JP6280846B2 - 太陽電池モジュールの検査方法 - Google Patents

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Description

本発明は太陽光発電に用いられる太陽電池モジュールの検査方法に関する。
太陽光発電は、通常20年程度の長期にわたる使用が想定されるため、長期間に渡る発電システムの信頼性確保が重要である。発電は、光エネルギーを電気エネルギーに変換することにより行われ、太陽光照射下での信頼性確保が要求される。太陽光による信頼性への影響は、紫外線の持つ高いエネルギーによる材料の劣化、光エネルギーの熱エネルギーへの転換による熱的劣化、熱の発生・散逸に伴う材料の伸縮による劣化、などがある。こうした劣化が長期間に渡り蓄積されるため、信頼性の確保は構成材料単体だけでなく、組み上げられたサブコンポーネント、コンポーネント単位での信頼性確保が必要となる。
太陽光発電システムは太陽電池モジュール(PVモジュール)、接続箱、パワーコンディショナ(PCS)、これらを接続する配線、を主要なコンポーネントとして構成される。PVモジュールは光エネルギーを電気エネルギーに変換する。このPVモジュールを直列に接続したものをストリングと呼ぶ。一般的な構成では、ストリングは接続箱内へ導入され、断路器を介した後、他のストリングと接続され並列回路が構成される。この並列回路をPVアレイと呼ぶ。複数のPVアレイの出力PCSへと入力される。PCSは入力される直流電力を交流に変換し、系統へと逆潮流させる。発電出力がメガワットを超える、いわゆるメガソーラ発電サイトでは接続箱とPCSの間に集電ラックが設置され、大電力を集約してPCSに入力する機能を果たす。
PVモジュールは最も太陽光が照射されるため、信頼性の観点から特に注意が払われるべきコンポーネントである。PVモジュールに入射した太陽光はモジュール面に敷き詰められた太陽電池セル内部で吸収され、電子・正孔対を生成する。対の一部はそれぞれ正極・負極に吸収され電気エネルギーとしてモジュールから取り出されるが、多くは再結合し光や熱エネルギーとして散逸する。照射された光の一部はセル以外の部材に直接照射されるため、光反応の誘起や散乱による発熱の原因となる。また光照射のある昼は夜に比べてモジュール温度が高く、より長い時間スケールでみた場合、温度の上下変動に伴う部材の熱収縮も誘発する。このように、光照射によって供給される光エネルギーは、電気エネルギーとして取り出せる高々10%強を除き、熱や光反応によるモジュールの劣化を引き起こす。この影響は太陽光が直接照射されるPVモジュールで最も大きい。
実際に運用している太陽光発電設備では、PVモジュールの故障は大半が配線に関係しており、PVモジュールの信頼性を確保するためには配線の信頼性を上げることが必要である。非特許文献1には運用している発電サイトで故障し、返品されたPVモジュールを調査した結果が報告されている。それによると、故障の90%以上がセルや配線の破損、配線の腐食で占められている。即ち、配線に起因した故障を防ぐことができればPVモジュールの信頼性を飛躍的に高めることが可能となる。逆に捉えれば、仮に配線劣化の進展が遅いPVモジュールを選定することができれば、PVモジュールの信頼性を確保できることになる。
通常、コンポーネントの信頼性を調べるには加速試験が用いられる。PVモジュールではIECによって規定された規格試験があり、抜き取り試験によって性能や長期信頼性が調べられ、一定の基準を満たした場合に規格認証が付与される。例えば結晶系シリコン太陽電池についてはIEC61215という規格試験が規定されており、その中で温度サイクル試験、結露凍結試験、高温高湿試験によって長期耐久性が検証される。
しかし、IECの規格試験のみで長期信頼性が確保されているかを判断することは難しい。IEC規格の長期耐久性を検証する試験で印加されるストレスが不十分なため、認証がPVモジュールの長期信頼性を担保するものだとは認識されていない。また、規格試験ではPVモジュールの出力変化が主たる検証項目であり、劣化部位の特定などその原因については不問である。このため、出力変化の原因を知るには試験後に別途原因調査が必要となる。出力変化の原因が特定できれば対策を講じることにより、信頼性を向上することができる。実際には、曝露サイトにおいて上述の様に配線に起因した故障が多いことが分かっているため、加速試験が正しく設計されている限り、出力劣化が配線に起因しているかどうかを調べることにより効率よく信頼性向上につなげることができる。
システム全体の信頼性は個々のコンポーネントの信頼性に依存するため、PVモジュール個々についての信頼性を把握する方法があればシステム全体の信頼度を飛躍的に高めることができる。IEC規格試験は抜き取り式であるため、個々のPVモジュールの信頼度ばらつきを把握することはできない。個々PVモジュールのばらつきを把握するためには個々のモジュールについての特性を把握する必要があり、製造ラインなどで簡便に実施できる検査方法が望ましい。考えられる全ての要因に対応することは難しいが、この場合も上述のように配線に起因したものに特化することで、効率的な信頼性の向上を期待できる。
製造ラインで実施されている最も一般的な方法はエレクトロルミネッセンス(EL)を用いた検査である。この方法は太陽電池のPN接合に順方向のバイアスを印加することによる発光、即ちEL、を観測することにより、PVモジュールを構成する半導体セルの健全性を検査する方法である。発光を担うキャリアの供給が滞る状態や非発光再結合が支配的な状態が生じると発光が消失するため、発光像を見ることにより配線の断線やウェーハのクラックが検出できる。
ELによる方法は、配線の完全な断線やセルのクラックを検出することは容易であるが、初期や中間段階での劣化を検出することは難しい。発光強度は断線やクラックの進行過程を直接反映する物理量ではないため、発光強度から劣化を定量的に評価することが難しいためである。例えば、断線の進行過程では配線抵抗が増加するが、発光の変化から抵抗の変化を評価するためには抵抗の温度依存性も考慮して定量的な評価を行う必要がある。配線の劣化は局所的に進行するため局所的な抵抗変化とそれに伴う局所的な温度変化も考慮しなければならない。そのためには高精度な発光計測と、発光強度と電流関係づける解析手法を確立しなければならず、難しい課題である。
ELによる方法の他に赤外線(IR)を計測する方法も提案されている。特許文献1では、上記ELによる方法に加え、IRによるPVアレイ画像を撮影し、その強度に応じて画像を数値化することによりPVモジュールの出力と関係づける方法が開示されている。関連付けは数値化した画像の代表値を指標とした比率によってなされるため、定量化に物理的な裏付けがないこと、出力との関連性から局所的な劣化を定量化する方法が自明でないことなど、PVモジュールの信頼性を評価する検査方法にはなり得ない。
特開2013−036747号公報 特開2012−160498号公報 特開2013−131658号公報
Proceedings of 20th EUPVSEC, (2005),"Long term reliability of PV modules"、J.H.Wohlgemuth et al.
上記のように、配線の局所的な劣化を簡便かつ定量的に評価することは困難であった。本発明はこうした実情を鑑み、PVモジュールの配線の局所的な変化を定量的に求める簡便な方法を提供することを目的とする。
配線の局所的な劣化を定量的に評価するために、IR像を用いる。太陽電池の特性式から、IR像から得られる局所的な温度と局所的な抵抗値を関連付ける表式を導くことにより、IR像から局所的な抵抗値を求めることができる。
本発明による具体的な太陽電池の検査方法の一例は、太陽電池に所定の電流を通電した際の温度分布を求める工程と、温度分布から局所抵抗を算出する工程を備える。太陽電池の温度分布を求める工程では、太陽電池を構成するPN接合のP極側にプラスの、N極側にマイナスの電位を与えることにより流れる電流により、太陽電池から発せられる赤外線を利用することができる。同様に、太陽電池に適当な負荷を接続した状態で太陽光若しくはそれに準ずる光を太陽電池に照射した際に流れる電流により、太陽電池から発せられる赤外線を利用することができる。また、温度分布から局所抵抗を算出する工程が、第一の温度と、その温度における局所抵抗値、及び前記温度分布を生じさせるために太陽電池に流す電流及びその際の太陽電池の端子間の電位差を基に、第二の温度における局所抵抗値を求めるように実現することができる。これらの構成により、定量的に局所抵抗値の変化を検出することが可能となる。
太陽電池の温度分布を求める工程は、IRカメラにより太陽電池を撮影したIR像から温度分布を求めるようにすることができる。この場合、非破壊非接触で検査が可能となる。
また、IRカメラにより前記太陽電池を撮影したIR像から温度分布を求める工程において、IRカメラの画素に対応した分解能を有するIR像から得られる温度分布から、太陽電池の構造に対応したサブセルに対応した分解能を有する温度分布を得ることが望ましい。また、サブセルは、太陽電池を構成する太陽電池セルを複数の領域に分割した領域に対応することが望ましい。また、サブセルは、太陽電池を構成する太陽電池セルのバスバーに垂直な方向に長辺を有する矩形の領域に対応することが望ましい。これらの特徴によれば、太陽電池セルの構成と対応づけて局所抵抗値の変化を検出することができる。
また、本発明の他の側面は、太陽電池の製造方法であって、その製造工程に検査工程を含み、検査工程が前述の工程を有する。
また、本発明の他の側面は、複数の太陽電池セルを接続して構成される太陽電池モジュールの検査方法であって、第一の温度と第一の温度における局所抵抗値を、太陽電池セルを複数に分割したサブセル領域ごとに初期データとして得、太陽電池モジュールに電流を通電してIRカメラにより撮影し、太陽電池モジュールのIR像を取得し、IR像からサブセル領域ごとに第二の温度分布を得、初期データと第二の温度分布から、サブセル領域ごとの局所抵抗を算出する。このような構成を採用すると、電池セルのなかの劣化部分を特定することが容易となる。 また、本発明の他の側面は、太陽電池モジュールを温度サイクル試験するとともに、IR画像を取得して局所的な抵抗変化を検出することができる検査装置である。この検査装置は、太陽電池モジュールを格納する恒温槽と、太陽電池モジュールに光を照射する疑似太陽光源と、疑似太陽光源を駆動するための電源と、恒温槽の温度、湿度を制御する制御装置と、IRカメラを有する。検査装置は、光強度を測定する日射計、温度を測定する熱電対、太陽電池モジュールの電流や電圧を測定する測定器等を備えている。これらの構成によりデータを収集し、IRカメラで取得した像から太陽電池モジュールの温度分布を得、局所的な抵抗値変化を測定することができる。
本発明によれば、加速試験によって劣化したPVモジュールに対し、信頼性に最も大きな影響を与える配線抵抗の局所的な変化を捉えることができるようになるため、抜き取り試験などの実施によりPVモジュールの長期信頼性を評価することができるようになる。
また、配線の局所的劣化を定量的に把握する簡便な方法が提供されるため、配線の製造に起因したPVモジュールの信頼性をインラインで検査する製造方法が提供される。
太陽電池セルの等価回路図。 N枚のセルから構成される太陽電池モジュールの等価回路図。 太陽電池セルを仮想的に4つのサブセルに分割した例を示す平面図。 サブセルを単位とした等価回路による、セルの等価回路の一例の回路図。 太陽電池の特性を測定する際の構成を模式的に表したブロック図。 太陽電池の温度をIRカメラを用いて計測する際の構成を模式的に表した側面図。 温度サイクル試験の温度パターンの一例を示すグラフ図。 温度サイクル試験を行う際の、実験システム構成ブロック図。 温度サイクル試験実施後のPVモジュールの温度分布平面図。 PVモジュールの温度分布図内のセルの配置を表す平面図。 局所抵抗を求める際の、セルをサブセルに分割する方法の一例の平面図。 局所抵抗を求める際の、セルをサブセルに分割する方法の一例の平面図。 PVモジュールの温度分布とそこから求められた局所抵抗値のグラフ図。 PVモジュールの温度分布とそこから求められた局所抵抗値のグラフ図。 PVセルをサブセルを用いて表した際の等価回路の一例の回路図。 60セルからなるPVモジュールに対して求めたセル抵抗の値を示す表図。 IR像の取得を温度サイクル試験に組み込んで実施する際の実験システム構成ブロック図。 IR像の取得を温度サイクル試験に組み込んで実施する際の、温度サイクルパターンの一例を示すグラフ図。 PVモジュール製造工程の一例を示す流図。 PVモジュール検査工程の一例を示す流図。
実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。本発明の思想ないし趣旨から逸脱しない範囲で、その具体的構成を変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。
以下に説明する発明の構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、重複する説明は省略することがある。
本明細書等における「第1」、「第2」、「第3」などの表記は、構成要素を識別するために付するものであり、必ずしも、数または順序を限定するものではない。また、構成要素の識別のための番号は文脈毎に用いられ、一つの文脈で用いた番号が、他の文脈で必ずしも同一の構成を示すとは限らない。また、ある番号で識別された構成要素が、他の番号で識別された構成要素の機能を兼ねることを妨げるものではない。
図面等において示す各構成の位置、大きさ、形状、範囲などは、発明の理解を容易にするため、実際の位置、大きさ、形状、範囲などを表していない場合がある。このため、本発明は、必ずしも、図面等に開示された位置、大きさ、形状、範囲などに限定されない。
本発明では配線の局所的な変化を捉えるために、IR像を用いる。IR像は対象の温度を反映するため、局所的な配線抵抗の変化による局所的な温度変化を正しく捉えることができる。配線の劣化は抵抗変化として現れるため、これは温度変化から抵抗変化を捉えることができることを意味している。以下に太陽電池の特性を用いて温度変化が抵抗変化と関連づけられることを示す。
図1に太陽電池セルの等価回路例を示す。
図2に図1のセルN枚から構成される、太陽電池モジュールの等価回路図を示す。バイパスダイオードは省略した。
この時、モジュールに流れる電流Iとモジュールで発生する電位差Vは数式1および数式2で表される。
Figure 0006280846
Figure 0006280846
ここで、Iはセル電流、Iscは短絡電流、pは日射強度(1kW/mで規格化した値で無単位)、Iは逆方向飽和電流、eは素電荷量(1.60219×10−19(C))、Vはシリコンpn接合の接合電圧、nはダイオード定数、kはボルツマン定数(1.380662×10−23(J/K))、Tは温度(K)、Rshはシャント抵抗、Vはセル電圧、Rはセルの直列抵抗、Nはモジュールを構成するセル数である。
数式1より
Figure 0006280846
数式2より
Figure 0006280846
数式3、数式4より
Figure 0006280846
異なる温度T及びTについて数式5が成り立つので、
Figure 0006280846
Figure 0006280846
数式6、数式7より
Figure 0006280846
シリコンダイオードに対し、ダイオードの逆方向飽和電流は次式で表される。
Figure 0006280846
ここで、Eは温度Tにおけるシリコンのバンドギャップである。数式9は理想的なダイオードに対する式である。太陽電池に用いられる質の低いダイオードに対してはダイオード定数を導入し、
Figure 0006280846
ここでKは比例定数である。異なる温度T、Tに対する数式10の表式から
Figure 0006280846
数式10より、
Figure 0006280846
T1及びT2に対するEgの値は厳密には異なるが、本明細書で開示する方法で対象とする温度範囲(−50〜50℃程度)における差は高々2%未満と極めて小さいため、ここでは両者を等しいとした。数式12を数式8に代入し、
Figure 0006280846
数式13において、I(=I),Vに加え、Tにおける直列抵抗Rs1が分かっていれば、Tにおける直列抵抗Rs2を求めることができる。
数式13の各変数の値はフラッシュデータから求めた値及び実測値を使用した。まず、添え字1で表される変数はフラッシュデータから得られた値を用いた。Tはフラッシュデータの計測温度である298K(=25℃)である。Rs1はフラッシュデータとして与えられている解放電圧Voc、 短絡電流Isc、動作電圧Vpmax、動作電流Ipmaxから求め、4.5×10−2Ω/mとした。この値は、下記実施例1で述べるサブセルの等価回路における直列抵抗値であり、後述するサブセルの等価回路とセルの等価回路を結びつける関係式を予め導出しておき、そこにセル当たりの直列抵抗R=1×10−6Ωを代入することにより求めた。セル当たりの直列抵抗値Rは、上記Voc、Isc、Vpmax、Ipmaxの値を用い特許文献2及び3に開示されている方法によって求めた。
その他の値は周囲温度25℃でI=12.5Aの電流をモジュールに流した時の実測値を用いた。電流は、外部電源を用い電源の+極と−極をPVモジュールの+極と−極にそれぞれ接続した状態で流した。この時、電源によってPVモジュールに印加された電圧からセル当たりの印加電圧を求め、この値を今回用いたサブセルに印加されている電圧Vとした。この他、Eは298Kにおけるシリコンのバンドギャップ1.12eV、nは1.84、k、eは物理定数であり文献値を用いた。nはダイオード特性を用いる方法など、求める方法が複数知られており、何れかの方法を適宜使用すればよい。本実施例では特許文献2及び3に開示されている方法により求めた値を使用した。TはIRカメラより得たサブセルの温度である。
太陽電池の等価回路をセル単位、モジュール単位で示したが、セルよりも小さい単位でも同等の等価回路が成り立つ。その例を図3で示す。
図3Aに示すように、一枚のセルを仮想的にサブセル1〜4に4分割して考え、それに対応する等価回路を図3Bに示すように構成することもできる。
図3Bの例では、各サブセル中の図1に相当する回路の間にrs1〜rs3で示す抵抗を介して接続する構成としているが、必ずしもこのように構成する必要があるわけではない。近似の度合いや着眼点に応じて適宜構成すればよい。最終的に分割した際の等価回路が電気的に妥当なものであり、かつ、各回路定数が図1の回路定数に対応し図1の回路定数を算出できるようなものになっていれば良い。
分割した際の各サブセルに対しても数式13と等価な式により、温度TにおけるRs2が計算できる。但し、数式13中のI、V、Rs1、Rs2は各サブセルに対応したものに置き換える必要がある。この様に考えると、分割後の等価回路を構成できさえすれば、セルを任意のサイズに分割して考えることができる。例えば、IR像を撮影するカメラの画素で規定されるセルの微小領域に対し、数式13によって微小領域の直列抵抗に相当する値を算出することができる。
この様にして、IR像を用いることにより局所的な抵抗変化を定量的に捉えることができる。温度TにおけるRs1の設定方法は、事前にある温度、例えば25℃、をTとしてセルの直列抵抗Rs1を計測しておき、その値を用いればよい。セルを分割して考える場合、Rs1から分割したサブセルの直列抵抗に相当する量を求めておけばよい。
この方法によれば、使用するIRカメラの感度に応じた精度で局所的な直列抵抗を求めることができる。現在、IRカメラは画素数数万で0.2℃程度の温度分解能を持つものが容易に入手できる。こうしたカメラを用い局所的で僅かな抵抗変化を検出すれば、電流-電圧特性計測(IV計測)で検出できる抵抗変化よりも遥かに高い感度で抵抗変化を検出できる。
この方法を加速試験と併せて実施することにより、PVモジュールの局所的な配線劣化の経時変化を求めることができ、PVモジュールの配線に関する信頼性を定量的に取り扱うことができる。また、PVモジュールの検査方法として生産に適用すれば、配線抵抗のばらつきを調べることができ、より信頼性の高い良品のみを選別して出荷することができる。
本実施例では、PVモジュールの加速試験と組み合わせて配線の劣化を経時的に調べる方法について開示する。
図17に本実施例の検査方法の全体的な流れを示す。個々の操作の詳細な説明は、図とともに後に説明される。
S1701では、PVモジュールの初期特性を測定する。測定は、例えばIV計測とIR像の計測により行うことができる。図4および図5で詳述する。あるいは、PVモジュールが完動品であることを前提とし、モジュール製造者あるいは製造部門から提供される、設計あるいは試験データを全部または一部使用してもよい。
S1702では、加速試験を実施する。典型的な加速試験としては、温度サイクル試験がある。図6および図7で詳述する。
S1703では、IR像を取得する。IR像の取得方法は図5で説明したものと同様である。
S1704では、IR像から局所温度分布を算出する。公知のように、図8で示すようなIR像は被写体の温度を反映しているため、IR像から局所温度分布を得ることができる。
S1705では、サブセル領域の局所温度分布を算出する。図8で示すIR像で得られる温度分布は、IRセンサの画素の分解能を持つ。このままでは、PVモジュールの構成と対応付けて不良個所を特定するためには不便であるため、PVモジュールの各セルを分割したサブセルと対応付けて局所温度分布を算出する。図9および図10で詳述する。
S1706では、サブセル領域の抵抗値を算出する。抵抗値は数式13により算出することができる。測定された温度、算出された抵抗値は、図11に示すようになる。
S1707では、セルの直列抵抗を算出する。一例として、サブセルとセルの関係を図12に示すようにモデル化し、サブセルの直列抵抗値からセルの直列抵抗値を算出する。算出結果は例えば図13に示される。
S1708では、セルの直列抵抗値からPVモジュール全体の直列抵抗を算出する。
S1709では、セルのサブセル分割方法を決定する。サブセルは図10Bに示すように、PVモジュールのセルとIRセンサの画素との関係で範囲を規定しておく。サブセル単位で抵抗値を評価することによって、PVモジュールの評価が簡便になる。サブセルの定義は、S1701以降の処理において使用し、取得されたデータと関連付けて処理するのが便利である。
S1710では、サブセル等価回路を設定する。先に述べたように図12のように等価回路を設定することができる。図12は一例であり、これに限るものではない。
S1711では、PVモジュールの初期特性測定結果から、サブセル等価回路の局所直列抵抗初期値を算出する。算出結果は、S1706でサブセル領域の抵抗値を算出するのに用いられる。
図4は太陽電池の特性を測定する際の構成を模式的に表したブロック図である。400は恒温槽、401は疑似太陽光源を駆動するための電源、402は疑似太陽光源、403は恒温槽の温度、湿度を制御する制御装置、404は日射計、405はPVモジュール、406は熱電対、407はカーブトレーサ、408はデータロガーである。
加速試験を開始する前に、PVモジュール405の初期特性を計測する。ここではIV計測とIR像の計測を行った。PVモジュール405を恒温槽400に入れ、恒温槽内を25℃一定に保持し、疑似太陽光源402を駆動して光照射を行う。照射強度は日射計404を用いておよそ1.0(kW/m)となるように設定する。光源402はモジュール405面内での光強度分布が5%以内となる様事前に調整しておく。光照射によりモジュール温度が上昇するため、安定するまで30分ほど放置した後、カーブトレーサ407にてIV計測を行う。この際、複数の熱電対406を用いてPVモジュール405の温度を裏面から計測しておく。作業の間、日射計404、熱電対406の出力はデータロガー408によりモニタ及び記録しておくことにより温度や光の安定性を確認できる。また、例えば特許文献2に開示されている方法に従い、IV計測結果から算出される太陽電池の温度や日射量と比較することにより、IV計測の妥当性を検証することができる。IR像の取得は恒温槽の外部で行った。
図5にPVモジュールの温度を、IRカメラを用いて計測する際のセットアップの概要を示した。PVモジュール405を壁際に垂直に立て、表面の硝子を覆わないように注意して養生テープで倒れないように固定する。PVモジュール405と電源505の接続は太陽電池のダイオードに順方向接続となるよう、即ちPVモジュール405のP端子503と電源505の+電極、N端子504と‐電極を接続する。PVモジュール405の定格電流に相当する電流が流れるように電源505の設定を行う。明瞭なIR像を得る為にPVモジュールに流す電流を大きくしても良い。標準条件(STC)におけるIscの1.5倍程度の電流を短時間流してもPVモジュールに影響は見られない。但し、使用するケーブルに流せる最大電流を超えないように注意しなければならない。この他、IRカメラの感度を高くする方法もある。本実施例においては12.5Aの設定とした。IRカメラ501は三脚502に固定し、カメラの視野にPVモジュール405全体がちょうど収まるように配置する。オートフォーカス機能がない場合、通電した状態でバスバーの発熱の様子が最もコントラストがつくようにフォーカスを調整する。本実施例では、日本アビオニクスの赤外線サーモグラフィカメラThermo Shot F30を使用してIR像を撮影した。
初期特性を取得した後、PVモジュールの加速試験を行う。本実施例では加速試験として温度サイクル試験を実施した。
なお、上記の例では電源により流れる電流で赤外線を発生させたが、太陽電池に負荷を接続した状態で太陽電池に光を照射することにより流れる電流により、太陽電池から発せられる赤外線を利用してもよい。
図6に、実施した温度サイクル試験の温度サイクルパターンを示す。横軸に時間を、縦軸に恒温槽温度をとりグラフ化したものである。恒温槽400の設定は高温側の上限温度を80℃、低温側の下限温度を−10℃、夫々の温度での保持時間を30分とした。昇温・降下温度は±90(℃/h)としたので1サイクルの所要時間は3(h)である。昇温時と高温側での温度保持時には疑似太陽光源402により疑似太陽光を照射する。PVモジュール405のコネクタを延長し、恒温槽400外部に引き出して電子負荷701を接続することにより光照射時には電流を流した状態とした。電流値は最大電力点に対応する電流付近となるよう電子負荷701を設定した。
図7に、図6に示した温度サイクル試験のための、セットアップの構成ブロック図を示す。401は疑似太陽光源を駆動するための電源、402は疑似太陽光源、403は恒温槽の温度、湿度を制御する制御装置、404は日射計、405はPVモジュール、406は熱電対、408はデータロガー、701は電子負荷、702は制御用のPCである。
試験中の光照射強度とモジュール温度は日射計404と熱電対406によりモニタし、データロガー408に記録する。疑似太陽光源402のON/OFFはPC702によりサイクルに同期させて制御を行う。
温度サイクル試験後のIR像の撮影は、図5で説明したものと同様に行う。IR像の撮影時には周辺環境の温度に注意し、記録をするのが望ましい。特に、時系列で劣化の進行を把握する時などの様に複数のIR像の解析を行う場合には、周辺環境温度を同一にして撮影することが望ましい。
図8に1250サイクル後の、モジュール表面のIR像を示す。この画像からセルの位置を特定し、セル内の各画素における温度を特定することができる。
図9にIR像とセルの配置の関係を重ねて表示した平面図を示す。本実施例で用いたPVモジュールは縦6×横10の60セルで構成されており、図9に示すマトリックスのようにセルの位置が特定される。
図10で、局所抵抗を求める際に、セルをサブセルに分割する方法の例を説明する。1001は、PVモジュールを構成するPVセルである。各セル1001の画像は図10Aに示すように15×15の画素1003により構成されていたとする。図9からわかるように、バスバー1002に垂直な方向の温度変化は、バスバー毎に見た場合、それほど大きな変化を示していなかった。このため、この方向については5つの画素をまとめて1つの画素1004として取り扱った。まとめた後の画素の様子を図10Bに示した。温度はまとめる前の5つの画素の平均値を割り当てた。こうして1つのセルについて、3×15個の温度データを得た。この温度データを基に数式13から各画素に相当する領域の局所抵抗を算出した。T及びRs1の値は、数式13の説明で述べたようにT=25℃、Rs1=4.5×10−2(Ω/m)、n=1.84とした。
図11に図9の左右向かい合う3組の矢印で示す位置の温度分布と、そこから計算した局所抵抗の分布を示した。図11Aが温度分布、図11Bが抵抗分布である。
次に、求めた局所抵抗からセルの直列抵抗を計算する。今回は、セル内が図12に示すような等価回路で表されるとして直列抵抗を計算した。
図12の等価回路では、1201で示す各画素に対応するサブセル毎の等価回路がバスバー1002夫々に並列接続されており、更にバスバー1002同士も並列に接続された構造をしている。各画素に対応するサブセル1201における電流密度は一定で、それらのセル内での積分値がセル電流Iに等しいと仮定した。
図13に、このようなモデルを基に計算した各セルの直列抵抗の値を示した。モジュール全体での直列抵抗は0.11(Ω)となり、IV計測から求めたモジュールの直列抵抗値0.17(Ω)と比較的良い一致を示している。図13に見られるように6×10のセルの直列抵抗の値は、図9で示した6×10のセルに対応している。
この様に、IR像からモジュール内の局所的な直列抵抗の値を得ることができるため、配線の劣化を物理的な数値に基づいて議論できることになる。更にはモジュール全体の直列抵抗も定量的に求まることから容易に計測できる物理量との比較が可能となり、IR像の濃淡を定量的に扱う従来の方法に比べ、配線の劣化を物理的な妥当性をもって議論できるようになる。また、モジュールの配線抵抗が求められると、例えば特許文献2や特許文献3に開示された方法に従って配線抵抗に起因したPVモジュールの電力損失を算出することができる。即ち、加速試験による出力劣化量を定量的に算出できるため、IV計測からモジュールの直列抵抗を求める方法とは別に、出力劣化の計算値と実測値の比較による妥当性の検討を行うこともできる。
本実施例では、IR計測時にPVモジュールを恒温槽から出さずに実施する方法について述べる。
図14に恒温槽のセットアップのブロック図を示す。図7のシステムにIR像を撮影するためのIRカメラ1401、カメラの向きを変えるパン・チルト台1402、及びパン・チルト台1403を制御するための制御部を追加している。パン・チルト台1403を制御しIRカメラ1401の視野にPVモジュール405が入るようIRカメラ1401の向きを変える。IRカメラ1401の視野にPVモジュール405全体が入る場合はパン・チルト台やその制御部は不要である。PVモジュール全体が入らない場合、カメラの向きを変えて複数枚のIR像を撮影することにより、PVモジュール全体のIR像を得る。
図15に温度サイクルパターンの一例を示す。温度サイクルの一部に一定温度の領域を設け、そこでIR像を撮影する。本実施例では昇温時の25℃にIR像の撮影期間を設けた。温度サイクルの上限や下限の温度でIR像を取得する方法もある。昇温や温度降下の間に新たに一定温度領域を設ける必要がないため、サイクル時間を延ばさなくてよいメリットがある。反面、IRカメラの動作範囲によって温度サイクルの上下限温度が制限されてしまうデメリットがある。IRカメラも通常の電子機器と同様に保存環境温度に比べ動作環境温度が制限されていることが一般的であり、多くの場合、動作温度は+5℃から60℃程度に設定されているためである。
図15においては温度サイクル試験の全てのサイクルでIR像を取得する設定となっているが、必ずしもすべてのサイクルで撮影する必要は無い。1サイクルの温度変化での劣化は極めて小さいと考えられるため、数10サイクルから100サイクル程度に1回の像の取得で充分である。
本実施例による方法は、PVモジュールを恒温槽から取り出す必要がないため、大幅に手間が省け、かつ、容易にデータが取得できるメリットがある。また、IR像の撮影環境温度を一定に保つことができることも利点である。ただし、恒温槽の温度サイクル制御に用いるコンプレッサーは振動を発するため、この振動により長時間の試験では僅かずつPVモジュールの位置が移動してしまう。PVモジュールの位置を固定しておかないと、取得する画像ごとに像内のPVモジュール、ひいてはセルの位置が異なってしまうため、比較の際のデータ処理に手間が必要となる。これを避ける為には振動によるPVモジュールのずれ防止に注意が必要である。
本実施例では、PVモジュールの製造過程で配線の局所劣化を定量的に検査するインライン検査を行う方法について述べる。
図16に一般的なPVモジュールの製造工程を示す。
まず、セル工程S1601で出来上がったPVセル同士を直列に接続する。はんだでメッキされた銅配線をセルにはんだ付けし、所定の枚数のセルを直列接続することによりセルのストリングを形成する。これを交互に並べてお互いを配線で接続する。例えば、60セルのPVモジュールであれば10枚のセルを直列に接続し、これを交互に6ストリング並べ、これらが直列になるよう配線する(配線アセンブル工程S1602)。
次に、強化ガラスの上にEVA(Ethylene-Vinyl Acetate:エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂)などの封止材、接続されたセル、封止材、保護シートを配置し、真空中で加圧しながら加熱することによりセルをラミネートする(ラミネート工程S1603)。
加圧、加熱により封止材が架橋されセルが封止される。ラミネート工程にて周辺にはみ出した封止材を切断し除去した(切除工程S1604)のち、端子ボックスを取り付ける(端子ボックス取付工程S1605)。切除工程により露出した端部を樹脂で封止した(端部封止工程S1606)のち、シーリング材で端部を覆い(シーリング材取付工程S1607)、アルミフレームを取り付ける(フレーム取付工程(S1608))。
その後、検査工程S1609にて製造したPVモジュールの健全性を検査する。検査方法として最も一般的なものにELを用いる方法が挙げられる(EL撮影検査S1610)。PVモジュールのPV接合に順方向接続して電流を流す際に観測されるELからフィンガー電極の断線、シリコンウェーハのクラックなどを見る方法である。また、ラマン分光法により結晶性を判定する方法も知られている(ラマン分光検査S1611)。さらに、IRカメラにより通電したPVモジュールの発熱を観察し、異常発熱がないかどうかを検査する方法もある(IR撮影検査S1612)。
本実施例においてはIRカメラによる像から局所的な抵抗値を定量的に求める方法を取った。これはIR撮影検査S1612の一部として実施できる。詳細な方法は、加速試験を実施しないことを除けば先に説明した実施例1あるいは2に開示した方法と同様に行えばよい。また、装置としては加速試験を実施できるような恒温槽は不要で、必要に応じた簡便な装置を用いればよい。計測は環境温度T=25℃一点で行い、モジュール内の温度分布を利用し、モジュール全体から温度の低い局所領域を選定し、その温度をTに設定すればよい。この局所領域を基準にして他の各点の温度をTとして局所抵抗Rs2を求める。Rs1はモジュール全体の特性から求めたRsから等価回路に基づいた値を用いればよい。モジュール全体のRが大きい異常なモジュールでない限り局所的に異常が含まれていたとしても、こうして求めた局所抵抗は均し効果によりほぼ正常なRs1を求めることができる。モジュール全体のRが大きい場合は、それが分かった時点で異常として除外すればよい。
局所的な抵抗値がある一定の値以下であるPVモジュールを合格とすれば、その値に応じた信頼性の高いPVモジュールを選定することができる。本実施例においてはセルを3×15のサブセルに分解して解析した場合の局所抵抗の最大値が2×10−2Ω/mのモジュールを合格とした。これにより、合格したPVモジュールは温度サイクル試験を実施した場合に1000サイクルを超えてセルの直列抵抗が1(mΩ)未満に留まることが期待できる。
なお、検査の方法はIRカメラによる方法のみに限定するわけではない。IRカメラによる方法以外にELやラマンによる方法、あるはそれ以外の方法による検査を組み合わせてもよい。
本実施例においては、PVモジュールの温度情報から局所抵抗を求める方法を活用してPVシステムを構築する方法について述べる。
PVモジュールの製造ラインで、実施例3に記載の方法によりPVモジュールの検査工程を行う。この際、製造したPVモジュールの局所抵抗の最大値がある一定の値(本実施例においては5×10−2Ω/m)以下のものについて、1×10−2(Ω/m)毎に分別する。分別したPVモジュール毎にストリングを構成することにより、ストリング内のPVモジュールの特性が揃えられ、発電時の電流の損失を抑えることができる。これは、性能の良いPVモジュールと性能の悪いPVモジュールが混在していた場合に、性能の良いPVモジュールの発電量が性能の悪いPVモジュールによって規定され、性能の差分だけ発電によって得られた電流が熱として捨てられてしまうことが避けられるためである。
性能を揃えたPVモジュールを用いてPVストリングを構成することにより損失を防ぐ方法自体は、従来のIV計測などによる事前の性能把握を活用することでも可能であった。しかし、本発明で開示した方法を用いることにより、より高感度に性能毎の分別が可能になること、及び、局所抵抗値に基づいた分別を行うことにより、将来に渡り劣化量が近いPVモジュールを選ぶことができるため、より長期間に渡り損失を抑えたシステムを構成することができる。
局所抵抗値の最大値に応じて分別したPVモジュールを用いてストリングを構成する。更に、こうして構成したストリングを基にPVシステムを構築することにより、長期間に渡って安定して損失の少ないPVシステムを得ることができる。
本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることが可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の実施例の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
400…恒温槽、
401…疑似太陽光源を駆動するための電源、
402…疑似太陽光源、
403…恒温槽の温度、湿度を制御する制御装置、
404…日射計、
405…PVモジュール、
406…熱電対、
407…カーブトレーサ、
408…データロガー、
501…赤外線カメラ
502…三脚
503…PVモジュールのP側コネクタ
504…PVモジュールのN側コネクタ
505…電源
701…電子負荷
702…制御用、及びデータ収集用コンピューター
1001…PVモジュールを構成するPVセル
1002…バスバー
1201…PVセルの各サブセルに相当する等価回路
1401…IRカメラ
1402…パン・チルト台
1403…パン・チルト台の制御部

Claims (12)

  1. 複数のセルから構成される太陽電池の検査方法であって、
    記太陽電池に所定の電流を通電した際に、IRカメラにより前記太陽電池を撮影したIR像から、前記IRカメラの画素に対応する前記太陽電池の局所領域の温度T を求める工程と、
    前記局所領域の温度T から前記太陽電池の局所領域の局所抵抗R S2 を求める工程と、
    前記局所抵抗R S2 から前記太陽電池の各セルの抵抗を算出する工程を有し、
    前記局所抵抗R S2 は、式
    S2 =(T /T )(1/I )(V +I s1 )−(V /I )−{(3n kT )/eI }・ln(T /T )−(E /I )(1−T /T
    により導出され、
    は既知の温度
    はセル電流
    はセル電圧
    s1 は温度T における局所領域の局所抵抗
    はダイオード定数
    kはボルツマン定数
    eは素電荷量
    はシリコンのバンドギャップ
    であり、
    前記セルは複数のサブセルを含むものとし、
    前記太陽電池の局所領域の温度T を求める工程が、前記IRカメラの複数画素に対応する温度T を求めるものであり、
    前記IRカメラの複数画素は、前記セルのバスバーに垂直方向の範囲を撮像した複数画素であり、当該複数画素が撮影した前記セルの範囲を前記サブセルと定義し、
    前記IRカメラの複数画素に対応する温度T から各サブセルの局所抵抗R S2 を求めることを特徴とする太陽電池の検査方法。
  2. 前記太陽電池の局所領域の温度T を求める工程が、前記太陽電池を構成するPN接合のP極側にプラスの、N極側にマイナスの電位を与えることにより流れる電流により前記太陽電池から発せられる赤外線を利用することを特徴とする請求項1に記載の太陽電池の検査方法。
  3. 前記太陽電池の局所領域の温度T を求める工程が、前記太陽電池に負荷を接続した状態で前記太陽電池に光を照射することにより流れる電流により前記太陽電池から発せられる赤外線を利用することを特徴とする請求項1に記載の太陽電池の検査方法。
  4. 前記温度 は298Kであることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池の検査方法。
  5. 前記IRカメラの複数画素に対応する温度T は、当該複数の画素のそれぞれに対応する温度の平均値であることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池の検査方法。
  6. 前記サブセル毎の等価回路が前記バスバーの其々に並列接続されており、さらに前記バスバー同士も並列に接続された構造をしているものとして、前記セルの抵抗を求めることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池の検査方法。
  7. 複数のセルから構成される太陽電池の製造方法であって、その製造工程に検査工程を含み、前記検査工程が、
    前記太陽電池に所定の電流を通電した際に、IRカメラにより前記太陽電池を撮影したIR像から、前記IRカメラの画素に対応する前記太陽電池の局所領域の温度T を求める工程と、
    前記局所領域の温度T から前記太陽電池の局所領域の局所抵抗R S2 を求める工程と、
    前記局所抵抗R S2 から前記太陽電池の各セルの抵抗を算出する工程を有し、
    前記局所抵抗R S2 は、式
    S2 =(T /T )(1/I )(V +I s1 )−(V /I )−{(3n kT )/eI }・ln(T /T )−(E /I )(1−T /T
    により導出され、
    は既知の温度
    はセル電流
    はセル電圧
    s1 は温度T における局所領域の局所抵抗
    はダイオード定数
    kはボルツマン定数
    eは素電荷量
    はシリコンのバンドギャップ
    であり、
    前記セルは複数のサブセルを含むものとし、
    前記太陽電池の局所領域の温度T を求める工程が、前記IRカメラの複数画素に対応する温度T を求めるものであり、
    前記IRカメラの複数画素は、前記セルのバスバーに垂直方向の範囲を撮像した複数画素であり、当該複数画素が撮影したセルの範囲をサブセルと定義し、
    前記IRカメラの複数画素に対応する温度T から各サブセルの局所抵抗R S2 を求めることを特徴とする太陽電池の製造方法。
  8. 前記太陽電池の局所領域の温度T を求める工程が、前記太陽電池を構成するPN接合のP極側にプラスの、N極側にマイナスの電位を与えることにより流れる電流により前記太陽電池から発せられる赤外線を利用することを特徴とする請求項7に記載の太陽電池の製造方法。
  9. 前記太陽電池の局所領域の温度T を求める工程が、前記太陽電池に負荷を接続した状態で前記太陽電池に光を照射することにより流れる電流により前記太陽電池から発せられる赤外線を利用することを特徴とする請求項7に記載の太陽電池の製造方法。
  10. 前記温度T は298Kであることを特徴とする請求項7に記載の太陽電池の製造方法。
  11. 前記IRカメラの複数画素に対応する温度T は、当該複数の画素のそれぞれに対応する温度の平均値であることを特徴とする請求項7に記載の太陽電池の製造方法。
  12. 前記サブセル毎の等価回路が前記バスバーの其々に並列接続されており、さらに前記バスバー同士も並列に接続された構造をしているものとして、前記セルの抵抗を求めることを特徴とする請求項7に記載の太陽電池の製造方法。
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