JP6275592B2 - 層状複水酸化物配向緻密板及びその製造方法 - Google Patents
層状複水酸化物配向緻密板及びその製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP6275592B2 JP6275592B2 JP2014173861A JP2014173861A JP6275592B2 JP 6275592 B2 JP6275592 B2 JP 6275592B2 JP 2014173861 A JP2014173861 A JP 2014173861A JP 2014173861 A JP2014173861 A JP 2014173861A JP 6275592 B2 JP6275592 B2 JP 6275592B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- oriented
- plate
- layered double
- double hydroxide
- dense
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Images
Landscapes
- Compositions Of Oxide Ceramics (AREA)
- Compounds Of Alkaline-Earth Elements, Aluminum Or Rare-Earth Metals (AREA)
Description
前記配向緻密板の板面に対してX線回折を行った場合に、(003)面のピークの積分強度に対する(110)面のピークの積分強度の比率(110)/(003)が0.7以上である、層状複水酸化物配向緻密板が提供される。
(a)一般式:M2+ 1−xM3+ x(OH)2An− x/n・mH2O
(式中、M2+は2価の陽イオン、M3+は3価の陽イオンであり、An−はn価の陰イオン、nは1以上の整数、xは0.1〜0.4である)で表される層状複水酸化物の板状粒子を含んでなる原料粉末を用意する工程と、
(b)前記原料粉末を、せん断力を用いた手法により配向させて、前記板状粒子の(003)面がシート面と平行に配向されてなる複数枚の配向シートを作製する工程と、
(c)前記複数枚の配向シートを積層して配向積層体を得る工程と、
(d)前記配向積層体を焼成して配向焼成体を得る工程と、
(e)前記配向焼成体に水熱処理を施して層状複水酸化物を再生させ、それにより層状複水酸化物配向再生体を得る工程と、
(f)前記層状複水酸化物再生体を乾燥させて、層状複水酸化物緻密体を得る工程と、
を含んでなり、前記積層工程(c)後で、かつ、前記焼成工程(d)、前記再生工程(e)及び前記乾燥工程(f)のいずれかの工程の前、中又は後において、前記配向積層体、前記配向焼成体、前記層状複水酸化物配向再生体、又は前記層状複水酸化物緻密体を前記シート面に由来する面と垂直に切断して、前記板状粒子の(003)面が板面に対して垂直に配向してなる板を得る工程(g)をさらに含んでなり、その結果、最終結果物として層状複水酸化物配向緻密板が得られる、方法が提供される。
本発明の層状複水酸化物配向緻密板(以下、LDH配向緻密板)は、一般式:M2+ 1−xM3+ x(OH)2An− x/n・mH2O(式中、M2+は2価の陽イオン、M3+は3価の陽イオンであり、An−はn価の陰イオン、nは1以上の整数、xは0.1〜0.4である)で示される層状複水酸化物(以下、LDH)からなる板である。LDH配向緻密板は、90%以上の相対密度を有し、それ故、高度な緻密性を有している。その上、LDH配向緻密板は、配向緻密板の板面に対してX線回折を行った場合に、(003)面のピークの積分強度に対する(110)面のピークの積分強度の比率(110)/(003)が0.7以上である。これは、配向緻密板が板厚方向の高度な配向性を有することを意味する。すなわち、層状複水酸化物(LDH)は図2に示されるような層状構造を持った複数の板状粒子(すなわちLDH板状粒子)の集合体で構成されるものであるところ、(003)面が属するc軸方向(00l)面(lは3及び6である)はLDH板状粒子の層状構造と平行な面である。このため、図1に示されるようにLDH板状粒子1がLDH配向緻密板10の板面に対して略垂直方向(すなわち略板厚方向)に配向しているとLDH層状構造も略垂直方向を向くこととなる結果、セパレータ層表面をX線回折法により測定した場合に(00l)面(lは3及び6である)のピークが無配向状態と比べて小さく現れる(場合によっては実質的に現れない)。特に(003)面のピークは、それが存在する場合、(006)面のピークよりも強く出る傾向があることから、(006)面のピークよりも垂直方向の配向の有無を評価しやすいといえる。一方、(110)面のピークはLDH板状粒子が略垂直方向(すなわち略板厚方向)に配向しているとむしろ強く表れる傾向がある(このことは後述する図4におけるLDH配向緻密板に相当する試料1のXRDプロファイルと、無配向試料である試料7のXRDプロファイルを比較することでより良く理解される)。したがって、(003)面のピークの積分強度に対する(110)面のピークの積分強度の比率(110)/(003)の値が大きいほど、(003)面の板面垂直方向(すなわち板厚方向)への高度な配向を意味するといえる。すなわち、本発明によれば、高度な緻密性のみならず、板厚方向の高度な配向性をも備えた、LDH配向緻密板を提供することができる。
本発明のLDH配向緻密板は、あらゆる方法によって作製されたものであってもよいが、以下に好ましい製造方法の一態様を説明する。この製造方法は、図3にその一例が示されるように、(a)LDHの板状粒子を含んでなる原料粉末を用意し、(b)原料粉末を、せん断力を用いた手法により配向させて、板状粒子の(003)面がシート面と平行に配向されてなる複数枚の配向シートを作製し、(c)これらの配向シートを積層し、(d)得られた配向積層体を焼成し、(e)得られた配向焼成体に水熱処理を施してLDHを再生させ、(f)得られたLDH再生体を乾燥させて、LDH緻密体を得る工程を含む。そして、積層工程(c)後で、かつ、焼成工程(d)、再生工程(e)及び乾燥工程(f)のいずれかの工程の前、中又は後において、配向積層体、配向焼成体、LDH配向再生体、又はLDH緻密体をシート面に由来する面と垂直に切断して、板状粒子の(003)面が板面に対して垂直に配向してなる板を得る工程(g)をさらに含んでなり、その結果、最終結果物としてLDH配向緻密板が得られる。この方法によれば、高度な緻密性のみならず、板厚方向の高度な配向性をも備えた、LDH配向緻密板を安定的且つ効率的に製造することができる。
一般式:M2+ 1−xM3+ x(OH)2An− x/n・mH2O(式中、M2+は2価の陽イオン、M3+は3価の陽イオンであり、An−はn価の陰イオン、nは1以上の整数、xは0.1〜0.4である)で表されるLDHの板状粒子を含んでなる原料粉末を用意する。上記一般式において、M2+は任意の2価の陽イオンでありうるが、好ましい例としてはMg2+、Ca2+及びZn2+が挙げられ、より好ましくはMg2+である。M3+は任意の3価の陽イオンでありうるが、好ましい例としてはAl3+又はCr3+が挙げられ、より好ましくはAl3+である。An−は任意の陰イオンでありうるが、好ましい例としてはOH−及びCO3 2−が挙げられる。したがって、上記一般式は、少なくともM2+がMg2+を、M3+がAl3+を含み、An−がOH−及び/又はCO3 2−を含むのが好ましい。nは1以上の整数であるが、好ましくは1又は2である。xは0.1〜0.4であるが、好ましくは0.2〜0.35である。mは任意の実数である。このような原料粉末は市販のLDH製品であってもよいし、硝酸塩や塩化物を用いた液相合成法等の公知の方法にて作製した原料であってもよい。原料粉末の粒径は、所望のLDH配向緻密板が得られる限り限定されないが、体積基準D50平均粒径が0.1〜1.0μmであるのが好ましく、より好ましくは0.3〜0.8μmである。
原料粉末を、せん断力を用いた手法により配向させて、板状粒子の(003)面がシート面と平行に配向されてなる複数枚の配向シートを作製する。せん断力を用いた手法による配向は、原料粉末をスラリー化してテープ成形又は押出成形に付することにより行われるのが好ましい。特に好ましい配向手法はテープ成形であり、典型的なテープ成形法としてはドクターブレード法が挙げられる。せん断力を用いた配向手法は、上記例示したいずれの手法においても、板状酸化亜鉛粉末にバインダー、可塑剤、分散剤、分散媒等の添加物を適宜加えてスラリー化し、このスラリーをスリット状の細い吐出口を通過させることにより、基材上にシート状に吐出及び成形するのが好ましい。吐出口のスリット幅は10〜400μmとするのが好ましい。なお、分散媒の量はスラリー粘度が4000〜100000cPとなるような量にするのが好ましく、より好ましくは5000〜60000cPである。配向シートの厚さは1〜300μmであるのが好ましく、より好ましくは5〜200μmであるのが好ましく、さらに好ましくは10〜100μmである。
複数枚の配向シートを積層して所望の厚さを有する配向積層体を得る。積層される配向シートの枚数、すなわち積層体の層数は、最終的に得ようとする配向緻密板の面積を確保するに足る厚さを与える枚数とすればよく、例えば100層以上、500層以上、800層以上、又は1000層以上でありうる。
前記配向積層体を焼成して配向焼成体を得る。配向焼成体を得るための好ましい焼成温度は400〜850℃であり、より好ましくは700〜800℃である。この範囲内の焼成温度で1時間以上保持されるのが好ましく、より好ましい保持時間は3〜10時間である。また、急激な昇温により水分や二酸化炭素が放出して成形体が割れるのを防ぐため、上記焼成温度に到達させるための昇温は100℃/h以下の速度で行われるのが好ましく、より好ましくは5〜75℃/hであり、さらに好ましくは10〜50℃/hである。したがって、昇温から降温(100℃以下)に至るまでの全焼成時間は20時間以上確保するのが好ましく、より好ましくは30〜70時間、さらに好ましくは35〜65時間である。
前記配向焼成体に水熱処理を施してLDHを再生させ、それによりLDH配向再生体を得る。すなわち、上記工程で得られた配向焼成体を上述したn価の陰イオン(An−)を含む水溶液中又はその直上に保持してLDHへと再生し、それにより水分に富むLDH配向再生体を得る。すなわち、この製法により得られるLDH配向再生体は必然的に余分な水分を含んでいる。なお、水溶液中に含まれる陰イオンは原料粉末中に含まれる陰イオンと同種の陰イオンとしてよいし、異なる種類の陰イオンとしてもよい。酸化物焼成体の水溶液中又は水溶液直上での保持は密閉容器内で水熱合成の手法により行われるのが好ましく、そのような密閉容器の例としてはテフロン(登録商標)製の密閉容器が挙げられ、より好ましくはその外側にステンレス製等のジャケットを備えた密閉容器である。水熱処理は、少なくとも酸化物焼成体の一面が水溶液に接する状態に保持することにより行われるのが好ましい。水熱処理は20〜200℃で行われるのが好ましく、より好ましい温度は50〜180℃であり、さらに好ましい温度は100〜150℃である。このようなLDH化温度で酸化物焼結体が1時間以上保持されるのが好ましく、より好ましくは2〜50時間であり、さらに好ましくは5〜20時間である。このような保持時間であると十分にLDHへの再生を進行させて異相が残るのを回避又は低減できる。なお、この保持時間は、長すぎても特に問題はないが、効率性を重視して適時設定すればよい。
上記工程で得られたLDH再生体を乾燥させて、LDH緻密体を得る。すなわち、上記工程で得られたLDH再生体は水分に富むため、乾燥により余剰の水分を除去する。こうして本発明のLDH緻密体が得られる。この余剰の水分を除去する工程は、300℃以下、除去工程の最高温度での推定相対湿度25%以上の環境下で行われるのが好ましい。LDH固化体からの急激な水分の蒸発を防ぐため、室温より高い温度で脱水する場合はLDHへの再生工程で使用した密閉容器中に再び封入して行うことが好ましい。その場合の好ましい温度は50〜250℃であり、さらに好ましくは100〜200℃である。また、脱水時のより好ましい相対湿度は25〜70%であり、さらに好ましくは40〜60%である。脱水を室温(例えば20〜30℃)で行ってもよく、その場合の相対湿度は通常の室内環境における40〜70%の範囲内であれば問題はない。
積層工程(c)後で、かつ、焼成工程(d)、再生工程(e)及び乾燥工程(f)のいずれかの工程の前、中又は後において、配向積層体、配向焼成体、LDH配向再生体、又はLDH配向緻密板をシート面に由来する面と垂直に切断して、板状粒子の(003)面が板面に対して垂直に配向してなる板を得る。その結果、最終結果物として本発明のLDH配向緻密板が得られる。配向緻密板は、0.001〜1mmの厚さを有するのが好ましく、より好ましくは0.002〜1mmであり、さらに好ましくは0.002〜0.5mmであり、特に好ましくは0.003〜0.25mmであり、最も好ましくは0.005〜0.1mmである。配向緻密板の好ましいサイズは5mm×5mm以上であり、より好ましくは10mm×10mm〜200mm×200mmであり、さらに好ましくは20mm×20mm〜100mm×100mmである。別の表現をすれば、LDH配向緻密板の好ましいサイズは25mm2以上であり、より好ましくは100〜40000mm2であり、さらに好ましくは400〜10000mm2である。
所望により、最終結果物として得られたLDH配向緻密板には研磨を更に施してもよい。研磨を行うことにより、表面を平坦にするだけでなく、LDH配向緻密板を所望の厚さに加工することができる。DH配向緻密板の強度が不足する場合には、LDH配向緻密板を多孔質基材に接合させた上で、LDH配向緻密板の表面を研磨してもよい。いずれにしても、LDH配向緻密板に研磨を施すことで、薄膜形態のLDH配向緻密膜を得てもよい。
表1に示される各種条件に従い、LDHの一種であるハイドロタルサイトの緻密板である試料1〜7を作製した。各試料の具体的な作製手順は以下のとおりである。
(a)原料粉末の用意
原料粉末として、市販のLDHであるハイドロタルサイト粉末(DHT−6、協和化学工業株式会社製)を用意した。この原料粉末の組成はMg2+ 0.75Al3+ 0.25(OH)2CO3 n− 0.25/n・mH2Oであった。
原料粉末100重量部に対して、分散媒(キシレン:ブタノール=1:1)100重量部、バインダー(ポリビニルブチラール:積水化学工業株式会社製BM−2)7重量部、可塑剤(DOP:黒金化成株式会社製)3.5重量部、及び分散剤(花王株式会社製レオドールSP−O30)2重量部を混合し、この混合物を減圧下で攪拌して脱泡することにより、スラリーを得た。得られたスラリーの粘度を測定したところ、30000cPであった。このスラリーを、テープ成型機を用いてPETフィルム上に、乾燥後膜厚が25μmとなるようにシート状に成型してシート成形体を得た。
得られたシート成形体を25mm×25mmに切り出し、これを1000層積み重ねた。得られた積層体を、温間等方圧プレスにより80℃、300kg/cm2、20分間保持の条件で圧着することで、25mm×25mm×25mmの寸法の積層体を得た。
こうして得た積層体をアルミナサヤ中に設置し、蓋を開けた状態で大気雰囲気にて焼成した。この焼成は、急激な昇温により、バインダーやハイドロタルサイト粉末が熱分解し、水分や二酸化炭素を放出して成形体が割れることを防ぐため、30℃/h以下の速度で昇温を行い、750℃で5時間保持した後、冷却することにより行った。
こうして得られた焼成体を、外側にステンレス製ジャケットを備えたテフロン(登録商標)製の密閉容器に大気中でイオン交換水と共に封入し、100℃で5時間水熱処理を施して、試料を得た。室温まで冷めた試料は余分な水分を含んでいるため、ろ紙等で軽く表面の水分を拭き取った。
こうして得られた試料を20〜30℃、相対湿度が40〜60%程度の室内で自然脱水(乾燥)して乾燥体を得た。
こうして得られた乾燥体を、シート積層時の積層面に対して板面が垂直になるように、20mm×20mm×厚さ1mmの板を切り出して試料1を得た。
シート成形体の作製(工程(b))において分散媒の添加量を120部にし、それによりスラリーの粘度を10000cPとしたこと以外は、試料1と同様にして、試料2を作製した。
シート成形体の作製(工程(b))において分散媒の添加量を150部にし、それによりスラリーの粘度を2000cPとしたこと以外は、試料1と同様にして、試料3を作製した。
工程(a)で用意される原料粉末として、ハイドロタルサイト粉末(DHT−6、協和化学工業株式会社製)を600℃で20時間仮焼した粉末を用いたこと以外は、試料1と同様にして、試料4を作製した。
i)シート成形体の作製及び積層(工程(b)及び(c))の代わりに、原料粉末を直径30mmの金型に充填して300kgf/cm2の成形圧で一軸プレス成形することにより(積層体の代わりに)プレス成形体を得たこと、及びii)切り出し加工(工程(g))において、一軸プレス面に対して板面が平行方向になるように、乾燥体から20mm×20mm×厚さ1mmの板を切り出したこと以外は、試料1と同様にして、試料5を作製した。
一軸プレス成形を500kgf/cm2の成形圧で行ったこと以外は、試料5と同様にして、試料6を作製した。
i)シート成形体の作製及び積層(工程(b)及び(c))の代わりに、原料粉末をゴム製容器中に入れて真空封じした後、500kgf/cm2の成形圧で冷間等方圧加圧(CIP)により成形を行うことにより(積層体の代わりに)プレス成形体を得たこと、及びii)切り出し加工(工程(g))において、乾燥体から任意の方向で20mm×20mm×厚さ1mmの板を切り出しこと以外は、試料1と同様にして、試料7(無配向試料)を作製した。
例1で作製された試料1〜7の試料の寸法及び重量から密度を算出し、この密度を理論密度で除することにより決定した。なお、理論密度の算出にあたり、Mg/Al=3のハイドロタルサイト理論密度としてJCPDSカードNo.22−0700に記載の2.06g/cm3を、Mg/Al=2のハイドロタルサイトの理論密度としてJCPDSカードNo.70−2151に記載される2.09g/cm3とを用いた。結果は表1及び2に示されるとおりであった。
例1で作製された試料1〜7の板状試料の板面に対してX線回折を行った。試料1及び7に対して行ったXRDプロファイルを図4に示す。試料7ではカード情報とほぼ同一のピーク強度からなるピーク群が認められ、狙い通り無配向状態になっていたと思われる。これに対し、試料1では、板面における(003)面のピーク強度が弱くなっていることから、試料1においては、(003)面が板面に対して垂直方向に並んでいる(すなわち配向している)ものと認められる。ここで、この配向度の指標として、(003)面のピークの積分強度に対する、(003)面と垂直な面である(110)面のピークの積分強度の比率(110)/(003)を用いた。この値が大きいほど、(003)面が板面に対して垂直方向に配向しているといえる。試料1〜7について求めた(110)/(003)比を表1及び2に示す。
例1で作製された試料1〜7について、(003)面の板面面内方向の配向度を調べるため、広角X線回折法(In−Plane法)による測定を行った。この測定は、全自動水平型多目的X線回折装置(リガク社製、SmartLab(回転対陰極型))を用い、出力:45kV、200mA、スキャン方式:φ連続スキャン(φ=0〜360°)、入射角:0.24°、回折角:2θχ=11.2°((003)ピーク)、測定ステップ:1°、スキャン速度:100°/分の条件にて測定を行った。なお、この測定に用いたスリット系は、上流側(X線入射側)から下流側(検出器側)に向けて、1)0.5°入射縦発散防止ソーラースリット、2)0.1mm高さ×10mm幅スリット、3)試料、4)20mm幅スリット、5)0.5°受光縦発散防止ソーラースリット、及び6)20mm幅スリットをこの順に配置して構成した。
試料1〜7について、4端子法により伝導度の測定を行った。なお、4端子法では試料にある程度の厚さが必要となることから、各試料の板の切り出し加工工程(g)前の乾燥体から、新たに伝導度の測定用として切り出した。試料1〜4については積層面に対して板面が垂直方向になるように、また試料5〜7については一軸プレス面に対して板面が平行方向になるように、20mm×20mm×厚さ10mmの板状に切り出し、板面と垂直方向(プレス面あるいは一軸プレス面方向)の伝導度を測定した。
Claims (16)
- 90%以上の相対密度を有し、かつ、一般式:M2+ 1−xM3+ x(OH)2An− x/n・mH2O(式中、M2+は2価の陽イオン、M3+は3価の陽イオンであり、An−はn価の陰イオン、nは1以上の整数、xは0.1〜0.4である)で示される層状複水酸化物からなる板である層状複水酸化物配向緻密板であって、
前記配向緻密板の板面に対してX線回折を行った場合に、(003)面のピークの積分強度に対する(110)面のピークの積分強度の比率(110)/(003)が0.7以上である、層状複水酸化物配向緻密板。 - 前記配向緻密板の板面に対して広角X線回折法のインプレーン(In−Plane)測定を入射角0.24°及び回折角2θχ=11.2°で行った場合に、(003)面のピークが面内回転角φで180°の周期で観察される、請求項1に記載の層状複水酸化物配向緻密板。
- 前記配向緻密板の板面に対して広角X線回折法のインプレーン(In−Plane)測定を入射角0.24°及び回折角2θχ=11.2°で行った場合に、(003)面のピークの半値幅が50°以下である、請求項1又は2に記載の層状複水酸化物配向緻密板。
- 前記配向緻密板の板面と垂直方向における伝導度が、30℃、相対湿度90%で4端子法により測定した場合に、0.5mS/cm以上である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の層状複水酸化物配向緻密板。
- 前記一般式のうち、M2+がMg2+を、M3+がAl3+を含み、An−がOH−及び/又はCO3 2−を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の層状複水酸化物配向緻密板。
- 前記配向緻密板が1〜1000μmの厚さを有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の層状複水酸化物配向緻密板。
- クラックを含まない、請求項1〜6のいずれか一項に記載の層状複水酸化物配向緻密板。
- 前記層状複水酸化物のみから実質的になる、請求項1〜7のいずれか一項に記載の層状複水酸化物配向緻密板。
- 層状複水酸化物配向緻密板の製造方法であって、
(a)一般式:M2+ 1−xM3+ x(OH)2An− x/n・mH2O
(式中、M2+は2価の陽イオン、M3+は3価の陽イオンであり、An−はn価の陰イオン、nは1以上の整数、xは0.1〜0.4である)で表される層状複水酸化物の板状粒子を含んでなる原料粉末を用意する工程と、
(b)前記原料粉末を、せん断力を用いた手法により配向させて、前記板状粒子の(003)面がシート面と平行に配向されてなる複数枚の配向シートを作製する工程と、
(c)前記複数枚の配向シートを積層して配向積層体を得る工程と、
(d)前記配向積層体を焼成して配向焼成体を得る工程と、
(e)前記配向焼成体に水熱処理を施して層状複水酸化物を再生させ、それにより層状複水酸化物配向再生体を得る工程と、
(f)前記層状複水酸化物再生体を乾燥させて、層状複水酸化物緻密体を得る工程と、
を含んでなり、前記積層工程(c)後で、かつ、前記焼成工程(d)、前記再生工程(e)及び前記乾燥工程(f)のいずれかの工程の前、中又は後において、前記配向積層体、前記配向焼成体、前記層状複水酸化物配向再生体、又は前記層状複水酸化物緻密体を前記シート面に由来する面と垂直に切断して、前記板状粒子の(003)面が板面に対して垂直に配向してなる板を得る工程(g)をさらに含んでなり、その結果、最終結果物として層状複水酸化物配向緻密板が得られる、方法。 - 前記せん断力を用いた手法による配向が、前記原料粉末をスラリー化してテープ成形又は押出成形に付することにより行われる、請求項9に記載の方法。
- 前記配向シートが、1〜300μmの厚さを有する、請求項9又は10に記載の方法。
- 前記配向緻密板が、0.001〜1mmの厚さを有する、請求項9〜11のいずれか一項に記載の方法。
- 前記配向積層体が、前記焼成前に、50〜1000kgf/cm2の成形圧でプレスされる、請求項9〜12のいずれか一項に記載の方法。
- 前記焼成が700〜800℃の温度で行われる、請求項9〜13のいずれか一項記載の方法。
- 前記水熱処理が20〜200℃で行われる、請求項9〜14のいずれか一項に記載の方法。
- 前記配向工程前に、前記原料粉末を800℃以下で仮焼する工程をさらに含んでなる、請求項9〜15のいずれか一項に記載の方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014173861A JP6275592B2 (ja) | 2014-08-28 | 2014-08-28 | 層状複水酸化物配向緻密板及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014173861A JP6275592B2 (ja) | 2014-08-28 | 2014-08-28 | 層状複水酸化物配向緻密板及びその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2016047791A JP2016047791A (ja) | 2016-04-07 |
JP6275592B2 true JP6275592B2 (ja) | 2018-02-07 |
Family
ID=55648931
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2014173861A Active JP6275592B2 (ja) | 2014-08-28 | 2014-08-28 | 層状複水酸化物配向緻密板及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6275592B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP3564191B1 (en) * | 2016-12-27 | 2022-08-31 | JDC Corporation | Water purification apparatus and water purification method using layered double hydroxide |
CN110325256B (zh) * | 2016-12-27 | 2022-03-25 | 日本国土开发株式会社 | 使用了层状双氢氧化物的过滤体及其制造方法 |
Family Cites Families (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4635387B2 (ja) * | 2001-07-18 | 2011-02-23 | 株式会社豊田中央研究所 | 板状粉末の製造方法及び結晶配向セラミックスの製造方法 |
JP3855003B2 (ja) * | 2003-09-08 | 2006-12-06 | 独立行政法人産業技術総合研究所 | 粘土配向膜及びその製造方法 |
JP5187797B2 (ja) * | 2005-07-25 | 2013-04-24 | 独立行政法人物質・材料研究機構 | 層状複水酸化物を剥離する方法、複水酸化物ナノシート、該複合薄膜材料、該製造方法、および、層状複水酸化物薄膜材料の製造方法 |
JP6083262B2 (ja) * | 2012-03-14 | 2017-02-22 | Tdk株式会社 | ヘテロエピタキシャルpn接合酸化物薄膜を有する積層薄膜 |
JP5953575B2 (ja) * | 2012-03-15 | 2016-07-20 | 国立大学法人北海道大学 | 全固体アルカリ燃料電池用電解質膜 |
EP2843753B1 (en) * | 2012-04-26 | 2017-06-28 | NGK Insulators, Ltd. | Lithium air secondary cell |
-
2014
- 2014-08-28 JP JP2014173861A patent/JP6275592B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2016047791A (ja) | 2016-04-07 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US10892530B2 (en) | Air electrode for metal-air battery | |
US9708194B2 (en) | Dense layered double hydroxide, and method for producing same | |
CN107408743B (zh) | 空气极、水电解阳极、金属空气电池及水电解装置 | |
EP3203546B1 (en) | Battery using layered double hydroxide | |
US20170271731A1 (en) | Zinc-air secondary battery | |
JP6018930B2 (ja) | 正極−固体電解質複合体の製造方法 | |
JP6246364B2 (ja) | 金属空気電池用セパレータ付き空気極 | |
US10128542B2 (en) | Nickel-zinc battery | |
US10276896B2 (en) | Nickel-zinc battery | |
KR20180066894A (ko) | 알루미나 및 이것을 함유하는 슬러리, 그리고 이것을 사용한 알루미나 다공막, 적층 세퍼레이터, 비수 전해액 이차 전지 및 비수 전해액 이차 전지의 제조 방법 | |
JP2014096350A (ja) | セラミック正極−固体電解質複合体 | |
KR102511257B1 (ko) | 티탄산리튬 소결체판 | |
JP6275592B2 (ja) | 層状複水酸化物配向緻密板及びその製造方法 | |
JP2019077573A (ja) | スピネル型チタン酸リチウムを含む焼結体の製造方法 | |
US20170104241A1 (en) | Nickel-zinc battery | |
Gabriel et al. | Dense m-Li2ZrO3 formed by aqueous slip casting technique: Colloidal and rheological characterization | |
JP6313156B2 (ja) | 亜鉛空気二次電池 | |
JP2014096351A (ja) | セラミック正極−固体電解質複合体 | |
Garcés et al. | The soft chemical route improving IT-SOFC cathode performance: The lanthanum barium cobaltite case |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20170414 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20171227 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20171227 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20180110 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 6275592 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |