JP6276584B2 - 塗工紙 - Google Patents

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Description

本発明は、塗工紙に関する。
文庫本等の書籍は、所定の大きさの印刷用紙に平台印刷(枚葉印刷)し、印刷した印刷用紙を折り畳んでから断裁して製本することが多い。このような印刷用紙としては、約7割が非塗工紙で約3割が塗工紙であり、一般に文庫本用の塗工紙は基紙の表面に微量の塗工層を設けた塗工紙が使用される。
近年の平台印刷に供される印刷用紙は、印刷効率の向上を図るためいわゆる印刷寸法において、2A列等の人手で紙揃えを行うには困難な大きさの用紙が用いられる様になり、さらに7000回転もの高速で紙送りが行われながら、搬送性、印刷適性、断裁加工性、製本後の捲り性等の様々な要求を満たすことが求められている。例えば、このような、2A列を超えるような大判の印刷用の塗工紙は低湿度環境では、脱湿による水分の変動により印刷用紙の表面がうねるような凹凸形状になり易い傾向にある。このような状態で印字すると、印刷部の凹凸(いわゆるボコツキ)がさらに強調され、印刷物としての品質が著しく劣るなどの問題が生じる。このような塗工紙への様々な要求に関して、塗工紙の印刷適性を向上させる提案が従来なされているが(特開2013−53377号公報参照)、2A列を超えるような大判の平台印刷用紙特に塗工紙においては充分な改善を得ることができない。
また、近年、コスト合理化の面から印刷用塗工紙の軽量化が進んでいる。しかしながら、塗工紙の軽量化により、塗工紙のこわさ又は紙腰が低下し、印刷や搬送の際の塗工紙の取り扱いが難しくなってきており、特に2A列を超えるような大判の平台印刷用の塗工紙においてはその影響が顕著に生じている。例えば塗工紙のこわさ又は紙腰の指標としては、クラーク剛度が使用されるが、文庫本用紙として用いられるようになっている低坪量の塗工紙の中には、クラーク剛度が低い(腰が無い)ものが増えてきており、2A列を超えるような大判の平台印刷用の塗工紙を用いても作業効率の低下を招かない平台印刷に供される印刷用の塗工紙の開発が望まれている。
印刷及び製本の工程では、印刷用の塗工紙を正確に印刷機等の装置に供給するために、多数の印刷用の塗工紙を積み重ね、エアーや振動によって用紙端を揃える紙揃え装置(ジョガー)が使用される。また、印刷後の製本用用紙を紙揃え装置(ジョガー)を用い紙揃え後製本機に供する用い方もなされている。しかしながら、クラーク剛度が小さい塗工紙は、紙揃え装置における紙揃えが不完全になり易く、印刷機や製本機への紙送りの際に、紙揃え不良に起因して複数の用紙をピックアップして重送してしまう捌き不良が発生する危険性が高まる。このため、低坪量の塗工紙の印刷においては、人手により紙揃えを完全にする作業が必要とされ、作業効率が低下する場合がある。
経験上、紙揃え不良の原因として、紙の滑り、腰(いわゆる剛度)、カールが起因と考えられ、特に冬場の低湿度の環境で発生し易い。これは、低湿環境では脱湿による印刷用の塗工紙の水分低下によって柔軟性が低下したり紙のボコツキが生じること、さらにはカールが生じ易くなることにより、積層された印刷用の塗工紙同士が局部的に強く接触して摩擦が増大することに起因すると考えられる。また、紙揃え不良は、塗工紙において発生し易い。これは、塗工紙の塗工面は顔料と接着剤を主成分とする塗工層を有することによって、紙腰が低下すること及び塗工層の状態(顔料又はバインダの種類や量)によっては、積層された場合に互いに滑り難くなることも一因と考えられる。
従来、塗工紙の紙揃え性に関して、紙揃え装置についての提案はなされているが(特開2008−207903号公報参照)、2A列を超えるような大判の平台印刷用の塗工紙を用いても紙揃え不良を防止して作業効率の低下を招かないようにできるまでには至っていない。一方、塗工紙自体の紙揃え性に着目した提案は見当たらず、塗工紙の紙揃え性には改善の余地がある。
特開2013−53377号公報 特開2008−207903号公報
そこで、本発明は、上述のような事情に基づいてなされたものであり、紙揃え性の高い塗工紙を提供することを課題とする。
上記課題を解決するためになされた発明は、原料パルプ及び填料を含有する基紙の両側表面に、顔料及び接着剤を含有する塗工液を塗工してなる塗工紙であって、坪量が64g/m以下であり、一枚あたりの面積をS(m)、坪量をG(g/m)、縦方向のクラーク剛度をCt、横方向のクラーク剛度をCy、縦方向の引張強さをTt(kgf)、横方向の引張強さをTy(kgf)、及び表側表面と裏側表面との間の静摩擦係数をKとした場合、下記式(1)により算出される判定値D1が55以上であることを特徴とする。
D1={(Ct+Cy)/G}×{100/(S×G×K)}×(Ty/Tt)1/2 (1)
塗工紙の坪量が上記上限を超える場合、剛度が十分大きくなるので湿度環境の変化による影響が少なく、揃え不良が生じることが少ない。よって、本発明は、上記課題に対応して、坪量が上記上限値以下であるものだけを対象とする。上記式(1)において、(Ct+Cy)/Gは、当該塗工紙の横方向のクラーク剛度(Cy)、縦方向のクラーク剛度(Ct)及び坪量G(g/m)から構成され、単位坪量当たりの折れ曲がり難さを表す指標であり(以後、指標R1と呼ぶことがある)、大きいほど紙揃え性が高い。また、式(1)において、S×G×K)は、一枚あたりの面積S(m)、坪量G(g/m)及び表側表面と裏側表面との間の静摩擦係数Kを掛け合わせたものであって、塗工紙一枚当たりの自重による摩擦力の指標である(以後、指標R2と呼ぶことがある)。よってこの指標R2は、小さいほど紙揃え性が高い。また、この指標R2は、紙揃え性に対する影響が指標R1よりも大きい。さらに、式(1)において、(Ty/Tt)1/2は、横方向の引張強さ(Ty)を縦方向の引張強さ(Tt)で除したいわゆるY/T比であり、塗工紙全般のしなやかさの指標である(以後、指標R3と呼ぶことがある)。この指標R3は、大きいほど紙揃え性が高いが、影響力は上記指標R1及びR2よりも小さい。よって、これらの指標を各要素の重要性に応じて組み合わせた判定値D1が大きいほど紙揃えが容易であり、一定の値より大きければ、十分な紙揃え性を有すると考えられる。このため、当該塗工紙は、上記判定値D1を上記下限以上とすることにより、より良好な紙揃え性を有する。
坪量をG(g/m)、圧力20kg/cmのソフトバッキングで測定したプリントサーフ表面粗さをP(μm)及び白紙光沢度をW(%)とした場合、下記式(2)により算出される判定値D2としては、9以上27以下が好ましい。上記判定値D2をこのような範囲とすることにより、当該塗工紙間の摩擦が大きくならず、当該塗工紙同士の付着も抑制できるので、紙揃え性を担保できる。
D2=G×P/W (2)
両側表面の白紙光沢度としては、9%以上20%以下が好ましく、表側表面と裏側表面との間の静摩擦係数としては、0.40以上0.50以下が好ましい。このように、白紙光沢度が上記範囲内であることにより、平滑性が過度に高くないので隣接紙に対する付着を防止できる。また、当該塗工紙は、表側表面と裏側表面との間の静摩擦係数が上記範囲内であることにより、過度の摩擦を生じない。この結果として、当該塗工紙はより良好な紙揃え性を有する。
当該塗工紙において、上記原料パルプが機械パルプを含み、上記填料が炭酸カルシウムを含み、上記顔料が炭酸カルシウム及びクレーを含むことが好ましく、上記原料パルプにおける上記機械パルプの含有量としては35質量%以上65質量%以下が好ましく、上記填料における上記炭酸カルシウムの中で粒子径が2μm以下であるものの割合としては70体積%以上80体積%以下が好ましく、上記顔料における上記炭酸カルシウムの中で粒子径が2μm以下であるものの割合としては90体積%以上が好ましく、上記クレーの粒子径の体積分布におけるピーク値としては2μm以上5μm以下が好ましく、上記クレーの中で粒子径が2μm以上5μm以下であるものの割合としては45体積%以下が好ましい。当該塗工紙は、原料パルプとして機械パルプを含むことにより、嵩高性及び比較的高い剛度を備えるので、変形による隣接紙との局所的な接触による摩擦を生じ難く、紙揃えが容易になる。また、当該塗工紙は、填料として炭酸カルシウムを含み、顔料として炭酸カルシウム及びクレーを含むことにより、表面が十分な平滑性を有するので塗工紙同士の滑りがよくなるので、より良好な紙揃え性を有する。
当該塗工紙において、上記原料パルプにおける漂白処理をした機械パルプの含有量としては30質量%以上60質量%以下が好ましく、上記顔料における上記炭酸カルシウムの上記クレーに対する質量の比としては30:70以上50:50以下が好ましく、圧力20kg/cmのソフトバッキングで測定したプリントサーフ表面粗さ(PPS平滑度)としては3μm以上6μm以下が好ましく、表側表面と裏側表面との間の滑り角度としては26.5度以下が好ましく、横方向のクラーク剛度としては縦方向のクラーク剛度の40%以上かつ17以上が好ましい。このように漂白処理をした機械パルプを使用することで、適度な剛度を確保しやすく所謂文庫本用紙としての色目の調整が容易になり、印刷した活字が小さい場合の精細印字や印刷インクの見栄え向上効果が得られる。また、上記のような物性等を有することにより、当該塗工紙は、より紙揃え性に優れ、印刷及び製本の作業効率が高くなる。
ここで、「坪量」とは、JIS−P−8124(2005)に準拠して測定される値である。「クラーク剛度」とは、JIS−P−8143(2009)に準拠して測定される値である。「引張強さ」とは、JIS−P−8113(2009)に準拠して測定される値である。表側表面と裏側表面との間の「静摩擦係数」とは、JIS−P−8147(2010)に規定されるように「滑り角度」の正接(tanθ)として算出される。表側表面と裏側表面との間の「滑り角度」とは、JIS−P−8147(2010)に準拠し、当該塗工紙の表側表面と裏側表面とが当接するよう配置して測定される値である。「プリントサーフ表面粗さ」とは、JIS−P−8151(2004)に準拠して測定される値である。「白紙光沢度」とは、JIS−P−8142(2005)に準拠して測定される値である。
また、「粒子径」とは、レーザー回折法により測定される値であり、例えば日機装株式会社の「マイクロトラックMTII−3000」を用いて測定できる。また、粒子径の「ピーク値」とは、粒子径の体積分布において最も頻度が高い粒子径の値を意味する。また、「縦方向」とは基紙の抄紙方向に沿った方向であり、「横方向」とは基紙の抄紙方向に直交する方向である。また、「質量」とは絶乾質量をいう。
以上説明したように、当該塗工紙は、紙揃え性が高く、印刷及び製本工程の効率を向上できる。特に、当該塗工紙は文庫本用の印刷用紙として好適に使用できる。
以下、本発明の実施の形態を詳説する。
[塗工紙]
当該塗工紙は、基紙と、この基紙の両側表面に形成された塗工層とを備える。
<基紙>
当該塗工紙の基紙は、原料パルプ及び填料を含有し、さらに、サイズ剤、サイズ定着剤、歩留向上剤、紙力増強剤等を適宜含有し得る。この基紙は、原料パルプ及び填料を含有するスラリーを抄紙して得られる。
〔原料パルプ〕
原料パルプは、必須要素として機械パルプを含む。また、原料パルプは、機械パルプ以外に、化学パルプ、セミケミカルパルプ、合成パルプ等を含んでもよい。また、これらの原料パルプの一部は、機械パルプ、化学パルプ等を含んだ古紙パルプとして提供されてもよい。
機械パルプは、吸油性があるため当該塗工紙の印刷適性を向上し、また塗工紙の嵩及び剛度を大きくする作用を有する。一方、化学パルプは、繊維が長く当該塗工紙の強度を高め、紙揃え性を向上させる。
上記原料パルプに含有する機械パルプとしては、砕木パルプ(GP)、リファイナーグランドパルプ(RGP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)等の一種又は複数種が利用できる。
一方、上記原料パルプに含有する化学パルプとしては、クラフトパルプ(KP)、サルファイドパルプ(SP)、アルカリパルプ(AP)等の一種又は複数種が利用できる。
上記機械パルプ及び化学パルプは、漂白処理をした晒パルプ(BP)であってもよく、漂白処理をしていない未晒パルプ(UP)であってもよく、これら晒パルプ及び未晒パルプの両方を含んでもよい。ただし、機械パルプは、機械パルプ化後にさらに漂白処理をしたものを含むことが好ましい。機械パルプは元来含有するリグニンに起因する黄色味を呈しているが、機械パルプに漂白処理を施すことで白色化することができる。これにより、当該塗工紙を印刷用紙として使用したときに色目の調整が容易になると共に、印刷インクの見栄えを向上できる。
また、上記古紙パルプとしては、雑誌古紙又はチラシ古紙から再生した雑誌古紙脱墨パルプ、新聞古紙脱墨パルプ等の一種又は複数種が利用できる。
上記原料パルプにおける機械パルプの含有量の下限としては、35質量%が好ましく、45質量%がより好ましく、50質量%がさらに好ましい。一方、上記機械パルプの含有量の上限としては、65質量%が好ましく、60質量%がより好ましい。上記機械パルプの含有量の範囲とすることで、64g/m以下の米坪であっても、文庫本用紙として好適な紙厚(嵩高性)、剛度(手肉感)、捲り易さを付与することが容易となる。
また、上記原料パルプにおける漂白処理をした機械パルプの含有量の下限としては、30質量%が好ましく、35質量%がより好ましい。一方、上記漂白処理をした機械パルプの含有量の上限としては、60質量%が好ましく、55質量%がより好ましい。機械パルプは元来含有するリグニンに起因する黄色系を呈しているが、機械パルプに漂白処理を施すことで白色化することができる。漂白処理をした機械パルプの含有量を上記範囲とすることで、文庫本用紙として、眼精疲労を生じさせない、印刷インクの見栄えが良い等の点で好適な色合いに調整することが容易となる。
〔填料〕
填料は、炭酸カルシウムを必須成分として含む。填料は、好ましくは他の材料よりも質量割合が多い主成分として、より好ましくは50質量%以上炭酸カルシウムを含む。炭酸カルシウムは、当該塗工紙に不透明性を付与し、白色度を向上させる。填料中の炭酸カルシウムとしては、不透明度向上効果に優れ、かつ比較的安価である重質炭酸カルシウムが好ましい。
この填料中の炭酸カルシウムの体積平均粒子径の下限としては、1.40μmが好ましく、1.45μmがより好ましい。一方、填料中の炭酸カルシウムの体積平均粒子径の上限としては、2.00μmが好ましく、1.95μmがより好ましい。填料中の炭酸カルシウムの体積平均粒子径を上記範囲とすることにより、当該塗工紙に十分な白色度、不透明度及びインキ受理性を付与できる。
この填料中の炭酸カルシウムの中で粒子径が2μm以下であるものの割合としては70体積%以上80体積%以下が好ましい。粒子径が2μm以下であるものの割合が上記下限未満の場合、基紙に隙間が多くなり、当該塗工紙の不透明性及び白色度が低くなるおそれがある。また、粒子径が2μm以下であるものの割合が上記上限を超える場合、パルプ間の大きな隙間を埋めることができず、やはり当該塗工紙の不透明性及び白色度が低くなるおそれがある。填料に使用する炭酸カルシウムとして、複数種類の炭酸カルシウムを混合して、上記平均粒子径及び粒度分布を満たすように調整してもよい。
上記填料の添加量の下限としては、原紙の灰分の含有量として、5質量%が好ましく、6質量%がより好ましい。一方、上記灰分含有量に換算した填料の添加量の上限としては、10質量%以下が好ましく、9質量%以下がより好ましい。填料の添加量が上記下限未満の場合、当該塗工紙の不透明性及び白色度が不十分となるおそれがある。また、填料の添加量が上記上限未満の場合、当該塗工紙の剛性が低くなり、紙揃え性を損なうおそれがある。ここで、「灰分の含有量」とはJIS−P−8251(2003)に準拠して測定される値である。
基紙の坪量の下限としては、38g/cmが好ましく、41g/cmがより好ましい。基紙の坪量が上記下限未満の場合、当該塗工紙の強度が不足するおそれがある。一方、基紙の坪量の上限としては、特に限定されないが、上述の当該塗工紙の坪量の上限及び後述する塗工層の塗工量の下限を満たし得る範囲でなければならない。
<塗工層>
当該塗工紙の塗工層は、上記基紙の両側表面に顔料及び接着剤を含む塗工液を塗工(上塗り塗工)することによって形成される。すなわち、上記塗工層は顔料及び接着剤を含有する。
上記塗工層の片面あたりの塗工量(絶乾質量)の下限としては、4g/mが好ましく、5g/mがより好ましい。塗工量が上記下限未満の場合、当該塗工紙に十分な印刷適性が得られないおそれがあり、当該塗工紙が特に好適に用いられる用途である文庫本用紙において手肉感が劣りページ捲り性等の使用感が不十分となるおそれがある。一方、上記塗工層の片面あたりの塗工量の上限としては、特に制限されないが、上述の当該塗工紙の坪量の上限及び上述の基紙の坪量の下限を満たし得る範囲でなければならない。
〔顔料〕
顔料は、炭酸カルシウム及びクレーを必須成分として含む。顔料は、好ましくは他の材料よりも質量割合が多い主成分として、より好ましくは30質量%以上炭酸カルシウム及びクレーを含む。また、顔料は、古紙処理工程から排出される脱墨フロスを主原料とする再生粒子等を含んでもよい。
(炭酸カルシウム)
顔料中の炭酸カルシウムは、当該塗工紙に、白色度、不透明度及びインキ受理性を付与する。顔料中の炭酸カルシウムとしては、高濃度での塗工が可能であり、バインダーマイグレーションの発生を抑制できる重質炭酸カルシウムが好ましい。
この顔料中の炭酸カルシウムの体積平均粒子径の下限としては、1.0μmが好ましく、1.2μmがより好ましい。上限としては、1.6μmが好ましく、1.4μmがより好ましい。
また、顔料中の炭酸カルシウムにおいて、粒子径が2μm以下であるものの割合の下限としては、90体積%が好ましい。粒子径が2μm以下であるものの割合が上記下限未満の場合、当該塗工紙表面の平滑度が低くなり、摩擦が増大して紙揃え性が不十分となるおそれがある。顔料に使用する炭酸カルシウムとして、複数種類の炭酸カルシウムを混合して、上記平均粒子径及び粒度分布を満たすように調整してもよい。
(クレー)
顔料中のクレーは、当該塗工紙に、白紙光沢度及び平滑度を付与する。
この顔料中のクレーの粒子径のピーク値の下限としては、2μmが好ましい。一方、クレーの粒子径のピーク値の上限としては、5μmが好ましい。クレーの粒子径のピーク値が上記下限未満の場合、粒子径が小さすぎてクレーが基紙の中に入り込み、当該塗工紙の平滑性向上に寄与できなくなるおそれがある。また、クレーの粒子径のピーク値が上記上限を超える場合、平滑性向上効果が頭打ちになり更なる平坦性向上効果が得られないおそれがある。また、過剰なクレーの含有はコストメリットがない。
この顔料中のクレーは、幅の広い粒度分布を有することが好ましい。具体的には、クレーは、粒子径が上記ピーク値の好ましい範囲である2μm以上5μm以下であるもの割合が45体積%以下であり、粒子径が2μm未満であるもの及び粒子径が5μmを超えるもの、つまり上記範囲を外れるものの合計割合が55体積%を超えることが好ましい。このようにクレーが広い粒度分布を有することにより、大きなクレーの間を小さなクレーが埋めることになり、被覆性が高く、平滑度の高い表面を形成できる。顔料に使用するクレーとして、複数種類のクレーを混合して、上記平均粒子径及び粒度分布を満たすように調整してもよい。
塗工層に含まれる顔料中の炭酸カルシウムの質量のクレーに対する質量の比の下限としては、30:70が好ましい。一方、上記質量の比の上限としては、50:50が好ましい。炭酸カルシウムとクレーとの質量の比をこのような範囲とすることにより、白色度、不透明度、インキ受理性、白紙光沢度及び平滑度のバランスを最適化できる。
〔接着剤〕
上記接着剤としては、特に限定されず公知のものを用いることができ、例えばラテックス系接着剤、合成樹脂系接着剤、蛋白質類、澱粉類、セルロース誘導体等が挙げられる。中でも、ラテックス系接着剤と澱粉類とを使用することにより、塗工層の均一性を向上できる。
ラテックス系接着剤としては、共役ジエン系ラテックス、アクリル系ラテックス、ビニル系ラテックス、及びこれらを変性したラテックス類の1種又は複数種を主成分とするものが使用される。共役ジエン系ラテックスとしては、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体ラテックス、スチレン−メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体ラテックス等がある。アクリル系ラテックスとしては、アクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルの重合体ラテックス若しくはそれらの共重合体ラテックス等がある。ビニル系ラテックスとしては、エチレン−酢酸ビニル重合体ラテックス等がある。変性したラテックス類としては、上記各種共重合体ラテックスをカルボキシル基等の官能基含有単量体で変性したアルカリ部分溶解性又は非溶解性のラテックス等がある。
澱粉類としては、酸化澱粉、陽性化澱粉、エステル化澱粉、デキストリン等の1種又は複数種が使用される。
上記塗工層(塗工液)には、上記顔料及び接着剤の他にも、滑剤、蛍光増白剤、蛍光増白剤の被染着物質、消泡剤、離型剤、着色剤、保水剤等の通常使用される各種助剤を1種又は複数種含有できる。
当該塗工紙の搬送性を向上させるための滑剤としては、例えば流動パラフィン、マイクロクリスタリンワックス、天然パラフィン、合成パラフィン、ポリオレフィンワックス及びこれらの部分酸化物、フッ化物、塩化物等の脂肪族炭化水素系滑剤、高級脂肪族アルコール、天然油脂からの分離精製品又は合成品等の高級脂肪酸系滑剤、ステアリン酸アマイド、パルチミン酸アマイド、ビスアマイド等の脂肪酸アマイド系滑剤、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛−ステアリン酸バリウム複合体、ステアリン酸亜鉛−ステアリン酸カルシウム複合体等の金属石鹸系滑剤、一価アルコールの高級脂肪酸エステル、多価アルコールの高級脂肪酸(部分)エステル、モンタンワックス及びその部分加水分解物等の脂肪酸エステルが挙げられる。
特に、好適に用いられる滑剤は、流動パラフィン、マイクロクリスタリンワックス、天然パラフィン、合成パラフィン、ポリオレフィンワックス及びこれらの部分酸化物、フッ化物、塩化物等の脂肪族炭化水素系滑剤、並びにステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛−ステアリン酸バリウム複合体、ステアリン酸亜鉛−ステアリン酸カルシウム複合体等の金属石鹸系滑剤である。
またこれらの滑剤は、単独で、又は2種類以上を組み合わせて用いることも可能である。塗工層における滑剤の含有量(固形分)の下限としては、0.2質量%が好ましく、0.5質量%がより好ましい。一方、塗工層における滑剤の含有量の上限としては、2.0質量%が好ましく、1.5質量%がより好ましい。滑剤の含有量が上記下限未満の場合、当該塗工紙の表側表面と裏側表面との間の摩擦係数を小さくすることができず、搬送性及び紙揃え性が不十分となるおそれがある。また、滑剤の含有量が上記上限を超える場合、搬送時の滑りの発生、塗工層強度の低下等の問題を招来するおそれがある。
<塗工紙の物性>
当該塗工紙の坪量の下限としては、52g/mが好ましく、55g/mがより好ましく、58g/mがさらに好ましい。一方、当該塗工紙の坪量の上限としては、64g/mであり、62g/mが好ましく、60g/mがより好ましい。坪量が上記下限未満の場合、当該塗工紙の紙力が不十分となり、紙揃装置において変形して紙揃えを阻害するおそれが有る。また、坪量が上記上限を超える場合、充分な剛度が確保でき、温湿度変化による影響を受け難いことにより紙揃え不良が発生し難いので、本発明を適用する効果が小さく、また、文庫本用紙として過重になり好ましくない。
また、当該塗工紙の両側表面の白紙光沢度の下限としては、9%が好ましく、12%がより好ましく、14%がさらに好ましい。一方、上記白紙光沢度の上限としては、20%であり、18%がより好ましい。白紙光沢度が上記下限未満の場合、当該塗工紙の捲り性が不十分となったり、当該塗工紙を使用した書籍が高級感のない廉価な印象となる。また、白紙光沢度が上記上限を超える場合、表面の平滑度が高くなり、接面する塗工紙同士が密着して互いに付着し合うことにより紙揃え性が不十分となる。
また、当該塗工紙の圧力20kg/cmのソフトバッキングで測定したプリントサーフ表面粗さの下限としては、3μmが好ましく、4.5μmがより好ましい。一方、このプリントサーフ表面粗さの上限としては、6μmが好ましく、5.5μmがより好ましい。プリントサーフ表面粗さが上記低さ未満の場合高平滑になり過剰なスベリが生じ製本などの加工時に不都合が生じるおそれがある。また、プリントサーフ表面粗さが上記高さを超える場合、当該塗工紙同士の摩擦が大きくなり、紙揃えを阻害するおそれがある。
また、当該塗工紙を積層したときの表側表面と裏側表面との間の静摩擦係数の下限としては、表裏いずれの側が当接する場合にも、0.40が好ましく、0.43がより好ましい。一方、表側表面と裏側表面との間の静摩擦係数の上限としては、0.50が好ましい。表側表面と裏側表面との間の静摩擦係数が上記下限未満の場合、過度の滑り性により搬送不良を生じるおそれがある。また、表側表面と裏側表面との間の静摩擦係数が上記上限を超える場合、塗工紙間の滑りが悪く、紙揃えが難しくなるおそれがある。
また、当該塗工紙の表側表面と裏側表面との間の滑り角度の下限としては、22度が好ましく、23.4度がより好ましい。一方、当該塗工紙の表側表面と裏側表面との間の滑り角度の上限としては、26.5度が好ましく、26.4度がより好ましい。当該塗工紙は、上記滑り角度が上記下限未満の場合、捌き不良や搬送時のスリップによる紙送り不良が生じるおそれがある。また、当該塗工紙は、上記滑り角度が上記上限を超える場合、紙揃え時の滑りが悪く、紙揃えが難しくなるおそれがある。
また、当該塗工紙における縦方向のクラーク剛度の下限としては、38が好ましく、40がより好ましい。一方、縦方向のクラーク剛度の上限としては、50が好ましく、48がより好ましい。縦方向のクラーク剛度が上記下限未満の場合、当該塗工紙が曲がり易く、隣接する塗工紙と接触して紙揃えを阻害するおそれがある。
また、当該塗工紙における横方向のクラーク剛度の下限としては、17が好ましく、20がより好ましい。一方、横方向のクラーク剛度の上限としては、50が好ましく、48がより好ましい。横方向のクラーク剛度がそれぞれ上記下限未満の場合、当該塗工紙が曲がり易く、隣接する塗工紙と接触して紙揃えを阻害するおそれがある。また、横方向のクラーク剛度が上記上限を超える場合、当該塗工紙が硬すぎて、搬送性、捲り性等が不十分となるおそれがある。
また、当該塗工紙における横方向のクラーク剛度の縦方向のクラーク剛度に対する比(剛度Y/T比)の下限としては、40%が好ましく、45%がより好ましい。一方、横方向のクラーク剛度が縦方向のクラーク剛度より大きくなることは考え難いが、上記剛度Y/T比の上限としては、250%が好ましく、200%がより好ましい。当該塗工紙は、剛度Y/T比が上記下限未満の場合、横方向の力に対して過度に折れ曲がり易くなり、隣接紙と当接して紙揃えを阻害し易くなるおそれがある。また、剛度Y/T比が上記上限を越える場合にも、当該塗工紙が折れ曲がり易くなり、紙揃えを阻害するおそれがある。
また、当該塗工紙において、一枚あたりの面積をS(m)、坪量をG(g/m)、縦方向のクラーク剛度をCt、横方向のクラーク剛度をCy、縦方向の引張強さをTt(kgf)、横方向の引張強さをTy(kgf)、及び表側表面と裏側表面との間の静摩擦係数をKとした場合、下記式(1)により算出される判定値D1の下限としては、55であり、60がより好ましく、65がさらに好ましい。一方、上記判定値D1の上限としては、220が好ましく、210がより好ましく、200がさらに好ましい。なお、静摩擦係数Kについては、表側表面と裏側表面との間の静摩擦係数を使用する。
D1={(Ct+Cy)/G}×{100/(S×G×K)}×(Ty/Tt)1/2 (1)
上記式(1)は、指標R1=(Ct+Cy)/Gと、指標R2=(S×G×K)で定数100を除した値の2乗と、指標R3=(Ty/Tt)の1/2乗とを掛け合わせたものである。
上記指標R1は、当該塗工紙の横方向のクラーク剛度(Cy)、縦方向のクラーク剛度(Ct)及び坪量G(g/m)から構成され、単位坪量当たりの折れ曲がり難さを表す指標である。なお、横方向の剛度Cyは縦方向の剛度Ctに比べて紙揃え性に対する影響が大きいため、2乗して加算される。当該塗工紙は、折れ曲がると隣接する塗工紙と接触して摩擦力を上昇させるため、折り曲り難いことが紙揃え性に寄与する。よって当該塗工紙は、上記指標R1が大きいほど紙揃え性が高い。
上記指標R2は、一枚あたりの面積S(m)、坪量G(g/m)、表側表面と裏側表面との間の静摩擦係数Kの積であり、用紙一枚当たりの自重による摩擦の大きさの指標である。この指標R2の値が小さいほど摩擦が小さく、紙揃え性が高い。また、この指標R2は、上記指標R1に比べてその影響が大きい。このため、上記式(1)において、指標R2は、その逆数が2乗して掛け合わされている。
上記指標R3は、横方向の引張強さ(Ty)を縦方向の引張強さ(Tt)で除したいわゆるY/T比であり、塗工紙全般のしなやかさの指標である。当該塗工紙は、全方向にしなやかさを有することにより、紙揃え性が良好となる。したがって、この指標R3の値が大きいほど紙揃え性が高い。しかしながら、この指標R3は、上記指標R1及びR2に比べて紙揃え性に対する影響が小さい。このため、上記式(1)において、指標R3は、その平方根(1/2乗)が掛け合わされている。
このように、指標R1、R2及びR3の影響を考慮して乗数を設定して掛け合わせた上記判定値D1により、当該塗工紙の紙揃え性を評価できる。つまり、当該塗工紙は、上記判定値D1を上記下限以上とすることにより、より良好な紙揃え性を有する。一方、上記判定値D1が上記上限を超える場合、印刷適性や搬送性等他の特性が不十分となるおそれがある。
また、当該塗工紙における色相のa値の下限としては、0が好ましく、0.3がより好ましい。一方、a値の上限としては、1が好ましく、0.9がより好ましい。また、色相のb値の下限としては、10が好ましく、11がより好ましい。一方、b値の上限としては、15が好ましく、13がより好ましい。色相を上記範囲とすることにより、当該塗工紙を印刷用紙として使用したときの眼精疲労を抑制でき、印刷インクの見栄えを向上させられる。ここで、色相の「a値」及び「b値」とは、JIS−P−8150(2004)に準拠して測定される値である。
また、当該塗工紙において、坪量をG(g/m)、プリントサーフ表面粗さをP(μm)及び白紙光沢度をW(%)とした場合、下記式(2)により算出される判定値D2の下限としては、9が好ましく、12がより好ましく、15がさらに好ましい。一方、上記判定値D2の上限としては、27が好ましく、24がより好ましく、21がさらに好ましい。上記判定値D2が上記下限未満の場合、相対的に白紙光沢度が大きく、過度の平滑性を有するため、当該塗工紙の表面及び裏面の密着性が高くなり、塗工紙同士が付着し合うことにより紙揃えを阻害するおそれがある。また、上記判定値D2が上記上限を超える場合、相対的にプリントサーフ表面粗さが大きく、摩擦が大きいことにより紙揃えが阻害されるおそれがある。なお、プリントサーフ表面粗さP及び白紙光沢度Wについては、両側表面(表裏)の測定値の平均値を使用する。
D2=G×P/W (2)
当該塗工紙の灰分の下限としては、12%が好ましく、20%がより好ましい。一方、当該塗工紙の灰分の上限としては、40%が好ましく、30%がより好ましい。灰分が上記下限未満の場合、当該塗工紙の寸法安定性が不十分となるおそれがある。また、灰分が上記上限を超える場合、当該塗工紙の紙力が低下して、紙揃え性が不十分となるおそれがある。当該塗工紙における「灰分の含有量」もJIS−P−8251(2003)に準拠して測定される。
当該塗工紙の縦方向の引張強さの下限としては、4kgfが好ましく、4.2kgfがより好ましい。一方、当該塗工紙の縦方向の引張強さの上限としては、6kgfが好ましく、5kgfがより好ましい。また、当該塗工紙の横方向の引張強さの下限としては、1.5kgfが好ましく、2kgfがより好ましい。一方、当該塗工紙の横方向の引張強さの上限としては、3kgfが好ましく、2.5kgfがより好ましい。引張強さがそれぞれ上記下限未満の場合、当該塗工紙が変形し易くなり、紙揃え性が不十分となるおそれがある。特に、上記引っ張り強さを満足することで、当該塗工紙の好適な用途である文庫本用紙として使用する場合に好ましい品質を確保できる。
当該塗工紙の横方向の引張強さの縦方向の引張強さに対する比(引張強さY/T比)の下限としては、35%が好ましく、40%がより好ましい。上記引張強さY/T比が上記下限未満であると、横方向の力に対して過度に折れ曲がり易くなり、紙揃えを阻害し易くなるおそれがある。
<利点>
当該塗工紙は、上述のように、十分な搬送性、印刷適性及び加工適性を有すると共に、優れた紙揃え性を有する。このため、当該塗工紙は、印刷及び製本の効率が高く、低価格で高品質の文庫用紙、書籍等を提供可能にする。
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例及び比較例において、測定は下記の方法により行った。
(坪量)
JIS−P−8124(2005)に準拠して測定した。
(灰分)
JIS−P−8251(2003)に準拠して測定した。
(面積)
長方形に断裁した塗工紙の長辺及び短辺の長さを測定して、面積を算出した。
(滑り角度)
JIS―P−8147(2010)に準拠し、当該塗工紙の表側表面と裏側表面とが当接するよう配置して測定した。
(静摩擦係数)
JIS―P−8147(2010)の規定に従い、上記滑り角度の正接として算出される値である。
(引張強さ)
JIS−P−8113(2009)に準拠して測定した。
(クラーク剛度)
JIS−P−8143(2009)に準拠して測定した。
(色相)
JIS−P−8150(2004)に準拠して測定した。
(プリントサーフ表面粗さ)
JIS−P−8151に準拠して、圧力20kg/cmのソフトバッキングで測定した。
(白紙光沢度)
JIS−P−8142(2005)に準拠して測定した。
(実施例1)
先ず、原料パルプとして、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)を10質量%、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)を15質量%、晒サーモメカニカルパルプ(BTMP)を30質量%、雑誌古紙脱墨パルプ(MDIP)を45%配合し、填料として重質炭酸カルシウム(体積平均粒子径1.62μm、粒子径2μ以下の割合75%)を含むパルプスラリーを準備した。なお、雑誌古紙脱墨パルプは約25質量%の機械パルプ(全量が漂白処理をしていない機械パルプ)を含んでおり、原料パルプ全体において、全機械パルプの質量比は約41.3質量%、漂白処理をした機械パルプの質量比は上記晒サーモメカニカルパルプ含有量と等しい30%であった。そして、上記パルプスラリーを抄紙ワイヤーにより830m/minの速度で抄紙して、坪量45g/mの基紙を得た。
次に、顔料として重質炭酸カルシウム(体積平均粒子径1.27μm、粒子径2μ以下の割合79%とクレー(粒子径の体積分布におけるピーク値2.47μm、粒子径2μ以上5μm以下の割合39.2%)とを30:70の質量比で含有する塗工液を、上記基紙の両側表面にブレードによりそれぞれ絶乾質量で6.5g/m塗工して塗工紙を得た。
さらに、このようにして得られた塗工紙を、縦1248mm、横900mmの長方形(面積1.123m)の用紙に断裁して、複数の印刷用塗工紙を得た。
こうして得られた実施例1の塗工紙は、坪量が58.0g、滑り角度が24.6度、静摩擦係数が0.46、縦方向の引張強さが4.32kgf、横方向の引張強さが1.97kgf、縦方向のクラーク剛度が45.5、横方向のクラーク剛度が22.5、色相のa値が0.57、色相のb値が12.40、表側表面のベック平滑度が123秒、裏側表面のベック平滑度が94秒、プリントサーフ表面粗さが4.82μm、白紙光沢度が16.9%であった。
また、実施例1の塗工紙について、これらの測定値から算出された上記判定値D1は75であり、上記判定値D2は16.5であった。
(実施例2〜20及び比較例1〜5)
表1に示すように原料パルプの配合及び填料の添加量が実施例1とは異なるスラリーを抄紙して得られた基紙に、塗工液の組成及び塗工量が実施例1とは異なる塗工を行うことにより、実施例2〜20及び比較例1〜5の塗工紙を得た。また、これら実施例2〜20及び比較例1〜5の塗工紙についての測定値並びに判定値D1及びD2を、上記実施例1の測定値並びに判定値D1及びD2と共に表2及び表3に示す。
加えて、表3には、上記実施例1〜20及び比較例1〜5の塗工紙を使用して印刷及び製本のための各種工程における作業性について確認した結果を示す。なお、各項目は、以下のようにして評価を行った。
<紙揃え性>
手作業で2A0版に裁断した用紙を捌き紙揃えした際の紙揃え性を感応評価し、以下の評価基準に基づいて判定した。
(評価基準)
◎:紙揃え、捌き作業を短時間に軽く行える。
○:若干紙揃えに重さを感じるが紙揃え、捌きに問題は無い。
△:複数枚用紙端部にズレが生じたが、紙揃え、捌き作業は行える。
×:複数枚突出する用紙が発現し、手作業で抜き取り対応作業が必要になった。
<印刷適性>
オフセット印刷機で単色(墨)印刷し、白紙面感、印刷面感、インキ着肉、搬送性などを総合的に評価し、以下の評価基準に基づいて判定した。
(評価基準)
◎:適性が非常に高い。
○:適性が高い。
△:適性がある。
×:適性が低い。
<搬送性>
ローランドオフセット印刷機で4色印刷による印刷時の用紙の搬送状態を判定し、以下の評価基準に基づいて判定した。
(評価基準)
◎:搬送性に優れている。
○:搬送性が良い。
△:搬送性がやや不良である。
×:搬送性が不良である。
Figure 0006276584
Figure 0006276584
Figure 0006276584
表3に示すように、上記実施例1〜20は、良好な紙揃え性を備えると共に、印刷適性及び搬送性も十分に実用に耐えるものであった。このため、上記実施例1〜20の塗工紙は、印刷用紙として好適に利用できる。特に、実施例13〜15は、紙揃え性に優れ、中でも、実施例13は、高い搬送性も兼ね備える。一方、上記比較例1〜3は、紙揃え性が不十分であり、比較例4、5は、紙揃え性を有するが、搬送性が不十分であった。
以上のように、本発明の塗工紙は、紙揃え性が高く、印刷及び製本工程の効率を向上できる。特に、本発明の塗工紙は文庫本用の印刷用紙として好適に使用できる。

Claims (5)

  1. 原料パルプ及び填料を含有する基紙の両側表面に、顔料及び接着剤を含有する塗工液を塗工してなる塗工紙であって、
    坪量が64g/m以下であり、
    一枚あたりの面積をS(m)、坪量をG(g/m)、縦方向のクラーク剛度をCt、横方向のクラーク剛度をCy、縦方向の引張強さをTt(kgf)、横方向の引張強さをTy(kgf)、及び表側表面と裏側表面との間の静摩擦係数をKとした場合、下記式(1)により算出される判定値D1が55以上であることを特徴とする塗工紙。
    D1={(Ct+Cy)/G}×{100/(S×G×K)}×(Ty/Tt)1/2 (1)
  2. 坪量をG(g/m)、圧力20kg/cmのソフトバッキングで測定したプリントサーフ表面粗さをP(μm)及び白紙光沢度をW(%)とした場合、下記式(2)により算出される判定値D2が9以上27以下である請求項1に記載の塗工紙。
    D2=G×P/W (2)
  3. 両側表面の白紙光沢度が9%以上20%以下であり、
    表側表面と裏側表面との間の静摩擦係数が0.40以上0.50以下である請求項1又は請求項2に記載の塗工紙。
  4. 上記原料パルプが機械パルプを含み、
    上記填料が炭酸カルシウムを含み、
    上記顔料が炭酸カルシウム及びクレーを含み、
    上記原料パルプにおける上記機械パルプの含有量が35質量%以上65質量%以下であり、
    上記填料における上記炭酸カルシウムの中で粒子径が2μm以下であるものの割合が70体積%以上80体積%以下であり、
    上記顔料における上記炭酸カルシウムの中で粒子径が2μm以下であるものの割合が90体積%以上であり、
    上記クレーの粒子径の体積分布におけるピーク値が2μm以上5μm以下であり、
    上記クレーの中で粒子径が2μm以上5μm以下であるものの割合が45体積%以下である請求項1、請求項2又は請求項3に記載の塗工紙。
  5. 上記原料パルプにおける漂白処理をした機械パルプの含有量が30質量%以上60質量%以下であり、
    上記顔料における上記炭酸カルシウムの上記クレーに対する質量比が30:70以上50:50以下であり、
    圧力20kg/cmのソフトバッキングで測定したプリントサーフ表面粗さが3μm以上6μm以下であり、
    表側表面と裏側表面との間の滑り角度が26.5度以下であり、
    横方向のクラーク剛度が縦方向のクラーク剛度の40%以上かつ17以上である請求項4に記載の塗工紙。
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