JP6261492B2 - 情報処理装置及び情報処理方法及びプログラム - Google Patents

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Description

本発明は、生物の生育段階を判別する技術に関する。
以下では、生物の例として植物を用いて説明を行う。
ビニールハウスなどの温室を活用した施設園芸では、空気調和機器や灌水設備などを活用して温室内の環境を制御することにより、植物生育に最適な環境を調整し、農作物の周年栽培を行っている。
野菜などの農作物は、販売業者や飲食店における需要から出荷時期や出荷量が予め決まっている場合が多い。
そのため、植物の生長を観測、あるいは予測して、その結果に基づいて環境制御などの栽培管理を実施することで、計画に沿った安定的な農業経営を容易にする手法が提案されている。
温室の植物の生長予測を利用した環境制御システムの例として、例えば特許文献1がある。
特許文献1には、植物の生長予測について、植物の生長過程を複数の生育段階に分類し、各生育段階に合わせた植物の生長度合い検出と生長状況判定を行い、植物の生長を予測する技術が開示されている。
特許文献1の方式では、前記技術によって得られた生長状況を、育成モデルと比較することにより、植物の生長ずれを判定し、環境制御方針を決定する。
特開2013−005725号公報
特許文献1の技術では、植物生長について生育段階分割を行うことにより、生長状況判定を高精度に行う。
しかし、生育段階分割について明確な基準が示されておらず、段階分割の境界については、栽培者が設定する必要があった。
生育段階の数や境界を適切に設定するには、植物の過去生長データや、植物生理についての高度な知識が必要である。
そのため、前記情報の片方あるいは両方欠けている場合、適切な生育段階分割が困難となり、高精度な生長予測ができなくなる。
例えば、農業経験も植物生理についての知識もなく新規参入した農家の栽培者が、特許文献1の技術を利用しようとした場合、適切な生育段階を設定することは難しい。
その場合、例えば、およその範囲で段階分割を実施することになる。
その場合、各生育段階で適切な指標を用いて植物の生長を捉えることができなくなる割合が高くなり、予測精度が低下する。
通常、植物の出荷計画は日単位で計画されている場合が多く、生長予測を用いた生長ずれ判定を行うには日単位レベルでの生長予測を精度良く行う必要がある。
本発明は、上記の点を鑑みたものであり、生物の生育段階を正確に判定できる構成を得ることを主な目的とする。
本発明に係る情報処理装置は、
生物の複数の生育段階における生育段階間の境界を判別するための境界条件を、境界ごとに、前記生物の生長度合いの指標となる生長指標を用いて定義する生育段階モデルを記憶する生育段階モデルデータベースと、
前記生物で観測された生長指標の値である生長指標観測値を取得する情報取得部と、
前記情報取得部により取得された生長指標観測値と、前記生育段階モデルで定義されている各境界条件とを照合して、前記生物の現在の生育段階を判定する生育段階判定部とを有する。
本発明によれば、生長指標を用いて生育段階の境界条件が定義された生育段階モデルと、生物で観測された生長指標値とを用いて、生物の生育段階を正確に判定することができる。
実施の形態1に係る環境制御システム1の構成を示すブロック図。 実施の形態1に係る生長観測部11の構成を示すブロック図。 実施の形態1に係る環境制御システム1の処理の流れを示すフローチャート。 実施の形態1に係る生育段階判定部114の処理の流れを示すフローチャート。 実施の形態1に係る様々な生長指標と生育段階の分割の一例を示す図。 実施の形態1に係る背丈、葉面積、開花数、果実重量を用いた生育段階モデル設定例を示す図。 実施の形態1に係る生長予測部117の処理の流れを示すフローチャート。 実施の形態1に係る生長比較部1110の処理の流れを示すフローチャート。 実施の形態1に係る生長予測に基づく生長ずれ判定のイメージを示す図。 実施の形態2に係る環境制御システム2の構成を示すブロック図。 実施の形態2に係る生長観測部21の構成を示すブロック図。 実施の形態2に係る環境制御システム2の処理の流れを示すフローチャート。 実施の形態1に係る環境制御システム1及び実施の形態2に係る環境制御システム2のハードウェア構成例を示す図。
実施の形態1.
本実施の形態では、植物生長の生育段階分割について、観測した各生長指標から生育段階分割する基準点を算出し、高精度に植物の生長を予測する構成を説明する。
***構成の説明***
図1は、実施の形態1に係る環境制御システム1の構成を示すブロック図である。
環境制御システム1は、生長観測部11、表示部12、環境制御部13から構成される。
生長観測部11は、生育対象となる植物について、生長指標観測値と温室内外の環境観測値、気象予報値を取得して生長予測を行い、生長予測結果に基づき生長ずれを算出する。
また、生長観測部11は、算出した生長予測値と生長ずれ量及び長指標観測値、温室内外の環境観測値、気象予報値を、表示部12及び環境制御部13に出力する。
生長観測部11は、情報処理装置の例に相当する。
表示部12は、生長観測部11で取得した生長指標観測値、温室内外の環境観測値、気象予報値及び生長観測部11で算出した生長予測値、生長ずれ量を、画面出力する。
環境制御部13は、生長観測部1で取得した生長指標観測値、温室内外の環境観測値、気象予報値及び生長観測部11で算出した生長予測値、生長ずれ量に基づき、将来の環境制御値を決定する。
また、環境制御部13は、決定した環境制御値に沿って、制御機器を操作・制御する。
図2は、実施の形態1に係る生長観測部11の構成を示すブロック図である。
生長観測部11は、情報取得部111、生育段階モデル設定部112、生育段階モデル保存部としての生育段階モデルデータベース(以下、生育段階モデルDBと称す)113、生育段階判定部114、生長予測モデル設定部115、生長予測モデル保存部としての生長予測モデルデータベース(以下、生長予測モデルDBと称す)116、生長予測部117、育成モデル設定部118、育成モデル保存部としての育成モデルデータベース(以下、育成モデルDBと称す)119、生長比較部1110から構成される。
情報取得部111は、生育対象となる植物の生長予測に必要な、生長指標観測値と温室内外の環境観測値、気象予報値を取得する。
ここで、生長指標観測値は、植物で観測された生長指標の値である。
生長指標は、植物の生長度合いの指標である。
生長指標観測値には、例えば、植物の背丈、根丈、葉面積、葉枚数、開花数、果実重量、植物総重量などがある。
環境観測値は、植物の生育環境で観測された値であり、日射強度、気温、湿度、CO2濃度、養液水温、養液濃度(EC値、pH値)、風速、風向などがある。
また、気象予報値は、環境測定値で測定する項目と同項目について、1週間先までの短期予報値、および数ヶ月先までの長期予報値である。
情報取得部111は、取得した各観測値を生育段階判定部114に出力する。
生育段階モデル設定部112は、生育段階の分割モデルである、生育段階モデルを設定する。
生育段階モデルは、播種から収穫までの植物生長を時系列分類したモデルであり、生育段階ごとに、当該生育段階に該当する生長状況と、当該生育段階で生育度合い(生長度)を判定するための植物の生長指標が定義されている。
また、生育段階モデルには、生育段階モデルを機械的に算出可能とするための、生育段階の分割数、分割のために必要な生長指標、分割境界点の判定基準が記述されている。
つまり、生育段階モデルには、植物の複数の生育段階における生育段階間の境界を判別するための境界条件が、境界ごとに定義されている。
境界条件は、生長指標を用いて定義されている。
境界条件は、分割基準ともいう。
また、生育段階モデルには、生育対象となる植物の収穫時期を算出するための、収穫基準も記述されている。
生育段階モデルの詳細については後述する。
生育段階モデル設定部112で設定した生育段階モデルは、生育段階モデルDB113に出力される。
生育段階モデルDB113は、生育段階モデル設定部112において設定された生育段階モデルを記憶する。
生育段階モデルDB113で記憶されている生育段階モデルは、生育段階判定部114において、生育段階を判定する際の判定基準に使用される。
生育段階モデルDB113は、植物の複数の類型(葉菜野菜、根野菜、果実野菜といった類型)について、類型ごとに生育段階モデルを記憶している。
生育段階判定部114は、情報取得部111から受け取った生育対象となる植物の生長指標観測値、または、生長予測部117から受け取った生育対象となる植物の生長予測値について、生長指標観測値もしくは生長予測値の生育段階を判定する。
生育段階の判定においては、生育段階モデルDB113に保存された生育段階モデルの生育段階の分割数、分割のために必要な生長指標、分割境界点の判定基準(境界条件)をもとに、生育対象となる植物の生育段階を判定する。
つまり、生育段階判定部114は、情報取得部111からの生長指標観測値または生長予測部117からの生長予測値と、判定対象の植物の類型に対応する生育段階モデルで定義されている各境界条件とを照合して、植物の現在の生育段階を判定する。
このとき、生育段階が適切でない場合は、生育段階判定部114は、適切な生育段階へ変更する。
生育段階判定部114で判定された生育段階情報は、生長予測部117へ出力される。
生長予測モデル設定部115は、植物の生長を予測するためのモデル式である、生長予測モデルを統計的手法により設定する。
生長予測モデルでは、生育段階モデル112で設定した生育段階ごとに、それぞれ異なる生長予測モデル式が設定される。
生長予測モデル設定部115は、生育段階ごとに、生長予測モデル式の入力値と出力値、および、それらの関係式を設定する。
例えば、ある生育段階において、入力値に温室内外の環境観測値、もしくは気象予報値、あるいはそれら両方を用い、出力値に、生育対象となる植物の背丈を設定する。
生長予測モデルの詳細については後述する。
生長予測モデル設定部115で設定した生長予測モデルは、生長予測モデルDB116に出力される。
生長予測モデルDB116は、生長予測モデル設定部115において設定された生長予測モデルを記憶する。
生長予測モデルDB116で記憶されている生長予測モデルは、生長予測部117において、生育対象となる植物の生長予測を行う際の予測値算出に使用される。
生長予測部117は、情報取得部111から受け取った温室内外の環境観測値、もしくは気象予報値、あるいはそれら両方から、生育対象となる植物の生長を予測する。
生長予測は、背丈などの生長度について、ある予測対象日の生長度を、播種から予測対象日までの環境観測値と気象予報値を用いて算出する。
このとき、生長予測部117は、生育段階判定部114において判定された生育段階の生長予測モデルを使用して生長予測を行う。
また、生長予測部117において予測した生長度について、収穫までに日数が必要な場合は、生長予測部117は、生育段階判定部114に予測値を出力し、予測が収穫可能日を算出するまで生長予測を繰り返す。
生長予測部117において予測した生長度が収穫可能日に達した場合は、生長予測部117は、生長予測値を確定し、生長比較部1110に生長予測値を出力する。
育成モデル設定部118は、生育対象となる植物の理想的な生長モデルパターン(目標育成パターンともいう)を含む育成モデルを設定する。
育成モデルは、生育段階モデル設定部112で設定した生育段階ごとに、日毎の生長度を表す。
育成モデルは、例えば、ある生育段階において、生長指標を背丈とした場合に、日々の背丈値を設定する。
ここで、育成モデルの設定値について、育成モデル設定部118は、過去の生育実績である過去の栽培記録から統計的に算出した値を用いてもよいし、出荷計画に沿うように任意の生長度を設定してもよい。
ただし、出荷計画に沿うように任意の生長度を設定する場合は、植物が現実に生長可能な速度範囲で設定する必要があることに注意しなければならない。
また、育成モデル設定部118は、生長比較部1110で生長予測値と育成モデルとの生長比較を行う際の生長ずれの許容量を設定する。
育成モデルDB119は、育成モデル設定部118において設定された育成モデルを記憶する。
育成モデルは、生長比較部1110での生長ずれ量の算出に用いられる。
育成モデルには、理想的な生長モデルパターン、生長ずれの許容量等が含まれる。
生長比較部1110は、生長指標観測値と生長予測部117で算出した生長予測値から得られる予想生長パターンと、育成モデルDB119に保存されている育成モデルの理想的な生長モデルパターン(目標育成パターン)とを比較し、生育対象となる植物の理想からの生長ずれ量を算出する。
また、生長比較部1110は、予想生長パターン及び算出した生長ずれ量を、表示部12及び環境制御部13に出力する。
また、同様に、生長比較部1110は、情報取得部111で取得した生長指標観測値、温室内外の環境観測値、気象予報値を、表示部12及び環境制御部13に出力する。
***動作の説明***
次に、環境制御システム1の動作について説明する。
図3は、実施の形態1に係る環境制御システム1の処理の流れを示すフローチャートである。
環境制御システム1は、生長指標観測値、温室内外の環境観測値、気象予報値を取得すると、ステップS31より処理を開始する。
ステップS31において、情報取得部111は、生長指標観測値、温室内外の環境観測値、気象予報値を取得する(情報取得処理)。
各観測値の取得方法は、センサやカメラからの画像処理により自動的に取得してもよいし、栽培者が観測して手動で入力してもよい。
情報取得部111で取得する生長指標観測値について、観測する生長指標の項目は、例えば、背丈、根丈、葉面積、葉枚数、開花数、果実重量、総重量などがある。
情報取得部111は、このうち、生育段階モデル設定部112及び生長予測モデル設定部115で使用する項目について、それぞれ取得する。
また、生長指標観測値の観測間隔については、1日に1回の頻度で観測していることが望ましい。
ただし、生長予測モデル設定部115で設定する生長予測に基づき観測間隔を変更してもよい。
情報取得部111で取得する環境観測値について、観測する環境因子項目は、例えば、日射強度、気温、湿度、CO2濃度、養液水温、養液濃度(EC値、pH値)、風速、風向などがある。
情報取得部111は、このうち、生長予測モデル設定部115で使用する項目について、温室の内外で観測し、それぞれ取得する。
また、環境観測値の観測間隔については、温室内の環境変化を観測可能な最低限の間隔を考慮して設定する。
例えば10分に1回の頻度で観測する。
情報取得部111で取得する気象予報値について、観測する環境因子項目は、例えば、天候、気温、雨量、風速、風向などがある。
これらは、生長予測モデル設定部115で使用する項目を想定し、それら項目を算出可能な項目について、それぞれ取得する。
この項目については、情報取得部111で取得する環境観測値と同一である必要がある。
また、1週間先までの短期予報値及び数ヶ月先までの長期予報値をそれぞれ取得し、1週間先までの短期予報値は1週間先までの生長予測に、それ以降の生長予測は数ヶ月先までの長期予報値をもとに、それぞれ予測する。
処理はステップS32に進む。
ステップS32において、生育段階判定部114は、入力された生育対象となる植物の生長指標について、生育段階モデルDB113に保存された生育段階モデルに基づいて生育段階を判定し、生長予測部117で生長予測する際に最適な生育段階を割り出す(生育段階判定処理)。
処理の詳細については後述する。
処理はステップS33に進む。
ステップS33において、生長予測部117は、入力された環境観測値と気象予報値をもとに、生長予測モデルDB116に保存された生長予測モデルに基づいて生育対象となる植物の生長を予測する(生長予測処理)。
予測については、播種から生長予測日前日までの観測値をもとに、生長予測日(以下、単に予測日ともいう)の生長を予測する。
処理の詳細については後述する。
処理はステップS34に進む。
ステップS34において、生長予測部117は、算出した生長予測日の生長予測値が、収穫基準まで生長しているかを判定する。
処理の詳細についてはステップS33とともに後述する。
生長予測値が収穫基準まで生長している場合、生長予測部117は生長予測値を確定し、処理はステップS35に進む。
生長予測値が収穫基準まで生長していない場合、処理はステップS32まで戻り繰り返し生長予測を行う。
ステップS35において、生長比較部1110は、生長予測部117で確定した生長予測値と植物生長モデルDB119に保存されている育成モデルとを比較し、両者の生長速度を比較する(生長比較処理)。
これにより、生長比較部1110は、生長ずれ量を算出する。
処理の詳細については後述する。処理はステップS36に進む。
ステップS36において、表示部12は、生長観測部11で取得した生長指標観測値、温室内外の環境観測値、気象予報値及び生長観測部11で算出した生長予測値、生長ずれ量を、画面出力する(表示処理)。
画面出力について、生長指標値は、例えば折れ線グラフを使用し、生育対象となる植物の現在までの生長指標観測値と生長予測値を繋げて一つの生長曲線として表示する。
このとき、植物生長モデルと重ねて表示することにより、収穫日のずれだけでなく、収穫までの間に、いつの期間からどれだけ生長が植物生長モデルからずれるかを可視化する。
また、生長ずれについて、育成モデルDBに保存された生長ずれの許容量をもとに、算出した生長ずれ量が許容量を超えた場合にはアラーム表示する。
また、温室内外の環境測定値と気象予報値について、播種日から収穫予測日までの各日について、それぞれ播種からの積算値を、例えば棒グラフを使用して表示する。
これにより、生長ずれの発生原因の分析、環境制御値の決定を容易にする。
処理はステップS37に進む。
ステップS37において、環境制御部13は、生長観測部11で取得した生長指標観測値、温室内外の環境観測値、気象予報値及び生長観測部11で算出した生長予測値、生長ずれ量をもとに、将来の環境制御値を設定する(環境制御処理)。
また、環境制御部13は、環境制御値に沿って温室内の制御機器を操作し制御する。
環境制御値については、予め植物生長モデルや気象予報値に基づいて設定する。
また、生長比較部1110において生長ずれが許容量を超えた場合、生育対象とする植物の生長速度を制御するために、環境制御部13は環境制御値を変更してもよい。
その際、収穫日のずれ量や、いつの期間からどれだけ生長が植物生長モデルからずれるかについての値から、環境制御値の変更値を決定してもよい。
次に、生育段階判定部114の動作について説明する。
図4は、実施の形態1に係る生育段階判定部114の処理の流れを示すフローチャートである。
本処理は、図3のステップS32にあたる処理の詳細である。
生育段階判定部114は、情報取得部111で取得した生長指標観測値もしくは生長予測値を受け取ると、ステップS41より処理を開始する。
ステップS41において、生育段階判定部114は、生育段階判定に使用する、生長指標観測値もしくは生長予測値を受け取る(生長指標観測値入力処理)。
生育段階判定部114は、生長指標観測値の場合は全ての観測項目を受け取る。
生長予測値の場合は、生長予測日の属する生育段階で設定されている生長指標についての値のみを受け取る。
処理はステップS42に進む。
ステップS42において、生育段階判定部114は、受け取った生長指標観測値もしくは生長予測値により植物がどの生育段階に属するかを判定する(生長度合判定処理)。
ステップS41で生長指標観測値を受け取った場合は、生育段階判定部114は、生育段階モデルDB13に保存された生育段階分割の基準(生育段階の境界条件)と各生長指標観測値を照らし合わせ、現在の生育段階を判定した上で、当該生育段階での生長度合いを判定する。
ステップS41で生長予測値を受け取った場合は、図3において、ステップS32及びステップS33の処理を1回以上繰り返しているため、現在の生育段階はすでに判定されているため、生育段階判定部114は、ステップS42においては現在の生育段階の判定は省略し、生長予測値から当該生育段階での生長度合いのみを判定する。
図5は実施の形態1に係る様々な生長指標と生育段階の分割の一例を示す図である。
図5の上段に、生育対象となる植物の生長指標観測値ごとの生長曲線のグラフイメージを、図5の下段に、図5の上段のグラフに対応する生育対象となる植物の生長イメージを示す。
図5の上段のグラフは、横軸に播種から収穫までの時系列をとり、縦軸に各生長指標の生長度割合をとり、各生長指標をそれぞれグラフにとっている。
図5の様に、植物の生長は、各生長指標の生長が順番、または同時的に起こる。
例えば、育苗期や葉茎生長期には、根丈、背丈、葉面積、葉数などの複数要素が同時に生長する。
また、背丈の生長がおよそ終了すると開花が始まり、開花が終わると結実する、といったように、複数要素が順番に生長する場合もある。
このような関係を踏まえて、生育段階モデル設定部112にて生育段階モデルを設定する。
ここで、トマトの様な果実野菜について、生育段階分割に使用する生長指標として、背丈、葉面積、開花数、果実重量の4つの指標を用いた場合を例にとり、生育段階モデルの設定を説明する。
図6は、実施の形態1に係る、背丈、葉面積、開花数、果実重量を用いた生育段階モデル設定例を示す。
第1期は播種から芽が出るまでとし、第2期との生育段階分割の基準は芽が出たかどうか(背丈測定が可能かどうか)で判定する。
第1期の生長指標はない(測定不能)。
第2期は芽が出てから背丈生長が進む中間点までとし、第3期との生育段階分割の基準(境界条件)は背丈生長の加速度が増加から減少に転じた時(背丈生長曲線の変曲点)で判定する。
第2期の生長指標は背丈に設定する。
第3期は背丈生長の中間点から開花が始まるまでとし、第4期との生育段階分割の基準(境界条件)は開花が始まったかどうかで判定する。
第3期の生長指標は葉面積に設定する。
第4期は開花が始まってから結実が始まるまでとし、第5期との生育段階分割の基準(境界条件)は結実が始まったかどうかで判定する。
収穫の判定は果実重量が収穫基準に達したかどうかで判定する。
図6の設定において、各生育段階の分割基準には各生長指標の生長曲線の始点もしくは終点、または変曲点を基準として生育段階を分割する。
図6の第2期と第3期の分割の様に生長指標変化が終了していない状態で生育段階を分割する場合、生長指標の生長曲線の変曲点を使用することができる。
このとき、生長曲線の微分計算や飽和点計算を行うことにより、始点もしくは終点、または変曲点を算出することができる。
また、各生育段階の生長指標設定について、各期で最も変化が大きい生長指標を選ぶことにより、生育対象とする植物の生長予測と植物生長モデルとの比較を、日単位でより高精度に行うことが可能となる。
このように、生育段階モデルは、生育段階間の各境界の境界条件を、複数の生長指標の中から境界ごとに選択された生長指標についての生長曲線上の位置(始点、終点及び変曲点のいずれか)で定義する。
情報取得部111は、前述したように、生育段階モデルの各境界条件の定義に用いられている生長指標の生長指標観測値を含むすべての項目の生長指標値を取得する。
そして、生育段階判定部114は、情報取得部111により取得された生長指標観測値の生長曲線上の位置を特定し、生長指標観測値の生長曲線上の位置と、生長指標観測値と同じ生長指標を対象とする境界条件で定義されている生長曲線上の位置とを照合して、植物の現在の生育段階を判定する。
生育段階分割は、生育対象となる植物の過去の生長記録や、他の同品目の生長を参考に設定することができる。
例えば、レタスの生長とキャベツの生長は同様の生長過程を進むと仮定することができるため、同様の生育段階モデルを適用することができる。
分割の基準点については、設定した基準に基づいて機械的に計算することができるため、品目ごとに異なる細かな生長の違いは無視して、同様の生育段階モデルを適用することができる。
このように、葉菜野菜や根野菜、果実野菜といった大きな分類で基本的な生育段階モデルを設定しておけば、ほぼすべての野菜について生育段階モデルを適用することができる。
ステップS42において当該生育段階での生長度合いのみを判定が終了したら、ステップS43に進む。
ステップS43において、生育段階判定部114は、生育対象となる植物について、当該生育段階を終了して次の生育段階に進むかどうかを判定する。
このとき、生育段階モデルDB113に保存されている生育段階モデルの生育段階の分割基準を適用し、生育対象となる植物の生長が分割基準を超えているか判定する。
ステップS43において、当該生育段階の分割基準を超えている場合、ステップS44に進む。また、ステップS43において、当該生育段階の分割基準を超えていない場合、ステップS44には進まず、処理を終了する。
ステップS44において、生育段階判定部114は、生育対象となる植物の、生長予測日以降の生育段階を次の生育段階に変更する(生育段階変更処理)。
このとき、次の生育段階がない場合はステップS44の処理を行わない。
次に、生長予測部117の動作について説明する。
図7は、実施の形態1に係る生長予測部117の処理の流れを示すフローチャートである。
本処理は、図3のステップS33及びステップS34にあたる処理の詳細である。
生長予測部117は、情報取得部111で取得した温室内外の環境観測値、気象予報値と、生育段階判定部114で判定した生長予測日の生育段階を受け取ると、ステップS51より処理を開始する。
ステップS51において、生長予測部117は、温室内外の環境観測値、気象予報値を受け取り、播種から生長予測日の前日までの環境観測値を積算する(環境値積算処理)。
生長予測日が現在の2日以上将来を予測する場合など環境観測値が予測日前日までない場合は、生長予測部117は、気象予報値から将来の環境観測値を算出し、環境観測値に積算する。
このとき、環境積算値の計算は、10分間隔で測定した値を全て合算してもよいし、1日の平均値を入力値としてもよい。
処理はステップS52に進む。
ステップS52において、生長予測部117は、生育段階判定部114において判定された生育対象となる植物の生長予測日の生育段階をもとに、生長予測モデルDB116に保存されている生長予測モデルを選定する(生長予測モデル選定処理)。
処理はステップS53に進む。
ステップS53において、生長予測部117は、ステップS52において選定した生長予測モデルを使用して生長予測値を算出する(生長予測値算出処理)。
生長予測モデルは生長予測モデル設定部115にて設定する。
ここで、生長予測モデルには、播種から生長予測日の前日までの環境観測値の積算値を入力として、生長予測日の生長指標を生長予測値として出力する任意のモデルを適用することができる。
生長予測モデルの一例として、統計的手法による生長予測モデル式の生成例を説明する。
生長予測モデル設定部115は、生育段階ごとに、生育対象となる植物の生長記録として生長指標観測値y(i)とn個の環境観測値xn(i)を収集し、数式1の重回帰式を用いて偏回帰係数βnを算出することにより、生長予測モデル式を生成することができる。
Figure 0006261492
また、成長曲線は一般にロジスティック曲線などの曲線になるといわれている。
そのため、生長予測モデル設定部115は、ロジスティック回帰により生長予測モデル式を生成してもよい。
つまり、生長予測モデル設定部115は、生育段階ごとに、生育対象となる植物の生長記録として生長指標観測値y(i)とn個の環境観測値xn(i)を収集し、数式2及び数式3の重回帰式を用いて偏回帰係数γn及び係数K、a、bを算出することにより、生長予測モデル式を生成することができる。
Figure 0006261492
このように、重回帰またはロジスティック回帰といった統計的手法を用いて生長予測モデル式を生成することにより、例えば、栽培者ごとの栽培ノウハウや、品種ごとの生長特性などに合わせたモデルの最適化を簡易に行うことが可能となる。
ステップS51からステップS53までの処理は、図3のステップS33の処理に相当する。
ステップS53の生長予測値算出が終了したら、処理はステップS54に進む。
ステップS54において、生長予測部117は、ステップS53で算出した生長予測値が、生育段階モデルDB113に保存されている生育段階モデルで設定されている収穫基準を超えているか判定する。
生長予測値が収穫基準を超えている場合、処理はステップS55へ進む。
生長予測値が収穫基準を超えていない場合、処理はステップS56へ進む。
ステップS55において、生長予測部117は、播種から収穫までの、予測値を含む生長変化を確定する(生長予測値確定処理)。
このとき、生長予測部117は、各生育段階で算出した生長予測結果全てを生長予測値とする。
また、生長予測部117は、ここで確定した生長予測値を、生長比較部1110に渡す。
ステップS56において、生長予測部117は、生長予測結果を生育段階判定部114に渡し、生育段階判定処理と生長予測処理を繰り返す(生長予測繰返し処理)。
ステップS54からステップS56までの処理は、図3のステップS34の処理に相当する。
このように、生長予測部117は、生育段階判定部114から植物の現在の生育段階の通知を受け、生育段階判定部114から通知された現在の生育段階と当該現在の生育段階の次の生育段階との間の境界の境界条件(次境界条件という)の定義に用いられている生長指標の予測値(次境界生長指標予測値という)を算出する。
そして、生長予測部117は、算出した次境界生長指標予測値を生育段階判定部114に通知する。
生育段階判定部114は、生長予測部117から次境界生長指標予測値の通知を受け、次境界生長指標予測値が次境界条件に合致する場合に、次の生育段階(予測対象生育段階という)として生長予測部117に通知する。
更に、生長予測部117は、生育段階判定部114から予測対象生育段階の通知を受け、生育段階判定部114から通知された予測対象生育段階と当該予測対象生育段階の次の生育段階との間の境界の境界条件(新たな次境界条件という)の定義に用いられている生長指標の予測値(新たな次境界生長指標予測値という)を算出する。
そして、生長予測部117は、算出した新たな次境界生長指標予測値を生育段階判定部114に通知する。
生育段階判定部114は、生長予測部117から新たな予測次境界生長指標予測値の通知を受け、新たな予測次境界生長指標予測値が新たな予測次境界条件に合致する場合に、予測対象生育段階の次の生育段階を新たな予測対象生育段階として生長予測部117に通知する。
この繰り返しを収穫可能になるまで行う。
次に、生長比較部1110の動作について説明する。
図8は、実施の形態1に係る生長比較部1110の処理の流れを示すフローチャートである。
本処理は、図3のステップS35にあたる処理の詳細である。
生長比較部1110は、生長予測値117で算出した生長予測値を受け取ると、ステップS81より処理を開始する。
ステップS81において、生長比較部1110は、育成モデルDB119より、生育対象となる植物の育成モデルを抽出する(育成モデル抽出処理)。
このとき、生長比較部1110は、全生育段階について育成モデルを抽出する。
処理はステップS82に進む。
ステップS82において、生長比較部1110は、生長予測部117にて算出した生長予測値を受け取り、ステップS81において抽出した育成モデルと生長比較する(生長ずれ比較判定処理)。
このとき、生長比較部1110は、収穫日ずれの比較、生育段階ごとの生長ずれ比較をそれぞれ行う。
処理はステップS83に進む。
ステップS83において、生長比較部1110は、育成モデルDB119に保存されている植物の目標育成パターン、生長ずれの許容量を基準に、生長ずれが発生しているかどうかを判定する。
生長ずれの許容量について、育成モデル設定部118では、例えば、トマトの収穫日について、2日以内の生長ずれを生長ずれ許容量と設定しておく。
生長ずれが発生している場合、処理はステップS84に進む。
生長ずれが発生していない場合は、処理はステップS85に進む。
ステップS84において、生長比較部1110は、生長ずれ発生情報を生成する。
生長ずれ発生情報は、収穫日ずれ量を保有する(生長ずれ検出報知処理)。
また、生長ずれ発生が始まった生育段階情報、各生育段階の生長ずれ量を保有してもよい。
処理はステップS85に進む。
ステップS85において、生長比較部1110は、生長比較結果として、生長予測値と育成モデルの生長変化値を表示部12及び環境制御部13に出力する(生長比較結果出力処理)。
また、ステップS84において生長ずれ発生情報が生成された場合、生長比較部1110は、表示部12及び環境制御部13に同時に生長比較結果を出力する。
このように、生長比較部1110は、情報取得部111により取得された生長指標観測値と生長予測部117により算出された生長指標の予測値から得られる植物の予測生長パターンと、育成モデルDB119の当該植物の目標育成パターンとを比較する。
そして、生長比較部110は、予測生長パターンと目標育成パターンとの間の許容量以上のずれを検知する。
***効果の説明***
図9は、生長予測に基づく生長ずれ判定結果の可視化例を示す。
図9に示すように、生長比較部1110は、生育対象となる植物について、生長指標観測値及び生長予測値から得られる予測生長パターンと育成モデルの目標育成パターンとを並べて表示することにより、ユーザは2つのパターンを比較することができ、現在より先のある時点から生長が遅れ、収穫日がどれだけずれるのか判別することができる。
そのため、環境制御値を変更する時期や環境値の変更量について事前に対策を講じることができるようになる。
このように、本実施の形態により、温室での施設園芸について、効率的な環境制御や栽培管理を容易にすることができる。
以上にて説明したように、本実施の形態では、基準に沿って植物の生育段階を分割し、生育段階ごとに適した生長予測モデルを適用して高精度に生長予測を行うことができる。
また、育成モデルと比較して生長ずれを算出することにより、生長ずれが発生する前に、生長ずれの時期とずれ量を判定できる。
また、生長ずれが生じた場合に、温室内の最適な環境制御方針の決定を容易にすることができる。
以上、本実施の形態では、植物の生長指標についての観測値と、温室内環境値及び屋外環境値についての観測値と、気象予報値とを取得する情報取得部と、生育段階の分割基準である生育段階モデルを用いて、生長指標から生育段階を判定する生育段階判定部と、温室内環境値及び屋外環境値と、気象予報値とを用いて、生長予測モデル式に基づいて生長予測を行う生長予測部と、植物生長のモデルケースである育成モデルと、算出した生長予測値とを比較し、モデルケースからの生長ずれを判定する生長比較部を備える生長観測部と、生長観測値及び生長予測値と、温室内環境値及び屋外環境値と、気象予報値とをデータ表示し、生長ずれの状況を可視化する表示部と、生長観測値及び生長予測値と、温室内環境値及び屋外環境値と、気象予報値とを用いて温室内の環境制御方針を決定する環境制御部とを説明した。
実施の形態2.
以上の実施の形態1では、生育対象となる植物の生長について予測して、育成モデルと比較することにより、生長ずれを算出することができるようにしたものである。
本実施の形態においては、生長予測モデル、育成モデルについて、随時収集する生長指標観測値、温室内外の環境観測値を過去生長データとして蓄積し、各モデルを学習させる事を可能にした例を示す。
以下では、主に実施の形態1との違いを説明する。
以下で説明していない事項は、実施の形態1で示した通りである。
***構成の説明***
図10は、実施の形態2に係る環境制御システム2の構成を示すブロック図である。
環境制御システム2の構成は実施の形態1に係る環境制御システム1と同様であるため、説明は割愛する。
図11は、実施の形態2に係る生長観測部21の構成を示すブロック図である。
生長観測部21は、情報取得部211、生育段階モデル設定部212、生育段階モデルDB213、生育段階判定部214、生長予測モデル設定部215、生長予測モデルDB216、生長予測部217、育成モデル設定部218、育成モデルDB219、生長比較部2110、生長予測モデル学習部2111、育成モデル学習部2112から構成される。
ここで、情報取得部211、生育段階モデル設定部212、生育段階モデルDB213、生育段階判定部214、生長予測モデル設定部215、生長予測モデルDB216、生長予測部217、育成モデル設定部218、育成モデルDB219、生長比較部2110は、実施の形態1における情報取得部111、生育段階モデル設定部112、生育段階モデルDB113、生育段階判定部114、生長予測モデル設定部115、生長予測モデルDB116、生長予測部117、育成モデル設定部118、育成モデルDB119、生長比較部1110と、それぞれ同様の機能を有するため、説明を割愛する。
生長予測モデル学習部2111は、情報取得部211で取得した生長指標観測値と温室内外の環境観測値に基づき、生長予測モデルDB216に保存されている生長予測モデルを学習し、生長予測モデルを更新する。
生長予測モデルの学習、更新は、生長指標観測値と温室内外の環境測定値について、両方が新たな値を得た場合に行われる。
育成モデル学習部2112は、情報取得部211で取得した生長指標観測値と温室内外の環境観測値に基づき、育成モデルDB219に保存されている育成モデルを学習し、育成モデルを更新する。
育成モデルの学習、更新は、生長指標観測値と温室内外の環境測定値について、両方が新たな値を得た場合に行う。
***動作の説明***
次に、環境制御システム2の動作について説明する。
図12は、実施の形態2に係る環境制御システム2の処理の流れを示すフローチャートである。
環境制御システム2は、生長指標観測値、温室内外の環境観測値、気象予報値を取得すると、ステップS121より処理を開始する。
ステップS121は図3におけるステップS31と同様のため、説明を割愛する。
処理はステップS122に進む。
ステップS122において、生長予測モデル学習部2111は、生長予測モデルDB216に保存されている生長予測モデルを学習し、生長予測モデルを更新する(モデル学習処理)。
また、育成モデル学習部2112は、育成モデルDB219に保存されている育成モデルを学習し、育成モデルを更新する(モデル学習処理)。
生長予測モデルが重回帰またはロジスティック回帰といった統計的手法により生成されている場合は、生長予測モデル学習部2111は、随時収集する生長指標観測値、温室内外の環境観測値を回帰式に代入し、回帰計算を行って各係数を更新することにより、生長予測モデル式を最新の栽培記録を含めたモデルに更新することができる。
また、育成モデルに過去の栽培記録から統計的に算出した値が用いられている場合は、育成モデル学習部2112は、随時収集する生長指標観測値、温室内外の環境観測値を統計算出の元データに加えることにより、育成モデルを更新することができる。
生長予測モデル及び育成モデルの学習及び更新が終了したら、処理はステップS123に進む。
ステップS123からステップS128は、図3におけるステップS32からステップ37と同様のため、説明を割愛する。
***効果の説明***
このように、生長予測と同時に、生長予測モデル、育成モデルの学習及び更新を可能とすることにより、過去の栽培記録の不足により各モデルの最適化が進んでいない場合であっても、環境制御システム2の適用と同時並行して、各モデルの最適化を行うことが可能である。
また、実施の形態2と実施の形態1を両方活用して、各モデルの最適化が済むまでは実施の形態2に係る環境制御システム2を活用し、各モデルの最適化がおよそ完了したら実施の形態1に係る環境制御システム1を活用してもよい。
以上の実施の形態1及び2では、
生長予測について、生育段階を複数生育指標の始点、終点、変曲点を基準に分割し、各生育段階で最も変化が大きい生長指標をそれぞれの生長予測値と設定し、各生育段階で生長予測モデルを生成して生長予測し、生長ずれを算出することにより、効率的な環境制御値の設定を容易にする環境制御方式および環境制御システムを説明した。
また、以上の実施の形態1及び2では、
前記環境制御方式および環境制御システムは、生長予測モデルを、重回帰やロジスティック回帰などの統計的手法により生成することを説明した。
また、以上の実施の形態1及び2では、
前記環境制御方式および環境制御システムは、育成モデルを、過去の栽培記録から統計的に生成することを説明した。
また、以上の実施の形態1及び2では、
前記環境制御方式および環境制御システムは、統計的に算出した生長予測モデルや育成モデルを、日々観測する生長指標や環境値を用いて学習、更新することを可能とすることを説明した。
また、以上の実施の形態1及び2では、
前記環境制御方式および環境制御システムは、生長予測値が育成モデルから許容量以上ずれた場合に検知することを説明した。
また、以上の実施の形態1及び2では、
前記環境制御方式および環境制御システムは、生長予測値と育成モデルを同時に表示することにより、生長ずれの発生時期とずれ量を分析容易化する生長予測値の可視化方法を提供することを説明した。
また、以上の実施の形態1及び2では、
前記環境制御方式および環境制御システムは、生育段階モデル設定について、始点、終点、変曲点の算出は、各生長指標の微分値を計算することにより行うことを説明した。
また、以上の実施の形態1及び2では、
前記環境制御方式および環境制御システムは、生育段階モデル設定について、使用する生長指標、分割基準点については任意に選ぶことができることを説明した。
また、以上の実施の形態1及び2では、
前記環境制御方式および環境制御システムは、生育段階モデルについて、葉菜野菜、根野菜、果実野菜などの大きな分類で基本的な生育段階モデルを予め生成しておけば、品種ごとの詳細な違いについては機械的に計算することが可能であることを説明した。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、これら2つの実施の形態を組み合わせて実施しても構わない。
あるいは、これら2つの実施の形態のうち、1つを部分的に実施しても構わない。
あるいは、これら2つの実施の形態を部分的に組み合わせて実施しても構わない。
なお、本発明は、これらの実施の形態に限定されるものではなく、必要に応じて種々の変更が可能である。
最後に、実施の形態1及び2に示した環境制御システム1、2のハードウェア構成例を図13を参照して説明する。
環境制御システム1、2はコンピュータであり、環境制御システム1、2の各要素をプログラムで実現することができる。
環境制御システム1、2のハードウェア構成としては、バスに、演算装置901、外部記憶装置902、主記憶装置903、通信装置904、入出力装置905が接続されている。
演算装置901は、プログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)である。
外部記憶装置902は、例えばROM(Read Only Memory)やフラッシュメモリ、ハードディスク装置である。
主記憶装置903は、RAM(Random Access Memory)である。
通信装置904は、例えばNIC(Network Interface Card)である。
プログラムは、通常は外部記憶装置902に記憶されており、主記憶装置903にロードされた状態で、順次演算装置901に読み込まれ、実行される。
プログラムは、図2、図11に示す「〜部」として説明している機能を実現するプログラムである。
更に、外部記憶装置902にはオペレーティングシステム(OS)も記憶されており、OSの少なくとも一部が主記憶装置903にロードされ、演算装置901はOSを実行しながら、図2、図11に示す「〜部」の機能を実現するプログラムを実行する。
また、実施の形態1及び2の説明において、「判断する」、「判定する」、「抽出する」、「取得する」、「設定する」、「照合する」、「登録する」、「選択する」、「生成する」、「算出する」、「通知する」等として説明している処理の結果を示す情報やデータや信号値や変数値が主記憶装置903にファイルとして記憶されている。
なお、図13の構成は、あくまでも環境制御システム1、2のハードウェア構成の一例を示すものであり、環境制御システム1、2のハードウェア構成は図13に記載の構成に限らず、他の構成であってもよい。
また、実施の形態1及び2に示す手順により、本発明に係る情報処理方法を実現可能である。
1 環境制御システム、11 生長観測部、12 表示部、13 環境制御部、111 情報取得部、112 生育段階モデル設定部、113 生育段階モデルDB、114 生育段階判定部、115 生長予測モデル設定部、116 生長予測モデルDB、117 生長予測部、118 育成モデル設定部、119 育成モデルDB、1110 生長比較部、2 環境制御システム、21 生長観測部、22 表示部、23 環境制御部、211 情報取得部、212 生育段階モデル設定部、213 生育段階モデルDB、214 生育段階判定部、215 生長予測モデル設定部、216 生長予測モデルDB、217 生長予測部、218 育成モデル設定部、219 育成モデルDB、2110 生長比較部、2111 生長予測モデル学習部、2112 育成モデル学習部。

Claims (15)

  1. 生物の複数の生育段階における生育段階間の境界を判別するための境界条件を、境界ごとに、前記生物の生長度合いの指標となる複数の生長指標の中から選択された生長指標を用いて定義する生育段階モデルを記憶する生育段階モデルデータベースと、
    前記生物で観測された、各境界条件の定義に用いられている生長指標の値である生長指標観測値を取得する情報取得部と、
    前記情報取得部により取得された生長指標観測値と、前記生育段階モデルで定義されている各境界条件とを照合して、前記生物の現在の生育段階を判定する生育段階判定部と
    前記生育段階判定部から前記生物の現在の生育段階の通知を受け、
    前記生育段階判定部から通知された現在の生育段階と当該現在の生育段階の次の生育段階との間の境界の境界条件を次境界条件とし、次境界条件の定義に用いられている生長指標の予測値を、次境界生長指標予測値として算出し、
    算出した次境界生長指標予測値を前記生育段階判定部に通知する生長予測部と有し、
    前記生育段階判定部は、
    判定した前記生物の現在の生育段階を前記生長予測部に通知し、
    前記生長予測部から前記次境界生長指標予測値の通知を受け、
    前記次境界生長指標予測値が前記次境界条件に合致する場合に、前記次の生育段階を予測対象生育段階として前記生長予測部に通知する情報処理装置。
  2. 前記生育段階モデルデータベースは、
    各境界条件を、境界ごとに選択された生長指標についての生長曲線上の位置で定義する生育段階モデルを記憶しており、
    前記生育段階判定部は、
    前記情報取得部により取得された生長指標観測値の生長曲線上の位置を特定し、前記生長指標観測値の生長曲線上の位置と、前記生長指標観測値と同じ生長指標を対象とする境界条件で定義されている生長曲線上の位置とを照合して、前記生物の現在の生育段階を判定する請求項に記載の情報処理装置。
  3. 前記生育段階モデルデータベースは、
    前記生長曲線上の位置として、前記生長曲線上の始点、終点及び変曲点のいずれかを定義する生育段階モデルを記憶している請求項に記載の情報処理装置。
  4. 前記生長予測部は、
    前記生育段階判定部から予測対象生育段階の通知を受け、
    前記生育段階判定部から通知された予測対象生育段階と当該予測対象生育段階の次の生育段階との間の境界の境界条件を新たな次境界条件とし、新たな次境界条件の定義に用いられている生長指標の予測値を、新たな次境界生長指標予測値として算出し、
    算出した新たな次境界生長指標予測値を前記生育段階判定部に通知し、
    前記生育段階判定部は、
    前記生長予測部から新たな予測次境界生長指標予測値の通知を受け、
    新たな予測次境界生長指標予測値が新たな予測次境界条件に合致する場合に、前記予測対象生育段階の次の生育段階を新たな予測対象生育段階として前記生長予測部に通知する請求項に記載の情報処理装置。
  5. 前記情報処理装置は、更に、
    前記生長予測部による前記次境界生長指標予測値の算出に用いられる生長予測モデルを、統計的手法により生成する生長予測モデル設定部を有する請求項に記載の情報処理装置。
  6. 前記情報処理装置は、更に、
    前記情報取得部により取得された生長指標観測値と前記生長予測部により算出された生長指標の予測値から得られる前記生物の予測生長パターンと、前記生物の目標育成パターンとを比較する生長比較部を有する請求項に記載の情報処理装置。
  7. 前記生長比較部は、
    前記予測生長パターンと前記目標育成パターンとの間の許容量以上のずれを検知する請求項6に記載の情報処理装置。
  8. 前記生長比較部は、
    前記予測生長パターンと前記目標育成パターンとを並べて表示する請求項に記載の情報処理装置。
  9. 前記情報処理装置は、更に、
    前記目標育成パターンを含む育成モデルを、過去の生育実績に基づいて生成する育成モデル設定部を有する請求項に記載の情報処理装置。
  10. 前記情報処理装置は、更に、
    前記情報取得部により取得された生長指標観測値及び前記生物の生育環境で観測された環境観測値を用いた学習を行って、前記生長予測部による前記次境界生長指標予測値の算出に用いられる生長予測モデルを更新する生長予測モデル学習部を有する請求項に記載の情報処理装置。
  11. 前記情報処理装置は、更に、
    前記情報取得部により取得された生長指標観測値及び前記生物の生育環境で観測された環境観測値を用いた学習を行って、前記目標育成パターンを含む育成モデルを更新する育成モデル学習部を有する請求項に記載の情報処理装置。
  12. 前記生育段階モデルデータベースは、
    前記生物の複数の類型について、類型ごとに生育段階モデルを記憶しており、
    前記生育段階判定部は、
    前記情報取得部により取得された生長指標観測値と、判定対象の類型に対応する生育段階モデルで定義されている各境界条件とを照合する請求項1に記載の情報処理装置。
  13. 前記生育段階モデルデータベースは、
    植物の複数の生育段階における生育段階間の境界を判別するための境界条件を、境界ごとに、前記植物の生長度合いの指標となる生長指標を用いて定義する生育段階モデルを記憶しており、
    前記情報取得部は、
    前記植物で観測された生長指標の値である生長指標観測値を取得し、
    前記生育段階判定部は、
    前記情報取得部により取得された生長指標観測値と、前記生育段階モデルで定義されている各境界条件とを照合して、前記植物の現在の生育段階を判定する請求項1に記載の情報処理装置。
  14. 生物の複数の生育段階における生育段階間の境界を判別するための境界条件を、境界ごとに、前記生物の生長度合いの指標となる複数の生長指標の中から選択された生長指標を用いて定義する生育段階モデルを記憶する生育段階モデルデータベースを有するコンピュータが行う情報処理方法であって、
    前記コンピュータが、前記生物で観測された、各境界条件の定義に用いられている生長指標の値である生長指標観測値を取得する情報取得処理と、
    前記コンピュータが、前記情報取得処理により取得された生長指標観測値と、前記生育段階モデルで定義されている各境界条件とを照合して、前記生物の現在の生育段階を判定する生育段階判定処理と、
    前記コンピュータが、前記生育段階判定処理で判定された現在の生育段階と当該現在の生育段階の次の生育段階との間の境界の境界条件を次境界条件とし、次境界条件の定義に用いられている生長指標の予測値を、次境界生長指標予測値として算出する生長予測処理とを有し、
    前記次境界生長指標予測値が前記次境界条件に合致する場合に、前記コンピュータが、
    前記次の生育段階を予測対象生育段階に指定する情報処理方法。
  15. 生物の複数の生育段階における生育段階間の境界を判別するための境界条件を、境界ごとに、前記生物の生長度合いの指標となる複数の生長指標の中から選択された生長指標を用いて定義する生育段階モデルを記憶する生育段階モデルデータベースを有するコンピュータに、
    前記生物で観測された、各境界条件の定義に用いられている生長指標の値である生長指標観測値を取得する情報取得処理と、
    前記情報取得処理により取得された生長指標観測値と、前記生育段階モデルで定義されている各境界条件とを照合して、前記生物の現在の生育段階を判定する生育段階判定処理と、
    前記生育段階判定処理で判定された現在の生育段階と当該現在の生育段階の次の生育段階との間の境界の境界条件を次境界条件とし、次境界条件の定義に用いられている生長指標の予測値を、次境界生長指標予測値として算出する生長予測処理とを実行させ、更に、
    前記次境界生長指標予測値が前記次境界条件に合致する場合に、前記コンピュータに、前記次の生育段階を予測対象生育段階に指定させるプログラム。
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