JP6289672B2 - 合成開口レーダ信号処理装置及び合成開口レーダ信号処理プログラム - Google Patents
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Description
SARセンサの受信信号から二次元のSAR画像を得る処理は画像再生処理と呼ばれ、その画像再生処理の処理方法は画像再生アルゴリズムと呼ばれる。
画像再生アルゴリズムとしては、例えば、以下の特許文献1に開示されているバックプロジェクションアルゴリズムがある。
このため、バックプロジェクションアルゴリズムは、画像を構成する各画素をまとめて処理することで、演算量を削減している画像再生アルゴリズム(例えば、レンジドップラーアルゴリズム、ポーラーフォーマットアルゴリズムなど)と比べると、演算負荷が大きく、演算に多くの時間を要する。
また、この方法では、信号の受信後に流れ作業的に処理を行うことを前提としているため、過去に観測した受信信号については、バックプロジェクションアルゴリズムを用いる画像再生処理に適用することが困難である。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1による合成開口レーダ信号処理装置を示す構成図である。
図1において、SARセンサ1は例えばアンテナ、送信機及び受信機などから構成されており、航空機や人工衛星などの移動プラットフォームに搭載されている。
合成開口レーダであるSARセンサ1は、アンテナから送信機により生成された高周波パルス信号を空間に放射する一方、アンテナが観測目標によって反射された前記高周波パルス信号のエコー信号を受信すると、受信機がアンテナの受信信号を増幅して、その受信信号の周波数を中間周波数に変換した後、デジタルの受信データ(観測データ)に変換して出力する装置である。
パルス圧縮手段2は例えばCPUを実装している半導体集積回路、あるいは、ワンチップマイコンなどから構成されており、SARセンサ1から出力された受信データのレンジ方向やアジマス方向の分解能を高めるために当該受信データをパルス圧縮し、パルス圧縮後の受信データSを出力する。
受信データ格納部3はパルス圧縮手段2から出力されたパルス圧縮後の受信データSを格納するRAMやハードディスクなどの記録媒体である。
計測データ格納部5は運動センサ4の計測データを格納するRAMやハードディスクなどの記録媒体である。
中間データ格納部9は画像再生処理部10による前回のバックプロジェクション処理の処理結果を中間データとして格納するRAMやハードディスクなどの記録媒体である。
一方、判定処理部6により誤差が許容範囲内であると判定された場合、受信データ格納部3に格納されている観測時刻tでのパルス圧縮後の受信データSから、低精度係数算出部8により算出された距離R’に対応する画素のデータS(R’,yt)を読み出し、その画素のデータS(R’,yt)を低精度係数算出部8により算出された位相係数A’に乗算して、その乗算結果を中間データ格納部9に格納されている中間データに加算する積和演算処理(バックプロジェクション処理)を実施することでSAR画像を再生する処理を実施する。なお、画像再生処理部10は画像再生手段を構成している。
制御部12は例えばCPUを実装している半導体集積回路、あるいは、ワンチップマイコンなどから構成されており、判定処理部6、高精度係数算出部7、低精度係数算出部8及び画像再生処理部10の動作を制御する。
図7は合成開口レーダ信号処理装置がコンピュータで構成される場合のハードウェア構成図である。
合成開口レーダ信号処理装置がコンピュータで構成される場合、受信データ格納部3、計測データ格納部5、中間データ格納部9及びSAR画像格納部11をコンピュータのメモリ上に構成するとともに、判定処理部6、高精度係数算出部7、低精度係数算出部8、画像再生処理部10及び制御部12の処理内容(判定処理手順、第1の算出処理手順、第2の算出処理手順及び画像再生処理手順)を記述している合成開口レーダ信号処理プログラムをコンピュータのメモリ51に格納し、当該コンピュータのCPUなどのプロセッサ52がメモリ51に格納されている合成開口レーダ信号プログラムを実行するようにすればよい。
図2はこの発明の実施の形態1による合成開口レーダ信号処理装置の処理内容を示すフローチャートである。
まず、SARセンサ1は、アンテナから送信機により生成された高周波パルス信号を空間に放射する。
アンテナから空間に放射された高周波パルス信号が観測目標に反射されて、その高周波パルス信号のエコー信号が戻ってくると、SARセンサ1のアンテナが当該エコー信号を受信する。
SARセンサ1の受信機は、アンテナの受信信号を増幅して、その受信信号の周波数を中間周波数に変換した後、中間周波数の受信信号をA/D変換することで、デジタルの受信データをパルス圧縮手段2に出力する(図2のステップST1)。
パルス圧縮手段2による受信データのパルス圧縮処理は、公知の技術であるため詳細な説明を省略する。
運動センサ4は、移動プラットフォームの運動(例えば、移動プラットフォームの緯度・経度・高さの位置、速度、加速度、ロール・ピッチ・ヨウで表される移動プラットフォームの姿勢など)を計測し、その計測データを計測データ格納部5に格納する(ステップST3)。
運動センサ4による移動プラットフォームの運動の計測処理は、公知の技術であるため詳細な説明を省略する。
制御部12は、事前に設定されているSARセンサ1の観測時刻tと、その観測時刻tでの移動プラットフォームの想定位置(xt,yt,zt)とを判定処理部6、高精度係数算出部7、低精度係数算出部8及び画像再生処理部10に通知する。
図3の例では、移動プラットフォームが等速直線運動を行い、移動プラットフォームに搭載されているSARセンサ1が、移動プラットフォームの進行方向に対して垂直な方向に高周波パルス信号を放射している。
図3では、説明の便宜上、移動プラットフォームの進行方向(アジマス方向)をy軸、レーダの放射方向(レンジ方向)をx軸、移動プラットフォームの高度方向をz軸として、z軸を鉛直上向きとしている。また、観測目標がz=0の平面に広がっているものとしている。また、移動プラットフォームは、x=0、z=z0で表される直線上を飛行するものとする。したがって、想定位置として変化する変数はytのみである。
後述する画像再生処理部10が実施するバックプロジェクションアルゴリズムは、下記の式(2)に示すような積和演算を実施することで、SAR画像を再生する画像再生処理に相当する。
式(2)において、λは高周波パルス信号の波長、jは虚数単位、S()はパルス圧縮手段2によるパルス圧縮後の複素数の受信データであり、移動プラットフォームから距離Rの位置に存在する観測目標内の画素に反射されたエコー信号の受信データである。
また、Img(a,b)は画像再生処理部10により算出されたSAR画像内の位置(a,b)における画素の画素値である。
一方、式(2)は単純な積和演算であるため、演算の順番は問題にならない。このため、a,bを固定してytを変化させることで或る画素を積分する代わりに、距離Rを固定して演算を行うことも可能である。後述する図4は、距離Rを固定して演算を行う場合を示している。
図4では、z軸方向から2次元的に移動プラットフォームと観測目標を見ており、z軸方向の記載を省略している。このため、図4では、想定位置及び画素位置のz座標を省略している。
図4では、移動プラットフォームが最初にパルスを送信している位置が(0,y0)であり、その後、(0,y1)、(0,y2)、(0,y3)の位置でパルスを送信している。
このとき、単純化のため、パルス送信間隔を一定とし、パルス送信間隔の間にプラットフォームが移動する距離をL、観測画像のアジマス方向の画素の間隔もLと設定しているものとする。したがって、y0=y1−L=y2−2×L=y3−3×Lであり、b0=b1−L=b2−2×L=b3−3×Lである。
ここで、式(2)の積和演算を行う際の最初の移動プラットフォームの位置を(0,y0)、演算対象の画素を(a0,b0)とし、その2点間の距離をR0とする。次に、式(2)の積和演算を行う際の移動プラットフォームの位置を(0,y1)にしたとき、演算対象の画素も(a0,b1)に変化させる。
上記から、y1=y0+L、b1=b0+Lなので、移動プラットフォームと演算対象の画素の2点間の距離もR0である。同様に、式(2)の積和演算の対象となる、移動プラットフォームの位置を(0,y2)、(0,y3)に変化させたとき、演算対象の画素も(a0,b2)、(a0,b3)と変化させれば、2点間の距離は常にR0で一定である。
このように、プラットフォームの観測位置の変化に対して、演算対象の画素を平行移動するように変化させることで、2点間の距離を一定にすることができる。
移動プラットフォームの想定位置(xt,yt)と観測目標内の画素位置(a,b)との距離Rが一定である場合、式(2)のexp()が一定になるため、係数演算を単純化することができる。距離Rを一定にしてスライドさせて、画素位置(a,b)が観測目標の画像の上端まで達したら、観測目標の画像の下端に戻り、距離Rを変えて同様の処理を繰り返すようにする。
この実施の形態1では、移動プラットフォームが等速直線運動を行うものとしているので、移動プラットフォームはy軸上を移動し、●の位置で高周波パルス信号を放射するものを想定しているが、実際には風向きなどの外的要因によって、移動プラットフォームは、図4の波線で示すように、y軸上から左右にずれた位置を移動する。
風向きなどの外的要因によって、移動プラットフォームの位置が左右にずれることがあるので、実際の位置に相当する計測データに含まれている移動プラットフォームの位置(xt’,yt’)は、移動プラットフォームの想定位置(xt,yt,zt)とずれていることがある。
図4の例では、移動プラットフォームがy軸上を等速直線運動するものとしているので、レンジ方向の誤差(=xt−xt’)を算出する。
判定処理部6は、位置の誤差を算出すると、その誤差が許容範囲内であるか否かを判定する(ステップST5)。
即ち、判定処理部6は、位置の誤差が所定の閾値(事前に指定された数値フォーマットで設定された閾値)より大きければ、その誤差が許容範囲を逸脱していると判定し、その誤差が閾値以下であれば、その誤差が許容範囲内であると判定する。この閾値の設定については後述する。
図5の例では、観測時刻t=1,2のときは、位置の誤差(x1),(x2)が小さいため許容範囲内であると判定されるが、観測時刻t=3のときは、位置の誤差(x3)が大きいため許容範囲を逸脱していると判定される。
観測時刻t=0は、処理を開始する起点の時刻であり、図5の例では、位置の誤差(x0)がないものとしている(x0=0)。
また、高精度係数算出部7が算出する位相係数Aは、式(2)のexp(4πjR/λ)であり、exp(4πjR/λ)の演算は、複素数の指数計算であるため、実際にはsinとcosの演算になる。
これらの演算をデジタル信号処理で行う場合、例えば、反復法などを用いて、一定の値、もしくは一定の範囲内の値に収束するまで演算を行うのが一般的である。当然ながら、演算精度に相当する数値の桁は有限であり、演算誤差もあるため、理論上の数値との乖離が生じるが、そのデジタル信号処理では、数値の桁で表現可能な範囲で近い値に収束するまで演算を行う。
高精度係数算出部7が用いる演算方法の具体例としては、IEEE754の浮動小数点数32bitフォーマットで数値を算出する演算方法であって、式(1)の平方根をニュートン法で求める演算方法、tanを連分数展開で求めて式(2)のsinとcosに変換する演算方法が考えられる。ただし、上記の演算方法は、あくまでも一例であり、反復法を用いるような同種の他の演算方法であってもよい。
低精度係数算出部8が用いる演算方法も、高精度係数算出部7と同様に、IEEE754の浮動小数点数32bitフォーマットで数値を算出する演算方法である。
低精度係数算出部8は、観測時刻tでの移動プラットフォームの想定位置を(xt,yt,zt)、観測時刻tでの移動プラットフォームの実際の位置を(xt+Δx,yt+Δy,zt+Δz)、高周波パルス信号が照射される観測目標内の画素位置を(a,b,0)として、下記の式(3)のように、観測時刻tにおける移動プラットフォームと観測目標内の画素との距離R’を算出する。また、下記の式(4)のように、位相係数A’(=exp(4πjR’/λ))を算出する。
同様に、式(5)は、三角関数をαの3次の項までで近似したものである。
式(3)によって算出された距離R’が、式(1)によって算出される理論上の距離Rに対して、どの程度乖離しているかは、Δx,Δy,Δzの大きさによるが、閾値の設定次第では、十分な精度で、かつ、高精度係数算出部7での演算と比べて少ない演算量で、高速に距離を求めることができる。
そして、画像再生処理部10は、式(2)に示すように、距離Rに対応する画素のデータS(R,yt)を高精度係数算出部7により算出された位相係数A(=exp(4πjR/λ))に乗算して、その乗算結果をImg(a,b)に加算する積和演算処理(バックプロジェクション処理)を実施することでSAR画像の各画素のデータImg(a,b)を算出する(ステップST9)。
そして、画像再生処理部10は、式(2)に示すように、距離R’に対応する画素のデータS(R’,yt)を低精度係数算出部8により算出された位相係数A’(=exp(4πjR’/λ))に乗算して、その乗算結果をImg(a,b)に加算する積和演算処理(バックプロジェクション処理)を実施することでSAR画像の各画素のデータImg(a,b)を算出する(ステップST9)。
即ち、受信データ格納部3に格納されているパルス圧縮後の受信データSは、デジタル信号に変換する際のサンプリング周波数で離散化されているため、複数点の受信データSを補間し、補間後の受信データSについて、上記の積和演算処理(バックプロジェクション処理)を実施する方がよい。
複数点の受信データSの補間処理としては、例えば、同一アジマス行の2点を距離で重み付けするような処理が考えられる。この場合、画像再生処理部10ではステップST8において、補間に用いる2点の受信データを読み出すことになる。その後、画像再生処理部10は、ステップST9において、2点の受信データを補間した値を算出して、式(2)に示す積和演算を行うことになる。
一方、観測目標内の全ての画素に対して、ステップST4〜ST9の処理が終了していれば(ステップST10:Yesの場合)、中間データ格納部9から中間データであるImg(a,b)を読み出し、そのImg(a,b)をSAR画像の各画素のデータImg(a,b)としてSAR画像格納部11に格納する(ステップST11)。
この閾値は、判定処理部6が設定するようにしてもよいし、制御部12が設定して、その設定した閾値を判定処理部6に与えるようにしてもよい。
これに対して、下記の式(6)は、式(1)を多変数のテーラー展開等を用いて、Δx,Δy,Δzの2次の項までで近似したものである。
ここで、数値がIEEE754の浮動小数点数32bitフォーマットで表現されているものとすると、式(6)の第1項はRであるため、下記の式(7)の条件が成り立つ場合、Δxの2次の項はRに対して1/224以下となるため、仮数部23bitの範囲内では表現できず、演算誤差となる。
他の2次の項でも条件は同様であり、式(7)から導いた下記の式(8)が成り立つ場合、式(6)の2次の項は、演算誤差の範囲で無視してよく、式(3)での近似可能となる。
したがって、Δx,Δy,Δzに対しては、式(8)が示すような閾値(R/4096)を設定すればよい。
αの4乗の項が演算誤差の範囲で無視できるように、下記の式(9)のような条件を設定すればよい。このため、閾値の設定は、下記の式(10)のようになる。
ステップST5の判定の条件としては、式(8)と式(10)の両方が成立するようにすればよい。
また、起点で算出される距離Rを閾値条件としている式(8)と、高周波パルス信号の波長λを閾値条件としている式(10)の双方が成立する条件を閾値としているが、条件を個別に設定するようにしてもよい。このような場合、式(8)が成立して式(10)が成立しないような場合は、低精度係数算出部8が距離R’を算出して、高精度係数算出部7が位相係数Aを算出するようにしてもよい。
例えば、式(10)は、αの4乗の項が無視できるような場合の閾値条件であるが、式(10)が成り立たない場合、αの6乗の項が無視できるような閾値を設定し、低精度係数算出部8がαの4乗の項までで近似するようにしてもよい。
具体的には、移動プラットフォームの形状や事前に観測した風向き等の情報により、Δx,Δy,Δzについてのいずれかの閾値や、処理を無視するようにしてもよい。
例えば、風向き等により、Δxの変動は大きいが、Δyの変動は閾値に対して、十分小さいことが事前に分かっているような場合である。このような場合、Δyの閾値条件は無視し、式(3)の演算でも、Δy=0として処理してもよい。
この結果、合成開口レーダ信号処理装置の小型化、軽量化やコストダウンなどが可能になる。
上記実施の形態1では、移動プラットフォームが等速直線運動するものとして、処理の起点を1つだけ設定しているものを示したが、移動プラットフォームが等速直線運動以外の運動をして、移動プラットフォームが曲線を描くような場合、その曲線を複数の直線で近似し、複数の直線の始点を、処理の起点の位置にそれぞれ設定するようにしてもよい。
合成開口レーダ信号処理装置の基本的な処理内容は、上記実施の形態1と同様であるが、この実施の形態2では、曲線を近似した複数の直線の始点を、処理を開始する起点の位置にそれぞれ設定しているので、上記実施の形態1よりも、高精度係数算出部7が、距離R及び位相係数Aを算出するケースが増加する。
図6の例では、移動プラットフォームのアジマス方向の位置がy0からy2までは、位置(0,y0)を起点とするようにして閾値を設定している。
また、移動プラットフォームの位置が(x3,y3)に移動した際に、位置(x3,y3)を新たな起点とするようにして閾値を設定し、高精度係数算出部7が位置(x3,y3)から目標までの距離R2を算出するようにする。
このように、移動プラットフォームの運動が曲線を描く場合でも、n点置きに起点を再設定するようにすれば、等速直線運動するような場合と同様の手法で処理することができる。したがって、上記実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
起点を設定し直す間隔は、例えば、想定される移動プラットフォームの軌道が閾値領域を超えた場合に、再設定されるような間隔を設定すればよい。
上記実施の形態1では、判定処理部6が、位置の誤差が予め設定した閾値より大きければ、その誤差が許容範囲を逸脱していると判定し、その誤差が閾値以下であれば、その誤差が許容範囲内であると判定するものを示したが、距離のずれであるΔRがパルス信号の波長λと同程度である場合や、ΔRがパルス信号の波長λより大きい場合、式(10)の閾値条件が成立しない可能性がある。式(5)のαは、sin、cosの位相であり、α=2πのときに位相が1周して、sinとcosの値がα=0のときと同じになるため、ΔRが波長λと同程度である場合や、ΔRが波長λより大きい場合、式(10)の閾値条件が成立しない可能性がある。
そこで、この実施の形態3では、ΔRが波長λと同程度である場合や、ΔRが波長λより大きい場合でも、誤差が許容範囲内であるか否かを判定できるようにするため、パルス信号の波長λと予め設定された位相係数の位相回転量から許容範囲を示す閾値を設定するものとする。
具体的には、以下の通りである。
式(5)のαは、sin、cosの位相であり、α=2πのときに、位相が1周するため、sinとcosの値がα=0のときと同じになる。βはこれを考慮したものであり、[]の部分が整数部分のため、βは必ず0以上2π未満の値を取る。
これにより、距離のずれであるΔRがパルス信号の波長λと同程度である場合や、ΔRがパルス信号の波長λより大きい場合でも、βの値によっては、低精度係数算出部8を用いて、位相係数A’を算出することが可能になる。
この場合、低精度係数算出部8が、観測時刻tでの位相係数A’(=exp(4πjR’/λ))を算出する際、exp(4πjΔR/λ)の算出を式(5)ではなく、下記の式(13)を用いるものとする。また、閾値条件は、下記の式(14)を用いるものとする。
Kを細分化することにより、低精度係数算出部8での演算の可能性が高くなるが、式(11)が複雑化するため、必要な演算精度によってKを設定するようにすればよい。
Claims (10)
- 移動プラットフォームに搭載されている合成開口レーダの観測時刻での前記移動プラットフォームの想定位置と、前記移動プラットフォームの運動を計測する運動センサの計測データが示す前記観測時刻での前記移動プラットフォームの位置との誤差が許容範囲内であるか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により誤差が許容範囲を逸脱していると判定された場合、前記観測時刻での想定位置と前記計測データを用いて、前記移動プラットフォームから前記想定位置に対応する観測目標内の位置までの距離及び前記誤差補償用の位相係数を算出する第1の算出手段と、
前記判定手段により誤差が許容範囲内であると判定された場合、前記観測時刻での想定位置と前記計測データを用いて、前記第1の算出手段より低精度の演算方法で、前記観測目標内の位置までの距離及び前記誤差補償用の位相係数を算出する第2の算出手段と、
前記第1の算出手段又は前記第2の算出手段により算出された距離及び位相係数と、前記観測時刻での前記合成開口レーダの観測データとを用いるバックプロジェクション処理を実施して合成開口レーダ画像を再生する画像再生手段とを備え、
前記合成開口レーダが観測を開始する起点の位置では、前記判定手段の判定結果に関わらず、前記第2の算出手段が算出処理を行うことなく、前記第1の算出手段が、前記移動プラットフォームから前記想定位置に対応する観測目標内の位置までの距離及び前記誤差補償用の位相係数を算出することを特徴とする合成開口レーダ信号処理装置。 - 前記判定手段は、前記第1の算出手段により算出された距離から前記許容範囲を示す閾値を設定し、前記誤差が前記閾値より大きければ、前記誤差が許容範囲を逸脱していると判定し、前記誤差が前記閾値以下であれば、前記誤差が許容範囲内であると判定することを特徴とする請求項1記載の合成開口レーダ信号処理装置。
- 移動プラットフォームに搭載されている合成開口レーダの観測時刻での前記移動プラットフォームの想定位置と、前記移動プラットフォームの運動を計測する運動センサの計測データが示す前記観測時刻での前記移動プラットフォームの位置との誤差が許容範囲内であるか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により誤差が許容範囲を逸脱していると判定された場合、前記観測時刻での想定位置と前記計測データを用いて、前記移動プラットフォームから前記想定位置に対応する観測目標内の位置までの距離及び前記誤差補償用の位相係数を算出する第1の算出手段と、
前記判定手段により誤差が許容範囲内であると判定された場合、前記観測時刻での想定位置と前記計測データを用いて、前記第1の算出手段より低精度の演算方法で、前記観測目標内の位置までの距離及び前記誤差補償用の位相係数を算出する第2の算出手段と、
前記第1の算出手段又は前記第2の算出手段により算出された距離及び位相係数と、前記観測時刻での前記合成開口レーダの観測データとを用いるバックプロジェクション処理を実施して合成開口レーダ画像を再生する画像再生手段とを備え、
前記判定手段は、前記合成開口レーダから前記観測目標に向けて放射されるパルス信号の波長から前記許容範囲を示す閾値を設定し、前記誤差が前記閾値より大きければ、前記誤差が許容範囲を逸脱していると判定し、前記誤差が前記閾値以下であれば、前記誤差が許容範囲内であると判定することを特徴とする合成開口レーダ信号処理装置。 - 移動プラットフォームに搭載されている合成開口レーダの観測時刻での前記移動プラットフォームの想定位置と、前記移動プラットフォームの運動を計測する運動センサの計測データが示す前記観測時刻での前記移動プラットフォームの位置との誤差が許容範囲内であるか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により誤差が許容範囲を逸脱していると判定された場合、前記観測時刻での想定位置と前記計測データを用いて、前記移動プラットフォームから前記想定位置に対応する観測目標内の位置までの距離及び前記誤差補償用の位相係数を算出する第1の算出手段と、
前記判定手段により誤差が許容範囲内であると判定された場合、前記観測時刻での想定位置と前記計測データを用いて、前記第1の算出手段より低精度の演算方法で、前記観測目標内の位置までの距離及び前記誤差補償用の位相係数を算出する第2の算出手段と、
前記第1の算出手段又は前記第2の算出手段により算出された距離及び位相係数と、前記観測時刻での前記合成開口レーダの観測データとを用いるバックプロジェクション処理を実施して合成開口レーダ画像を再生する画像再生手段とを備え、
前記判定手段は、前記合成開口レーダから前記観測目標に向けて放射されるパルス信号の波長と予め設定された位相係数の位相回転量から前記許容範囲を示す閾値を設定し、前記誤差が前記閾値より大きければ、前記誤差が許容範囲を逸脱していると判定し、前記誤差が前記閾値以下であれば、前記誤差が許容範囲内であると判定することを特徴とする合成開口レーダ信号処理装置。 - 前記判定手段は、事前に指定された数値フォーマットで、前記閾値を設定することを特徴とする請求項2から請求項4のうちのいずれか1項に記載の合成開口レーダ信号処理装置。
- 前記移動プラットフォームの運動が曲線を描く場合、前記起点を切り替えることを特徴とする請求項1記載の合成開口レーダ信号処理装置。
- 前記第2の算出手段は、近似解法を用いる演算方法で、前記観測目標内の位置までの距離及び前記誤差補償用の位相係数を算出することを特徴とする請求項1から請求項6のうちのいずれか1項記載の合成開口レーダ信号処理装置。
- コンピュータが実行する合成開口レーダ信号処理の処理手順を記述している合成開口レーダ信号処理プログラムであって、
移動プラットフォームに搭載されている合成開口レーダの観測時刻での前記移動プラットフォームの想定位置と、前記移動プラットフォームの運動を計測する運動センサの計測データが示す前記観測時刻での前記移動プラットフォームの位置との誤差が許容範囲内であるか否かを判定する判定処理手順と、
前記判定処理手順によって誤差が許容範囲を逸脱していると判定された場合、前記観測時刻での想定位置と前記計測データを用いて、前記移動プラットフォームから前記想定位置に対応する観測目標内の位置までの距離及び前記誤差補償用の位相係数を算出する第1の算出処理手順と、
前記判定処理手順によって誤差が許容範囲内であると判定された場合、前記観測時刻での想定位置と前記計測データを用いて、前記第1の算出処理手順より低精度の演算方法で、前記観測目標内の位置までの距離及び前記誤差補償用の位相係数を算出する第2の算出処理手順と、
前記第1の算出処理手順又は前記第2の算出処理手順によって算出された距離及び位相係数と、前記観測時刻での前記合成開口レーダの観測データとを用いるバックプロジェクション処理を実施して合成開口レーダ画像を再生する画像再生処理手順とが記述されており、
前記合成開口レーダが観測を開始する起点の位置では、前記判定処理手順での判定結果に関わらず、前記第2の算出処理手順が算出処理を行うことなく、前記第1の算出処理手順が、前記移動プラットフォームから前記想定位置に対応する観測目標内の位置までの距離及び前記誤差補償用の位相係数を算出することを特徴とする合成開口レーダ信号処理プログラム。 - コンピュータが実行する合成開口レーダ信号処理の処理手順を記述している合成開口レーダ信号処理プログラムであって、
移動プラットフォームに搭載されている合成開口レーダの観測時刻での前記移動プラットフォームの想定位置と、前記移動プラットフォームの運動を計測する運動センサの計測データが示す前記観測時刻での前記移動プラットフォームの位置との誤差が許容範囲内であるか否かを判定する判定処理手順と、
前記判定処理手順によって誤差が許容範囲を逸脱していると判定された場合、前記観測時刻での想定位置と前記計測データを用いて、前記移動プラットフォームから前記想定位置に対応する観測目標内の位置までの距離及び前記誤差補償用の位相係数を算出する第1の算出処理手順と、
前記判定処理手順によって誤差が許容範囲内であると判定された場合、前記観測時刻での想定位置と前記計測データを用いて、前記第1の算出処理手順より低精度の演算方法で、前記観測目標内の位置までの距離及び前記誤差補償用の位相係数を算出する第2の算出処理手順と、
前記第1の算出処理手順又は前記第2の算出処理手順によって算出された距離及び位相係数と、前記観測時刻での前記合成開口レーダの観測データとを用いるバックプロジェクション処理を実施して合成開口レーダ画像を再生する画像再生処理手順とが記述されており、
前記判定処理手順は、前記合成開口レーダから前記観測目標に向けて放射されるパルス信号の波長から前記許容範囲を示す閾値を設定し、前記誤差が前記閾値より大きければ、前記誤差が許容範囲を逸脱していると判定し、前記誤差が前記閾値以下であれば、前記誤差が許容範囲内であると判定することを特徴とする合成開口レーダ信号処理プログラム。 - コンピュータが実行する合成開口レーダ信号処理の処理手順を記述している合成開口レーダ信号処理プログラムであって、
移動プラットフォームに搭載されている合成開口レーダの観測時刻での前記移動プラットフォームの想定位置と、前記移動プラットフォームの運動を計測する運動センサの計測データが示す前記観測時刻での前記移動プラットフォームの位置との誤差が許容範囲内であるか否かを判定する判定処理手順と、
前記判定処理手順によって誤差が許容範囲を逸脱していると判定された場合、前記観測時刻での想定位置と前記計測データを用いて、前記移動プラットフォームから前記想定位置に対応する観測目標内の位置までの距離及び前記誤差補償用の位相係数を算出する第1の算出処理手順と、
前記判定処理手順によって誤差が許容範囲内であると判定された場合、前記観測時刻での想定位置と前記計測データを用いて、前記第1の算出処理手順より低精度の演算方法で、前記観測目標内の位置までの距離及び前記誤差補償用の位相係数を算出する第2の算出処理手順と、
前記第1の算出処理手順又は前記第2の算出処理手順によって算出された距離及び位相係数と、前記観測時刻での前記合成開口レーダの観測データとを用いるバックプロジェクション処理を実施して合成開口レーダ画像を再生する画像再生処理手順とが記述されており、
前記判定処理手順は、前記合成開口レーダから前記観測目標に向けて放射されるパルス信号の波長と予め設定された位相係数の位相回転量から前記許容範囲を示す閾値を設定し、前記誤差が前記閾値より大きければ、前記誤差が許容範囲を逸脱していると判定し、前記誤差が前記閾値以下であれば、前記誤差が許容範囲内であると判定することを特徴とする合成開口レーダ信号処理プログラム。
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