JP6277684B2 - 細胞積層体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、厚さ方向に複数の細胞が積層された細胞積層体の製造方法に関する。
コラーゲン等の培養担体上で細胞を培養させて製造される生体組織は細胞密度が低いため、医療目的の移植用組織として適したものではない。移植に適した、細胞密度が高い細胞シートなどの組織を製造する技術はテッシュエンジニアリングの分野において重要な技術であるといえる。しかしながら、従来の高細胞密度の生体組織の製造法には幾つかの問題点が存在する。
細胞を培養支持体上に播種し、細胞シートを形成することは一般に広く行われている。細胞シートの剥離を容易にする目的で、細胞接着面に温度応答性高分子化合物の層を設け、細胞の剥離を促進させる技術も開発されており、異物をほとんど含まない細胞シートの回収が可能である。しかしながらこの方法により形成される細胞シートは単層または3層以下の細胞層から構成されることが通常である。このため、多層化を行うには、細胞シートを複数重ね合わせることが必要である。細胞シートは極めて薄く、取り扱いが困難であるため、複数重ね合わせることは容易でなく手間がかかる。例えば非特許文献1には、ウサギより採取した軟骨細胞を、温度応答性高分子層を有する培養皿を用いてシート化し、3層積層化させるのに3週間要したとの記述がある。したがって、容易に多層の細胞積層体を作製できる方法の開発が求められていた。
特許文献1〜4には、遠心力等の加重によって細胞積層体を形成させ移植に供するという試みが記載されている。これらの方法は、一度に多層からなる細胞積層体を作製できることが特徴である。また特許文献4には、積層化された間葉系幹細胞を分化誘導させることにより厚みを有する軟骨細胞積層体を作製する手法が記載されている。
しかし、上記手法では、遠心直後の細胞積層体における細胞間接着が弱いため、ハンドリング性に乏しく破れやすいという課題が生じていた。特に細胞積層体のサイズが大きくなると回収の際に破れやすいことが問題となっていた。そのため、特許文献2〜4の手法では、遠心後に得られた細胞積層体に強度を付与するために1〜4週間にわたりインキュベーションを行う必要があった。
特開2010−161954号公報 特開2010−226962号公報 特開2010−46053号公報 特許第4620110号公報
Kaneshiro et al.,Biochemical and Biophysical Research Communications 349巻 723〜731ページ 2006年
本発明は、従来技術と比較して短時間で、回収が容易な強度を有する細胞積層体を得るための手段を提供することを目的とする。
本発明者らは、培養した細胞を、細胞間接着タンパク質が残存するような穏和な酵素処理に付して回収し、細胞非接着性の内底面を有する培養容器に添加し、内底面方向への遠心力を作用させて培養を行うことにより上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の発明を包含する。
(1)細胞積層体の製造方法であって、
a)培養した細胞を、細胞間接着タンパク質が残存するような穏和な酵素処理に付す工程と、
b)細胞非接着性の内底面を有する培養容器に、工程a)で酵素処理した細胞を添加する工程と、
c)培養容器に添加された細胞に内底面方向への遠心力を作用させながら細胞培養を行い、細胞積層体を形成する工程と、
d)工程c)において得られた細胞積層体を回収する工程と
を含む、前記方法。
(2)穏和な酵素処理が、5分以上の酵素処理により細胞が剥離する処理である、(1)に記載の方法。
(3)穏和な酵素処理が、酵素処理しない場合と比較して、細胞外に流出するタンパク質量が9.5倍以下となるような酵素処理である、(1)または(2)に記載の方法。
(4)穏和な酵素処理が、酵素処理しない場合と比較して、細胞外に流出するタンパク質量が1.8〜3.5倍となるような酵素処理である、(3)に記載の方法。
(5)細胞が軟骨細胞であり、酵素がトリプシンであり、穏和な酵素処理がトリプシン濃度0.0005〜0.1000質量%での処理である、(1)〜(4)のいずれかに記載の方法。
本発明によれば、従来技術と比較して短時間で、回収が容易な強度を有する細胞積層体を製造することができる。
図1は、酵素処理条件と得られる細胞シートの強度の関係を示す表である。 図2は、細胞シートの写真である。 図3は、細胞シートにおける細胞生死の解析結果を示す写真である。 図4は、培養容器と得られる細胞シートの強度の関係を示す表である。 図5は、酵素処理により細胞外に流出したタンパク質量を測定した結果を示すグラフである。 図6は、図5の結果を、酵素処理無しの場合を1とした場合の相対値で示したグラフである。 図7は、細胞シートの写真である。 図8は、酵素処理条件と得られる細胞シートの強度の関係を示す表である。 図9は、酵素処理により細胞外に流出したタンパク質量を測定した結果を示すグラフである。 図10は、図9の結果を、酵素処理無しの場合を1とした場合の相対値で示したグラフである。 図11は、細胞シートの層構造を示す写真である。
1.酵素処理工程
酵素処理工程は、培養した細胞を、細胞間接着タンパク質が残存するような穏和な酵素処理に付す工程である。
本発明に用いられる細胞としては接着性細胞であれば特に限定されない。そのような細胞としては、例えば、肝臓の実質細胞である肝細胞、クッパー細胞、血管内皮細胞や角膜内皮細胞などの内皮細胞、繊維芽細胞、骨芽細胞、砕骨細胞、歯根膜由来細胞、表皮角化細胞などの表皮細胞、気管上皮細胞、消化管上皮細胞、子宮頸部上皮細胞、角膜上皮細胞などの上皮細胞、乳腺細胞、ペリサイト、平滑筋細胞や心筋細胞などの筋細胞、腎細胞、膵ランゲルハンス島細胞、末梢神経細胞や視神経細胞などの神経細胞、軟骨細胞などの骨細胞などが挙げられる。
これらの細胞は、組織や器官から直接採取した初代細胞でもよく、あるいは、それらを何代か継代させたものでもよい。さらにこれら細胞は、未分化細胞である胚性幹細胞、多分化能を有する間葉系幹細胞などの多能性幹細胞、単分化能を有する血管内皮前駆細胞などの単能性幹細胞、分化が終了した細胞の何れであってもよい。また、細胞は単一種を培養してもよいし二種以上の細胞を共培養してもよい。
これらの細胞を、予め通常の方法で培養して増殖させ、細胞間接着タンパク質が残存するような穏和な条件で酵素処理することにより剥離する。培養液としては、当技術分野で通常用いられる細胞培養用培地であれば特に制限なく用いることができる。例えば、用いる細胞の種類に応じて、MEM培地、BME培地、DME培地、αMEM培地、IMDM培地、ES培地、DM−160培地、Fisher培地、F12培地、WE培地およびRPMI1640培地等、朝倉書店発行「日本組織培養学会編 組織培養の技術第三版」581頁に記載されているような基礎培地を用いることができる。さらに、基礎培地に血清(ウシ胎児血清等)、各種増殖因子、抗生物質、アミノ酸などを加えてもよい。また、Gibco無血清培地(インビトロジェン社)等の市販の無血清培地等を用いることができる。
ここで細胞培養に用いる培養容器は特に制限されないが、接着性細胞の培養に通常用いられる培養容器、例えば細胞接着性の表面を有する培養容器を用いることが好ましい。接着性細胞は培養容器に接着させることにより、効率的に増殖させることができる。細胞接着性を判断する指標として、実際に細胞培養した際の細胞接着伸展率を用いることができる。細胞接着性の表面は、細胞接着伸展率が60%以上の表面であることが好ましく、細胞接着伸展率が80%以上の表面であることが更に好ましい。細胞接着伸展率が高いと、効率的に細胞を培養することができる。本発明における細胞接着伸展率は、播種密度が4000cells/cm以上30000cells/cm未満の範囲内で培養しようとする細胞を測定対象表面に播種し、37℃、CO濃度5%のインキュベータ内に保管し、14.5時間培養した時点で接着伸展している細胞の割合({(接着している細胞数)/(播種した細胞数)}×100(%))と定義する。
一方、細胞非接着性とは、細胞が接着しにくい性質をいう。細胞非接着性の表面は、上記で定義した細胞接着伸展率が60%未満の表面であることが好ましく、40%未満の表面であることがより好ましく、5%以下の表面であることが更に好ましく、2%以下の表面であることが最も好ましい。
接着性細胞は、培養の際の培養容器の表面に接着して増殖するため、これを酵素処理により培養容器から剥離の上、培地中に懸濁させることにより回収することができる。
接着性細胞の培養に好適な培養容器を構成する材料の具体例としては、例えば、金属、ガラス、セラミック、シリコン等の無機材料、エラストマー、プラスチック(例えば、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ABS樹脂、ナイロン、アクリル樹脂、フッ素樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、メチルペンテン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、塩化ビニル樹脂)で代表される有機材料を挙げることができる。
従来の細胞積層体の製造方法は、酵素処理により細胞間接着を失った状態で遠心処理に付されるため、回収の際に細胞がバラバラになったり、細胞積層体を形成していても破れやすくハンドリング性に乏しかったり、という問題があった。本発明者らは、細胞積層体の回収を容易にする程度の強度を持たせるために、細胞間結合をある程度維持した状態で細胞を剥離回収すること、すなわち、細胞間接着タンパク質が残存するような穏和な酵素処理で細胞を剥離回収することが有効であることを見出した。
穏和な酵素処理として、例えば、細胞間接着に関与するタンパク質の一部を分解するとともに、遠心力付与下における培養において容易に細胞間接着を形成でき、かつ培養容器の内底面へ強固に接着しない程度に細胞間接着タンパク質が残存するような酵素処理を実施することが好ましい。細胞間接着タンパク質としては、コラーゲン、カドヘリン、ラミニンおよびエラスチンなどが挙げられる。
使用する酵素としては、プロテアーゼであれば特に制限されない。プロテアーゼは、ペプチド結合を加水分解する活性を有する酵素をさす。例えば、Tissue Culture Research Communications、27巻、139〜147ページ、2008年、に列記されている種類の酵素を用いることができる。酵素の具体例としては、トリプシン、キモトリプシンおよびスブチリシンなどのセリンプロテアーゼ、サーモリシンなどの金属プロテアーゼ、パパインおよびカスパーゼなどのシステインプロテアーゼ、ペプシンおよびカテプシンなどのアスパラギン酸プロテアーゼ、ディスパーゼ、パパイン、エラスターゼ、ヒアルロニダーゼならびにコラゲナーゼなどが挙げられる。
あまり弱い酵素を用いると剥離の際に長時間反応させる必要があり、またピペッティング等により物理的刺激を加えなければならない。そのため逆に死細胞が増加し細胞間接着が形成されにくく、細胞積層体が得られにくい場合もある。また、あまりに短時間の酵素処理で細胞剥離を行うと細胞表面の結合に用いられるタンパク質が過度に破壊されるため、細胞間接着が弱くなる場合がある。そのため、酵素の処理時間として、好ましくは5分以上、より好ましくは10分以上、さらに好ましくは15分以上であり、好ましくは240分以下、より好ましくは120分以下、さらに好ましくは60分以下の酵素処理により細胞が剥離するような穏和な酵素処理とする。
CaイオンやMgイオンなどの陽イオンを添加することにより、または血清を添加することにより酵素反応を弱めて、細胞が剥離するまでの酵素処理時間を長くすることも可能である。また、温度管理により、細胞が剥離するまでの酵素処理時間を調整することも可能である。
あるいは、穏和な酵素処理は、細胞を酵素処理しない場合と比較して、細胞外に流出するタンパク質量が9.5倍以下、好ましくは1.8〜3.5倍となるような酵素処理として定義することもできる。ここで、細胞外に流出するタンパク質量は、Bradford法で測定したタンパク質量をさす。より具体的には、Bradford法によるタンパク質測定用の溶液であるDye Reagent Concentrate(BIO RAD社)を用い、吸光プレートリーダーにより波長620nmでの吸光度を測定するとともに、ウシ血清アルブミンを用いて検量線を作成して測定したタンパク質量をさす。タンパク質量の測定において、酵素としてトリプシンを用いる場合、反応停止液として、好ましくはCaイオンおよびMgイオンを含むPBS(+)溶液を用いる。反応停止液として、動物由来の血清やオボムコイド溶液等のタンパク質を含む溶液を用いると、タンパク質量が変化するため好ましくない。
酵素処理により細胞外に流出するタンパク質量が上記のような範囲であれば、細胞間接着タンパク質が完全に失われることなく残存していると考えられる。したがって、細胞間接着に関与するタンパク質の一部が分解されるとともに、遠心力付与下における培養において容易に細胞間接着を形成でき、かつ培養容器の内底面へ強固に接着しない程度に細胞間接着タンパク質が残存していると考えられる。穏和な酵素処理とすることで、細胞間接着タンパク質が細胞外の溶液中に過度に流出するのを防ぎ、遠心処理時に細胞間接着を効率的に形成することができる。したがって、細胞積層体に十分な強度を付与できる。また、酵素処理をある程度の強度で行うことで、培養細胞の剥離および回収を担保できる。
より具体的には、細胞として軟骨細胞を用い、酵素としてトリプシンを用いる場合、穏和な酵素処理として、好ましくはトリプシン濃度0.0005〜0.1000質量%、より好ましくはトリプシン濃度0.0008〜0.0800質量%で酵素処理することにより細胞を剥離する。また、細胞として線維芽細胞を用い、酵素としてトリプシンを用いる場合、穏和な酵素処理として、好ましくはトリプシン濃度0.0020〜0.0400質量%、より好ましくはトリプシン濃度0.0025〜0.0300質量%で酵素処理することにより細胞を剥離することが好ましい。上記の場合の、酵素処理を行う時間は、細胞が剥離するまでの時間とすればよい。酵素処理の温度は、37℃とすることが好ましい。上記のような酵素処理条件とすれば、細胞間接着タンパク質の一部が分解されるとともに、遠心力付与下における培養において容易に細胞間接着を形成でき、かつ培養容器の内底面へ強固に接着しない程度に細胞間接着タンパク質を残存させることができる。したがって、回収が容易な強度を有する細胞積層体を短時間で製造することができる。
酵素処理に用いる酵素溶液には、一時的な細胞分散の観点からEDTAが含まれていることが好ましく、含まれているEDTAの濃度は、好ましくは0.48mM未満である。0.48mM未満とすることにより、カルモジュリン等の細胞間結合に働くタンパク質に作用するカルシウムイオン濃度がキレート作用によって失われ細胞間結合が弱くなり積層体が形成されなくなるのを防止できる。
2.細胞添加工程
細胞添加工程は、上記工程で酵素処理した細胞を、細胞非接着性の内底面を有する培養容器に添加する工程である。
ここで、酵素処理により剥離回収した細胞を培養容器に添加する際には、細胞を溶液に再懸濁させてこれを添加することが好ましい。細胞を懸濁させる溶液としては、特に制限されず、細胞が生存しうる各種培地や緩衝液など細胞の種類に応じて選択することができる。例えば、リン酸緩衝バッファー(PBS)、ハンクス緩衝液(HBSS)などが挙げられる。細胞の生存に最適な培地であることが好ましい。ただし、細胞生存の観点からpHは、好ましくは7.0〜7.6、より好ましくは7.2〜7.4の範囲とする。また細胞懸濁液には、細胞間接着タンパク質をさらに添加することにより細胞積層体の強度を向上させることもできるが、本発明においては酵素処理した細胞に細胞接着タンパク質が残存していることから、追加で添加しなくても、回収が容易な強度を有する細胞積層体を得ることができる。また、細胞生存性を向上させる観点から、細胞懸濁液に動物由来の血清を添加してもよい。
細胞添加工程で使用する培養容器は、細胞懸濁液を収容する容器部分の内表面のうち少なくとも内底面が細胞非接着性であればよいが、特に、細胞含有培養液を収容する容器部分の内表面のうち、細胞と接触する表面の全て(例えば容器の内底面および内側面)が細胞非接着性であることが好ましい。
本発明において、細胞非接着性である表面は、親水性膜を基材の表面上に形成することにより得ることができる。あるいは基材自体を親水性材料で構成してもよい。親水性膜を表面上に形成するための基材の材料は特に限定されず、具体的には、金属、ガラス、セラミック、シリコン等の無機材料、エラストマー、プラスチック(例えば、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ABS樹脂、ナイロン、アクリル樹脂、フッ素樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、メチルペンテン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、塩化ビニル樹脂)で代表される有機材料を挙げることができる。
親水性膜は、当技術分野で公知の方法で形成することができるが、例えば、水溶性高分子、水溶性オリゴマー、水溶性有機化合物、界面活性物質、両親媒性物質等の親水性有機化合物を直接吸着させる方法、基材へ親水性有機化合物を直接コーティングする方法、基材へ親水性有機化合物をコーティングした後に架橋処理を施す方法、基材への密着性を高めるために多段階式に親水性膜を形成させる方法、基材との密着性を高めるために基材上に下地層を形成し、次いで親水性有機化合物をコーティングする方法、基板表面に重合開始点を形成し、次いで親水性ポリマーブラシを重合する方法等を挙げることができる。
水溶性高分子材料としては、ポリアルキレングリコールおよびその誘導体、ポリアクリル酸およびその誘導体、ポリメタクリル酸およびその誘導体、ポリアクリルアミドおよびその誘導体、ポリビニルアルコールおよびその誘導体、双性イオン型高分子、多糖類、等を挙げることができる。分子形状は、直鎖状、分岐を有するもの、デンドリマー等を挙げることができる。より具体的には、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールの共重合体、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)、ポリ(N−ビニル−2−ピロリドン)、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(メタクリロイルオキシエチルフォスフォリルコリン)、メタクリロイルオキシエチルフォスフォリルコリンとアクリルモノマーの共重合体、デキストラン、およびヘパリンが挙げられるがこれらには限定されない。
水溶性オリゴマー材料や水溶性低分子化合物としては、アルキレングリコールオリゴマーおよびその誘導体、アクリル酸オリゴマーおよびその誘導体、メタクリル酸オリゴマーおよびその誘導体、アクリルアミドオリゴマーおよびその誘導体、酢酸ビニルオリゴマーの鹸化物およびその誘導体、双性イオンモノマーからなるオリゴマーおよびその誘導体、アクリル酸およびその誘導体、メタクリル酸およびその誘導体、アクリルアミドおよびその誘導体、双性イオン化合物、水溶性シランカップリング剤、水溶性チオール化合物等を挙げることができる。より具体的には、ジメチルアクリルアミド、エチレングリコールオリゴマー、(N−イソプロピルアクリルアミド)オリゴマー、メタクリロイルオキシエチルフォスフォリルコリンオリゴマー、低分子量デキストラン、低分子量ヘパリン、オリゴエチレングリコールチオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、2−〔メトキシ(ポリエチレンオキシ)−プロピル〕トリメトキシシラン、およびトリエチレングリコール−ターミネーテッド−チオールが挙げられるがこれらには限定されない。
親水性膜の平均厚さは、0.8nm〜500μmが好ましく、0.8nm〜100μmがより好ましく、1nm〜10μmがより好ましく、1.5nm〜1μmが最も好ましい。平均厚さが0.8nm以上であれば、基板表面の親水性膜で覆われていない領域の影響を受けにくいため好ましい。また、平均厚さが500μm以下であればコーティングが比較的容易である。
本発明で用いられる培養容器の内底面をはじめとする内表面の細胞接触領域は、細胞非接着性であることが、細胞積層体の剥離の容易性という観点から好ましいが、細胞培養時には細胞接着性であるが剥離の際に細胞非接着性に変化することが可能である表面であってもよい。このような表面は、温度応答性ポリマー、pH応答性ポリマーおよびイオン応答性ポリマーからなる群から選択される少なくとも1種の刺激応答性高分子が共有結合を基材の表面に固定化することにより形成することができる。刺激応答性高分子としては特に温度応答性ポリマーが好ましいがこれには限定されない。
本発明に好適に使用できる温度応答性ポリマーとしては、細胞培養温度下(通常、37℃程度)において疎水性を示し、培養した細胞積層体の回収時の温度下において親水性を示すものである。本発明に好適に使用できる温度応答性ポリマーは具体的には下限臨界溶解温度Tが0〜80℃、好ましくは0〜50℃であるポリマーが好ましい。そのような好適なポリマーとしてはアクリル系ポリマーまたはメタクリル系ポリマーが挙げられる。具体的には、ポリ−N−イソプロピルアクリルアミド(T=32℃)、ポリ−N−n−プロピルアクリルアミド(T=21℃)、ポリ−N−n−プロピルメタクリルアミド(T=32℃)、ポリ−N−エトキシエチルアクリルアミド(T=約35℃)、ポリ−N−テトラヒドロフルフリルアクリルアミド(T=約28℃)、ポリ−N−テトラヒドロフルフリルメタクリルアミド(T=約35℃)、およびポリ−N,N−ジエチルアクリルアミド(T=32℃)等が挙げられる。
3.遠心処理工程
遠心処理工程は、培養容器に添加された細胞に内底面方向への遠心力を作用させながら細胞培養を行い、細胞積層体を形成する工程である。本工程では、遠心力により細胞が内底面の形状に応じて内底面に密着した状態で、細胞同士が接着し、所望の形状の組織が形成される。
内底面方向とは、好ましくは内底面に垂直な方向である。内底面に垂直な方向とは、内底面に対し厳密に垂直であることを意図するものではなく、例えば、厳密に垂直な方向に対し、30°以内のずれがあってもよい。
遠心力の大きさは、細胞の機能に悪影響を与えることなく組織の形成が可能な範囲で適宜選択することができる。好ましくは2〜2000G、より好ましくは10〜1000G、より好ましくは50〜800Gで遠心力を付与する。遠心力処理においては、細胞懸濁液を収容した培養容器を遠心器に設置し、遠心操作を行うことで遠心力を付与することができる。
遠心時間に関しても、細胞の機能に悪影響を与えることなく組織の形成が可能な範囲で適宜選択することができる。好ましくは5分以上、より好ましくは60分以上、さらに好ましくは90分以上であり、好ましくは840分以内、より好ましくは720分以内、さらに好ましくは360分以内である。細胞間接着性をさらに向上させるために、遠心後にインキュベーションを行ってもよい。
細胞培養は、細胞間接着が形成される条件で行うことが好ましい。「細胞間接着が形成される条件」とは細胞が活動して細胞同士が接着できる条件を指す。培養する細胞の種類に応じて変動するが、例えば温度条件は20〜40℃が好ましく、雰囲気ガス条件としては二酸化炭素濃度が3〜5%であることが好ましい。
遠心処理工程では細胞間接着が形成されれば十分であり、細胞数を増殖により増やすことは必須ではない。培養液中における細胞数を適宜調節することにより、作製される細胞積層体の厚さ(すなわち厚さ方向の細胞積層数)を制御することが可能である。遠心処理工程において細胞の増殖を行う必要がないため、比較的短時間で細胞積層体を得ることができる。また細胞積層体の厚さ、形状を自在に調節することができる。
また本発明の方法によれば、細胞が高密度化された細胞積層体を得ることが可能となる。細胞が高密度化された細胞積層体は移植用途に好ましい。
4.回収工程
回収工程は、遠心操作終了後に、得られた細胞積層体を回収する工程である。例えばピペッティング操作などの簡単な物理的な操作よって、培養容器の内底面から細胞を剥離することができる。遠心処理工程で用いる培養容器は内底面が細胞非接着性であることから、この操作は容易であり短時間の培養で細胞積層体の作製および剥離回収が可能である。培養容器の内底面が刺激応答性高分子などの、細胞非接着性に変化する表面である場合には、細胞非接着性となるような環境(例えば下限臨界温度以下の温度)において剥離操作を行う。得られる細胞積層体は、好ましくは層構造、より好ましくは3層以上の層構造を有する細胞シートの形状であり、容易に回収可能な強度を有する。したがって、ハンドリングの際に破れにくく、移植用途に好ましい。
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明の範囲は実施例の範囲に限定されない。実施例において%は、特に記載がない限り、質量%をさすものとする。
<実施例1>繊維芽細胞の酵素処理条件の検討
繊維芽細胞であるCCL163細胞を細胞培養用の10cmポリスチレン製ディッシュ(Thermo Fisher Scientific社)中で、10%のウシ胎児血清(FBS)およびストレプトマイシン/ペニシリン(ライフテクノロジーズ社)を加えたDMEM培地(Sigma社)で増殖および維持させた。続いてコンフルエントに達した繊維芽細胞をCaイオンおよびMgイオンが含まれていないDPBS(−)溶液(Life Technologies社)で1度洗浄した後にトリプシン溶液(Life Technologies社)を用いて図1に示した酵素処理条件1〜7でそれぞれ剥離した。なおトリプシン溶液を希釈する際には上記DPBS(−)溶液を用いた。
剥離細胞を回収後、遠心した上で上清をアスピレーターにより吸引し、10%のFBS入りDMEM培地に再懸濁させ、3.5cmポリスチレン製ペトリディッシュ(Becton Dickinson社)に約3×10個播種した。培地を3ml加えて側面をパラフィルムにより封をした上で、37℃、CO濃度5%、遠心力190Gで3時間遠心することで、ディッシュの内底面方向へ遠心力を作用させ、細胞を積層化させた。
遠心後、得られた細胞シートの強度を評価した。結果を、酵素処理条件1〜7ごとに図1に示す。ディッシュを揺らしただけで細胞シートを回収できた場合は◎、ピペッティングにより回収できた場合は○、回収の際に細胞シートに破れができた場合は△、シート構造にならない、または細胞シートがディッシュ底面に完全に接着してしまい回収が困難であった場合は×とした。
また、酵素処理条件3で得られた細胞シートの写真を図2に示す。この結果より、細胞回収の際に穏和な酵素処理条件で、酵素反応に時間をかけることにより、得られる細胞シートの細胞間接着が強固になるため、細胞シートの強度が増し、回収が容易になることが示された。
<実施例2>細胞シートにおける細胞生死の解析
生細胞を染色するCalcein(濃度1μg/ml;和光純薬工業社)および死細胞を染色するPropidium iodide(PI;濃度1μg/ml;和光純薬工業社)を含ませたPBS溶液中で、実施例1の酵素処理条件3で作製した細胞シートを、37℃で15分間インキュベートさせた。その後、封入剤で封入した後に共焦点顕微鏡(Zeiss社)により観察および撮影を行った。
得られた写真を図3に示す。得られた細胞積層体は、ほぼCalcein陽性な生細胞であった。よって、穏和な酵素処理を長く実施しても細胞死が誘導されないことが示された。
<実施例3>酵素種依存性の解析
実施例1と同様の方法で増殖させ、コンフルエントに達したCCL163細胞に、Accutase原液(Innovative Cell Technologies社;EDTA濃度0.5mM)をDPBS(−)により10倍希釈したものを3ml添加し、37℃のインキュベータ内で加温することでCCL163細胞を剥離した。酵素反応を止めるためにDPBS(−)による希釈そして遠心を2回繰り返した。上清をアスピレーターにより吸引し、10%のFBS入りDMEM培地に再懸濁させ、3.5cmポリスチレン製ペトリディッシュ(Becton Dickinson社)に約3×10個播種した。培地を3ml加えて側面をパラフィルムにより封をした上で、37℃、CO濃度5%、遠心力190Gで3時間遠心することで、ディッシュの内底面方向へ遠心力を作用させ、細胞を積層化させた。
遠心後、得られた細胞シートは自然剥離し、容易に回収することができた。細胞剥離にかかった時間は20分であった。これより、本発明の効果は酵素種には依存しないことが示された。
<実施例4>培養容器依存性の解析
遠心処理工程で用いる培養容器として、以下の樹脂製ディッシュを用いた。
ディッシュ1:ポリスチレン製ペトリディッシュ(サーモフィッシャーサイエンティフィック社)
ディッシュ2:表面がポリエチレングリコールでコーティングされたポリスチレン製ディッシュ
ディッシュ3:表面がジメチルアクリルアミドでコーティングされたポリスチレン製ディッシュ(セルシード社、HydroCell)
ディッシュ4:細胞接着性向上のために酸素プラズマ処理による親水性処理を施したディッシュ(サーモフィッシャーサイエンティフィック社)
これらは全て3.5cmサイズのものを用いた。
上記ディッシュ2は、ポリスチレン製ペトリディッシュ(Becton Dickinson社)をポリエチレングリコール400(三洋化成社)でコーティングすることによる作製した(特開2013−11480号)。ポリエチレングリコールの表面付加はXPSによる表面分析で評価した。C1s、O1s、Si2pのスペクトルを測定したところコーティングを施していないディッシュはC−O成分が検出されなかったのに対して、コーティングを施したディッシュではポリエチレングリコール由来と考えられるC−O成分の割合が元素比に関して46.59%であった。
また、ディッシュ1〜4への細胞接着性を検討するため5×10個のCCL163細胞を播種し、37℃のインキュベータ内で24時間培養した上で光学顕微鏡(オリンパス社)によって細胞接着を観察した。その結果、ディッシュ1〜3において細胞接着は観察されなかったが、ディッシュ4においては細胞接着が観察された。すなわち、ディッシュ1〜3は細胞非接着性であるが、ディッシュ4は細胞接着性であることがわかった。
実施例1と同様の方法で増殖させ、コンフルエントに達したCCL163細胞を、図1の酵素処理条件7に従って剥離した。剥離細胞を回収後、遠心した上で上清をアスピレーターにより吸引し、10%のFBS入りDMEM培地に再懸濁させ、ディッシュ1〜4にそれぞれ約3×10個播種した。培地を3ml加えて側面をパラフィルムにより封をした上で、37℃、CO濃度5%、遠心力190Gで3時間遠心することで、ディッシュの内底面方向へ遠心力を作用させ、細胞を積層化させた。
遠心後、得られた細胞シートの強度を実施例1と同様に評価した。結果を、図4に示す。細胞接着性を有しないディッシュであれば細胞シートの回収ができるのに対し、細胞接着性を向上させるためにプラズマ処理を施したディッシュでは細胞が底面に接着してしまい、回収が困難であった。
<実施例5>細胞外流出タンパク質量の解析
実施例1と同様に、CCL163細胞を3.5cmポリスチレン製ディッシュ内でコンフルエントになるまで増殖させた。培地をアスピレーターで回収後、DPBS(−)で洗浄した後に実施例1における酵素処理条件1〜7で酵素処理を行った。なお酵素処理停止は500μlのDPBS(+)(Sigma社)を添加することによって行った。溶液を回収し1000rpmで5分間遠心した上で上澄みを回収し各種測定用サンプルとした。
これ以外に、酵素処理を行わずに、DPBS(−)を500μl添加し、30分間37℃でインキュベーションさせた上で、同様にDPBS(+)を500μl入れ、遠心処理を行うことで、酵素処理無しサンプルを作製した。
Bradford法によるタンパク質測定用の溶液であるDye Reagent Concentrate(BIO RAD社)を50μlずつ96穴プレート(Becton Dickinson社)に添加し、上記で調製した各サンプルを150μlずつ添加した。その後、吸光プレートリーダー(TECAN社)により波長620nmでの吸光度を測定した。また検量線を作成するために別途、ウシ血清アルブミン(和光純薬工業社)を濃度0〜200μg/mlの範囲でPBSに希釈したサンプルを作製し、同様の方法に従い吸光度を測定した。
タンパク質量を測定した結果を図5に示す。また酵素処理無しの場合を1とした場合の相対値で示した結果を図6に示す。この結果と図1の結果から、タンパク質流出量が酵素処理無しのコントロールの場合と比較して9.5倍以下である条件が好ましく、1.8〜3.5倍の範囲にあるが条件がより好ましいことがわかる。
<実施例6>細胞種依存性の解析
正常ラット軟骨由来のMK442細胞(タカラバイオ社)を用いて細胞積層体を作製した。培地は10%FBSを含んだRPMI 1640培地(Sigma社)に25μg/mlのアスコルビン酸(和光純薬工業社)およびストレプトマイシン/ペニシリン(ライフテクノロジーズ社)を添加した物を用いた。
上記細胞を0.05%トリプシンにより5分間37℃にて酵素処理することで細胞を剥離した。その後、ピペッティングにより細胞をほぐした上で口径40μmのメッシュフィルター(Becton Dickinson社)を通して細胞塊を除外し、細胞非接着性の3.5cmポリスチレン製ペトリディッシュ上に細胞数1×10個で播種した。その後、実施例1と同じく遠心力190Gで3時間遠心することで、ディッシュの内底面方向へ遠心力を作用させ、細胞を積層化させた。
比較例として温度応答性ポリマーが表面にコーティングされた3.5cmUpCell(セルシード社)に5×10個のMK442細胞を播種してコンフルエントになるまで増殖させた後に20℃環境に40分間置くことで軟骨細胞をシート状に剥離し違いを見た。
その結果、図7のような細胞シートを回収することができた。したがって、本発明の方法による細胞シートの作成および回収は細胞種に依存しないことが判明した。さらに遠心処理を行わず、温度応答性ポリマーを用いて細胞シートの作製と剥離を行った比較例では、回収された細胞シートが収縮していたのに対して、本実施例では細胞シートの収縮は見られずディッシュと同じ直径約3.5cmを有していた。よって、収縮しない細胞シートを得る方法として有用であることが示された。
<実施例7>軟骨細胞の酵素処理条件の検討
実施例1記載の方法に倣って軟骨細胞の場合でも細胞培養後の酵素処理条件によって、回収される細胞シートに差が見られるかどうかを検討した。
実施例6記載の方法により増殖させた軟骨細胞を、図8記載のトリプシン濃度条件でそれぞれ酵素処理し、剥離するまでの時間をそれぞれ測定した(酵素処理条件1〜4)。その後、実施例6と同様に遠心処理を行い、細胞シートを作製した。細胞播種数や遠心条件等は実施例6と同じである。
測定した剥離時間、回収された細胞シートの強度を評価した結果を図8に示す。細胞シートの強度は、実施例1と同様に評価した。これより剥離に要する時間と細胞シート強度の関係は細胞種に依存しないことが判明した。
<実施例8>細胞外流出タンパク質量の解析
実施例7で用いた軟骨細胞の場合について、細胞外へのタンパク質の流出量を解析した。
3.5cmポリスチレン製ディッシュ上でコンフルエントになるまで培養を行ったサンプルを複数作製し、トリプシン処理、細胞外流出タンパク質溶液の回収およびタンパク質流出量の測定を、実施例5の方法に従って行った。トリプシン処理は、実施例7の酵素処理条件1〜4に従った。
タンパク質量を測定した結果を図9に示す。また酵素処理無しの場合を1とした場合の相対値で示した結果を図10に示す。この結果と図8の結果から、実施例5の場合と同様に、タンパク質流出量が、酵素処理無しのコントロールの場合と比較して9.5倍以下である条件が好ましく、1.8〜3.5倍の範囲にある条件がより好ましいことがわかる。
<実施例9>細胞シートの層構造の解析
実施例1および実施例6で作製した細胞シートをパラフィン包埋機(Leica社)により包埋した。薄切機で厚さ5μmの切片を作製した上でヘマトキシリン・エオジン染色(HE染色)を所定のプロトコールに従い、染色した。染色の様子は光学顕微鏡(オリンパス社)により観察した。
結果を図11に示す。これより得られた細胞シートが層構造を成していることが示された。

Claims (3)

  1. 細胞積層体の製造方法であって、
    a)培養した細胞を、細胞間接着タンパク質が残存するような穏和な酵素処理に付す工程と、
    b)細胞非接着性の内底面を有する培養容器に、工程a)で酵素処理した細胞を添加する工程と、
    c)培養容器に添加された細胞に内底面方向への遠心力を作用させながら細胞培養を行い、細胞積層体を形成する工程と、
    d)工程c)において得られた細胞積層体を回収する工程と
    を含み、
    穏和な酵素処理が、酵素処理しない場合と比較して、細胞外に流出するタンパク質量が1.8〜3.5倍となるような酵素処理である、前記方法。
  2. 穏和な酵素処理が、5分以上の酵素処理により細胞が剥離する処理である、請求項1に記載の方法。
  3. 細胞が軟骨細胞であり、酵素がトリプシンであり、穏和な酵素処理がトリプシン濃度0.00100.0500質量%での処理である、請求項1又は2に記載の方法。
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