JP6290931B2 - 体細胞核移植を利用する単為生殖幹細胞および患者特異的ヒト胚幹細胞の製造法 - Google Patents

体細胞核移植を利用する単為生殖幹細胞および患者特異的ヒト胚幹細胞の製造法 Download PDF

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Description

他出願の相互参照
本出願は、米国で2013年2月15日にそれぞれ出願された米国仮出願第61/765,548号および同第61/765,563号に対する35 U.S.C.§119(e)条の優先権を含む。
発明の分野
本発明は、患者に特異的な多能性幹細胞(pSC:pluripotent stem cell)を含む免疫適合性pSCに関する。単為生殖または核移植に係わる本明細書に記載された方法、および該技法によって生成された免疫適合性pSCの組成物は、再生医学治療法において広範囲な適用が見い出される。
背景
ヒト多能性幹細胞(hPSC)は、事実上体内で全ての体細胞類型に分化することができる驚くべき能力(多能性)を所有しながら、未分化状態で増殖能を維持する(自己再生)。hPSCのかような固有の特徴は、糖尿病、骨関節炎およびパーキンソン病から、多くの他の疾病に至る疾患および状態の治療のために、移植可能な細胞および組織材料を生成する機会を提供する。多くの人間の損傷および疾患は、単一細胞種の欠陥を含む細胞欠陥が原因であるために、適切な幹細胞、前駆細胞、またはインビトロで分化された細胞と置き換えることは、臨床において、新規の治療的アプローチにつながる。また、生きているドナー、死体または胎児の供給源が、移植材料の供給源として役割を担ってきたが、多能性幹細胞の自己再生能は、ほぼ制限のない移植材料の資源をさらに提供する。追加的利点は、hPSCが患者特異的方式で生成され、それによって、免疫拒絶反応の危険性を低減させる治療的アプローチおよび免疫寛容につながることである。従って、免疫適合性hPSCおよび患者特異的hPSCを含む再生細胞移植に対して大きな関心が寄せられている。
免疫適合性hPSC生成のための一戦略は、卵母細胞から単為生殖(すなわち、無性生殖)を促し、hPSC分離のための胚盤胞を生成することである。簡略にいえば、該アプローチは、精子受精の不在下で減数分裂および有糸分裂の過程を経るように卵母細胞を人工的に誘導して二倍体(2母系ゲノム)単為生殖体(parthenote)をもたらし、これをさらに胚盤胞へと培養し、ここからhPSCを分離することができる。単為生殖アプローチを利用して分離されたhPSCは、単為生殖体由来ヒト多能性幹細胞(pn−hPSC:parthenote-derived human pluripotent stem cell)として知られている。
代替的アプローチは、体細胞核移植(SCNT:somatic cell nuclear transfer)を介した患者特異的hPSCの生成を可能にする。体細胞核移植は、ドナー患者の体細胞の核分離、および脱核されたレシピエント卵母細胞への挿入を含む。レシピエント卵母細胞の細胞質へのドナー核の移植は、体細胞遺伝子のサイレンシング、および胚遺伝子の活性化を介して、移植されたドナー核の再プログラミングをもたらす。再構築された卵母細胞から胚盤胞を培養物中に確立し、内部細胞塊(ICM:inner cell mass)からhPSCを分離することができる。核移植hPSC(NT−hPSC)の結果は、患者の核遺伝物質を保有するために、これは、患者特異的である。2つの技法に係わる技術的手続きにおいて、有意の共通部分がある。例えば、NT−hPSC細胞株を得るための初期試みは、pn−hPSC細胞株生成の偶発的であって最初に知られた事例を引き起こした。
単為生殖およびSCNTの技法で嘱望される前進にもかかわらず、現在、実質的臨床的適用を不可能にする相当な限界がある。例えば、既存の単為生殖研究は、ドナー卵母細胞の約50%において、成功裏の卵母細胞活性化を報告したが、核心的限界は胚盤胞形成の誘導であると見られ、これは、活性化された卵母細胞の15%以下まで下がりうる。従来技法を利用する核移植に関連して、再構築された卵母細胞の2%以下のみが、胚盤胞形成に向かう8細胞限界点(threshold)を超える。同時に、それら限界は、ドナー卵母細胞の10%未満がpn−hPSCに成功裏に培養されるということを意味する。後続pn−hPSCは、異数性または核型不安定のような所望しない属性を経る。
一貫した再現可能な卵母細胞活性化および胚盤胞形成を可能とするメカニズムそのものは現在明らかでなく、現在pSC株の生成を制限している障害は、これら過程のよりよい理解によって確実に一助を受けるであろう。
例えば、単為生殖において減数分裂期に発生する組み換え事象は、可変的な量の接合性を引き起こすことができる。従って、それら事象のリアルタイム視覚化は、胚盤胞形成およびpn−hPSC細胞株生成に係わる成功率を改善させるだけでなく、pn−hPSC細胞の特異的、遺伝的および免疫学的な特性を得ることを目標にした操作戦略の一助となる。同様に、NT−hPSCを得るために通用するSCNTアプローチは、インビトロ受精クリニックから卵母細胞を利用する。また、異数性、核型不安定性および/または非効率的な核再プログラミングに起因した高い失敗率は、NT−hPSC誘導のために、さらに多数の卵母細胞を要求し、依然として患者特異的ではない細胞を生成するという限界がある。従って、SCNTおよび/または単為生殖の技法を利用した、免疫適合で患者特異的なhPSCの一貫した効率的な生成を可能とする技法への、当該技術分野での大なる必要性がある。
免疫適合性および/または患者特異的hPSCの確立のための技法を本明細書に記載する。一局面において、効率的なSCNTおよび/または単為生殖は、改善された技法を利用して説明する。これは、細胞損傷を減少させる顕微操作や、強い染色剤の使用および/またはUV光露出なしでのリアルタイム視覚化のためのポロスコープ(poloscope)顕微鏡での改善を含む。さらに重要なこととしては、効率的な胚盤胞生成に係わる核心的障壁は、胚盤胞拡張を促進する精子誘導体からの有糸分裂構造(例えば、中心粒)の追加と共に、再構築された卵母細胞内でゲノム活性化を促進するメチル化変更剤(methylation-altering agent)の適用によって除去された。かような改善された技法の適用は、共通ヒト白血球抗原(HLA)ハプロタイプを発現するpn−hPSCのバンクの実現を可能とし、集団の広範囲な部分に免疫学的に適する細胞を提供する。全ての局面において、pn−hPSCおよびNT−hPSCは動物タンパク質不含培養培地上で生育させることができ、これはヒト患者を最終的に含む臨床的適用において必須であり、遺伝的および後成的に(epigenetically)安定な、多能性である移植可能細胞を提供する。
活性化培地でインキュベーションして卵母細胞を活性化する段階、活性化された卵母細胞を活性化後培地(post-activation medium)でインキュベーションして単為生殖体を生成する段階、単為生殖体を培養培地でインキュベーションして胚盤胞を形成する段階、および胚盤胞から内部細胞塊(ICM)細胞を分離する段階を含み、ICM細胞はpn−hPSC細胞株にさらに培養することができる、単為生殖体由来ヒト多能性幹細胞株(pn−hPSC)を生成する方法が本明細書に記載される。他の態様において、活性化培地は、カルシウムイオノフォアを含む。他の態様において、カルシウムイオノフォアは、イオノマイシン、A23187、ボーベリシン(beauvericin)、X−537Aおよび/またはアベナシオリド(avenaciolide)を含む。他の態様において、活性化後培地は、6−DMAP、ピューロマイシン、エタノール、シクロヘキシミド(CHX)、トリコスタチンA(TSA)および/またはサイトカラシンB(CB)を含む。他の態様において、活性化後培地は、第2極体放出を阻まない化合物を含む。他の態様において、卵母細胞は、中期II(MII)段階卵母細胞を含む。他の態様において、卵母細胞は、中期I(MI)段階卵母細胞を含む。他の態様において、卵母細胞は、単一前核(pronuclear)卵母細胞を含む。他の態様において、pn−hPSC細胞株は、異型接合性(heterozygous)である。他の態様において、pn−hPSC細胞株は、同型接合性(homozygous)である。他の態様において、pn−hPSC細胞株は、集団の少なくとも1%と免疫適合するヒト白血球抗原(HLA)ハプロタイプを有する多能性細胞を含む。他の態様において、HLAハプロタイプは、HLA−A、HLA−BおよびHLA−DRを含む。他の態様において、前記方法は、卵母細胞内に精子因子を注入する段階を含む。他の態様において、卵母細胞は、CARM 1および/またはEsrrbの存在下でインキュベーションされる。
また、単為生殖体由来胚盤胞の内部細胞塊(ICM)細胞から分離された多能性細胞を含む単為生殖体由来ヒト多能性幹細胞株(pn−hPSC)が本明細書に記載される。他の態様において、単為生殖体由来胚盤胞は、卵母細胞を活性化培地でインキュベーションして生成された単為生殖体を含む。他の態様において、活性化培地は、カルシウムイオノフォアを含む。他の態様において、カルシウムイオノフォアは、イオノマイシン、A23187、ボーベリシン(beauvericin)、X−537Aおよび/またはアベナシオリドを含む。他の態様において、単為生殖体由来胚盤胞は、活性化された卵母細胞を活性化後培地でインキュベーションして生成された単為生殖体を含む。他の態様において、活性化後培地は、6−DMAP、ピューロマイシン、エタノール、シクロヘキシミド(CHX)、トリコスタチンA(TSA)および/またはサイトカラシンB(CB)を含む。他の態様において、pn−hPSC細胞株は、異型接合性である。他の態様において、pn−hPSC細胞株は、同型接合性である。他の態様において、pn−hPSC細胞株は、集団の少なくとも1%と免疫適合するヒト白血球抗原(HLA)ハプロタイプを有する多能性細胞を含む。他の態様において、多能性細胞は、ステージ特異的胚抗原−4(SSEA−4)、SSEA−3、腫瘍拒絶抗原1−81(Tra−1−81)、Tra−1−60、オクタマ(octamer)結合転写因子−4(Oct−4)、性決定領域Y−box−2(Sox−2)、nanog、ジンクフィンガータンパク質−42(Rex−1/Zfp−42)、lefty A、奇形癌腫由来成長因子(Tdgf:teratocarcinoma-derived growth factor)およびテロメア反復結合因子(Terf−1:telomeric repeating binding factor)からなる群から1または複数のマーカーを発現する。他の態様において、多能性細胞は、内胚葉、中胚葉および外胚葉の胚葉層から由来した細胞に分化することができる。他の態様において、前記方法は、卵母細胞に精子因子を注入する段階をさらに含む。他の態様において、卵母細胞は、CARM 1および/またはEsrrbの存在下でインキュベーションされる。また、1または複数のpn−hPSC細胞株を含む単為生殖体由来ヒト多能性幹細胞株(pn−hPSC)のライブラリーが本明細書に記載される。
また、卵母細胞の核を除去する段階、少なくとも1つのドナー細胞の少なくとも1つの核を添加し、核移植された(NT)卵母細胞を生成する段階、活性化培地でインキュベーションしてNT卵母細胞を活性化する段階、活性化されたNT卵母細胞から胚盤胞を生成する段階、および胚盤胞から内部細胞塊(ICM)細胞を分離する段階を含み、ICM細胞は、NT−hPSC細胞株にさらに培養することができる、核移植ヒト多能性幹細胞株(NT−hPSC)を生成する方法が本明細書に記載される。他の態様において、前記方法は、直接注入を含む少なくとも1つのドナー細胞の少なくとも1つの核を添加する段階を含む。他の態様において、前記方法は、体細胞融合を含む少なくとも1つのドナー細胞の少なくとも1つの核を添加する段階を含む。他の態様において、体細胞融合は、少なくとも1つのドナー細胞と、センダイウイルス、そのタンパク質または抽出物との接触を含む。他の態様において、少なくとも1つのドナー細胞は、体細胞または生殖細胞を含む。他の態様において、前記方法は、紫外線の不在下で遂行される。他の態様において、前記方法は、卵母細胞に精子因子を注入する段階を含む。他の態様において、卵母細胞は、CARM 1および/またはEsrrbの存在下でインキュベーションされる。また、卵母細胞の核を除去する段階、少なくとも1つのドナー細胞の少なくとも1つの核を添加し、核移植された(NT)卵母細胞を生成する段階、活性化培地でインキュベーションしてNT卵母細胞を活性化させる段階、活性化されたNT卵母細胞から胚盤胞を生成する段階、および胚盤胞から内部細胞塊(ICM)細胞を分離する段階を含み、ICM細胞は、NT−hPSC細胞株にさらに培養することができる、方法によって生産されたNT−hPSC細胞株が本明細書に記載される。
また、少なくとも1つのドナー細胞の少なくとも1つの核を卵母細胞に添加し、核移植された(NT)卵母細胞を生成する段階、および卵母細胞の宿主核を除去する段階を含む核移植方法が本明細書に記載される。他の態様において、前記方法は、活性化培地でインキュベーションしてNT卵母細胞を活性化させる段階、活性化されたNT卵母細胞から胚盤胞を生成する段階、および胚盤胞から内部細胞塊(ICM)細胞を分離する段階を含み、ICM細胞は、NT−hPSC細胞株にさらに培養することができる。他の態様において、前記方法は、卵母細胞に精子因子を注入する段階を含む。他の態様において、卵母細胞は、CARM 1および/またはEsrrbの存在下でインキュベーションされる。
[本発明1001]
単為生殖体由来ヒト多能性幹細胞株(pn−hPSC)を生成する方法であって、
活性化培地でインキュベーションして卵母細胞を活性化させる段階と、
該活性化された卵母細胞を活性化後培地でインキュベーションして単為生殖体を生成する段階と、
該単為生殖体を培養培地でインキュベーションして胚盤胞を形成させる段階と、
該胚盤胞から内部細胞塊(ICM)細胞を分離する段階と、を含み、
該ICM細胞が、pn−hPSC細胞株としてさらに培養可能である、方法。
[本発明1002]
活性化培地がカルシウムイオノフォアを含む、本発明1001の方法。
[本発明1003]
カルシウムイオノフォアが、イオノマイシン、A23187、ボーベリシン、X−537Aおよび/またはアベナシオリドを含む、本発明1002の方法。
[本発明1004]
活性化後培地が、6−DMAP、ピューロマイシン、エタノール、シクロヘキシミド(CHX)、トリコスタチンA(TSA)および/またはサイトカラシンB(CB)を含む、本発明1001の方法。
[本発明1005]
活性化後培地が、第2極体放出を阻まない化合物を含む、本発明1001の方法。
[本発明1006]
卵母細胞が中期II(MII)段階卵母細胞を含む、本発明1001の方法。
[本発明1007]
卵母細胞が中期I(MI)段階卵母細胞を含む、本発明1001の方法。
[本発明1008]
卵母細胞が単一前核卵母細胞を含む、本発明1001の方法。
[本発明1009]
pn−hPSC細胞株が異型接合性である、本発明1001の方法。
[本発明1010]
pn−hPSC細胞株が同型接合性である、本発明1001の方法。
[本発明1011]
pn−hPSC細胞株が、集団の少なくとも1%と免疫適合性であるヒト白血球抗原(HLA)ハプロタイプを有する多能性細胞を含む、本発明1001の方法。
[本発明1012]
HLAハプロタイプが、HLA−A、HLA−BおよびHLA−DRを含む、本発明1011の方法。
[本発明1013]
卵母細胞に精子因子を注入する段階を含む、本発明1001の方法。
[本発明1014]
CARM 1および/またはEsrrbの存在下で卵母細胞がインキュベーションされる、本発明1001の方法。
[本発明1015]
単為生殖体由来胚盤胞の内部細胞塊(ICM)細胞から分離された多能性細胞を含む、単為生殖体由来ヒト多能性幹細胞株(pn−hPSC)。
[本発明1016]
単為生殖体由来胚盤胞が、活性化培地で卵母細胞をインキュベーションして生成された単為生殖体を含む、本発明1015の単為生殖体由来ヒト多能性幹細胞株。
[本発明1017]
活性化培地がカルシウムイオノフォアを含む、本発明1016の単為生殖体由来ヒト多能性幹細胞株。
[本発明1018]
カルシウムイオノフォアが、イオノマイシン、A23187、ボーベリシン、X−537Aおよび/またはアベナシオリドを含む、本発明1017の単為生殖体由来ヒト多能性幹細胞株。
[本発明1019]
単為生殖体由来胚盤胞が、活性化された卵母細胞を活性化後培地でインキュベーションして生成された単為生殖体を含む、本発明1016の単為生殖体由来ヒト多能性幹細胞株。
[本発明1020]
活性化後培地が、6−DMAP、ピューロマイシン、エタノール、シクロヘキシミド(CHX)、トリコスタチンA(TSA)および/またはサイトカラシンB(CB)を含む、本発明1019の単為生殖体由来ヒト多能性幹細胞株。
[本発明1021]
pn−hPSC細胞株が異型接合性である、本発明1015の単為生殖体由来ヒト多能性幹細胞株。
[本発明1022]
pn−hPSC細胞株が同型接合性である、本発明1015の単為生殖体由来ヒト多能性幹細胞株。
[本発明1023]
pn−hPSC細胞株が、集団の少なくとも1%と免疫適合性であるヒト白血球抗原(HLA)ハプロタイプを有する多能性細胞を含む、本発明1015の単為生殖体由来ヒト多能性幹細胞株。
[本発明1024]
多能性細胞が、ステージ特異的胚抗原−4(SSEA−4)、SSEA−3、腫瘍拒絶抗原1−81(Tra−1−81)、Tra−1−60、オクタマ結合転写因子4(Oct−4)、性決定領域Y−box−2(Sox−2)、nanog、ジンクフィンガータンパク質−42(Rex−1/Zfp−42)、lefty A、奇形癌腫由来成長因子(Tdgf)およびテロメア反復結合因子(Terf−1)からなる群から1または複数のマーカーを発現する、本発明1015の単為生殖体由来ヒト多能性幹細胞株。
[本発明1025]
多能性細胞が、内胚葉層、中胚葉層および外胚葉層由来の細胞に分化することができる、本発明1015の単為生殖体由来ヒト多能性幹細胞株。
[本発明1026]
卵母細胞に精子因子を注入する段階を含む、本発明1015の単為生殖体由来ヒト多能性幹細胞株。
[本発明1027]
CARM 1および/またはEsrrbの存在下で卵母細胞がインキュベーションされる、本発明1015の単為生殖体由来ヒト多能性幹細胞株。
[本発明1028]
1または複数の本発明1015の単為生殖体由来ヒト多能性幹細胞株(pn−hPSC)を含むpn−hPSC細胞株のライブラリー。
[本発明1029]
核移植ヒト多能性幹細胞株(NT−hPSC)を生成する方法であって、
卵母細胞の核を除去する段階と、
少なくとも1つのドナー細胞の少なくとも1つの核を添加し、核移植された(NT)卵母細胞を生成する段階と、
活性化培地でインキュベーションしてNT卵母細胞を活性化させる段階と、
該活性化されたNT卵母細胞から胚盤胞を生成する段階と、
該胚盤胞から内部細胞塊(ICM)細胞を分離する段階と、を含み、
該ICM細胞が、NT−hPSC細胞株としてさらに培養可能である、方法。
[本発明1030]
前記少なくとも1つのドナー細胞の少なくとも1つの核を添加することが、直接注入を含む、本発明1029の方法。
[本発明1031]
前記少なくとも1つのドナー細胞の少なくとも1つの核を添加することが、体細胞融合を含む、本発明1029の方法。
[本発明1032]
体細胞融合が、前記少なくとも1つのドナー細胞と、センダイウイルス、そのタンパク質または抽出物との接触を含む、本発明1031の方法。
[本発明1033]
前記少なくとも1つのドナー細胞が体細胞または生殖細胞を含む、本発明1029の方法。
[本発明1034]
紫外線の不在下で遂行される、本発明1029の方法。
[本発明1035]
卵母細胞に精子因子を注入する段階を含む、本発明1029の方法。
[本発明1036]
CARM 1および/またはEsrrbの存在下で卵母細胞がインキュベーションされる、本発明1029の方法。
[本発明1037]
本発明1029の方法によって生産されたNT−hPSC細胞株。
[本発明1038]
少なくとも1つのドナー細胞の少なくとも1つの核を卵母細胞に添加し、核移植された(NT)卵母細胞を生成する段階と、
該卵母細胞の宿主核を除去する段階
を含む 核移植方法。
[本発明1039]
活性化培地でインキュベーションしてNT卵母細胞を活性化させる段階と、
該活性化されたNT卵母細胞から胚盤胞を生成する段階と、
該胚盤胞から内部細胞塊(ICM)細胞を分離する段階を含み、
該ICM細胞が、NT−hPSC細胞株としてさらに培養可能である、本発明1038の方法。
[本発明1040]
卵母細胞に精子因子を注入する段階を含む、本発明1039の方法。
[本発明1041]
CARM 1および/またはEsrrbの存在下で卵母細胞がインキュベーションされる、本発明1039の方法。
例示的な態様は、参照された図面に図示される。本明細書に開示された態様および図面は、制限的であるとするより、例示的なことであるように見なされるように意図される。
卵母細胞の脱核。「ナイフピペット」の形状は、(A)堅固で尖った微細な先端を介して、(B)保持ピペットによって静止状態で保持された細胞の側面エッジに対して先端が接近するとき、透明帯の効果的な穿通を可能にする。(C)穿通に続く、裂け目(fissure)の「ピンチング(pinching)」のための、丸い引きのばされたビーズ末端を介した卵母細胞操作、および(D)裂け目のエッジに近い極体の位置設定。ユーザがナイフピペットをより容易につまむことができるバルク構造を提供するさらに大きい中空チューブ本体で、(E)裂け目近くに位置した極体はその後、(F)抽出のために圧搾される。 NT−PSCの誘導。(A)体細胞核移植された胚盤胞、(B)透明帯除去後のプレーティングされた胚、(C)NT胚の初期成長体(initial outgrowth)、(D)3継代後に形成された胚細胞様コロニー。
発明の詳細な説明
本願に引用された全ての参照文献は、完全に記載されたように、それらの全文が参照として組み入れられる。取り立てて定義されない限り、本明細書に使用された技術および科学用語は、本発明が属する分野の当業者らによって一般的に理解されるところと同一の意味を有する。Allen et al., Remington: The Science and Practice of Pharmacy 22nd ed., Pharmaceutical Press (September 15, 2012); Hornyak et al., Introduction to Nanoscience and Nanotechnology, CRC Press (2008); Singleton and Sainsbury, Dictionary of Microbiology and Molecular Biology 3rd ed., revised ed., J. Wiley & Sons (New York, NY 2006); Smith, March's Advanced Organic Chemistry Reactions, Mechanisms and Structure 7th ed., J. Wiley & Sons (New York, NY 2013); Singleton, Dictionary of DNA and Genome Technology 3rd ed., Wiley-Blackwell (November 28, 2012); およびGreen and Sambrook, Molecular Cloning: A Laboratory Manual 4th ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press (Cold Spring Harbor, NY 2012) は、通常の技術者に、本出願で使用された多くの用語に係わる一般的な案内を提供する。抗体を調製する方法に係わる参照のために、Greenfield, Antibodies A Laboratory Manual 2nd ed., Cold Spring Harbor Press (Cold Spring Harbor NY, 2013); Kohler and Milstein, Derivation of specific antibody-producing tissue culture and tumor lines by cell fusion, Eur. J. Immunol. 1976 Jul, 6(7):511-9; Queen and Selick, Humanized immunoglobulins, U. S. Patent No. 5,585,089 (1996 Dec); およびRiechmann et al., Reshaping human antibodies for therapy, Nature 1988 Mar 24, 332(6162): 323-7を参照する。
当業者は、本明細書に記載されたところと類似しているか、あるいは同等な多くの方法および物質を認識し、それは、本発明の実施に使用される。実際に、本発明は、いかなる方式であっても、本願に記載された方法に制限されるものではない。本発明の目的のために、次の用語は下記のように定義される。
本明細書で使用されている「投与」および/または「投与する」は、薬剤学的組成物を患者に送達する任意の経路を意味する。送達経路は、非侵襲的経口(口を介する)、局所(皮膚)、粘膜(鼻、口腔/舌下、膣、眼球および直腸)および吸入経路だけではなく、非経口経路、および当業界に公知された他の方法を含んでもよい。非経口的ということは、眼窩内、注入、動脈内、頚動脈内、関節嚢内、心臓内、皮内、筋肉内、腹腔内、肺内、脊髄内、胸骨内、脊髄腔内、子宮内、静脈内、クモ膜下、皮膜下、皮下、経粘膜または経気管を含み、一般的に注入に係わる送達経路を意味する。非経口経路を介して、組成物は、注入または注射のための溶液または懸濁液の形態であり得、または凍結乾燥された粉末でもあり得る。
本明細書で使用されている「調節(modulation)」、「調節する(modulates)」または「調節すること(modulating)」は、応答の上向き調節(すなわち、活性化または刺激)、下向き調節(すなわち、阻害または抑制)、またはそれら2つの組み合わせもしくはそれぞれを意味する。
本明細書で使用されている「薬学的に許容される担体」は、本発明に有用である従来の薬学的に許容される担体を意味する。
本明細書で使用されている「促進する」および/または「促進」は、細胞または有機体の特定作用での増大を意味する。
本明細書で使用されている「個体(subject)」は、哺乳類、伴侶動物、農場動物および動物園動物を含むが、それらにのみ制限されない他の動物を含む全ての動物を含む。用語「動物」は、例えば、哺乳動物、鳥、類人猿、犬、猫、馬、牛、齧歯類などを含む範囲である任意の生きている多細胞脊椎動物有機体を含んでもよい。同様に、用語「哺乳動物」は、人間および人間以外の哺乳動物をいずれも含む。
本明細書で使用されている「治療的有効量」は、治療中の個体において、目的とする効果を得るに十分な特定組成物または組成物中の活性剤の量である。治療的有効量は、個体の生理的状態(年齢、性別、疾病類型およびその段階、一般的な身体状態、与えられた服量に対する応答性、所望する臨床効果を含む)および投与経路を含むがそれらのみに制限されない各種因子によって変わりうる。臨床分野および薬理学的分野の当業者であるならば、通常の実験を介して、治療的有効量を決定することができるであろう。
本明細書で使用されている「治療」、「処置」および「処理」は、治療的処置および予防的または防止手段の両方を意味し、その目的は、治療が最終的に成功するものではないにしても、目的とする状態、疾病または障害(総体的に「疾患」)を防止したり、あるいは遅らせたり(軽減させたり)することである。治療が必要な者は、すでにその疾患にかかった者だけではなく、その疾患にかかる傾向がある者、またはその疾患が防止されなければならない者を含んでもよい。
記載されているように、ヒト多能性幹細胞(hPSC)の分離および特性分析、ならびに哺乳類での単為生殖および/または体細胞核移植(SCNT)での新たな発見は、組織復旧、および移植医学での潜在的な適用と共に、研究に使用するための潜在的に制限されないhPSCの細胞源(source)生成の可能性を作り出した。
単為生殖に関して、結果として得られる細胞での父系寄与の除去が適用され、一部の例において、それは、主要組織適合複合体(MHC)の多様性を最小化するためである。それは、広い範囲の患者集団と広く免疫適合性である単為生殖体由来ヒト多能性幹細胞(pn−hPSC)の生成を可能にする。同型接合性pn−hPSC細胞株の生成は、異型接合性変異を除去することによって、潜在的な免疫適合性をさらに改善する。ただ1つの対立形質セットの同型接合性発現の例において、それは、結果として得られるpn−hPSC細胞株がさらに容易に患者に適するものにする。例えば、一般的なハプロタイプに対して選択された、ほんの10個のHLA同型接合性pn−hPSC細胞株のパネルが、40%近くの英国人レシピエントに完全なHLA−A、HLA−BおよびHLA−DRの一致を提供し、65%近くに有益な一致を提供することができるということが報告された。治療的設定でのSCNTの適用を考慮するとき、類似した利点が存在する。SCNTを介して得られた細胞(NT−hPSC)は、患者の核の遺伝物質を有し、この点において、個別の患者に特異的である。かような形態の自家移植は、免疫拒絶の危険性が有意に低い、患者への細胞移植を可能にする。
単為生殖およびSCNTの技法はいずれも、人為的な卵母細胞活性化を含み、それは、自然な精子受精の間に起こるカルシウム信号変化の模倣による。正常な卵母細胞の発達は、卵母細胞を中期II(MII)段階で停止させる(arrest)ための高レベルの中期促進因子(MPF:metaphase promoting factor)活性による。MII卵母細胞の停止は、精子進入に起因した細胞内カルシウムイオン(Ca2+)レベルの変化によって妨害される。その後、サイクリンB(MPF調節サブユニット)の標的分解が起こり、それは、細胞周期停止、前核形成、ならびに減数分裂および有糸分裂の過程から卵母細胞を解放する。
最初の段階として、単為生殖性卵母細胞活性化は、培養された卵母細胞を細胞周期停止から解放するための、人為的なカルシウム変更戦略による。例示は、カルシウムイオノフォア、脂質二重層を通過してイオンを伝達する脂溶性分子、例えば、イオノマイシンおよびA23817の添加を含む。代替的な戦略は、電気的活性、またはイオンの直接的な注入による。単為生殖における2番目の主要段階は、第2極体放出(2PBE)の放出を阻むMPF/サイクリンB阻害を維持することを含む。それは、pn−hPSC細胞分離のために、胚盤胞にさらに培養される二倍体(2母系ゲノム)単為生殖体の生成を誘導する。SCNTに関連して、核移植された(すなわち、再構築された)卵母細胞の再構築の後にまた、カルシウム変更技法を使用した卵母細胞活性化が続く。
しかし、かようなSCNTおよび/または単為生殖の技法それぞれにおいて、著しい制限が存在する。例えば、タンパク質ホスファターゼ阻害剤であるカフェインをヒツジ卵母細胞へ添加すると、成熟促進因子(MPF:maturation promoting factor)、およびマイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)の活性を増大させるということが報告され、類似の利点がサル卵母細胞で報告された一方、胚盤胞形成の頻度は上昇していない。また、カルシウムイオノフォア、電気的活性化、または直接的な注入を介したカルシウム活性化は、自然発生的な受精と同一のタイミング、空間的調節またはカルシウム振動の持続を起こさない。さらなる複雑性を加えるのは、カルシウムに対する影響は、種特異的なものでもあるようだということである。一部の例において、6−ジメチルアミノプリン(6−DMAP)のようなキナーゼ阻害剤、エタノール、およびシクロヘキシミド(CHX)のようなタンパク質合成阻害剤でのさらなる処理の使用は、牛、マウスおよび他の動物モデルで知られているように、MPF不活性化を増大させるために使用される。かような薬剤の添加は、効果的である一方、他の問題点を示しうる。例えば、単為生殖性活性化の間、6−DMAPの添加は、第2極体放出および二倍体細胞の生成を阻む一方、かようなアプローチは、さらに広範囲に免疫適合性である同型接合性hPSC細胞株の生成を可能にするものではない。
SCNTに関係して、既存の技法は、異数性、および非効率的な核再プログラミングによって妨害され、それは、高レベルの発達停止および細胞死を誘導する。卵母細胞活性化非効率性と共に、核の除去、再構築の間の構造的および遺伝毒性的なストレス、ならびにSCNT接合体の第1有糸分裂の間の欠陥は、いずれもSCNTを使用した望ましくない発達率に寄与すると提唱された。
免疫適合性および/または患者特異的hPSCの生成のための効率的な技法を確立するために、本発明者らは、1)再構築、2)活性化、および3)ドナー細胞、においてバリエーションを有する異なるプロトコルを比較した。3つの局面いずれにおいても改善された理解は、効果的なSCNT技法を提供することができる一方、卵母細胞活性化の改善された方法は、単為生殖に対する優れたアプローチを提供することができる。従って、ここに記載された技法は、再構築、活性化およびドナー細胞選択バリエーションの能力比較を提供し、ヒト単為生殖および/またはSCNTに対する効果的な条件を成功裏に特定する。
ここに記載されたところは、体細胞核移植(SCNT)のための方法である。一態様において、SCNTのための方法は、卵母細胞の核を除去する段階、一つまたは複数のドナー核を移植する段階、再構築された核移植された卵母細胞(胚)を活性化する段階、選択的に、胚盤胞にさらに培養する段階、および胚盤胞から多能性幹細胞(pSC)を誘導する段階を含む。他の態様において、それは、脱核された卵母細胞への注入のための一つまたは複数のドナー核を分離する段階を含む。
多様な態様において、卵母細胞の核を除去する段階は、中期II(MII)段階での卵子紡錘糸を除去する段階を含む。多様な態様において、第1極体(1PBE)が除去される。また、他の態様において、前記方法は、卵丘細胞を成熟完了前に剥皮(denude)する段階を含む。一態様において、卵母細胞は、リアルタイムで1PBEに対する非UV光ベースの観察で観察される。また、他の態様において、該観察は、染色または標識化剤、例えば、ヘキスト染色(Hoechst staining)の不在下で行われる。一態様において、それは、ポロスコープ、例えば、Research Instruments (CRi) Oosight(商標)イメージングシステムの使用を含む。例えば、それは、545nm偏光によって収集されたMII卵母細胞での透明帯および紡錘糸の複合体を視覚化する段階を含む。また、他の態様において、卵母細胞の核を除去する段階は、卵母細胞膜の穿刺および卵母細胞からの1PBE除去を可能にする形付(contoured)マイクロピペットの使用を含む。また、他の態様において、卵母細胞の核を除去する段階は、圧電ドリル(piezoelectric drill)の使用を含む。他の態様において、核を除去する段階は、サイトカラシンB、および選択的に、タンパク質ホスファターゼ阻害剤、例えば、カフェインを含む脱核培地で遂行される。
他の態様において、ドナー核を移植する段階は、卵母細胞膜構造を変更する薬剤の使用を含む。一態様において、卵母細胞膜構造を変更する薬剤の使用を介した卵母細胞の核を除去する段階は、体細胞との融合を含む。例えば、ドナー核を移植する段階は、注入ピペット(例えば、12μm径)で、3〜4個のドナー細胞を提供する段階、パラミクソウイルス、またはパラミクソウイルスタンパク質、例えば、センダイウイルス外被タンパク質を含む溶液の一定量中にドナー細胞を排出する段階を含んでもよい。その後、線形に配列されたドナー細胞から一定距離離れ(4〜5細胞長)、注入ピペットを使って細胞を回収する段階、保持ピペットで卵母細胞を保持する段階、ドナー細胞を有する注入ピペットを卵母細胞に前進させる段階が後に続く。注入ピペットを前進させる段階は、卵黄原形質膜の非破壊を含み、かつ核ドナー細胞を透明帯下に位置する卵黄原形質膜と接触させるために、卵母細胞の透明帯、および細胞膜間の空間である囲卵腔(perivitelline space)への1つの核ドナー細胞の挿入を含む。多様な態様において、ピペットの回収は、卵黄膜とドナー細胞との接触を妨害しない。多様な態様において、卵母細胞はさらにインキュベートされる。多様な態様において、細胞は、ドナー細胞挿入1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15分、またはそれ以上の後に融合される。多様な態様において、該細胞は、ドナー細胞挿入10分後に融合される。選択的に、前記過程は、成功裏に融合されていない細胞に対して反復される。多様な態様において、ポロスコープ、例えば、Oosight(商標)イメージングシステムが全過程において使用される。
一態様において、ドナー核を移植する段階は、電気的細胞操作、例えば、電気融合(electrofusion)を含んでもよい。他の態様において、前記方法は、体細胞核ドナー、幹細胞核ドナー、および生殖細胞核ドナーの核を分離する段階を含んでもよい。他の態様において、前記方法は、SCNTのための体細胞核を分離する段階後に、ピペットまたは圧電注入(piezoelectric injection)を介して、一つまたは複数のドナー核を挿入する段階を含む。多様な態様において、ドナー核は、細胞、例えば、皮膚線維芽細胞、白血球、毛嚢、または他の体細胞核ドナーに由来する。また、他の態様において、本発明は、生殖細胞ドナーからの核の分離および調製を含む方法を開示する。異なる態様において、核の分離は、組織生検、血液採取、または組織試料を得るための他の方法、機械的分離、コラゲナーゼ消化、洗浄、遠心分離に基づく密度勾配分離による組織の加工、および/または標準培養培地での培養を含む。
他の態様において、前記方法は、体細胞核ドナー、幹細胞核ドナーおよび生殖細胞核ドナーの核を分離および/または修飾する段階を含んでもよい。多様な態様において、それは、メチル化変更剤、例えば、後成的クロマチン(epigenetic chromatin)および/またはヒストン修飾剤および/またはDNA修飾剤を含む。特定態様において、それは、タンパク質アルギニンメチルトランスフェラーゼ(PRMT1)および共活性化因子関連アルギニンメチルトランスフェラーゼ1(coactivator-associated arginine methyltransferase 1)(CARM 1/PRMT4)、またはオーファン核内受容体エストロゲン(orphan nuclear receptor estrogen)関連受容体β(Esrrb)タンパク質を含む。特定態様において、メチル化変更剤および/またはDNA修飾剤は、修飾された組み換えタンパク質として発現される。例えば、CARM 1およびEsrrbは、7Xアルギニン(7R)細胞透過ペプチド(CPP)、または細胞膜および核膜を通過してタンパク質およびペプチドの透過を増進させ、DNAとの結合および/または転写活性化を増進させると知られた他のタンパク質で、修飾される。他の態様において、前記方法は、転写因子に基づく再プログラミングを使用して、オクタマ結合転写因子4(octamer binding transcription factor−4)(Oct−4)、性決定部位Y−ボックス−2(sex determining region Y−box−2)(Sox−2)、nanog、クルッペル類似因子4(Kruppel−like factor−4)(Klk−4)、MyoD、c−Myc、ジンクファインダタンパク質−42(zinc finder protein−42)(Rex−1/Zfp−42)、レフティA(lefty A)、奇形癌腫由来成長因子(teratocarcinoma−derived growth factor)(Tdgf)および/またはテロメア反復結合因子(telomeric repeating binding factor)(Terf−1)で核ドナー細胞を後成的に再プログラミングする段階を含む。多様な態様において、前記方法は、直接的な圧電注入、ウイルス性注入、リポソーム性注入、または他の方法の細胞質内注入を含む。多様な態様において、転写因子は、脱核された卵母細胞への核移植の前に適用されるmRNA、タンパク質および/または細胞抽出物の形態で送達されうる。他の態様において、前記方法は、HDAC阻害剤(クラスI、IIおよびIII)、またはDNMT3a阻害剤およびDNMT3b阻害剤の使用を含んでもよい。
他の態様において、本発明は、再構築され核移植された卵母細胞を活性化する方法を開示する。一態様において、再構築され核移植された卵母細胞の活性化は、核移植卵母細胞を活性化培地で37℃5分間処理する段階に続く、卵割培地(cleavage medium)で洗浄する段階を含む。異なる態様において、活性化培地は、HEPES除去培地、タンパク質除去培地、G1培地またはG2培地、卵割培地、卵割補助培地(cleavage assist medium)、IVF培地、胚盤胞形成培地、またはグローバルヒト胚培養培地(global human embryo culture medium)である。特定態様において、活性化培地は、カルシウムイオノフォアを含む。異なる態様において、カルシウムイオノフォアは、イオノマイシン、A23187、ビュベリシン、X−537A、アベナシオリド、モノマクロサイクリックポリエーテル(monomacrocyclic polyether)、あるいはマクロバイオサイクリック化合物(macrobiocyclic compound)またはクリプテート(cryptate)である。異なる態様において、活性化培地は、アルコール、例えば、エタノールを含む。異なる態様において、活性化培地は、チメロサールを含む。多様な態様において、活性化培地は、1、2、3、4、5、5μM、またはそれ以上のイオノマイシンを含む。他の態様において、前記方法は、MII段階卵母細胞の電気的活性化を含む。一態様において、電気的活性化は、電気的細胞融合培地での電気的パルスを含む。多様な態様において、電気的細胞融合培地は、0.1〜0.5Mマンニトール、0.01〜1mM MgSO・7HO、0.01〜1mg/mlポリビニルアルコール、1〜10mg/mlヒト血清アルブミン、0.005〜0.5mM CaCl・2HOを含む。一態様において、電気的細胞融合培地は、0.3Mマンニトール、0.1mM MgSO・7HO、0.1mg/mlポリビニルアルコール、3mg/mlヒト血清アルブミン、0.05mM CaCl・2HOを含む。一態様において、再構築され核移植された卵母細胞を活性化する段階は、クロマチン凝縮、紡錘糸形成および化学的活性化を可能にする。他の態様において、電気的パルスの組み合わせ後に、選択的に、6−DMAPが適用され、例えば、0.25M d−ソルビトールバッファおよび6−DMAP(2mM、4時間)中(2×50μs DCパルス、2.7kV/CM)である。他の態様において、多様な開示された培地、例えば、HEPES除去培地、タンパク質除去培地、G1培地またはG2培地、卵割培地、卵割補助培地、IVF培地、胚盤胞形成培地またはグローバルヒト胚培養培地は、選択的に、成長因子、例えば、GM−CSFまたはIGF1を含む。多様な態様において、成長因子は、核移植、1、2、3、4、5、6、7日またはそれ以降に添加される。
多様な態様において、核移植卵母細胞は、完全な活性化のために、活性化後培地で処理される。異なる態様において、活性化され再構築された核移植卵母細胞は、その後活性化後培地でインキュベーションされる。異なる態様において、活性化後培地は、HEPES除去培地、タンパク質除去培地、G1培地またはG2培地、卵割培地、卵割補助培地、IVF培地、胚盤胞形成培地またはグローバルヒト胚培養培地である。異なる態様において、活性化後培地は、6−DMAP、ピューロマイシン、エタノール、シクロヘキシミド(CHX)、トリコスタチンA(TSA)および/またはサイトカラシンB(CB)を含む。異なる態様において、活性化された卵母細胞は、活性化後培地で、30分未満、30〜45分未満、45〜60分未満、60〜90分未満、90〜120分未満、120〜150分未満、150〜180分未満、180〜210分未満、210〜240分未満、240分未満〜270分未満、300〜330分未満、330〜360分未満、360〜390分未満、または390分を超えて、インキュベーションされる。特定態様において、活性化された卵母細胞は、240、300または360分間インキュベーションされる。多様な態様において、活性化段階および活性化後段階は、低酸素条件下で遂行される。特定態様において、低酸素条件は、約80〜85%、85〜90%、90〜95%、95%またはそれ以上のN、約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%またはそれ以上の0、および約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、または10%、またはそれ以上のCOを含む。特定態様において、低酸素条件は、約90%のN、約5%のO、および約5%のCOを含む。多様な態様において、活性化後培地は、気体混合物、例えば、約90%のN、約5%のOおよび約5%のCOにおいて、1、2、3、4、5、または5以上の時間、例えば、37℃でインキュベーションされた、卵割培地で、1、2、3、4、5、または5以上のmMの6−DMAPを含む。
活性化後培地でのインキュベーション後、活性化後卵母細胞は、洗浄培地でインキュベーションされる。異なる態様において、洗浄培地は、HEPES除去培地、タンパク質除去培地、G1培地またはG2培地、卵割培地、卵割補助培地、IVF培地、胚盤胞形成培地である。また、他の態様において、培養培地は、グローバルヒト胚培養培地のように、連続の培地交換を要求しない。特定態様において、洗浄培地は、TSAを含む。特定態様において、活性化後卵母細胞は、TSAを含む洗浄培地で、240、300または360分間インキュベーションされる。一態様において、活性化後の再構築され核移植された卵母細胞は、洗浄され、さらに培養される。一態様において、活性化後の再構築され核移植された卵母細胞は、6−DMAP除去培地で洗浄される。他の態様において、多様な開示された培地、例えば、HEPES除去培地、タンパク質除去培地、G1培地またはG2培地、卵割培地、卵割補助培地、IVF培地、胚盤胞形成培地またはグローバルヒト胚培養培地は、選択的に、成長因子、例えば、GM−CSFまたはIGF1を含む。多様な態様において、成長因子は、核移植後1、2、3、4、5、6、7日、またはそれ以降に添加される。
他の態様において、活性化および/または活性化後段階は、精子から分離された因子、その派生物および抽出物を添加する段階を含む。一態様において、ヒト精子因子は、記載された注入方法のいずれかを使用して活性化され再構築された卵子に注入される。一態様において、ヒト精子因子は、記載された注入方法のいずれかを使用して、活性化後の再構築された卵子に注入される。多様な態様において、約1、2、3または4日後に、活性化後の再構築され核移植された卵母細胞は、卵割培地に移される。特定態様において、約1日後に、活性化後の再構築され核移植された卵母細胞は、卵割培地に移される。多様な態様において、精子因子は、例えば、精子細胞の内部または外部に存在する細胞タンパク質から分離された因子を含む。一態様において、全精子抽出物は、界面活性剤、および射精された精子の機械的混合を使用して得られる。また、他の態様において、全細胞抽出物は、DNAase IおよびRNAaseで処理される。また、他の態様において、粗抽出物は、バッファで洗浄されて遠心分離(2時間20,000g)される。他の態様において、新鮮な射精されたヒト精子が集められ、精液血漿を除去するために、10分間900gで遠心分離した後、5mg/mLウシ血清アルブミンを含むスパームTALP(Sperm−TALP)でペレットの再懸濁をし、同じ設定で遠心分離した後、上澄み液の除去、および核分離培地(NIM:125mM KCl、2.6mM NaCl、7.8mM NaHPO、1.4mM KHPO、3.0mM EDTAジナトリウム塩;pH7.45)で、最終濃度20×10sperm/mLで、ペレットの再懸濁をし、スパームTALPを除去するために遠心分離する。スパームTALPが除去された後、1mMジチオトレイトール、100mMロイペプチン、100mMアンチパインおよび100mg/mL大豆トリプシン阻害剤を含むNIMで、同一の体積でペレットを再懸濁した後、2℃50分間20,000Xで、密集した精子ペレット形成と共に、4周期の凍結(液体Nにおいて、各周期当たり5分)、および解凍(15℃で、各周期当たり5分)が続く。最後に、結果として得られる上澄み液は、注意深く除去され、アリコートされ、使用されるまで−80℃に維持される。
多様な態様において、活性化後の再構築され核移植された卵母細胞は、胚盤胞にさらに培養される。一態様において、活性化後の再構築され核移植された卵母細胞は、SAGE卵割培地、例えば、クイン培地(Quinn's medium)でさらに培養される。また、他の態様において、培地、例えば、3i培地(神経基底培地(neuro basal medium)50%、DMEM/F−12 50%、N添加物1/200v/v、B27添加物1/100v/v、100mM L−グルタミン1/100v/v、0.1M β−ME1/1,000v/v、SU5402(FGFR阻害剤)2μM、PD184352(ERKカスケード阻害剤)0.8μM、CHIR99021(GSK3阻害剤)3μM)、または修飾3i培地(PD0325901(MAPK阻害剤)0.4μM含む)は、多能性を促進する。一態様において、さらなる培養は、1、2、3、4、5日、または5日以上の間である。一態様において、さらなる培養は、再プログラミング因子および/またはメチル化変更剤を有する培養培地で提供される。多様な態様において、さらなる培養は、CARM 1および/またはEsrrbが添加されたG2培地で、3日間である。例えば、CARM 1および/またはEsrrbは、それぞれ0.5、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5μg/ml、またはそれ以上の培地における濃度で提供される。一部態様において、CARM 1および/またはEsrrbは、それぞれ2μg/mlの培地における濃度で提供される。
多様な態様において、胚盤胞へのさらなる培養、および胚盤胞からの多能性幹細胞(pSC)の誘導は、透明帯(ZP)を除去するために培養された胚盤胞を、酸性タイロード溶液(acidic Tyrode's solution)で処理する段階を含む。多様な態様において、該処理は、数秒間(例えば、1〜5秒間)である。多様な態様において、ZPの除去後、HEPES−HTF培地での洗浄が後に続く。多様な態様において、内部細胞塊(ICM)の分離は、胚盤胞の栄養胞(trophoblast)を廃棄する段階を含む。多様な態様において、ICM細胞は、プレーティング1日前に調製されたマウス胚フィーダ層(MEF:mouse embryonic feeder)にプレーティングされる。一部態様において、全胚盤胞がMEFにプレーティングされる。例えば、該方法は、胚盤胞の透明帯を剥皮する段階を含む。多様な態様において、前記方法は、Hepes−HTF培地で、0.05%、0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%または1%のプロナーゼ(pronase)で、胚盤胞の透明帯を除去する段階を含む。一態様において、前記方法は、Hepes−HTF培地で、0.5%プロナーゼで、胚盤胞の透明帯を除去する段階を含む。また、他の態様において、前記方法は、1〜10秒間、10〜20秒間、20〜30秒間、30〜60秒間、60〜120秒間、120〜180秒間、または180秒間以上、TH3培地(SAGE胚盤胞培地)において、プロナーゼを適用する段階を含む。また、他の態様において、30〜60秒間HTF培地で、0.5%プロナーゼを適用する段階を含む。一態様において、該胚盤胞は、卵母細胞の単為生殖から得られた単為生殖体に由来する。一態様において、hPSC細胞株は、単為生殖体由来ヒト多能性幹細胞(pn−hPSC)細胞株である。また、他の態様において、胚盤胞は、レシピエント卵母細胞へのドナー細胞核の体細胞核移植(SCNT)から得られた再構築され核移植された卵母細胞に由来する。一態様において、hPSC細胞株は、体細胞核移植ヒト多能性hPSC(NT−hPSC)細胞株である。また、他の態様において、本発明は、栄養外胚葉性細胞(trophectodermal cell)からの内部細胞塊(ICM)が機械的拡散(mechanical dispersion)する段階を含む免疫切除術(immunosurgery)のための方法を含む。多様な態様において、剥皮された胚盤胞は、37℃で、約10、20、25、30、35、40、45または60分間ウサギ抗ヒト脾臓血清で処理される。一態様において、剥皮された胚盤胞は、37℃で約30分間、ウサギ抗ヒト脾臓血清で処理される。一態様において、前記方法は、剥皮された胚盤胞をTH3(SAGE胚盤胞培地)で洗浄する段階、37℃で30分間HECM−9(SAGE胚盤胞培地)で再構築されたギニアピッグ補体で、インキュベーションする段階を含む。異なる態様において、拡張された胚盤胞の透明帯は、TH3(hepes−HTF)培地で、0.5%プロナーゼまたは酸性タイロード溶液への若干の露出(45〜60秒)で除去される。一態様において、前記方法は、選択的に、栄養外胚葉性細胞から内部細胞塊を分離するために、小孔径ピペッティング(small bore pipetting)、Ehsms zilos−tk Unit(Hamilton Thorne)を使用したレーザ補助孵化方法(laser assisted hatching method)を使用して、細胞を機械的に拡散する段階を含む。
一態様において、SCNTのための方法は、卵母細胞の核を除去する段階、ドナー核を移植する段階、再構築され核移植された卵母細胞を活性化する段階、および選択的に、胚盤胞にさらに培養する段階、胚盤胞から多能性幹細胞(pSC)に誘導する段階を含む。一態様において、卵母細胞の核を除去する段階は、中期II段階卵子紡錘糸を除去する段階を含む。多様な態様において、第1極体(1PBE)は、除去される。一態様において、ドナー核を移植する段階は、注入ピペット(例えば、12μm径)で、3〜4個のドナー細胞を提供する段階、センダイウイルス外被タンパク質を含む溶液の一定量中にドナー細胞を排出する段階、線形に配列されたドナー細胞を分離する距離(4〜5細胞長)で注入ピペットを使用して細胞を回収する段階、保持ピペットで卵母細胞を保持する段階、ドナー細胞を有する注入ピペットを卵母細胞に前進させる段階を含む。多様な態様において、注入ピペットを前進させる段階は、卵黄原形質膜の非破壊を含み、かつ核ドナー細胞を透明帯下に位置する卵黄原形質膜と接触させるために、囲卵腔への1つの核ドナー細胞の挿入を含む。多様な態様において、ピペットの回収は、卵黄膜とドナー細胞との接触を妨害しない。多様な態様において、卵母細胞は、さらにインキュベーションされる。多様な態様において、細胞は、ドナー細胞挿入10分後に融合される。選択的に、前記過程は、成功裏に融合されていない細胞に対して反復される。多様な態様において、ポロスコープ、例えば、Oosight(商標)イメージングシステムが、全過程において使用される。他の態様において、核を除去する段階は、サイトカラシンB、および選択的に、タンパク質ホスファターゼ阻害剤、例えば、カフェインを含む脱核培地で遂行される。他の態様において、前記方法は、プロテアソーム阻害剤、例えば、MG132の使用を含む。特定態様において、SCNTの方法は、一つまたはそれ以上のドナー核を移植する段階後に、卵母細胞の核を除去する段階が後に続く。
一態様において、再構築され核移植された卵母細胞を活性化する段階は、再構築された核移植卵母細胞を活性化培地で37℃5分間処理する段階に続く、卵割培地で洗浄する段階を含む。多様な態様において、活性化培地は、5μMのイオノマイシンを含む。多様な態様において、核移植卵母細胞は、完全な活性化のために、活性化後培地で処理される。多様な態様において、活性化後培地は、5% CO/5% O/90% Nの大気において、37℃4時間の卵割培地で、2mM 6−DMAPを含む。一態様において、活性化された核移植卵母細胞は、洗浄され、さらに培養される。一態様において、活性化後の再構築され核移植された卵母細胞は、6−DMAP不含培地で洗浄される。一態様において、活性化後の再構築され核移植された卵母細胞は、SAGE卵割培地でさらに培養される。一態様において、さらなる培養は、2日間である。一態様において、さらなる培養は、再プログラミング因子および/またはメチル化変更剤を有する培養培地で提供される。多様な態様において、さらなる培養は、CARM 1および/またはEsrrbが添加されたG2培地で3日間である。多様な態様において、活性化された核移植された卵母細胞は、胚盤胞にさらに培養される。多様な態様において、胚盤胞へのさらなる培養、および胚盤胞からの多能性幹細胞(pSC)の誘導は、透明帯(ZP)を除去するために培養された胚盤胞を、酸性タイロード溶液(例えば、pH2.0)で処理する段階を含む。多様な態様において、該処理は、数秒間(例えば、1〜5秒)である。多様な態様において、ZPの除去後、HEPES−HTF培地での洗浄が後に続く。多様な態様において、内部細胞塊(ICM)の分離は、胚盤胞の栄養胞を廃棄する段階を含む。多様な態様において、ICM細胞は、プレーティング1日前に調製されたマウス胚フィーダ(MEF)にプレーティングされる。一部態様において、胚全体がMEFにプレーティングされる。多様な態様において、PSC誘導培地は、血清代替物(5% SR、Invitrogen)が添加されたノックアウトDMEM、FBS(10%、Hyclone)、プラズマメート(plasmamate)(5%)、bFGF(32ng/ml)、およびヒトLIF(2,000units/mI、Sigma−Aldrich)で構成される。
体細胞核移植に由来するヒト多能性幹細胞株(NT−hPSC)も、本明細書に開示する。多様な態様において、NT−hPSCは、ドナー核と遺伝的に同一であるか、あるいはほぼ同一である。異なる態様において、NT−hPSC細胞株は、正常な46染色体、XX/XY核型を含む。異なる態様において、NT−hPSC細胞株は、3つの胚葉形成がいずれも可能である。異なる態様において、NT−hPSC細胞株は、一つまたはそれ以上の多能性マーカーを発現し、多能性マーカーは、ステージ特異的胚抗原−4(SSEA−4)、SSEA−3、腫瘍拒絶抗原1−81(Tra−1−81)、Tra−1−60、オクタマ結合転写因子4(Oct−4)、性決定部位Y−ボックス−2(Sox−2)、nanog、ジンクファインダタンパク質−42(Rex−1/Zfp−42)、レフティA(lefty A)、奇形癌腫由来成長因子(Tdgf)、テロメア反復結合因子(Terf−1)、および発達多能性関連遺伝子2(Dppa−2)を含む。異なる態様において、NT−hPSC細胞株は、劣性致死性(recessive lethality)を含まない。異なる態様において、NT−hPSC細胞株は、高アルカリ性ホスファターゼ(AP: high alkaline phosphatase)および/またはテロメラーゼ活性を保有する。異なる態様において、NT−hPSC細胞株は、免疫不全動物内で、懸濁液において胚様体および/または3つの胚葉全部に由来した細胞を含む奇形種を形成することができる。
また、ヒト卵母細胞の単為生殖のための方法を本明細書において記載する。一態様において、前記方法は、単為生殖性卵母細胞の形成を始めるために、中期II(MII)段階卵母細胞を活性化培地でインキュベーションする段階を含む。特定態様において、活性化培地は、カルシウムイオノフォアを含む。異なる態様において、カルシウムイオノフォアは、イオノマイシン、A23187、ビュベリシン、X−537A、アベナシオリド、モノマクロサイクリックポリエーテル、あるいはマクロバイオサイクリック化合物またはクリプテートである。異なる態様において、活性化培地は、アルコール、例えば、エタノールを含む。異なる態様において、活性化培地は、チメロサールを含む。異なる態様において、活性化培地は、HEPES除去培地、タンパク質除去培地、G1培地またはG2培地、卵割培地、卵割補助培地、IVF培地、胚盤胞形成培地、あるいはグローバルヒト胚培養培地である。他の態様において、前記方法は、MII段階卵母細胞の電気的活性化を含む。一態様において、電気的活性化は、電気融合培地での電気的パルスを含む。多様な態様において、電気融合培地は、0.1〜0.5Mマンニトール、0.01〜1mM MgSO・7HO、0.01〜1mg/mlポリビニルアルコール、1〜10mg/mlヒト血清アルブミン、0.005〜0.5mM CaCl・2HOを含む。一態様において、電気融合培地は、0.3Mマンニトール、0.1mM MgSO・7HO、0.1mg/mlポリビニルアルコール、3mg/mlヒト血清アルブミン、0.05mM CaCl・2HOを含む。他の態様において、一つまたはそれ以上の卵母細胞は、まず精子因子が注入され、その後電気的に活性化される。
特定態様において、MII段階卵母細胞は、30℃、31℃、32℃、33℃、34℃、35℃、36℃、37℃、38℃、39℃、40℃、またはそれ以上の温度で、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10分、またはそれ以上の間、活性化培地でインキュベーションされ、その後洗浄培地で洗浄される。特定態様において、MII段階卵母細胞は、37℃温度で5分間、カルシウムイオノフォアに露出され、その後洗浄培地で洗浄される。異なる態様において、洗浄培地は、HEPES除去培地、タンパク質除去培地、G1培地またはG2培地、卵割培地、卵割補助培地、IVF培地、胚盤胞形成培地である。
異なる態様において、活性化された単為生殖性卵母細胞は、その後活性化後培地でインキュベーションされる。異なる態様において、活性化後培地は、HEPES除去培地、タンパク質除去培地、G1培地またはG2培地、卵割培地、卵割補助培地、IVF培地、胚盤胞形成培地またはグローバルヒト胚培養培地である。異なる態様において、活性化後培地は、6−DMAP、ピューロマイシン、エタノール、シクロヘキシミド(CHX)、トリコスタチンA(TSA)および/またはサイトカラシンB(CB)を含む。異なる態様において、活性化された単為生殖性卵母細胞は、活性化後培地で、30、30〜45、45〜60、60〜90、90〜120、120〜150、150〜180、180〜210、210〜240、240〜270、300〜330、330〜360、360〜390分未満、または390分を超える間インキュベーションされる。特定態様において、活性化された単為生殖性卵母細胞は、240、300または360分間インキュベーションされる。多様な態様において、活性化および活性化後段階は、低酸素条件下で遂行される。特定態様において、低酸素条件は、約80〜85%、85〜90%。90〜95%、95%またはそれ以上のN、約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%またはそれ以上の0、および約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、あるいは10%またはそれ以上のCOを含む。特定態様において、低酸素条件は、約90% N、約5% Oおよび約5% COを含む。
活性化後培地でのインキュベーション後、活性化後の単為生殖性卵母細胞は、洗浄培地でインキュベーションされる。異なる態様において、洗浄培地は、HEPES除去培地、タンパク質除去培地、G1培地またはG2培地、卵割培地、卵割補助培地、IVF培地、胚盤胞形成培地である。また、他の態様において、培養培地は、グローバルヒト胚培養培地のように、連続の培地交換を要求しない。特定態様において、洗浄培地は、TSAを含む。特定態様において、活性化後の卵母細胞は、TSAを含む洗浄培地で、240、300または360分間インキュベーションされる。
洗浄培地でのインキュベーション後、活性化後の単為生殖性卵母細胞は、培養培地に移される。異なる態様において、培養培地は、HEPES除去培地、タンパク質除去培地、G1培地またはG2培地、卵割培地、卵割補助培地、IVF培地、胚盤胞形成培地である。また、他の態様において、培養培地は、グローバルヒト胚培養培地のように、連続の培地交換を要求しない。異なる態様において、活性化後の単為生殖性卵母細胞は、1日、2日、3日、4日、または4日以上の間、卵割培地で培養される。特定態様において、卵割培地での培養は、2日間である。卵割培地で培養した後、卵母細胞は、1日、2日、3日、4日、または4日以上の間、胚盤胞形成培地で培養される。特定態様において、胚盤胞形成培地での培養は、3日間である。
一態様において、卵母細胞を活性化する段階は、37℃5分間活性化培地でインキュベーションする段階に続く、卵割培地で洗浄する段階を含む。多様な態様において、活性化培地は、5μMのイオノマイシンを含む。多様な態様において、卵母細胞は、完全な活性化のために、活性化後培地で処理される。多様な態様において、活性化後培地は、5% CO/5% O/90% Nの大気中で、37℃4時間の卵割培地において、2mM 6−DMAPを含む。一態様において、活性化された卵母細胞は、洗浄され、かつさらに培養される。一態様において、活性化された単為生殖性卵母細胞は、6−DMAP除去培地で洗浄される。一態様において、活性化された単為生殖性卵母細胞は、SAGE卵割培地、例えば、クイン培地でさらに培養される。また、他の態様において、培地、例えば、3i培地(神経基底培地50%、DMEM/F−12 50%、N添加物1/200v/v、B27添加物1/100v/v、100mM L−グルタミン1/100v/v、0.1M β−ME1/1,000v/v、SU5402(FGFR阻害剤)2μM、PD184352(ERKカスケード阻害剤)0.8μM、CHIR99021(GSK3阻害剤)3μM)または修飾3i培地(PD0325901(MAPK阻害剤)0.4μM含む)は、多能性を促進する。一態様において、さらなる培養は、2日間である。一態様において、さらなる培養は、再プログラミング因子および/またはメチル化変更剤を有する培養培地で提供される。多様な態様において、さらなる培養は、CARM 1および/またはEsrrbが添加されたG2培地で3日間である。多様な態様において、活性化された単為生殖性卵母細胞は、胚盤胞にさらに培養される。多様な態様において、胚盤胞へのさらなる培養、および胚盤胞からの多能性幹細胞(pSC)の誘導は、透明帯(ZP)を除去するために培養された胚盤胞を、酸性タイロード溶液(例えば、pH2.0)で処理する段階を含む。多様な態様において、処理は、数秒間(例えば、1〜5秒)である。多様な態様において、ZPの除去後、HEPES−HTF培地での洗浄が後に続く。多様な態様において、内部細胞塊(ICM)の分離は、胚盤胞の栄養胞を廃棄する段階を含む。多様な態様において、ICM細胞は、プレーティング1日前に調製されたマウス胚フィーダ(MEF)にプレーティングされる。一部態様において、胚全体がMEF上にプレーティングされる。多様な態様において、PSC誘導培地は、血清代替物(5% SR、Invitrogen)、FBS(10%、Hyclone)、プラズマネート(5%)、bFGF(32ng/ml)およびヒトLIF(2,000units/mI、Sigma−Aldrich)で補充されたノックアウトDMEMで構成される。
単為生殖体由来ヒト多能性幹細胞(pn−hPSC)株が本明細書に記載される。他の態様において、pn−hPSC細胞株は、異型接合性または同型接合性の卵母細胞に由来する。特定態様において、異型接合性pn−hPSC細胞株は、民族(ethnic)集団における対立形質変異頻度によって決定されたような、民族集団の1%、2%、3%、4%、5%、または6%以上と免疫適合性であるHLA血清型を有するHLAハプロタイプの対立形質変異を含む。特定態様において、同型接合性pn−hPSC細胞株は、一前核卵母細胞の単為生殖を利用して導き出される。特定態様において、同型接合性pn−hPSC細胞株は、一前核同型接合性卵母細胞の単為生殖を利用して導き出される。他の態様において、同型接合性pn−hPSC細胞株は、第2極体放出を含む単為生殖を利用して得られる。特定態様において、同型接合性pn−hPSC細胞株は、民族集団における対立形質変異頻度によって決定されたような、民族集団の1%、2%、3%、4%、5%、または5%以上と免疫適合性であるHLA血清型を有するHLAハプロタイプを含む。例えば、HLAハプロタイプA01,B08,DRB103は、白人人種において、5%を超える頻度で提示される。他の態様において、HLA血清型は、HLA−A、HLA−B、HLA−DP、HLA−DM、HLA−DOA、HLA−DOB、HLA−DQおよびHLA−DRの対立形質変異体(allelic variant)を含む。他の態様において、HLA血清型は、HLA−A、HLA−BおよびHLA−DRの対立形質変異体を含む。他の態様において、pn−hPSC細胞株は、中期I(MI)段階卵母細胞に由来する。他の態様において、pn−hPSC細胞株は、中期II(MII)段階卵母細胞に由来する。他の態様において、pn−hPSC細胞株は、ドナー卵母細胞と同一であるか、あるいはほぼ同一であるミトコンドリアゲノムを含む。
他の態様において、pn−hPSC細胞株は、正常な46染色体、XX核型を含む。他の態様において、pn−hPSC細胞株は、3種全ての胚葉層を形成することができる。他の態様において、pn−hPSC細胞株は、ステージ特異的胚抗原−4(SSEA−4)、SSEA−3、腫瘍拒絶抗原1−81(Tra−1−81)、Tra−1−60、オクタマ結合転写因子4(Oct−4)、性決定領域Y−box−2(Sox−2)、nanog、ジンクフィンガータンパク質−42(Rex−1/Zfp−42)、lefty A、奇形癌腫由来成長因子(Tdgf)、テロメア反復結合因子(Terf−1)、および発達多能性関連遺伝子2(Dppa−2)を含む1つまたは複数の多能性マーカーを発現する。他の態様において、pn−hPSC細胞株は、劣性致死性を含まない。他の態様において、pn−hPSC細胞株は、高アルカリ性ホスファターゼ(AP)および/またはテロメラーゼ活性を所有する。他の態様において、pn−hPSC細胞株は、懸濁液で胚様体および/または免疫不全動物でテラトーマを形成することができる。
また、単為生殖体由来ヒト多能性幹細胞(pn−hPSC)のライブラリーが本明細書に記載される。特定態様において、ライブラリーは1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20個、または20個以上のpn−hPSC細胞株を含む。多様な態様において、該ライブラリーは、民族集団の5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または95%以上と免疫適合性であるHLA血清型を有するpn−hPSC細胞株を含む。例えば、HLAハプロタイプA01,B08,DRB103は、白人人種において、5%を超える頻度で現れる。他の態様において、HLA血清型は、HLA−A、HLA−B、HLA−DP、HLA−DM、HLA−DOA、HLA−DOB、HLA−DQおよびHLA−DRの対立形質変異体を含む。他の態様において、HLA血清型は、HLA−A、HLA−BおよびHLA−DRの対立形質変異体を含む。例えば、それは、HLA−A血清型A1−A3、A9−A11、A23−A26、A28、A29、A30−34、A36、A43、A66、A68、A69、A74およびA80、HLA−B血清型B5、B7、B8、B12、B13、B14、B15、B16、B17、B18、B21、B22、B27、B35、B37−B72、B75−B78、B81、B82 B83、HLA−C血清型CW01−CW08を含む。主要組織適合複合体II(MHCII)は、HLA−DP血清型DPA1およびDPB1、HLA−DM、HLA−DOA、HLA−DOB、HLA−DQ血清型DQ2−DQ9、HLA−DR血清型DR1−D18を含む。
他の態様において、前記ライブラリーは、pn−hPSC細胞株を含み、そのそれぞれがヒト集団で提示された少なくとも1つのMHC対立形質に対して、半接合性または同型接合性であり、前記pn−hPSCのライブラリーの各構成員は、ライブラリーの残留構成員に相対的にMHC対立形質の異なるセットに対して、半接合性または同型接合性である。追加態様において、ヒト胚幹細胞のライブラリーは、ヒト集団で提示された全てのMHC対立形質に対する半接合性または同型接合性であるpn−hPSCのライブラリーを含む。記載された方法は、pn−hPSCのライブラリー生成に適用され、そのそれぞれは、ヒト集団で提示された少なくとも1つのMHC対立形質に対して、半接合性または同型接合性であり、pn−hPSCの前記ライブラリーの各構成員は、MHC対立形質の異なる集合に対して、半接合性または同型接合性である。追加態様において、該方法は、ヒト集団で提示された半接合性または同型接合性であるpn−hPSCのライブラリーを生成する。従って、本発明はまた、そのような方法によって製造されたpn−hPSCのライブラリーを提供する。
また「ナイフピペット」と記載される、特別に形づくられた(specifically contoured)脱核ピペットが本明細書に記載される。一態様において、形付(contoured)脱核ピペットは、滅菌ガラス管を引きのばした後に割り、加熱研磨(fire-polishing)によって融かして鈍くなった丸いビーズ末端とし、マイクロフォージに接触させて再び引きのばして尖らせることによって、調製される。多様な態様において、形付脱核ピペットは、1)堅固で尖った微細な先端、2)引きのばしたビーズ末端によるやや丸い形状のエッジ、および3)直径が約50μmより大きい中空チューブ本体、を含む。
多様な態様において、本明細書に記載された任意の脱核方法が、いずれも形付脱核ピペットを用いて遂行される。例えば、脱核は、一方でマイクロピペットで卵母細胞を保持し、卵母細胞側面エッジに対して形付脱核ピペットの微細な先端を前進させ、穿通に続いて、丸い引きのばされたビーズ末端を介して穿通された裂け目をピンチングするための卵母細胞操作をし、裂け目のエッジ近くの極体の位置設定をすることによって実施することができ、裂け目の近くに位置した極体は、抽出のために圧搾される。
ヒト卵母細胞の放出誘導および/または分離を行う方法が本明細書に記載される。一態様において、放出および/または分離されたヒト卵母細胞は、単為生殖に利用される。他の態様において、放出および/または分離されたヒト卵母細胞は、体細胞核移植(SCNT)に利用される。多様な態様において、卵巣過剰刺激は、濾胞刺激ホルモン(FSH)類似体による複数の卵子の生産を刺激し、ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)作用物質/拮抗物質(agonist/antagonist)またはその他黄体形成ホルモン(LH)サージ阻害剤の使用によって自然排卵を阻む。他の態様において、前記方法は、2Dまたは3Dの超音波およびエストラジオールレベルモニタリングによる濾胞成熟追跡を含む。
他の態様において、前記方法は、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)またはhCG類似体を利用した、卵巣濾胞内におけるヒト卵母細胞のインビボ成熟を利用する。一態様において、最終卵巣濾胞成熟は、hCG刺激によって、卵母細胞ドナー中で発生する。他の態様において、コースティング(coasting)は、OHSS(卵巣過剰刺激症侯群)の危険性を低減させる。他の態様において、前記方法は、胞状卵胞計数のための2Dまたは3D超音波検査の利用を含む。
他の態様において、前記方法は、第1極体放出(1PBE)に対するリアルタイムの非UV光ベースのモニタリングを利用して、hCG刺激なしでのヒト卵母細胞の分離と、インビトロで卵母細胞成熟を終了させることを含む。他の態様において、方法は、卵母細胞成熟率を定量化するために1PBE率を決定することを含む。他の態様において、前記方法は、単為生殖および/またはSCNTに伴う胚盤胞形成率を強化するために卵母細胞成熟率を改善することを含み、それにより、ヒト多能性幹細胞(hPSC)生産の効率を改善する。
他の態様において、前記方法は、IV鎮静、全身麻酔、または子宮頚管周囲遮断麻酔による経膣アプローチを利用して、卵巣濾胞の吸引補助超音波誘導針吸入術によって、複数の成熟卵母細胞を収集するための経膣卵子回収の利用を含む。他の態様において、局所麻酔は利用されない。
下記実施例は、特許請求された発明を例示するために提供されたものであり、本発明の範囲を制限するものであると解釈されてはならない。特定物質が言及される範囲まで、例示の目的に過ぎず、発明を制限するものではない。当業者は、独創的な能力の発揮なしで、かつ本発明の範囲を外れることなしに、同等な手段、組成物または反応物を開発することができる。
実施例1
単為生殖に係わる一般的過程
単為生殖のための重要な過程は、1)ヒトMII段階卵母細胞の調製、2)卵母細胞の活性化、3)単為生殖体の生成、4)胚盤胞段階まで追加インビトロ培養、および5)培養された胚盤胞からのヒト多能性幹細胞(hPSC)の誘導を含む。該方法を介して誘導された細胞は、単為生殖体由来ヒト多能性幹細胞(pn−hPSC)である。
実施例2
SCNTに係わる一般的過程
体細胞核移植(SCNT)は、単為生殖と重複する技法を含むが、主な差異は、ドナー核のレシピエント卵母細胞への移植および胚再構築を含む。さらに具体的には、SCNTは、1)核ドナー細胞の調製、2)ヒトMII段階卵母細胞の調製、3)卵母細胞の脱核、4)脱核された卵母細胞への体細胞核移植、5)体細胞核移植された(再構築された)卵子の活性化、6)再構築された卵子の胚盤胞段階までのインビトロ培養、および7)それら胚からの胚幹細胞株の誘導を含む。この方法を介して由来した細胞は、体細胞核移植ヒト多能性幹細胞(NT−hPSC)である。
実施例3
成体線維芽細胞を使用した核ドナー細胞の調製
ドナー患者の線維芽細胞は、トリプシン処理または類似のプロセスによって単層から回収された個別細胞を含む皮膚生検から成長させることができる。
1.局所麻酔下で皮膚または他の組織生検を得る(50mg、0.5×0.5cm)。
2.PBSで2回組織断片を洗浄する。
3.100mm培養ディッシュで、組織を外科用ブレード(blade)で機械的に刻み、刻まれた組織からPBSを用心深く除去する。
4.10% FBS、1%非必須アミノ酸および10μg/mlペニシリン−ストレプトマイシン溶液で補充された4.5ml DMEM、およびコラゲナーゼII型の500μl(2,000unit/ml)(Life Technologies)に組織ペレットを再懸濁する。
5.インキュベータに一晩置く。
6.3分間300×Gで遠心分離し、10% FBSを有するDMEMに細胞ペレットを再懸濁する。
7.細胞を60mm培養ディッシュに分注し、続いて10% FBS、1%非必須アミノ酸および10μg/mLペニシリン−ストレプトマイシン溶液を含むDMEMにコンフルエント(confluent)になるまで、37℃、5% COおよび95%空気中で培養する。
8.細胞が80%培養密度(confluency)に逹すれば、初期成長体の1/2を凍結保存し、残余細胞を1:3の比率に分け、それらを前述の培地で培養する。この過程をさらに2回繰り返し、SCNTおよびその後の遺伝子型判別分析のための十分な細胞を得る。細胞培養の終りに、10% DMSOで補充されたFBSに残余細胞をいずれも凍結保存する。新鮮に調製された細胞または凍結保存された細胞のいずれかを、核ドナーとして使用することができる。
実施例4
卵丘細胞を利用した核ドナー細胞株の調製
SCNTのために、下記のとおりドナーの卵丘細胞から、または商業的に入手可能な成体幹細胞を含むその他組織から、ドナー核を得ることができる。その後、下記例示プロトコルを使用して、卵丘細胞から核を得ることができる。
1.各個体に由来した細胞調製物の約半分が、核ドナーとしてSCNTのために使用され、残りが遺伝子型判別のためにスナップ凍結(snap-frozen)される。
2.剥皮過程の間、1.5mlマイクロ遠心分離チューブに卵丘細胞を収集する。Hepes−HTFを1.5mlまで添加し、1分間1,200rpmで遠心分離する。
3.上澄みを移し、細胞ペレットのみを残して、ペレットに100μlの4% PVP溶液(PVP、MW 36000、Calbiochem、San Diego、CA)を添加して混合する。それら細胞はすぐに核注入に利用できる。
実施例5
卵巣刺激プロトコルおよび卵母細胞回収
患者は、7〜14日間、低用量経口避妊薬で予備処置される。経口避妊薬を中止した後、ゴナドトロピン(Gonal−Fまたはフォリスチム、および、マイクロ用量Lupronor hCGまたはMenopur)が投与される。投与開始は、患者特性(年齢、3日目FSH、APC)に基づいて、個別医師によって決定される。卵胞成長および子宮内膜厚の経膣超音波評価は、6日目に始まり、血清E2レベルが8回の連続的臨床訪問のうち1回で測定される。その後、超音波検査確認および血清E2レベルに基づいて、モニタリングの頻度およびゴナドトロピンの量を調整することができる。
hCG触発の日(および刺激の全ての日)は、濾胞のサイズおよび数、ならびに血清E2レベルに基づく。ルプロン(Lupron)またはhCGの投与量は、250μg用量で投与される。卵子回収は、hCGの投与36時間後に行われる。前記患者は、卵子回収の次の日に経口避妊薬を再開する。
実施例6
具体的な卵巣活性化
卵子回収は、下記実施例過程を使用して行われる。
1.20〜34歳の健康な女性ドナーを、7〜14日間の低用量経口避妊薬処理後、組み換え濾胞刺激ホルモン(FSH)(フォリスチム、100〜150単位、Schering−Plough)で処理し、1日目(day 1)から始めるマイクロ用量組み換えLH(LupronまたはhCG、250μg)EMD Seronoを処理する。
2.前記FSHは、一般的に100〜150単位で始め、濾胞形成が進むにつれて調整される。
3.2個の主要濾胞が18mm径に逹したら、単一用量のルプロンまたはhCG(250μg)を与えて卵母細胞成熟を誘導する。
実施例7
卵母細胞収集
卵母細胞の収集は、下記実施例過程を利用して行われる。
1.クインアドバンテージ受精培地(Quinn's Advantage Fertilization Medium)(SAGEカタログ#1021)を有する50×9mmペトリディッシュに、吸引された濾胞液(aspirated follicular fluid)から卵丘塊を収集する。
2.収集された卵丘塊を、37℃、5% CO加湿インキュベータで、約2〜3分間、卵丘細胞が分散するまでヒアルロニダーゼ(40U/ml)で処理する。
3.Stripper Tip(Mid-Atlantic Diagnostic、#MXL3−100 u)を使用して残余顆粒膜細胞を除去する。
4.卵母細胞をクイン受精培地で2回洗浄する。
5.Willco-Dishガラスペトリディッシュ(50×9mm)に、ミネラルオイルで覆われた50μl滴を調製する。
実施例8
卵母細胞の回収および調製
卵母細胞の回収および調製を、緑色光(波長>500nm)で照明された実験室で行う。
1.患者に対するルプロン注入またはhCG注入36時間後、ミダゾラム5〜7.5mg(Versed、RocheおよびNutley、NJ、米国)およびフェンタニル50〜75μg(Abbott Pharmaceutical、Abbott Park、IL、米国)で鎮静させた後、先に述べたように超音波ガイダンスを使用して卵母細胞を回収する。
2.IVF培地(Quinn's IVF培地、SAGE Biopharma、Bedminster、NJ)中で、新鮮に分離された卵丘−卵母細胞複合体(COC:cumulus-oocyte cell complex)を洗浄し、5% COを有する加湿インキュベータ中で2時間インキュベートする。
3.COCをヒアルロニダーゼ(100IU/ml、Sigma、St.Louis、MO、米国)で2分間処理し、小孔径マイクロピペット(small bore micropipette)(150μm径)で剥皮する。単一第1極体を有する剥皮された卵母細胞を、中期II(MII)として分類し、SCNTに使用する。
実施例9
体細胞核移植
中期II(MII)紡錘糸を、Oosight(商標)紡錘イメージングシステム(Cambridge Research & Instrumentation、Woburn、MA、米国)を使用して、脱核のために視覚化する。このアプローチは、ヘキスト染色およびUV光露出を回避する。卵母細胞を、5分間0.5μg/mlサイトカラシンBを含むHEPES(Cooper Surgical)を有するQuinn's Advantage(登録商標)培地で予備インキュベートする。
卵母細胞の脱核を、脱核ピペット(20μm径)と共に圧衝撃ドリル(piezo impact drill)(PrimeTech、東京、日本)を使用して行う。中期紡錘糸の除去は、操作ピペット内の明るい楕円形の核複合体の存在によって確認される。ドナーヒト線維芽細胞(または、細胞の同等なその他類型)が調製される。それら核ドナー細胞を、脱核のために使用される同一のシステムを使用して融合させたり注入させたりする。全ての過程を蛍光との直接的接触なしで遂行する。
実施例10
体細胞核移植I:直接注入方法
A)卵母細胞の脱核
1.明らかな第1極体を有する卵母細胞(10)の配置を、サイトカラシンB(5μg/ml)を含む予備平衡化された(pre-equilibrated)培養培地に移動させる。
2.卵母細胞を、顕微操作ディッシュ上に準備された少量の脱核培地(Hepes−HTF+5μg/ml サイトカラシンB、Cooper Surgical)に移す。
3.卵母細胞を有するディッシュを、加熱されたステージを有する顕微操作システムにローディングする。
4.卵母細胞を、Oosight(商標)イメージングシステム(Cambridge Research & Instrumentation、Woburn、MA、米国)を使用して、中期板を2時と4時との間の位置に保持して紡錘を可視化する。
5.脱核ピペットを透明帯の表面に置き(3時の位置)、PIEZO(PrimeTech、東京、日本)パルスを送達し、透明帯に孔(hole)を開ける。
6.透明帯に穿孔した直後、脱核ピペット(ごくわずかな陽圧下)を、衝撃を受けた領域に前進させる。
7.染色体−紡錘複合体を、小体積の細胞質と共に吸入して除去する。
8.全ての卵母細胞に対して過程を繰り返す。
9.脱核された卵母細胞を培養培地(卵割培地、Cooper Surgical)で十分に洗浄して残りのサイトカラシンBを除去し、核注入前に10〜15分間新鮮な培養培地で培養する。
B)核移植
NT前に、37℃で30秒間、0.25%(v/v)トリプシン−EDTA(Life Technologies)でトリプシン処理し、単層膜から個別胚盤胞細胞(または、核ドナー細胞の他の類型)を回収し、その後NTのために使用した。ドナー線維芽細胞少量を、クイン受精培地と徐々に混合する。ドナー核は、剥皮された細胞、および/または核移植前に後成的修飾を受けた細胞に由来する。
1.核ドナー細胞(卵丘細胞、皮膚胚盤胞細胞)をHepes−HTF(SAGE Biopharma)で洗浄し、遠心分離し、4% PVP溶液で再構築する。
2.さまざまなパルスを印加し、PIEZOシステムを利用した激しいピペッティングで核を分離させる。
3.前記核を、PIEZOシステムを利用して脱核された卵母細胞の卵細胞質に注入する。
4.注入された卵母細胞を新鮮な培養培地に取りのけ、タンパク質注入の前に30分間培養する。
5.注入された卵母細胞を、中心体コアタンパク質の混合物(ヒトオーロラBキナーゼ+hSET+NuMA)を注入するために操作ディッシュに取りのける。全てのタンパク質は、CBI's labから購入可能である。
6.前記タンパク質を卵子当たり約4pL注入する。
7.前記注入された卵母細胞を、活性化の前に30分間培養培地に取りのけて培養する。
C)再構築された卵子の活性化
1.活性化培地(5μMイオノマイシン)で、37℃5分間NT卵子を処理し、卵割培地でそれらを十分に洗浄する。
2.活性化後培地(5nMトリコスタチンA(TSA)を含む卵割培地での2mM 6−DMAP)で、4時間前記卵子を再処理する。
3.前記活性化された卵子を6−DMAP除去培地で洗浄し、5nM TSAを含む培養培地(卵割培地)で6時間培養し、それらを正常培養培地に移す。
4.前記活性化された卵子を、最初の2日間SAGE卵割培地で、次の3日間SAGE胚盤胞培地で培養する。
実施例11
卵母細胞の脱核のための改善された技法
卵母細胞の脱核のためのいくつかの主要な技法には、前述の圧電ドリル穿孔(piercing)および吸引、または中空針点穿刺および放出が含まれる。また、他の周知の技法には、大孔径吸入保持ピペット(large bore suction holding pipette)および微細先端ピペットを介した卵母細胞の側面エッジ穿刺(lateral edge puncture)を使用し、かつ細胞膜の一部を剪断(shearing)する「チョップスティック(chopstick)」法が含まれる。剪断運動を介して、微細先端ピペットは、穿刺孔(puncture tear)と、抽出のための微細先端ピペットとの間に、極体の隔離(sequestration)を介して、遺伝物質の抽出を可能にする。これら技法の短所は、操作された卵母細胞に与えられる機械的応力であり、それは、減弱した細胞生存力および非効率的な細胞株生成をもたらしうる。
特別に設計された脱核ピペットを使用する改善された脱核技法が本明細書に記載される。この「ナイフピペット」は、滅菌ガラスチューブを引きのばした後に割り、加熱研磨によって融かして、鈍い丸いビーズ末端とすることによって調製することができる。このピペットの鈍い丸いビーズ末端をマイクロフォージに接触させて再び引きのばして尖らせた。該方法は、多様な特徴を含む「ナイフピペット」形成をもたらす:1)堅固で尖った微細な先端、2)引きのばしたビーズ末端から生じる、やや丸い輪郭、および3)約50μm径の、さらに大きい中空チューブ本体。ヒト成熟卵母細胞を静止させて保持するのに使用される加熱研磨された保持ピペット(外径:120〜150μm;内径:20〜30μm)と組み合わせて、脱核のための優れた顕微操作が達成される。
例えば、図1から分かるように、「ナイフピペット」の形状は、(A)堅固で尖った微細な先端を介して、(B)保持ピペットによって静止状態で保持された細胞の側面エッジに対して先端が前進する場合、透明帯の効果的な穿通を可能にする。(C)裂け目の「ピンチング」のための、丸い引きのばされたビーズ末端を介した卵母細胞操作、および(D)裂け目のエッジに近い極体の位置設定が、穿通に続く。ユーザがナイフピペットをさらに容易につまむためのバルク構造体を提供するさらに大きい中空チューブ本体で、(E)裂け目近くに位置した極体はその後、(F)抽出のために圧搾される。単一核除去ピペットにおけるこれら特徴の組み合わせは、単一装置による各段階の迅速な遂行を可能にし、卵母細胞の物理的操作を減らし、細胞膜の裂け目の大きさを小さくする。脱核は、その後Oosight(商標)イメージングシステム(ポロスコープ顕微法)によって確認できる。
実施例12
体細胞核移植II:体細胞融合方法
A)卵母細胞の脱核、前記の通りである。
B)囲卵腔(perivitellin space)での体細胞の移植
1.注入ピペット(12μm径)で、3〜4個のドナー細胞を1列にして取り上げる。その過程の間、用心して形質膜を妨害しないように遂行されなければならない。
2.保持ピペットで卵母細胞を保持する。
3.透明帯の表面に注入ピペットを位置させ、PIEZOパルスを印加して、透明帯を貫通する孔を作る。
4.卵子細胞膜を破らずに、前記卵母細胞に、ドナー細胞を含む注入ピペットを前進させ、卵子細胞膜に近接するように1つの核ドナー細胞を囲卵腔にゆっくりと挿入する。
5.前記ピペットを、最初は相対的に迅速に、その後ゆっくりと柔らかに後退させる。
6.卵母細胞の全体群に対する該過程を完了させ、それらをインキュベータに戻す。
C)卵母細胞−体細胞の融合
電気細胞融合を、0.5mm電気融合チャンバを利用したBTX 200 Electro Cell Manipulator(商標)(BTX Harvard Apparatus、Holliston、MA、米国)を有する電気融合バッファ(0.3MD−ソルビトール、0.1mM酢酸カルシウム、0.5mM酢酸マグネシウム、0.1mM HEPES、0.5mg/mlポリビニルピロリドン、50μM D−myo−2,4,S、イノシトールトリホスフェート)で行う。
1.電気細胞融合バッファで覆われた電気細胞融合チャンバの2本の電線間に、3〜4個の卵母細胞−体細胞対(couplet)を整列させる。
2.160Kev/CmのDCパルスを5μs間印加させる。または代わりに、20μsのようなさらに長い期間印加させる。
3.前記再構築された卵母細胞を胚培養培地で十分に洗浄し、それらをグローバル培地(Global medium)(0.3%ヒト血清アルブミン+グローバル培地)で、4ウェルディッシュ(10cells/well)で培養する。
4.初期パルス後30分で融合を確認する。融合されていない対のためにさらにもう一回繰り返す。
D)再構築された卵子の活性化
体細胞核移植Iと同一の方法を利用して、再構築された卵母細胞を活性化する。
実施例13
センダイウイルスに基づく卵母細胞−体細胞融合
卵母細胞−体細胞融合を達成するための改善された技法が本明細書に記載され、それは、ネガティブセンス一本鎖RNAセンダイウイルス(SeV)からの組み換えタンパク質外被の適用による。SeVウイルスは、真核生物の融合のためのその能力が知られていて、遺伝物質のない組み換えSeV表面外被タンパク質(SeV−E)が、感染能または増殖能の危険性なしに適用できる。
卵母細胞−体細胞融合のためのSeV適用は、製造者プロトコル(GenomONE−CFEX、Ishihara Sangyo Kaisha、Cat #ISK−CF001−EX)による懸濁バッファ(suspension buffer)に凍結乾燥されたSeV−Eを調製することで始まる。懸濁バッファ中のSeV−Eは次に、前もって希釈された20×細胞融合バッファに添加される。組み合わされた混合物バッファ中のSeV−Eはその後、ドナー核体細胞を含むピペット先端とレシピエント脱核卵母細胞との間に位置する微細液滴添加(microdroplet addition)を介して添加される。前記細胞は、剥皮された細胞、および/または核移植前に後成的修飾を受けた細胞に由来しうる。ドナー核体細胞およびレシピエント脱核卵母細胞の細胞膜表面の微細液滴を介した混合物バッファ中のSeV−Eによるコーティングにより、電気融合の使用なしに体細胞融合が生じる。レシピエント卵母細胞に対する物理的応力および電気生理的応力の低減が細胞生存性および効率的細胞株生成を増進させる。
実施例14
センダイウイルスに基づく体細胞融合を利用した改善された技法
A)卵母細胞の脱核
MII卵子紡錘複合体を、実施例11および他のところ(図1)に記載された「ナイフピペット」法を利用して除去する。全過程を通してOosight(商標)(Spindle view)を使用し、卵母細胞のUV光への露出を除去した。卵母細胞ごとに第1極体を除去することは重要であり、そうでなければ、それは融合過程の間に卵母細胞と融合される。
B)囲卵腔における体細胞の移植
1.注入ピペット(12μm径)で、3〜4個のドナー細胞を1列につまみ上げる。その過程の間、原形質膜を妨害しないように注意深く遂行されなければならない。
2.ドナー細胞をセンダイウイルス外被タンパク質の小滴中に排出(expel)し、それらをそれぞれの細胞間が短い距離(4〜5細胞長)になるように再びつまみ上げる。
3.保持ピペットで卵母細胞を保持する。
4.卵子細胞膜を破らずに、ドナー細胞を含む注入ピペットを前記卵母細胞に前進させ、卵子細胞膜に近接するように1つの核ドナー細胞を囲卵腔に挿入する。
5.前記ピペットを、卵子細胞膜に触れずに、ドナー細胞の接触なしに徐々に後退させる。
6.卵母細胞の全体群に対する該過程を完了し、それらをインキュベータに戻す。
7.ドナー細胞の挿入10分後、融合を点検する。融合過程は比較的に迅速に起こるため、融合が細胞融合後15分以内に起こらない場合は、前記過程を反復する。
D)再構築された卵子の活性化および培養
1.活性化培地(5μMイオノマイシン)で37℃5分間NT卵子を処理し、卵割培地でそれらを完全に洗浄する。
2.活性化後培地(卵割培地において2mM 6−DMAP)で、前記卵子を5% CO/5% N/90% Nの大気で37℃4時間再処理する。
実施例15
再構築された卵母細胞活性化のための改善された技法
現在、NTの様々な報告が、卵母細胞発生が母系RNAに基づく転写から宿主ゲノム活性化に転換され、効率的な細胞株生成を防止する制限的な段階である8細胞期での、再構築された核移植卵母細胞(胚)の活性化を示唆している。再構築された卵母細胞の2%のみがこの重要な限界点を超えるが、どの生物学的因子がゲノム活性化を増進させるかということは現在知られていない。
精子頭部、特に中間連結部、および精子尾部に存在する因子などの精子因子を、再構築された卵母細胞のゲノム活性化をNTの間に増進させるために適用しうるという、これまでに知られていない発見が本明細書に記載される。特定理論に拘束されず、中心小体、有糸分裂紡錘形成に要求される重要な複合体が、MII段階卵母細胞にない。再構築された卵母細胞において中心小体の不在が、NTの間のゲノム活性化に対する主な限界を説明しうる。しかし、それらタンパク質は、ヒト精子の精子頭部と中間連結部との連結部内に位置することが知られており、活性化過程の間の精子因子の追加は、有糸分裂に必要な生物学的機構を提供することによりゲノム活性化を改善することができる。
実施例16
卵母細胞活性化のための精子因子の調製
さらに具体的には、精子因子は、精子細胞の内部または外部に存在する細胞タンパク質を、射精された精子を洗剤および機械的ブレンディングで処理して分離し、その後、全精子抽出物を、DNAase IおよびRNAaseで処理して遺伝物質汚染物を除去して得られる。最終段階は、粗抽出物をバッファで洗浄し、遠心分離(2時間20,000g)で濃縮させることである。
1.新鮮な射精されたヒト精子を収集し、10分間900gで遠心分離して精漿(seminal plasma)を除去する。
2.ペレットを、5mg/mLウシ血清アルブミンを含むSperm−TALPに再懸濁し、同一セッティングで遠心分離する。
3.上澄み液を除去し、精子ペレットを核分離培地((NIM:125mM KCl、2.6mM NaCl、7.8mM NaHPO、1.4mM KHPO、3.0mM EDTAジナトリウム塩;pH7.45(Kuretake et al.,1996))で、20×10精子/mLの最終濃度まで再懸濁して遠心分離し、Sperm−TALPを除去する。
4.ペレットを、1mMジチオトレイトール、100mMロイペプチン、100mMアンチパインおよび100mg/mL大豆トリプシン阻害剤を含むNIMで同一の体積で再懸濁する。
5.次に、上澄み液に、4周期の凍結(液体Nで、周期当たり5分)および解凍(15℃で周期当たり5分)を行い、その後精子は、2℃50分間、20,000×でペレット化される。
6.結果として得られる上澄み液を注意深く除去してアリコートし、使用するまで−80℃で維持する。
ヒト精子因子をその後、記載の注入方法を利用して、再構築された卵子に注入する。約24時間後、卵母細胞は、卵割培地に転換される。さらに24時間後、卵母細胞をG2培養培地に移動させる。このアプローチを利用して、本発明者は、成功裏に再構築された卵母細胞活性化の40〜80%成功率まで達成することができ、成功を収めうるNTに関して以前には大変であった障害を事実上除去することができる。
実施例17
多能性幹細胞株確立のための改善された技法
培養された胚盤胞から多能性幹細胞を確立するための一般的な技法が、去る10年間有意に発展した一方、NTに対する成功裏の適用は、まだ達成されていない。任意の特定理論によって拘束されることなしに、少なくとも1つの有意な制限は、ドナー核の後成的状態であるようである。特に、成人核のメチル化状態、または他の後成的因子は、レシピエント卵母細胞の胚発達過程に移される場合、効果的な再プログラミングを阻みうる。それと係わって、NT前の、胚のメチル化状態に対するドナー細胞およびその核の修飾が、NT−hPSC細胞株の生成における障害を回避する機会を提示しうる。
2つのアプローチが提案される。第1のアプローチは、NT前に核ドナー細胞に送達された再プログラミング因子の利用を含む。再プログラミング因子の例は、オクタマ結合転写因子4(Oct−4)、性決定領域Y−box−2(Sox−2)、クルッペル類似因子4(KLF−4)、c−mycおよびnanogを含む。かような再プログラミング因子は、以前より成人体細胞からの誘導多能性幹細胞(iPSC)生成において利用されており、それにより、さらに原始的な発達状態に向かって核状態を変更するそれらの潜在力を立証している。核への再プログラミング因子の接近性が、標的細胞における再プログラミング効果の効率を強化しうるために、オーファン核内受容体エストロゲン関連受容体β(Esrrb)のような、他のさらに最近に記述された再プログラミング因子が同様に適用できる。同様に、MyoDのような、他の初期胚転写因子のトランス活性化ドメインが、同効果を得るために再プログラミング因子(例えば、Oct4−MyoD融合タンパク質)と共に融合されうる。
第2のアプローチは、NT前に、ドナー核のメチル化状態を変化させるメチル化変更剤によるのである。このアプローチを利用して、タンパク質アルギニンメチルトランスフェラーゼ(PRMT1)および共活性因子関連アルギニンメチルトランスフェラーゼ1(CARM 1/PRMT4)のようなメチルトランスフェラーゼ、ヒストンメチル化を変化させることに関与することが知られている共活性因子関連タンパク質は、NT前にドナー核ドナー細胞に送達することができる。これらメチル化変更タンパク質の適用は、NT−hPSC細胞株生成を可能とする後成的修飾を生じるメカニズムを提供する。
本明細書に記載されているように、本発明者らは、7×アルギニン(7R)細胞透過ペプチド(CPP)と結合された2個の組み換えタンパク質、EsrrbおよびCARM 1を適用して、活性化され再構築された卵母細胞から30%近い効率でNT−hPSCを再現性あるように生成することに成功した。ヒト短タンデム反復(STR:short tandem−repeat)プローブを利用する分子DNA指紋分析は、核ドナーと同一であるか、あるいはほぼ同一の特性を所有する結果NT−hPSC細胞株を確認した。多様な適用において、多能性を支持すると知られている培養状態を適用することが有利である。それは、例えば、3i培地(神経基底培地50%、DMEM/F−12 50%、N補充剤1/200v/v、B27補充剤1/100v/v、100mM L−グルタミン1/100v/v、0.1M β−ME1/1,000v/v、SU5402(FGFR阻害剤)2μM、PD184352(ERKカスケード阻害剤)0.8μM、CHIR99021(GSK3阻害剤)3μM)、または修飾3i培地(PD0325901(MAPK阻害剤)0.4μM含む)の適用を含む。
任意の特定理論に制限されることなしに、EsrrbおよびCARM 1の適用は、多能性の確立および維持に関与する核心的な転写因子との相互作用を利用するということが、示唆される。例えば、Esrrbは、未分化状態の維持に重要な役割を果たし、幹細胞および胚において、転写因子として、Oct−4遺伝子およびnanog遺伝子の発現を調節する。CARM 1は、H3アルギニン残基17(H3R17)およびR26をメチル化し、多様な転写因子の調節を介して多くの遺伝子の発現を制御することが知られていた。CPP−EsrrbおよびCPP−CARM 1の処理が、成人幹細胞のOct−4、Sox−2およびnanogの発現を上向き調節するということが報告された。それぞれの場合、細胞膜を通した穿通、および培養培地へ単純に添加した後の核の侵入が、多能性マーカー発現に寄与するようである。また、培養培地中のCPP−EsrrbおよびCPP−CARM 1は、Oct4の発現を増加させうる。それにより、かような相互作用は、ガラス化凍結された(vitrified/warmed)マウス胚、およびクローン化されたヒト胚に由来する胚盤胞の細胞数の助けになると見られる。
NT−hPSC細胞株生成におけるこの画期的な業績達成は、NT前におけるドナー核の修飾が、再プログラミング因子および/またはメチル化変更剤を利用して、成功裏のNT−hPSC細胞株生成に係わる核心的段階であるという概念の検証を立証する。
実施例18
多能性幹細胞株を確立するための改善された技法を利用した結果
A)卵母細胞の脱核
実施例11、14およびそれ以外の部分(図1)に記載された方法によって、「ナイフピペット」を利用して、MII段階卵子の紡錘複合体(spindle complex)を除去する。
B)囲卵腔での体細胞移動
実施例14およびそれ以外の部分に記載されているように、体細胞ドナー核を移動させる。
D)再構築された卵子の活性化および培養
1.活性化培地で、NT卵子を5分間37℃で処理し(5μMイオノマイシン)、卵割培地で十分に洗浄する。
2.5% CO/5% N/90% Nの大気において、4時間37℃で、活性化後培地(卵割培地において2mM 6−DMAP)で卵子を再処理する。
3.6−DMAPを含まない培地で活性化された卵子を洗浄し、活性化された卵子を、SAGE卵割培地で最初の2日間、CARM 1および/またはEsrrbが補充された(各2μg/ml)G2培地でその後3日間、培養する。
E)多能性幹細胞の誘導
1.培養された胚盤胞を酸性タイロード溶液(pH2.0)で数秒間処理して透明帯(ZP)を除去する。ZPの除去後、胚をHepes−HTF培地で激しく洗浄し、微量のタイロード溶液までも除去する。
2.ICMが確認される場合、レーザ補助胚盤胞切除システム(Hamilton-Thorne Inc.)を利用して、内部細胞塊(ICM)を分離する。胚盤胞の残余部分(栄養膜)を廃棄し、胚盤胞が無傷でないことを確実にする。
3.プレーティング1日前に準備されたMEF上にICMをプレーティングする。しかし、クローン化された胚盤胞が区別不可能なICMを有する場合は、胚全体をプレーティングする。hPSC誘導培地は、血清代替物(serum replacement)(5% SR、Invitrogen)、FBS(10%、Hyclone)、プラズマメート(5%)、bFGF(32ng/ml)およびヒトLIF(2,000units/mI、Sigma−Aldrich)が補充されたノックアウトDMEMからなる。
4.同一培地で3日間何も変えずにICMを培養する。
5.4日目に培地のおよそ1/3を入れ替える。
6.6日目から隔日で培地の1/2を入れ替える。
7.プレーティング後7日以内に初期成長体が確認される。
8.12日目以前に、コロニーを拡張して凍結保存する。
記述されているように、通常の技法を用いると、再構築された卵母細胞の最大2%のみが8細胞限界点を超えることにより、胚盤胞形成誘導の失敗を介してNT−hPSC生成を効果的に制限する。しかし、本明細書に記述された技法を利用して、本発明者らは、CARMおよびEsrrbのようなメチル化変更剤を利用して該障害を除去した。表1に示されているように、未処理再構築卵母細胞は、16個の試料において、初期胚盤胞形成に進んでいない。現存の報告と一致し、そのような卵母細胞の大多数が、4細胞および8細胞期を超えて発達することに失敗する。対照的に、CARM処理再構築卵母細胞は、47個の試料から9個が初期胚盤胞期に逹している。顕著にも、それらCARM処理再構築卵母細胞において、ほぼ2/3がさらに拡張胚盤胞を形成することができた。同様に、3個のEsrrb処理再構築卵母細胞が、6個の試料から初期胚盤胞を形成することができたが、これらの再構築卵母細胞はいずれも拡張胚盤胞を形成しなかった。いずれの場合も、CARMおよび/またはEsrrb処理は明らかに、対照群に比べて、8細胞期を超えて再構築された卵母細胞の発達を可能にし、NT−hPSC細胞の生成について以前には対処することができなかった障壁を除去する(表1)。
(表1)SCNT胚培養に対するCARMタンパク質およびEsrrbタンパク質の効果
Figure 0006290931
NT−hPSCを分離し培養することができる、胚盤胞を形成する細胞の能力を立証する、再構築された卵母細胞をさらに培養し、マウス胚フィーダ層(MEF)に記述されているようにプレーティングし、ここで初期成長体が観察された。追加の培養後、内部細胞塊(ICM)細胞が栄養外胚葉から分離され、最初の継代で生存することができた。
図2で、(A)体細胞核移植胚盤胞が示され、これはその後、(B)透明帯の除去後にプレーティングされた。(C)NT胚の初期成長体が観察され、そのような細胞は生存することができた。ICM細胞の分離は、(D)3継代後に形成された胚細胞様コロニーを提供した。少なくとも1つのCARM処理の例において、胚盤胞から分離された細胞が3継代を超えて生存することができ、NT−hPSC細胞株の成功裏の発生を立証した(表2)。
(表2)NT−hPSC細胞誘導に対するCARMタンパク質の効果
Figure 0006290931
実施例19
卵母細胞の単為生殖
単為生殖は、hPSC細胞の発生に利用されうる第2の特徴的なアプローチである。単為生殖体誘導hPSC(pn−hPSC)と本明細書に記述された単為生殖を介したhPSC細胞の生産はドナー卵母細胞と遺伝的に同一であり、卵子を生産する任意の女性のためにhPSC細胞を生産するための方法を提供する。また、単為生殖は、父系の寄与を含まないので、父系の寄与を利用して生じたhSPC細胞に比べ、pn−hPSCのHLA複雑性が実質的に低減される。pn−hPSCは、正確な遺伝的組織マッチングが欠如していても、集団の相当部分との広範囲な適合性のために操作できるので、pn−hPSC細胞の低減されたHLA複雑性は、組織適合性問題を大きく低減させる。例えば、高程度のHLA多形性が存在しているが、それは、米国白人集団内に存在する約200個の共通HLAハプロタイプに過ぎない。共通ハプロタイプに対して選択されたわずか10個のHLA同型接合hPSC細胞株パネルが、英国人レシピエントの40%近くに完全なHLA−A、HLA−BおよびHLA−DRのマッチングを提供し、65%近くに有益なマッチングを提供することができると見積もられている。かような広範囲集団との免疫適合性は、移植材料の再生可能な源泉として、hPSC細胞銀行の可能性を創出する。必須的に、広範囲な組織適合性を有する幹細胞銀行内のhPSC細胞株の自家再生能は、新たな卵母細胞の持続的な供給のための要求を低減させる。
実施例20
単為生殖的活性化に対する可変的アプローチ:pn−hPSC細胞株の特性
前述の過程を介して得られたMII段階卵子のいくつかを、単為生殖性胚細胞株を生成するために用いることができる。pn−HPSCの生成のために、無傷の卵母細胞を、体細胞核移植Iで記述された同一の手続きを利用して活性化して培養した。
卵母細胞活性化および活性化後の技法の違いが、結果として得られるpn−hPSC細胞株の免疫学的特徴を定義する遺伝的要素に直接的影響を有するということを、ヒト単為生殖の既存の報告が立証するということを考慮することが重要である。例えば、2つの特異的アプローチは、卵母細胞ドナーとHLAが完全にマッチングする異型接合性pn−hPSC、または集団の相当な部分と組織適合性である同型接合性pn−hPSCの生成である。単為生殖が、父系寄与の除去を介してpn−hPSC細胞株で遺伝的なバリエーションを低減させることができる一方、同型接合性hPSC生成は、対立形質バリエーションの一供給源を除去し、広範囲な個体と組織適合性の細胞を提供することによって、HLAハプロタイプの生成を介する遺伝的不均一性をさらに低減させる。
実施例21
単為生殖I:異型接合pn−hPSCの生成
前述のように、卵母細胞活性化のための一般的な方法は、通常は精子が入ることによって誘発されるカルシウム変更効果を模倣するものである。一例として、異型接合HLA pn−hPSC細胞株が、卵母細胞活性化のためのイオノマイシンの適用、およびそれに続くピューロマイシン類似体6−DMAP(6−aimtheylamino−purine)の添加によって生成され、それは、ヒストンH1キナーゼの活性化を阻害することによって、自発的な卵核胞(germinal vesicle)崩壊を可逆的に防止する。
イオノマイシンおよび6−DMAPの段階的な添加が、まずカルシウムの流れを開始させ、タンパク質リン酸化の阻害を誘導し、これら過程は、減数分裂の完了なしに前核形成を誘導する。その他のアプローチは、卵母細胞の電気的活性化、ならびにそれに続くイオノマイシンおよび6−DMAPの添加による。しかし、それらの技法に共通するのは、前核形成を促進する6−DMAPの添加が、第2極体の放出を阻み、二倍体細胞の生成を誘導することである。これは通常、初期胚発生の間、キアズマ形成(父系および母系のゲノム組み換え)による同型接合hPSC細胞株の生成を可能としない。従って、最初の減数分裂後、残っている卵母細胞核は、母系および父系のゲノムをいずれも所有した異型接合性である。
さらに具体的には、異型接合pn−hPSC細胞株の生成のための卵母細胞の単為生殖は、下記過程を介して得られる。
A)卵母細胞の回収および準備
1.卵丘−卵母細胞複合体(COC)をヒアルロニダーゼ(100IU/ml、Sigma、St.Louis、MO、米国)で2分間処理し、小孔径マイクロピペット(直径150μm)で剥皮する。卵核胞(GV)を有するか、あるいは第1極体がない、剥皮された卵母細胞は、使用しない。単一の第1極体を有する剥皮された卵母細胞を、中期II(MII)卵母細胞として分類する。
あるいは、COCをSynVitro Hyadaseで処理し、卵丘細胞を除去することができ、その後、パラフィンオーバレイ(Paraffin overlay)と共にIVF培地で30分間インキュベーションを行う。
B)卵母細胞の活性化
1.活性化培地で、MII卵母細胞を5分間37℃で処理し(5μMイオノマイシン)、卵割培地で完全に洗浄する。
2.活性化後培地(5nMトリコスタチンA(TSA)含有卵割培地における1〜2mM 6−DMAP)中で4時間、卵子を再処理する。
3.6−DMAPを含まない培地で、活性化された卵子を洗浄し、5nM TSAを含む卵割培地で6時間インキュベーションしてから、通常培養培地に移す。
4.活性化された卵子をSAGE卵割培地で最初の2日間培養した後、続く3日間SAGE胚盤胞培地で培養する。
あるいは、5分間の5μMイオノマイシン、および4時間の1〜2mM 6−DMAPへの連続露出、注意深い洗浄、およびパラフィンオーバレイを有する新鮮なIVF培地における培養の後、パラフィンオーバレイを有するIVF培地で活性化を行うことができ、それに続いて翌日に卵割培地で培養を行うことができる。
実施例22
単為生殖II:同型接合pn−hPSCの生成
対照的に、HLA同型接合hPSC細胞株の生成のための直接的なアプローチは、単前核卵母細胞(one-pronuclear oocyte)を含むHLA同型接合卵母細胞ドナーから、そのような細胞株を生成させるものである。しかし、該アプローチの重要な不利な点は、集団において同型接合ドナーが相対的に少ないことである。代替的に、HLA同型接合hPSC細胞株は、第2極体放出(2PBE)を可能とするために、6−DMAP添加を除く方法によって、異型接合ドナーから得ることができる。
活性剤、例えば、Ca2+イオノフォア、A23817またはイオノマイシンの初期添加、およびその後のサイトカラシンBなしでのピューロマイシンまたはシクロヘキサミドの添加による該アプローチは、第2極体の放出を可能にし、中期II染色体セットの半分のみを有する半数体(haploid)単為生殖体を提供する。これら半数体単為生殖体は、同型接合遺伝子型の形成のために、さらに二倍体胚盤胞に培養される。
さらに具体的には、同型接合pn−hPSC細胞株の生成のための卵母細胞の単為生殖が下記過程を介して得られる。
A)卵母細胞の回収および準備、前記の通り
B)卵母細胞の活性化
1.活性化培地でMII卵母細胞を5分間37℃で処理し(5μM A23187)、卵割培地で完全に洗浄する。
2.活性化後培地(10μg/mLピューロマイシン卵割培地、またはサイトカラシンBがないシクロヘキサミド)で4時間、卵子を再処理する。
3.活性化された卵子を洗浄し、卵割培地で24時間、または2細胞期胚に発達するまでインキュベーションする。その後、2個の割球を、マニトル(manitol)またはソビトル(sobitol)ベースの融合培地で、電気融合機器(BTX 2000、Harvard Electric)を利用して、20μs間160mVの電気を印加することによって電気融合させる。選択的に、単一パルスを印加してもよく、これは、割球を融合させるのに十分であることが示されている。融合された卵子を、さらに1日、SAGE卵割培地で培養し、それに続いて3日間SAGE胚盤胞培地で培養する。
実施例23
hPSC細胞株の生成
単為生殖体の生成(単為生殖を介する)後、後続培養により胚盤胞形成に続き、これから、周辺の栄養外胚葉(trophectodermal)組織の分離を介して、hPSCが内部細胞塊から得られる。
1.培養された胚盤胞をプロナーゼ(0.5%、Sigma−Aldrich)または酸性タイロード溶液(pH2.0)で数秒間処理し、透明帯(ZP)を除去する。ZP除去後、Hepes−HTF培地で、胚を強く洗浄し、プロナーゼ溶液またはタイロード溶液の痕跡を除去する。
2.レーザ補助胚盤胞切除システム(Hamilton−Thorne Inc.)を利用して、内部細胞塊(ICM)を分離する。胚盤胞の残留部分(栄養膜)を廃棄し、胚盤胞が無傷でないことを確実にする。
3.プレーティング1日前に調製されたMEF上にICMをプレーティングする。hPSC誘導培地は、血清代替物(10% SR、Invitrogen)、FBS(5%Hyclone)、プラズマメート(5%)、bFGF(32ng/ml)、およびヒトLIF(2,000units/mI、Sigma−Aldrich)が補充されたノックアウトDMEMで構成される。
4.同一培地で3日間何も変えずにICMを培養する。
5.4日目に培地のおよそ1/3を入れ替える。
6.6日目から隔日で、培地の1/2を入れ替える。
7.プレーティング後7日以内に初期成長体が見られる。
8.12日目の前に、コロニーを拡張して凍結保存する。
実施例24
pn−hPSC細胞株およびNT−hPSC細胞株の特性究明
結果として生じたpn−hPSC細胞株およびNT−hPSC細胞株の特性を究明するために、さまざまなゲノム、トランスクリプトーム、エピジェネティック、タンパク質、および/または機能的な研究を行うことができる。一例として、hPSC多能性マーカーが、転写物(例えば、マイクロアレイ、qRT−PCR)またはタンパク質レベル(例えば、ウェスタンブロット、免疫細胞化学、2−Dゲル)で測定される。これら多能性マーカーは、特に、アルカリホスファターゼ(AP)、ステージ特異的胚抗原−4(SSEA−4)、SSEA−3、腫瘍拒絶抗原1−81(Tra−1−81)、Tra−1−60、オクタマ結合転写因子4(Oct−4)、性決定領域Y−box−2(Sox−2)、nanog、ジンクフィンガータンパク質−42(Rex−1/Zfp−42)、lefty A、奇形癌腫由来成長因子(Tdgf)、テロメア反復結合因子(Terf−1)、および発達多能性関連遺伝子(Dppa−2)を含む。
さらに、ヒト短タンデム反復(STR)プローブによるDNA指紋分析が、pn−hPSC細胞株およびNT−hPSC細胞株のゲノム分析に利用できる。pn−hPSCの場合、結果として得られる細胞株は、卵母細胞ドナーと同一であるか、あるいはほぼ同一である。NT−hPSCの場合、結果として得られる細胞株は、核ドナーと同一であるか、あるいはほぼ同一の特性を所有する。NT−hPSCの成功裏の生成確認における他の核心的争点は、脱核失敗およびそれに後く単為生殖的活性化の可能性の除去である。他の例において、ゲノムDNAは、遺伝的等価性を決定するために、一塩基多形(SNP)マイクロアレイを利用して分析される。一例において、バイナリー(binary)SNPマーカーの異型接合性は、0.5の最大値を有し、分析は、0.375を超える(集団において0.25超過0.75未満の頻度)異型接合性を有するSNPマーカーで行われる。他の例において、0.1cMのようなマーカー間距離は、それらが個別的基準においてさらに少ない情報を提供するために、密接連関(tight linkage)のSNPマーカーの排除に利用される。
他の例において、後成的研究を行うことができる。例えば、CpG部位の調査(interrogation)を可能とする、亜硫酸水素塩処理に続いてアレイに適用されるゲノムDNAを利用して、メチル化を分析することもできる。
つきつめると、hPSCの核心的特性は、内胚葉、中胚葉および外胚葉の3層全ての胚葉層から体細胞に分化する多能性、および自己再生である。このように、多能性は、適切な動物モデル(例えば、SCIDマウス)への筋肉内(IM)注入を介したテラトーマ形成を介して、または低付着条件での培養に続く胚様体(EB)形成によって、評価することができる。さらに、自己再生能は、高い増殖、および長期間(例えば、1年、>50継代)にかけた継続的増殖、テロメラーゼ活性レベル、ならびに/または安定した核型によって観察することができる。
実施例25
MHC−HLAマッチング
主要組織適合複合体(MHC)−ヒト白血球抗原(HLA)マッチングは、器官寄贈の間、免疫寛容のために重要である。MHC−HLAマッチングの不在下では、免疫抑制薬が要求される。免疫拒絶の危険性の程度は、ドナーとレシピエントとの間の細胞表面抗原提示タンパク質の離隔度(disparity)の関数であるために、多様な記載された方法によって生成されたpn−hPSC細胞株およびNT−hPSC細胞株のMHC−HLAプロファイルを評価することが重要である。
MHCクラスIおよびII HLAハプロタイプは、親から共に遺伝されたHLA−A、HLA−B、HLA−DP、HLA−DM、HLA−DOA、HLA−DOB、HLA−DQおよびHLA−DR遺伝子座(locus)対立形質の特定セットである。高度のHLA多形が存在するが、米国白人集団内には約200個のみの共通HLAハプロタイプが存在する。
このMHC−HLAマッチングは、pn−hPSC細胞株の生成で単為生殖エラーが発生しなかったというさらなる証拠を提供する。NT−hPSC細胞株と関連して、意図されない単為生殖活性化を排除するために成功裏の核移植を立証することが重要である。各NT−hPSC細胞株が偶然に生成されたpn−hPSC細胞株ではないことを確立するために、全てのHLAイソタイプについて各ドナーのものに対してNT−hPSCを確認する。
実施例26
MHC−HLA I血清型およびII血清型
異なる例において、HLA遺伝形質分析は、血液または卵丘細胞のような、多様なドナー供給源からゲノムDNAを抽出し、かつ対立形質特異的シーケンシングプライマーのPCRを介した対立形質変異を分析することによって行われる。主要組織適合複合体I(MHCI)は、HLA−A血清型A1−A3、A9−A11、A23−A26、A28、A29、A30−34、A36、A43、A66、A68、A69、A74およびA80、HLA−B血清型B5、B7、B8、B12、B13、B14、B15、B16、B17、B18、B21、B22、B27、B35、B37−B72、B75−B78、B81、B82 B83、HLA−C血清型CW01〜CW08を含む。主要組織適合複合体II(MHCII)は、HLA−DP血清型DPA1およびDPB1、HLA−DM、HLA−DOA、HLA−DOB、HLA−DQ血清型DQ2−DQ9、HLA−DR血清型DR1−D18を含む。
実施例27
HLA同型接合性HLA型ES細胞株のバンキング
先に言及したように、高度のHLA多形が存在するが、米国白人集団には約200個のみのHLAハプロタイプが存在する。共通ハプロタイプについて選択された10個ほどの少ないHLA同型接合性hPSC細胞株のパネルが、英国人レシピエントの40%近くに対して完全なHLA−A、HLA−BおよびHLA−DRマッチを、および65%近くに対して有益なマッチを提供するということが推算された。この広範囲な集団に対する免疫適合性は、移植材料の再生可能な供給源としてのhPSC細胞バンキングの可能性を生成する。重大なこととして、幅広い組織適合性を有する幹細胞のバンク内のhPSC細胞株の自己再生能は、新しい卵母細胞の持続的な供給に対する要求を低減させるであろう。
HLA同型接合性hPSC細胞株の生成のための直接的なアプローチは、HLA同型接合性ドナーから得られた体細胞を利用するそのような細胞株を生成することである。しかし、このアプローチの主要な弱点は、集団における同型接合性ドナーの相対的な希少性である。この弱点を克服するための一戦略は、バンキングされた臍帯血細胞をスクリーニングすることである。ほとんどの場合、所与の臍帯血のHLA型は凍結保管前にテストされて記録されているため、単純な文書スクリーニングによって、それらのHLA同型接合性臍帯血細胞(特に、単核細胞、CD34+)試料は容易に発見され、核移植ドナー細胞として分類、入手、利用できる。30〜50個の間のいずれかのHLA同型接合性細胞株が、移植材料として生成されてバンキングされる。
全ての核移植手続きおよび胚幹細胞誘導手続きは、本出願で記載されたところと同一である。
前述の多様な方法および技術は、本発明を遂行するための複数のやり方を提供する。記載された全ての目的または利点が、本願に記載された任意の特定態様によって必ずしも達成されるものではないということが理解されなければならないということは言うまでもない。従って、例えば、当業者は、本願で教示または提案されうる他の目的または長所を必ずしも達成せずに、本願に教示された1つの長所または一群の長所を達成または最適化するように方法を遂行しうることを認識するであろう。さまざまな有利あるいは不利な代案が本願に言及されている。一部の好ましい態様は、一つ、もう一つ、またはいくつかの有利な特徴を具体的に含む一方、他の態様は、一つ、もう一つ、またはいくつかの有利ではない特徴を具体的に排除し、さらに他の態様は、一つ、もう一つ、またはいくつかの有利な特徴を含むことによって、現在の不利な特徴を具体的に緩和させるということが理解されなければならない。
また、当業者は、異なる態様からの多様な特徴の適用性を認識するであろう。同様に、前述の考察した多様な要素、特徴および段階は、それぞれのかような要素、特徴または段階に係わる他の公知の等価物と同様に、当業者によって組み合わされて、本明細書に記載された原理によって方法を遂行する。多様な要素、特徴および段階のうち一部は、具体的に多様な態様に含まれ、他のものは、多様な態様から排除される。
本発明は特定の態様および実施例の脈絡で開示されたが、本発明の態様は、具体的に開示された態様を越え、他の代替的な態様、ならびに/または用途およびその修飾および等価物に拡張されるということが当業者によって理解されるであろう。
多くの変形および代替的要素が本発明の態様に開示されている。また、さらなる変形および代替的要素は当業者に明白であろう。かような変形には、制限なしに、単為生殖方法、体細胞核移植方法、単為生殖または体細胞核の移植技法で使用された細胞を調製、分離または修飾する方法、前述の技法からの多能性細胞株の誘導方法、本発明の教示に係わる疾患および/または状態の治療方法、そこで利用された技法、ならびに組成物および溶液の用途、ならびに本発明の教示を介して生成された産物の特定用途がある。本発明の多様な態様は、具体的に任意のこれらの変形または要素を含んだり排除したりする。
一部態様において、本発明の特定態様を記載し、特許請求するために使用された成分の量、濃度、反応条件のような特性を表現する数字は、場合によって、用語「約(about)」によって修飾されるものであると理解されなければならない。従って、一部態様において、書面明細書および添付された特許請求の範囲に示された数値パラメータは、特定態様によって得ようとする所望する特性によって変わりうる近似値である。一部態様において、数値媒介変数は、報告された有効数字の数の観点から、かつ通常の四捨五入技法を適用することによって解釈されなければならない。本発明のいくつかの態様の広範囲な範囲を示す数値範囲および媒介変数が近似値であるにもかかわらず、特定例に記載された数値は、正確に実行可能なものであると報告されている。本発明の一部態様に示された数値は、それらのそれぞれの試験測定値において見られる標準偏差の結果必然的に一定のエラーを含みうる。
一部態様において、用語「1つの(a)」、「1つの(an)」、「その(the)」、および本発明の特定態様を記載する脈絡で使用された類似の言及(特に、特許請求の範囲の一定の項の脈絡において)は、単数および複数のいずれもカバーするように解釈される。本願において、値の範囲の引用は、ただその範囲内に属するそれぞれの別個の値を個別的に指す略式表現法となるように意図される。本願に取り立てて指示されない限り、それぞれの個別的な値は、まさにそれが個別的に本願に引用されたように明細書に組み入れられる。本願に記載された全ての方法は、本願に取り立てて指示されたり、文脈上明確に矛盾しない限り、任意の適切な順序で遂行される。本願の特定態様と係わって提供された任意および全ての例、または例示的な言語(例えば、「のような(such as)」)の使用は、ただ本発明をさらに良好に照らし出すように意図され、取り立てて要求されない限り、本発明の範囲に対するいかなる制限も付与するものではない。本明細書のいかなる文言も、本発明の実施に必須な任意の特許請求されていない要素として解釈されてはならない。
本願に開示された発明の代替要素、または態様のグループ化は、制限として解釈されてはならない。それぞれのグループ構成員は、個別的に、または本願で発見されたグループの他の構成員、または他の要素と組み合わせて言及されて特許請求される。1グループの1または複数の構成員が、便宜上および/または特許可能性の理由で含まれたり、あるいはそこから削除されたりする。任意のかような包含または削除が発生するとき、本願の明細書は、修正されたグループを含み、それによって添付された特許請求の範囲に使用された全てのMarkushグループの書面説明を充足すると見なされる。
本発明を実施するために本発明者が知っている最善のモードを含む本発明の望ましい態様が、本願に記載されている。かような望ましい態様に係わる変形は、次の説明を読むことにより、当業者に明白であろう。当業者は、かような変形を適切に使用することができ、本発明は、本願に具体的に記載されたところと異なって実行されることが予想される。従って、本発明の多くの態様は、適用可能な法律によって許容されるように、添付の特許請求の範囲に記載された主題の全ての修飾および同等物を含む。さらに、全ての可能な変形において、前記要素の任意の組み合わせは、本願に取り立てて指示されたり、あるいは文脈によって確かに矛盾したりするものではない限り、本発明に包含される。
また、本明細書全体にわたって、特許および印刷出版物に対して数多くの引用がなされている。引用された参照文献および印刷された出版物はそれぞれが、それらの全体が参照により個別に本明細書に組み入れられる。
最後に、本明細書に開示された本発明の態様は、本発明の原理を例示するものであると理解されなければならない。使用される他の修飾は、本発明の範囲内にある。従って、制限するものではないが、例えば、本発明の代替的な構成が、本明細書の教示に従って利用される。従って、本発明の態様は、正確に図示されて説明されたところに制限されるものではない。

Claims (37)

  1. 単為生殖体由来ヒト多能性幹細胞株(pn−hPSC)を生成する方法であって、
    活性化培地でインキュベーションして卵母細胞を活性化させる段階と、
    該活性化された卵母細胞を活性化後培地でインキュベーションして単為生殖体を生成する段階であって、該活性化後培地がトリコスタチンA(TSA)を含む、段階と、
    該単為生殖体をメチル化変更剤の存在下でインキュベーションして胚盤胞を形成させる段階と、
    該胚盤胞から内部細胞塊(ICM)細胞を分離する段階と、を含み、
    該ICM細胞が、pn−hPSC細胞株としてさらに培養可能である、方法。
  2. 活性化培地がカルシウムイオノフォアを含む、請求項1に記載の方法。
  3. カルシウムイオノフォアが、イオノマイシン、A23187、ボーベリシン、X−537Aおよび/またはアベナシオリドを含む、請求項2に記載の方法。
  4. 活性化後培地がさらに、6−DMAP、ピューロマイシン、エタノール、シクロヘキシミド(CHX)、および/またはサイトカラシンB(CB)を含む、請求項1に記載の方法。
  5. 活性化後培地が、第2極体放出を阻まない化合物を含む、請求項1に記載の方法。
  6. 卵母細胞が中期II(MII)段階卵母細胞を含む、請求項1に記載の方法。
  7. 卵母細胞が中期I(MI)段階卵母細胞を含む、請求項1に記載の方法。
  8. 卵母細胞が単一前核卵母細胞を含む、請求項1に記載の方法。
  9. pn−hPSC細胞株が異型接合性である、請求項1に記載の方法。
  10. pn−hPSC細胞株が同型接合性である、請求項1に記載の方法。
  11. pn−hPSC細胞株が、細胞集団の少なくとも1%と免疫適合性であるヒト白血球抗原(HLA)ハプロタイプを有する多能性細胞を含む、請求項1に記載の方法。
  12. HLAハプロタイプが、HLA−A、HLA−BおよびHLA−DRを含む、請求項11に記載の方法。
  13. 卵母細胞に精子因子を注入する段階を含む、請求項1に記載の方法。
  14. メチル化変更剤が、CARM 1および/またはEsrrbである、請求項に記載の方法。
  15. 卵母細胞が、電気的に活性化される、請求項1に記載の方法。
  16. 多能性細胞が、ステージ特異的胚抗原−4(SSEA−4)、SSEA−3、腫瘍拒絶抗原1−81(Tra−1−81)、Tra−1−60、オクタマ結合転写因子4(Oct−4)、性決定領域Y−box−2(Sox−2)、nanog、ジンクフィンガータンパク質−42(Rex−1/Zfp−42)、lefty A、奇形癌腫由来成長因子(Tdgf)およびテロメア反復結合因子(Terf−1)からなる群から1または複数のマーカーを発現する、請求項11に記載の方法。
  17. 多能性細胞が、内胚葉層、中胚葉層および外胚葉層由来の細胞に分化することができる、請求項11に記載の方法。
  18. 核移植ヒト多能性幹細胞株(NT−hPSC)を生成する方法であって、
    卵母細胞の核を除去する段階と、
    少なくとも1つのドナー細胞の少なくとも1つの核を添加し、核移植された(NT)卵母細胞を生成する段階と、
    活性化後培地でインキュベーションしてNT卵母細胞を活性化させる段階であって、該活性化後培地がトリコスタチンA(TSA)を含む、段階と、
    該活性化されたNT卵母細胞から胚盤胞をメチル化変更剤の存在下で生成する段階と、
    該胚盤胞から内部細胞塊(ICM)細胞を分離する段階と、を含み、
    該ICM細胞が、NT−hPSC細胞株としてさらに培養可能である、方法。
  19. 前記少なくとも1つのドナー細胞の少なくとも1つの核を添加することが、直接注入を含む、請求項18に記載の方法。
  20. 前記少なくとも1つのドナー細胞の少なくとも1つの核を添加することが、体細胞融合を含む、請求項18に記載の方法。
  21. 体細胞融合が、前記少なくとも1つのドナー細胞と、センダイウイルス、そのタンパク質または抽出物との接触を含む、請求項20に記載の方法。
  22. 前記少なくとも1つのドナー細胞が体細胞または生殖細胞を含む、請求項18に記載の方法。
  23. 紫外線の不在下で遂行される、請求項18に記載の方法。
  24. 卵母細胞に精子因子を注入する段階を含む、請求項18に記載の方法。
  25. メチル化変更剤が、CARM 1および/またはEsrrbである、請求項18に記載の方法。
  26. 卵母細胞の核を除去する段階が、タンパク質ホスファターゼ阻害剤を含む脱核培地において遂行される、請求項18に記載の方法。
  27. タンパク質ホスファターゼ阻害剤が、カフェインである、請求項26に記載の方法。
  28. 活性化後培地がさらに、6−DMAP、ピューロマイシン、エタノール、シクロヘキシミド(CHX)、およびサイトカラシンB(CB)からなる群から選択される少なくとも一つを含む、請求項18に記載の方法。
  29. NT卵母細胞を活性化する段階が、電気的パルスをさらに印加する段階である、請求項18に記載の方法。
  30. 少なくとも1つのドナー細胞の少なくとも1つの核を卵母細胞に添加し、核移植された(NT)卵母細胞を生成する段階と、
    該卵母細胞の宿主核を除去する段階と、
    活性化後培地でインキュベーションしてNT卵母細胞を活性化させる段階であって、該活性化後培地がトリコスタチンA(TSA)を含む、段階と、
    該活性化されたNT卵母細胞から胚盤胞をメチル化変更剤の存在下で生成する段階と、
    該胚盤胞から内部細胞塊(ICM)細胞を分離する段階と、を含み、
    該ICM細胞が、NT−hPSC細胞株としてさらに培養可能である、核移植方法。
  31. 卵母細胞に精子因子を注入する段階を含む、請求項30に記載の方法。
  32. メチル化変更剤が、CARM 1および/またはEsrrbである、請求項30に記載の方法。
  33. 少なくとも1つのドナー細胞の少なくとも1つの核を卵母細胞に添加することが体細胞融合を含み、該体細胞融合が、前記少なくとも1つのドナー細胞と、センダイウイルス、そのタンパク質または抽出物との接触を含む、請求項30に記載の方法。
  34. 卵母細胞の核を除去する段階が、タンパク質ホスファターゼ阻害剤を含む脱核培地において遂行される、請求項30に記載の方法。
  35. タンパク質ホスファターゼ阻害剤が、カフェインである、請求項34に記載の方法。
  36. 活性化後培地がさらに、6−DMAP、ピューロマイシン、エタノール、シクロヘキシミド(CHX)、およびサイトカラシンB(CB)からなる群から選択される少なくとも一つを含む、請求項30に記載の方法。
  37. NT卵母細胞を活性化する段階が、電気的パルスをさらに印加する段階である、請求項30に記載の方法。
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