以下、本発明に係るダンス練習支援システムの実施形態について説明するが、実施形態の説明に先立ち、実施形態に関係する幾つかの用語について予め説明する。本実施形態に関係する用語としては、先ず、「バミリ」がある。例えば、舞台上や稽古場、スタジオなどにおいて、俳優やダンサーの立ち位置や道具の置き場等を決める行為を「ばみる」、「場見る」などという。そして、決められた位置に粘着テープなどを貼って形成された目印を「バミリ」、「ばみり」などという。
さらに、本実施形態に関係する用語として「はける(捌ける)」や「出はけ」がある。このうち「はける(捌ける)」は、舞台上から俳優やダンサー、道具類などが舞台袖に消えることを意味している。また、「出はけ」は、俳優やダンサー、道具類が舞台に登場することとはけることの総称であり、「出ハケ」と記載される場合もある。
また、ダンスに用いられる音楽(「ダンス音楽」や「ダンス曲」などともいう)やダンスのタイミングなどに関係する用語として、「ワンエイト」がある。この「ワンエイト」は、ダンスのリズムをとる場合のカウントの単位である。基本のカウントは、ワン、ツー、スリー、フォー、ファイブ、シックス、セブン、エイトと順に行われ、エイトの次はまたワンに戻る。このワンからエイトまでのエイトカウントを「ワンエイト」という。
また、「ワンエイト」の先頭に戻った後のカウントをエイト数で開始する形態もある。例えば、イチ、ニー、サン、シー、ゴー、ロク、シチ、ハチの発声等の後に、ニー、ニー、サン、シー、ゴー、ロク、シチ、ハチと発声するようなものを例示できる。さらに、2回のエイトカウント(合計で16カウント)のことを「ツーエイト」といい、3回(24カウント)のことを「スリーエイト」などという。
また、例えば、振付者(コレオグラファ)やダンサーが「ソロ振付ツーエイト」と言った場合は、2回分のエイトカウントの間に亘りソロ(独演)での振付(「振り」ともいう)が行われることを意味し、「ワンエイトで右から左まで移動」と言った場合は、エイトカウントの間に左の所定位置から右の所定位置まで移動することを意味する。
また、ダンスにおけるカウントに関する用語として「エン」がある。この「エン」は、カウントの間を意味している。つまり、ワン、ツー、スリー等の各カウントの間にも振付が入ることがあり、このときのタイミングを指定する際に、ワン、エン、ツー、エン、スリー、エン・・・などと表すことがある。
<練習スタジオの構成>
続いて、本実施形態の練習スタジオについて、図面に基づき説明する。図1(a)は、本発明の一実施形態に係るダンス練習支援システムにおいて使用することが可能なダンス練習スタジオ(以下「スタジオ」と称する)1の、前方側(「正面側」や「前側」などともいう)の部分を切り出して示している。
図1(a)に示すスタジオ1は、直方体状の室内空間を区画するよう構成されており、床2、天井3、及び、四方の壁4A〜4Dにより囲まれている。ここで、図1(a)では、四方の壁4A〜4Dのうち、前方側の壁である正面壁4Aを主体として示しており、床2、天井3、左壁4B、右壁4Cについては、正面壁4Aに隣接した一部分のみを示している。
スタジオ1の正面壁4Aは、左右方向を長手方向とした矩形の形状を有しており、正面壁4Aには、レッスン鏡(以下「鏡」と称する)5が装着されている。この鏡5は、左右方向を長手方向とした矩形状に形成されており、正面壁4Aに取り付けられて、正面壁4Aの大部分を覆い隠している。そして、鏡5の上下左右の各辺は、正面壁4Aの上下左右の辺(床2、天井3、左壁4B、右壁4Cとの間の各境界)と、ほぼ平行な関係を有している。さらに、鏡5の左辺と右辺は、正面壁4Aの左右の端部近傍まで到達している。そして、鏡5の左辺及び右辺と、左壁4B及び右壁4Cとの各々の間には、数cm(例えば5〜10cm以下)程度の隙間が帯状に残るのみとなっている。
上述の鏡5としては、フレームの無いタイプのパネルミラーを採用することが可能である。さらに、鏡5としては、所定サイズのもの(例えば高さが180cm程度で幅が90cm程度のもの)などを隣接するように複数並べて構成することも可能である。そして、鏡5には、スタジオ1内における可能な限り多くの領域が映し出されるようにすることが望ましい。
また、鏡5の上片と天井3との間には、所定量(例えば30cm程度)の隙間が残されており、この隙間の長手方向(左右方向)の中間部には、正面側カメラ6Fが設けられている。この正面側カメラ6Fは、例えば魚眼レンズを備えたものであり、スタジオ1内の様子を、正面側上方から広視野で撮影する機能を有している。また、正面側カメラ6Fには、遠隔操作(リモート)によりカメラ撮影を行う機能が備えられている。
ここで、正面側カメラ6Fで使用するレンズの種類は魚眼レンズに限られるものではなく、例えば、床2に立つ全ての練習者(ダンサー)の姿を床2と共に画像に収めることができれば、その他の種類のレンズであってもよい。そして、その他の種類のレンズとしては、肉眼と同様な映像を撮影可能とする標準レンズや、標準レンズよりも広い範囲を撮影可能とする広角レンズ、などを例示することができる。また、全てのダンサーを画像に収めずに、例えば最前列から所定列(3列目など)のダンサーまでを床2とともに画像に収めるようにしてもよい。
さらに、鏡5と床2との間には、所定量(例えば30cm程度)の高さの隙間が帯状に確保されており、この隙間には、矩形上の正面用バミリ位置表示ディスプレイ7Fが設置されている。正面用バミリ位置表示ディスプレイ7Fは、ダンサーの立ち位置を示すために用いられるものであり、横長の表示面を有している。そして、正面用バミリ位置表示ディスプレイ7Fの表示面は、鏡5の下辺と床2の間の隙間のほぼ全域を占有する程度の大きさを有している。
ここで、正面用バミリ位置表示ディスプレイ7Fとしては、複数の矩形表示体を左右方向に組み合せて構成することが可能である。また、正面用バミリ位置表示ディスプレイ7Fに使用する表示体としては、液晶、LED、EL(エレクトロルミネッセンス)等の種々の方式のものを採用することが可能である。
続いて、天井3における正面側の端部には、正面映像表示設備8が内蔵されており、この正面映像表示設備8には、前方スクリーン9が巻回された状態で収納されている。前方スクリーン9は、前述した鏡5と同程度の横幅(左右方向の長さ)を有している。さらに、前方スクリーン9の使用時には、前方スクリーン9は、図1(b)中に示すように下方に引き出され、下辺が鏡5の下辺と同程度の高さに達した状態で停止するようになっている。
引き出された前方スクリーン9は、鏡5の手前で、鏡5のほぼ全体を覆い隠すとともに、正面用バミリ位置表示ディスプレイ7Fを、ダンサーが視認できるように露出させるようになっている。ここで、前方スクリーン9へ画像表示は、後述するプロジェクタ14(図2(b)等参照)により行われるが、プロジェクタ14を前方スクリーン9の側に向けるための構成については後述する。
図2(a)は、スタジオ1における背面壁4Dと、左壁4B及び右壁4Cにおける背面壁4Dに隣接した部位を示している。背面壁4Dには、背面側カメラ6Rや背面用バミリ位置表示ディスプレイ7Rが設けられている。背面側カメラ6R、及び、背面用バミリ位置表示ディスプレイ7Rとしては、前述した正面側カメラ6Fや正面用バミリ位置表示ディスプレイ7Fと同様の機能や大きさを有するものが採用されている。
また、背面側カメラ6R、及び、背面用バミリ位置表示ディスプレイ7Rの配置は、前述した正面側カメラ6Fや正面用バミリ位置表示ディスプレイ7Fと、床2の中央を基準としてほぼ対称(点対称)に行われている。そして、例えば床2の中央に立ったダンサーが、正面側を向いた場合と、背面側を向いた場合とで、各カメラ(6F、6R)や各バミリ位置表示ディスプレイ(7F、7R)がほぼ同位置に見えるようになっている。
続いて、前述の正面用バミリ位置表示ディスプレイ7Fと、背面用バミリ位置表示ディスプレイ7Rに表示される内容について説明する。各バミリ位置表示ディスプレイ7F、7Rには、0を中央にして、その左右両側に−1〜−6、+1〜+6の各数字が表示されている。各バミリ位置表示ディスプレイ7F、7Rにおいて、0の表示は、左右方向のほぼ中央間となる位置に行われている。そして、各バミリ位置表示ディスプレイ7F、7Rにおける0の表示は、床2の左右方向における中央を通過し床2を左右に仮想的に2分する直線上(図示略)に位置するように行われている。
さらに、各バミリ位置表示ディスプレイ7F、7Rにおいては、0の表示を起点として、左側又は右側に−1〜−6の表示が、右側又は左側に+1〜+6の表示がほぼ等間隔で行われている。ここで、本実施形態においては、ダンサーが正面用バミリ位置表示ディスプレイ7Fを見た場合に、0から左側に順に−1、−2、−3、−4、−5、−6が表示され、0から右側に順に+1、+2、+3、+4、+5、+6が表示されている。
また、背面用バミリ位置表示ディスプレイ7Rにおいては、ダンサーから見て、0の左側に順に+1、+2、+3、+4、+5、+6が表示され、0の右側に順に−1、−2、−3、−4、−5、−6が表示されるようになっている。さらに、0から最も遠くに位置する−6及び+6の表示は、接近している左壁4B又は右壁4Cから所定量(例えば30cm)手前に位置するようになっている。
また、−1〜−5、及び、+1〜+5の表示は、0の表示と−6の表示の間、及び、0の表示と+6の表示の間を、それぞれ6等分するよう、ほぼ等間隔で配置されている。つまり、本実施形態においては、各バミリ位置表示ディスプレイ7F、7Rの1〜6の数字について、スタジオ1の前後方向に延びる平行な直線上(図示略)に、正負の同じ数字が位置するようになっている。
なお、正負の記号に関して、−(マイナス)のみを表示して+(プラス)を表示しないようにすることや、いずれの記号も表示しないようにすることなども可能である。また、各バミリ位置表示ディスプレイ7F、7Rのいずれについても、ダンサーから見て同じ側に−1〜−6、及び、+1〜+6が表示されるようにしてもよい。
図2(a)中に符号11で示すのは、背面壁4Dの一部を構成する背面映像表示設備11である。この背面映像表示設備11は、本実施形態においては、前述の鏡5と同程度の大きさを有する矩形の透明板部12と、透明板部12の背後に配置された後方スクリーン13(図3(a)参照)とを備えている。これらのうち透明板部12は、背面壁4Dにおいて、背面側カメラ6Rと背面用バミリ位置表示ディスプレイ7Rの間の高さに位置し、背面壁4Dの大部分を構成している。
ここで、透明板部12としては、ガラス板や透明アクリル板などのように、光透過性を有する種々のものを採用できる。また、透明板部12としては、偏光特性を備えた偏光鏡や偏光板など、或いは、液晶シャッタなどを利用することも可能である。
さらに、後方スクリーン13は、図2(b)及び図3(a)に示すように、プロジェクタ14から投写される画像を映し出すことが可能となっている。つまり、背面壁4Dに向けて出力されたプロジェクタ14の投写光が、透明板部12を透過して後方スクリーン13に到達し、背面映像表示設備11で所定の映像を表示できるようになっている。ここで、後方スクリーン13としては、プロジェクタ14からの画像を映すことが可能な種々のものを採用できる。
さらに、後方スクリーン13(或いは背面映像表示設備11)として、例えば液晶やその他の方式によるディスプレイを利用することも可能である。その場合は、例えば、プロジェクタ14や所定のサーバ(後述するスタジオ内サーバ21など)を、後方スクリーン13(或いは背面映像表示設備11)に画像データ用ケーブルを介して接続し、プロジェクタ14の投写光ではなく、後方スクリーン13で画像データに基づく映像表示を行うことが可能である。
図3(b)は、天井3の構成を、正面用バミリ位置表示ディスプレイ7Fと背面用バミリ位置表示ディスプレイ7Rを仮想的に組み合わせて示している。つまり、図3(b)中には、正面用バミリ位置表示ディスプレイ7Fと背面用バミリ位置表示ディスプレイ7Rを示しているが、これは天井3に設置された機器の位置関係の把握を容易にするためのものであり、天井3に正面用バミリ位置表示ディスプレイ7Fと背面用バミリ位置表示ディスプレイ7Rが設けられているわけではない。
天井3においては、上述のプロジェクタ14が、所定の突出量(例えば30cm程度)で吊り下げられている。さらに、プロジェクタ14は、天井3のほぼ中央部に配置され、背面壁4Dの側(図3(b)中では上側)に向けられている。なお、プロジェクタ14は、図示を省略するステージ機構部によって回転動作や、所定範囲内での2方向の直線移動動作が可能となっており、正面壁4Aの側と背面壁4Dの側との間で投写する向きの変更や、縦横位置の微調整が可能となっている。
つまり、図2(b)や図3(a)、(b)においては、プロジェクタ14が背面壁4Dの側を向いているが、上述のステージ機構部を、後述するスタジオ内サーバ21(図6(a)参照)などを介して遠隔操作することで、プロジェクタ14を正面壁4Aの側に向けることが可能となっている。上述のステージ機構部としては、回転機構を備えたものを例示できる。
なお、これに限らず、プロジェクタ14の向きを手作業により変更するようにしてもよい。この場合には、例えば、スタジオ1に所定の操作棒(図示略)を常備しておき、この操作棒の上端をプロジェクタ14に係止させ、操作棒を介して、プロジェクタ14を作業者が床2上から押圧し、プロジェクタ14を回転させることを例示できる。
続いて、図3(b)中に符号16で示すのは、天井3に所定間隔で設置された所定数のLEDポインタである。各LEDポインタ16は、LED光を床2に向けて真下に照射可能なものである。そして、各LEDポインタ16は、図4(b)に示すように床2上に、実位置指標としての真円形状のスポット16Sを形成(結像)させることが可能である。これらのLEDポインタ16は、スタジオ1の前後方向に一列に並べられた5個を一組として、13組設けられている。つまり、天井3には、65個のLEDポインタ16が5行13列の構成で配置されている。ここで、図4(b)においては、床2に形成されるスポット16Sが、図3(b)の場合と同様に、正面用バミリ位置表示ディスプレイ7Fと背面用のバミリ位置表示ディスプレイ7Rを仮想的に組み合わせた状態で示されている。また、図4(b)においては、正面用バミリ位置表示ディスプレイ7Fと背面用のバミリ位置表示ディスプレイ7Rがスタジオ内に突出するように示されているが、これらは突出しないよう壁面に設けてよい。
前後方向の5個のLEDポインタ16は、図4(a)に示すように、1つのLED可動機構部17に搭載されており、LED可動機構部17から下向きに吊り下げられている。このLED可動機構部17は、レール状に加工されたレール本体18を有しており、このレール本体18に、5つのLEDポインタ16が、ほぼ等間隔で取り付けられている。ここで、レール本体として、各LEDポインタへの通電を可能にする、所謂ライティングダクトレール(「ライティングレール」や「ダクトレール」などともいう)を利用することが可能である。
さらに、レール本体18の長手方向の両端部には、回転可能なローラとなる車輪部19が設けられている。そして、LED可動機構部17は、天井3に、移動可能に組み込まれており、車輪部19を天井3内部で係止させて、天井3により支持されている。そして、LED可動機構部17は、車輪部19を転がしながら、天井3の左右方向へ移動できるようになっている。ここで、LED可動機構部17に、車輪部19の回転を制止可能なストッパを設けることが考えられる。
また、本実施形態においては、プロジェクタ14が、左右方向中央のLED可動機構部17において、長手方向の中央に装着されており。さらに、プロジェクタ14の下面に、全体のLEDポインタ16のうち、中央に位置することとなる1つのLEDポインタ16が取り付けられている。なお、これに限定されず、全体の中央に位置するLEDポインタ16を、LED可動機構部17に直接取り付け、プロジェクタ14を天井3の、LEDポインタ16を避けた位置に装着することも可能である。
各LEDポインタ16は、LED光の出力に係るオン・オフ制御、色制御、及び、輝度制御などを、個々に行えるようになっている。また、全てLEDポインタ16を発光駆動した場合には、床2上に合計65個(5行×13列)のスポット16Sが形成されるようになっている。さらに、LEDポインタ16の制御態様としては、行ごとに同色で発光させるといったことも可能である。例えば、1行目及び5行目における13個のスポット16Sの彩色を全て緑色とし、2行目及び4行目における同じく13個のスポット16Sの彩色を全て青色とし、3行目における同じく13個のスポット16Sの彩色を全て赤色とする、といったことなどが可能である。さらに、形成可能な最大スポットの数は上述の65個に限られず、例えば、列の数を6以上となる7や8などとすることも可能である。
なお、行ごとで共通化することに限らず、例えば列ごとで共通化するようにしてもよい。また、同じ行、或いは、同じ列であっても、異なる色でのスポット表示を行うようにしてもよい。さらに、図4(b)においては、全てのLEDポインタ16が床2にスポット16Sを形成した状態を示しているが、例えば、一連のダンスのタイミングに応じて、一部のLEDポインタ16のみをオンする、といったことも可能である。
ここで、LEDポインタ16を、例えば、後述するスタジオ内サーバ21(図6(a)参照)や、指導者が操作する携帯端末23(同じく図6(a)参照)などにより行うことが可能である。また、スタジオ1の何れかの壁面に、LEDポインタ16用の操作パネルを設け、この操作パネルを介してLEDポインタ16を制御できるようにしてもよい。
また、以下では、LEDポインタ16や、LEDポインタ16のスポット16Sに係る配置や座標を、スタジオ1の左右方向を行方向、前後方向を列方向とした行列により表す場合がある。この場合、前述したような「最前列のダンサー」や「3列目のダンサー」などといった場合の「列」は、LEDポインタ16やスポット16S(後述する)の配置を説明する場合の「行」に一致することになる。
続いて、図5(a)は、スポット16Sの座標表示の一例を示している。この図5(a)においては、5つの行に対しA行〜F行の符号が付されている。そして、図5(a)中に符号S0で示すのは、全体の中央に位置するスポットであり、この中央のスポットS0は、5行13列の配列上において、3行7列の位置に形成されるものとなっている。ここで、符号S0で示す中央の位置について、以下では「ヘソ」などと称する場合がある。
また、以下では、上述のような中央の位置(S0)に係る座標を、0Cと表すこととする。この他の例を挙げれば、例えば、最も正面側の行における最も左壁4B寄りのスポットの位置は−6Aと表すことができ、同じく最も正面側の行における最も右壁4C寄りスポットの位置は+6Aと表すことができる。また、最も背面側の行における最も左壁4B寄りのスポットの位置は−6Eと表すことができ、同じく最も背面側の行における最も右壁4C寄りのスポットの位置は+6Eと表すことができる。
なお、本実施形態においては、スタジオ1の縦横比は、図3(b)中に示すように、前後方向(奥行)よりも左右方向(幅)が大きい(長い)ものとなっている。さらに、スタジオ1の天井高は、ダンサーが跳躍する動作を行うことや、天井3にプロジェクタ14やLEDポインタ16等が設置されることを考慮して、十分な高さ(例えば2.8m以上)とするのが望ましい。
また、スタジオ1内で明るさを確保するための天井照明は、例えば、各LEDポインタ16の間に照明器具を配置して行うことが可能である。また、LEDポインタ16により必要な明るさを確保できる場合には、LEDポインタ16のみを照明器具として利用することも可能である。
<練習スタジオの使用例>
次に、本実施形態におけるスタジオ1の使用例について説明する。先ず、スタジオ1は、所定の会場での舞台発表に備えたダンス練習(リハーサル)に使用することが可能なものである。さらに、ダンスとしては、ヒップホップやストリートダンス等といった種々のものを例示できるが、ここでは、例えば全体で数十人のダンサーが参加し、ダンス中のタイミングによって、1人、或いは、数人〜数十人が、登場したり、舞台裏に戻ったりするものを例示できる。
さらに、各ダンサーは、例えば数日間かけて、事前に決められた振付を個人である程度覚え、その後に、スタジオ1に集まって練習を行う、といった状況を想定することができる。そして、スタジオ1を使用した練習では、各自が覚えてきた振りの完成度を更に高める、発表時の舞台での立ち位置を覚える、他のダンサーとの間合いを確認する、などといったことが行われる。
一般には、スタジオ1の形状や大きさは、発表が行われる舞台と異なるものである。また、本番で使用される舞台の多くでは、演者の立ち位置の指標として複数のバミリが設けられている。そして、スタジオ1と舞台との相違に関わらず、舞台を想定してダンス練習を行えるよう、スタジオ1の床に、舞台に設けられているのと同じ位置関係で、バミリを形成することが行われる。さらに、このようなバミリは、通常は、ガムテームやビニールテープ等の粘着テープを、床2に対し、例えばX字状に貼り付けることにより行われる。
また、バミリの位置関係は、舞台ごとに異なるのが一般的である。このため、効率的に練習を行うには、スタジオ1内のバミリを、使用する舞台のバミリに合せて形成することが必要である。なお、舞台によっては、中央に1つのバミリのみが形成されているような場合も想定することが可能である。
以上説明したような事情に対し、本実施形態に係るスタジオ1においては、天井3のLEDポインタ16により床2にスポット16Sを形成し、このスポット16Sをバミリとして使用できるようになっている。さらに、スポット16Sは、オン・オフするLEDポインタ16の選択により、その位置を変化させることが可能である。このため、一連のダンスに係る任意のタイミングにおいて、登場するダンサーの人数や立ち位置に応じ、柔軟にバミリを形成することができる。
図6(b)及び図7(a)〜(c)は、ダンスの進行に係るエイト数と、当該エイト数におけるスポット16Sとの関係の一例を示している。先ず、図6(b)は、ダンス中における任意のタイミングをエイト数によって示している。この図6(b)においては、左側から右側へカウント数が時系列に示されている。さらに、図中において縦長の長方形で示す1つの欄が1カウントを表しており、左端から連続した8つの欄によって最初の1エイトが示されている。そして、図6(b)では、1エイト目の開始から5エイト目の終了までが、40エイトにより構成されることが示されている。
本実施形態における前述のスポット16Sは、ダンスの進行中におけるタイミング、各タイミングで登場しているダンサーの人数や立ち位置等の要素に応じて、選択的に形成できるようになっている。例えば、図7(a)は、一連のダンスにおける、或るエイト数(ここでは「nエイト」とする)でのダンサーの立ち位置を、スポット16Sにより示している。そして、この図7(a)に示す例では、合計12人のダンサーが登場しており、各ダンサーの立ち位置は、−2A〜−5A、+2B〜−1B、+6C〜+3Cとなっている。つまり、図7(a)の例では、12人のダンサーが、左右方向には重ならず、4人を1組としてA行からC行に位置している。
続いて、図7(b)は、上述の図7(a)に続くn+1エイトにおけるダンサーの立ち位置を示している。この図7(b)に示す例では、登場しているダンサーの数に変わりはないが、ダンサーの立ち位置は、+1B〜−1B、+2Cと+1Cの中間、+1Cと0Cの中間、0Cと−1Cの中間、+5D〜+3D、−3D〜−5Dとなっている。つまり、図7(b)の例では、12人のダンサーが、左右方向には重ならず、3人を1組としてB行〜D行に位置している。また、C行の各ダンサーは、スタジオ1の正面側から後方側を見た場合に、B行の各ダンサーの左側に見えるようになっている。
続いて、図7(c)は、上述の図7(b)に続くn+2エイトにおけるダンサーの立ち位置を示している。この図7(c)に示す例では、登場しているダンサーの数に変わりはないが、ダンサーの立ち位置は、0A、+1B〜−1B、+1Cと0Cの中間、0Cと−1Cの中間、−1cと−2Cの中間、−2Cと−3Cの中間、+3C〜0Cと+3D〜0Dの中間となっている。つまり、図7(c)の例では、0Aのダンサーを先頭にして、B列に3人、C列とD列に各々5人のダンサーが位置している。
さらに、本実施形態においては、前述のように正面側カメラ6Fにより、スタジオ1内でのダンサーの練習の様子が動画(練習動画)として撮影されている。練習動画のデータ(練習動画データ)は、図6(a)中に示すように、正面側カメラ6F等が電気的に接続された、所定のスタジオ内サーバ(以下では「サーバ」と称する)21に送信することが可能である。さらに、スタジオ内サーバ21に保存された動画データ(練習動画データ)を、ハードディスク22等の練習動画データ記憶手段に保存し、必要に応じて所定の携帯端末23で呼び出すことが可能である。
上述の携帯端末23は、ここでは、ダンサーに振付を指導する振付者により操作されるものとなっており、携帯端末23としては、タブレットコンピュータ(以下では「タブレット」と称する)やスマートフォンなどを例示することができる。さらに、携帯端末23には、スタジオ内サーバ21から、前述の練習動画がストリーム配信できるようになっている。また、携帯端末23では、過去の練習動画を呼び出して表示することが可能である。
また、本実施形態においては、携帯端末23に、前述のスポット16Sに対応した画像となるスポット画像16G(図8(a)参照)を表示できるようになっている。このスポット画像16Gの表示は、一連のダンスにおける各スポット16Sに対し、対応するタイミング、数、及び、位置関係で行うことが可能となっている。つまり、このスポット画像16Gは、ダンス中におけるダンサーの立ち位置の変化に合わせて変化する動画(スポット動画)として表示される。
このような、スポット画像16Gは、例えば、LEDポインタ16のオン・オフのためのデータを用い、床2に形成されるスポット16Sと同じ位置関係で表示されるように画像処理を行うことにより、携帯端末23の画面上に表示することが可能である。さらに、本実施形態においては、前述の練習動画とスポット動画とが、携帯端末23の画面上で合成されるようになっている。
練習動画とスポット動画の合成は、図5(a)や図8(a)、(b)に示すように、練習動画を表示するためのレイヤ(以下では「実動画レイヤ」と称する)24と、スポット動画を表示するためのレイヤ(以下では「仮想レイヤ」と称する)25とを重畳することにより行われている。ここで、図5(a)中の符号26は、携帯端末23の画面上で合成された動画(合成動画)を視認している指導者の目を模式的に示している。
このように実動画レイヤ24と仮想レイヤ25とを合成することについては、例えば、以下のような複数の考え方がある。先ず1つ目の考え方は、実動画レイヤ24を上とし、仮想レイヤ25を下とする考え方(図8(a)に例示する第1重畳態様)である。さらに、他の考え方は、仮想レイヤ25を上とし、実動画レイヤ24を下とする考え方(図8(b)に例示する第2重畳態様)である。以下にそれぞれの考え方について説明する。
先ず、実動画レイヤ24を上とし、仮想レイヤ25を下とする第1重畳態様(図8(a)参照)においては、両レイヤ24、25を単に重畳したのでは、実動画レイヤ24に表示されたダンサーの画像(ダンサー画像)27によって、仮想レイヤ25に表示されたスポット画像16Gが隠されてしまう。このため、実動画レイヤ24と仮想レイヤ25とを、ダンサー画像27とスポット画像16Gとが上下に所定量(H1)離間した位置関係となるよう配置し、ダンサー画像27とスポット画像16Gとの位置関係を示すための垂線(位置指示線)29を追加する。
この位置指示線29の下端の位置は、仮想レイヤ25におけるスポット画像16Gに到達しており、位置指示線29の上端の位置は、実動画レイヤ24に達している。仮想レイヤ25には、そのタイミングにおけるダンサーの立ち位置を示すスポット画像16Gが表示され、実動画レイヤ24には、そのタイミングにおけるダンサー画像27が表示されている。このため、ダンサーが正しい立ち位置にいれば、位置指示線29の上端はダンサー画像27の足元に到達していることになる。また、仮想レイヤ25におけるスポット画像16Gは、カウントに同期しており、そのときのタイミングに応じてオン・オフされるようになっている。
ここで、位置指示線29の上端が示す位置は、そのときのタイミングにおいてダンサーが立つべき位置を示しており、ここでは「リアル立ち位置」と称する場合がある。また、練習動画にはスポット画像16Gを取り込むことも可能であるため、実動画レイヤ24の画像にスポット画像16Gが含まれている場合には、画像処理により、位置指示線29の上端を、スポット画像16Gに到達するように描くことが可能である。
また、図8(a)中に示すように、仮想レイヤ25において、縦横に伸びるガイド線30を碁盤の目状に表示し、ガイド線30の各交点が、スポット画像16Gを形成し得る位置に重なるようにしてもよい。さらに、同じく図8(a)中に示すように、実動画レイヤ24にも、ダンサーの立ち位置を交点とするようなガイド線31を表示してもよい。そして、各ダンサーは、これらの位置指示線29に指示される位置をバミリとして、自分の立ち位置や、他人との間合いの感覚を、練習を通して身に着けることが可能である。
ここで、リアル立ち位置を示す座標に向かって立てた垂線である位置指示線29に関して、正面側カメラ6Fから離れた位置で踊るダンサー、つまり、後方側のダンサーほど、ダンサーや位置指示線29の重なりによって、明確に表示するのが難しくなることが考えられる。つまり、実動画レイヤ24のダンサー画像27を優先して最前面に表示することにより、図8(a)中にも示すように、後方側へいくほど、仮想レイヤ25のスポット画像16Gや、ガイド線30がダンサー画像27により隠されることになる。
このため、全体の視認性を確保するためには、実動画レイヤ24と仮想レイヤ25が上下に所定量離間していることを利用し、位置指示線29を表示する範囲を限られた範囲に制限することが考えられる。例えば、前方側の2列目(前述のA行〜B行に相当)までに限り位置指示線29を表示し、3列目以降(前述のC行〜E行に相当)には位置指示線29を表示しない、といった制御態様を例示できる。さらに、ヘソ(図5(a)中のS0)の位置が含まれる3列目(前述のC行に相当)までを、位置指示線29を表示する対象とすることも可能である。
このように位置指示線29を表示する範囲を制限したとしても、前方2列(A行とB行)、或いは、前方1列目からヘソの列(3列目に相当するC行)について、ダンサーの立ち位置が確かなものであれば、それよりも後方のダンサーは、前方のダンサーとの間合いを確認しながら自分の立ち位置を修正することが可能である。したがって、必ずしも全体について位置指示線29を表示することが必要なわけではなく、位置指示線29の表示を制限して視認性を確保することによるダンス練習の効率化を図ることができる。
なお、本実施形態においては、背面側カメラ6Rにより、スタジオ1の後方側からも練習の様子を撮影できるようにしているので、背面側カメラ6Rにより取得された画像データを用いて実動画レイヤを作成し、後方側のダンサーへの指導を行うことも可能である。
また、仮想レイヤ25におけるスポット画像16Gは、前述したようにカウントに合わせてオン・オフされるが、例えば、ガイド線30の表示を行い、スポット画像16Gの表示を省略することも可能である。このようにしても、仮想レイヤ25におけるガイド線30の交点から、実動画レイヤ24におけるダンサーの立ち位置に向けて垂線を描くことで、位置指示線29を表示することが可能である。そして、実動画レイヤ24の画像には、カウントに応じて、床2に形成されたスポット16Sも含まれているため、仮想レイヤ25におけるガイド線30の交点と、スポット16Sの画像とを繋ぐ垂線を描くことで、カウントの進行に合わせて位置指示線29を表示することも可能である。
特に、舞台発表の日程が近づき、練習が最終段階に入ったような状況においては、ダンサーは立ち位置を体得しているのが通常と考えられるため、仮想レイヤ25におけるスポット画像16Gの表示を省略し、表示内容を簡素化して視認性向上を向上することも、効率的なダンス練習のためには有効と考えられる。
また、実動画レイヤ24におけるガイド線31の表示を省略することも考えられる。しかし、実動画レイヤ24におけるスポット16Sの画像は、例えば、撮影された画像の解像度や照明の状況などの要因によって、実動画レイヤ24上で視認し難くなることも考えられるため、実動画レイヤ24のガイド線31の表示を行うことで、実動画レイヤ24におけるダンサーの本来の立ち位置を判別し易くなる。
また、実動画レイヤ24におけるガイド線31の交点となる位置情報を持ちながらも、ガイド線31の表示を省略するといったことも可能である。この場合には、ガイド線31の交点となる位置情報に基づき、ガイド線31を表示せずに位置指示線29を表示する、といったことが可能となる。なお、実動画レイヤ24における表示対象や、仮想レイヤ25における表示対象を簡略化するほど、画像処理の負担が少なくなり、練習中における画像確認のための時間間隔(待ち時間)を短縮できる。さらに、前述したような練習が最終段階に入った状況などにおいて、仮想レイヤ25の表示事態を省略し、より一層迅速に練習動画の再生を行えるようにすることも考えられる。
また、スタジオ1内の撮影に魚眼レンズや広角レンズを用いることにより、撮影範囲を広く確保することはできるが、画像の歪みが大きくなる。しかし、例えば、スタジオ内サーバ21において所定の画像処理アプリケーションソフトにより、この歪みを補正するための画像処理を行い、補正された動画データを用いて実動画レイヤ24を作成することも可能である。また、仮想レイヤ25を、補正された実動画レイヤ24に合わせて作成することも可能である。
次に、仮想レイヤ25を上とし、実動画レイヤ24を下とする第2重畳態様(図8(b)参照)について説明する。この第2重畳態様においては、仮想レイヤ25の透明度を、上述した第1重畳態様(図8(a)参照)よりも相対的に高く設定し、仮想レイヤ25を透過して実動画レイヤ24の画像を視認できるようにすることが考えられる。
このようにすることで、実動画レイヤ24と仮想レイヤ25の間の所定量(H2)の距離を0(或いは0に近い程度)に保つことができ、上述した第1重畳態様(図8(a)参照)の位置指示線29を省略(或いは極力短寸法化)することが可能になる。そして、画像処理の負荷を軽減でき、再生表示の迅速化や、画像処理システムの低コスト化が可能になる。また、位置指示線29の表示や重なりにより視認性が損なわれることを防止でき、画像の誤認を防ぐことが可能になる。
<映像の他の使用例>
次に、撮影した映像の他の使用例や、予め準備した映像の使用例について説明する。先ず、正面側カメラ6Fで撮影した画像と、背面側カメラ6Rで撮影した画像を、前方スクリーン9で切り替えて再生させることで、ダンサーは自分たちの様子を、前方及び後方から客観的に把握することができる。
さらに、再生画像の所定位置(例えば画面の隅部など)には再生中のダンスにおけるエイト数が表示されるようにすることが可能である。また、エイト数の表示に関しては、前方スクリーン9を収納した状態で、鏡5にプロジェクション表示等を行うことで、ダンサーは、エイト数のカウントと自分達の様子を、画像処理に伴う時間的な遅れを伴うことなく、確認することができる。
また、有名な複数の舞台の袖(ソデ)、正面、後ろ等の様子を映像データとして登録しておき、これらの様子を、前方スクリーン9や後方スクリーン13に表示することが可能である。さらに、前方スクリーン9や後方スクリーン13に、観客席に、例えば満員の観客が存在する様子の映像を表示し、発表の際の状況に慣れながらスタジオ1内で練習を行うことも可能である。
また、有名な複数の舞台のバミリの位置を登録しておき、LEDポインタ16をオン・オフして、床2上に再現することも可能である。また、有名な舞台のバミリの位置を、前方スクリーン9や後方スクリーン13に表示することも可能である。さらに、床2にディスプレイ等の床面映像表示設備(図示略)を設け、この床面映像表示設備に、有名な舞台のバミリの位置やヘソの位置を表示することも可能である。
<その他の練習支援機能>
次に、本実施形態の練習支援システムに備えることが可能な他の各種機能について説明する。以下に説明する各種の機能は、いずれも、ダンス練習を行う者の練習負担の軽減を目的とするものであり、ここでは先ず、ダンス練習中の支援を行うための練習中支援機能について説明する。
この練習中支援機能の1つとして、スタジオ1の所定の壁面に、ロッカー設備(図示略)を備えることを例示できる。このロッカー設備については、ダンサーが、スタジオ1に持ち込んだ荷物を収容できるようにすることが可能である。さらに、このロッカー設備として、所定数(例えば10個以上)の数のロッカーを備えることが可能である。また、ロッカー設備としては、金銭の消費を必要としないフリーロッカーの設備が採用されている。また、フリーロッカーの設備としては、各ロッカーについて金銭取扱機器(図示略)を備え、この金銭取扱機器により、練習者が施錠時に投入した金銭(例えば100円コイン)を、開錠時に返却するものを例示できる。また、フリーロッカーの設備は、上述のような金銭取扱機器を備えず、金銭の投入を行わなくても施錠及び開錠が行えるものであってもよい。
また、スタジオ1の天井3には空気調和機を構成する埋め込み式の室内機(図示略)を備え、スタジオ1内の空気を、室内機により吸入及び吐出し、室内機に通して循環させることが可能である。そして、空気調和機により調整された所定温度の調整風(冷風又は温風)を、天井3からスタジオ1内に供給し、スタジオ1内の気温を調節することが可能である。また、スタジオ1の壁面には、例えば冷風を吹き出す空気吹出口を複数設けることが可能である。
さらに、スタジオ1の壁面には、所定数(例えば10個以上)のドリンクホルダを(図示略)備え、このドリンクホルダの周囲に、上述の空気吹出口を配置することが可能である。そして、ドリンクホルダに保持された練習者の飲物容器(所謂PETボトルや水筒など)に向けて、上述の空気吹出口からの冷風を吹き付けることが可能である。
なお、空気吹出口にドリンクホルダ付きのグリル(網)を装着することなどが考えられる。また、空気吹出口とドリンクホルダの位置を離間させ、空気吹出口からの冷風がその勢いにより、ドリンクホルダに保持された飲物容器に到達するようにしてもよい。さらに、空気吹出口は、所定の壁面の一部(床から50〜1m程度の高さの部位)に集約して配置されていてもよい。また、空気吹出口は、スタジオ1の一部の壁に限らず、全ての壁(例えば4面)に設けられていてもよい。さらに、空気調和機の暖房運転時には、空気吹出口から温風を吹き出すようにしてもよい。
また、スタジオ1の床には、床暖房設備を内蔵することが可能である。そして、例えば冬の寒い日などには、ダンス練習前に床暖房設備を作動させることにより、練習者が床に着座した状態や横臥した状態で行うストレッチを、比較的即座に、温かい環境で行うことができる。また、ダンス中の練習者の開脚時に、床面との接触によって足が冷えてしまうのを防止することができる。
さらに、鏡5について、内部や裏面に電熱線を設けるなどして、曇りが生じないようデフ(デフロスタ)機能を付加することが可能である。また、スタジオ1における出入口のドアを、ドアノブを手指で操作することが必要なタイプのものとした場合は、ドアノブに線電気対策のアースを施したり、放電作用の高い材質を用いたりするなどして、冬の静電気による電撃を感じることがないよう対策しておくことも可能である。
さらに、スタジオ1の天井3にもディスプレイ等の映像表示設備(天井映像表示設備)を設置し、正面側カメラ6Fや背面側カメラ6Rで撮影した動画を、例えば、リアルタイムで天井3の映像表示設備に表示することが可能である。このようにすることで、スタジオ1の後方にいるダンサーも、全体の様子を視認しながら練習を行うことが可能となる。この場合には、撮影した画像に対して可能な限り画像処理を施さず、迅速に映像の表示を行うことが考えられる。
また、例えば、スタジオ1の入口やその他の所定位置に、靴底に摩擦力調整剤(粉末状の例えばベビーパウダーなど)を塗布するための設備を設置することが可能である。摩擦力調整剤は、ダンスシューズにおける適度なグリップ感と滑り感(スライド感)とを両立させるために用いられるものである。そして、この摩擦力調整剤の塗布設備としては、所定の容器に入った摩擦力調整剤を靴で踏むだけで、靴底に摩擦力調整剤を塗布できるようなものを考えることができる。さらに、摩擦力調整剤の塗布設備に、粘着性の剥離テープを巻回したローラを備え、摩擦力調整剤を靴底に付け過ぎた場合に、靴底を剥離テープの表面に接触させて、摩擦力調整剤の一部を除去できるようにすることが考えられる。
また、スタジオ1に託児ルームを隣接して設置し、ダンスの練習を行う保護者が、連れてきた幼児や児童の姿を目に入れながら練習できるようにすることが可能である。このように託児ルームを隣接して設けることにより、育児中の母親や父親、或いは孫の面倒をみている祖父母などであっても、限られた時間を活用してダンス練習に参加できるようになる。
さらに、前述のスタジオ内サーバ21(図6(a)参照)に蓄積された動画データに基づき、所定の画像再生ソフトを介して再生画像のデータをプロジェクタ14に送信し、前述の前方スクリーン9や後方スクリーン13に、撮影した練習風景を映し出すことが可能である。また、スタジオ内サーバ21を介して、撮影した動画データを、前述の携帯端末23にストリーム配信(ストリーミング配信)できるようにすることが可能である。このようなストリーム配信を行うことにより、スタジオ1内での練習の様子を、ダンサーがほぼリアルタイムで確認できるようになる。
また、例えば、携帯端末23に所定の動画再生用のアプリケーションソフトをインストールし、操作者が表示画面を見ながら、当該アプリケーションソフトの操作入力を行えるようにすることが可能である。この動画再生用のアプリケーションソフトとしては、スローモーション機能、一時停止機能、巻き戻し機能、早送り機能などを備えたものを例示できる。そして、動画の巻き戻し、及び、早送りは、ダンス音楽のエイト数を指定して行えるようにすることが考えられる。このようにすることで、エイト数を指定して、確認したい振りの検索(サーチ)や、サーチした振り以降の動画の再生が容易に行えるようになる。
ここで、撮影した動画のデータを、例えば、スタジオ内サーバ21や、携帯端末23、或いは、その他のPC(パソコン)などから、インターネット回線32を介して、動画配信用のWebサイトにアップロードしてもよい。そして、その場合は、動画配信用のWebサイトを経由して、練習動画を前方スクリーン9や後方スクリーン13に表示することが可能である。また、携帯端末23に撮影機能が備えられている場合には、携帯端末23からWebへの接続を行って、撮影した練習動画を動画配信用のWebサイトやストリーム配信用のWebサイトにアップロードすることも可能である
また、例えば、スタジオ内サーバ21などから固有のURLをダンサー向けに発行し、URLの発行を受けたダンサーに限り、動画を自分のスマートフォン等の携帯端末(図示略)で閲覧できるようにすることも可能である。さらに、上述のURLの発行を練習中に行えるようにし、ダンサーが、練習中における直前の様子を、自分の携帯端末を用いて確認できるようにすることが考えられる。
また、所定のダンサーがグループ設定を行えるようにし、グループのダンサーが1つの動画を共有できるようにすることが考えられる。さらに、動画にコメントを付与できるコメント機能や、動画を見ながら会話できるチャット機能(練習中のチャット機能)を備えることも可能である。このようにすることで、複数人でコメントを共有しながら、動画の確認を行うことができる。
さらに、練習中に、ダンス曲(ダンス音楽)の音量調整を行えるようにすることが可能である。練習中の音量調整の態様としては、例えば、ダンス曲の再生中における所定期間中に、所定の音が所定回数検出されると、ダンス曲の音量が所定量低減される、といったものを例示できる。例えば、所定期間を3秒とし、所定の音としては、手を叩く音などを例示できる。また、所定回数を3回とし、音量の低減量は70%程度とすることが考えられる。そして、このようなダンス曲調整機能を備えることにより、例えば、ダンス練習中において、導者が3秒以内に3回以上手を叩くと、自動的にダンス曲の音量が低減される、といったことが可能となる。
また、手を叩く音の識別手法としては種々のものを採用可能である。例えば、事前に手を叩く音のサインプリングデータを基準データとして記憶しておき、実際に手が叩かれた場合に、スタジオ1の壁面等に設置した所定のマイクにより拍手音を検出する。さらに、基準データと検出した音に対し、所定の判断要素(例えば周波数や音圧など)についての比較を行い、比較結果が所定程度に達していた場合に、手が叩かれたことを判定する、といったものを例示できる。
また、単に音の大きさを検出して、検出結果が所定値に達していた場合に、手が叩かれたことを判断する、といったものも採用が可能である。さらに、音の検出感度や、音量の低減値を、例えばスタジオ内サーバ21や携帯端末23上で人手を介して調節できるようにすることも可能である。また、指導者やダンサーが、例えば3秒以内に連続で、所定音量以上の大きな音の拍手を5回行うと、自動的に音楽が止まる、といったものも考えることができる。
また、ダンス曲調整機能には、ダンス曲の再生速度調整機能を備えることも可能である。この場合には、例えば、スタジオ内サーバ21や携帯端末23上での人手を介した操作により、ダンス曲の再生速度を高めたり低下させたりすることが考えられる。これにより、例えば、指導者がダンス曲の再生速度を、練習中のダンサーの技能の程度に合わせて調整する、といったことが可能になる。また、これらの音量調整機能や再生速度調整機能を、前述したような動画再生用のアプリケーションソフトに集約させて備えることも可能である。
<仮想バトル(Virtual Battle Atmosphere)機能>
また、その他の練習支援機能として、仮想バトル機能を考えることができる。この仮想バトル機能としては、例えば、環状(サークル状)に床2に照明(SUS)を当て、例えば前方スクリーン9(又は後方スクリーン13)に観客の映像を表示し、サークル内で舞台を想定しながら、ダンスバトルを行えるようにするものが考えられる。さらに、所定の大技が出たときに、自動的にスピーカから歓声が上がる機能を付加することも可能である。また、人工知能で過去の実際のバトルを学習させ、大技を判断した場合には歓声が上がる、といった機能を備えることも可能である。
<ダンサー向け管理者機能>
次に、ダンサー向け管理機能について説明する。ダンサー向け管理者機能には、ダンサー登録機能、グループ管理機能、音源登録機能、発表内容表示機能などを含めることが可能である。これらのうち、ダンサー登録機能においては、例えば、所定の代表者が、発表会への各出演者の名前を登録できるようになっている。
このダンサー登録は、例えば、スタジオ内サーバ21や携帯端末23などからアクセスしたWeb上で行うことが可能である。そして、Web上での操作により入力されたダンサーのデータ(氏名など)が、所定の外部サーバ(図6(a)中のスタジオ外サーバ33やWebサーバ34など)に記憶される。
前述のグループ管理機能には、チャット機能が備えられており、上述したようなダンサー登録機能により作成されたダンサーのデータ(ダンサー識別データ)を用いて、グループを形成することが可能となっている。そして、形成されたグループ内で、メッセージのやり取りを行うことが可能となっている。このようなチャット機能を実現するために、所定のプラグラム言語を利用した専用のアプリケーションソフトを作成することが可能である。また、HTML5の通信規格を利用してチャット機能を実現することも可能である。このチャット機能には、過去チャット内容履歴表示機能が備えられており、グループ形成後に途中から参加した者が、過去のチャット内容を閲覧できるようになっている。さらに、このようなチャット機能は、前述した練習中のチャット機能にも適用が可能なものである。
前述の音源登録機能においては、例えば、振付者が、ダンス曲となる楽曲の音源をアップロードし、音源を登録することが可能となっている。また、音源登録機能にはエイト数カウント機能が備えらており、このエイト数カウント機能においては、登録された音源に対し、エイト数の開始位置に係るデータを追加できるようになっている。そして、エイト数の開始位置を追加した後には、開始位置を起点としてエイト数のカウントが行われ、エイト数に係る表示や音出力が自動的に行われる。
前述の発表内容表示機能においては、ダンサーの立ち位置と、任意の時点でのエイト数に応じて、出演者を画面上に配置することが可能となっている。より具体的には、例えば、振付者の携帯端末23における画面で、人間型にデザインされたアイコン(ダンサーアイコン)を、ドラッグアンドドロップして、ダンス開始時の立ち位置となる所定の位置に配置できるようになっている。
このとき、ダンサーアイコンの位置データと、音源のエイト数(ここでは0)とが関連付けられて記憶される。ここで、ダンサーアイコンのドラッグアンドドロップは、例えば、タッチパネル上で、操作者がダンサーアイコンに対してダブルクリックを行い、クリックの2回目は指を離さずにそのまま指をドロップしたい位置へスライドさせることなどによって行うことが可能である。また、ダンサーアイコンの位置データと、音源のエイト数との関連付けは、例えば、互いに共通の値のデータを割り当てることなどによって行うことが可能である。
さらに、ダンサーアイコンの位置は、ダンサーアイコンに対するドラッグアンドドロップにより、次の位置へ移動させることが可能である。また、移動先の位置においても、前述のダンス開始時の場合と同様に、音源再生ボタン、そのときのエイト数(移動エイト数)の入力を行うことが可能である。そして、これ以降も同様に、ダンサーアイコンを移動させながらエイト数を入力し、一連のダンスの終了までについて、ダンサーアイコンの位置と、対応するエイト数との関連付けを行うことが可能である。
ダンサーアイコンは、画面上に複数表示することが可能となっている。複数のダンサーアイコンは、複数のダンサーがダンスを行うことを表している。複数のダンサーアイコンの視覚上の区別は、ダンサーアイコンの彩色や形状のデザインを異ならせることにより可能である。また、ダンサーアイコンに、顔や衣服などの表示を行えるようにし、顔や衣服などの相違によって、ダンサーアイコンの区別を行うことが可能である。
さらに、このように一連のダンスの全ての期間について、単数又は複数のダンサーの位置を入力し、入力終了操作を行うと、一連のダンスの全てについての入力が完了し、楽曲の再生ボタンが有効化されて使用可能となる。そして、例えば振付者が上述の再生ボタンを操作すると、入力されたダンサーアイコンが、楽曲が進行してエイト数が増加するのに合わせて、エイト数に対応付けらえた立ち位置に移動するようになっている。そして、エイト数のカウントカウントに応じて、ダンサーの配置が、ダンサーアイコンを用いたアニメーションとして表示される。
画面の所定の位置(例えば画面のいずれかの隅部など)には、ダンスの振り(振付)を表示するためウインドウ(小窓)を出現させることが可能となっている。そして、このウインドウには、再生されている楽曲に合わせた振りが、楽曲の進行に合わせて表示されるようになっている。つまり、画面上には、楽曲の出力に合わせて、ダンサーアイコンが移動する表示と、ダンスの振りの表示とが同期してともに表示されるようになっている。これにより、振付者やダンサーが、ダンサーの立ち位置と振りを互いにリンクさせて記憶する作業を支援できるようになっている。
なお、振りの映像は、ダンサーアイコンのアニメーションの入力が終わってからアップロードできるようになっている。このため、振りの映像の後付けが可能であり、例えば、振り内容の細部を決め兼ねているような状況においても、振りの変更を行う度に、後付けで振りの映像を更新していくといったことが可能である。
また、画面上の画像は、静止画像の状態で頒布できるようになっている。例えば、所定のタイミングでの立ち位置の静止画像にURLを発行して割り当てることが可能である。そして、ダンサー出演者が、各々で携帯端末などを用いてこのURLにアクセスし、立ち位置の静止画像を確認する、といったことが可能である。ここで、このURLに対応付けらえた画像に対して、閲覧者がコメントを入力できるようにすることが可能である。
なお、静止画像をプリンタで印刷し、印刷物をダンサーに配布してもよい。また、立ち位置を示すアニメーション(ここでは振りの映像を含む)を所定の動画データとして記憶し、この動画データにURLを割り当てるようにしてもよい。
<チケット管理機能>
次に、チケット管理機能について説明する。このチケット管理機能は、配布管理機能や集金管理機能を含んでいる。これらのうち、配布管理機能においては、1人の出演者について割り当てられたチケット(ノルマチケット)のうち、未だ売れていないチケット(余りチケット)と、所有者である出演者とが関連付けられている。そして、出演者毎に、未だ売れていない枚数(残数)を表示可能となっている。
さらに、この配布管理機能においては、特定の出演者に係る残数のデータの一部や全てを、他の特定の出演者に移動させることが可能となっている。そして、出演者間でチケットをシェアし合うことが可能であり、各出演者間で互いにチケットの融通が行われたとしても、各出演者のチケットデータの変更により、チケットの配布管理を継続して行えるようになっている。
さらに、配布管理機能には、乱数抽選によるくじ引き機能が備えられている。そして、未販売のチケット(その時点で売れ残っているチケットなど)について販売を希望する者(販売希望者)が複数存在する場合は、販売希望者を参加者にしたくじ引きを行い、当たりデータに対応する販売希望者が、販売に係る第1権利を得る。さらに、この第1権利を得た販売希望者に割り当てられたチケットのデータが、第1権利を得た販売希望者に係るデータとして記憶される。
また、上述のくじ引き機能においては、最初のくじ引きにはずれた販売希望者が複数存在する場合には、第2回目のくじ引きが実行され、この第2回目のくじ引きで当りを引いた者が第2権利者となる。さらに、くじ引きにはずれた販売希望者が所定数(例えば1人)になるまでくじ引きが繰返され、第3権利者以降の権利者が予め決定される。そして、第1権利を得た販売希望者が、販売権の取得を辞退した場合には、余りチケットに係るデータが、第2権利者へ移行される。
同様に、第2権利者以降の権利者が販売権の取得を辞退した場合には、販売権は下位権利者(第3権利者以降の権利者)へ順次移行される。ここで、例えば、所定数(例えば10枚)を超える数の余りチケットが存在する場合に、当該所定数のチケットを第1権利者に割り当て、残りのチケットを当該所定数ずつ下位権利者に割り当てるようにしてもよい。なお、上述のくじ引きを行う際には、例えばスロットマシンやルーレット、或いは、バトルゲームなどの所定の演出画像の表示や、演出音の出力などを行うことが可能である。
また、この配布管理機能には、販売希望者の募集を行うための販売希望者募集機能(以下「募集機能」と称する)が備えられている。この募集機能においては、所定の期間(時限)について、販売希望者の希望販売枚数を登録可能とし、時限が到来すると、新たな登録を禁止する。そして、この時限が到来するまでの募集期間中に登録を行った販売希望者のデータを対象として、前述のようなくじ引きを行う。
以上説明したような配布管理を行うことにより、チケットを迅速に販売することが可能となり、販売希望者のチケット配布に係る負担を軽減できる。そして、販売希望者は、生じた余力を、より質の高いダンス技能の習得に振り向けることができる。そして、販売希望者が、ダンス練習以外の作業に可能な限り煩わされることなく、効率良くダンス練習に取り組むことを期待できるようになる。
なお、前述のようなくじ引きにあたっては、例えば、多くの保有枚数を希望する者(多くのチケットの販売を希望するもの)を優位に取扱う機能を備えることが可能である。この場合は、販売希望枚数が所定数以上の者にはくじ引きを行わずに、希望する数のチケットのデータを割り当て、販売希望枚数が所定枚数に満たない販売希望者を対象として、前述のようなくじ引きを行う、といったことが可能である。さらに、販売希望枚数が所定枚数に満たない販売希望者が1人であったとしてもくじ引きを実行し、くじ引きに当選しなかった場合にはチケットデータの割り当てを行わない、といったことも可能である。
また、一旦チケットの配布を行い、配布結果の公表を行った後には、特段の配布管理を行わず、販売希望者間での人的な融通を認める、といった取り扱いを行うことも可能である。このようにすることにより、ある程度の配布管理を行ってチケットを監視下に置くとともに、その後は配布管理者の負担を軽減し、発表会のための他の作業に負担を振り向けるといったことが可能になる。
また、未登録のチケットが存在する場合に、当該チケットのデータを追加で登録し、販売希望者への割り当てを行ってもよい。さらに、販売希望者の登録は立候補制とし、自ら申し出た販売希望者のデータを販売管理者が入力するようにしてもよい。また、販売希望者に、自らを登録する権限を与え、販売希望者が認証の後に、自分のデータ登録のための入力を行えるようにしてもよい。
前述の集金管理機能は、チェックボックスへの入力に基づき入金管理を行うものとなっている。そして、入金があったことを確認した者(幹事)は、チェックボックスにチェックを入れて、集金管理データのアップデイトを行う。この集金管理のためのデータアップデイトは、チェックボックスへの入力があった日時をデータの更新日時(ここでは入金日時として取扱う)とする。そして、更新日時の表示が行われ、支払いを行ったユーザ(チケット購入者)へメールで、入金を確認したことを通知する。ここで、データアップデイトする前に、入金の確認画面を表示し、幹事が、入金内容(氏名や金額など)に間違いがないかを確認できるようにしてもよい。このようにすることで、幹事のダンス練習のための時間の確保が容易になる。
<衣装管理機能>
次に、衣装管理機能について説明する。この衣装管理機能においては、発表会における衣装として選択されているTシャツ等の画像を、各種の端末に備えられた画面に表示する。表示される画像データは、衣装の販売者等が提供しているものであってもよく、或いは、ダンサーが撮影してきたものなどであってもよい。また、この衣装管理機能においては、投票機能が備えられており、衣装について採用可能な複数の候補がある場合に、複数の投票希望者による投票によって、例えば多数決で衣装を決定するようになっている。
さらに、このような衣装管理に係る金銭管理のために、前述したような集金管理機能を利用し、幹事が、各ダンサーからの入金があったことを確認した場合に、チェックボックスにデータ入力して、集金管理を行うことが可能である。
<次回予告機能>
次に、次回予告機能について説明する。この次回予告機能には掲示板機能が備えられており、この掲示板機能においては、発表会の終了後に他のイベント(発表会など)を控えているダンサーが、次回のイベントの情報を入力して告知を行えるようになっている。告知の内容としては、次回のイベントの概要や、次回のイベントを紹介したWebサイトのURLなどを例示できる。
さらに、この掲示板機能においては、Webサイトの閲覧者が、Webページに掲載された情報に対して好評価していることを入力するためのボタン(所謂「いいね」ボタンなど)の表示が行われる。また、この掲示板機能には、閲覧者によるテキスト入力が可能なコメント入力欄を表示するコメント入力機能や、閲覧者が自らの意思に適したイラスト(所謂スタンプ)を選択して入力し意思表示を行うためのスタンプ機能などが備えられている。
<イベント終了管理機能>
次に、イベント終了管理機能について説明する。このイベント終了管理機能においては、終了したイベント(ここではダンス発表会)に係る情報が、イベント終了日から一定期間(例えば1週間など)が経過すると自動的に削除される。ここで、イベント終了日からWebページが削除されるまでの間に、WebページをPDFデータ化し、イベントに係る最終内容を印刷物又はPDFファイルとして、ダンサーに配布するようにしてもよい。このようにすることにより、イベントに係る情報に個人名や画像(動画を含む)などの個人情報が含まれていても、これらの情報が過剰に長期にわたり閲覧可能な状態となることを防止でき、個人情報の保護が可能となる。
<打ち上げ管理機能>
次に、打ち上げ管理機能について説明する。この打ち上げ管理機能は、発表会の終了を祝う宴会(所謂「打ち上げ」)の幹事を務める者(打ち上げ幹事者)向けの管理機能である。そして、この打ち上げ管理機能においては、打ち上げの会場となる飲食店などに係る情報の登録と表示や、予算(ここでは各参加者が支払うべき会費など)の掲示が行われるようになっている。また、所定の入力操作(クリックなど)により、リンクした打ち上げ会場に係るWebサイトを表示し、Webサイト内の写真の閲覧や、動画のプレビューが行えるようにしてもよい。なお、この打ち上げ管理機能を利用して謝礼管理を行うことも可能である。
<置きチケ管理機能>
次に、置きチケ管理機能について説明する。この置きチケ管理機能は、所謂「置きチケ」の管理を行うためのものであるが、ここでは「置きチケ」は、発表会当日よりも前の期間において販売される前売りチケットのうち、予約受付後に購入者に引渡しするまで、チケット販売者の側で管理しておくチケットのことを意味している。そして、このような「置きチケ」は、一般には、チケット販売者側で受付ける場合と受付けない場合とがあるが、受付けがされる場合には、置きチケ管理機能が販売者において使用されることになる。
この置きチケ管理機能においては、チケット販売者の入力操作により、例えば、チケット購入者のデータ、鑑賞対象となる発表会データ、チケットデータが関連付けられて置きチケデータが作成され、この置きチケデータが記憶される。ここで、対象となる発表会が、昼の部と夜の部に分けて行われるような場合には、この昼の部や夜の部等のデータ(開催種別データ)も併せて記憶できるようになっている。また、チケットデータが上述の開催種別データを含んでいれば、開催種別データの入力は省略することができる。さらに、これらの置きチケに係るデータ(置きチケデータ)は、一覧として印刷又はPDF化され、置きチケ管理の依頼者(発表会主催者など)に提示される。
ここで、印刷データやPDFデータについて、購入者の名前に対応付けてチェック欄が記載されるようにすることが可能である。また、購入者の名前とチェック欄の印刷に関しては、封筒などへの貼付が可能なシール作成に利用することが可能である。例えば、予め主催者に、発表会場にPCとプリンタを用意しておくよう要請しておく。そして、発表会場に置かれたPCについては、シール印刷用のアプリケーションソフトをインストールしておく。このアプリケーションソフトは、本実施形態の支援システムに係るWebサイトからダウンロードできるようにすることが可能である。
そして、発表会場に置かれたプリンタには、シール印刷用の用紙をセットしておき、発表会場のPCを操作して、チケット購入者毎に、名前とチェック欄等が印刷されたシールを作成する。さらに、名前等の印刷がされたシールを封筒に貼り付けて準備しておき、チケット購入者が受け取りに来た際に、受付の者が、印刷された一覧を目視により確認しながら、該当する封筒を見つけ出す。そして、チケット代金の徴収を行い、封筒内のチケットを、封筒から取り出してチケット購入者に手渡すことが可能である。このとき、受付の者は、一覧と封用に貼付されシールについて、チケット購入者に対応するチェック欄にそれぞれチェックマークを記入することが可能である。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限られるものではなく、種々に変更することが可能である。例えば、本発明は、ヒップホップやストリートダンスに限らず、他の様々なジャンルのダンス練習に適用が可能である。また、各種の機能には、個人の認証機能を付加し、予め定められた者のみが、データベースの項目やデータに関する登録、変更、削除などを行えるようにすることが可能である。