JP6283809B2 - I型糖尿病の予防又は治療のための製剤 - Google Patents

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Description

本発明は、I型糖尿病の予防又は治療のための製剤、及びI型糖尿病の予防又は治療方法に関する。
自己免疫疾患の一つであるI型糖尿病は、自己免疫系の機能異常による膵β細胞の破壊により発症する。膵β細胞は、膵臓の間質組織にあるランゲルハンス島(膵島)を構成する細胞の一つで、生命維持に必須のインスリンを産生し、グルコースの代謝、タンパク質の合成、中性脂肪の形成及び貯蔵の促進等の生体内代謝調節を行う。膵β細胞の破壊は生体内のインスリンを欠乏させ、糖代謝の無秩序化により血糖値が正常に保たれなくなるなどグルコース耐糖性に異常が生じ、重篤な場合には、慢性の高血糖症、糖尿、水及び電解質の喪失、ケトアシドーシス、及び昏睡など生命の危機を招く。また長期の合併症には神経障害、網膜症、腎障害、及び全身性の大小血管の退行性変化や感染症などがある。
現在最も一般的で実用的な治療法はインスリンおよびインスリン改変体を主成分とする医薬品を毎日複数回投与するものである。I型糖尿病を発症した患者はこれを一生続けなければならないが、医薬品を常に手元に常備しておかなければならず、極めてコンプライアンスの悪い治療法と言える。
その発症メカニズムについては数多くの研究報告から、抑制性の免疫系の機能異常により膵島由来の自己抗原特異的なCD4陽性T細胞とCD8陽性T細胞の活性化が深く関係することが広く認識されている。遺伝的素因に加えある種のウイルス感染や食事等の環境因子への暴露が引き金となって、抗原特異的な免疫抑制に関わる制御性T細胞(Treg細胞)やナチュラルキラーT細胞(NKT細胞)に数の減少や機能異常が生じる。この抑制性免疫系の機能異常は、通常であれば抑制を受けるはずの自己抗原反応性の1型ヘルパーT細胞(病原性Th1細胞、CD4陽性細胞)を活性化させ、さらには自己抗原特異的な細胞障害性T細胞(CTL、CD8陽性細胞)を活性化し、膵島に浸潤したCTLが膵β細胞を特異的に破壊することで不可逆的な機能不全を招く。
上記のような認識から、膵島由来の自己抗原に対する抑制性免疫系の誘導ならびに病原性Th1細胞や自己抗原特異的CTLの産生抑制が発症予防や治療効果を向上させることに繋がるとの考えから複数の研究がなされ報告されている。
例えば、抑制性の免疫機能の正常化による発症予防と治療効果の向上を目的したものとしては自己抗原特異的Treg細胞の誘導がある。ある種の自己抗原を単独あるいはアジュバントとの併用で免疫することによって自己抗原特異的なTreg細胞を誘導する。誘導されたTreg細胞はその後、自己抗原を発現する膵臓や膵リンパ節において活性化され、病原性Th1細胞の活性化を抑える一方、膵島内に浸潤し膵β細胞を破壊するCTLの細胞傷害活性をバイスタンダー効果によって抑制する。非特許文献1及び3では、発症前のNODマウスの試験において、自己抗原であるインスリンやインスリンペプチドB:9-23を免疫すると糖尿病の進行を遅らせる効果や発症を抑える効果があったことが報告されている。また、特許文献1には、インスリンB鎖又はそのフラグメントと免疫応答を増強するためのアジュバントを投与することにより、I型糖尿病の発症を抑制し得ることが報告されている。このように抗原特異的な免疫抑制は発症予防や治療に効果があることは示されているものの、満足な効果を発揮する薬剤の確立や臨床応用には至っていない。
また他の抑制性の免疫機能の正常化による発症予防と治療効果の向上を目的したものとしてはNKT細胞の質的かつ機能的向上が試みられ発症の遅延効果を示すことが知られている。NKT細胞はサイトカインであるインターロイキン(IL)-4及びIL-10を分泌し、他の免疫細胞の不必要な活性化や異常な免疫応答を抑制することで免疫系全体の機能を正常に保つよう調節する。遺伝的素因のある糖尿病発症予備群では、NKT細胞の数が少なく、またIL-4の産生量に低下が認められており糖尿病の発症におけるNKT細胞の関与が示唆されてきた。そこでNKT細胞のリガンドである糖脂質α‐ガラクトシルセラミド(α-GalCer)の投与によるNKT細胞の活性化による発症予防の検討がなされた。例えば、特許文献2では、α-GalCer投与が、I型糖尿病の発症を遅らせることが示されている。しかしα-GalCer投与は、発症の遅延効果は示したものの、予防効果については十分ではなく(特許文献2、及び後記する実施例2−3参照)、臨床応用には至っていない。更に、特許文献2では、α-GalCerを胸腺投与した例が開示されているが、その投与方法の違いによってI型糖尿病の予防又は治療効果に如何なる影響を及ぼすかについては検討されていない。
また、インスリンやインスリンペプチド、あるいはα-GalCerの単独投与によってI型糖尿病の発症を抑制する方法ではそれぞれの薬剤を連続的に投与することを必要としており、現在のインスリンおよびその改変体による治療の問題である頻回投与の課題を解決していない。
一方、α-GalCerを利用して、ある種の抗体産生が原因であるアレルギー性疾患や、同様に抗体(自己抗体)産生がその発症に大きく関係するタイプの自己免疫疾患に対する発症予防又は治療を行うことが提案されている。例えば、特許文献3には、α-GalCerを含有するリポソームを投与することにより、抗体産生の場である脾臓中の免疫細胞へと薬物が輸送され、脾臓特異的にIL-10産生T細胞の誘導作用とIgE抗体産生抑制作用を発揮させ、アレルギー性疾患等の免疫疾患を予防又は治療できることが報告されている。また、特許文献4には、α-GalCerと標的抗原とをリポソームに包含させた製剤により、脾臓中の免疫細胞に薬物輸送することによって、当該標的抗原に起因するIgE抗体産生抑制作用を発揮させるとともに、当該標的抗原に起因する自己抗体産生抑制作用を発揮し、全身性エリテマトーデス(SLE)やリウマチ等の自己免疫疾患を予防又は治療できることが報告されている。これらα-GalCerを利用して自己免疫疾患の予防又は治療を行う方法は、抗原特異的な自己抗体産生の抑制効果によりSLEやリウマチなどの自己免疫疾患の発症予防と治療に有効であることが予想される。しかしながら、I型糖尿病のように抑制性の免疫機能が減弱化し、自己抗原あるいはエピトープに起因する病原性Th1細胞や自己抗原特異的CTLの活性化による膵島の破壊が発症に大きく関係するタイプの自己免疫疾患の場合には、抗体の産生抑制は、一般的には、糖尿病の予防又は治療効果を向上させる技術との関連性は認められないと考えられている(非特許文献1及び2)。
上述のように、I型糖尿病の発症予防または治療効果の向上においては、自己抗原特異的な抑制性免疫系の機能向上ならびに病原性Th1細胞の活性化抑制や自己抗原特異的CTLの産生抑制が重要である。このような抗原特異的な免疫療法を実施する際、自己抗原やエピトープを把握することは治療効果を向上させる上で大変重要である。I型糖尿病患者の血清中の抗体調査からは、インスリン、glutamic acid decarboxylase (GAD65)、the islet tyrosine phosphatase (IA-2)の3つの膵島由来タンパク質に対する抗体産生が示され、さらにT細胞エピトープの探索研究からislet-specific glucose-6-phosphatase catalytic subunit-related protein (IGRP)やzinc transporter (ZnT8)等が見つかるなど膵島由来タンパク質の複数のエピトープがI型糖尿病に関連して見つかっている。その中でも、インスリン由来抗原はI型糖尿病の発症における主要因と予想され、これまでに発見されたヒト膵β細胞に由来するCD8陽性T細胞エピトープの約8割がプロインスリンとインスリンに由来することも分かっている(非特許文献3)。プロインスリン/インスリンの主要なT細胞エピトープは、インスリン分子内のB鎖の9番目から23番目から成るペプチド「B:9-23」がNODマウスにおいて(非特許文献4)、またヒトにおいてはインスリンB鎖の11番目から27番目からなるペプチド「B:11-27」がそれぞれ同定されている(非特許文献5)。I型糖尿病のモデル動物であるNon-obese diabetic (NOD)マウスを使った試験では、GAD65やIA-2の欠損は発症を抑制しなかったのに対し、インスリンB:9-23の欠損は発症を完全に抑えた。このことからもI型糖尿病の発症にプロインスリン由来エピトープが深く関与することが予想される。
また、正常な膵島組織を糖尿病患者に移植する細胞組織移植療法もまた有効な治療法として知られる。この移植療法は、特にインスリン治療や食事・運動療法に効果が認められずに重症低血糖発作を起こすタイプの血糖値制御を困難とする患者に対して非常に有効とされる。しかしその一方で、現段階においては一度の移植では血糖値制御を長期間維持することが困難で複数回の移植を必要とするなどいくつかの問題点が存在する。例えば、非特許文献6(カナダ・エドモントンのグループの報告)は、膵島移植後の5年間の成績を報告したもので、移植片の50-70%が移植後比較的早い段階で喪失した。これは移植片に対する生体反応が原因と考えられ、例えば血小板凝集などの血液凝固系や補体系の活性化、マクロファージ等の非特異的な炎症反応や自然免疫反応等により、移植片が傷害を受け喪失したと考えられる。これに加え、移植後早期の傷害を回避した膵島移植片は、患者の体内に移植前から存在する自己抗原特異的CTLによって障害を受け、進行性の膵島障害を受けると考えられ、そのため長期間の血糖値制御の維持を困難にしている。このような移植療法の問題点を克服し治療効果を向上させるためには、抗炎症剤の使用や自己抗原特異的CTLをターゲットとする新規の免疫抑制療法の開発が重要である。
このような従来技術を背景として、I型糖尿病の予防又は治療効果が格段に優れており、臨床応用可能な製剤の開発が切望されている。
Devasenan D. et al., BMJ, 2004, 328, 750-754 Stephan M. et al., N. Engl. J. Med., 2001, 345, 1036-1040 T. P. Di Lorenzo et al., Clinical and Experimental Immunology, 148: 1-16 Daniel D. et al., PNAS, 1996, 93, 956-960 Schloot NC. et al., JAI, 1998, 11, 169-175 Edmond A. Ryan et al., Diabetes, vol. 54, 2005, 2060-69 Filippi C. et al., Inter. Reviews. Immun., 2005, 24, 341-360
国際公開第94/23737号パンフレット 国際公開第99/33475号パンフレット 国際公開第2005/120574号パンフレット 国際公開第2007/80977号パンフレット
本発明は、I型糖尿病に対して優れた予防又は治療効果を奏するI型糖尿病の予防又は治療用製剤、及びI型糖尿病の予防又は治療方法を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討を行ったところ、(A)プロインスリン、インスリン、インスリンA鎖、インスリンB鎖、これらのフラグメント、及びこれらの変異体よりなる群から選択される少なくとも1種と、(B)α-GalCerとを併用して投与することによって、I型糖尿病の発症や症状を格別顕著に抑制できることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて更に検討を重ねることにより、完成したものである。
即ち、本発明は、下記に掲げる態様の予防又は治療剤、及び予防又は治療方法を提供する。
項1. (A)プロインスリン、インスリン、インスリンA鎖、インスリンB鎖、これらのフラグメント、及びこれらの変異体よりなる群から選択される少なくとも1種と、(B)α-ガラクトシルセラミドとを含む、I型糖尿病の予防又は治療のための製剤。
項2. 前記(A)成分が、プロインスリン、インスリンB鎖、これらのフラグメント、及びこれらの変異体よりなる群から選択される少なくとも1種である、項1に記載の製剤。
項3. 前記(B)成分が、KRN7000である、項1又は2に記載の製剤。
項4. 前記(B)成分が、リポソームに包含されている、項1〜3のいずれかに記載の製剤。
項5. 前記(A)成分及び(B)成分が、リポソームに包含されている、項1〜4のいずれかに記載の製剤。
項6. I型糖尿病の予防に使用される、項1〜5のいずれかに記載の製剤。
項7. 皮下投与又は腹腔内投与形態で投与される、項1〜6のいずれかに記載の製剤。
項8. I型糖尿病の予防又は治療方法であって、
(A)プロインスリン、インスリン、インスリンA鎖、インスリンB鎖、これらのフラグメント、及びこれらの変異体よりなる群から選択される少なくとも1種と、(B)α-ガラクトシルセラミドとを含む製剤を用い、
前記製剤のI型糖尿病の予防又は治療に有効量を、I型糖尿病の予防又は治療が必要とされるヒトに投与する、I型糖尿病の予防又は治療方法。
項9. 前記(A)成分が、プロインスリン、インスリンB鎖、これらのフラグメント、及びこれらの変異体よりなる群から選択される少なくとも1種である、項8に記載の予防又は治療方法。
項10. 前記(B)成分が、KRN7000である、項8又は9に記載の予防又は治療方法。
項11. 前記(B)成分が、リポソームに包含されている、項8〜10のいずれかに記載の予防又は治療方法。
項12. 前記(A)成分及び(B)成分が、リポソームに包含されている、項8〜11のいずれかに記載の予防又は治療方法。
項13. 前記ヒトが、I型糖尿病の予防が必要とされるヒトである、項8〜12のいずれかに記載の予防又は治療方法。
項14. 前記製剤が、皮下投与又は腹腔内投与形態で投与される、項8〜13のいずれかに記載の予防又は治療方法。
項15. I型糖尿病の予防又は治療剤の製造のための、(A)プロインスリン、インスリン、インスリンA鎖、インスリンB鎖、これらのフラグメント、及びこれらの変異体よりなる群から選択される少なくとも1種と(B)α-ガラクトシルセラミドとを含む製剤の使用。
プロインスリン、インスリン、インスリンA鎖、インスリンB鎖、これらのフラグメント、及びこれらの変異体よりなる群から選択される少なくとも1種、又はα-GalCerの単独投与では、十分な効果をもたらすI型糖尿病の発症抑制や治療ができないが、本発明によれば、これらを併用することによって、効果的なI型糖尿病の発症抑制や治療を行うことが可能になっている。また、本発明によるI型糖尿病の発症抑制や治療は、自己抗原特異的な病原性Th1細胞の活性化を抑制したり膵β細胞を特異的に攻撃するCTLの誘導を抑制したりすることによって実現されており、従来報告されているα-GalCerを利用したアレルゲン特異的抗体や自己抗体の産生抑制とは異なるメカニズムを利用していることから、従来報告されているα-GalCerの作用から類推できないメカニズムに基づいている。そしてこのメカニズムによれば、静脈に投与するよりも皮下投与あるいは腹腔内投与することによりI型糖尿病の発症を有意に抑制することができる。
特に、本発明において、上記1つの成分をα-GalCerを含有するリポソームに内包した状態で併用することにより、形質細胞様樹状細胞(pDC)などの細胞を誘導して膵リンパ節へと集積させて、治療に関与する抑制性T細胞群を膵臓特異的に誘導・集積させ、病原性Th1細胞とCTLを効果的に抑制し喪失させることにより膵臓破壊を阻止すると共に、標的細胞への選択的薬剤輸送によって使用薬剤を低減できることから、より一層有効で副作用の少ないI型糖尿病の発症抑制や根本治療が可能になる。
さらにI型糖尿病をβ細胞の移植により治療しようとする場合、これまでは他家の膵島を供給源としていた。移植の手法としてはEdomontonプロトコールと呼ばれる大量にβ細胞が移植される方法が中心となっていた。しかしながらこの移植の主な課題は主にβ細胞の需要に対する圧倒的な供給不足と、移植後にβ細胞が原疾患であるところの自己免疫によって再破壊されることであった。iPS細胞やES細胞由来のβ細胞によって供給の課題は解消される可能性があるが、移植β細胞の再破壊の課題に対しては依然として解決方法が無いといえ、移植細胞をカプセルに封入するなどの方法によって自己免疫から保護する代替的方法に頼るのが現状である。しかしながら本発明によれば、上記1つの成分を内包したα-GalCerを含有するリポソームを用いることにより、β細胞移植に対する自己免疫を抑制し、移植との併用においても極めて有効なI型糖尿病の発症抑制が可能となる。
実施例2及び3で使用した投与サンプルの模式構造を示す図である。 実施例2において、各試験群における糖尿病の発症率を経時的に評価した結果を示す。 実施例3において、各試験群におけるインスリンBペプチド特異的Treg細胞の増殖を測定した結果(図3A)、及び抗原非添加による増殖細胞の割合とインスリンBペプチド添加による増殖細胞の割合を求めた結果(図3B)を示す。 実施例4において、投与方法を変えた各試験群におけるI型糖尿病の発症率を経時的に評価した結果を示す。 実施例5において、各試験群におけるB220(-)CD8(+)細胞中に存在するNRP-V7(+)細胞(膵β細胞特異的CTL)の割合(%)を求めた結果を示す。
本発明の製剤は、プロインスリン、インスリン、インスリンA鎖、インスリンB鎖、これらのフラグメント、及びこれらの変異体よりなる群から選択される少なくとも1種(以下、(A)成分と表記することもある)と、α-GalCer(以下、(B)成分と表記することもある)とを含み、I型糖尿病の予防又は治療のために使用される医薬である。以下、本発明について、詳細に説明する。
(A)成分
本発明の製剤は、(A)成分として、プロインスリン、インスリン、インスリンA鎖、インスリンB鎖、これらのフラグメント、及びこれらの変異体よりなる群から選択される少なくとも1種を含有する。
本発明の製剤は、I型糖尿病の予防又は治療のために使用される医薬である。(A)成分はこの目的達成のためにターゲットとなる分子であり、インスリンだけでなく、GAD65、IA-2といった別の膵島由来タンパク質も考えられるし、さらにT細胞エピトープの探索研究から発見されたIGRPやZnT8等も考えられたところである。しかしながら本発明者らは、このなかでもプロインスリン、インスリン、インスリンA鎖、インスリンB鎖、これらのフラグメント、及びこれらの変異体が(A)成分として極めて有用であり、後述するα-GalCer含有リポソームに内包されることで、顕著にI型糖尿病の予防又は治療効果を発揮することを発見したのである。
本発明は、ヒトのI型糖尿病の予防又は治療に関するものであるため、(A)成分として使用されるプロインスリン、インスリン、インスリンA鎖、インスリンB鎖、これらのフラグメント、及びこれらの変異体は、ヒト由来であることが望ましい。
プロインスリンは、インスリンの前駆体であり、インスリンは、プロインスリンからC−ペプチドが切り離されてA鎖とB鎖が二つのジスルフィド結合で結合した構造のペプチドホルモンである。インスリンA鎖は、21個のアミノ酸残基からなるペプチドであり、インスリンB鎖は30個のアミノ酸残基からなるペプチドである。プロインスリン、インスリン、インスリンA鎖、及びインスリンB鎖のアミノ酸配列は公知である。例えば、ヒトインスリンA鎖のアミノ酸配列は、GIVEQCCTSICSLYQLENYCN(配列番号1)であることが知られており、ヒトインスリンB鎖のアミノ酸配列は、FVNQHLCGSHLVEALYLVCGERGFFYTPKT(配列番号2)であることが知られている。
プロインスリン、インスリン、インスリンA鎖、及び/又はインスリンB鎖のフラグメントとしては、I型糖尿病に対する防護作用を発揮できることを限度として、特に制限されない。I型糖尿病において、インスリンB鎖の9−23番目のアミノ酸配列からなるペプチド(B:9−23、アミノ酸配列SHLVEALYLVCGERG:配列番号3)、及びインスリンB鎖の11−27番目のアミノ酸配列からなるペプチド(B:11−27、アミノ酸配列LVEALYLVCGERGFFYT:配列番号4)が、CD4+T細胞の主要な抗原エピトープになっていることが明らかにされているので、これらのフラグメントの中でも、インスリンB鎖の9−23番目のアミノ酸配列を含むインスリンB鎖のフラグメント、及びインスリンB鎖の11−27番目のアミノ酸配列を含むインスリンB鎖のフラグメントが好適である。
プロインスリン、インスリン、インスリンA鎖、インスリンB鎖、及び/又はこれらのフラグメントの変異体は、これらのペプチドを構成する1以上のアミノ酸が置換、欠失、及び/又は付加されているものである。当該変異体において、アミノ酸の変異数については、I型糖尿病に対する防護作用を発揮できることを限度として、特に制限されない。例えば、プロインスリン又はインスリンの変異体の場合であれば、インスリンA鎖及びB鎖を構成する全アミノ酸の内、1〜数個、好ましくは1〜5個、更に好ましくは1〜2個のアミノ酸が、置換、欠失、及び/又は付加されているものが挙げられる。また、インスリンB鎖又はそのフラグメントの変異体の場合には、1〜数個、好ましくは1〜5個、更に好ましくは1〜2個のアミノ酸が、置換、欠失、及び/又は付加されているものが挙げられる。
本発明において、I型糖尿病の予防又は治療効果を一層高めるという観点から、上記(A)成分の中でも、好ましくは、プロインスリン、インスリン、インスリンB鎖、これらのフラグメント、及びこれらの変異体が挙げられ、更に好ましくは、ヒトプロインスリン、ヒトインスリン、ヒトインスリンB鎖、そのフラグメント、及びこれらの変異体が挙げられる。
本発明では、上記(A)成分として、プロインスリン、インスリン、インスリンA鎖、インスリンB鎖、これらのフラグメント及びこれらの変異体の中から、1種を単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
(B)成分
本発明において、(B)成分として用いられるα-GalCerとは、ガラクトースとセラミドとがα配位にて結合したスフィンゴ糖脂質であり、具体的には、WO94/09020、WO94/02168、WO94/24142、WO98/44928、Science, 278, p.1626-1629, 1997等に開示されているものが例示される。本発明において、I型糖尿病の予防又は治療効果を一層高めるという観点から、α-GalCerとして、KRN7000、即ち、(2S,3S,4R)-1-O-(α-D-ガラクトピラノシル)-2-ヘキサコサノイルアミノ-1,3,4-オクタデカントリオールが好適に使用される。
本発明において、α-GalCerは、リポソーム化されていてもよい。リポソーム化されたα-GalCer、即ちα-GalCerを含むリポソームは、通常は、リポソームの脂質二重膜層にα-GalCerが局在化して存在する。本発明において、α-GalCerを含むリポソームを使用することにより、I型糖尿病の予防又は治療効果を一層有効に奏させることが可能になる。
リポソーム化されたα-GalCerを使用する場合、リポソームに含有されるα-GalCerの配合比率については、特に制限されないが、例えば、リポソーム構成脂質の総量100重量部当たり、α-GalCerが0.1〜40重量部、好ましくは0.5〜20重量部が例示される。
α-GalCerをリポソーム化するために使用される脂質は、二重膜構造を形成可能であることを限度として、特に制限されない。具体的には、リポソーム構成脂質としては、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)、ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)、ジステロイルホスファチジルコリン(DSPC)等のジアシルホスファチジルコリン類;ジパルミトイルホスファチジルグリセロール(DPPG)、ジオレオイルホスファチジルグリセロール(DOPG)、ジミリストイルホスファチジルグリセロール(DMPG)、ジステロイルホスファチジルグリセロール(DSPG)等のジアシルホスファチジルグリセロール類;コレステロール、3β−[N−(ジメチルアミノエタン)カルバモイル]コレステロール(DC−Chol)、N−(トリメチルアンモニオエチル)カルバモイルコレステロール(TC−Chol)、トコフェロール、コレステロールコハク酸、ラノステロール、ジヒドロラノステロール、デスモステロール、ジヒドロコレステロール、チモステロール、エルゴステロール、スチグマステロール、シトステロール、カンペステロール、ブラシカステロール等のステロール類;ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)、ジステロイルホスファチジルエタノールアミン(DSPE)、ポリエチレングリコールホスファチジルエタノールアミン(PEG−PE)等のホスファチジルエタノールアミン類;ジミリストイルホスファチジン酸等のホスファチジン類;ガングリオシドGM1等のガングリオシド類;ポリエチレングリコールパルミテート、ポリエチレングリコールミリスチレート等のポリエチレングリコール脂肪酸エステル類等が挙げられる。
本発明において、リポソーム構成脂質は、1種単独で使用してもよいが、2種以上を組み合わせて使用することが好ましい。このようなリポソーム構成脂質の組み合わせの好適な例として、ジアシルホスファチジルコリン類とジアシルホスファチジルグリセロール類とステロール類の組み合わせ、並びにジアシルホスファチジルコリン類とステロール類の組み合わせ;更に好ましくは、DOPCとDOPGとコレステロールとの組み合わせ、DPPCとDOPCとDPPGとDOPGとコレステロールとの組み合わせ、DPPCとDOPCとDPPGとコレステロールとの組み合わせ、並びにDOPCとコレステロール及び/又はDC−Cholとの組み合わせが挙げられる。
2種以上のリポソーム構成脂質を組み合わせて使用する場合、各脂質の配合比率については、リポソームに必要とされる大きさや流動性等を考慮に入れて適宜設定される。例えば、ジアシルホスファチジルコリン類とジアシルホスファチジルグリセロール類とステロール類との組み合わせを採用する場合であれば、ジアシルホスファチジルコリン類:ジアシルホスファチジルグリセロール類:ステロール類が、通常モル比で1:0.05〜3.0:0.05〜6.0であり、好ましくは1:0.1〜1.5:0.1〜3.0である。より具体的には、DOPCとDOPGとコレステロールとの組み合わせを採用する場合であれば、DOPC:DOPG:コレステロールが、モル比で1:0.05〜1.0:0.05〜3.0、好ましくは1:0.1〜0.7:0.1〜1.5が挙げられる。また、例えば、DPPCとDOPCとDPPGとDOPGとコレステロールとの組み合わせを採用する場合であれば、DPPC:DOPC:DPPG:DOPG:コレステロールが、モル比で1:0.25〜2.0:0.25〜2.0:0.25〜2.0:1.0〜5.0、好ましくは1:0.5〜1.5:0.5〜1.5:0.5〜1.5:1.5〜3.0が挙げられる。また、例えば、DPPCとDOPCとDPPGとコレステロールとの組み合わせを採用する場合であれば、DPPC:DOPC:DPPG:コレステロールが、モル比で1:0.16〜1.65:0.16〜1.0:0.16〜1.3、好ましくは1:0.4〜0.75:0.2〜0.5:0.3〜0.75が挙げられる。また、例えば、ジアシルホスファチジルコリン類(好ましくはDOPC)とステロール類(好ましくはコレステロール及び/又はDC−Chol)との組み合わせを採用する場合であれば、ジアシルホスファチジルコリン類:ステロール類が、モル比で1:0.05〜4、好ましくは1:0.1〜1が挙げられる。
また、α-GalCerのリポソーム化に使用されるリポソームの構成成分には、必要に応じて、ステアリルアミン、オレイルアミン等のカチオン性化合物;ジセチルホスフェート等のアニオン性化合物;膜タンパク質を含有させてもよく、これらの配合比率については適宜設定することができる。
α-GalCerを含むリポソームのサイズについては、特に制限されないが、通常は平均粒径が50〜1000nm、好ましくは100〜400nmが挙げられる。リポソームの平均粒径は、動的光散乱法により測定される。
また、α-GalCerを含むリポソームの構造についても特に制限されず、MLV(multilamellar vesicles)、DRV(dehydration-rehydration vesicles)、LUV(large umilamellar vesicles)、又はSUV(small unilamellar vesicles)のいずれであってもよい。
α-GalCerを含むリポソームに内包される溶液としては、水、緩衝液、生理食塩水等の薬学的に許容される水性担体が挙げられる。
α-GalCerを含むリポソームは、水和法、超音波処理法、エタノール注入法、エーテル注入法、逆相蒸発法、界面活性剤法、凍結・融解法等の公知のリポソームの製造方法を用いて作製される。また、所定のポアサイズのフィルターを通過させることにより、リポソームの粒度分布を調整することができる。また、公知の方法に従って、MLVから一枚膜リポソームへの転換、一枚膜リポソームからMLVの転換を行うこともできる。
(A)成分と(B)成分の比率
本発明の製剤において、上記(A)成分と(B)成分の比率としては、特に制限されないが、例えば、上記(A)成分の総量100重量部当たり、上記(B)成分の総量(α-GalCer重量に換算)が0.1〜10,000重量部、好ましくは1〜1,000重量部、更に好ましくは10〜500重量部が挙げられる。
製剤の態様
本発明の製剤は、上記(A)成分と(B)成分が同一製剤として含まれるものであってもよく、また上記(A)成分と(B)成分がそれぞれ別々に製剤化されており、用時に混合してから投与されるか、又はこれらを別々に順次投与されるように設計されていてもよい。使用簡便性の観点から、上記(A)成分と(B)成分が同一製剤として含まれるものが好適である。
本発明の製剤において、上記(B)成分としてリポソーム化されたα-GalCerを使用して、上記(A)成分と(B)成分を同一製剤として調製する場合、上記(A)成分が、上記(B)成分のリポソームに封入されていない状態で製剤化してもよいが、I型糖尿病の予防又は治療効果を一層有効に奏させるという観点から、上記(A)成分が、上記(B)成分のリポソーム内(脂質二重膜層又はリポソーム内部の水相)に封入(内包)された状態に製剤化されていることが望ましい。上記(A)成分を、上記(B)成分のリポソーム内に封入するには、水和法、超音波処理法、エタノール注入法、エーテル注入法、逆相蒸発法、界面活性剤法、凍結・融解法等の公知の方法に従って行うことができる。
本発明の製剤の剤型については、液状であってもよく、また乾燥状態であってもよい。液状である場合には、例えば、生理食塩水、リン酸緩衝液,クエン緩衝液,酢酸緩衝液等の緩衝液中に、上記(A)成分と(B)成分が溶解又は分散されていればよい。また、乾燥状態である場合には、用時に、生理食塩水、リン酸緩衝液,クエン緩衝液,酢酸緩衝液等の緩衝液を加えて液状にして使用される。
本発明の製剤には、必要に応じて、糖類、多価アルコール、水溶性高分子、非イオン界面活性剤、抗酸化剤、pH調節剤等の薬学的に許容される添加剤を含んでいてもよい。
投与方法
本発明の製剤は、皮下投与、筋肉内投与、静脈内投与、腹腔内投与、関節内投与、粘膜投与等で投与される。これらの投与形態の中でも、好ましくは、皮下投与、筋肉内投与及び腹腔内投与が挙げられ、最も好ましくは、皮下投与または腹腔内投与である。とりわけ、本発明の製剤は、皮下投与又は腹腔内投与することによって、I型糖尿病の予防又は治療効果がより一層効果的になる。
本発明の製剤の投与対象者は、I型糖尿病の予防又は治療が必要とされるヒトであり、好ましくは、I型糖尿病の発症リスク(遺伝的素因等)があるヒト、I型糖尿病を発症しているヒト等が挙げられる。本発明の製剤は、膵β細胞を特異的に攻撃するCTLの誘導を直接抑制することができるため、インスリンを投与するといったこれまでの対症療法とは異なり、I型糖尿病を直接的に予防または治療可能という点で画期的な医薬といえる。即ち、本発明の製剤を上記投与対象者へと適用することにより、従来一生涯に亘ってインスリンの投与が必要である患者であっても、それから解放される可能性を著しく高めることができる。
また、本発明の製剤は、前述のとおり、従来報告されているα-GalCerを利用したアレルゲン特異的抗体や自己抗体の産生抑制とは異なるメカニズムを利用している。膵β細胞を特異的に攻撃するCTLの誘導を抑制することで、特にI型糖尿病の予防効果が卓越している。従って、本発明の製剤は、I型糖尿病の予防が必要とされるヒト、とりわけI型糖尿病の発症リスクがあるヒトに対して好適に使用される。
更に、本発明の製剤は、抑制系のサイトカインの発現を誘導することができる。抑制系のサイトカインとしては、例えばIL−2やIL−10が挙げられる。また、本発明の製剤は、形質細胞様樹状細胞(pDC)などの細胞を誘導して膵リンパ節へと集積させて、治療に関与する抑制性T細胞群を膵臓特異的に誘導・集積させる。これにより抗原特異的な調節性T細胞(regulatory T Cell)を誘導することができる。
本発明の製剤によって誘導される免疫抑制系サイトカインは、本発明の製剤によって誘導される抗原特異的な調節性T細胞(regulatory T Cell)による分泌に起因していると推測される。
以上のことから、本発明の製剤は、インスリンをα-GalCerを含有するリポソームに内包した状態で用いることにより、形質細胞様樹状細胞(pDC)等の細胞を誘導して膵リンパ節へと集積させて、治療に関与する抑制性T細胞群を膵臓特異的に誘導・集積させ、病原性Th1細胞を効果的に除去する作用を有する。また、膵β細胞を特異的に攻撃するCTLの誘導を直接抑制し、除去することにより膵臓破壊を阻止することができるのである。
本発明の製剤の投与量については、I型糖尿病の予防又は治療に有効な量であればよく、投与対象者の年齢や体重、症状の程度に応じて適宜設定されるが、例えば、1日1回〜数回、好ましくは1日1回、0.5〜5000μg/kg-体重程度に相当する量の(A)成分が投与されるように設定すればよい。また、本発明の製剤は、1日又は数日間連続で投与してもよく、1〜数日の間隔をあけて投与してもよい。
以下、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお、以下の実施例では、α-GalCerとしてKRN7000を使用した。
実施例1:インスリンBペプチド内包型α-GalCerリポソームの作製
L-α-Phosphatidylcholine, Dioleoyl(DOPC:和光純薬)、1,2-Dioleoyl-sn-Glycero-3-[Phospho-rac-(1-glycerol)](Sodium Salt)(DOPG: 和光純薬)、Cholesterol (plant derived)(Avanti)をモル比にして5:2:3の割合で混合した後10 mgをクロロホルム/メタノール(容量比1:1)溶媒1000 μlに溶解した。また、α-GalCer 0.2 mgは別にクロロホルム/メタノール溶媒100 μlに溶解した。両者を混合した後エバポレーターで有機溶媒を除去しナス型フラスコ底面にα-GalCerを含む脂質の薄膜を形成した。さらに真空デシケーター内で一晩乾燥させることにより有機溶媒を完全に除去した。これに、ヒトインスリンB鎖のフラグメント(B:9-23)(以下、インスリンBペプチドと表記することもある)1 mg/mlを含む50 mM Tris-HCl緩衝液(pH 8.5)を加え、ボルテックス処理によって脂質薄膜を完全に水和させた。凍結融解処理を4回以上行った後、200 nmポリカーボネイト膜(Avanti)に複数回通した。最後に、透析によって非内包ペプチドを完全に除去し、インスリンBペプチド内包型α-GalCer含有リポソームを含む溶液(以下、インスリンBペプチドGalCerリポソーム溶液)を調製した。当該インスリンBペプチドGalCerリポソーム溶液は、α-GalCerの最終濃度が200 μg/ml且つインスリンBペプチド(B:9-23)の最終濃度が500 μg/mlである。
実施例2:I型糖尿病の発症予防におけるインスリンBペプチド内包型α−GalCerリポソームの薬効評価
1.材料と方法
1−1.インスリンBペプチド内包型α-GalCerリポソームの作製と投与サンプル調製
実施例1で作製したインスリンBペプチド内包型α-GalCer含有リポソームを使用した。実施例1で作製したインスリンBペプチドGalCerリポソーム溶液10 μl(α-GalCer換算で2μg、インスリンBペプチド換算で5μg)と生理食塩水90 μlを混合して、投与サンプルを調製した。
1−2.インスリンBペプチド内包型リポソームの作製と投与サンプル調製
L-α-Phosphatidylcholine, Dioleoyl(DOPC:和光純薬)、1,2-Dioleoyl-sn-Glycero-3-[Phospho-rac-(1-glycerol)](Sodium Salt)(DOPG: 和光純薬)、Cholesterol (plant derived)(Avanti)をモル比にして5:2:3の割合で混合した後10 mgをクロロホルム/メタノール(容量比1:1)溶媒1000 μlに溶解し、エバポレーターで有機溶媒を除去しナス型フラスコ底面に脂質薄膜を形成した。さらに真空デシケーター内で一晩乾燥させることにより有機溶媒を完全に除去した。これに、インスリンB鎖のフラグメント(B:9-23)(以下、インスリンBペプチドと表記することもある)3 mg/mlを含む50 mM Tris-HCl緩衝液(pH 8.5)1 mlを加え、ボルテックス処理によって脂質薄膜を完全に水和させた。凍結融解処理を4回以上行った後、200 nmポリカーボネイト膜(Avanti)に複数回通した。最後に、透析によって非内包ペプチドを完全に除去し、インスリンBペプチド内包型リポソームを含む溶液(以下、インスリンBペプチドリポソーム溶液)を調製した。当該リポソーム溶液は、インスリンBペプチド(B:9-23)の最終濃度が500 μg/mlである。
斯して得られたリポソーム溶液10 μl(ペプチド換算で5μg)と生理食塩水90 μlを混合して投与サンプルを調製した。
1−3.OVA ペプチド内包型α-GalCerリポソームの作製と投与サンプル調製
L-α-Phosphatidylcholine, Dioleoyl(DOPC:和光純薬)、1,2-Dioleoyl-sn-Glycero-3-[Phospho-rac-(1-glycerol)](Sodium Salt)(DOPG: 和光純薬)、Cholesterol (plant derived)(Avanti)をモル比にして5:2:3の割合で混合した後10 mgをクロロホルム/メタノール(容量比1:1)溶媒1000 μlに溶解した。また、α-GalCer 0.2 mgは別にクロロホルム/メタノール溶媒100 μlに溶解した。両者を混合した後エバポレーターで有機溶媒を除去しナス型フラスコ底面にα-GalCerを含む脂質の薄膜を形成した。さらに真空デシケーター内で一晩乾燥させることにより有機溶媒を完全に除去した。OVAペプチド(Ovalbumin peptide, 323-339)1 mg/mlを含む滅菌蒸留水を加え、ボルテックス処理によって脂質薄膜を完全に水和させた。凍結融解処理を4回以上行った後、200 nmポリカーボネイト膜(Avanti)に複数回通した。最後に、透析によって非内包ペプチドを完全に除去し、OVAペプチド内包型α-GalCerリポソームを含む溶液(以下、OVAペプチドGalCerリポソーム溶液)を調製した。当該リポソーム溶液は、α-GalCerの最終濃度が200 μg/ml且つOVAペプチドの最終濃度が500 μg/mlである。
斯して得られたリポソーム溶液10 μl(α-GalCer換算で2 μg、OVAペプチド換算で5μg)と生理食塩水90 μlを混合して投与サンプルを調製した。
1−4.NODマウスを用いた薬効評価(投与条件と血中グルコース濃度測定)
I型糖尿病のモデルマウスであるNODマウス(NOD/ShiLtJ, The Jackson Laboratory, CA, USA)に対して、I型糖尿病の発症前である4週齢から8週齢の間に週2回ずつ投与サンプル100μlを腹腔内投与し、隔週で血中のグルコース濃度を測定した。試験群は、1)薬剤非投与群(生理食塩水投与群)、2)インスリンBペプチド内包型α-GalCerリポソーム投与群、3)インスリンBペプチド内包型リポソーム投与群、及び4)OVAペプチド内包型α-GalCerリポソーム投与群の5群に分けて、1群あたり10匹のマウスを用いた。グルコース濃度測定には糖尿病患者が使用する市販の血糖値測定装置(ACCU-CHEK Aviva、ロッシュ社)を使用した。糖尿病発症の判定方法は、血中グルコース濃度が250mg/dL以上示した場合に発症とし、発症率は同一のサンプルを投与したマウス群の中で発症した個体の占める割合(%)で示した。なお、試験に使用した各投与サンプルの模式構造を図1に示す。
2.結果と考察
I型糖尿病の発症率を経時的に評価した結果を図2に示す。図2から分かるように、薬剤非投与群(三角)は、11週から12週にかけて症状を呈し始め、16週から17週には約半数が発症し、24週目には約8割のマウスが糖尿病を発症した。これに対して、インスリンBペプチド内包型α-GalCerリポソーム投与群(四角)は血糖値の上昇を示さず、24週を経過した時点において100%の発症予防効果を示した。他方、インスリンBペプチド内包型リポソーム投与群(白抜き丸)は、薬剤非投与群よりも発症遅延に寄与したが、24週目には約4割のマウスが糖尿病を発症した。また非インスリンペプチドであるOVAペプチドを内包したOVAペプチド内包型α-GalCerリポソーム投与群(米印)は薬剤非投与群よりも発症遅延に寄与したものの、その後は薬剤非投与群よりも発症を早め、24週目には約6割のマウスが糖尿病を発症した。以上の結果から、I型糖尿病の発症予防にはインスリンペプチドとα-GalCerの組み合せが重要であり、インスリンBペプチド内包型α-GalCerリポソームは有効的かつ効果的なI型糖尿病発症予防薬になり得ることが確認された。
実施例3:薬剤投与NODマウス由来脾臓細胞を用いたインスリンBペプチド特異的なTreg細胞の誘導評価試験
1.材料と方法
1−1.インスリンBペプチド内包型α-GalCerリポソームの作製と投与サンプル調製
実施例2で作製したインスリンBペプチド内包型α-GalCer含有リポソームを使用した。インスリンBペプチド内包型α-GalCer含有リポソームを含むリポソーム溶液10μl(α-GalCer換算で2μg、インスリンBペプチド換算で5μg)と生理食塩水90μlを混合して、投与サンプルを調製した。
1−2.インスリンBペプチド内包型リポソームの作製と投与サンプル調製
実施例で作製したインスリンBペプチド内包型リポソームを使用した。インスリンBペプチド内包型リポソームを含むリポソーム溶液10μl(インスリンBペプチド換算で5μg)と生理食塩水90μlを混合して、投与サンプルを調製した。
1−3.α-GalCerリポソームの作製と投与サンプル調製
L-α-Phosphatidylcholine, Dioleoyl(DOPC:和光純薬)、1,2-Dioleoyl-sn-Glycero-3-[Phospho-rac-(1-glycerol)](Sodium Salt)(DOPG: 和光純薬)、Cholesterol (plant derived)(Avanti)をモル比にして5:2:3の割合で混合した後10 mgをクロロホルム/メタノール(容量比1:1)溶媒1000 μlに溶解した。また、α-GalCer 0.2 mgは別にクロロホルム/メタノール溶媒100 μlに溶解した。両者を混合した後エバポレーターで有機溶媒を除去しナス型フラスコ底面にα-GalCerを含む脂質の薄膜を形成した。さらに真空デシケーター内で一晩乾燥させることにより有機溶媒を完全に除去した。蒸留水を加えボルテックス処理と超音波処理によって脂質薄膜を完全に水和させた。最後に、200 nmポリカーボネイト膜(Avanti)に複数回通し、α-GalCer含有リポソームを含む溶液(以下、GalCerリポソーム溶液)を調製した。当該リポソーム溶液は、α-GalCerの最終濃度が200 μg/mlである。
斯して得られたリポソーム溶液10 μl(α-GalCer換算で2 μg)と生理食塩水90 μlを混合して投与サンプルを調製した。
1−4.α-GalCer溶液の作製と投与サンプル調製
α-GalCer(KRN7000粉末)3 mgにジメチルスルホキシド(DMSO)3 mlを加え、80℃の高温層中にて溶解した。ここに0.5 % Tween 80を含むPBS(-) 12 mlを加え混合した。これによりα-GalCerの最終濃度を200μg/mlとし、これをストック溶液とした。斯して得られたストック溶液10μl(α-GalCer換算で2μg)と生理食塩水 90μlを混合して投与サンプルを調製した。
1−5.Treg細胞のインスリンBペプチド特異的な細胞増殖解析とサイトカイン産生測定
I型糖尿病自然発症モデルであるNODマウス(NOD/ShiJcl, CLEA Japan Inc., Tokyo, Japan)に対して、I型糖尿病の発症前である5週齢から10週齢の間に週2回ずつ投与サンプル100μlを腹腔内投与し、13週齢マウスより脾臓を摘出後、脾臓細胞を調製し細胞培養を行った。試験薬投与群は、1)薬剤非投与群(生理食塩水投与群)、2)インスリンBペプチド内包型α-GalCerリポソーム投与群、3)インスリンBペプチド内包型リポソーム投与群、4)α-GalCerリポソーム投与群、5)α-GalCer溶液投与群の5群とし、N = 2〜3で行った。各投与群から脾臓細胞を調製した後、各細胞に対して細胞増殖を調べる際に用いるCFSE(carboxyfluorescein diacetate succinimidyl ester)色素を加え常法に従い反応と洗浄除去を行った。最後に抗原特異性を調べるためCFSE標識した各細胞に対して、a) 抗原なし、b)インスリンBペプチド、c)非インスリンペプチド(OVAペプチド)をそれぞれ添加しCO2インキュベーター内で4日間培養した。培養の後、培養細胞と培養上清を回収し、細胞に対してはCD4(+)Foxp3(+)細胞中のCFSE増加をFACS解析し、上清については上清中のサイトカイン産生量を測定した。また、培養上清中のIL-2及びIL-10の濃度についても測定した。
2.結果と考察
各種薬剤を投与したNODマウスより脾臓細胞を調製し、インスリンBペプチド添加培養による抗原特異的なTreg細胞の増殖を解析した。薬剤非投与群では、培養後のCD4(+)Foxp3(+)細胞中のCFSE増殖細胞の割合は、抗原非添加で約55%、インスリンBペプチド添加で約51%であり、インスリンBペプチド特異的Treg細胞の増殖は認められなかった(図3A上段)。これに対しインスリンBペプチド内包型α-GalCerリポソーム投与群は、抗原非添加で約45%、インスリンBペプチド添加で約64%であり、インスリンBペプチドの添加によるTreg細胞の抗原特異的な増殖が認められた(図3A下段)。抗原非添加による増殖細胞の割合とインスリンBペプチド添加による増殖細胞の割合を比率で表したところ(図3B)、薬剤非投与群が0.93であったのに対し、インスリンBペプチド内包型α-GalCerリポソーム投与群は1.43と薬剤非投与群に対して1.5倍以上も多くTreg細胞の増殖が惹起されることが示された。また、インスリンBペプチド含有リポソーム投与群は薬剤非投与群に対して0.90、α-GalCerリポソーム投与群が1.02、α-GalCer溶液投与群が1.04であり、いずれも抗原特異的なTreg細胞の増殖は認められなかった。
また、培養上清中に産生されたサイトカイン量を測定したところ、Treg細胞由来と推測される免疫抑制関連サイトカインであるIL-2及びIL-10がインスリンBペプチド内包型α-GalCerリポソーム投与群にのみ顕著に産生誘導されていることが示された(表1)。非インスリンペプチドを用いた同様の試験ではいずれの試験群においてもTreg細胞の誘導および抑制系サイトカインの産生誘導は認められなかった。
以上のことから、インスリンBペプチド内包型α-GalCerリポソームの投与は、I型糖尿病の発症予防に関係すると思われるインスリンBペプチド特異的なTreg細胞の誘導を惹起することが示され、またその誘導にはインスリンBペプチドとα-GalCerの組み合わせが必須であることが示された。この抗原特異的Treg細胞の誘導が、NODマウス試験で認められた糖尿病の発症予防効果に貢献しているものと推測される。
実施例4:I型糖尿病の発症予防におけるインスリン内包型α−GalCerリポソームの薬効評価と投与ルート探索
1.材料と方法
1−1.インスリン内包型α-GalCerリポソームの作製と投与サンプル調製
L-α-Phosphatidylcholine, Dioleoyl(DOPC: Avanti Polar Lipids, Inc.)、1,2-Dipalmitoyl-sn-glycero-3-phosphocholine(DPPC: Avanti)、1,2-Dioleoyl-sn-glycero-3-phosphoglycerol, sodium salt(DOPG: Avanti)、1,2-Dipalmitoyl-sn-glycero-3-phosphoglycerol, sodium salt(DPPG: Avanti), Cholesterol (plant derived)(Avanti)をモル比にして1.5:1.5:1.5:1.5: 4の割合で混合した後、当該混合物50 mgをクロロホルム/メタノール(容量比1:1)溶媒に溶解した。窒素ガス気流下でエバポレーターを用い有機溶媒を除去し、更に残留有機溶媒を凍結乾燥法にて完全に除去した。乾燥した脂質混合物を50℃の90% tert-ブタノールに溶解し、α-GalCerを5重量%となるように加え溶解し凍結後、凍結乾燥により乾燥させた。次いで、インスリン溶液(recombinant human insulin, インビトロジェン社製、10 mM HCl/2% glycine) 2.5 mlを乾燥した脂質混合物に加え完全に水和した後、凍結融解処理を3回行った。この溶液を800 nmポリカーボネイト膜(Avanti)に5回通した後、引き続き、200 nmポリカーボネイト膜(Avanti)に5回通し粒子径を揃えた。ここに5倍量のPBSを加えpHを7付近にすることで内包されなかったインスリンの沈殿物を生じさせ、10,000 rpm 15分間の遠心分離に供し、内包されなかったインスリンを分離除去した。最後に、PBSで10倍に希釈しインスリン内包型α-GalCer含有リポソームを含む溶液(以下、インスリンGalCerリポソーム溶液)を調製した。当該リポソーム溶液は、α-GalCerの最終濃度が20 μg/ml且つインスリンの最終濃度が200 μg/mlである。
1−2.NODマウスを用いた薬効評価(投与条件と血中グルコース濃度測定)
NODマウス(NOD/ShiLtJ, The Jackson Laboratory, CA, USA)に対して、I型糖尿病の発症前である4週齢から8週齢の間に週2回ずつ、上記1−1で調製したインスリン内包型α-GalCerリポソーム溶液 50μlを皮下投与、尾静脈投与、または腹腔内投与し、隔週で血中のグルコース濃度を測定した。血中のグルコース濃度測定には糖尿病患者が使用する市販の血糖値測定装置(ACCU-CHEK Aviva、ロッシュ社)を使用した。糖尿病発症の判定方法は、血中グルコース濃度が250 mg/dL以上示した場合に発症とし、発症率は同一のサンプルを投与したマウス群の中で発症した個体の占める割合(%)で示した。
2.結果と考察
I型糖尿病の発症率を経時的に評価した結果を図4に示す。薬剤非投与群(黒丸)は、9週から10週にかけて症状を呈し始め、14週から15週には約半数が発症し、24週目には70%のマウスが糖尿病を発症した。これに対して、インスリン内包型α-GalCerリポソームを皮下投与した群(四角)では、発症が18週から19週になり(発症遅延)、また24週目において発症したマウスは25%であり発症率が有意に低下することが示された。同様の効果は腹腔内投与群(白抜き丸)でも認められ、発症は11週から12週、発症率は24週目の時点で25%に低下した。一方、尾静脈投与群(白抜き四角)では、若干の発症遅延と発症率低下(24週目発症率62%)を示したものの、皮下投与と腹腔内投与に比べると効果が弱いことが明らかとなった。
実施例5:インスリン内包型α−GalCerリポソーム投与による膵β細胞特異的な細胞傷害性T細胞(CTL)の増殖抑制効果
1.材料と方法
1−1.インスリン内包型α-GalCerリポソームの作製と投与サンプル調製
実施例4で作製したインスリン内包型α-GalCer含有リポソームを投与サンプルとして使用した。
1−2.インスリン内包型リポソームの作製と投与サンプル調製
L-α-Phosphatidylcholine, Dioleoyl(DOPC: Avanti Polar Lipids, Inc.)、1,2-Dipalmitoyl-sn-glycero-3-phosphocholine(DPPC: Avanti)、1,2-Dioleoyl-sn-glycero-3-phosphoglycerol, sodium salt(DOPG: Avanti)、1,2-Dipalmitoyl-sn-glycero-3-phosphoglycerol, sodium salt(DPPG: Avanti)、及びCholesterol (plant derived)(Avanti)をモル比にして1.5:1.5:1.5:1.5: 4の割合で混合した後50 mgをクロロホルム/メタノール(容量比1:1)溶媒に溶解した。窒素ガス気流下でエバポレーターを用い有機溶媒を除去し、更に残留有機溶媒を凍結乾燥法にて完全に除去した。インスリン溶液(recombinant human insulin, インビトロジェン社製、10 mM HCl/2% glycine) 2.5 mlを乾燥した脂質混合物に加え完全に水和した後、凍結融解処理を3回行った。この溶液を800 nmポリカーボネイト膜(Avanti)に5回通した後、引き続き、200 nmポリカーボネイト膜(Avanti)に5回通し粒子径を揃えた。ここに5倍量のPBSを加えpHを7付近にすることで内包されなかったインスリンの沈殿物を生じさせ、10,000 rpm 15分間の遠心分離に供し、内包されなかったインスリンを分離除去した。最後にPBSで10倍に希釈しインスリン内包型リポソームを含む溶液(以下、インスリンリポソーム溶液)を調製した。当該リポソーム溶液は、インスリンの最終濃度が200 μg/mlである。
1−3.α-GalCerリポソームの作製と投与サンプル調製
L-α-Phosphatidylcholine, Dioleoyl(DOPC: Avanti Polar Lipids, Inc.)、1,2-Dipalmitoyl-sn-glycero-3-phosphocholine(DPPC: Avanti)、1,2-Dioleoyl-sn-glycero-3-phosphoglycerol, sodium salt(DOPG: Avanti)、1,2-Dipalmitoyl-sn-glycero-3-phosphoglycerol, sodium salt(DPPG: Avanti), Cholesterol (plant derived)(Avanti)をモル比にして1.5:1.5:1.5:1.5: 4の割合で混合した後50 mgをクロロホルム/メタノール(容量比1:1)溶媒に溶解した。窒素ガス気流下でエバポレーターを用い有機溶媒を除去し、更に残留有機溶媒を凍結乾燥法にて完全に除去した。乾燥した脂質混合物を50℃の90% tert-ブタノールに溶解し、α-GalCerを5重量%となるように加え溶解し凍結後、凍結乾燥により乾燥させた。10 mM HCl/2% glycine溶液2.5 mlを乾燥した脂質混合物に加え完全に水和した後、凍結融解処理を3回行った。この溶液を800 nmポリカーボネイト膜(Avanti)に5回通した後、引き続き、200 nmポリカーボネイト膜(Avanti)に5回通し粒子径を揃えた。ここに5倍量のPBSを加えpHを7付近にし、最後にPBSで10倍に希釈しα-GalCer含有リポソームを含む溶液(以下、GalCerリポソーム溶液)を調製した。当該リポソーム溶液は、α-GalCerの最終濃度が20 μg/mlである。
1−4.末梢血単核球中の膵β細胞特異的なCTLの測定
I型糖尿病は、インスリンを産生する膵島が自己免疫系によって攻撃・破壊され発症するが、この破壊には膵β細胞を特異的に認識し攻撃する細胞傷害性T細胞(CTL)が関与する。従って、当該CTLの産生抑制及び不活性化は膵島破壊を防ぐことと同義であり、I型糖尿病の発症予防や進行抑制に繋がる。そこで本試験では、各製剤投与による膵β細胞特異的CTLの産生抑制効果を評価した。測定方法には、膵β細胞特異的CTLの産生を定量的に分析することが可能なテトラマー法(参考文献:Prediction of spontaneous autoimmune diabetes in NOD mice by quantification of autoreactive T cells in peripheral blood. Trudeau JD, Kelly-Smith C, Verchere CB, Elliott JF, Dutz JP, Finegood DT, Santamaria P, Tan R. J Clin Invest. 2003 Jan;111(2):217-23.)を用い、各製剤を投与したNODマウスから単離した末梢血単核球(PBMC)中に存在する当該CTLを細胞解析(FACS解析)によって評価した。
NODマウスに対して、I型糖尿病の発症前である4週齢から週2回ずつ投与サンプル50 μlを腹腔内に投与した。試験群は、1)薬剤非投与群(生理食塩水投与群)、2)インスリン内包型α-GalCerリポソーム投与群、3)インスリン内包型リポソーム投与群、4)α-GalCerリポソーム投与群の4群とし、N=8で試験した(インスリン内包型リポソーム投与群のみN=6)。8週齢のNODマウスから常法によりPBMCを単離し、これに膵β細胞特異的CTLに認識されるテトラマーNRP-V7(参考文献:Prediction of spontaneous autoimmune diabetes in NOD mice by quantification of autoreactive T cells in peripheral blood. Trudeau JD, Kelly-Smith C, Verchere CB, Elliott JF, Dutz JP, Finegood DT, Santamaria P, Tan R. J Clin Invest. 2003 Jan;111(2):217-23.)を反応させ、膵β細胞特異的CTLの定量解析(FACS解析)を行った。
2.結果と考察
PBMC中のB220(-)CD8(+)細胞中に存在するNRP-V7(+)細胞、即ち膵β細胞特異的CTLの割合(%)を求めた結果を図5に示す。薬剤非投与群は当該CTLの割合が1.25%以上であったのに対し、インスリン内包型α-GalCerリポソーム投与群は約0.6%と有意な産生抑制効果を示した。この割合はI型糖尿病を発症する前のNODマウスの測定値と同値であることから、インスリン内包型α-GalCerリポソームの投与は膵β細胞特異的CTLの産生を完全に抑制し得ることが明らかとなった。一方、インスリン内包リポソーム投与群とα-GalCerリポソーム投与群は、それぞれ1.0%と1.25%と、薬剤非投与群とほぼ同値であった。このことは、インスリン又はα-GalCerの単体投与では当該CTLの産生を十分に抑制することは出来ず、薬効には両者の組み合わせが重要であることを示している。
以上の結果から、インスリン内包型α-GalCerリポソームは膵β細胞特異的CTLの産生抑制によってI型糖尿病の発症を未然に防ぐことのできる薬剤であり、また発症初期に使用すれば当該CTLの不活性化を理論上誘導することが可能であることから、糖尿病の重症化をも抑止できる画期的な薬剤となり得ることが明らかとなった。
実施例6:製剤例
(1)ヒトインスリンBペプチド内包型α-GalCer含有リポソーム製剤
実施例1で得られたヒトインスリンBペプチド内包型α-GalCer含有リポソームと生理食塩水とを混合し、ヒトインスリンBペプチド内包型α-GalCer含有リポソーム製剤を調製する。
(2)ヒトインスリン内包型α-GalCer含有リポソーム製剤
上記(1)におけるヒトインスリンBペプチド内包型α-GalCer含有リポソームを実施例4で製造したヒトインスリン内包型α-GalCer含有リポソームにした以外は上記(1)と同様の方法で、ヒトインスリン内包型α-GalCer含有リポソーム製剤を調製する。
(3)ヒトプロインスリン内包型α-GalCer含有リポソーム製剤
実施例4において、ヒトインスリンをヒトプロインスリンに変更した以外は実施例4と同様の方法で製造したヒトプロインスリン内包型α-GalCer含有リポソームを生理食塩水と混合し、ヒトプロインスリン内包型α-GalCer含有リポソーム製剤を得る。
実施例7:製剤使用例
実施例6で得られるヒトインスリンBペプチド内包型α-GalCer含有リポソーム製剤、ヒトインスリン内包型α-GalCer含有リポソーム製剤、ヒトプロインスリン内包型α-GalCer含有リポソーム製剤のいずれかは、対象患者に対し通常、α-GalCerとして1回体重1kgあたり0.01〜1.0mgを週1〜3回、1〜6週間、皮下投与の条件で投与する。

Claims (4)

  1. (A)プロインスリン、インスリンB鎖、これらのフラグメント、及びこれらの変異体よりなる群から選択される少なくとも1種と、(B)KRN7000とを含み、
    前記(A)成分及び(B)成分が、リポソームに包含されている、I型糖尿病の予防又は治療のための製剤。
  2. I型糖尿病の予防に使用される、請求項に記載の製剤。
  3. 皮下投与又は腹腔内投与形態で投与される、請求項1又は2に記載の製剤。
  4. I型糖尿病の予防又は治療剤の製造のための、(A)プロインスリン、インスリンB鎖、これらのフラグメント、及びこれらの変異体よりなる群から選択される少なくとも1種と(B)KRN7000とを含み、前記(A)成分及び(B)成分がリポソームに包含されている製剤の使用。
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