以下、本発明の実施形態1について、図1〜図8を参照して詳細に説明する。まず、本実施形態に係る映像信号伝送システムの構成を図1に基づいて説明する。図1は、映像信号伝送システム5に含まれる送信機(制御情報生成装置、送信装置)1および受信機(受信装置)2の要部構成の一例を示すブロック図である。
映像信号伝送システム5は、送信機1から受信機2に映像信号等を伝送するシステムである。映像信号伝送システム5は、伝送する映像の色域を示す色域情報を当該映像信号と共に送信する点が主な特徴点であり、これによって、映像に応じた最適な色域変換を行うことを可能にしている。なお、次世代の4K/8K放送では、MMT(MPEG Media Transport)フォーマットで信号が送信されることが検討されている。そこで、本実施形態では、MMTフォーマットにて映像信号を伝送する例を説明する。
送信機1は、映像信号等の形態でコンテンツを送信する。より詳細には、送信機1は、放送経路(放送伝送路)にてコンテンツを構成する各パケット(MMTPパケット:MMT Protocol パケット)を送信する。一方の受信機2は、このコンテンツ(放送経路で配信されるコンテンツ)の受信機能を備えていると共に、例えばインターネット等の通信網を介して通信経路で配信されるコンテンツの受信機能も備えている。そして、受信機2は、これら2つの経路を介して受信した各コンテンツを組み合わせて再生することができる。なお、同図では、受信機2を1つのみ記載しているが、送信機1は複数の受信機2に対してコンテンツをブロードキャストする。
〔送信機の構成〕
送信機1は、図示のように、オーディオエンコーダ10、ビデオエンコーダ11、多重化部12、暗号化部13、送信部14、および制御部15を備えている。また、制御部15には、エンコード制御部16、色域情報取得部17、および制御情報生成部18が含まれている。
オーディオエンコーダ10は、送信機1が送信するコンテンツのオーディオ(音声)ストリームをエンコード(符号化)して多重化部12に出力する。同様に、ビデオエンコーダ11は、送信機1が送信するコンテンツのビデオ(映像)ストリームをエンコード(符号化)して多重化部12に出力する。
多重化部12は、オーディオエンコーダ10が出力したオーディオストリーム、ビデオエンコーダ11が出力したビデオストリーム、および制御部15が出力した制御情報を多重化して暗号化部13に出力する。
暗号化部13は、多重化部12が出力する多重化ストリームを暗号化して送信部14に出力する。そして、送信部14は、暗号化部13が出力する暗号化されたデータをパケットとして、デジタル放送信号の形態で放送経路にて受信機2に送信する。
制御部15は、送信機1の備える各部の制御等を行う。具体的には、制御部15に含まれるエンコード制御部16は、オーディオエンコーダ10およびビデオエンコーダ11を制御してエンコードを行わせる。
色域情報取得部17は、送信機1が送信するコンテンツの色域に関する情報である色域情報を取得し、取得した色域情報を制御情報生成部18に出力する。色域情報の取得方法は特に限定されないが、例えば、撮影に使用したカメラの機種等から、その撮影で得られたコンテンツの色域は決まるから、撮影に使ったカメラの情報から色域情報を取得してもよい。また、コンテンツに映像処理が施されている場合、その映像処理に用いた機材によって、そのコンテンツの色域が特定されることもある。この場合、映像処理に用いた機材の情報から色域情報を取得してもよい。この他にも、例えば、編集の時点等の任意のタイミングでコンテンツの映像解析を行うことにより、色域情報を取得してもよい。なお、色域情報の詳細は後述する。
制御情報生成部18は、送信機1が送信するコンテンツを再生するための制御情報を生成する。この制御情報は、MMTではMMT−SIと呼ばれるものであり、コンテンツに関する種々の情報が含まれるが、ここでは、MMT−SIのうち、コンテンツのパッケージに関する情報が記述されたMPT(MMT Package Table)の生成に絞って説明する。
このように、送信機1では、色域情報取得部17が色域情報を取得する処理(色域情報取得ステップ)を実行する。そして、制御情報生成部18が上記色域情報を含む制御情報(MPT)を生成する処理(制御情報生成ステップ)を実行する。したがって、このMPTを受信した受信機2において、該MPTと共に受信したコンテンツをその色域情報に応じた適切な変換を行って(あるいは変換を行わずに)表示させることが可能になる。
なお、色域情報取得部17は、送信機1が送信するコンテンツが切り替わる場合、切り替え後のコンテンツの色域情報を取得し、制御情報生成部18はこの色域情報を含むMPTを生成する。このように、コンテンツの変化に追従して、異なる色域情報を含むMPTを生成することにより、常に最適な変換によってコンテンツを再生させることが可能になる。
〔受信機の構成〕
受信機2は、図示のように、チューナ20、通信I/F21、復号部22、逆多重化部23、オーディオデコーダ24、ビデオデコーダ25、色域変換部26、表示制御部27、ディスプレイ28、および制御部29を備えている。また、制御部29には、復号制御部30、逆多重化制御部31、および制御情報取得部32が含まれている。
チューナ20は、放送経路にてデジタル放送信号として送信されるコンテンツ等を受信して復号部22に出力する。一方、通信I/F21は、通信経路にて送信されるコンテンツ等を受信して復号部22に出力する。
復号部22は、チューナ20および通信I/F21を介して受信したコンテンツが暗号化されていた場合、これを復号して逆多重化部23に出力する。
逆多重化部23は、復号部22が出力するデータ(暗号は復号されているが多重化されている)を逆多重化する。そして、逆多重化によって得られた当該コンテンツの各構成要素(コンポーネント)を、当該コンポーネントの種別に応じて処理する。具体的には、逆多重化部23は、オーディオのコンポーネントはオーディオデコーダ24に出力し、ビデオのコンポーネントはビデオデコーダ25に出力し、制御情報は制御情報取得部32に出力する。
オーディオデコーダ24は、逆多重化部23が出力するオーディオコンポーネントを復号してオーディオデータを出力する。同様に、ビデオデコーダ25は、逆多重化部23が出力するビデオコンポーネントを復号してビデオデータを出力する。
色域変換部26は、色域情報をもとに、色域変換の要否を決定する。また、変換要の場合には、その方式についても決定し、決定した方式でビデオデコーダ25が出力するビデオデータの色域を変換する。この変換により、ビデオデコーダ25が出力するビデオデータの色域が、ディスプレイ28の表示可能な色域の範囲内に収まるようになる。例えば、色域情報から、再生しようとするビデオデータの色域が、ディスプレイ28の再現可能な色域の内部にあると判定される場合、変換しないことを決定する。一方、ディスプレイ28の再現可能な色域の外部にあると判定される場合には、外部にある割合などに応じて適切な変換を行う。なお、色域変換部26は、制御部29内に設けられていてもよい。
表示制御部27は、ビデオデータをディスプレイ28に表示させる制御を行う。また、ディスプレイ28は、表示制御部27の制御に従ってビデオデータを表示する。つまり、受信機2は、放送されるコンテンツの受信機能および再生(表示)機能を備えたテレビジョン受像機である。なお、ディスプレイ28は、受信機2に外付けされた外部の装置であってもよい。
制御部29は、受信した制御情報に従って受信機2の備える各部を制御する。具体的には、復号制御部30は、復号部22を制御してコンテンツの復号を行わせる。また、逆多重化制御部31は、逆多重化部23を制御してコンテンツの逆多重化を行わせる。そして、制御情報取得部32は、逆多重化部23が逆多重化することによって出力された制御情報を取得し、制御情報に色域情報が含まれる場合には、この情報を色域変換部26に出力する。
〔色域情報を含むMPTの例〕
続いて、色域情報を含むMPTの例を図2に基づいて説明する。図2は、色域情報を含むMPTの一例を示す図である。図示のMPTには、当該MPTのバージョンを示す記述子D1(version)と、MMTのパッケージIDを示す記述子D2(MMT_package_id_byte)とが含まれていると共に、色域情報を含む記述子D3(MPT_descriptors_byte)が含まれている。
そして、記述子D3内には、当該記述子(descriptor)が色域情報に関する記述子であることを示す予め定めたタグdescriptor_tag、当該記述子の長さを示すdescriptor_length、および色域情報のデータ本体であるdata()が記述されている。なお、descriptor_tagの値は、記述子D3に色域情報に関する記述が含まれていることが特定できればよく、例えばデジタル放送における標準規格を定めたARIB STD-B60において、他の記述子を示すものとして使用されていない「0x80F0」の値を用いてもよい。
ここで、一般にテレビ放送では、ソースが異なる映像が連続して送信され、このような異なるソースの映像は色域がそれぞれ異なっている可能性がある。そこで、このようなケースに対応するため、制御情報生成部18は、ソースが変化するときには、MPT内の色域情報を更新するとともに、MPTのバージョン情報(記述子D1の値)も併せて更新する。そして、受信機2では、制御情報取得部32が、MPTのバージョンが更新されるたびに色域情報をチェックし、更新があれば色域変換部26に新しい色域情報を伝達する。これにより、映像の変化に応じた適切な色の表現が可能となる。
図2のMPTでは、data()として、受信した(再生対象の)コンテンツの映像の色域の色度空間上における外縁を示す外縁座標を格納している。しかしながら、data()に記述する色域情報は、受信したコンテンツの色域に関する情報であって、色域変換の要否判定、および変換要の場合の変換の態様の決定に用いることができるものであればよく、この例に限られない。例えば、上記色域情報は、以下の情報の少なくとも何れかを含むものであってもよい。
(1)色度空間または色度平面上における、色域(受信したコンテンツの映像の色域)の外縁を示す外縁座標
(2)受信したコンテンツの色域が色度平面上に占める面積と、該色域との比較対象として予め定められた色域が上記色度平面上に占める面積との比を示す面積比情報
(3)受信したコンテンツの色域が、該色域との比較対象として予め定められた色域の外に出ている程度を示す情報
(4)受信したコンテンツの色域を包含する色域が規定された色域フォーマット(映像規格)を示す対応フォーマット情報(対応規格情報)
(5)受信したコンテンツの色域の少なくとも一部が包含されない色域が規定された色域フォーマット(映像規格)を示す非対応フォーマット情報(非対応規格情報)
具体例を挙げれば、上記(1)の外縁座標は、[(x,y,z),(x,y,z),…,(x,y,z)]のような形式で記述された、色度空間または色度平面上で表された色域の最外郭の座標であってもよい。外縁座標は、少なくとも3点の座標を含んでいればよい。
また、上記(2)および(3)の「比較対象として予め定められた色域」は、該色域を受信機2側で認識できるものであればよい。例えば、上記「比較対象として予め定められた色域」は、既存の色域フォーマット(映像規格)で定められた色域であってもよいし、既存の色域フォーマットの色域とは独立に設定された色域であってもよい。前者の例としては、上記(2)の「比較対象として予め定められた色域」としてBT.2020の色域を用い、上記(3)の「比較対象として予め定められた色域」としてBT.709の色域を用いる例が挙げられる。なお、上記(3)の「比較対象として予め定められた色域」は、受信したコンテンツの色域のはみ出しが生じ得るような色域(受信したコンテンツが取りうる最大の色域よりも狭い色域)である必要がある。また、後者の例としては、LCD(Liquid Crystal Display) Level 10、OLED(Organic Electro-Luminescence Display) Version 4のように、ディスプレイの種類毎に、色域の広さや範囲がどの程度であるかをバージョン番号やレベルの数値によって規定する例が挙げられる。
上記(2)の面積比情報は、(受信したコンテンツの色域が色度平面上に占める面積)/(比較対象として予め定められた色域が上記色度平面上に占める面積)のような形式で面積比を示すものであってもよい。また、BT.2020の70%、xvYCC(extended video YCC)の50%のように、比較対象として予め定められた色域が上記色度平面上に占める面積に対して受信したコンテンツの色域が色度平面上に占める面積の割合をパーセントで示したものであってもよい。
また、上記(3)の情報は、比較対象として予め定められた色域を示す情報と、その色域外となっている色域の割合を示す情報とを対応付けたものとしてもよい。例えば、受信したコンテンツの色域のn%がBT.709の色域外に存在する場合には、BT.709, n(%)のような形式の情報としてもよい。
これにより、例えば、BT.709に準拠したディスプレイ28を備えた受信機2に、n%のはみ出しが生じることを認識させることができる。また、nの大小に応じて、変換の態様を変更させることもできる。例えば、nが30〜50%の場合のように、はみ出る部分が比較的少ない場合にはクリッピングを適用させ、nが80%以上の場合のように、はみ出る部分が多い場合にはコンプレッションを適用させることも可能になる。なお、上記nは、色度平面上における画素数をカウントして算出してもよい。例えば、上記nは、(上記コンテンツの色域内の画素のうち比較対象の色域外にある画素数)/(上記コンテンツの色域内に含まれる総画素数)×100との数式で算出してもよい。
上記(4)(5)の対応フォーマット情報および非対応フォーマット情報の詳細については、後に図6を参照して説明する。
〔外縁座標を用いた色域変換の例〕
次に、色域情報として外縁座標(上記(1)参照)を用いた色域変換の例について、図3に基づいて説明する。図3は、外縁座標を用いた色域変換の一例を示す図である。同図の例では、受信したコンテンツの色域フォーマットはBT.2020である。色域情報としては、外縁座標[(x1,y1),(x2,y2),(x3,y3)]を用いている。
同図の(a)に示すように、ディスプレイ28が表示可能な色域R2はBT.2020の色域R3より狭く、受信したコンテンツの映像の色域R1のうち、領域R4は色域R2の外にはみ出している。つまり、色域R1は、ディスプレイ28の能力を超えた広い色域となっている。
なお、色域R2の外縁は、ディスプレイ28の表示性能に応じて予め決まっているから、色域変換部26は、色域R2の外縁を示す情報(例えば数式)を予め取得しておくことができる。そして、色域変換部26は、外縁座標と色域R2の外縁を示す情報とから領域R4が生じていることを特定することができる。
そして、同図の(b)では、色域R1をクリッピングして、ディスプレイ28が表示可能な色域R2に収まる色域R1’に変換している。色域変換部26は、色域R2外の頂点(x1,y1)を色域R2内(例えば、頂点(x1,y1)と(x2,y2)を結ぶ線分、あるいは頂点(x1,y1)と(x3,y3)を結ぶ線分と、色域R2の外縁を規定する辺とが交わる点)に移動させることによってこの変換を行うことができる。なお、変換後の映像が不自然なものとならないようにするため、頂点の移動は、領域R1’の形状が、領域R1の形状とできるだけ近いものとなるように行うことが好ましい。
〔面積比情報を用いた色域変換の例〕
続いて、色域情報として面積比情報(上記(2)参照)を用いた色域変換の例について、図4に基づいて説明する。図4は、面積比情報を用いた色域変換の一例を示す図である。同図の例においても、受信したコンテンツの色域フォーマットはBT.2020である。色域情報としては、BT.2020の色域の面積Mに対する、受信したコンテンツの映像の色域の面積Nに対する比(N/M)を用いている。なお、現状では、BT.2020の色域フォーマットからはみ出るような色域の映像を送信することはできないため、上記面積Mは、最大の色域を示す数値であるとも言える。
同図の(a)に示すように、ディスプレイ28が表示可能な色域R2はBT.2020の色域R3より狭く、受信したコンテンツの映像の色域R1は色域R2の外にはみ出している。このように、色域R1が色域R2の外部に大きくはみ出すような場合には、N/Mの値が大きくなる(1に近付く)。よって、色域変換部26は、例えばN/Mの値が、予め設定した閾値(ディスプレイ28の表示性能が高いほど大きい値に設定)を超えているか否かを判定することによって、変換処理の要否を判定することができる。また、色域変換部26は、色域R1のはみ出しの程度、すなわちN/Mの値の大きさに応じて、適用する変換処理を切り替えてもよい。例えば、上記の閾値(閾値Aと呼ぶ)よりも値の大きい閾値(閾値B)を予め設定しておき、B≦N/Mであればコンプレッションを行い、A≦N/M<Bであればクリッピングを行ってもよい。
同図の(b)では、色域R1をコンプレッションして、ディスプレイ28が表示可能な色域R2に収まる色域R1’に変換している。なお、コンプレッションの程度は、N/Mに応じて決定すればよい(N/Mの値が大きいほど強いコンプレッションをかける)。また、色域変換部26は、色域R1の外縁座標を用いることにより、色域R2に丁度収まるような色域R1’への変換を行ってもよい。この場合には、面積比と外縁座標とを併用することになる。
さらに、色域変換部26は、コンプレッションとクリッピングの両方を行ってもよい。例えば、コンプレッションを行った後の色域R1’に依然として色域R2の外にはみ出している領域が存在した場合、該領域に対してクリッピングを行って、色域R2内に収めるようにしてもよい。
〔はみ出した領域の面積の割合を用いた色域変換の例〕
続いて、色域情報としてはみ出した領域の面積の割合を示す情報(上記(3)参照)を用いた色域変換の例について、図5に基づいて説明する。図5は、はみ出した領域の面積の割合を示す情報を用いた色域変換の一例を示す図である。同図の例においても、受信したコンテンツの色域フォーマットはBT.2020である。色域情報としては、受信したコンテンツの映像の色域R1の面積に対する、該色域R1のうちBT.709の色域R2’の外にはみ出した色域R4の面積の割合n(%)を示す情報であるBT.709, n(%)を用いている。
同図の(a)に示すように、ハイビジョン放送の色域フォーマットであるBT.709の色域R2’は、BT.2020の色域R3より狭く、受信したコンテンツの映像の色域R1には、色域R2’の外にはみ出した色域R4が生じている。したがって、一般的なハイビジョン放送の表示出力を想定して作られたディスプレイに上記コンテンツを表示させる場合、色域変換が必要になる可能性が高い。
このため、色域変換部26は、n>0である場合、つまり色域R2’の外にはみ出した色域R4が存在する場合には、同図の(b)に示すように、色域R1を色域R2’の内部に収まるように変換して、色域R1’とする。なお、この例では、コンプレッションを行っているが、外縁座標を用いる等して色域R4の位置を特定することができれば、クリッピングを行うことも可能である。また、コンプレッションとクリッピングの両方を行ってもよい。
ここで、コンテンツによっては、同図の(c)に示すように、その色域R1がBT.709の色域R2’よりも狭い(BT.709の色域R2’に包含されている)こともあり得る。この場合、色域R4は存在しないので、n=0となる。
色域変換部26は、このような場合には、同図の(d)に示すように、色域R1を色域R2’の内部に収まる範囲内で拡張して、色域R1’としてもよい。これにより、コンテンツの色域を拡張して、ディスプレイ28の性能を最大限まで活用することができる。
〔対応フォーマット情報/非対応フォーマット情報〕
次に、色域情報の1つである対応フォーマット情報(上記(4))と非対応フォーマット情報(上記(5))について、図6に基づいて説明する。図6は、対応フォーマット情報と非対応フォーマット情報を説明する図である。
図6では色度平面上において、受信したコンテンツの映像の色域R1、ディスプレイ28に表示可能な色域R2、BT.2020の色域R3、BT.709の色域R5、およびAdobeRGBの色域R6を示している。このように、BT.2020、BT.709、およびAdobeRGBのような色域フォーマットでは、それぞれ固有の色域が規定されている。また、ディスプレイに表示可能な色域R2も予め決まっている。ただし、送信機1側からは、放送を受信する多数の受信機のそれぞれについて、そのディスプレイの色域を特定することは実質的に困難である。
ここで、一般に、ディスプレイは、準拠する色域フォーマットに応じた性能となるように設計されている。例えば、ハイビジョン放送のコンテンツを表示対象と想定したディスプレイであれば、少なくともBT.709の色域は表示可能に設計されている可能性が高いが、BT.2020の色域については一部が表示できない可能性がある。
このため、対応フォーマット情報や非対応フォーマット情報を用いることにより、受信機2側で色域変換の要否を判定し、そして色域変換を行う場合にはその方式を決定することができる。
例えば、図6の例では、受信したコンテンツの映像の色域R1は、BT.2020の色域R3およびAdobeRGBの色域R6に完全に包含されていて、はみ出しがない。よって、当該コンテンツの対応フォーマット情報として、BT.2020およびAdobeRGBの少なくとも何れかを示す情報を用いてもよい。この情報を受信した受信機2の色域変換部26は、そのディスプレイ28が該情報の示す色域フォーマットに準拠しているか否かを判定することにより、変換の要否等を決定することができる。例えば、対応フォーマット情報の示す色域フォーマットまたはそれよりも色域の広い色域フォーマットに準拠したディスプレイ28を備えていれば、変換不要と判定することができる。一方、そのディスプレイ28が、該対応フォーマット情報の示す色域フォーマットに準拠していないか、またはそれよりも色域の狭い色域フォーマットに準拠していれば、変換が必要と判定することができる。
また、図6の例では、受信したコンテンツの映像の色域R1は、BT.709の色域R5からはみ出しているので、BT.709を示す情報を、当該コンテンツの非対応フォーマット情報として用いることもできる。この非対応フォーマット情報を受信した受信機2の色域変換部26は、そのディスプレイ28が、該非対応フォーマット情報の示す色域フォーマットか、またはそれよりも色域の狭い色域フォーマットに準拠していれば、変換が必要と判定することができる。
なお、対応フォーマット情報または非対応フォーマット情報の示す色域フォーマットは、上述の例に限られない。例えば、BT.601、NTSC(National Television System Committee)、sRGB(standard RGB)、xvYCC等であっても構わない。
また、上記(2)(3)に関して説明したように、このような既存の色域を利用する代わりに、独自に設定した基準によって色域を示してもよい。例えば、図6の色域R1が独自に設定した基準によりLCD Level 5に該当すると判定された場合、LCD Level 5を示す対応フォーマット情報を受信機2に送信すればよい。そして、受信機2では、ディスプレイ28がLCD Level 5の色域を表示可能であるか否かにより、変換の要否を判定すればよい。
なお、図6の例の色域R1を面積比情報で表す場合、例えばBT.2020 65%やAdobeRGB 75%の形式で表すことができる。このように、映像の色域R1が同じであっても、これに対応する色域情報としては、様々な態様の情報を適用することができる。
〔色域情報の取得処理〕
次に、色域情報の取得について図7に基づいて説明する。図7は、受信機2で実行される色域情報を取得する処理の一例を示すフローチャートである。まず、制御情報取得部32は、逆多重化部23が出力する信号からMPTを抽出して、抽出したMPTからさらにdescriptor(記述子)を抽出する(S1)。
次に、制御情報取得部32は、抽出した記述子が色域情報の記述子であるか判定する(S2)。具体的には、制御情報取得部32は、抽出した記述子のdescriptor_tagの値が、色域情報に予め割り当てられたタグの値と一致する場合には、当該記述子が色域情報の記述子であると判定する。
ここで、色域情報の記述子ではないと判定した場合(S2でNO)、制御情報取得部32は、上記MPTに次の記述子が含まれているか判定する(S3)。そして、制御情報取得部32は、含まれていると判定した場合(S3でYES)、S1の処理に戻って次の記述子を抽出し、含まれていないと判定した場合(S3でNO)、処理を終了する。
一方、S2において、S1で抽出した記述子が色域情報の記述子であると判定した場合(S2でYES)、制御情報取得部32は、当該記述子を解析して、これに含まれる色域情報を抽出する。そして、抽出した色域情報を色域変換部26に送信して(S4)、処理を終了する。
〔色域の変換処理〕
次に、色域の変換について図8に基づいて説明する。図8は、受信機2で実行される色域の変換処理の一例を示すフローチャートである。なお、この処理は、図7のS4の処理で送信された色域情報を受信した色域変換部26が実行する処理である。また、ここでは、色域情報として外縁座標が受信された例を説明する。
まず、色域変換部26は、受信した色域情報の示す、受信したコンテンツの映像の色域と、ディスプレイ28の色域とを比較する(S10)。そして、映像の色域の方が大きいか否か、言い換えれば映像の色域がディスプレイ28の色域内に収まっているか否かを判定する(S11)。
ここで、映像の色域がディスプレイ28の色域内に収まっていると判定した場合(S11でNO)、色域変換部26は、色域変換を行わず(S15)、処理を終了する。この場合、受信したコンテンツの映像は、色域変換がなされることなくディスプレイ28に表示される。なお、S11でNOと判定した場合、色域変換部26は、映像の色域をディスプレイ28の色域に収まる範囲内で拡張してもよい。
一方、映像の色域がディスプレイ28の色域からはみ出していると判定した場合(S11でYES)、色域変換部26は、映像の色域の方が10%以上大きいか否かを判定する(S12)。なお、この判定は、例えば、色度平面上において、色域情報として受信した外縁座標から算出した、映像の色域の面積と、同色度平面におけるディスプレイ28の色域の面積とを比較することで行うことができる。
そして、色域変換部26は、映像の色域の方が10%以上大きいと判定した場合(S12でYES)には、当該映像にコンプレッション処理を施してディスプレイ28の色域に収まるようにする(S13)。一方、色域の差異が10%に満たないと判定した場合(S12でNO)には、当該映像にクリッピング処理を施してディスプレイ28の色域に収まるようにする(S14)。これにより、色域の変換処理は終了する。
なお、上記の例では、クリッピング処理を行うかコンプレッション処理を行うかの判定の基準を、映像の色域がディスプレイ28の色域より10%以上大きいか否かとしているが、判定の基準はこの例に限られない。
〔実施形態2:変形例〕
上記実施形態の送信機1は、コンテンツを再生するための制御情報を生成する制御情報生成装置としての機能と、デジタル放送信号を送信する送信装置としての機能とを共に備えていた。しかしながら、互いに独立した制御情報生成装置と送信装置との組み合わせによっても、上記送信機1と同様の機能を実現することができる。
〔実施形態3:ソフトウェアによる実現例〕
送信機1および受信機2の制御ブロック(特に制御部15、多重化部12、暗号化部13、復号部22、逆多重化部23、色域変換部26、表示制御部27、および制御部29)は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、CPU(Central Processing Unit)を用いてソフトウェアによって実現してもよい。
後者の場合、送信機1および受信機2は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するCPU、上記プログラムおよび各種データがコンピュータ(またはCPU)で読み取り可能に記録されたROM(Read Only Memory)または記憶装置(これらを「記録媒体」と称する)、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などを備えている。そして、コンピュータ(またはCPU)が上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る制御情報生成装置(送信機1)は、MMTにて送信されるコンテンツを再生するための制御情報を生成する制御情報生成装置であって、上記コンテンツの映像の色域に関する色域情報を取得する色域情報取得部(17)と、上記色域情報を含むMMTパッケージテーブルを生成する制御情報生成部(18)と、を備えている。
上記の構成によれば、色域情報を含むMMTパッケージテーブル(MPT)を生成する。ここで、MPTは、コンテンツと共に受信装置に送信されるものであり、受信装置はMPTを参照しながらコンテンツを再生する。よって、上記の構成によれば、該MPTを受信した受信装置に、該色域情報に応じて該コンテンツの色域を適応的に変換させることができる。特に、MPTは、1秒以内程度の短い時間間隔で定期的に送信されるので、コンテンツの変化に概ねリアルタイムで追従して色域を変換させることが可能となる。
本発明の態様2に係る制御情報生成装置では、上記態様1において、上記色域情報には、色度空間または色度平面上で表された上記コンテンツの色域の外縁を示す外縁座標が含まれていてもよい。
上記の構成によれば、色域情報には、色度空間または色度平面上で表された上記コンテンツの色域の外縁を示す外縁座標が含まれている。よって、上記MPTを取得した受信装置は、該MPTと共に受信したコンテンツの色域がどのような広がりをもっているかを特定することができる。そして、これにより、該コンテンツを表示させるディスプレイに応じて、上記コンテンツの色域を適切に変換して、または変換することなく、該コンテンツを適切に表示させることができる。
本発明の態様3に係る制御情報生成装置では、上記態様1または2において、上記色域情報には、上記コンテンツの色域が色度平面上に占める面積と、該色域との比較対象として予め定められた色域が上記色度平面上に占める面積との比を示す面積比情報が含まれていてもよい。
上記の構成によれば、色域情報には、上記コンテンツの色域が色度平面上に占める面積と、該色域との比較対象として予め定められた色域が上記色度平面上に占める面積との比を示す面積比情報が含まれている。よって、上記MPTを取得した受信装置は、該MPTと共に受信したコンテンツの色域が、比較対象の色域と比べてどの程度大きいかあるいはどの程度小さいかを特定することができる。そして、これにより、該コンテンツを表示させるディスプレイに応じて、上記コンテンツの色域を適切に変換して、または変換することなく、該コンテンツを適切に表示させることができる。
なお、比較対象の色域は、該色域を受信装置側で認識できるものであればよく、例えば既存の色域フォーマットで定められた色域(既存の映像規格で定められた色域)であってもよいし、既存の色域フォーマットの色域とは独立に設定された色域であってもよい。
本発明の態様4に係る制御情報生成装置では、上記態様1から3の何れかにおいて、上記色域情報には、上記コンテンツの色域が、該色域との比較対象として予め定められた色域の外に出ている程度を示す情報が含まれていてもよい。
上記の構成によれば、色域情報には、上記コンテンツの色域が、該色域との比較対象として予め定められた色域の外に出ている程度を示す情報が含まれている。よって、上記MPTを取得した受信装置は、該MPTと共に受信したコンテンツの色域が、比較対象の色域からどの程度はみ出しているかを特定することができる。そして、これにより、該コンテンツを表示させるディスプレイに応じて、上記コンテンツの色域を適切に変換して、または変換することなく、該コンテンツを適切に表示させることができる。
本発明の態様5に係る制御情報生成装置では、上記態様1から4の何れかにおいて、上記色域情報には、上記コンテンツの色域を包含する色域が規定された映像規格を示す対応規格情報(対応フォーマット情報)が含まれていてもよい。
上記の構成によれば、色域情報には、上記コンテンツの色域を包含する色域が規定された映像規格を示す対応規格情報が含まれている。よって、上記MPTを取得した受信装置は、当該コンテンツを表示させるディスプレイが、上記映像規格に準拠していれば、当該コンテンツの色域を変換することなく表示させることが可能であると判定することができる。一方、当該コンテンツを表示させるディスプレイが、上記映像規格に準拠していない、あるいは該映像規格よりも色域の狭い映像規格に準拠している場合には、当該コンテンツの色域を変換する必要があると判定することができる。したがって、上記の構成によれば、コンテンツを表示させるディスプレイに応じて、上記コンテンツの色域を適切に変換して、または変換することなく、該コンテンツを適切に表示させることができる。
本発明の態様6に係る制御情報生成装置では、上記態様1から5の何れかにおいて、上記色域情報には、上記コンテンツの色域の少なくとも一部が包含されない色域が規定された映像規格を示す非対応規格情報(非対応フォーマット情報)が含まれていてもよい。
上記の構成によれば、色域情報には、上記コンテンツの色域の少なくとも一部が包含されない色域が規定された映像規格を示す非対応規格情報が含まれている。よって、上記MPTを取得した受信装置は、当該コンテンツを表示させるディスプレイが、上記映像規格に準拠している場合、あるいは該映像規格よりも色域の狭い映像規格に準拠している場合、当該コンテンツの色域を変換する必要があると判定することができる。したがって、上記の構成によれば、コンテンツを表示させるディスプレイに応じて、上記コンテンツの色域を適切に変換して、該コンテンツを適切に表示させることができる。
本発明の態様7に係る送信装置(送信機1)は、上記態様1から6の何れかの制御情報生成装置と、上記制御情報生成装置が生成したMMTパッケージテーブルを上記コンテンツと共にデジタル放送信号として送信する送信部14と、を備えている。
上記の構成によれば、上記制御情報生成装置が生成したMMTパッケージテーブルを上記コンテンツと共にデジタル放送信号として送信する。よって、該デジタル放送信号を受信した受信装置に、上記MMTパッケージテーブルに含まれる色域情報に応じて、上記コンテンツの色域を適応的に変換させた上で、当該コンテンツを再生させることができる。
本発明の態様8に係る受信装置(受信機2)は、MMTにて送信されるコンテンツを受信する受信装置であって、上記コンテンツの映像の色域に関する色域情報を含むMMTパッケージテーブルを取得する制御情報取得部(32)と、上記コンテンツの映像の色域を上記色域情報に応じて変換する色域変換部(色域変換部26)と、を備えている。
上記の構成によれば、コンテンツの映像の色域に関する色域情報を含むMMTパッケージテーブルを取得して、上記コンテンツの映像の色域を上記色域情報に応じて変換する。よって、上記の構成によれば、色域情報に応じてコンテンツの色域を適応的に変換させた上で、該コンテンツを再生することができる。特に、MPTは、1秒以内程度の短い時間間隔で定期的に送信されるので、コンテンツの変化に概ねリアルタイムで追従して色域を変換することが可能となる。
本発明の態様9に係るテレビジョン受像機は、上記態様8に記載の受信装置を含んでいる。よって、態様8の受信装置と同様の作用効果を奏する。
本発明の態様10に係る映像信号伝送システム5は、MMTにてコンテンツを送信する送信装置(送信機1)と該コンテンツを受信する受信装置(受信機2)とを含む映像信号伝送システムであって、上記送信装置は、上記コンテンツの映像の色域を示す色域情報を含むMMTパッケージテーブルを上記コンテンツと共にデジタル放送信号として上記受信装置に送信し、上記受信装置は、上記デジタル放送信号から上記MMTパッケージテーブルを取得し、上記コンテンツの映像の色域を上記色域情報に応じて変換する。よって、態様1の制御情報生成装置および態様8の受信装置と同様の作用効果を奏する。
本発明の各態様に係る制御情報生成装置、送信装置、および受信装置は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを上記制御情報生成装置、送信装置、または受信装置が備える各部として動作させることにより上記制御情報生成装置、送信装置、または受信装置をコンピュータにて実現させる制御プログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
〔関連する実施形態についての説明I〕
以下、実施形態4〜6について説明する。
〔発明を実施するための形態〕
以下、本発明の実施形態4について、図9〜図12を参照して詳細に説明する。まず、本実施形態に係る映像信号伝送システムの構成を図9に基づいて説明する。図9は、映像信号伝送システム5aに含まれる送信機(制御情報生成装置、送信装置)1aおよび受信機(受信装置)2aの要部構成の一例を示すブロック図である。
映像信号伝送システム5aは、送信機1aから受信機2aに映像信号等を伝送するシステムである。映像信号伝送システム5aは、伝送する映像の色域を示す色域情報を当該映像信号と共に送信する点が主な特徴点であり、これによって、映像に応じた最適な色域変換を行うことを可能にしている。なお、現行のデジタル放送では、MPEG−2(Moving PictureExperts Group phase 2)方式のTS(Transport Stream、トランスポートストリーム)フォーマットで信号が送信されている。そこで、本実施形態では、TSフォーマットにて映像信号を伝送する例を説明する。
送信機1aは、映像信号等の形態でコンテンツを送信する。より詳細には、送信機1aは、放送経路(放送伝送路)にてコンテンツを構成する各パケット(TSパケット)を送信する。一方の受信機2aは、このコンテンツ(放送経路で配信されるコンテンツ)の受信機能を備えていると共に、例えばインターネット等の通信網を介して通信経路で配信されるコンテンツの受信機能も備えている。そして、受信機2aは、これら2つの経路を介して受信した各コンテンツを組み合わせて再生することができる。なお、同図では、受信機2を1つのみ記載しているが、送信機1aは複数の受信機2aに対してコンテンツをブロードキャストする。
〔送信機の構成〕
送信機1aは、図示のように、オーディオエンコーダ10a、ビデオエンコーダ11a、多重化部12a、暗号化部13a、送信部14a、および制御部15aを備えている。また、制御部15aには、エンコード制御部16a、色域情報取得部17a、および制御情報生成部18aが含まれている。
オーディオエンコーダ10aは、送信機1aが送信するコンテンツのオーディオ(音声)ストリームをエンコード(符号化)して多重化部12aに出力する。同様に、ビデオエンコーダ11aは、送信機1が送信するコンテンツのビデオ(映像)ストリームをエンコード(符号化)して多重化部12aに出力する。
多重化部12aは、オーディオエンコーダ10aが出力したオーディオストリーム、ビデオエンコーダ11aが出力したビデオストリーム、および制御部15aが出力した制御情報を多重化して暗号化部13aに出力する。
暗号化部13aは、多重化部12aが出力する多重化ストリームを暗号化して送信部14aに出力する。そして、送信部14aは、暗号化部13aが出力する暗号化されたデータをパケットとして、デジタル放送信号の形態で放送経路にて受信機2aに送信する。
制御部15aは、送信機1aの備える各部の制御等を行う。具体的には、制御部15aに含まれるエンコード制御部16aは、オーディオエンコーダ10aおよびビデオエンコーダ11aを制御してエンコードを行わせる。
色域情報取得部17aは、送信機1aが送信するコンテンツの色域に関する情報である色域情報を取得し、取得した色域情報を制御情報生成部18aに出力する。色域情報の取得方法は特に限定されないが、例えば、撮影に使用したカメラの機種等から、その撮影で得られたコンテンツの色域は決まるから、撮影に使ったカメラの情報から色域情報を取得してもよい。また、コンテンツに映像処理が施されている場合、その映像処理に用いた機材によって、そのコンテンツの色域が特定されることもある。この場合、映像処理に用いた機材の情報から色域情報を取得してもよい。この他にも、例えば、編集の時点等の任意のタイミングでコンテンツの映像解析を行うことにより、色域情報を取得してもよい。なお、色域情報の詳細は後述する。
制御情報生成部18aは、送信機1aが送信するコンテンツを再生するための制御情報を生成する。この制御情報は、TSではPSI/SI(Program Specific Information / Service Information)と呼ばれるものであり、コンテンツに関する種々の情報が含まれるが、ここでは、PSI/SIのうち、コンテンツのプログラムに関する情報が記述されたPMT(Program Map Table、プログラムマップテーブル)の生成に絞って説明する。
このように、送信機1aでは、色域情報取得部17aが色域情報を取得する処理(色域情報取得ステップ)を実行する。そして、制御情報生成部18が上記色域情報を含む制御情報(PMT)を生成する処理(制御情報生成ステップ)を実行する。したがって、このPMTを受信した受信機2aにおいて、該PMTと共に受信したコンテンツをその色域情報に応じた適切な変換を行って(あるいは変換を行わずに)表示させることが可能になる。
なお、色域情報取得部17aは、送信機1aが送信するコンテンツが切り替わる場合、切り替え後のコンテンツの色域情報を取得し、制御情報生成部18aはこの色域情報を含むPMTを生成する。このように、コンテンツの変化に追従して、異なる色域情報を含むPMTを生成することにより、常に最適な変換によってコンテンツを再生させることが可能になる。
〔受信機の構成〕
受信機2aは、図示のように、チューナ20a、通信I/F21a、復号部22a、逆多重化部23a、オーディオデコーダ24a、ビデオデコーダ25a、色域変換部26a、表示制御部27a、ディスプレイ28a、および制御部29aを備えている。また、制御部29aには、復号制御部30a、逆多重化制御部31a、および制御情報取得部32aが含まれている。
チューナ20aは、放送経路にてデジタル放送信号として送信されるコンテンツ等を受信して復号部22aに出力する。一方、通信I/F21aは、通信経路にて送信されるコンテンツ等を受信して復号部22aに出力する。
復号部22aは、チューナ20aおよび通信I/F21aを介して受信したコンテンツが暗号化されていた場合、これを復号して逆多重化部23aに出力する。
逆多重化部23aは、復号部22aが出力するデータ(暗号は復号されているが多重化されている)を逆多重化する。そして、逆多重化によって得られた当該コンテンツの各構成要素(コンポーネント)を、当該コンポーネントの種別に応じて処理する。具体的には、逆多重化部23aは、オーディオのコンポーネントはオーディオデコーダ24aに出力し、ビデオのコンポーネントはビデオデコーダ25aに出力し、制御情報は制御情報取得部32aに出力する。
オーディオデコーダ24aは、逆多重化部23aが出力するオーディオコンポーネントを復号してオーディオデータを出力する。同様に、ビデオデコーダ25aは、逆多重化部23aが出力するビデオコンポーネントを復号してビデオデータを出力する。
色域変換部26aは、色域情報をもとに、色域変換の要否を決定する。また、変換要の場合には、その方式についても決定し、決定した方式でビデオデコーダ25aが出力するビデオデータの色域を変換する。この変換により、ビデオデコーダ25aが出力するビデオデータの色域が、ディスプレイ28aの表示可能な色域の範囲内に収まるようになる。例えば、色域情報から、再生しようとするビデオデータの色域が、ディスプレイ28aの再現可能な色域の内部にあると判定される場合、変換しないことを決定する。一方、ディスプレイ28aの再現可能な色域の外部にあると判定される場合には、外部にある割合などに応じて適切な変換を行う。なお、色域変換部26aは、制御部29a内に設けられていてもよい。
表示制御部27aは、ビデオデータをディスプレイ28aに表示させる制御を行う。また、ディスプレイ28aは、表示制御部27aの制御に従ってビデオデータを表示する。つまり、受信機2aは、放送されるコンテンツの受信機能および再生(表示)機能を備えたテレビジョン受像機である。なお、ディスプレイ28aは、受信機2aに外付けされた外部の装置であってもよい。
制御部29aは、受信した制御情報に従って受信機2aの備える各部を制御する。具体的には、復号制御部30aは、復号部22aを制御してコンテンツの復号を行わせる。また、逆多重化制御部31aは、逆多重化部23aを制御してコンテンツの逆多重化を行わせる。そして、制御情報取得部32aは、逆多重化部23aが逆多重化することによって出力された制御情報を取得し、制御情報に色域情報が含まれる場合には、この情報を色域変換部26aに出力する。
〔色域情報を含むPMTの例〕
続いて、色域情報を含むPMTの例を図10に基づいて説明する。図10は、色域情報を含むPMTの一例を示す図である。図示のPMTには、当該PMTのバージョンを示す記述子D11(version_number)と、PMTのプログラムIDを示す記述子D12(program_number)とが含まれていると共に、色域情報を含む記述子D13(descriptor())が含まれている。
そして、記述子D13内には、当該記述子(descriptor)が色域情報に関する記述子であることを示す予め定めたタグdescriptor_tag、当該記述子の長さを示すdescriptor_length、および色域情報のデータ本体であるdata()が記述されている。なお、descriptor_tagの値は、記述子D13に色域情報に関する記述が含まれていることが特定できればよく、例えばデジタル放送における標準規格を定めたARIB STD-B10において、他の記述子を示すものとして使用されていない「0xF0」の値を用いてもよい。
ここで、一般にテレビ放送では、ソースが異なる映像が連続して送信され、このような異なるソースの映像は色域がそれぞれ異なっている可能性がある。そこで、このようなケースに対応するため、制御情報生成部18aは、ソースが変化するときには、PMT内の色域情報を更新するとともに、PMTのバージョン情報(記述子D11の値)も併せて更新する。そして、受信機2aでは、制御情報取得部32aが、PMTのバージョンが更新されるたびに色域情報をチェックし、更新があれば色域変換部26aに新しい色域情報を伝達する。これにより、映像の変化に応じた適切な色の表現が可能となる。
図10のPMTでは、data()として、受信した(再生対象の)コンテンツの映像の色域の色度空間上における外縁を示す外縁座標を格納している。しかしながら、data()に記述する色域情報は、受信したコンテンツの色域に関する情報であって、色域変換の要否判定、および変換要の場合の変換の態様の決定に用いることができるものであればよく、この例に限られない。例えば、上記色域情報は、以下の情報の少なくとも何れかを含むものであってもよい。
(1)色度空間または色度平面上における、色域(受信したコンテンツの映像の色域)の外縁を示す外縁座標
(2)受信したコンテンツの色域が色度平面上に占める面積と、該色域との比較対象として予め定められた色域が上記色度平面上に占める面積との比を示す面積比情報
(3)受信したコンテンツの色域が、該色域との比較対象として予め定められた色域の外に出ている程度を示す情報
(4)受信したコンテンツの色域を包含する色域が規定された色域フォーマット(映像規格)を示す対応フォーマット情報(対応規格情報)
(5)受信したコンテンツの色域の少なくとも一部が包含されない色域が規定された色域フォーマット(映像規格)を示す非対応フォーマット情報(非対応規格情報)
具体例を挙げれば、上記(1)の外縁座標は、[(x,y,z),(x,y,z),…,(x,y,z)]のような形式で記述された、色度空間または色度平面上で表された色域の最外郭の座標であってもよい。外縁座標は、少なくとも3点の座標を含んでいればよい。
また、上記(2)および(3)の「比較対象として予め定められた色域」は、該色域を受信機2a側で認識できるものであればよい。例えば、上記「比較対象として予め定められた色域」は、既存の色域フォーマット(映像規格)で定められた色域であってもよいし、既存の色域フォーマットの色域とは独立に設定された色域であってもよい。前者の例としては、上記(2)の「比較対象として予め定められた色域」としてBT.2020の色域を用い、上記(3)の「比較対象として予め定められた色域」としてBT.709の色域を用いる例が挙げられる。なお、上記(3)の「比較対象として予め定められた色域」は、受信したコンテンツの色域のはみ出しが生じ得るような色域(受信したコンテンツが取りうる最大の色域よりも狭い色域)である必要がある。また、後者の例としては、LCD(Liquid Crystal Display) Level 10、OLED(Organic Electro-Luminescence Display) Version 4のように、ディスプレイの種類毎に、色域の広さや範囲がどの程度であるかをバージョン番号やレベルの数値によって規定する例が挙げられる。
上記(2)の面積比情報は、(受信したコンテンツの色域が色度平面上に占める面積)/(比較対象として予め定められた色域が上記色度平面上に占める面積)のような形式で面積比を示すものであってもよい。また、BT.2020の70%、xvYCC(extended video YCC)の50%のように、比較対象として予め定められた色域が上記色度平面上に占める面積に対して受信したコンテンツの色域が色度平面上に占める面積の割合をパーセントで示したものであってもよい。
また、上記(3)の情報は、比較対象として予め定められた色域を示す情報と、その色域外となっている色域の割合を示す情報とを対応付けたものとしてもよい。例えば、受信したコンテンツの色域のn%がBT.709の色域外に存在する場合には、BT.709, n(%)のような形式の情報としてもよい。
これにより、例えば、BT.709に準拠したディスプレイ28を備えた受信機2aに、n%のはみ出しが生じることを認識させることができる。また、nの大小に応じて、変換の態様を変更させることもできる。例えば、nが30〜50%の場合のように、はみ出る部分が比較的少ない場合にはクリッピングを適用させ、nが80%以上の場合のように、はみ出る部分が多い場合にはコンプレッションを適用させることも可能になる。なお、上記nは、色度平面上における画素数をカウントして算出してもよい。例えば、上記nは、(上記コンテンツの色域内の画素のうち比較対象の色域外にある画素数)/(上記コンテンツの色域内に含まれる総画素数)×100との数式で算出してもよい。
上記(4)(5)の対応フォーマット情報および非対応フォーマット情報の詳細については、後に図6を参照して説明する。
〔外縁座標を用いた色域変換の例〕
次に、色域情報として外縁座標(上記(1)参照)を用いた色域変換の例について、色域変換部26aは、図3を用いて説明した処理と同様の処理を行う。また、図3を用いて説明した効果と同様の効果を奏する。
〔面積比情報を用いた色域変換の例〕
続いて、色域情報として面積比情報(上記(2)参照)を用いた色域変換の例について、色域変換部26aは、図4を用いて説明した処理と同様の処理を行う。また、図4を用いて説明した効果と同様の効果を奏する。
〔はみ出した領域の面積の割合を用いた色域変換の例〕
続いて、色域情報としてはみ出した領域の面積の割合を示す情報(上記(3)参照)を用いた色域変換の例について、色域変換部26aは、図5を用いて説明した処理と同様の処理を行う。また、図5を用いて説明した効果と同様の効果を奏する。
〔対応フォーマット情報/非対応フォーマット情報〕
次に、色域情報の1つである対応フォーマット情報(上記(4))と非対応フォーマット情報(上記(5))について、色域変換部26aは、図6を用いて説明した処理と同様の処理を行う。また、図6を用いて説明した効果と同様の効果を奏する。
〔色域情報の取得処理〕
次に、色域情報の取得について図11に基づいて説明する。図11は、受信機2aで実行される色域情報を取得する処理の一例を示すフローチャートである。まず、制御情報取得部32aは、逆多重化部23aが出力する信号からPMTを抽出して、抽出したPMTからさらにdescriptor(記述子)を抽出する(S21)。
次に、制御情報取得部32aは、抽出した記述子が色域情報の記述子であるか判定する(S22)。具体的には、制御情報取得部32aは、抽出した記述子のdescriptor_tagの値が、色域情報に予め割り当てられたタグの値と一致する場合には、当該記述子が色域情報の記述子であると判定する。
ここで、色域情報の記述子ではないと判定した場合(S22でNO)、制御情報取得部32aは、上記PMTに次の記述子が含まれているか判定する(S23)。そして、制御情報取得部32aは、含まれていると判定した場合(S23でYES)、S21の処理に戻って次の記述子を抽出し、含まれていないと判定した場合(S23でNO)、処理を終了する。
一方、S22において、S21で抽出した記述子が色域情報の記述子であると判定した場合(S22でYES)、制御情報取得部32aは、当該記述子を解析して、これに含まれる色域情報を抽出する。そして、抽出した色域情報を色域変換部26aに送信して(S24)、処理を終了する。
〔色域の変換処理〕
次に、色域の変換について図12に基づいて説明する。図12は、受信機2aで実行される色域の変換処理の一例を示すフローチャートである。なお、この処理は、図11のS24の処理で送信された色域情報を受信した色域変換部26aが実行する処理である。また、ここでは、色域情報として外縁座標が受信された例を説明する。
まず、色域変換部26aは、受信した色域情報の示す、受信したコンテンツの映像の色域と、ディスプレイ28aの色域とを比較する(S30)。そして、映像の色域の方が大きいか否か、言い換えれば映像の色域がディスプレイ28aの色域内に収まっているか否かを判定する(S31)。
ここで、映像の色域がディスプレイ28aの色域内に収まっていると判定した場合(S31でNO)、色域変換部26aは、色域変換を行わず(S35)、処理を終了する。この場合、受信したコンテンツの映像は、色域変換がなされることなくディスプレイ28aに表示される。なお、S31でNOと判定した場合、色域変換部26aは、映像の色域をディスプレイ28aの色域に収まる範囲内で拡張してもよい。
一方、映像の色域がディスプレイ28aの色域からはみ出していると判定した場合(S31でYES)、色域変換部26aは、映像の色域の方が10%以上大きいか否かを判定する(S32)。なお、この判定は、例えば、色度平面上において、色域情報として受信した外縁座標から算出した、映像の色域の面積と、同色度平面におけるディスプレイ28aの色域の面積とを比較することで行うことができる。
そして、色域変換部26aは、映像の色域の方が10%以上大きいと判定した場合(S32でYES)には、当該映像にコンプレッション処理を施してディスプレイ28aの色域に収まるようにする(S33)。一方、色域の差異が10%に満たないと判定した場合(S32でNO)には、当該映像にクリッピング処理を施してディスプレイ28aの色域に収まるようにする(S34)。これにより、色域の変換処理は終了する。
なお、上記の例では、クリッピング処理を行うかコンプレッション処理を行うかの判定の基準を、映像の色域がディスプレイ28aの色域より10%以上大きいか否かとしているが、判定の基準はこの例に限られない。
〔実施形態5:変形例〕
上記実施形態の送信機1aは、コンテンツを再生するための制御情報を生成する制御情報生成装置としての機能と、デジタル放送信号を送信する送信装置としての機能とを共に備えていた。しかしながら、互いに独立した制御情報生成装置と送信装置との組み合わせによっても、上記送信機1と同様の機能を実現することができる。
〔実施形態6:ソフトウェアによる実現例〕
送信機1aおよび受信機2aの制御ブロック(特に制御部15a、多重化部12a、暗号化部13a、復号部22a、逆多重化部23a、色域変換部26a、表示制御部27a、および制御部29a)は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、CPU(Central Processing Unit)を用いてソフトウェアによって実現してもよい。
後者の場合、送信機1aおよび受信機2aは、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するCPU、上記プログラムおよび各種データがコンピュータ(またはCPU)で読み取り可能に記録されたROM(Read Only Memory)または記憶装置(これらを「記録媒体」と称する)、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などを備えている。そして、コンピュータ(またはCPU)が上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
〔まとめ〕
本発明の態様11に係る制御情報生成装置(送信機1a)は、トランスポートストリームにて送信されるコンテンツを再生するための制御情報を生成する制御情報生成装置であって、上記コンテンツの映像の色域に関する色域情報を取得する色域情報取得部(17a)と、上記色域情報を含むプログラムマップテーブルを生成する制御情報生成部(18a)と、を備えている。
上記の構成によれば、色域情報を含むプログラムマップテーブル(PMT)を生成する。ここで、PMTは、コンテンツと共に受信装置に送信されるものであり、受信装置はPMTを参照しながらコンテンツを再生する。よって、上記の構成によれば、該PMTを受信した受信装置に、該色域情報に応じて該コンテンツの色域を適応的に変換させることができる。特に、PMTは、1秒以内程度の短い時間間隔で定期的に送信されるので、コンテンツの変化に概ねリアルタイムで追従して色域を変換させることが可能となる。
本発明の態様12に係る制御情報生成装置では、上記態様11において、上記色域情報には、色度空間または色度平面上で表された上記コンテンツの色域の外縁を示す外縁座標が含まれていてもよい。
上記の構成によれば、色域情報には、色度空間または色度平面上で表された上記コンテンツの色域の外縁を示す外縁座標が含まれている。よって、上記PMTを取得した受信装置は、該PMTと共に受信したコンテンツの色域がどのような広がりをもっているかを特定することができる。そして、これにより、該コンテンツを表示させるディスプレイに応じて、上記コンテンツの色域を適切に変換して、または変換することなく、該コンテンツを適切に表示させることができる。
本発明の態様13に係る制御情報生成装置では、上記態様11または12において、上記色域情報には、上記コンテンツの色域が色度平面上に占める面積と、該色域との比較対象として予め定められた色域が上記色度平面上に占める面積との比を示す面積比情報が含まれていてもよい。
上記の構成によれば、色域情報には、上記コンテンツの色域が色度平面上に占める面積と、該色域との比較対象として予め定められた色域が上記色度平面上に占める面積との比を示す面積比情報が含まれている。よって、上記PMTを取得した受信装置は、該PMTと共に受信したコンテンツの色域が、比較対象の色域と比べてどの程度大きいかあるいはどの程度小さいかを特定することができる。そして、これにより、該コンテンツを表示させるディスプレイに応じて、上記コンテンツの色域を適切に変換して、または変換することなく、該コンテンツを適切に表示させることができる。
なお、比較対象の色域は、該色域を受信装置側で認識できるものであればよく、例えば既存の色域フォーマットで定められた色域(既存の映像規格で定められた色域)であってもよいし、既存の色域フォーマットの色域とは独立に設定された色域であってもよい。
本発明の態様14に係る制御情報生成装置では、上記態様11から13の何れかにおいて、上記色域情報には、上記コンテンツの色域が、該色域との比較対象として予め定められた色域の外に出ている程度を示す情報が含まれていてもよい。
上記の構成によれば、色域情報には、上記コンテンツの色域が、該色域との比較対象として予め定められた色域の外に出ている程度を示す情報が含まれている。よって、上記PMTを取得した受信装置は、該PMTと共に受信したコンテンツの色域が、比較対象の色域からどの程度はみ出しているかを特定することができる。そして、これにより、該コンテンツを表示させるディスプレイに応じて、上記コンテンツの色域を適切に変換して、または変換することなく、該コンテンツを適切に表示させることができる。
本発明の態様15に係る制御情報生成装置では、上記態様11から14の何れかにおいて、上記色域情報には、上記コンテンツの色域を包含する色域が規定された映像規格を示す対応規格情報(対応フォーマット情報)が含まれていてもよい。
上記の構成によれば、色域情報には、上記コンテンツの色域を包含する色域が規定された映像規格を示す対応規格情報が含まれている。よって、上記PMTを取得した受信装置は、当該コンテンツを表示させるディスプレイが、上記映像規格に準拠していれば、当該コンテンツの色域を変換することなく表示させることが可能であると判定することができる。一方、当該コンテンツを表示させるディスプレイが、上記映像規格に準拠していない、あるいは該映像規格よりも色域の狭い映像規格に準拠している場合には、当該コンテンツの色域を変換する必要があると判定することができる。したがって、上記の構成によれば、コンテンツを表示させるディスプレイに応じて、上記コンテンツの色域を適切に変換して、または変換することなく、該コンテンツを適切に表示させることができる。
本発明の態様16に係る制御情報生成装置では、上記態様11から15の何れかにおいて、上記色域情報には、上記コンテンツの色域の少なくとも一部が包含されない色域が規定された映像規格を示す非対応規格情報(非対応フォーマット情報)が含まれていてもよい。
上記の構成によれば、色域情報には、上記コンテンツの色域の少なくとも一部が包含されない色域が規定された映像規格を示す非対応規格情報が含まれている。よって、上記PMTを取得した受信装置は、当該コンテンツを表示させるディスプレイが、上記映像規格に準拠している場合、あるいは該映像規格よりも色域の狭い映像規格に準拠している場合、当該コンテンツの色域を変換する必要があると判定することができる。したがって、上記の構成によれば、コンテンツを表示させるディスプレイに応じて、上記コンテンツの色域を適切に変換して、該コンテンツを適切に表示させることができる。
本発明の態様17に係る送信装置(送信機1a)は、上記態様11から16の何れかの制御情報生成装置と、上記制御情報生成装置が生成したプログラムマップテーブルを上記コンテンツと共にデジタル放送信号として送信する送信部14aと、を備えている。
上記の構成によれば、上記制御情報生成装置が生成したプログラムマップテーブルを上記コンテンツと共にデジタル放送信号として送信する。よって、該デジタル放送信号を受信した受信装置に、上記プログラムマップテーブルに含まれる色域情報に応じて、上記コンテンツの色域を適応的に変換させた上で、当該コンテンツを再生させることができる。
本発明の態様18に係る受信装置(受信機2a)は、トランスポートストリームにて送信されるコンテンツを受信する受信装置であって、上記コンテンツの映像の色域に関する色域情報を含むプログラムマップテーブルを取得する制御情報取得部(32a)と、上記コンテンツの映像の色域を上記色域情報に応じて変換する色域変換部(26a)と、を備えている。
上記の構成によれば、コンテンツの映像の色域に関する色域情報を含むプログラムマップテーブルを取得して、上記コンテンツの映像の色域を上記色域情報に応じて変換する。よって、上記の構成によれば、色域情報に応じてコンテンツの色域を適応的に変換させた上で、該コンテンツを再生することができる。特に、PMTは、1秒以内程度の短い時間間隔で定期的に送信されるので、コンテンツの変化に概ねリアルタイムで追従して色域を変換することが可能となる。
本発明の態様19に係るテレビジョン受像機は、上記態様18に記載の受信装置を含んでいる。よって、態様18の受信装置と同様の作用効果を奏する。
本発明の態様20に係る映像信号伝送システム5aは、トランスポートストリームにてコンテンツを送信する送信装置(送信機1a)と該コンテンツを受信する受信装置(受信機2a)とを含む映像信号伝送システムであって、上記送信装置は、上記コンテンツの映像の色域を示す色域情報を含むプログラムマップテーブルを上記コンテンツと共にデジタル放送信号として上記受信装置に送信し、上記受信装置は、上記デジタル放送信号から上記プログラムマップテーブルを取得し、上記コンテンツの映像の色域を上記色域情報に応じて変換する。よって、態様11の制御情報生成装置および態様18の受信装置と同様の作用効果を奏する。
本発明の各態様に係る制御情報生成装置、送信装置、および受信装置は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを上記制御情報生成装置、送信装置、または受信装置が備える各部として動作させることにより上記制御情報生成装置、送信装置、または受信装置をコンピュータにて実現させる制御プログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
〔関連する実施形態についての説明II〕
以下、実施形態7〜9について説明する。
〔発明を実施するための形態〕
以下、本発明の実施形態7について、図13〜図17を参照して詳細に説明する。まず、本実施形態に係る映像信号伝送システムの構成を図13に基づいて説明する。図13は、映像信号伝送システム5bに含まれる送信機(制御情報生成装置、送信装置)1bおよび受信機(受信装置)2bの要部構成の一例を示すブロック図である。
映像信号伝送システム5bは、送信機1bから受信機2bに映像信号等を伝送するシステムである。映像信号伝送システム5bは、伝送する映像の色域を示す色域情報を当該映像信号に付加して送信する点が主な特徴点であり、これによって、映像に応じた最適な色域変換を行うことを可能にしている。なお、現行のデジタル放送では、MPEG−2(Moving Picture Experts Group phase 2)方式のTS(Transport Stream、トランスポートストリーム)フォーマットで信号が送信されている。そこで、本実施形態では、TSフォーマットにて映像信号を伝送する例を説明するが、映像信号を伝送するフォーマットは、これに限定されるものではない。例えば、次世代の4K/8K放送では、MMT(MPEG Media Transport)フォーマットで信号が送信されることが検討されており、MMTフォーマットにて映像信号を伝送する場合においても、映像信号伝送システム5bを適用することが可能である。
送信機1bは、映像信号等の形態でコンテンツを送信する。より詳細には、送信機1bは、放送経路(放送伝送路)にてコンテンツを構成する各パケット(TSパケット)を送信する。一方の受信機2bは、このコンテンツ(放送経路で配信されるコンテンツ)の受信機能を備えていると共に、例えばインターネット等の通信網を介して通信経路で配信されるコンテンツの受信機能も備えている。そして、受信機2bは、これら2つの経路を介して受信した各コンテンツを組み合わせて再生することができる。なお、同図では、受信機2bを1つのみ記載しているが、送信機1bは複数の受信機2bに対してコンテンツをブロードキャストする。
〔送信機の構成〕
送信機1bは、図示のように、オーディオエンコーダ10b、ビデオエンコーダ11b、多重化部12b、暗号化部13b、送信部14b、および制御部15bを備えている。また、制御部15bには、エンコード制御部16b、色域情報取得部17b、および制御情報生成部18bが含まれている。
オーディオエンコーダ10bは、送信機1bが送信するコンテンツのオーディオ(音声)ストリームをエンコード(符号化)して多重化部12に出力する。同様に、ビデオエンコーダ11bは、送信機1bが送信するコンテンツのビデオ(映像)ストリームをエンコード(符号化)して多重化部12bに出力する。
多重化部12bは、オーディオエンコーダ10bが出力したオーディオストリーム、ビデオエンコーダ11bが出力したビデオストリーム、および制御部15bが出力した制御情報を多重化して暗号化部13bに出力する。
暗号化部13bは、多重化部12bが出力する多重化ストリームを暗号化して送信部14bに出力する。そして、送信部14bは、暗号化部13bが出力する暗号化されたデータをパケットとして、デジタル放送信号の形態で放送経路にて受信機2bに送信する。
制御部15bは、送信機1bの備える各部の制御等を行う。具体的には、制御部15bに含まれるエンコード制御部16bは、オーディオエンコーダ10bおよびビデオエンコーダ11bを制御してエンコードを行わせる。
色域情報取得部17bは、送信機1bが送信するコンテンツの色域に関する情報である色域情報を取得し、取得した色域情報を制御情報生成部18bに出力する。ここで、「送信機1bが送信するコンテンツ」には、送信機1bが送信する予定であるコンテンツ、すなわち、放送予定のコンテンツも含まれる。色域情報の取得方法は特に限定されないが、例えば、撮影に使用したカメラの機種等から、その撮影で得られたコンテンツの色域は決まるから、撮影に使ったカメラの情報から色域情報を取得してもよい。また、コンテンツに映像処理が施されている場合、その映像処理に用いた機材によって、そのコンテンツの色域が特定されることもある。この場合、映像処理に用いた機材の情報から色域情報を取得してもよい。この他にも、例えば、編集の時点等の任意のタイミングでコンテンツの映像解析を行うことにより、色域情報を取得してもよい。なお、色域情報の詳細は後述する。
制御情報生成部18bは、送信機1bが送信するコンテンツを再生するための制御情報を生成する。この制御情報は、TSではPSI/SI(Program Specific Information / Service Information)と呼ばれるものであり、コンテンツに関する種々の情報が含まれるが、ここでは、PSI/SIのうち、コンテンツの内容に関する情報が記述されたEIT(Event Information Table、イベント情報テーブル)の生成に絞って説明する。なお、次世代の超高精細度テレビジョン放送においては、MH−EIT(MPEG-H Event Information Table)と呼ばれるEITが用いられる。本明細書中における「EIT」との文言には、「現行放送のEIT」及び「MH−EIT」の双方が含まれるものとする。
このように、送信機1bでは、色域情報取得部17bが色域情報を取得する処理(色域情報取得ステップ)を実行する。そして、制御情報生成部18bが上記色域情報を含む制御情報(EIT)を生成する処理(制御情報生成ステップ)を実行する。したがって、このEITを受信した受信機2bにおいて、コンテンツをその色域情報に応じた適切な変換を行って(あるいは変換を行わずに)表示させることが可能になる。
なお、色域情報取得部17bは、送信機1bが送信するコンテンツ毎に、各コンテンツの色域情報を取得し、制御情報生成部18bはこの色域情報を含むEITを生成する。このように、コンテンツ毎に、異なる色域情報を含むEITを生成することにより、常に最適な変換によってコンテンツを再生させることが可能になる。
上記のように、送信機1bは、色域情報を含むEITを送信する構成であるため、従来の構成に変更を行うことなく、色域情報を送信することができる。
〔受信機の構成〕
受信機2bは、図示のように、チューナ20b、通信I/F21b、復号部22b、逆多重化部23b、オーディオデコーダ24b、ビデオデコーダ25b、色域変換部26b、表示制御部27b、ディスプレイ(表示部)28b、制御部29b、およびOSD生成部(番組表生成部)33bを備えている。また、制御部29bには、復号制御部30b、逆多重化制御部31b、および制御情報取得部32bが含まれている。
チューナ20bは、放送経路にてデジタル放送信号として送信されるコンテンツ等を受信して復号部22bに出力する。一方、通信I/F21bは、通信経路にて送信されるコンテンツ等を受信して復号部22bに出力する。
復号部22bは、チューナ20bおよび通信I/F21bを介して受信したコンテンツが暗号化されていた場合、これを復号して逆多重化部23bに出力する。
逆多重化部23bは、復号部22bが出力するデータ(暗号は復号されているが多重化されている)を逆多重化する。そして、逆多重化によって得られた当該コンテンツの各構成要素(コンポーネント)を、当該コンポーネントの種別に応じて処理する。具体的には、逆多重化部23bは、オーディオのコンポーネントはオーディオデコーダ24bに出力し、ビデオのコンポーネントはビデオデコーダ25bに出力し、制御情報は制御情報取得部32bに出力する。
オーディオデコーダ24bは、逆多重化部23bが出力するオーディオコンポーネントを復号してオーディオデータを出力する。同様に、ビデオデコーダ25bは、逆多重化部23bが出力するビデオコンポーネントを復号してビデオデータを出力する。
色域変換部26bは、色域情報をもとに、色域変換の要否を決定する。本実施形態においては、EITに色域情報が含まれているため、コンテンツの放送に先立って、当該コンテンツの映像の色域変換の要否を決定することができる。また、変換要の場合には、その方式についても決定し、決定した方式でビデオデコーダ25bが出力するビデオデータの色域を変換する。この変換により、ビデオデコーダ25bが出力するビデオデータの色域が、ディスプレイ28bの表示可能な色域の範囲内に収まるようになる。例えば、色域情報から、再生しようとするビデオデータの色域が、ディスプレイ28bの再現可能な色域の内部にあると判定される場合、変換しないことを決定する。一方、ディスプレイ28bの再現可能な色域の外部にあると判定される場合には、外部にある割合などに応じて適切な変換を行う。なお、色域変換部26bは、制御部29b内に設けられていてもよい。
表示制御部27bは、ビデオデータをディスプレイ28bに表示させる制御を行う。また、ディスプレイ28bは、表示制御部27bの制御に従ってビデオデータを表示する。つまり、受信機2bは、放送されるコンテンツの受信機能および再生(表示)機能を備えたテレビジョン受像機である。なお、ディスプレイ28bは、受信機2bに外付けされた外部の装置であってもよい。
制御部29bは、受信した制御情報に従って受信機2bの備える各部を制御する。具体的には、復号制御部30bは、復号部22bを制御してコンテンツの復号を行わせる。また、逆多重化制御部31bは、逆多重化部23bを制御してコンテンツの逆多重化を行わせる。そして、制御情報取得部32bは、逆多重化部23bが逆多重化することによって出力された制御情報を取得し、OSD生成部33bに出力するとともに、制御情報に色域情報が含まれる場合には、この情報を色域変換部26bに出力する。
OSD生成部33bは、制御情報取得部32bが出力する制御情報(EIT)を参照して、電子番組表(EPG:Electronic Program Guide)を示すOSD画像を生成する。上記制御情報に色域情報が含まれる場合、OSD生成部33bが生成する電子番組表には、各コンテンツの色域情報をさらに含めることができる。特に、色域情報が上記EIT内に、後述するようなテキストとして記述されている場合には、各コンテンツの色域情報を、ユーザにとって分かりやすく提示することができる。OSD生成部33bにより生成されたOSD画像は、色域変換部26bから出力されたビデオデータに重畳され、表示制御部27bに供給される。なお、OSD生成部33bは、制御部29b内に設けられていてもよい。
なお、OSD生成部33bが、逆多重化部23bが逆多重化することによって出力された制御情報を取得する構成としてもよい。上記の場合、OSD生成部33bは、当該制御情報を解析することにより、電子番組表を示すOSD画像を生成するとともに、制御情報に色域情報が含まれる場合には、この情報を色域変換部26bに出力するように構成としてもよい。上記の場合には、従来の構成に対して新たな構成を付加することなく、最小限の変更により制御情報取得部を実現することができる。
〔色域情報を含むEITの例〕
続いて、色域情報を含むEITの例を図14に基づいて説明する。図14(a)は、色域情報を含むEITの一例を示す図である。図示のEITには、当該EITのバージョンを示す記述子D21(version_number)と、EITのサービスIDを示す記述子D22(service_id)とが含まれていると共に、色域情報を含む記述子D23(descriptor())が含まれている。
そして、記述子D23内には、当該記述子(descriptor)が色域情報に関する記述子であることを示す予め定めたタグdescriptor_tag、当該記述子の長さを示すdescriptor_length、および色域情報のデータ本体であるdata()が記述されている。なお、descriptor_tagの値は、記述子D23に色域情報に関する記述が含まれていることが特定できればよく、例えばデジタル放送における標準規格を定めたARIB STD-B10において、他の記述子を示すものとして使用されていない「0xF0」の値を用いてもよい。
ここで、一般にテレビ放送では、ソースが異なる映像が連続して送信され、このような異なるソースの映像は色域がそれぞれ異なっている可能性がある。そこで、このようなケースに対応するため、制御情報生成部18bは、ソースが変化するときには、EIT内の色域情報を更新するとともに、EITのバージョン情報(記述子D21の値)も併せて更新する。そして、受信機2bでは、制御情報取得部32bが、EITのバージョンが更新されるたびに色域情報をチェックし、更新があれば色域変換部26bに新しい色域情報を伝達する。これにより、映像の変化に応じた適切な色の表現が可能となる。
図14(a)のEITでは、data()として、受信した(再生対象の)コンテンツの映像の色域の色度空間上における外縁を示す外縁座標を格納している。しかしながら、data()に記述する色域情報は、受信したコンテンツの色域に関する情報であって、色域変換の要否判定、および変換要の場合の変換の態様の決定に用いることができるものであればよく、この例に限られない。例えば、上記色域情報は、以下の情報の少なくとも何れかを含むものであってもよい。
(1)色度空間または色度平面上における、色域(受信したコンテンツの映像の色域)の外縁を示す外縁座標
(2)受信したコンテンツの色域が色度平面上に占める面積と、該色域との比較対象として予め定められた色域が上記色度平面上に占める面積との比を示す面積比情報
(3)受信したコンテンツの色域が、該色域との比較対象として予め定められた色域の外に出ている程度を示す情報
(4)受信したコンテンツの色域を包含する色域が規定された色域フォーマット(映像規格)を示す対応フォーマット情報(対応規格情報)
(5)受信したコンテンツの色域の少なくとも一部が包含されない色域が規定された色域フォーマット(映像規格)を示す非対応フォーマット情報(非対応規格情報)
具体例を挙げれば、上記(1)の外縁座標は、[(x,y,z),(x,y,z),…,(x,y,z)]のような形式で記述された、色度空間または色度平面上で表された色域の最外郭の座標であってもよい。外縁座標は、少なくとも3点の座標を含んでいればよい。
また、上記(2)および(3)の「比較対象として予め定められた色域」は、該色域を受信機2側で認識できるものであればよい。例えば、上記「比較対象として予め定められた色域」は、既存の色域フォーマット(映像規格)で定められた色域であってもよいし、既存の色域フォーマットの色域とは独立に設定された色域であってもよい。前者の例としては、上記(2)の「比較対象として予め定められた色域」としてBT.2020の色域を用い、上記(3)の「比較対象として予め定められた色域」としてBT.709の色域を用いる例が挙げられる。なお、上記(3)の「比較対象として予め定められた色域」は、受信したコンテンツの色域のはみ出しが生じ得るような色域(受信したコンテンツが取りうる最大の色域よりも狭い色域)である必要がある。また、後者の例としては、LCD(Liquid Crystal Display) Level 10、OLED(Organic Electro-Luminescence Display) Version 4のように、ディスプレイの種類毎に、色域の広さや範囲がどの程度であるかをバージョン番号やレベルの数値によって規定する例が挙げられる。
上記(2)の面積比情報は、(受信したコンテンツの色域が色度平面上に占める面積)/(比較対象として予め定められた色域が上記色度平面上に占める面積)のような形式で面積比を示すものであってもよい。また、BT.2020の70%、xvYCC(extended video YCC)の50%のように、比較対象として予め定められた色域が上記色度平面上に占める面積に対して受信したコンテンツの色域が色度平面上に占める面積の割合をパーセントで示したものであってもよい。
また、上記(3)の情報は、比較対象として予め定められた色域を示す情報と、その色域外となっている色域の割合を示す情報とを対応付けたものとしてもよい。例えば、受信したコンテンツの色域のn%がBT.709の色域外に存在する場合には、BT.709, n(%)のような形式の情報としてもよい。
これにより、例えば、BT.709に準拠したディスプレイ28bを備えた受信機2bに、n%のはみ出しが生じることを認識させることができる。また、nの大小に応じて、変換の態様を変更させることもできる。例えば、nが30〜50%の場合のように、はみ出る部分が比較的少ない場合にはクリッピングを適用させ、nが80%以上の場合のように、はみ出る部分が多い場合にはコンプレッションを適用させることも可能になる。なお、上記nは、色度平面上における画素数をカウントして算出してもよい。例えば、上記nは、(上記コンテンツの色域内の画素のうち比較対象の色域外にある画素数)/(上記コンテンツの色域内に含まれる総画素数)×100との数式で算出してもよい。
上記(4)(5)の対応フォーマット情報および非対応フォーマット情報の詳細については、後に図6を参照して説明する。
図14(b)は、図14(a)に示すEITにおける色域情報を含む記述子D23の他の一例を示す図である。図14(b)に示す例においては、記述子D23内のdescriptor_tagの値として、拡張形式イベント記述子であることを示す「0x4E」が記述されている。拡張形式イベント記述子には、コンテンツに関する詳細な情報がテキストとして記述される。そのため、図14(b)に示すように、色域情報(上記(1)〜(5)に示す情報)を示すテキストを、記述子D23内のtext_charに記述する構成としてもよい。図14(b)に示す例においては、上記(2)に示す面積比情報を示すテキスト「BT.2020 80%」が記述されており、制御情報取得部32bは、当該テキストを解析することにより色域情報を取得する。なお、text_charに記述されているテキストに、例えば、「#」などのような予め定められたハッシュタグを付して記述する構成とすれば、当該テキストが色域情報を示すテキストであるか否かの判定を容易にすることができる。
なお、本例では、拡張形式イベント記述子のテキスト領域で説明したが、短形式イベント記述子descriptor_tag「0x4E」のテキスト領域も同様に使うことができる。
〔外縁座標を用いた色域変換の例〕
次に、色域情報として外縁座標(上記(1)参照)を用いた色域変換の例について、色域変換部26bは、図3を用いて説明した処理と同様の処理を行う。また、図3を用いて説明した効果と同様の効果を奏する。
〔面積比情報を用いた色域変換の例〕
続いて、色域情報として面積比情報(上記(2)参照)を用いた色域変換の例について、色域変換部26bは、図4を用いて説明した処理と同様の処理を行う。また、図4を用いて説明した効果と同様の効果を奏する。
〔はみ出した領域の面積の割合を用いた色域変換の例〕
続いて、色域情報としてはみ出した領域の面積の割合を示す情報(上記(3)参照)を用いた色域変換の例について、色域変換部26bは、図5を用いて説明した処理と同様の処理を行う。また、図5を用いて説明した効果と同様の効果を奏する。
〔対応フォーマット情報/非対応フォーマット情報〕
次に、色域情報の1つである対応フォーマット情報(上記(4))と非対応フォーマット情報(上記(5))について、色域変換部26bは、図6を用いて説明した処理と同様の処理を行う。また、図6を用いて説明した効果と同様の効果を奏する。
〔色域情報の取得処理〕
次に、色域情報の取得について図15に基づいて説明する。図15は、受信機2bで実行される色域情報を取得する処理の一例を示すフローチャートである。なお、ここでは、色域情報が記述子D23内のdata()に記述されている例(図14(a)を参照)を説明する。まず、制御情報取得部32bは、逆多重化部23bが出力する信号からEITを抽出して、抽出したEITからさらにdescriptor(記述子)を抽出する(S41)。
次に、制御情報取得部32bは、抽出した記述子が色域情報の記述子であるか判定する(S42)。具体的には、制御情報取得部32bは、抽出した記述子のdescriptor_tagの値が、色域情報に予め割り当てられたタグの値と一致する場合には、当該記述子が色域情報の記述子であると判定する。
ここで、色域情報の記述子ではないと判定した場合(S42でNO)、制御情報取得部32bは、上記EITに次の記述子が含まれているか判定する(S43)。そして、制御情報取得部32bは、含まれていると判定した場合(S43でYES)、S41の処理に戻って次の記述子を抽出し、含まれていないと判定した場合(S43でNO)、処理を終了する。
一方、S42において、S41で抽出した記述子が色域情報の記述子であると判定した場合(S42でYES)、制御情報取得部32bは、当該記述子を解析して、これに含まれる色域情報を抽出する。そして、抽出した色域情報を色域変換部26bに送信して(S44)、処理を終了する。
なお、色域情報が記述子D23内のtext_charに記述されている場合(図14(b)を参照)、S42のステップにおいて、制御情報取得部32bは、抽出した記述子を解析して、当該記述子に色域情報を示すテキストが含まれているか判定する構成とすればよい。
〔色域の変換処理〕
次に、色域の変換について図16に基づいて説明する。図16は、受信機2bで実行される色域の変換処理の一例を示すフローチャートである。なお、この処理は、図15のS44の処理で送信された色域情報を受信した色域変換部26bが実行する処理である。また、ここでは、色域情報として外縁座標が受信された例を説明する。
まず、色域変換部26bは、受信した色域情報の示す、受信したコンテンツの映像の色域と、ディスプレイ28bの色域とを比較する(S50)。そして、映像の色域の方が大きいか否か、言い換えれば映像の色域がディスプレイ28bの色域内に収まっているか否かを判定する(S51)。
ここで、映像の色域がディスプレイ28bの色域内に収まっていると判定した場合(S51でNO)、色域変換部26bは、色域変換を行わず(S55)、処理を終了する。この場合、受信したコンテンツの映像は、色域変換がなされることなくディスプレイ28bに表示される。なお、S51でNOと判定した場合、色域変換部26bは、映像の色域をディスプレイ28bの色域に収まる範囲内で拡張してもよい。
一方、映像の色域がディスプレイ28bの色域からはみ出していると判定した場合(S51でYES)、色域変換部26bは、映像の色域の方が10%以上大きいか否かを判定する(S52)。なお、この判定は、例えば、色度平面上において、色域情報として受信した外縁座標から算出した、映像の色域の面積と、同色度平面におけるディスプレイ28bの色域の面積とを比較することで行うことができる。
そして、色域変換部26bは、映像の色域の方が10%以上大きいと判定した場合(S52でYES)には、当該映像にコンプレッション処理を施してディスプレイ28bの色域に収まるようにする(S53)。一方、色域の差異が10%に満たないと判定した場合(S52でNO)には、当該映像にクリッピング処理を施してディスプレイ28bの色域に収まるようにする(S54)。これにより、色域の変換処理は終了する。
なお、上記の例では、クリッピング処理を行うかコンプレッション処理を行うかの判定の基準を、映像の色域がディスプレイ28bの色域より10%以上大きいか否かとしているが、判定の基準はこの例に限られない。
〔受信機2における電子番組表〕
続いて、受信機2bにおける電子番組表について、図17を参照して説明する。図17は、受信機2bのOSD生成部33bが、色域情報を含むEITを参照して生成する電子番組表の一例を示す図である。図17に示すように、OSD生成部33bが生成する電子番組表は、コンテンツのチャンネルを示す軸と、時間を示す軸とによって張られる二次元面に、各コンテンツを示すセルが配置されている。図17に示すように、電子番組表のセルの何れかをフォーカスする操作が行われると、当該セルに対応したコンテンツに関する情報がクローズアップされて表示される。コンテンツに関する情報としては、例えば、番組名、放送時間、出演者、及び当該コンテンツの内容を示すテキストなどが挙げられる。
本実施形態においては、EITに色域情報が含まれる構成を採用している。そのため、本実施形態では、OSD生成部33bが生成する電子番組表において、各コンテンツの色域情報を提示することができる。図17に示すように、各コンテンツに関する情報として、番組名、放送時間、出演者、及び当該コンテンツの内容を示すテキストに加え、当該コンテンツの色域情報を示すテキストである「BT.2020 80%」がさらに提示されている。
なお、EITに含まれる色域情報に応じて、電子番組表における各セルの色を変更することにより、ユーザに各コンテンツの色域情報を提示する構成としてもよい。
〔実施形態8:変形例〕
上記実施形態の送信機1bは、コンテンツを再生するための制御情報を生成する制御情報生成装置としての機能と、デジタル放送信号を送信する送信装置としての機能とを共に備えていた。しかしながら、互いに独立した制御情報生成装置と送信装置との組み合わせによっても、上記送信機1bと同様の機能を実現することができる。
〔実施形態9:ソフトウェアによる実現例〕
送信機1bおよび受信機2bの制御ブロック(特に制御部15b、多重化部12b、暗号化部13b、復号部22b、逆多重化部23b、色域変換部26b、表示制御部27b、および制御部29b)は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、CPU(Central Processing Unit)を用いてソフトウェアによって実現してもよい。
後者の場合、送信機1bおよび受信機2bは、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するCPU、上記プログラムおよび各種データがコンピュータ(またはCPU)で読み取り可能に記録されたROM(Read Only Memory)または記憶装置(これらを「記録媒体」と称する)、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などを備えている。そして、コンピュータ(またはCPU)が上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
〔まとめ〕
本発明の態様21に係る制御情報生成装置(送信機1b)は、デジタル放送において送信されるコンテンツを再生するための制御情報を生成する制御情報生成装置であって、上記コンテンツの映像の色域に関する色域情報を取得する色域情報取得部(17b)と、上記色域情報を含むイベント情報テーブルを生成する制御情報生成部(18b)と、を備えている。
上記の構成によれば、色域情報を含むイベント情報テーブル(EIT)を生成する。ここで、EITは、デジタル放送信号に付加されて送信されるものであり、受信装置において電子番組表を生成する際に参照されるものである。すなわち、上記の構成によれば、該EITを受信した受信装置に、該受信装置が再生するコンテンツの色域情報を、該コンテンツの再生に先立って提供することができる。よって、上記の構成によれば、該EITを受信した受信装置に、該色域情報に応じて該コンテンツの色域を適応的に変換させることができる。また、上記の構成によれば、該EITを受信した受信装置に、該コンテンツの色域情報を含む電子番組表を生成させることができる。
本発明の態様22に係る制御情報生成装置では、上記態様21において、上記色域情報には、色度空間または色度平面上で表された上記コンテンツの色域の外縁を示す外縁座標が含まれていてもよい。
上記の構成によれば、色域情報には、色度空間または色度平面上で表された上記コンテンツの色域の外縁を示す外縁座標が含まれている。よって、上記EITを取得した受信装置は、該コンテンツの色域がどのような広がりをもっているかを特定することができる。そして、これにより、該コンテンツを表示させるディスプレイに応じて、上記コンテンツの色域を適切に変換して、または変換することなく、該コンテンツを適切に表示させることができる。
本発明の態様23に係る制御情報生成装置では、上記態様21または22において、上記色域情報には、上記コンテンツの色域が色度平面上に占める面積と、該色域との比較対象として予め定められた色域が上記色度平面上に占める面積との比を示す面積比情報が含まれていてもよい。
上記の構成によれば、色域情報には、上記コンテンツの色域が色度平面上に占める面積と、該色域との比較対象として予め定められた色域が上記色度平面上に占める面積との比を示す面積比情報が含まれている。よって、上記EITを取得した受信装置は、該コンテンツの色域が、比較対象の色域と比べてどの程度大きいかあるいはどの程度小さいかを特定することができる。そして、これにより、該コンテンツを表示させるディスプレイに応じて、上記コンテンツの色域を適切に変換して、または変換することなく、該コンテンツを適切に表示させることができる。
なお、比較対象の色域は、該色域を受信装置側で認識できるものであればよく、例えば既存の色域フォーマットで定められた色域(既存の映像規格で定められた色域)であってもよいし、既存の色域フォーマットの色域とは独立に設定された色域であってもよい。
本発明の態様24に係る制御情報生成装置では、上記態様21から23の何れかにおいて、上記色域情報には、上記コンテンツの色域が、該色域との比較対象として予め定められた色域の外に出ている程度を示す情報が含まれていてもよい。
上記の構成によれば、色域情報には、上記コンテンツの色域が、該色域との比較対象として予め定められた色域の外に出ている程度を示す情報が含まれている。よって、上記EITを取得した受信装置は、該コンテンツの色域が、比較対象の色域からどの程度はみ出しているかを特定することができる。そして、これにより、該コンテンツを表示させるディスプレイに応じて、上記コンテンツの色域を適切に変換して、または変換することなく、該コンテンツを適切に表示させることができる。
本発明の態様25に係る制御情報生成装置では、上記態様21から24の何れかにおいて、上記色域情報には、上記コンテンツの色域を包含する色域が規定された映像規格を示す対応規格情報(対応フォーマット情報)が含まれていてもよい。
上記の構成によれば、色域情報には、上記コンテンツの色域を包含する色域が規定された映像規格を示す対応規格情報が含まれている。よって、上記EITを取得した受信装置は、当該コンテンツを表示させるディスプレイが、上記映像規格に準拠していれば、当該コンテンツの色域を変換することなく表示させることが可能であると判定することができる。一方、当該コンテンツを表示させるディスプレイが、上記映像規格に準拠していない、あるいは該映像規格よりも色域の狭い映像規格に準拠している場合には、当該コンテンツの色域を変換する必要があると判定することができる。したがって、上記の構成によれば、コンテンツを表示させるディスプレイに応じて、上記コンテンツの色域を適切に変換して、または変換することなく、該コンテンツを適切に表示させることができる。
本発明の態様26に係る制御情報生成装置では、上記態様21から25の何れかにおいて、上記色域情報には、上記コンテンツの色域の少なくとも一部が包含されない色域が規定された映像規格を示す非対応規格情報(非対応フォーマット情報)が含まれていてもよい。
上記の構成によれば、色域情報には、上記コンテンツの色域の少なくとも一部が包含されない色域が規定された映像規格を示す非対応規格情報が含まれている。よって、上記EITを取得した受信装置は、当該コンテンツを表示させるディスプレイが、上記映像規格に準拠している場合、あるいは該映像規格よりも色域の狭い映像規格に準拠している場合、当該コンテンツの色域を変換する必要があると判定することができる。したがって、上記の構成によれば、コンテンツを表示させるディスプレイに応じて、上記コンテンツの色域を適切に変換して、該コンテンツを適切に表示させることができる。
本発明の態様27に係る送信装置(送信機1b)は、上記態様21から26の何れかの制御情報生成装置と、上記制御情報生成装置が生成したイベント情報テーブルを上記コンテンツと共にデジタル放送信号として送信する送信部14bと、を備えている。
上記の構成によれば、上記制御情報生成装置が生成したイベント情報テーブルをデジタル放送信号に付加して送信する。受信装置は、電子番組表を生成する際に、上記イベント情報テーブルを参照する。すなわち、上記の構成によれば、受信装置に、該受信装置が再生するコンテンツの色域情報を、該コンテンツの再生に先立って提供することができる。よって、該デジタル放送信号を受信した受信装置に、上記イベント情報テーブルに含まれる色域情報に応じて、上記コンテンツの色域を適応的に変換させた上で、当該コンテンツを再生させることができる。
本発明の態様28に係る受信装置(受信機2b)は、デジタル放送において送信されるコンテンツを受信する受信装置であって、上記コンテンツの映像の色域に関する色域情報を含むイベント情報テーブルを取得する制御情報取得部(32b)と、上記コンテンツの映像の色域を上記色域情報に応じて変換する色域変換部(26b)と、を備えている。
上記の構成によれば、コンテンツの映像の色域に関する色域情報を含むイベント情報テーブルを、当該コンテンツの再生に先立って取得して、上記コンテンツの映像の色域を上記色域情報に応じて変換する。よって、上記の構成によれば、色域情報に応じてコンテンツの色域を適応的に変換させた上で、該コンテンツを再生することができる。また、上記の構成によれば、該コンテンツの色域情報を含む電子番組表を生成することができる。
本発明の態様29に係る受信装置は、上記態様28において、上記色域情報は、上記イベント情報テーブルにテキストとして記述されており、上記色域情報を示すテキストが含まれた番組表(EPG)を生成する番組表生成部(OSD生成部33b)と、上記番組表生成部によって生成された番組表を表示部(ディスプレイ28b)に表示させる表示制御部(27b)と、をさらに備えていてもよい。
上記の構成によれば、上記受信装置が、上記イベント情報テーブルを参照して生成する電子番組表に、上記色域情報を含めることができる。特に、上記の構成においては、当該色域情報を示すテキストを、そのまま上記番組表に含めることができるので、各コンテンツの色域情報を、ユーザにとって分かりやすく提示することができる。
本発明の態様30に係るテレビジョン受像機は、上記態様28または29に記載の受信装置を含んでいる。よって、態様28の受信装置と同様の作用効果を奏する。
本発明の態様31に係る映像信号伝送システム5は、デジタル放送におけるコンテンツを送信する送信装置(送信機1b)と該コンテンツを受信する受信装置(受信機2b)とを含む映像信号伝送システムであって、上記送信装置は、上記コンテンツの映像の色域を示す色域情報を含むイベント情報テーブルをデジタル放送信号に付加して上記受信装置に送信し、上記受信装置は、上記デジタル放送信号から上記イベント情報テーブルを取得し、上記コンテンツの映像の色域を上記色域情報に応じて変換する。よって、態様21の制御情報生成装置および態様28の受信装置と同様の作用効果を奏する。
本発明の各態様に係る制御情報生成装置、送信装置、および受信装置は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを上記制御情報生成装置、送信装置、または受信装置が備える各部として動作させることにより上記制御情報生成装置、送信装置、または受信装置をコンピュータにて実現させる制御プログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
〔関連する実施形態についての説明III〕
以下、実施形態10〜13について説明する。
〔実施形態10〜13の背景技術について〕
放送の高度化の一環として、従来よりも広い色域を再現することのできる映像信号が提案されている。具体的には、国際電気通信連合が制定したITU-R BT.2020(以下、BT.2020と記載)では、従来使われているITU-R BT.709(以下、BT.709と記載)よりも大幅に広い色域を表現することが可能となった。そして、2014年には、この規格を採用した4K試験放送が開始され、今後も4K/8Kの放送を中心に採用される見込みである。
ここで、BT.2020のような、広い色域を持った映像信号においては、一部の色は既存のテレビディスプレイでは再現できないことがある。そのため、表示するディスプレイでは、受け取った映像信号を再現可能な色域内に変換する処理が必要となる。
この処理には大きく分けて2通りの方法がある。一つは、全ての映像信号を色域圧縮して再現可能な領域内に変換する方法(コンプレッション)である。コンプレッションによれば、全ての色の階調を保ったまま再現することができるが、全体として元の信号とはずれた色表現になってしまうという欠点がある。そして、もう一つは、再現可能な色域の外にある映像信号だけを、再現可能な色域内に圧縮する方法(クリッピング)である。クリッピングによれば、再現可能な色域内の信号を正確に表現することができるが、再現可能な色域外にある信号の階調は失われ、不自然な映像になってしまうという欠点がある。なお、このような色域の変換に関する先行技術文献としては、例えば下記特許文献1〜3が挙げられる。
〔実施形態10〜13の発明が解決しようとする課題〕
ここで、再生対象が、刻々と変化する放送コンテンツのようなものである場合、刻々と変化するコンテンツに合わせて、色域変換処理も適応的に変える必要がある。しかしながら、上記従来技術では、変化するコンテンツに合わせて色域変換処理を適応的に変えることができないという問題があった。例えば、再生対象が切り替わった後も、切り替え前と同じ色域変換処理が適用され、その結果として再生対象の色合いが不自然に変化するといった問題があった。
また、近時、放送を受信可能な受信装置(テレビジョン受像機など)において、放送経路と通信経路という2つの通信経路を併用したサービス(例えばハイブリッドキャスト)に対応しているものも市販されるようになっている。しかしながら、従来は、ネットワーク通信に対応した受信装置が、通信経路を介して取得した情報を用いてコンテンツを再生することができるという特性を、色域の適応的な変換に利用することは行われていなかった。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、放送経路と通信経路とを併用したサービスに対応した受信装置に、コンテンツの色域を適応的に変換させることができる送信装置等を提供することにある。
〔実施形態10〜13に係る発明の効果〕
実施形態10〜13に係る発明によれば、放送経路と通信経路とを併用したサービスに対応した受信装置に、再生するコンテンツに応じてその映像の色域を適応的に変換させることができるという効果を奏する。
〔発明を実施するための形態〕
〔実施形態10〕
以下、本発明の実施形態10について、図18〜図26を参照して詳細に説明する。まず、本実施形態に係る映像信号伝送システムの構成を図18に基づいて説明する。図18は、映像信号伝送システム5cに含まれる送信機(送信装置、制御情報生成装置)1cの要部構成の一例を示すブロック図である。
映像信号伝送システム5cは、送信機1cから受信機(受信装置)2cに映像信号等を伝送するシステムである。映像信号伝送システム5cは、伝送する映像の色域を示す色域情報を、通信経路を介して受信機2cに取得させる点が主な特徴点であり、これによって、映像に応じた最適な色域変換を行うことを可能にしている。なお、次世代の4K/8K放送では、MMT(MPEG Media Transport)フォーマットで信号が送信されることが検討されている。そこで、本実施形態では、MMTフォーマットにて映像信号を伝送する例を説明する。
送信機1cは、映像信号等の形態でコンテンツを送信する。より詳細には、送信機1cは、放送経路(放送伝送路)にてコンテンツを構成する各パケット(MMTPパケット:MMT Protocol パケット)を送信する。一方の受信機2cは、このコンテンツ(放送経路で配信されるコンテンツ)の受信機能を備えていると共に、例えばインターネット等の通信網を介して通信経路で配信されるコンテンツの受信機能も備えている。そして、受信機2cは、これら2つの経路を介して受信した各コンテンツを組み合わせて再生することができる。なお、同図では、受信機2cを1つのみ記載しているが、送信機1cは複数の受信機2cに対してコンテンツをブロードキャストする。
〔送信機の構成〕
送信機1cは、図示のように、オーディオエンコーダ10c、ビデオエンコーダ11c、多重化部12c、暗号化部13c、送信部(制御情報送信部)14c、制御部15c、および通信I/F16cを備えている。また、制御部15cには、エンコード制御部151c、色域情報取得部152c、色域情報通知部(色域情報送信部)153c、および制御情報生成部154cが含まれている。
オーディオエンコーダ10cは、送信機1cが送信するコンテンツのオーディオ(音声)ストリームをエンコード(符号化)して多重化部12に出力する。同様に、ビデオエンコーダ11cは、送信機1cが送信するコンテンツのビデオ(映像)ストリームをエンコード(符号化)して多重化部12cに出力する。
多重化部12cは、オーディオエンコーダ10cが出力したオーディオストリーム、ビデオエンコーダ11cが出力したビデオストリーム、および制御部15cが出力した制御情報を多重化して暗号化部13cに出力する。
暗号化部13cは、多重化部12cが出力する多重化ストリームを暗号化して送信部14cに出力する。そして、送信部14cは、暗号化部13cが出力する暗号化されたデータをパケットとして、デジタル放送信号の形態で放送経路にて受信機2cに送信する。
制御部15cは、送信機1cの備える各部の制御等を行う。具体的には、制御部15cに含まれるエンコード制御部151cは、オーディオエンコーダ10cおよびビデオエンコーダ11cを制御してエンコードを行わせる。
色域情報取得部152cは、送信機1cが送信するコンテンツの色域に関する情報である色域情報を取得し、取得した色域情報を色域情報通知部153cに出力する。色域情報の取得方法は特に限定されないが、例えば、撮影に使用したカメラの機種等から、その撮影で得られたコンテンツの色域は決まるから、撮影に使ったカメラの情報から色域情報を取得してもよい。また、コンテンツに映像処理が施されている場合、その映像処理に用いた機材によって、そのコンテンツの色域が特定されることもある。この場合、映像処理に用いた機材の情報から色域情報を取得してもよい。この他にも、例えば、編集の時点等の任意のタイミングでコンテンツの映像解析を行うことにより、色域情報を取得してもよい。なお、色域情報の詳細は後述する。
色域情報通知部153cは、色域情報取得部152cが取得した色域情報を受信機2cに通知する。具体的には、色域情報通知部153cは、受信機2cからの要求に応じて、通信I/F16cを介して色域情報を当該受信機2cに送信する。
制御情報生成部154cは、送信機1cが送信するコンテンツを再生するための制御情報を生成する。この制御情報は、MMTではMMT−SIと呼ばれるものであり、コンテンツに関する種々の情報が含まれるが、ここでは、MMT−SIのうち、コンテンツの映像の出力中に実行されるプログラム(ソフトウェア)に関する情報が記述されたAIT(Application Information Table)の生成に絞って説明する。
なお、MMTによるメディアトランスポート方式を規定しているARIB STD−B60では、TS方式のAITと区別して、MH−AIT(Application Information Table)と呼ばれるAITが規定されている。TS方式のAITとNH−AITとは、descriptor_tagが8ビットであるか、16ビットであるかという点が異なるだけであり、本明細書中における「AIT」との文言には、「TS方式のAIT」及び「MH−AIT」の双方が含まれるものとする。
このように、送信機1cでは、色域情報取得部152cが色域情報を取得する処理(色域情報取得ステップ)を実行し、制御情報生成部154cが上記色域情報を取得するための制御情報(AIT)を生成する処理(制御情報生成ステップ)を実行する。そして、送信部14cが上記制御情報を受信機2cに送信する処理(制御情報送信ステップ)を実行し、該制御情報に従って色域情報の送信を要求する受信機2cに対し、色域情報通知部153cが色域情報を通信経路にて送信する処理(色域情報送信ステップ)を実行する。
したがって、このAITを受信した受信機2cにおいて、該AITと共に受信したコンテンツをその色域情報に応じた適切な変換を行って(あるいは変換を行わずに)表示させることが可能になる。
なお、色域情報取得部152cは、送信機1cが送信するコンテンツが切り替わる場合、切り替え後のコンテンツの色域情報を取得し、色域情報通知部153cは新たに取得された色域情報を送信する。このように、コンテンツの変化に追従して、異なる色域情報を送信することにより、常に最適な変換によってコンテンツを再生させることが可能になる。なお、上記の例のように、AITを書き換えることなく、送信する色域情報を切り替えてもよいし、送信する色域情報の変更に伴い、当該変更後の色域情報が取得されるようにAITを書き換えてもよい。
〔受信機の構成〕
続いて、受信機2cの構成を図19に基づいて説明する。図19は、受信機2cの要部構成の一例を示すブロック図である。受信機2cは、図示のように、チューナ20c、通信I/F21c、復号部22c、逆多重化部23c、オーディオデコーダ24c、ビデオデコーダ25c、色域変換部26c、表示制御部27c、ディスプレイ28c、入力部29c、および制御部30cを備えている。また、制御部30cには、復号制御部301c、逆多重化制御部302c、制御情報取得部303c、アプリ制御部304c、色域情報取得部305c、および色域調整部306cが含まれている。
チューナ20cは、放送経路にてデジタル放送信号として送信されるコンテンツ等を受信して復号部22cに出力する。一方、通信I/F21cは、通信経路にて送信されるコンテンツ等を受信して復号部22cに出力する。つまり、受信機2cは、放送経路と通信経路とを併用したサービスに対応した受信装置である。また、詳細は後述するが、通信I/F21cを介して色域情報が取得される。
復号部22cは、チューナ20cおよび通信I/F21cを介して受信したコンテンツが暗号化されていた場合、これを復号して逆多重化部23cに出力する。
逆多重化部23cは、復号部22cが出力するデータ(暗号は復号されているが多重化されている)を逆多重化する。そして、逆多重化によって得られた当該コンテンツの各構成要素(コンポーネント)を、当該コンポーネントの種別に応じて処理する。具体的には、逆多重化部23cは、オーディオのコンポーネントはオーディオデコーダ24cに出力し、ビデオのコンポーネントはビデオデコーダ25cに出力し、制御情報は制御情報取得部303cに出力する。
オーディオデコーダ24cは、逆多重化部23cが出力するオーディオコンポーネントを復号してオーディオデータを出力する。同様に、ビデオデコーダ25cは、逆多重化部23cが出力するビデオコンポーネントを復号してビデオデータを出力する。
色域変換部26cは、色域情報をもとに、色域変換の要否を決定する。また、変換要の場合には、その方式についても決定し、決定した方式でビデオデコーダ25cが出力するビデオデータの色域を変換する。この変換により、ビデオデコーダ25cが出力するビデオデータの色域が、ディスプレイ28cの表示可能な色域の範囲内に収まるようになる。例えば、色域情報から、再生しようとするビデオデータの色域が、ディスプレイ28cの再現可能な色域の内部にあると判定される場合、変換しないことを決定する。一方、ディスプレイ28cの再現可能な色域の外部にあると判定される場合には、外部にある割合などに応じて適切な変換を行う。なお、色域変換部26cは、制御部30c内に設けられていてもよい。
表示制御部27cは、ビデオデータをディスプレイ28cに表示させる制御を行う。また、ディスプレイ28cは、表示制御部27cの制御に従ってビデオデータを表示する。つまり、受信機2cは、放送されるコンテンツの受信機能および再生(表示)機能を備えたテレビジョン受像機である。なお、ディスプレイ28cは、受信機2cに外付けされた外部の装置であってもよい。
入力部29cは、受信機2cに対するユーザ操作を受け付けて制御部30cに該操作の内容を通知する入力装置である。入力部29cは、例えば赤外線等で送信される、ユーザ操作の内容を示す信号を受信する受信部であってもよい。
制御部30cは、受信した制御情報に従って受信機2cの備える各部を制御する。具体的には、復号制御部301cは、復号部22cを制御してコンテンツの復号を行わせる。また、逆多重化制御部302cは、逆多重化部23cを制御してコンテンツの逆多重化を行わせる。
制御情報取得部303cは、逆多重化部23cが逆多重化することによって出力された制御情報を取得し、制御情報に含まれるアプリケーションの制御信号をアプリ制御部304cに出力する。そして、アプリ制御部304cは、制御情報取得部303cが出力するアプリケーションの制御信号に従って各種アプリケーションソフトウェア(以下、アプリと呼ぶ)の動作を制御する。具体的には、アプリ制御部304cは、色域情報取得部305cと色域調整部306cを起動させ、また起動終了させる制御を行う。
色域情報取得部305cおよび色域調整部306cは、アプリによってその機能が実現されるものである。色域情報取得部305cは、通信I/F21cを介して送信機1cから色域情報を取得して色域調整部306cまたは色域変換部26cに送信する。色域調整部306cは、色域を調整するためのユーザ操作を受け付け、該ユーザ操作に応じた色域の調整方法を色域変換部26cに通知する。
〔アプリケーションの制御信号と色域情報の取得〕
続いて、アプリケーションの制御信号と色域情報の取得について、図20に基づいて説明する。図20は、放送経路と通信経路とを併用したサービスとして実現されるハイブリッドキャストサービスを例として取り上げ、放送信号と共に送信されるアプリケーションの制御信号(AIT)と該AITに従ったアプリの起動例を示す図である。
同図の(a)には、AITに従って1つのアプリ(色域情報取得部305c)を起動する例を示している。図示のように、AITは送信信号(放送信号)と共に送信されており、同一サービスの選局が維持されている間は、そのサービスのAITが定期的に送信される。
ここで、送信機1cが送信するAITには、色域情報取得部305cを自動で起動することを示す記述が含まれており、このAITを受信した受信機2cでは、この記述に従って色域情報取得部305cを起動する。そして、起動した色域情報取得部305cによって、色域情報が取得されると、色域情報取得部305cの起動を終了する。なお、色域情報の取得先は、例えばURL(Uniform Resource Locator)等の形式でAITに記述されていてもよい。
一方、同図の(b)には、AITに従って2つのアプリ(色域情報取得部305cと色域調整部306c)を起動する例を示している。この例においても、送信機1cが送信するAITには、色域情報取得部305cを自動で起動することを示す記述が含まれており、このAITを受信した受信機2cでは、この記述に従って色域情報取得部305cを起動する。
また、この例では、AITにもう1つのアプリ(色域調整部306cに対応するapp2)が記述されている。起動した色域情報取得部305cによって色域情報が取得され、所定のユーザ操作がなされると、AITに従って、色域情報取得部305c(app1)に代わって色域調整部306cを起動する。そして、起動した色域調整部306cによって、色域を調整するユーザ操作を受け付けて、該ユーザ操作に応じた色域の調整方法が決定されると、色域情報取得部305cおよび色域調整部306cの起動を終了する。
ここで、一般にテレビ放送では、ソースが異なる映像が連続して送信され、このような異なるソースの映像は色域がそれぞれ異なっている可能性がある。そこで、このようなケースに対応するため、送信機1cの色域情報通知部153cは、通知する色域情報を、新たなソースに対応するものに更新する。そして、受信機2cのアプリ制御部304cは、定期的に(例えば新たなAITを受信したタイミングや、AITのバージョンが変わったタイミングで)色域情報取得部305cを起動して、再度色域情報を取得させる。これにより、映像の変化に応じた適切な色の表現が可能となる。
〔コンテンツとの同期〕
上述のように、送信機1cは、放送経路にてコンテンツを送信すると共に、通信経路にてそのコンテンツの色域情報を送信する。そして、受信機2cは、放送経路にて送信される上記コンテンツを再生しながら、通信経路にて受信した色域情報に応じて再生する上記コンテンツの色域を変換する。このように、コンテンツとは異なる経路で色域情報を送信する場合、コンテンツの色域の切り替わりと高精度に同期させて、適用する色域情報も変化させるための仕組みが必要となる。
例えば、図21に示すように、色域が変化するタイミングをシステムクロック(STC)で規定したタイミング指定情報を受信機2cに送信することにより、コンテンツの色域が切り替わるタイミングで、適用する色域情報を変化させることができる。図21は、タイミング指定情報と、該タイミング指定情報に応じた色域の変化の例を示す図である。なお、システムクロックは、放送経路や通信経路でのコンテンツ配信において、映像、音声、および字幕などを同期させるために使用される時刻情報である。
図21の例では、STC(1)となったタイミングにおけるコンテンツの色域は色域(1)であり、これがSTC(2)となると色域(2)に、STC(3)となると色域(3)に切り替わっている。このような色域の変化は、例えば同図の左上に示すように、STCとそのときの色域(色域情報)とを対応付けたタイミング指定情報として表すことができる。
なお、このようなタイミング指定情報は、コンテンツの放送スケジュールや、コンテンツの途中に放送される広告コンテンツ等に基づいて、色域が変化するタイミングおよび変化後にどのような色域となるかを予め取得しておくことによって生成することができる。
そして、このようなタイミング指定情報を受信した受信機2cでは、色域情報取得部305cが、該タイミング指定情報の示すタイミングに、該タイミングに対応付けられた色域情報を色域変換部26cに通知する。これにより、タイミング指定情報の示すタイミングで異なる色域変換を適用することが可能になる。
なお、色域情報取得部305cは、色域情報を色域調整部306cに送信してもよく、この場合には、色域調整部306cがユーザ操作に応じた色域の調整方法を決定し、該決定した調整方法を色域変換部26cに通知する。
ただし、広告コンテンツのような比較的放送時間の短いコンテンツへの切り替えの際に、ユーザに色域を調整させた場合、却ってユーザに煩わしさを感じさせることも考えられる。このため、切り替え後のコンテンツの放送時間が所定時間(例えば5分)以下である場合には、取得した色域情報に基づいて自動で色域を調整し、所定時間を超える場合にはユーザに調整させてもよい。
〔色域情報について〕
色域情報は、受信したコンテンツの色域に関する情報であって、色域変換の要否判定、および変換要の場合の変換の態様の決定に用いることができるものであればよい。例えば、上記色域情報は、以下の情報の少なくとも何れかを含むものであってもよい。
(1)色度空間または色度平面上における、色域(受信したコンテンツの映像の色域)の外縁を示す外縁座標
(2)受信したコンテンツの色域が色度平面上に占める面積と、該色域との比較対象として予め定められた色域が上記色度平面上に占める面積との比を示す面積比情報
(3)受信したコンテンツの色域が、該色域との比較対象として予め定められた色域の外に出ている程度を示す情報
(4)受信したコンテンツの色域を包含する色域が規定された色域フォーマット(映像規格)を示す対応フォーマット情報(対応規格情報)
(5)受信したコンテンツの色域の少なくとも一部が包含されない色域が規定された色域フォーマット(映像規格)を示す非対応フォーマット情報(非対応規格情報)
具体例を挙げれば、上記(1)の外縁座標は、[(x,y,z),(x,y,z),…,(x,y,z)]のような形式で記述された、色度空間または色度平面上で表された色域の最外郭の座標であってもよい。外縁座標は、少なくとも3点の座標を含んでいればよい。
また、上記(2)および(3)の「比較対象として予め定められた色域」は、該色域を受信機2側で認識できるものであればよい。例えば、上記「比較対象として予め定められた色域」は、既存の色域フォーマット(映像規格)で定められた色域であってもよいし、既存の色域フォーマットの色域とは独立に設定された色域であってもよい。前者の例としては、上記(2)の「比較対象として予め定められた色域」としてBT.2020の色域を用い、上記(3)の「比較対象として予め定められた色域」としてBT.709の色域を用いる例が挙げられる。なお、上記(3)の「比較対象として予め定められた色域」は、受信したコンテンツの色域のはみ出しが生じ得るような色域(受信したコンテンツが取りうる最大の色域よりも狭い色域)である必要がある。また、後者の例としては、LCD(Liquid Crystal Display) Level 10、OLED(Organic Electro-Luminescence Display) Version 4のように、ディスプレイの種類毎に、色域の広さや範囲がどの程度であるかをバージョン番号やレベルの数値によって規定する例が挙げられる。
上記(2)の面積比情報は、(受信したコンテンツの色域が色度平面上に占める面積)/(比較対象として予め定められた色域が上記色度平面上に占める面積)のような形式で面積比を示すものであってもよい。また、BT.2020の70%、xvYCC(extended video YCC)の50%のように、比較対象として予め定められた色域が上記色度平面上に占める面積に対して受信したコンテンツの色域が色度平面上に占める面積の割合をパーセントで示したものであってもよい。
また、上記(3)の情報は、比較対象として予め定められた色域を示す情報と、その色域外となっている色域の割合を示す情報とを対応付けたものとしてもよい。例えば、受信したコンテンツの色域のn%がBT.709の色域外に存在する場合には、BT.709, n(%)のような形式の情報としてもよい。
これにより、例えば、BT.709に準拠したディスプレイ28cを備えた受信機2cに、n%のはみ出しが生じることを認識させることができる。また、nの大小に応じて、変換の態様を変更させることもできる。例えば、nが30〜50%の場合のように、はみ出る部分が比較的少ない場合にはクリッピングを適用させ、nが80%以上の場合のように、はみ出る部分が多い場合にはコンプレッションを適用させることも可能になる。なお、上記nは、色度平面上における画素数をカウントして算出してもよい。例えば、上記nは、(上記コンテンツの色域内の画素のうち比較対象の色域外にある画素数)/(上記コンテンツの色域内に含まれる総画素数)×100との数式で算出してもよい。
上記(4)(5)の対応フォーマット情報および非対応フォーマット情報の詳細については、後に図6を参照して説明する。
〔外縁座標を用いた色域変換の例〕
次に、色域情報として外縁座標(上記(1)参照)を用いた色域変換の例について、色域変換部26cは、図3を用いて説明した処理と同様の処理を行う。また、図3を用いて説明した効果と同様の効果を奏する。
〔面積比情報を用いた色域変換の例〕
続いて、色域情報として面積比情報(上記(2)参照)を用いた色域変換の例について、色域変換部26cは、図4を用いて説明した処理と同様の処理を行う。また、図4を用いて説明した効果と同様の効果を奏する。
〔はみ出した領域の面積の割合を用いた色域変換の例〕
続いて、色域情報としてはみ出した領域の面積の割合を示す情報(上記(3)参照)を用いた色域変換の例について、色域変換部26cは、図5を用いて説明した処理と同様の処理を行う。また、図5を用いて説明した効果と同様の効果を奏する。
〔対応フォーマット情報/非対応フォーマット情報〕
次に、色域情報の1つである対応フォーマット情報(上記(4))と非対応フォーマット情報(上記(5))について、色域変換部26cは、図6を用いて説明した処理と同様の処理を行う。また、図6を用いて説明した効果と同様の効果を奏する。
〔色域情報の取得処理〕
次に、色域情報の取得について図22に基づいて説明する。図22は、受信機2で実行される色域情報を取得する処理の一例を示すフローチャートである。なお、ここでは、ユーザ操作に基づく色域調整は行わず、受信機2cが自動的に色域を変換する例を説明する。
まず、制御情報取得部303cは、逆多重化部23cが出力する信号からAITを抽出してアプリ制御部304cに出力し、アプリ制御部304cはこのAITに従って色域情報取得部305を起動する(S61)。
次に、起動した色域情報取得部305cは、上記AITの示す所定の取得先(この例では送信機1)から通信経路にて色域情報を取得する(S62)。また、色域情報取得部305cは、取得した色域情報を色域変換部26cに送信して(S63)、その旨をアプリ制御部304cに通知する。そして、アプリ制御部304cは、色域情報取得部305cの起動を終了し(S64)、これにより色域情報の取得処理は終了する。
〔色域の変換処理〕
次に、色域の変換について図23に基づいて説明する。図23は、受信機2cで実行される色域の変換処理の一例を示すフローチャートである。なお、この処理は、図22のS63の処理で送信された色域情報を受信した色域変換部26cが実行する処理である。また、ここでは、色域情報として外縁座標が受信された例を説明する。
まず、色域変換部26cは、受信した色域情報の示す、受信したコンテンツの映像の色域と、ディスプレイ28cの色域とを比較する(S70)。そして、映像の色域の方が大きいか否か、言い換えれば映像の色域がディスプレイ28cの色域内に収まっているか否かを判定する(S71)。
ここで、映像の色域がディスプレイ28cの色域内に収まっていると判定した場合(S71でNO)、色域変換部26cは、色域変換を行わず(S75)、処理を終了する。この場合、受信したコンテンツの映像は、色域変換がなされることなくディスプレイ28cに表示される。なお、S71でNOと判定した場合、色域変換部26cは、映像の色域をディスプレイ28cの色域に収まる範囲内で拡張してもよい。
一方、映像の色域がディスプレイ28cの色域からはみ出していると判定した場合(S71でYES)、色域変換部26cは、映像の色域の方が10%以上大きいか否かを判定する(S72)。なお、この判定は、例えば、色度平面上において、色域情報として受信した外縁座標から算出した、映像の色域の面積と、同色度平面におけるディスプレイ28cの色域の面積とを比較することで行うことができる。
そして、色域変換部26cは、映像の色域の方が10%以上大きいと判定した場合(S72でYES)には、当該映像にコンプレッション処理を施してディスプレイ28cの色域に収まるようにする(S73)。一方、色域の差異が10%に満たないと判定した場合(S72でNO)には、当該映像にクリッピング処理を施してディスプレイ28cの色域に収まるようにする(S74)。これにより、色域の変換処理は終了する。
なお、上記の例では、クリッピング処理を行うかコンプレッション処理を行うかの判定の基準を、映像の色域がディスプレイ28cの色域より10%以上大きいか否かとしているが、判定の基準はこの例に限られない。
〔変換テーブルを用いた色域変換〕
上述の例では、色域変換部26cが色域情報を用いて、その色域情報に応じた色域変換を決定しているが、色域変換の内容を示す変換テーブルを参照することによって適用する色域変換を決定してもよい。これについて、図24に基づいて説明する。図24は、変換テーブルを用いた色域変換を説明する図である。
同図に示す変換テーブル(色域変換情報)Tは、BT.2020の色域をBT.709の色域に変換する変換テーブルの一例を示している。この変換テーブルTは、BT.2020の色域に含まれる256×256=65536個の要素のそれぞれについて、変換後の値が示されたルックアップテーブルである。
変換テーブル管理サーバ6には、BT.2020の色域変換用の変換テーブルTの他にも、様々な表示特性(より詳細にはディスプレイ28の色域)の受信機2cに対応できるように、複数種類の変換テーブルが格納されている。例えば、変換テーブル管理サーバ6には、BT.2020の色域をAdobeRGBの色域に変換する変換テーブルや、BT.2020の色域をパネルAの色域(ユーザが独自に設定した所定の色域)に変換する変換テーブル等が格納されていてもよい。そして、受信機2cでは、ディスプレイ28cが表示可能な色域に応じた変換テーブルを用いて、再生するコンテンツの色域を変換すればよい。例えば、ディスプレイ28がBT.709に準拠している場合に、再生するコンテンツの色域がBT.2020であれば、BT.2020の色域をBT.709の色域に変換する変換テーブルを用いればよい。
このような変換テーブルを受信した受信機2cでは、色域情報取得部305cがこの変換テーブルを色域変換部26cに送信し、色域変換部26cはこの変換テーブルを用いて映像の色域を変換する。なお、色域情報取得部305cは、ディスプレイ28cに応じた1つの変換テーブルを取得してもよいし、複数の変換テーブルを取得してもよい。複数の変換テーブルを取得した場合、その中からディスプレイ28cの色域に応じた変換テーブルを抽出して色域変換部26cに送信する。また、変換テーブルを取得する場合であっても、上記(1)〜(5)のような色域情報も合わせて取得してもよい。これにより、変換テーブルによる変換が、ユーザの意に沿わないものとなった場合に、他の変換を行うことが可能になる。
〔ユーザ操作による色域調整〕
続いて、ユーザ操作による色域調整について図25および図26に基づいて説明する。図25は、色域の調整のために受信機2cにディスプレイ28cに表示される色域調整画面の一例を示す図であり、図26は、ユーザ操作による色域調整を受け付ける場合に受信機2cで実行される処理の一例を示すフローチャートである。
〔色域調整における画面例〕
図25の(a)の画面例では、色域調整の要否をユーザに選択させるためのウィンドウA1がコンテンツの映像に重畳して表示されている。より詳細には、このウィンドウA1には、色域調整の要否をユーザに問い合わせるメッセージと共に、色域調整することを選択するための選択項目「はい」と、調整しないことを選択するための選択項目「いいえ」とが表示されている。また、このウィンドウA1の右上隅には、該ウィンドウA1を閉じるための選択項目「X」が表示されている。
このウィンドウA1から「はい」が選択されると、同図の(b)の色域調整画面に遷移する。この色域調整画面には、ユーザに色域調整を行わせるためのウィンドウA2がコンテンツの映像に重畳して表示されている。より詳細には、このウィンドウA2には、パネル(ディスプレイ28)の色域を示すパネル色域情報B1と、コンテンツの映像の色域を示す映像色域情報B2とが表示されている。また、このウィンドウA2には、変換後の色域を示す変換後色域情報B3と、色域を狭くするための色域縮小キーB4と、色域を広げるための色域拡張キーB5とがさらに表示されている。そして、ウィンドウA2の右上隅には、該ウィンドウA2を閉じるための選択項目(X)が表示されている。
色域調整を行うユーザは、ウィンドウA2のパネル色域情報B1と映像色域情報B2とを参照することにより、映像の色域に対して、ディスプレイ28cの色域がどの程度足りていないか、あるいはどの程度余裕があるかを容易に認識することができる。
そして、映像の色域よりも、ディスプレイ28cの色域が狭い場合には、ユーザは、色域縮小キーB4を操作する。これにより、色域を縮小する処理(例えばコンプレッション)が行われ、変換後色域情報B3にもこの処理の結果が反映されて、該変換後色域情報B3の示す色域が狭くなる。
一方、映像の色域よりも、ディスプレイ28cの色域が広い場合には、ユーザは、色域拡張キーB5を操作する。これにより、色域を拡張する処理が行われ、変換後色域情報B3にもこの処理の結果が反映されて、該変換後色域情報B3の示す色域が広くなる。
〔ユーザが色域調整を行う場合の処理の流れ〕
ユーザが色域調整を行う場合、色域情報取得部305cに加え、色域調整部306cを起動し、この色域調整部306cによってユーザ操作を受け付ける。このため、色域調整のためのユーザ操作を受け付ける場合には、色域調整部306cを起動させるための記述をAITに含めておく。
まず、制御情報取得部303cは、逆多重化部23cが出力する信号からAITを抽出してアプリ制御部304cに出力し、アプリ制御部304cはこのAITに従って色域情報取得部305cを起動する(S80)。そして、起動した色域情報取得部305cは、色域情報を取得する(S81)。
また、アプリ制御部304cは、上記AITに従って色域調整部306cを起動し(S82)、色域情報取得部305cに指示して、色域調整部306cに色域情報を送信させる。そして、色域情報を受信した色域調整部306cは、例えば図25の(a)のような画面をディスプレイ28cに表示させて、色域調整の要否をユーザに選択させる。なお、色域調整が否である旨の選択がなされたときには、色域変換部26cに色域情報を送信して色域を変換させる。
ここで、色域調整が要である旨の選択がなされたときには、色域調整部306cは、例えば図25の(b)のような画面をディスプレイ28cに表示させて、色域調整するユーザ操作を受け付ける(S83)。
そして、色域調整部306cは、受け付けたユーザ操作に応じた調整方法を色域変換部26cに通知して(S84)、その旨をアプリ制御部304cに通知する。アプリ制御部304cは、色域調整部306cの起動を終了し(S85)、また、色域情報取得部305cの起動も終了して(S86)、これにより処理は終了する。
〔実施形態11〕
本発明の実施形態11について、図27から図29に基づいて説明する。なお、上記実施形態と同様の構成には同一の参照番号を付し、その説明を省略する。まず、本実施形態の映像信号伝送システム500の概要を図27に基づいて説明する。図27は、映像信号伝送システム500の概略構成を示す図である。
図示のように、映像信号伝送システム500には、送信機100、受信機200、色域情報管理サーバ300、および端末装置(送信装置)400が含まれている。映像信号伝送システム500は、上記実施形態の映像信号伝送システム5と同様に、送信機100から受信機200に映像信号等を伝送するシステムである。
映像信号伝送システム500では、端末装置400にて色域情報管理サーバ300から色域情報を取得し、取得した色域情報(または該色域情報に基づいて決定した色域の調整方法)を受信機200に送信する。なお、色域情報管理サーバ300は、放送される各コンテンツの色域情報を管理するサーバであり、該サーバにアクセスしてコンテンツを通知することにより、そのコンテンツ対応する色域情報を取得することができる。映像信号伝送システム500は、このような処理により、コンテンツの色域を適応的に変換させることを可能にしている。
〔受信機および端末装置の構成〕
続いて、受信機200および端末装置400構成を図28に基づいて説明する。図28は、受信機200および端末装置400の要部構成の一例を示すブロック図である。受信機200は、図19の受信機2cと概ね同様の構成であるが、AITから色域情報を取得する機能を備えておらず、色域情報取得部305cが端末装置400から色域情報または色域の調整方法を取得する点で異なっている。なお、図28では、制御部30c内のブロックとして色域情報取得部305cのみを記載しているが、図19の復号制御部301c、逆多重化制御部302c等も制御部30cに含まれる。
端末装置400は、受信機200のユーザが使用するものであり、受信機200および色域情報管理サーバ300との通信機能を備えた端末装置である。端末装置400は、例えばスマートフォンやタブレット端末のような汎用の端末装置であってもよい。図示のように、端末装置400は、通信I/F40、制御部41、表示部42、および入力部43を備えている。
通信I/F40は、端末装置400が外部の装置、具体的には受信機200および色域情報管理サーバ300と通信経路にて通信するためのものである。通信I/F40は、例えばインターネットのような通信網を介して通信を行う装置であってもよい。なお、受信機200と通信を行うための通信I/Fと、色域情報管理サーバ300と通信を行うための通信I/Fとが個別に設けられていてもよい。
制御部41は、端末装置400の各部を統括して制御するものであり、色域情報取得部411、色域情報通知部(色域情報送信部)412、および色域調整部413を含む。
色域情報取得部411は、色域情報を取得する。具体的には、色域情報取得部411は、ユーザの指定したコンテンツ(放送されており、受信機200で受信されているコンテンツ)の色域情報を、色域情報管理サーバ300から取得する。そして、色域情報取得部411は、取得した色域情報を色域調整部413に送信する。なお、端末装置400では色域の調整を行わない構成とすることも可能であり、この場合には、色域調整部413は、取得した色域情報を色域情報通知部412に送信し、色域情報通知部412はこの色域情報を受信機200に送信する。
色域情報通知部412は、色域調整部413が決定した色域の調整方法を通信経路で(通信I/F40を介して)受信機200に通知する。なお、上記の通り、端末装置400で色域の調整を行わない場合には、色域情報通知部412は、色域情報取得部411が取得した色域情報を通信I/F40を介して受信機200に通知する。
色域調整部413は、色域情報取得部411が取得した色域情報に基づき、コンテンツの色域を調整するユーザ操作を受け付ける色域調整画面を表示部42に表示させる。そして、該色域調整画面の表示中のユーザ操作に従って色域の調整方法を決定し、決定した調整方法を色域情報通知部412に送信する。これにより、当該調整方法が受信機200に通知される。
表示部42は、制御部41の制御に従って画像を表示する表示装置であり、入力部43は端末装置400に対するユーザの入力操作を受け付けて制御部41に該操作の内容を通知する入力装置である。ここでは、表示部42の表示面と入力部43の入力面とが一体に構成されたタッチパネルである例を説明するが、表示部42と入力部43とは独立した別個の装置であってもよい。
〔色域の調整方法〕
端末装置400を用いた色域の調整方法を図29に基づいて説明する。図29は、色域の調整のために表示される色域調整画面の一例を示す図である。なお、ここでは、放送されているコンテンツの関連情報を表示させるアプリの機能の1つとして、色域調整機能が設けられている例を説明する。つまり、色域情報取得部411、色域情報通知部412、および色域調整部413は、上記アプリを起動することによって動作を開始する。無論、色域情報取得部411、色域情報通知部412、および色域調整部413は、上記アプリとは独立に起動し、動作するものであってもよい。しかし、アプリの機能に組み込む場合、コンテンツの関連情報を確認するついでに色域調整を行うことができるので好ましい。
端末装置400のユーザが上記アプリを起動して、ユーザが受信機200にて視聴するコンテンツを選択すると、該アプリによって該コンテンツの番組情報が取得され、色域情報取得部411によって色域情報が取得される。そして、取得された各種情報が、例えば図29の(a)に示すような態様で表示部42に表示される。
図29の(a)の画面例では、番組情報として、番組名、放送時間、出演者、および番組内容が表示されていると共に、色域情報取得部411が取得した色域情報が表示されている。この例では、色域情報として、当該コンテンツ(番組)の映像の色域の色度平面における面積が、BT.2020の色域の面積に対して80%の広さを有し、BT.709の色域の面積に対して120%の広さを有することが表示されている。
また、図29の(a)の画面例では、受信機情報として、受信機200の機種名およびディスプレイ特性が表示されている。この例では、ディスプレイ特性として、ディスプレイ28の色域の色度平面における面積が、BT.2020の色域の面積に対して70%の広さを有し、BT.709の色域の面積に対して110%の広さを有することが表示されている。ユーザは、このディスプレイ特性と、色域情報とを比較することにより、表示させるコンテンツの色域がディスプレイ28の色域の範囲内に収まっているか否かを判断することができる。なお、これらの受信機情報は、端末装置400と受信機200を通信させる等して受信機200から取得してもよいし、ユーザが事前に端末装置400に入力しておいてもよい。
さらに、図29の(a)の画面例では、色域調整を開始するためのキーCが表示されている。ユーザがこのキーCを選択すると、色域調整部413は、例えば同図の(b)に示すような色域調整画面を表示部42に表示させる。なお、このような色域調整画面は、色域情報として外縁座標を取得することによって表示させることができる。
同図の(b)の色域調整画面は、色度平面上にコンテンツの映像の色域と、ディスプレイ28の色域とを表示させた画面である。このような色域調整画面を表示させることにより、コンテンツの映像の色域の何れの部分を調整すべきかをユーザに認識させることができる。また、この色域調整画面では、コンテンツの映像の色域の外縁部を選択してドラッグすることにより、外縁部の形状を変形することができるようになっている。
図示の例では、コンテンツの映像の色域を示す三角形の頂点にあたる位置P1を選択している。そして、同図の(c)に示すように、この位置P1からディスプレイ28cの色域の範囲内の位置P2まで選択位置を移動させることにより、コンテンツの映像の色域の頂点が移動し、ディスプレイ28cの色域の範囲内に収まる状態となる。このようにして、コンテンツの映像の色域の外縁部が変形されると、色域調整部413は、コンテンツの映像の色域がこのように変形されるような色域の調整方法を決定して色域情報通知部412に送信する。これにより、当該調整方法が受信機200に通知され、上記コンテンツの映像はこの調整方法で調整された上で表示される。
以上のように、本実施形態の映像信号伝送システム500によれば、ユーザは端末装置400にて、受信機200に表示されるコンテンツの色域を自分の好みに合うように調整することができる。そして、この映像信号伝送システム500では、送信機100は、色域情報の取得や送信等、色域の調整のための処理を行う必要がなく、このため、従来の放送局で使用されているような一般的な送信機をそのまま適用することも可能である。
また、この映像信号伝送システム500では、受信機200に色域を調整するユーザ操作を受け付けるための構成を設ける必要がなく、端末装置400にアプリをインストールするだけで色域を調整するユーザ操作を受け付けることができる。よって、受信機200の製造コストを増加させることなく、ユーザによる色域の調整を簡易に実現することができる。
〔実施形態12:変形例〕
上記実施形態の送信機1cは、色域情報を受信機2cに送信する送信装置としての機能と、色域情報を取得するためのAITを生成する制御情報生成装置としての機能と、デジタル放送信号を送信する放送信号送信装置としての機能とを備えていた。しかしながら、互いに独立した送信装置と制御情報生成装置と放送信号送信装置との組み合わせによっても、上記送信機1cと同様の機能を実現することができる。例えば、色域情報を送信する送信装置と、上記AITを生成する制御情報生成装置と、放送信号を送信する放送信号送信装置とを含む映像信号伝送システムであっても、上記送信機1cと同様の機能を実現できる。また、例えば、色域情報を送信する送信装置と、上記AITを生成する機能と放送信号を送信する機能とを備えた装置との組み合わせによっても、上記送信機1cと同様の機能を実現できる。
そして、上記各実施形態では、コンテンツを放送経路で送信する例を説明したが、コンテンツは通信経路で送信してもよい。また、放送経路で送信されるコンテンツと通信経路で送信されるコンテンツを組み合わせて再生してもよい。
〔実施形態13:ソフトウェアによる実現例〕
送信機1c、受信機2c、受信機200、および端末装置400の制御ブロック(特に制御部15c、多重化部12c、暗号化部13c、送信部14c、復号部22c、逆多重化部23c、色域変換部26c、表示制御部27c、制御部30c、制御部41)は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、CPU(Central Processing Unit)を用いてソフトウェアによって実現してもよい。
後者の場合、送信機1c、受信機2c、受信機200、および端末装置400は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するCPU、上記プログラムおよび各種データがコンピュータ(またはCPU)で読み取り可能に記録されたROM(Read Only Memory)または記憶装置(これらを「記録媒体」と称する)、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などを備えている。そして、コンピュータ(またはCPU)が上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
〔まとめ〕
本発明の態様32に係る送信装置(送信機1c、端末装置400)は、放送経路と通信経路とを併用したサービスに対応した受信装置(受信機2c)に情報を送信する送信装置であって、上記受信装置に送信されるコンテンツの映像の色域に関する色域情報を取得する色域情報取得部(152c、411)と、上記色域情報を通信経路にて上記受信装置に送信する色域情報送信部(色域情報通知部153c、色域情報通知部412)と、を備えている。
上記の構成によれば、色域情報を通信経路にて受信装置に送信する。ここで、上記受信装置は、放送経路と通信経路とを併用したサービス(例えばハイブリッドキャスト)に対応しているから、通信経路で受信した色域情報を用いてコンテンツを再生することができる。よって、上記の構成によれば、該色域情報を受信した受信装置に、該色域情報に応じて該コンテンツの色域を適応的に変換させた上で、当該コンテンツを再生させることができる。
本発明の態様33に係る送信装置では、上記態様32において、上記色域情報送信部は、上記色域情報を適用すべきタイミングを示すタイミング指定情報を送信してもよい。
上記の構成によれば、タイミング指定情報を送信するので、このタイミング指定情報の示すタイミングで、色域情報に応じた色域の変換を適用させることができる。これにより、例えばフレーム単位で異なる色域変換を適用させることも可能になる。なお、上記タイミング指定情報としては、例えばシステムクロックのような、放送において同期制御に使用される時刻情報を適用することが好ましい。
本発明の態様34に係る送信装置では、上記態様32または33において、上記色域情報には、上記コンテンツの映像の色域をより狭い色域に変換する変換方法を示す色域変換情報が含まれていてもよい。
上記の構成によれば、色域情報には色域変換情報が含まれているので、これを受信した受信装置は、該色域変換情報の示す変換方法を用いて上記コンテンツの映像の色域をより狭い色域に変換することができる。つまり、上記の構成によれば、受信装置に色域の変換方法を決定する処理を行わせることなく、コンテンツの映像の色域をより狭い色域に変換させることができる。
本発明の態様35に係る送信装置では、上記態様32から34の何れかにおいて、上記色域情報には、色度空間または色度平面上で表された上記コンテンツの色域の外縁を示す外縁座標が含まれていてもよい。
上記の構成によれば、色域情報には、色度空間または色度平面上で表された上記コンテンツの色域の外縁を示す外縁座標が含まれている。よって、上記色域情報を受信した受信装置は、受信したコンテンツの色域がどのような広がりをもっているかを特定することができる。そして、これにより、該コンテンツを表示させるディスプレイに応じて、上記コンテンツの色域を適切に変換して、または変換することなく、該コンテンツを適切に表示させることができる。
本発明の態様36に係る送信装置では、上記態様32から35の何れかにおいて、上記色域情報には、上記コンテンツの色域が色度平面上に占める面積と、該色域との比較対象として予め定められた色域が上記色度平面上に占める面積との比を示す面積比情報が含まれていてもよい。
上記の構成によれば、色域情報には、上記コンテンツの色域が色度平面上に占める面積と、該色域との比較対象として予め定められた色域が上記色度平面上に占める面積との比を示す面積比情報が含まれている。よって、上記色域情報を受信した受信装置は、受信したコンテンツの色域が、比較対象の色域と比べてどの程度大きいかあるいはどの程度小さいかを特定することができる。そして、これにより、該コンテンツを表示させるディスプレイに応じて、上記コンテンツの色域を適切に変換して、または変換することなく、該コンテンツを適切に表示させることができる。
なお、比較対象の色域は、該色域を受信装置側で認識できるものであればよく、例えば既存の色域フォーマットで定められた色域(既存の映像規格で定められた色域)であってもよいし、既存の色域フォーマットの色域とは独立に設定された色域であってもよい。
本発明の態様37に係る送信装置では、上記態様32から36の何れかにおいて、上記色域情報には、上記コンテンツの色域が、該色域との比較対象として予め定められた色域の外に出ている程度を示す情報が含まれていてもよい。
上記の構成によれば、色域情報には、上記コンテンツの色域が、該色域との比較対象として予め定められた色域の外に出ている程度を示す情報が含まれている。よって、上記色域情報を受信した受信装置は、受信したコンテンツの色域が、比較対象の色域からどの程度はみ出しているかを特定することができる。そして、これにより、該コンテンツを表示させるディスプレイに応じて、上記コンテンツの色域を適切に変換して、または変換することなく、該コンテンツを適切に表示させることができる。
本発明の態様38に係る送信装置では、上記態様32から37の何れかにおいて、上記色域情報には、上記コンテンツの色域を包含する色域が規定された映像規格を示す対応規格情報(対応フォーマット情報)が含まれていてもよい。
上記の構成によれば、色域情報には、上記コンテンツの色域を包含する色域が規定された映像規格を示す対応規格情報が含まれている。よって、上記色域情報を受信した受信装置は、当該コンテンツを表示させるディスプレイが、上記映像規格に準拠していれば、当該コンテンツの色域を変換することなく表示させることが可能であると判定することができる。一方、当該コンテンツを表示させるディスプレイが、上記映像規格に準拠していない、あるいは該映像規格よりも色域の狭い映像規格に準拠している場合には、当該コンテンツの色域を変換する必要があると判定することができる。したがって、上記の構成によれば、コンテンツを表示させるディスプレイに応じて、上記コンテンツの色域を適切に変換して、または変換することなく、該コンテンツを適切に表示させることができる。
本発明の態様39に係る送信装置では、上記態様32から38の何れかにおいて、上記色域情報には、上記コンテンツの色域の少なくとも一部が包含されない色域が規定された映像規格を示す非対応規格情報(非対応フォーマット情報)が含まれていてもよい。
上記の構成によれば、色域情報には、上記コンテンツの色域の少なくとも一部が包含されない色域が規定された映像規格を示す非対応規格情報が含まれている。よって、上記色域情報を受信した受信装置は、当該コンテンツを表示させるディスプレイが、上記映像規格に準拠している場合、あるいは該映像規格よりも色域の狭い映像規格に準拠している場合、当該コンテンツの色域を変換する必要があると判定することができる。したがって、上記の構成によれば、コンテンツを表示させるディスプレイに応じて、上記コンテンツの色域を適切に変換して、該コンテンツを適切に表示させることができる。
本発明の態様40に係る制御情報生成装置(送信機1c)は、放送経路と通信経路とを併用したサービスに対応した受信装置(受信機2c)に送信されるコンテンツの再生に関する制御情報を生成する制御情報生成装置であって、上記コンテンツの映像の色域に関する色域情報を取得するための制御情報(AIT)を生成する制御情報生成部(154c)と、上記受信装置に上記制御情報を送信する制御情報送信部(送信部14c)と、備えている。
上記の構成によれば、色域情報を取得するための制御情報を生成して受信装置に送信するので、該受信装置に該制御情報を用いて色域情報を取得させることができる。よって、上記の構成によれば、受信装置に色域情報に応じて、コンテンツの色域を適応的に変換させた上で、当該コンテンツを再生させることができる。
本発明の態様41に係る制御情報生成装置は、上記態様40において、上記制御情報送信部は、上記制御情報を上記コンテンツと共にデジタル放送信号として上記受信装置に送信する構成であってもよい。
上記の構成によれば、上記制御情報を上記コンテンツと共にデジタル放送信号として送信する。よって、このデジタル放送信号を受信した受信装置に、上記制御情報に従って取得した色域情報に応じて、上記コンテンツの色域を適応的に変換させた上で、当該コンテンツを再生させることができる。
本発明の態様42に係る受信装置(受信機2c)は、放送経路と通信経路とを併用したサービスに対応した受信装置であって、再生対象のコンテンツの映像の色域に関する色域情報を取得するための制御情報を取得する制御情報取得部(303c)と、上記制御情報に従って通信経路にて取得された上記色域情報に応じて、上記コンテンツの映像の色域を変換する色域変換部(26c)と、を備えている。
上記の構成によれば、コンテンツの映像の色域に関する色域情報を取得するための制御情報を取得して、この制御情報に従って通信経路にて取得された上記色域情報に応じて上記コンテンツの映像の色域を変換する。よって、上記の構成によれば、色域情報に応じてコンテンツの色域を適応的に変換させた上で、該コンテンツを再生することができる。
本発明の態様43に係るテレビジョン受像機は、上記態様42に記載の受信装置を含んでいる。よって、態様42の受信装置と同様の作用効果を奏する。
本発明の態様44に係る映像信号伝送システム5は、放送経路と通信経路とを併用したサービスに対応した受信装置(受信機2c)にコンテンツを送信する送信装置(送信機1c)と該コンテンツを受信する受信装置とを含む映像信号伝送システムであって、上記送信装置は、上記コンテンツの映像の色域に関する色域情報を取得するための制御情報を上記コンテンツと共にデジタル放送信号として上記受信装置に送信し、上記受信装置は、上記デジタル放送信号から取得した上記制御情報に従って上記色域情報を通信経路にて取得し、上記コンテンツの映像の色域を上記色域情報に応じて変換する。よって、態様1の送信装置および態様42の受信装置と同様の作用効果を奏する。
本発明の各態様に係る送信装置、制御情報生成装置、および受信装置は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを上記送信装置、制御情報生成装置、または受信装置が備える各部として動作させることにより上記送信装置、制御情報生成装置、または受信装置をコンピュータにて実現させる制御プログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。