(実施の形態1)
図1は、非接触充電システム1を模式的に示す模式図である。この図1に示すように、非接触充電システム1は、受電ユニット2を含む車両3と、送電装置9とを含む。
受電ユニット2は、車両3の底面14側に設けられた受電装置4と、受電装置4が受電した交流電力を直流電力に変換する整流器5と、整流器5からの直流電力を蓄電するバッテリ6とを含む。受電装置4は、受電コイル7と、コンデンサ8とを含む。送電装置9は、送電コイル10と、コンデンサ11と、周波数変換器12とを含み、送電装置9は、電源13に接続されている。
図2は、非接触充電システム1の回路を模式的に示す回路図である。この図2に示すように、コンデンサ8は、受電コイル7に直列に接続されており、受電コイル7とコンデンサ8によって直列LC共振回路が形成されている。コンデンサ11は、送電コイル10に直列に接続されており、送電コイル10およびコンデンサ11によって直列LC共振回路が形成されている。
送電コイル10およびコンデンサ11によって構成された共振回路の共振周波数と、受電コイル7およびコンデンサ8によって構成された共振回路の共振周波数とは、同じまたは実質的に同じになるように形成されている。
また、送電コイル10およびコンデンサ11の共振回路のQ値と、受電コイル7およびコンデンサ8によって形成された共振回路のQ値とは、いずれも、100以上になるように形成されている。
このように、送電側の共振回路と、受電側の共振回路とを上記のように構成することで、受電装置4と送電装置9との間が離れていても、高効率で電力伝送することができる。
図3は、送電装置9を示す分解斜視図である。この図3に示すように、送電装置9は、筐体20と、筐体20内に収容されたコイルユニット21と、周波数変換器12とを含む。筐体20は、上方に向けて開口する開口部が形成されたケース本体22と、ケース本体22の開口部を閉塞するように設けられた蓋23とを含む。
ケース本体22は、コイルユニット21が収容される空間と、周波数変換器12が収容される空間とを仕切る仕切部材24を含む。ケース本体22は、金属材料によって形成されている。
蓋23は、コイルユニット21が収容される空間を閉塞する樹脂蓋25と、周波数変換器12が収容される空間を閉塞する金属蓋26とを含む。
図4は、図3のIV−IV線における断面図である。この図4に示すように、コイルユニット21は、送電コイル10と、上面に送電コイル10が配置されたフェライト30と、フェライト30の下面に設けられた金属支持板31と、金属支持板31の下面側に設けられ、送電コイル10に接続されたコンデンサ11とを含む。
フェライト30は、上面に送電コイル10が配置された環状コア32と、環状コア32の内周縁部に重なるように配置された中央コア33とを含む。
図5は、送電コイル10およびフェライト30を上方から平面視したときの平面図である。この図5に示すように、環状コア32は、互いに間隔をあけて環状に配置された複数の分割コア50を含む。中央コア33は、互いに間隔をあけて環状に配置された複数の分割コア51含む。
図4に示すように、送電コイル10は、環状コア32の上面上に配置された下段コイル34と、この下段コイル34上に配置された上段コイル35とを含む。
下段コイル34は、巻軸O1の周囲を取り囲むようにコイル線36を巻回して形成され、上段コイル35も、巻軸O1の周囲を取り囲むようにコイル線36を巻回して形成されている。なお、下段コイル34および上段コイル35は、中央コア33の周囲を取り囲むように形成されている。
金属支持板31は、上面に環状コア32が配置されると共に環状に形成された平坦部40と、平坦部40の中央部に形成されると共に上面に中央コア33が配置された突出部41とを含む。突出部41は、平坦部40の内周縁部から上方に向けて延びる環状の周壁部42と、周壁部42の上端部に形成された天板部43とを含み、天板部43の上面に中央コア33が配置されている。
ケース本体22の底面には、複数の壁部45および壁部46が形成されており、平坦部40の下面は、壁部45および壁部46によって支持されている。
そして、金属支持板31の下面と、ケース本体22の底面との間には、コンデンサ11および複数の電気機器47が配置されている。
図6は、底面14の下方から底面14を平面視したときの平面図である。この図6に示すように、車両3は、車両3の底面を形成するフロアパネル52と、このフロアパネル52の下面側に配置された排気ユニット53とを含む。排気ユニット53は、図示しないエンジンに接続された排気管54と、排気管54が接続されたマフラ55とを含む。マフラ55は、車両3の後方に配置されている。
この図6に示す例においては、底面14を下方から平面視したときに、受電装置4に対して水平方向に隣り合う位置にマフラ55が配置されている。具体的には、受電装置4に対して右方向R側にマフラ55が配置されている。
図7は、受電装置4を示す分解斜視図である。この図7に示すように、受電装置4は、筐体60と、筐体60内に収容された受電コイルユニット61とを含む。
筐体60は、下方に向けて開口するケース本体62と、この開口部を閉塞するように設けられた蓋63とを含む。ケース本体62は、金属材料によって形成されている。蓋63は、磁束を透過可能な材料で形成されており、たとえば、樹脂によって形成されている。図8は、図7に示すVIII−VIII線における断面図である。この図8に示すように、受電コイルユニット61は、受電コイル7と、下面に受電コイル7が配置されたフェライト64と、フェライト64が下面に設けられた金属支持部材65と、金属支持部材65の上面側に配置されたコンデンサ8とを含む。
受電コイル7は、下段コイル66と、下段コイル66の上面側に配置された上段コイル67とを含む。
フェライト64は、環状に形成された環状コア68と、環状コア68の下面側に配置された中央コア69とを含む。中央コア69は、環状コア68の内周縁部に接触するように配置されている。なお、受電装置4の上面には、固定部材70が設けられており、固定部材70は、フロアパネル52の下面に受電装置4を固定している。なお、受電装置4を底面側に配置するとは、受電装置4をフロアパネル52に直接固定する場合と、図8に示すように、フロアパネル52の下方に間隔をあけて配置する場合のいずれも含む。
金属支持部材65は、下面に環状コア68が配置された環状の平坦部85と、下面に中央コア69が配置された突出部86とを含む。突出部86は、平坦部85の内周縁部から下方に向けて延びる周壁部87と、周壁部87の下端部に形成された底面部88とを含む。
マフラ55は、図示しない固定部材によって、フロアパネル52の下面側に固定されている。マフラ55は、内部配管77と、内部配管77の周囲を取り囲むように設けられた消音材78と、内部配管77および消音材78を覆う金属カバー71とを含む。金属カバー71は、たとえば、鉄及びステンレスの少なくとも一方を主成分とする金属材料によって形成されており、金属カバー71を構成する金属の透磁率は、アルミニウムの透磁率よりも高い。
具体的には、金属カバー71を構成する金属として、鉄を主成分とする金属として、99.95%の純鉄、99.8%の純鉄、鉄コバルト合金、パーマロイ(登録商標)(Fe−Niの合金)、ケイ素鋼(鉄に少量のケイ素を加えた合金)などを採用することができる。ステンレスを主成分とする金属としては、フェライト系ステンレス鋼やマルテンサイト系ステンレス鋼を採用することができる。
アルミニウムの透磁率は、1.256×10-6[H/m]である。鉄(99.95%の純鉄)の透磁率は、2.5×10-1[H/m]、鉄(99.8%の純鉄)の透磁率は、6.3×10-3[H/m]である。鉄コバルト合金の透磁率は、2.3×10-2[H/m]であり、パーマロイ(Fe−Niの合金)の透磁率は、1.0×10-2[H/m]である。ケイ素鋼(鉄に少量のケイ素を加えた合金)の透磁率は、5.0×10-3[H/m]である。
また、フェライト系ステンレス鋼の透磁率は、1.26×10-3[H/m]から2.26×10-3[H/m]程度である。マルテンサイト系ステンレス鋼の透磁率は、9.42×10-4[H/m]から1.19×10-3[H/m]程度である。
このように、鉄及びステンレスの少なくとも一方を主成分とする金属材料は、アルミニウムよりも透磁率が高く、アルミニウムよりも磁束が内部を通り易い。
図8に示すように、金属カバー71は、下部部分72および上部部分73とを含み、下部部分72は、受電コイル7と同じ位置または、受電コイル7よりも下方に位置する。上部部分73は、受電コイル7よりも上方に位置している。
フロアパネル52には、溝部56が形成されており、排気管54の一部は溝部56内に入り込んでおり、排気管54は、受電コイル7よりも上方に位置している。なお、排気管54も、排気管54と同様の金属によって形成されている。
図9は、下段コイル66およびフェライト64などを示す平面図である。なお、図9においては、上段コイル67などは省略されている。この図9に示すように、環状コア68は、互いに間隔をあけて環状に配置された複数の分割コア75を含み、中央コア69は、間隔をあけて環状に配置された複数の分割コア76を含む。
なお、環状コア68は、具体的には、分割コア75A〜75Lを含み、環状コア68の右方向R側には、分割コア75A〜75Dが、車両後方から車両前方に向けて配列している。
環状コア68の前方向F側には、分割コア75D〜75Gが車両右側から車両左側に向けて配列するように設けられている。
環状コア68の左方向L側には、分割コア75G〜75Jが車両前側から車両後側に向けて配列するように設けられている。
環状コア68の後方向B側には、分割コア75J〜75Aが車両左側から車両右側に向けて配列している。
下段コイル66は、整流器5に接続される端部80と、上段コイル67に接続される端部81とを含む。
下段コイル66は、コイル本体部83と、渡り線84とを含み、コイル本体部83は、下段コイル66の大部分を占める。
コイル本体部83は、コイル線82を巻軸O2の周囲を取り囲むように巻回して形成されており、端部81から端部80に向かうにつれて、巻軸O2からの距離が大きくなるように形成されている。
図10は、図9に示すX−X線における断面図であり、渡り線84の一端およびその周囲を示す断面図である。この図10および図9に示すように、渡り線84は、分割コア75Aと分割コア75Bとの間の隙間を通って、周壁部87に形成された穴部を通って、突出部86内に入り込む。図11は、図9に示すXI−XI線における断面図であり、渡り線84の他端およびその周囲を示す断面図である。この図11および図9に示すように、渡り線84は、周壁部87に形成された穴部を通り、突出部86内から引き出されており、そして、渡り線84は、分割コア75Dと分割コア75Eとの間の隙間を通り、コイル本体部83に接続されている。
このように、渡り線84が金属支持部材65内を通るため、図9に示すように、下段コイル66のコイル本体部83は、巻き数が少ない少巻部92と、少巻部92よりも巻き数の多い多巻部93とを含む。下段コイル66のうち、分割コア75B,75C,75Dの下面に位置する部分が少巻部92であり、下段コイル66のうち、分割コア75E〜75Aの下面側に位置する部分が多巻部93である。
ここで、図9に示すように、下段コイル66およびマフラ55を下方から平面視したときに、下段コイル66のコイル本体部83のうち、金属カバー71の下部部分72と対向する部分を対向部分90とする。具体的には、図8および図9において、下部部分72を左方向Lに投影したときに、下段コイル66と重なり合う部分を対向部分90とする。すなわち、下部部分72と、下段コイル66とが隣り合う部分が、対向部分90である。
この図9に示す例においては、対向部分90に少巻部92が配置されている。具体的には、少巻部92の一部に対向部分90が位置するように、少巻部92が配置されている。なお、対向部分90の一部に少巻部92が位置するようにしてもよい。
図12は、上段コイル67およびフェライト64よりも下方の位置から上段コイル67およびフェライト64などを平面視したときの平面図である。なお、この図12においては、下段コイル66などは省略されている。
この図12に示すように、上段コイル67は、下段コイル66の端部81に接続された端部95と、コンデンサ8に接続された端部96と、コイル本体部102と、渡り線101とを含む。コイル本体部102は、上段コイル67の大部分を占める。
コイル本体部102は、コイル線82を巻軸O2の周囲を取り囲むように巻回して形成されており、端部95から端部96に向かうにつれて、巻軸O2からの距離が大きくなるように形成されている。
図13は、図12に示すXIII−XIII線における断面図である。この図13および図12に示すように、渡り線101の一端は、分割コア75の間の隙間を通って、周壁部87に形成された穴部を通り、突出部86内に引き込まれている。具体的には、渡り線101は、分割コア75Aと分割コア75Bとの間の隙間から、金属支持部材65内に引き込まれている。
図14は、図12に示すXIV−XIV線における断面図である。この図14に渡り線101の他端も、周壁部87に形成された穴部および分割コア75の間の隙間を通って、コイル本体部102に接続されている。具体的には、渡り線101は、分割コア75Dと分割コア75Eとの間の隙間から引き出されている。
このように、渡り線101は、金属支持部材65内を通るため、図12に示すように、上段コイル67のコイル本体部102には、巻き数が少ない少巻部103と、少巻部103よりも巻き数の多い多巻部104とが形成されている。
ここで、少巻部103は、分割コア75B,75C,75Dの下面に位置しており、多巻部104は、分割コア75E,75F,75G,75H,75I,75J,75K,75L,75Aの下面側に位置している。
このため、下段コイル66の少巻部92と、上段コイル67の少巻部103とは、上下方向に配列している。さらに、下段コイル66の多巻部93と、上段コイル67の多巻部104とは、上下方向に配列している。
ここで、図12に示すように、上段コイル67およびマフラ55の下方から上段コイル67およびマフラ55を平面視したときに、上段コイル67のコイル本体部102のうち、金属カバー71の下部部分72と対向する部分(金属カバー71を上段コイル67に左方向Lに投影したときに、金属カバー71が上段コイル67に投影される部分)を対向部分110とする。
この図12に示す例においては、対向部分110に少巻部103が配置されている。具体的には、少巻部103の一部に対向部分110が位置するように配置されている。なお、対向部分110の一部に少巻部103が配置されるようにしてもよい。
図15は、受電コイル7および送電コイル10を下方から平面視したときの平面図である。この図15において、許容範囲T1は、送電コイル10の巻軸O1が受電コイル7の巻軸O2に対して許容される位置ずれ範囲を示す。
送電コイル10の巻軸O1が許容範囲T1内に位置している状態で、送電コイル10が受電コイル7に送電すると、送電コイル10の送電効率が所定値以上になり、許容範囲T1の外側で送電すると、送電コイル10の送電効率が所定値より小さくなる。
本実施の形態においては、送電コイル10の送電効率が所定値よりも小さい場合には、送電コイル10からの送電は停止される。
ここで、巻軸O1が許容範囲T1の外周縁部に沿って移動したときに、受電コイル7は、送電コイル10内に位置している。すなわち、受電コイル7および送電コイル10の下方から送電コイル10および受電コイル7を平面視したときに、受電コイル7は、送電コイル10内に位置した状態で送電コイル10から電力を受電する。
さらに、巻軸O1が許容範囲T1の外周縁部に沿って移動したときに、送電コイル10の外周縁部によって形成される軌跡の外周縁部内にマフラ55の少なくとも一部が位置している。換言すれば、本実施の形態において、対象となる金属物とは、送電コイル10が許容範囲T1の外周縁部に沿って移動したときに、送電コイル10の外周縁部の軌跡の外周縁部内に少なくとも一部が位置する金属物である。送電コイル10や受電コイル7から遠く離れた位置に設けられた金属物は、電力伝送に与える影響が小さいためである。
上記のように構成された受電装置4および送電装置9を用いて電力伝送したときについて、図16などを用いて説明する。
図16は、巻軸O1と、巻軸O2とが一致した状態で送電装置9から受電装置4に電力を送電している状態を示す断面図である。図16に示すように、送電装置9および受電装置4が位置合わせされた状態(受電コイル7および送電コイル10を平面視したときに巻軸O1と巻軸O2とが一致する状態)においては、受電コイル7の右側部分および送電コイル10の右側部分との間の距離と、受電コイル7の左側の部分および送電コイル10の左側の部分との間の距離とは、等しくなる。
また、受電コイル7の前側部分および送電コイル10の前側部分の距離と、受電コイル7の後側部分および送電コイル10の後側部分の距離も同じになる。
送電コイル10から出射された磁束MFが受電コイル7に鎖交する磁束量は、基本的には、送電コイル10と受電コイル7との間の距離に反比例する。このため、マフラ55が無い場合には、受電コイル7の右側部分と、受電コイル7の左側の部分とにおいて鎖交する磁束量は、同じになる。
その一方で、本実施の形態のように、受電コイル7の近傍にマフラ55が配置されている場合には、受電コイル7を鎖交する磁束分布に変化が生じる。
図16に示すように、送電コイル10から出射された磁束MFの一部は、マフラ55の金属カバー71に入射する。金属カバー71は、上述のように、透磁率の高い金属によって形成されているため、金属カバー71内に入射した磁束MFは、良好に金属カバー71内を流れる。
そして、金属カバー71内を流れた磁束MFは、その後、金属カバー71の表面から外部に出射される。ここで、金属カバー71の下部部分72は、受電コイル7と水平方向に同じ位置または受電コイル7よりも下方に位置している。このため、下部部分72に入射した磁束MFの一部が、下部部分72から受電コイル7に向けて出射され、受電コイル7と鎖交する。
ここで、金属カバー71に入射する磁束MFは、金属カバー71が無い場合には、受電コイル7に殆ど鎖交しない磁束であり、金属カバー71があるため、その一部が受電コイル7に向けて案内される。
特に、鉄の電気抵抗は1.00×10−7(Ωm)、ステンレスの電気抵抗は、7.2×10−7(Ωm)あり、鉄またはステンレスを主成分とする金属の電気抵抗は、アルミニウムの電気抵抗(2.65 × 10−8(Ωm))よりも高い。
このため、金属カバー71に磁束が入射したときに、金属カバー71の表面に渦電流が流れ難くなっている。渦電流が流れにくいため、渦電流によって形成される磁界強度が弱く、金属カバー71に入射する磁束を反射し難くなっている。
このため、送電コイル10からの磁束MFが金属カバー71に入射しやすく、そして、金属カバー71の透磁率が高いため、入射した磁束MFは良好に金属カバー71内を流れ、多くの磁束MFが受電コイル7に案内される。
このため、受電コイル7のうち金属カバー71の近傍に位置する部分は、他の部分よりも、多くの磁束MFが鎖交することになる。
なお、上部部分73は、受電コイル7よりも上方に位置しているため、金属カバー71に入射した後、上部部分73から出射する磁束MFは、受電コイル7と殆ど鎖交しない。
排気管54も、金属カバー71と同様の金属材料によって形成されており、排気管54に入射した磁束MFは、排気管54内を良好に流れる。その一方で、排気管54は受電コイル7よりも上方に位置しており、排気管54内を流れた磁束MFが、受電コイル7に向けて、出射されることは殆どない。
このように、金属カバー71が、受電コイル7よりも下方に位置する下部部分72を含むため、受電コイル7のうち下部部分72と隣り合う部分では、多くの磁束が鎖交する。
図17は、送電コイル10および受電コイル7を下方から平面視した平面図であり、送電コイル10が受電コイル7に対して左方向L側に位置ずれした状態を示す平面図である。図18は、受電コイル7と送電コイル10とが位置合わせされた状態から、送電コイル10が受電コイル7に対して左方向L側に位置ずれした状態を示す断面図である。
図18に示すように、送電コイル10が左方向L側に位置ずれすると、送電コイル10の右側部分と、受電コイル7の右側部分とが、互いに近接した状態なる。その一方で、送電コイル10の左側の部分と、受電コイル7の左側の部分とは、互い離れた状態になる。
その結果、送電コイル10の右側部分と、受電コイル7の右側部分とを多くの磁束MFが流れる一方で、送電コイル10の左側の部分と受電コイル7の左側の部分とを流れる磁束MFは少なくなる。なお、送電コイル10の左側の部分から出射した磁束MFの多くは、受電コイル7に向かわずに、送電コイル10の左側の部分を取り巻くように自閉するように流れる。
このように、送電コイル10の右側部分と、受電コイル7の右側部分とを通る磁束量が多くなることに伴って、金属カバー71に入射する磁束MFも多くなる。その結果、金属カバー71によって、受電コイル7に案内される磁束MFも多くなる。その結果、受電コイル7の右側部分に多くの磁束MFが鎖交することになる。
ここで、図9および図12において、下部部分72によって、下段コイル66および上段コイル67に案内される磁束は、下段コイル66の対向部分90および上段コイル67の対向部分110を通る。
その一方で、対向部分90には少巻部92が位置しており、対向部分110には少巻部103が位置している。
このため、金属カバー71の下部部分72によって磁束が案内されたとしても、対向部分90,110のコイル線の巻き数が少ないため、当該対向部分90,110において生じる誘導起電圧を小さく抑えることができる。
その結果、送電コイル10が受電コイル7に対して左方向Lに位置ずれしたとしても、送電コイル10と受電コイル7との間の結合係数が、送電コイル10と受電コイル7とが位置合わせされた状態の結合係数から大きく変動することを抑制することができる。
図19は、送電コイル10および受電コイル7を下方から平面視したときの平面図であって、送電コイル10が受電コイル7に対して右方向Rに位置ずれしたときの平面図である。図20は、送電コイル10が受電コイル7に対して右方向Rに位置ずれした状態における断面図である。
図20に示すように、送電コイル10が受電コイル7に対して右方向Rに位置ずれすることで、送電コイル10の左側の部分と、受電コイル7の左側の部分とが互いに近接する。その一方で、送電コイル10の右側部分と、受電コイル7の右側部分との間の距離が大きくなる。
このため、送電コイル10の右側部分と受電コイル7の右側部分との間を通る磁束量は、送電コイル10の左側の部分と受電コイル7の左側の部分との間を通る磁束量よりも少なくなる。
この際、送電コイル10の右側部分で形成された磁束MFは、受電コイル7に向かわずに、送電コイル10の右側部分を取り巻くように自閉するように流れる。このため、金属カバー71に入射する磁束量も少なくなり、金属カバー71によって、受電コイル7に案内される磁束量も少なくなる。
金属カバー71から案内される磁束量が少なくなるため、送電コイル10が受電コイル7に対して左方向Lに位置ずれしたときに受電コイル7を鎖交する磁束量は、送電コイル10が受電コイル7に対して右方向Rに位置ずれしたときに受電コイル7を鎖交する磁束量よりも少なくなる。
その一方で、受電コイル7の左側の部分には、多巻部93,104が位置してており、当該部分を通る磁束量は増える。その結果、送電コイル10が受電コイル7に対して右方向Rに位置ずれしたときの結合係数と、送電コイル10が受電コイル7に対して左方向Lに位置ずれしたときの結合係数との差が小さくなる。
このように、送電コイル10が左方向Lに位置ずれして、金属カバー71によって案内される磁束量が多くなっても、受電コイル7の対向部分90,110のコイル線の巻き数を少なくすることで、受電コイル7に生じる誘導起電圧が大きくなることを抑制し、送電コイル10が左方向Lまたは右方向Rに位置ずれしたときにおける結合係数のばらつきを抑制することができる。
なお、送電コイル10が前方向Fまたは後方向Bに位置ずれした場合に、受電コイル7の左側部分および右側部分を通る磁束量は、送電コイル10および受電コイル7が位置合わせされた状態のときに、受電コイル7の右側部分および左側部分を通る磁束量と殆ど変らない。
その一方で、送電コイル10が前方向Fに位置ずれした場合には、受電コイル7の後側部分と送電コイル10の後側部分とが近接する。そして、受電コイル7の前側部分と、送電コイル10の前側部分とが離れる。
このため、送電コイル10の後側部分と、受電コイル7の後側部分とを通る磁束量が多くなり、送電コイル10の前側部分と、受電コイル7の前側部分とを通る磁束量は少なくなる。
このため、送電コイル10が受電コイル7に対して前方向F側に位置ずれしたときの結合係数は、送電コイル10が受電コイル7に位置合わせされた状態の結合係数から大きく変動することが抑制されている。
なお、送電コイル10が受電コイル7に対して、後方向B側に位置ずれした場合における磁束分布や結合係数は、送電コイル10が前方向F側に位置ずれした場合と実質的に同じになる。
このように、位置ずれ方向によって結合係数がばらつくことを抑制することができるので、たとえば、送電コイル10から受電コイル7に定電力送電を行う際に、位置ずれ方向によって、送電コイル10を流れる電流量が大きく変動することを抑制することができる。
なお、上記の図1から図20に示す例においては、受電装置4と隣り合う金属物として、マフラ55の金属カバー71を例に挙げて説明したが、受電装置4と隣り合う金属物としては、マフラ55の金属カバー71に限られない。たとえば、フロアパネル52の一部であってもよい。
図21は、実施の形態1に係る受電装置が搭載された車両の変形例を示す断面図である。この図21に示す例においては、フロアパネル52には、下方に向けて突出する突出部分111が形成されている。この突出部分111は、受電コイル7よりも上方に位置する上部部分112と、受電コイル7と水平方向に同じ位置または受電コイル7よりも下方に位置する下部部分113とを含む。なお、フロアパネル52および突出部分111は、鉄またはステンレスを主成分とする金属材料によって形成されている。
このような突出部分111においても、上記の金属カバー71と同様に磁束MFを誘導する。このような突出部分111が形成された車両に受電装置4を搭載する場合においても、本願発明を適用することができる。
(実施の形態2)
上記実施の形態1においては、受電装置4の周囲に1つの金属物が設けられた例について説明したが、受電装置4の周囲に2つ(複数)の金属物が配置された例について、図22などを用いて説明する。なお、図1から図21に示された構成と同一または実質的に同一の構成については、同一の符号を付してその説明を省略する場合がある。
図22は、車両3の底面14を示す平面図である。この図22に示すように、受電装置4に対して右方向R側にマフラ55が配置されている。受電装置4に対して左方向L側には、フロアパネル52に突出部分111が形成されている。
図23は、受電装置4、マフラ55および突出部分111を示す断面図である。この図23に示すように、突出部分111の下端部よりも、金属カバー71の下端部の方が下方に位置している。
なお、突出部分111は、受電コイル7よりも上方に位置する上部部分112と、上部部分112よりも下方に位置する下部部分113とを含む。
図24は、下段コイル66およびフェライト64を示す平面図であり、上段コイル67は省略されている。この図24に示すように、端部80から端部81に向かうにつれて、コイル線82は、巻軸O2からの距離が短くなるように巻回されている。
そして、コイル線82は、分割コア75B,75C,75Dの下面を分割コア75Bから分割コア75Dに向かう方向に通る。コイル線82が、分割コア75B,75C,75Dの下面を複数回通った後、分割コア75Aと分割コア75Bとの間の隙間から金属支持部材65内に引き込まれる。そして、分割コア75Dと分割コア75Eとの間の隙間から引き出される。これにより、金属支持部材65内を通る渡り線84Aが形成される。
渡り線84Aが引き出された後、コイル線82は、分割コア75Eから分割コア75Gの下面を通る。そして、分割コア75Gと、分割コア75Hとの間の隙間から、金属支持部材65内に引き込まれる。そして、分割コア75Iと分割コア75Jとの間の隙間から金属支持部材65から引き出される。これにより、渡り線84Cが形成される。
そして、渡り線84Cが引き出された後、コイル線82は、分割コア75Jから分割コア75Aの下面を通り、分割コア75Aおよび分割コア75Bの間の隙間から金属支持部材65内に引き込まれる。その後、コイル線82が、分割コア75Dと分割コア75Eとの間の隙間から引き出される。これにより、渡り線84Bが形成される。そして、コイル線82は、分割コア75Eおよび分割コア75Fの下面を通り、端部81に達する。
このように、コイル線82が巻回されることで、分割コア75B、分割コア75Cおよび分割コア75Dの下面に位置する部分と、分割コア75Hおよび分割コア75Iの下面に位置する部分の巻き数が少なくなる。
すなわち、下段コイル66のうち、分割コア75B、分割コア75Cおよび分割コア75Dの下面に位置する部分に少巻部92Aが形成される。また、下段コイル66のうち、分割コア75Hおよび分割コア75Iの下面に位置する部分にも、少巻部92Bが形成される。
この図24に示す例においては、少巻部92Bの巻き数よりも少巻部92Aの巻き数の方が少ない。
ここで、図24において、下段コイル66のうち、金属カバー71の下部部分72と対向する部分を対向部分90Aとし、突出部分111の下部部分113と対向する部分を対向部分90Bとする。
対向部分90Aには、少巻部92Aが位置しており、対向部分90Bには少巻部92Bが位置している。なお、対向部分90Aの一部に少巻部92Aが位置し、対向部分90Bの一部に少巻部92Bが位置するようにしてもよい。
図25は、上段コイル67およびフェライト64を示す平面図である。この図25において、コイル線82は、端部95側から端部96に向かうにつれて、巻軸O2からの距離が短くなるように形成されている。
そして、コイル線82は、分割75B,75C,75Dの下面を分割コア75Bから分割コア75Dに向かう方向に通る。コイル線82が、分割コア75Bおよび分割コア75Dの下面を複数回通った後、分割コア75Aと分割コア75Bとの間の隙間から金属支持部材65内に引き込まれる。そして、分割コア75Dと分割コア75Eとの間の隙間から引き出される。これにより、金属支持部材65内を通る渡り線101Aが形成される。
渡り線101Aが引き出された後、コイル線82は、分割コア75Eから分割コア75Gの下面を通る。そして、分割コア75Gと、分割コア75Hとの間の隙間から、金属支持部材65内に引き込まれる。そして、分割コア75Iと分割コア75Jとの間の隙間から金属支持部材65から引き出される。これにより、渡り線101Cが形成される。
そして、渡り線101Cが引き出された後、コイル線82は、分割コア75Jから分割コア75Aの下面を通り、分割コア75Aおよび分割コア75Bの間の隙間から金属支持部材65内に引き込まれる。その後、コイル線82が、分割コア75Dと分割コア75Eとの間の隙間から引き出される。これにより、渡り線101Bが形成される。そして、コイル線82は、分割コア75Eおよび分割コア75Fの下面を通り端部96に達する。
このように、コイル線82が巻回されることで、分割コア75B、分割コア75Cおよび分割コア75Dの下面に位置する部分と、分割コア75Hおよび分割コア75Iの下面に位置する部分の巻き数が少なくなる。
すなわち、下段コイル66のうち、分割コア75B、分割コア75Cおよび分割コア75Dの下面に位置する部分に少巻部103Aが形成される。また、下段コイル66のうち、分割コア75Hおよび分割コア75Iの下面に位置する部分にも、少巻部103Bが形成される。
この図25に示す例においては、少巻部103Bの巻き数よりも少巻部103Aの巻き数の方が少ない。
ここで、図25において、上段コイル67のうち、金属カバー71の下部部分72と対向する部分を対向部分110Aとすると、対向部分110Aには、少巻部103Aが位置している。具体的には、少巻部103Aの一部に対向部分110Aが位置している。なお、対向部分110Aの一部に少巻部103Aが位置するようにしてもよい。
突出部分111のうち下部部分113と対向する部分を対向部分110Bとすると、対向部分110Bには、少巻部103Bが位置している。対向部分110Bの一部に少巻部103Bが位置するようにしてもよい。
図26は、受電装置4と送電装置9とが正確に位置合わせされた状態で電力伝送しているときにおける断面図である。
この図26に示すように、送電コイル10からの磁束MFの一部が金属カバー71に入射する。そして、金属カバー71の下部部分72に入射した磁束MFの一部が、受電コイル7に向けて案内される。
その一方で、送電コイル10からの磁束MFの一部が、突出部分111の下部部分113に入射する。下部部分113に入射した磁束MFは、下部部分113内を通る。そして、下部部分113に入射した磁束MFの一部が、受電コイル7に向けて出射する。
ここで、金属カバー71の方が、突出部分111よりも地面側に位置している。このため、金属カバー71に入射する磁束量の方が、突出部分111に入射する磁束量よりも多い。これは、送電コイル10の周囲に形成される磁界強度は、送電コイル10に近い程高いためである。すなわち、金属カバー71の方が突出部分111よりも地面側に位置しているため、金属カバー71の下端部が曝される磁界強度の方が、突出部分111の下端部が曝される磁界強度の方よりも高いためである。
次に、図27は、送電装置9が左方向Lに位置ずれした状態で電力伝送する状態を示す断面図である。
図27に示すように、送電コイル10が位置ずれすると、受電コイル7の右側部分と、送電コイル10の右側部分とが近接する。そのため、受電コイル7の右側部分と、送電コイル10の右側部分との間を通る磁束MFが多くなる。
このため、金属カバー71に入射する磁束MFが多くなり金属カバー71から受電コイル7に案内される磁束量が多くなる。その一方で、受電コイル7の左側の部分と送電コイル10の左側の部分とが離れる。
このため、受電コイル7の左側の部分と、送電コイル10の左側の部分とを通る磁束MFが少なくなり、突出部分111に入射する磁束MFが少なくなる。このため、突出部分111に殆ど磁束MFが入射しなくなる。
ここで、下部部分72によって案内される磁束量が多くなっても、図24および図25に示すように、下段コイル66および上段コイル67のうち、下部部分72と隣り合う対向部分90A,110Aには、少巻部92A,103Aが位置している。
このため、上段コイル67のうち、対向部分90A、110Aで生じる逆起電力を小さくすることができる。これにより、送電コイル10と受電コイル7とが位置合わせされた状態における結合係数と、送電コイル10が受電コイル7に対して左方向L側に位置ずれしたときの結合係数との差を小さく抑えることができる。
図28は、送電コイル10が受電コイル7に対して右方向Rに位置ずれした状態を示す断面図である。なお、図28において、送電コイル10の位置ずれ量と、図27において、送電コイル10の位置ずれ量とは同じである。
この図28に示すように、送電コイル10の右側部分と、受電コイル7の右側部分とが離れ、送電コイル10の左側の部分と、受電コイル7の左側の部分とが近づくことになる。
そのため、受電コイル7の右側部分を通る磁束量よりも、受電コイル7の左側の部分を通る磁束量の方が多くなる。このため、突出部分111によって受電コイル7に案内される磁束量は、送電コイル10と受電コイル7とが位置合わせされた状態において突出部分111によって受電コイル7に案内される磁束量よりも多くなる。
ここで、図24および図25において、下段コイル66および上段コイル67のうち、対向部分90B,110Bには、少巻部92B,103Bが位置しているため、対向部分90B,110Bで生じる逆起電圧が大きくなることが抑制されている。
このため、送電コイル10が右方向Rに位置ずれした状態における結合係数と、送電コイル10と受電コイル7とが位置合わせされた状態における結合係数とに大きな差が生じることを抑制することができる。
ここで、送電コイル10が右方向Rに位置ずれした場合に、突出部分111Aによって金属カバー71に案内される磁束量は、送電コイル10が左方向Lに位置ずれしたときに下部部分72によって案内される磁束量よりも少ない。
図24および図25に示すように、対向部分90B,110Bの巻き数は、対向部分90A,110Aの巻き数よりも多い。
このため、送電コイル10が右方向Rに位置ずれしたときに、対向部分90B,110Bに生じる逆起電力は、送電コイル10が左方向Lに位置ずれしたときに、対向部分90A,110Aに生じる逆起電力と同じまたは近似する。
このため、送電コイル10が受電コイル7に対して左方向Lに位置ずれしたときの結合係数と、送電コイル10が受電コイル7に対して右方向Rに位置ずれしたときの結合係数とが同じまたは近似する。
このように、受電コイル7を挟んで、高さの異なる金属物が配置されている場合には、受電コイル7のうち地面に近い方の金属物と隣り合う部分の巻き数を、地面から離れている方の金属物と隣り合う部分の巻き数よりも少なくする。これにより、各金属物が設けられた側に送電コイル10が位置ずれしたとしても、受電コイル7と送電コイル10との間の結合係数に差が生じることを抑制することができる。
(実施の形態3)
上記の実施の形態1,2においては、受電コイル7の周囲に配置された金属物(金属カバー71)として、鉄またはステンレスを主成分とした金属によって形成された例について説明した。次に、実施の形態3において、当該金属物をアルミニウムのように透磁率の低い材料で形成した場合について説明する。
なお、図1から図27に示す構成と同一または実質的に同一の構成については、同一の符号を付してその説明を省略する場合がある。
図29は、実施の形態3に係る受電装置およびマフラ55を示す断面図であり、受電コイル7と送電コイル10とが位置合わせされた状態における断面図である。金属カバー71Bを形成する金属材料の透磁率は、アルミニウムの透磁率以上である、金属カバー71Bを形成する金属材料としては、たとえば、アルミニウムや銅などを採用することができる。
なお、アルミニウムの透磁率は、アルミニウムの透磁率は、1.256×10-6[H/m]であり、銅の透磁率は、1.256629×10-6[H/m]である。また、アルミニウムの導電率は、2.65 × 10-8[(Ωm)]、銅の導電率は、1.68 × 10-8[(Ωm)]であり、ステンレスおよび鉄の導電率よりも高い。
なお、金属カバー71Bも、受電コイル7よりも上方に位置する上部部分73Bと、上下方向において受電コイル7と同じまたは受電コイル7よりも下方に位置する下部部分72Bとを含む。
図30は、実施の形態3に係る受電装置4の平面図であって、下段コイル66およびフェライト64を示す平面図である。
この図30に示すように、コイル線82は、端部80から端部81に向かうにつれて、巻軸O2との間の距離が小さくなるように巻回されている。
そして、コイル線82は、分割コア75Bおよび分割コア75Dの下面側を、分割コア75Bから分割コア75Dに向けて延びる。
コイル線82が数回、分割コア75Bから分割コア75Dの下面を通った後、コイル線82は、分割コア75Dと分割コア75Eとの間から、金属支持部材65内に引き込まれる。そして、コイル線82は、分割コア75Aと分割コア75Bとの間から引き出され、再度、分割コア75Bおよび分割コア75Dの下面を通る。
これにより、分割コア75Bから分割コア75Dの下面において、コイル線82の巻き数は、他の部分よりも多くなる。
すなわち、分割コア75Bおよび分割コア75Dの間の下面に位置する部分に多巻部93が形成されており、分割コア75Eから分割コア75Aの下面に位置する部分に少巻部92が形成されている。
ここで、下段コイル66のうち、金属カバー71Aの下部部分72と対向する部分を対向部分90とすると、対向部分90には多巻部93が位置している。具体的には、多巻部93の一部に対向部分90が位置している。なお、対向部分90に多巻部93の一部が位置するように配置してもよい。
図31は、上段コイル67およびフェライト64を示す平面図である。この図31に示すように、上段コイル67は、端部95から端部96に向かうにつれて、巻軸O1からの距離が短くなるように巻回されている。
そして、コイル線82は、分割コア75Bおよび分割コア75Dの下面側を、分割コア75Bから分割コア75Dに向けて延びる。
コイル線82が数回、分割コア75Bから分割コア75Dの下面を通った後、コイル線82は、分割コア75Dと分割コア75Eとの間から、金属支持部材65内に引き込まれる。そして、コイル線82は、分割コア75Aと分割コア75Bとの間から引き出され、再度、分割コア75Bおよび分割コア75Dの下面を通る。
これにより、分割コア75Bから分割コア75Dの下面において、コイル線82の巻き数は、他の部分よりも多くなる。
すなわち、分割コア75Bおよび分割コア75Dの間の下面に位置する部分に多巻部104が形成されており、分割コア75E、75F,75G,75H,75I,75J,75J,75K,75L、75Aの下面に位置する部分に少巻部103が形成されている。
このため、図30および図31に示すように、下段コイル66の対向部分90に位置する部分に多巻部93が位置し、上段コイル67の対向部分110に位置する部分に多巻部104が位置している。
図29において、送電コイル10の右側部分から出射した磁束MFの一部が金属カバー71Bの下部部分72Bに入射する。ここで、金属カバー71Bを形成する金属の透磁率は、低いため、入射した磁束は、金属カバー71B内を流れにくくなっており、入射した磁束の大部分が渦電流になり、その後、熱に変換される。このため、金属カバー71Bに多くの渦電流が流れる。特に、金属カバー71Bを形成するアルミニウムや銅の導電率は、ステンレスや鉄の導電率よりも高いため、特に多くの渦電流が流れる。
金属カバー71Bの表面に形成される渦電流の電流量が多くなると、渦電流によって形成される磁界の強度も大きくなる。渦電流によって形成される磁界は、入射してくる磁束量を減らす方向に形成されるため、金属カバー71Bに入射する磁束が反射される。
このように、金属カバー71Bによって反射した磁束は、送電コイル10から受電コイル7に向かう磁束を妨げる。
その結果、金属カバー71Bがない場合と比較して、送電コイル10の右側部分と受電コイル7の右側部分とを通る磁束量が少なくなる。
図32は、送電コイル10が受電コイル7に対して左方向Lに位置ずれした状態を示す断面図である。この図32に示すように、送電コイル10が左方向Lに位置ずれすることで、送電コイル10の右側部分と、受電コイル7の右側部分とが近接する。
そのため、送電コイル10の右側部分から受電コイル7の右側部分に向かう磁束量が多くなろうとすると共に、金属カバー71Bに向かう磁束量も多くなり、金属カバー71Bによって反射される磁束量も多くなる。金属カバー71Bによって反射される磁束は、送電コイル10から受電コイル7に向かう磁束の進行妨げる。
その結果、送電コイル10が左方向Lに位置ずれした状態において、受電コイル7の右側部分を通る磁束量は、送電コイル10と受電コイル7とが位置合わせされた状態において、受電コイル7の右側部分を通る磁束量よりも僅かに多くなるものの、互いの磁束量の差は小さい。
その一方で、受電コイル7の左側の部分と、送電コイル10の左側の部分との間の距離は長くなる。そのため、送電コイル10と受電コイル7とが位置合わせされた状態において、受電コイル7の左側の部分を通る磁束量よりも、送電コイル10が左方向Lに位置ずれした状態において、受電コイル7の左側の部分を取る磁束量の方が少なくなる。
その結果、送電コイル10と受電コイル7とが位置合わせされた状態において、受電コイル7を通る磁束量よりも、送電コイル10が左方向Lに位置ずれした状態において、受電コイル7を通る磁束量の方が少なくなる。
その一方で、図30および図31に示すように、対向部分90,110の巻き数は多い。このため、送電コイル10が左方向Lに位置ずれすることで、受電コイル7の左側の部分を鎖交する磁束量が減ったとしても、対向部分90,110を鎖交する磁束量が僅かに増えることで、受電コイル7に生じる逆起電力に差が生じることが抑制される。
すなわち、送電コイル10と受電コイル7とが位置合わせされた状態のときの結合係数と、送電コイル10が位置ずれした状態における結合係数との差は小さい。
図33は、送電コイル10が受電コイル7に対して右方向Rに位置ずれした状態を示す断面図である。この図33に示すように、送電コイル10が右方向Rに位置ずれすることで、送電コイル10の右側部分と、受電コイル7の右側部分との間の距離が長くなる。このため、受電コイル7の右側部分を通る磁束量が少なくなる。
その一方で、送電コイル10の左側の部分と、受電コイル7の左側の部分との間の距離が短くなり、受電コイル7の左側の部分を通る磁束量が多くなる。
このため、送電コイル10が右方向Rに位置ずれした状態における結合係数と、送電コイル10と受電コイル7とが位置合わせされた状態における結合係数との差は小さい。
このように、本実施の形態3においても、送電コイル10が位置ずれしても、結合係数が大きく変動することを抑制することができる。
(実施の形態4)
上記実施の形態4においては、金属物として金属カバー71が設けられた例について説明したが、複数の金属物が設けられた例についても適用することができる。
なお、図1から図33に示す構成と同一または実質的に同一の構成については、同一の符号を付してその説明を省略する場合がある。
図34は、受電装置4、送電装置9およびその周囲を示す断面図である。この図34に示す例においては、フロアパネル52のうち受電装置4に対して左方向L側に位置する分割には、搭載機器130が設けられている。また、フロアパネル52のうち、受電装置4に対して右方向R側には、マフラ55が設けられている。
搭載機器130は、金属カバー133を含み、金属カバー133は受電コイル7よりも上方に位置する上部部分131と、上部部分131よりも下方に位置する下部部分132とを含む。
搭載機器130の金属カバー133および金属カバー71Bは、いずれも、アルミニウムまたは銅の少なくとも一方を主成分とする金属によって形成されている。
ここで、マフラ55の金属カバー71Bの方が、搭載機器130の金属カバー133よりも下方に位置している。
図35は、受電装置4の一部を示す平面図である。なお、この図35において、上段コイル67は図示されていない。
ここで、下段コイル66を形成するコイル線82は、まず、端部80から端部81に向かうにつれて巻軸O2との間の距離が短くなるように巻回される。そして、コイル線82は、複数回、中央コア69の周囲を取り囲むように巻かれた後、分割コア75Dおよび75Eの間から金属支持部材65内に引き込まれる。その後、分割コア75Aおよび分割コア75Bの間か引き出される。
このように、金属支持部材65内を通るように渡り線が形成され、当該渡り線が巻回方向の後方側から再度、金属支持部材65から引き出されることで、特定部分の巻き数が多くなるように形成されている。
そして、再度、コイル線82は、中央コア69の周囲を取り囲むように巻かれる。
その後、コイル線82は、分割コア75Iと分割コア75Jとの間から金属支持部材65内に引き込まれる。その後、コイル線82は、分割コア75Gと、分割コア75Hとの間から引き出され、端部81に向けて中央コア69の周囲を巻くように形成される。
このように、金属支持部材65内を通る渡り線が形成されており、当該渡り線あコイル線82の巻回方向の後方側から引き出され、その後、巻回方向に巻かれることで、多巻部93Bが形成されている。
その後、コイル線82は、端部81に向けて中央コア69の周囲を巻かれる。そして、再度、分割コア75Dおよび分割コア75Eの間かから金属支持部材65内に引き込まれる。そして、分割コア75Aと分割コア75Bとの間のから引き出される。
その後、コイル線82は、端部81に向けて中央コア69の周囲を取り囲むように巻回される。
上記のように、コイル線82を巻回することで、下段コイル66のうち、分割コア75Bから分割コア75Dの下面には、多巻部93Aが形成され、分割コア75Hおよび分割コア75Iの下面にも、多巻部93Bが形成される。そして、下段コイル66のうち、分割コア75E,75Fの下面と、分割コア75J,75K,75L,75Aの下面には、少巻部92A,92Bが形成される。
多巻部93A,93Bの巻き数は、92A,92Bよりも多く、多巻部93Aの巻き数は、多巻部93Bの巻き数よりも多い。
ここで、下段コイル66のうち、金属カバー71Bの下部部分72Bと対向する部分を対向部分90Aとし、搭載機器130の金属カバー133と対向する部分を対向部分90Bとする。図35に示すように、対向部分90Aには、多巻部93Aが位置しており、対向部分90Bには、多巻部93Bが位置している。
図36は、上段コイル67およびその周囲の構成を示す平面図である。なお、この図36において、下段コイル66は図示していない。上段コイル67も、下段コイル66と同様にコイル線82を巻回することで形成されている。
このため、上段コイル67のうち分割コア75B,75C,75Dの下面に位置する部分には、多巻部104Aが形成され、分割コア75H,75Iの下面に位置する部分には、多巻部104Bが形成される。
また、上段コイル67のうち、分割コア75E,75Fの下面に位置する部分と、分割コア75K,75Lの下面に位置する部分には少巻部92Bが形成されている。
そして、多巻部104A,104Bの巻き数は、少巻部92A,92Bの巻き数よりも多く、多巻部104Aの巻き数は、多巻部104Aの巻き数よりも多い。
ここで、上段コイル67のうち、下部部分72Bと対向する部分を対向部分110Aとし、金属カバー133の下部部分132と対向する部分を対向部分110Bとすると、対向部分110Aには、多巻部104Aが位置しており、対向部分110Bには、多巻部104Bが位置している。
すなわち、図35および図36において、受電コイル7のうち、金属カバー71Bの下部部分72Bと対向する部分には、多巻部93A,110Aが位置しており、受電コイル7のうち、金属カバー133の下部部分132と対向する部分には、多巻部93B,104Bが位置している。
上記のように構成された受電装置4の作用・効果について説明する。図34に示すように、受電装置4と送電装置9とを位置合わせさせた状態で、送電装置9から受電装置4に送電する。
送電装置9から受電装置4に向けて磁束が流れ、その一部が金属カバー71Bおよび金属カバー133内に入射する。金属カバー71Bの方が金属カバー133よりも地面側に近接しているため、下部部分72Bに入射する磁束量の方が、金属カバー133に入射する磁束量よりも多い。
このため、下部部分72Bに生じる渦電流の方が、金属カバー133の表面に形成される渦電流よりも多くなる。その結果、受電コイル7のうち、金属カバー71B側に位置する部分を通る磁束量の方が、金属カバー133側に位置する部分を通る磁束量よりも少ない。
図37は、送電装置9が受電装置4に対して左方向L側に位置ずれした状態を示す断面図である。この図37に示すように、受電コイル7の左側部分と、送電コイル10の左側部分とは離れ、受電コイル7の左側部分と送電コイル10の左側部分との間を通る磁束量が減る。なお、金属カバー133に入射する磁束量も減り、金属カバー133の表面に形成される渦電流も小さくなる。これにより、当該渦電流による影響も小さくなる。
その一方で、受電コイル7の右側部分と、送電コイル10の右側部分とが近接する。このため、受電コイル7の右側部分と、送電コイル10の右側部分とを通る磁束量が増えようとする。これにより、金属カバー71Bに入射する磁束量も増え、金属カバー71Bの表面に形成される渦電流も多くなる。当該渦電流が多くなることで、受電コイル7の右側部分に向かう磁束量が阻害される。その結果、送電コイル10の右側部分から受電コイル7に向かう磁束量は、微増する程度である。
具体的には、図35および図36において、受電コイル7のうち、金属カバー71Bに形成される渦電流の影響が大きい部分は、対向部分90A,110Aのが位置する部分でる。
その一方で、対向部分90A,110Aが位置する部分の巻き数は、他の部分の巻き数よりも多い。このため、対向部分90A,110Aを鎖交する磁束が微増すると、当該部分で生じる逆起電圧はある程度大きくなる。
その結果、送電装置9が左方向Lに位置ずれしても、受電コイル7と送電コイル10との間の結合係数と、受電コイル7と送電コイル10とが位置合わせされた状態の結合係数とに大きな差が生じることが抑制される。
図38は、送電装置9が右方向Rに位置ずれした状態を示す断面図である。この図38に示すように、送電装置9が右方向Rに位置ずれすることで、受電コイル7の右側部分と、送電コイル10の右側部分との間の距離が長くなる。そして、受電コイル7の右側部分と、送電コイル10の右側部分との間を通る磁束量が少なくなると共に、金属カバー71Bに入射する磁束量も少なくなり、金属カバー71の表面に形成される渦電流による影響も小さくなる。
その一方で、受電コイル7の左側部分と、送電コイル10の左側部分との間の距離が短くなり、受電コイル7の左側部分と、送電コイル10の左側部分とを通る磁束量が増えようとする。
このため、金属カバー133に入射する磁束量も多くなり、金属カバー133の表面に形成される渦電流も多くなる。当該渦電流が多くなると、送電コイル10の左側部分から受電コイル7の左側部分に向かう磁束への影響が大きくなる。
そのため、搭載機器130が設けられていない場合と比較すると、受電コイル7の左側部分を通る磁束量が少なくなる。
ここで、図37に示す送電装置9の右方向Rへの位置ずれ長さと、図38に示す送電装置9の位置ずれ長さは同じであるとする。
金属カバー133は、金属カバー71Bよりも上方に位置しているため、図38において、金属カバー133に入射する磁束量は、図37において、金属カバー71Bに入射する磁束量よりも少ない。このため、図38において、受電コイル7の左側部分を通る磁束量は、図37において、受電コイル7の右側部分を通る磁束量よりも多い。
このように、送電装置9が右方向Rに位置ずれすることで、搭載機器130が設けられていない場合と比較して、受電コイル7の左側部分に入射する磁束量は、少なくなる一方で、図37において、受電コイル7の右側部分を通る磁束量の低減よりも多くなる。
ここで、受電コイル7のうち、対向部分90B,110Bが位置する部分の巻き数は、少巻部92A,92Bよりも多い。このため、受電コイル7の左側部分に入射する磁束量が多少増えることで、当該対向部分90B,110Bで生じる誘導起電圧を大きく増やすことができる。なお、図37において、受電コイル7の右側部分を通る磁束量よりも、図38において、受電コイル7の左側部分を通る磁束量の方が多いため、対向部分90B,110Bの巻き数は、対向部分90B,110Bの巻き数よりも少ない。
このため、送電装置9が右方向Rに位置ずれすることで、受電コイル7の右側部分を鎖交する磁束量が少なくなったとしても結合係数が大きく小さくなることを抑制することができる。
その結果、送電装置9が右方向Rに位置ずれしたとしても、送電装置9と受電装置4とが位置合わせされた状態における結合係数と、図38に示すように、送電装置9が位置ずれしたとしたときの結合係数とに大きな差が生じることを抑制することができる。
このように、本実施の形態4に係る非接触充電システム1によれば、送電装置9が位置ずれしたとしても、受電コイル7および送電コイル10の間の結合係数が大きく変動することを抑制することができる。
(実施の形態5)
上記の実施の形態においては、受電装置4の周囲に複数の金属物が設けられている場合に、各金属物が同一種類の金属物が設けられている場合について説明したが、各金属物のの金属の種類が異なる場合においても、適用することができる。
なお、図39などに示す構成のうち、図1から図38に示す構成と同一または実質的に同一の構成については、同一の符号を付してその説明を省略する。
図39は、本実施の形態5に係る非接触充電システム1を示す断面図である。この図39において、マフラ55の金属カバー71Bは、アルミニウムおよび銅の少なくとも一方を主成分とする金属によって形成されている。
搭載機器130Aは、金属カバー133Bを含み、金属カバー133は、受電コイル7よりも上方に位置する上部部分131Bと、上部部分131Bよりも地面側に位置する下部部分132Bとを含む。下部部分132Bは、受電コイル7と水平方向に同じ位置に位置する部分と、受電コイル7よりも下方に位置する部分とを含む。
金属カバー133Bを形成する金属の透磁率は、アルミニウムを形成する金属の透磁率よりも高い。具体的には、金属カバー133Bは、たとえば、ステンレスおよび鉄の少なくとも一方を主成分とする金属によって形成されている。
すなわち、金属カバー71Bは、金属カバー71Bに入射する磁束によって渦電流が形成され易く、金属カバー133Bは、金属カバー133Bに入射した磁束は、金属カバー133B内を良好に流れる。
図40は、下段コイル66およびフェライト64を示す平面図である。この図40に示すように、下段コイル66は、端部80から端部81に向かうにつれて、巻軸O2の周囲を取り囲むように、コイル線82を巻回して形成されている具体的には、コイル線82は、分割コア75A,75B,75C,75D,75E,75F,75G,75H,75I,75J,75K,75Lを順次通るように巻回されている。
そして、下段コイル66は、分割コア75Gと分割コア75Hとの間から金属支持部材65内にコイル線82が引き込まれる。そして、分割コア75Iと、分割コア75Jとの間の間から引き出され、その後、上記の分割コアの巻回方向に延びるように形成されている。なお、分割コア75Iおよび分割コア75Jと間の隙間は、分割コア75Gおよび分割コア75Hとの間の隙間よりもコイル線82の巻回方向の下流側に位置している。
そして、コイル線82は、分割コア75Dおよび分割コア75Eとの間の隙間よりも巻回方向の下流側において、分割コア75Dと分割コア75Eとの間から金属支持部材65内に引き込まれる。そして、分割コア75Aと分割コア75Bとの間の隙間からコイル線82が引き出され、その後、上記巻回方向に向けてコイル線82が巻回されている。分割コア75Aおよび分割コア75Bの間に位置している隙間は、分割コア75Dと分割コア75Eとの間の隙間に対して上記巻回方向の上流側に位置している。
上記のようにコイル線82を巻回することで、下段コイル66は、下段コイル66のうち分割コア75B,75C,75Dの下面に位置する多巻部93Aと、分割コア75E,75F,75Gの下面に位置する少巻部92Aと、分割コア75H,75Iの下面に位置する少巻部92Cと、分割コア75J,75K,75L,75Aの下面に位置する少巻部92Bとを含む。
ここで、多巻部93Aの巻き数は、少巻部92A、92B,92Cの巻き数よりも多く、少巻部92A,92Bの巻き数は、少巻部92Cの巻き数よりも多い。
下段コイル66のうち、金属カバー133Bの下部部分132Bと対向する部分には、少巻部92Cが位置している。また、下段コイル66のうち、金属カバー71Bの下部部分72Bと対向する対向部分90Aには、多巻部93Aが位置している。
図41は、上段コイル67を示す平面図である。なお、上段コイル67は、下段コイル66と同様に形成されている。
上段コイル67は、分割コア75B,75C,75Dの下面に位置する多巻部104Aと、分割コア75E,75F,75Gの下面に位置する少巻部103Aと、分割コア75H,75Iの下面に位置する少巻部103Cと、分割コア75J,75K,75L,75Aの下面に位置する少巻部103Bとを含む。
多巻部104Aは少巻部103A,103B,103Cよりも巻き数が多く、少巻部103A,103Bの巻き数は、少巻部103Cの巻き数よりも多い。
上段コイル67のうち、金属カバー133Bの下部部分132Bと対向する対向部分110Bには少巻部103Cが位置している。上段コイル67のうち、金属カバー71Bの下部部分72Bと対向する対向部分110Aには、多巻部104Aが位置している。
このため、受電コイル7は、金属カバー133Bの下部部分132Bと対向する部分に形成された少巻部92C,103Cと、金属カバー71Bの下部部分72Bと対向する部分に形成された多巻部93A,110Aとを含む。
図39に示すように、受電装置4および送電装置9を互いに位置合わせさせた状態で、送電装置9から受電装置4に電力を送電すると、金属カバー71Bの下部部分72Bに入射する。金属カバー71Aは、アルミニウムおよび銅の少なくとも一方を主成分とする金属によって形成されているため、金属カバー71Aに入射した磁束は、金属カバー71Aによって反射される。
当該反射された磁束によって、送電コイル10から受電コイル7の右側部分に向かう磁束量が少なくなる。
その一方で、搭載機器130Aの金属カバー133Bにも磁束が入射する。金属カバー133Bは、鉄およびステンレスの少なくとも一方を主成分とする金属によって形成されているため、金属カバー133Bに入射した磁束は、金属カバー133B内を良好に流れる。そして、金属カバー133B内を流れた磁束の一部は、受電コイル7の左側部分に入射する。
図42は、送電装置9が左方向Lに位置ずれした状態を示す断面図である。この図42において、受電コイル7の左側部分と、送電コイル10の左側部分とが互いに離れる。このため、金属カバー133Bに入射する磁束量は少なくなる。また、送電コイル10の左側部分から受電コイル7の左側部分に直接向かう磁束量も少なくなる。
その結果、金属カバー133B内を通り、受電コイル7に向か磁束は、殆ど生じなくなる。
受電コイル7の右側部分と、送電コイル10の右側部分との間の距離は、短くなる。このため、金属カバー71Bに入射する磁束量が増え、金属カバー71Bによって反射される磁束量も増える。そして、当該反射された磁束によって進行が阻害される磁束量が増える。
その結果、送電コイル10の右側部分と、受電コイル7の右側部分との間の距離が短くなったとしても、受電コイル7の右側部分を通る磁束量は、受電装置4と送電装置9とが位置合わせされた状態において、受電コイル7の右側部分を通る磁束量と比較して、微増しかししない。
その一方で、図40および図41に示すように、受電コイル7のうち、金属カバー71Bの下部部分72Bと対向する対向部分90A,110Aの巻き数は多いため、増える磁束が僅かであっても、大きく起電力を発生させることができる。
このため、送電装置9が左方向Lに位置ずれしたとしても、受電コイル7と送電コイル10との間の結合係数が、受電装置4と送電装置9とが位置合わされた状態のときの結合係数から大きく変動することを抑制することができる。
図43は、送電装置9が右方向Rに位置ずれした状態を示す断面図である。この図43に示すように、送電装置9が右方向Rに位置ずれすることで、受電コイル7の左側部分と、送電コイル10の左側部分の間の距離が小さくなる。その結果、金属カバー133Bよって、受電コイル7に案内される磁束量が多くなる。
その一方で、図40および図41に示すように、受電コイル7の対向部分90B,110Bの巻き数は少ないため、金属カバー133Bによって案内される磁束量が増えたとしても、対向部分90B,110Bで生じる起電力が大きく上昇することを抑制することができる。
その結果、図43に示すように位置ずれしたときの結合係数が、受電装置4と送電装置9とが位置合わせされた状態における結合係数から大きく変動することを抑制することができる。
上記実施の形態1〜5においては、送電コイル10と受電コイル7とが位置合わせされた状態で、送電コイル10および受電コイル7の下方から送電コイル10および受電コイル7を平面視した際に、受電コイル7が送電コイル10内に位置するように、受電コイル7および送電コイル10が形成されたシステムについて説明した。しかし、本発明は、上記のようなシステムに限られない。
図44は、非接触充電システム1の変形例を示す平面図である。この図44に示す例においては、送電コイル10および受電コイル7が互いに位置合わせされている。送電コイル10および受電コイル7の下方から送電コイル10および受電コイル7を平面視すると、送電コイル10は、受電コイル7内に位置するように形成されている。
なお、マフラ55は金属カバー71は、上記実施の形態1と同様に、鉄およびステンレスの少なくとも一方を主成分とする金属によって形成されている。
受電コイル7は、マフラ55と対向する対向部分120を含み、対向部分120におけるコイル線の巻き数は、他の部分の巻き数よりも少ない。
図45は、送電コイル10がマフラ55に近接するように送電コイル10が位置ずれした状態を示す平面図である。この図45に示すように、送電コイル10が位置ずれすると、受電コイル7のうちマフラ55と反対側に位置する反対部分121と、送電コイル10との間の距離が大きくなる。その結果、受電コイル7のうち反対部分121を鎖交する磁束量が少なくなる。
その一方で、受電コイル7のマフラ55側の部分と、送電コイル10のマフラ55側である対向部分120とが近接する。
送電コイル10の対向部分120と、受電コイル7のマフラ55側の部分とを通る磁束量が多くなり、金属カバー71に入射する磁束量が多くなる。
さらに、金属カバー71によって、対向部分120によって受電コイル7に案内される磁束量も多くなる。
ここで、対向部分120のコイル線の巻き数は少ないため、対向部分120を鎖交する磁束量が過大になっても、対向部分120で生じる誘導起電圧が大きくなることが抑制されている。
このため、送電コイル10がマフラ55側に位置ずれしたとしても送電コイル10と受電コイル7との間の結合係数が大きく変動することが抑制されている。
なお、送電コイル10がマフラ55と反対側に位置ずれしたとすると、受電コイル7の反対部分121と送電コイル10とが近接し、反対部分121を鎖交する磁束量が多くなる。その一方で、受電コイル7の対向部分120と送電コイル10との間の距離が大きくなり、受電コイル7の対向部分120を鎖交する磁束量が少なくなる。
このため、送電コイル10がマフラ55と反対側に位置ずれしたとしも、送電コイル10と受電コイル7との間の結合係数が小さくなることを抑制することができる。
なお、上記図39および図40に示す例においては、金属カバー71がステンレスおよび鉄の少なくとも一方を主成分とする金属で形成した例について説明した。
金属カバー71がステンレスや銅などのように、ステンレスの透磁率以下の金属で形成した場合には、受電コイル7の対向部分120の巻き数を他の部分よりも多くする。
このように、本願発明は、各種のコイル形状が採用されたシステム適用することができる。
なお、今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。