JP6265267B2 - 熱処理レールの製造方法および製造装置 - Google Patents

熱処理レールの製造方法および製造装置 Download PDF

Info

Publication number
JP6265267B2
JP6265267B2 JP2016543821A JP2016543821A JP6265267B2 JP 6265267 B2 JP6265267 B2 JP 6265267B2 JP 2016543821 A JP2016543821 A JP 2016543821A JP 2016543821 A JP2016543821 A JP 2016543821A JP 6265267 B2 JP6265267 B2 JP 6265267B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cooling
rail
head
sec
temperature
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2016543821A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2016027467A1 (ja
Inventor
木島 秀夫
秀夫 木島
啓之 福田
啓之 福田
賢士 奥城
賢士 奥城
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Steel Corp
Original Assignee
JFE Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by JFE Steel Corp filed Critical JFE Steel Corp
Publication of JPWO2016027467A1 publication Critical patent/JPWO2016027467A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6265267B2 publication Critical patent/JP6265267B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C21METALLURGY OF IRON
    • C21DMODIFYING THE PHYSICAL STRUCTURE OF FERROUS METALS; GENERAL DEVICES FOR HEAT TREATMENT OF FERROUS OR NON-FERROUS METALS OR ALLOYS; MAKING METAL MALLEABLE, e.g. BY DECARBURISATION OR TEMPERING
    • C21D9/00Heat treatment, e.g. annealing, hardening, quenching or tempering, adapted for particular articles; Furnaces therefor
    • C21D9/0062Heat-treating apparatus with a cooling or quenching zone
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C21METALLURGY OF IRON
    • C21DMODIFYING THE PHYSICAL STRUCTURE OF FERROUS METALS; GENERAL DEVICES FOR HEAT TREATMENT OF FERROUS OR NON-FERROUS METALS OR ALLOYS; MAKING METAL MALLEABLE, e.g. BY DECARBURISATION OR TEMPERING
    • C21D8/00Modifying the physical properties by deformation combined with, or followed by, heat treatment
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C21METALLURGY OF IRON
    • C21DMODIFYING THE PHYSICAL STRUCTURE OF FERROUS METALS; GENERAL DEVICES FOR HEAT TREATMENT OF FERROUS OR NON-FERROUS METALS OR ALLOYS; MAKING METAL MALLEABLE, e.g. BY DECARBURISATION OR TEMPERING
    • C21D9/00Heat treatment, e.g. annealing, hardening, quenching or tempering, adapted for particular articles; Furnaces therefor
    • C21D9/04Heat treatment, e.g. annealing, hardening, quenching or tempering, adapted for particular articles; Furnaces therefor for rails
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C22METALLURGY; FERROUS OR NON-FERROUS ALLOYS; TREATMENT OF ALLOYS OR NON-FERROUS METALS
    • C22CALLOYS
    • C22C38/00Ferrous alloys, e.g. steel alloys
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C22METALLURGY; FERROUS OR NON-FERROUS ALLOYS; TREATMENT OF ALLOYS OR NON-FERROUS METALS
    • C22CALLOYS
    • C22C38/00Ferrous alloys, e.g. steel alloys
    • C22C38/02Ferrous alloys, e.g. steel alloys containing silicon
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C22METALLURGY; FERROUS OR NON-FERROUS ALLOYS; TREATMENT OF ALLOYS OR NON-FERROUS METALS
    • C22CALLOYS
    • C22C38/00Ferrous alloys, e.g. steel alloys
    • C22C38/04Ferrous alloys, e.g. steel alloys containing manganese
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C22METALLURGY; FERROUS OR NON-FERROUS ALLOYS; TREATMENT OF ALLOYS OR NON-FERROUS METALS
    • C22CALLOYS
    • C22C38/00Ferrous alloys, e.g. steel alloys
    • C22C38/18Ferrous alloys, e.g. steel alloys containing chromium
    • C22C38/24Ferrous alloys, e.g. steel alloys containing chromium with vanadium
    • EFIXED CONSTRUCTIONS
    • E01CONSTRUCTION OF ROADS, RAILWAYS, OR BRIDGES
    • E01BPERMANENT WAY; PERMANENT-WAY TOOLS; MACHINES FOR MAKING RAILWAYS OF ALL KINDS
    • E01B5/00Rails; Guard rails; Distance-keeping means for them
    • E01B5/02Rails
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C21METALLURGY OF IRON
    • C21DMODIFYING THE PHYSICAL STRUCTURE OF FERROUS METALS; GENERAL DEVICES FOR HEAT TREATMENT OF FERROUS OR NON-FERROUS METALS OR ALLOYS; MAKING METAL MALLEABLE, e.g. BY DECARBURISATION OR TEMPERING
    • C21D2211/00Microstructure comprising significant phases
    • C21D2211/009Pearlite

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Metallurgy (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Crystallography & Structural Chemistry (AREA)
  • Thermal Sciences (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Architecture (AREA)
  • Civil Engineering (AREA)
  • Structural Engineering (AREA)
  • Heat Treatment Of Articles (AREA)

Description

本発明は、熱間圧延された高温のレール、あるいは高温に加熱されたレールに対し、空気、水、ミスト等の冷却媒体を用いて強制冷却することにより、レールの頭部を微細なパーライト組織とする熱処理レールの製造方法および製造装置に関する。
鉄道用等に用いられるレールのうち、例えば石炭の天然資源採掘場等の厳しい環境下で用いられるレールは、高い耐摩耗性と高い靱性とが求められる。このようなレールは、レール頭部の組織が微細なパーライト組織からなることで、高い耐摩耗性、高い靱性および高い硬度を有する。頭部の組織が微細なパーライト組織となるレールは、一般的に以下の製造方法を用いて製造される。
まず、熱間圧延されたオーステナイト域温度以上のレール、あるいはオーステナイト域温度以上に加熱されたレールを、正立した状態で熱処理装置に搬入する。ここで、正立した状態とは、レールの頭部が上方、足裏部が下方になった状態をいう。レールを熱処理装置に搬入する際、例えば100m程度の圧延長のままレールを熱処理装置に搬入する場合や、レール1本当たりの長さが例えば25m程度の長さになるように切断(以下では、鋸断とも称する。)してから熱処理装置に搬入する場合がある。なお、レールを鋸断してから熱処理装置に搬入する場合、熱処理装置が鋸断されたレールに応じた長さのゾーンに分割されていることもある。
次いで、熱処理装置において、レールの足先部をクランプで拘束し、レールの頭頂部、頭側部、足裏部、さらに必要に応じて腹部を、冷却媒体を用いて強制冷却する。冷却媒体には、空気、水、ミスト等が用いられる。このようなレールの製造方法では、強制冷却時の冷却速度をコントロールすることにより、レールの内部を含めた頭部全体を微細なパーライト組織とすることができる。また、レールを強制冷却する際、レールの頭部の温度が350℃〜450℃程度となるまで冷却が行われる。
さらに、クランプでのレールの拘束を解除し、レールを冷却床まで搬送する。冷却床へ搬送されたレールは、室温程度になるまで冷却される。
レール頭部の組織としては、耐摩耗性の低いベイナイトや靱性の低いマルテンサイトでは、高い摩耗性と高い靱性とを同時に達成することが難しいため、頭部全体がパーライト組織を有する必要がある。また、パーライト組織のラメラー間隔が微細な組織である程、摩耗性及び靱性が共に向上するため、レール頭部の組織は、微細なラメラー間隔を有する必要もある。微細なラメラー間隔のパーライト組織とするためには、強制冷却時における冷却速度の設定が重要となる。
例えば、特許文献1には、質量%で、C:0.65〜1.2%、Si:0.05〜2.00%、Mn:0.05〜2.00%を含有していて残部がFeおよび不可避的不純物からなるパーライト系レールを製造する方法において、圧延温度と頭部累積減面率を規定し、その後、レール頭部表面を冷却速度2〜30℃/secで少なくとも550℃まで加速冷却又は自然放冷する方法が示されている。
また、特許文献2には、質量%で、C:0.60〜1.20%、Si:0.05〜2.00%、Mn:0.05〜2.00%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる熱間圧延後レールを、AまたはAcm線〜1000℃の温度を有したレール頭部表面を、冷却速度2〜20℃/secで450〜680℃まで急冷し、その後、AまたはAcm線〜950℃の温度域まで昇温速度2〜50℃/secで温度上昇させ、その後、当該温度範囲内で1.0〜900sec間保持し、さらにその後、冷却速度5〜30℃/secで450〜650℃まで加速冷却する方法が示されている。
さらに、特許文献3,4には、オーステナイト域から概ね600℃程度のパーライト変態温度まで30℃/sec以下の冷却速度で冷却した後、パーライト変態がほぼ終了するまで表面温度を保定し、その後、常温域まで冷媒を用いてできるだけ速く冷却する方法が示されている。
特開2008−050687号公報 特開2010−255046号公報 特許第5391711号公報 特許第3950212号公報
ところで、近年、パーライト系レールでは、頭部の硬度をより向上させるため、種々の合金元素が添加されるようになってきている。
しかし、特許文献1に開示された方法では、合金元素の添加量が増えた場合に、冷却速度範囲内のうち冷却速度が遅い領域において、十分な硬度向上効果を得ることができない。
また、特許文献2に開示された方法についても同様に、合金元素の添加量が増えた場合に、冷却速度範囲内のうち冷却速度が遅い領域において、十分な硬度向上効果を得ることができない。また、特許文献2に開示された方法では、冷却目標温度範囲のうち550℃以下の低温範囲において、表面の靱性が著しく低下するという問題があった。
さらに、特許文献3,4に開示された方法は、炭素量が0.85質量%以上の過共析鋼を対象としたものであるが、共析鋼についても同様に表層硬度を向上させることができる。一方、近年、レールの内部硬度および延性の向上が重要となっているが、特許文献3,4に記載の方法では、共析鋼の内部硬度および延性を十分に向上させることができなかった。
そこで、本発明は、上記の課題に着目してなされたものであり、種々の合金元素が添加され、頭部表層の硬度および靱性に優れた熱処理レールの製造方法および製造装置を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る熱処理レールの製造方法は、熱間圧延された高温のレール、または加熱された高温のレールの少なくとも頭部を強制冷却する際に、レールの頭部の表面温度がオーステナイト域温度以上の状態から強制冷却を開始し、強制冷却を開始してから表面温度が500℃以上700℃以下となるまで、10℃/sec以上の冷却速度で強制冷却することを特徴とする。
また、本発明の一態様に掛かる熱処理レールの製造装置は、レールの少なくとも頭部を強制冷却する冷却手段と、冷却手段を制御する制御部とを有し、制御部は、レールの頭部の表面温度がオーステナイト域温度以上の状態から強制冷却を開始させ、強制冷却を開始してから表面温度が500℃以上700℃以下となるまで10℃/sec以上の冷却速度で強制冷却させることを特徴とする。
本発明に係る熱処理レールの製造方法によれば、種々の合金元素が添加され、頭部表層の硬度および靱性に優れた熱処理レールを製造することができる。また、共析鋼の成分組成のレールについても、頭部表面でなく頭部内部の硬度や延性が改善できる。
本発明の一実施形態における熱処理装置を示す模式図である。 レールの各部位を示す断面図である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、実施形態という。)を、図面を参照しながら詳細に説明する。
<熱処理装置の構成>
はじめに、図1および図2を参照して本発明の一実施形態に係る熱処理レールの製造装置である熱処理装置2について説明する。熱処理装置2は、熱間圧延されたオーステナイト域温度以上のレール、またはオーステナイト域温度以上に加熱されたレールを強制冷却する装置であり、熱間圧延ラインの下流側、またはレールを加熱する加熱装置の下流側に連続して設けられる。
熱処理装置2は、図1に示すように、上部ヘッダ3と、下部ヘッダ4と、頭部温度計5と、足部温度計6と、クランプ7a,7bと、制御部8とを有する。ここで、図1および図2に示すように、レール1は、頭部1aと、足部1bと、腹部1cとからなり、頭部1aが上方および足部1bが下方に配された状態で熱処理装置2に搬入される。頭部1aは、上下方向の上端面である頭頂面1dと、左右方向の両端面でありそれぞれ対向する頭側面1e,1fとを有する。また、足部1bは、上下方向の下端面である足裏面1gを有する。なお、上下方向とは、レール1の長手方向に垂直な断面視において、腹部1cが延在する方向である。また、左右方向とは、レール1の長手方向に垂直な断面視において、上下方向に垂直な方向であり、頭部1aおよび足部1bが延在する方向である。
上部ヘッダ3は、一端面に設けられた不図示の複数のノズルからレールの頭部1aに冷却媒体を吐出することで主に頭部1aを冷却する冷却手段であり、不図示の配管を介して冷却媒体供給装置に接続される。冷却媒体には、空気、スプレー水、およびミスト等が用いられる。本発明の一実施形態における熱処理装置2は、図1に示すようにレール1の長手方向に垂直な断面視において、上部ヘッダ3として3個の上部ヘッダ3a,3b,3cを有する。上部ヘッダ3aは、ノズルが設けられた一端面が頭頂面1dに対向して設けられ、ノズルから冷却媒体を吐出することで頭頂面1dを冷却する。上部ヘッダ3b,3cは、ノズルが設けられた一端面が頭側面1e,1fにそれぞれ対向して設けられ、ノズルから冷却媒体を吐出することで、頭側面1e,1fをそれぞれ冷却する。
下部ヘッダ4は、一端面に設けられた不図示の複数のノズルからレールの足裏面1gに冷却媒体を吐出することで主に足部1bを冷却する冷却手段であり、不図示の配管を介して冷却媒体供給装置に接続される。冷却媒体には、上部ヘッダ3と同様に空気、スプレー水、およびミスト等が用いられる。下部ヘッダ4は、ノズルが設けられた一端面が足裏面1gに対向して設けられる。
上部ヘッダ3および下部ヘッダ4は、冷却媒体の吐出量、吐出圧、温度、さらに、冷却媒体がミストである場合には水分量のうち、少なくともいずれか一つが変更可能に構成される。また、冷却媒体の吐出量、吐出圧、温度および水分量は、後述するように、制御部8によって調整される。また、上部ヘッダ3および下部ヘッダ4は、レール1の長手方向の長さに応じて、レール1の長手方向に並んでそれぞれ複数設けられる。
頭部温度計5は、非接触型の温度計であり、頭部1aの表面温度として頭頂面1dの少なくとも一箇所の表面温度を測定する。
足部温度計6は、頭部温度計5と同様に非接触型の温度計であり、足部1bの表面温度として、足裏面1gの少なくとも一箇所の表面温度を測定する。
頭部温度計5および足部温度計6での測定結果は、制御部8へ送られる。
クランプ7a,7bは、レール1の長手方向に垂直な断面視において、足部1bの左右方向の端部をそれぞれ挟持することでレール1を固定する装置であり、レール1の長手方向に並んでそれぞれ複数設けられる。このため、クランプ7a,7bは、レール1が長手方向に曲がりを有する場合であっても、レール1を拘束することができる。例えば、クランプ7a,7bは、レール1の長手方向に並んで5m程度の設置間隔でレール1の全長に渡って設けられる。
制御部8は、頭部温度計5および足部温度計6の測定結果に基づいて、後述する冷却媒体供給装置を制御することで冷却媒体の吐出量、吐出圧、温度および水分量のうち少なくともいずれか一つを変更することで、レール1の冷却速度および昇温速度を調整する。ここで、熱処理装置2は、制御部8と上部ヘッダ3および下部ヘッダ4との間に、不図示の配管と、冷却媒体供給装置とをそれぞれ有する。冷却媒体供給装置は、上部ヘッダ3および下部ヘッダ4にそれぞれ配管を介して接続され、制御部の指示に基づいて吐出する冷却媒体の吐出量、吐出圧、温度および水分量のうち少なくともいずれか一つを変更可能に構成される。
<熱処理レールの製造方法>
次に、本発明の一実施形態に係る熱処理レールの製造方法について説明する。本発明の一実施形態に係る熱処理レールの製造方法では、まず、熱間圧延されたレール1、または加熱されたレール1が熱処理装置2に搬送される。熱間圧延されたレール1を用いる際には、予め鋼素材が加熱炉等で所定の温度まで加熱された後に、熱間圧延されることでレール1の形状に圧延加工される。一方、加熱されたレール1を用いる際には、予め、加熱炉や加熱装置等を用いてレール1が所定の温度まで加熱される。なお、所定の温度は、上記いずれの場合においても、頭部1aの表面温度が、後述する第1冷却工程における強制冷却の開始時において、オーステナイト域温度以上となる温度である。
レール1は、合金元素が添加された鋼であり、少なくとも合金成分としてCrを含有する。具体的に、レール1の成分組成は、質量%で、C:0.60%以上1.0%以下、Si:0.1%以上1.5%以下、Mn:0.01%以上1.5%以下、P:0.001%以上0.035%以下、S:0.0005%以上0.030%以下、およびCr:0.1%以上2.0%以下を含有し、さらに必要に応じてCu:0.01%以上1.0%以下、Ni:0.01%以上0.5%以下、Mo:0.01%以上0.5%以下、V:0.001%以上0.030%以下、Nb:0.001%以上0.030%以下、Ti:0.001%以上0.020%以下、Mg:0.005%以上0.1%以下、Zr:0.005%以上0.1%、Ca:0.0005%以上0.010%以下、およびREM:0.005%以上0.1%以下のうち少なくとも1種以上をさらに含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる。しかし、レールが、質量%で、C:0.60%以上1.20%以下、Si:0.05%以上2.00%以下、およびMn:0.05%以上2.00%以下をさらに含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなるような成分組成の場合、後述する第1冷却工程〜第2冷却工程による頭部1aの表層硬度の向上効果が小さくなる。このため、このような成分構成のレールにおいては、本実施形態に係る熱処理レールの製造方法の適用は好ましくない。なお、不可避的不純物とは、各種鉱石やスクラップなどの鋼の原材料に含まれるもの、鋼の製造工程において不可避的に混入するものである。
さらに、レール1の特に好ましい成分組成は、質量%で、C:0.75%以上0.85%以下、Si:0.5%以上1%以下、Mn:0.5%以上1%以下、Cr:0.5%以上1%以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる組成、あるいはさらにV:0.002%以上0.01%以下を含有する組成である。
以下、この成分組成が好ましい理由を説明する。なお、以下の説明において、各元素の含有量[%]は、質量%を意味する。
C含有量が0.75%未満となる場合、その効果が低下するため、C含有量は0.75%以上であることが好ましい。一方、C含有量が0.85%超となる場合、C含有量の増加にともないセメンタイト量が増加して、硬さや強度の上昇が期待できるが、逆に延性が低下する。また、C含有量の増加は、鋼組織がγ+θとなる温度範囲を拡大させ、これは溶接熱影響部の軟化を助長することに繋がる。このため、C含有量は0.85%以下であることが好ましい。
Siは、レール材精錬における脱酸、および、パーライト組織の強化に有用であるが、Si含有量が0.5%未満となる場合、その効果が薄れるため、Si含有量は0.5%以上であることが好ましい。一方、Si含有量が1%超となる場合、レール1の脱炭を促進させることや、レール1の表面疵の生成を促進させることから、Si含有量は1%以下であることが好ましい。
Mnは、鋼のパーライト変態温度を低下させ、パーライトラメラー間隔を緻密にする作用を有するため、Mnを添加することによりレール内部まで高硬度を維持し易くなる。Mn含有量が0.5%未満となる場合、その効果が低減するため、Mn含有量は0.5%以上であることが好ましい。一方、Mn含有量が1%超となる場合、パーライトの平衡変態温度(TE)を低下させるとともにマルテンサイト変態が生じ易くなるため、Mn含有量は1%以下であることが好ましい。
Crは、平衡変態温度(TE)を上昇させ、パーライトラメラー間隔の微細化に寄与する元素であり、Crを添加することで硬さや強度を上昇させる効果がある。また、Crは、Sbと併用して添加することで、脱炭層の生成抑制にも有効である。Cr含有量が0.5%未満となる場合、その効果が低減するため、Cr含有量は0.5%以上であることが好ましい。一方、Cr含有量が1%超となる場合、溶接欠陥の発生を増加させるとともに、焼入れ性を増加させマルテンサイトの生成を促進させるため、Cr含有量は1%以下であることが好ましい。
Vは、VCあるいはVNなどを形成してフェライト中へ微細に析出し、フェライトの析出強化を通して鋼の高強度化に寄与する元素である。また、水素のトラップサイトとしても機能し、レール1の遅れ破壊を抑制する作用を有するため含有させることができる。この作用を発現させるには、0.002%以上のVを含有させることが好ましい。一方、V含有量が0.01%超となると、それらの効果が飽和するのに対して、合金コストの上昇が甚だしいため、Vを含有させる場合には、V含有量は0.01%以下であることが好ましい。
レール1を熱処理装置2に搬送した後、レール1の足部1bがクランプ7a,7bに挟持されることで熱処理装置2に固定される。
次いで、上部ヘッダ3から冷却媒体が吐出されることで、強制冷却が開始される(第1冷却工程)。強制冷却の開始時点におけるレール1の頭部1aの表面温度は、オーステナイト域温度以上である必要があり、800℃以上となることが好ましい。強制冷却開始時点の温度がオーステナイト域温度以上、特に800℃以上となることで、頭部1aの表層硬度を高くすることができる。すなわち、強制冷却開始時点の表面温度を800℃以上とすることで、軟質なフェライト相の析出を抑え、硬度をより高く保つことができる。また、第1冷却工程では、強制冷却を開始してから頭部1aの表面温度が500℃以上700℃以下となるまで、10℃/sec以上の冷却速度でレール1が冷却される。ここで、第1冷却工程において、頭部1aの表面温度が500℃未満となるまで冷却してしまうと、ベイナイトやマルテンサイトといったパーライト以外の組織が生じるため、頭部1aの硬度や靱性が低下してしまう。
第1冷却工程において、制御部8は、頭部温度計5の測定結果から、頭部1aの冷却速度を算出し、冷却速度が10℃/sec以上となるように、冷却媒体の吐出量、吐出圧、温度および水分量のうち少なくともいずれか一つを段階的または継続的に変更する。第1冷却工程では、冷却速度を10℃/sec以上とすることでパーライト組織のラメラー間隔が微細になることから、頭部1aの表層硬度を向上させることができる。また、このときの冷却速度は、設備能力が十分であれば20℃/sec以上とすることが好ましく、さらに30℃/sec以上とすることがより好ましい。冷却速度が大きいほど、ラメラー間隔がより微細になるため、表層硬度が向上する。さらに、10℃/sec以上の冷却速度を得るための好適な冷却媒体として、スプレー水またはミストを用いることが好ましい。なお、第1冷却工程において、不可避的に冷却速度が10℃/secを下回ることがあっても、第1冷却工程を通して平均の冷却速度が10℃/sec以上となっていれば差し支えはない。
第1冷却工程の後、レール1は、頭部1aの表面温度が均熱になるように均熱処理される(均熱工程)。均熱工程の際、制御部8は、−5℃/sec以上5℃/sec以下となるように冷却速度を調整する。冷却速度の調整方法は、第1冷却工程と同様である。冷却速度におけるマイナスは、パーライト変態に伴う発熱量が、冷却媒体による冷却能よりも高いために昇熱している状態である。均熱工程では、冷却速度が上記範囲内となる緩冷や昇熱を含む均熱処理が行われることで、頭部1aの表面においてパーライト変態が進行する。さらに、上記の冷却速度の範囲の中でも、冷却速度を−2℃/sec以上2℃/secとすることが好ましい。
均熱工程では、冷却速度を上記範囲とすることにより、頭部1aの表層組織を高硬度のパーライト組織にすることができる。なお、第1冷却工程から均熱工程に移行する際、不可避的に冷却速度が徐々に低下する状態が発生してもよい。但し、均熱中に表面温度が500℃を下回らないようにすることが好ましい。
また、均熱工程は、レール1の頭部1aのパーライト変態が終了するまで行われることが好ましい。ここで、パーライト変態の終了は、急激な温度低下として顕在化する。このため、この急激な温度低下を頭部温度計5の測定結果から検出することにより、パーライト変態の終了を検出することができる。
均熱工程の後、レール1は、頭部1aが20℃以上450℃以下となるまで強制冷却される(第2冷却工程)。この第2冷却工程における強制冷却後の頭部1aの表面温度である冷却停止温度は、50℃以上とすることが望ましく、さらに望ましくは300℃以上である。第2冷却工程の際、制御部8は、1℃/sec以上15℃/sec以下となるように冷却速度を調整する。冷却速度の調整方法は、第1冷却工程と同様である。第2冷却工程では、冷却速度を1℃/sec以上15℃/sec以下、冷却停止温度を450℃以下とすることで、レール1の延性を向上させることができる。また、第2冷却工程における冷却停止温度を20℃以上、望ましくは50℃以上、さらに望ましくは300℃以上とすることで、冷却後の割れを防止できると同時に、熱処理時間を短くすることができる。さらに、第2冷却工程では、頭部1aの表面温度の変化量が大きい程、つまり冷却停止時の温度が低い程、復熱を防止することができる。
第2冷却工程の後、クランプ7a,7bの固定が解除され、レール1が熱処理装置2から搬出される。そして、搬出されたレール1の温度が常温よりも高い場合には、必要に応じて冷却床などの設備にて、常温程度となるまで放冷によってレール1が常温となるまで冷却される。
以上の工程を経ることで、表面硬度および靱性に優れ、種々の2合金元素が添加されたパーライト系の熱処理レールを製造することができる。
なお、本発明の一実施形態に係る熱処理レールの製造方法では、レール1の足部1bは、下部ヘッダ4から吐出される冷却媒体によって冷却される。足部1bは、第1冷却工程〜第2冷却工程が行われる間に冷却される。この際、最終的に第2冷却工程が終わる際に頭部1aと同程度の温度なっていればよく、足部1bの冷却パターンには、通常用いられる冷却パターンが適用されてもよい。また、頭部1aと同様な温度履歴となるように冷却が行われてもよい。なお、足裏面1gの冷却速度を調整する際には、第1冷却工程〜第2冷却工程と同様に、足部温度計6の測定結果が用いられる。また、レール1の腹部1cは、頭部1aおよび足部1bが冷却されることによって間接的に冷却される。
<変形例>
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、上記実施形態では、冷却速度を調整する際に、制御部8は頭部温度計5の測定結果を用いて、冷却媒体の吐出量、吐出圧、温度および水分量のうち少なくともいずれか一つを変更するとしたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、制御部8は、冷却実績による学習によって、予め第1冷却工程〜第2冷却工程の工程毎に上部ヘッダ3から吐出される冷却媒体の吐出量、吐出圧、温度および水分量のうち少なくともいずれか一つを段階的に、または断続的に変更するプログラムを用いて冷却速度を調整してもよい。
また、上記実施形態では均熱工程の際に、パーライト変態の終了を、頭部温度計5を用いて検出するとしたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、予め予備冷却を行うことにより、冷却開始から変態完了までの時間を決定し、決定した時間に応じて均熱工程を終了してもよい。また、伝熱シミュレーション等により予測したパーライト変態終了までの時間に応じて、均熱工程を終了してもよい。
さらに、頭部温度計5および足部温度計6は、それぞれ複数設けられてもよい。この場合、複数の頭部温度計5および足部温度計6は、頭頂面および足裏面のそれぞれ異なる箇所を測定し、測定結果の平均値等を頭頂面および足裏面の表面温度として算出してもよい。
さらに、熱処理装置2は、上部ヘッダ3および下部ヘッダ4、またはクランプ7a,7bのうち少なくとも一方に、レール1の長手方向にオシレーションするオシレーション機構を有してもよい。オシレーション機構は、第1冷却工程〜第2冷却工程のうち、少なくとも一つの工程において、上部ヘッダ3および下部ヘッダ4、またはクランプ7a,7bのうち少なくとも一方をオシレーションさせる。これにより、レール1に対する冷却媒体の吐出領域が相対的に移動することで、レール1をより均一に冷却することができる。
さらに、熱処理装置2は、レール1を冷却する手段として、上部ヘッダ3および下部ヘッダ4を有するとしたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、熱処理装置2は、必要に応じてさらに腹部1cを冷却するための中部ヘッダをさらに有してもよい。中部ヘッダは、上部ヘッダ3および下部ヘッダ4と同様な構成をしており、中部ヘッダのノズルから吐出される冷却媒体が腹部1cに当たるように構成される。
さらに、上記実施形態では、第2冷却工程にて、20℃以上450℃以下となるまで強制冷却するとしたが、本発明はかかる例に限定されない。第2冷却工程では、強制冷却ではなく放冷によって、レール1を冷却してもよい。なお、第2冷却工程において強制冷却を行うことにより、放冷によってレール1を冷却する場合に比べ、内部硬度が上昇するという利点がある。
<本発明の実施形態の効果>
本発明の実施形態の効果について以下に説明する。
(1)本発明の実施形態に係る熱処理レールの製造方法は、熱間圧延された高温のレール1、または加熱された高温のレール1の少なくとも頭部を強制冷却する際に、レール1の頭部1aの表面温度がオーステナイト域温度以上の状態から強制冷却を開始し、強制冷却を開始してから頭部1aの表面温度が500℃以上700℃以下となるまで、10℃/sec以上の冷却速度で強制冷却する(第1冷却工程)。
上記の構成によれば、オーステナイト域温度以上の状態からパーライト変態が生じる温度域まで急激に冷却することで、パーライト組織のラメラー間隔が微細化する。このため、種々の合金元素が添加された場合においても、頭部1aの表層が硬度および靱性に優れた熱処理レールを製造することができる。また、上記の構成によれば、特許文献2に記載の方法のように、冷却と加熱を繰り返すような冷却パターンに比べ、生産性の向上効果や、エネルギー原単位の削減効果を得ることができる。
(2)強制冷却を開始する時の頭部1aの表面温度を800℃以上とする。
上記の構成によれば、硬度や靱性に優れた熱処理レールを製造することができる。
(3)強制冷却を開始してから頭部1aの表面温度が500℃以上700℃以下となるまで、10℃/sec以上の冷却速度で強制冷却した後、パーライト変態が終了するまで−5℃/sec以上5℃/sec以下の冷却速度で頭部1aを冷却する(均熱工程)。
上記の構成によれば、頭部1a全体の表層組織をパーライト組織にすることができる。このため、種々の合金元素が添加された場合においても、頭部1aの表層が硬度および靱性に優れた熱処理レールを製造することができる。
(4)パーライト変態が終了するまで−5℃/sec以上5℃/sec以下の冷却速度で強制冷却した後、表面温度が450℃以下となるまで15℃/sec以下の冷却速度で強制冷却する。
上記の構成によれば、レールの延性を向上させることができる。
(5)レール1は、質量%で、C:0.75%以上0.85%以下、Si:0.5%以上1%以下、Mn:0.5%以上1%以下、Cr:0.5%以上1%以下、V:0%以上0.01%以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる組成の鋼からなる。
上記構成によれば、(1)〜(3)の熱処理条件の下、硬度、延性、溶接性などに優れたパーライトレールを得ることができる。
(6)レール1は、V:0.002%以上0.01%以下を含有する鋼からなる。
上記構成によれば、さらに水素の残留に起因した遅れ破壊を防止することができる。
(7)本発明の実施形態に係る熱処理レールの製造装置は、レール1の少なくとも頭部1aを強制冷却する冷却手段3と、冷却手段3を制御する制御部8とを有し、制御部8は、レール1の頭部1aの表面温度がオーステナイト域温度以上の状態から強制冷却を開始させ、強制冷却を開始してから表面温度が500℃以上700℃以下となるまで10℃/sec以上の冷却速度で強制冷却させる。
上記の構成によれば、(1)と同様な効果を得ることができる。
次に、本発明者らが行った実施例について説明する。
実施例では、上記実施形態と同様に、900℃で熱間圧延した長尺のレール1を、熱処理装置2を用いて強制冷却し、その後、表面組織および硬度を調査した。レール1には、C:0.75%以上0.85%以下、Si:0.5%以上1%以下、Mn:0.5%以上1%以下、Cr:0.5%以上1%以下、およびV:0.002%以上0.01%以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼を用いた。なお、上記の成分範囲は、後述する複数の実施例および比較例における成分のばらつきを示す。
まず、900℃で熱間圧延した長尺のレール1を、熱処理装置2に搬送し、クランプ7a,7bでレール1の足部1bを固定した。
次いで、第1冷却工程〜第2冷却工程を行い、レール1を強制冷却した。冷却媒体には、冷却速度の絶対値が10℃/sec未満の範囲については空気を用い、冷却速度の絶対値が10℃/sec以上の範囲についてはミストを用いた。また、頭部温度計5の測定結果から、冷却媒体が空気の場合には噴射圧力、また冷却媒体がミストの場合は投入水分量(気水比)を目標温度履歴となるように調整することで、冷却速度を調整した。さらに、均熱工程の終了のタイミングは、頭部温度計5の測定結果から冷却速度が急速に大きくなるタイミングとした。
さらに、レール1を熱処理装置2から取り出し、常温になるまでさらに自然放冷することで熱処理レールを製造した。その後、頭部1a全体の表層組織をSEMで観察し、表面ブリネル硬さ試験によって頭部1aの表層の硬度を測定した。
また、比較例として、強制冷却開始時の表面温度、第1冷却工程における冷却速度、第1冷却工程終了時の表面温度および均熱工程における冷却速度のうちいずれかが、上記実施形態の範囲から外れた条件についても同様に実施し、得られた熱処理レールについて表面組織および硬度を調査した。
表1に実施例1〜4、比較例1〜5についての、製造条件、表層組織の観察結果、および表層硬度の測定結果をそれぞれ示す。実施例1〜4では、強制冷却開始時の頭部1aの表面温度が730℃以上とオーステナイト域温度以上、第1冷却工程における冷却速度が10℃/sec以上、第1冷却工程終了時の頭部1aの目標表面温度である目標均熱温度が500℃以上、および均熱工程における冷却速度範囲が−5℃/sec以上5℃/以下の条件で製造を行った。なお、実施例1〜4および比較例1〜5において、第1冷却工程終了時、つまり均熱工程開始時の頭部1aの表面温度は、目標均熱温度と同じ温度となった。
一方、比較例1では、第1冷却工程を開始する際の頭部1aの表面温度が700℃とオーステナイト域温度以下であり、上記実施形態よりも強制冷却開始時の表面温度が低い条件で熱処理レールを製造した。比較例2では、第1冷却工程を終了する際の頭部1aの目標表面温度が720℃と、上記実施形態よりも第1冷却工程終了時の表面温度が高い条件で熱処理レールを製造した。比較例3では、第1冷却工程を終了する際の頭部1aの目標表面温度が450℃と、上記実施形態よりも第1冷却工程終了時の表面温度が低い条件で熱処理レールを製造した。比較例4では、第1冷却工程における冷却速度が5℃/secと、上記実施形態よりも冷却速度が低い条件で熱処理レールを製造した。比較例5では、均熱工程における冷却速度が−8℃/sec以上8℃/sec以下と、実施例1〜4の範囲を外れた広い範囲の条件で熱処理レールを製造した。なお、比較例1〜5における上記以外の製造条件は、実施例と同様の範囲とした。
Figure 0006265267
表層組織の観察結果、実施例1〜4の熱処理レールでは、頭部1a全体の表層組織が、マルテンサイト組織に比べ靱性に優れた100%パーライト組織となることを確認した。また、表層硬度の測定結果、実施例1〜4の熱処理レールでは、目標とするHB380以上の硬度が得られたことを確認した。一方、比較例1,2,4,5の熱処理レールでは、表層組織はパーライト組織となったものの、表層硬度がいずれもHB380未満となり、目標とする硬度が得られないことを確認した。また、比較例3の熱処理レールでは、表層組織はベイナイト組織となり目的とするパーライト組織が得られず、硬度もHB380未満となった。
以上の結果から、本発明に係る熱処理レールの製造方法によれば、表面硬度および靱性に優れ、種々の合金元素が添加されたパーライト系の熱処理レールを製造することができることが確認できた。
さらに、本発明者らは、第2冷却工程における冷却速度および冷却停止温度がレール1の頭部1aの内部硬度およびレール1の延性に及ぼす影響を調査した。この調査では、強制冷却開始温度、目標均熱温度および第1冷却工程における平均冷却速度を、表1中の実施例2と同一の条件とし、第2冷却工程後の表面温度(冷却停止温度)、平均冷却速度を表2に示す条件とした。また、得られたレール1について、頭頂対角中心位置における硬度(内部硬度)測定、および、頭頂対角中心位置から引張方向がレール長手方向となるように採取した丸棒引張試験片により、伸び(全伸びEl)の調査を行った。表2に、内部硬度と伸びの調査結果を併せて示す。
Figure 0006265267
実施例2,5〜11のいずれにおいても、表層硬度は高い値を示している。そして、第2冷却工程の冷却停止温度が50℃以上450℃以下で、かつ、第2冷却工程のおける平均冷却速度が15℃/sec以下である実施例2および実施例5〜8および12は、HB310以上の内部硬度、および、13%以上の伸びを満足した。一方、第2冷却工程の平均冷却速度が15℃/secを超える実施例9、および、第2冷却工程の冷却停止温度を450℃超とした実施例11では、伸びがそれぞれ8%,9%であった。これらの結果から、レール1の延性の観点からは、実施例2,5〜8の条件が優れていることが確認できた。また、第2冷却工程の冷却停止温度を50℃未満とした実施例10では、冷却直後には問題がなかったものの、保管中の実験サンプルに水素の残留に起因すると推定される割れが生じたものがあった。
以上の結果から、第2冷却工程の冷却速度を15℃/sec以下、冷却停止温度を20℃以上、望ましくは50℃以上、さらに望ましくは300℃以上で、かつ、450℃以下の範囲とすることで、レール1の延性が確保できることが確認できた。
1 :レール
1a :頭部
1b :腹部
1c :足部
1d :頭頂面
1e,1f :頭側面
1g :足裏面
2 :熱処理装置
3,3a,3b,3c :上部ヘッダ
4 :下部ヘッダ
5 :頭部温度計
6 :足部温度計
7a,7b :クランプ
8 :制御部

Claims (5)

  1. 熱間圧延された高温のレール、または加熱された高温のレールの少なくとも頭部を強制冷却する際に、
    前記レールの頭部の表面温度がオーステナイト域温度以上の状態から強制冷却を開始し、
    前記強制冷却を開始してから前記表面温度が500℃以上700℃以下となるまで、10℃/sec以上の冷却速度で強制冷却した後、パーライト変態が終了するまで−5℃/sec以上5℃/sec以下の冷却速度で前記頭部を冷却し
    前記レールは、質量%で、C:0.75%以上0.85%以下、Si:0.5%以上1%以下、Mn:0.5%以上1%以下、Cr:0.5%以上1%以下、V:0%以上0.01%以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる組成の鋼からなることを特徴とする熱処理レールの製造方法。
  2. 前記強制冷却を開始する時の前記表面温度を800℃以上とすることを特徴とする請求項1に記載の熱処理レールの製造方法。
  3. 前記パーライト変態が終了するまで−5℃/sec以上5℃/sec以下の冷却速度で強制冷却した後、前記表面温度が50℃以上450℃以下となるまで1℃/sec以上15℃/sec以下の冷却速度で強制冷却することを特徴とする請求項1または2に記載の熱処理レールの製造方法。
  4. 前記レールは、V:0.002%以上0.01%以下を含有する前記鋼からなることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の熱処理レールの製造方法。
  5. レールの少なくとも頭部を強制冷却する冷却手段と、前記冷却手段を制御する制御部とを有し、
    前記制御部は、前記レールの頭部の表面温度がオーステナイト域温度以上の状態から強制冷却を開始させ、前記強制冷却を開始してから前記表面温度が500℃以上700℃以下となるまで10℃/sec以上の冷却速度で強制冷却させた後、パーライト変態が終了するまで−5℃/sec以上5℃/sec以下の冷却速度で前記頭部を冷却させ
    前記レールは、質量%で、C:0.75%以上0.85%以下、Si:0.5%以上1%以下、Mn:0.5%以上1%以下、Cr:0.5%以上1%以下、V:0%以上0.01%以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる組成の鋼からなることを特徴とする熱処理レールの製造装置。
JP2016543821A 2014-08-20 2015-08-19 熱処理レールの製造方法および製造装置 Active JP6265267B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014167432 2014-08-20
JP2014167432 2014-08-20
PCT/JP2015/004135 WO2016027467A1 (ja) 2014-08-20 2015-08-19 熱処理レールの製造方法および製造装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2016027467A1 JPWO2016027467A1 (ja) 2017-04-27
JP6265267B2 true JP6265267B2 (ja) 2018-01-24

Family

ID=55350429

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016543821A Active JP6265267B2 (ja) 2014-08-20 2015-08-19 熱処理レールの製造方法および製造装置

Country Status (7)

Country Link
US (1) US10472693B2 (ja)
EP (1) EP3184654B1 (ja)
JP (1) JP6265267B2 (ja)
CN (1) CN106661651B (ja)
AU (1) AU2015304699B2 (ja)
BR (1) BR112017002702B1 (ja)
WO (1) WO2016027467A1 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7453108B2 (ja) 2020-09-18 2024-03-19 株式会社Screenホールディングス 乾燥装置および乾燥方法

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US10233512B2 (en) * 2014-05-29 2019-03-19 Nippon Steel & Sumitomo Metal Corporation Rail and production method therefor
CN107236846A (zh) * 2017-07-21 2017-10-10 河钢股份有限公司邯郸分公司 重轨钢r350lht全长余热淬火的热处理方法
CN107739806B (zh) * 2017-10-10 2019-10-11 攀钢集团研究院有限公司 高韧塑性过共析钢轨及其制造方法

Family Cites Families (15)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5818966B2 (ja) * 1978-06-23 1983-04-15 日本鋼管株式会社 レ−ルの製造方法
DE3446794C1 (de) * 1984-12-21 1986-01-02 BWG Butzbacher Weichenbau GmbH, 6308 Butzbach Verfahren zur Waermebehandlung perlitischer Schienenstaehle
JPH06340951A (ja) 1993-03-12 1994-12-13 Nippon Steel Corp 靭性に優れた高強度レールおよびその製造法
JP3113137B2 (ja) 1993-12-20 2000-11-27 新日本製鐵株式会社 パーライト金属組織を呈した高靭性レールの製造法
RU2107740C1 (ru) * 1993-12-20 1998-03-27 Ниппон Стил Корпорейшн Рельс из перлитной стали с высокой износостойкостью и ударной вязкостью и способ его производства
JP3950212B2 (ja) 1997-11-20 2007-07-25 新日本製鐵株式会社 耐摩耗性に優れた高強度パーライト系レールの製造法
JP2005146346A (ja) 2003-11-14 2005-06-09 Nippon Steel Corp 靭性および延性に優れたパーライト系レールの製造方法
JP2005171327A (ja) 2003-12-11 2005-06-30 Nippon Steel Corp 耐表面損傷性および耐内部疲労損傷性に優れたパーライト系レールの製造方法およびレール
JP5145795B2 (ja) 2006-07-24 2013-02-20 新日鐵住金株式会社 耐摩耗性および延性に優れたパーライト系レールの製造方法
WO2008123483A1 (ja) 2007-03-28 2008-10-16 Jfe Steel Corporation 耐磨耗性と耐疲労損傷性に優れた内部高硬度型パーライト鋼レールおよびその製造方法
JP4994928B2 (ja) * 2007-04-17 2012-08-08 新日本製鐵株式会社 耐折損性に優れたレールの製造方法
JP5532789B2 (ja) 2008-09-25 2014-06-25 Jfeスチール株式会社 フラッシュバット溶接継手特性に優れた内部高硬度型パーライト鋼レールおよびその溶接方法
JP5391711B2 (ja) 2009-02-04 2014-01-15 新日鐵住金株式会社 高炭素パーライト系レールの熱処理方法
JP5267306B2 (ja) 2009-04-24 2013-08-21 新日鐵住金株式会社 高炭素鋼レールの製造方法
ES2749882T3 (es) 2010-06-07 2020-03-24 Nippon Steel Corp Riel de acero

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7453108B2 (ja) 2020-09-18 2024-03-19 株式会社Screenホールディングス 乾燥装置および乾燥方法

Also Published As

Publication number Publication date
AU2015304699A1 (en) 2017-03-02
CN106661651A (zh) 2017-05-10
EP3184654A4 (en) 2017-08-16
US10472693B2 (en) 2019-11-12
BR112017002702B1 (pt) 2021-09-08
JPWO2016027467A1 (ja) 2017-04-27
BR112017002702A2 (pt) 2017-12-19
CN106661651B (zh) 2019-07-16
AU2015304699B2 (en) 2018-09-13
EP3184654B1 (en) 2019-10-30
US20170233843A1 (en) 2017-08-17
WO2016027467A1 (ja) 2016-02-25
EP3184654A1 (en) 2017-06-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6265267B2 (ja) 熱処理レールの製造方法および製造装置
JP6150008B2 (ja) レールおよびその製造方法
CA2948297A1 (en) Railway vehicle wheel and method for manufacturing railway vehicle wheel
TWI496897B (zh) 生產變韌軌道鋼的方法
JP2013227657A (ja) 鋼板形状に優れた高強度冷延鋼板の製造方法
KR20200081486A (ko) 적어도 100 밀리미터의 두께를 갖는 강 섹션 및 그 제조 방법
US20220112571A1 (en) Method of producing steel material, apparatus that cools steel material, and steel material
US10563278B2 (en) Rail manufacturing method and manufacturing equipment
KR20160048991A (ko) 선재, 과공석 베이나이트 강선 및 그것들의 제조 방법
JP6658895B2 (ja) レールの冷却装置及び製造方法
JP6408290B2 (ja) 炭素鋼の急速軟質化焼鈍処理方法
KR20200140411A (ko) 카바이드 함유 철계 합금의 미세처리 및 미세조직
JP6137043B2 (ja) レールの製造方法
JP4267334B2 (ja) 高炭素鋼パーライトレールの熱処理方法
JP6233525B2 (ja) レールの製造方法および製造装置
JP7405250B2 (ja) レールの製造方法
JP2004162106A (ja) 高炭素鋼レールの製造方法
JP2004076156A (ja) 疲労き裂伝播特性に優れた鋼材およびその製造方法
KR101355464B1 (ko) 탄소강의 압연방법
BR112017005296B1 (pt) Método de fabricação de trilho

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170523

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170724

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170822

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20171020

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20171128

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20171211

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6265267

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250