−−−システム構成−−−
以下に本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。図1は、本実施形態の意思決定支援システム10の全体構成例を示す図である。図1に示す意思決定支援システム10は、災害対応に関する意思決定に際し、組織間での的確かつ円滑な協力体制の確立を図り、被災地における実状に応じた的確な災害対応を可能とするコンピュータシステムである。本実施形態では、災害対応の活動を行う上述の各組織が意思決定調整システム、および、いずれかの組織または組織間共同で運用する現場調整装置を用いて災害対応を行う形態について説明するものとする。
図1にて例示するように、本実施形態の意思決定支援システム10が含む意思決定調整システム101、102は、災害対応に際して他組織からサポートを受ける受援者(例えば、組織A)や、この受援者をサポートする支援者(例えば、組織B)のそれぞれにおいて、災害に関する情報を収集、管理、分析し、被災現場に所在する現場対応者向けの災害
対応の内容や、災害対応プランの生成、ならびに災害対応に関して協調連携する他組織との連携作業に利用するシステムである。なお、以降の説明に際し、特に組織間での区別をしない場合、意思決定調整システム101、102のうち意思決定調整システム101を代表として説明することとする。
また、こうした意思決定調整システム101、102は、インターネット等のネットワーク32を介して互いに通信可能に結ばれている。同様に、各組織の意思決定調整システム101、102は、ネットワーク32を介して現場調整装置103と通信可能である。
また、意思決定調整システム101、102らは、それぞれの所属組織、あるいは他の組織が保有する各種センサ・システム190が発信するデータをネットワーク32を介して受信する。このセンサ・システム190は、地震計、河川水位計といった災害に関連する事象を検知、計測するセンサ類や、マスコミやインターネット上の情報メディアのシステム、各防災関係機関が保有する防災システム、道路上の交通状況を監視する交通監視システム、SNS(Social Networking Service)等の口コミ情報を提供する情報システム
である。
また、現場調整装置103は、意思決定調整システム102、102らから送信される公開情報(後述)や災害対応を行う各組織の状態(例えば、現場対応者の所在地や作業内容など)に関する情報を収集、管理するサーバ装置である。
なお、上述の意思決定調整システムは組織毎に設けられるシステムであり、図1で例示したように2つの場合のみならず、組織数に応じて3つ以上が意思決定支援システム10に含まれるとしてもよい。また、現場調整装置103及び各種センサ・システム190についても、意思決定支援システム10においてそれぞれ複数含まれるとしてもよい。また、ネットワーク32を介して装置間で送受信される情報の種類としては、テキスト情報、位置情報、時刻情報、音声情報、画像、動画、その他発信者に関する情報等が想定できる。
続いて、本実施形態の意思決定調整システム101、102および現場調整装置103における代表的な装置構成、およびソフトウェア構成の例について説明する。意思決定調整システム101は、意思決定支援装置107、情報分析装置108、現場対応者端末109、およびデータ管理装置110を含んで構成されている。同様に、意思決定調整システム102は、意思決定支援装置151、情報分析装置152、現場対応者端末153、およびデータ管理装置154を含んで構成されている。
このうち、意思決定支援装置107を利用するユーザをユーザA1、情報分析装置108を利用するユーザをユーザA2、現場対応者端末109を利用するユーザをユーザA3とし、ユーザA1、ユーザA2、ユーザA3は、上述の組織Aに所属するものとする。同様に、意思決定支援装置151を利用するユーザをユーザB1、情報分析装置152を利用するユーザをユーザB2、現場対応者端末153を利用するユーザをユーザB3とし、これら各ユーザB1〜B3は、上述の組織Bに所属するものとする。また、当然ながら組織Aと組織Bは別組織であり、例えば、組織Aから見た組織Bは、他組織となる。このように、意思決定調整システム101、102らは、所属組織とユーザが異なっているが、装置構成およびソフトウェア構成は同じである。
上述した意思決定調整システム101は、意思決定支援装置107、情報分析装置108、現場対応者端末109、およびデータ管理装置110から構成され、各装置はネットワーク30を介してデータ授受可能に結ばれている。ここで、ネットワーク30は、インターネット等の公衆回線を利用しても良いし、組織内のローカルネットワークを利用しても良い。また、各装置は複数存在しても良い。例えば、現場対応者端末109は、現場対
応者(例えば、ユーザA3)が複数存在する場合に、各現場対応者がそれぞれ専用の現場対応者端末を保有し、使用しても良い。
このうち意思決定支援装置107は、所属組織の意思決定者(例えば、ユーザA1)に対し、災害発生時における支援先候補(要支援エリア)の提示、現場対応者(支援部隊)を被災地に派遣する災害対応プランの生成と該当現場対応者への指示伝達を行う支援先決定部111と、協調連携する相手先組織の候補提示、および協調連携する相手先組織と共同で災害対応プランの作成を行うプラン作成部112、を機能として備えている。
また、情報分析装置108は、意思決定者(例えば、ユーザA1)や現場対応者(例えば、ユーザA3)を補佐する情報分析者(例えば、ユーザA2)に対し、データ管理装置110に蓄積されたデータや他組織の意思決定調整システムにより公開されたデータを分析して、被災地における現在状況や事態の進展、またそれに伴う災害対応への影響を推測する機能を実装している。
また、現場対応者端末109は、被災地で人命救助や道路復旧などの災害対応の作業を行う現場対応者(例えば、ユーザA3)に対する、上述の意思決定者や情報分析者からの指示の受信、現場対応者の状態(現在地や作業内容など)の発信、および、他組織(支援者)の意思決定調整システム102との間で協調連携に伴うデータ授受を行う現場連携部113と、現場対応者が入力したデータを、データ管理装置110に送信、または現場調整装置103や他組織の意思決定調整システム102に送信する情報収集・公開部114、を機能として備えている。
なお、上述の意思決定調整システム101、102らは、各組織の建屋やサーバルームなどに設置されているか、或いは、組織所在地から物理的に距離が離れたデータセンター等に設置され、運用されている。また、意思決定支援装置107、情報分析装置108、および現場対応者端末109を同一のユーザが使用するとしても良い。
また、現場調整装置103は、属性情報管理部116、公開情報管理部117、支援者検知部118、活動目的判定部119、および共同プラン作成部120を実装している。このうち属性情報管理部116は、上述の現場対応者端末109(組織A)、153(組織B)から、各現場対応者の活動エリア(目的地)、所属組織・部隊名称、人員、現在地
(GPSデータなど)、作業内容、不足人員・資機材の各情報などから成る属性情報を受信し、現場調整DB121に登録するものである。
また、上述の公開情報管理部117は、意思決定調整システム101や102から、組織間で公開されるデータ、あるいは該当データにアクセスするためのリンク先情報を受信し、公開情報管理DB122に登録、また公開情報管理DB122に登録されたデータを意思決定調整システム101、102らに送信するものである。
また、上述の支援者検知部118は、現場調整DB121に属性情報が登録された各現場対応者に対し、各現場対応者の活動範囲内に存在する他組織の現場対応者を検知するものである。
また、上述の活動目的判定部119は、現場調整DB121に属性情報が登録された各現場対応者に対し、各現場対応者の属性情報と上記支援者検知部118で検知した他組織の現場対応者の属性情報との整合性を判定し、上記支援者検知部118で検知した他組織の現場対応者のうち協調連携するのに適した現場対応者を抽出して各現場対応者に通知するものである。
また、上述の共同プラン作成部120は、例えば、意思決定調整システム101や102に対して、例えば、地図DB124に格納された地図データや衛星画像、地形情報、建物情報、人口情報等を用いて、同一の画面を提供してユーザA1やユーザB1の入力を受け付け、災害対応における共同プランを作成し、共同プランDB123に登録するものである。
なお、上述した現場調整装置103は、例えば、意思決定調整システム101の構成に組み入れて、受援者である組織Aが運用しても良いし、意思決定調整システム102の構成に組み入れて、支援者である組織Bが運用しても良い。
また、意思決定調整システム101、102、現場調整装置103らで処理される各種情報は、テキスト情報、位置情報、時刻情報、音声情報、画像、動画、その他情報提供者に関する情報等がある。ここで、位置情報については、例えば、該当情報を発信する装置が、自身で具備するGPS(Global Positioning System)ユニットを利用して取得した
り、或いは通信に用いる携帯電話基地局等からの発信電波等を利用して取得(既存技術)するものとできる。
続いて、意思決定支援システム10を主として構成する意思決定調整システム101における代表的な装置構成、およびソフトウェア構成の例についてより詳細に説明する。図2は本実施形態の意思決定調整システム101における代表的な装置構成およびソフトウェア構成の例を示す図である。
このうち意思決定支援装置107の支援先決定部111は、被災度算出機能201、活動活性度算出機能202、要支援地域抽出機能203、および派遣プラン策定機能204を実装している。
このうち被災度算出機能201は、各種センサ・システム190、現場対応者端末109、および情報分析装置108らから収集した、震度、建物被害推計、人的被害推計、洪水浸水推計、津波被害推計、火災発生・延焼推計、ライフライン被害推計などの災害情報について、被災地を構成する各エリア(例:被災地を一定範囲の緯度経度で分割したエリア)毎に集計し、各エリア間で正規化した値(本実施形態では、被災度と呼ぶ)を算出するものである。
また、活動活性度算出機能202は、上述の各種センサ・システム190から得た、インターネット上のSNS情報やテレビ、ラジオ等の報道情報に対して、テキスト解析や音声解析、画像・映像解析等を行い、人や組織、車両や資機材の動きに関する情報を抽出し、上述のエリア毎にその情報数を算出し、各エリア間で正規化した値(本実施例では、活動活性度と呼ぶ)を算出するものである。
また、要支援地域抽出機能203は、上述の被災度算出機能201で算出した被災度と活動活性度算出機能202で算出した活動活性度を利用して、被災度が高くかつ活動活性度が低いエリア、または被災度や活動活性度が他のエリアと比べて極めて高いエリアを、支援するべきエリア、すなわち要支援エリアとして抽出するものである。
また、派遣プラン策定機能204は、現場対応者に対する指示(災害対応の活動先、作業内容)を作成し、該当現場対応者の現場対応者端末109に送信するものである。
なお、被災度算出機能201は、各種の災害情報を集計するにあたり、該当事象の影響の大きさにより、集計時に重み付けを付与しても良い。例えば、津波被害に関する災害情報の集計値は2倍にカウントするといった処理になる。また、各エリアに関する報道やS
NSの情報から、災害情報(例えば、火災が発生している、土砂崩れが起きている、などの情報)をキーワード検索(検索用のキーワードは予め保持している)により抽出し、この災害情報の抽出数を該当エリアにおける被災度として算出するとしても良い。
また、意思決定支援装置107のプラン作成部112は、協調度判定機能212、プラン共有機能213、および作業指示機能214を実装している。
このうち協調度判定機能212は、各現場対応者に対する作業場所、時間、作業内容などから成る災害対応プランを作成し、プランDB257に登録するプラン作成機能211と、他組織との協調度を判定するものである。
また、プラン共有機能213は、協調度判定結果に基づき、協調連携する他組織に協調連携要請を送信する、あるいは、他組織から協調連携要請を受信し、他組織と連携する場合に、プランDB257に登録された災害対応プランの一部、あるいは全てを現場調整装置103に送信するものである。
また、作業指示機能214は、プラン作成機能211で作成した災害対応プランに基づき、各現場対応者の現場対応者端末109に対し、災害対応の作業場所、時間、作業内容などの情報を送信するものである。
また、情報分析装置108は、情報分析機能221、影響度判定機能222、および分析結果公開機能223を実装している。
このうち、情報分析機能221は、収集情報DB255に登録された情報や分析結果DB256に登録された情報分析結果から、被災地における所定事象の現状や事態の推移、またそれに伴う災害対応(を行う現場対応者)への影響を推測し、分析結果として分析結果DB256に登録するものである。
また、影響度判定機能222は、上述の分析結果が各現場対応者(例えば、ユーザA3)に影響するか判定し、影響する場合に分析結果を各現場対応者の現場対応者端末109に送信するものである。
また、分析結果公開機能223は、現場調整装置103から、他組織により分析結果が公開されたことの通知を受信し、現場調整装置103の公開情報管理DB122、または、他組織の意思決定調整システム102の分析結果DB256から分析結果を取得し、取得した分析結果を自組織のデータ管理装置110における分析結果DB256に登録するものである。またこの分析結果公開機能223は、分析結果DB256に登録した各分析結果について、アクセスを許可するユーザ(例えば意思決定者が許可した者であり、入力装置等で意思決定者から指示を受け付けた者)を登録する。更に、分析結果DB256の分析結果のうち公開する分析結果、あるいは公開する分析結果へのアクセスに必要な情報(URLなど)を、アクセスを許可するユーザに関する情報とともに現場調整装置103に送信するものである。
また、現場対応者端末109の現場連携部113は、指示内容管理機能231、属性情報登録機能232、支援要請/支援可否通知機能233、および支援者登録機能234を実装している。
このうち指示内容管理機能231は、意思決定支援装置107から送信されてくる、現場対応者の派遣先(場所)や作業内容(情報収集、人命救助など)、および作業に必要な情報(派遣先の地図や被害状況など)を受信するものである。
また、属性情報登録機能232は、上述した現場対応者の派遣先や目的地等の場所に関する情報や、所属組織や部隊の名称、連絡先(現場対応者端末109へのアクセス情報など)、所属部隊の人数、保有資機材、現在地(現場対応者による直接入力もしくは現場対応者端末109に備わるGPSより取得)、作業内容、不足情報(人員、資機材など)に関する情報を、属性情報として現場調整装置103に送信するものである。
また、支援要請/支援可否通知機能233は、現場調整装置103から、協調連携候補である他組織の現場対応者の属性情報を受信し、該当現場対応者の現場対応者端末に対して属性情報を含む協調連携要請を送信し、また他組織の現場対応者端末109から協調連携要請を受信するものである。この支援要請/支援可否通知機能233は、入力装置等において当該現場対応者端末109の操作者たる現場対応者から受け付けた、協調連携候補と協調連携するか否かの回答、および協調連携する場合の属性情報を含めて、協調連携要請の送信元である他組織の現場対応者端末109に送信するものである。
また、支援者登録機能234は、協調連携要請の送信先である現場対応者端末109から、協調連携するか否かの回答を受信し、その回答が協調連携する旨を示すものであった場合に、協調連携要請の送信先の現場対応者等に関する属性情報を協調先DB254に登録するものである。また、この支援者登録機能234は、上述の属性情報の登録を行ったことを、協調連携要請の送信先の現場対応者端末109に通知する。また支援者登録機能234は、協調連携要請の送信元の現場対応者端末109から、同様に属性情報を協調先DB254に登録したことの通知を受信した場合に、協調連携要請の送信元の現場対応者等に関する属性情報を、協調先DB254に登録するものである。
ここで、協調連携要請の送信元と協調連携要請の送信先との間でやり取りされる、それぞれの現場対応者等に関する属性情報は、上述のように現場対応者端末間で直接送受信しても良いし、該当属性情報が格納されている現場調整装置103の現場調整DB121から現場対応者端末が取得するとしても良い。
また、現場対応者端末109の情報収集/公開部114は、情報収集機能241と、情報公開機能242とを実装している。
このうち情報収集機能241は、現場対応者によって入力、あるいは当該現場対応者端末109の具備する所定装置または上述の各種センサ・システム190から取得されたテキスト情報、位置情報、時刻情報、音声情報、画像データ、および動画データ等を、収集情報DB255に登録するものである。また、この情報収集機能241は、現場調整装置103から、他組織により情報が公開されたことの通知を受信し、現場調整装置103の公開情報管理DB122、または、他組織の意思決定調整システム102の収集情報DB255から、テキスト情報、位置情報、時刻情報、音声情報、画像データ、および動画データなどを取得するものである。
また、情報公開機能242は、収集情報DB255に登録した各情報について、意思決定者等の所定ユーザがアクセスを許可する者と判断したユーザを登録するものである。また、この情報公開機能242は、収集情報DB255の情報のうち公開する情報、あるいは公開する情報へのアクセスに必要な情報(URLなど)を、上述のアクセスが許可されたユーザに関する情報とともに現場調整装置103に送信するものである。
また、データ管理装置110は、情報管理機能250を実装している。この情報管理機能250は、地震計や河川水位計などのセンサ装置、報道やインターネット(SNS、ホームページなど)などの情報メディア、各防災関係機関が保有する防災システムなどの各
種センサ・システム190、意思決定支援装置107、情報分析装置108、現場対応者端末109、および現場調整装置103の少なくともいずれかから送信されてきた情報を受信し、これをデータベースに登録する、あるいはデータベースに登録された情報を、上記各装置に送信するものである。
こうした情報の登録先となるデータベースには、地図DB251、支援地域抽出DB252、リソースDB253、協調先DB254、収集情報DB255、分析結果DB256、およびプランDB257が含まれている。
このうち地図DB251は、地図データや衛星画像、地形情報、建物情報、人口情報等を格納するデータベースである。
また、支援地域抽出DB252は、被災度算出機能201で算出された被災度や、活動活性度算出機能202で算出された活動活性度を格納するデータベースである。
また、リソースDB253は、組織内の各ユーザや複数のユーザ(現場対応者)から成る部隊(チーム)について、災害対応の派遣先や目的地等の場所に関する情報、所属する組織や部隊名称、連絡先(現場対応者端末109へのアクセス情報など)、部隊の人数、保有資機材、現在地、作業内容、不足情報(人員、資機材など)に関する情報を格納するデータベースである。
また、協調先DB254は、協調連携要請元のユーザと協調連携要請先のユーザの各属性情報の一部、あるいは全てを格納するデータベースである。
また、収集情報DB255は、テキスト情報、位置情報、時刻情報、音声情報、画像、動画などを、情報作成者(センサや現場対応者、マスコミ等)の属性情報の一部、あるいは全てと合わせて格納するデータベースである。
また、分析結果DB256は、分析結果を分析結果作成者の属性情報一部、あるいは全てと合わせて格納するデータベースである。
また、プランDB257は、各ユーザ(現場対応者)における災害対応の作業場所、時間、作業内容などから成る災害対応プランを格納するデータベースである。
なお、上述の意思決定支援装置107は、支援先決定部111やプラン作成部112で出力されるデータを表示、あるいは各データに含まれる緯度、経度、高度等の地理的位置を示す情報に基づき、地図DB251に含まれる地図データや衛星画像にマッピングして表示、またはユーザからの入力を受け付ける画面インタフェース(以降、画面IFと記載)215を備えている。
同様に、情報分析装置108は、各機能で出力されるデータを表示、あるいは各データに含まれる緯度、経度、高度等の地理的位置を示す情報に基づき、地図DB251に含まれる地図データや衛星画像にマッピングして表示、またはユーザからの入力を受け付ける画面IF224を備えている。
また同様に、現場対応者端末109は、現場連携部113や情報収集/公開部114で出力されるデータを表示、あるいは各データに含まれる緯度、経度、高度等の地理的位置を示す情報に基づき、地図DB251に含まれる地図データや衛星画像にマッピングして表示、またはユーザからの入力を受け付ける画面IF243を備える。
こうした各画面IFに表示する情報は上述のものに限らず、データ管理装置110で管理する情報を含むとしても良い。
ここで、上述のように、意思決定支援システム10を構成する各装置のハードウェア構成の例について説明する。図3は、本実施形態の意思決定支援システム10が含む各装置のハードウェア構成例を示す図である。上述した各装置、すなわち、現場調整装置103、意思決定支援装置107、情報分析装置108、現場対応者端末109、データ管理装置110らは、いずれもコンピュータ20である。
このコンピュータ20は、SSD(Solid State Drive)またはハードディスクドライブなどの適宜な不揮発性記憶素子で構成される記憶装置21、RAMなど揮発性記憶素子で構成されるメモリ23、上述の記憶装置101に保持されるプログラム22をメモリ23に読み出すなどして実行し装置自体の統括制御を行なうとともに各種判定、演算及び制御処理を行なうCPUなどの演算装置24、ユーザからのキー入力や音声入力を受け付ける入力装置25、処理データの表示を行うディスプレイ等の出力装置26、ネットワークと接続し他装置との通信処理を担う通信装置27、を備える。なお、記憶装置21内には、本実施形態の意思決定支援システム10を構成する装置として必要な機能を実装する為の上述のプログラム102の他、各種データベース類28が必要に応じて記憶されている。
次に、本実施形態の意思決定支援の概念について、簡易なフロー図の形で示す。図4は本実施形態における意思決定支援概念の例を示す図である。このフローは、支援先決定フロー301、現場協調先決定フロー302、分析・影響度判定フロー303、および共同プラン作成フロー304から構成されている。
このうち支援先決定フロー301においては、意思決定者のユーザB1’の操作する意思決定支援装置107が、上述したSNS情報、シミュレーション結果等から被災度、活動活性度を算出し、支援が必要とされる地域すなわち要支援エリアを特定して、支援先の決定、および現場対応者であるユーザB3’の現場対応者端末109への支援先指示(派遣指示)を実行する。一方、現場対応者であるユーザB3’の現場対応者端末109は、上述の支援先指示(派遣指示)を受信して表示させ、ユーザB3’に閲覧させる。
また、現場協調先決定フロー302においては、現場調整装置103が、各現場対応者(例えば、ユーザA3やユーザB3)の現場対応者端末109から受信した属性情報を受信して現場調整DB121に登録し、ここで登録された各現場対応者の属性情報に基づいて、(被災地で孤立している、或いは災害対応のリソースが不足しているなど)協調連携が必要と推定されるユーザ(例えば、ユーザA3)の現場対応者端末に対して、協調連携候補であるユーザ(例えば、ユーザB3)の属性情報を送信する。また、現場対応者であるユーザA3の現場対応者端末109は、協調連携候補としてユーザB3の属性情報を受信し、このユーザB3が利用する現場対応者端末に対して、ユーザA3の指示に沿って協調連携要請を行う。ユーザA3の現場対応者端末は、ユーザB3の現場対応者端末から協調連携要請受諾の通知を受信した場合、ユーザB3の属性情報を協調先DB254に登録する。
また、分析・影響度判定フロー303は、情報分析者のユーザA2の情報分析装置108が、収集情報DB255に登録された情報や分析結果DB256に登録された情報分析結果から、被災地における現状や事態の進展、またそれに伴う災害対応への影響を推測し、分析結果が各現場対応者(例えば、ユーザA3)に影響するか判定し、影響する場合に分析結果をユーザA3が利用する現場対応者端末113に送信する。
また、共同プラン作成フロー304は、意思決定者のユーザA1の意思決定支援装置107が、他組織の公開情報の活用状況(収集情報DB255に登録された他組織の公開情報の量など)や現場協調先決定フロー302によって登録された協調先DB254のデータに基づいて、協調度を算出し、協調度の高い組織(例えば、組織B)の意思決定者のユーザB1の意思決定支援装置107に対し、協調連携要請を行う。また、ユーザB1の意思決定支援装置107から協調連携受諾の通知を受信した場合、ユーザA1とユーザB1との間で現場調整装置103を介した共同プランの生成処理を支援する。
以後、上述の支援先決定フロー301、現場協調先決定フロー302、分析・影響度判定フロー303、共同プラン作成フロー304のそれぞれについて詳細に説明することとする。なお、以下に例示する本実施形態における意思決定支援方法に対応する各種動作は、意思決定支援システム10を構成する各装置らが自身のメモリ等に読み出して実行するプログラムによって実現される。そして、このプログラムは、以下に説明される各種の動作を行うためのコードから構成されている。
−−−支援先決定フロー例−−−
図5は、本実施形態における意思決定支援方法の処理手順例1を示すフロー図であり、具体的には、上述の支援先決定フロー301について図示したものである。この場合、意思決定支援装置107は、被災度算出機能201によって、各種センサ・システム190、および/または現場対応者端末109から取得した災害情報、すなわち、収集情報DB255の情報(震度、被害情報など)と、分析結果DB256の分析結果(建物被害推計、人的被害推計、洪水浸水推計、津波被害推計、火災発生・延焼推計、ライフライン被害推計など)の各値について、被災地を構成するエリア毎に集計し、各エリア間で正規化した値である被災度を算出し、支援地域抽出DB252に格納する(S401)。
また、意思決定支援装置107は、活動活性度算出機能202によって、インターネット上のSNS情報やテレビ、ラジオ等の報道情報に対して、テキスト解析や音声解析、画像・映像解析等を行い、人や組織、車両や資機材の動きに関する情報を抽出し、上述のエリア毎にその情報数を算出し、各エリア間で正規化した値である活動活性度を算出し、支援地域抽出DB252に格納する(S402)。
なお、このステップS402において、上述の現場調整装置103の現場調整DB121に、ユーザ(現場対応者)の属性情報が登録されている場合、意思決定支援装置107は、この属性情報に含まれる現場対応者の災害対応の派遣先、あるいは作業エリア(場所)、人数に基づき、上述のエリア毎にその人数をカウントし、活動活性度の算出に使用する。
次に、意思決定支援装置107は、要支援地域抽出機能203によって、上述のステップS401で算出した被災度と、S402で算出した活動活性度とに基づき、被災度が高くかつ活動活性度が低いエリア、または被災度や活動活性度が他のエリアと比べて極めて高いエリアを、要支援エリアとして特定する(S403)。
続いて、意思決定支援装置107は、派遣プラン策定機能204によって、上述のステップS403で特定された要支援エリアについて、リソースDB253に格納された組織内の各ユーザ(現場対応者)の派遣先や目的地等の場所に関する情報や所属する組織や部隊名称、連絡先(現場対応者端末109へのアクセス情報など)、人数、保有資機材、現在地、作業内容、不足情報(人員、資機材など)に関する情報に基づいて、派遣対象ユーザ(例えば、現場対応者のユーザB3’)、派遣先のエリア、および作業内容(情報収集、人命救助など)から成る災害対応プランを作成し、例えば、現場対応者のユーザB3’が利用する現場対応者端末109に対して、災害対応プランを送信する(S404)。
なお、上述のリソースDB253は、図9にて例示するように、各ユーザや部隊(複数のユーザが所属)を識別するための項目「部隊ID」631、ユーザ名や部隊名称を登録するための項目「名称」632、当該レコードのいずれかの項目が更新された際の更新時刻を登録する項目「更新時刻」633、部隊の人数を登録するための項目「人員」634、保有資機材を登録するための項目「資機材」635、行動内容を登録するための項目「行動内容」636、現在地や派遣先、目的地等を登録するための項目「現在地」637、連絡先(現場対応者端末へのアクセス情報など)を登録するための項目「連絡先」638から成る。
図11に、上述のステップS401〜S404を実行した場合の画面IF215の画面表示の遷移例を示す。なお、図11、12で示す画面表示は一例であり、画面を構成するチェックボックスやボタン、表示領域の配置は自由に構成して良い。また、画面を複数に分割しても良い。
この場合、意思決定支援装置107の入力装置において、画面IF215の要支援地域ボタン701が押下されると、意思決定支援装置107は、上述のS403で特定した要支援エリア(例えば、705、706)を、地図上にマッピングして状況把握画面703に表示する。
また、この画面IF215において被災度ボタン707が押下されると、意思決定支援装置107は、ステップS401で算出したエリア毎の被災度を状況把握画面703に表示し、また、活性度ボタン708が押下されると、ステップS402で算出したエリア毎の活動活性度を状況把握画面703に表示する。
またさらに、画面IF215の派遣指示ボタン702が押下されると、意思決定支援装置107は、情報表示画面704において、リソースDB253より取得した、要支援エリアより所定範囲内に所在する部隊の情報(部隊名称、人数など)710を表示し、また、その所在地に基づいて状況把握画面703上に該当部隊を示すシンボル709(意思決定支援装置107が予め保持するアイコン等)を表示する。
また、情報表示画面704に表示した部隊情報710、あるいは、状況把握画面703に表示したシンボル709が押下され、さらに要支援エリアのうち意思決定者等により入力装置で指定された派遣エリア(例えば要支援エリア705)が押下されると、意思決定支援装置107は、指示内容記入画面711を表示し、この画面にて意思決定者等による指示内容の記入を受け付ける。また意思決定支援装置107は、送信ボタン712の押下に応じ、上述のステップS404で示したように、派遣対象ユーザ(例えば、現場対応者のユーザB3’)、派遣先のエリア、および作業内容(情報収集、人命救助など)から成る災害対応プランを生成し、例えば、現場対応者のユーザB3’が利用する現場対応者端末109に対して該当災害対応プランを送信することとなる。
ここでフローの説明に戻る。一方、現場対応者端末109は、指示内容管理機能231によって、意思決定支援装置107から送信されてきた災害対応プラン(派遣先エリアや作業内容(情報収集、人命救助など))を受信し、該当作業に必要な情報(派遣先の地図や被害状況など)をデータ管理装置110の地図DB251や収集情報DB255から取得する(S405)。
次に、現場対応者端末109は、属性情報登録機能232によって、上述のステップS405で受信した災害対応プランに基づき、派遣先エリア等の場所に関する情報や作業内容(情報収集、人命救助など)、およびリソースDB253に登録されたユーザ(例えば
、現場対応者のユーザB3’)の所属する組織や部隊名称、連絡先(現場対応者のユーザB3’が使用する現場対応者端末109へのアクセス情報など)、人数、保有資機材、および現在地(直接入力もしくはGPSにより取得)、不足情報(人員、資機材などを直接入力)を、属性情報として現場調整装置103に送信する(S406)。
他方、現場調整装置103は、属性情報管理部116によって、例えば、上述の現場対応者のユーザB3’が利用する現場対応者端末109から、上述のステップS406で送信された属性情報を受信し、現場調整DB121に登録する(S407)。
図12に、上述のステップS405〜S406を実行した場合の画面IF243の画面遷移の例について示す。現場対応者端末109は、この画面IF243における状況把握画面803で、例えば、リソースDB253より取得した該当ユーザの所属部隊の現在地の値(GPSから取得しても良い)に基づき、該当地にシンボル806を表示する。
また、現場対応者端末109は、意思決定支援装置107から災害対応プラン(派遣先エリアや作業内容(情報収集、人命救助など))を受信すると、画面IF243の新着ボタン805を点灯させる。ここで現場対応者が入力装置により新着ボタン805を押下した場合、現場対応者端末109は、該当災害対応プランが示す派遣先エリア(例えば、エリア807)を状況把握画面803に表示する。また、この派遣先エリア807に関して押下がなされると、現場対応者端末109は、上述の災害対応プランが示す作業内容(情報収集、人命救助など)を情報表示画面804の指示内容表示エリア808に表示する。更にここで確認ボタン809が押下されると、現場対応者端末109は、例えば意思決定支援装置107に災害対応プランを確認した旨を通知する。
上述の画面IF243における属性情報登録ボタン802が押下されると、現場対応者端末109は、意思決定支援装置107から受信した災害対応プランに基づき、派遣先エリア等の場所に関する情報や作業内容(情報収集、人命救助など)、およびリソースDB253に登録されたユーザの所属する組織や部隊名称、連絡先、人数、保有資機材、および現在地(直接入力もしくはGPSにより取得)の各情報を、情報表示画面804の登録内容表示画面810に表示する。ここで送信ボタン811が押下されると、現場対応者端末109は、登録内容表示画面810に表示している情報を属性情報として現場調整装置103に送信する。なお、現場対応者端末109は、現場対応者による不足情報(人員、資機材など)の入力を登録内容表示画面810にて受け付けて、上述の属性情報に含めるとしても良い。また、現在地送信ボタン813が押下されることにより、現場対応者端末109は、GPS等で取得した現在地に関する情報(緯度、経度、高度、時間)を、現場調整装置103に送信するものとする。
−−−要支援地域抽出フロー例−−−
図6は本実施形態における意思決定支援方法の手順例2を示すフロー図であり、具体的には上述のステップS401〜S403の要支援地域抽出フローについて例示したものである。この場合、ステップS501において、意思決定支援装置107は、地図DB251から、各エリアの情報(識別用のブロックID、緯度・経度範囲)を取得する。
この地図DB251は図7にて示すように、地図データや衛星画像、地形情報、建物情報、人口情報等を格納したデータベースであり、上述のエリアを識別するためのブロックIDを格納する項目「ブロックID」601、該当エリアの名称を格納する項目「エリア名」602、該当エリアの範囲(緯度・経度範囲)を格納する項目「範囲」603、該当エリアの衛星画像、地形情報、建物情報、人口情報等を格納する項目604、といった小目の値から構成されている。なお、こうした地図DB251における緯度・経度範囲は、ユーザによって変更可能である。すなわち、ユーザによって区切り方の異なる複数のエリ
アの情報を登録することができる。
続いてステップS502において、意思決定支援装置107は、各種センサ・システム190および/または現場対応者端末109から取得した災害情報が格納されている収集情報DB255の各レコードに対して、テキスト解析や音声解析、画像・映像解析等を行い、被害に関するレコード(震度情報、被害情報など)、ならびに、人や組織、車両や資機材の動きに関するレコード(例えば、項目「内容」に消防車が放水している、警察官が避難誘導しているなどの情報を含むレコード)を抽出する。
次に、ステップS503において、意思決定支援装置107は、上述のステップS501で取得したエリア毎すなわち項目「ロケーション」の値ごとに、ステップS502で抽出した種別「被害」に関するレコードの「内容(値)」を抽出する。こうした収集情報DB255(図20)の具体的なデータ構成例については後述する。
続いてステップS504において、意思決定支援装置107は、分析結果DB256から分析結果(建物被害推計、人的被害推計、洪水浸水推計、津波被害推計、火災発生・延焼推計、ライフライン被害推計など)のレコードを抽出し、上述のステップS501で取得したエリア毎にレコードを分類する。なお、分析結果DB256(図22)の具体的なデータ構成例については後述する。
次にステップS505において、意思決定支援装置107は、上述のステップS503、S504でエリア毎に分類したレコードの値に基づき、各エリアの項目別被災度を算出する。例えば、収集情報DB255の震度情報に関するレコード(例えば、項目「種別」が”震度”であるレコード)について、ブロックID=1のエリアに分類されたレコードの項目「内容」の値が”5”であり(ただし、複数のレコードが分類された場合は、例えば、項目「内容」の値の平均値を取る)、ブロックID=2のエリアに分類されたレコードの項目「内容」の値が”4”であり、ブロックID=3のエリアに分類されたレコードの項目「内容」の値が”6”である場合に、項目”震度”に対する項目別被災度は、例えば、相対的に、ブロックID=1のエリアの被災度を基準値として”1”、この基準値との差異として、ブロックID=2のエリアの被災度を”0”、ブロックID=3のエリアの被災度を”2”とする。意思決定支援装置107は、分析結果DB256の分析結果も同様に、項目「分析種別」、項目「値」に基づき、各エリア毎の項目別被災度を算出する。
続いてステップS506において、意思決定支援装置107は、上述のステップS505で算出した項目別被災度について、それぞれのエリア毎に被災度を足し合わせて、エリア毎の総合被災度を算出する。例えば、項目”震度”に対する項目別被災度が、例えば、ブロックID=1のエリアが”1”、ブロックID=2のエリアが”0”、ブロックID=3のエリアが”2”であり、項目”津波被害”に対する項目別被災度が、ブロックID=1のエリアが”0”、ブロックID=2のエリアが”2”、ブロックID=3のエリアが”7”である場合、エリア毎の総合被災度は、ブロックID=1のエリアが”1”、ブロックID=2のエリアが”2”、ブロックID=3のエリアが”9”となる。
次にステップS507において、意思決定支援装置107は、上述のステップS501で取得したエリア毎に、すなわち、ステップS502で抽出した人や組織、車両や資機材の動きに関するレコードにおいて、項目「ロケーション」の値に基づいて、人や組織、車両や資機材の動きに関する情報を抽出する。
続いてステップS508において、意思決定支援装置107は、上述の現場調整装置103の現場調整DB121に登録された各レコードの項目「現在地」、項目「人数」の値
に基づき、上述のステップS501で取得した各エリア毎の人数を算出する。
なお、上述の現場調整DB121は、図10にて例示するように、各レコード662、663・・・を識別するための項目「調整ID」651、レコードが追加・更新された時刻を登録するための項目「更新時刻」652、また例えば、S407で受信したユーザの属性情報について、組織名称を登録するための項目「組織名称」653、ユーザ名や部隊名称を登録するための項目「部隊名称」654、人数を登録するための項目「人員」655、保有資機材を登録するための項目「資機材」656、人員や資機材の不足分に関する情報を登録するための項目「不足」657、行動内容や作業内容を登録するための項目「行動内容」658、現在地や目的地等を登録するための項目「現在地」659、連絡先(現場対応者端末へのアクセス情報など)を登録するための項目「連絡先」660から成る。
続いてステップS509において、意思決定支援装置107は、上述のステップS507で各エリア毎に分類されたレコードの数、およびステップS508で算出された人数から、各エリア毎の活動活性度を算出する。
このように算出された総合被災度、活動活性度の値は、意思決定支援装置107が支援地域抽出DB252に格納するものとする。この支援地域抽出DB252は、図8にて例示するように、各レコードを識別するための項目「抽出ID」611、エリアを識別するためのブロックIDを登録する項目「ブロックID」612、レコードを登録・更新した時刻を登録する項目「時刻」613、被災度か活動活性度か、また項目別被災度の場合、その項目名を登録する項目「種別」614、エリアの範囲(緯度・経度範囲)を登録する項目「ロケーション」615、被災度や活動活性度の値を登録する項目「値」616から成る。例えば、上述のステップS506で算出されたブロックID=3のエリアの総合被災度は、レコード621のように、登録される。
最後にステップS510において、意思決定支援装置107は、上述のステップS506で算出した総合被災度と、ステップS509で算出した活動活性度とに基づき、被災度が高くかつ活動活性度が低いエリア、または被災度や活動活性度が他のエリアと比べて極めて高いエリアを、要支援エリア(部隊を派遣するべきエリア)として特定する。例えば、エリア毎の総合被災度は、ブロックID=1のエリアが”1”、ブロックID=2のエリアが”2”、ブロックID=3のエリアが”9”であり、エリア毎の活動活性度が、ブロックID=1のエリアが”10”、ブロックID=2のエリアが”2”、ブロックID=3のエリアが”1”であった場合、ブロックID=1のエリアと、ブロックID=3のエリアを抽出する。
本フローによれば、災害規模が大きく1つ以上の複数の組織が協力して上記災害への対応を行う必要がある場合に、被災現場のニーズが不明確な中で、遠隔支援組織が、支援すべきエリアを独自に判断して、被災現場に支援部隊を派遣することができ、被災地外から被災地内での対処活動への自律的かつスムーズな介入を支援することができる。
−−−現場協調先決定フロー例−−−
次に、現場協調先決定フロー302の詳細について説明する。図13は本実施形態における意思決定支援方法の手順例3を示すフロー図であり、具体的には、現場協調先決定フロー302を示す図である。この場合、現場対応者のユーザA3が利用する現場対応者端末109は、データ管理装置110のリソースDB253に登録された、当該ユーザA3の所属する組織、部隊の名称、連絡先(ユーザA3が利用する現場対応者端末109へのアクセス情報など)、人数、および保有資機材の各情報と、現在地(直接入力もしくはGPSにより取得)、不足情報(人員、資機材の不足について、ユーザA3が入力装置にて
入力したもの)、および災害対応の派遣先、作業内容(情報収集、人命救助など)に関する各情報とを、属性情報として現場調整装置103に送信する(S901)。
ここで、属性情報を送信するタイミングは、定期的、あるいは、ユーザA3の指定する時刻、あるいは現場調整装置103からの要請を受けたタイミングとなる。また、属性情報の送信内容としては、前回送信時に送信した属性情報との差分(例えば、現在地情報)のみとしても良い。こうした差分を検知した現場対応者端末109は、リソースDB253に登録されたユーザA3の属性情報のうち、上述の差分に対応する情報(例えば現在地)を最新の値で更新する。
続いて現場調整装置103は、属性情報管理部116によって、現場対応者のユーザA3が利用する現場対応者端末109から、上述のステップS901で送信された属性情報を受信し、現場調整DB121に登録する(S902)。ここで、現場対応ユーザA3の属性情報に関するレコードが既に現場調整DB121に登録されていた場合は、当該レコードの項目「更新時刻」に現在時刻を上書きし、その他の項目も上記受信した属性情報の該当項目の値で上書きする。
続いて、現場対応者のユーザB3が利用する現場対応者端末153は、データ管理装置154のリソースDB253に登録された、ユーザB3の所属する組織や部隊名称、連絡先(現場対応者のユーザB3が利用する現場対応者端末153へのアクセス情報など)、人数、保有資機材の各情報と、現在地(ユーザB3による直接入力もしくはGPSより取得)、不足情報(ユーザB3が入力装置にて入力したもの)、派遣先、および作業内容(情報収集、人命救助など)等に関する各情報とを、属性情報として現場調整装置103に送信する(S903)。属性情報を送信するタイミングや、属性情報の差分送信等に関する運用は、上述のステップS901にて示した現場対応者端末109の場合と同様である。
一方、現場調整装置103は、属性情報管理部116によって、現場対応者のユーザB3が利用する現場対応者端末153から、上述のステップS903で送信された属性情報を受信し、これを現場調整DB121に登録する(S904)。ここで、現場対応ユーザB3の属性情報に関するレコードが既に現場調整DB121に登録されていた場合は、当該レコードの項目「更新時刻」に現在時刻を上書きし、その他の項目も上記受信した属性情報の該当項目の値で上書きする。
また、現場調整装置103は、支援者検知部118によって、現場調整DB121に属性情報が登録された各ユーザについて、その活動範囲内(現在地から所定距離内)に存在する他組織のユーザを検知する(S905)。例えば、上述のステップS902によって、属性情報が現場調整DB121に登録されたユーザA3について、ステップS904によって登録されたユーザB3の属性情報に含まれる現在地情報と、現場調整DB121に登録されたユーザA3の属性情報に含まれる現在地情報とから算出される距離が一定の範囲内にある場合、ユーザB3をユーザA3の活動範囲内に存在するユーザとして検知する。
次に、現場調整装置103は、活動目的判定部119によって、現場調整DB121に属性情報が登録された各ユーザについて、各ユーザの属性情報と上述のステップS905で検知した他組織のユーザの属性情報との整合性を判定し、ステップS905で検知した他組織のユーザのうち協調連携するのに適したユーザを抽出し、該当ユーザの属性情報を各ユーザの現場対応者端末に通知する(S906)。
例えば、属性情報が現場調整DB121に登録されたユーザA3について、ステップS
905によって検知されたユーザB3の属性情報に含まれる作業内容および保有資機材情報のうち作業内容がユーザA3の属性情報に含まれる作業内容と一致または類似する場合、または、ユーザB3の属性情報に含まれる保有資機材がユーザA3の不足情報(資機材)と一致または類似する場合、ユーザB3の属性情報を、ユーザA3の利用する現場対応者端末109に送信して、協調連携するのに適したユーザ、すなわち協調連携候補としてユーザB3を通知する。
一方、現場対応者のユーザA3が利用する現場対応者端末109は、支援要請/支援可否通知機能233によって、現場調整装置103から上述のステップS906によって通知された協調連携候補たるユーザB3の属性情報を受信し(S907)、このユーザB3が利用する現場対応者端末153に対して、ユーザA3の属性情報を含む協調連携要請を送信する(S908)。
ここで、上述のステップS907、S908を実行した場合の画面IF243の画面遷移について示す。図16は、本実施形態における表示画面の遷移例3を示す図であり、具体的には、上述のステップS907、S908を実行した場合の画面IF243の画面遷移の例である。なお、図16で示す画面表示は一例であり、画面を構成するチェックボックスやボタン、表示領域の配置は自由に構成して良い。また、画面を複数に分割しても良い。
現場対応者端末109は、画面IF243において、支援管理ボタン1203の押下を検知した際、既に協調連携している他組織の部隊が存在する場合、現場調整DB121に登録された情報に基づき、既に協調連携している他組織部隊のシンボル1208を状況把握画面1204の地図上に表示させる。
また、現場対応者端末109は、現場調整装置103から協調連携候補たる現場対応者の属性情報を受信すると新着ボタン1206を点灯させ、この新着ボタン1206が押下された場合、状況把握画面1204に協調連携候補である現場対応者のシンボル1207を表示する。このシンボル1207が選択されると、現場対応者端末109は、選択されたシンボル1207に対応する現場対応者の属性情報を情報表示画面1205の属性情報表示画面1209に表示する。ここで、支援要請ボタン1210が押下されると、現場対応者端末109は、要請内容入力画面1212を表示して現場対応者による要請内容の入力を受け付ける。また、ここで送信ボタン1211が押下されると、現場対応者端末109は、協調連携候補の現場対応者が利用する現場対応者端末に協調連携要請を送信することとなる。
ここでフローの説明に戻る。他方、現場対応者のユーザB3が利用する現場対応者端末153は、支援要請/支援可否通知機能233によって、上述のユーザA3の利用する現場対応者端末109からユーザA3の属性情報を含む協調連携要請を受信し(S909)、ユーザB3により入力装置で入力された協調連携するか否かの回答と、および協調連携する場合のユーザB3の属性情報とを、協調連携要請の送信元(ユーザA3)の現場対応者端末109に送信する(S910)。
こうしたステップS909、S910を実行した場合の画面IF243の画面遷移例は、図17に例示するとおりである。なお、図17で示す画面表示は一例であり、画面を構成するチェックボックスやボタン、表示領域の配置は自由に構成して良い。また、画面を複数に分割しても良い。
この場合、現場対応者端末153は、画面IF243において、支援管理ボタン1303が押下された際、既に協調している他組織の部隊が存在する場合は、現場調整DB12
1に登録された情報に基づき、既に協調している他組織部隊のシンボル1308を状況把握画面1304の地図上に表示させる。
また、現場対応者端末153は、他組織のユーザが利用する現場対応者端末109から協調連携要請を受信すると、新着ボタン1306を点灯させる。この新着ボタン1306が押下されると、現場対応者端末153は、状況把握画面1304に協調連携要請の送信元の現場対応者のシンボル1308を表示する。このシンボル1308が選択されると、現場対応者端末153は、選択されたシンボル1308に対応する現場対応者の属性情報を、情報表示画面1305の属性情報表示画面1309に表示させ、協調連携要請の内容を要請内容表示画面1310に表示する。ここで、要請承認ボタン1311が押下されると、現場対応者端末153は、協調連携要請の送信元の現場対応者が利用する現場対応者端末109に要請承認を通知することとなる。
ここでフローの説明に戻る。現場対応者のユーザA3が利用する現場対応者端末109は、支援者登録機能234によって、上述のユーザB3が利用する現場対応者端末153から協調連携するか否かの回答を受信し、当該回答が協調連携する旨を示すものである場合、該当回答に含まれるユーザB3の属性情報を協調先DB254に登録し、当該登録したことをユーザB3の現場対応者端末153に通知する(S911)。
また、現場対応者のユーザB3が利用する現場対応者端末153は、支援者登録機能234によって、上述のユーザA3の現場対応者端末109から、協調先DB254に登録したことの通知を受信した場合に、当該通知に含まれるユーザA3の属性情報を、協調先DB254に登録する(S912)。
なお、上述の協調先DB254は、図15に例示するデータ構成を備えている。図15は、本実施形態における協調先DB254の構成例を示す図である。ここで例示する協調先DB254は、各レコードを識別するための項目「協調ID」1101、レコードを登録・更新した時刻を登録する項目「時刻」1102、上述のステップS911やS912で受信したユーザの属性情報について、現場調整DB121にも登録されている場合に、そのレコードを識別する調整IDを登録するための項目「調整ID」1103、組織名称を登録するための項目「組織名称」1104、ユーザ名や部隊名称を登録するための項目「部隊名称」1105、人数を登録するための項目「人員」1106、保有資機材を登録するための項目「資機材」1107、協調先DB254に登録された当該レコードの部隊と協調する部隊の部隊ID(リソースDB253で付与された識別番号)を登録するための項目「協調部隊ID」から成る。このうち、例えばレコード1111は、協調する他組織のユーザが”組織B”の”部隊1”であり、それと連携しているのが図7のレコード641より、自組織の”部隊1”であることが分かる。
−−−支援者検知フロー例−−−
続いて、上述のすなわちS905、S906の支援者検知フローについて詳細に説明する。図14は、本実施形態における意思決定支援方法の手順例4を示すフロー図であり、具体的にはすなわちS905、S906の支援者検知のフローを示す図である。
この場合、すなわちS1001において、現場調整装置103は、現場調整DB121に登録されたレコードのうちの1つ(例えば、調整ID=00001のレコード)を抽出する。
また、すなわちS1002において、現場調整装置103は、上述のステップS1001で抽出したレコードについて、項目「現在地」に含まれる現在地情報と、その他のレコードの項目「現在地」に含まれる現在地情報とから算出される距離が一定の範囲内にある
レコードを抽出する。ここで、抽出されるレコードがない場合、調整ID=00001のレコードに該当するユーザの活動範囲内に他組織ユーザが存在しないとして、調整ID=00001のレコードを除いたレコードについて、上述のステップS1001の処理を行う。抽出されるレコードが1つ以上ある場合、現場調整装置103はステップS1003を実行する。
このステップS1003において、現場調整装置103は、上述のステップS1001で抽出したレコード(例えば、調整ID=00001のレコード)について、レコードの各項目の値とステップS1002で抽出したレコードの各項目の値との整合性を判定する。例えば、ステップS1002で抽出したレコードに含まれる作業内容が、調整ID=00001のレコードに含まれる作業内容と一致または類似する場合、または上述のレコードに含まれる保有資機材情報の示す資機材と不足情報(資機材)の示す資機材とが一致または類似する場合、活動目的が整合するレコードとして抽出する。ここで、抽出されるレコードがない場合、調整ID=00001のレコードに該当するユーザの活動目的に整合する他組織ユーザが存在しないとして、調整ID=00001のレコードを除いたレコードについて、ステップS1001の処理を行う。抽出されるレコードが1つ以上ある場合、現場調整装置103は、ステップS1004を実行する。
続いてステップS1004において、現場調整装置103は、上述のステップS1003で抽出されたレコードの値を、協調連携候補であるユーザの属性情報として、ステップS1001で抽出したレコード(例えば、調整ID=00001のレコード)の項目「連絡先」に基づき、調整ID=00001のレコードに該当するユーザの現場対応者端末に送信する。
ここで、現場調整DB121に登録されたレコードにおいて、上述のステップS1002〜S1004の処理が行われていないレコードがある場合、現場調整装置103は、対象ユーザがまだ残っているとして、当該レコードについて上述のステップS1001の処理を行う。
こうした本フローによれば、意思決定者の判断を待つことなく、被災現場において現場対応者同士すなわち支援者と受援者とが迅速に協調作業を行うことができ、ひいては被災地における被災者を迅速かつ効果的に救援することが可能となる。
−−−分析・影響度判定フロー例−−−
続いて上述の分析・影響度判定フロー303について説明する。図18は、本実施形態における意思決定支援方法の手順例5を示すフロー図であり、具体的には、分析・影響度判定フローを示す図である。
この場合、現場対応者のユーザB3が利用する現場対応者端末153は、情報公開機能242によって、収集情報DB255における各登録情報について、アクセスを許可する(他組織の)ユーザの指定を入力装置にて現場対応者から受け付け、該当レコードの項目「公開範囲」に登録する。なお、アクセスを許可するユーザに関する情報は、協調先DB254より取得するとしても良い。また、現場対応者端末153は、収集情報DB255の登録情報のうち公開する情報、あるいは公開する情報へのアクセスに必要な情報(URLなど)を、上述のアクセスを許可するユーザ(例えば、ユーザA3の部隊名称)に関する情報とともに、該当ユーザの現場調整装置103に送信する(S1401)。なお、アクセスを許可するユーザとしては、上述のユーザB3の所在地から所定の緯度、経度範囲にいる他組織のユーザ、などと所在範囲により指定するとしてても良い。また全てのユーザに公開すると指定しても良い。
なお、上述で示す収集情報DB255の具体的なデータ構成例を図20にて示す。この収集情報DB255は、各レコードを識別するための項目「データID」1601、レコードを登録・更新した時刻を登録する項目「時刻」1602、情報のサマリ(例えば、”震度”、”人的被害”など)を登録するための項目「種別」1603、場所を登録するための項目「ロケーション」1604、情報の内容を登録するための項目「内容」1605、収集した情報の入手元(センサ情報や後述するステップS1404で取得した公開情報の公開元の情報)を登録するための項目「情報入手元」1606、現場調整装置103に公開している、あるいは現場調整装置103から公開情報を取得した場合に、それを識別するための公開ID(公開情報管理DB122により付与)を登録するための項目「公開ID」1607、当該レコードへのアクセスを許可するユーザの情報を登録するための項目「公開範囲」1608から成る。
また、上述のステップS1401の実行時における画面IF243の表示画面の遷移例は、図23に示すものとなる。なお、図23で示す画面表示は一例であり、画面を構成するチェックボックスやボタン、表示領域の配置は自由に構成して良い。また、画面を複数に分割しても良い。
図23に例示する画面IF243において、収集情報管理ボタン1702が押下されると、現場対応者端末153は、収集情報DB255の登録情報を、状況把握画面1703に表示する(例えば、シンボル1707、1708)。ここで、現場対応者のユーザB3が、例えば新たな情報として浸水被害に関する情報を入手した場合、このユーザB3は、上述の状況把握画面1703において、浸水地点に対応する該当箇所を地図上で押下する。このような新たな情報の指定を画面IF243で受けた場合、現場対応者端末153は、情報表示画面1704に情報入力画面1705を表示させる。
一方、上述のユーザB3は情報入力画面1705に「浸水被害」に関する情報を入力して、登録ボタン1709を押下する。他方、現場対応者端末153は、ユーザB3が情報入力画面1705にて入力した情報を収集情報DB255に登録する。この時、現場対応者端末153は、新たに登録した情報を状況把握画面1703上に表示する際のシンボル(例えば、シンボル1706)も登録するとしても良い。
次に、上述のユーザB3が状況把握画面1703に表示されている上述のシンボル1706を押下したとする。この時、現場対応者端末153は、該当ユーザB3がシンボル1706の押下で選択した事象に関する情報の内容を、情報表示画面1704にて表示させる。また、ユーザB3が情報公開ボタン1711を押下すると、現場対応者端末153は、これを受けて、公開先を入力する画面1712を表示し、アクセスを許可する他組織のユーザ(の範囲)に関する指定をユーザB3から受け付けて、これを収集情報DB255に登録し、現場調整装置103に送信することができる。
ここでフローの説明に戻る。続いて、現場調整装置103は、公開情報管理部117によって、上述のステップS1401にて現場対応者端末153から送信された公開情報、あるいは公開情報にアクセスするためのリンク先情報、アクセスを許可するユーザに関する情報を受信し、公開情報管理DB122に登録する(S1402)。
この公開情報管理DB122は、図21にて例示するように、各レコードを識別するための項目「公開ID」1621、レコードを登録・更新した時刻を登録する項目「時刻」1622、情報のサマリ(例えば、”震度”、”人的被害”など)を登録するための項目「種別」1623、場所を登録するための項目「ロケーション」1624、情報の内容を登録するための項目「内容」1625、情報の公開元や情報へのリンクを登録するための項目「情報公開元」1626から成る。
また現場調整装置103は、公開情報管理DB122に新規登録した公開情報について、アクセスを許可するユーザ情報として例えば「ユーザA3」の部隊名称が示されていた場合、現場調整DB121を検索して、項目「部隊名称」の値が「ユーザA3」であるレコードを特定し、該当レコードの項目「連絡先等」に登録されている情報に基づき、「ユーザA3」が利用する現場対応者端末109に、「ユーザA3がアクセス可能な公開情報が登録された」ことを通知する(S1403)。この通知に、アクセス可能な公開情報、あるいは公開情報にアクセスするためのリンク先情報を含めて送信するとしても良い。
なお、アクセスを許可するユーザとして、公開情報の登録者である上述のユーザB3の所在地から所定の緯度、経度範囲にいる他組織のユーザ、などと所在範囲により指定がなされている場合、現場調整装置103は、現場調整DB121を検索して、項目「現在地」の値がユーザB3に指定された範囲内に該当するレコードを抽出し、当該レコードの項目「連絡先等」に登録されている情報に基づき、アクセス可能な公開情報が登録されたことを、上述のユーザA3の現場対応者端末109に通知する。
一方、上述の現場対応者であるユーザA3が利用する現場対応者端末109は、情報収集機能241によって、現場調整装置103から他組織(例えば、ユーザB3)により、ユーザA3がアクセス可能な公開情報が公開されたことの通知を受信し、現場調整装置103の公開情報管理DB122から、または、ユーザB3が利用する意思決定調整システム102の収集情報DB255から、テキスト情報、位置情報、時刻情報、音声情報、画像、動画などを取得し、情報公開者であるユーザB3に関する情報とともに、自組織の意思決定調整システム101におけるデータ管理装置110の収集情報DB255に登録する(S1404)。
また、上述のステップS1404の実行時における画面IF243の表示画面の例は、図24に示すものとなる。なお、図24で示す画面表示は一例であり、画面を構成するチェックボックスやボタン、表示領域の配置は自由に構成して良い。また、画面を複数に分割しても良い。
画面IF243において、収集情報管理ボタン1802が押下されると、現場対応者端末109は、収集情報DB255に登録された情報を、状況把握画面1803に表示する。ここで現場対応者端末109は、他組織のユーザが公開した情報を、現場調整装置103から受信した場合には、新着ボタン1806を点灯させる。また、この新着ボタン1806が押下されると、現場対応者端末109は、現場調整装置103から受信した情報を状況把握画面1803に表示する(例えば、シンボル1806)。このシンボル1806が押下されると、現場対応者端末109は、該当シンボル1806に対応する情報の内容および情報公開元のユーザに関する情報を画面1805に表示させる。この場合、登録ボタン1807が押下されると、現場対応者端末109は、シンボル1806の押下により選択された情報を収集情報DB255に登録することとなる。
ここでフローの説明に戻る。他方、情報分析者のユーザB2が利用する情報分析装置152は、情報分析機能221によって、収集情報DB255や分析結果DB256の登録情報から、災害や二次災害等の被害状況やその事象の進展範囲、速度等を、エリア毎に推計した分析結果を分析結果DB256に登録する。この情報分析装置152において分析結果を得るための分析手段としては、所定のシミュレーションプログラムを採用できる。このシミュレーションプログラムは、例えば収集情報DB255に登録された各地の震度情報と、地図DB251に登録された建物情報(建物の構造、強度、立地地盤特性等)とを用いて、倒壊や半壊家屋の発生数やそれによる人的被害予測を行う。また、収集情報DB255に登録された震度情報と震源情報と、地図DB251に登録された地形情報とか
ら、各港湾における津波の到達時刻や高さ、浸水範囲やそれによる人的被害を予測する。また、収集情報DB255に登録された火災発生情報と気象情報(風速、風向、降雨など)とを用いて、今後の火災の延焼推移の予測を行う。
また、情報分析装置152は、分析結果公開機能223によって、分析結果DB256に登録した各分析結果について、アクセスを許可するユーザを、項目「公開範囲」に登録する。アクセスを許可するユーザに関する情報は、協調先DB254より取得しても良い。また、分析結果DB256に登録した各分析結果のうち、公開する分析結果、あるいは公開する分析結果へのアクセスに必要な情報(URLなど)を、アクセスを許可するユーザ(例えば、ユーザA2)に関する情報とともに現場調整装置103に送信する(S1405)。公開する分析結果のレコードが多い場合は、アクセスに必要な情報(URLなど)を送信することが望ましい。送信した公開分析結果は、ステップS1402と同様の処理によって、公開情報管理DB122に登録される。
一方、情報分析者のユーザA2が利用する情報分析装置108は、情報分析機能221によって、収集情報DB255や分析結果DB256の登録情報から、災害や二次災害等による被災状況や該当事象の進展、またそれに伴う災害対応への影響を推測した分析結果を分析結果DB256に登録する(S1406)。この時、情報分析装置108は、現場調整装置103の公開情報管理DB122にアクセスして、ユーザA2が利用可能な他組織(例えば、ユーザB2)の分析結果が公開されている場合は、ユーザB2によって公開された分析結果を取得し、上述の分析に利用しても良い。
なお、上述の分析結果DB256は、図22で例示するように、各レコードを識別するための項目「結果ID」1641、分析結果がS1503により、エリア毎の値に変換されている場合、エリアのブロックIDを登録するための項目「ブロックID」1642、レコードを登録・更新した時刻を登録する項目「時刻」1643、分析結果のサマリ(例えば、”火災延焼予測”、”建物倒壊予測”など)を登録するための項目「種別」1644、場所を登録するための項目「ロケーション」1645、分析結果の値を登録するための項目「値」1646、当該レコードへのアクセスを許可するユーザの情報を登録するための項目「公開範囲」1647から成る。
次に、情報分析者のユーザA2が利用する情報分析装置108は、影響度判定機能222によって、上述のステップS1406で分析結果DB256に登録した分析結果が各現場対応者(例えば、ユーザA3)に影響するか、リソースDB253に登録された項目「現在地」の値に基づき判定して影響度を算出し、現場対応者に影響がおよぶ場合には、分析結果および影響度を、ユーザA3の現場対応者端末109に送信する(S1407)。またこの時、情報分析装置108は、協調先DB254に登録されている他組織のユーザ(例えば、ユーザB3)についても、分析結果が影響するか判定して影響度を算出し、影響する場合に、分析結果および影響度を、ユーザB3の利用する現場対応者端末153に送信する。本ステップを実行するタイミングとしては、上述のステップS1406によって新たに分析結果が作成され、分析結果DB256に登録されたタイミングの他、定期的に実行しても良い。これにより、例えば、各現場対応者の現在地が常に変化する場合であっても、常に最新の影響度を送信することができ、各現場対応者らが被災地で災害対応中に2次災害等に巻き込まれるなどの危険を回避できる。
また、上述のステップS1407の実行時における画面IF224の表示画面の例は、図25に示すものとなる。なお、図25で示す画面表示は一例であり、画面を構成するチェックボックスやボタン、表示領域の配置は自由に構成して良い。また、画面を複数に分割しても良い。
画面IF224において、情報分析ボタン1902が押下されると、情報分析装置108は、分析結果選択画面1905を表示させる。ここで例えば、「火災延焼」が選択されると、情報分析装置108は、火災発生地点から風下方向に延焼する範囲を示す火災延焼推計結果(例えば、オブジェクト1907、1908)を、状況把握画面1904に表示する。さらに対処影響ボタン1903が押下されると、情報分析装置108は、後述するステップS1504で抽出されたユーザを、状況把握画面1904に表示(例えば、シンボル1909)する。またさらに、シンボル1909が押下されると、情報分析装置108は、後述するステップS1505で算出された影響度に関する情報を、影響内容表示画面1910に表示させる。ここで、影響通知ボタン1906が押下されると、情報分析装置108は、影響度に関する情報を、シンボル1909で表示されたユーザが利用する現場対応者端末に送信することとなる。
ここでフローの説明に戻る。一方、現場対応者のユーザA3が利用する現場対応者端末109は、ステップS1407にて送信された分析結果および影響度を受信し、これを画面IF243によって表示する(S1408)。同様に、現場対応者のユーザB3が利用する現場対応者端末153は、ステップS1407によって送信された分析結果および影響度を受信し、これを画面IF243によって表示する(S1409)。
なお、上述のステップS1401、S1405において、現場対応者端末153や情報分析装置152により、公開する情報や分析結果、あるいは公開する情報や分析結果へのアクセスに必要な情報(URLなど)、アクセスを許可するユーザに関する情報を、現場調整装置103に送信しているが、データ管理装置154が、収集情報DB255や分析結果DB256の各レコードの項目「公開範囲」の内容や、協調先DB254に登録された情報(ユーザ名称等)に基づき、上述の情報を現場調整装置103に送信するとしても良い。
−−−影響度判定フロー例−−−
続いて上述のステップS1407における影響度判定フローについて詳細に説明する。図19は、本実施形態における意思決定支援方法の手順例6を示すフロー図であり、具体的には影響度判定フローを示す図である。この場合、ステップS1501において、情報分析装置108は、地図DB251から、各エリアの情報(識別用のブロックID、緯度・経度範囲)を取得する。また、ステップS1502において、情報分析装置108は、分析結果DB256から分析結果、例えば、火災延焼予測結果を取得する。
次にステップS1503において、情報分析装置108は、上述のステップS1502で取得した分析結果について、ステップS1501で取得したエリア毎に変換する。例えば、ステップS1502で取得した火災延焼予測結果について、現在火災が発生している地点を含むエリア(例えば、ブロックID=00001のエリア)を火災延焼エリアとし、その後、例えば、1時間後の延焼予測結果がブロックID=00001と00002のエリアに及んでいる場合は、これらのエリアを火災延焼エリアとする。さらに3時間後の延焼予測結果がブロックID=00001と00002と00003のエリアに及んでいる場合は、これらのエリアを火災延焼エリアとする。
続いて、ステップS1504において、情報分析装置108は、ステップS1503で変換したエリア毎の火災延焼予測結果などの分析結果に基づき、影響度判定を行う対象となるユーザをリソースDB253、協調先DB254、現場調整DB121に登録された各ユーザの項目「現在地」の値に基づき抽出する。
例えば、上述の火災延焼予測結果のように3時間後の延焼予測結果がブロックID=00001、00002、00003の3つのエリアに及ぶ場合、該当エリアに存在する、
あるいは近接するエリアに存在するユーザ(現場対応者)を、影響度判定を行う対象ユーザとして抽出する。ここで、対象となるユーザが存在せず、かつ他に影響度判定を実施したい分析結果(洪水被害予測など)がある場合、情報分析装置108は、ステップS1502により、影響度判定を実施したい分析結果(洪水被害予測など)を取得する。影響度判定を実施したい分析結果がない場合、情報分析装置108は、本フローを終了する。
次にステップS1505において、情報分析装置108は、上述のステップS1504で抽出したユーザについて影響度を判定する。この判定処理は、例えば、ステップS1504で抽出したユーザが、ブロックID=00003のエリアで作業を行っている場合、現時点での火災延焼エリアは、ブロックID=00001のエリアであり、例えば、ブロックID=00001のエリアとブロックID=00003のエリアの距離が”2”離れている場合、影響度を「20」とする。次に、1時間後の火災延焼エリアは、ブロックID=00001と00002のエリアであり、ブロックID=00002のエリアとブロックID=00003のエリアの距離が”1”離れている場合、ブロックID=00002の火災延焼エリアの影響度を「40」とすると、ブロックID=00001の火災延焼エリアの影響度は「20」であるので、「40」と「20」を合算し、1時間後の影響度を「60」とする。さらに3時間後の火災延焼エリアは、ブロックID=00001と00002と00003のエリアであり、ユーザが作業を行っているエリア(ブロックID=00003のエリア)と火災延焼エリアが重なり、この時の影響度を「80」とすると、ブロックID=00001と00002の火災延焼エリアとの影響度を合わせて、3時間後の影響度を「140」とする。
次にステップS1506において、情報分析装置108は、ステップS1504で抽出したユーザについて、ステップS1505で算出した影響度を、リソースDB253、現場調整DB121に登録された各ユーザの項目「連絡先」の値に基づき、ステップS1504で抽出したユーザが利用する現場対応者端末に送信する。
本フローによれば、被災地における災害または二次災害等による影響(火災延焼等)が被災地に所在する現場対応者らにどの程度およぶか判定し、現時点のみならず、将来の影響度合いについても知らしめることができる。このことは、2次被災の防止など、自組織、および協調する他組織、あるいは影響がある他組織の現場対応者の災害対応の活動を支援することにもつながる。
−−−共同プラン作成フロー例−−−
続いて、共同プラン作成フロー304について説明する。図26は、本実施形態における意思決定支援方法の手順例7を示すフロー図であり、具体的には、共同プラン作成フローを示す図である。
この場合、意思決定者のユーザA1が利用する意思決定支援装置107は、プラン作成機能211によって、対処状況把握処理(S2001)を実行する。この対処状況把握処理における意思決定支援装置107は、収集情報DB255、分析結果DB256に格納されたレコードを取得し、当該レコードが含む情報を、地図DB251に格納された地図データ、衛星画像等とマッピングし、画面IF215により表示する。この時、レコードの項目名やその値の範囲によって画面IF215に表示させるレコードを限定するとしても良い。
また、意思決定支援装置107は、リソースDB253に格納された組織Aの各ユーザに関するレコードを取得し、その項目「現在地」の値に基づき、上述の画面IF215により表示する。さらに意思決定支援装置107は、現場調整装置103の現場調整DB121に格納された他組織の各ユーザに関するレコードを取得し、その項目「現在地」の値
に基づき、上述の画面IF215により表示する。この時、協調先DB254を参照し、協調先DB254に登録されているユーザ(例えば、ユーザB3)のレコードのみを、その項目「現在地」の値に基づき、上記画面IF215により表示するとしても良い。
次に、上述の意思決定支援装置107は、プラン作成機能211によって、ステップS2001で画面表示させている組織Aの各ユーザに関するレコードのうち、意思決定者のユーザA1によって指定されたレコードに対し、ユーザA1による指示内容(例えば、○○市○○町の人命救助など)の入力を受け付け、ここで受け付けた指示内容の情報をプランDB257に登録する(S2002)。
このプランDB257の具体的なデータ構成は図28に示すものとなる。このプランDB257は、各レコードを識別するための項目「計画ID」2201と、作業指示を受け取るユーザのユーザ名(部隊名称)、あるいは部隊ID(リソースDB253により付与)を登録するための項目「対応者」2202、レコードを登録・更新した時刻を登録する項目「指示時刻」2203、2つの作業を同時に行う、あるいは順番に行う場合など、他のレコード(作業指示)との関係性がある場合に、その関係するレコードの計画IDを登録するための項目「関連計画ID」2204、指示内容を登録するための項目「指示内容」2205と、作業指示を受け取るユーザの現在地を登録するための項目「現在地」2206から成る。
図30は、上述のステップS2002を実行した場合の画面IF215の画面遷移例を示している。なお、図30で示す画面表示は一例であり、画面を構成するチェックボックスやボタン、表示領域の配置は自由に構成して良い。また、画面を複数に分割しても良い。
画面IF215において、対処状況把握ボタン2302が押下されると、意思決定支援装置107は、リソースDB253に格納されたレコードの項目「現在地」の値に基づき、現場対応者のユーザを示すシンボルを、状況把握画面2305の地図上に表示する(例えば、シンボル2307)。ここで、シンボル2307が押下されると、意思決定支援装置107は、シンボル2307に該当する現場対応者のユーザの属性情報を、属性情報表示画面2306に表示させる。次に、プラン管理ボタン2303が押下されると、意思決定支援装置107は、シンボル2307に該当する現場対応者のユーザに対する指示内容(例えば、○○市○○町の人命救助などの作業内容とその順序)の入力を受け付ける画面2308を表示させる。また、作業要請ボタン2309が押下されると、意思決定支援装置107は、入力された情報をプランDB257に登録する。また意思決定支援装置107は、シンボル2307に該当する現場対応者のユーザが利用する現場対応者端末に、入力された指示内容を送信する。
ここでフローの説明に戻る。上述の意思決定支援装置107は、協調度判定機能212によって、リソースDB253に含まれる組織Aのユーザの属性情報と、現場調整装置103の現場調整DB121に含まれる他組織(例えば、組織B)のユーザの属性情報とから、組織Aのユーザの現在地との距離が所定範囲以内である他組織のユーザ数を算出し、また協調先DB254に登録されている他組織のユーザ数、収集情報DB255の各レコードの項目「情報入手先」の値から算出される他組織の情報数、から、他組織(例えば、組織B)との協調度を判定する(S2003)。この判定の詳細については後述する。
次に、意思決定支援装置107は、プラン共有機能213によって、上述のステップS2003の協調度判定結果に基づき、協調度が高い他組織(例えば、組織Bの意思決定者のユーザB1が利用する意思決定支援装置151)に対し、協調連携要請を送信する(S2004)。
一方、意思決定者のユーザB1が利用する意思決定支援装置151は、プラン共有機能213によって、上述のステップS2004にて送信された協調連携要請を受信し、この協調連携要請の元である組織Aと連携すると意思決定者たるユーザB1が判断し入力装置にて指示してきた場合、協調連携受諾の旨を協調連携要請の送信元である意思決定者のユーザA1が利用する意思決定支援装置107に通知する(S2005)。
他方、意思決定者のユーザA1が利用する意思決定支援装置107は、プラン共有機能213によって、上述のステップS2005にて送信された協調連携受諾可否に関する通知を受信し、これが協調連携受諾を示す場合、プランDB257に登録された災害対応プランの一部、あるいは全てを、協調連携先組織の情報(組織名称など)とともに配下の現場調整装置103に送信する(S2006)。この時、ステップS2001と同様の処理で画面IF215に表示しているレコードを、上述の災害対応プランとともに現場調整装置103に送信するとしても良い。これによって、協調連携先組織(例えば、組織B)の意思決定者のユーザB1は、意思決定者のユーザA1が閲覧しているものと同一の情報を閲覧することができる。
また、意思決定者のユーザB1が利用する意思決定支援装置151は、プラン共有機能213によって、上述のステップS2005により協調連携承認を送信した場合には、プランDB257に登録された災害対応プランの一部、あるいは全てを、協調連携先である組織の情報(組織名称など)とともに配下の現場調整装置103に送信する(S2007)。
現場調整装置103は、共同プラン作成部120によって、例えば、ステップS2006、S2007によって送信された情報を受信し、受信した情報に基づき、上述の組織Aと組織Bが協調連携する場合に、組織Aと組織Bの協調連携用の共同プランDB123を作成し、ステップS2006、S2007によって送信された情報をこれに登録する。現場調整装置103は、また、意思決定者のユーザA1が利用する意思決定支援装置107と意思決定者のユーザB1が利用する意思決定支援装置151に対して、共同プランDB123に登録されたレコードを、地図DB124に格納された地図データ、衛星画像等とマッピングした同一の画面を提供してユーザA1やユーザB1の入力を受け付け、災害対応における共同プランを作成し、これを共同プランDB123に登録する(S2008)。
上述の共同プランDB123の構成例は図29に示すものが想定できる。この共同プランDB123は、上述のステップS2006、S2007により、組織Aの意思決定支援装置107と、組織Bの意思決定支援装置151から送信された、それぞれのリソースDB253、収集情報DB255、分析結果DB256、プランDB257の全て、あるいは一部が格納されたデータベースである。
上述のステップS2004およびS2008の実行時における画面IF215の遷移例について図31に示す。この場合、画面IF215において、対処状況把握ボタン2402が押下されると、意思決定支援装置107は、リソースDB253に格納されたレコードの項目「現在地」の値に基づき、現場対応者のユーザを示すシンボルを、状況把握画面2305の地図上に表示させる(例えば、シンボル2407)。
ここで、協調ボタン2404が押下されると、意思決定支援装置107は、ステップS2104で算出された各組織に対する協調度を、連携先表示画面2406に表示する。またここで、協調度が表示された組織の選択がなされると、意思決定支援装置107は、選択された組織の意思決定者が利用する意思決定支援装置に連携要請を送信する。
一方、ステップS2008において、例えば、組織Aと組織Bの共同プランDB123が作成されると、現場調整装置103は、画面IF215において、共同プランDB123に登録されたレコードを地図DB124に格納された地図データ、衛星画像等とマッピングした画面を表示させる。また、現場調整装置103は、協調連携する組織A、組織Bに所属する現場対応者のユーザ(例えば、シンボル2407、2408)に対する指示内容(例えば、○○市○○町の人命救助などの作業内容とその順序)の入力を、画面2409にて受け付ける。ここで、組織Aの意思決定者のユーザと組織Bの意思決定者のユーザの両方が了承ボタン2410を押下すると、現場調整装置103は、作業要請ボタン2411を活性化させ、その押下を受け付ける。ここで作業要請ボタン2411が押下されると、現場調整装置103は、シンボル2307、2308に該当する現場対応者のユーザが利用する現場対応者端末に、入力された指示内容を送信する。
ここでフローの説明に戻る。意思決定者のユーザA1が利用する意思決定支援装置107は、作業指示機能214によって、上述のステップS2008で作成した共同プランに基づき、各現場対応者(例えば、ユーザA3が利用する現場対応者端末109)に作業場所、時間、作業内容などの情報を送信する(S2009)。一方、現場対応者のユーザA3が利用する現場対応者端末109は、指示内容管理機能231によって、上述の意思決定支援装置107から作業場所、時間、作業内容等の情報を受信する(S2010)。
また、意思決定者のユーザB1が利用する意思決定支援装置151は、作業指示機能214によって、ステップS2008で作成した共同プランに基づき、各現場対応者(例えば、ユーザB3が利用する現場対応者端末153)に対し、作業場所、時間、作業内容等の情報を送信する(S2011)。
一方、現場対応者のユーザB3が利用する現場対応者端末153は、指示内容管理機能231によって、上述の意思決定支援装置151から、作業場所、時間、作業内容などの情報を受信する(S2012)。
なお、上記実施例では、組織Aと組織Bの2つの組織の連携について示したが、2つ以上の組織が協調連携する形態に本発明を適用するとしても良い。
−−−協調度判定フロー例−−−
次に上述のステップS2003における協調度判定フローについて説明する。図27は、本実施形態における意思決定支援方法の手順例8を示すフロー図であり、具体的には、ステップS2003の協調度判定フローを示す図である。
この場合、S2101において、意思決定支援装置107は、リソースDB253に登録されたレコードのうちの1つ(例えば、部隊ID=00001のレコード)を抽出する。
続いてS2102において、意思決定支援装置107は、上述のステップS2102で抽出したレコードに含まれる項目「現在地」の値と、所定の距離範囲内の項目「現在地」の値を持つレコードを、現場調整DB121より抽出し、抽出したレコードの項目「組織名称」の値に基づき、各組織毎に抽出したレコードの数を、例えば、組織B=3、組織C=0、などと算出する。
次にS2103において、意思決定支援装置107は、上述のステップS2102で算出した各組織毎のレコードの数を、個別協調度に加える。例えば、組織B=0、組織C=0(初期値)に、ステップS2102で算出した値を加えて、個別協調度を、組織B=3
、組織C=0とする。次に、組織B=3、組織C=0に対して、ステップS2102で算出した値を加える。ここで、リソースDB253に登録されたレコードについて、ステップS2102の処理を行っていないレコードがある場合は、そのレコードに対してステップS2101を実行する。処理を行っていないレコードが無い場合は、意思決定支援装置107は、ステップS2104を実行する。
続いてS2104において、意思決定支援装置107は、協調先DB254について、項目「組織名称」の値に基づき、組織毎にそのレコード数を算出する。例えば、項目「組織名称」が”組織B”であるレコードの数、”組織C”であるレコードの数を算出する。次に意思決定支援装置107は、上述のステップS2103で算出した個別協調度と、上記算出したレコード数とから、組織毎の協調度を算出する。例えば、協調度が、組織B=80、組織C=20となった場合、組織Bの方が協調が高く、協調連携を要請するのが望ましいといえる。なお、収集情報DB255の項目「情報入手元」の値に基づき、組織毎にそのレコード数を算出し、それを協調度を算出する際の入力情報として利用しても良い。
本フローによれば、意思決定者は、全体状況を俯瞰しながら、被災地の現場での協調連携状況を考慮して、迅速に他組織との連携可否を判断し、効率的かつ効果的に他組織と協調連携することができる。
−−−クラウドサービスに対応した形態について−−−
上述してきた例では、災害対応を行う組織Aと組織Bが、それぞれ意思決定調整システムを設置し、利用する場合について示した。しかしながら、意思決定支援システム10を構成する各装置の機能を、クラウドサービスの事業者等がサービスとしてネットワーク上で提供し、これを上述の組織Aや組織Bらが端末を介して利用する形態も採用可能である。
このような形態において、上述のサービス事業者が意思決定調整システムの機能をネットワークを介して提供する場合の構成例を図32に示す。
この場合、クラウドシステム1000は、サービス事業者が所有する建屋やサーバルーム、あるいはデータセンターに設置された、本実施形態の意思決定調整システム101、および現場調整装置103で構成されており、インターネット等のネットワーク33を介して、組織A、B等のサービス利用者に対し、意思決定調整システム101、および現場調整装置103が行う各処理をサービスとして提供する。
一方、サービス利用者(例えば、ユーザA1、ユーザA2、ユーザA3)の使用する所定端末2000は、ネットワーク33を介してクラウドシステム1000にアクセスし、意思決定調整システム101および現場調整装置103を利用するための画面IFと、データ管理装置110の各DBを備えた構成となる。
このようにクラウドサービスにより本実施形態の意思決定支援システムの機能提供を行えば、組織毎にシステム構成とその運用を行う場合と比較して、システム導入、運用のコスト、手間を大幅に抑制することが出来る。
以上、本発明を実施するための最良の形態などについて具体的に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
また、上述した実施形態の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の
各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、または、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
こうした本実施形態によれば、例えば災害規模が大きく、複数組織が協力して災害対応を行う必要がある場合に、被災現場のニーズが不明確な中で、被災現場から遠隔地にある支援組織同士が、被災地内での対処活動へ的確かつスムーズに介入し、好適な支援体制を構築できることとなる。また、該当組織における意思決定者の判断を待つことなく、被災現場において支援者と受援者が迅速に協調作業を確立可能となり、このことは被災者を迅速かつ効果的に救援することにつながる。また、上述の意思決定者は、被災地および自他の組織が置かれた全体状況を俯瞰しつつ、被災現場での組織間の協調連携状況を考慮して、効率的かつ効果的に他組織との協調内容を判断することも可能である。
従って、災害対応に関する意思決定に際し、組織間での的確かつ円滑な協力体制の確立を図り、被災地における実状に応じた的確な支援対処が可能となる。
本明細書の記載により、少なくとも次のことが明らかにされる。すなわち、本実施形態の意思決定支援システムにおいて、被災地で災害対応の活動を行っている各種組織の各現場対応者に関する所在情報および属性情報を格納した記憶装置と、前記現場対応者に関する所在情報に基づいて、所定現場対応者の所在地から所定範囲内に存在する他組織の現場対応者を特定し、当該特定した他組織の現場対応者のうち、前記所定現場対応者と活動目的が一致または類似する現場対応者を前記属性情報に基づいて特定し、当該特定した他組織の現場対応者の情報を協調連携候補の情報として前記所定現場対応者が使用する現場対応者端末に通知する演算装置と、を具備する現場調整装置と、前記協調連携候補の情報を前記現場調整装置から受信し、所定インターフェイスでの現場対応者からの指示に応じて、前記協調連携候補である他組織の現場対応者が使用する現場対応者端末に対して、災害対応の活動に関する協調連携要請を送信する演算装置を具備する現場対応者端末と、を更に含むとしてもよい。
これによれば、被災地で活動する現場対応者のうち協調連携の意義ある者同士で、現場対応者の判断も踏まえつつ、互いに協働する形態をスムーズに確立しやすくなる。
また、本実施形態の意思決定支援システムにおいて、前記現場対応者端末の演算装置は、前記協調連携要請を受信して出力装置に表示し、所定インターフェイスでの現場対応者からの要請受諾回答を受けて、協調連携相手の現場対応者が使用する現場対応者端末に対して要請受諾回答を送信する処理と、ネットワーク上の所定装置に対し、当該現場対応者端末を使用する現場対応者および前記協調連携相手の現場対応者の各情報を格納する処理とを更に実行するものである、としてもよい。
これによれば、現場対応者間での協調連携意思の確実かつ円滑な確認と、協調連携することとになった現場対応者らの情報の所定装置への登録が可能となる。
また、本実施形態の意思決定支援システムにおいて、前記現場調整装置における演算装置は、前記記憶装置における現場対応者に関する属性情報が含む、または、ネットワーク上の所定装置が含む、前記現場対応者における保有リソースおよび不足リソースの各情報に基づいて、所定リソース不足の所定現場対応者の所在地から所定範囲内に存在する、前
記所定現場対応者の組織とは他組織の現場対応者のうち、前記所定リソースを保有する現場対応者を協調連携候補として特定し、当該特定した協調連携候補の情報を前記所定現場対応者の現場対応者端末に通知する処理を更に実行するものであるとしてもよい。
これによれば、被災地で活動する現場対応者間で互いのリソース(人員、機材、車輌、食料等)を融通し合い、災害対応活動の展開や進捗の効率化、迅速化等を図ることが出来る。
また、本実施形態の意思決定支援システムにおいて、前記現場対応者端末における演算装置は、当該現場対応者端末を使用する現場対応者に関する前記所在情報および前記属性情報と、ネットワーク上での前記所在情報および前記属性情報の公開範囲情報とを、所定インターフェイスから取得して前記現場調整装置に送信する処理を更に実行するものであり、前記現場調整装置における演算装置は、前記公開範囲情報が示す公開対象ユーザの使用する現場対応者端末に対し、前記公開範囲情報が対応付けられた前記所在情報および前記属性情報、または該当情報に対するアクセス用情報を送信する処理を更に実行するものである、としてもよい。
これによれば、協調連携する予定の無い他組織に対しては、自組織の現場対応者らの情報を開示せず、不要な協調連携に伴う各種処理を回避し、災害対応活動の効率化を図ることが出来る。
また、本実施形態の意思決定支援システムにおいて、所定インターフェイスから取得した所定事象の発生情報を所定アルゴリズムで分析し、前記所定事象が影響を及ぼす範囲を特定し、当該範囲に所在する現場対応者および該当現場対応者が前記所定事象から受ける影響度を、前記現場調整装置の保持する前記所在情報に基づいて特定し、少なくとも前記所定事象とそれによる影響度の各情報を、該当現場対応者の現場対応者端末に通知する演算装置を備えた情報分析装置を更に含むとしてもよい。
これによれば、例えば被災地で生じる二次災害(例:地震による火災)、或いは被災地で時間を置いて更に生じた別の災害、といった事象の発生に際し、該当地域で活動する現場対応者に注意を促し、現場対応者らの罹災を効率良く回避できる。
また、本実施形態の意思決定支援システムにおいて、前記情報分析装置の演算装置は、前記現場調整装置により特定された前記協調連携候補である現場対応者について、前記影響度の特定処理を実行し、少なくとも前記所定事象とそれによる影響度の各情報を、前記協調連携候補である現場対応者の現場対応者端末に通知する処理を更に実行するものである、としてもよい。
これによれば、上述の二次災害等の発生に際し、該当地域で活動する自組織の現場対応者と更にこの現場対応者と協調連携する他組織の現場対応者との両方に注意を促し、各現場対応者らの罹災を効率良く回避できる。
また、本実施形態の意思決定支援システムにおいて、前記意思決定支援装置の演算装置は、前記各種組織の各現場対応者に関する所在情報および属性情報に基づいて、所定組織の現場対応者の所在地との距離が所定範囲内である他組織の現場対応者数を他組織毎に算定し、前記現場対応者数が所定基準以上である他組織を、災害対応の活動に関する協調連携候補の組織として特定する処理と、前記協調連携候補の組織が使用する意識決定支援装置に対し、災害対応の活動に関する協調連携要請を送信する処理とを更に実行するものであり、前記協調連携候補の組織が使用する意識決定支援装置の演算装置は、前記協調連携要請を受信して出力装置に表示し、所定インターフェイスでの意思決定者からの要請受諾
回答を受けて、協調連携相手の組織の意思決定支援装置に対して要請受諾回答を送信する処理を実行するものである、としてもよい。
これによれば、意義のある組織間の協調連携を確実かつ円滑に確立することが可能となる。
また、本実施形態の意思決定支援システムにおいて、前記意思決定支援装置の演算装置は、前記所定組織の現場対応者の所在地との距離が所定範囲内であり、前記所定組織と既に協調連携している他組織の現場対応者数を他組織毎に算定し、当該算定した現場対応者数が所定基準以上である他組織を、災害対応の活動に関する協調連携候補の組織として特定する処理を実行するものである、としてもよい。
これによれば、更に意義のある組織間の協調連携を確実かつ円滑に確立することが可能となる。
また、本実施形態の意思決定支援システムにおいて、前記意思決定支援装置の演算装置は、前記要請受諾回答が得られた他組織の意思決定支援装置との間で、自組織及び前記他組織の各現場対応者における、災害対応の担当地、担当時期、および担当内容に関する意思決定者による指定内容を授受し、当該授受した各指定内容に基づいて、組織間で協調連携して災害対応を行う各現場対応者が実行すべき災害対応プランを生成し、当該災害対応プランの一部または全てを自組織における該当現場対応者の現場対応者端末に送信する処理を更に実行するものである、としてもよい。
これによれば、協調連携する組織間で災害対応プランを共同で生成し、協調連携する各組織の現場対応者らに展開することが可能となる。
また、本実施形態の意思決定支援方法において、被災地で災害対応の活動を行っている各種組織の各現場対応者に関する所在情報および属性情報を格納した記憶装置を備えた現場調整装置が、前記現場対応者に関する所在情報に基づいて、所定現場対応者の所在地から所定範囲内に存在する他組織の現場対応者を特定し、当該特定した他組織の現場対応者のうち、前記所定現場対応者と活動目的が一致または類似する現場対応者を前記属性情報に基づいて特定し、当該特定した他組織の現場対応者の情報を協調連携候補の情報として前記所定現場対応者が使用する現場対応者端末に通知し、前記現場対応者が、前記協調連携候補の情報を前記現場調整装置から受信し、所定インターフェイスでの現場対応者からの指示に応じて、前記協調連携候補である他組織の現場対応者が使用する現場対応者端末に対して、災害対応の活動に関する協調連携要請を送信する、としてもよい。
また、本実施形態の意思決定支援方法において、前記現場対応者端末が、前記協調連携要請を受信して出力装置に表示し、所定インターフェイスでの現場対応者からの要請受諾回答を受けて、協調連携相手の現場対応者が使用する現場対応者端末に対して要請受諾回答を送信する処理と、ネットワーク上の所定装置に対し、当該現場対応者端末を使用する現場対応者および前記協調連携相手の現場対応者の各情報を格納する処理とを更に実行する、としてもよい。
また、本実施形態の意思決定支援方法において、前記現場調整装置が、前記記憶装置における現場対応者に関する属性情報が含む、または、ネットワーク上の所定装置が含む、前記現場対応者における保有リソースおよび不足リソースの各情報に基づいて、所定リソース不足の所定現場対応者の所在地から所定範囲内に存在する、前記所定現場対応者の組織とは他組織の現場対応者のうち、前記所定リソースを保有する現場対応者を協調連携候補として特定し、当該特定した協調連携候補の情報を前記所定現場対応者の現場対応者端
末に通知する処理を更に実行する、としてもよい。