以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。但し、以下の実施形態に記載された構成要素の具体的な寸法、材質、形状、その相対配置等はあくまで一実施形態に過ぎず、これらの記載によって本発明の範囲が限定解釈されるべきではない。
〔実施形態1〕
本発明の一実施形態について、図1の(a)・(b)および図2の(a)・(b)に基づいて説明すれば、以下の通りである。
図1の(a)は、本実施形態にかかる表示装置100の要部の概略構成を模式的に示す断面図であり、図1の(b)は、図1の(a)に示す表示装置100の要部の概略構成を模式的に示す分解斜視図である。なお、図1の(a)・(b)では、表示粒子の数を省略して図示している。また、図1の(b)では、電源部41・42の図示を省略している。
<表示装置100の概略構成>
本実施形態にかかる表示装置100は、電子粉流体型の表示装置(電子粉流体ディスプレイ)の一種である。
本実施形態にかかる表示装置100は、図1の(a)に示すように、互いに対向配置された一対の支持部材(以下、単に「支持部材」と称する)10・20(表示粒子支持部材)と、これら支持部材10・20間に形成されたセル30内に封入された、表示粒子としての複数の帯電性粒子31および非帯電性粒子32(粒子群)と、電源部41・42とを備えている。
以下に、それぞれの構成について、詳細に説明する。なお、以下では、説明の便宜上、表示面側(観察者側)を上側とし、背面側を下側として説明する。
<支持部材10>
図1の(a)・(b)に示すように、支持部材10(第2支持部材)は、電子放出素子11と、電子放出素子11上に設けられた絶縁層12とを備えている。
(電子放出素子11)
電子放出素子11は、基板1と、基板1上に設けられた下部電極2(第3電極)と、下部電極2に対向して設けられた表面電極3(第2電極)と、下部電極2と表面電極3との間に挟持された電子加速層4とを備えている。
電子加速層4は、絶縁性微粒子5と導電性微粒子6とからなり、例えば、絶縁性微粒子5を堆積させた絶縁性微粒子層内に導電性微粒子6を分散させることによって形成される。
(基板1)
基板1は、表示粒子を保持する支持部材10におけるベース基板(支持部材)として用いられるとともに、電子加速層4を保持する電子放出素子11におけるベース基板(支持部材)として用いられる。
基板1は、ある程度強度が高く、電子加速層4において直に接する物質との密着性が良く、抵抗率が高いことが望ましく、これらの条件を満たした上で、加工の容易さ、耐久性、コスト等を考慮して適宜選択すればよい。
基板1としては、絶縁性基板であれば特に限定されるものではない。基板1は、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルサルフォン、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリイミド、アクリル等のポリマーシートのように可撓性を有するフレキシブル基板であってもよく、ガラス基板、石英基板等の可撓性を有さない無機シート等の無機基板であってもよい。
なお、基板1の厚みは、特に限定されるものではなく、電子放出素子11としたときに、強度や支持部材10・20間のセル30の均一性(間隙均一性)を保つことができる程度の厚みを有していればよい。
(下部電極2)
下部電極2は、表面電極3と対になり、電子加速層4に電圧を印加するための電極であり、基板1における支持部材20との対向面側の表面上に設けられている。
下部電極2に用いられる電極材料としては、良好な導電性を有する材料が好ましく、一例として、ステンレス、アルミニウム、チタン、銅等の金属;シリコン、ゲルマニウム、ガリウム砒素等の半導体;等が挙げられる。なお、下部電極2の厚みは、特に限定されない。
下部電極2は、例えば、電子加速層4との界面となる基板1の表面を、例えば、マグネトロンスパッタ等のスパッタリング法を用いて導電性膜で被覆することにより、形成することができる。但し、下部電極2の形成方法としては、スパッタリング法に限定されるものではなく、真空蒸着法、CVD(化学蒸着)法、塗布法等で薄膜状に形成する方法;導電剤を溶媒や合成樹脂バインダ等に混合して塗布する方法;等が用いられる。
なお、下部電極2に用いられる導電性膜の材料となる導電性材料としては、大気中での電子放出素子11の安定動作を望む場合、抗酸化力の高い導電性材料を用いることが好ましく、貴金属を用いることがより好ましい。また、下部電極2の材料には、酸化物導電材料であり透明電極に広く利用されているITO(インジウムスズ酸化物)も有用である。
表示面側の支持部材20に設ける対向電極22は透明である必要があるが、背面側の支持部材10に設ける下部電極2および後述する表面電極3は、必ずしも透明である必要はない。
また、絶縁性基板からなる基板1を被覆する下部電極2には強靭さが要求されるため、基板1上に複数の導電性膜を積層してもよい。
例えば、基板1上にチタン/銅の二層膜を成膜したものを下部電極2として用いてもよい。この場合の一例として、チタンの膜厚は200nmとし、銅の膜厚は1000nmとする。但し、これら材料および数値に限定されることはない。チタン薄膜と銅薄膜とで基板1を被覆すると、強靭な導電性薄膜からなる下部電極2を形成することができる。
なお、基板1の表面の導電性膜を、周知のフォトリソグラフィやマスク等を用いて例えば方形等にパターニングして下部電極2を形成してもよい。
また、基板1および下部電極2の代わりに、基板の機能を兼ねる電極基板が設けられていてもよい。このような電極基板としては、ある程度の強度を有すること、直に接する物質との接着性が良好なこと、適度な導電性を有することが望ましい。
このような電極基板の一例としては、例えば、ステンレス、アルミニウム、チタン、銅等の金属基板;シリコン、ゲルマニウム、ガリウム砒素等の半導体基板;等が挙げられる。
基板1および下部電極2の代わりに、このような電極基板を用いる場合には、該電極基板が、表示粒子を保持する支持部材10におけるベース基板(支持部材)として用いられるとともに、電子加速層4を保持する電子放出素子11におけるベース基板(支持部材)として用いられる。
(表面電極3)
表面電極3は、下部電極2と対になり、電子加速層4に電圧を印加するための電極である。また、表面電極3は、支持部材20における後述する対向電極22と対になり、セル30内に封入された表示粒子に電圧を印加するための電極としても機能する。
表面電極3に使用される電極材料は、導電性を有し、電圧印加が可能となる物質であれば特に限定されない。但し、表面電極3は、電子加速層4内で加速されて高エネルギーとなった電子をなるべくエネルギーロス無く透過させて放出することが好ましい。このため、仕事関数が低く、かつ、薄膜で形成することが可能な導電性材料で表面電極3を形成することが好ましい。
このような材料としては、例えば、仕事関数が4〜5eVに該当する金、銀、タングステン、チタン、アルミ、パラジウム等が挙げられる。その中でも、大気圧中での動作を想定した場合、酸化物および硫化物形成反応のない金が特に好ましい。なお、酸化物形成反応が比較的小さい銀、パラジウム、タングステン等も問題なく実使用に耐える材料である。
なお、本実施形態において、表面電極3の厚みは、特に限定されないが、電子放出素子11から外部へ電子を効率良く放出させる観点からすれば、例えば、10〜55nmの範囲内とすることが好ましい。表面電極3の厚みが10nm以上であれば、表面電極3を平面電極として機能させるための電気的導通を十分に確保することができる。一方、表面電極3の厚みが55nmを超えると、弾道電子のトンネル確率が著しく減少し、表面電極3で弾道電子の吸収あるいは反射による電子加速層4への再捕獲が生じるおそれがある。
(電子加速層4)
電子加速層4は、下部電極2と表面電極3との間に設けられ、下部電極2から表面電極3へ向かう電子を加速させる。
本実施形態にかかる電子加速層4は、少なくとも絶縁性微粒子5を備えている。絶縁性微粒子5は、単分散しているとともに、整列して充填されている。これにより、絶縁性微粒子5間の接点および導通路が均等に生じる。そのため、電子を効率的にトラップしながら伝導させることができ、弾道電子が表面電極3下において増産され、多量の電子が放出されるので、電子放出効率が高い。このような電子放出素子11は、半導電性の輸送特性を示す。
絶縁性微粒子5としては、例えば、酸化シリコン、酸化亜鉛等の半導体酸化物;酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化銅等の金属酸化物;等からなる絶縁性微粒子を用いることができる。また、これらの絶縁性微粒子を単独で、あるいは複数種類組み合わせて用いることができる。
絶縁性微粒子5の粒径は、特に限定されないが、5〜1000nmの範囲内であることが好ましく、15〜500nmの範囲内であることがより好ましい。絶縁性微粒子5の粒径が上記範囲内である場合、電子加速層4内を電流が流れる際に発生するジュール熱を効率よく散逸させることができる。したがって、電子放出素子11が動作時の発熱により破壊されることを防ぐことができる。このため、電子加速層4の層厚を変更することにより、電子放出素子11の抵抗値を任意かつ容易に調整することが可能となる。
しかしながら、絶縁性微粒子5の粒径が5nmよりも小さいと、粒径のばらつきを小さくすることが難しいため、均一な厚みの電子加速層4を形成することが難しくなる。また、絶縁性微粒子5の粒径が1000nmよりも大きいと、例えば絶縁性微粒子5の分散液を下部電極2上に塗布して電子加速層4を形成する場合に、分散液中に絶縁性微粒子5が沈降して分散性が悪くなり、その結果、分散液の塗布膜において絶縁性微粒子5が多い箇所と少ない箇所とが生じ易くなる。このため、均一な厚みの電子加速層4を形成することが難しくなる。なお、本実施形態において、「粒径」とは平均一次粒径を意味する。なお、粒子径はレーザー回折法にて測定できる。
また、電子加速層4内には、図1の(a)に示すように、絶縁性微粒子5に加えて、導電性微粒子6が含まれていてもよい。本実施形態では、導電性微粒子6は、絶縁性微粒子5層内に分散されており、絶縁性微粒子5の表面に付着した状態で存在している。導電性微粒子6は必ずしも必須ではないが、導電性微粒子6には、電子加速層4においてトラップされた電子の表面電極3までの移動を補助し、生成される弾道電子数を増加させる効果がある。このため、電子加速層4が導電性微粒子6を備えることで、電子放出量を向上させることができるとともに、電子加速層4を流れる電流の値を制御することができる。換言すると、電子加速層4内の絶縁性微粒子5の含有量を調整して、電子加速層4の電気抵抗の値を、任意の範囲に調整することができる。
導電性微粒子6としては、特に限定されないが、例えば、金、銀、白金、パラジウム、ニッケル等からなる導電性微粒子を用いることができる。また、これらの導電性微粒子を単独で、あるいは複数種類組み合わせて用いることができる。
なお、導電性微粒子6の粒径そのものは特に限定されないものの、絶縁性微粒子5を用いた電子加速層4を設ける場合に、導電性微粒子6の粒径が絶縁性微粒子5の粒径と同等以上であると、電子加速層4が必要とする絶縁性が得られなくなる。このため、導電性微粒子6の粒径は、絶縁性微粒子5の粒径よりも小さい必要がある。
なお、上述したように、電子加速層4には、導電性微粒子6が含まれていてもいなくてもよい。すなわち、電子加速層4は、少なくとも絶縁性微粒子5が充填された絶縁性微粒子層を備えていればよい。本実施形態において、電子加速層4に含まれる導電性微粒子6は、上述したように電子放出素子11の電子放出量向上のために加えているものである。絶縁性微粒子5に適切な量の導電性微粒子6を添加することによって、電子放出素子11の電流を適正な値に制御することができる。なお、絶縁性微粒子5に対する導電性微粒子6の添加量は、電子加速層4の電気抵抗の値が所望の値になるように適宜設定すればよく、特に限定されるものではない。
さらに、電子加速層4には、バインダ成分として、少量のシリコーン樹脂が含まれていてもよい。電子加速層4がシリコーン樹脂を含むことで、電子放出素子11の機械的強度を向上することができるとともに、大気中の酸素および水分等による素子劣化を防ぐことができ、長寿命化をより効果的に図ることができる。
また、必要に応じて電子加速層4に、分散剤等の添加剤が含まれていてもよい。
また、電子加速層4は、材料が異なる2層以上の積層構造になっていてもよい。例えば、1層目が実質的な電子加速層、2層目が機械的強度アップ、防湿度効果、膜表面の平坦化を目的とする保護層といった積層構造を採用することができる。
電子加速層4の形成方法としては、例えばスピンコート法等を用いることができる。具体的には、基板1および下部電極2上に、単分散の絶縁性微粒子5および導電性微粒子6の分散液を塗布してスピンコートすればよい。なお、ここで、分散液とは、単分散の絶縁性微粒子5および導電性微粒子6等を、水等の溶媒中に分散させたものである。スピンコート法によって形成された電子加速層4は、電子放出素子として用いるために要求される平坦性を満足することができる。
なお、電子加速層4の厚さは、分散液の濃度、スピンコート時の回転数および回転時間等を適宜調整することによって、所望の厚みに制御可能である。すなわち、電子加速層4の抵抗値は、容易に制御可能である。
一般的に、基板1および下部電極2の表面は疎水性であり、水を溶媒とする分散液は親水性である。そこで、分散液の基板1および下部電極2への濡れ性を改善するために、基板1および下部電極2の表面を親水性に処理しておくことが好ましい。
このように少なくとも絶縁性微粒子5からなる電子加速層4を、例えばスピンコート法を用いて形成することによって、大面積の電子加速層4を、高いスループットかつ低いコストにて製造することができる。
なお、複数種類の絶縁性微粒子5や導電性微粒子6を分散液に分散し、該分散液を下部電極2上に塗布することで電子加速層4を形成する場合、絶縁性微粒子5の選定や導電性微粒子6の選定は、分散液中におけるこれら粒子の分散性を考慮することが望ましい。
本実施形態において、電子加速層4の厚みは、特に限定されないが、例えば、8〜6000nmの範囲内であることが好ましく、8〜3000nmの範囲内であることがより好ましく、30〜1000nmの範囲内であることがさらに好ましい。これにより、厚みが均一な(表面が平滑な)電子加速層4を形成し易くなり、電子加速層4の表面を平坦化することができる。その結果、電子放出素子11全体に亘ってより一様に電子を放出することができるとともに、厚み方向における電子加速層4の抵抗値を容易に制御することができる。
なお、電子放出素子11は、できるだけ低い電圧で強い電界を加えて電子を加速させることが好ましい。そのため、電子放出素子11への印加電圧等にもよるが、上述した範囲のなかでも、できるだけ薄いことが好ましい。
(絶縁層12)
図1の(a)・(b)に示すように、絶縁層12は、電子放出素子11における表面電極3上に設けられている。絶縁層12には、微小開口として、厚み方向に貫通した複数の小孔12a(開口部)が一面に渡って設けられている。
これにより、電子放出素子11における表面電極3は、表示装置100における下側電極として、上側電極としての対向電極22と対の電極として用いることができる。
電子放出素子11は、下部電極2と表面電極3との間に電界を印加することで、下部電極2と表面電極3との間の電子加速層4で電子を加速させて電子放出素子11の外部に放出する。電子放出素子11から放出された電子は、絶縁層12の小孔12aを通過して、支持部材10・20間のセル30内に放出される。
絶縁層12は、電気抵抗が高く、電子放出素子11から放出された電子が絶縁層12からセル30内に移動しないため、小孔12aからのみ電子が放出される。このため、絶縁層12は、小孔12aを有することで、電子放出素子11の電子放出を、絶縁層12の面内で均一に制御することができる。本実施形態によれば、絶縁層12全体に配置された小孔12aからセル30内に均一に電子が放出される。
絶縁層12には、公知の絶縁性材料を使用することができる。絶縁層12の一例としては、例えば、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、シリコン窒化酸化膜等の無機絶縁膜;シリコーン樹脂膜、アクリル系樹脂膜、ポリイミド系樹脂膜、エポキシ系樹脂膜、ポリエステル系樹脂膜、ポリウレタン系樹脂膜、ポリスチレン系樹脂膜等の有機絶縁膜;が挙げられる。なお、絶縁層12は、これら各種絶縁膜の単層膜であっても積層膜であってもよい。
なお、絶縁層12の層厚は、下部電極2と表面電極3との間に印加される電圧の大きさや、表面電極3と後述する対向電極22との間に印加される電圧の大きさ、絶縁層12の材質等(より具体的には、例えば、絶縁層12の抵抗値、耐熱性、機械的強度等)の観点から適宜設定すればよく、特に限定されるものではない。
小孔12aの大きさ(開口径、直径)は、表示粒子、特に、導電性材料からなる帯電性粒子31が、小孔12a内に入り込んで表面電極3に接触しないように表示粒子の粒径よりも小さければ、特に限定されるものではない。
また、図1の(b)では小孔12aが平面視で円形である場合を例に挙げて図示しているが、小孔12aの平面視形状は特に限定されない。小孔12aの平面視形状としては、例えば、多角形(正三角形、正方形、長方形、菱形、五角形、六角形等)であってもよく、楕円形等であってもよい。
また、小孔12aの密度も特に限定されるものではなく、小孔12aの大きさ、形状、密度等は、電子放出の均一性や制御性が損なわれることがないように、隣接する小孔12a相互における電界が互いに干渉しない程度であればよい。
なお、小孔12aは、図1の(b)に示すようにランダムに配置されていてもよく、マトリクス状に配置されていてもよい。
<支持部材20>
図1の(a)・(b)に示すように、支持部材20(第1支持部材)は、基板21と、基板21上に設けられた対向電極22(第1電極)と、対向電極22上に設けられた絶縁層23とを備えている。
(基板21)
基板21は、表示粒子を保持する支持部材20におけるベース基板(支持部材)として用いられる。
基板21には、基板1と同様の材料からなる基板を用いることができる。なお、基板1および基板21のうち、少なくとも表示面側の基板21には、透光性(透明性)を有する基板が使用される。
なお、基板1同様、基板21の厚みも特に限定されるものではなく、強度や支持部材10・20間のセル30の均一性(間隙均一性)を保つことができる程度の厚みを有していればよい。
(対向電極22)
対向電極22は、表面電極3と対になり、セル30内に封入された表示粒子に電圧を印加するための電極であり、基板21における支持部材10との対向面側の表面上に設けられている。
表示面側の支持部材20に設けられる対向電極22には、透明電極(対向透明電極)が使用される。対向電極22には、例えば、可視光が透過可能な、ITO、IZO(インジウム亜鉛酸化物)等が用いられる。しかしながら、これに限定されるものではなく、例えば、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリチオフェン等の導電性ポリマーからなる透明導電膜を用いてもよい。
なお、対向電極22の形成方法は、特に限定されるものではなく、下部電極2や表面電極3の形成方法と同様の方法を用いることができる。
また、対向電極22の厚みは特に限定されず、導電性が確保でき、光透過性に支障がない程度の厚みを有していればよい。
(絶縁層23)
絶縁層23は、対向電極22上に、例えばベタ状に形成されている。絶縁層23には、絶縁層12と同様の材料からなる絶縁層を用いることができる。なお、絶縁層12同様、絶縁層23の層厚も特に限定されるものではなく、表面電極3と対向電極22との間に印加される電圧の大きさ、絶縁層23の材質等(より具体的には、例えば、絶縁層12の抵抗値、耐熱性、機械的強度等)の観点から適宜設定すればよい。
(セル30)
支持部材10・20間には、これら支持部材10・20と図示しない隔壁(シール材またはリブ)とで囲まれたセル30が少なくとも1つ形成されている。セル30は、図示しない隔壁によって一定のセルギャップに保持されている。また、支持部材10・20間の間隙は、図示しない隔壁によって、例えば複数のセル30に仕切られている。図示はしないが、本実施形態では、支持部材10・20間に格子状に図示しない隔壁を設けることにより、支持部材10・20間には複数のセル30がマトリクス状に設けられている。
なお、上記セルギャップは、特に限定されるものではなく、セル30内に封入した表示粒子(粒子群)の移動が可能であり、コントラストを維持することができるように、表示粒子の粒径等に応じて、適宜設定すればよい。
セル30には、表示粒子からなる粒子群が封入(充填)されている。該粒子群には、それぞれ複数の帯電性粒子31および非帯電性粒子32が含まれている。帯電性粒子31および非帯電性粒子32には、互いに異なる色を呈する帯電性粒子および非帯電性粒子が使用される。本実施形態では、例えば、帯電性粒子31に黒色粒子を使用し、非帯電性粒子32に白色粒子を使用する。
帯電性粒子31には、導電性粒子が使用される。帯電性粒子31に導電性粒子を使用することで、粒子内分極を防ぐことができる。このため、帯電した帯電性粒子31(荷電粒子)が支持部材10・20の表面に貼り付くことを防止することができる。
帯電性粒子31に使用される導電性粒子としては、例えば、金、銀、白金、パラジウム、ニッケル、アルミニウム、インジウム、クロム、バナジウム、錫、カドミウム、銅、チタン、コバルト、鉛等の金属およびこれら金属の合金;カーボンブラック、アセチレンブラック、黒鉛、活性炭等のカーボン材料;等の導電性材料からなる粒子、または、これらの導電性材料で母粒子(コア粒子)の表面を被覆してなる粒子、あるいは、これらの導電性材料を含有する粒子が挙げられる。
また、帯電性粒子31の搬送の観点から、帯電性粒子31に磁性粉を含有させてもよく、上記導電性粒子として、磁性粒子を使用してもよい。そのような導電性粒子としては、例えば、バインダ樹脂中にフェライトや酸化鉄を例えば10〜70重量部混合し、3〜20μm程度に粉砕分級してなるコア粒子の表面に、カーボンブラックや導電性酸化チタン等の導電性微粉末を固定化したものを好適に用いることができる。
バインダ樹脂としては、例えば、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体、ポリエチレン共重合体、ポリエステル、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、脂肪族または脂環族炭化水素樹脂等が挙げられる。
一方、非帯電性粒子32には、帯電しない絶縁性粒子が使用される。非帯電性粒子32に使用される絶縁性粒子としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、顔料含有ポリマー、シリカ、フッ化炭素等の絶縁材料からなる粒子が挙げられる。
なお、以下では、帯電性粒子31(導電性粒子)が黒色の粒子であり、非帯電性粒子32(絶縁性粒子)が白色の粒子であるとして説明するが、これに限定されるものではない。帯電性粒子31と非帯電性粒子32とは、互いに異なる色を有していればよい。したがって、例えば、帯電性粒子31(導電性粒子)が白色の粒子であり、非帯電性粒子32(絶縁性粒子)が黒色の粒子であってもよい。
また、導電性材料および絶縁性材料の少なくとも一方に着色顔料等を混合することにより、表示粒子(帯電性粒子31、非帯電性粒子32)としてカラー粒子を作成することができる。
上記着色顔料としては、例えば、ポリアゾ顔料ベンズイミダゾロン系顔料等の黄色系顔料、フタロシアニン顔料等の青色系顔料、ブリリアントカーミンやキナクリドン系顔料等の赤色系顔料等が挙げられる。
なお、導電性粒子として磁性粒子を使用を使用する場合、有彩色粒子を形成するために、磁性体は、チタン等で被覆して磁性体の色を隠蔽していることが好ましい。
したがって、例えば、セル30毎に、導電性の赤色の粒子と絶縁性の白色の粒子、導電性の青色の粒子と白色の粒子、導電性の黄色の粒子と白色の粒子とを封入することで、支持部材10・20間の間隙を、例えば、赤色、青色、黄色等のセル30に分割して表示を行うことで、フルカラー表示が可能となる。
これら表示粒子(帯電性粒子31、非帯電性粒子32)の粒径は、特に限定されるものではないが、0.1〜50μm程度が好適であり、均一で揃っていることが望ましい。
表示粒子の粒径が小さ過ぎると、粒子同士の凝集力が大きくなり過ぎて移動に支障をきたすおそれがあるとともに、表示粒子間あるいは、表示粒子と各支持部材10・20との間の物理的付着力が増大し、その分、表示粒子の移動に大きな電界が必要となるおそれがある。一方、表示粒子の粒径が大き過ぎると、表示上の鮮明さに欠けるおそれがあるとともに、支持部材間距離を大きく取らなければならず、その分、大きな電界が必要になるおそれがある。
なお、セル30内における表示粒子の充填量(充填率)および非帯電性粒子32に対する帯電性粒子31の添加量は、セル30内に封入した表示粒子(粒子群)の移動が可能であり、かつ、帯電性粒子31が支持部材20側に移動したときに、帯電性粒子31が、支持部材20側から見たときに支持部材20全面に敷き詰められて見えるように支持部材20上に1層以上堆積する一方、帯電性粒子31が支持部材10側に移動したときに、非帯電性粒子32が、支持部材20側から見たときに支持部材10あるいは支持部材20の全面に敷き詰められて見えるように支持部材10あるいは支持部材20上に1層以上堆積するように設定されていればよい。
セル30における表示粒子の占有部分以外の部分には、気体として、空気が充填されている。
すなわち、表示装置100は、気体中に分散された表示粒子に電圧を印加して移動させることにより表示を行う乾式の表示装置であり、セル30内には、気体として、空気が封入されている。
表示装置100は、空気を媒体として帯電した帯電性粒子31を含む表示粒子を電界により移動させるため、安全性が高い。また、空気は粘性抵抗が低いため、溶媒中に表示粒子を分散させた湿式の表示装置と比較して高速応答性を実現することができる。
なお、上記気体としては、空気に限定されるものではなく、窒素、アルゴン、ヘリウム、二酸化炭素等を使用してもよい。
<電源部41>
電源部41は、電子放出素子11の下部電極2と表面電極3との間に印加する電圧を供給するための電源部である。下部電極2と表面電極3との間に電界が印加されると、電子加速層4に電子が流れる。それと同時に、電子加速層4には、印加された電圧により高電界が形成される。下部電極2と表面電極3との間を流れる電子は、この高電界によって加速され、それらの電子の一部が弾道電子として電子加速層4から放出される。電子加速層4から放出された弾道電子は、表面電極3をトンネルして、絶縁層12の小孔12aからセル30へと放出される。
なお、表示装置100はメモリ性を有し、一度帯電した表示粒子の帯電状態はしばらく持続する。このため、表示粒子の帯電は頻繁に行う必要はない。このため、下部電極2と表面電極3との間に印加する電圧は、直流電圧でも交流電圧でもどちらでも構わないが、電子放出量が比較的安定している交流電圧の方が好ましい。
<電源部42>
電源部42は、電子放出素子11の表面電極3と、支持部材20の対向電極22との間に直流電圧を印加する。
なお、電源部41・42は、それぞれ、図示しないドライバ部(駆動制御部)を有し、それぞれ、電源のオン(ON)・オフ(OFF)や、電圧を印加する電極の選択、電圧の切り替え等が可能となっている。
<表示原理>
次に、本実施形態にかかる表示装置100の表示原理について、図2の(a)・(b)を参照して以下に説明する。
図2の(a)・(b)は、本実施形態にかかる表示装置100の表示原理を模式的に示す断面図である。なお、図2の(a)は、対向電極22に正電圧を印加し、表面電極3に負電圧を印加したときの表示粒子の位置を示し、図2の(b)は、対向電極22に負電圧を印加し、表面電極3に正電圧を印加したときの表示粒子の位置を示す。
本実施形態にかかる表示装置100では、まず、電源部42(電源)をOFFし、電源部41(電源)をONして、下部電極2と表面電極3との間に電界を印加することにより、電子放出素子11からセル30内に電子を放出させる。これにより、電子放出素子11から放出される電子によって帯電性粒子31を負の電荷に帯電(マイナス帯電)させる。
その後、電源部41(電源)をOFFし、電源部42(電源)をONして、対向電極22に正電圧を印加し、表面電極3に負電圧を印加する。
このとき、セル30内に封入された帯電性粒子31は、電子放出素子11が放出する電子による帯電により負電荷を有している。このため、図2の(a)に示すように対向電極22に正電圧を印加し、表面電極3に負電圧を印加することで、負の電荷が帯電された帯電性粒子31は、対向電極22にある正電荷との間のクーロン力により、対向電極22が設けられた支持部材20側に移動する。
支持部材20に付着した帯電性粒子31はそのまま保持される。このため、表示装置100を支持部材20側から観察すると、透明な支持部材20を介して、マイナス帯電した帯電性粒子31が視認される。帯電性粒子31が支持部材20の表面にあたかも貼り付く(堆積する)ように、支持部材20に隣接して該支持部材20の表面に沿って配向することで、非帯電性粒子32は押しのけられて支持部材20の表面から離れる。これにより、帯電性粒子31が、支持部材20全面に敷き詰められて見えるので、上述したように帯電性粒子31として黒色の粒子を使用したときは黒色が観察される。これにより、黒表示を行うことができる。
一方、図2の(b)に示すように対向電極22に負電圧を印加し、表面電極3に正電圧を印加することで、負の電荷が帯電された帯電性粒子31は、表面電極3にある正電荷との間のクーロン力により、表面電極3が設けられた支持部材10側に移動する。
支持部材10に付着した帯電性粒子31はそのまま保持される。このため、支持部材20側からは、支持部材20を介して、非帯電性粒子32が視認される。このとき、帯電性粒子31が、支持部材10の表面にあたかも貼り付く(堆積する)ように、支持部材10に隣接して該支持部材10の表面に沿って配向することで、非帯電性粒子32は押しのけられて支持部材10の表面から離れ、支持部材10あるいは支持部材20の全面に敷き詰められて見える。このため、上述したように非帯電性粒子32として白色の粒子を使用したときは白色が観察される。これにより、白表示を行うことができる。
このように、対向電極22と表面電極3との間に電界を逆に印加して表面電極3に帯電する電荷の極性と対向電極22に帯電する電荷の極性とを切り替えることで、帯電性粒子31が配向する側の支持部材を切り替えることができる。このときに、非帯電性粒子32として、例えば白色の粒子が混入してあると、それまで見えていた黒色が消えて、白色が支持部材20側から観察されることで、白の画像と黒の画像とを書き換えることができる。
<効果>
以上のように、本実施形態によれば、電子放出素子11によって帯電性粒子31を帯電させるため、表示粒子を摩擦帯電させる場合とは異なり、表示粒子の摩耗による帯電特性の変質が起きない。このため、本実施形態によれば、長期的に安定して駆動が可能な表示装置100を提供することができる。
また、本実施形態によれば、電子放出素子11の表面に、微小開口として厚み方向に貫通した複数の小孔12aを有する絶縁層12を設けることで、電子放出素子11における表面電極3を下側電極とし、上側電極である対向電極22との間で帯電性粒子31を駆動することが可能である。本実施形態によれば、電子放出素子11が放出する電子による帯電により、ごく低電圧で安定的に帯電性粒子31を帯電させることができる。
さらに、本実施形態によれば、電子放出素子11により、下側電極である表面電極3と上側電極である対向電極22との間の間隙(セル30)内(言い換えれば、空中)に電子を放出するので、該間隙内に放出される電子により、該間隙内に封入された帯電性粒子31を効率的に帯電させることができる。
しかも、本実施形態によれば、上述したように帯電性粒子31を導電性とすることで、粒子内分極を防ぐことができる。このため、帯電した帯電性粒子31(荷電粒子)が支持部材10・20の表面に貼り付くことを防止することができる。
したがって、帯電性粒子31を、支持部材10に非接触(つまり、電子放出素子11に非接触)な状態で、効率良く帯電させることができる。
また、本実施形態によれば、帯電した帯電性粒子31(荷電粒子)が支持部材10・20の表面に貼り付くことを防止することができるので、表面電極3および対向電極22の電圧を反転させて表面電極3および対向電極22に帯電する電荷の極性を切り替えたときに、支持部材10あるいは支持部材20の表面に帯電性粒子31が貼り付いたまま移動しなくなることを防止することができる。
したがって、本実施形態によれば、低電圧で安定して、かつ効率良く、帯電性粒子31を駆動することができる。
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、図3に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、本実施形態では、主に、実施形態1との相違点について説明するものとし、実施形態1で用いた構成要素と同一の機能を有する構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
図3は、本実施形態にかかる表示装置100の要部の概略構成を模式的に示す分解斜視図である。なお、図3でも表示粒子の数を省略して図示しているとともに、電源部41・42の図示を省略している。
<表示装置100の概略構成>
図3に示すように、本実施形態にかかる表示装置100は、電子加速層4に、導電性微粒子52を含む樹脂51層を用いた点を除けば、実施形態1にかかる表示装置100と同じ構成を有している。
<電子加速層4>
すなわち、本実施形態にかかる表示装置100において用いられる電子加速層4は、樹脂51と、樹脂51中に分散された導電性微粒子52とを含んでいる。
樹脂51は、絶縁性の樹脂材料であり、例えば、シラノールを縮合重合したシリコーン樹脂を用いることができる。
また、導電性微粒子52には、金属や半導電体等の導電性材料を用いることができる。導電性微粒子52としては、例えば、実施形態1における電子加速層4に用いた導電性微粒子6と同様の導電性材料を用いることができる。樹脂51に添加する導電性微粒子52の含有量を変更することにより、電子加速層4の抵抗値を調整することができる。
本実施形態にかかる電子加速層4は、例えば、樹脂51と導電性微粒子52とを混合した分散液を、スピンコート法、ドクターブレード法、スプレー法、ディッピング法等により下部電極2に塗布して樹脂51を硬化させることにより形成することができる。なお、分散には、例えば超音波振動器等を用いることができる。
分散液における樹脂51と導電性微粒子52との割合は、樹脂51と導電性微粒子52との組み合わせに応じて適宜設定すればよく、特に限定されるものではない。一例として、樹脂51がシリコーン樹脂であり、導電性微粒子52が銀ナノ粒子である場合、樹脂51が80〜99重量%の範囲内であり、銀ナノ粒子が1〜20重量%の範囲内であることが好ましい。これにより、電子加速層4の抵抗値が調整され、5〜40V程度の適度な印加電圧で電子を放出させることができる。
なお、樹脂51の硬化方法は特に限定されるものではなく、樹脂51として、室温硬化型の樹脂を使用してもよく、熱硬化型あるいは紫外線硬化型の樹脂を使用しても構わない。但し、例えば熱硬化性シリコーン樹脂は、硬化温度が一般的に100℃〜150℃であり、熱応力による撓みが発生する等、熱硬化型の樹脂は、下部電極2の材料や厚みによって、適さない場合がある。このため、紫外線によって硬化することができる紫外線硬化型の樹脂、あるいは、室温硬化型の樹脂を使用することが、熱応力が発生することがなく、下部電極2の材料や厚みに影響されずに使用できることから望ましい。
<効果>
上述したように、本実施形態にかかる表示装置100で使用される電子加速層4には、絶縁性微粒子が含まれていない。電子加速層4に絶縁性微粒子が含まれている場合、一般に、絶縁性微粒子の粒子径が小さくなるほど絶縁性微粒子の凝集が発生し易くなり、絶縁性微粒子の分散状態によっては、電子加速層4の層厚が不均一になる場合がある。
電子放出量は、印加電圧により形成される、電子加速層4内部の電界強度が強いほど増加するため、電子加速層4の層厚が均一なほど電界強度が均一にかかり、面方向で均一な電子放出が可能となる。
したがって、本実施形態によれば、電子加速層4において、絶縁性微粒子による層厚の不均一が発生せず、電子放出素子11内部での電子放出の面内均一性を向上させることができる。
〔実施形態3〕
本発明のさらに他の実施形態について、図4に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、本実施形態では、主に、実施形態1との相違点について説明するものとし、実施形態1で用いた構成要素と同一の機能を有する構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
なお、本実施形態では電子放出素子11が、電子加速層4として、実施形態1で説明した電子加速層4を備えているものとして説明するが、実施形態1にかかる電子加速層4に代えて実施形態2にかかる電子加速層4を備えていてもよいことは言うまでもない。
図4は、本実施形態にかかる表示装置100の要部の概略構成を模式的に示す分解斜視図である。なお、図4でも表示粒子の数を省略して図示しているとともに、電源部41・42の図示を省略している。
<表示装置100の概略構成>
図4に示すように、本実施形態にかかる表示装置100は、表面電極3がストライプ状であり、かつ、対向電極22が、表面電極3と直交するストライプ状に形成されている点で、実施形態1にかかる表示装置100と異なっている。
本実施形態では、表面電極3および対向電極22が、互いに平行に配された複数のストライプ状の単位電極によって形成されている。
本実施形態では、電源部42(図示せず)により、表面電極3および対向電極22における各単位電極に対し、選択的に電圧を印加して表面電極3および対向電極22を単純マトリクス駆動する。
<効果>
以上のように、本実施形態によれば、表面電極3および対向電極22における各単位電極に対し、選択的に電圧を印加することにより、特定の場所にある表示粒子(粒子群)だけを選択的に移動させることができる。
〔実施形態5〕
本発明のさらに他の実施形態について、図5に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、本実施形態では、主に、実施形態1との相違点について説明するものとし、実施形態1で用いた構成要素と同一の機能を有する構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
なお、実施形態4と同様に、本実施形態でも、電子放出素子11が、電子加速層4として、実施形態1で説明した電子加速層4を備えているものとして説明するが、本実施形態でも、実施形態1にかかる電子加速層4に代えて実施形態2にかかる電子加速層4を備えていてもよいことは言うまでもない。
図5は、本実施形態にかかる表示装置100の要部の概略構成を模式的に示す分解斜視図である。なお、図5でも表示粒子の数を省略して図示しているとともに、電源部41・42の図示を省略している。
<表示装置100の概略構成>
本実施形態にかかる表示装置100は、以下の点を除けば、実施形態1にかかる表示装置100と同じ構成を有している。
図5に示すように、本実施形態にかかる表示装置100は、支持部材20が、複数のデータ線25およびゲート線24と、これらデータ線25とゲート線24との各交点に対応して設けられた複数のTFT26(アクティブ素子)を有している。
対向電極22は、それぞれTFT26(アクティブ素子)に電気的に接続された複数の電極群からなり、TFT26により、それぞれ独立して制御が可能となっている。対向電極22は、例えば、データ線25とゲート線24とで囲まれた領域に形成されている。
なお、図5では、データ線25およびゲート線24の本数を省略しているが、データ線25およびゲート線24は、それぞれ複数設けられており、対向電極22はマトリクス状に配列されている。
本実施形態では、上述したように、対向電極22を、トランジスタ(TFT26)を用いてアクティブマトリクス駆動する。
<効果>
以上のように、本実施形態によれば、TFT26を用いて対向電極22に選択的に電圧を印加することにより、特定の場所にある表示粒子(粒子群)だけを選択的に移動させることができるとともに、各画素(すなわち、データ線25とゲート線24とで囲まれた領域)における帯電性粒子31をより高速に移動(駆動)させることができる。
本発明の態様1にかかる表示装置100は、(1)第1電極(対向電極22)を有する第1支持部材(支持部材20)と、(2)上記第1電極に対向配置された第2電極(表面電極3)と第3電極(下部電極2)との間に、電界を印加することで電子を加速して放出する電子加速層4を有する電子放出素子11と、上記第2電極上に設けられた貫通孔(小孔12a)を有する絶縁層12とを有する第2支持部材(支持部材10)と、(3)上記第1支持部材と上記第2支持部材との間に封入した、帯電性粒子31を含む粒子群と、を備え、上記帯電性粒子31が導電性粒子であり、上記貫通孔を介して上記電子放出素子11から放出される電子により上記帯電性粒子31を帯電させるとともに、上記第1電極と上記第2電極との間に電界を印加して上記粒子群を移動させることにより画像の表示を行う。
上記の構成によれば、電子放出素子11によって帯電性粒子31を帯電させるため、帯電性粒子31の摩耗による帯電特性の変質が起きない。このため、長期的に安定して駆動が可能な表示装置100を提供することができる。
また、上記の構成によれば、上記第2電極上に、上記貫通孔を有する絶縁層12を設けることで、上記第2電極と上記第1電極との間で帯電性粒子31を駆動することが可能である。上記の構成によれば、電子放出素子11が放出する電子による帯電により、ごく低電圧で安定的に帯電性粒子31を帯電させることができる。
さらに、上記の構成によれば、電子放出素子11により、上記第2電極と上記第1電極との間の間隙内に電子を放出するので、該間隙内に放出される電子により、該間隙内に封入された帯電性粒子31を効率的に帯電させることができる。
しかも、上記の構成によれば、上述したように帯電性粒子31を導電性とすることで、粒子内分極を防ぐことができる。このため、帯電した帯電性粒子31(荷電粒子)が上記第1支持部材または第2支持部材の表面に貼り付くことを防止することができるので、帯電性粒子31を、上記第2支持部材に非接触(つまり、上記電子放出素子11に非接触)な状態で、効率良く帯電させることができる。
また、上記の構成によれば、帯電した帯電性粒子31(荷電粒子)が上記第1支持部材または第2支持部材の表面に貼り付くことを防止することができるので、上記第1電極と上記第2電極とで電圧を反転させて上記第1電極および上記第2電極に帯電する電荷の極性を切り替えたときに、上記第1支持部材または第2支持部材の表面に帯電性粒子31が貼り付いたまま移動しなくなることを防止することができる。
本発明の態様2にかかる表示装置100は、上記態様1において、上記電子加速層4が導電性微粒子52を含む樹脂51層からなっていてもよい。
上記の構成によれば、均一な層厚を有する電子加速層4を形成することができるので、電界強度を均一にすることができ、面方向で均一な電子放出が可能となる。
本発明の態様3にかかる表示装置100は、上記態様1または2において、上記第1電極および上記第2電極が、互いに直交するように配置された複数のストライプ状の電極群からなり、上記第1電極を単純マトリクス駆動してもよい。
上記の構成によれば、上記電極群に対し、単純マトリクス駆動により選択的に電圧を印加することで、特定の場所にある粒子群だけを選択的に移動させることができる。
本発明の態様4にかかる表示装置100は、上記態様1または2において、上記第1支持部材がアクティブ素子(TFT26)を備え、上記第1電極が、それぞれ上記アクティブ素子に電気的に接続された複数の電極群からなり、上記第1電極をアクティブマトリクス駆動してもよい。
上記の構成によれば、アクティブ素子を用いて上記第1電極に選択的に電圧を印加することにより、特定の場所にある粒子群だけを選択的且つ高速で移動(駆動)させることができる。
本発明の態様5にかかる表示方法は、電子放出素子11から放出される電子により、導電性粒子からなる帯電性粒子31を帯電させるとともに、上記電子放出素子11が有する電極(表面電極3)と、該電極(表面電極3)に対向配置された電極(対向電極22)とにより、上記帯電性粒子31に電界を印加して上記帯電性粒子31を含む粒子群を移動させることにより画像の表示を行う方法である。
上記の方法によれば、電子放出素子11によって帯電性粒子31を帯電させるため、帯電性粒子31の摩耗による帯電特性の変質が起きず、上記電子放出素子11が放出する電子による帯電により、ごく低電圧で安定的に帯電性粒子31を帯電させることができるとともに、上記帯電性粒子31を、効率的に帯電させることができる。
しかも、上記の方法によれば、上述したように、表示粒子として導電性粒子からなる帯電性粒子31を用いることで、粒子内分極を防ぐことができる。このため、帯電した帯電性粒子31(荷電粒子)が電極表面に貼り付くことを防止することができるので、帯電性粒子31を、上記電子放出素子11に非接触な状態で、効率良く帯電させることができる。
また、上記の方法によれば、帯電した帯電性粒子31(荷電粒子)が電極表面に貼り付くことを防止することができるので、電極表面に帯電性粒子31が貼り付いたまま移動しなくなることを防止することができる。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。