JP6278910B2 - レーダ画像処理装置及びレーダ画像処理方法 - Google Patents

レーダ画像処理装置及びレーダ画像処理方法 Download PDF

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Description

この発明は、異なる時刻に目標が観測された時系列のレーダ画像内の目標が同一物であるか否かを判定するレーダ画像処理装置及びレーダ画像処理方法に関するものである。
目標に反射された電波等を受信して、目標のレーダ画像を生成するレーダ装置は、昼夜天候を問わずに目標を観測できる有用なセンサである。
レーダ画像処理装置は、レーダ装置より生成された時系列のレーダ画像を処理することで、時系列のレーダ画像内の目標が同一物であるか否かを判定する機能等を有する装置である。
以下の非特許文献1には、レーダ画像処理装置が、時系列のレーダ画像内の目標が同一物であるか否かを判定する際、目標の同一性を表す指標であるコヒーレンスを算出しても、例えば、目標である車両が駐車時に回転性の微小移動を行ったような場合、そのコヒーレンスが低下してしまうという記載がある。
ただし、回転性の微小移動に伴って低下したコヒーレンスを補償する技術については、非特許文献1に開示されていない。
Oriot, Helene; Coulombeix, Colette; du Plessis, Olivier Ruault, "Analysis of parked vehicles on very high resolution interferometric images," Synthetic Aperture Radar, 2012. EUSAR. 9th European Conference on , pp.143,146, 23-26 April 2012
従来のレーダ画像処理装置は以上のように構成されているので、観測時刻が異なる複数のレーダ画像内の目標が回転性の微小移動を行っている場合、目標の同一性を表す指標であるコヒーレンスを参照しても、複数のレーダ画像内の目標が同一物であるか否かを正確に判定することができないという課題があった。
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、観測時刻が異なる複数のレーダ画像内の目標が回転性の微小移動を行っている場合でも、複数のレーダ画像内の目標が同一物であるか否かを正確に判定することができるレーダ画像処理装置及びレーダ画像処理方法を得ることを目的とする。
この発明に係るレーダ画像処理装置は、異なる時刻に目標が観測された2つのレーダ画像の位置合わせを行う位置合わせ部と、位置合わせ部により位置合わせが行われた2つのレーダ画像内の目標の回転に伴うドップラーシフトを補償した上で、2つのレーダ画像内の目標の同一性を表す指標を算出する同一性指標算出部とを設け、目標識別部が、同一性指標算出部により算出された同一性を表す指標から、2つのレーダ画像内の目標が同一物であるか否かを判定するようにしたものである。
この発明によれば、位置合わせ部により位置合わせが行われた2つのレーダ画像内の目標の回転に伴うドップラーシフトを補償した上で、2つのレーダ画像内の目標の同一性を表す指標を算出する同一性指標算出部を設け、目標識別部が、同一性指標算出部により算出された同一性を表す指標から、2つのレーダ画像内の目標が同一物であるか否かを判定するように構成したので、観測時刻が異なる2つのレーダ画像内の目標が回転性の微小移動を行っている場合でも、2つのレーダ画像内の目標が同一物であるか否かを正確に判定することができる効果がある。
この発明の実施の形態1によるレーダ画像処理装置を示す構成図である。 レーダ画像処理装置の構成要素の一部がコンピュータで構成される場合のハードウェア構成図である。 この発明の実施の形態1によるレーダ画像処理装置の処理内容であるレーダ画像処理方法を示すフローチャートである。 Deramp処理後のレーダ画像A,Bの2次元フーリエ変換結果の一例を示す説明図である。 スペクトルフィルタの適用結果を示す説明図である。 2つのレーダ画像内の目標の回転に伴うドップラーシフトを示す説明図である。 この発明の実施の形態2によるレーダ画像処理装置を示す構成図である。 周波数分割型前処理部31による周波数分割の一例を示す説明図である。 レンジ方向に分布している目標の目標面を示す説明図である。 レンジ方向に分布している目標面がクロスレンジ方向に回転している様子を示す説明図である。 周波数帯域の成分がアジマス方向に周波数分割されている場合に現れるクロスレンジ方向のレーダ視線ベクトルを示す説明図である。 2つのレーダ画像内の目標が回転運動と並進運動を同時に行う場合の動作を示す説明図である。
以下、この発明をより詳細に説明するために、この発明を実施するための形態について、添付の図面にしたがって説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1によるレーダ画像処理装置を示す構成図である。
図1において、レーダ画像格納部1は例えばRAMやハードディスクなどの記憶装置から構成されており、例えば、音波レーダ装置や光波レーダ装置などのレーダ装置により生成された観測時刻が異なる時系列のレーダ画像を格納している。
位置合わせ部2はレーダ画像格納部1に格納されている複数のレーダ画像の中から、2つのレーダ画像を入力し、2つのレーダ画像の位置合わせを行う。
即ち、位置合わせ部2は、2つのレーダ画像における複数の局所領域のうち、対応関係がある局所領域の間のずれ量を算出し、2つのレーダ画像のうち、いずれか一方のレーダ画像を局所領域単位に、上記ずれ量にしたがって幾何変換することで、2つのレーダ画像の位置合わせを行う。
前処理部3は位置合わせ部2により位置合わせが行われた2つのレーダ画像の間のドップラー周波数差及び幾何位相差を補償し、補償後の2つのレーダ画像を同一性指標算出部4に出力する処理を実施する。
同一性指標算出部4は前処理部3から出力された2つのレーダ画像内の目標の回転に伴うドップラーシフトを補償した上で、2つのレーダ画像内の目標の同一性を表す指標を算出する処理を実施する。
即ち、同一性指標算出部4は目標の同一性を表す指標として、前処理部3から出力された2つのレーダ画像における複数の局所領域のうち、対応関係がある局所領域同士の内積の絶対値の和によって定義されるコヒーレンスを算出する処理を実施する。
目標識別部5は同一性指標算出部4により算出された同一性を表す指標であるコヒーレンスと予め設定された閾値を比較し、その比較結果から2つのレーダ画像内の目標が同一物であるか否かを判定する処理を実施する。
また、目標識別部5は、2つのレーダ画像内の目標が同一物であると判定すると、同一性指標算出部4により算出されたコヒーレンスが最大値となるアジマスドップラー周波数から、目標の回転量を推定する処理を実施する。
判定結果格納部6は例えばRAMやハードディスクなどの記憶装置から構成されており、目標識別部5の判定結果を格納するとともに、目標識別部5により推定された目標の回転量を格納する。
図1の例では、レーダ画像処理装置の構成要素の一部である位置合わせ部2、前処理部3、同一性指標算出部4及び目標識別部5が専用のハードウェアで構成されているものを想定しているが、レーダ画像処理装置の構成要素の一部である位置合わせ部2、前処理部3、同一性指標算出部4及び目標識別部5がコンピュータで構成されていてもよい。専用のハードウェアとしては、例えば、CPUを実装している半導体集積回路や、ワンチップマイコンなどが考えられる。
図2はレーダ画像処理装置の構成要素の一部がコンピュータで構成される場合のハードウェア構成図である。
例えば、レーダ画像処理装置の構成要素の一部である位置合わせ部2、前処理部3、同一性指標算出部4及び目標識別部5がコンピュータで構成される場合、位置合わせ部2、前処理部3、同一性指標算出部4及び目標識別部5の処理内容を記述しているプログラムを図2に示すメモリ11に格納し、図2に示すプロセッサ12がメモリ11に格納されているプログラムを実行するようにすればよい。
図3はこの発明の実施の形態1によるレーダ画像処理装置の処理内容であるレーダ画像処理方法を示すフローチャートである。
次に動作について説明する。
レーダ画像格納部1には、図示せぬレーダ装置により生成された観測時刻が異なる時系列のレーダ画像が格納される。
位置合わせ部2は、レーダ画像格納部1に格納されている複数のレーダ画像の中から、2つのレーダ画像を入力し、2つのレーダ画像の位置合わせを行う(図3のステップST1)。
以下、2つのレーダ画像の位置合わせ方法を具体的に説明する。ここでは、説明の便宜上、2つのレーダ画像をレーダ画像A,レーダ画像Bとする。
レーダ画像Aとレーダ画像Bの位置合わせ方法として、レーダ画像Aとレーダ画像Bの間の画素ずれ量を求め、レーダ画像A又はレーダ画像Bを当該画素ずれ量に基づいて、例えば、アフィン変換や写像関数による幾何変換を行うことで、レーダ画像Aとレーダ画像Bの位置合わせを行う方法が考えられる。
ここで、レーダ画像Aとレーダ画像Bの間の画素ずれ量を算出する方法として、レーダ装置と観測対象の目標との幾何学的な位置関係から求める方法がある。
また、レーダ画像Aとレーダ画像Bの間の画素ずれ量に相当する値、即ち、画素ずれ量に伴う複素正弦波の散乱強度重み付き平均値を算出する方法として、レーダ画像A及びレーダ画像Bを2次元フーリエ変換し、レーダ画像Aの2次元フーリエ変換結果の複素共役と、レーダ画像Bの2次元フーリエ変換結果とを乗算し、その乗算結果の2次元逆フーリエ変換結果を求める方法が考えられる。
しかし、レーダ装置が地表面上の目標を観測する場合には、レーダ装置のプラットフォームに依存する距離ずれの影響、観測のサンプリングずれの影響、幾何学的な影響などによって、レーダ画像を構成する局所領域単位のずれ量が非線形性となり、周波数空間上の複素正弦波が一様でなくなる場合がある。周波数空間上の複素正弦波が一様でなくなる場合、上記の方法で画素ずれ量を求め、その画素ずれ量に基づいてレーダ画像Aとレーダ画像Bの位置合わせを行っても、正確に位置合わせを行うことができない。
そこで、位置合わせ部2は、レーダ画像Aにおける複数の局所領域と、レーダ画像Bにおける複数の局所領域のうち、対応関係がある局所領域の間のずれ量を算出する。
即ち、位置合わせ部2は、レーダ画像Aにおいて、散乱強度が高い画素の近傍の小区間である局所領域aを特定するとともに、レーダ画像Bにおいて、散乱強度が高い画素の近傍の小区間である局所領域bを特定する。ただし、局所領域aと局所領域bは、2つのレーダ画像において、位置的に対応関係があるものとする。
位置合わせ部2は、局所領域aと局所領域bを特定すると、局所領域a及び局所領域bを2次元フーリエ変換し、局所領域aの2次元フーリエ変換結果の複素共役と、局所領域bの2次元フーリエ変換結果とを乗算する。
そして、位置合わせ部2は、局所領域aと局所領域bの間の画素ずれ量に伴う複素正弦波の散乱強度重み付き平均値として、その乗算結果の2次元逆フーリエ変換結果を求める。
位置合わせ部2は、局所領域aと局所領域bの間のずれ量として、複素正弦波の散乱強度重み付き平均値を算出すると、レーダ画像A又はレーダ画像Bを局所領域単位に、その散乱強度重み付き平均値にしたがって幾何変換することで、レーダ画像Aとレーダ画像Bの位置合わせを行う。
前処理部3は、位置合わせ部2から位置合わせ後のレーダ画像A,Bを受けると、レーダ画像Aとレーダ画像Bの間のドップラー周波数差を補償するとともに(ステップST2)、レーダ画像Aとレーダ画像Bの間の幾何位相差を補償する(ステップST3)。
レーダ画像Aとレーダ画像Bの間のドップラー周波数差及び幾何位相差は、レーダ画像A,Bの観測時において、観測対象の目標から見たレーダ装置の軌道が異なる場合、あるいは、レーダ装置におけるアンテナビームの走査が異なる場合に生じるものであるため、レーダ画像A,Bの観測時において、観測対象の目標から見たレーダ装置の軌道が同一であり、かつ、レーダ装置におけるアンテナビームの走査が同一であれば、前処理部3を省略することができる。
レーダ画像Aとレーダ画像Bの間のドップラー周波数差は、レーダ画像Aとレーダ画像Bにスペクトルフィルタを適用することで補償することができる。
スペクトルフィルタを適用するには、レーダ画像Aとレーダ画像Bにおいて、各画素のドップラー中心周波数fdcを得る必要がある。
各画素のドップラー中心周波数fdcは、観測対象である目標の位置ベクトルと、アンテナの位相中心の位置ベクトルから得られるレーダ距離の変化率と、レーダ送信波長とから幾何学的に算出することができる。また、レーダ画像に対して、アジマス方向にチャープ率αのチャープ信号を乗算するDeramp処理を実施し、アジマスドップラー周波数の帯域幅最小化や、アジマスドップラー周波数の振幅を基準とする最適化問題の解として推定することもできる。
なお、レーダ装置の合成開口処理時間が比較的長く、2次以上の多項式でアジマスドップラー中心周波数が得られる場合、1次のアジマスドップラー中心周波数の多項式係数であるチャープ率αの最適化問題と同様に、ドップラー中心周波数fdcの最適解を得ることが可能である。言うまでもないが、スクイント観測によってレンジ方向に発生するレンジドップラー中心周波数の多項式係数も、アジマスドップラー中心周波数の推定と同様に推定することが可能である。
前処理部3は、下記の式(1)で表される各画素のドップラー中心周波数fdcを得ると、そのドップラー中心周波数fdcを時間積分し、下記の式(2)に示すように、そのドップラー中心周波数fdcの時間積分結果、即ち、(α・t)/2+β・tに対して、虚数単位であるj及び−2πを乗算した結果を指数、ネイピア数eを底とする指数関数を、Deramp関数D(t)として算出する。
dc=α・t+β (1)

Figure 0006278910
式(1)において、αはチャープ率、βは所定の定数、tは観測時刻である。
前処理部3は、Deramp関数D(t)を算出すると、レーダ画像A,Bに対して、Deramp関数D(t)をそれぞれ乗算するDeramp処理を実施する。Deramp処理を実施することで、レーダ画像A,Bを2次元フーリエ変換した場合に、レーダ画像A,Bの2次元フーリエ変換結果の中心周波数を1点に集約することが可能になる。
前処理部3は、Deramp処理を実施すると、Deramp処理後のレーダ画像A,Bをそれぞれ2次元フーリエ変換する。
図4はDeramp処理後のレーダ画像A,Bの2次元フーリエ変換結果の一例を示す説明図である。
前処理部3は、Deramp処理後のレーダ画像A,Bをそれぞれ2次元フーリエ変換すると、図4に示すように、レーダ画像Aの2次元フーリエ変換結果とレーダ画像Bの2次元フーリエ変換結果とが重なっている周波数帯域を特定する。
そして、前処理部3は、レーダ画像Aの2次元フーリエ変換結果において、重なっている周波数帯域以外の帯域の成分に0を乗算することで、重なっている周波数帯域の成分を抽出する。
また、レーダ画像Bの2次元フーリエ変換結果において、重なっている周波数帯域以外の帯域の成分に0を乗算することで、重なっている周波数帯域の成分を抽出する。
図5はスペクトルフィルタの適用結果を示す説明図である。重なっている周波数帯域の成分の抽出結果が、スペクトルフィルタの適用結果であり、ドップラー周波数差が補償されている。
前処理部3は、レーダ画像A,Bの2次元フーリエ変換結果から、重なっている周波数帯域の成分をそれぞれ抽出すると、それぞれ抽出した成分に対して、Deramp関数D(t)の複素共役を乗算するReramp処理を実施することで、レーダ画像Aに対応する時間領域のレーダ画像Cを得るとともに、レーダ画像Bに対応する時間領域のレーダ画像Dを得る。この時間領域のレーダ画像Cとレーダ画像Dは、ドップラー周波数差が補償されているレーダ画像である。
なお、レーダ装置により生成されたレーダ画像は、ハミング窓などの窓関数が乗算されていることが多いため、レーダ画像格納部1に格納されているレーダ画像に窓関数が乗算されている場合には、上記のDeramp処理を実施した後に、その窓関数の逆数を乗算することで、その窓関数を補償するようにしてもよい。また、レーダ画像格納部1に格納されているレーダ画像に乗算されている窓関数を補償した後に、重なっている周波数帯域の成分を抽出してから、その抽出した成分に対して、再度、その窓関数を乗算するようにしてもよい。
レーダ画像Aとレーダ画像Bの間の幾何位相差は、いわゆる平面位相に相当し、レーダ画像Aとレーダ画像B内の目標の同一性を表す指標であるコヒーレンスを劣化させる要因になるため、幾何位相差を除去する必要がある。
前処理部3は、レーダ画像A,Bをそれぞれ2次元フーリエ変換し、レーダ画像Aとレーダ画像Bの間の幾何位相差として、レーダ画像Aの2次元フーリエ変換結果とレーダ画像Bの2次元フーリエ変換結果との乗算結果を算出する。
ここでは、レーダ画像Aとレーダ画像Bの間の幾何位相差を算出しているが、先に前処理部3がドップラー周波数差を補償している場合には、ドップラー周波数差を補償した後のレーダ画像Cとレーダ画像Dの間の幾何位相差を算出する。
前処理部3は、レーダ画像Aとレーダ画像Bの間の幾何位相差である平面位相を算出すると、レーダ画像A又はレーダ画像Bに対して、その平面位相の複素共役を乗算することで、観測対象がある接平面を地表面の基準として、幾何学的に幾何位相差を除去する。
なお、地球の楕円体を地表面の基準として、レーダ装置による観測の位相中心の座標を用いて、幾何学的に幾何位相差を除去するようにしてもよいし、また、予め、地表面のDEM(Digital Elevation Map)やレーダ干渉画像が得られている場合には、DEMから複素位相画像をシミュレーションし、この複素共役を干渉後のレーダ画像に乗算することで、幾何学的に幾何位相差を除去するようにしてもよい。
以下、前処理部3によりドップラー周波数差及び幾何位相差が補償された2つのレーダ画像をレーダ画像E,レーダ画像Fとする。
同一性指標算出部4は、前処理部3からレーダ画像Aに対応する補償後のレーダ画像Eと、レーダ画像Bに対応する補償後のレーダ画像Fとを受けると、レーダ画像Eとレーダ画像F内の目標の回転に伴うドップラーシフトを補償した上で、レーダ画像Eとレーダ画像F内の目標の同一性を表す指標であるコヒーレンスを算出する(ステップST4)。
即ち、同一性指標算出部4は、下記の式(3)に示すように、レーダ画像Eにおける複数の局所領域と、レーダ画像Fにおける複数の局所領域のうち、対応関係がある局所領域同士の内積の絶対値の和によって定義されるコヒーレンスγ(f,f)を算出する。

Figure 0006278910
式(3)において、sはレーダ画像Eにおける任意の局所領域であり、sはレーダ画像Fにおける任意の局所領域である。局所領域sと局所領域sは位置的に対応関係がある局所領域である。
xはレーダ画像のアジマス座標、yはレーダ画像のレンジ座標、fはアジマスドップラー周波数、fはレンジドップラー周波数である。
ここで、図6は2つのレーダ画像内の目標の回転に伴うドップラーシフトを示す説明図である。
図6(a)は、レーダ画像A内の目標の面(以下、「目標面」と称する)21aと、レーダ画像B内の目標面21bとを示している。
レーダ画像Aを観測してから、レーダ画像Bを観測するまでの間に、目標が回転移動しているために、目標面21aと目標面21bの間には位相差Δφが生じている。
図6(a)において、22a,22bはレーダ画像A,Bの分解能セルであり、例えば、図中、左端の分解能セル22a,22bは目標の左端を示し、右端の分解能セル22a,22bは目標の右端を示している。また、Rはアジマス分解能セル幅を示している。
図6(b)は、目標面21aと目標面21bの位相差Δφを示しており、下側の図は、位相差Δφを正弦波で表示したものである。正弦波表示は、位相差Δφが360度以上である場合、位相差をΔφ−360で表記しているものである。
図6(c)は、レーダ画像A,B内の目標と異なる目標の目標面を表しているものであるが、この異なる目標は、レーダ画像A内の目標と比べて、レーダ断面積(RCS:radar cross section)についてはほぼ同じであるが、形状が凸凹しているために、目標面が直線状になっていない例を示している。
式(3)のコヒーレンスγ(f,f)は、2つのレーダ画像内の目標の同一性を表す単なる指標ではなく、式(3)の分子において、対応関係がある局所領域同士の内積の絶対値の和を算出しているため、目標面21aと目標面21bの位相差Δφ、即ち、2つのレーダ画像内の目標の回転に伴うドップラーシフトを補償する作用を持つものである。
式(3)の分母において、2つのレーダ画像において、対応関係がある局所領域の二乗の和の平方根を算出しているため、式(3)のコヒーレンスγ(f,f)の値は、0〜1の値に規格化されたものとなる。コヒーレンスγ(f,f)の値を0〜1の値に規格化する必要がない場合は、式(3)の分子だけを計算するようにしてもよい。
目標識別部5には、予め、コヒーレンスγ(f,f)との比較に用いる閾値が設定されている。閾値は、目標の種類や観測状況などに応じて適宜設定されるものであるが、例えば、0.4や0.5などの閾値が設定される。
目標識別部5は、同一性指標算出部4がコヒーレンスγ(f,f)を算出すると、そのコヒーレンスγ(f,f)と予め設定された閾値を比較し(ステップST5)、そのコヒーレンスγ(f,f)が閾値より大きければ(ステップST5:YESの場合)、2つのレーダ画像内の目標が同一物であると判定する(ステップST6)。
一方、そのコヒーレンスγ(f,f)が閾値以下であれば(ステップST5:NOの場合)、2つのレーダ画像内の目標が同一物でないと判定する(ステップST7)。即ち、図6(c)に示すような白色性の変化が生じていると判定する。
目標識別部5は、2つのレーダ画像内の目標が同一物であると判定すると、同一性指標算出部4により算出されたコヒーレンスγ(f,f)が最大値となるアジマスドップラー周波数fから、目標の回転量Δφを推定する(ステップST8)。目標の回転量Δφは、目標面21aと目標面21bの位相差Δφに相当する。
ここで、コヒーレンスγ(f,f)が最大値となるアジマスドップラー周波数f上に目標が存在する場合、下記の式(4)が成立する。

Figure 0006278910
式(4)において、Nは積分点数、fはレーダ装置の中心周波数、cは光の速さ、δ(・)はディラックのデルタ関数である。
式(4)より、下記の式(5)が得られるため、コヒーレンスγ(f,f)が最大値となるアジマスドップラー周波数f(=fxmax)から、目標の回転量Δφを推定することができる。

Figure 0006278910
なお、同一性指標算出部4により算出されたコヒーレンスγ(f,f)から、式(4)のピーク点が得られた場合、そのピーク点の位相は、アロングトラックインターフェロメトリやムービングターゲットインディケータなどに利用可能な位相情報となる。
以上で明らかなように、この実施の形態1によれば、前処理部3から出力された2つのレーダ画像内の目標の回転に伴うドップラーシフトを補償した上で、2つのレーダ画像内の目標の同一性を表す指標であるコヒーレンスγ(f,f)を算出する同一性指標算出部4を設け、目標識別部5が、同一性指標算出部4により算出されたコヒーレンスγ(f,f)と予め設定された閾値を比較し、その比較結果から2つのレーダ画像内の目標が同一物であるか否かを判定するように構成したので、観測時刻が異なる2つのレーダ画像内の目標が回転性の微小移動を行っている場合でも、2つのレーダ画像内の目標が同一物であるか否かを正確に判定することができる効果を奏する。
この実施の形態1では、同一性指標算出部4が、コヒーレンスγ(f,f)を算出するものを示したが、コヒーレンスγ(f,f)の算出の際に、信号対雑音電力比が低い局所領域を含めて算出してしまうと、コヒーレンスγ(f,f)の算出精度が劣化し、高い値にバイアスを持ってしまうことが想定される。例えば、式(3)において、空間平均を行わずに、コヒーレンスの算出に用いるサンプル数Lを1にすると、常に|γ|=1が成立する。サンプル数Lは局所領域におけるアジマス座標xの画素数とレンジ座標yの画素数との積である。
そこで、同一性指標算出部4は、2つのレーダ画像における複数の局所領域の中で、予め設定された閾値Tlowより輝度値が高い画素の数Nが、コヒーレンスの算出に用いるサンプル数Lの小数倍、即ち、係数ξ(0<ξ<1)がLに乗算されたサンプル数(=L×ξ)より多い局所領域をコヒーレンスの算出に用いる局所領域に設定し、その設定した局所領域だけを用いて、コヒーレンスγ(f,f)を算出するようにする。
換言すると、同一性指標算出部4が、コヒーレンスγ(f,f)を算出する際、2つのレーダ画像における複数の局所領域の中で、予め設定された閾値Tlowより輝度値が高い画素の数Nが、サンプル数L×ξ以下の局所領域をコヒーレンスの算出に用いないようにする。
これにより、信号対雑音電力比が低い局所領域が含まれないため、コヒーレンスγ(f,f)の算出精度の劣化を抑えることができる。
実施の形態2.
上記実施の形態1では、2つのレーダ画像内の目標の回転に伴うドップラーシフトを補償した上で、2つのレーダ画像内の目標の同一性を表す指標であるコヒーレンスγ(f,f)を算出するものを示したが、この実施の形態2では、最初に、2つのレーダ画像をそれぞれ周波数領域の画像に変換して、各周波数領域の画像を周波数分割し、周波数分割後の各画像を時間領域のレーダ分割画像に変換する。その後、対応関係があるレーダ分割画像内の目標の回転に伴うドップラーシフトを補償した上で、対応関係があるレーダ分割画像内の目標の同一性を表す指標であるコヒーレンスγ(f,f)を算出するものについて説明する。
図7はこの発明の実施の形態2によるレーダ画像処理装置を示す構成図であり、図において、図1と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
周波数分割型前処理部31は図1の前処理部3と同様に、位置合わせ部2により位置合わせが行われた2つのレーダ画像の間のドップラー周波数差を補償する処理を実施する。
ただし、周波数分割型前処理部31は、2つのレーダ画像の2次元フーリエ変換結果から抽出した周波数帯域の成分に対するReramp処理を実施して、時間領域のレーダ画像を得る前に、2つのレーダ画像の2次元フーリエ変換結果から抽出した周波数帯域の成分をレンジ方向又はアジマス方向に周波数分割し、周波数分割後の各画像に対するReramp処理を実施することで、時間領域のレーダ分割画像をそれぞれ得るようにする。
この実施の形態2では、2つのレーダ画像における周波数領域の画像である抽出した周波数帯域の成分をレンジ方向又はアジマス方向に周波数分割する例を説明するが、両方向に周波数分割するものであってもよい。
また、周波数分割型前処理部31は、2つのレーダ画像における複数のレーダ分割画像のうち、対応関係があるレーダ分割画像の間の幾何位相差を補償する処理を実施する。なお、周波数分割型前処理部31は画像変換部及び前処理部を構成している。
同一性指標算出部32は2つのレーダ画像における複数のレーダ分割画像のうち、対応関係があるレーダ分割画像内の目標の回転に伴うドップラーシフトを補償した上で、対応関係があるレーダ分割画像内の目標の同一性を表す指標であるコヒーレンスを算出する処理を実施する。
コヒーレンスを算出する処理自体は、図1の同一性指標算出部4と同様であるが、コヒーレンスの算出単位が、レーダ画像ではなく、レーダ分割画像である点で相違している。
また、同一性指標算出部32は、対応関係があるレーダ分割画像毎に、コヒーレンスを算出すると、レーダ分割画像の個数分のコヒーレンスから、レーダ画像に対応するコヒーレンスγ(f,f)を算出する処理を実施する。
図7の例では、レーダ画像処理装置の構成要素の一部である位置合わせ部2、周波数分割型前処理部31、同一性指標算出部32及び目標識別部5が専用のハードウェアで構成されているものを想定しているが、レーダ画像処理装置の構成要素の一部である位置合わせ部2、周波数分割型前処理部31、同一性指標算出部32及び目標識別部5がコンピュータで構成されていてもよい。専用のハードウェアとしては、例えば、CPUを実装している半導体集積回路や、ワンチップマイコンなどが考えられる。
例えば、レーダ画像処理装置の構成要素の一部である位置合わせ部2、周波数分割型前処理部31、同一性指標算出部32及び目標識別部5がコンピュータで構成される場合、位置合わせ部2、周波数分割型前処理部31、同一性指標算出部32及び目標識別部5の処理内容を記述しているプログラムを図2に示すメモリ11に格納し、図2に示すプロセッサ12がメモリ11に格納されているプログラムを実行するようにすればよい。
次に動作について説明する。
位置合わせ部2は、上記実施の形態1と同様に、レーダ画像格納部1に格納されている複数のレーダ画像の中から、2つのレーダ画像を入力し、2つのレーダ画像の位置合わせを行う。
以下、上記実施の形態1と同様に、2つのレーダ画像をレーダ画像A,レーダ画像Bとする。
周波数分割型前処理部31は、位置合わせ部2から位置合わせ後のレーダ画像A,Bを受けると、図1の前処理部3と同様に、レーダ画像Aとレーダ画像Bの間のドップラー周波数差を補償する。
ただし、周波数分割型前処理部31は、レーダ画像A,Bの2次元フーリエ変換結果から抽出した周波数帯域の成分に対するReramp処理を実施して、時間領域のレーダ画像C,Dを得る前に、レーダ画像A,Bの2次元フーリエ変換結果から抽出した周波数帯域の成分をそれぞれレンジ方向又はアジマス方向に周波数分割する。
図8は周波数分割型前処理部31による周波数分割の一例を示す説明図である。
図8(a)は図5に示す周波数帯域の成分をレンジ方向に2分割している例を示しており、look(1)は周波数分割後のレンジ高周波側の成分、look(2)は周波数分割後のレンジ低周波側の成分を示している。また、fはレンジ高周波側成分の中心周波数を示し、fはレンジ低周波側成分の中心周波数を示している。
図8(b)は図5に示す周波数帯域の成分をアジマス方向に2分割している例を示しており、look(3)は周波数分割後のアジマス低周波側の成分、look(4)は周波数分割後のアジマス高周波側の成分を示している。また、fはアジマス低周波側成分の中心周波数を示し、fはアジマス高周波側成分の中心周波数を示している。
図8では、2分割している例を示しているが、3分割以上の周波数分割であってもよい。1分割の場合、上記実施の形態1と同義になる。
周波数帯域の成分をレンジ方向に周波数分割するメリットは、下記の通りである。
例えば、レーダ画像Aにおける目標面21aとレーダ画像Bにおける目標面21bとの位相差Δφが2πより大きくなると、位相差の折り返しが発生するため、位相差Δφが見かけ上小さくなり、式(3)のコヒーレンスγ(f,f)の算出精度が低下する。
しかし、周波数分割型前処理部31が、周波数帯域の成分をレンジ方向に周波数分割すると、各分割画像内では、目標面21aと目標面21bの位相差Δφが小さくなるため、位相差の折り返しの発生を抑えることができる。
周波数帯域の成分をアジマス方向に周波数分割するメリットは、下記の通りである。
周波数分割型前処理部31が、周波数帯域の成分をアジマス方向に周波数分割することで、複数のレーダ視線ベクトルを保持することができるので、単一の開口(全開口)では観測できなかったクロスレンジ方向の目標の回転成分を計測することが可能になる。
即ち、上記実施の形態1のように、周波数帯域の成分をアジマス方向に周波数分割しておらず、単一の開口であれば、レンジ方向と一致している1本のレーダ視線ベクトルだけを保持することになるため、図9に示すように、目標面40がレンジ方向に分布している場合、クロスレンジ方向のレーダ視線ベクトル成分が現れず、クロスレンジ方向の回転成分を計測することができない。
しかし、周波数帯域の成分がアジマス方向に周波数分割されることで、開口分割されている場合、単一の開口でのレンジ方向に対して傾いている複数本のレーダ視線ベクトルを保持することができるため、クロスレンジ方向のレーダ視線ベクトル成分が現れる。したがって、クロスレンジ方向の回転成分を計測することができる。
具体的には、以下の通りである。
図10はレンジ方向に分布している目標面40がクロスレンジ方向に回転している様子を示す説明図である。アジマス方向のレーダ視線ベクトル成分41は周波数帯域の成分がアジマス方向に周波数分割されて、開口分割されている場合に現れる。
図11は周波数帯域の成分がアジマス方向に周波数分割されている場合に現れるクロスレンジ方向のレーダ視線ベクトルを示す説明図である。
図11(a)では、周波数帯域の成分がアジマス方向に周波数分割されていない場合を示しており、クロスレンジ方向のレーダ視線ベクトルが現れていない。51は単一の開口(全開口)であり、52は全開口のレーダ視線ベクトルである。
図11(b)では、周波数帯域の成分がアジマス方向に周波数分割されている場合を示しており、61は一方の分割開口である前開口、62は他方の分割開口である後開口である。
63は前開口61のレーダ視線ベクトルであり、図8(b)のlook(3)におけるアジマス低周波側成分の中心周波数fに相当する。64は後開口62のレーダ視線ベクトルであり、図8(b)のlook(4)におけるアジマス高周波側成分の中心周波数fに相当する。
65は前開口61のレンジ方向のレーダ視線ベクトル成分、66は後開口62のレンジ方向のレーダ視線ベクトル成分、67は前開口61のクロスレンジ方向のレーダ視線ベクトル成分、68は後開口62のクロスレンジ方向のレーダ視線ベクトル成分である。
71は後開口62のクロスレンジ方向のレーダ視線ベクトル成分68の反転成分、72は前開口61と後開口62の干渉後に残るクロスレンジ方向のレーダ視線ベクトル成分であり、図10のアジマス方向のレーダ視線ベクトル成分41に相当する。
図5に示す周波数帯域の成分がlook(3)とlook(4)に2分割されている場合、単一の開口(全開口)が分割されて、前開口61と後開口62が形成される。
これにより、単一の開口では、レーダ視線ベクトルが、レンジ方向と一致しているレーダ視線ベクトル52の1本であったが、2本のレーダ視線ベクトル63,64が得られる。
2本のレーダ視線ベクトル63,64は、単一の開口でのレンジ方向に対して傾いているため、クロスレンジ方向のレーダ視線ベクトル成分67,68が現れる。
このとき、前開口61と後開口62が干渉することで、即ち、前開口61のクロスレンジ方向のレーダ視線ベクトル成分67と、後開口62のクロスレンジ方向のレーダ視線ベクトル成分68の反転成分とを乗算することで、クロスレンジ方向のレーダ視線ベクトル成分72が得られる。
クロスレンジ方向のレーダ視線ベクトル成分72を観測することで、クロスレンジ方向の目標の回転成分を計測することができる。
周波数分割型前処理部31は、レーダ画像Aの2次元フーリエ変換結果から抽出した周波数帯域の成分をレンジ方向又はアジマス方向に周波数分割すると、周波数分割後の各画像に対するReramp処理を実施することで、時間領域のレーダ分割画像をそれぞれ得る。ここでは、説明の便宜上、時間領域のレーダ分割画像をレーダ分割画像A,Aとする。
また、周波数分割型前処理部31は、レーダ画像Bの2次元フーリエ変換結果から抽出した周波数帯域の成分をレンジ方向又はアジマス方向に周波数分割すると、周波数分割後の各画像に対するReramp処理を実施することで、時間領域のレーダ分割画像をそれぞれ得る。ここでは、説明の便宜上、時間領域のレーダ分割画像をレーダ分割画像B,Bとする。
周波数分割型前処理部31は、時間領域のレーダ分割画像A,Aとレーダ分割画像B,Bを得ると、対応関係があるレーダ分割画像Aとレーダ分割画像Bの間の幾何位相差を補償するとともに、対応関係があるレーダ分割画像Aとレーダ分割画像Bの間の幾何位相差を補償する。
対応関係があるレーダ分割画像は、レーダ画像A,Bにおいて、位置的に対応している分割画像である。
幾何位相差の補償処理自体は、図1の前処理部3と同様であり、補償処理の処理単位が、レーダ画像ではなく、レーダ分割画像である点で相違している。
以下、周波数分割型前処理部31により補償されたレーダ画像Aに対応するレーダ分割画像をE,Eとする。また、レーダ画像Bに対応するレーダ分割画像をF,Fとする。
同一性指標算出部32は、周波数分割型前処理部31から補償後のレーダ分割画像E,Eとレーダ分割画像F,Fを受けると、対応関係があるレーダ分割画像Eとレーダ分割画像E内の目標の回転に伴うドップラーシフトを補償した上で、レーダ分割画像Eとレーダ分割画像E内の目標の同一性を表す指標であるコヒーレンスγ(f,f)を算出する。
また、同一性指標算出部32は、対応関係があるレーダ分割画像Fとレーダ分割画像F内の目標の回転に伴うドップラーシフトを補償した上で、レーダ分割画像Fとレーダ分割画像F内の目標の同一性を表す指標であるコヒーレンスγ(f,f)を算出する。
コヒーレンスを算出する処理自体は、図1の同一性指標算出部4と同様であるが、コヒーレンスの算出単位が、レーダ画像ではなく、レーダ分割画像である点で相違している。
したがって、同一性指標算出部32は、図1の同一性指標算出部4と同様に、式(3)に示すコヒーレンスγ(f,f)をレーダ画像の分割数分だけ算出する。
例えば、図8(a)に示すように、周波数帯域の成分をレンジ方向に2分割している場合、look(1)に対応するコヒーレンスγ(f,f)を算出するとともに、look(2)に対応するコヒーレンスγ(f,f)を算出する。
また、図8(b)に示すように、周波数帯域の成分をアジマス方向に2分割している場合、look(3)に対応するコヒーレンスγ(f,f)を算出するとともに、look(4)に対応するコヒーレンスγ(f,f)を算出する。
なお、周波数帯域の成分をレンジ方向に2分割し、かつ、アジマス方向に2分割している場合、分割後の成分が4つになるので、各成分に対応するコヒーレンスγ(f,f),γ(f,f),γ(f,f),γ(f,f)を算出する。
同一性指標算出部32は、周波数帯域の成分がレンジ方向又はアジマス方向にN分割されている場合、N個のコヒーレンスγ(f,f),γ(f,f),・・・,γ(f,f)を算出すると、下記の式(6)に示すように、N個のコヒーレンスγ(f,f),γ(f,f),・・・,γ(f,f)から、分割される前のレーダ画像に対応するコヒーレンスγ(f,f)を算出する。
γ(f,f
=γ(f,f)×γ(f,f)×・・・×γ(f,f
(6)
図8のように、周波数帯域の成分がレンジ方向又はアジマス方向に2分割されている場合、分割される前のレーダ画像に対応するコヒーレンスγ(f,f)として、γ(f,f)×γ(f,f)を算出する。
目標識別部5は、同一性指標算出部32がコヒーレンスγ(f,f)を算出すると、上記実施の形態1と同様に、そのコヒーレンスγ(f,f)と予め設定された閾値を比較し、そのコヒーレンスγ(f,f)が閾値より大きければ、2つのレーダ画像内の目標が同一物であると判定する。
一方、そのコヒーレンスγ(f,f)が閾値以下であれば、2つのレーダ画像内の目標が同一物でないと判定する。
目標識別部5は、2つのレーダ画像内の目標が同一物であると判定すると、上記実施の形態1と同様に、同一性指標算出部32により算出されたコヒーレンスγ(f,f)が最大値となるアジマスドップラー周波数fから、目標の回転量Δφを推定する。
以上で明らかなように、この実施の形態2によれば、周波数分割型前処理部31が、周波数帯域の成分をレンジ方向に周波数分割するように構成したので、例えば、2つのレーダ画像における目標面21aと目標面21bの位相差Δφが2πより大きくても、位相差の折り返しの発生を抑えることができる効果を奏する。
また、周波数分割型前処理部31が、周波数帯域の成分をアジマス方向に周波数分割するように構成したので、単一の開口では観測できなかったクロスレンジ方向の目標の回転成分を計測することができる効果を奏する。
なお、2つのレーダ画像内の目標が回転運動と並進運動を同時に行うことがある。
図12は2つのレーダ画像内の目標が回転運動と並進運動を同時に行う場合の動作を示す説明図である。
この場合、目標識別部5により推定される目標の回転量Δφであるレンジ方向の目標の回転成分81と、周波数帯域の成分をアジマス方向に周波数分割することで計測可能なクロスレンジ方向の目標の回転成分、即ち、アジマス方向の目標の回転成分82とを合成することで、目標の並進速度成分83を得ることができる。
図中、84はレンジ方向の目標の速度成分であり、85はアジマス方向の目標の速度成分である。
なお、本願発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
1 レーダ画像格納部、2 位置合わせ部、3 前処理部、4 同一性指標算出部、5 目標識別部、6 判定結果格納部、11 メモリ、12 プロセッサ、21a,21b 目標面、22a,22b レーダ画像の分解能セル、31 周波数分割型前処理部(画像変換部、前処理部)、32 同一性指標算出部、40 目標面、41 アジマス方向のレーダ視線ベクトル成分、51 単一の開口(全開口)、52 全開口のレーダ視線ベクトル、61 前開口、62 後開口、63 前開口のレーダ視線ベクトル、64 後開口のレーダ視線ベクトル、65 前開口のレンジ方向のレーダ視線ベクトル成分、66 後開口のレンジ方向のレーダ視線ベクトル成分、67 前開口のクロスレンジ方向のレーダ視線ベクトル成分、68 後開口のクロスレンジ方向のレーダ視線ベクトル成分、71 後開口のクロスレンジ方向のレーダ視線ベクトル成分の反転成分、72 前開口と後開口の干渉後に残るクロスレンジ方向のレーダ視線ベクトル成分、81 レンジ方向の目標の回転成分、82 アジマス方向の目標の回転成分、83 目標の並進速度成分、84 レンジ方向の目標の速度成分、85 アジマス方向の目標の速度成分。

Claims (9)

  1. 異なる時刻に目標が観測された2つのレーダ画像の位置合わせを行う位置合わせ部と、
    前記位置合わせ部により位置合わせが行われた2つのレーダ画像内の目標の回転に伴うドップラーシフトを補償した上で、前記2つのレーダ画像内の目標の同一性を表す指標を算出する同一性指標算出部と、
    前記同一性指標算出部により算出された同一性を表す指標から、前記2つのレーダ画像内の目標が同一物であるか否かを判定する目標識別部と
    を備えたレーダ画像処理装置。
  2. 前記同一性指標算出部は、前記目標の同一性を表す指標として、前記位置合わせ部により位置合わせが行われた2つのレーダ画像における複数の局所領域のうち、対応関係がある局所領域同士の内積の絶対値の和によって定義されるコヒーレンスを算出することを特徴とする請求項1記載のレーダ画像処理装置。
  3. 前記同一性指標算出部は、前記位置合わせ部により位置合わせが行われた2つのレーダ画像における複数の局所領域の中で、予め設定された閾値より輝度値が高い画素の数が、コヒーレンスの算出に用いるサンプル数の小数倍より多い局所領域を前記コヒーレンスの算出に用いる局所領域に設定し、その設定した局所領域のうち、対応関係がある局所領域同士の内積の絶対値の和から前記コヒーレンスを算出することを特徴とする請求項2記載のレーダ画像処理装置。
  4. 前記目標識別部は、前記2つのレーダ画像内の目標が同一物であると判定すると、前記同一性指標算出部により算出されたコヒーレンスから、前記目標の回転量を推定することを特徴とする請求項2または請求項3記載のレーダ画像処理装置。
  5. 前記位置合わせ部は、異なる時刻に目標が観測された2つのレーダ画像における複数の局所領域のうち、対応関係がある局所領域の間のずれ量を算出し、前記2つのレーダ画像のうち、いずれか一方のレーダ画像を局所領域単位に前記ずれ量にしたがって幾何変換することで、前記2つのレーダ画像の位置合わせを行うことを特徴とする請求項1から請求項4のうちのいずれか1項記載のレーダ画像処理装置。
  6. 前記位置合わせ部により位置合わせが行われた2つのレーダ画像の間のドップラー周波数差を補償し、補償後の2つのレーダ画像を前記同一性指標算出部に出力する前処理部を備えたことを特徴とする請求項1から請求項5のうちのいずれか1項記載のレーダ画像処理装置。
  7. 前記位置合わせ部により位置合わせが行われた2つのレーダ画像の間の幾何位相差を補償し、補償後の2つのレーダ画像を前記同一性指標算出部に出力する前処理部を備えたことを特徴とする請求項1から請求項6のうちのいずれか1項記載のレーダ画像処理装置。
  8. 前記位置合わせ部により位置合わせが行われた2つのレーダ画像を周波数領域の画像に変換して、前記周波数領域の画像をレンジ方向又はアジマス方向に周波数分割し、周波数分割後の各画像を時間領域のレーダ分割画像に変換する画像変換部を設け、
    前記同一性指標算出部は、前記2つのレーダ画像における複数のレーダ分割画像のうち、対応関係があるレーダ分割画像内の目標の回転に伴うドップラーシフトを補償した上で、前記対応関係があるレーダ分割画像内の目標の同一性を表す指標を算出することを特徴とする請求項1から請求項7のうちのいずれか1項記載のレーダ画像処理装置。
  9. 位置合わせ部が、異なる時刻に目標が観測された2つのレーダ画像の位置合わせを実施し、
    同一性指標算出部が、前記位置合わせ部により位置合わせが行われた2つのレーダ画像内の目標の回転に伴うドップラーシフトを補償した上で、前記2つのレーダ画像内の目標の同一性を表す指標を算出し、
    目標識別部が、前記同一性指標算出部により算出された同一性を表す指標から、前記2つのレーダ画像内の目標が同一物であるか否かを判定する
    レーダ画像処理方法。
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