JP6280069B2 - 光導波路回路および光デバイス - Google Patents

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Description

本発明は、光導波路回路および光デバイスに関し、特に、反射ミラー構造を有する光導波路回路および、その上にフォトダイオードやレーザーダイオードなどの光素子を集積した光デバイスに関する。
従来、光ファイバ伝送の普及に伴い、多数の光素子を高密度に集積する技術が求められており、その一つとして、平面光導波路回路(以下、これを「PLC(Planar Lightwave Circuit)」と呼ぶ。)が知られている。
PLCは、低損失、高信頼性、高い設計自由度といった優れた特徴を有している。実際に、光通信伝送端における伝送装置には、合分波器、分岐・結合器等の機能を集積したPLCが搭載されている。また、伝送装置の内部では、PLC以外にも、光源であるレーザーダイオード(以下、これを「LD」と呼ぶ。)や、光を電気信号に変換するフォトダイオードなども搭載されている。
今後、さらなる通信容量の拡大のため、PLC等の光導波路回路と、光源となるLD等の光素子とを集積した高機能な集積型光デバイスが求められている。このような集積型光デバイスのプラットフォームとしてPLCは有望であり、個別に作製したLDチップとPLCチップとを集積した集積型光デバイスが提案されている(例えば、特許文献1を参照。)。
この特許文献1に記載された集積型光デバイスでは、被搭載素子の上に実装されたPLCと隣接した位置に搭載素子としてLDを搭載する。この場合、LDからの光をPLCの一方の端面から入射し、このPLCの他方の端面から出射した光をカメラなどの光検出部で観測し、PLCに対してLDを調芯しながら実装することにより光結合を行う。
この場合、被搭載素子の上にPLCとLDとを隣接して搭載するため、この被搭載素子としては大きな実装面積が必要になる。そこで、LDの光軸に対して45度傾けられたミラーをPLCの一部の領域に設け、そのPLCの上にLDを積層した状態で実装することにより、そのLDからの光をミラーで光路変換し、LDとPLCの導波路との光結合を行う方法が注目されている。このように、PLCの上に光結合用のミラーとLDとを積層するようなスタック実装型の集積型光デバイスは、デバイス自体の小型化、および、光回路の設計の自由度の面で有利である。
LDの実装方法には、大きく分けて二通りの方法が挙げられる。一つ目の方法は、PLCを通過した光を検出するフォトダイオード等の光検出部を当該PLCの他方の端面(出力端)に設けておき、LDを駆動させて光をミラーに出射し、光検出部の観測結果として高い光結合効率の得られた位置に当該LDをアライメントして実装する方法である。
二つ目の方法は、LDやPLCに位置合わせマーカを設け、赤外光の照射されたマーカを撮像して画像認識することにより、PLCの上にLDをアライメントして実装する方法である。これら二つのアライメントの方法は、いずれにおいてもPLCに対してLDを高精度にアライメントして実装することが可能である。
特許第3890281号公報
しかしながら、一つ目のアライメントの方法では、PLCの出力端から出射される光を光検出部により検出できるようにしておくため、予め光ファイバ等によりPLCと光検出部との調芯を行う必要があり、煩雑な調芯工程を伴うという問題があった。
二つ目のアライメントの方法では、LDのアレイ化により当該LDの表面を占める電極面積が大きくなると、マーカを配置する領域が不足したり、LDの表面の配線等により赤外光が透過し難くなるため、高効率かつ容易に光結合可能な精度でPLCにLDを実装することが困難になるという問題があった。
そこで、本発明は、煩雑な調芯工程を伴うことなく、光導波路と光素子との光結合を高効率かつ容易に実現することのできる光導波路回路およびその製造方法を提供することを目的とする。
上述したような課題を解決するために、本発明では、コア(5〜8)とこのコア(5〜8)を取り囲むクラッド(3bu、3bd)を有する形状に形成された光導波路(3)と、前記クラッド(3bu、3bd)の表面の一部に形成された遮光膜(15)と、前記遮光膜(15)上に形成された少なくとも2以上の光透過領域(11、12、16)とを備え、前記2以上の光透過領域(11、12、16)は、前記クラッド(3bu、3bd)上に実装される光素子(20)の下面(20au)に設けられた少なくとも2以上のアライメント光を出力するアライメント光出力部(21〜23)の位置関係と一致していることを特徴とするものである。
本発明では、光導波路回路(10)において、前記2以上の光透過領域(11、12、16)は3個設けられ、そのうちの2個の光透過領域(11、16)が一つの直線上に配置され、他の1個の光透過領域(16)が前記直線を除く他の前記遮光膜上に形成されているようにしてもよい。
本発明では、コア(5〜8)とこのコア(5〜8)を取り囲むクラッド(3bu、3bd)を有する形状に形成された光導波路(3)と、その光導波路(3)の前記クラッド(3bu、3bd)の表面に積層して実装する光素子(20)とを備える光デバイスにおいて、前記光導波路(3)の前記クラッド(3bu、3bd)の表面の一部に形成された遮光膜(15)と、前記遮光膜(15)上に形成された少なくとも2以上の光透過領域(11、12、16)とを備え、前記2以上の光透過領域(11、12、16)は、前記クラッド(3bu、3bd)の表面に実装される前記光素子(20)の下面に設けられた少なくとも2以上のアライメント光を出力するアライメント光出力部(21〜23)の位置関係と一致していることを特徴とするものである。
本発明によれば、クラッド(3bu、3bd)上に実装される光素子(20)の下面(20au)に設けられた少なくとも2以上のアライメント光出力部(21〜23)の位置関係と、遮光膜(15)上に形成された少なくとも2以上の複数の光透過部(11、12、16)との位置関係とが一致しているため、2以上のアライメント光出力部(21〜23)からそれぞれ出射されるアライメント光が遮光膜(15)上に形成された複数の光透過部(11、12、16)をそれぞれ透過するときの光強度が最大となるときに、光素子(20)の光出力部(25〜28)と光導波路(3)のコア(5〜8)とが対向した状態に正確に位置合わせすることができるので、光導波路(3)と光素子(20)との光結合を容易に実現することができる。
図1は、本発明の実施の形態における光デバイスの全体構成を示す外観斜視図である。 図2は、本発明の実施の形態における光導波路回路の遮光膜およびその周辺の構成を示す平面図である。 図3は、本発明の実施の形態における光導波路回路の断面構成を示す図2におけるA−A断面図である。 図4は、本発明の実施の形態における光導波路回路の断面構成を示す図2におけるB−B断面図である。 図5は、本発明の実施の形態における光導波路回路に対する光素子の初期高さ位置からの移動距離と光強度との関係を示す特性曲線図である。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
<実施の形態>
<光デバイスの全体構成>
図1は、光デバイス1の平面光導波路回路10(以下、これを「光導波路回路」と呼ぶ。)の表面に光素子20を実装する前の状態を示す。この光デバイス1は、光導波路回路10と、その光導波路回路10の上に積層して実装される光素子20とによって構成されている。
<光素子の構成>
光素子20は、光導波路回路10のコア(導波路)5〜8に光を入力する光源であり、略直方体箱型形状を有する本体部20aと、その本体部20a内に収納された複数の赤外線レーザダイオード(図示せず)とによって構成されている。この赤外線レーザーダイオードは、例えば波長1.55[μm]の近赤外光を出力する。
光素子20の本体部20aの下面(光導波路回路10の表面と対向配置されたときに当該表面と対向する面)20auには、後述する光導波回路10のコア5〜8と同じ間隔で配置され、コア5〜8と同一の位置関係を有する光出力ポート25〜28が形成されている。
この光出力ポート25〜28は、本体部20a内の複数の赤外線レーザーダイオードとそれぞれ対応付けられている。すなわち光出力ポート25〜28は、対応する赤外線レーザーダイオードの光を本体部20aの下面20auから平面光導波路回路10へ向かって矢印Fで示す鉛直下方に出射する光出力用の孔として機能する。
また、光素子20の本体部20aの下面20auには、3個のアライメント光出力ポート21乃至23が形成されている。この3個のアライメント光出力ポート21乃至23は、光素子20を光導波路回路10に実装する前の位置合わせ用のアライメント光を出射するアライメント光出力用の孔として機能する。
アライメント光出力ポート21は、光素子20の本体部20aの矢印Aに示す長手方向の一端側に形成されている。アライメント光出力ポート22は、光素子20の本体部20aの矢印Bに示す長手方向の他端側に形成されている。すなわち、アライメント光出力ポート21、22は、出力ポート25〜28を間に挟んで光素子20の長手方向の一端側および他端側に形成されている。
アライメント光出力ポート23は、アライメント光出力ポート21および22を結ぶ直線と直交する矢印Cに示す短手方向に当該アライメント光出力ポート22から所定距離だけ離れた位置に形成されている。ただし、アライメント光出力ポート23は、この場所に限るものではなく、本体部20aの下面20au上であって、アライメント光出力ポート21および22を結ぶ同一直線上とはならない位置であればどこに形成されていてもよい。
また、光素子20の本体部20aには、端子が設けられており、その端子を介して後述する位置合わせ装置の制御部と接続されている。したがって光素子20は、位置合わせ装置の制御部からの命令を端子を介して受け取ると、アライメント光出力ポート21乃至23からアライメント光を所定の出力で出射する。
<光導波路回路の構成>
図2乃至図4を用いて、光導波路回路10、および、この光導波回路10の表面の一部に形成された遮光膜15の構成について説明する。なお、図3においては、コア5〜8のうちコア8だけが表示されている。
光導波路回路10は、シリコン(Si)の基板2と、その上に形成された石英ガラス(SiO2)の光導波路3とによって構成されている。光導波路3は、全体略直方体形状を有し、図中の矢印AB方向に示す幅が10mm、矢印CD方向に示す長さが15mm、矢印EF方向に示す厚さ(高さ)が1mmである。
光導波路3は、基板2上に形成されたアンダークラッド3bdと、そのアンダークラッド3bd上に形成された4本のコア5〜8と、そのコア5〜8を埋め込むようにアンダークラッド3bd上に形成されたオーバークラッド3buとによって構成されている。コア5〜8は、矢印ABに示す短手方向に一定間隔(光素子20の光出力部25〜28と同じ一定間隔)ごとに形成されている。なおコア5〜8は、その断面形状が略矩形状に形成されている。
コア5〜8は、アンダークラッド3bdおよびオーバークラッド3buに埋め込まれた状態で、矢印CDに示す長手方向に沿って延在されている。コア5〜8は、矢印D方向の端面が入力端5in〜8inとなり、その反対の矢印C方向の端面が出力端5out〜8outとなる。なお、コア5〜8は、4本に限るものではなく、その他の本数であってもよい。
コア5〜8のコア径は3.5[μm]であり、オーバークラッド3buの膜厚は16.5[μm]であり、アンダークラッド3bdの膜厚は20[μm]である。また、コア5〜8の屈折率は、アンダークラッド3bdおよびオーバークラッド3buの屈折率よりも高く、その屈折率差は2.5%である。
光導波路回路10(図3参照。)の光導波路3の矢印D方向の端部には、傾斜面3aが形成されている。傾斜面3aは、オーバークラッド3bu、コア8、アンダークラッド3bdの端部が基板2の上面2aに対して45度にエッチングされた結果として形成されたものである。この場合、コア8の端面も45度に傾斜されており、このコア8の端面が傾斜面3aの一部をなしている。
この傾斜面3aには、アルミニウムの反射膜13が蒸着されている。ここで、反射膜13は、スパッタリングにより堆積された多層膜とすることができる。ただし、この反射膜13はその材料がアルミニウムや上述の生成方法に限定されるものではない。
この反射膜13は、光素子20の光出力部28から矢印Fで示す鉛直下方に向かって出射された光がオーバークラッド3buを透過し、コア8と対応する反射膜13の部分で矢印C方向へ反射させた後、コア8を通って出力端8outへ伝搬させるように光路変換するミラーとして機能する。
この場合、基板2に対する反射膜13(傾斜面3a)の角度をミラー角度とする。この場合、ミラー角度は45度である。但し、反射膜13のミラー角度は45度に限る必要はなく、30度〜60度の角度範囲内であって、コア5〜8からアンダークラッド3bdおよびオーバークラッド3buに光が透過することなく当該コア5〜8の中でのみ光が伝搬する角度に設定されていればよい。
光素子20の下面20auと対向するオーバークラッド3buの表面の一部には、遮光膜15が形成されている。この遮光膜15の全体の大きさは、光素子20とほぼ同一の形状および大きさとなる幅および長さである。この遮光膜15は、光素子20をオーバークラッド3buの表面に粗く位置合わせするためのガイドとして機能する。
ただし、遮光膜15は、必ずしも光素子20とほぼ同一の形状および大きさとする必要はなく、光素子20を粗く位置合わせするためのガイドとして機能すれば、その全体の大きさは光素子20よりも少し大きくても良いし、光素子20よりも少し小さくても良い。
遮光膜15は、傾斜面3aの反射膜13の周辺部を除いた平面視略逆コ字状に形成されており、その平面視略逆コ字状の部分にアルミニウムが蒸着されている。ここで、遮光膜15としては、アルミニウムだけでなく、金やその他の金属、あるいは光吸収材を用いることもできる。ただし、遮光膜15は上述の蒸着による生成方法に限定されるものではない。
遮光膜15の平面視略逆コ字状の内側部分は、アルミニウムが蒸着されておらず、平面視略矩形状の非遮光領域15aとなっている。この非遮光領域15aは、光素子20の光出力部25〜28からの光を当該傾斜面3aの反射膜13で反射させた後にコア5〜8の入力端5in〜8inに入射する領域でもある。
また、コア5〜8の入力端5in〜8in、および、その入力端5in〜8inを含む先端部の鉛直上方を避けた遮光膜15の部分には、光素子20のアライメント光出力ポート21、22、23と同じ間隔で配置され、そのアライメント光出力ポート21、22、23と同一の位置関係を有するピンホール11、12および16が形成されている。これらピンホール11、12および16は、平面視円形状に形成されている。なお、ピンホール16は、アライメント光出力ポート23と対向する位置に形成されている。この位置は、ピンホール11、12を結ぶ同一直線上とはならない位置である。
これらの遮光膜15に形成されたピンホール11、12、16の位置は、光素子20の光出力ポート25〜28から出射された光が光導波路3のコア5〜8に高効率かつ低損失に入力されたとき、光素子20のアライメント光出力ポート21、22、23から出射されたアライメント光が遮光膜15に到達する位置である。
したがって、光素子20のアライメント光出力ポート21、22、23と遮光膜15のピンホール11、12、16とが対向配置されると、アライメント光出力ポート21、22、23と遮光膜15のピンホール11、12、16とが矢印EF方向の同一直線上に位置付けられる。
かくして、光素子20と光導波路3とが互いに平行に配置され、光素子20の光出力ポート25〜28と光導波路3のコア5〜8とが対向配置され、かつ、光素子20のアライメント光出力ポート21、22、23と遮光膜15のピンホール11、12、16とが対向配置されると、光素子20の光出力ポート25〜28、アライメント光出力ポート21、22、23と、光導波路3のコア5〜8、遮光膜15のピンホール11、12、16とが全て矢印EF方向の同一直線上に位置付けられる。
このとき、光素子20のアライメント光出力ポート21、22、23からのアライメント光が遮光膜15の表面に到達したときのビーム径(ビーム強度分布の1/e2となる幅として定義する)と、遮光膜15のピンホール11、12、16のピンホール直径とは同じ大きさに設定されている。
具体的には、光素子20のアライメント光出力ポート21、22、23から出射されて遮光膜15の表面に到達したときの光のビーム径が10[μm]の場合、遮光膜15のピンホール11、12、16のピンホール直径は、それと同じ直径10[μm]に設定されている。
<位置合わせ装置の構成>
次に、光素子20の光出力ポート25〜28を光導波路回路10のコア5〜8に対して当該光素子20を光導波路回路10に位置合わせする位置合わせ装置の構成について説明する。
位置合わせ装置は、光素子20を保持する保持部と、光素子20から出射されたアライメント光を検出する光検出部30と、当該位置合わせ装置に固定された光検出部30に合わせて搬送されてくる光導波路回路10を位置決めするストッパと、その光検出部30により受光したアライメント光の光強度に基づいて位置合わせの成否を判定するマイクロコンピュータ構成の制御部と、その制御部の指示により矢印AB方向、矢印CD方向の水平方向、矢印EF方向の高さ方向、または矢印PQ方向の回転方向へ保持部を介して光素子20を光導波路回路10に対して位置合わせする位置合わせ機構とによって構成されている。
光検出部30(図1参照。)は、略直方体箱型形状を有する本体部30aと、その本体部30aの表面に設けられた3個のフォトダイオード31乃至33とによって構成されている。フォトダイオード31乃至33には、それぞれ1対の入出力端子が設けられている。したがって、フォトダイオード31乃至33は、制御部からバイアス電圧が与えられた状態で、光素子20からのアライメント光を受光すると、1対の入出力端子間を流れる電流を検出し、その信号を制御部へ出力する。
3個のフォトダイオード31、32、33は、遮光膜15に形成されたピンホール11、12、16と同じ間隔で配置され、そのピンホール11、12、16と同一の位置関係になるように配置されている。すなわち、遮光膜15の3個のピンホール11、12、16間のそれぞれの距離および位置関係と、光検出部30の3個のフォトダイオード31、32、33間の距離および位置関係とは同じである。
この光検出部30は、光導波路回路10の端面がストッパに当接した位置に位置決めされたとき、その光導波路回路10の基板2の下面であって、遮光膜15のピンホール11、12、16と、本体部30aの表面に設けられたフォトダイオード31〜33とが対向配置することができる所定位置に予め固定されている。
したがって、光素子20のアライメント用光出力ポート21、22、23と、遮光膜15のピンホール11、12、16とが矢印EF方向の同一直線上に位置付けられたとき、アライメント光出力ポート21、22、23、ピンホール11、12、16および光検出部30のフォトダイオード31、32、33が矢印EF方向の同一直線上に位置付けられることになる。
<光導波路回路の製造方法>
次に、上述したような構成の光導波路回路10の製造方法について説明する。
まず、アンダークラッド3bd、コア5〜8、このコア5〜8を取り囲むオーバークラッド3buが形成された石英系の光導波路回路を用意する。この光導波路回路は、光導波路3の遮光膜15および傾斜面3aが形成される前の段階のものである。
この光導波路回路のオーバークラッド3buの表面にレジストを塗布し、フォトリソグラフィー技術により、光素子20のアライメント光出力ポート21、22、23と同じ位置関係となるピンホール相当部分、および、非遮光領域15aに相当する部分を選択的にマスキングした状態でアルミニウムを蒸着する。その後、レジストを除去することにより、ピンホール11、12、16および非遮光領域15aを除いてアルミニウムが蒸着された平面視略逆コ字状の遮光膜15を光導波路3の表面に形成する。
光導波路3に対する傾斜面3aの加工方法は、例えば以下のように行われる。エッチングチャンバー内に加工対象である光導波路回路を45度に傾けた状態で設置する。その状態で、エッチングチャンバーを真空まで排気した後、エッチングガスを流入し、高周波電圧を印加することによりエッチングチャンバー内にプラズマを発生させる。その後、エッチングチャンバーのチャンバー上部およびチャンバー下部に電極面が平行になるように設けられた電極に対し、電圧を印加することによりエッチングチャンバー内に電界を誘起する。
これにより、プラズマ中のイオンが電界にしたがって電極へと引き寄せられる。イオンはチャンバー下部の電極に対し垂直に引き寄せられ、加速するため、エッチング対象である光導波路3のオーバークラッド3buの表面に対して一方向からのみ衝突し、異方性のエッチングが進行する。
その結果、光導波路3の端面に対して斜め方向にエッチングが行われ、その光導波路3の端面に傾斜面3aが形成されるのである(特開2012−42515号公報を参照。)。
ところで、基板2の上面2aとアンダークラッド3bdの45度の端面とが出会う傾斜面3aの矢印CD方向の位置は、光素子20の光出力ポート25〜28から照射される光のビーム照射位置と対応するように決められる。その際、エッチング時間を制御することにより、傾斜面3aの矢印CD方向の位置が設定される。
このように、光素子20の光出力ポート25〜28から照射される光のビーム照射位置と対応するように傾斜面3aを作製することにより、高精度かつ自由度の高いミラーレイアウトが可能となる。
こうして形成された傾斜面3aに対し、蒸着やスパッタリング等によりアルミニウムや金等の金属を被着させることにより反射膜13を形成する。このとき、蒸着源またはスパッタリングターゲットに対して光導波路3の傾斜面3aを傾けて正対させることにより、この傾斜面3aにアルミニウムの反射膜13が成膜される。
<光導波路回路に対する光素子の位置合わせ方法>
このようにして作製された光導波路回路10の表面に光素子20を実装する前に、当該光素子20の光出力ポート25〜28を光導波路回路10のコア5〜8に対して高効率に光結合可能なように光素子20を位置合わせする方法(以下、これを「位置合わせ方法」と呼ぶ。)について、次に説明する。
最初に、位置合わせ装置は、光導波路回路10をストッパと当接する位置に位置決めし、光検出部30の本体部30aの表面に設けられたフォトダイオード31〜33に対して、遮光膜15のピンホール11、12、16を対向配置させる。
そして、光導波路回路10のオーバークラッド3buの表面に形成された遮光膜15をガイドとして、保持部に保持された光素子20を位置合わせ機構により矢印AB方向および矢印CD方向の水平方向に移動させて遮光膜15と対向するように粗く位置合わせする。
このとき、光導波路回路10の遮光膜15に対向して位置付けられた光素子20は、矢印EFで示す高さ方向における任意の初期位置にあり、光導波路回路10と光素子20とは初期位置に応じた距離だけ高さ方向に離れた状態である。
この状態で、制御部からの命令に応じて光素子20の1つ目のアライメント用光出力ポート21から発光波長1.55[μm]のアライメント光(近赤外光)を1[mW]で出力しながら当該光素子20を水平方向に移動させる。
そうすると、光素子20のアライメント光出力ポート21からのアライメント光が遮光膜15のピンホール11を通過し、その後、オーバークラッド3bu、アンダークラッド3bdおよび基板2を透過した透過光として、光導波路回路10の裏面側に配置された光検出部30のフォトダイオード31により受光される。ちなみに、アライメント光は、波長1.55[μm]の近赤外光であるため、基板2に対しても透過される。
このとき制御部は、光検出部30のフォトダイオード31により受光した透過光の光強度を測定し、その光強度が最大となるように、位置合わせ機構を介して光素子20を更に移動させることにより位置合わせを行う。これにより、光素子20のアライメント光出力ポート21と遮光膜15のピンホール11とを矢印EF方向の同一直線上に位置合わせすることができる。
ただし、光素子20のアライメント光出力ポート21と遮光膜15のピンホール11とが矢印EF方向の同一直線上に位置合わせしただけでは、当該ピンホール11を軸中心とした回転方向に位置合わせすることができない。
そこで、光素子20の1つ目のアライメント光出力ポート21と遮光膜15のピンホール11とが矢印EF方向の同一直線上に位置合わせられた状態のまま、2つ目のアライメント光出力ポート22から発光波長1.55[μm]の光を1[mW]で出力しながら、ピンホール11を軸中心とした状態で当該光素子20を回転させることにより位置合わせを行う。
このとき制御部は、光検出部30のフォトダイオード32により受光した透過光の光強度を測定し、その光強度が最大となるように、位置合わせ機構を介して光素子20を回転させることにより位置合わせを行う。
これにより、光素子20のアライメント光出力ポート21、22と、遮光膜15のピンホール11、12とを矢印EF方向の同一直線上に位置合わせすることができる。ただし、この状態であっても、図1に示すように、光素子20は、ピンホール11、12を結ぶ仮想の軸線を中心とする矢印PQで示すあおり方向に遥動可能な状態にある。
そこで、制御部からの命令に応じて3つ目のアライメント光出力ポート23から発光波長1.55[μm]の光を1[mW]で出力しながら、遮光膜15のピンホール16を介して透過された透過光を光検出部30のフォトダイオード33により受光する。
制御部は、その透過光の光強度が最大となるように、位置合わせ機構を介して光素子20を矢印PQ方向に遥動させることにより、あおり方向の位置合わせを行う。これにより、光導波路回路10の表面の遮光膜15と光素子20の下面20auとが平行に位置付けられることになる。
この結果、光素子20のアライメント光出力ポート21、22、23と、遮光膜15のピンホール11、12、16とが矢印EF方向の同一直線上に全て位置合わせられることになる。
かくして、光素子20の光出力ポート25〜28と光導波路3のコア5〜8とが矢印EF方向の高さ方向において正確に対向配置されるので、光素子20の光出力ポート25〜28の光軸と、光導波路3のコア5〜8の光軸とが一致された状態となる。
ところで、上述した位置合わせを行っているとき、光導波路回路10の遮光膜15と光素子20とは当該光素子20の初期位置に応じた距離だけ鉛直方法に離れており、光導波路回路10の遮光膜15に対して光素子20が必ずしも最適な距離だけ鉛直方法に離れた状態にあるとは限らない。この場合、光素子20のアライメント光出力ポート21からの光が光導波路回路10の遮光膜15に十分到達しないことになる。
そこで、最後に、ピンホール11、12、16の直径に対応したアライメント光のビーム径とするために光導波路回路10の遮光膜15と光素子20との高さ方向の位置合わせを行う。
この場合、光素子20と光導波路回路10の遮光膜15との高さ方向の距離の調整を行うべく、位置合わせ機構を介して光素子20を高さ方向の初期位置から光導波路回路10の遮光膜15に向かって次第に近付けていく。
そうすると、光素子20を初期位置から遮光膜15へ近付けるように移動したときの移動距離に応じて、光検出部30のフォトダイオード31により検出したアライメント光出力ポート21からのアライメント光の光強度が増大する。
図5に、光検出部30のフォトダイオード31により検出した光素子20からのアライメント光の光強度が増大する一例を示す。この図5によれば、光素子20の初期位置から光導波路回路10の遮光膜15に向かって15[μm]〜20[μm]程度近づけた位置の光強度が2.58[mW]と最も強く、その位置が高精度に位置合わせ可能な光素子20の高さ方向の最適位置であることが分かる。したがって、初期位置から光導波路回路10に向かって15[μm]近づけた適切な位置に位置合わせ機構を介して光素子20を移動させる。
この状態において、光素子20のアライメント用光出力ポート21、22、23と光導波路回路10の遮光膜15のピンホール11、12、16との位置を微調整すれば、アライメント用光出力ポート21、22、23からの光の光強度が最大の状態で一段と正確に光素子20を位置合わせすることができる。
この場合、光素子20と光導波路回路10との間の適切な距離でのアライメント光出力ポート21、22、23からのアライメント光のビーム径を、遮光膜15のピンホール11、12、16のピンホール直径としている。このため、オーバークラッド9の表面におけるフレネル反射損失0.5[dB]を除く3個のアライメント光出力ポート21、22、23からのアライメント光の光強度の合計に対し、その約95%が遮光膜15のピンホール11、12、16から透過することになる。
このように光素子20を位置合わせした状態で、光導波路回路10の光導波路3のコア5〜8の出力端5out〜8outからの光出力を測定すると、光素子20の光出力ポート25〜28と光導波路3のコア5〜8との位置合わせずれによる過剰損失が0.3[dB]以下であり、低損失に光結合がされていることが実験により分かった。
その後、光素子20は、光素子20のアライメント光出力ポート21、22、23と、遮光膜15のピンホール11、12、16とが同一直線上に位置合わせられた状態のまま、紫外線硬化型のエポキシ系樹脂を用いて光導波路3の遮光膜15上に実装される。
<他の実施の形態>
なお、上述した実施の形態においては、遮光膜15のピンホール11、12、16のピンホール直径を、光素子20のアライメント光出力ポート21、22、23から出射されて遮光膜15の表面に到達したときのアライメント光のビーム径と同じ10[μm]に設定するようにした場合について述べた。しかしながら、本発明はこれに限るものではなく、アライメント光のビーム径よりも大きいピンホール直径であって、そのピンホール直径がそれぞれ異なり、アライメント光が透過する面積がそれぞれ異なっているピンホール11、12、16を設定しても良い。この場合、ピンホール直径の最も大きなピンホールから順番にアライメント光を通過させるように位置合わせすれば、一段と容易に光素子20を位置合わせすることができる。
また、上述した実施の形態においては、光素子20と光導波路回路10の遮光膜15との高さ方向の距離の調整を光素子20の水平方向の位置合わせ動作の後に行うようにした場合について述べたが、本発明はこれに限るものではなく、位置合わせ動作の前、位置合わせ動作の間の何れのタイミングで行うようにしてもよい。
さらに、本発明は光素子20に3つ目のアライメント光出力部23を設け、遮光膜15に3つ目のピンホール16を設けるようにした場合について述べたが、光素子20が矢印PQで示すあおり方向に遥動可能な状態が許容される場合には、光素子20に3つ目のアライメント光出力部23を設ける必要はなく、同様に、遮光膜15に3つ目のピンホール16を設ける必要はない。
さらに、本発明は以上に説明した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で、当分野において通常の知識を有する者により、多くの変形および組み合わせが実施可能であることは明白である。
1……光デバイス、2……基板、3……光導波路、3bd……アンダークラッド、3bu……オーバークラッド、5〜8……コア、10……光導波路回路、11、12、16……ピンホール(光透過領域)、13……反射膜、15……遮光膜、20……光素子、21、22、23……アライメント光出力部、25〜28……光出力部、30……光検出部、31〜33……フォトダイオード。

Claims (4)

  1. コアとこのコアを取り囲むクラッドを有する形状に形成された光導波路と、
    前記クラッドの表面の一部に形成された遮光膜と、
    前記遮光膜上に形成された少なくとも2以上の光透過領域と
    を備え、
    前記2以上の光透過領域は、前記クラッド上に実装される光素子の下面に設けられた少なくとも2以上のアライメント光を出力するアライメント光出力部の位置関係と一致している
    ことを特徴とする光導波路回路。
  2. 請求項1記載の光導波路回路において、
    前記2以上の光透過領域は3個設けられ、そのうちの2個の光透過領域が一つの直線上に配置され、他の1個の光透過領域が前記直線上を除く他の前記遮光膜上に形成されている
    ことを特徴とする光導波路回路。
  3. 請求項1または2記載の光導波路回路において、
    前記2以上の光透過領域は、前記2以上のアライメント光出力部から出射されるアライメント光を透過する面積がそれぞれ異なっている
    ことを特徴とする光導波路回路。
  4. コアとこのコアを取り囲むクラッドを有する形状に形成された光導波路と、その光導波路の前記クラッドの表面に積層して実装する光素子とを備える光デバイスにおいて、
    前記光導波路の前記クラッドの表面の一部に形成された遮光膜と、
    前記遮光膜上に形成された少なくとも2以上の光透過領域と
    を備え、
    前記2以上の光透過領域は、前記クラッドの表面に実装される前記光素子の下面に設けられた少なくとも2以上のアライメント光を出力するアライメント光出力部の位置関係と一致している
    ことを特徴とする光デバイス。
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