JP7205005B1 - 画像処理装置 - Google Patents
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Abstract
Description
図1は、実施の形態1に係る画像処理装置の機能構成を示すブロック図である。図1に示されるとおり実施の形態1に係る画像処理装置は、データ格納部1と、コヒーレンス算出処理部2と、閾値算出処理部110aと、閾値処理部200aと、変化識別処理部3aと、出力データ格納部4と、を含む。
閾値算出処理部110a、閾値処理部200a、及び変化識別処理部3a、のように符号の後ろに「a」が付された構成要素は、実施の形態1における態様を示したものであり、後述の実施の形態において変形例が示される。符号の後ろにアルファベットが付かない構成要素は、どの実施の形態のものかを問わず、本開示技術において共通に使われるものである。
データ格納部1は、画像処理装置が扱う画像を格納する構成要素である。データ格納部1は、具体的には、N回の観測により得られた、異なる時刻に雑像された、N枚の画像に係るデータ(以降、「画像データ」と称する)を格納する。本開示技術に係る画像処理装置が扱う画像は、例えば、レーダ画像が想定される。
データ格納部1に格納された画像データは、画像処理装置の他の機能ブロック、例えばコヒーレンス算出処理部2から、読み込むことができる。
コヒーレンス算出処理部2は、画像間のコヒーレンス分布を算出する構成要素である。
コヒーレンス算出処理部2は、第1ステップとして、読み込んだN枚のレーダ画像に対し、それぞれの複素レーダ画像を算出する。コヒーレンス算出処理部2は、第2ステップとして、算出したN枚の複素レーダ画像から2枚を抽出する全ての組合せ(NC2通り)について、複素レーダ画像間のコヒーレンス分布(以降、「コヒーレンスマップ」と称する)を生成する。コヒーレンスマップは、複素相関分布と称されることもある。コヒーレンス算出処理部2が行うコヒーレンスマップの生成は、複素レーダ画像の各画素情報に基づいて、実施される。
閾値算出処理部110は、後述の「変化領域」の抽出に用いられる閾値を設定する構成要素である。閾値算出処理部110の詳細は、後述の図2についての説明により明らかとなる。
閾値処理部200は、閾値算出処理部110が設定する閾値を用いて、閾値処理をする構成要素である。閾値処理部200が行う閾値処理の目的は、注目画素に変化が生じたか否かを判断することにある。
変化識別処理部3は、注目画素に変化が生じたと判断された場合に、その変化の種類を識別する構成要素である。変化識別処理部3において識別された変化の種類は、出力データ格納部4へと送られる。変化識別処理部3において識別された変化の種類は、図示しない画像処理装置の表示部に表示されるようプログラムされてもよい。
出力データ格納部4は、変化識別処理部3において識別された変化の種類を格納する構成要素である。
画像処理装置を構成するコヒーレンス算出処理部2は、前述のとおり、読み込んだN枚のレーダ画像に対し、それぞれの複素レーダ画像を算出する。コヒーレンス算出処理部2は、その後、算出したN枚の複素レーダ画像から2枚を抽出する全ての組合せ(NC2通り)について、複素レーダ画像間のコヒーレンスマップを生成する。
本明細書において、n及びmは、画像に関するサンプリング番号を表すものとする。すなわちnもmも、1からNまでの自然数をとるものである。画像に関するサンプリング番号(n、及びm)は、画像に関するフレーム番号と言い換えてもよい。ただし、本開示技術が想定するレーダ画像は、取得時期の異なる同一領域を観測した複数枚のレーダ画像である。すなわち、本開示技術は、複数回の定期観測を行う飛翔体(人工衛星、又は航空機)に搭載された合成開口レーダに係るレーダ画像を想定している。このように考えると、サンプリング周期は、1週間単位、又は月単位、といったオーダのものである。したがって、画像に関するサンプリング番号(n、及びm)を画像に関するフレーム番号と考えることもできるが、当該画像を連ねて作られた動画は、実時間よりもかなり早回しで再生されることになる。
本開示技術は、このようにサンプリング周期が短い場合に対して、有効である。本開示技術に係る画像処理装置は、サンプリング番号が隣接する2枚の画像のみならず、サンプリング番号が離れた2枚の画像に対しても、コヒーレンス(Cn)を算出する。
ここで、式(1)におけるZn(y,x)は、n番目レーダ画像における位置(y,x)におけるデータの値(「データ値」と称する)を示す。同様に、式(1)におけるZm(y,x)は、m番目レーダ画像における位置(y,x)におけるデータ値である。式(1)に登場するLは、(y、x)に位置する注目画素のコヒーレンスを算出するために用いられる画素の個数を表す。また、式(1)に登場する上付添え字のアスタリスク(*)は、複素共役を示す。式(1)においてmは、nよりも大きい自然数である。なお、m=n+1とおけば、式(1)は、特許文献1に例示される従来技術に係るコヒーレンスの式と同じものになる。
式(1)により与えられるコヒーレンス(Cn)は、n番目レーダ画像とm番目レーダ画像とが同一の衛星軌道において取得されたものである、という前提に基づく。コヒーレンス(Cn)は、地表面における変化が少ないほど「1」に近い値をとり、逆に、地表面における変化が多いほど小さな値をとる、という性質を有する。
また、本開示技術は、コヒーレンス(Cn)の算出に際し、n番目レーダ画像における位置(y,x)におけるデータ値(Zn(y,x))を、『位置(y,x)を中心としたL個の画素を、空間的に(例えばy方向又はx方向に)フーリエ変換した結果』と定義してもよい。この場合、式(1)における総和の演算は行わない。このように考えれば、Zn(y,x)が複素数であることをより理解できる。また、コヒーレンス(Cn)が、複素平面上における単位円周上の複素数であることを理解できる。コヒーレンス(Cn)の算出方法の詳細は、実施の形態6の説明により明らかとなる。
閾値算出処理部110は、コヒーレンス算出処理部2により算出された注目画素(位置(y,x))に関するコヒーレンスのうち、隣接するN-1個のコヒーレンス、すなわちm=n+1としたときのコヒーレンスに基づいて、Pthd及びPthuを設定してよい。
ここで、表1に記載されている「注目画素」の用語は、n番目レーダ画像とm番目レーダ画像との組によるコヒーレンスマップの(y,x)に位置する注目画素を意味するものである。
前述のとおり、本来、コヒーレンス(Cn)は複素数であるが、特許文献1に例示される従来技術に見られるよう、複素数の実部のみに着目して議論されることがある。本開示技術においても、表1に示した条件式は、コヒーレンスについて複素数の実部に着目し、実数である閾値と比較することを意味する。
閾値処理部200は、表1に示した閾値処理を、全ての組合せ(NC2通り)のコヒーレンスマップについて実施する。
表1上段に示される条件式において、コヒーレンス(Cn)の実部が下側閾値(Pthd)以下であるときに、「注目画素が、変化領域である」と判断されることに、違和感はない。
表1下段に示される条件式は、森林、及び水域といった領域を考慮したものである。森林、及び水域といった領域は、風により枝葉が揺れる、風により波が生じる、といった理由より、通常からコヒーレンス(Cn)が低い。森林については、伐採などにより消失した場合、コヒーレンスが低い状態から高い状態へと遷移する。水域については、温暖化などにより陸化した場合、コヒーレンスが低い状態から高い状態へと遷移する。森林、及び水域といった低コヒーレンス領域に関しては、コヒーレンス(Cn)が低い状態から高い状態に遷移したときに、すなわち消失があったときに、「変化領域である」と結論づける。表1下段に示される条件式は、一見すると違和感があるが、森林、及び水域といった低コヒーレンス領域を考慮すれば、違和感はない。表1下段に示される条件式に登場する上側閾値(Pthu)も、森林、及び水域といった低コヒーレンス領域を考慮して設定されるものである。
閾値算出処理部110aにおける平均算出処理部130aは、注目画素設定部120aで設定される画素について、それぞれのコヒーレンスを算出し、さらに平均値を算出する処理を実施する。
閾値算出処理部110aにおける閾値格納部140aには、あらかじめ、閾値の算出に用いられるパラメータが保存されている。閾値の算出に用いられるパラメータは、例えば、オフセット値(βd及びβu)である。
閾値算出処理部110aにおける閾値設定部150aは、平均算出処理部130aにおいて計算された平均値と、閾値格納部140aに格納されたパラメータと、に基づいて、検出に用いる閾値(Pthd、Pthu)を決定する。
式(2)は、具体的には、注目画素(位置(y,x))に関するコヒーレンスのうち、隣接するN-1個のコヒーレンスの平均値、すなわちm=n+1としたときのコヒーレンスの平均値、を与えるものである。
式(2)及び式(3)に示されるとおり、実施の形態1に係る画像処理装置は、実測した隣接するN-1個のコヒーレンスの平均値を中心として、あらかじめ設定されるオフセット値(βd及びβu)の幅を有する領域を、「変化領域ではない領域」として設定する。
閾値の設定に際し、平均値が用いられる趣旨は、例えば、特許文献1に示されている。特許文献1に開示されているように、森林、及び水域といった領域は、コヒーレンスがそもそも低い。コヒーレンスがそもそも低い領域について、変化を抽出するために、画像処理装置は、コヒーレンスの平均値に基づいて閾値を設定している。
さらに、森林については、伐採などにより消失した場合、コヒーレンスが低い領域から高い領域へと変化すると考えられる。このため、低い側の閾値(Pthd)のみならず、高い側の閾値(Pthu)が設定される。
ただし、表2において、コヒーレンスを表す関数(Cn、Cm1)の引数において、y及びxは省略されている。表2に登場するm1及びm2は、式(1)に登場するmと同様、画像に関するサンプリング番号を表すものとする。n、m1及びm2の大小関係は、1≦n<m1<m2≦Nとする。
表2に示されるケース1は、n番目からm1番目も、m1番目からm2番目も、変化がない、という状況である。このときにn番目からいっきにm2番目までの変化を見たものが、表3である。
表3の最上行は、n番目からいっきにm2番目までの変化を見ると、変化があったことを示している。したがってこの場合の判断結果は、「期間を通して徐々に変化」である。
表3の真ん中行は、n番目からいっきにm2番目までの変化を見ても、変化がなかったことを示している。したがってこの場合の判断結果は、「変化なし」である。
表3の最下行は、n番目からいっきにm2番目までをみたときのコヒーレンスが、他の組合せよりも高いことを示している。すなわち、このケースは、n番目の画像とm2番目の画像との間に、変化がほとんどないというケースである。この現象は、m1番目で若干の変化が発生したときに生じ得るものである。さらに言えば、この現象は、m1番目で生じた若干の変化が、m2番目までには復元した、という状況である。したがってこの場合の判断結果は、「m1番目に若干の変化」である。
実施の形態2に係る画像処理装置は、本開示技術に係る画像処理装置の変形例である。特に明記する場合を除き、実施の形態2では、実施の形態1で用いられた符号と同じものが用いられる。実施の形態2では、実施の形態1と重複する説明が、適宜、省略される。
実施の形態1に係る平均算出処理部130aは、式(2)で与えられる値を、すなわち、隣接する画像のみを使用した平均値を求めるものであったが、本開示技術はこれに限定されない。
本開示技術に係る画像処理装置は、平均算出処理部130bにおいて、以下の式で与えられる値を用いてもよい。
ここで、式(4)右辺の分母のNC2は、N枚から2枚を抽出する組合せ(Combination)の数である。すなわち、実施の形態2に係る平均算出処理部130bは、コヒーレンスの平均値を、すべての組合せについて算出する。
閾値設定部150bが決定する閾値(Pthd_2、Pthu_2)は、例えば、以下の式で与えられるものである。
式(4)及び式(5)に示されるとおり、実施の形態2に係る画像処理装置は、すべての組合せで計算したコヒーレンスの平均値を中心として、あらかじめ設定されるオフセット値(βd及びβu)の幅を有する領域を、「変化領域ではない領域」として設定する。
実施の形態3に係る画像処理装置は、本開示技術に係る画像処理装置の変形例である。特に明記する場合を除き、実施の形態3では、既出の実施の形態で用いられた符号と同じものが用いられる。実施の形態3では、既出の実施の形態と重複する説明が、適宜、省略される。
実施の形態1に係る変化識別処理部3aは、まず、n番目画像からみたm1番目画像のコヒーレンス(Cn(m1))、及びm1番目画像からみたm2番目画像のコヒーレンス(Cm1(m2))から、表2に示す9通りのケース(ケース1、ケース2、ケース3、ケース4、ケース5、ケース6、ケース7、ケース8、及びケース9)を定義した。そして、実施の形態1に係る変化識別処理部3aは、n番目画像からみたm2番目画像のコヒーレンス(Cn(m2))から、ケース1をさらに3通り(ケース1A、ケース1B、及びケース1C)に定義した。
実施の形態3に係る変化識別処理部3cは、表2に示す9通りのケース(ケース1、ケース2、ケース3、ケース4、ケース5、ケース6、ケース7、ケース8、及びケース9)のすべてに対し、n番目画像からみたm2番目画像のコヒーレンス(Cn(m2))を閾値と比較し、それぞれをさらに3通り、すなわち合計で9×3=27通りに定義する。
変化識別処理部3cの処理により得られた変化の識別を示すフィールドは、27種類の状況のどれかを識別できるものであればよい。
実施の形態4に係る画像処理装置は、本開示技術に係る画像処理装置の変形例である。特に明記する場合を除き、実施の形態4では、既出の実施の形態で用いられた符号と同じものが用いられる。実施の形態4では、既出の実施の形態と重複する説明が、適宜、省略される。
実施の形態5に係る画像処理装置は、本開示技術に係る画像処理装置の変形例である。特に明記する場合を除き、実施の形態5では、既出の実施の形態で用いられた符号と同じものが用いられる。実施の形態5では、既出の実施の形態と重複する説明が、適宜、省略される。
本開示技術に係る画像処理装置は、あらかじめ設定されるオフセット値(βd及びβu)を利用するものに限定されない。
実施の形態5に係る画像処理装置は、「変化領域ではない領域」の設定に際し、あらかじめ設定されるオフセット値(βd及びβu)に代えて、理論分散値、又は誤警報確率を参照してもよい。
実施の形態6に係る画像処理装置は、本開示技術に係る画像処理装置の変形例である。特に明記する場合を除き、実施の形態6では、既出の実施の形態で用いられた符号と同じものが用いられる。実施の形態6では、既出の実施の形態と重複する説明が、適宜、省略される。
ここで、式(6)に登場するL2は、式(1)に登場するLに対応したものである。式(6)は、位置(y,x)を中心としたL2+1個の画素を、y方向に、フーリエ変換した結果、正確には記述関数による変換をした結果、である。式(6)におけるb(y、x)は、位置(y、x)の画素の輝度を表したものである。式(6)におけるjは、虚数を表す。なお、式(6)にはy方向へのフーリエ変換が示されているが、x方向へのフーリエ変換であってもよい。
或る1枚のレーダ画像を見ると、森林等の特定の領域は、空間的に見て、画素の濃淡が周期的に現れることがある。例えば、レーダ画像における森林の領域は、画素の輝度が5個の画素の間隔で明るいとする。このような場合、レーダ画像に対して式(6)の変換を、L=4で行えば、輝度が5個の画素の間隔で明るくなっている領域は、Zn(y,x)の絶対値(複素平面における原点からの距離)が大きい。このようにして、本開示技術は、関心のある領域(以降、「関心領域」と称する)を抽出してもよい。
式(6)は、レーダ画像についての処理前加工の一例である。式(6)においてL2=0とおけば、Zn(y,x)はb(y、x)にπ/2をかけたものと等しくなり、処理前加工をしていないことと同じ意味になる。
セマンティックセグメンテーションに限らず、本開示技術に係る画像処理装置は、ニューラルネットワーク等の人工知能に係る学習モデルの中間生成物、例えば特徴量マップに適用してもよい。本開示技術に係る画像処理は、人工知能と併せて利用することもできる。
Claims (3)
- 全数から2枚を抽出するすべての組合せの画像同士についてのコヒーレンスマップを算出するコヒーレンス算出処理部と、
変化領域の抽出に用いられる閾値を設定する閾値算出処理部と、
前記閾値を用いて前記コヒーレンスマップに閾値処理をする閾値処理部と、
前記コヒーレンス算出処理部が算出した前記コヒーレンスマップのうち、少なくとも3枚の画像から2枚を抽出した2つの組合せの画像同士についての前記コヒーレンスマップに基づいて、コヒーレンスが変化する少なくとも9通りの態様のいずれに当てはまるかを判断し、前記閾値処理により注目画素に変化が生じたと判断された場合に、その変化の種類を識別する変化識別処理部と、を備え、
前記コヒーレンス算出処理部は、コヒーレンスの算出に際し、レーダ画像における位置(y,x)におけるデータ値(Z n (y,x))に代えて、前記位置(y,x)を中心としたL個の画素を空間的にフーリエ変換して得られる値を用いる、
画像処理装置。 - 前記閾値算出処理部は、
前記注目画素を設定する注目画素設定部と、
前記注目画素について、それぞれのコヒーレンスを算出し、平均値を算出する平均算出処理部と、
前記平均算出処理部で算出された前記平均値に基づいて、前記閾値を設定する閾値設定部と、を含む、
請求項1に記載の画像処理装置。 - 前記平均算出処理部が算出する前記平均値は、全数から2枚を抽出するすべての組合せの画像同士のコヒーレンスについての平均の値である、
請求項2に記載の画像処理装置。
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TZOUVARAS, MARIOS ET AL.: ""Small Scale Landslide Detection Using Sentinel-1 Interferometric SAR Coherence"", REMOTE SENSING, vol. Vol.12, No.10, Article 1560, JPN7022003157, 14 May 2020 (2020-05-14), pages 1 - 33, ISSN: 0004894077 * |
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