JP6286614B2 - 細胞のシート形成能の評価方法 - Google Patents

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Description

本発明は、細胞のシート形成能を評価する方法およびシステムなどに関する。
近年、損傷した組織等の修復のために、種々の細胞を移植する試みが行われている。例えば、狭心症、心筋梗塞などの虚血性心疾患により損傷した心筋組織の修復のために、胎児心筋細胞、骨格筋芽細胞、間葉系幹細胞、心臓幹細胞、ES細胞等の利用が試みられている(非特許文献1)。
このような試みの一環として、スキャフォールドを利用して形成した細胞構造物や、細胞をシート状に形成したシート状細胞培養物が開発されてきた(特許文献1)。
シート状細胞培養物の治療への応用については、火傷などによる皮膚損傷に対する培養表皮シートの利用、角膜損傷に対する角膜上皮シート状細胞培養物の利用、食道ガン内視鏡的切除に対する口腔粘膜シート状細胞培養物の利用などの検討が進められている。
このような細胞培養物を臨床応用する場合には、その適用可能性や有効性、安全性、保存性、移送性などを担保するため、製造方法を最適化する指標の設定や、品質管理の一環としてシート状細胞培養物の強度などの品質を評価することが必要である。シート状細胞培養物の強度などの評価に関し、特許文献2には、シート化培養における液体培地中の非接着細胞濃度またはその変化を測定することにより、シート状細胞培養物のシート化状態を判定する方法が、特許文献3には、シート形成細胞と培養容器との接着率を算出し、これに基づきシート状細胞培養物の形成を判定する方法が、それぞれ記載されている。
特表2007−528755号公報 特開2012−152188号公報 特開2012−152189号公報
Haraguchi et al., Stem Cells Transl Med. 2012 Feb;1(2):136-41
本発明は、細胞のシート形成能を評価するための方法およびシステムなどの提供を目的とする。
本発明者は、シート状細胞培養物を研究する中で、同じ培養条件でシート状細胞培養物を製造しても、シート状細胞培養物を培養基材から剥離する際に破損し、シート形状を維持できないケースや、シート化培養期間が終了する前にシート状細胞培養物が培養基材から自発的に剥離してしまうケースがあることに気付いた。そして、細胞が通常の条件で正常なシート状細胞培養物を形成し得るか否かを何らかの方法で判定できればシート状細胞培養物の製造を効率化できると考えさらに研究を進めたところ、シート化培養時の細胞培養物の電気抵抗などの数値に基づいて正常なシート状細胞培養物を形成し得る細胞とそうでない細胞とを区別できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は以下に関する。
<1>(1)シート化培養中の細胞培養物のインピーダンスおよび/もしくは電気抵抗またはこれに関連する数値を決定するステップ、
(2)ステップ(1)で決定した数値と基準値とを比較するステップ、
(3)ステップ(2)で得た比較結果に基づき細胞のシート形成能を判定するステップ
を含む、細胞のシート形成能を評価する方法。
<2>(1)シート化培養中の細胞培養物のインピーダンスおよび/もしくは電気抵抗またはこれに関連する数値を決定するステップ、
(2)ステップ(1)で決定した数値と基準値とを比較するステップ、
(3)ステップ(2)で得た比較結果に基づき細胞のシート形成能を判定するステップ
(4)ステップ(3)で得た判定結果に基づいてシート状細胞培養物の製造過程を制御するステップ
を含む、シート状細胞培養物の製造方法。
<3>ステップ(1)において、インピーダンスおよび/または電気抵抗の決定が定期的に行われる、上記<1>または<2>に記載の方法。
<4>ステップ(1)において、電流に対する電圧の位相をさらに決定する、上記<1>〜<3>のいずれか一項に記載の方法。
<5>ステップ(1)におけるインピーダンスの決定が、2以上の周波数において行われる、上記<1>〜<4>のいずれか一項に記載の方法。
<6>インピーダンスに関連する数値が、細胞培養物の電気抵抗、キャパシタンス、Rb、α、Rb/α、Cmからなる群から選択されるパラメータ、ならびに、該パラメータのピーク値、ピーク時間およびピークまでの傾きからなる群から選択される、上記<1>〜<5>のいずれか一項に記載の方法。
<7>ステップ(3)において、電気抵抗が基準値以下であるか、基準値より小さい場合に、細胞のシート形成能が低いと判定する、上記<1>〜<6>のいずれか一項に記載の方法。
<8>ステップ(3)において、Rb、αおよびRb/αが基準値以下であるか、基準値より小さい場合に、細胞のシート形成能が低いと判定する、上記<6>または<7>に記載の方法。
<9>ステップ(3)において、Rb、αおよびRb/αが基準値以上であるか、基準値より大きい場合に、細胞のシート形成能が適正または過剰と判定する、上記<6>または<7>に記載の方法。
<10>ステップ(3)において、電気抵抗のピーク値、Rbのピーク値およびRbのピークまでの傾きからなる群から選択される数値が基準値以下であるか、基準値より小さい場合、および/または、電気抵抗のピーク時間およびRbのピーク時間からなる群から選択される数値が基準値以上であるか、基準値より大きい場合に、細胞のシート形成能が低いと判定する、上記<6>に記載の方法。
<11>ステップ(3)において、電気抵抗のピーク時間およびRbのピーク時間からなる群から選択される数値が基準値以下であるか、基準値より小さく、かつ、Rb/αのピーク値およびRb/αのピークまでの傾きからなる群から選択される数値が基準値以下であるか、基準値より小さい場合、および/または、電気抵抗のピーク時間およびRbのピーク時間からなる群から選択される数値が基準値以下であるか、基準値より小さく、かつ、Rb/αのピーク時間が基準値以上であるか、基準値より大きい場合に、細胞のシート形成能が適正と判定する、上記<6>に記載の方法。
<12>ステップ(3)において、Rb/αのピーク値およびRb/αのピークまでの傾きからなる群から選択される数値が基準値以上であるか、基準値より大きい場合、および/または、Rb/αのピーク時間が基準値以下であるか、基準値より小さい場合に、細胞のシート形成能が過剰と判定する、上記<6>に記載の方法。
<13>細胞をシート化培養するための容器と、容器中の細胞培養物のインピーダンスおよび/または電気抵抗を決定するための測定器とを備えた、細胞のシート形成能を評価するためのシステム。
本発明のシート形成能評価方法により、細胞のシート形成能を判定することができるため、細胞のシート形成能に応じてシート状細胞培養物の製造過程を調整することなどにより、シート状細胞培養物の製造を効率化することが可能となる。
図1は、剥離シートの外観を示した写真図である。 図2は、弱シートの外観を示した写真図である。 図3は、正常シートの外観を示した写真図である。 図4は、弱シート(Weak)、正常シート(Normal)および剥離シート(Detaching)の電気抵抗(R)の経時的変化を示したグラフである。 図5は、弱シート(Weak)、正常シート(Normal)および剥離シート(Detaching)のRbおよびαの経時的変化を示したグラフである。 図6は、弱シート(Weak)、正常シート(Normal)および剥離シート(Detaching)のRb/αの経時的変化を示したグラフである。 図7は、弱シート(Weak)、正常シート(Normal)および剥離シート(Detaching)の電気抵抗(R)、Rb、αおよびRb/αのピーク値を示したグラフである。*はp<0.005を表す。 図8は、弱シート(Weak)、正常シート(Normal)および剥離シート(Detaching)の電気抵抗(R)、Rb、αおよびRb/αのピーク時間を示したグラフである。 図9は、弱シート(Weak)、正常シート(Normal)および剥離シート(Detaching)の電気抵抗(R)、Rb、αおよびRb/αのピークまでの傾きを示したグラフである。*はp<0.005を表す。
本明細書において別様に定義されない限り、本明細書で用いる全ての技術用語および科学用語は、当業者が通常理解しているものと同じ意味を有する。本明細書中で参照する全ての特許、出願および他の出版物や情報は、その全体を参照により本明細書に援用する。
本発明の一側面は、(1)シート化培養中の細胞培養物のインピーダンスおよび/もしくは電気抵抗またはこれに関連する数値を決定するステップ、
(2)ステップ(1)で決定した数値と基準値とを比較するステップ、
(3)ステップ(2)で得た比較結果に基づき細胞のシート形成能を判定するステップ
を含む、細胞のシート形成能を評価する方法(以下、「シート形成能評価方法」と略す場合がある)に関する。
本発明において、「シート形成能」は、細胞がシート状細胞培養物を形成する能力を意味する。ここで「シート状細胞培養物」は、細胞が細胞間接着などにより互いに連結してシート状になったものをいう。特定の理論に拘束されることは望まないが、細胞が適切な細胞間接着を形成する能力を有するとともに、培養基材への適切な接着力などを有することが、シート状細胞培養物を形成する上で重要と考えられる。したがって、シート形成能は、細胞間接着能や、培養基材への接着能などを含む、細胞のシート形成に係る総合的な能力であるということができる。
シート状細胞培養物は、典型的には1の細胞層からなるものであるが、2以上の細胞層の積層から構成されるものも含む。シート状細胞培養物において、細胞同士は、直接(接着分子などの細胞要素を介するものを含む)および/または介在物質を介して、互いに連結していてもよい。介在物質としては、細胞同士を少なくとも物理的(機械的)に連結し得る物質であれば特に限定されないが、例えば、細胞外基質などが挙げられる。介在物質は、好ましくは細胞由来のもの、特に、シート状細胞培養物を構成する細胞に由来するものである。細胞は少なくとも物理的(機械的)に連結されるが、さらに機能的、例えば、化学的、電気的に連結されてもよい。シート状細胞培養物は、培養基材に付着していても遊離(剥離)していてもよいが、典型的には、培養基材からシート形状を維持したまま遊離しているもの(単離シート状細胞培養物または遊離シート状細胞培養物と称する場合もある)を指す。
本発明において、「シート化培養」は、培養容器に播種した細胞を、シート状細胞培養物を形成する(すなわち、シート化する)ように培養することを意味する。シート化培養は、典型的には、培養容器にシート状細胞培養物を形成し得る細胞を播種し、所定の期間、細胞間接着を形成する条件下で培養して細胞同士を相互作用させ、細胞同士を連結させることにより行う。細胞間接着を形成する条件は、細胞間接着を形成することができる任意の条件を含み、これには、限定されずに、例えば、一般的な細胞培養条件が含まれる。かかる条件としては、例えば、37℃、5%COでの培養が挙げられる。また、当業者であれば、播種する細胞の種類に応じて最適な条件を選択することができる。シート化培養の非限定例は、例えば、特許文献1、特開2010-081829、特開2010-226991、特開2011-110368、特開2011-172925、WO 2014/185517などに記載されている。
細胞の播種は、既知の任意の手法および条件で行うことができる。細胞の播種は、例えば、細胞をシート化媒体に懸濁した細胞懸濁液を容器に注入することにより行ってもよい。細胞懸濁液の注入には、スポイトやピペットなど、細胞懸濁液の注入操作に適した器具を用いることができる。
細胞の播種密度は特に限定されないが、例えば、細胞が実質的に増殖することなくシート状細胞培養物を形成し得る密度であってもよい。「細胞が実質的に増殖することなくシート状細胞培養物を形成し得る密度」とは、成長因子を実質的に含まない非増殖系の培養液で培養した場合に、シート状細胞培養物を形成することができる細胞密度を意味する。この播種密度は、成長因子を含む培養液を用いる手法におけるものよりも高いものであり、細胞がコンフルエントに達する密度以上であってもよい。かかる密度の非限定例は、例えば、1.0×10個/cm以上である。播種密度の上限は、細胞培養物の形成が損なわれず、細胞が分化に移行しなければ特に制限されないが、3.4×10個/cm未満であってもよい。
「細胞が実質的に増殖することなくシート状細胞培養物を形成し得る密度」は、ある態様では1.0×10〜3.4×10個/cm、別の態様では3.0×10〜3.4×10個/cm、さらに別の態様では3.5×10〜3.4×10個/cm、さらに別の態様では1.0×10〜3.4×10個/cm、さらに別の態様では3.0×10〜1.7×10個/cm、別の態様では3.5×10〜1.7×10個/cm、さらに別の態様では1.0×10〜1.7×10個/cmである。上記範囲は、上限が3.4×10個/cm未満である限り、上限および下限の両方、または、そのいずれか一方を含んでもよい。したがって、上記密度は、例えば、3.0×10個/cm以上3.4×10個/cm未満(下限を含み、上限は含まない)、3.5×10個/cm以上3.4×10個/cm未満(下限を含み、上限は含まない)、1.0×10個/cm以上3.4×10個/cm未満(下限を含み、上限は含まない)、1.0×10個/cm超3.4×10個/cm未満(下限も上限も含まない)、1.0×10個/cm超1.7×10個/cm以下(下限は含まないが、上限は含む)であってもよい。
シート化に用いるシート化媒体としては、導電性を有するものであれば特に限定されず、例えば、生理食塩水、電解質を含む種々の生理緩衝液(例えば、PBS、HBSS等)、種々の細胞培養用の基礎培地をベースにしたものなどを使用してもよい。かかる基礎培地には、限定されずに、例えば、DMEM、MEM、F12、DME、RPMI1640、MCDB(MCDB102、104、107、120、131、153、199など)、L15、SkBM、RITC80−7、DMEM/F12などが含まれる。これらの基礎培地の多くは市販されており、その組成も公知となっている。基礎培地は、標準的な組成のまま(例えば、市販されたままの状態で)用いてもよいし、細胞種や細胞条件に応じてその組成を適宜変更してもよい。したがって、本発明に用いる基礎培地は、公知の組成のものに限定されず、1または2以上の成分が追加、除去、増量もしくは減量されたものを含む。シート化媒体は、血清(例えば、ウシ胎仔血清などのウシ血清、ウマ血清、ヒト血清等)、種々の成長因子(例えば、FGF、EGF、VEGF、HGF等)などの添加物を含んでもよい。
シート状細胞培養物を形成し得る細胞は、限定されずに、例えば、接着細胞(付着性細胞)を含む。接着細胞は、例えば、接着性の体細胞(例えば、心筋細胞、線維芽細胞、上皮細胞、内皮細胞、肝細胞、膵細胞、腎細胞、副腎細胞、歯根膜細胞、歯肉細胞、骨膜細胞、皮膚細胞、滑膜細胞、軟骨細胞など)および幹細胞(例えば、筋芽細胞、心臓幹細胞などの組織幹細胞、胚性幹細胞、iPS(induced pluripotent stem)細胞などの多能性幹細胞、間葉系幹細胞等)などを含む。体細胞は、幹細胞、特にiPS細胞から分化させたものであってもよい。シート状細胞培養物を形成し得る細胞の非限定例としては、例えば、筋芽細胞(例えば、骨格筋芽細胞など)、間葉系幹細胞(例えば、骨髄、脂肪組織、末梢血、皮膚、毛根、筋組織、子宮内膜、胎盤、臍帯血由来のものなど)、心筋細胞、線維芽細胞、心臓幹細胞、胚性幹細胞、iPS細胞、滑膜細胞、軟骨細胞、上皮細胞(例えば、口腔粘膜上皮細胞、網膜色素上皮細胞、鼻粘膜上皮細胞など)、内皮細胞(例えば、血管内皮細胞など)、肝細胞(例えば、肝実質細胞など)、膵細胞(例えば、膵島細胞など)、腎細胞、副腎細胞、歯根膜細胞、歯肉細胞、骨膜細胞、皮膚細胞等が挙げられる。
細胞培養物のインピーダンスおよび/または電気抵抗の決定は、既知の任意の手法で行うことができる。インピーダンスの決定は、限定されずに、例えば、細胞培養物に交流電圧を印加し、電流を測定すること、細胞培養物に交流電流を流し、電圧を測定することなどにより電圧と電流とを決定し、電圧を電流で除すること等により行うことができる。また、電気抵抗の決定は、限定されずに、例えば、細胞培養物に直流電圧を印加し、電流を測定すること、細胞培養物に直流電流を流し、電圧を測定することなどにより電圧と電流とを決定し、電圧を電流で除すること等により行うことができる。インピーダンスおよび/または電気抵抗を決定するための装置(インピーダンス測定器、抵抗計等)は周知であり、こうした装置を細胞培養物のインピーダンスおよび/または電気抵抗の決定に用いることができる。
電圧の印加は、限定されずに、例えば、細胞培養物を、作用電極と対電極との間を流れる電流を遮る位置に形成させ、細胞培養物を介して作用電極と対電極との間に電圧を印加することなどによって行うことができる。電圧印加の非限定例としては、例えば、作用電極および対電極を培養容器の内部底面に配置し、その上に細胞培養物を形成させ、作用電極と対電極との間に電圧を印加すること、作用電極および対電極のいずれか一方を細胞培養物の基底面側、他方を上面側に配置し、作用電極と対電極との間に電圧を印加することなどが挙げられる。
細胞培養物のインピーダンスを決定する方法としては、ECIS(Electric Cell-substrate Impedance Sensing)法などが、細胞培養物の電気抵抗を決定する方法としては、ECIS法、TEER(Trans Epithelial Electric Resistance)測定法などがそれぞれ知られている。また、細胞培養物のインピーダンスおよび/または電気抵抗の決定のための装置も周知であり(例えば、米国特許第5187096号など)、また、市販されており(例えば、Applied BioPhysicsのECIS Z、ECIS Zθ、World Precision InstrumentsのEVOM2など)、こうした装置を本発明のシート形成能評価方法に用いることができる。
インピーダンスおよび/または電気抵抗の決定に加え、インピーダンスの決定に付随して、電圧または電流の位相を決定してもよい。電圧または電流の位相の決定は既知の任意の手法、限定されずに、例えば、ロックイン増幅器などを用いた手法などにより行うことができる。電圧または電流の位相を決定することにより、インピーダンスからレジスタンス(電気抵抗)やリアクタンスなどを決定することができる。
インピーダンスを決定する際に印加する交流電流の周波数は1種類であっても、2種類以上であってもよい。電極間に存在する細胞培養物は、後述のECISモデルのように、コンデンサとして機能し得るため、インピーダンスは周波数により異なり得、この違いをシート形成能の評価に用いることもできる。使用する周波数は、細胞のシート形成能に関する情報が得られるものであれば特に限定されず、例えば、31.25Hz〜64KHz、4KHz〜64KHz等であってよく、特に、62.5Hz、125Hz、250Hz、500Hz、1KHz、2KHz、4KHz、8KHz、16KHz、32KHz、64KHz等であってよい。
細胞培養物のインピーダンスおよび/または電気抵抗の決定は、定期的に行うことができる。前記決定を定期的に複数回行うことにより、インピーダンスおよび/または電気抵抗の経時的変化を検出および/またはモニターすることができる。決定の間隔は特に限定されないが、例えば、0.001秒〜3時間、0.01秒〜1時間、0.05秒〜30分、0.1秒〜10分、1秒〜1分等であってよい。インピーダンスおよび/または電気抵抗を決定する期間も、シート形成能の評価のための情報が得られる限り特に限定されず、例えば、72時間以内、48時間以内、36時間以内、24時間以内、12時間以内、10時間以内、8時間以内、6時間以内等であってよい。
インピーダンスおよび/または電気抵抗に関連する数値は、限定されずに、例えば、インピーダンスおよび/または電気抵抗の決定に付随して決定される数値、インピーダンスおよび/または電気抵抗から算出される数値、これらの数値からさらに算出される数値などを含む。インピーダンスの決定に付随して決定される数値としては、限定されずに、例えば、電圧、電流、交流電圧の周波数、決定時間(例えば、シート化培養の開始からの経過時間)、測定する電圧または電流の位相などが挙げられる。電気抵抗の決定に付随して決定される数値としては、限定されずに、例えば、電圧、電流、決定時間などが挙げられる。インピーダンスおよびインピーダンスの決定に付随して決定される数値から算出される数値としては、限定されずに、例えば、細胞培養物の電気抵抗、キャパシタンス、Rb、α、Cm、Rb/α、これらのピーク値、ピーク時間、ピークまでの傾き、時間に対する微分係数、所定期間内における経時的な変化量や変化率などが挙げられる。
ECISモデル(Giaever and Keese, Proc Natl Acad Sci U S A. 1991 Sep 1;88(17):7896-900など参照)によると、決定されるインピーダンス(Z)は、レジスタンス(R)とリアクタンス(Xc)とから構成され、レジスタンスは、電流と同相の電圧を電流で除したもの、リアクタンスは電流と異相の電圧を電流で除したものとすることができる。ここで、キャパシタンス(C)は、周波数をfとすると、Xc=1/(2πfC)およびZ=(R+Xc0.5から算出することができる。したがって、細胞培養物の存在下で決定したインピーダンス、電流、電圧、位相、周波数を基に、細胞培養物の電気抵抗(レジスタンス)およびキャパシタンスを算出することができる。
Rb、α、CmもECISモデルを用いて算出することができる。ECISモデルは、作用電極上に播種した細胞を、絶縁性の膜からなる表面を有し、内部が導電性の電解液で満たされた円柱状の物体とみなし、細胞の基底面の作用電極から交流電流を流した場合、細胞間隙は電流が対電極に流れる際に抵抗の役割を果たし、細胞はコンデンサの役割を果たす。ECISモデルでは、細胞間隙の抵抗をRb、細胞膜のキャパシタンスをCmと称する。また、細胞の基底面は電極に一様に接着しているわけではなく、部分的にしか接着していないことから、基底面と電極との間には高さhの一様な空隙が存在すると仮定すると、基底面と電極との間に抵抗が存在することになる。ECISモデルでは、基底面と電極との間の抵抗を表すパラメータとして、αを用いている。なお、α=rc(ρ/h)0.5であり、式中、rcは細胞の半径、ρは培地(シート化媒体)の抵抗をそれぞれ表す。Rbおよびαは、以下の式から算出することができる(上記Giaever and Keese、Opp et al., Biosens Bioelectron. 2009 Apr 15;24(8):2625-9など参照)。
前式中、Zcは細胞で被覆された電極(作用電極)の単位面積当たりのインピーダンスを表し、Znは細胞で被覆されていない電極の単位面積当たりのインピーダンスを表し、Zmは細胞培養物の単位面積当たりのインピーダンスを表し、IおよびIは、0次および1次の第1種変形ベッセル関数を表し、Sは電極面積を表し、Rnは細胞で被覆されていない電極の抵抗の決定値であり、fは交流電圧の周波数であり、Cnは細胞で被覆されていない電極のキャパシタンスの決定値であり、Rmは細胞膜の抵抗であり、Cmは細胞膜のキャパシタンスである。なお、R、C、Rb、αおよびCmの各パラメータは、ECISZθ(Applied BioPhysics)に付属のソフトウェアで出力することができる。Rb/αは、Rbをαで除したものである。
ピーク値およびピーク時間は、R、C、Rb、α、Cm、Rb/αなどのパラメータがピークに達した時点の数値および経過時間を表し、ピークまでの傾きは、ピーク値をピーク時間で除したものである。例3に示すとおり、細胞を播種すると、R、Rb、αおよびRb/αは、シート化培養期間の比較的早い段階でピークを付け、その後徐々に低下していくことが明らかとなった。したがって、ピークに関連する数値を判定に利用することで、細胞のシート形成能を早期に判定することができる。
ステップ2における基準値は、細胞のシート形成能の程度を判定するために設定される数値であり、シート形成能の程度が既知の細胞を用いた予備実験等により設定することができる。シート形成能の程度としては、限定されずに、例えば、正常なシート状細胞培養物(正常シート)を形成する「適正な」シート形成能、および、正常なシート状細胞培養物を形成できない「異常な」シート形成能の2段階のレベルや、正常なシート状細胞培養物(正常シート)を形成する「適正な」シート形成能、培養基材から剥離する際に破損し、シート形状を維持できないシート状細胞培養物(弱シート)を形成する「低い」シート形成能、シート化培養期間が終了する前に培養基材から自発的に剥離してしまうシート状細胞培養物(剥離シート)を形成する「過剰な」シート形成能の3段階のレベルなどが挙げられる。シート形成能が上記の2段階または3段階のレベルのいずれに該当するかを判定するための基準値としては、限定されずに、例えば、あるレベルのシート形成能を有する細胞の所定の割合以上が充足するまたは充足しない数値範囲や、あるレベルのシート形成能を有する細胞の所定の割合以上が充足するが、他のレベルのシート形成能を有する細胞の所定の割合以上は充足しない数値範囲などが挙げられる。かかる割合の非限定例としては、例えば、60%、70%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%、100%が挙げられる。この割合が高いほど、基準値として信頼性の高いものとなる。
例えば、例3の表13に示すとおり、電気抵抗のピーク値として「550Ω未満」という基準値を設定すると、「低い」シート形成能を有する細胞の100%がこの基準値を充足し、「適正な」シート形成能を有する細胞および「過剰な」シート形成能を有する細胞の100%がこの基準を充足しないこととなり、前記基準値は、「低い」シート形成能を有する細胞と、「適正な」シート形成能を有する細胞および「過剰な」シート形成能を有する細胞とを区別するための基準値として極めて信頼性が高いということができる。また、電気抵抗のピーク時間として「6時間超」という基準値を設定すると、「低い」シート形成能を有する細胞の18%しかこの基準値を充足しないものの、「適正な」シート形成能を有する細胞および「過剰な」シート形成能を有する細胞の100%がこの基準を充足しないところ、この基準値を充足する細胞は、ほぼ確実に「低い」シート形成能を有するといえるため、前記基準値は、「低い」シート形成能を有する細胞であると判定するための基準値として極めて信頼性が高いということができる。
基準値は全ての種類の数値について設定してもよいし、シート形成能の評価に有用な特定の種類の数値のみについて設定してもよい。シート形成能の評価に有用な数値の種類としては、限定されずに、例えば、シート形成能のレベルが異なる細胞群間で統計学的有意差が認められる数値の種類などを選択することができる。例えば、例3の表7〜10に示すとおり、弱シート形成細胞、正常シート形成細胞および剥離シート形成細胞との間で、一部の種類の数値について統計学的有意差が認められたが(例えば、弱シートと正常シートの間では、R、RbおよびRb/αのピーク値およびピークまでの傾き、ならびにαのピーク値に、弱シートと剥離シートの間では、RおよびRbのピーク値およびピークまでの傾きにそれぞれ統計学的有意差が認められた)、これらの種類の数値について基準値を設定することで、表13〜14に示すとおり、信頼性の高い基準値が得られることが分かる。
細胞培養物のインピーダンスや電気抵抗は、細胞の種類によって異なり得るため、基準値も細胞培養物を構成する細胞の種類や細胞種の構成比などによって異なることが考えられる。しかしながら、当業者であれば、本明細書、特に下記の例を参照することにより、特定の細胞種や特定の細胞構成比を有する細胞集団について適切な基準値を設定することができる。したがって、下記の例に記載した基準値の具体的な数値は例示にすぎず、本発明の範囲はこれらの具体的な数値に限定されないことを理解すべきである。
ステップ(1)で決定した数値と基準値との比較は、例えば、基準値が単一の数値である場合、ステップ(1)で決定した数値が基準値より大きいか、小さいか、等しいか、基準値以下であるか、以上であるかを決定することなどにより、基準値が数値範囲である場合、ステップ(1)で決定した数値が基準値に含まれるか、上限より大きいか、下限より小さいか、上限以上か、下限以下かを決定することなどにより行うことができる。
ステップ(3)におけるシート形成能の判定は、例えば、ステップ(1)で決定した数値と基準値とを比較した結果、前記数値が、どのようなシート形成能に該当するかを、設定した基準値の性質に基づいて決定することにより行うことができる。例えば、基準値が単一の数値であり、基準値未満が「異常な」シート形成能、基準値以上が「適正な」シート形成能と関連付けられている場合、ステップ(1)で決定した数値が基準値未満であれば、シート形成能が「異常」であると決定し、基準値以上であれば、シート形成能が「適正」であると決定することができる。また、例えば、基準値が数値範囲であり、基準値の範囲内が「適正な」シート形成能、基準値の下限未満が「低い」シート形成能、基準値の上限超が「過剰な」シート形成能と関連付けられている場合、ステップ(1)で決定した数値が基準値の範囲内であれば、シート形成能が「適正」であると決定し、基準値の下限未満であれば、シート形成能が「低い」と決定し、基準値の上限より大きければ、シート形成能が「過剰」と決定することができる。
ステップ(2)〜(3)は1回のみ行っても、複数回行ってもよい。例えば、3段階以上のシート形成能を決定する場合、ステップ(2)〜(3)を1回行うごとに1段階ずつシート形成能を決定して行くことができる。より具体的には、例えば例3を参照して説明すると、電気抵抗のピーク値の基準値として「550Ω未満」を設定した場合、シート形成能が「低い」細胞と、シート形成能が「適正」および「過剰」な細胞とを区別することができるが、シート形成能が「適正」な細胞とシート形成能が「過剰」な細胞とを十分区別することはできない。一方、Rb/αのピーク値の基準値として「0.55cm・Ω0.5超」を設定した場合、シート形成能が「過剰」な細胞と、シート形成能が「低い」および「適正」な細胞とを区別することができるが、シート形成能が「低い」細胞とシート形成能が「適正」な細胞とを十分区別することはできない。したがって、まず1回目のステップ(2)〜(3)で、ステップ(1)で決定した数値と、電気抵抗のピーク値の基準値「550Ω未満」とを比較してシート形成能が「低い」細胞と、シート形成能が「適正」および「過剰」な細胞とを区別し、2回目のステップ(2)〜(3)で、ステップ(1)で決定した数値と、Rb/αのピーク値の基準値「0.55cm・Ω0.5超」とを比較して、シート形成能が「適正」な細胞とシート形成能が「過剰」な細胞とを区別することで、全ての段階のシート形成能を判定することができる。
ステップ(3)の一態様においては、電気抵抗が基準値以下であるか、基準値より小さい場合に、細胞のシート形成能が低いと判定する。ステップ(3)の別の態様においては、Rb、αおよびRb/αが基準値以下であるか、基準値より小さい場合に、細胞のシート形成能が低いと判定する。ステップ(3)の別の態様においては、Rb、αおよびRb/αが基準値以上であるか、基準値より大きい場合に、細胞のシート形成能が適正または過剰と判定する。図4〜5に示すとおり、電気抵抗、Rb、αおよびRb/αは、シート化培養の全ての時点において、シート形成能が低い細胞の方が、シート形成能が適正または過剰な細胞より低くなっているため、これらの態様において、電気抵抗、Rb、αおよびRb/αは、シート化培養中の任意の時点で決定したものであってもよい。
ステップ(3)の別の態様においては、電気抵抗のピーク値、Rbのピーク値およびRbのピークまでの傾きからなる群から選択される数値が基準値以下であるか、基準値より小さい場合、および/または、電気抵抗のピーク時間およびRbのピーク時間からなる群から選択される数値が基準値以上であるか、基準値より大きい場合に、細胞のシート形成能が低いと判定する。ステップ(3)の別の態様においては、電気抵抗のピーク時間およびRbのピーク時間からなる群から選択される数値が基準値以下であるか、基準値より小さく、かつ、Rb/αのピーク値およびRb/αのピークまでの傾きからなる群から選択される数値が基準値以下であるか、基準値より小さい場合、および/または、電気抵抗のピーク時間およびRbのピーク時間からなる群から選択される数値が基準値以下であるか、基準値より小さく、かつ、Rb/αのピーク時間が基準値以上であるか、基準値より大きい場合に、細胞のシート形成能が適正と判定する。ステップ(3)の別の態様においては、Rb/αのピーク値およびRb/αのピークまでの傾きからなる群から選択される数値が基準値以上であるか、基準値より大きい場合、および/または、Rb/αのピーク時間が基準値以下であるか、基準値より小さい場合に、細胞のシート形成能が過剰と判定する。
本発明のシート形成能評価方法は、移植などに実際に使用するシート状細胞培養物に適用しても、同一条件で作製される複数のシート状細胞培養物からなるロットを代表するシート状細胞培養物に適用してもよい。後者の場合、本方法によるシート形成能評価の結果を、当該培養物が属するロット全体に適用することができる。また、この場合、本方法によるシート形成能品質評価の結果に基づいて、当該培養物が属するロット全体の製造過程を調整することができる。例えば、本方法により細胞のシート形成能が低いと評価された場合には、限定されずに、例えば、培地への細胞外基質成分(例えば、コラーゲン、ラミニン、フィブロネクチン、ビトロネクチン、ゼラチン、プロテオグリカン、グリコサミノグリカン等)や細胞外基質の産生を促進する因子(例えば、アスコルビン酸、その誘導体(例えば、アスコルビン酸2リン酸、アスコルビン酸1リン酸等)、その塩(例えば、ナトリウム塩、マグネシウム塩等)など)の添加、血清、細胞外基質成分等で表面がコートされた培養基材の使用、より高い細胞密度での播種といった、細胞間の結合力を増強するための措置などを講じることができる。また、シート形成能が過剰と評価された場合には、限定されずに、例えば、細胞接着性の高い培養基材(例えば、表面がネガティブにチャージされた培養基材(Corning(R) CellBIND(R)等)や、接着因子がコーティングされた培養基材等)の使用、培養基材表面の血清、細胞外基質成分、接着因子等によるコーティングといった、細胞と培養基材との接着を増強するための措置や、シート化培養時間の短縮、シート状細胞培養物の培養基材からの剥離を早期に検出するための頻繁なモニタリングといった、剥離の兆候を早期に検出するための措置などを講じることができる。
本発明の別の側面は、(1)シート化培養中の細胞培養物のインピーダンスおよび/もしくは電気抵抗またはこれに関連する数値を決定するステップ、
(2)ステップ(1)で決定した数値と基準値とを比較するステップ、
(3)ステップ(2)で得た比較結果に基づき細胞のシート形成能を判定するステップ
(4)ステップ(3)で得た判定結果に基づいてシート状細胞培養物の製造過程を制御するステップ
を含む、シート状細胞培養物の製造方法(以下、「製造方法」または「制御製造方法」と略す場合がある)に関する。
本発明の制御製造方法におけるステップ(1)〜(3)は、本発明のシート化能評価方法について上記したとおりである。
ステップ(4)においては、ステップ(3)で得た判定結果に基づいてシート状細胞培養物の製造過程を様々に制御する。製造過程が制御されるシート状細胞培養物は、ステップ(1)でシート化培養中のものであっても、これと同じ細胞集団(ロット)に属する細胞による別のシート状細胞培養物であってもよい。後者の場合、当該別のシート状細胞培養物の製造は、ステップ(1)〜(3)と並行して行っても、ステップ(1)〜(3)の終了後に行ってもよい。シート状細胞培養物の製造方法は知られており、その非限定例は、例えば、特許文献1、特開2010-081829、特開2010-226991、特開2011-110368、特開2011-172925、WO 2014/185517などに記載されている。制御の非限定例としては、例えば、ステップ(3)でシート形成能が低いと判定された場合に、シート形成能を増強するための措置、限定されずに、例えば、培地への細胞外基質成分(例えば、コラーゲン、ラミニン、フィブロネクチン、ビトロネクチン、ゼラチン、プロテオグリカン、グリコサミノグリカン等)や細胞外基質の産生を促進する因子(例えば、アスコルビン酸、その誘導体(例えば、アスコルビン酸2リン酸、アスコルビン酸1リン酸等)、その塩(例えば、ナトリウム塩、マグネシウム塩等)など)の添加、血清、細胞外基質成分等で表面がコートされた培養基材の使用、より高い細胞密度での播種といった、細胞間の結合を増強するための措置などを講じることや、ステップ(3)でシート形成能が過剰と判定された場合に、シート形成を正常化するための措置、限定されずに、例えば、細胞接着性の高い培養基材(例えば、表面がネガティブにチャージされた培養基材(Corning(R) CellBIND(R)等)や、接着因子がコーティングされた培養基材等)の使用、培養基材表面の血清、細胞外基質成分、接着因子等によるコーティングといった、細胞と培養基材との接着を増強するための措置や、シート化培養時間の短縮、シート状細胞培養物の培養基材からの剥離を早期に検出するための頻繁なモニタリングといった、剥離の兆候を早期に検出するための措置などを講じることなどが挙げられる。
本発明の別の側面は、細胞をシート化培養するための容器と、該容器中の細胞培養物のインピーダンスおよび/または電気抵抗を決定するための測定器とを備えた、細胞のシート形成能を評価するためのシステム(以下、「シート形成能評価システム」と略す場合がある)に関する。本発明のシート形成能評価システムは、本発明のシート形成能評価方法や本発明の製造方法に用いることができる。
本発明のシート形成能評価システムにおける細胞培養容器は、その内部で細胞をシート化培養できるものであれば特に限定されず、例えば、既知の任意の細胞培養容器を用いることができる。細胞培養容器は、シート化媒体を透過させない構造・材料が好ましい。かかる材料としては、限定することなく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、テフロン(登録商標)、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、ナイロン6,6、ポリビニルアルコール、セルロース、シリコン、ポリスチレン、ガラス、ポリアクリルアミド、ポリジメチルアクリルアミドなどが挙げられる。
細胞培養容器は、インピーダンスおよび/または電気抵抗の決定に用いる作用電極および/または対電極を備えていてもよい。作用電極および/または対電極の配置は、細胞培養物のインピーダンスおよび/または電気抵抗の決定に必要な情報が得られるものであれば特に限定されず、作用電極および対電極の両方を培養容器の内部底面に配置しても、作用電極および対電極のいずれか一方が細胞培養物の基底面側、他方が上面側に位置するように配置してもよい。電極の材質としては、細胞培養物およびシート化媒体に電圧を印加できるものであれば特に限定されず、例えば、金、銀、白金、炭素、酸化インジウムスズなどが挙げられる。細胞は電極上に播種しても、シート化媒体が透過し得るインサートを容器に挿入し、当該インサート内に播種してもよい。細胞培養容器の特定の例としては、例えば、市販されているECIS(Applied BioPhysics)用の種々のアレイ(例えば、8W1E、8W10E、8W10E+、8W1F、8W1E DD、8W2x1E等、Applied BioPhysics)などが挙げられる。
本発明のシート形成能評価システムの測定器は、細胞培養物のインピーダンスおよび/または電気抵抗を決定することができれば特に限定されず、既知のインピーダンス測定器、抵抗計などを用いることができる。測定器は、培養容器が電極を備えている場合は、当該電極と電気的に接続可能に構成され、培養容器が電極を備えていない場合は、測定器に接続された培養容器内に設置する電極を備えていてもよい。測定器は、インピーダンスおよび/または電気抵抗を定期的に決定できるものが好ましい。決定の間隔は特に限定されないが、例えば、0.001秒〜3時間、0.01秒〜1時間、0.05秒〜30分、0.1秒〜10分、1秒〜1分等であってよい。インピーダンスおよび/または電気抵抗を決定する期間も、シート形成能の評価のための情報が得られる限り特に限定されず、例えば、72時間以内、48時間以内、36時間以内、24時間以内、12時間以内、10時間以内、8時間以内、6時間以内等であってよい。
測定器は、電圧または電流の位相をさらに決定できるものであってもよい。電圧または電流の位相の決定は既知の任意の手法、限定されずに、例えば、ロックイン増幅器などを用いた手法などにより行うことができる。したがって、測定器は、ロックイン増幅器などの、電圧または電流の位相を決定する手段を備えていてもよい。
測定器は、1または2以上の周波数におけるインピーダンスを決定できるものであってもよい。適用可能な周波数は、細胞のシート形成能に関する情報が得られるものであれば特に限定されず、例えば、31.25Hz〜64KHz、4KHz〜64KHz等であってよく、特に、62.5Hz、125Hz、250Hz、500Hz、1KHz、2KHz、4KHz、8KHz、16KHz、32KHz、64KHz等であってよい。
本発明のシート形成能評価システムは、細胞のシート形成能の評価に適した任意の構成、例えば、測定器からのインピーダンスおよび/または電気抵抗に関するデータの記録や処理などを行うプロセッサ、表示装置や入力装置などのインターフェース、細胞やシート化媒体を容器に添加するインジェクタ、細胞培養用インキュベータ、撹拌器などをさらに備えていてもよい。
本発明のシート形成能評価システムは、シート状細胞培養物を製造するためのシステムと交信可能に接続することや、当該製造システムに組み込むことなどにより、当該製造システムにおけるシート状細胞培養物の製造過程を制御することができる。したがって、本発明はまた、本発明のシート形成能評価システムと交信可能に接続された、または、本発明のシート形成能評価システムが組み込まれた、シート状細胞培養物を製造するためのシステムにも関する。細胞のシート形成能の評価に基づくシート状細胞培養物の製造過程の制御については、本発明の製造方法に関して上記したとおりである。
以下に、本発明を実施例を参照してより詳細に説明するが、これは本発明の特定の具体例を示すものであり、本発明はこれに限定されるものではない。
例1 細胞のシート形成能による分類
異なるヒト骨格筋から定法により調製した骨格筋芽細胞の一部を20%ヒト血清含有DMEM−F12培地(Life Technologies)に懸濁し、温度応答性培養皿(UpCell(R)12穴マルチウェル、セルシード)に3.7×10個播種し、37℃、5%COの環境で12〜26時間シート化培養を行った。シート化培養後、細胞培養物の状態を観察し、形成されたシート状細胞培養物が培養皿から剥離しているもの(図1)と、培養皿に付着したままになっているものとに分け、前者のシート状細胞培養物を形成した細胞を「剥離シート群」として分類した。残りの培養皿に付着したままのシート状細胞培養物は、室温への温度低下により剥離した。剥離操作の際にシート形状を維持できず、破損したシート状細胞培養物(図2)を形成した細胞を「弱シート群」、シート形状を維持できたシート状細胞培養物(図3)を形成した細胞を「正常シート群」として、それぞれ分類した。
例2 シート化培養における電気的特性の測定
例1で同定した「弱シート」、「正常シート」および「剥離シート」における細胞の接着状態を評価するために、リアルタイム細胞解析装置ECISZθ(Applied BioPhysics)を用いて各シートのシート化培養における電気的特性を評価した。ECISZθは、電極上の細胞層のインピーダンス、電圧およびその位相をリアルタイムで測定し、細胞層の電気抵抗(R)およびキャパシタンス(C)、細胞間の接着状態の指標となるRb、細胞と電極(培養基材)との間の接着状態の指標となるα、細胞膜の平均キャパシタンスCmなどのパラメータを算出することができる(Operation Manual for all ECIS Systems, Version 1.2.78、Applied BioPhysics参照)。
例1で分類した各群の細胞を、電極付ウェルプレート(8W10E+、Applied BioPhysics)に8.57×10個/ウェルの密度で播種し、20%ヒト血清含有DMEM−F12培地中、37℃、5%COの環境でシート化培養を行いながら、ECISZθを用いてインピーダンス、電圧およびその位相を、MFT(Multiple Frequency/Time)モードで経時的に測定、記録した。測定周波数は、62.5、125、250、500、1000、2000、4000、8000、16000、32000および64000Hzであり、以下では8000Hzでの測定結果を用いた。装置の操作は、メーカーのマニュアルに従って行った。測定終了後、付属のソフトウェアを用いて、各種パラメータを算出した。
例3 シート形成能に係る指標の同定
図4に、各群の代表的な実験におけるシート化培養時の経時的な電気抵抗(R)の推移を示す。同図より、弱シート群の電気抵抗が他の群に比べて低いことが分かる。したがって、低い電気抵抗値は、弱シートの指標となる。また、電気抵抗が、シート化培養の初期に急速に増大し、ピークを付けた後、徐々に低下していくことが分かる。
図5に、各群の代表的な実験におけるシート化培養時の経時的なRbおよびαの推移を示す。同図より、弱シート群のRbが他の群に比べて低いことが分かる。したがって、低いRbは、弱シートの指標となる。また、剥離シート群のαは正常シート群のものとほぼ同じだが、剥離シート群のRbは正常シート群のものより高いことから、剥離シート群では、他の群に比べ、Rbがαに対し相対的に高いことが分かる。このことをより明らかにするために、Rbをαで除したRb/αのグラフを作成した。Rb/αは、細胞培養物の培養基材からの剥離のしやすさ(細胞剥離性)を示すと考えられる。図6に示す結果から、剥離シート群のRb/αが、他の群より顕著に高いことが分かる。
次に、R、Rb、α、Rb/αの各パラメータの、ピーク値(シート化培養中の最も高い値)、ピーク時間(ピーク値に達するまでの時間)およびピークまでの傾き(ピーク値/ピーク時間)がシート形成能の指標となり得るかを検討した。以下に、試験した各細胞の個別の数値および各群の平均値を示す。また、各群の平均値を図7〜9に示す。
上記の結果から、以下のことが分かる:
(1)弱シートを形成する細胞は、すべてのパラメータのピーク値が小さく、特にR、Rbで極端に小さい。
(2)正常シートまたは剥離シートを形成する細胞は、すべてのパラメータのピーク値が大きく、剥離シートを形成する細胞は特にRb/αのピーク値大きい。
(3)弱シートを形成する細胞は、すべてのパラメータのピーク時間が長く、特にR、Rb、Rb/αのピーク時間が極端に長い。
(4)正常シートまたは剥離シートを形成する細胞は、すべてのパラメータのピーク時間が短く、剥離シートを形成する細胞は特にRb/αのピーク時間が短い。
(5)弱シートを形成する細胞は、すべてのパラメータのピークまでの傾きが小さく、特にR、Rb、Rb/αのピークまでの傾きが極端に小さい。
(6)正常シートまたは剥離シートを形成する細胞は、すべてのパラメータのピークまでの傾きが大きく、剥離シートを形成する細胞は特にRb/αのピークまでの傾きが大きい。
また、上記各数値について各群間で統計学的有意差があるかを検討したところ、下表7〜10に示す結果が得られた(表中、「値」、「時間」および「傾き」は、「ピーク値」、「ピーク時間」および「ピークまでの傾き」をそれぞれ意味する)。
表7〜8は、弱シート群、正常シート群および剥離シート群の各群の数値をt検定により解析した結果を示す。また、表9〜10は、弱シート群の数値と、正常シート群および剥離シート群を合わせた群の数値とをt検定により解析した結果(弱×正常・剥離)、および、正常シート群および剥離シート群を合わせた群における、正常シート群および剥離シート群の数値をt検定により解析した結果(正常×剥離)を示す。t検定による解析は、F検定を行ってから、「等分散の2標本を対象とするt検定」または「非等分散の2標本を対象とするt検定」を行った(片側分布)。なお、表7〜8に示す結果は、ボンフェローニ補正後の数値である。有意水準を5%とすると、表7〜8の結果から、弱シートと正常シートの間では、R、RbおよびRb/αのピーク値およびピークまでの傾き、ならびにαのピーク値に、弱シートと剥離シートの間では、RおよびRbのピーク値およびピークまでの傾きにそれぞれ統計学的有意差が認められたが、正常シートと剥離シートの間では、統計学的有意差を示す項目は認められなかった。これに対し、まず弱シート群の数値と、正常シート群および剥離シート群を合わせた群の数値とを比較してから、正常シート群および剥離シート群を合わせた群において、正常シート群の数値と剥離シート群の数値とを比較すると、弱シート群と、正常シート群および剥離シート群を合わせた群との間では、R、Rb、αおよびRb/αのピーク値、RbおよびRb/αのピーク時間、および、R、RbおよびRb/αのピークまでの傾きに統計学的有意差が認められ、さらに、正常シート群と剥離シート群との間で、Rのピーク値に統計学的有意差が認められた。
上記所見から、R、Rb、α、Rb/αの各パラメータのピーク値、ピーク時間およびピークまでの傾きが、弱シート、正常シートまたは剥離シートを形成する細胞を区別するための指標となり得ることが分かる。このことを確認するために、各パラメータのピーク値、ピーク時間およびピークまでの傾きに下表11〜12に示す基準値を設定し、これにより上記区別が可能かを検討した。結果を下表13〜14に示す。
上記基準値のうち、例えば、特定の分類の細胞群について100%または0%であるものは、基準値として有用性が極めて高いといえる。
本明細書に記載された本発明の種々の特徴は様々に組み合わせることができ、そのような組合せにより得られる態様は、本明細書に具体的に記載されていない組合せも含め、すべて本発明の範囲内である。また、当業者は、本発明の精神から逸脱しない多数の様々な改変が可能であることを理解しており、かかる改変を含む均等物も本発明の範囲に含まれる。したがって、本明細書に記載された態様は例示にすぎず、これらが本発明の範囲を制限する意図をもって記載されたものではないことを理解すべきである。

Claims (13)

  1. (1)シート化培養中の細胞培養物のインピーダンスおよび/もしくは電気抵抗またはこれに関連する数値を決定するステップ、
    (2)ステップ(1)で決定した数値と基準値とを比較するステップ、
    (3)ステップ(2)で得た比較結果に基づき細胞のシート形成能を判定するステップ
    を含み、
    ここで、インピーダンスおよび/もしくは電気抵抗またはこれに関連する数値が、Rb/αまたはこれに関連する数値のいずれかを含む、
    細胞のシート形成能を評価する方法。
  2. (1)シート化培養中の細胞培養物のインピーダンスおよび/もしくは電気抵抗またはこれに関連する数値を決定するステップ、
    (2)ステップ(1)で決定した数値と基準値とを比較するステップ、
    (3)ステップ(2)で得た比較結果に基づき細胞のシート形成能を判定するステップ
    (4)ステップ(3)で得た判定結果に基づいてシート状細胞培養物の製造過程を制御するステップ
    を含み、
    ここで、インピーダンスおよび/もしくは電気抵抗またはこれに関連する数値が、Rb/αまたはこれに関連する数値のいずれかを含む、シート状細胞培養物の製造方法。
  3. ステップ(1)において、インピーダンスおよび/または電気抵抗の決定が定期的に行われる、請求項1または2に記載の方法。
  4. ステップ(1)において、電流に対する電圧の位相をさらに決定する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. ステップ(1)におけるインピーダンスの決定が、2以上の周波数において行われる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. インピーダンスおよび/もしくは電気抵抗またはこれに関連する数値が、細胞培養物の電気抵抗、キャパシタンス、Rb、α、Cmからなる群から選択されるパラメータ、ならびに、該パラメータのピーク値、ピーク時間およびピークまでの傾きからなる群から選択される数値をさらに含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. インピーダンスおよび/もしくは電気抵抗またはこれに関連する数値が、電気抵抗をさらに含み、ステップ(3)において、電気抵抗が基準値以下であるか、基準値より小さい場合に、細胞のシート形成能が低いと判定する、請求項に記載の方法。
  8. インピーダンスおよび/もしくは電気抵抗またはこれに関連する数値が、Rbおよびαをさらに含み、ステップ(3)において、Rb、αおよびRb/αが基準値以下であるか、基準値より小さい場合に、細胞のシート形成能が低いと判定する、請求項6または7に記載の方法。
  9. インピーダンスおよび/もしくは電気抵抗またはこれに関連する数値が、Rbおよびαをさらに含み、ステップ(3)において、Rb、αおよびRb/αが基準値以上であるか、基準値より大きい場合に、細胞のシート形成能が適正または過剰と判定する、請求項6または7に記載の方法。
  10. インピーダンスおよび/もしくは電気抵抗またはこれに関連する数値が、電気抵抗のピーク値、Rbのピーク値およびRbのピークまでの傾きからなる群から選択される少なくとも1つの数値をさらに含み、ステップ(3)において、電気抵抗のピーク値、Rbのピーク値およびRbのピークまでの傾きからなる群から選択される数値が基準値以下であるか、基準値より小さい場合、および/または、インピーダンスおよび/もしくは電気抵抗またはこれに関連する数値が、電気抵抗のピーク時間およびRbのピーク時間からなる群から選択される少なくとも1つの数値をさらに含み、電気抵抗のピーク時間およびRbのピーク時間からなる群から選択される数値が基準値以上であるか、基準値より大きい場合に、細胞のシート形成能が低いと判定する、請求項6に記載の方法。
  11. インピーダンスおよび/もしくは電気抵抗またはこれに関連する数値が、電気抵抗のピーク時間およびRbのピーク時間からなる群から選択される少なくとも1つの数値をさらに含み、ステップ(3)において、電気抵抗のピーク時間およびRbのピーク時間からなる群から選択される数値が基準値以下であるか、基準値より小さく、かつ、Rb/αのピーク値およびRb/αのピークまでの傾きからなる群から選択される数値が基準値以下であるか、基準値より小さい場合、および/または、電気抵抗のピーク時間およびRbのピーク時間からなる群から選択される数値が基準値以下であるか、基準値より小さく、かつ、Rb/αのピーク時間が基準値以上であるか、基準値より大きい場合に、細胞のシート形成能が適正と判定する、請求項6に記載の方法。
  12. ステップ(3)において、Rb/αのピーク値およびRb/αのピークまでの傾きからなる群から選択される数値が基準値以上であるか、基準値より大きい場合、および/または、Rb/αのピーク時間が基準値以下であるか、基準値より小さい場合に、細胞のシート形成能が過剰と判定する、請求項6に記載の方法。
  13. 細胞をシート化培養するための容器と、容器中の細胞培養物のインピーダンスおよび/または電気抵抗を決定するための測定器とを備えた、請求項1に記載の方法により、細胞のシート形成能を評価するためのシステム。
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