JP6264514B1 - 糖液の製造方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、セルロース含有バイオマスから高品質の糖液を効率的に製造する方法に関する。より具体的には、本発明は、セルロース含有バイオマスにアルカリ性水性媒体を通液させてアルカリ性濾液を得る工程、該アルカリ性濾液を前記セルロース含有バイオマスに繰り返し通液させてセルロース含有固形分を生成させる環濾過工程、および前記セルロース含有固形分を加水分解して糖液を得る工程を含む、糖液の製造方法に関する。

Description

関連出願の参照
本特許出願は、先に出願された日本国特許出願である特願2016−066886号(出願日:2016年3月29日)に基づく優先権の主張を伴うものであり、かかる先の特許出願における全開示内容は、引用することにより本明細書の一部とされる。
本発明はセルロース含有バイオマスから発酵原料等で使用可能な糖液を製造する方法に関する。
糖質を原料とした化学品の発酵生産プロセスは、種々の工業原料生産に利用されている。この発酵原料となる糖質として、現在、さとうきび、澱粉、テンサイなどの食用原料に由来するものが工業的に使用されているが、今後の世界人口の増加による食用原料価格の高騰、あるいは食用と競合するという倫理的な側面から、再生可能な非食用資源、すなわちセルロース含有バイオマスをより効率的に糖液を製造するプロセス、あるいは得られた糖液を発酵原料として、効率的に工業原料に変換するプロセスの構築が今後の課題となっている。
セルロース含有バイオマス原料中の糖質は、複雑な構造をとる細胞壁中に埋め込まれている。したがって、酵素が効率的に作用するようにするために、酵素加水分解に先立って、バイオマス原料にアルカリ処理を施すことが知られている。
例えば、セルロールの酵素加水分解速度を向上させるために、セルロース含有物とアルカリ水溶液とを接触させるアルカリ処理を行い、該セルロース含有物を水および/または酸性水溶液で洗浄した後、該セルロース含有物とセルロース分解酵素及びpH緩衝剤を含む水溶液とを0〜250mMの緩衝液濃度の範囲で接触させる酵素処理を行うことが開示されている(特許文献1)。
また、バイオマスを二軸押出機に供給し、該供給中にアルカリ性化合物の水溶液を該機内に注入し、該機内で該バイオマスと外水溶液とを混練、反応させることを特徴とするバイオマスの酵素処理用前処理法が開示されている(特許文献2)。
また、バイオマスから糖を製造するためのコストを低減するために、草本系バイオマスまたは木質系バイオマスを、アルカリ溶液を用いて、アルカリ処理し、アルカリ処理された溶液をアルカリ溶液と固形成分とに固液分離し、分離されたアルカリ溶液にアルカリ物質を補充して、アルカリ処理工程にリサイクルする方法が開示されている(特許文献3)。
また、酵素糖化の効率を向上させかつ中和廃液を大幅に減少させるために、 裁断、粉砕、磨砕、擂潰、または粉末化したセルロース系バイオマス原料、水酸化カルシウム、および水を含むスラリーを調製して当該原料に対するアルカリ処理を行い、その後固液分離を行い、当該固液分離によって得られた固形物、または、当該固形物と水との混合物に対して、二酸化炭素を用いて中和することによりpHを5〜8に調整し、酵素糖化反応を行うことを特徴とするセルロース系バイオマス原料の酵素糖化方法が開示されている(特許文献4)。
しかしながら、セルロース含有バイオマスから高品質の糖液を効率的に取得する方法が依然として求められている。
特開2011−135861号公報 特開昭59−192094号公報 特開2014−23484号公報 特開2013−220067号公報
本発明は、セルロース含有バイオマスから糖液を効率的に製造する方法を提供することを目的としている。本発明はまた、セルロース含有バイオマスから高品質の糖液を製造する方法を提供することを目的としている。
本発明者らは、今般、アルカリ性濾液を繰り返し利用する特定の前処理をセルロース含有バイオマスに適用すると、糖液を効率的に取得しうることを見出した。さらに、本発明者らは、上記糖液が高純度で糖を含有することを見出した。本発明は、かかる知見に基づくものである。
本発明は、以下の[1]〜[16]を包含する。
[1]セルロース含有バイオマスにアルカリ性水性媒体を通液させてアルカリ性濾液を得る工程、
該アルカリ性濾液を前記セルロース含有バイオマスに繰り返し通液させてセルロース含有固形分を生成させる循環濾過工程、および
前記セルロース含有固形分を加水分解して糖液を得る工程
を含む、糖液の製造方法。
[2]前記アルカリ性濾液を得る工程が、セルロース含有バイオマスとアルカリ性水性媒体を濾過器に供給し、該濾過器を用いてセルロース含有バイオマスにアルカリ性水性媒体を通液させることを含む、[1]に記載の製造方法。
[3]通液が重力方向の自重濾過である、[1]または[2]に記載の製造方法。
[4]アルカリ性水性媒体およびアルカリ性濾液の温度が実質的に同一に保持されている、[1]〜[3]のいずれかに記載の製造方法。
[5]アルカリ性水性媒体およびアルカリ性濾液の温度が80℃以上100℃以下である、[1]〜[4]のいずれかに記載の糖液の製造方法。
[6]アルカリ性濾液が酢酸またはその塩を含む、[1]〜[5]のいずれかに記載の製造方法。
[7]セルロース含有バイオマスが目開き30mm以上の篩で篩過したものである、[1]〜[6]のいずれかに記載の製造方法。
[8]セルロース含有バイオマスが乾式粉砕処理されたものである、[1]〜[7]のいずれかに記載の製造方法。
[9]セルロース含有バイオマスが草本系バイオマスである、[1]〜[8]のいずれかに記載の糖液の製造方法。
[10]アルカリ性水性媒体およびアルカリ性濾液が、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムから選択される少なくとも一つの水酸化物を含む、[1]〜[9]のいずれかに記載の製造方法。
[11]アルカリ性水性媒体およびアルカリ性濾液がアルカリ性水溶液である、[1]〜[10]のいずれかに記載の製造方法。
[12]アルカリ性濾液の通液の繰り返し時間が30分以上3時間以下である、[1]〜[11]のいずれかに記載の製造方法。
[13]循環濾過工程終了時のアルカリ性濾液のpHが10以上12以下である、[1]〜[12]のいずれかに記載の製造方法。
[14]加水分解が酵素による加水分解である、[1]〜[13]のいずれかに記載の製造方法。
[15]セルロース含有バイオマスを加水分解して糖液を得るためのセルロース含有バイオマスの前処理方法であって、
該セルロース含有バイオマスにアルカリ性水性媒体を通液させてアルカリ性濾液を得る工程、および
該アルカリ性濾液を前記セルロース含有バイオマスに繰り返し通液させてセルロース含有固形分を生成させる循環濾過工程
を含む、方法。
[16][15]に記載の前処理方法によってセルロース含有バイオマスからセルロース含有固形分を得る、セルロース含有固形分の製造方法。
本発明によれば、アルカリ性濾液を繰り返し用いる前処理を採用して、セルロース含有バイオマス由来の糖液を効率的に取得することができる。本発明は、糖液の製造において、前処理で使用するアルカリ使用量および反応時間を大幅に低減する上で有利である。本発明はまた、顕著に高純度な糖液を製造する上で有利である。
発明の具体的説明
本発明の糖液の製造方法は、セルロース含有バイオマスにアルカリ性水性媒体を通液させてアルカリ性濾液を得る工程、該アルカリ性濾液をセルロース含有バイオマスに繰り返し通液させてセルロース含有固形分を生成させる循環濾過工程、およびセルロース含有固形分を加水分解して糖液を得る工程を含むことを特徴としている。セルロース含有バイオマスにアルカリ性濾液をそのまま通液させることを繰り返す前処理を採用して、セルロース含有バイオマス原料のアルカリ処理でのアルカリ使用量および反応時間を大幅に低減しうること、さらに顕著に高純度な糖液を効率的に取得しうることは意外な事実である。
本発明の方法では、まず、セルロース含有バイオマスとアルカリ性水性媒体とを濾過器中に供給する。本発明において、セルロース含有バイオマスおよびアルカリ性水性媒体は予め混合して濾過器内に供給してもよく、両者を別々に濾過器内に供給してもよいが、濾過器中に予め供給されたセルロース含有バイオマス上にアルカリ性水性媒体を添加することが好ましい。
本発明のセルロース含有バイオマスとは、すくなくともセルロースを含む生物資源のことを指す。セルロース含有バイオマスの好適な例としては、バガス、スイッチグラス、ネピアグラス、エリアンサス、コーンストーバー、わら(稲わら、麦わら)、油椰子空果房などの草本系バイオマス、あるいは樹木、木屑、廃建材などの木質系バイオマス、さらに藻類、海草など水生環境由来のバイオマス、コーン外皮、小麦外皮、大豆外皮、籾殻などの穀物皮類バイオマスなどが挙げられるが、バガス、稲わら、油椰子空果房などの草本系バイオマスがより好ましく利用される。
本発明のセルロース含有バイオマスの形状は特に限定されないが、粉砕処理されていることが好ましい。粉砕手段は特に限定されず、ボールミル、振動ミル、カッターミル、ハンマーミル、ウィレーミル、ジェットミルなど各種材料の粗粉砕に慣用されている機械を用いて行うことができる。この機械的な粉砕は乾式および湿式のいずれでもよいが、好ましくは乾式粉砕である。粉砕処理後は必要に応じて分級してもよい。好ましい粒度の範囲は、セルロース含有バイオマスが通過する篩の目開の大きさによって設定することができる。セルロース含有バイオマスが通過する篩の目開の好ましい範囲は、例えば、8mm程度以上、8mm程度以上20mm程度以下、20mm程度以上、20mm程度以上50mm程度以下、30mm程度以上、30mm程度以上50mm程度以下、50mm程度以上、50mm程度以上70mm程度以下、70mm程度以上である。
また、本発明のセルロース含有バイオマスの含水率は特に限定されないが、好ましい範囲は、例えば、3%程度以上、3%程度以上60%程度以下、5%程度以上、5%程度以上60%程度以下、5%程度以上55%程度以下、5%程度以上50%程度以下である。
また、本発明のアルカリ性水性媒体は、アンモニア、アンモニア水、水酸化物を含む水性媒体などのアルカリ性水溶液が挙げられるが、好ましくは水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムから選択される少なくとも一つの水酸化物を含む水性媒体であり、より好ましくは水酸化ナトリウム水溶液または水酸化カリウム水溶液である。
アルカリ性水性媒体のアルカリ濃度は、アルカリ含有性媒体中のアルカリ性物質(水酸化物等のアルカリ固形分)の含有量により算出することができる。アルカリ性水性媒体のアルカリ濃度の上限値は、特に限定されないが、好ましくは3、2、1.5、1、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3または0.2重量%程度であり、下限値は、好ましくは0.0.5、0.1、0.2、0.3、0.4または0.5重量%程度である。また、好ましいアルカリ濃度の範囲は、例えば、0.05重量%程度以上0.3重量%程度以下、0.1重量%程度以上3重量%程度以下、0.1重量%程度以上2重量%程度以下、より好ましい範囲は0.1〜2重量%程度、0.25重量%程度以上1.5重量%程度以下、0.25重量%程度以上1.5重量%程度以下、さらに好ましい範囲は0.25重量%程度以上1.0重量%程度以下である。
また、アルカリ性水性媒体のpHの下限値は、アルカリ性である限り特に限定されないが、7以上、好ましくはpH8以上、より好ましくはpH9以上、さらに好ましくはpH10以上である。pHの上限値は、pH14未満であれば、特に限定はされないが、アルカリの使用量を少なくする観点で、pH13.5以下で設定することができる。また、好ましいpHの範囲は、例えば、7以上13.5以下、8以上13.5以下、より好ましいpHの範囲は9以上13.5以下、さらに好ましいpHの範囲は10以上12以下の範囲である。
また、アルカリ性水性媒体には、所望により酢酸またはその塩を添加してもよい。アルカリ性水性媒体に酢酸またはその塩を添加することは、本発明の反応効率を向上する上で好ましい。好ましいアルカリ性水性媒体中の酢酸の濃度は、例えば、0.05重量%程度以上5.0重量%程度以下、0.08重量%程度以上3.0重量%程度以下、0.08重量%程度以上2.5重量%程度以下、0.08重量%程度以上2.3重量%程度以下、0.1重量%程度以上2.0重量%程度以下、より好ましい範囲は0.08重量%程度以上2.3重量%程度以下または0.1重量%程度以上2.0重量%程度以下である。
アルカリ性水性媒体の温度の上限値は、特に限定されないが、好ましくは110、100、95、90、80、75、70℃程度であり、下限値は、好ましくは35,40、50、60、65℃程度である。また、好ましいアルカリ性水性媒体の温度の範囲は、例えば、35℃程度以上100℃程度以下、40℃程度以上100℃程度以下、50℃程度以上100℃程度以下、60℃℃程度以上100℃程度以下、65℃程度以上100℃程度以下、80℃程度以上100℃程度以下であり、より好ましい温度の範囲は60℃程度以上100℃程度以下、65℃程度以上100℃程度以下、80℃程度以上100℃程度以下であり、さらに好ましい温度の範囲は65℃程度以上100℃程度以下または80℃程度以上100℃程度以下である。
また、本発明において、アルカリ性水性媒体と、セルロース含有バイオマス(乾燥重量)との重量割合は、特に限定されないが、好ましい範囲は、例えば、100:1〜2:1、90:1〜3:1、50:1〜5:1、30:1〜5:1、25:1〜7:1、25:1〜7:1、25:1〜5:1、20:1〜5:1である。
また、本発明において、アルカリリ含有水性媒体と、セルロース含有バイオマス(乾燥重量)との割合は、後述する参考例5に記載のアルカリ使用量(アルカリ反応量ともいう)を指標として設定することもできる。好ましいアルカリ使用量の範囲は、例えば、20mg/g程度以上300mg/g程度以下、30mg/g程度以上200mg/g程度以下、40mg/g程度以上200mg/g程度以下、45mg/g程度以上180mg/g程度以下、45mg/g程度以上150mg/g程度以下、45mg/g程度以上120mg/g程度以下、50mg/g程度以上100mg/g程度以下、50mg/g程度以上90mg/g程度以下であり、より好ましいアルカリ使用量の範囲は45mg/g程度以上120mg/g程度以下、50mg/g程度以上100mg/g程度以下、50mg/g程度以上90mg/g程度以下である。
また、本発明の濾過器は、本発明を実施しうる特に限定されないが、セルロース含有バイオマスを少なくとも収容するバイオマス収容部と、セルロース含有バイオマスにアルカリ水性媒体を通液させる濾過部と、濾過部から得られるアルカリ性濾液を回収して循環させる濾液循環部とを少なくとも備えていることが好ましい。
濾過器のバイオマス収容部の形状は、特に限定されず、筒上、箱状、膜状、板状またはベルト状(移動式)等にしてもよい。また、バイオマス収容部は、セルロース含有バイオマス、アルカリ性水性媒体およびアルカリ性濾液を器内に供給するための少なくとも1つの開口部を上面または側面に有し、かつ濾過部と隣接していることが好ましい。また、バイオマス収容部の底面に濾過部が配置されていることが好ましい。また、本発明の濾過器は、バイオマス収容部と濾過部とが一体的に構成されていることが好ましい。
バイオマス収容部のサイズは、特に限定されず、少なくともセルロース含有バイオマスを収容できる容量または面積であることが好ましい。例えば、バイオマス収容部が筒上または箱上である場合、バイオマス収容部は、セルロース含有バイオマスと、アルカリ性水性媒体とを共に収容しうる容量を有することが好ましい。また、バイオマス収容部が板状、膜状、スリット状、またはベルト状である場合、バイオマス収容部は、セルロース含有バイオマスを収容部上に配置できるように十分な面積を有することが好ましい。
濾過部の形状は、特に限定されないが、セルロース含有バイオマスをその上に配置して濾過するため、板状、膜状またはベルト状であることが好ましい。さらに、濾過部は、セルロース含有バイオマスを通過させずかつアルカリ水性媒体を通過させる孔を有することが好ましい。かかる濾過部は、精密濾過膜(MF)、限外濾過膜(UF)で構成することもできる。
濾過部の孔の平均孔径は、セルロース含有バイオマスの粒度に応じて適宜設定することができるが、好ましい平均孔径の範囲は、例えば、0.001μm〜5mm、0.01μm〜5mm、0.1μm〜5mmである。ここで、「平均孔径」とは、ポロメーター(コースター社)を用いてミーンフローポイント法により測定される平均流量孔径をいう。また、濾過部は孔形状は、特に限定されず、例えばスリットのような一方向に長い切込み等が挙げられる。また、ろ過部の開口率は特に限定されないが、5%以上60%以下が好ましく、10%以上40%以下がより好ましい。開口率を上記範囲内とすることは、バイオマスの微粒子が目詰まりを起こして濾過が遅くなったり、濾過器上にバイオマスが保持できなくなることを防止する上で有利である。また孔形状がスリットのような切込みの場合、その幅は上記同様0.001μm〜5mm、0.01μm〜5mm、0.1μm〜5mmであることが好ましい。
濾過部の材質としては、特に限定されるものではないが、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、塩素化ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリオレフィン、ポリビニルアルコール、ポリメチルメタクリレート、ポリフッ化ビニリデン、ポリ4フッ化エチレン、ポリアクリレート等の有機材料、あるいは鉄、チタン、アルミ、ステンレス等の金属、あるいはセラミック等の無機材料が挙げられる。
また、濾液循環部の形状は、濾過部から得られるアルカリ性濾液を回収し、再度濾過に用いうる限り特に限定されない。好適な濾液循環部は、例えば、濾過部の下に配置されかつ濾液を回収するための開口部を備えた回収容器部(バケット等)を少なくとも備えている。
濾液循環部は、固定して設置してもよく、運搬・移動可能なように設置してよい。濾液循環部が運搬・移動可能な場合、例えば、アルカリ性濾液を回収した後、濾液循環部をバイオマス収容部付近に運搬してアルカリ性濾液をそのままバイオマス収容部に注ぐことにより循環濾過を実施することができる。
また、濾液循環部は、固定して設置するかまたは運搬・移動を通常行わない場合、濾液循環部からバイオマス収容部へアルカリ性濾液を循環させるためライン部(パイプ等)をさらに備えていてもよい。また、ライン部は、アルカリ性濾液をバイオマス収容部に注入するための注入口(例えば、シャワー状の開口部)を備えていることが好ましい。さらに、濾液循環部は、アルカリ性濾液を循環させる駆動力を付与するためのポンプをさらに備えていることが好ましい。また、濾液循環部は保温または加温できる機能を有していることが好ましい。かかる保温または加温機能のある濾液循環部を使用することは、特に初期の反応温度が高熱である場合に温度低下によって反応の進行が妨げられるのを防止する上で有利である。また、本発明の濾液循環部は、その全部または一部をジャケット式またはトレース式にて内部に蒸気や温水を共有することにより強制的に保温または昇温することがより好ましい。
なお、濾液回収部およびバイオマス収容部の材質は、特に限定されず、例えば、上述の濾過部の材質と同様とすることができる。
本発明の濾過器としては、公知の循環式抽出(濾過)装置を用いることも可能である。
濾過器の好適な例としては、ベルト式濾過機(DeSmet社LM)、バスケット式濾過機、ロータリー式濾過機(Carousel、Rotocell、REFLEX)、ボノット式濾過機、スクリーン濾過式等が挙げられるが、より好ましくはタンク内スクリーン濾過式装置(イズミフードマシナリ社)、コンベア式スクリーン濾過式装置(Crown Works社、モデル2、モデル3)等である。かかる循環式抽出(濾過)装置を用いることは、高温または高圧容器を用いる従来の前処理装置と比較して、工業設備のコストを低減する上で有利である。
また、本発明の一つの態様によれば、複数の濾過器を並列に連結して用いてもよい。かかる態様においては、例えば、第一の濾過器から排出される第一のアルカリ性濾液を第一のライン部を介して第二の濾過器に注入し、第二の濾過器から排出される第二のアルカリ性濾液を第二のライン部を介して第三の濾過器に注入し、第三の濾過器から排出される第三のアルカリ性濾液を第三のライン部を介して第一の濾過器に注入するように、各濾過器を連結することができる。
また、本発明の別の態様によれば、濾過器は、一つのバイオマス収容部および濾過部と、複数の濾液循環部とを備えていてもよい。かかる態様においては、例えば、バイオマス収容部および濾過部は一体的に構成しかつ孔を有する移動式ベルト状とすることができる。そして、移動式ベルトの下に、複数の濾液循環部を配置することができる。かかる態様によれば、バイオマスをベルトにより移動させつつ、アルカリ性濾液を循環させて前処理反応を実施することができ、反応効率を向上させる上で有利である。
また、別の好ましい態様によれば、セルロース含有バイオマスと、アルカリ性水性媒体またはアルカリ性濾液とを対向接触させることが可能な濾過器を用いてもよい。かかる濾過器には、例えば、対向接触の間はバイオマス収容部を密閉できるように、開口部および濾過部との接触面に開閉可能な蓋を配置してもよい。また、対向接触の際に必要な加圧を行うための加圧部をさらに配置してもよい。かかる対向接触可能な濾過器を使用することは、反応効率をさらに向上する上で有利である。
本発明の方法においては、セルロース含有バイオマスにアルカリ性水性媒体を通液させて、アルカリ性濾液を得る。本発明の通液は、好ましくはアルカリ液の重量を利用した、重力方向の自重濾過によることが好ましい。かかる自重濾過は、通液速度を緩やかにして反応効率を向上させ、バイオマスを圧密化して反応を均一化するのに有利である。特に、ポンプで強制的に通液する場合、自重濾過は反応を効果的に均一化する上で特に好ましい。
また、アルカリ性濾液のpHは、アルカリ性水性媒体と同様の範囲内であってよく、好ましいpHの範囲は、例えば、7以上12以下、8以上12以下、より好ましいpHの範囲は9以上12以下、さらに好ましいpHの範囲は10以上12以下の範囲である。アルカリ性濾液のpHは反応が進行するとともに低下していく傾向がある。これはアルカリ反応が進行すると可溶性リグニンの成分が中和剤の役割を果たすためであり、この低下度合いによって反応の進行状態を測ることが可能である。特に循環濾過終了時(反応後)のpHの範囲は、初期のアルカリ濃度等により適宜調整することができるが、好ましくは、例えば、7以上12.5以下、8以上12.5以下、より好ましいpHの範囲は9以上12以下、さらに好ましいpHの範囲は10以上12以下の範囲である。アルカリ性濾液のpHが上記範囲にあるか測定することは、後続する加水分解工程を行うのに十分なレベルまで反応が進行しているかを評価する上で有効的な手段である。なお、本発明のアルカリ性濾液には、アルカリを追加せずにそのまま濾過循環に利用することが好ましい。かかる本発明によれば、アルカリ性濾液に対してアルカリの追加を行わなくても反応効率を向上することができ、コストを低減する上で有利である。
また、アルカリ性濾液では、濾過前のアルカリ性水性媒体の温度を実質的に保持することが好ましい。例えば、アルカリ性濾液の好適な温度は、アルカリ性水性媒体と実質的に同一の範囲内(±0.5〜1℃程度の差の範囲内)であってよく、好ましい温度の範囲は、例えば、35℃程度以上100℃程度以下、40℃程度以上100℃程度以下、50℃程度以上100℃程度以下、60℃℃程度以上100℃程度以下、65℃程度以上100℃程度以下、80℃程度以上100℃程度以下であり、より好ましい温度の範囲は60℃程度以上100℃程度以下、65℃程度以上100℃程度以下、80℃程度以上100℃程度以下であり、さらに好ましい温度の範囲は65℃程度以上100℃程度以下または80℃程度以上100℃程度以下である。アルカリ性濾液を上記温度に保持することは、濾過器に公知の保温機器または加熱機器を設置することにより実施することができる。
また、本発明の方法では、上述の通り、セルロース含有バイオマスにアルカリ性濾液を通液させることを繰り返すことによりセルロース含有固形分を準備する。本発明において、アルカリ性濾液をアルロース含有バイオマスに通液させることを繰り返す循環濾過工程は、上述の濾過器を用いて実施することができる。
アルカリ性濾液をセルロース含有バイオマスに通液させることを繰り返す時間は、特に限定されないが、好適な繰り返し時間は、例えば、20分程度以上72時間程度以下、20分程度以上48時間程度以下、20分程度以上24時間程度以下、30分程度以上48時間程度以下、30分程度以上24時間程度以下、30分程度以上12時間程度以下、30分程度以上6時間程度以下または30分程度以上3時間程度以下ある。
また、アルカリ性濾液をセルロース含有バイオマスに通液させることを繰り返す回数は、特に限定されないが、好適な回数は、例えば、少なくとも2回以上、2回以上20000以下、2回以上10000以下、2回以上1000以下、3回以上10000以下、3回以上1000以下または3回以上100以下である。
セルロース含有固形分は、濾過により容易にアルカリ性濾液から分離することができる。得られたセルロース含有固形分には、後続する加水分解工程前に、公知装置を用いて濾過、乾燥、圧搾等を施してもよいが、圧搾を施すことが特に好ましい。圧搾方法としては、スクリュープレス、ベルトプレス、フィルタープレスなどがあるが、スクリュープレスが好ましい。
また、セルロース含有固形分の含水率は、特に限定されないが、好ましい範囲は、例えば、3重量%程度以上99重量%程度以下、20重量%程度以上99重量%程度以下、40重量%程度以上99重量%程度以下、50重量%程度以上99重量%程度以下または50重量%程度以上70重量%程度以下であり、より好ましくは50重量%程度以上99重量%程度以下であり、さらに好ましくは50重量%程度以上70重量%程度以下である。
セルロース含有固形分の含水率を低下させることは、糖液の純度を向上させ、酵素反応の反応効率を向上させる上で有利である。
本発明の方法では、セルロール含有固形分を加水分解して糖液を得る。加水分解工程では、酸加水分解、アルカリ加水分解、酵素加水分解等の公知の加水分解法を適用することができるが、セルロール固形分を水媒体中、酵素で加水分解処理することが好ましい。かかる酵素加水分解工程によって得られる糖液は、例えば、グルコース、キシロース、アラビノース、ガラクトース、キシロビオースをはじめとする、オリゴ糖および/または単糖を含有する水溶液として取得することができる。
使用される酵素はセルロースまたはヘミセルロース加水分解酵素である限り特に限定されないが、例えば、比較的安価な市販のものでよく、セルラーゼ酵素剤としては、アクレモニウム属由来の酵素であるアクレモニウムセルラーゼ(Meiji Seika ファルマ株式会社)やトリコデルマ属由来の酵素であるアクセルレース・デュエット(ダニスコ・ジャパン社)、Celluclast 1.5L(ノボザイム社)などを用いることができる。ヘミセルラーゼ酵素剤としては、Optimash BG(ジェネンコア社)などを用いることができる。酵素の由来は特に限定されないが、より好ましくは糸状菌由来の酵素である。糸状菌由来の酵素は、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、ベータグルコシダーゼなどのセルロース含有バイオマス由来の多糖の分解酵素を豊富に含んでおり、アルカリ処理した後のバイオマスに対して加水分解反応を行う上で有利である。
使用される酵素は、酵素剤の性質、所望の製品の組成等を勘案して、単独もしくは組み合わせて用いることができる。好適な酵素の量もまた、特に限定されず適宜決定することができる。かかる酵素の量は、例えば、原料基質1gあたり0.01g以上1g以下とすることができ、好ましくは0.001g以上0.1g以下である。酵素加水分解の温度、pHおよび時間は、酵素の性質や組み合わせ等によって適宜設定することができる。好適な範囲としては、例えば、温度は30以上60℃以下、より好ましくは35℃以上50℃以下である。また、pHは、例えばpH3以上8以下、好ましくはpH4以上7以下である。また、反応時間は、例えば、1時間以上48時間以下、好ましくは6時間以上24時間以下である。
セルロース含有固形分の加水分解物から糖液を分離する方法は特に限定されないが、固液分離後に膜処理を行うことが好ましい。また、得られた糖液には、所望により濾過、遠心分離、濃縮、乾燥等の処理を施すことができる。
本発明の糖液におけるグルコース、キシロースまたはキシロビオースの濃度は、特に限定されず、各工程の反応条件等を調節することにより適宜設定することができる。好適なグルコース濃度としては、例えば、5g/L程度以上1000g/L程度以下、5g/L程度以上700g/L程度以下、5g/L程度以上550g/L程度以下または10g/L程度以上550g/L程度以下である。また、好適なキシロース濃度としては、例えば、1g/L程度以上100g/L、1g/L程度以上50g/L程度以下または1g/L程度以上10g/L程度以下である。また、好適なキシロビオース濃度としては、例えば、1g/L程度以上100g/L、1g/L程度以上50g/L程度以下、1g/L程度以上20g/L程度以下または1g/L程度以上15g/L程度以下である。
また、本発明の方法は、高純度の糖液を得る上で好ましい。本発明によれば、バイオマス中のリグニンやその他構成単位の可溶分を効率的なアルカリ処理により強制的に取り出し、糖液中に溶出するのを効果的に防止することができる。かかる本発明は、従来技術の方法と比して顕著な純度の糖液を得る上で有利である。また、本発明によれば、高純度の糖液が得られる結果として、糖液を冷却するとこれまで想定されなかったグルコースの結晶体を得ることも可能である。例えば、本発明の糖液を4℃にて24時間の条件で静置した場合、得られるグルコース結晶の純度は、少なくとも95%以上、より好ましくは98%以上、さらに好ましくは99%以上である。なお、結晶体を得る際の上記温度および時間は例示であり、結晶体を得る際の温度および時間は特に限定されない。例えばより純度の高い糖結晶を得るため、種結晶を添加してもよく、温度を例えば10℃等のより高い温度に設定して結晶化時間をより長くしてもよい。
得られた糖液は、発酵原料として利用することが可能である。また、本発明の糖液の用途は発酵原料等に限定されず、例えば、糖アルコール製造への原料や、高純度グルコースおよび/またはキシロースの製造に利用することができる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されない。また、特に指摘されない限り、本明細書に記載の単位および測定方法は日本工業規格(JIS)による。
参考例1:糖濃度の測定方法
各実施例、比較例において得られた糖化液に含まれる糖濃度は、下記に示す高速液体クロマトグラフィー(High performance liquid chromatography:HPLC)条件で、標品との比較により定量した。結果を表1に示す。
カラム:Luna NH(Phenomenex社製)
移動相:超純水;アセトニトリル=25:75
流速:0.6mL/min
反応液:なし
検出方法:RI(示差屈折率)
温度:30℃
参考例2:フラン系・芳香族系化合物の濃度の測定方法
糖液に含まれるフラン系化合物(HMF、フルフラール)及びフェノール系化合物(バニリンなど)の濃度は、以下に示す条件でHPLCにより分析し、標品との比較により定量した。
カラム:Synergi HidroRP 4.6mm×250mm(Phenomenex製)
移動相:アセトニトリル−0.1%HPO(流速1.0mL/min)検出方法:UV(283nm)
温度:40℃。
参考例3:有機酸の濃度の測定方法
糖液に含まれる有機酸(酢酸、ギ酸)は、以下に示す条件でHPLCにより分析し、標品との比較により定量した。
カラム:Shim−Pack SPR−HとShim−Pack SCR101H(株式会社島津製作所製)の直列
移動相:5mM p−トルエンスルホン酸(流速0.8mL/min)
反応液:5mM p−トルエンスルホン酸、20mM ビストリス、0.1mM EDTA・2Na(流速0.8mL/min)
検出方法:電気伝導度
温度:45℃。
参考例4:含水率の測定方法
以下の実験で用いるセルロース含有バイオマスの含水率を測定した。含水率(重量%;以下、単に%にて示す)は、赤外線水分計(「FD−720」、ケット科学研究所製)を使用して、試料を120℃の温度に保持し、蒸発後の安定値と初期値との差分から得られる値である含水率を測定した。今回、実施例で測定した原料の含水率を表1に示す。バガス、稲わら、油椰子空果房は草本系バイオマスに分類される。
Figure 0006264514
参考例5:アルカリ反応量の計算方法
アルカリ反応量の計算方法については、例えば含水率x(%)のセルロース含有バイオマス原料a(g)に対して、y(%)の水酸化ナトリウム水溶液b(g)を添加して反応する場合、アルカリの反応量(単位:mg/g-dryバイオマス)は以下の式1で表される。
[アルカリ反応量]=y×b×1000/{(100−x)× a} (式1)
実施例1:循環濾過を用いる効果(反応時間の短縮およびアルカリ使用量の低減)
カッターミル(奈良機械製作所バリオニクスBRX-400)を使用しバガスを粉砕した。粉砕条件は、カッターミルの篩の目開きを50mmと設定し、回転速度600rpm、供給速度1000kg/hrで供給しながら粉砕を行った。
得られた粉砕バガス(含水率:50%)を多機能抽出機(イズミフードマシナリ社製)に5.0kg投入し、上記多機能抽出機のタンク上部のスプレーボールから所定濃度の水酸化ナトリウム水溶液45kg(初期温度:90℃、pHは約13付近)を添加し、タンク内に付設された濾過網から自重濾過で得られた液(アルカリ性濾液)を再度スプレーボールから入れることを繰り返した。なお、濾過網から上部のスプレーボールの間に加温する機構を設けて温度を監視しながら反応を所定時間行った。反応中は、アルカリ性濾液が90℃から低下しないように調整した。また、上記多機能抽出機に付設されている攪拌羽根は使用せず、バガスおよびセルロース含有固形分は濾過網上に置き、攪拌羽根などで形状を整えたりスラリー化する動作は行わなかった。アルカリ性濾液を所定の反応時間として循環しつづけた。得られたサンプルを目開き3mmのステンレス製ザル(開口率:30%)でさらに濾過し、ザルの上面に残ったセルロース含有固形分をザル面に対し手で押え付け絞った。得られた固形分の含水率は90%であった。得られた濾液のpHを測定した結果も表2に記載する。
得られた上記固形分に対し、乾燥ベースの固形分濃度が5%、pHが5.0になるようにRO水および35%塩酸を添加して、セルロース含有固形分を含んだスラリー液を作成した。得られたスラリー液500mLに、ダニスコジャパン株式会社製の酵素であるアクセルレース・デュエット5mLを添加し、スラリー温度を50℃に維持して常時攪拌を行って24時間反応を行った。
得られた反応液の糖濃度を参考例1の方法を用いてHPLCで測定した結果(6時間および24時間経過後)について表2に示す。実施例1の方法を用いれば、酵素反応の速度が大幅に向上し、後述する比較例1および2と比べて同等の糖生成量を得るのに必要な反応時間の短縮、アルカリ使用量の低減といった効果があることが判明した。特に酵素反応6時間経過後の糖収量が比較例1および2と比較して大きく優れていた。
Figure 0006264514
比較例1:静置して反応させた場合(反応時間およびアルカリ使用量)
実施例1の粉砕バガス(含水率:50%)0.5kgおよび所定濃度の水酸化ナトリウム水溶液4.5kgを10Lのステンレス容器に添加し、内容物を攪拌しながら内部温度が90℃になるまでガスコンロで加温した。次に、バガスと水酸化ナトリウム水溶液を入れたステンレス容器を、90℃で安定した状態の気流式オーブンに入れて静置した。保持時間を反応時間とし、水酸化ナトリウム水溶液の濃度を変化させたサンプルを表3の通り複数作製した。次に、得られたサンプルを目開き3mmのステンレス製ザルで濾過し、ザルの上面に残ったセルロース含有固形分をザル面に対し手で押え付け絞った。得られたセルロース含有固形分の含水率は90%であった。
得られた上記固形分に対し、実施例1と同じ方法により中和反応および酵素反応を行った。結果を表3に示す。
Figure 0006264514
比較例2:攪拌して反応させた場合(反応時間およびアルカリ使用量)
実施例1の粉砕バガス(含水率:50%)0.5kgおよび所定濃度の水酸化ナトリウム水溶液4.5kgを8Lの反応槽に添加し、反応槽に電熱ヒーター式のジャケットを装着し、内容物を攪拌しながら内部温度が90℃になるまで加熱した。90℃に達した時点から反応時間を開始し、攪拌反応を所定時間行った。さらに得られたサンプルを目開き3mmのステンレス製ザルで濾過し、さらにザルの上面に残ったセルロース含有固形分をザル面に対し手で押え付け絞った。得られたセルロース含有固形分の含水率は90%であった。
得られた上記固形分に対し、実施例1と同じ方法により中和反応および酵素反応を行った。結果を表4に示す。
Figure 0006264514
実施例2:酢酸を添加した場合の効果
水酸化ナトリウム水溶液濃度を0.5%としかつ反応時間を2.0時間とする実施例1に記載の反応条件に統一し、さらに、表5に記載の所定濃度になるように酢酸を水酸化ナトリウム水溶液に添加して検討を行った。実施例1同様、得られたサンプルを目開き3mmのステンレス製ザルで濾過し、さらに絞った。得られたセルロース含有固形分の含水率は90%であった。
得られた上記固形分に対し、実施例1と同じ方法により中和反応および酵素反応を行った。結果を表5の通り示す。結果から反応液中の酢酸が本反応に寄与していることが判明した。
Figure 0006264514
実施例3:バガスの粉砕度に関する検討
カッターミル(奈良機械製作所バリオニクスBRX-400)を使用しバガスを粉砕し検討した。カッターミルの篩の目開きを8mm、20mm、30mm、 50mm(実施例1)または70mmに設定して検討を行った。
また、反応条件は、水酸化ナトリウム水溶液濃度を0.5%としかつ反応時間を2.0時間とする実施例1に記載の条件に統一した。実施例1同様、得られたサンプルを目開き3mmのステンレス製ザルで濾過し、さらに絞った。
得られた上記固形分に対し、実施例1と同じ方法により中和反応および酵素反応を行った。得られた結果を表6の通り示す。
Figure 0006264514
実施例4:その他の原料検討/稲わら・油椰子空果房・木屑(スギ)
稲わら(含水率:10%)、油椰子空果房(含水率:15%)、スギ木屑(含水率5%)を用いて、カッターミルで実施例1と同じ条件で粉砕して、各原料バイオマスを得た。
次に、実施例1と同様の多機能抽出機を用い、表7に記載の各原料バイオマスの量に対し、アルカリ反応量が約90mg/g−dryバイオマスとなるように、0.43%の水酸化ナトリウム水溶液52kgを添加して検討を行った。次に、実施例1と同様の手法により90℃の条件で2時間反応を行った。実施例1同様、得られたサンプルを目開き3mmのステンレス製ザルで濾過し、さらに絞った。得られたセルロース含有固形分の含水率は90%であった。
得られた上記固形分に対し、実施例1と同じ方法により中和反応および酵素反応を行った。結果を表8に示す。
Figure 0006264514
Figure 0006264514
比較例3
実施例4と比較する対象として、稲わら(含水率:10%)、油椰子空果房(含水率:15%)、スギ木屑(含水率5%)について静置または攪拌反応した場合についての検討例を述べる。比較例1および2と同様の検討を上記各原料を用いて行った。
静置反応の場合は、表9に記載の量に従い、実施例4で得た各原料バイオマスと0.43%水酸化ナトリウム水溶液を10Lのステンレス容器に添加した。
攪拌反応については、表9に記載の量に従い、実施例4で得た各原料バイオマスと0.43%の水酸化ナトリウム水溶液を8Lの反応槽に添加した。
実施例4と同様、得られたサンプルを濾過し、さらに絞った。
得られたセルロース含有固形分の含水率は90%であった。
得られた上記固形分に対し、実施例1と同じ方法により中和反応および酵素反応を行った。6hr後の反応結果について表10に示す。
Figure 0006264514
Figure 0006264514
実施例5:アルカリ性濾液の温度検討
実施例1の反応温度の条件を変えて検討した。具体的には、水酸化ナトリウム水溶液の初期温度およびアルカリ性濾液の反応中温度の両方が、70℃、75℃、80℃、90℃または95℃となるように設定した。反応条件は、水酸化ナトリウム水溶液濃度を0.5%としかつ反応時間を2.0時間とする実施例に1記載の条件に統一した。
その後、実施例1と同じ条件で得られたセルロース固形分に対し、実施例1と同じ方法により中和反応および酵素反応を行った。24時間後の反応結果について表11に示す。
Figure 0006264514
実施例6:水酸化カリウムを用いた検討
実施例で使用するアルカリを水酸化ナトリウムから水酸化カリウムに変えた場合について述べる。反応時間は2.0時間と設定し、実施例1の方法に準じて糖生成の評価にて水酸化ナトリウムとの比較を行った。
結果を表12に示す。表2(水酸化ナトリウム)および表12(水酸化カリウム)の比較から、重量ベースのアルカリ使用量として水酸化ナトリウムと比較して1.5〜2倍量が必要であることがわかった。
Figure 0006264514
実施例7:糖純度の向上
実施例1のアルカリ添加量90mg/g−dryバイオマス、反応時間2時間の条件で得られたセルロース固形分に対し、乾燥ベースの固形分濃度が5%、pHが5.0になるように、RO水および35%塩酸を添加して、セルロース含有固形分を含んだスラリー液を作成した。
得られたスラリー液20Lにアクレモニウムセルラーゼ(Meiji Seikaファルマ株式会社製)80mgを添加し、スラリー温度を50℃に維持して常時攪拌して6時間反応を行った。次に、得られた糖化液を遠心分離(3000G、1分)して固形分を分離し、精密濾過膜であるステリカップ(孔径:0.22ミクロン)により上記固形分から液成分を濾過した。次に、得られた液成分19Lを、SEPA−II(平膜濾過試験機GE製)およびナノ濾過膜NFW(Synder社製)を用いて濾過(濾過条件:循環液速度2L/分、濾過速度5mL/分)し、濾液18.5Lを得た。さらに、得られた濾液を、エバポレータ(東京理化製)で濃縮液が500mLになるまで蒸発濃縮した。得られた糖液の糖濃度を参考例1の方法を用いてHPLCで測定した結果について表13に示す。
Figure 0006264514
実施例7で得られた上記糖液を4℃の冷蔵庫に24時間静置したところ結晶が発生した。結晶を取り出し、水で溶解の上、HPLCで分析をおこなったところ、純度99%以上のグルコース結晶であることが判明した。
後述する比較例4と比してもグルコース濃度が低いにも関わらずグルコース結晶が得られたのは本方法のみであった。本発明の糖液は、様々な工業原料として使用できる高純度のグルコース結晶を取得する上で有利であることが判った。
比較例4:比較例1、2の方法で得られる糖液の高純度検討
比較例1(静置反応)および比較例2(攪拌反応)のアルカリ添加量90mg/g−dryバイオマス、反応時間2時間の条件で得られたそれぞれのセルロース固形分を用いて、実施例7と同様の方法により糖液を得た。得られた糖液の組成は表14のとおりであった。上記糖液を4℃の冷蔵庫に7日間静置したが、実施例7のようなグルコース結晶は生じなかった。
Figure 0006264514
実施例8:模擬的な対向接触抽出の検討
底面に3mmのパンチング孔が開きかつその上にバイオマスを入れることができる自重濾過が可能なアクリル筒を接着させたユニットを製作した。当該ユニットでは、90℃の環境を保つことができる気流式オーブン内でパンチング孔から得られた濾液をアクリル筒の上から入れて再濾過できるようにした。本系を用いて、バガス100g、アルカリ液900gを使って反応を行った。反応方法としては、以下の方法Aと方法Bを実施した。
方法A
上記ユニットを用いて、実施例1と同様にして90℃で1時間運転した。
方法B
バガスとアルカリ液が対向接触することを模擬的に再現するため、上記ユニットを3系列(ユニット1、2、3という)用意し、ユニット1ではユニット2で得られるアルカリ性濾液を使用して粉砕バガスと20分間反応し、次にユニット2ではユニット3で得られるアルカリ性濾液を使用してユニット1で20分間処理した後のセルロース固形分と20分間反応し、次にユニット3では0.5%水酸化ナトリウム水溶液とユニット2で20分間反応させた。
方法Aで得られたセルロース固形分、および方法Bのユニット3で得られたセルロース固形分について、実施例1と同様の手法に従い酵素反応を行い、糖を分析した。
また、方法Aで得られたアルカリ性濾液、および方法Bのユニット1の反応後得られたアルカリ性濾液について、参考例2による濃度分析結果を行った。
結果を表15に示す。
表15において、方法Bの方が、糖生成量およびクマル酸、フェルラ酸の生成量が増大していた。対向接触により反応効率が向上したことが判る。
Figure 0006264514
実施例9:アルカリ処理バイオマスの圧搾
実施例1で得られたセルロース固形分を目開き3mmのステンレス製ザル(開口率:40%)でさらにろ過し、ザルの上面に残ったセルロース含有固形分をザル面に対し手で押え付け絞った。得られた含水率90%の固形分をさらに、目開き2mmの濾過面スクリュープレス(富国工業製)を用いて、含水率60%になるまで圧搾した。
得られた上記固形分に対し、実施例1と同様に、乾燥ベースの固形分濃度が5%、pHが5.0になるようにRO水および35%塩酸を添加して、セルロース含有固形分を含んだスラリー液を作成した。得られたスラリー液500mLに、ダニスコジャパン株式会社製の酵素であるアクセルレース・デュエット5mLを添加し、スラリー温度を50℃に維持して常時攪拌を行って24時間反応を行った。
得られた反応液の糖濃度を参考例1の方法を用いてHPLCで測定した。結果(酵素反応6時間および24時間経過後)について表16に示す。実施例1と比較してより酵素反応に適した固形分になる傾向があることが確認された。本実施例では、特にヘミセルロースの分解が促進されたことが確認された。
Figure 0006264514
参考例6:アルカリ処理の差異分析
実施例1、比較例1および比較例2で糖収量に差異が出る原因を詳細に分析するため、各実験手順に従って得られるセルロース含有固形分蓄積部内における糖生成量を詳細に測定した。具体的には、まず、アルカリ濃度0.5%、アルカリ反応量90mg/g、反応時間2.0時間の条件で各実験手順に準じてアルカリ処理した。次に、実施例1の多機能抽出機内、比較例1の10Lステンレス容器内、比較例2の8L反応槽内において、セルロース含有固形分蓄積部の「上部から1cm内」、「中心部」および「底部から1cm内」からセルロース含有固形分を分取した。次に、分取したサンプルを目開き3mmのステンレス製ザルで濾過してセルロース含有固形分(含水率90%)を得、中和反応および酵素反応を行った。結果を表17に示す。
Figure 0006264514
表17の結果から、比較例1および2は反応槽底部では反応が十分できているが、上部になるほど、アルカリ処理が進んでおらず、槽内でムラが大きいことが確認された。一方で、実施例1の方法によれば槽内でムラなくアルカリ処理がなされていた。

Claims (16)

  1. セルロース含有バイオマスにアルカリ性水性媒体を通液させてアルカリ性濾液を得る工程、
    該アルカリ性濾液を前記セルロース含有バイオマスに繰り返し通液させてセルロース含有固形分を生成させる循環濾過工程、および
    前記セルロース含有固形分を加水分解して糖液を得る工程
    を含む、糖液の製造方法。
  2. 前記アルカリ性濾液を得る工程が、セルロース含有バイオマスとアルカリ性水性媒体を濾過器に供給し、該濾過器を用いてセルロース含有バイオマスにアルカリ性水性媒体を通液させることを含む、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記通液が重力方向の自重濾過である、請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 前記アルカリ性水性媒体およびアルカリ性濾液の温度が実質的に同一に保持されている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造方法。
  5. 前記アルカリ性水性媒体およびアルカリ性濾液の温度が80℃以上100℃以下である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の糖液の製造方法。
  6. 前記アルカリ性濾液が酢酸またはその塩を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の製造方法。
  7. 前記セルロース含有バイオマスが目開き30mm以上の篩で篩過されたものである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の製造方法。
  8. 前記セルロース含有バイオマスが乾式粉砕処理されたものである、請求項1〜7のいずれか一項に記載の製造方法。
  9. 前記セルロース含有バイオマスが草本系バイオマスである、請求項1〜8のいずれか一項に記載の糖液の製造方法。
  10. 前記アルカリ性水性媒体およびアルカリ性濾液が、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムから選択される少なくとも一つの水酸化物を含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載の製造方法。
  11. 前記アルカリ性水性媒体およびアルカリ性濾液がアルカリ性水溶液である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の製造方法。
  12. 前記アルカリ性濾液の通液の繰り返し時間が30分以上3時間以下である、請求項1〜11のいずれか一項に記載の製造方法。
  13. 前記循環濾過工程終了時のアルカリ性濾液のpHが10以上12以下である、請求項1〜12のいずれか一項に記載の製造方法。
  14. 前記加水分解が酵素による加水分解である、請求項1〜13のいずれか一項に記載の製造方法。
  15. セルロース含有バイオマスを加水分解して糖液を得るためのセルロース含有バイオマスの前処理方法であって、
    該セルロース含有バイオマスにアルカリ性水性媒体を通液させてアルカリ性濾液を得る工程、および
    該アルカリ性濾液を前記セルロース含有バイオマスに繰り返し通液させてセルロース含有固形分を生成させる循環濾過工程
    を含む、方法。
  16. 請求項15に記載の前処理方法によってセルロース含有バイオマスからセルロース含有固形分を得る、セルロース含有固形分の製造方法。
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