JP6277926B2 - 成膜装置および積層体フィルムと電極基板フィルムの各製造方法 - Google Patents

成膜装置および積層体フィルムと電極基板フィルムの各製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、樹脂フィルムから成る透明基板と電極等の回路パターンを有しタッチパネル等に用いられる電極基板フィルムに係り、特に、高輝度照明下においても回路パターンが視認され難い電極基板フィルムの製造方法と該電極基板フィルムの製造に適用される積層体フィルムの製造方法および成膜装置の改良に関するものである。
近年、携帯電話、携帯電子文書機器、自動販売機、カーナビゲーション等のフラットパネルディスプレイ(FPD)の表面に設置する「タッチパネル」が普及している。
上記「タッチパネル」には、大きく分けて抵抗型と静電容量型が存在する。「抵抗型のタッチパネル」は、樹脂フィルムから成る透明基板と該基板上に設けられたX座標(またはY座標)検知電極シート並びにY座標(またはX座標)検知電極シートと、これ等シートの間に設けられた絶縁体スペーサーとで主要部が構成されている。そして、上記X座標検知電極シートとY座標検知電極シートは空間的に隔たっているが、ペン等で押さえられたときに両座標検知電極シートは電気的に接触してペンの触った位置(X座標、Y座標)が判るようになっており、ペンを移動させればその都度座標を認識して、最終的に文字の入力が行なえる仕組みとなっている。他方、「静電容量型のタッチパネル」は、絶縁シートを介してX座標(またはY座標)検知電極シートとY座標(またはX座標)検知電極シートが積層され、これ等の上にガラス等の絶縁体が配置された構造を有している。そして、ガラス等の上記絶縁体に指を近づけたとき、その近傍のX座標検知電極、Y座標検知電極の電気容量が変化するため、位置検知を行なえる仕組みとなっている。
そして、電極等の回路パターンを構成する導電性材料として、従来、ITO(酸化インジウム−酸化錫)等の透明導電膜が広く用いられていた(特許文献1参照)。また、タッチパネルの大型化に伴い、特許文献2や特許文献3等に開示されたメッシュ構造の金属製細線(金属膜)が用いられ、更に、カーボンナノチューブ(CNT)やグラフェン(Grapene)等で代替する取り組みもされ始めている。
ところで、上記透明導電膜と金属製細線(金属膜)を較べた場合、透明導電膜は、可視波長領域における透過性に優れるため電極等の回路パターンが殆ど視認されない利点を有するが、金属製細線(金属膜)より電気抵抗値が高いためタッチパネルの大型化や応答速度の高速化には不向きな欠点を有する。他方、金属製細線(金属膜)は、電気抵抗値が低いためタッチパネルの大型化や応答速度の高速化に向いているが、可視波長領域における反射率が高いため、例え微細なメッシュ構造に加工されたとしても高輝度照明下において回路パターンが視認されることがあり、製品価値を低下させてしまう欠点を有する。そして、この反射は、媒質(空気)と金属製細線(金属膜)の界面、金属製細線(金属膜)と樹脂フィルムの界面の屈折率差によるフレネル反射に起因している。
そこで、樹脂フィルムと金属膜との間に金属酸化物等から成る金属吸収膜(黒化膜と称され、金属窒化物で構成される場合もある)を設ける(特許文献4参照)等して樹脂フィルム側から観測される金属製細線の反射を低減させる方法が提案されている。
そして、金属酸化物等から成る金属吸収膜については、金属酸化物等の成膜効率を図る観点から、通常、金属ターゲットと反応性ガスを用いた反応性スパッタリング等により連続して成膜されているが、金属吸収膜を継続して連続成膜した場合、成膜環境の経時変化(例えば、真空チャンバー内における反応性ガスの濃度変化等)により、金属吸収膜の特性が変化してしまう問題があった。
この問題を解決するため、成膜直後における金属吸収膜の透過率若しくは反射率を計測するインライン透過率測定器若しくはインライン反射率測定器を真空チャンバー内に配置して所望とする特性が維持されるようフィードバック制御を行う方法(特許文献5〜7参照)が検討され、あるいは、図5のグラフ図に示すように金属吸収層(膜)の表面抵抗(図5のグラフ図中、ひし形マークで示す)は反射率(図5のグラフ図中、四角形マークで示す)と略反比例の関係を有することから、成膜直後における金属吸収膜の表面抵抗を計測する接触式表面抵抗測定器若しくは渦電流を応用した非接触式表面抵抗測定器を真空チャンバー内に配置して所望とする特性が維持されるようにフィードバック制御を行う方法が検討されている。
ところで、図1に示すように樹脂フィルム42の片面側に金属吸収膜41と金属膜40が順次成膜される構造の積層体フィルムに対してインライン透過率測定器若しくはインライン反射率測定器により制御する方法は、樹脂フィルム42側から金属吸収膜41の光学特性を測定できるため以下に述べる不都合はないが、図2に示すように樹脂フィルム62の両面に金属吸収膜61、63と金属膜60、64がそれぞれ成膜される構造の積層体フィルムに対してインライン透過率測定器若しくはインライン反射率測定器により制御する方法は、金属吸収膜61と金属膜60が成膜された樹脂フィルム62側から金属吸収膜63の光学特性を測定することが困難なため、金属吸収膜と金属膜を連続して成膜できなくなる不都合を生じさせる。すなわち、樹脂フィルム62の片面側に金属吸収膜61を成膜しながらインライン透過率測定器若しくはインライン反射率測定器による制御を行い、片面側における金属吸収膜61の成膜が完了した後、樹脂フィルム62の他方側に金属吸収膜63を連続成膜しながらインライン透過率測定器若しくはインライン反射率測定器による制御を行う方法を採らざるを得ない。このため、樹脂フィルムに対して金属吸収膜と金属膜を連続して成膜することができなくなることから、成膜工程の増加によるコストアップを生じさせる問題が存在した。
尚、成膜直後における金属吸収膜の表面抵抗を接触式表面抵抗測定器で計測する上述の制御方法は金属吸収膜に傷をつけてしまう問題があり、渦電流を応用した非接触式表面抵抗測定器により成膜直後における金属吸収膜の表面抵抗を計測する上述の制御方法はキャンロール(金属ロール)上での測定ができない不都合があり共に採用困難であった。
特開2003−151358号公報(請求項2参照) 特開2011−018194号公報(請求項1参照) 特開2013−069261号公報(段落0004参照) 特開2013−225276号公報(請求項1、段落0041参照) 特開2008−070432号公報(請求項1参照) 特開2000−17437号公報(段落0016参照) 特開2005−338047号公報(請求項1参照)
本発明はこのような問題点に着目してなされたもので、その課題とするところは、金属酸化物等から成る金属吸収膜を反応成膜法により連続成膜してもその要求特性の変動が起こり難い成膜装置を提供し、かつ、高輝度照明下においても回路パターンが視認され難い電極基板フィルムの製造方法と該電極基板フィルムの製造に適用される積層体フィルムの製造方法を提供することにある。
すなわち、本発明に係る第1の発明は、
長尺樹脂フィルムを巻き出す巻き出しロールと、上記長尺樹脂フィルムを巻き取る巻き取りロールと、上記巻き出しロールと上記巻き取りロール間に設けられた冷却キャンロールと、上記冷却キャンロールの外周面近傍に沿ってそれぞれ設けられかつ上記冷却キャンロールの外周面に巻き付けられた上記長尺樹脂フィルム面に金属材と反応性ガスを用いた反応成膜法により金属吸収膜を形成する第一成膜手段並びに金属材を用いた成膜法により上記金属吸収膜上に金属膜を形成する第二成膜手段と、上記第一成膜手段へ上記反応性ガスを供給する反応性ガス供給手段を真空チャンバー内に備える成膜装置であって、
上記第一成膜手段と上記第二成膜手段間における上記冷却キャンロールの外周面近傍部位に上記第一成膜手段で成膜された上記金属吸収膜の分光反射率を測定する反射率測定手段を設け、上記金属吸収膜における分光反射率の測定値と目標値とを比較して上記反応性ガス供給手段における上記反応性ガスの供給量を制御するようにした成膜装置において、
上記反射率測定手段が、安定化光源と、該光源からの光を2光路に分配しその一方の光路を構成する測定光照射ファイバ束が上記真空チャンバー内に導入され他方の光路を構成する参照光照射ファイバ束が上記真空チャンバー外に配置されるY分岐光ファイバ束と、
上記測定光照射ファイバ束と反射光受光ファイバ束から成りかつ上記冷却キャンロールの外周面に巻き付けられた上記長尺樹脂フィルムの上記金属吸収膜へ向けて上記測定光照射ファイバ束から測定光を照射し上記金属吸収膜からの反射光を上記反射光受光ファイバ束で受光して上記金属吸収膜の反射率を測定する反射率測定プローブと、該反射率測定プローブの上記反射光受光ファイバ束と上記参照光照射ファイバ束の各端部が上記真空チャンバー外において接続されかつ上記参照光照射ファイバ束の端部から出射される参照光と上記反射光受光ファイバ束の端部から出射される反射光を一定の時間毎に順次通過させる光切換器と、該光切換器を通過した上記参照光に基づき光源光量を測定しかつ測定された上記光源光量に基づき上記光切換器を通過した反射光の光量を補正して上記金属吸収膜の上記分光反射率を計測する分光器とで構成されていることを特徴とし、
また、第2の発明は、
第1の発明に記載の成膜装置において、
酸素と窒素の単体ガス若しくはこれ等の混合ガス、または、酸素と窒素を主成分とする混合ガスにより上記反応性ガスが構成されていることを特徴とする。
次に、第3の発明は、
樹脂フィルムから成る透明基板と該透明基板の片面若しくは両面に設けられた積層膜とで構成され、かつ、上記積層膜が上記透明基板側から数えて1層目の金属吸収膜と2層目の金属膜から成る積層体フィルムの製造方法において、
目標とする分光反射率を有する上記金属吸収膜が、第1の発明〜第2の発明のいずれかに記載の成膜装置を用いて形成されることを特徴とし、
第4の発明は、
第3の発明に記載の積層体フィルムの製造方法において、
上記金属吸収膜が、Ni単体、若しくは、Ti、Al、V、W、Ta、Si、Cr、Ag、Mo、Cuより選ばれる1種以上の元素が添加されたNi系合金、または、Cu単体、若しくは、Ti、Al、V、W、Ta、Si、Cr、Ag、Mo、Niより選ばれる1種以上の元素が添加されたCu系合金から成る金属材を成膜材料とし、第1の発明〜第2の発明のいずれかに記載の成膜装置における上記第一成膜手段へ上記反応性ガスを導入する上記反応成膜法により形成されることを特徴とし、
第5の発明は、
樹脂フィルムから成る透明基板と該透明基板の片面若しくは両面に設けられた金属製の積層細線から成るメッシュ構造の回路パターンを有する電極基板フィルムの製造方法において、
第3の発明〜第4の発明のいずれかに記載の積層体フィルムの製造方法で製造された積層体フィルムにおける上記積層膜をエッチング処理して、上記金属製の上記積層細線に加工することを特徴とするものである。
第1の発明〜第2の発明に記載の成膜装置によれば、
金属吸収膜を形成する第一成膜手段と金属膜を形成する第二成膜手段間における冷却キャンロールの外周面近傍部位に、上記第一成膜手段で成膜された上記金属吸収膜の分光反射率を測定する反射率測定手段を設けているため、長尺樹脂フィルムの両面側に上記金属吸収膜と上記金属膜がそれぞれ成膜される場合においても上記金属吸収膜の上記分光反射率を測定することが可能となり、かつ、上記金属吸収膜における上記分光反射率の測定値と目標値とを比較して上記第一成膜手段へ反応性ガスを供給する反応性ガス供給手段のガス供給量を制御するようになっているため、連続成膜される上記金属吸収膜の上記光学特性が変動し難い効果を有している。
また、第3の発明〜第4の発明に記載の積層体フィルムの製造方法によれば、
第1の発明〜第2の発明に記載された成膜装置を用いて所望とする分光反射率を有する金属吸収膜が形成されており、かつ、
第5の発明に記載の電極基板フィルムの製造方法によれば、
所望とする分光反射率を有する金属吸収膜が形成された第3の発明〜第4の発明に記載の製造方法で製造された積層体フィルムを用いて電極基板フィルムが製造されているため、高輝度照明下においても回路パターンが視認され難い電極基板フィルムを安価にかつ安定して製造できる効果を有している。
樹脂フィルムの片面側に金属吸収膜と金属膜が形成された積層体フィルムの概略断面説明図。 樹脂フィルムの両面側に金属吸収膜と金属膜がそれぞれ形成された積層体フィルムの概略断面説明図。 樹脂フィルムの両面側に金属製の積層細線がそれぞれ形成された電極基板フィルムの概略断面説明図。 酸素濃度(0%〜30%)に起因する金属吸収膜の樹脂フィルム側からの分光反射特性を示すグラフ図。 膜厚1Å当たりの酸素濃度[酸素濃度(%)/膜厚(Å)]に起因する金属吸収層(膜)の表面抵抗(ひし形マーク参照)と反射率(四角形マーク参照)をそれぞれ示すグラフ図。 樹脂フィルム上に金属吸収膜と金属膜を形成する従来例に係る成膜装置(スパッタリングウェブコータ)の構成説明図。 樹脂フィルム上に金属吸収膜と金属膜を形成する本発明に係る成膜装置(スパッタリングウェブコータ)の構成説明図。 本発明に係る成膜装置を用いて製造された積層体フィルムにおける10m、500m、1000m、1490mの各位置でサンプリングされた積層体フィルムの分光反射特性を示すグラフ図。 従来例に係る成膜装置を用いて製造された積層体フィルムにおける10m、500m、1000m、1490mの各位置でサンプリングされた積層体フィルムの分光反射特性を示すグラフ図。
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。
(1)積層体フィルムと該積層体フィルムを用いて製造される電極基板フィルム
(1-1)片面構造を有する積層体フィルム
片面構造を有する積層体フィルムは、図1に示すように、樹脂フィルム42から成る透明基板と、該透明基板の片面に設けられた金属吸収膜41と金属膜40から成る積層膜とで構成されている。
尚、図4のグラフ図は、金属酸化物から成る金属吸収膜を金属ターゲットと反応性ガスを用いた反応性スパッタリングにより成膜した際、酸素濃度(0%〜30%)に起因する金属吸収膜の樹脂フィルム側からの分光反射特性を示している。
そして、金属酸化物は酸化され過ぎると(20%、30%)黒色の金属吸収膜41から透明な膜になってしまい、金属膜40の反射が大きくなってしまう。一方、金属酸化物の酸化が不足していると(0%、5%)、黒化されずに金属吸収膜41の吸収が僅かになって金属吸収膜41の反射が大きくなってしまう。このため、反応性スパッタリングにより金属酸化物から成る金属吸収膜を成膜する場合、反応性スパッタリングにおける最適な酸化条件が必要となる。
そして、片面構造の積層体フィルムにおいては、上述したように樹脂フィルム42側から金属吸収膜41の光学特性を測定できるため、成膜直後における金属吸収膜41の透過率若しくは反射率を計測するインライン透過率測定器若しくはインライン反射率測定器による制御方法に不都合は生じない。
(1-2)両面構造を有する積層体フィルム
両面構造を有する積層体フィルムは、図2に示すように樹脂フィルム62から成る透明基板と、該透明基板の両面にそれぞれ設けられた金属吸収膜61、63および金属膜60、64から成る各積層膜とで構成されている。
そして、両面構造を有する積層体フィルムにおいては、上述したように金属吸収膜61と金属膜60が成膜された樹脂フィルム62側から金属吸収膜63の光学特性を測定することが困難なため、成膜直後における金属吸収膜61、63の透過率若しくは反射率を計測するインライン透過率測定器若しくはインライン反射率測定器による制御方法を行うに際し不都合を生ずる。
(1-3)電極基板フィルム
上記片面構造を有する積層体フィルム(図1参照)の積層膜(金属吸収膜41と金属膜40)をエッチング処理し、金属製の積層細線に加工することでメッシュ構造の回路パターンを有する電極基板フィルムが得られ、また、両面構造を有する積層体フィルム(図2参照)の各積層膜(金属吸収膜61と金属膜60および金属吸収膜63と金属膜64)をそれぞれエッチング処理して金属製の積層細線(金属吸収膜51と金属膜50および金属吸収膜53と金属膜54)に加工することにより、図3に示すメッシュ構造の回路パターンを有する電極基板フィルムが得られる。尚、上記積層細線の金属膜50と金属膜54上には、更に湿式めっき法若しくはスパッタリング法により金属吸収膜と同様な吸収膜(図示せず)が成膜されるため、積層細線における金属膜50と金属膜54の反射は問題とならない。
(1-4)金属吸収膜
上記金属吸収膜の材料としては、Ni単体、若しくは、Ti、Al、V、W、Ta、Si、Cr、Ag、Mo、Cuより選ばれる1種以上の元素が添加されたNi系合金、および、Cu単体、若しくは、Ti、Al、V、W、Ta、Si、Cr、Ag、Mo、Niより選ばれる1種以上の元素が添加されたCu系合金が好ましい。
また、金属吸収膜は、上記Ni単体若しくはNi系合金、および、Cu単体若しくはCu系合金から成る金属材を成膜材料とし、かつ、成膜装置内に反応性ガスを導入する反応成膜法により形成される。上記成膜法としては、マグネトロンスパッタ、イオンビームスパッタ、真空蒸着、イオンプレーティング、CVD等があり、また、上記反応性ガスとしては、酸素と窒素の単体ガス若しくはこれ等の混合ガス、または、酸素と窒素を主成分としアルゴン等を含む混合ガスが挙げられる。
そして、金属吸収膜の各波長における光学定数(屈折率、消衰係数)は、反応の度合い、すなわち酸化度あるいは窒化度に大きく影響され、金属吸収膜の構成材料だけで決定されるものではない。
(1-5)金属膜
上記金属吸収膜上に成膜される形成される金属膜の構成材料(金属材)としては、電気抵抗値が低い金属であれば特に限定されず、例えば、Cu単体、若しくは、Ti、Al、V、W、Ta、Si、Cr、Agより選ばれる1種以上の元素が添加されたCu系合金、または、Ag単体、若しくは、Ti、Al、V、W、Ta、Si、Cr、Cuより選ばれる1種以上の元素が添加されたAg系合金が挙げられ、特に、Cu単体が、回路パターンの加工性や抵抗値の観点から望ましい。また、金属膜の膜厚は電気特性に依存するものであり、光学的な要素から決定されるものではないが、通常、透過光が測定不能なレベルの膜厚に設定される。
(1-6)透明基板を構成する樹脂フィルム
上記積層体フィルムと電極基板フィルムに適用される樹脂フィルムの材質としては特に限定されることはなく、その具体例として、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルスルフォン(PES)、ポリアリレート(PAR)、ポリカーボネート(PC)、ポリオレフィン(PO)、トリアセチルセルロース(TAC)およびノルボルネンの樹脂材料から選択された樹脂フィルムの単体、あるいは、上記樹脂材料から選択された樹脂フィルム単体とこの単体の片面または両面を覆うアクリル系有機膜との複合体が挙げられる。特に、ノルボルネン樹脂材料については、代表的なものとして、日本ゼオン社のゼオノア(商品名)やJSR社のアートン(商品名)等が挙げられる。
尚、本発明に係る電極基板フィルムは「タッチパネル」等に使用するため、上記樹脂フィルムの中でも可視波長領域での透明性に優れるものが望ましい。
(2)反応成膜法を実施する従来の成膜装置
(2-1)スパッタリングウェブコータ
成膜法の一例としてスパッタリング法を挙げ、従来の成膜装置について説明する。
尚、この成膜装置はスパッタリングウェブコータと称され、ロールツーロール方式で搬送される長尺樹脂フィルム表面に連続的に効率よく成膜処理を施す場合に用いられる。
具体的に説明すると、ロールツーロール方式で搬送される長尺樹脂フィルムの成膜装置(スパッタリングウェブコータ)は、図6に示すように真空チャンバー10内に設けられており、巻き出しロール11から巻き出された長尺樹脂フィルム12に対して所定の成膜処理を行った後、巻き取りロール24で巻き取るようになっている。これら巻き出しロール12から巻き取りロール24までの搬送経路の途中に、モータで回転駆動されるキャンロール16が配置されている。このキャンロール16の内部には、真空チャンバー10の外部で温調された冷媒が循環している。
真空チャンバー10内では、スパッタリング成膜のため、到達圧力10-4Pa程度までの減圧と、その後のスパッタリングガスの導入による0.1〜10Pa程度の圧力調整が行われる。スパッタリングガスにはアルゴン等公知のガスが使用され、目的に応じて更に酸素や窒素等のガスが添加される。真空チャンバー10の形状や材質は、このような減圧状態に耐え得るものであれば特に限定はなく種々のものを使用することができる。また、真空チャンバー10内を減圧してその状態を維持するため、真空チャンバー10にはドライポンプ、ターボ分子ポンプ、クライオコイル等の種々の装置(図示せず)が組み込まれている。
巻き出しロール11からキャンロール16までの搬送経路には、長尺樹脂フィルム12を案内するフリーロール13と、長尺樹脂フィルム12の張力の測定を行う張力センサロール14とがこの順で配置されている。また、張力センサロール14から送り出されてキャンロール16に向かう長尺樹脂フィルム12は、キャンロール16の近傍に設けられたモータ駆動の前フィードロール15によってキャンロール16の周速度に対する調整が行われ、これによりキャンロール16の外周面に長尺樹脂フィルム12を密着させることができる。
キャンロール16から巻き取りロール24までの搬送経路も、上記同様に、キャンロール16の周速度に対する調整を行うモータ駆動の後フィードロール21、長尺樹脂フィルム12の張力の測定を行う張力センサロール22および長尺樹脂フィルム12を案内するフリーロール23がこの順に配置されている。
上記巻き出しロール11および巻き取りロール24では、パウダークラッチ等によるトルク制御によって長尺樹脂フィルム12の張力バランスが保たれている。また、キャンロール16の回転とこれに連動して回転するモータ駆動の前フィードロール15、後フィードロール21により、巻き出しロール11から長尺樹脂フィルム12が巻き出されて巻き取りロール24に巻き取られるようになっている。
キャンロール16の近傍には、キャンロール16の外周面上に画定される搬送経路(すなわち、キャンロール16外周面の内の長尺樹脂フィルム12が巻き付けられる領域)に対向する位置に、成膜手段としてのマグネトロンスパッタリングカソード17、18、19および20が設けられ、この近傍に反応性ガスを放出するガス放出パイプ25、26、27、28、29、30、31、32が設置されている。
ところで、上記金属吸収膜と金属膜のスパッタリング成膜を実施する際、図6に示すように板状のターゲットを使用できるが、板状ターゲットを用いた場合、ターゲット上にノジュール(異物の成長)が発生することがある。これが問題になる場合は、ノジュールの発生がなくかつターゲットの使用効率も高い円筒形のロータリーターゲットを使用することが好ましい。
(2-2)反応性スパッタリング
金属酸化物若しくは金属窒化物から成る金属吸収膜を成膜する目的で酸化物ターゲット若しくは窒化物ターゲットを適用した場合、成膜速度が遅く量産に適さない。このため、高速成膜が可能な金属ターゲット(金属材)を用い、かつ、反応性ガスを制御しながら導入する反応性スパッタリング等の反応成膜法が採られている。
そして、反応性ガスを制御する方法として以下の4つの方法が知られている。
(2-2-1)一定流量の反応性ガスを放出する方法。
(2-2-2)一定圧力を保つように反応性ガスを放出する方法。
(2-2-3)スパッタリングカソードのインピーダンスが一定になるように反応性ガスを放出する(インピーダンス制御)方法。
(2-2-4)スパッタリングのプラズマ強度が一定になるように反応性ガスを放出する(プラズマエミッション制御)方法。
(2-3)フィードバック制御
次に、ロールツーロール方式で搬送される長尺樹脂フィルム表面に連続的に成膜処理を行うスパッタリングウェブコータにおいては、成膜時間が10時間以上に及ぶことがある。このような長時間に亘る反応性スパッタリング処理の条件を一定に保つことは容易でない。なぜなら、真空チャンバー10内壁に吸着したガス(水分)が徐々に放出され続けるからである。そこで、金属吸収膜に取り込まれる酸素若しくは窒素量を一定にするため上述したフィードバック制御が欠かせない。そして、酸化若しくは窒化の度合いを連続的に把握するには、金属吸収膜の分光光学特性や表面抵抗を測定することが有効である。
但し、図2に示す両面構造を有する積層体フィルムにおいては、上述したように金属吸収膜61と金属膜60が成膜された樹脂フィルム62側から金属吸収膜63の光学特性を測定することはできない。このため、図6に示すように金属吸収膜を成膜する領域(マグネトロンスパッタリングカソード18の終端領域)と金属膜を成膜する領域(マグネトロンスパッタリングカソード19の始端領域)間におけるキャンロール16上において唯一現れる金属吸収膜の表面抵抗による制御方法が考えられる。しかし、金属吸収膜の表面抵抗を接触式表面抵抗測定器で計測する方法は金属吸収膜に傷をつけてしまう問題があり、渦電流を応用した非接触式表面抵抗測定器で計測する方法もキャンロール(金属ロール)上での測定は不可能である。更に、キャンロール16上において唯一現れる金属吸収膜の分光透過率を測定することもできないため、金属吸収膜の分光反射率を測定する方法のみが可能となる。
(3)反応成膜法を実施する本発明に係る成膜装置
(3-1)スパッタリングウェブコータ
次に、従来の装置と同様、成膜法の一例としてスパッタリング法を挙げ、本発明に係る成膜装置について説明する。
尚、本発明に係る成膜装置は、キャンロール上において唯一現れる金属吸収膜の分光反射率を測定し、この測定値と金属吸収膜の目標値とを比較してフィードバック制御を行う構成以外、従来の成膜装置と共通の構造を有している。
(3-2)従来の成膜装置と共通の構造部分
従来の成膜装置と同様、ロールツーロール方式で搬送される長尺樹脂フィルムの成膜装置(スパッタリングウェブコータ)は、図7に示すように真空チャンバー110内に設けられており、巻き出しロール111から巻き出された長尺樹脂フィルム112に対して所定の成膜処理を行った後、巻き取りロール124で巻き取るようになっている。これ等巻き出しロール112から巻き取りロール124までの搬送経路の途中に、モータで回転駆動されるキャンロール116が配置されている。このキャンロール116の内部には、真空チャンバー110の外部で温調された冷媒が循環している。
真空チャンバー110内では、スパッタリング成膜のため、到達圧力10-4Pa程度までの減圧と、その後のスパッタリングガスの導入による0.1〜10Pa程度の圧力調整が行われる。スパッタリングガスにはアルゴン等公知のガスが使用され、目的に応じてさらに酸素等のガスが添加される。真空チャンバー110の形状や材質は、このような減圧状態に耐え得るものであれば特に限定はなく種々のものを使用することができる。また、真空チャンバー110内を減圧してその状態を維持するため、真空チャンバー110にはドライポンプ、ターボ分子ポンプ、クライオコイル等の種々の装置(図示せず)が組み込まれている。
巻き出しロール111からキャンロール116までの搬送経路には、長尺樹脂フィルム112を案内するフリーロール113と、長尺樹脂フィルム112の張力測定を行う張力センサロール114がこの順で配置されている。また、張力センサロール114から送り出されてキャンロール116に向かう長尺樹脂フィルム112は、キャンロール116の近傍に設けられたモータ駆動の前フィードロール115によって、キャンロール116の周速度に対する調整が行われ、これによりキャンロール116の外周面に長尺樹脂フィルム112を密着させることができる。
キャンロール116から巻き取りロール124までの搬送経路も、上記同様に、キャンロール116の周速度に対する調整を行うモータ駆動の後フィードロール121、長尺樹脂フィルム112の張力測定を行う張力センサロール122、および、長尺樹脂フィルム112を案内するフリーロール123がこの順に配置されている。
上記巻き出しロール111および巻き取りロール124では、パウダークラッチ等によるトルク制御によって長尺樹脂フィルム112の張力バランスが保たれている。また、キャンロール116の回転とこれに連動して回転するモータ駆動の前フィードロール115、後フィードロール121により、巻き出しロール111から長尺樹脂フィルム112が巻き出されて巻き取りロール124に巻き取られるようになっている。
キャンロール116の近傍には、キャンロール116の外周面上に画定される搬送経路(すなわち、キャンロール116外周面の内の長尺樹脂フィルム112が巻き付けられる領域)に対向する位置に、成膜手段としてのマグネトロンスパッタリングカソード117、118、119および120が設けられ、この近傍に反応性ガスを放出するガス放出パイプ125、126、127、128、129、130、131、132が設置されている。
(3-3)反射率測定手段で計測した分光反射率によるフィードバック制御
本発明に係る成膜装置は、図7に示すようにキャンロール116外周面に巻き付けられた長尺樹脂フィルム112面に金属吸収膜を成膜する第一成膜手段(マグネトロンスパッタリングカソード117とマグネトロンスパッタリングカソード118とで構成される)と、同じく長尺樹脂フィルム112面に金属膜を成膜する第二成膜手段(マグネトロンスパッタリングカソード119とマグネトロンスパッタリングカソード120とで構成される)間のキャンロール116上において唯一現れる金属吸収膜の分光反射率をキャンロール116近傍に設けられた反射率測定手段により測定し、測定された値(測定値)と金属吸収膜の目標値とを比較して上記第一成膜手段へ反応性ガスを供給する反応性ガス供給手段(ガス放出パイプ125、126、127、128)における反応性ガスの供給量を制御するようにしたことを特徴としている。
そして、キャンロール116の近傍に設けられる上記反射率測定手段は、図7に示すように白色(ハロゲン)光源等の安定化光源135と、該光源135からの光を2光路に分配しその一方の光路を構成する測定光照射ファイバ束が真空チャンバー110内に導入され他方の光路を構成する参照光照射ファイバ束が真空チャンバー110外に配置されるY分岐光ファイバ束134と、上記測定光照射ファイバ束と反射光受光ファイバ束から成りかつキャンロール116の外周面に巻き付けられた長尺樹脂フィルム112の金属吸収膜へ向けて測定光照射ファイバ束から測定光を照射し金属吸収膜からの反射光を反射光受光ファイバ束で受光して金属吸収膜の反射率を測定する反射率測定プローブ133と、該反射率測定プローブ133の反射光受光ファイバ束と上記参照光照射ファイバ束の各端部が真空チャンバー110外において接続されかつ上記参照光照射ファイバ束の端部から出射される参照光と反射光受光ファイバ束の端部から出射される反射光を一定の時間毎に順次通過させる光切換器(光チョッパー)136と、該光切換器136を通過した参照光に基づき光源光量を測定しかつ測定された上記光源光量に基づき光切換器136を通過した反射光の光量を補正して金属吸収膜の分光反射率を計測する分光器137とでその主要部が構成されている。
尚、上記光切換器(光チョッパー)136で、分光器137に入射する反射光と参照光を切り替える理由は、長時間に亘る成膜中の光源や受光素子の温度変化、光ファイバにおけるカップリングの効率変化等によるドリフトを補正するためである。具体的には参照光の変化割合に応じて反射率を同様に補正している。
そして、分光器137で計測された金属吸収膜の分光反射率データは、図7に示すように制御パソコン138に送信され、該制御パソコン138は反応性ガスの流量を制御する流量計139に流量設定値を送信する。そして、ガス導入チューブ140を経由して反応性ガスは上記ガス放出パイプ125、126、127、128に導かれ、上記第一成膜手段への反応性ガスの供給量を制御するように構成されている。尚、上記流量計139については、各ガス放出パイプ125、126、127、128にそれぞれ設置してもよい。
(3-4)本発明に係る成膜装置の効果
本発明に係る成膜装置によれば、金属吸収膜を形成する第一成膜手段(マグネトロンスパッタリングカソード117とマグネトロンスパッタリングカソード118とで構成される)と金属膜を形成する第二成膜手段(マグネトロンスパッタリングカソード119とマグネトロンスパッタリングカソード120とで構成される)間におけるキャンロール116の外周面近傍部位に、上記第一成膜手段で成膜された金属吸収膜の分光反射率を測定する反射率測定手段を設けているため、長尺樹脂フィルム112の両面側に金属吸収膜と金属膜がそれぞれ成膜される場合においても金属吸収膜の分光反射率を測定することが可能となり、かつ、金属吸収膜における分光反射率の測定値と目標値とを比較して第一成膜手段へ反応性ガスを供給する反応性ガス供給手段(ガス放出パイプ125、126、127、128)における反応性ガスの供給量を制御するように構成されているため、連続成膜される金属吸収膜の光学特性が変動し難い効果を有している。
そして、積層体フィルム並びに電極基板フィルムにおける金属吸収膜を本発明に係る成膜装置で成膜した場合、金属製の積層細線から成るメッシュ構造の回路パターンが視認され難い効果を有している。
以下、本発明の実施例について比較例を挙げて具体的に説明するが、本発明は以下の実施例により限定されるものではない。
[実施例]
図7に示す成膜装置(スパッタリングウェブコータ)を用い、反応性ガスには酸素ガスを用いると共に、キャンロール116は、直径600mm、幅750mmのステンレス製で、ロール本体表面にハードクロムめっきが施されている。前フィードロール115と後フィードロール121は直径150mm、幅750mmのステンレス製で、ロール本体表面にハードクロムめっきが施されている。また、各マグネトロンスパッタリングカソード117、118、119、120の上流側と下流側にガス放出パイプ125、126、127、128、129、130、131、132を設置し、かつ、マグネトロンスパッタリングカソード117、118には金属吸収膜用のNi−Cuターゲット、マグネトロンスパッタリングカソード119と120には金属膜用のCuターゲットを取り付けた。
また、透明基板を構成する樹脂フィルムには幅600mmで長さ1500mのPETフィルムを用い、キャンロール116は0℃に冷却制御した。また、真空チャンバー110を複数台のドライポンプにより5Paまで排気した後、更に、複数台のターボ分子ポンプとクライオコイルを用いて3×10-3Paまで排気した。
(1)片面構造を有する積層体フィルムの製造
そして、樹脂フィルムの搬送速度を4m/分にした後、上記ガス放出パイプ129、130、131、132からアルゴンガスを300sccm導入し、かつ、マグネトロンスパッタリングカソード119、120については、膜厚80nmのCu膜(金属膜)が得られる電力制御により成膜を行った。
一方、ガス放出パイプ125、126からアルゴンガスを300sccm導入し、かつ、マグネトロンスパッタリングカソード117、118については、膜厚25nmのNi−Cuの酸化膜(金属吸収膜)が得られる電力制御により成膜を行った。
また、反応性ガス(酸素ガス)はガス放出パイプ125、126、127、128へ混合ガスとして導入した。更に、インライン反射率測定器(反射率測定プローブ133)の波長550nmにおける反射率が20%になるように制御パソコン138でPID制御し、反応性ガス(酸素ガス)の流量を制御する流量計139に設定値を出力した。また、測定光と参照光を切り換える光切換器(光チョッパー)136の周期は1Hzとした。尚、フィードバック制御の確実性を増すために2波長以上の反射率をモニターし、上記反応性ガス(酸素ガス)の流量を制御する方法を採ってもよい。
また、今回は成膜後における自記分光光度計評価のため、片面成膜を行った。
[比較例]
図6に示す成膜装置(スパッタリングウェブコータ)を用い、反応性ガスには酸素ガスを用いると共に、キャンロール16は、直径600mm、幅750mmのステンレス製で、ロール本体表面にハードクロムめっきが施されている。前フィードロール15と後フィードロール21は直径150mm、幅750mmのステンレス製で、ロール本体表面にハードクロムめっきが施されている。また、各マグネトロンスパッタリングカソード17、18、19、20の上流側と下流側にガス放出パイプ25、26、27、28、29、30、31、32を設置し、かつ、マグネトロンスパッタリングカソード17、18には金属吸収膜用のNi−Cuターゲット、マグネトロンスパッタリングカソード19と20には金属膜用のCuターゲットを取り付けた。
また、透明基板を構成する樹脂フィルムには幅600mmで長さ1500mのPETフィルムを用い、キャンロール16は0℃に冷却制御した。また、真空チャンバー10を複数台のドライポンプにより5Paまで排気した後、更に、複数台のターボ分子ポンプとクライオコイルを用いて3×10-3Paまで排気した。
(1)片面構造を有する積層体フィルムの製造
そして、樹脂フィルムの搬送速度を4m/分にした後、上記ガス放出パイプ29、30、31、32からアルゴンガスを300sccm導入し、かつ、マグネトロンスパッタリングカソード19、20については、膜厚80nmのCu膜(金属膜)が得られる電力制御により成膜を行った。
一方、ガス放出パイプ25、26からアルゴンガスを300sccm導入し、かつ、マグネトロンスパッタリングカソード17、18については、膜厚25nmのNi−Cuの酸化膜(金属吸収膜)が得られる電力制御により成膜を行った。
また、反応性ガス(酸素ガス)は、ガス放出パイプ25、26、27、28へ酸素濃度10%の混合ガスとして導入した。
[評 価]
次に、実施例と比較例でそれぞれ製造された全長1500mの積層体フィルムについて10m、500m、1000m、1490mの各位置でサンプリングし、自記分光光度計を用いてサンプリングされた各積層体フィルムの分光反射率をPETフィルム側から測定した。図8に実施例に係る積層体フィルムの分光反射率を示し、図9に比較例に係る積層体フィルムの分光反射率を示す。
そして、図8と図9のグラフ図から、実施例に係る積層体フィルムの分光反射率が、比較例に係る積層体フィルムの分光反射率より変動幅が小さいことが確認される。
実施例においてはインラインで反射率を測定し、金属吸収膜に取り込まれる酸素量についてフィードバック制御を行っているため、ロールツーロール方式による長時間のスパッタリング成膜に拘らず、比較例に較べて安定した電極基板フィルム用の積層体フィルムが得られることが分かる。
本発明に係る成膜装置を用いて積層体フィルム並びに電極基板フィルムの金属吸収膜を成膜した場合、金属製の積層細線から成るメッシュ構造の回路パターンが視認され難いためFPD(フラットパネルディスプレイ)表面に設置する「タッチパネル」に利用される産業上の可能性を有している。
10 真空チャンバー
11 巻き出しロール
12 長尺樹脂フィルム
13 フリーロール
14 張力センサロール
15 前フィードロール
16 キャンロール
17 マグネトロンスパッタリングカソード
18 マグネトロンスパッタリングカソード
19 マグネトロンスパッタリングカソード
20 マグネトロンスパッタリングカソード
21 後フィードロール
22 張力センサロール
23 フリーロール
24 巻き取りロール
25 ガス放出パイプ
26 ガス放出パイプ
27 ガス放出パイプ
28 ガス放出パイプ
29 ガス放出パイプ
30 ガス放出パイプ
31 ガス放出パイプ
32 ガス放出パイプ
40 金属膜
41 金属吸収膜
42 樹脂フィルム
50 金属膜
51 金属吸収膜
52 樹脂フィルム
53 金属吸収膜
54 金属膜
60 金属膜
61 金属吸収膜
62 樹脂フィルム
63 金属吸収膜
64 金属膜
110 真空チャンバー
111 巻き出しロール
112 長尺樹脂フィルム
113 フリーロール
114 張力センサロール
115 前フィードロール
116 キャンロール
117 マグネトロンスパッタリングカソード
118 マグネトロンスパッタリングカソード
119 マグネトロンスパッタリングカソード
120 マグネトロンスパッタリングカソード
121 後フィードロール
122 張力センサロール
123 フリーロール
124 巻き取りロール
125 ガス放出パイプ
126 ガス放出パイプ
127 ガス放出パイプ
128 ガス放出パイプ
129 ガス放出パイプ
130 ガス放出パイプ
131 ガス放出パイプ
132 ガス放出パイプ
133 反射率測定プローブ
134 Y分岐光ファイバ束
135 安定化光源
136 光切換器(光チョッパー)
137 分光器
138 制御パソコン
139 流量計
140 ガス導入チューブ

Claims (5)

  1. 長尺樹脂フィルムを巻き出す巻き出しロールと、上記長尺樹脂フィルムを巻き取る巻き取りロールと、上記巻き出しロールと上記巻き取りロール間に設けられた冷却キャンロールと、上記冷却キャンロールの外周面近傍に沿ってそれぞれ設けられかつ上記冷却キャンロールの外周面に巻き付けられた上記長尺樹脂フィルム面に金属材と反応性ガスを用いた反応成膜法により金属吸収膜を形成する第一成膜手段並びに金属材を用いた成膜法により上記金属吸収膜上に金属膜を形成する第二成膜手段と、上記第一成膜手段へ上記反応性ガスを供給する反応性ガス供給手段を真空チャンバー内に備える成膜装置であって、
    上記第一成膜手段と上記第二成膜手段間における上記冷却キャンロールの外周面近傍部位に上記第一成膜手段で成膜された上記金属吸収膜の分光反射率を測定する反射率測定手段を設け、上記金属吸収膜における分光反射率の測定値と目標値とを比較して上記反応性ガス供給手段における上記反応性ガスの供給量を制御するようにした成膜装置において、
    上記反射率測定手段が、安定化光源と、該光源からの光を2光路に分配しその一方の光路を構成する測定光照射ファイバ束が上記真空チャンバー内に導入され他方の光路を構成する参照光照射ファイバ束が上記真空チャンバー外に配置されるY分岐光ファイバ束と、
    上記測定光照射ファイバ束と反射光受光ファイバ束から成りかつ上記冷却キャンロールの外周面に巻き付けられた上記長尺樹脂フィルムの上記金属吸収膜へ向けて上記測定光照射ファイバ束から測定光を照射し上記金属吸収膜からの反射光を上記反射光受光ファイバ束で受光して上記金属吸収膜の反射率を測定する反射率測定プローブと、該反射率測定プローブの上記反射光受光ファイバ束と上記参照光照射ファイバ束の各端部が上記真空チャンバー外において接続されかつ上記参照光照射ファイバ束の端部から出射される参照光と上記反射光受光ファイバ束の端部から出射される反射光を一定の時間毎に順次通過させる光切換器と、該光切換器を通過した上記参照光に基づき光源光量を測定しかつ測定された上記光源光量に基づき上記光切換器を通過した反射光の光量を補正して上記金属吸収膜の上記分光反射率を計測する分光器とで構成されていることを特徴とする成膜装置。
  2. 酸素と窒素の単体ガス若しくはこれ等の混合ガス、または、酸素と窒素を主成分とする混合ガスにより上記反応性ガスが構成されていることを特徴とする請求項1に記載の成膜装置。
  3. 樹脂フィルムから成る透明基板と該透明基板の片面若しくは両面に設けられた積層膜とで構成され、かつ、上記積層膜が上記透明基板側から数えて1層目の金属吸収膜と2層目の金属膜から成る積層体フィルムの製造方法において、
    目標とする分光反射率を有する上記金属吸収膜が、請求項1〜2のいずれかに記載の成膜装置を用いて形成されることを特徴とする積層体フィルムの製造方法。
  4. 上記金属吸収膜が、Ni単体、若しくは、Ti、Al、V、W、Ta、Si、Cr、Ag、Mo、Cuより選ばれる1種以上の元素が添加されたNi系合金、または、Cu単体、若しくは、Ti、Al、V、W、Ta、Si、Cr、Ag、Mo、Niより選ばれる1種以上の元素が添加されたCu系合金から成る金属材を成膜材料とし、請求項1〜2のいずれかに記載の成膜装置における上記第一成膜手段へ上記反応性ガスを導入する上記反応成膜法により形成されることを特徴とする請求項3に記載の積層体フィルムの製造方法。
  5. 樹脂フィルムから成る透明基板と該透明基板の片面若しくは両面に設けられた金属製の積層細線から成るメッシュ構造の回路パターンを有する電極基板フィルムの製造方法において、
    請求項3〜4のいずれかに記載の積層体フィルムの製造方法で製造された積層体フィルムにおける上記積層膜をエッチング処理して、上記金属製の上記積層細線に加工することを特徴とする電極基板フィルムの製造方法。
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