JP6286202B2 - ウエッジ膜の形成方法 - Google Patents

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この発明は、基板の平坦面に対して傾斜する膜面を有するウエッジ膜をスパッタリング装置を用いて形成する方法に関する。
フィルタやミラーなどの光学素子に光が入射するとき、その入射光のスポットの中心と端部とでは光の入射角度が異なるのが普通である。ところで、誘電体多層膜ミラーなどの光学素子では、入射する光の角度が僅かに変化しただけで光学特性が大きく変化してしまう。この光学特性の変化は、光学素子に入射する光ビームの中心付近と端部とで位相差が生じてしまうことに起因する。そのため、誘電体多層膜ミラーなどの光学素子では光の入射位置に応じて位相差を調整することが必要となる。そして、光の入射位置に応じて光学素子の特性を調整する技術として膜厚傾斜成膜(ウエッジ成膜)技術がある。
ウエッジ成膜技術は、周知のスパッタリングや真空蒸着などの成膜技術を応用し、ターゲットと基板との配置関係や、基板の表面における成膜領域を限定するための遮蔽マスクの配置や形状などを工夫することで、ターゲットから放出される成膜材料が基板表面に対して傾斜する膜面を形成するようにしている。
光学素子を対象としたウエッジ成膜技術では、基板表面に光学薄膜(石英ガラス、ITO透明電極など)を徐々に膜厚が厚くなるような傾斜形状の膜(ウエッジ膜)を形成している。例えば誘電体多層膜ミラーでは、入射光の中心位置から端部に向けて膜厚が徐々に薄くなるようにウエッジ膜を形成すれば、入射光の端部での位相差を相殺することができる。なお、光学素子を対象としたウエッジ成膜技術は、位置による光学特性のバラツキを均一にする場合だけではなく、光学素子における光の入射面の光学特性を積極的に変える場合にも利用されている。以下の特許文献1〜3などにはウエッジ成膜技術についての具体的な内容について記載されている。また、以下の特許文献4には本発明に関連する技術について記載されている。
特開2003−155556号公報 特開平9−296265号公報 特開2007−178822号公報 特開2007−256311号公報
上記特許文献1〜3にも記載されているように、ウエッジ成膜技術には各種方式がある。しかし上記特許文献1に記載のウエッジ成膜技術では、カルーセルタイプの基板ホルダを備えた膜厚補正機構が必要であり、スパッタリング装置や真空蒸着装置等の成膜装置に大掛かりな改良を加える必要がある。また特許文献2には基板を斜めに設置することでウエッジ膜を形成する技術が記載されているが、この技術では成膜装置の処理室(チャンバー)の容積が限られているため、ウエッジ膜の傾斜角度範囲が限られてしまう。特許文献3に記載のウエッジ成膜技術では、基板においてウエッジ膜が形成される側の面(以下、成膜面とも言う)に対し、遮蔽マスクを所定の角度で立設させている。それによって遮蔽マスクの陰になる部分で他の部分より膜厚が薄くなり、この陰となる部分に傾斜面が形成されるようになっている。しかし基板の成膜面に対して遮蔽マスクを立設させているため、遮蔽マスクの陰になる部分に蒸着物が容易に回り込み、膜厚や傾斜角度を精密に制御することが難しくなる。遮蔽マスクを成膜面に対して立設させた状態で固定するための構造も必要となる。
特許文献4には、開口部を有する平板状の遮蔽マスクを用いて基板の所定領域に膜を形成する技術について記載されており、この技術では、遮蔽マスクの断面形状を工夫することで遮蔽マスクの開口部の縁の近傍で膜厚が不足することを防止している。すなわち、当該文献4には遮蔽マスクの開口部の縁の近傍にはウエッジ膜が形成されることが示唆されている。しかしながら、遮蔽マスクの開口部の縁にウエッジ膜を形成する場合、目的とする膜厚と傾斜角度を個別に制御することができない。
図1は、引用文献4に記載の技術を転用したウエッジ成膜技術の概略を示している。図1(A)はウエッジ膜を形成する際の基板10とターゲット30との配置関係を示す図であり、基板10における成膜面11を下方として、当該基板10を下方から見たときの配置を示している。図1(B)は、図1(A)に示した基板10とターゲット30の配置を図中白抜き矢印で示した方向から見たときの側面図である。なお基板10と遮蔽マスク(以下、マスクとも言う)20については、図1(A)におけるa−a矢視断面図によって示している。
これらの図に示したように、基板10の成膜面(以下、下面とも言う)11とターゲット30の上面31は平行であり、基板10はターゲット30に対して斜め上方に配置されている。ここでは、基板10の中心Osとターゲット30の中心Otとを結ぶ直線51と成膜面11との交差角度(以下、入射角度とも言う)をθとしている。スパッタリングに際しては、ターゲット30から放出された成膜材料の粒子が基板10に対して斜め下方から入射し、当該基板10の下面11に付着する。
図2と図3に図1に示したウエッジ膜40の形成方法の問題点を示した。図2は、図1(B)における円100内を拡大した図であり、図2(A)は、マスク20の厚さtmが厚い場合であり、図1(B)はマスク20の厚さtmが薄い場合を示している。図3は図1に示した方法でウエッジ膜40を形成する際のマスクの厚さtmと傾斜角度φとの関係を示しており、ここでは、2.5mm四方の正方形状の開口部21を有するマスク20を用いるとともに、開口部21の中心と基板10の中心Osとが一致し、入射角度θ=38゜であるものとしている。
まず図2(A)、(B)に示したように、基板10に対してターゲット30が斜め下方にあり、このターゲット30から放出された成膜材料がマスク20の開口部21を介して基板10の下面11に付着する。このとき、基板下面11においてマスク20の縁の陰となる領域(以下、傾斜領域とも言う)12に傾斜面41が形成される。なおここではターゲット30と基板10との距離Lcに対し、マスク20の開口部21の面積が極めて小さい場合を想定している。したがって、ターゲット30の全面から放射状に拡散する成膜材料の粒子は、開口部21から露出した基板10の下面11に対し、一律に上記入射角度θで入射してくるものとしてよい。
そして基板10とターゲット30との位置関係が固定されていれば、図1(A)に示したようにマスク20の厚さtmが厚い場合では、傾斜領域12における「影」の長さ(以下、傾斜距離とも言う)Laは長くなり、傾斜角度φが小さくなる。マスク20の厚さtmが薄い場合は、 図2(B)に示したように傾斜距離Laが短くなり、傾斜角度φが大きくなる。
マスク20の厚さtmと傾斜距離Laとの関係については、図3に示したように比例の関係にある。すなわち、マスク20を厚くすると傾斜距離Laが長くなり傾斜角度φが小さくなる。マスク20を薄くすると傾斜距離Laが短くなり傾斜角度φが大きくなる。すなわち、厚さtmのマスク20を用いてウエッジ膜40を形成しようとすると、マスク20の厚さtmによって傾斜面41が形成される傾斜領域12が規定され、膜厚tを厚くするのに従って傾斜角度φも増大していく。したがって、ウエッジ膜の厚さtと傾斜角度φを個別に制御することができない。例えば、ある膜厚tを確保しつつ、所定の傾斜角度φを得ようと思えば、所定の傾斜角度φとなるまで膜厚tを厚くし、その後、膜面を研磨するなどして膜厚tを調整することが必要となる。所定の傾斜角度φが得られても目的とする膜厚tに足らないということもある。とくに傾斜角度φが0.1゜に満たないような極めて緩い傾斜面を有するウエッジ膜では、その傾斜角度φを得ること自体が難しい。
そこで本発明は、スパッタリング装置に大掛かり改造を加える必要がなく、膜厚と傾斜角度を個別に精度よく制御できるウエッジ膜の形成方法を提供することを主な目的としている。
そして、上記目的を達成するための本発明は、 基板の平坦面に対して傾斜する膜面を有するウエッジ膜をスパッタリング装置を用いて形成する方法であって
記スパッタリング装置は、前記平坦面の法線方向である上下方向に延長された回転軸周りに回転可能に前記基板を取付けるための基板ホルダと、
前記基板ホルダに取り付けられた前記基板に対し、前記回転軸と直交する前後方向における前方側に位置して斜め下方に配置され、前記膜面の起源となる成膜材料からなるターゲットと、
を備え、
開口部を有する遮蔽マスクを前記基板の下面に積層するとともに、当該基板を前記基板ホルダに装着する基板装着ステップと、
前記基板を前記遮蔽マスクとともに回転させながらスパッタリングして、前記ターゲットから放出される前記成膜材料を前記遮蔽マスクの前記開口部から露出する前記基板下面に付着させることで、当該基板下面において前記遮蔽マスクの前記開口部の縁の陰となる領域に前記ウエッジ膜を形成させる成膜ステップと、
を含み、
前記遮蔽マスクの前記開口部の平面形状は、前記回転軸周りに回転したときに、当該遮蔽マスクの下面と前記回転軸との交点を通るとともに上下前後の各方向に直交する左右方向に沿う直線に対して線対称となりうる形状をなし、
前記基板装着ステップでは、前記ターゲットの中心と前記回転軸とが前後方向に直線上に配置されるとともに、前記ターゲットの上面と前記基板の下面とが互いに平行となるように離間し、
前記成膜ステップでは、前記回転軸周りに回転する前記基板及び前記遮蔽マスクの回転中に前記遮蔽マスクの前記開口部が、前記左右方向に沿う直線に対して線対称となる二つの回転位置のうちの一方となる基準状態での時間T1と、前記二つの回転位置のうちの他方となり前記基準状態から180度回転した反転状態での時間T2とを不均一とし、前記時間T1と前記時間T2との合計時間Tを調整することで前記ウエッジ膜の膜厚を制御し、前記時間T1と前記時間T2との時間割合を調整することで前記ウエッジ膜の傾斜角度を制御する、

ことを特徴とするウエッジ膜の形成方法としている。
前記成膜ステップでは、前記基準状態と前記反転状態にあるときに前記基板の回転を停止させるとともに、当該基準状態と前記反転状態にあるときのみスパッタリングを行うウエッジ膜の形成方法としてもよい。
前記遮蔽マスクには前記開口部が前記回転軸を通る直線上に一列に複数配置されているとともに、前記成膜ステップでは、前記基板の回転中に前記複数の開口部が左右方向に一列に並ぶ二つの回転位置の一方にあるときを前記基準状態とし、他方にあるときを前記反転状態とするウエッジ膜の形成方法とすることもできる。
本発明のウエッジ膜形成方法によれば、コストアップを伴わずにウエッジ膜の傾斜角度と膜厚を個別に精度よく制御することが可能となる。
マスクを用いた従来のウエッジ膜の形成方法の概略を示す図である。 上記従来のウエッジ膜の形成方法の問題を説明するための図である。 上記従来のウエッジ膜の形成方法における傾斜距離とマスクの厚さとの関係を示す図である。 一般的な空間変調器(SLM)の概略構造を示す図である。 上記一般的なSLMの問題点を説明するための図である。 上記一般的なSLM問題点を解決した特性に優れた先発明に係るSLMの概略構造を示す図である。 本発明の基本的な実施例に係るウエッジ膜の形成方法の概略を示す平面図である。 上記基本的な実施例に係るウエッジ膜の形成方法の概略を示す側面図である。 上記基本的な実施例に係るウエッジ膜の形成方法によるウエッジ膜の形成過程を示す図である。 上記基本的な実施例に係る方法におけるウエッジ膜の形成状態を拡大した図である。 本発明の第1の実施例に係る方法と第1の比較例に係る方法のそれぞれによって形成されるウエッジ膜の膜厚と傾斜角度との関係を示す図である。 本発明の第2の実施例に係る方法と第2の比較例に係る方法のそれぞれの概略を示す図である。 上記第2の比較例に係るウエッジ膜の形成方法の欠点と、上記第2の実施例に係るウエッジ膜の形成方法の利点とを説明するための図である。 本発明の第2の実施例に係る方法と第2の比較例に係る方法のそれぞれによって形成されるウエッジ膜の膜厚分布を示す図である。 本発明のその他の実施例に係るウエッジ膜の形成方法の概略を示す図である。
本発明の実施例について、以下に添付図面を参照しつつ説明する。なお以下の説明に用いた図面において、同一または類似の部分に同一の符号を付して重複する説明を省略することがある。図面によっては説明に際して不要な符号を省略することもある。
===本発明の適用例===
本発明の実施例に係るウエッジ膜の形成方法(以下、成膜方法とも言う)は、例えば、電気光学結晶の電気光学効果を利用した空間光変調器に適用することができる。図4に一般的な空間変調器(以下、SLMとも言う)1の概略構造を示した。例示したSLM1は、光通信における周知の波長分割多重技術に対応し、異なる三つの波長(λa〜λc)の光(Ba〜Bc)を入射し、その各波長(λa〜λc)の入射光(Ba〜Bc)の強度を変調した上で出力する。
SLM1において、光(Ba〜Bc)の入射側を前方とするとともに、その光(Ba〜Bc)が前後方向に進行するものとすると、当該SLM1は、後端側にSTO(SrTiO)からなる基板6が配置され、前方に向かって反射板を兼ねる金属電極層5、電気光学結晶層4、透明電極層3、および誘電体ミラー層2がこの順に積層された構造となっている。誘電体ミラー層2は、例えば、Taの薄膜とSiOの薄膜を交互に積層した多層膜であり、透明電極層3は周知のITOを主体として構成されている。電気光学結晶層4はPLZTやKTN(KTa1−xNb)などからなる。またAuなどからなる金属電極層5は、異なる波長(λa〜λc)の光(Ba〜Bc)のそれぞれに対応して個別のセル電極(5a〜5c)から構成されている。
上記構成のSLM1は、ファブリペロー共振器として動作し、駆動回路7により透明電極層3と金属電極層5との間に可変電圧による電気信号が印加されることによって電気光学結晶層4の電気光学特性(例えばカー効果などの電気光学効果に基づく屈折率、電歪効果に基づく光路長)が調整される。すなわち位相差が調整される。それによって、入射した各波長(λa〜λc)の光(Bai、Bbi、Bci)は、電気光学結晶層4を挟持する誘電体ミラー2と反射板である金属電極層5間で多重反射しながらその位相差に応じた波長で共振し、入射光(Bai、Bbi、Bci)の当初の中心波長(λa〜λc)がシフトする。その結果、波長(λa〜λc)毎に利得が個別に調整された光(Bao、Bbo、Bco)が前方に向けて出射する。
しかしながら、この図4に示したSLM1では、電界強度が同じ場合では、入射した光の変調量がその入射光の波長によって異なる、という問題があった。図5に当該問題を具体的に示した。図5(A)に示したように、各光(Ba、Bb、Bc)の波長(λa、λb、λc)がλa<λb<λcの関係にあり、さらに当初の反射損失特性曲線60は、光Bbの波長λbの近傍に極小値P1を有しているものとする。ここでSLM1に所定の電界を印加すると、その当初の曲線60が図5(B)に示した波長損失特性曲線61にシフトする。そのため光Bbの波長λbについては、当初の反射損失Rb1と電界を印加したときの反射損失Rb2との差に相当する大きな変調量が得られる。
しかし光Baや光Bcの波長(λa、λc)は、当初の反射損失特性曲線60において波長の差に対して反射損失の差がほとんどない「裾野」の領域F内にあるため、光Baや光Bcの入射位置にあるセル電極A5aやセル電極C5cの位置では、反射損失特性曲線60がシフトしても反射損失がほとんど変化せず、変調量が極めて小さい。とくに光Baではその波長λaが当初の極小点P1に対して短波長側にあり、反射損失がすでに最大値に近い値になっている。電界を印加すると、その極小点P1が長波長側にシフトするため、当初の反射損失特性曲線60がさらに反射損失が大きくなる方向にシフトする。そのため、セル電極A5aの位置ではほとんど変調させることができない。
そこで本発明者は、本発明に先立ち、様々な波長の光に対しても低電圧で十分に大きな変調量が得られるSLMを発明し、これを特許出願した(特願2013−97507:以下、先発明)。この先発明は、従来のSLM1における共振特性が入射した光が出射するまでの光路長に依存することに鑑み、図6に示したSLM101のように、入射する波長(λa〜λc)が異なる複数の光(Ba〜Bc)のそれぞれの光路長をその波長(λa〜λc)に応じて変えている点に特徴を有している。具体的には各波長(λa〜λc)の光(Ba〜Bc)に対し、それぞれの波長(λa〜λc)に応じたセル電極A〜C(5a〜5c)の前方にある領域(以下、セル領域とも言う)の厚さを変えて、波長(λa〜λc)に応じた適切な位相差をあらかじめ与えている。それによって、各波長(λa〜λc)の光(Ba〜Bc)のそれぞれが小さな電界強度でも大きな変調量が得られるようになっている。
この先発明における具体的な実施例では、各セルA〜C(5a〜5c)におけるセル領域の厚さ(ta〜tc)を階段状に変化させていたが、このSLM101を周知の可変光利得等化器などに使用することを想定すると、セル電極(5a〜5c)の大きさは、一辺が10μm程度の矩形で極めて小さく、入射する光(Bai〜Bci)のスポット径も10μm程度である。また透明電極層3や電気光学結晶層4における厚さの差(tc−ta)は、数百nmの単位である。そのため、厚さの差(tc−ta)を階段の段差ではなくウエッジ膜にける傾斜面の高低差で形成しても問題がない。膜厚(ta〜tc)を階段状に変化させるためにはその階段の数だけ成膜プロセスを繰り返す必要があるが、ウエッジ膜では成膜プロセスが1回でよく、製造コストと製造時間を劇的に低減させることが可能となる。
しかしながら、本発明者が従来のウエッジ成膜技術によってこのSLM101を作製しようとしたところ、膜厚と傾斜角度を精度よく個別に制御することが難しく、とくに0.01゜程度の極めて小さな傾斜角度を得ることが極めて困難であることを知見した。そこで本発明者は、傾斜角度が極めて小さなウエッジ膜でも、その傾斜角度と膜厚を精度よく個別に制御できるウエッジ成膜技術を開発するために鋭意研究を重ね、本発明に想到した。
===基本となる実施例===
本発明の基本的な実施例(以下、基本実施例)に係る成膜方法の概略を図7と図8に示した。図7(A)は基板10における成膜面11を下方から見たときの基板10とターゲット30との配置関係を示す平面図である。図7(B)は、図7(A)における円200内を拡大した図であり、マスク20の開口部21の形状を示している。図8(A)は、ターゲット30と基板10の配置関係を図7(A)に示した白抜き矢印の方向から見たときの側面図である。なお基板10については、図7(A)におけるb−b矢視断面によって示している。図8(B)は、図8(A)における円201内を拡大した図である。
ここで、基板10における成膜面11を下方として上下関係を規定すると、図7、図8に示したように、基本実施例に係る成膜方法では、一辺w1の正方形状の基板10の下面にウエッジ膜を形成することとしている。基板10の成膜面(以下、下面とも言う)11には中央に開口部21が形成されているマスク20が積層され、この開口部21から基板下面11が露出している。ここで、基板10の法線方向で当該基板10の下面11の中心(以下、原点とも言う)Osを通る直線方向にz軸を取る。z軸と直交しつつ、原点Osからターゲット30の中心Otへ向かう方向にx軸を設け、このx軸方向を前後方向とする。前後の各方向については、原点Osに対してターゲット30のある方向を前方とする。z軸とx軸とに直交する方向にy軸を設け、このy軸方向を左右方向とする。左右の各方向については前方から見たときの方向によって規定する。
この基本実施例に係る成膜方法では、上記のごとくx、y、zの各軸と上下前後左右の各方向を規定した場合、図7(B)に拡大して示したように、マスク20の開口部21はy軸に対して対称となる矩形状であり、この例では原点Osを中心とした正方形である。そして図8(B)に示したように、ターゲット30から放出された成膜材料の粒子は、マスク20の開口部21から露出する基板下面11に対して斜め下方向から入射し、マスク20の開口部21においてターゲット30側にある縁によって陰となる傾斜領域12に成膜材料が傾斜しながら付着し、開口部21内にウエッジ膜が形成される。
このように基本実施例では、マスク20の開口部21の縁によって陰となる部分を利用してウエッジ膜を形成しており、ここまでは図1に示した従来の成膜方法と同様である。しかし、基本実施例に係る成膜方法では、基板10がz軸を回転軸50として回転可能に取り付けられており、基板10を回転させながら基板下面11にウエッジ膜を形成していく。しかも基板10の回転動作に特徴を有してウエッジ膜の膜厚と傾斜角度を個別に制御することが可能となっている。以下に基本実施例に係る成膜方法によるウエッジ膜の形成原理について説明する。
図9に基本実施例における成膜方法の原理を示した。図9(A)は、基板10の回転位置を説明するための図である。ここでは、図7(B)と同様にマスク20の開口部21を拡大した平面図を示している。なお以下では、矩形の開口部21において互いに対向する二つの縁辺(13a、13b)がy軸方向と平行となり、かつその二つの縁辺の一方13aが回転軸50に対して前方にあるときを基準状態として規定し、基準状態における回転軸50周りの回転角度を0゜とする。
図9(B)〜(D)は成膜過程にある基板10のzx断面を示している。図(B)は基準状態を示している。図9(C)、(D)は、基準状態に対して基板10を回転軸50周りに180゜回転させた状態(以下、反転状態)を示している。まず、図9(A)、(B)に示したように、基板10が基準状態にてスパッタリングを行って基板下面11に成膜すると、前方の縁辺13aから傾斜距離Laに亘って傾斜面41が形成され、後方の縁辺13bから前方に向かう距離Lb(=w2−La)に亘って一定の厚さt1の膜が形成される。
次に図9(C)に示したように、基板を180゜回転させて反転状態にすると、初期状態において形成された傾斜面41も180゜回転する。反転状態において成膜すると、図9(D)に示したように、新たな傾斜領域12に傾斜距離Laに亘って新たな傾斜面41が形成される。結果として、開口部21における所定の二つの縁辺(13a、13b)の近傍に同じ傾斜角度φで同じ厚さtのウエッジ膜40が形成される。
図10にウエッジ膜40の厚さ5と傾斜角度φとの関係を示した。当該図10は図9(D)の矩形点線領域202を拡大した図である。この図10に示したように、回転軸50に対して互いに180゜の関係となる基準状態と反転状態の双方で成膜を行う場合、膜厚tは、基準状態においてマスク20の陰にならなかった領域での膜厚t1と、反転状態でマスク20の陰にならなかった領域での膜厚t2との和となる。傾斜角度φは反転状態にて成膜したときの膜厚t2が薄いほど小さく、当該膜厚t2が厚いほど大きくなる。すなわち、基準状態での成膜時間(以下、T1)と、反転状態での成膜時間(以下、T2)とを合計した総合成膜時間(以下、T)によって総体的な膜厚t=t1+t2を調整することができ、傾斜角度φは上記の成膜時間T1と成膜時間T2の割合を調整することで制御することが可能となる。なお成膜時間T1とT2の割合を調整するためには、連続的にスパッタリングを行いながら基板10の回転速度を変えたり、基準状態と反転状態の2状態にあるときにスパッタリングを行うとともに、各状態でのスパッタリングの時間を変えたりすればよい。またウエッジ膜40において、傾斜面41の形成領域のみを利用する場合には、不要な部分を切断するなどして除去すればよい。
===第1の実施例===
上記基本実施例の方法に基づいて、実際に石英ガラスからなる基板上にITOからなるウエッジ膜を形成する事例を第1の実施例として挙げる。以下、先に示した図8〜図10を参照しつつ第1の実施例について説明する。第1の実施例では、一辺の長さw1=3インチ(≒75mm)の基板10を用い、その基板10の下面11に当該基板10と同じ大きさの3インチ四方の正方形のマスク20を積層した。また厚さtmが異なる2種類のマスク20を用意した。一方のマスク20は厚さtm=0.3mmであり、他方はtm=1.0mmである。なお2種類のマスク20の開口部21は同じ大きさと形状を有し、一辺の長さw2=2.5mmの正方形とした。
ウエッジ膜40を形成するためのスパッタリング装置は、基板10をz軸周りに回転可能に取り付けるための基板ホルダを備えている。また ITOターゲット30は直径D=80mmであり、そのターゲット30をスパッタリング装置に取り付けると入射角度θ=38゜となった。なお基板10とターゲット30との距離Lcは開口部21の大きさに対して十分に大きく、zx平面において、ターゲット30の全面から開口部21を介して基板下面11を見込む角度は、開口部21の内側のどの位置でも一律に上記の入射角度θ=38゜で近似できるものとしている。
つぎに、スパッタリング装置により、上述した先発明に係るSLMを想定して傾斜角度φ=0.011゜、厚さt=300nmのウエッジ膜を形成するために、基準状態で回転を停止させてスパッタリングを行ったのち、反転状態まで基板10を回転させ、その反転状態で回転を停止させてスパッタリングを再開して基板下面11にウエッジ膜40を形成した。なおここでは傾斜距離La=380μmとLa=1280μmとなる2種類のウエッジ膜40を形成することとした。傾斜距離Laは、入射角度θとマスクの厚さtmによって決まるため、厚さtmが異なる2種類のマスク20を用意した。さらに基準状態での成膜時間T1と反転状態における成膜時間T2の割合をマスク20の種類に応じて変えた。ここでは、厚さtm=0.3mmのマスク20を用いる場合は、T1:T2=4:11とし、tm=1.0mmのマスク20を用いる場合はT1:T2=25.6:4.4とした。また第1の実施例に対する比較例(以下、第1の比較例)に係る成膜方法として、上記2種類のマスク20のそれぞれを用いて成膜する際に、基準状態と反転状態との時間割合を等しくして(T1:T2=1:1)ウエッジ膜40を形成した。
図11に第1の実施例、および第1の比較例の方法で成膜したウエッジ膜40の厚さtと傾斜角度φの関係を示した。図11(A)は傾斜距離La=380μmを得るために厚さtm=0.3mmのマスク20を用いた場合であり、図11(B)は傾斜距離La=1280μmを得るために厚さtm=1.0mmのマスク20を用いた場合である。なお図中では、第1の実施例に係る方法で作製したウエッジ膜40の膜厚tと傾斜角度φとの関係を実線で示し、第1の比較例に係る方法における関係を点線で示した。
まず図11(A)に示したように、傾斜距離La=380μmとした場合、第1の実施例に係る方法では、目的の膜厚t=300nmと傾斜角度φ=0.011゜を有するウエッジ膜40を形成することができた。しかし、第1の比較例に係る方法では、目的の膜厚t=300nmの半分約150nmで目的とする傾斜角度φ=0.011゜に達してしまう。すなわち、第1の比較例に係る方法では、目的とする膜厚tと傾斜角度φを同時に得ることができない。
また図11(B)に示したように、傾斜距離La=1280μmとした場合、第1の実施例に係る方法では、目的の膜厚t=300nmと傾斜角度φ=0.011゜を有するウエッジ膜40を形成することができた。しかし、第1の比較例に係る方法では、傾斜角度φ=0.011゜を得るためには、膜厚tを約500nmまで厚くする必要があった。したがって、第1の比較例の方法では、目的の傾斜角度φ=0.011゜と膜厚t=300nmを有するウエッジ膜40を得るためには、膜厚tを約500nmまで厚くして目的の傾斜角度φ=0.011゜を得た上で、形成されたウエッジ膜40を膜厚t=300nmとなるまで切削加工やエッチングなどを施す必要がある。
以上より、第1の実施例に係る成膜方法では、実質的にスパッタリング装置によるスパッタリング工程のみの簡素な手順によって目的とする膜厚tと傾斜角度φを有するウエッジ膜40を形成することができる。第1の比較例に係る成膜方法では、目的とするウエッジ膜40が得られない。あるいは目的とするウエッジ膜40を得るためにスパッタリング以外の複雑な工程が別途必要となり製造コストが増大する。
なおスパッタリング装置の多くは、基板を回転可能に取り付けるための基板ホルダを備えており、スパッタリング装置にターゲットを固定すると、そのターゲットと基板は上下方向で互いに対向した状態で配置されるのが普通である。さらに、スパッタリング装置は、異なる成膜材料を連続して基板上に成膜することができるように、複数のターゲットをチャンバー内に固定することができるようになっており、複数のターゲットは、例えば、基板の回転軸50に対して円環状に並べて固定されるようになっている。したがって、ターゲットは自ずと基板ホルダに装着された状態の基板の斜め下方に離間して配置されることになる。すなわち第1の実施例に係る成膜方法では、汎用的なスパッタリング装置を転用することが可能である。ウエッジ膜の形成に際しては、使用するスパッタリング装置に応じて上記入射角度θが決まるため、その入射角度θと形成しようとするウエッジ膜の条件(厚さt、傾斜角度φ、傾斜距離Laなど)とに応じてマスク20の厚さtmや上記時間割合T1:T2を調整すればよい。
===第2の実施例===
第1の実施例では、基板10に積層するマスク20には開口部21が一つだけ形成されていた。すなわち、1枚の基板10にSLMなどの素子を一つ形成することができた。しかし、1枚の基板10上に複数の素子を形成したり、一つの素子の複数の領域にウエッジ膜を形成したりする場合もある。そこで本発明の第2の実施例として、複数の開口部を有するマスクを用いて1枚の基板上の複数箇所に目的とする膜厚と傾斜角度を有するウエッジ膜を形成する事例を挙げる。
図12の(A)に第2の実施例に係る成膜方法の概略を示した。また図12(B)に第2の実施例に係る成膜方法に対する比較例となる成膜方法(以下、第2の比較例)の概略を示した。図12(A)、(B)に示したように、第2の実施例および第2の比較例におけるマスク120には複数の開口部21が形成されている。第2の実施例および第2の比較例の方法に用いるマスク120は実質的に同じであり、矩形状の開口部21が回転軸50を中心に対称となるように一列に複数配置されている。第2の実施例と第2の比較例の違いは、スパッタリングによってウエッジ膜を形成する際の開口部21の列の延長方向にあり、第2の実施例では、開口部21の列がy軸方向に延長した状態でウエッジ膜を形成し、第2の比較例では開口部21の列がx軸方向に延長した状態でウエッジ膜を形成している。
図13に第2の実施例と第2の比較例におけるウエッジ膜の形成状態を示した。図13(A)は第2の比較例に係る成膜方法を示しており、ここでは、図12(B)におけるc−c矢視断面の拡大図を示している。図13(B)は第2の実施例に係る成膜方法を示しており、図12(A)における円203内を拡大した図である。この図13(B)では、xy面における成膜材料の入射方向をターゲット30の中心Otと各開口部21の中心を結ぶ直線52によって示している。
まず図13(A)に示したように、第2の比較例では、開口部21の列方向が前後方向であるため、ターゲット30から放出される成膜材料の粒子のzx面における入射角度θが前方と後方の開口部21とで大きく異なってしまう。そのため、マスク120の陰となる傾斜距離Laが列の前方の開口部21と後方の開口部21とで異なり、各開口部21にて形成されるウエッジ膜40の傾斜角度φと膜厚tが不均一になってしまう。
一方図13(B)に示した第2の実施例に係る成膜方法では、開口部21の列方向がy軸方向に一致するため、成膜材料の粒子はzx面については各開口部21に同じ角度θで入射する。xy面では入射角度ωが各開口部21で異なるが、ウエッジ膜40の膜厚tと傾斜角度φはzx面内の入射角度θに依存するため、開口部21の列がy軸方向と平行であれば、どの開口部21においてもzx面での入射角度が一律にθとなる。この場合、ウエッジ膜40の傾斜方向がxy面における入射角度ωの方向となるだけで、傾斜距離Laも全ての開口部21で同じとなる。
したがって、第2の実施例では、第1の実施例と同様に、適宜な厚さtmのマスク120を用いつつ、前後に平行となる二つの縁辺(13a、13b)の一方13a(あるいは13b)と、他方13b(あるいは13a)とでスパッタリングの時間割合T1:T2を変えれば、目的の傾斜距離La、膜厚t、および傾斜角度φを有するウエッジ膜40が得られる。
ここで、厚さ0.7mmで、基板120の中心を通る直線上に一辺2.5mmの開口部21が6個形成されたマスク120を用い、第2の実施例と第2の比較例のそれぞれに係る方法でウエッジ膜40を形成してみた。またスパッタリングに際し、正方形状の開口部21において互いに平行となる二つの縁辺(13a、13b)の陰となる時間(T1、T2)の割合をT1:T2=1:1とした。なおここで採用した成膜条件は、第1の実施例と同様に原点Osに2.5mm四方の正方形の開口部21が一つだけ形成されている場合を想定したときに、その開口部21の内側に厚さt=350μm、傾斜角度φ=0.011゜、傾斜距離La=900μmのウエッジ膜40を形成するというものである。
図14に、第2の実施例と第2の比較例のそれぞれの方法で形成したウエッジ膜40の膜厚分布を示した。図14(A)は、第2の実施例に係る方法で形成したウエッジ膜40の膜厚分布である。具体的には、6個の開口部21のそれぞれの内側に形成されたウエッジ膜40について、各開口部21の前方の縁辺13aから図13(B)に示した入射角度ωとなる直線52方向に沿って膜厚を測定したときの膜厚分布を示している。なお図14(A)では、各開口部21のそれぞれにおける膜厚分布を異なる濃度の曲線で示した。また目的とする傾斜角度φ=0.011゜に相当する傾きを直線Sで示した。
図14(B)は、第2の比較例に係る方法で形成したウエッジ膜40の膜厚分布であり、6個の開口部21のそれぞれについて、x軸と平行に前方から後方に向かって膜厚を測定したときの膜厚分布を示している。ここでも各開口部21のそれぞれにおける膜厚分布を異なる濃度の曲線で示し、目的とする傾斜角度φ=0.011゜に相当する傾きを直線Sで示した。
図14(A)に示したように、第2の実施例の方法で形成したウエッジ膜40は、6個の開口部21のいずれにおいても、開口部21の中心にて目的の膜厚t=350μmが得られ、傾斜距離Laに亘って傾斜角度φ=0.011゜の傾斜面41が得られている。またウエッジ膜の形状は開口部21の中心に対してほぼ対称となるように形成されている。一方、第2の比較例に係る方法で形成したウエッジ膜では、図14(B)に示したように、開口部21の中心に対して膜厚分布が非対称であり、どの開口部21においても目的とする傾斜角度φ=0.011゜や膜厚t=350μmが得られなかった。
===その他の実施例===
上記各実施例では形成したウエッジ膜を、例えば、SLMの透明電極層に利用することを想定していた。すなわち、形成したウエッジ膜をそのまま何らかの用途に利用することを想定していた。しかしこの実施例に限らず、形成したウエッジ膜をウエッジ膜とは異なる材料の表面を傾斜させるために利用することも考えられる。例えば、図6に示した先発明に係るSLM101において、透明電極層103の代わりに電気光学結晶層4をウエッジ膜で形成することが考えられる。一般的に電気光学結晶層4は結晶成長法によって形成し、スパッタリングによって形成することが難しい。
図15(A)〜(D)は、スパッタリングによってウエッジ膜を形成することが難しい材料の表面に傾斜面を形成する手順を示している。まず、図15(A)に示したように、傾斜面の形成対象となる材料の層(以下、傾斜形成層)43を基板42上に目的の膜厚t3となるように形成し、その傾斜形成層43の表面に、図15(B)に示したようにスパッタリングにより何らかの材料でできたウエッジ膜40を形成する。つぎに図15(C)に示したように、そのウエッジ膜40をドライエッチング、あるいはウエットエッチングによって削っていく。それによって、傾斜形成層43の表面が当初のウエッジ膜40aの表面形状に沿って削られていき、最終的に図15(D)に示したように、傾斜形成層43の表面に当初のウエッジ膜40aにおける傾斜角度φと同じ角度の傾斜面44が形成される。
上記実施例では、マスク(20、120)の開口部21の形状が正方形状であったが、長方形、円形、楕円、菱形など、基準状態と反転状態の双方の回転位置においてy軸に対して線対称となる形状であればよく、上記各実施例と同様に、基準状態での成膜時間T1と反転状態での成膜時間T2の時間割合を変えてスパッタリングを行えばよい。それによって、xy平面において開口部21の縁によって陰となる傾斜領域12の形状が異なるものの、目的とする傾斜角度φと厚さtのウエッジ膜40を形成することができる。
なお当然のことではあるが、上記各実施例に係る成膜方法は、SLMやその他の光学素子を製造すること以外にも適用することができ、ウエッジ膜40を構成する成膜材料もITOに限らずスパッタリングによって形成可能な成膜材料であればどのようなものであってもよい。
1,101 空間光変調器(SLM)、2 誘電体ミラー層、
3,103 透明電極層、4 電気光学結晶層、5 金属電極層、
5a〜5c セル電極、6 SLMの基板、10、基板(石英ガラス基板)、
11 成膜面(基板10の下面)、12 傾斜領域、13a,13b 開口部の縁辺、
20,120 マスク、21 開口部、30 ターゲット、40 ウエッジ膜、
41 傾斜面、50 回転軸、La 傾斜距離、Os 基板の中心(原点)、
Ot ターゲットの中心、t ウエッジ膜の厚さ、tm マスクの厚さ、
θ (zx平面での)入射角度、φ 傾斜角度

Claims (3)

  1. 基板の平坦面に対して傾斜する膜面を有するウエッジ膜をスパッタリング装置を用いて形成する方法であって
    記スパッタリング装置は、前記平坦面の法線方向である上下方向に延長された回転軸周りに回転可能に前記基板を取付けるための基板ホルダと、
    前記基板ホルダに取り付けられた前記基板に対し、前記回転軸と直交する前後方向における前方側に位置して斜め下方に配置され、前記膜面の起源となる成膜材料からなるターゲットと、
    を備え、
    開口部を有する遮蔽マスクを前記基板の下面に積層するとともに、当該基板を前記基板ホルダに装着する基板装着ステップと、
    前記基板を前記遮蔽マスクとともに回転させながらスパッタリングして、前記ターゲットから放出される前記成膜材料を前記遮蔽マスクの前記開口部から露出する前記基板下面に付着させることで、当該基板下面において前記遮蔽マスクの前記開口部の縁の陰となる領域に前記ウエッジ膜を形成させる成膜ステップと、
    を含み、
    前記遮蔽マスクの前記開口部の平面形状は、前記回転軸周りに回転したときに、当該遮蔽マスクの下面と前記回転軸との交点を通るとともに上下前後の各方向に直交する左右方向に沿う直線に対して線対称となりうる形状をなし、
    前記基板装着ステップでは、前記ターゲットの中心と前記回転軸とが前後方向に直線上に配置されるとともに、前記ターゲットの上面と前記基板の下面とが互いに平行となるように離間し、
    前記成膜ステップでは、前記回転軸周りに回転する前記基板及び前記遮蔽マスクの回転中に前記遮蔽マスクの前記開口部が、前記左右方向に沿う直線に対して線対称となる二つの回転位置のうちの一方となる基準状態での時間T1と、前記二つの回転位置のうちの他方となり前記基準状態から180度回転した反転状態での時間T2とを不均一とし、前記時間T1と前記時間T2との合計時間Tを調整することで前記ウエッジ膜の膜厚を制御し、前記時間T1と前記時間T2との時間割合を調整することで前記ウエッジ膜の傾斜角度を制御する、
    ことを特徴とするウエッジ膜の形成方法。
  2. 請求項1に記載のウエッジ膜の形成方法であって、前記成膜ステップでは、前記基準状態と前記反転状態にあるときに前記基板の回転を停止させるとともに、当該基準状態と前記反転状態にあるときのみスパッタリングを行うことを特徴とするウエッジ膜の形成方法。
  3. 請求項1または2に記載のウエッジ膜の形成方法であって、前記遮蔽マスクには前記開口部が前記回転軸を通る直線上に一列に複数配置されているとともに、前記成膜ステップでは、前記基板の回転中に前記複数の開口部が左右方向に一列に並ぶ二つの回転位置の一方にあるときを前記基準状態とし、他方にあるときを前記反転状態とすることを特徴とするウエッジ膜の形成方法。
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