JP6977977B1 - 培地の異常検知装置及び異常検知方法 - Google Patents

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Abstract

検査にかかる時間を短縮し、コストを削減して、培地の異常の有無を検知できる培地の異常検知装置及び異常検知方法を提供する。培地の異常検知装置1は、複数個の培地及び少なくとも1個の対象培地のインピーダンスを特性値として測定する測定部10と、複数個の培地の特性値の分布の状態から異常判定の閾値を設定する状態推定部22と、対象培地の特性値と、閾値とから対象培地の異常の有無を判定する異常検知部23とを備えた構成とする。

Description

本発明は、培地の異常検知装置及び異常検知方法に関する。
細胞培養は、再生医療や低分子化合物の生産への応用だけでなく、工業や農業への応用も期待されるバイオ産業の基盤技術である。細胞培養に用いられる培地、試料及び試薬等として、天然培地等の生物由来の原材料が広く用いられる。
生物由来の原材料には、ロット差やバッチ差があることが知られている。これは、細胞培養の品質のばらつきの直接的な原因となり、バイオ生産や研究開発、検査のプロセスでは、全く同一の条件によってプロセスを実行しても、その実行結果が大きく異なるという現象が往々にして発生する。
本明細書では、培地のロット差やバッチ差等に起因して培地の特性が求められた基準に満たない培地を異常な培地と称し、培地の特性が求められた基準を満たす培地を正常な培地と称する。
培地を使用して細胞培養を実施する前に、培地が正常であるか異常であるか検知することは、培地を使用したバイオ生産や研究開発の効率を高める上で重要である。培地の異常の有無は、質量分析法や赤外分光等の分光分析法を用いた解析により検知することができる。
例えば、特許文献1には、分光分析法を用いて培地の成分を解析する方法が開示されている。
特表2013−544353号公報
しかしながら、培地の異常の有無を検知するために質量分析法や分光分析法を用いると、検査に時間がかかり、コストを増大させる要因となる。
このため、培地を用いたバイオ生産及び研究開発等において、検査にかかる時間を短縮し、コストを削減して、培地の異常の有無を検知することが求められている。
そこで、本発明は、検査にかかる時間を短縮し、コストを削減して、培地の異常の有無を検知できる培地の異常検知装置及び異常検知方法を提供することを目的とする。
本発明の培地の異常検知装置は、複数個の培地及び少なくとも1個の対象培地のインピーダンスを特性値として測定する測定部と、複数個の前記培地の前記特性値の分布の状態から異常判定の閾値を設定する状態推定部と、前記対象培地の前記特性値と、前記閾値とから前記対象培地の異常の有無を判定する異常検知部とを備える。
本発明の培地の異常検知方法は、複数個の培地のインピーダンスを特性値として測定し、複数個の前記培地の前記特性値の分布の状態から異常判定の閾値を設定し、少なくとも1個の対象培地のインピーダンスを特性値として測定し、前記対象培地の前記特性値と、前記閾値とから前記対象培地の異常の有無を判定する。
本発明の培地の異常検知装置によれば、検査にかかる時間を短縮し、コストを削減して、培地の異常の有無を検知することができる。
本発明の培地の異常検知方法によれば、検査にかかる時間を短縮し、コストを削減して、培地の異常の有無を検知することができる。
図1は、培地の異常検知装置の構成を示す模式図である。 図2は、PCA処理を説明する説明図である。 図3は、培地試料の培養結果である細胞濃度(相対値)を示すグラフである。 図4は、培地試料のナイキスト線図を示すグラフである。 図5は、培地試料の抽出特徴量の分布を示すグラフである。 図6は、対象培地試料のナイキスト線図を示すグラフである。 図7は、対象培地試料の抽出特徴量を図5の正規分布と比較したグラフである。 図8は、対象培地試料の培養結果である細胞濃度(相対値)を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態について説明する。以下に説明する形態はあくまで例示であり、当業者にとって自明な範囲で適宜修正することができる。
<第1実施形態>
(培地の異常検知装置の構成)
図1は、本実施形態に係る培地の異常検知装置の構成を示す模式図である。細胞培養実験CEに使用される培地について、異常の検知をするものである。培地の異常検知装置1は、測定部10、異常検知システム20、及び異常通知部30を有する。
測定部10は、センサ部11及び詳細測定部12を有する。センサ部11は、インピーダンスセンサを含む。さらに、センサ部11には、例えば、温度センサ、湿度センサ、及びpHセンサ等のセンサを含んでもよい。本実施形態では、温度センサ、湿度センサ、及びpHセンサ等のセンサのうち1種以上のセンサと、インピーダンスセンサとを含んだセンサ部11を適用した場合について以下説明する。
このような構成のセンサ部11により、複数個の培地のインピーダンスを特性値として測定可能である。また、温度センサ、湿度センサ、及びpHセンサ等の各種センサによって、複数個の培地の温度、湿度、及びpH等を特性値として測定可能である。インピーダンス、温度及びpHは、それぞれ、培地のインピーダンス、温度及びpHである。湿度は、測定環境の湿度である。同様に、少なくとも1個の対象培地についても、インピーダンスと、温度、湿度、及びpH等を、それぞれ特性値として測定可能である。測定された特性値を測定値とも称する。また、本実施形態に係る培地の異常検知装置1によって、複数個の培地から得られた過去の特性値に基づいて、成分が未知の培地に対して異常の有無を判定する。
本明細書において、「培地」とは、細胞の育成に用いられる栄養分を含むとともに細胞の生育環境を提供する、細胞を培養するための細胞培養培地である。本実施形態に係る培地は、細胞を培養するために通常使用される培地を使用することが可能であり、培養する細胞の種類によって適宜決定される。例えば、培地としては、緩衝溶液中に、無機塩、炭水化物、アミノ酸、ビタミン、タンパク質、ペプチド、脂肪酸、脂質、血清等を含有させたものが挙げられる。
ここで「細胞」は、培地により培養可能なものであれば特に限定されるものではなく、例えば、心筋細胞、神経幹細胞、間葉系幹細胞、胚性幹細胞、肝細胞、角膜幹細胞、膵島細胞、腫瘍細胞、iPS細胞、ES細胞、血球細胞等が挙げられる。具体的には、293T細胞が挙げられる。
本明細書では、ロット差やバッチ差等に起因して成分に差がある可能性があるロット毎あるいはバッチ毎の培地をそれぞれ1つの培地と称する。このような培地が複数個あるとき、即ち、異なる複数のロットから準備された培地、あるいは異なる複数のバッチから準備された培地を、「複数個の培地」と称する。本実施形態に係る培地の異常検知装置は、複数個の培地から得られた特性値の特徴から、成分が未知の培地に対して異常の有無を判定する。異常の有無の判定の対象となる培地を「対象培地」と称する。
詳細測定部12は、例えば、ガスクロマトグラフィー装置、顕微鏡、及び質量分析装置等の測定・分析機器を含む。このような構成の詳細測定部12により、複数個の培地のカラムクロマトグラフィー分析データ、顕微鏡により撮影された画像データ、及び質量分析データ等の特性データが取得可能である。また、少なくとも1個の対象培地のカラムクロマトグラフィー分析データ、顕微鏡により撮影された画像データ、及び質量分析データ等の特性データが取得可能である。測定された特性データを測定データとも称する。本明細書では、培地の特性データは、適宜数値化等がなされ、培地の特性値の一部として取り扱うことができる。
測定部10は、複数個の培地に対してインピーダンスを含む2種以上の特性値を測定し、得られた特性値を出力する。例えば、測定部10は、インピーダンスセンサ及び温度センサを含む場合、インピーダンスセンサから得られたインピーダンスの特性値と、温度センサから得られた温度の特性値とを、インピーダンスを含む2種の多次元配列情報の特性値として出力する。また、測定部10は、インピーダンスセンサ、温度センサ及びpHセンサを含む場合、インピーダンスセンサから得られたインピーダンスの特性値と、温度センサから得られた温度の特性値と、pHセンサから得られたpHの特性値とを、インピーダンスを含む3種の多次元配列情報の特性値として出力する。
上述した複数個の培地と同様に、測定部10は、少なくとも1個の対象培地に対してもインピーダンスを含む2種以上の、多次元配列情報の特性値を測定し、得られた特性値を出力する。
異常検知システム20は、データベース21、状態推定部22、及び異常検知部23を有する。データベース21は、測定部10から、複数個の培地及び対象培地の特性値が入力される。データベース21に入力された特性値は、当該特性値を測定した日時に対応付けられて培地毎にデータベース21に保存される。
状態推定部22は、センサ部11の各センサから直接的に、あるいはデータベース21を介して間接的に、複数個の培地の特性値が入力される。状態推定部22は、複数個の培地の特性値に対して、例えば、PCA(Principal Component Analysis:主成分分析)処理を行い、特性値の分布を特徴づける多次元の主成分ベクトルからなる基底(教師なし基底)を抽出して、複数個の培地の状態を推定する。PCA処理は、インピーダンスを含む2種以上の特性値を対象としてなされる。特性値の分布を特徴づける基底の抽出は、分布の学習とも称する。上記の基底の抽出としては、インピーダンスを含む特性値から、例えば第1〜第3主成分ベクトル(V1,V2,V3)を抽出する。主成分ベクトルは、第1主成分ベクトルのみあるいは第1及び第2主成分ベクトルのみであってもよく、また、第4以降の主成分ベクトルを求めても良いが、以下では省略する。ここで得られる基底は、後述の教師あり基底と区別するため、教師なし基底と称する。
図2は、上記のPCA処理を説明する説明図である。PCA処理では、例えば、3つの培地の特性値(X:培地の温度、Y:インピーダンス実部、Z:インピーダンス虚部)から、特性値の分布を特徴づける3次元の主成分ベクトル(V1、V2、V3)からなる基底(教師なし基底)を抽出する。X:培地の温度、Y:インピーダンス実部、Z:インピーダンス虚部の3次元の測定値データMV(図2中●で示す)は、上記の基底(V1、V2、V3)で構成される空間SPにおいて、主成分得点を示す写像IM(図2中○で示す)として投影(射影)される。
インピーダンスから基底を抽出する場合、例えば、インピーダンスの実部対インピーダンスの虚部のグラフであるナイキスト線図を取得し、ナイキスト線図上で所定の条件から求められた特徴量を抽出して基底とすることができる。ナイキスト線図及びナイキスト線図上での特徴量の抽出については後述する。所定の条件は適宜設定可能であり、また、ナイキスト線図上の特徴を表現するのに最適化された条件を設定することができる。
異常検知部23は、上記の教師なし基底で構成される空間で、ある異常判定のためのルールが与えられた時、その異常判定の閾値を設定する。閾値は、上記の教師なし基底で構成される空間に各培地の特性値を投影した時、その分布に関連する量として定義づけられる。例えば、インピーダンスを含む特性値から抽出された第1〜第3主成分ベクトル(V1,V2,V3)を基底とする空間に、各培地の特性値を投影した時の点群の平均をμとした時、異常の閾値は前記μからの、マハラノビス距離に関連する量として与えることができる。具体的には、例えば、上記で取得されたインピーダンスの特徴量を正常群と異常群に分類し、正常群の測定値をある1次元空間に投影し、その分布を正規分布に近似したときの分布の平均値をμ、正規分布の標準偏差の絶対値をσとしたとき、μ±3σを閾値に設定することができる。すなわち、ある培地の特性値を上記1次元空間に投影し、その座標が、μから3σ以上離れていた時は、その培地は異常と判断されるように閾値を設定することができる。
また、異常検知部23は、測定部10で得られた対象培地の特性値が入力される。異常検知部23は、対象培地の特性値を上記の教師なし基底で構成される空間に投影して、対象培地の特性値の位置関係を解析する。例えば、上記で得られた主成分ベクトルで構成される空間に、対象培地の特性値を投影し、その空間上での座標(x1,x2,x3)を解析結果として得る。
また、異常検知部23は、上記の対象培地の特性値を上記の教師なし基底で構成される空間に投影した解析結果と、上記得られた異常検知ルールに対応する閾値とから、対象培地の異常の有無を判定する。例えば、異常検知部23において、前記設定した閾値と状態推定部22から取得した特性値の座標x=(x1,x2,x3)とを用いて、異常の有無の判別を行う。一例としては、上記座標xと、上記正常群の分布の平均値μの間の距離が、上記正常群の分布のマハラノビス距離に換算して3以上離れていた場合、異常ありと判定する。そうでなければ異常なしと判定する。
また、上記の閾値を複数段階で区分するように設定することで、対象培地の異常の程度を判定するようにしてもよい。一例としては、上記座標xと上記正常群の分布の平均値μとの間の距離が、上記正常群の分布のマハラノビス距離に換算して2以上3未満であった場合は異常の程度が小さいと判定し、3以上であった場合には異常の程度が大きいと判定するようにしても良い。異常検知部23は、対象培地の異常の有無又は異常の程度の判定結果を出力する。
上記の構成のデータベース21、状態推定部22、及び異常検知部23をまとめて、異常検知システム20と称する。異常検知システム20は、出入力手段を備えたコンピュータ上に実現できる。
異常通知部30は、異常の有無又は異常の程度の判定結果が入力され、異常の有無又は異常の程度を、操作者等に通知する。操作者等とは、培地の異常検知装置の操作者、細胞培養実験の実験者、あるいは任意に定められた管理者等である。例えば、異常ありの場合、異常通知部30から、対象培地の特性値及びエラーコード等を含む、異常があることを示す情報を操作者等に通知する。異常なしの場合、異常なしの通知を異常通知部30から操作者等に通知する。異常通知部30の一例としては、操作者等宛に電子メールを送信して判定結果を通知する送信装置の他、判定結果を表示部に表示させて操作者等に視覚により認識させる表示装置、操作者等に判定結果を音声により通知する放音装置等を適用できる。
特に異常があったときにのみ操作者等への通知を行うようにしてもよく、また、異常がある場合にのみ点灯するような表示部を設けて異常があったときにのみ表示するようにしてもよい。
(培地の異常検知装置の作用・効果)
上記の本実施形態の培地の異常検知装置1によれば、複数個の培地のインピーダンスを含む特性値の分布を学習して教師なし基底を抽出するとともに異常判定の閾値を設定し、対象培地(未知の培地)の当該特性値を教師なし基底で構成される空間に投影して位置関係を解析する。これにより、検査にかかる時間を短縮し、コストを削減して、対象培地の異常の有無を検知することができる。
特に、本実施形態では、複数個の培地及び対象培地から測定したインピーダンスを含む特性値に基づいて、対象培地の異常の有無を検知していることから、従来のように、質量分析法や分光分析法を用いた解析により培地の異常の有無を検知する手法に比して、特性値の測定が即時に行え、コスト低減を図ることができる。
また、本実施形態では、対象培地の特性値を時系列に測定し、対象培地から特性値が測定される度に対象培地の異常の有無を判定してゆくことで、対象培地を常時モニターしてゆくこともでき、対象培地の経時変化による異常も検知することができる。
(培地の異常検知方法)
本実施形態の培地の異常検知方法は、図1に示す培地の異常検知装置1を用いて、細胞培養実験CEに使用される培地について、異常の検知をする方法である。
まず、複数個の培地の特性値の分布を学習するため、複数個の培地の試料をサンプリングする。例えば、細胞培養プロセスにおいて培養に供するため調整した培地100Lから100mLを採取する。
次に、測定部10を構成するセンサ部11において、複数個の培地に対して、インピーダンス、温度、湿度、及びpH等の特性値を測定する。また、測定部10の詳細測定部12において、複数個の培地のカラムクロマトグラフィー分析データ、顕微鏡により撮影された画像データ、及び質量分析データ等の特性データを取得する。このようにして、測定部10において複数個の培地に対してインピーダンスを含む2種以上の特性値を測定する。
次に、複数個の培地のインピーダンスを含む2種以上の特性値を測定部10からデータベース21に入力して保存する。また、複数個の培地のインピーダンスを含む2種以上の特性値を測定部10から直接的に、あるいはデータベース21を介して間接的に、状態推定部22に入力する。
次に、状態推定部22において、例えば複数個の培地のインピーダンスを含む特性値のPCA(主成分分析)処理を行い、特性値の分布を特徴づける多次元の主成分ベクトルからなる基底(教師なし基底)を抽出して、複数個の培地の状態を推定する。
次に、状態推定部22において、上記の教師なし基底で構成される空間での異常判定の閾値を設定する。閾値は、上記で抽出された主成分ベクトルに対する固有値として抽出する。上記で得た教師なし基底及び閾値を異常検知部23に出力する。
次に、少なくとも1つの対象培地の試料をサンプリングする。例えば、対象培地用に調整した培地100Lから100mLを採取する。
次に、上記と同様に測定部10において対象培地に対してインピーダンスを含む2種以上の特性値を測定し、出力する。
次に、測定部10で得られた対象培地の特性値を異常検知部23に入力し、対象培地の特性値を上記の教師なし基底で構成される空間に投影して、対象培地の特性値の位置関係を解析する。
次に、異常検知部23において、上記の対象培地の特性値を上記の教師なし基底で構成される空間に投影した解析結果と、状態推定部22で得られた閾値とから、対象培地の異常の有無又は異常の程度を判定する。
次に、異常の有無又は異常の程度の判定結果が異常通知部30に入力され、異常通知部30によって異常の有無又は異常の程度を、操作者等に通知する。
(培地の異常検知方法の作用・効果)
上記の本実施形態の培地の異常検知方法によれば、複数個の培地の特性値の分布を学習して教師なし基底を抽出するとともに異常判定の閾値を設定し、対象培地(未知の培地)の特性値を教師なし基底で構成される空間に投影して位置関係を解析することで、検査にかかる時間を短縮し、コストを削減して、対象培地の異常の有無を検知することができる。
上記の実施形態では、測定部10で、複数個の培地に対してインピーダンスを含む2種以上の特性値を測定するように説明しているが、インピーダンスはインピーダンスの実部とインピーダンスの虚部に分けることで、インピーダンスのみであっても2種以上の特性値として取り扱うことができる。インピーダンスから、異常判定の閾値を設定することができる。
(実施例1)
ロットが異なる5つの同一品目の培地(試料番号1〜5)を準備した。この培地試料は、DMEM(ダルベッコ改変イーグル培地、high glucose、和光純薬製)を使用した。図3は、試料番号1〜5の培地試料の培養結果である細胞濃度(相対値)を示すグラフである。ここでの細胞は、293T細胞を使用した。細胞濃度は、自動蛍光細胞計数装置(Logos Biosystems社製、LUNA−FL)により測定した。細胞濃度(相対値)の基準値を1.50とし、細胞濃度が基準値以上であれば正常な培地と判定し、基準値未満であれば異常な培地と判定できる。図3から、試料番号1〜4の培地は正常であり、試料番号5の培地は異常であった。
本実施例では、上記の試料番号1〜5の培地の特性値の分布を学習して異常判定の閾値を設定し、未知の対象培地(対象試料番号1〜2)の特性値と、異常判定の閾値とから、対象培地の異常の有無を判定した。また、実際に対象培地を使用して細胞培養を行い、細胞培養結果と培地の異常の有無判定とが一致したか、確認した。
まず、試料番号1〜5の培地のインピーダンスを、インピーダンスセンサ(Hioki社製、IM3570、4Hz〜5MHz)で測定した。図4は、試料番号1〜5の培地の培地試料のナイキスト線図を示すグラフである。測定したインピーダンススペクトルからインピーダンスの実部及びインピーダンスの虚部の値をそれぞれ求め、インピーダンスの実部(図4中、インピーダンス実部と表記)をx軸に、インピーダンスの虚部(図4中、インピーダンス虚部と表記)をy軸にとってグラフを作成し、ナイキスト線図を取得した。図4中、試料番号1〜4の培地試料の結果を●で示し、試料番号5の結果を×で示す。ナイキスト線図上で、直線x−1650=0に対する最近傍の観測点を取得し、そのy座標を抽出特徴量として取得した。この条件で求められた試料番号1〜4の培地の抽出特徴量は、それぞれ、3025.929、3018.000、3014.879、3017.539であった。また、試料番号5の培地の抽出特徴量は、2887.2667であった。
上記のナイキスト線図上での抽出特徴量を抽出するために設定される条件は、特に限定はない。上記では直線x−1650=0に対する最近傍の観測点を取得し、そのy座標を抽出特徴量としたが、これに限らず、例えば直線y−2750=0に対する最近傍の観測点を取得し、そのx座標を抽出特徴量としてもよい。その他、条件は適宜設定可能であり、また、ナイキスト線図上の特徴を表現するのに最適化された条件を設定することができる。
試料番号1〜4の培地の抽出特徴量は約3020近傍の値となり、試料番号1〜4を正常群の培地と認定し、特徴量が3020から大きく外れた試料番号5を異常群の培地と認定した。
図5は、試料番号1〜5の培地試料の抽出特徴量の分布を示すグラフである。横軸は抽出特徴量であり、縦軸は周波数である。正常群である試料番号1〜4の培地試料の抽出特徴量を●で示し、異常群である試料番号5の培地試料の抽出特徴量を×で示した。正常群である試料番号1〜4の培地試料の抽出特徴量の分布を正規分布で最尤推定した。正常群を正規分布に近似したときの平均値をμ、正規分布の標準偏差の絶対値をσとしたとき、(μ,σ)=(3019.087,4.126)の正規分布NDに近似できた。
上記の正規分布において、μ±3σを閾値に設定した。すなわち、yを抽出特徴量とした時、3006.709<y<3031.465であれば正常、そうでなければ異常と定義した。正常群の試料番号1〜4の培地試料の抽出特徴量は、いずれも3006.709<y<3031.465の範囲内であった。異常群の試料番号5の培地試料の抽出特徴量は、3006.709<y<3031.465の範囲外であった。
以上のようにして、試料番号1〜5の培地の特性値の分布を学習して、異常判定の閾値を設定した。
次に、成分が未知の対象培地(対象試料番号1〜2)のインピーダンスを、インピーダンスセンサ(Hioki社製、IM3570、4Hz〜5MHz)で測定した。図6は、対象試料番号1〜2の対象培地試料のナイキスト線図を示すグラフである。図6中、対象試料番号1の結果を■で示し、対象試料番号2の結果を▲で示す。ナイキスト線図上で、直線x−1650=0に対する最近傍の観測点を取得し、そのy座標を抽出特徴量として取得した。対象試料番号1〜2の培地の抽出特徴量は、それぞれ、3016.550、2854.840であった。
次に、対象試料番号1〜2の対象培地試料の抽出特徴量を、図5の正規分布と比較した。図7は、対象培地試料の抽出特徴量を図5の正規分布と比較したグラフである。対象試料番号1の対象培地試料の抽出特徴量は3016.550であり、上記で設定されたμ±3σ(3006.709<y<3031.465)の範囲内であるので、対象試料番号1の対象培地は正常であると判定した。また、対象試料番号2の対象培地試料の抽出特徴量は2854.840であり、μ±3σ(3006.709<y<3031.465)の範囲外であるので、対象試料番号2の対象培地は異常であると判定した。
以上のようにして、上記で得られた異常判定の閾値と、対象試料番号1〜2の未知の培地の特性値とから、対象試料番号1〜2の未知の培地の異常の有無を判定した。
次に、実際に対象培地(対象試料番号1〜2)を使用して細胞培養を行い、細胞培養結果と培地の異常の有無判定とが一致するかを確認した。対象試料番号1〜2の対象培地を準備し、293T細胞の細胞培養を行った。また、対象培地試料の細胞濃度について、自動蛍光細胞計数装置(Logos Biosystems社製、LUNA−FL)より測定した。図8は、対象試料番号1〜2の対象培地試料の培養結果である細胞濃度(相対値)を示すグラフである。細胞濃度(相対値)の基準値は図3と同様に1.50とした。対象試料番号1の対象培地は正常であり、対象試料番号2の培地は異常であった。この細胞培養の結果は、上記の培地の異常の有無判定と一致した。
上記から、複数個の培地の特性値の分布を学習して異常判定の閾値を設定し、異常判定の閾値と対象培地(未知の培地)の特性値とから、検査にかかる時間を短縮し、コストを削減して、培地の異常の有無を検知することができた。さらに、培地を使用して細胞培養を実施する前に、培地が正常であるか異常であるか検知することが可能となり、異常な培地を有効かつ簡便な検査方法によって排除でき、これによって培地を使用したバイオ生産や研究開発の効率を高められることが確認できた。
細胞培養の結果は培地中のグルコースや血清などの栄養成分の濃度が大きな影響を与えており、さらに培地中のグルコースや血清などの栄養成分の濃度の差による培地のインピーダンスへの影響が大きかったことから、インピーダンスを含む特性値から抽出した規定が培地の異常の有無を検知するのに有効であったものと考えられる。
(変形例1)
上記の第1実施形態では、インピーダンスのデータとして、測定して得た値をそのまま用いており、具体的にはインピーダンスの実部及びインピーダンスの虚部を求めて、インピーダンスのナイキスト線図を取得し、抽出特徴量を抽出している。
しかしながら、培地に対してインピーダンス、温度、pHを測定する場合、同一の培地であっても、基準温度、基準pHにおいて測定したインピーダンスと、基準温度からずれた温度、基準pHからずれたpHにおいて測定したインピーダンスとには、ずれが生じる恐れがあることを確認した。
温度やpHが異なる条件で測定されたインピーダンスを用いてPCA等の解析をしようとすると、温度やpHが異なることの影響がインピーダンスでの解析を困難にする恐れがある。
本変形例では、状態推定部22は、少なくともインピーダンスを除く複数個の培地の特性値を基に、インピーダンスを補正する。インピーダンスを除く複数個の培地の特性値とは、例えば温度あるいはpH等である。インピーダンスを補正する補正値は、温度やpHを変えたときのインピーダンスの変化量を予め調べておくことで、補正値として設定することができる。温度やpHが変わったときのインピーダンスの変化量をテーブルにまとめておき、インピーダンス、温度及びpH等を測定したときにテーブルを参照して補正値を取得するようにしてもよい。補正値で補正されたインピーダンスは、温度やpHの影響が差し引かれており、培地成分に由来するインピーダンスの結果の違いをより鋭敏に検知することができる。
この場合、データベース21には、例えば、培地の温度が変化したときに、培地から測定したインピーダンスがどの程度変化するかを示したインピーダンス変化量と、培地のpHが変化したときに、培地から測定したインピーダンスがどの程度変化するかを示したインピーダンス変化量と、が予め記憶されている。状態推定部22は、測定部10から対象培地のインピーダンス、温度及びpHの特性値を取得すると、当該温度及びpHの各値にそれぞれ対応したインピーダンスの変化量をデータベース21から読み出す。
本変形例では、測定部10で得られた特性値のうち、インピーダンスについて、温度やpHの値を基に特定したインピーダンスの変化量を補正値とし、測定部10で得られた特性値のインピーダンスに補正値を加算又は減算する。状態推定部22は、補正値により補正されたインピーダンスを用いる。例えば、補正されたインピーダンスを用いてPCA処理を行い、特性値の分布を特徴づける多次元の主成分ベクトルからなる基底(教師なし基底)を抽出して、複数個の培地の状態を推定する。上記を除いては、本変形例は第1実施形態と同様である。
これにより、本変形例に係る培地の異常検知装置1では、上述した実施形態と同様の効果が得られる他、本来正常な対象培地であるにもかかわらず、対象培地の温度やpHの違いから異常ありとの誤った判定がなされる恐れを低減し得、対象培地について一段と正確に異常の有無を判定することができる。
<第2実施形態>
本実施形態に係る培地の異常検知装置及び異常検知方法は、図1に示す第1実施形態の培地の異常検知装置と同様であるが、以下の相違点を有する。
本実施形態では、複数個の培地に対してインピーダンスを含む2種以上の特性値を測定するとともに、複数個の培地で細胞培養を行い、培養結果を取得する。培養結果は、培地の状態STを反映した結果が得られている。培養結果は、データベース21に入力して保存することができる。
状態推定部22は、センサ部11の各センサから直接的に、あるいはデータベース21を介して間接的に、複数個の培地の特性値が入力される。状態推定部22は、さらに、培養結果が入力される。状態推定部22は、培養結果を参照して、例えば複数個の培地の特性値に対してPLS(Partial Least Squares Regression:部分的最小二乗回帰)処理を行い、良好な培養結果を得るという特定の目的を与えたときに、その目的に対して関連性の高い多次元の主成分ベクトルからなる基底(教師あり基底)を抽出して、複数個の培地の状態を推定する。PLS処理は、培養結果を参照して、インピーダンスを含む2種以上の特性値を対象としてなされる。特定の目的に対して関連性の高い基底であり、このようにして得らえる基底を教師あり基底と称する。
上記の教師あり基底の抽出は、培養結果が基準値以上で良好な培地群と、基準値未満で不良な培地群が存在するとき、培養結果が良好な培地群と不良な培地群を分離できるような基底を選択することに相当する。これにより、培養結果の違いに最も寄与した成分の違いを抽出することができる。
状態推定部22は、良好な培地群と不良な培地群を分離する培養結果の基準値を参照して、上記の教師あり基底で構成される空間での異常判定の閾値を設定する。例えば、閾値を超えていなければ基準値以上の良好な培養結果が得られ、基準値を超えると基準値未満の不良な培養結果が得らえる結果となるように、閾値の設定がなされる。
異常検知部23は、測定部10で得られた対象培地の特性値が入力される。異常検知部23は、対象培地の特性値を上記の教師あり基底で構成される空間に投影して、対象培地の特性値の位置関係を解析する。
異常検知部23は、上記の対象培地の特性値を上記の教師あり基底で構成される空間に投影した解析結果と、状態推定部22で得られた閾値とから、対象培地の異常の有無を判定する。
上記を除いては、第1実施形態と同様の構成の装置及び方法とすることができる。
上記の本実施形態の培地の異常検知装置及び異常検知方法によれば、複数個の培地の特性値の分布を学習して教師なし基底を抽出するとともに異常判定の閾値を設定し、対象培地(未知の培地)の特性値を教師なし基底で構成される空間に投影して位置関係を解析することで、検査にかかる時間を短縮し、コストを削減して、対象培地の異常の有無を検知することができる。
また、この本実施形態に係る異常検知装置及び異常検知方法では、複数個の培地の培養結果を参照して良好な培養結果を得るという特定の目的に対して関連性がある教師あり基底を用いることで、良好な培養結果を得ることを目的として、対象培地の異常の有無を検知することができる。
本実施形態においても、インピーダンスはインピーダンスの実部とインピーダンスの虚部に分けることで、インピーダンスのみであっても2種以上の特性値として取り扱うことができる。インピーダンスから、異常判定の閾値を設定することができる。
(実施例2)
異なる複数種類のロットを含む、別々に調製した計12個のDMEM培地(ダルベッコ改変イーグル培地、high glucose、和光純薬製)を準備した。各培地を使用して293T細胞の細胞培養を行い、培養結果を得た。
一方で、上記の計12個の培地について、インピーダンスセンサ(Hioki社製、IM3570、4Hz〜5MHz)によってインピーダンス(特性値)を測定した。
インピーダンスのナイキスト線図上で上記培養結果の差異を正しく分離できるように適切に選択した曲線f(x,y)=0に対する最近傍の観測点を取得し、f(x,y)=0に投影し、点群座標を入力として、スコア(培養結果の予測値)を出力する回帰モデルを作成した。本実施例では、f(x,y)=0としてy−2700=0を用いた。続いて、投影した回帰モデル上で、スコアが一定値未満となる座標領域を異常と定義した。
次に、未知の培地を準備した。ここでは、計8個のロットが異なるDMEM培地を準備した。
上記の計8個の未知の培地について、インピーダンスセンサ(Hioki社製、IM3570、4Hz〜5MHz)によってインピーダンス(特性値)を測定した。
測定したインピーダンスから得られた特性値を上記のy−2700=0に投影し、投影してスコアを出力し、上記で定義されたスコアが一定値未満となる座標領域にあるサンプルを、異常群として分離した。
以上のようにして培地の異常を検知することができた。
次に、上記のようにしてインピーダンス計測により正常であると検知した培地と、異常であると検知した培地とを用いてそれぞれ細胞培養を行った。異常群を含めて培養した場合と、含めないで培養した場合の培養結果の平均と分散を算出した。異常群を含めない正常群の培地のみで培養することにより、培養結果の平均値が向上し、分散が小さくなったことが確認され、効果が確認できた。
(変形例2)
上記の第2実施形態では、基底を抽出するためのインピーダンスのデータとして、測定して得た値をそのまま用いており、具体的にはインピーダンスの実部及びインピーダンスの虚部を求めて、インピーダンスのナイキスト線図を取得し、抽出特徴量を抽出している。
本変形例では、状態推定部22は、少なくともインピーダンスを除く複数個の培地の特性値を基に、インピーダンスを補正する。インピーダンスを除く複数個の培地の特性値とは、例えば温度あるいはpH等である。インピーダンスを補正する補正値は、温度やpHを変えたときのインピーダンスの変化量を予め調べておくことで、補正値として設定することができる。温度やpHが変わったときのインピーダンスの変化量をテーブルにまとめておき、インピーダンス、温度及びpH等を測定したときにテーブルを参照して補正値を取得するようにしてもよい。補正値で補正されたインピーダンスは、温度やpHの影響が差し引かれており、培地成分に由来するインピーダンスの結果の違いをより鋭敏に検知することができる。
本変形例では、測定部で得られた特性値のうち、インピーダンスについて、温度やpHの値を基に補正する。例えば、補正されたインピーダンスを用いてPLS処理を行い、特性値の分布を特徴づけるとともに培養結果に関連性の高い多次元の主成分ベクトルからなる基底(教師あり基底)を抽出して、複数個の培地の状態を推定する。上記を除いては、本変形例は第2実施形態と同様である。
上記の実施形態及び変形例において、本発明の趣旨を変更しない範囲で以下のように種々の改変が可能である。
上記の実施形態では、測定部10において複数個の培地の特性値を測定し、得られた特性値をデータベース21に保存し、さらにこれを用いて状態推定部22において特性値の分布を特徴づける基底の抽出に用いているが、これに限らない。例えば、培地の特性値について過去の特性値データがある場合は、これをデータベース21に予め保存することで、過去の特性値データを用いて規定の抽出を行うことができる。また、培地の培養結果について過去のデータがある場合には、これをデータベース21に予め保存することで、過去の特性値データ及び培養結果データを用いて規定の抽出を行うことができる。
また、状態推定部22は、測定部10で測定された、複数個の培地のインピーダンスを含む2種以上の特性値のうち、1種以上の特性値を除いた特性値について、分布を特徴づける基底を抽出して複数個の前記培地の状態を推定するとともに、基底で構成される空間での異常判定の閾値を設定するようにしてもよい。例えば、多次元配列情報の特性値としては、インピーダンスを含む3種以上の特性値を取得しておいて、実際に基底を抽出する際に用いる特性値を選択し、インピーダンスを含む2種以上の特性値のみを用いるようにしてもよい。より多数の種類の特性値を取得することで、基底抽出に用いる特性値を選択する自由度が生じる。例えば、インピーダンスセンサから得られたインピーダンスの特性値と、温度センサから得られた温度の特性値と、pHセンサから得られたpHの特性値とを含む3種の多次元配列情報の特性値を測定部10で取得してデータベース21に保存しておく。状態推定部22で基底を抽出する際にインピーダンスの特性値及び温度の特性値を選択して用いて基底抽出を行う。あるいは、状態推定部22で基底を抽出する際にインピーダンスの特性値及びpHの特性値を選択して用いて基底抽出を行う。選択された特性値の種類によって抽出される基底が異なり、設定される閾値も異なり、培地の異常検知を行う意図に、より合致するような基底の抽出及び閾値の設定を行うことができる。
詳細測定部12によるカラムクロマトグラフィー分析データ、顕微鏡により撮影された画像データ、及び質量分析データ等の測定データの取得は、必要に応じて実施するようにししてもよい。場合によっては、詳細測定部12を省略した構成とすることもできる。
培地のサンプリングは、実験者がマニュアルでビーカー等に採取する方法や、適宜構成されたサンプリング装置を用いて自動的にサンプリングしてもよい。
測定値及び測定データの取得時、1つの培地の測定値及び測定データは、時刻を用いて対応づける形で、できるだけ近い時刻に取得するようにしてもよい。1つの培地試料を複数に分けて、測定を並列に行っても良い。
センサ部11の各センサ及び詳細測定部12の各機器での測定は、操作者の手によってマニュアルで行ってもよく、また、各センサや各機器に組み込まれたプログラムあるいは各センサや各機器を駆動するように動作が組み込まれたロボットを利用して自動的に行ってもよい。
また、上述した実施形態においては、複数個の培地の特性値の分布から異常判定の閾値を設定する状態推定部として、複数の培地の特性値の分布から特徴づける基底を、PCA処理やPLS処理により抽出して、複数個の培地の状態を推定するとともに、当該基底で構成される空間で異常判定の閾値を設定する状態推定部22を適用したが、本発明はこれに限らない。例えば、他の状態推定部としては、複数個の培地の特性値の分布をニューラルネットワークや機械学習等で解析し、得られた解析結果から異常判定の閾値を設定する状態推定部を適用してもよい。
上記の変形例1及び変形例2では温度およびpHが変化するときのインピーダンスの補正値を予め準備しているが、これに限らず、温度およびpHが変化するときの補正値を学習するようにしてもよい。即ち、温度およびpHの変化とインピーダンスの変化とを包含した特性値のデータを多数蓄積して特性値の分布を特徴づける基底を抽出する解析を行う。特性値のデータの蓄積とともに、温度およびpHの変化とインピーダンスの変化との両者の説明に適した補正値を選択するようする。これによってデータの蓄積とともに補正値の精度が高められる。
1 培地の異常検知装置
10 測定部
11 センサ部
12 詳細測定部
20 異常検知システム
21 データベース
22 状態推定部
23 異常検知部
30 異常通知部

Claims (7)

  1. 複数個の培地及び少なくとも1個の対象培地のインピーダンスを特性値として測定する測定部と、
    複数個の前記培地の前記特性値の分布の状態から異常判定の閾値を設定する状態推定部と、
    前記対象培地の前記特性値と、前記閾値とから前記対象培地の異常の有無を判定する異常検知部と
    を備える培地の異常検知装置。
  2. 前記測定部は、さらに、複数個の前記培地及び前記対象培地の温度と、pHと、測定環境の湿度と、のうち少なくともいずれか1種以上も前記特性値として測定する
    請求項1に記載の培地の異常検知装置。
  3. 前記状態推定部は、少なくともインピーダンスを除く複数個の前記培地の前記特性値を基に、前記インピーダンスを補正する
    請求項1又は2に記載の培地の異常検知装置。
  4. 前記状態推定部は、複数個の前記培地の前記特性値の分布を特徴づける基底を抽出して複数個の前記培地の状態を推定するとともに、前記閾値として前記基底で構成される空間での異常判定の閾値を設定し、
    前記異常検知部は、前記対象培地の前記特性値を前記基底で構成される空間に投影して得られる解析結果と、前記閾値とから前記対象培地の異常の有無を判定する
    請求項2又は3に記載の培地の異常検知装置。
  5. 前記状態推定部は、複数個の前記培地の培養結果を参照し、前記基底として複数個の前記培地の前記特性値の分布を特徴づけるとともに前記培養結果に関連性がある基底を抽出する
    請求項4に記載の培地の異常検知装置。
  6. 前記状態推定部は、前記測定部で測定された、複数個の前記培地のインピーダンスを含む2種以上の前記特性値のうち、1種以上の前記特性値を除いた特性値について、分布を特徴づける基底を抽出して複数個の前記培地の状態を推定するとともに、前記基底で構成される空間での異常判定の閾値を設定する
    請求項4又は5に記載の培地の異常検知装置。
  7. 複数個の培地のインピーダンスを特性値として測定し、
    複数個の前記培地の前記特性値の分布の状態から異常判定の閾値を設定し、
    少なくとも1個の対象培地のインピーダンスを特性値として測定し、
    前記対象培地の前記特性値と、前記閾値とから前記対象培地の異常の有無を判定する
    培地の異常検知方法。

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