JP6269160B2 - 睡眠状態評価装置、睡眠状態評価方法、および睡眠状態評価システム - Google Patents
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Description
また、特許文献1の装置では、荷重検知センサーを、例えば、ベッドの脚の部分に設置するため、ベッド上に使用者以外の荷重の変化がある場合は、使用者自身の寝返りの有無を正確に検出することが困難であった。
図1は、実施形態1に係わる睡眠状態評価装置としての端末装置1の概要を表す説明図である。図2は、端末装置1の外観を概略的に示す斜視図である。本実施形態に係わる端末装置1の概要について説明する。
端末装置1は、人体の手首WRに装着され、端末装置1の傾きをセンシングする加速度センサー11を内蔵し、睡眠時における睡眠の質を含む睡眠状態を評価することが可能な腕時計型の生体データ測定装置である。また、端末装置1では、典型的な腕時計よりも小型化、軽量化、省電力化が図られ、使用者の手首WRに馴染んで装着され、睡眠時に限らず日常生活において行動する使用者の体動に関する情報を長時間に亘り測定することを可能としている。
図3は、端末装置1の概略構成を示すブロック図である。
端末装置1は、測定部10、操作部20、時計部35、表示部40、通信部45、制御部50、記憶部70などから構成されている。
測定部10は、加速度センサー11、脈拍センサー13などから構成されている。加速度センサー11は前述したように例えば、X軸、Y軸、Z軸方向毎の加速度を検出する3つの加速度センサーを有するセンサーユニットである。
制御部50により、記憶部70に記憶された制御プログラム71が実行されると、睡眠判定部51、傾き算出部53、寝返り情報算出部55、睡眠の質判定部57、バランス診断部59、アドバイス生成部61の各機能部が実現される。但し、これらの機能部は一実施例として記載したものに過ぎず、必ずしもこれらすべての機能部を必須構成要素としなければならないわけではない。また、これら以外の機能部を必須構成要素としても良い。
尚、睡眠判定部51は、睡眠判定部に相当する。
このようにして、寝返り姿勢の判定に有効な軸としては、X軸が中心軸として選定され、X軸を中心軸とした回転状態を検出するために、主にY軸とZ軸の加速度データが利用される。
但し、使用者毎に異なる癖があるため、複数の軸方向を中心軸として算出された傾斜角度の変化量を分析して、参照する中心軸方向を随時切り替えて選定しながら使用者の傾斜角度を決定しても良い。
尚、傾き算出部53は、傾き算出部に相当する。
寝返り姿勢毎の累積時間は、寝返り姿勢を継続した時間が加算された時間である。寝返り姿勢は、傾斜角度が変化しても同一姿勢閾値81以内であれば同じ寝返り姿勢と判定している。例えば、同一姿勢閾値81が30°であれば、仰臥位は0°±30°の範囲内であるため−30°〜+30°の範囲であり、右側臥位は同様に60°〜120°の範囲であり、左側臥位は−60°〜−120°の範囲であり、伏臥位は150°〜210°(もしくは、150°〜180°および−150°〜−180°)の範囲である。尚、同一姿勢閾値81は、予め記憶部70に記憶されている。算出された寝返り姿勢と寝返り姿勢毎の累積時間は、記憶部70に累積時間85として格納される。
尚、寝返り情報算出部55は、寝返り情報算出部に相当する。
図4は、睡眠状態における傾斜角度の経過をプロットしたグラフ図である。グラフの横軸は、睡眠状態の経過時間(分)であり、縦軸は傾斜角度(°)である。傾斜角度L(実線)は、1分毎に算出されたX軸を中心軸としたY軸の傾斜角度がプロットされたグラフである。グラフの右側に区間A、区間B、区間Cが記載されている。区間Aは傾斜角度−30°〜+30°の同一姿勢閾値(±30°)内の範囲であり姿勢Aと呼称する。区間Bは−60°〜−120°の範囲であり姿勢Bと呼称し、区間Cは60°〜120°の範囲で姿勢Cと呼称する。区間T1〜T14は、寝返り判定閾値79の幅を示しており、この例では、区間T1〜T14はいずれも90°の幅に設定されている。区間T1〜T14を閾値T1〜T14と呼称する。期間A1〜A8は、姿勢Aであった期間を発生順に順番に番号を付けて示している。同様に期間B1〜B4は、姿勢Bであった期間、期間C1〜C3は、姿勢Cであった期間である。
図4で算出された期間A1〜A8の時間を累積し、姿勢Aの累積時間に210(分)として算出される。期間B1〜B4も同様に累積加算され180(分)、期間C1〜C3も同様に累積加算され90(分)である。
バランス指標=(寝返り姿勢毎の累積時間の分散値)/(睡眠時間) (式1)
式1によれば、バランス指標は以下の通りの条件1〜条件5を適用することで、それぞれに記載された評価が得られる。バランス指標の値が小さいほど、寝返り姿勢が均一に現れており、身体にかける負担が少なく、適切な睡眠であることを示す診断がされている。
0≦(バランス指標)<8 ・・・非常に良いバランスである。 (条件1)
8≦(バランス指標)<20 ・・・3種類の姿勢が均等である。 (条件2)
20≦(バランス指標)<35・・・2種類の姿勢に偏重している。 (条件3)
35≦(バランス指標)<50・・・1種類の姿勢に偏っている。 (条件4)
50≦(バランス指標) ・・・睡眠中に長時間1種類の姿勢である。 (条件5)
制御プログラム71は、制御部50により読み出され、制御部50を構成する機能部の機能を実現する。これらの処理については、フローチャートを用いて詳細に後述する。
睡眠時間77には、使用者が睡眠状態に遷移した時刻から使用者が覚醒状態に遷移した時刻までの経過時間が格納される。
寝返り判定閾値79は、寝返り姿勢が切り替わったことを傾斜角度の変化量に基づいて判別するための閾値であり、予め記憶部70に格納されている。
同一姿勢閾値81は、寝返り姿勢が切り替わっていないこと(同一の寝返り姿勢であること)を傾斜角度の変化量に基づいて判別するための閾値であり、予め記憶部70に格納されている。
累積時間85には、寝返り姿勢毎の累積時間が格納されている。前述した図5は、累積時間85が記憶されている状態の一例である。
図6は、睡眠評価テーブル91の一例を示す図であり、図7は、バランス指標評価テーブル93の一例を示す図、図8は、アドバイステーブル95の一例を示す図である。
図9は、制御プログラム71の処理の流れを表すフローチャート図、図10は、睡眠時の寝返り情報算出処理の流れを表すフローチャート図、図11は、睡眠後の睡眠状態評価処理の流れを表すフローチャート図である。以下のフローは、記憶部70の制御プログラム71に基づいて、制御部50が測定部10、時計部35を含む各部を制御することにより実行される。以降、図9、図10、図11を中心に図3を含む各図を交えて説明する。
ステップS10では、以降のフローを実行するための準備が行われる。詳しくは、記憶部70に以降の演算で使用される変数などを格納する領域の確保、時計部35を制御し、時刻情報、サンプリング間隔、傾斜角度を算出する単位時間の設定などが行われる。
ステップS20では、使用者が睡眠状態に入ったか否かが判定される。詳しくは、睡眠判定部51の機能部が実行され、睡眠状態に入ったと判定されると(ステップS20;Yes)、睡眠時における寝返り情報を算出する処理(ステップS30)に進む。
ステップS30は、睡眠時の寝返り情報を算出する処理であり、詳細については、図10を用いて後述する。ステップS30が実行されると、単位時間(例えば、1分間)当たりに寝返り情報が算出される。
ステップS40では、覚醒状態に移行したか否か判定される。本ステップは、単位時間当たりに寝返り情報が算出された直後に実行されるステップである。本ステップでは、睡眠判定部51の機能部が実行され、睡眠状態が継続中で覚醒状態に移行していないと判定された場合は(ステップS40;No)、ステップS30内に処理を移し、寝返り情報の算出を継続する。覚醒状態に移行したと判定された場合は(ステップS40;Yes)、睡眠後の睡眠状態評価処理(ステップS50)に進む。
ステップS50では、睡眠終了後に睡眠状態の評価が行われる。詳細については、図11を用いて後述する。
尚、ステップS20およびステップS40は、睡眠判定工程に相当する。
このようにして、使用者が睡眠状態に入っている間は、寝返り情報の算出(ステップ30)が継続され、睡眠状態の終了後に睡眠状態の評価(ステップ50)が行われる。
尚、本フローでは、ステップS50を終えると、終了に移行しているが、次の睡眠状態の処理に備えて、必要な変数を初期化後にステップS20に進んでも良い。
ステップS110では、本フローで利用される各種変数の領域が確保され、初期化される。具体的には、少なくとも、傾斜角度を格納する変数θ、前回に算出された傾斜角度を格納する変数Preθ、同一の寝返り姿勢内の最大である傾斜角度をMaxθ、最小である傾斜角度をMinθ、のそれぞれが定義される。また、変数Preθ、変数Maxθ、変数Minθはいずれも「0」に初期化される。
ステップS130では、傾斜角度θが算出される。詳しくは、傾き算出部53の機能部が実行され、取得した加速度データから、端末装置1の傾斜角度を算出し、変数θに格納する。尚、ステップS130は、傾き算出工程に相当する。
ステップS140では、算出された傾斜角度θと、変数Maxθまたは変数Minθとの差分が、寝返り判定閾値79以下であるか否か判定される。寝返り判定閾値79以下である場合は、新たな寝返りがされていないことを示し(ステップS140;Yes)、寝返り姿勢を継続した場合の処理(ステップS150)に進む。寝返り判定閾値79を超えている場合は、新たな寝返りが発生したことを示し(ステップS140;No)、寝返り回数のカウントをする処理(ステップS220)に進む。
ステップS200では、同一寝返り姿勢の範囲内であった時間が、寝返り姿勢の累積時間85に加算される。
ステップS210では、算出した変数θの内容が、次に算出される傾斜角度θとの比較のために変数Preθに代入される。
ステップS230では、変数Maxθと変数Minθの内容が次の寝返り姿勢のために変数θの内容で初期化される。
ステップS210に進み、算出した変数θの内容が、次に算出される傾斜角度θとの比較のために変数Preθに代入される。
ステップS120〜ステップS210の各ステップの処理が行われると、次のステップS40に進み、覚醒したか否か判定される(ステップS40)。覚醒していない場合は(ステップS40;No)、睡眠状態が継続されているため次の傾斜角度θを算出するために、ステップS120に進み処理を繰り返す。
尚、ステップS140〜ステップS230は、寝返り情報算出工程に相当する。
ステップS310では、睡眠時間が算出される。詳しくは、覚醒した時刻と睡眠した時刻との差分をとり、睡眠時における睡眠時間を算出する。
ステップS320では、睡眠の質の判定における評価番号が取得される。詳しくは、睡眠評価テーブル91を参照してステップS310で算出した睡眠時間とステップS220で算出した寝返り回数に対応する評価番号915を取得する。
ステップS330では、寝返り姿勢毎の累積時間が取得される。詳しくは、ステップS200において算出され累積時間85の情報を記憶部70から読み込む。
ステップS340では、睡眠時のバランス指標値が算出される。詳しくは、バランス診断部59が実行され、累積時間85の寝返り姿勢毎の累積時間よりバランス指標値を算出する。
ステップS350では、バランス診断における評価番号が取得される。詳しくは、バランス指標評価テーブル93を参照してステップS340で算出したバランス指標値に対応する評価番号933を取得する。
ステップS360では、睡眠の質の評価番号およびバランス診断の評価番号からアドバイスが生成される。詳しくは、アドバイステーブル95を参照して、ステップS320において取得した睡眠状態の評価番号915とステップS350において取得したバランス指標の評価番号933の番号に対応するアドバイス文言953を合成してアドバイス文章を生成する。
このようにして、生成されたアドバイス文章は、制御部50による表示部40への表示、または、通信部45を介して表示装置を有する他の情報機器などに送信され、使用者に報知される。
端末装置1によれば、人体の手首WRから測定した加速度センサー11の出力信号に基づいて、使用者の寝返り情報の算出を実現している。使用者の身体に装着される装置において寝返り情報を算出することができるため、使用者はいかなる場所で就寝したとしても、また、就寝場所に使用者以外の荷重の変化があっても、端末装置1を装着している使用者自身の寝返り情報を提供することができる。
また、端末装置1では、寝返り情報から睡眠時における睡眠の質や寝返り姿勢のバランス状態を評価し、使用者に評価内容を伝えるためのアドバイス文章を生成している。使用者は端末装置1を睡眠時にも装着することで、当該アドバイス文章を参考にして睡眠習慣の改善に活用することができる。
次に、変形例1について、図3を用いて説明する。
上述の実施形態では、端末装置1において睡眠判定からアドバイス生成までの一連の機能部を含める構成として説明したが、この構成に限定されない。端末装置1には、使用者の物理量データを測定する測定部10と、物理量データ等を外部の情報機器に送信する第1通信部としての通信部45と、測定部10と通信部45を制御する制御部50と記憶部70を少なくとも備える。図3に示す制御部50内の機能部など、その他の構成部はPC(Personal Computer)またはスマートフォン(多機能携帯電話)等の外部の情報機器に備える構成であっても良い。尚、本変形例は睡眠状態評価システムに相当する。
これらの構成により、端末装置1の構成要素が減り部品点数を削減させることができ、端末装置1の小型化、軽量化、省電力化を更に進めることができる。使用者は睡眠時を含めた日常生活において違和感なく端末装置1を装着することで、使用者の生活習慣改善、睡眠習慣改善に役立つ有効なデータを収集できる可能性が広がる。
また、端末装置1を装着した使用者の睡眠中に、情報機器においてリアルタイムに睡眠状態などの情報を表示することができることから、睡眠習慣の改善指導をする指導者などが情報機器の表示を確認することで、更に効果的で即時性の高い睡眠指導ができるようになる可能性が高まる。
次に変形例2について図3および図8を用いて説明する。
上述の実施形態および変形例では、睡眠の質判定部57およびバランス診断部59において導出された評価番号に基づいて、アドバイス生成部61においてアドバイス文章を生成する構成について説明したが、評価番号を他の睡眠状態を改善させる生活用装置に送信する構成であっても良い。
例えば、睡眠終了後の評価番号が「111」であれば、寝返りしにくい状態であるため、次の睡眠時に備えて電動式ベッドのマットレスの硬さを少し硬くする、などの改善手段を講じることができる。
図10を用いて説明する。
上述の実施形態および変形例では、図10に示すステップS140において、寝返り姿勢の最大角度Maxθと最小角度Minθと傾斜角度θとの差分を寝返り判定閾値と比較して寝返りが発生したと判定していたが、同一姿勢内での平均傾斜角度と比較する構成を加えても良い。このようにすることにより、頻繁に寝返り姿勢の変化が発生する場合や、突出した最大角度Maxθや最小角度Minθが多く発生するような場合に、寝返り姿勢の変化が傾向的に捉えられた寝返りのバランス診断をすることができる。
Claims (7)
- 使用者の身体に装着される睡眠状態評価装置であって、
前記使用者の身体の動きを表す加速度データを含む物理量データを測定する測定部と、
前記使用者が睡眠状態にあるか覚醒状態にあるかを判定する睡眠判定部と、
前記物理量データに基づいて前記使用者の睡眠状態における前記使用者の身体の傾きを算出する傾き算出部と、
前記使用者の身体の傾きの変化量である回転角度に基づいて前記使用者の寝返り情報を算出する寝返り情報算出部と、
を備えることを特徴とする睡眠状態評価装置。 - 前記寝返り情報算出部は、前記使用者の回転角度を所定の閾値と比較した結果に基づいて、前記使用者の寝返り情報を算出することを特徴とする請求項1に記載の睡眠状態評価装置。
- 前記寝返り情報は、寝返り回数と、寝返り姿勢と、前記寝返り姿勢毎の累積時間と、を含むことを特徴とする請求項2に記載の睡眠状態評価装置。
- 前記睡眠状態評価装置は、
前記寝返り情報および/または前記使用者の睡眠時間を含む情報に基づいて、前記使用者の睡眠の質を判定する判定部と、
前記寝返り姿勢毎の累積時間に基づいて、前記使用者に対する身体への負担のバランスを表すバランス指標を算出するバランス指標算出部と、
前記睡眠の質および前記バランス指標に基づいて、前記使用者に対する睡眠習慣改善のアドバイスを生成するアドバイス生成部と、
を更に備えることを特徴とする請求項3のいずれか一項に記載の睡眠状態評価装置。 - 前記睡眠状態評価装置は、
使用者の脈拍数を測定する脈拍センサーを更に備え、
前記睡眠判定部は、前記測定した脈拍数に基づいて、前記使用者が睡眠状態にあるか覚醒状態にあるかを判定することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の睡眠状態評価装置。 - 使用者の身体における加速度データを含む物理量データを測定する測定工程と、
前記使用者が睡眠状態にあるか覚醒状態にあるかを判定する睡眠判定工程と、
前記物理量データに基づいて前記使用者の睡眠状態における身体の傾きを算出する傾き算出工程と、
前記使用者の身体の傾きの変化量である回転角度に基づいて前記使用者の寝返り情報を算出する寝返り情報算出工程と、
を備えることを特徴とする睡眠状態評価方法。 - 使用者の身体に装着され、
前記使用者の身体の動きを表す加速度データを含む物理量データを測定する測定部と、
前記使用者が睡眠状態にあるか覚醒状態にあるかを判定する睡眠判定部と、
前記物理量データに基づいて前記使用者の睡眠状態における身体の傾きを算出する傾き算出部と、
前記使用者の身体の傾きの変化量である回転角度に基づいて前記使用者の寝返り情報を算出する寝返り情報算出部と、
前記使用者の寝返り情報を送信する第1通信部と、
を備える睡眠状態評価装置と、
前記使用者の寝返り情報を受信する第2通信部と、
前記寝返り情報に基づいて、前記使用者の睡眠の質を判定する判定部と、
前記寝返り情報に基づいて、前記使用者に対する身体への負担のバランスを表すバランス指標を算出するバランス指標算出部と、
前記睡眠の質および前記バランス指標に基づいて、前記使用者に対する睡眠習慣改善のアドバイスを生成するアドバイス生成部と、
を備える情報機器と、
を備えることを特徴とする睡眠状態評価システム。
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