーブ送電装置BSS10へ電力伝送終了通知を行う。これに従って、スレーブ送電装置BSS10は、マスター送電装置BSM10へ受電装置DSC20への電力伝送を終了したことを通知し、この通知を受けたマスター送電装置BSM10は、スレーブ送電装置BSS10へ電力伝送の停止を通知する。これにより、マスター送電装置BSM10から受電装置DSA20への電力伝送が停止され、スレーブ送電装置BSS10から受電装置DSB20への電力伝送も停止されて、全ての電力伝送が停止される。
マスター送電装置BSM10は、図13(B)に示すように、受電装置DSB20への電力伝送をマスター送電装置BSM10から行うように割り当てを変更し、無線給電システムを再構築する。このように受電装置DSB20へ電力伝送を行う送電装置を変更するのは、受電装置DSB20がマスター給電エリア30Mとスレーブ給電エリア30Sの重複エリアにあり、スレーブ送電装置BSS10には別の電力伝送対象が無いからである。よって、スレーブ送電装置BSS10を省電力モードへ移行させることができ、無線給電システム全体での電力消費を抑えることができる。
なお、第2の例では、スレーブ送電装置BSS10から給電されていた受電装置DSC20が満充電になった際の動作を説明したが、受電装置DSC20が移動等したことにより電力伝送を必要としなくなった場合も同様の動作が行われることとなる。
<第3の例>
図14は、第3の例に係る無線給電システムの当初の構成(A)と変更後の構成(B)とを示す図である。第3の例に係る無線給電システムは、図14(A)に示す通りに、当初、マスター送電装置BSM10、スレーブ送電装置BSS10及び受電装置DSA20,DSB20からなるものとする。
受電装置DSA20,DSB20は共に、マスター給電エリア30M内にあるが、スレーブ通信エリア40S外にあり、よって、図14(A)の当初状態では、マスター送電装置BSM10から給電されている。そして、スレーブ送電装置BSS10は、省電力モードに入っている。
この状態で、図14(B)に示すように、スレーブ給電エリア30Sに受電装置DSC20が新規に追加されたものとする。すると、マスター送電装置BSM10とスレーブ送電装置BSS10の両方が受電装置DSC20に対してID要求を行い、受電装置DSC20のデバイスIDを受け取る。スレーブ送電装置BSS10は電力伝送を行っていないため、マスター送電装置BSM10が電力伝送を停止することで、無線給電システム内の全ての電力伝送が停止されることとなる。
次に、マスター送電装置BSM10は、スレーブ送電装置BSS10と受電装置DSC20に対してトレーニング要求を行う。これにより、マスター送電装置BSM10及びスレーブ送電装置BSS10が、受電装置DSC20へトレーニング動作を行う。図14(A)に示すように、元々はスレーブ給電エリア30S内には給電対象となる受電装置が無かった状態であったため、マスター送電装置BSM10は、自身の給電エリアが最大になるように、給電パワーを最大にしてトレーニングを行う。
その結果、新規に追加された受電装置DSC20がマスター給電エリア30M内に入った場合には、例えば10%ずつ給電パワーを下げて更にトレーニングを行い、最適なマスター給電エリア30Mの広さを調整する。この調整が完了すると、マスター送電装置BSM10は、自身のマスター給電エリア30Mを調整した広さに変更し、受電装置DSC20への電力伝送をマスター送電装置BSM10から行うように割り当て、無線給電システムを再構築する。これにより、スレーブ送電装置BSS10は、電力伝送を行う必要はなく、引き続き省電力モードに入ることができ、これにより、無線給電システム全体での電力消費を抑えることができる。
<第4の例>
図15は、第4の例に係る無線給電システムの当初の構成(A)と変更後の構成(B)とを示す図である。第4の例に係る無線給電システムは、図15(A)に示す通りに、当初、マスター送電装置BSM10、スレーブ送電装置BSS10及び受電装置DSA20からなるものとする。
受電装置DSA20は、マスター給電エリア30Mとスレーブ給電エリア30Sの重複エリアにあり、スレーブ送電装置BSS10から給電を受けている。このような無線給電システムの状況において、図15(B)に示すように、受電装置DSB20がマスター給電エリア30M内に追加されたとする。すると、マスター送電装置BSM10は、受電装置DSB20に対してID要求を行い、これに応じた受電装置DSB20からデバイスIDを受け取る。
マスター送電装置BSM10は電力伝送を行っていないため、マスター送電装置BSM10がスレーブ送電装置BSS10の受電装置DSA20への電力伝送を停止させることで、無線給電システム内の全ての電力伝送が停止されることとなる。マスター送電装置BSM10は、受電装置DSB20へトレーニング要求を行い、マスター送電装置BSM10は受電装置DSB20へトレーニング動作を行う。
図15(B)に示すように、マスター送電装置BSM10は、元々、マスター給電エリア30M内に受電装置DSA20が入っているのは分かっているので、そのままの給電パワーで受電装置DSB20へのトレーニングを行う。その結果、マスター給電エリア30M内に受電装置DSB20が入っていた場合、例えば10%ずつ給電パワーを下げて受電装置DSA20,DSB20へのトレーニングを行い、最適な給電エリアの広さを調整する。調整が完了すると、マスター送電装置BSM10は、マスター給電エリア30Mを調整した広さに変更し、受電装置DSA20,DSB20への電力伝送をマスター送電装置BSM10からの割り当てに変更し、無線給電システムを再構築する。
これにより、スレーブ送電装置BSS10は、電力伝送を行う必要がなくなって省電力モードに入ることができるようになり、無線給電システム内での電力消費を抑えることができるようになる。
以上のように、第1の実施形態に係る無線給電システムにおいては、マスター送電装置は、無線給電システム全体の消費電力を抑えることができる。すなわち、無線給電システムは、各送電装置への受電装置の割り当てを適切に行うことができる。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態に係る無線給電システムについて説明する。本実施形態に係る無線給電システムは、複数の送電装置それぞれが送電を担当する受電装置の数が等しくなるように、送電割り当てを複数の送電装置に分散させることにより、システム全体としての給電効率を向上させる。なお、送電装置が送電を担当する受電装置の数が等しくなるように、とは、担当する受電装置の数を等しくすることを意味するのではなく、担当する受電装置の数が等しい値に近付くような割り当てを行うことを意味する。
例えば、図16(A)に示すように、マスター送電装置BSM10は、マスターの給電エリア30M内に存在する受電装置DSA20に給電中とする。また、スレーブ送電装置BSS10は、マスターの給電エリア30Mとスレーブの給電エリア30Sとが重なる重複エリア30MSに存在する受電装置DSB20に給電中とする。
この状態において、図16(B)に示すように、受電装置DSC20及び受電装置DSD20が、新たにスレーブの給電エリア30S内に出現したとする。この場合、本実施形態に係るマスター送電装置BSM10は、図16(B)に示すように、マスター送電装置BSM10の送電対象を、送電装置DSA20及び送電装置DSB20に決定する。さらに、マスター送電装置BSM10は、スレーブ送電装置BSS10の送電対象を、送電装置DSC20及び送電装置DSD20に決定する。
以下、このような割り当てを行う、本実施形態に係るマスター送電装置BSM10の具体的な処理について説明する。なお、第2の実施形態に係る無線給電システムにおいては、図8を参照しつつ説明した割り当て処理(ステップS811)が、第1の実施形態に係る処理と異なる。
図17は、第2の実施形態に係るマスター送電装置BSM10による、割り当て処理(ステップS811)を示すフローチャートである。ステップS1701において、CPU111Mは、給電対象となる複数の受電装置のうち、1つの受電装置を処理対象として選択する。以下、処理対象の受電装置を対象受電装置と称する。そして、CPU111Mは、処理対象の受電装置の要求電力が給電可能な範囲内かを確認する。CPU111Mは、要求電力が給電可能な範囲を超えている場合には(ステップS1701でNo)、処理をステップS1702へ進める。CPU111Mは、要求電力が給電可能な範囲内である場合には(ステップS1701でYes)、処理をステップS1703へ進める。
ステップS1702において、CPU111Mは、エラー処理を行い、その後処理をステップS1709へ進める。一方、ステップS1703において、CPU111Mは、対象受電装置の存在する位置を確認する。CPU111Mは、対象受電装置がマスター給電エリアとスレーブ給電エリアとが重なる重複エリアに存在する場合には(ステップS1703で重複給電エリア)、処理をステップS1704へ進める。CPU111Mは、対象受電装置がスレーブ給電エリアとは重複しないマスター給電エリアに存在する場合には(ステップS1703でマスター給電エリア)、処理をステップS1707へ進める。CPU111Mは、対象受電装置がマスター給電エリアとは重複しないスレーブ給電エリアに存在する場合には(ステップS1703でスレーブ給電エリア)、処理をステップS1708へ進める。なお、ステップS1703において、対象受電装置が重複エリアに存在するか否かを確認する処理は、送電可能な受電装置の検出結果及び検出通知に基づいて、複数の送電装置が送電可能な同一の受電装置を検出したか否かを判断する判断処理の一例である。
ステップS1707において、CPU111Mは、対象受電装置をマスター送電装置の送電対象として割り当て、その後、処理をステップS1709へ進める。また、ステップS1708において、CPU111Mは、対象受電装置をスレーブ送電装置の送電対象として割り当て、その後、処理をステップS1709へ進める。
ステップS1704においては、CPU111Mは、無線給電システムに属する複数の受電装置のうち、マスター給電エリア及びスレーブ給電エリアのうち、重複エリア以外の領域に存在するすべての受電装置の割り当てが終了したか否かを確認する。CPU111Mは、割り当てが終了している場合には(ステップS1704でYes)、処理をステップS1705へ進める。CPU111Mは、割り当てが終了していない場合には(ステップS1704でNo)、対象受電装置への割り当てを行わずに、処理をステップS1709へ進める。なお、この場合、割り当てが行われなかった受電装置への割り当ては、重複エリア以外の領域に存在するすべての受電装置の送電装置への割り当てが終了した後に改めて実行されることになる。
ステップS1705において、CPU111Mは、マスター送電装置及びスレーブ送電装置に割り当てられている受電装置の数を比較する。CPU111Mは、マスター送電装置に割り当てられている受電装置の数が、スレーブ送電装置に割り当てられている受電装置の数に比べて少ない場合には(ステップS1705でM<S)、処理をステップS1707へ進める。すなわち、CPU111Mは、この場合、対象受電装置をマスター送電装置に割り当てる。
CPU111Mは、マスター送電装置に割り当てられている受電装置の数が、スレーブ送電装置に割り当てられている受電装置の数に比べて多い場合には(ステップS1705でM>S)、処理をステップS1708へ進める。ステップS1708において、CPU111Mは、対象受電装置をスレーブ送電装置に割り当てる。
CPU111Mは、マスター送電装置に割り当てられている受電装置の数が、スレーブ送電装置に割り当てられている受電装置の数と等しい場合には(ステップS1705でM=S)、処理をステップS1706へ進める。ステップS1706において、CPU111Mは、マスター送電装置及びスレーブ送電装置の給電能力(最大無線供給電力)を比較する。CPU111Mは、マスター送電装置の給電能力がスレーブ送電装置の給電能力以上の場合(ステップS1706でM≧S)、処理をステップS1707へ進める。CPU111Mは、マスター送電装置の給電能力がスレーブ送電装置の給電能率に比べて小さい場合には(ステップS1706でM<S)、処理をステップS1708へ進める。なお、ステップS1707及びステップS1708の処理は、割り当て処理の一例である。
ステップS1709において、CPU111Mは、給電対象のすべての受電装置の割り当てが終了したか否かを確認する。CPU111Mは、すべての受電装置の割り当てが終了した場合には(ステップS1709でYes)、割り当て処理を終了する。CPU111Mは、割り当てが行われていない受電装置が存在する場合には(ステップS1709でNo)、処理をステップS1701へ進める。なお、この場合、ステップS1701において、CPU111Mは、割り当てが行われていない受電装置を選択し、処理を継続する。
図16(A)に示す状態において、図16(B)に示すように、受電装置DSC20及び受電装置DSD20が、新たにスレーブの給電エリア30S内に出現した場合の割り当て処理(ステップS811)について具体的に説明する。図18(A)は、図16(A)に示す状態に対応する送電側管理テーブルを示す図である。
この場合、CPU111Mは、まず受電装置DSA20、受電装置DSC20及び受電装置DSD20をそれぞれ送電装置に割り当てる。その後、CPU111Mは、重複エリア30MSに存在する受電装置DSB20に対する処理を行う。このとき、マスター送電装置BSM10に割り当てられている受電装置の数は1であり、スレーブ送電装置BSS10に割り当てられている受電装置の数は2である。したがって、ステップS1705において、CPU111Mは、M<Sと判断し、受電装置DSB20をマスター送電装置BSM10に割り当てる。
図18(B)は、すべての受電装置(受電装置DSA20、受電装置DSB20、受電装置DSC20及び受電装置DSD20)の割り当て後の送電側管理テーブルを示す図である。送電側管理テーブルの給電デバイスのデータが更新されている。
図16(B)に示す状態において、さらに、重複エリアに新たな受電装置が追加された場合には、ステップS1706において、CPU111Mは、マスター送電装置とスレーブ送電装置の給電能力を比較する。この場合、図18(B)に示すように、マスター送電装置の給電能力がスレーブ送電装置の給電能力に比べて大きいので、CPU111Mは、新たな受電装置をマスター送電装置に割り当てる。
このように、第2の実施形態に係る無線給電システムにおいては、マスター送電装置は、各送電装置が送電を担当する受電装置の数が均等となるように、割り当てを分散させる。これにより、無線給電システム全体の給電効率を向上させることができる。すなわち、無線給電システムは、各送電装置への受電装置の割り当てを適切に行うことができる。
なお、第2の実施形態に係る無線給電システムのこれ以外の構成及び処理は、第1の実施形態に係る無線給電システムの構成及び処理と同様である。ただし、第2の実施形態に係る無線給電システムにおいては、送電対象の受電装置が割り当てられなかった送電装置は、電源オフを行わなくともよい。
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態に係る無線給電システムについて説明する。本実施形態に係る無線給電システムは、第2の実施形態に係る無線給電システムと同様に、送電割り当てを複数の送電装置に分散させる。さらに、本実施形態に係る無線給電システムは、各送電装置から受電装置への給電効率に基づいて、受電装置の送電装置への割り当てを行う。
例えば、図19に示すように、重複エリア30MSに2台の受電装置(受電装置DSA20及び受電装置DSB20)が新たに出現したとする。この場合、マスター送電装置BSM10は、給電効率に基づいて、マスター送電装置BSM10及びスレーブ送電装置BSS10の送電対象の受電装置を決定する。
以下、本実施形態に係るマスター送電装置BSM10の具体的な処理について説明する。マスター送電装置BSM10は、第1の実施形態において図7等を参照しつつ説明したステップS707において受信した各受電装置のトレーニング結果(送電結果)に基づいて、各送電装置から各受電装置への給電効率を算出する(給電効率算出処理)。
そして、マスター送電装置BSM10は、送電側管理テーブルに、給電効率を記録する。図20は、送電側管理テーブルの一部を示す図である。図20に示す送電側管理テーブルにおいては、マスター送電装置BSM10に対応付けて、送電装置DSA20及び送電装置DSB20それぞれに対する給電効率が記録されている。同様に、スレーブ送電装置BSS10に対応付けて、送電装置DSA20及び送電装置DSB20それぞれに対する給電効率が記録されている。マスター送電装置BSM10は、送電側管理テーブルを参照し、給電効率に基づいて、受電装置の送電装置への割り当てを行う。
図21は、第3の実施形態に係るマスター送電装置BSM10による、割り当て処理(ステップS811)を示すフローチャートである。なお、図21に示す割り当て処理の各処理のうち、図17に示す割り当て処理の各処理と同じ処理には、同じ番号を付している。ここでは、図17に示す割り当て処理と異なる処理について説明する。
ステップS1704において、CPU111Mは、割り当てが終了している場合には(ステップS1704でYes)、処理をステップS2101へ進める。ステップS2101において、CPU111Mは、対象受電装置に対する、マスター送電装置とスレーブ送電装置の給電効率を比較する。CPU111Mは、マスター送電装置の給電効率がスレーブ送電装置の給電効率に比べて大きい場合には(ステップS2101でM>S)、処理をステップS1707へ進める。CPU111Mは、マスター送電装置の給電効率がスレーブ送電装置の給電効率に比べて小さい場合には(ステップS2101でM<S)、処理をステップS1708へ進める。CPU111Mは、マスター送電装置の給電効率がスレーブ送電装置の給電効率と等しい場合には(ステップS2101でM=S)、処理をステップS2102へ進める。
ステップS2102において、CPU111Mは、マスター送電装置及びスレーブ送電装置に割り当てられている受電装置の数を比較する。CPU111Mは、マスター送電装置に割り当てられている受電装置の数が、スレーブ送電装置に割り当てられている受電装置の数以下場合には(ステップS2102でM≦S)、処理をステップS1707へ進める。CPU111Mは、マスター送電装置に割り当てられている受電装置の数が、スレーブ送電装置に割り当てられている受電装置の数に比べて多い場合には(ステップS2102でM>S)、処理をステップS1708へ進める。なお、第3の実施形態に係る無線給電システムのこれ以外の構成及び処理は、他の実施形態に係る無線給電システムの構成及び処理と同様である。
以上のように、第3の実施形態に係る無線給電システムは、無線給電システム全体の給電効率を向上させることができ、各送電装置への受電装置の割り当てを適切に行うことができる。
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態に係る無線給電システムについて説明する。本実施形態に係る無線給電システムは、第2,3の実施形態に係る無線給電システムと同様に、送電割り当てを複数の送電装置に分散させる。さらに、本実施形態に係る無線給電システムは、各送電装置と受電装置の位置関係に基づいて、受電装置の送電装置への割り当てを行う。
以下、本実施形態に係るマスター送電装置BSM10の具体的な処理について説明する。マスター送電装置BSM10は、第1の実施形態において図7等を参照しつつ説明したステップS704において各受電装置と各スレーブ送電装置の位置情報と、姿勢情報とを含むデバイスID5210を受信する。ここで、位置情報は、送電装置又は受電装置が存在する位置を示す情報である。送電装置又は受電装置は、自装置が有するGPSにより、位置情報を得る。姿勢情報は、送電装置の送電コイル124又は受電装置の受電コイル231の3次元における向きを示す情報である。
図22は、第4の実施形態に係るマスター送電装置BSM10による、割り当て処理(ステップS811)を示すフローチャートである。ステップS1704において、CPU111Mは、割り当てが終了している場合には(ステップS1704でYes)、処理をステップS2201へ進める。ステップS2201において、CPU111Mは、位置情報に基づいて、マスター送電装置BSM10から対象受電装置までの距離と、スレーブ送電装置BSS10から対象受電装置までの距離と、を算出する(距離算出処理)。
そして、CPU111Mは、両距離を比較する。CPU111Mは、マスター送電装置BSM10から対象受電装置までの距離がスレーブ送電装置BSS10から対象受電装置までの距離に比べて小さい場合には(ステップS2201でM<S)、処理をステップS1707へ進める。CPU111Mは、マスター送電装置BSM10から対象受電装置までの距離がスレーブ送電装置BSS10から対象受電装置までの距離に比べて大きい場合には(ステップS2201でM>S)、処理をステップS1708へ進める。CPU111Mは、マスター送電装置BSM10から対象受電装置までの距離がスレーブ送電装置BSS10から対象受電装置までの距離と等しい場合には(ステップS2201でM=S)、処理をステップS2202へ進める。
ステップS2202において、CPU111Mは、姿勢情報に基づいて、マスター送電装置BSM10と対象受電装置の間の角度ずれの程度と、スレーブ送電装置BSS10と対象受電装置の間の角度ずれの程度と、を算出する(角度ずれ算出処理)。そして、CPU111Mは、両角度ずれの程度を比較する。CPU111Mは、マスター送電装置BSM10と対象受電装置の間の角度ずれの程度が、スレーブ送電装置BSS10と対象受電装置の間の角度ずれの程度に比べて小さい場合には(ステップS2202でM<S)、処理をステップS1707へ進める。CPU111は、マスター送電装置BSM10と対象受電装置の間の角度ずれの程度が、スレーブ送電装置BSS10と対象受電装置の間の角度ずれの程度に比べて大きい場合には(ステップS2202でM>S)、処理をステップS1708へ進める。CPU111Mは、マスター送電装置BSM10と対象受電装置の間の角度ずれの程度が、スレーブ送電装置BSS10と対象受電装置の間の角度ずれの程度と等しい場合には(ステップS2202でM=S)、処理をステップS2203へ進める。
ステップS2203において、CPU111Mは、マスター送電装置及びスレーブ送電装置に割り当てられている受電装置の数を比較する。CPU111Mは、マスター送電装置に割り当てられている受電装置の数が、スレーブ送電装置に割り当てられている受電装置の数以下場合には(ステップS2203でM≦S)、処理をステップS1707へ進める。CPU111Mは、マスター送電装置に割り当てられている受電装置の数が、スレーブ送電装置に割り当てられている受電装置の数に比べて多い場合には(ステップS2203でM>S)、処理をステップS1708へ進める。なお、第4の実施形態に係る無線給電システムのこれ以外の構成及び処理は、他の実施形態に係る無線給電システムの構成及び処理と同様である。
以上のように、第4の実施形態に係る無線給電システムは、無線給電システム全体の給電効率を向上させることができ、各送電装置への受電装置の割り当てを適切に行うことができる。
(第5の実施形態)
次に、第5の実施形態に係る無線給電システムについて説明する。本実施形態に係る無線給電システムは、第2〜4の実施形態に係る無線給電システムと同様に、送電割り当てを複数の送電装置に分散させる。さらに、本実施形態に係る無線給電システムは、送電装置と受電装置の組み合わせにおける、過去の給電実績に基づいて、受電装置の送電装置への割り当てを行う。
以下、本実施形態に係るマスター送電装置BSM10の具体的な処理について説明する。マスター送電装置BSM10は、デバイスID5210に対応付けて、過去の給電実績情報を記憶している。ここで、給電実績情報とは、過去に実際に行われた送電装置から受電装置への給電が、どのような位置関係において行われたか、どの程度の給電効率で行われたか等を示す情報である。
図23は、第5の実施形態に係るマスター送電装置BSM10による、割り当て処理(ステップS811)を示すフローチャートである。ステップS1704において、CPU111Mは、割り当てが終了している場合には(ステップS1704でYes)、処理をステップS2301へ進める。ステップS2301において、CPU111Mは、給電実績情報の有無を確認する。CPU111Mは、給電実績情報が記憶されている場合には(ステップS2301でYes)、処理をステップS2302へ進める。CPU111Mは、給電実績情報が記憶されていない場合には(ステップS2302でNo)、処理をステップS2303へ進める。
ステップS2302において、CPU111Mは、給電実績情報に基づいて、各送電装置から対象受電装置への給電に係る指数を算出する。ここで、指数は、給電効率が高い程大きい値である。指数は、過去に給電した時の距離、方向、給電時間等に基づいて算出される。そして、CPU111Mは、マスター送電装置の指数とスレーブ送電装置の指数とを比較する。CPU111Mは、マスター送電装置の指数がスレーブ送電装置の指数に比べて大きい場合には(ステップS2302でM>S)、処理をステップS1707へ進める。CPU111Mは、マスター送電装置の指数がスレーブ送電装置の指数に比べて小さい場合には(ステップS2302でM<S)、処理をステップS1708へ進める。CPU111Mは、マスター送電装置の指数がスレーブ送電装置の指数と等しい場合には(ステップS2302でM=S)、処理をステップS2303へ進める。
ステップS2303において、CPU111Mは、マスター送電装置及びスレーブ送電装置に割り当てられている受電装置の数を比較する。CPU111Mは、マスター送電装置に割り当てられている受電装置の数が、スレーブ送電装置に割り当てられている受電装置の数以下場合には(ステップS2303でM≦S)、処理をステップS1707へ進める。CPU111Mは、マスター送電装置に割り当てられている受電装置の数が、スレーブ送電装置に割り当てられている受電装置の数に比べて多い場合には(ステップS2303でM>S)、処理をステップS1708へ進める。なお、第4の実施形態に係る無線給電システムのこれ以外の構成及び処理は、他の実施形態に係る無線給電システムの構成及び処理と同様である。
以上のように、第5の実施形態に係る無線給電システムは、無線給電システム全体の給電効率を向上させることができ、各送電装置への受電装置の割り当てを適切に行うことができる。
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて詳述してきたが、本発明はこれら特定の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。さらに、上述した各実施形態は本発明の一実施形態を示すものにすぎず、各実施形態を適宜組み合わせることも可能である。
本発明は以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)をネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム等のコンピュータ(又はCPUやMPU等)がプログラムコードを読み出して実行する処理である。この場合、そのプログラム、及び該プログラムを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。