以下、本発明の第1実施形態による温度及び酸素濃度測定装置1について、図1〜図14を参照しながら説明する。図1は、本発明の第1実施形態による温度及び酸素濃度測定装置1を示す概略図である。図2は、本発明の第1実施形態による温度及び酸素濃度測定装置1を示すブロック図である。図3は、本発明の第1実施形態による温度及び酸素濃度測定装置1の動作を示すフローチャートである。図4は、本発明の第1実施形態による温度及び酸素濃度測定装置1で用いられるRT−1及びRO−1のテーブル作成のための装置を示す概略図である。
図5は、本発明の第1実施形態による温度及び酸素濃度測定装置1で用いられるRT−1及びRO−1のテーブル作成のための装置を示すブロック図である。図6は、本発明の第1実施形態による温度及び酸素濃度測定装置1で用いられるRT−1及びRO−1のテーブル作成の手順を示すフローチャートである。図7は、本発明の第1実施形態による温度及び酸素濃度測定装置1による温度測定で用いられる第1蛍光体3のRT−1と温度との関係を示すグラフである。図8は、本発明の第1実施形態による温度及び酸素濃度測定装置1による温度測定で用いられる第1蛍光体3のRO−2と酸素濃度との関係を示すグラフである。図9は、本発明の第1実施形態による温度及び酸素濃度測定装置1による温度測定で用いられる第2蛍光体4のRT−101と温度との関係を示すグラフである。
図10は、本発明の第1実施形態による温度及び酸素濃度測定装置1による温度測定で用いられる第2蛍光体4のRO−102と酸素濃度との関係を示すグラフである。図11は、本発明の第1実施形態による温度及び酸素濃度測定装置1による温度測定で用いられる第1蛍光体3及び第2蛍光体4のRT−1であって比r1や比r2が用いられて乗算・減算処理が行われて得られたRT−1と温度との関係を示すグラフである。図12は、本発明の第1実施形態による温度及び酸素濃度測定装置1による酸素濃度測定で用いられる第1蛍光体3及び第2蛍光体4のRO−1と酸素濃度との関係を示すグラフである。図13は、本発明の第1実施形態による温度及び酸素濃度測定装置1による温度及び酸素濃度測定で用いられる第1蛍光体3及び第2蛍光体4の発光強度と波長との関係を示すグラフである。図14は、図13の要部を拡大したグラフである。
図1に示すように、温度及び酸素濃度測定装置1は、例えば、測定対象物において温度及び酸素濃度の測定要求される箇所にある気体の温度及び酸素濃度を測定する。測定対象物は、例えば、高温型の燃料電池2であるSOFC(固体酸化物形燃料電池)である。より具体的には、温度及び酸素濃度測定装置1は、例えば、高温型の燃料電池2であるSOFCにおいて、温度及び酸素濃度の測定要求される箇所に混合されて塗布された第1蛍光体3及び第2蛍光体4の発光強度に対してUV光源からの励起光を照射し、第1蛍光体3及び第2蛍光体4の発光強度に基づき、温度及び酸素濃度の両方の測定を行う。
温度及び酸素濃度測定装置1は、照射部10としてのUV光源11と、受光部20としてのカメラ21及びバンドパスフィルタ22と、パーソナルコンピュータ30(以下「PC30」と言う)と、凸レンズ12と、ダイクロイックミラー13とを有している。UV光源11は、励起光として400nm付近の光を照射可能である。凸レンズ12は、UV光源11からの励起光をフォーカスさせる。ダイクロイックミラー13は、フォーカスされた励起光のうちの、例えば450nm未満の波長の光を反射し、600nm以上の波長の光を透過させる。具体的には、ダイクロイックミラー13は、UV光源11からの励起光の励起波長成分を反射させ、第1蛍光体3及び第2蛍光体4へ照射させる。また、励起光の励起波長成分による第1蛍光体3及び第2蛍光体4への照射によって、第1蛍光体3及び第2蛍光体4は発光(蛍光)するが、ダイクロイックミラー13は、当該発光による光を透過させ、バンドパスフィルタ22及びカメラ21に導く。
バンドパスフィルタ22は、第1蛍光体3及び第2蛍光体4の発光(蛍光)による光の波長のうちの、比較的発光強度の高い帯域のみを通過させる。カメラ21は、バンドパスフィルタ22を通過した、第1蛍光体3及び第2蛍光体4からの光、即ち、第1蛍光体3及び第2蛍光体4の発光(蛍光)による光を受光可能である。
図2に示すように、PC30は、制御部31と、発光強度検出部としての画像解析部32と、測定温度・酸素濃度表示部33とを有しており、カメラ21及びUV光源11に電気的に接続されている。制御部31及び画像解析部32は、CPU等により構成されており、CPUは、メモリ及び記憶媒体(図示せず)に電気的に接続されている。記憶媒体(図示せず)には、温度基準の二波長強度比RT−1に対応する温度の値と、酸素濃度基準の二波長強度比Ro−1に対応する酸素濃度の値が、RT−1、Ro−1それぞれを変化させた値に一対一で対応して、数値のデータのテーブルとして記憶されている。また、記憶媒体(図示せず)には、後述する発光強度比の情報(比r1、比r2)が記憶されている。
画像解析部32は、カメラ21が受光した第1蛍光体3及び第2蛍光体4からの光から、光の分光スペクトル中の第1波長W1、第2波長W2、第3波長W3、及び、第4波長W4を含む範囲の波長における第1蛍光体3及び第2蛍光体4の発光強度を検出可能である。画像解析部32は、第1蛍光体3及び第2蛍光体4の発光強度は、制御部31へ出力される。
制御部31は、UV光源11に対して、励起光としての400nm付近の光を照射する制御を行う。また、制御部31は、カメラ21に対して、バンドパスフィルタ22を透過した第1蛍光体3及び第2蛍光体4の発光(蛍光)による光を受光し、これに基づく電気信号をPC30へ出力する制御を行う。
また、制御部31は、発光強度検出部としての画像解析部32において検出された第1波長W1及び第2波長W2における第1蛍光体3の発光強度に基づき、第1蛍光体3及び第2蛍光体4に接する気体の温度を測定温度・酸素濃度表示部33に出力する制御を行う。また、画像解析部32において検出された第3波長W3における第1蛍光体3の発光強度と画像解析部32において検出された第4波長W4における第2蛍光体4の発光強度とに基づき、第1蛍光体3及び第2蛍光体4に接する気体の酸素濃度を測定温度・酸素濃度表示部33に出力する制御を行う。
測定温度・酸素濃度表示部33は、PC30に電気的に接続されているモニタにより構成されている。モニタ上に、制御部31から出力された、第1蛍光体3及び第2蛍光体4に接する気体の温度と酸素濃度とを表示可能である。
制御部31による、第1蛍光体3及び第2蛍光体4に接する気体の温度及び酸素濃度の出力の制御は、以下のとおりである。ここで、第1蛍光体3及び第2蛍光体4に接する気体の温度をTと定義する。また、第1蛍光体3及び第2蛍光体4に接する気体の酸素濃度をOと定義する。また、分光スペクトルに含まれる波長をWとしたときの第1蛍光体3の発光強度をI1(T,O,W)と定義する。また、第2蛍光体4の発光強度をI2(T,O,W)と定義する。また、第1蛍光体3及び第2蛍光体4の発光強度(第1蛍光体3と第2蛍光体4とが混合されたものの発光強度=第1蛍光体3の発光強度と第2蛍光体4の発光強度との和)をIc(T,O,W)と定義する。
また、常温をT0と定義する。また、酸素濃度0%をO0と定義する。また、任意の波長をそれぞれWA、WB、WC、WDと定義する。また、第1波長をW1と定義する。また、第2波長をW2と定義する。また、第3波長をW3と定義する。また、第4波長をW4と定義する。少なくとも2種類の蛍光体の分光スペクトル中で第1蛍光体3の発光強度が得られず第2蛍光体4の発光強度が得られる波長を基準波長WSと定義する。ここで、「第1蛍光体3の発光強度が得られず」とは、全く発光強度が得られない場合のみに限定されるものではなく、第1蛍光体3の発光強度が第2蛍光体4の発光強度に対して極めて弱い場合、例えば、第1蛍光体3の発光強度が第2蛍光体4の発光強度の1/20程度以下である場合も含まれることを意味する。
また、温度基準の二波長強度比RTを
RT={I(T,O,WA)/I(T0,O0,WA)}/{I(T,O,WB)/I(T0,O0,WB)}
と定義し、酸素濃度基準の二波長強度比Roを
R0={I(T,O,WC)/I(T,O0,WC)}/{I(T,O,WD)/I(T,O0,WD)}
と定義する。また、任意の温度をT1、T2と定義し、任意の酸素濃度をO1、O2と定義する。また、記憶媒体に記憶してある強度比の情報である比r1を
r1=I2(T1,O1,W1)/I2(T1,O1,WS)
と定義し、比r2を
r2=I2(T2,O2,W2)/I2(T2,O2,WS)
と定義する。
先ず、制御部31は、UV光源11に対して、励起光としての400nm付近の光を照射する制御を行う(S11)。次に、制御部31は、カメラ21に対して、バンドパスフィルタ22を透過した第1蛍光体3及び第2蛍光体4の発光(蛍光)による光を受光し、これに基づく電気信号をPC30へ出力する制御を行う。これにより画像解析部32は、カメラ21が受光した第1蛍光体3及び第2蛍光体4からの光から、光の分光スペクトル中の第1波長W1、第2波長W2、第3波長W3、第4波長W4、及び、基準波長WSにおける第1蛍光体3及び第2蛍光体4の発光強度を検出し、制御部31へ出力する(S12)。
本実施形態では、第1蛍光体3として「Y2O3:Eu」を用い、第2蛍光体4として「Y2O3:Tb」を用いる。従って、第1蛍光体3及び第2蛍光体4は、それぞれ温度消光特性と酸素消光特性との両方を有する。また、基準波長WSとして543nmを用い、第1波長W1として587nmを用い、第2波長W2として615nmを用いる。また、第3波長W3として第2波長W2と同一の615nmを用い、第4波長W4として基準波長WSと同一の543nmを用いる。従って、第4波長W4は、第1波長W1、第2波長W2のいずれとも異なっており、第2波長W2は、第3波長W3と同一である。
第1蛍光体3を「Y2O3:Eu」により構成し、第2蛍光体4を「Y2O3:Tb」により構成し、前述のように、基準波長WS、第1波長W1、第2波長W2、第3波長W3、第4波長W4を選定して用いることにより、以下の条件を得ることができる。
図7、図11のグラフに示すように、
RT−1={I1(T,O,W1)/I1(T0,O0,W1)}/{I1(T,O,W2)/I1(T0,O0,W2)}
により定まる温度基準の二波長強度比RT−1が、温度Tの変化に伴い変化する。また、図12のグラフに示すように、
R0−1={I1(T,O,W3)/I1(T,O0,W3)}/{I2(T,O,W4)/I2(T,O0,W4)}
により定まる酸素濃度基準の二波長強度比RO−1が、酸素濃度Oの変化に伴い変化する。また、図8のグラフに示すように、
R0−2={I1(T,O,W1)/I1(T,O0,W1)}/{I1(T,O,W2)/I1(T,O0,W2)}
により定まる酸素濃度基準の二波長強度比RO−2が、酸素濃度Oが変化しても変化しない。
また、比r1任意の温度T1及び任意の酸素濃度O1のいずれが変化しても変化しない。即ち、図9のグラフに示すように、
RT−101={I2(T,O,W1)/I2(T0,O0,W1)}/{I2(T,O,WS)/I2(T0,O0,WS)}
により定まる温度基準の二波長強度比RT−101が、温度Tの変化に伴い変化しない。更に、図10のグラフに示すように、
R0−102={I2(T,O,W1)/I2(T,O0,W1)}/{I2(T,O,WS)/I2(T,O0,WS)}により定まる酸素濃度基準の二波長強度比RO−102が、酸素濃度Oが変化しても変化しない。
同様に、比r2任意の温度T2及び任意の酸素濃度O2のいずれが変化しても変化しない。
次に、制御部31は、記憶媒体に記憶してある強度比の情報(比r1)を基準波長WSにおける発光強度Ic(T,O,WS)に対して乗算する(S13)。前述の基準波長WSの定義より、基準波長WSにおける発光強度Ic(T,O,WS)は、基準波長WSにおける発光強度I2(T,O,WS)に等しいか又は略等しい。このため、乗算して得られた値を、温度測定用の波長である第1波長W1における、第1蛍光体3及び第2蛍光体4の2種類の蛍光体の発光強度Ic(T,O,W1)から減算することにより、第1波長W1における第1蛍光体3のみによる発光強度I1(T,O,W1)を得る(S13)。
また、制御部31は、記憶媒体に記憶してある強度比の情報(比r2)を基準波長WSにおける発光強度Ic(T,O,WS)に対して乗算する(S13)。乗算して得られた値を、温度測定用の波長である第2波長W2における、第1蛍光体3及び第2蛍光体4の2種類の蛍光体の発光強度Ic(T,O,W2)から減算することにより、第2波長W2における第1蛍光体3のみによる発光強度I1(T,O,W2)を得る(S13)。
次に、制御部31は、第2波長W2における第1蛍光体3のみによる発光強度I1(T,O,W2)と、第1波長W1における第1蛍光体3のみによる発光強度I1(T,O,W1)とを用いて温度基準の二波長強度比RT−1を算出する。そして制御部31は、温度基準の二波長強度比RT−1の値に基づいて、第1蛍光体3及び第2蛍光体4に接する気体の温度Tを出力する。具体的には、制御部31は、記憶媒体に予め数値のデータのテーブルとして記憶されている値であって、算出したRT−1の値に一対一対応する温度の値を、測定温度・酸素濃度表示部33に出力する(S14)。
次に、酸素濃度基準の二波長強度比RO−1の値に基づいて、第1蛍光体3及び第2蛍光体4に接する気体の酸素濃度Oを出力する制御を行う。具体的には、第3波長W3における第1蛍光体3のみによる発光強度I1(T,O,W3)と、第4波長をW4における第2蛍光体4のみによる発光強度I2(T,O,W4)とを用いて酸素濃度基準の二波長強度比RO−1を算出する。そして、記憶媒体に予め数値のデータのテーブルとして記憶されている値であって、ステップS14において出力した温度の値における算出したRO−1の値に一対一対応する酸素濃度の値を、測定温度・酸素濃度表示部33に出力する(S15)。
上述のように、第1蛍光体3及び第2蛍光体4に接する気体の温度を出力する際には、温度及び酸素濃度測定装置1の記憶媒体(図示せず)に予め数値のデータのテーブルとして記憶されている温度の値であって、算出したRT−1の値に一対一対応する温度の値が用いられる。また、第1蛍光体3及び第2蛍光体4に接する気体の酸素濃度を出力する際には、温度及び酸素濃度測定装置1の記憶媒体に予め数値のデータのテーブルとして記憶されている酸素濃度の値であって、ステップS14において出力した温度の値における算出したRO−1の値に一対一対応する酸素濃度の値が用いられる。これらの値は、温度及び酸素濃度の測定前に、以下の波長決定・混合比決定装置101が用いられて予め求められ、温度及び酸素濃度測定装置1の記憶媒体に記憶されている。
図4に示すように、波長決定・混合比決定装置101は、照射部110としてのUV光源111と、凸レンズ112と、ダイクロイックミラー113と、受光部120としての分光器123と、パーソナルコンピュータ(以下「PC130」と言う)と、所定温度発生室140とを有している。PC130は、制御部131とスペクトル解析部132とを有しており、UV光源111と分光器123とにそれぞれ電気的に接続されている。制御部131及びスペクトル解析部132は、CPU等により構成されており、CPUは、メモリ及び記憶媒体(図示せず)に電気的に接続されている。
UV光源111は、励起光として400nm付近の光を照射可能である。UV光源111は、凸レンズ112、ダイクロイックミラー113を通して、当該励起光を第1蛍光体3及び第2蛍光体4へ照射する。励起光の励起波長成分による第1蛍光体3及び第2蛍光体4への照射によって、第1蛍光体3及び第2蛍光体4は発光(蛍光)するが、分光器123から入光した第1蛍光体3及び第2蛍光体4からの光、即ち、第1蛍光体3及び第2蛍光体4の発光(蛍光)による光を、分光し、分光スペクトルを得る。分光器123は、得られた分光スペクトルをスペクトル解析部132へ出力する。分光器123は、カメラ21及びバンドパスフィルタ22と付け替え可能である。
所定温度発生室140内には、第1蛍光体3及び第2蛍光体4の温度を測定する熱電対141が設けられており、熱電対141には熱電対ロガー142が電気的に接続されている。また、所定温度発生室140には、雰囲気ガス供給部143が接続されており、雰囲気ガス供給部143は、所定温度発生室140内に窒素及び酸素からなる雰囲気ガスを供給可能である。
制御部131(図5参照)は、スペクトル解析部132に対して、分光スペクトルを取得し、基準波長WSと、温度測定用の2波長である第1波長W1と、第2波長W2と、酸素濃度測定用の2波長である第3波長W3と、第4波長W4とを選定し、記憶媒体(図示せず)に記憶する制御を行う。また、制御部131は、強度比の情報である比r1、比r2を算出し、記憶媒体に記憶する制御を行う。
更に、分光器123をカメラ21及びバンドパスフィルタ22と取り替えると共に、PC130をPC30と取り替える。制御部31は、カメラ21及びバンドパスフィルタ22を用いて比r1及び比r2を取得し、これらを記憶媒体に記憶する制御を行う。また、制御部31は、第1蛍光体3及び第2蛍光体4に接する気体の温度をTと酸素濃度をOとを様々な値に変化させたときの、温度基準の二波長強度比RT−1の値と、酸素濃度基準の二波長強度比R0−1の値とを、選定された基準波長WSと、温度測定用の2波長W1と、W2と、酸素濃度測定用の2波長W3と、W4と、算出された比r1、比r2に基づき算出し、これらを数値のデータのテーブルとして、記憶媒体に記憶する制御を行う。
このような制御は、具体的には以下のとおりである。先ず、制御部131は、分光器123に対して、第2蛍光体4と混合する前の第1蛍光体3のみの発光(蛍光)による光の分光スペクトルを取得する制御を行う(S111)。次に、制御部131は、温度測定用の2波長W1と、W2を選定するために、第1蛍光体3のみの発光(蛍光)による光の分光スペクトルから発光ピークを2つ選定し、発光ピークにおける2波長をWAと、WBとする(S112)。次に、制御部131は、第1蛍光体3及び第2蛍光体4に接する気体の温度及び酸素濃度を様々に変化させたときに、2波長をWAと、WBにおける温度基準の二波長強度比RT−1と酸素濃度基準の二波長強度比RO−2とを算出する(S113)。
次に、制御部131は、ステップS113において、図7に示すように算出したRT−1が温度の変化に対して単調且つ大きく変化しているか否かの判断を行う(S114)。RT−1が温度の変化に対して単調且つ大きく変化していれば、RT−1の値に対する温度の値を容易に一対一対応で対応関係を把握することができるからである。算出したRT−1が温度の変化に対して単調且つ大きく変化していない場合には(S114:NO)、ステップS112へ戻り、他の発光ピークを2つ選択し直す。算出したRT−1が温度の変化に対して単調且つ大きく変化している場合には(S114:YES)、RO−2が酸素濃度に対して変化しない(又は、ほとんど変化しない)か否かの判断を行う(S115)。RO−2が酸素濃度に対して変化する場合には(S115:NO)ステップS112へ戻り、他の発光ピークを2つ選択し直す。RO−2が酸素濃度に対して変化しない(又は、ほとんど変化しない)場合には(S115:YES)、次に、制御部131は、2波長WAと、WBを温度測定用の2波長である第1波長W1、第2波長W2として選定し、記憶媒体に記憶する制御を行う(S116)。本実施形態では、前述のように、第1波長W1は587nmとされ、第2波長W2は615nmとされる。
次に、制御部131は、分光器123に対して、第1蛍光体3と混合する前の第2蛍光体4のみの発光(蛍光)による光の分光スペクトルを取得する制御を行う(S117)。次に、制御部131は、第1蛍光体3の発光強度が得られず、第2蛍光体4の発光強度が得られる波長である基準波長WSを選定する制御を行う(S118)。例えば、図13に示されるように、543nmが基準波長WSとしては好ましい。そして、温度測定用の第1波長W1において第1蛍光体3及び第2蛍光体4の発光強度が得られる場合には、第1蛍光体3に混合される前の第2蛍光体4のみについて、基準波長WSと第1波長W1とのそれぞれにおける発光強度を求め、発光強度比r1を算出し、記憶媒体に記憶する制御を行う(S119)。
また、温度測定用の第2波長W2において第1蛍光体3及び第2蛍光体4の発光強度が得られる場合には、更に、第1蛍光体3に混合される前の第2蛍光体4のみについて、基準波長WSと第2波長W2とのそれぞれにおける発光強度を求め、発光強度比r2を算出し、記憶媒体に記憶する制御を行う(S119)。
次に、制御部131は、分光器123に対して、第1蛍光体3が発光する発光ピークの波長WCと、第2蛍光体4が発光する発光ピークの波長WDとをそれぞれ1つずつ、第3波長W3、第4波長W4の候補として抽出する制御を行う(S120)。第3波長W3の候補としては、第2蛍光体4の発光強度が得られないか又はほとんど得られず、且つ、第1蛍光体3の発光強度が得られる波長が好ましい。また、第4波長W4の候補としては、第1蛍光体3の発光強度が得られないか又はほとんど得られず、且つ、第2蛍光体4の発光強度が得られる波長が好ましい。
次に、制御部131は、測定を行おうとする温度・酸素濃度の付近で、選定された温度測定用の第1波長W1、第2波長W2、酸素濃度測定用の候補波長WCそれぞれにおける発光強度が基準波長WS、酸素濃度測定用の候補波長WDそれぞれにおける発光強度と同程度となるような、第1蛍光体3と第2蛍光体4との混合比を出力し、記憶媒体に記憶する制御を行う(S121)。図1に示す第1蛍光体3及び第2蛍光体4は、ステップS121において求められた混合比(質量比で第1蛍光体3:第2蛍光体4=8:1)により混合された第1蛍光体3及び第2蛍光体4が、高温型の燃料電池2であるSOFCにおける、温度及び酸素濃度の測定をする箇所に塗布されている。
次に、制御部131は、記憶媒体に記憶してある強度比の情報(比r1)を基準波長WSにおける発光強度Ic(T,O,WS)に対して乗算する(S122)。次に、乗算して得られた値を、温度測定用の波長である第1波長W1における、第1蛍光体3及び第2蛍光体4の2種類の蛍光体の発光強度Ic(T,O,W1)から減算することにより、第1波長における第1蛍光体3のみによる発光強度I1(T,O,W1)を得る(S122)。
次に、制御部131は、記憶媒体に記憶してある強度比の情報(比r2)を基準波長WSにおける発光強度Ic(T,O,WS)に対して乗算する(S122)。次に、乗算して得られた値を、温度測定用の波長である第2波長W2における、第1蛍光体3及び第2蛍光体4の2種類の蛍光体の発光強度Ic(T,O,W2)から減算することにより、第2波長における第1蛍光体3のみによる発光強度I1(T,O,W2)を得る(S122)。
次に、制御部131は、第2波長W2における第1蛍光体3のみによる発光強度I1(T,O,W2)と、第1波長W1における第1蛍光体3のみによる発光強度I1(T,O,W1)とを用いて温度基準の二波長強度比RT−1と酸素濃度基準の二波長強度比R0−2とを新たに算出する制御を行う(S123)。次に、制御部131は、RT−1が温度に対して単調にかつ大きく変化するか否かの判断を行う(S124)。RT−1が温度に対して単調にかつ大きく変化することはない場合には(S124:NO)、ステップS121へ戻る。
RT−1が温度に対して単調にかつ大きく変化する場合には(S124:YES)、次に、制御部131は、図8のグラフに示すように、算出したRO−2が第1蛍光体3及び第2蛍光体4に接する気体の酸素濃度の変化に対して変化しない(又は、ほとんど変化しない)か否かの判断を行う(S125)。算出したRO−2が第1蛍光体3及び第2蛍光体4に接する気体の酸素濃度の変化に対して変化する場合には(S125:NO)、ステップS121に戻る。算出したRO−2が第1蛍光体3及び第2蛍光体4に接する気体の酸素濃度の変化に対して変化しない(又は、ほとんど変化しない)場合には(S125:YES)、制御部131は、酸素濃度基準の二波長強度比RO−1を算出する(S126)。
次に、制御部131は、算出したRO−1が第1蛍光体3及び第2蛍光体4に接する気体の酸素濃度の変化に対して単調に且つ大きく変化するか否かの判断を行う(S127)。例えば、図12のグラフにおいては、酸素濃度が0%〜略20%の値を採りうる範囲である、二点鎖線の○で囲まれる範囲においては、第1蛍光体3及び第2蛍光体4に接する気体の酸素濃度の変化に対して単調に且つ大きく変化している。即ち、図12のグラフにおいては、酸素濃度が0%のときには、温度が306K、373K、473K、573K、673Kのいずれの場合もRO−1が1.0の値を採り一致しているが、酸素濃度が略5%の値の場合には、RO−1の値は、各温度それぞれにおいて、酸素濃度が0%のときの値とは異なっている。
算出したRO−1が第1蛍光体3及び第2蛍光体4に接する気体の酸素濃度の変化に対して単調に且つ大きく変化することはない場合には(S127:NO)、ステップS120に戻る。算出したRO−1が、図12のグラフに示すように、第1蛍光体3及び第2蛍光体4に接する気体の酸素濃度の変化に対して単調に且つ大きく変化する場合には(S127:YES)、ステップS120において選定した第3波長W3と、第4波長W4とをそれぞれ酸素濃度測定用の2波長として、記憶媒体に記憶する処理を行う(S128)。
次に、PC130をPC30と付け替えると共に、受光部120を受光部20と付け替える。制御部31は、受光部20に対して、選定した第1波長W1と、第2波長W2と、第3波長W3と、第4波長W4と、基準波長WSにおいて、温度及び酸素濃度が様々に変化したときの、第1蛍光体3の発光強度、第2蛍光体4の発光強度を検出する処理を行う。そして、制御部31は、得られた発光強度を用いて、温度基準の二波長強度比RT−1と酸素濃度基準の二波長強度比RO−1とを、それぞれ温度の値ごと、酸素濃度の値ごとに算出し、数値のデータのテーブルに記憶する制御を行う(S129)。
上記構成の実施形態による温度及び酸素濃度測定装置1によれば、以下のような効果を得ることができる。
上述のように、温度及び酸素濃度測定装置1は、温度消光特性を有する第1蛍光体3と酸素消光特性を有する第2蛍光体4との2種類の蛍光体からの光を受光可能な受光部20と、受光部20において受光した2種類の蛍光体からの光の分光スペクトル中の第1波長、第2波長、第3波長、及び、第4波長における2種類の蛍光体の発光強度を検出可能な発光強度検出部としての画像解析部32と、画像解析部32において検出された第1波長及び第2波長における第1蛍光体3の発光強度に基づき、第1蛍光体3及び第2蛍光体4に接する気体の温度を出力し、画像解析部32において検出された第3波長における第1蛍光体3の発光強度と発光強度検出部において検出された第4波長における第2蛍光体4の発光強度とに基づき、第1蛍光体3及び第2蛍光体4に接する気体の酸素濃度を出力する制御を行う制御部31と、を備えている。
そして、第1蛍光体3及び第2蛍光体4に接する気体の温度をTとし、第1蛍光体3及び第2蛍光体4に接する気体の酸素濃度をOとし、分光スペクトルに含まれる波長をWとしたときの第1蛍光体3の発光強度をI1(T,O,W)とし、第2蛍光体4の発光強度をI2(T,O,W)とし、常温をT0とし、酸素濃度0%をO0とし、任意の波長をそれぞれWA、WB、WC、WDとし、第1波長をW1とし、第2波長をW2とし、第3波長をW3とし、第4波長をW4とし、温度基準の二波長強度比RTを
RT={I(T,O,WA)/I(T0,O0,WA)}/{I(T,O,WB)/I(T0,O0,WB)}
と定義し、酸素濃度基準の二波長強度比Roを
R0={I(T,O,WC)/I(T,O0,WC)}/{I(T,O,WD)/I(T,O0,WD)}
と定義し、
RT−1={I1(T,O,W1)/I1(T0,O0,W1)}/{I1(T,O,W2)/I1(T0,O0,W2)}
により定まる温度基準の二波長強度比RT−1が、温度Tの変化に伴い変化し、
R0−1={I1(T,O,W3)/I1(T,O0,W3)}/{I2(T,O,W4)/I2(T,O0,W4)}
により定まる酸素濃度基準の二波長強度比RO−1が、酸素濃度Oの変化に伴い変化し、
R0−2={I1(T,O,W1)/I1(T,O0,W1)}/{I1(T,O,W2)/I1(T,O0,W2)}
により定まる酸素濃度基準の二波長強度比RO−2が、酸素濃度Oが変化しても変化しないときに、
制御部31は、温度基準の二波長強度比RT−1の値に基づいて、第1蛍光体3及び第2蛍光体4に接する気体の温度Tを出力すると共に、第4波長W4が第1波長W1、第2波長W2のいずれとも異なるときの酸素濃度基準の二波長強度比RO−1の値に基づいて、第1蛍光体3及び第2蛍光体4に接する気体の酸素濃度Oを出力する制御を行う。
上記構成により、第1蛍光体3及び第2蛍光体4からの発光強度に基づき、第1蛍光体3及び第2蛍光体4に接する気体の温度と、酸素濃度とを容易に測定することができる。例えば、SOFC(固体酸化物形燃料電池)等の高温型の燃料電池2において所定の高温に維持されているか否かを検出すると共に、燃料電池2で使用される酸素濃度が適切な濃度になっているか否かを、高温型の燃料電池2やその周囲の雰囲気に対して非接触で容易に測定することができる。
また、任意の温度をT1とし、任意の酸素濃度をO1とし、少なくとも2種類の蛍光体の分光スペクトル中で第1蛍光体3の発光強度が得られず第2蛍光体4の発光強度が得られる波長を基準波長WSとし、少なくとも2種類の蛍光体の発光強度をIc(T,O,W)とし、比r1を
r1=I2(T1,O1,W1)/I2(T1,O1,WS)
と定義し、
比r1が、任意の温度T1及び任意の酸素濃度O1のいずれが変化しても変化しないときに、制御部31は、比r1をIc(T,O,WS)に対して乗算して得られた値を、Ic(T,O,W1)から減算することにより、I1(T,O,W1)を得る制御を行う。
この構成により、第1波長W1において、第1蛍光体3と第2蛍光体4との両方から発光強度が得られる場合であっても、第1波長W1における第1蛍光体3のみからの発光による発光強度を得ることができる。
また、任意の温度をT2とし、任意の酸素濃度をO2とし、少なくとも2種類の蛍光体の分光スペクトル中で第1蛍光体3の発光強度が得られず第2蛍光体4の発光強度が得られる波長を基準波長WSとし、少なくとも2種類の蛍光体の発光強度をIc(T,O,W)とし、比r2を
r2=I2(T2,O2,W2)/I2(T2,O2,WS)
と定義し、
比r2が、任意の温度T2及び任意の酸素濃度O2のいずれが変化しても変化しないときに、制御部31は、比r2をIc(T,O,WS)に対して乗算して得られた値を、Ic(T,O,W2)から減算することにより、I1(T,O,W2)を得る制御を行う。
この構成により、第2波長W2において、第1蛍光体3と第2蛍光体4との両方から発光強度が得られる場合であっても、第2波長W2における第1蛍光体3のみからの発光による発光強度を得ることができる。
また、第2波長W2は、第3波長W3と同一である。この構成により、容易に第1蛍光体3のみからの発光強度と、第2蛍光体4のみからの発光強度とを得ることができ、RT−1、R0−1を算出することができる。
次に、第2の実施形態による温度及び酸素濃度測定装置について、図15〜図16を参照しながら説明する。図15は、本発明の第2実施形態による温度及び酸素濃度測定装置の動作を示すフローチャートである。図16は、本発明の第2実施形態による温度及び酸素濃度測定装置で用いられるRT−21及びRO−21のテーブル作成の手順を示すフローチャートである。
第2の実施形態による温度及び酸素濃度測定装置は、制御部31における制御が第1の実施形態における制御部31における制御とは異なる。これに伴い、第2の実施形態による波長決定・混合比決定装置101の制御部131における制御も、第1の実施形態による波長決定・混合比決定装置101の制御部131における制御とは異なる。これ以外の構成については、第1実施形態と同一であるため、同一の部材については説明を省略する。
第1の実施形態による温度及び酸素濃度測定装置の制御部31は、第1蛍光体3及び第2蛍光体4に接する気体の温度を出力した後に、第1蛍光体3及び第2蛍光体4に接する気体の酸素濃度を出力する制御を行った。これに対して、第2の実施形態による温度及び酸素濃度測定装置の制御部31は、第1蛍光体3及び第2蛍光体4に接する気体の酸素濃度を出力した後に、第1蛍光体3及び第2蛍光体4に接する気体の温度を出力する制御を行う。
また、第1実施形態では第1蛍光体3として「Y2O3:Eu」を用い、第2蛍光体4として「Y2O3:Tb」を用いたが、第2実施形態では、第1蛍光体3及び第2蛍光体4として、これらとは異なる蛍光体であって、以下の条件を満たす蛍光体を用いる。
即ち、酸素濃度基準の二波長強度比Roを
R0={I(T,O,WC)/I(T0,O0,WC)}/{I(T,O,WD)/I(T0,O0,WD)}
と定義し、温度基準の二波長強度比RTを
RT={I(T,O,WA)/I(T0,O,WA)}/{I(T,O,WB)/I(T0,O,WB)}
と定義する。このときに、
RO−21={I1(T,O,W1)/I1(T0,O0,W1)}/{I1(T,O,W2)/I1(T0,O0,W2)}
により定まる酸素濃度基準の二波長強度比RO−21が、酸素濃度Oの変化に伴い変化する。また、
RT−21={I1(T,O,W3)/I1(T0,O,W3)}/{I2(T,O,W4)/I2(T0,O,W4)}
により定まる温度基準の二波長強度比RT−21が、温度Tの変化に伴い変化する。また、
RT−22={I1(T,O,W1)/I1(T0,O,W1)}/{I1(T,O,W2)/I1(T0,O,W2)}
により定まる温度基準の二波長強度比RT−22が、温度Tが変化しても変化しない。
また、比r1任意の温度T1及び任意の酸素濃度O1のいずれが変化しても変化しない。また、比r2任意の温度T2及び任意の酸素濃度O2のいずれが変化しても変化しない。
従って、基準波長WS、第1波長W1、第2波長W2、第3波長W3、第4波長W4についても、第1実施形態における基準波長WS、第1波長W1、第2波長W2、第3波長W3、第4波長W4とは異なる。
このような条件の下で、制御部31は、酸素濃度基準の二波長強度比RO−21の値に基づいて、第1蛍光体3及び第2蛍光体4に接する気体の酸素濃度Oを出力する制御を行う。また、制御部31は、第4波長W4が第1波長W1、第2波長W2のいずれとも異なるときの温度基準の二波長強度比RT−21の値に基づいて、第1蛍光体3及び第2蛍光体4に接する気体の温度Tを出力する制御を行う。
制御部31による、第1蛍光体3及び第2蛍光体4に接する気体の温度及び酸素濃度の出力の制御は、以下のとおりである。先ず、制御部31は、UV光源11に対して、励起光を照射する制御を行う(S21)。次に、制御部31は、カメラ21に対して、バンドパスフィルタ22を透過した第1蛍光体3及び第2蛍光体4の発光(蛍光)による光を受光し、これに基づく電気信号をPC30へ出力する制御を行う。これにより画像解析部32は、カメラ21が受光した第1蛍光体3及び第2蛍光体4からの光から、光の分光スペクトル中の第1波長W1、第2波長W2、第3波長W3、第4波長W4、及び、基準波長WSにおける第1蛍光体3及び第2蛍光体4の発光強度を検出し、制御部31へ出力する(S22)。
次に、制御部31は、記憶媒体に記憶してある強度比の情報(比r1)を基準波長WSにおける発光強度Ic(T,O,WS)に対して乗算する(S23)。基準波長WSの定義より、基準波長WSにおける発光強度Ic(T,O,WS)は、基準波長WSにおける発光強度I2(T,O,WS)に等しいか又は略等しい。このため、乗算して得られた値を、酸素濃度測定用の波長である第1波長W1における、第1蛍光体3及び第2蛍光体4の2種類の蛍光体の発光強度Ic(T,O,W1)から減算することにより、第1波長W1における第1蛍光体3のみによる発光強度I1(T,O,W1)を得る(S23)。
また、制御部31は、記憶媒体に記憶してある強度比の情報(比r2)を基準波長WSにおける発光強度Ic(T,O,WS)に対して乗算する(S23)。乗算して得られた値を、酸素濃度測定用の波長である第2波長W2における、第1蛍光体3及び第2蛍光体4の2種類の蛍光体の発光強度Ic(T,O,W2)から減算することにより、第2波長W2における第1蛍光体3のみによる発光強度I1(T,O,W2)を得る(S23)。
次に、制御部31は、第1波長W1における第1蛍光体3のみによる発光強度I1(T,O,W1)と、第2波長W2における第1蛍光体3のみによる発光強度I1(T,O,W2)とを用いて酸素濃度基準の二波長強度比RO−21を算出する。そして制御部31は、酸素濃度基準の二波長強度比RO−21の値に基づいて、第1蛍光体3及び第2蛍光体4に接する気体の酸素濃度Oを出力する。具体的には、制御部31は、記憶媒体に予め数値のデータのテーブルとして記憶されている酸素濃度の値であって、算出したRO−21の値に一対一対応する酸素濃度の値を、測定温度・酸素濃度表示部33に出力する(S24)。
次に、温度基準の二波長強度比RT−21の値に基づいて、第1蛍光体3及び第2蛍光体4に接する気体の温度Tを出力する制御を行う。具体的には、第3波長W3における第1蛍光体3のみによる発光強度I1(T,O,W3)と、第4波長をW4における第2蛍光体4のみによる発光強度I2(T,O,W4)とを用いて温度基準の二波長強度比RT−21を算出する。そして、記憶媒体に予め数値のデータのテーブルとして記憶されている値であって、ステップS24において出力した酸素濃度の値における算出したRT−21の値に一対一対応する温度の値を、測定温度・酸素濃度表示部33に出力する(S25)。
上述のように、第1蛍光体3及び第2蛍光体4に接する気体の酸素濃度を出力する際には、温度及び酸素濃度測定装置1の記憶媒体(図示せず)に予め数値のデータのテーブルとして記憶されている酸素濃度の値であって、算出したRO−21の値に一対一対応する酸素濃度の値が用いられる。また、第1蛍光体3及び第2蛍光体4に接する気体の温度を出力する際には、温度及び酸素濃度測定装置1の記憶媒体に予め数値のデータのテーブルとして記憶されている温度の値であって、ステップS24において出力した酸素濃度の値における算出したRT−21の値に一対一対応する温度の値が用いられる。これらの値は、温度及び酸素濃度の測定前に、波長決定・混合比決定装置101が用いられて予め求められ、温度及び酸素濃度測定装置1の記憶媒体に記憶されている。
具体的には、以下のとおりに求められる。先ず、制御部131は、分光器123に対して、第2蛍光体4を混合する前の第1蛍光体3のみの発光(蛍光)による光の分光スペクトルを取得する制御を行う(S211)。次に、制御部131は、酸素濃度測定用の2波長W1と、W2を選定するために、発光ピークを2つ選定し、発光ピークにおける2波長をWAと、WBとする(S212)。次に、制御部131は、第1蛍光体3及び第2蛍光体4に接する気体の温度及び酸素濃度を様々に変化させたときに、2波長をWAと、WBにおける酸素濃度基準の二波長強度比RO−21と温度基準の二波長強度比RT−22とを算出する(S213)。
次に、制御部131は、ステップS213において、算出したRO−21が酸素濃度の変化に対して単調且つ大きく変化しているか否かの判断を行う(S214)。算出したRO−21が酸素濃度の変化に対して単調且つ大きく変化していない場合には(S214:NO)、ステップS212へ戻る。算出したRO−21が酸素濃度の変化に対して単調且つ大きく変化している場合には(S214:YES)、RT−22が温度に対して変化しない(又は、ほとんど変化しない)か否かの判断を行う(S215)。RT−22が温度に対して変化する場合には(S215:NO)ステップS212へ戻り、他の発光ピークを2つ選択し直す。RT−22が温度に対して変化しない(又は、ほとんど変化しない)場合には(S215:YES)、次に、制御部131は、2波長WA、WBを酸素濃度測定用の2波長W1、W2として選定し、記憶媒体(図示せず)に記憶する制御を行う(S216)。
次に、制御部131は、分光器123に対して、第1蛍光体3に混合する前の第2蛍光体4のみの発光(蛍光)による光の分光スペクトルを取得する制御を行う(S217)。次に制御部131は、第1蛍光体3の発光強度が得られず、第2蛍光体4の発光強度が得られる波長である基準波長WSを選定する制御を行う(S218)。そして、酸素濃度測定用の第1波長W1において第1蛍光体3及び第2蛍光体4の発光強度が得られる場合には、第2蛍光体4のみについて、基準波長WSと第1波長W1とのそれぞれにおける発光強度を求め、発光強度比r1を算出し、記憶媒体に記憶する制御を行う(S219)。
また、酸素濃度測定用の第2波長W2において第1蛍光体3及び第2蛍光体4の発光強度が得られる場合には、更に、第2蛍光体4のみについて、基準波長WSと第2波長W2とのそれぞれにおける発光強度を求め、発光強度比r2を算出し、記憶媒体に記憶する制御を行う(S219)。
次に、制御部131は、分光器123に対して、第1蛍光体3が発光する発光ピークの波長WCと、第2蛍光体4が発光する発光ピークの波長WDとをそれぞれ1つずつ抽出する制御を行う(S220)。次に、制御部131は、測定を行おうとする温度・酸素濃度の付近で、選定された酸素濃度測定用の第1波長W1、第2波長W2、温度測定用の候補波長WCそれぞれにおける発光強度が基準波長WS、温度測定用の候補波長WDそれぞれにおける発光強度と同程度となるような、第1蛍光体3と第2蛍光体4との混合比を出力し、記憶媒体に記憶する制御を行う(S221)。
次に、制御部131は、記憶媒体に記憶してある強度比の情報(比r1)を基準波長WSにおける発光強度Ic(T,O,WS)に対して乗算する(S222)。次に、乗算して得られた値を、酸素濃度測定用の波長である第1波長における、第1蛍光体3及び第2蛍光体4の2種類の蛍光体の発光強度Ic(T,O,W1)から減算することにより、第1波長における第1蛍光体3のみによる発光強度I1(T,O,W1)を得る(S222)。
次に、制御部131は、記憶媒体に記憶してある強度比の情報(比r2)を基準波長WSにおける発光強度Ic(T,O,WS)に対して乗算する(S222)。次に、乗算して得られた値を、酸素濃度測定用の波長である第2波長における、第1蛍光体3及び第2蛍光体4の2種類の蛍光体の発光強度Ic(T,O,W2)から減算することにより、第2波長における第1蛍光体3のみによる発光強度I1(T,O,W2)を得る(S222)。
次に、制御部131は、第1波長W1における第1蛍光体3のみによる発光強度I1(T,O,W1)と、第2波長W2における第1蛍光体3のみによる発光強度I1(T,O,W2)とを用いて酸素濃度基準の二波長強度比RO−21と温度基準の二波長強度比RT−22とを新たに算出する制御を行う(S223)。次に、制御部131は、RO−21が酸素濃度に対して単調にかつ大きく変化するか否かの判断を行う(S224)。RO−21が酸素濃度に対して単調にかつ大きく変化することはない場合には(S224:NO)、ステップS221へ戻る。
RO−21が酸素濃度に対して単調にかつ大きく変化する場合には(S224:YES)、次に、制御部131は、算出したRT−22が第1蛍光体3及び第2蛍光体4に接する気体の温度の変化に対して変化しない(又は、ほとんど変化しない)か否かの判断を行う(S225)。算出したRT−22が第1蛍光体3及び第2蛍光体4に接する気体の温度の変化に対して変化する場合には(S225:NO)、ステップS221に戻る。算出したRT−22が第1蛍光体3及び第2蛍光体4に接する気体の温度の変化に対して変化しない(又は、ほとんど変化しない)場合には(S225:YES)、制御部131は、温度基準の二波長強度比RT−21を算出する(S226)。
次に、制御部131は、算出したRT−21が第1蛍光体3及び第2蛍光体4に接する気体の温度の変化に対して単調に且つ大きく変化するか否かの判断を行う(S227)。算出したRT−21が第1蛍光体3及び第2蛍光体4に接する気体の温度の変化に対して単調に且つ大きく変化することはない場合には(S227:NO)、ステップS220に戻る。算出したRT−21が第1蛍光体3及び第2蛍光体4に接する気体の温度の変化に対して単調に且つ大きく変化する場合には(S227:YES)、ステップS220において選定した第3波長W3と、第4波長W4とをそれぞれ温度測定用の2波長として、記憶媒体(図示せず)に記憶する処理を行う(S228)。
次に、PC130をPC30と付け替えると共に、受光部120を受光部20と付け替える。制御部31は、受光部20に対して、選定した第1波長W1と、第2波長W2と、第3波長W3と、第4波長W4と、基準波長WSにおいて、温度及び酸素濃度が様々に変化したときの、第1蛍光体3の発光強度、第2蛍光体4の発光強度を検出する処理を行う。そして、制御部31は、得られた発光強度を用いて、酸素濃度基準の二波長強度比RO−21と温度基準の二波長強度比RT−21とを、それぞれ酸素濃度の値ごと、温度の値ごとに算出し、数値のデータのテーブルに記憶する制御を行う(S229)。
上記構成の実施形態による温度及び酸素濃度測定装置によれば、以下のような効果を得ることができる。
上述のように、温度及び酸素濃度測定装置1は、酸素消光特性を有する第1蛍光体3と温度消光特性を有する第2蛍光体4とを含む2種類の蛍光体からの光を受光可能な受光部20と、受光部20において受光した2種類の蛍光体からの光の分光スペクトル中の第1波長、第2波長、第3波長、及び、第4波長における2種類の蛍光体の発光強度を検出可能な発光強度検出部としての画像解析部32と、画像解析部32において検出された第1波長及び第2波長における第1蛍光体3の発光強度に基づき、第1蛍光体3及び第2蛍光体4に接する気体の酸素濃度を出力し、画像解析部32において検出された第3波長における第1蛍光体3の発光強度と画像解析部32において検出された第4波長における第2蛍光体4の発光強度とに基づき、第1蛍光体3及び第2蛍光体4に接する気体の温度を出力する制御を行う制御部31と、を備える。
そして、第1蛍光体3及び第2蛍光体4に接する気体の温度をTとし、第1蛍光体3及び第2蛍光体4に接する気体の酸素濃度をOとし、分光スペクトルに含まれる波長をWとしたときの第1蛍光体3の発光強度をI1(T,O,W)とし、第2蛍光体4の発光強度をI2(T,O,W)とし、常温をT0とし、酸素濃度0%をO0とし、任意の波長をそれぞれWA、WB、WC、WDとし、第1波長をW1とし、第2波長をW2とし、第3波長をW3とし、第4波長をW4とし、酸素濃度基準の二波長強度比Roを
R0={I(T,O,WC)/I(T0,O0,WC)}/{I(T,O,WD)/I(T0,O0,WD)}
と定義し、温度基準の二波長強度比RTを
RT={I(T,O,WA)/I(T0,O,WA)}/{I(T,O,WB)/I(T0,O,WB)}
と定義し、
RO−21={I1(T,O,W1)/I1(T0,O0,W1)}/{I1(T,O,W2)/I1(T0,O0,W2)}
により定まる酸素濃度基準の二波長強度比RO−21が、酸素濃度Oの変化に伴い変化し、
RT−21={I1(T,O,W3)/I1(T0,O,W3)}/{I2(T,O,W4)/I2(T0,O,W4)}
により定まる温度基準の二波長強度比RT−21が、温度Tの変化に伴い変化し、
RT−22={I1(T,O,W1)/I1(T0,O,W1)}/{I1(T,O,W2)/I1(T0,O,W2)}
により定まる温度基準の二波長強度比RT−22が、温度Tが変化しても変化しないときに、
制御部31は、酸素濃度基準の二波長強度比RO−21の値に基づいて、第1蛍光体3及び第2蛍光体4に接する気体の酸素濃度Oを出力すると共に、第4波長W4が第1波長W1、第2波長W2のいずれとも異なるときの温度基準の二波長強度比RT−21の値に基づいて、第1蛍光体3及び第2蛍光体4に接する気体の温度Tを出力する制御を行う。
上記構成により、第1実施形態における温度及び酸素濃度測定装置から得られる効果に加えて、制御部31は、第1蛍光体3及び第2蛍光体4に接する気体の酸素濃度を先に出力し、その後に第1蛍光体3及び第2蛍光体4に接する気体の温度を出力する処理を行うことができる。
本発明は、上述した実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲に記載された技術的範囲において変形が可能である。例えば、本実施形態では、第1蛍光体3及び第2蛍光体4の2種類の蛍光体を用いたが、2種類に限定されない。少なくとも2種類用いればよい。
例えば、非特許文献4に開示されているように、NO消光特性を有する蛍光体が知られている。従って、第1蛍光体3及び第2蛍光体4に、NO消光特性を有する蛍光体を混合させることにより、温度、酸素濃度、及び、NO濃度を測定することが可能である。即ち、温度や酸素濃度以外の他の要因により消光する特性を有する蛍光体を用いることにより、温度、酸素濃度以外の他の要因の変化を測定することが可能である。
また、例えば、第1実施形態においては、温度測定には第1蛍光体3からの発光によるRT−1を用いていたが、第1蛍光体3の温度測定域より高温域においてRT−1が単調変化する他の蛍光体を第1蛍光体3及び第2蛍光体4に混合させることにより、温度測定域を第1実施形態よりも拡大することができる。第2実施形態の場合についても同様である。
また、例えば、第1実施形態においては、酸素濃度測定には第1蛍光体3、第2蛍光体4それぞれの発光強度によるR0−1を用いた。このR0−1を用いた酸素濃度測定域より高酸素濃度域においてR0−1が単調変化する他の蛍光体を第1蛍光体3及び第2蛍光体4に混合させると,酸素濃度測定域を第1実施形態よりも拡大することができる。第2実施形態の場合についても同様である。
また、例えば、第1実施形態においては、2種類よりも多い種類の蛍光体を用いることにより、測定精度を向上させることができる。具体的には、第1蛍光体3の温度測定域の一部におけるRT−1の変化よりも、RT−1の変化の大きい蛍光体を第1蛍光体3及び第2蛍光体4に混合することにより、当該測定域において、より高精度に温度を測定することができる。同様に、第1蛍光体3及び第2蛍光体4の酸素濃度測定域の一部におけるR0−1の変化よりも、R0−1の変化の大きい蛍光体を第1蛍光体3及び第2蛍光体4に混合することにより、当該測定域において、より高精度に酸素濃度を測定することができる。第2実施形態の場合についても同様である。
また、第1蛍光体3は「Y2O3:Eu」に限定されない。同様に、第2蛍光体4は「Y2O3:Tb」に限定されない。例えば、第1実施形態においては、第1蛍光体は、少なくとも温度消光特性を有し、第2蛍光体は少なくとも酸素消光特性を有していればよく、第2実施形態においては、第1蛍光体は、少なくとも酸素消光特性を有し、第2蛍光体は少なくとも温度消光特性を有していればよい。また、例えば、酸素濃度のみ測定可能な蛍光体を用いることも可能である。この場合には、温度基準の二波長強度比RTが温度変化に対して一定又はほとんど変化せず、酸素濃度基準の二波長強度比Roが酸素濃度の変化に対して単調に且つ大きく変化することが要求される。
また、第1実施形態では、基準波長WSとして543nmを用い、第1波長W1として587nmを用い、第2波長W2として第3波長W3と同一の615nmを用い、第4波長W4として543nmを用いたが、これらの値に限定されない。従って、第2波長W2は、第3波長W3と同一でなくてもよい。また、基準波長WSは、第4波長W4と同一でなくてもよく、第1波長W1は、第3波長W3と同一であってもよい。
また、本実施形態では、高温型の燃料電池2であるSOFC(固体酸化物形燃料電池)において温度及び酸素濃度の測定を行ったが、高温型の燃料電池2であるSOFCに限定されない。例えば、ガスタービンや自動車用エンジンやプラント反応器等における所定の部分の温度及び酸素濃度の測定を行ってもよい。
また、温度及び酸素濃度測定装置や波長選定・混合比決定用装置の構成は、本実施形態の構成に限定されない。また、本実施形態では、温度及び酸素濃度測定装置1と波長決定・混合比決定装置101とについて別個に説明したが、別個に構成されることに限定されない。例えば、温度及び酸素濃度測定装置は、波長選定・混合比決定用装置を有しており、波長選定・混合比決定用装置が自動的に作成したデータのテーブルを利用して温度及び酸素濃度測定装置が温度及び酸素濃度を測定してもよい。温度及び酸素濃度測定装置と波長選定・混合比決定用装置とは1つの装置により構成されて、全体として温度及び酸素濃度測定装置をなしていてもよい。