JP2857610B2 - ダンス練習方法および装置 - Google Patents

ダンス練習方法および装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はダンス技術の習得を
効率良く行わせるダンス練習方法および装置に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】ダンスは足型を修得することは無論だ
が、それと共に、音楽に合わせて体全体を柔らかく滑ら
かに使いながら踊ることが肝要であるが、初心者はもち
ろん熟練者にとっても、その習熟は非常に困難であり、
無意識のうちに音楽から外れたり、体のバランスを崩す
ことも多い。
【0003】従来のダンスの足型練習装置としては、特
開昭58−11797公報や、実開昭64−37269
公報などに記載されているように、ダンスの足型を習得
させる為に、床面に大型ディスプレイ装置を設置し、ダ
ンス足型を電気的に表示しようとするものがある。床面
に足型図や練習台を置いて練習させるものとしては、特
開昭49−102428公報、実開平5−68572公
報などがある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記の従来の練習装置
は、音楽に合わせたダンスの複雑な体の動きを習得させ
るには十分ではない。また、ダンス会場が広い場合、そ
の形状に合わせた大型の装置が必要であるために実用性
にも乏しい面がある。更に、上記の足型練習装置等で
は、ダンス種目(ワルツ、タンゴ、ルンバ等をはじめ頻
繁に踊られるものでも10種類以上ある)は異なるもの
の、同一名称のダンスステップや類似した動作のステッ
プを相互に比較検討することは困難である。
【0005】ダンスの教師等が足型の組み合わせ(ダン
ス用語でアマルガメーションと言う)を考える場合、ダ
ンス会場の大きさや形状を念頭に置きながら紙と鉛筆で
思考錯誤を繰り返すことが一般的であるが、思考に時間
がかかるだけでなく、その場の状況に応じて臨機応変に
組み合わせを変えることも困難である。その上、練習に
際して、紙面に描かれたアマルガメーション図を教師等
が身振りを交えて説明しただけでは、音楽の拍子との関
係などを生徒に理解させることが容易でない為に、無駄
な時間が費やされることも多い。
【0006】ダンスに関しては、ビデオ映像等が世界の
一流プロからアマチュア愛好家に関するものまで巷に溢
れているものの、単なる鑑賞に終わることが多く、日頃
のダンス練習に活用されることはあまり無い。ゴルフ等
のある時点での極めて類似した動作が主となるスポーツ
においては、二つのビデオ映像を同一画面で比較検討す
る方法が、特開平7−144038公報や、特開平6−
114139公報などに記載されているが、ダンス映像
ではこのような単純な画像の比較では役に立たない。
【0007】その理由は、ダンス映像を比較検討する場
合、ゴルフや野球などと異なって、二つのダンス映像が
同一の音楽テンポで、且つ同一のステップ順序になるよ
うに配列されていなければ同じ画面上で比較する意味が
無いためである。そのため未だに、ダンス練習中のビデ
オ映像と理想的フォームのダンス映像とが同一画面で比
較検討されない結果、踊り手は自分の欠点が何処に有る
のか容易に理解することが出来ずに、効率の悪い練習を
繰り返していることが多い。
【0008】ダンスの練習に際して、教師は足型の組立
やダンスフォームの説明等に多大な時間が取られる上
に、踊り手も自分自身の体の動きを理想的フォームと比
較しながら練習できる手段や方法が無いために、いまだ
に教師等に姿勢を逐一注意してもらうという旧態依然た
る方法を取っている。ダンスがオリンピック種目として
検討されようとしている現在、ダンス技術を科学的に解
析し、且つ、町中のダンス教室等の練習においても手軽
に利用できる方法や装置の開発が望まれてきた。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決
するために、ダンス映像足型図を用いるダンス練習に
おいて、予めコンピュータの外部記憶装置に記憶してあ
るステップ単位のダンス映像および足型図を組み合わせ
て一連のダンス映像および足型図を形成して教示する。
あるいは、床面に形成した足型図を用いるダンス練習に
おいて、予めコンピュータの外部記憶装置に記憶してあ
るステップ単位の足型図を組み合わせてダンス会場の床
の形状データに応じた足型図を組み立て、前記床の形状
データに応じた足型図を前記ダンス会場の天井方向から
床面に投影する。また、ビデオカメラなどによる実写映
像を用いるダンス練習においては、予めコンピュータの
外部記憶装置に記憶してあるステップ単位のダンス映像
を前記実写映像と同一の音楽テンポで且つ同一のステッ
プ順序になるように配列して前記実写映像のダンスに対
応する一連の比較検討用ダンス映像を作成し、前記実写
映像および比較検討用ダンス映像を同時にディスプレイ
画面に表示する方法および装置である。
【0010】本発明の方法または装置によれば、従来の
方法や装置と異なって下記の如くの特徴を有し、ダンス
の練習を効率良く、しかも科学的に進めさせることが出
来る。 (1)ダンス会場の床の大きさや形状などをコンピュー
タに入力すれば、如何なるダンス種目の足型も好みに応
じて容易に組み立てることができ、更に、その理想的フ
ォームのダンス映像を足型図と共に、ディスプレイ画面
に表示できる。 (2)ディスプレイ画面に、ダンスステップ個々の足型
図やそれらを組み合わせたアマルガメーション図を、音
楽やリズム音と共に動的に表示できるので、ダンスの足
運び等を容易に理解させることが出来る。特に、ダンス
会場の床面に、ダンス足型図を天井方向から投影する方
法は、足型の動きを床面に直接示すことが出来るので、
より効果的である。 (3)ディスプレイ画面に、踊り手の練習中のビデオ映
像と、それと同じ足型で同一の音楽テンポで踊る理想的
フォームのダンス映像とを同時に表示できるので、踊り
手にその欠点を容易に認識させることが出来ると共に、
どのように改善すれば良いのかも一目瞭然とさせること
が出来る。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の方法または装置では、コ
ンピュータの外部記憶装置(例えばCD−ROMやDV
D−ROMなど)に、男性単独、女性単独および男女が
組んで踊る場合の各種目各個別のダンスステップ(ダン
スの専門用語ではフィガーと言われることが多く、それ
ぞれのステップに固有の名称が付けられている)につい
て、足型図や理想的フォームのダンス映像をリズム音と
共に予め記憶させておき、それら(以下、ダンスステッ
プのデータベースという)を任意に組み合わせてディス
プレイ画面に表示できる。
【0012】なお、ダンスステップのデータベースの内
容としては、ステップ名、足型図、フットワーク図、ス
テップの属性(回転角度、進行方向、標準的な歩幅によ
って進む距離など)、ステップ同志の繋ぎ易さ、ステッ
プの難易度(初級、中級、上級の区分け)、理想的フォ
ームのダンス映像などが基本であり、その他に、スウエ
イ(舞踏中に、男女の身体が右または左へ傾斜するこ
と)の方向、CBM(反胴運動といい、ステップする足
と反対側の身体を前方または後方へ振り出すこと)の有
無、各ステップに対する説明や注意なども付け加えてお
けば便利である。
【0013】また、音楽に関するデータベースとして
は、足型図やダンス映像と共に記録したリズム音の代わ
りにダンス音楽が使用できるように、各ダンス種目につ
いて代表的なダンス音楽を外部記憶装置に記憶させてお
く。その場合、リズム音やダンス音楽は、世界的な統一
規格であるMIDI(Musical Instrument Digital Int
erface)規格に基づいた方法で記憶させておくと便利で
ある。
【0014】
【実施例】以下、図面に従って本発明にかかる実施例を
詳細に説明する。図1は、本発明の一実施例を表す模式
的構成図である。図示した装置は、装置全体の制御を司
るコンピュータ1、映像内容を保持するフレームメモリ
2、ダンス映像や足型図を表示するディスプレイ3、ダ
ンス練習中に撮影したビデオ映像等をコンピュータに入
力するVTR4、ダンスステップのデータベースやビデ
オ映像等を保持する外部記憶装置5、及びダンス会場の
床面に、ダンス足型図等を天井方向から投影する足型投
影装置6から構成されている。
【0015】フレームメモリ2を使用したダンス映像の
画像処理には、現在市販されているパーソナルコンピュ
ータ程度のCPU(中央処理装置)では処理能力が不足
しているので、コンピュータ1のCPUには、画像信号
処理用のASIC(Application Specific IC)を用い
た。ダンス足型図等を天井方向から床面に投影する足型
投影装置6は、基本的にはディスプレイ3と併用するも
のであって、ダンス会場の事情で使用が困難な場合には
取り外すことも可能である。
【0016】図2は、ダンス足型図の例示であって、図
中のLOD(Line Of Dance の略号)はダンスを踊る方
向線であるが、この図の様に個々に名称が付けられたダ
ンスステップを合理的に組み合わせたものは、アマルガ
メーションと呼ばれている。アマルガメーションの作成
に必要な事柄を説明する為に、ダンス会場の平面図とダ
ンスの軌跡を図3に例示する。図3において、W・X・
Y・Zはダンス会場内の壁面を、また、A・B・C・D
はダンスを踊る方向線(LOD)を示しているが、踊り
手同志の衝突を避ける為に、ダンスは反時計廻りにLO
Dを変化させて進むことが原則なので、図でいうA〜D
の方向にダンスは進行する。
【0017】図2では男性の為のワルツのクォーター・
ターンズとクローズド・チェンジ、及びナチュラル・タ
ーンの三つのステップが組合わされたアマルガメーショ
ンを例示したが、これら三つのステップに限らず全ての
ダンスステップは進行方向や回転角度が決められている
(但し、ダンスパーティなどで大勢の人々が踊る場合
は、回転角度等を臨機応変に変える)ので、ダンス会場
の壁面までの距離やダンスを踊る方向線を考慮すれば、
種々のステップを合理的に組み合わせたアマルガメーシ
ョンが作成できる。
【0018】無論、各ダンス種目には非常に多くのダン
スステップがあるので、色々な組み合わせのアマルガメ
ーションが作成できるが、ステップの中には繋ぐことが
出来ないものがあったり、また逆にあたかも一つのステ
ップの如くに組み合わされて用いられるステップもある
ので、前述のデータベースには、全てのダンスステップ
について、他のステップとの繋ぎ易さに関する情報を書
き加えておいた。
【0019】また、頻繁に踊られる代表的なダンスステ
ップの組み合わせについては、アマルガメーションを組
み立てる際に用いると非常に便利であるので、三つから
五つ程度のダンスステップから構成されるそれらの組み
合わせ(以下、ダンスステップのブロックという)を予
め外部記憶装置に記憶させておいた。
【0020】なお、アマルガメーションの組立は、ダン
ス知識が豊富である上級者やダンス教師等によって行わ
れるのが一般的であるので、その組立を全てコンピュー
タに委ねるよりも、コンピュータの支援によって、それ
らの人々が頭の中で描いているアマルガメーションを、
コンピュータのディスプレイ画面に素早く表示しなが
ら、順次組み立てていく方法が合理的である。
【0021】以下、図4のフローチャートを参照しなが
ら足型の自動組立の実施形態の一例を、図中のS1から
S9の番号に対応させながら箇条書にして詳述する。 (S1)コンピュータのディスプレイ画面にダンス種目
とダンスステップの難易度(初級、中級、上級の区分
け)を表示させ、足型の組立を行いたいダンス種目と難
易度を選択する。その場合、例えば難易度として中級を
選択するということは、初級および中級者が踊れるダン
スステップの名称全てをデータベースから呼び出して次
項において列記させることを意味する。 (S2)ダンス種目と難易度を基に、該当するステップ
名を全てディスプレイ画面に表示させ、その中からアマ
ルガメーション(ステップの組み合わせ)に取り入れた
いステップ名を選び出す。 (S3)また、個々の踊り手の技量によって、ダンスス
テップの歩幅はかなり異なるので、データベースの標準
的な歩幅からずれて踊る場合には、標準的な歩幅に対す
る割合を歩幅係数として入力する。
【0022】(S4)ディスプレイ画面にダンス会場の
床情報(大きさや形状など)を書き込む為の入力エリア
を表示させ、そのエリアにダンス会場の形状や寸法を入
力する。 (S5)前項の床情報に基づいて、寸法が付記されたダ
ンス会場の平面図をディスプレイ画面に表示させ、ダン
スステップを開始する地点と進行方向を矢印で特定す
る。
【0023】(S6)上記のS2からS5で指定したス
テップ名やダンス会場の床情報等を基にしてアマルガメ
ーションを作成する為に、ディスプレイ画面にダンス会
場の平面図と共に、指定したステップ名を列記させる。
そして、最初のステップを選び出して、外部記憶装置に
記憶させた当該ステップの足型図を、前項で特定した開
始地点に表示させる。また、それに引き続いて、当該ス
テップに繋ぐことが出来るステップ名をディスプレイ画
面の一郭に列記させて、その中から次のステップを選択
し、その足型図を最初のステップの足型図に繋いで描か
せる。この操作を積み重ねて適当と思われるステップを
継ぎ足していけば、ダンス会場内を自由に動き廻るアマ
ルガメーションが、足型図を見ながら組み立てられる。
無論その際に、ダンスステップのブロックを併用すれ
ば、アマルガメーションがより簡単に作成できる。そし
て、この方法によって何通りものアマルガメーションが
作成できるので、それぞれのアマルガメーションには、
適当な番号を付ける。
【0024】(S7)前項で組み立てたアマルガメーシ
ョンの一部を変更したい場合には、変更したい部分を平
面図上で特定すると同時に、変えることが出来るステッ
プ名をコンピュータに列記させ、その中から適当と思わ
れるステップを選び出して変更を加える。また一方、既
に外部記憶装置に記憶させてあるアマルガメーションの
一部を変更して用いる場合には、ダンス会場の平面図で
ステップの開始地点を特定した後、その足型図を平面図
に書き込ませて、当該ダンス会場で利用できるように加
工する。すなわち、ダンスステップの一部が当該ダンス
会場の壁面から突き出てしまったり、適当でないステッ
プが含まれる場合には、その場所を平面図上で特定しな
がらステップを変更していき、ダンス会場内に納まる最
適なアマルガメーションへと変えて行く。 (S8)組み立てられたアマルガメーションにおいて、
個々の足型の動きを見るために、ダンスのリズム音に合
わせて足型の移動(色の変化で示す)をディスプレイ画
面に表示させる。なお、フットワーク(一歩一歩の足の
踏み出し方)に関しては、下記の実施例で詳述する。 (S9)好みのアマルガメーションについては、随時呼
び出しが出来るようにするために、適当な名称や番号を
付けて、コンピュータのファイル上に保存する。
【0025】上記の実施例では、現在行われているアマ
ルガメーションの組立方法を考慮して、コンピュータの
ディスプレイ画面にダンス会場の平面図を表示させ、一
つ一つのダンスステップをコンピュータと対話しながら
選び出して行く方式を取ったが、予め幾つかの条件を設
定した後、全てをコンピュータに委ねてアマルガメーシ
ョンの自動組立を行なう方法も勿論ある。
【0026】たとえば、S1からS5の操作を終えた時
点で、以下のような条件を設定すれば、全てをコンピュ
ータに委ねて、そこそこのアマルガメーションの自動組
立が可能である。 (1)アマルガメーションを構成するところのダンスス
テップの総数を決める。 (2)同じステップを何回も重複して用いると組み合わ
せが数限りなく出来るので、重複を許す回数を決める。 (3)前述したダンスステップのブロック(頻繁に踊ら
れる代表的なステップの組み合わせ)を、単独のダンス
ステップよりも優先して用いる。 (4)ダンス会場の平面図において、例えば図3のA・
B・C・Dで示される如くの基準線(ダンス軌跡の中心
線)を設定すれば、その基準線を中心にしてダンス会場
の中を反時計廻りに踊りながら一巡するところの両側に
壁を持つ細長い回廊を想定することが出来るので、その
壁に衝突しないようにステップを組み立てさせる。
【0027】以上の条件設定のもとで自動組立されたア
マルガメーションについても、上述した(S7)の操作
によって改良を加えれば、良好なアマルガメーションを
完成することが出来る。なお、上記の条件設定は、あく
までも一実施例であり、他の条件設定でもアマルガメー
ションの自動組立は無論可能である。
【0028】ダンスのフットワーク(片足または両足の
どの部分が床に接するか定めた足さばきのこと)を考え
る上で必要な足の各部分の名称を記した図面を図5に例
示する。ダンスを美しく踊る為には、図5で示した足の
トウ(つま先部分)とヒール(かかと部分)を正しい順
序で着地させるように足を踏み出すことが極めて重要で
あるので、本発明では、一歩一歩の足型についてディス
プレイ画面上に、動画(図5aに示した足の平面図で、
例えばトウからヒールに体重が移動する様子を色の変化
で連続的に表現する)として示し、フットワークを誰に
でも容易に理解できるようにした。
【0029】図5bに例示した足の側面図を用いて、フ
ットワークを動的に表現することも無論可能であるが、
足の側面図、平面図を問わず、フットワークを表現する
図面と上述したアマルガメーションを示す足型図とを、
ディスプレイ画面に同時に表示すれば、足型と足さばき
の関係が一目瞭然となりダンスの練習も効率よく行なえ
る。
【0030】ダンス足型図やダンス映像を映し出すディ
スプレイ画面(ブラウン管をはじめ液晶やプラズマディ
スプレイなど)は、通常のテレビの如くに壁と平行にな
るように置くのが一般的であるが、壁と平行な画面で足
型図を見てもダンスステップの進行方向や回転角度は分
かりにくいので、本などに記載された足型図を見る場合
は床面に平行にして見ることが多い。そこで、ダンス足
型図の表示の為に、大型ディスプレイ装置を床面に設置
する発明が前述した特開昭58−11797公報や、実
開昭64−37269公報などに記載されているが、ダ
ンス足型図を電気的に表示する目的の為だけに大がかり
な装置が床面に必要であることから現在全く普及してい
ない。
【0031】これに対して本発明では、ダンス会場の床
面には特別な加工を加えず、上述したダンスの足型図や
フットワーク図をダンス会場の天井方向から床面に投影
する方法を取ったが、天井部分に取り付ける足型投影装
置は小型であるので、取付けも移動も容易である。図6
は、本発明による足型投影装置6の一実施例を示す模式
的構成図である。図示した装置は、コンピュータ1に接
続した小型ディスプレイ7(液晶やプラズマディスプレ
イなど)と、ディスプレイに光を当てるための光源8、
及び映像をダンス会場の床面に結像させるためのレンズ
9から構成されている。そして、光源8から放出された
光が小型ディスプレイ7に当たり、このディスプレイ画
面を透過する光によって画面上の映像がレンズ9を通し
て床面に映し出される。
【0032】なお、図6には、光源8からの放出光が小
型ディスプレイ7を透過する光を用いるいわゆる透過型
の方式を記したが、光源の光をディスプレイ画面に反射
させる反射型の方式で、床面に映像を投影させても勿論
よい。また、ダンス会場の床面は、床面に投影される映
像が単なるダンス足型図やフットワーク図であって、そ
の動きさえ判れば解像度や明るさは多少低くてもあまり
問題にはならないので、白色に近いものが望ましいもの
の種々の材質を選択することが出来る。
【0033】ただ、この装置では天井と床面の間に存在
する物体は投影の邪魔になる為に、踊り手が床面に映さ
れた足型図を踏みながら練習することは出来ないが、も
ともと床面を見ながらダンスをすると姿勢が悪くなって
踊りにくいので、ごく初心者を除いて、そのような所作
はしないので実用上は差し支えない。一方、足型投影装
置によって床面に投影されたダンスの足型図やフットワ
ーク図は、教師等がダンスステップの進行方向や回転角
度などを説明する際に大きな手助けとなると同時に、足
型図は音楽に合わせてダンス会場の床面を自由自在に動
かすことが出来るので、中級者以上の踊り手のイメージ
トレーニングと足型の理解には、非常に役立ち便利であ
る。また更に、床面に投影された足型図は、通常のディ
スプレイ画面に表示されるダンス映像などと併用すれ
ば、ダンスの練習をより効率的に展開することが可能で
ある。
【0034】社交ダンス等は足型を修得することは無論
だが、それと共に、音楽に合わせて体全体を柔らかく滑
らかに使いながら踊ることが肝要であるが、ダンスの練
習に際して、教師等は足型の説明やダンスフォームの説
明などに多大な時間を費やしているのが現状である。そ
こで本発明では、コンピュータの外部記憶装置に、上述
の足型図だけでなく男性単独、女性単独および男女が組
んで踊る場合の各種目各個別のダンスステップについ
て、リズム音と共に理想的フォームで踊っているダンス
映像を予めデータベースとして記憶させておき、各人の
要望に応じてそれらを任意に組み合わせて、ディスプレ
イ画面に表示できるようにした。
【0035】ダンス映像としては、コンピュータ・グラ
フィクスによって作成した映像でも良いし、一流プロが
実際に踊るところをVTRカメラ等で撮影した映像でも
良いが、いずれにしても各ダンスステップの映像は任意
に組み合わせて用いるので、つなぎの部分で不自然さが
目立たないように加工・編集しておく必要がある。
【0036】ダンス映像はアマルガメーションを構成す
るステップの順番にしたがって、単独でディスプレイ画
面に映し出しても十分にダンス練習の参考となるが、例
えばダンス映像とダンス足型図を同一画面に表示すれ
ば、個々の足型とダンスフォームの関係を一目瞭然にす
ることが出来る。その他にも同一画面に表示して有用な
組み合わせが種々あるが、いずれにしても各ダンスステ
ップについて、男性単独、女性単独および男女が組んで
踊る場合のダンス映像、並びにその足型図やフットワー
ク図などがリズム音と共に外部記憶装置に記録されてい
るので、それらを適当に組み合わせてディスプレイ画面
に表示すれば、非常に多くの事柄を効率良く学ぶことが
出来る。
【0037】特に、この方法では、ビデオテープやCD
−ROMに単に収録されているダンス映像等を見るのと
違って、踊り手が各人の技量や練習課題に応じて、全て
の種目のダンス映像や足型図等を即座に組み合わせて比
較検討できるので、練習を進める際に利用すると非常に
便利で、ダンスの上達が促進される。更に、コンピュー
タ技術の目ざましい発展によって、その操作の基本とな
るプラットフォーム(情報基盤)も、ビデオテープなど
とは比べようもなく高性能化しており、種々の映像を組
み合わせて表示できるだけでなく、映像を任意の場所で
停止したり、逆転再生することなども容易に行なえるの
で、それぞれの練習目的に応じて多角的な検討が加えら
れる。
【0038】ダンス映像を比較検討する場合、ゴルフや
野球などと異なって、二つのダンス映像が同一の音楽テ
ンポで、且つ同一のステップ順序になるように配列され
ていなければ同じ画面上で比較する意味が無い。しかし
ながら、たとえダンス音楽が全く同じ曲であっても演奏
テンポは千差万別であり、それらの音楽に合わせて踊っ
たダンス練習中のビデオ映像等もテンポが異なるのが当
然であって、単にダンスステップの配列を同じにしただ
けでは、二つの映像を同一画面で比較検討することは出
来ない。
【0039】本発明では、各ダンス種目において標準的
な音楽テンポで踊っている理想的フォームのダンス映像
を、リズム音と共にデータベースに記憶させておき、V
TRカメラ等で撮影したダンス練習中のビデオ映像の音
楽テンポとステップの配列に合わせて、データベースの
ダンス映像をコンピュータで加工・編集した後、二つの
映像を比較するという方法をとった。
【0040】たとえば、ダンス種目がワルツの場合に
は、四分の三拍子で、1分間に28小節から32小節の
音楽テンポ(演奏される速度)で練習することが多いの
で、データベースには標準値である1分間に30小節の
音楽テンポで踊るダンス映像を記録しておく。そして、
比較したいビデオ映像が例えば1分間に28小節で踊っ
ている場合、その踊り手はデータベースのダンス映像よ
りも個々のステップをゆっくり踊っていることになるの
で、毎分30小節で踊っているデータベースの映像を毎
分28小節の遅い動きに変換する。すなわち、データベ
ースの映像(30フレーム/秒)を基に、ビデオ映像の
遅い動きに一致させた理想的フォームのダンス映像を、
コンピュータのフレームメモリ2によって新たに作成
し、ビデオ映像のダンスステップの配列順序で、外部記
憶装置5に記憶させて比較検討の際に用いた。
【0041】なお、時間的に連続した画像情報を画面毎
に順次記憶するところのコンピュータのフレームメモリ
を使用し、前後のフレームに記録された画像から動きベ
クトルを検出して、時間的に両者の中間に位置する画像
を新たに作成する方法は、テレビジョン方式の異なる映
像のフレーム数変換や映画フィルム(24コマ/秒)の
ハイビジョンTV画面(60フィールド/秒)への変換
技術などで公知であり、本発明でもその技術を利用し
て、それぞれのビデオ映像に合わせた踊る速度の異なる
ダンス映像を、データベースのダンス映像から加工・編
集して作成した。
【0042】本発明では、ハイビジョンTVなどに比べ
て画素数が遙かに少ない映像を取り扱うので、放送局に
おけるそれらの画像処理などの場合と比べて、演算速度
やフレームメモリの容量の低いコンピュータを使用して
も差し支えない。
【0043】図7のフローチャートを参照しながらダン
ス映像の比較検討の実施形態を、図中のS11からS1
5の番号に対応させながら箇条書にして詳述する。 (S11)ダンス練習中に撮影したビデオ映像等を、図
1のVTR4を通してコンピュータ1に取り込み、外部
記憶装置5に圧縮して記憶させる。 (S12)ビデオ映像のアマルガメーション(ダンスス
テップの組み合わせ)を解読する為に、コンピュータの
ディスプレイ画面に、ビデオ映像を読み出して再生する
と同時に、同画面に該当するダンス種目の全てのステッ
プ名をアルファベット順に表示させる。そして、ビデオ
映像を見ながらダンスステップの名称を順次特定して行
き、この作業が終了した時点で、ディスプレイ画面上に
アマルガメーションを構成するダンスステップ名を配列
の順序にしたがって列記させる。その際、特定したダン
スステップ名が正しいかどうか判断する為に、データベ
ースの足型図やダンス映像で、その組み合わせの妥当性
を確認するが、もしも間違えている場合には、その部分
を補正する。
【0044】(S13)次に、ビデオ映像の音楽テンポ
を解読する為に、再びコンピュータのディスプレイ画面
に、ビデオ映像を読み出して再生するが、その際はダン
ス音楽を注意深く聴いて、比較検討したい部分のアマル
ガメーションの最初と最後を特定する。この場合、最初
というのは、先頭のダンスステップが正に始まる瞬間で
あり、また、最後というのは、末尾のダンスステップが
正に終わる瞬間を意味している。これによって、特定し
たアマルガメーションの最初と最後の間に経過する時間
をコンピュータに計算させる一方、各ダンスステップに
必要な音楽の小節の数は決められているので、特定した
時間範囲とアマルガメーションを構成するダンスステッ
プの名称とから、1分間に演奏される小節の数すなわち
音楽テンポも自動的に算出できる。 (S14)データベースの理想的フォームのダンス映像
および上記のS12とS13で特定したステップ名と音
楽テンポの情報を基にして、ダンス練習中に撮影したビ
デオ映像と同一のアマルガメーションで、且つ同一の音
楽テンポの比較検討用ダンス映像を、前述した方法でコ
ンピュータに作成させ、その映像をリズム音と共に、外
部記憶装置に記憶させる。 (S15)比較検討用ダンス映像とビデオ映像を同一画
面で見比べる為に、コンピュータのディスプレイ画面
に、外部記憶装置に保管されている双方の映像を同時に
呼び出して表示し、ダンスのリズムの取り方や姿勢を詳
細に比較検討する。なお、その際に用いる音楽に関して
は、ビデオ映像と共に記録されたダンス音楽とするか、
あるいはリズム音とするかを事前に選択しておく。
【0045】上記の(S13)項は、ビデオ映像と共に
音楽が記録されていることを前提としているが、小型の
音楽再生用機器を携帯してダンス練習している姿をビデ
オ撮影した場合などには音楽が記録されていないので、
その場合には、踊る姿からアマルガメーションの最初と
最後を特定する。但し、踊る姿は無意識のうちに音楽か
ら外れていることが多いので、ビデオ映像はダンス会場
に音楽が流れた状態で撮影し、音楽を基準にアマルガメ
ーションの最初と最後を特定した方が良いことは言うま
でもない。
【0046】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、ダ
ンスの足型図やダンス映像等を任意に組み合わせてディ
スプレイ画面に表示できるだけでなく、ダンス練習中に
撮影した映像と理想的フォームのダンス映像を同一画面
に表示して、ダンスのリズムの取り方や姿勢を詳細に比
較検討できるので、ダンスの練習を科学的に、且つ効率
良く展開することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるダンス練習装置の模式的構成図
である。
【図2】足型図の説明図である。
【図3】ダンス会場の平面図とダンスの軌跡の説明図で
ある。
【図4】本発明の実施例における足型を自動組立する場
合のフローチャートである。
【図5】ダンスのフットワークを考える為の足の各部位
名称図である。
【図6】本発明の実施例における足型投影装置の一実施
例を示す模式的構成図である。
【図7】本発明の実施例におけるダンス映像を比較検討
する場合のフローチャートである。
【符号の説明】
1 コンピュータ 2 フレームメモリ 3 ディスプレイ 4 VTR 5 外部記憶装置 6 足型投影装置 7 小型ディスプレイ 8 光源 9 レンズ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) A63B 69/00 514 A63B 69/00

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ダンス映像足型図を用いるダンス練習方
    法において、予めコンピュータの外部記憶装置に記憶し
    てあるステップ単位のダンス映像足型図を適宜組み合
    わせて一連のダンス映像および足型図を形成して表示す
    ることを特徴とするダンス練習方法。
  2. 【請求項2】 床面に形成した足型図を用いるダンス練
    習方法において、予めコンピュータの外部記憶装置に記
    憶してあるステップ単位の足型図を組み合わせてダンス
    会場の床の形状データに応じた足型図を組み立て、前記
    床の形状データに応じた足型図を前記ダンス会場の天井
    方向から床面に投影することを特徴とするダンス練習方
    法。
  3. 【請求項3】 実写映像を用いるダンス練習方法におい
    て、予めコンピュータの外部記憶装置に記憶してあるス
    テップ単位のダンス映像を前記実写映像と同一の音楽テ
    ンポで且つ同一のステップ順序になるように配列して前
    記実写映像のダンスに対応する一連の比較検討用ダンス
    映像を作成し、前記実写映像および比較検討用ダンス映
    像を同時にディスプレイ画面に表示することを特徴とす
    るダンス練習方法。
  4. 【請求項4】ダンス映像足型図を用いるダンス練習用
    装置において、 (1)ステップ単位のダンス映像足型図を記憶する手
    段、 (2)記憶されている前記ステップ単位のダンス映像
    型図を適宜組み合わせて一連のダンス映像および足型図
    を形成して表示する手段を備えたことを特徴とするダン
    ス練習用装置。
  5. 【請求項5】 床面に形成した足型図を用いるダンス練
    習用装置において、(1)ステップ単位の足型図を記憶す
    る手段、(2)記憶されている前記ステップ単位の足型図
    を適宜組み合わせてダンス会場の床の形状データに応じ
    た足型図を形成する手段、(3)前記床の形状データに応
    じた足型図を前記ダンス会場の天井方向から床面に投影
    する手段を備えたことを特徴とするダンス練習用装置。
  6. 【請求項6】 実写映像を用いるダンス練習用装置にお
    いて、(1)ダンスの実写映像を記憶する手段、(2)ステッ
    プ単位のダンス映像を記憶する手段、(3)記憶されてい
    るステップ単位のダンス映像を前記実写映像と同一の音
    楽テンポで且つ同一のステップ順序になるように配列し
    て前記実写映像のダンスに対応する一連の比較検討用ダ
    ンス映像を作成する手段、(4)前記実写映像および比較
    検討用ダンス映像を同時にディスプレイ画面に表示する
    手段を備えたことを特徴とするダンス練習用装置。
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