特許文献1に開示の力センサーは、信号電極を結晶円板で挟持し、この結晶円板を金属カバー円板で挟持する構造である。これを溶接で金属環に取り付けた場合、信号電極などの個々のパーツには寸法誤差があり、これが溶接箇所の凹凸となり、溶接に隙間が生じる虞があった。よって湿度が高いなどの外部環境が劣悪な状況では、センサー素子への水分の浸入によって電荷がリークし安定した測定が困難となる虞があった。
また図10に示す従来のセンサーデバイスでは、パッケージ202に収容されたセンサー素子214の接触面222の高さと、パッケージ202の凹部の開口部220の外周となる接合面224の高さと、が互いに一致しない場合が発生する。
図11に、従来技術のセンサーデバイスの模式図(接触面の高さ>接合面の高さ)を示し、図11(a)、(b)は、それぞれリッドの接合前の平面図、断面図。図11(c)、(d)はリッドの接合後の平面図および断面図を示す。なお、ここでは簡略化のため、センサー素子214の構成要素である水晶板や検出電極、信号をパッケージ外部へ取り出すための配線およびコネクターは図示していない。
図11(a)、(b)に示すようにリッド204をパッケージ202に接合する前に、パッケージ202の凹部の中央に、センサー素子214を位置合せして載置し、その上にパッケージ202の凹部の開口部220を覆うようにリッド204を載置する。このとき、パッケージ202やセンサー素子214の高さには製造バラツキが含まれるため、リッド204と接合面224との間には隙間600が形成されることがある。
次に、図12に示すように、ローラー電極280をリッド204のパッケージ202に接続する位置(接合面224)に押し付けて、ローラー電極280に電流を印加してリッド204とパッケージ202とをシーム溶接により接合して気密封止する。
このリッド204をシーム溶接する際、搬送過程での振動やローラー電極280で押し付ける力によって、センサー素子214やリッド204が位置ズレを起こし、図11(c)に示すようにパッケージ202に対してリッド204が平面視でズレて接合されることがしばしばあった。このような場合、図11(d)に示すように、リッド204とパッケージ202の接合面224において、パッケージ内部と外部との距離が僅かな距離でしか接合されていない箇所(接合不足領域270)が形成される。この接合不足領域270においては、応力耐性が低いため、力が繰り返し付加されるセンサーデバイス200では、リッド204とパッケージ202との接合が繰り返し疲労により破壊され、気密封止が破れ、信頼性が低下する虞があった。
一方、シーム溶接時のセンサー素子214やリッド204の位置ズレを防止するために、パッケージ202とセンサー素子214の接触面やセンサー素子214とリッド204の接触面を接着剤で接着すると、与圧によるクリープ現象で接着剤層厚が長期的に減少することで与圧が低下し、力検出特性が変化したり力検出が不可能となったりする問題がある。このため、パッケージ202とセンサー素子214の接触面やセンサー素子214とリッド204の接触面を接着剤で接着することは、センサーデバイスの特性面、信頼性面から好ましくない。
よって、本発明は上記問題点に着目し、劣化が起こりにくいパッケージを安定して製造できる構造とすることで、パッケージに収容されたセンサー素子の検出特性を長期に亘り安定して維持できるセンサーデバイス、センサーモジュール、力検出装置及びロボットを提供することを目的とする。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の適用例として実現することが可能である。
[適用例1]本適用例に係るセンサーデバイスは、凹部を有する第1部材と、前記凹部に配置され、圧電体を有するセンサー素子と、前記第1部材に接合され、前記第1部材の凹部を封止する第2部材と、を備え、前記第1部材は、前記凹部の内側底面に前記センサー素子の底部が嵌合する第1の窪み部を有し、前記第2部材は、前記センサー素子の上部が嵌合する第2の窪み部を有することを特徴とする。
本適用例によれば、センサー素子は、第1の窪み部に嵌合した状態で第1部材に対して位置決めされ、そのセンサー素子に対して第2の窪み部が嵌合した状態で第2部材が位置決めされているため、センサー素子を介して第1部材と第2部材とが間接的に位置決めされることとなり、第1部材と第2部材がズレ無く接合される。これによって、第1部材と第2部材の接合面におけるパッケージ内部と外部との距離を安定して十分に確保して製造できるため、第1部材に収容されたセンサー素子の検出特性を長期に亘り安定して維持できるセンサーデバイスとなる。
[適用例2]上記適用例に係るセンサーデバイスにおいて、前記センサー素子は、前記第1部材が接触する第1接触面と、前記第2部材が接触する第2接触面と、を有し、前記第1部材は、前記第1接触面と接触する平坦面を有する第1平坦部を備え、前記第2部材は、前記第2接触面と接触する平坦面を有する第2平坦部を備えていることを特徴とする。
本適用例によれば、第1部材とセンサー素子は第1平坦部と第1接触面で、第2部材とセンサー素子は第2平坦部と第2接触面で直接接しており、与圧の伝達経路にクリープを起こす部材がないため、クリープ現象による与圧低下が発生することがなく、これによって、第1部材に収容されたセンサー素子の検出特性を長期に亘り安定して維持できるセンサーデバイスとなる。
[適用例3]上記適用例に係るセンサーデバイスにおいて、前記センサー素子の法線方向をZ軸方向とし、前記Z軸方向に直交し且つ互いに直交する方向をそれぞれX軸方向、Y軸方向とした場合、前記センサー素子は、前記X軸方向の力を検出する第1センサー素子、前記Y軸方向の力を検出する第2センサー素子、前記Z軸方向の力を検出する第3センサー素子、のうち少なくともいずれか1つ以上を備えることを特徴とする。
本適用例によれば、使用目的に応じて任意の方向の力を検出することができる。
[適用例4]本適用例に係るセンサーモジュールは、凹部を有する第1部材と、前記凹部に配置され、圧電体を有するセンサー素子と、前記第1部材に接合され、前記第1部材の凹部を封止する第2部材と、前記第1部材と接触する第1プレートと、前記第2部材と接触する第2プレートと、前記第1プレートおよび前記第2プレートを締結する締結部と、を備え、前記センサー素子は、前記第1部材が接触する第1接触面と、前記第2部材が接触する第2接触面と、を有し、前記第1部材は、前記凹部の内側底面に前記第1接触面が嵌合する第1の窪み部を有し、前記第2部材は、前記第2接触面が嵌合する第2の窪み部を有することを特徴とする。
本適用例によれば、適用例1と同様の理由により、第1部材に収容されたセンサー素子の検出特性を長期に亘り安定して維持できるセンサーモジュールとなる。
[適用例5]本適用例に係る力検出装置は、上記に記載のセンサーデバイスを備えることを特徴とする。
本適用例によれば、適用例1と同様の理由により、第1部材に収容されたセンサー素子の検出特性を長期に亘り安定して維持できる力検出装置となる。
[適用例6]本適用例に係る力検出装置は、凹部を有する第1部材と、前記凹部に配置され、圧電体を有するセンサー素子と、前記第1部材に接合され、前記第1部材の凹部を封止する第2部材と、前記センサー素子に電気的に接続する電子回路と、を備え、前記センサー素子は、前記第1部材が接触する第1接触面と、前記第2部材が接触する第2接触面と、を有し、前記第1部材は、前記凹部の内側底面に前記第1接触面が嵌合する第1の窪み部を有し、前記第2部材は、前記第2接触面が嵌合する第2の窪み部を有することを特徴とする。
本適用例によれば、適用例1と同様の理由により、第1部材に収容されたセンサー素子の検出特性を長期に亘り安定して維持できる力検出装置となる。
[適用例7]本適用例に係るロボットは、上記に記載の力検出装置を備えることを特徴とする。
本適用例によれば、適用例1と同様の理由により、第1部材に収容されたセンサー素子の検出特性を長期に亘り安定して維持できるロボットとなる。
[適用例8]本適用例に係るロボットは、本体部と、前記本体部に接続するアーム部と、前記アーム部に接続するハンド部と、を備えるロボットであって、前記アーム部と前記ハンド部との接続部にセンサーデバイスを有し、前記センサーデバイスは、凹部を有する第1部材と、前記凹部に配置され、圧電体を有するセンサー素子と、前記第1部材に接合され、前記第1部材の凹部を封止する第2部材と、を備え、前記センサー素子は、前記第1部材が接触する第1接触面と、前記第2部材が接触する第2接触面と、を有し、前記第1部材は、前記凹部の内側底面に前記第1接触面が嵌合する第1の窪み部を有し、前記第2部材は、前記第2接触面が嵌合する第2の窪み部を有することを特徴とする。
本適用例によれば、適用例1と同様の理由により、第1部材に収容されたセンサー素子の検出特性を長期に亘り安定して維持し、且つアーム部及びハンド部に付加される外力を検知可能なロボットとなる。
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載される構成要素、種類、組み合わせ、形状、その相対配置などは特定な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する主旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
(第1実施形態)
図1に、第1実施形態のセンサーデバイスの模式図を示し、図1(a)は平面図、図1(b)は図1(a)のA−A線断面図を示す。図2は本実施形態のリッドの変形例の断面図である。第1実施形態のセンサーデバイス1の基本構成は、従来技術のセンサーデバイス200と共通するので、同一の構成要素には同一の番号を付し、必要な場合を除いてその説明を省略する。
本実施形態のセンサーデバイス1は、主にパッケージ(第1部材)202、センサー素子214、リッド(第2部材)204により構成されている。パッケージ202は、凹部を有しており、その凹部の内側底面にセンサー素子214の底部が嵌まる第1の窪み部931が形成されている。リッド204には、センサー素子214の上部が嵌まる第2の窪み部932が形成されている。
第1の窪み部931内には、センサー素子214の底部が載置されている。センサー素子214上には、センサー素子214の上部に第2の窪み部932が嵌まった状態で、リッド204が載置され、パッケージ202の凹部の開口部220を覆っている。そして、リッド204は、その周縁部でパッケージ202の接合面224と接合されている。なお、パッケージ202は凹部を有するパッケージ構造となっており、主に金属やセラミック等から作られており、ここには図示していないが、センサー素子214の出力をパッケージ外部に取り出すための電極、配線、コネクター等が適宜設けられている。
パッケージ202に接合されるリッド204は、ステンレスやコバール等の金属(または後述のようにセラミック)により形成され、図1に示すように、平らな薄板から第2の窪み部932をプレス加工などで打ち出した形状をしていてもよいし、図2(a)に示すように、第2の窪み部932を削って他の部分より薄くした形状や、図2(b)に示すように、平らな薄板から第2の窪み部932の周囲のみをプレス加工などで打ち出した形状をしていてもよい。
本実施形態のセンサーデバイス1は、以下のように組み立てられる。まずパッケージ202の凹部内の第1の窪み部931にセンサー素子214を載置する。ここで第1の窪み部931の平坦部は、例えばセンサー素子の底面の外形寸法より10μm乃至300μm大きく形成されているため、センサー素子の底部が容易に嵌められ且つ、がたつかない。次に、センサー素子214の上部に、リッド204の第2の窪み部932を嵌め込む。ここで第2の窪み部932の平坦部は、例えばセンサー素子214の上面の外形寸法より10μm乃至300μm大きく形成されているため、センサー素子214の上部に容易に嵌められ且つ、がたつかない。そして最後に、この状態でパッケージ202とリッド204とを接合するシーム溶接を行う。このようにすることで、第1部材であるパッケージ202と第2部材であるリッド204は、センサー素子214を介して間接的に位置決めされ、がたつくことがないため、シーム溶接の搬送過程での振動やローラー電極で押し付ける力によって、センサー素子214やリッド204が位置ズレを起こすことがない。したがって、リッド204の周縁部とパッケージ202の接合面224におけるパッケージ202内部と外部との距離を安定して十分に確保して製造できるため、パッケージ202に収容されたセンサー素子214の検出特性を長期に亘り安定して維持できる。
本実施形態のセンサーデバイス1は、例えば後述の与圧プレート82(図7)、92(図8)によりセンサー素子214の接触面222の法線方向から挟み込まれ、与圧が付加されるが、パッケージ202の第1の窪み部931の底は平面(第1平坦部933)となっており、センサー素子214の底面(第1接触面)と面接触しており、またリッド204の第2の窪み部932の底は平面(第2平坦部934)となっており、センサー素子214の上面(第2接触面)と面接触している。これらの接触面では、接着剤等の介在なく直接接しており、与圧の伝達経路にクリープを起こす部材がないため、クリープ現象による与圧低下が発生することがない。これによってパッケージに収容されたセンサー素子の検出特性を長期に亘り安定して維持できる。
(第2実施形態)
図3に、第2実施形態のセンサーデバイスの断面図を示し、図4に、第2実施形態のセンサーデバイスの平面図(リッドを省略)を示し、図5に、本実施形態のパッケージベースの平面図を示す。ここで、図3は、図4、図5のA−A線断面図に対応する。また、第2実施形態のセンサーデバイス10は、直交3軸方向の力を検出するデバイスであるが、第1実施形態のセンサーデバイス1と共通の作用効果を有する。
本実施形態のセンサーデバイス10は、主にパッケージ12(第1部材)、センサー素子42、リッド34(第2部材)により構成されている。そして、パッケージ12は、凹部を有しており、その凹部の内側底面にセンサー素子42の底部が嵌まる第1の窪み部931が形成されている。リッド34には、センサー素子42の上部が嵌まる第2の窪み部932が形成されている。第1の窪み部931内には、センサー素子42の底部が載置されており、センサー素子42上には、センサー素子42の上部に第2の窪み部932が嵌まった状態で、リッド42が載置され、パッケージ12の凹部の開口部30を覆っている。そして、リッド42は、その周縁部でパッケージ12の接合面32と接合されている。
そして、本実施形態のセンサーデバイス10は、後述の与圧プレート82(図7)、92(図8)によりセンサー素子42の接触面44の法線方向(図6のγ軸方向)から挟み込まれ、与圧が付加される。
パッケージ12は、セラミック等の絶縁性材料により形成されている。そして、パッケージ12は、パッケージ12の凹部深さ方向で見た平面視で矩形の平板形状(円形等他の形状でもよい)を有するとともにセンサー素子42が配置されるパッケージベース14を有する。また、パッケージ12は、平面視(図4)で外形がパッケージベース14と同一の形状を有し、センサー素子42の周囲を囲むようにパッケージベース14上に配置されたリング状の側壁部材24を有する。
図5に示すように、パッケージベース14の上面の中央には、センサー素子42に接続する接地電極16が配置されている。また、パッケージベース14の側面の角となる部分(4箇所)には側面電極20A、20B、20C、20Dが配置されている。なお、側面電極20A、20B、20C、20Dは、例えばセンサーデバイス10の出力を検出する電子回路(不図示)にワイヤー等を介して接続される。
また、図3、図4、図5に示すように、パッケージベース14の上面には接続電極18A、18B、18C、18Dが配置されている。接続電極18A、18B、18C、18Dは、それぞれ側面電極20A、20B、20C、20Dに接続するように配置され、一端がそれぞれパッケージベース14の角となる位置に配置されている。一方、接続電極18A、18B、18Cの他端は、接地電極16の近傍となる位置に配置されている。そして接続電極18Dの他端は、貫通電極29を介して接地電極16に接続されている。
図3、図4に示すように、側壁部材24は、パッケージベース14上の周縁となる位置に積層される。側壁部材24は、接続電極18A、18B、18C、18Dを覆うように配置される。しかし、側壁部材24は、矩形のリング状の部材であるため、側壁部材24の内側に接続電極18A、18B、18C、18Dの他端側を露出させ、接地電極16も露出させた状態でパッケージベース14に積層される。よって、側壁部材24は、パッケージ12の凹部の開口部30を形成する。
また、図3に示すように、側壁部材24の上面にはメタライズ26が配置され、これがパッケージ12(側壁部材24)の接合面32となる。そして、図3、図4に示すように、側壁部材24の接続電極18Dに対向する位置には、側壁部材24を高さ方向に貫通する貫通電極28が配置され、メタライズ26と接続電極18Dとが貫通電極28を介して電気的に接続されている。
なお、接地電極16及び接続電極18A,18B,18C,18Dは、導電性を備える金属で形成され、メタライズ26も接地電極16等と同一材料で形成することができる。
図3に示すように、リッド34は、メタライズ26、貫通電極28を介して接続電極18Dに電気的に接続されている。なお、第2実施形態のセンサーデバイス10のリッド34を接合する工程は第1実施形態と同様である。
図3に示すように、センサー素子42は、圧電性を有する、例えば水晶、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT:Pb(Zr,Ti)O3)、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウムなどから形成される板状基板であり、本実施形態では圧電体として水晶板を用いている。そして、センサー素子42は、上から第1センサー素子46、第3センサー素子58、第2センサー素子52の順に積層されたものである。第1センサー素子46は、第1水晶板48A、48Bが第1検出電極50を挟むように形成され、第2センサー素子52は、第2水晶板54A、54Bが第2検出電極56を挟むように形成され、第3センサー素子58は、第3水晶板60A、60Bが第3検出電極62を挟むように形成されている。
そして、第1センサー素子46(第1水晶板48B)と第3センサー素子58(第3水晶板60A)との間には第1接地電極64が配置され、第3センサー素子58(第3水晶板60B)と第2センサー素子52(第2水晶板54A)との間には第2接地電極66が配置されている。さらに、第1センサー素子46(第1水晶板48A)の上面はセンサー素子42の接触面44となっており、リッド34の力伝達部36に接触して接地されている。また、第2センサー素子52(第2水晶板54B)の下面は、接地電極16に接続されることにより接地される。
図4に示すように、第1検出電極50、第2検出電極56、第3検出電極62、第1接地電極64、第2接地電極66は、第1乃至第3水晶板からその一部がはみ出るようにそれぞれ配置されている。そして第1検出電極50は、導電性のワイヤー68Aにより接続電極18Aの露出部分(他端側)に接続され、第2検出電極56は、ワイヤー68Bにより接続電極18Bの露出部分(他端側)に接続され、第3検出電極62は、ワイヤー68Cにより接続電極18Cの露出部分(他端側)に接続される。また、第1接地電極64、及び第2接地電極66は、それぞれワイヤー68D、68Eにより接続電極18Dの露出部分(他端側)に接続されている。
上記接続により、側面電極20Aは、接続電極18A、ワイヤー68Aを介して第1検出電極50に電気的に接続される。また、側面電極20Bは、接続電極18B、ワイヤー68Bを介して第2検出電極56に電気的に接続される。そして、側面電極20Cは、接続電極18C、ワイヤー68Cを介して第3検出電極62に電気的に接続される。
また、側面電極20Dは、接続電極18Dと貫通電極29を介して接地電極16に電気的に接続される。さらに側面電極20Dは、接続電極18Dに接続したワイヤー68Dを介して第1接地電極64に電気的に接続され、接続電極18Dに接続したワイヤー68Eを介して第2接地電極66に電気的に接続され、接続電極18Dに接続した貫通電極28及びメタライズ26を介してリッド34に電気的に接続される。
前述の各種電極の材料としては、金、チタニウム、アルミニウム、銅、鉄などの単体もしくは合金を用いることができる。例えば、鉄合金としてステンレススチールを用いることも可能であり、耐久性、耐食性が優れることから好適に用いられる。
図6に本実施形態のセンサー素子の模式図を示す。本実施形態において、力伝達部36はセンサー素子42の接触面44の法線方向(γ軸)に平行な方向の力のみならず、接触面44の面方向の力、すなわち、γ軸にそれぞれ直交し、かつ互いに直交する2つの方向(α軸、β軸)の力を接触面44に伝達可能である。そして、センサー素子42(第1センサー素子46、第2センサー素子52、第3センサー素子58)は、後述のようにα軸、β軸、γ軸にそれぞれ平行な力を検出することができる。
第1センサー素子46において、第1水晶板48A,48Bは、Yカット水晶板により形成され、圧電効果を発生させる結晶方位であるX方向が第1水晶板48A,48Bの法線(図6のγ軸に平行な方向)に垂直な方向となる結晶方位を有している。そして、第1水晶板48A,48Bは、X方向が互いに逆方向となるように配置されている。さらに、第1水晶板48A,48Bは、X方向が空間直交座標のα軸と平行となるように配置されている。
第2センサー素子52において、第2水晶板54A,54Bは、Yカット水晶板により形成され、X方向が第2水晶板54A,54Bの法線(γ軸に平行な方向)に垂直な方向となる結晶方位を有している。そして、第2水晶板54A,54Bは、X方向が互いに逆方向となるように配置されている。さらに、第2水晶板54A,54Bは、X方向が空間直交座標のβ軸と平行となるように配置されている。
第3センサー素子58において、第3水晶板60A,60Bは、Xカット水晶板により形成され、X方向が第3水晶板60A,60Bの法線(γ軸に平行な方向)と平行な方向となる結晶方位を有している。そして、第3水晶板60A,60Bは、X方向が互いに逆方向となるように配置されている。さらに、第3水晶板60A,60Bは、X方向が空間直交座標のγ軸と平行となるように配置されている。
図6に示すように、本実施形態のセンサー素子42は、空間直交座標のγ軸に平行な方向をセンサーデバイス10の高さ方向としている。そして、後述のように与圧プレート82(図7)、92(図8)によりγ軸の方向から挟み込まれ与圧が与えられ、リッド34(力伝達部36)を介してセンサー素子42にγ軸に平行な方向から与圧が付加される。これにより、第3水晶板60A,60BはX方向から与圧(圧縮力)を受けることになるので圧電効果により電荷が誘起し、第3検出電極62に電荷(Fz信号)が出力される。
上記構成において、2つの与圧プレートの相対位置が互いにα軸に平行な方向にずれる外力が付加されると、力伝達部36を介してセンサー素子42には、α軸に平行な方向の外力が付加される。すると、第1水晶板48A,48Bは、X方向から外力(せん断力)を受けることになるので圧電効果により電荷を誘起し、第1検出電極50に電荷(Fx信号)が出力される。
また2つの与圧プレートの相対位置が互いにβ軸に平行な方向にずれる外力が付加されると、力伝達部36を介してセンサー素子42には、β軸に平行な方向の外力が付加される。すると第2水晶板54A,54BはX方向から外力(せん断力)を受けることになるので圧電効果により電荷を誘起し、第2検出電極56に電荷(Fy信号)が出力される。
さらに2つの与圧プレートの相対位置が互いにγ軸に平行な方向にずれる外力が付加されると、力伝達部36を介してセンサー素子42には、γ軸に平行な方向の外力が付加される。すると、第3水晶板60A,60BはX方向から外力(圧縮力または引張力)を受けることになるので圧電効果により誘起される電荷量が変化し、第3検出電極62に出力される電荷(Fz信号)の大きさが変化する。
よって、本実施形態のセンサーデバイス10は、側面電極20Aを介して第1検出電極50に出力される電荷(Fx信号)と、側面電極20Bを介して第2検出電極56に出力される電荷(Fy信号)と、側面電極20Cを介して第3検出電極62に出力される電荷(Fz信号)と、をそれぞれモニターすることができ、互いに直交するα軸(後述のX軸)、β軸(後述のY軸)、γ軸(後述のZ軸)に平行な方向の外力(Fx、Fy、Fz)を検知することができる。なお、センサー素子42は、第1センサー素子46、第2センサー素子52、第3センサー素子58の積層構造となっているが、少なくともいずれか1つ以上を用いる構成としてもよい。また、第1センサー素子46、第2センサー素子52、第3センサー素子58は必ずしも積層させる必要は無く、各センサー素子をパッケージ12内に並列に収容し、各センサー素子の上面(接触面)が力伝達部36に接触できるようにしてもよい。
(第3実施形態)
図7に本実施形態のセンサーモジュールの断面図を示す。本実施形態のセンサーモジュール80は、第2実施形態のセンサーデバイス10(第1実施形態のセンサーデバイス1でもよい)を与圧プレート82により挟み込み、締結部により与圧プレート82同士を締結させるとともにセンサーデバイス10に与圧を付加する構成を有している。
与圧プレート82は、パッケージ12に接触する第1プレート82aと、リッド34(力伝達部36)に接触する第2プレート82bから構成される。そして締結部は、締結ボルト84aと締結ナット84bにより構成される。また、第1プレート82a、第2プレート82bには締結ボルト84aを挿通するボルト孔86aが形成され、締結ボルト84aの頭部及び締結ナット84bを収容するザグリ86bがボルト孔86aに連通して形成されている。
ここで、センサーデバイス10を第1プレート82a及び第2プレート82bで挟み込んだ状態で、締結ボルト84aをボルト孔86aに挿通し締結ボルト84aと締結ナット84bによりボルト締めする。すると、第1プレート82aと第2プレート82bが互いに接近する方向の力を締結部より受けてセンサーデバイス10は高さ方向から与圧を受け、これによりセンサーデバイス10を構成するリッド34(力伝達部36)がセンサー素子42の接触面44に与圧を付加することになる。
そして、前述同様に側面電極20A,20B,20C,20Dは、センサーデバイス10からの信号を受信する電子回路(不図示)に接続されている。よって与圧プレート82に外力が付加されると、その外力が力伝達部36を介して接触面44に伝達されて接触面44が受ける力が変化し、これによりセンサーデバイス10から出力される信号の出力が変化する。したがって、与圧のみの場合の信号の出力を基準として、その信号の出力の変化量をモニターすることにより、センサーモジュール80に付加される力(その方向も含む)を検知することができる。なお、第1プレート82aのセンサーデバイス10に対向する位置に電子回路(不図示)を埋め込み、センサーデバイス10の側面電極20A,20B,20C,20Dをパッケージ12の下面にまで延出させ、電子回路(不図示)上の実装電極(不図示)と側面電極のパッケージ12の下面に延出させた部分と、を半田付け等によりそれぞれ接続してもよい。
(第4実施形態)
図8に本実施形態の力検出装置を示す。本実施形態の力検出装置90は、4つのセンサーデバイス10を2つの与圧プレート92により挟み込んだ構成を有している。センサーデバイス10とワイヤー等を介して電気的に接続する電子回路(不図示)が配置されている。そして、力検出装置90において、4つのセンサーデバイス10が全て同じ方向に向いた状態で与圧プレート92に挟み込まれ、与圧が付加される。例えば、センサーデバイス10において、第1センサー素子46(図6)の検出軸をFxに平行な方向に向け、第2センサー素子52(図6)の検出軸をFyに平行な方向に向け、第3センサー素子58(図6)の検出軸をFzに平行な方向に向けた状態となっている。
ここで、与圧プレート92の相対位置が互いにFx方向にずれる力を受けた場合、センサーデバイス10はそれぞれFx1、Fx2、Fx3、Fx4の力を検出する。また、与圧プレート92の相対位置が互いにFy方向にずれる力を受けた場合、センサーデバイス10はそれぞれFy1、Fy2、Fy3、Fy4の力を検出する。さらに、与圧プレート92の相対位置が互いにFz方向にずれる力を受けた場合、センサーデバイス10はそれぞれFz1、Fz2、Fz3、Fz4の力を検出する。また与圧プレート92は、互いにX軸回り(Mx)に回転する方向にずれる相対変位、互いにY軸回り(My)に回転する方向にずれる相対変位、互いにZ軸回り(Mz)に回転する方向にずれる相対変位が可能であり、これに伴う力をセンサーデバイス10に伝達することが可能である。
したがって、力検出装置90において、互いに直交する力Fx、Fy、Fz、Fxに平行な方向を回転軸とする回転力Mx、Fyに平行な方向を回転軸とする回転力My、Fzに平行な方向を回転軸とする回転力Mzは、以下のように求めることができる。
ここで、a、bは定数とする。よって本実施形態の力検出装置90は、三次元のあらゆる方向からの力(6軸方向の力)を検知することができ、パッケージ12に収容されたセンサー素子42の気密封止を長期に亘り安定的に実現可能な力検出装置90となる。
(第5実施形態)
図9に、本実施形態の力検出装置を搭載したロボットを示す。図9に示すように、ロボット100は、本体部102、アーム部104、ロボットハンド部116などから構成されている。本体部102は、例えば床、壁、天井、移動可能な台車の上などに固定される。アーム部104は、本体部102に対して可動となるように設けられており、本体部102にはアーム部104を回転させるための動力を発生するアクチュエーター(不図示)や、アクチュエーターを制御する制御部等(不図示)が内蔵されている。
アーム部104は、第1フレーム106、第2フレーム108、第3フレーム110、第4フレーム112、第5フレーム114から構成されている。第1フレーム106は、回転屈曲軸を介して、本体部102に回転可能または屈曲可能となるように接続されている。第2フレーム108は、回転屈曲軸を介して、第1フレーム106及び第3フレーム110に接続されている。第3フレーム110は、回転屈曲軸を介して、第2フレーム108及び第4フレーム112に接続されている。第4フレーム112は、回転屈曲軸を介して、第3フレーム110及び第5フレーム114に接続されている。第5フレーム114は、回転屈曲軸を介して、第4フレーム112に接続されている。アーム部104は、制御部の制御によって、各フレームが各回転屈曲軸を中心に複合的に回転または屈曲することにより駆動する。
第5フレーム114の先端には、ロボットハンド部116が取り付けられており、対象物を把握することができるロボットハンド120が、回転動作させるモーター(不図示)を内蔵するロボットハンド接続部118を介して第5フレーム114に接続されている。
ロボットハンド接続部118には、モーターに加えて前述の力検出装置90(図8)が内蔵されており、ロボットハンド部116が制御部の制御によって所定の動作位置まで移動させたとき、障害物への接触、あるいは所定位置を越えての動作命令による対象物との接触、などを力検出装置90によって力として検出し、ロボット100の制御部へフィードバックし、回避動作を実行することができる。
このようなロボット100を用いることにより、従来からの位置制御では対処できなかった、障害物回避動作、対象物損傷回避動作などを容易に行い、安全で細やかな作業が可能なロボット100を得ることができる。さらに、少ない変位量であっても高精度な力の検出を安定的に行うことが可能なロボット100となる。また本実施形態に限定されず、双腕ロボットにも適用することができる。