JP6261068B2 - 防災対策システム - Google Patents
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Description
とくに、体の不自由な方や高齢者の方の場合には、より短時間かつ最短のルートでの避難が必要となるだけでなく、避難のために近隣の住民などの協力が必要となる。しかし、地震火災では、火災を想定している避難ルートや避難協力が有効に働かない可能性が高い。
一方、地震火災では、同時多発的に火災が発生することが想定される。すると、消防隊員の人手が足りず、全ての火災現場に消防隊員を派遣することができない可能性がある。また、住民が避難する場合と同様に、倒壊等した建物が邪魔をして、通常の火災で消防が消火活動を行うために通行することを想定しているルートが使えず、消防が火災現場に到達できないことも想定される。したがって、地震火災では、効果的な火災の消火作業ができず、延焼による火災の拡大も想定される。
従来、火災の延焼をシミュレーションする技術に関する技術が開発されており(特許文献1、2等)、最近では、市販の延焼シミュレーションソフトも存在する。
第2発明の防災対策システムは、第1発明において、前記表示手段は、前記延焼シミュレーション手段がシミュレーションした延焼状況と、前記避難シミュレーション手段がシミュレーションした避難状況とを、重ねわせて表示する機能を備えており、前記避難シミュレーション手段は、前記避難開始位置、前記避難ルート、前記避難速度の全てまたは一部の入力値を変更する設定値変更部を備えていることを特徴とする。
第3発明の防災対策システムは、第1または第2発明において、火災による延焼をシュミレーションする街並みを設定する街並み設定手段を備えており、該街並み設定手段は、建物および建物間の通路の情報を入力して記憶媒体に記憶させる街並み入力部と、前記記憶媒体に記憶されている前記街並みデータの情報を変更し、変更した変更街並みデータを前記記憶媒体に記憶させるデータ変更部と、を備えていることを特徴とする。
第4発明の防災対策システムは、第1、第2または第3発明において、設定した避難ルートによる避難の可否を判断する避難判断手段を備えており、前記避難シミュレーション手段は、避難対象者の情報を入力する避難対象者入力部と、前記避難対象者が避難する際に必要とする避難補助ツールの情報を記憶する避難補助ツール記憶部と、を備えており、該避難対象者入力部が、前記避難対象者が使用する避難補助ツールを選択する避難補助ツール選択機能を備えており、前記避難判断手段は、前記避難補助ツール選択機能によって選択された避難補助ツールの情報に基づいて、前記設定した避難ルートによる避難の可否を判断する機能を有していることを特徴とする。
第5発明の防災対策システムは、第1、第2、第3または第4発明において、前記延焼シミュレーション手段は、火災または地震による建物倒壊をシミュレーションする建物倒壊シミュレーション機能を備えていることを特徴とする。
第6発明の防災対策システムは、第1乃至5のいずれかに発明において、輻射熱の状況をシミュレーションする輻射熱シミュレーション機能を備えていることを特徴とする。
第7発明の防災対策システムは、第1乃至6のいずれかに発明において、設定した避難ルートによる避難の可否を判断する避難判断手段を備えており、前記延焼シミュレーション手段がシミュレーションした延焼状況および前記避難シミュレーション手段がシミュレーションした避難状況を記憶するシミュレーション結果記憶部を備えており、前記避難判断手段は、同一条件の火災が発生したときにおける、前記シミュレーション結果記憶部に記録されている複数の避難状況に基づいて、設定した避難ルートによる避難の可否を判断する機能を備えていることを特徴とする。
第2発明によれば、火災による延焼状況と避難状況とを重ねて表示するので、避難ルートの危険性をより的確に把握することができる。しかも、避難開始位置、避難ルート、避難速度を変更することができるので、適切な避難ルートを探しやすくなる。
第3発明によれば、建物および建物間の通路の情報を、住民からの情報に基づいて変更するので、より住民の生活に密着した状態で延焼状況や避難状況をシミュレーションすることができる。また、街並み入力部が、外部から街並みデータを入力できる機能を有して入れば、シミュレーションの対象地域の状況を迅速に再現することができる。
第4発明によれば、高齢者や障害者の方の避難のように、車椅子を使用する必要がある場合や人の介助が必要な場合において、避難補助ツールの情報に基づいて使用できない避難ルートを判断することができる。このため、避難に時間を要する高齢者や障害者の方の避難に適した避難ルートの設定を行うことができる。
第5発明によれば、建物倒壊をシミュレーションするので、建物の倒壊によって使用できない通路を判断でき、実際の災害における避難に適した避難ルートの設定を行うことができる。
第6発明によれば、避難者が受ける輻射熱の状況をシミュレーションするので、延焼が広がっていないが避難できない通路を判断することができる。すると、実際の延焼が生じたときに、火の状況だけから判断して避難した場合には被災するような状況でも、適切な避難ルートを設定することができる。
第7発明によれば、実際の災害では多数の人が同時に避難する状況になるため、実際の災害により近い状況での避難ルートを設定することができる。
街並み設定手段30を説明する。
街並み設定手段30は、シミュレーションを行う地域(言い換えれば地震火災を発生させる地域)の建物や道路(建物間の通路も含む)等の状況を設定する手段である。つまり、住民等が避難する現場、言い換えれば、住民等が居住している地域の状況を設定する手段である。なお、以下では、街並み設定手段30によって設定された街並みの情報を、街並みデータという。
このように、市販の地図の情報などを読み込んで街並みデータを作成すれば、ある程度正確かつ迅速に街並みを再現することができるという利点がある。もちろん、街並み入力部31に街並みに関する情報(建物や道路等の情報)を入力する機能を設け、この街並み入力部31を利用して、住民等が街並みに関する情報を一から入力して街並みデータを作成してもよい。
つぎに、延焼シミュレーション手段10を説明する。
延焼シミュレーション手段10は、火災が広がる状況(延焼状況)をシミュレーションする手段である。具体的には、上述した街並み設定手段30で設定された街並みデータ(予め用意されている街並みデータも含む)に記憶されている建造物の情報等に基づいて、延焼状況のシミュレーションする手段である。この延焼シミュレーション手段10は、火災発生場所設定部11と、条件入力部12と、延焼シミュレーション部13と、を備えている。
なお、延焼条件データを延焼状況データから独立して記憶手段60に記憶させる場合には、両者を関連付ける形で記憶手段60に記憶させることが望ましい。つまり、延焼条件データから延焼状況データを検索したり延焼状況データから延焼状況データを検索したりできるように、延焼条件データおよび延焼状況データを記憶手段60に記憶させることが望ましい。
つぎに、避難シミュレーション手段20を説明する。
避難シミュレーション手段20は、避難する人(避難者)が避難する状況をシミュレーションする手段である。具体的には、この避難シミュレーション手段20は、後述する各設定部によって設定された情報に基づいて、避難を開始してから避難者の移動する状況をシミュレーションして、算出された避難状況データを記憶手段60に記憶させる機能を有している。この避難状況データとは、例えば、避難開始から一定時間の経過したときにおける避難者の位置データなどを含むデータである。後述する各設定部によって設定された情報も、必要に応じて、避難状況データに含ませてもよい。
なお、避難場所は必ずしも最終的な避難場所でなくてもよい。例えば、寝たきりの方などの場合には、自動車などでの避難が必要となる可能性が高い。このような場合には、自動車などが進入できる場所であって、避難者の家などから最も近い場所を避難場所として設定してもよい。
もちろん、避難場所設定部21、避難開始位置設定部22、避難ルート設定部23および避難速度設定部24とは独立した設定値入力部を設けて、避難場所、避難開始位置、避難ルートおよび避難速度を設定値入力部から入力して、これらを設定するようにしてもよい。
かかるズレを考慮して避難状況を確認するのであれば、避難シミュレーション手段20が、避難開始時刻、つまり、火災の発生から避難を開始するまでの時間を設定する機能を有していることが望ましい。この場合、結果表手段2によって、避難状況データと延焼状況データを同時に表示させるだけで、火災の発生と避難開始のズレを考慮した避難状況を確認することができる。
つぎに、本実施形態の防災対策システム1を使用して、住民等が地震火災の際に避難ルートを検討する状況を説明する。
なお、以下では、国土地理院が提供する基盤地図情報データを取得し変更して街並みデータとする場合を説明する。
本実施形態の防災対策システム1を起動すると、街並み設定手段30によって、延焼状況や避難状況をシミュレーションする前に街並みデータを形成し、街並みデータに基づく街並み平面図を表示手段40に表示させる。
まず、街並み設定手段30の街並み入力部31は、インターネットに接続して、国土地理院が提供する基盤地図情報データを取得する。そして、取得した基盤地図情報データは、街並みデータとして記憶手段60に記憶されるとともに、街並みデータに基づく街並み平面図(以下単に街並み平面図という)が表示手段40に表示される(図2参照)。
建物の位置が設定されると、建物の属性(耐火性等の性質や建物の高さ等)を入力する。建物の属性を入力する方法はとくに限定されないが、キーボードなどを利用して属性を入力する方法やチェックボックスで属性を指定するなどの方法を採用することができる。
例えば、街並み平面図上には存在するが実際には存在しない建物がある場合には、その建物を指定してその情報を消去すれば、街並み平面図から建物を削除することができる。また、街並み平面図上では空き地であるが建物が存在する場合には建物を追加する。建物を追加する方法はとくに限定されない。例えば、街並み平面図において、複数の位置を順番に指定して特定の領域を囲めば、建物が追加されるようにしてもよい。
また、基盤地図情報データでは生活用の通路まではデータとして存在しない可能性があるため、データ変更部32によって追加する。生活用の通路を追加する方法もとくに限定されない。例えば、街並み平面図において、通路として使用できる道路あるいは空き地がある場合おいて、通路として設定する領域の起点と終点をマウスでクリックすれば、起点と終点の間の領域が通路として追加されるようにしてもよい。
また、読みだした街並み平面図に変更を加える場合には、データ変更部32によって、上述した方法と同様の方法で変更することができる(図3(B)参照)。
街並み設定手段30によって街並みデータが形成されると、街並みデータを利用して延焼シミュレーション手段10が実施される。延焼シミュレーション手段10では、街並みデータをそのまま利用して、延焼状況をシミュレーションしてもよい。
以下、図4のフローチャートおよび図5を参照して、メッシュデータ作成部35によって分割メッシュデータを作成する方法を説明する。
上述したように、街並み設定手段30によって街並みデータや分割メッシュデータが形成されると、延焼シミュレーション手段10によって、延焼シミュレーションが実施される。
まず、延焼シミュレーション手段10は、街並みデータに基づいて、表示手段40に街並み平面図を表示させる。このとき、分割メッシュデーが形成されている場合には、街並み平面図とともにメッシュも表示される。
また、街並み設定手段30によって街並みデータや分割メッシュデータが形成されると、避難シミュレーション手段20によって、避難シミュレーションが実施される。
まず、避難シミュレーション手段20は、街並みデータに基づいて、表示手段40に街並み平面図を表示させる。
延焼シミュレーション手段10と避難シミュレーション手段20によるシミュレーションが終了すると、結果表手段2によって、避難状況データおよび延焼状況データが街並みの平面図とともに表示手段40に表示される。具体的には、避難状況データに基づく避難者の移動状況と延焼状況データに基づく延焼状況が、動画として、表示手段40に表示される。すると、地震火災が発生してから延焼が広がって行く状況と、避難者の相対的な位置関係を画像で把握できるので、使用する人が避難の状況を感覚的に把握しやすくなる。
なお、図8〜図10において、黒くなっている建物が延焼した建物を示している。
本実施形態の防災対策システム1は、上述した機能に加えて、以下の機能を備えていれば、地震火災における避難をより現実に近い状況でシミュレーションすることができる。
地震火災では、建物が倒壊して、通路が塞がれて通行できなくなっている可能性がある。すると、建物が倒壊していない状況での避難をシミュレーションしても、実際の地震火災の際に避難できない可能性もある。例えば、途中の避難ルートまでは避難できても、避難通路の前方(つまり現在位置と避難場所との間の避難ルート)で建物が倒壊している場合には、それ以上は進めない状況となる。この場合には、建物の倒壊によって塞がれた通路に到達した後の避難が困難になる可能性が高い。つまり、避難通路の前方で建物が倒壊している場合には、その状況を想定して避難ルートを検討する必要がある。
ここで、火災では、火災による炎からの輻射熱や熱風による気流熱によって、建物が延焼していない場所でも、人が受ける輻射熱が非常に大きくなっている場合がある。そして、輻射熱が2,050kcal/m2・h以上の場所では、たとえ延焼していなくても、避難者がその場所を通って避難することはできない。例えば、延焼に伴って、輻射熱が上述したような値を超える場所が広がった場合には、途中の避難ルートまでは避難できても、避難通路の前方(つまり現在位置と避難場所との間の避難ルート)では、輻射熱が大きくなっており、それ以上は進めない状況となる可能性がある。この場合には、輻射熱が大きい場所に到達した後の避難が困難になる可能性が高い。つまり、避難通路の前方に輻射熱が大きい場所が形成される可能性がある場合には、その状況を想定して避難ルートを検討する必要がある。
上記例では、避難シミュレーション手段20がシミュレーションした避難状況を、街並みの平面図や延焼状況、倒壊データ等と重ねて表示手段40に表示することによって、設定した避難ルートでの避難が可能か否か判断している。つまり、表示手段40に表示されている画像を見て、避難が可能か否かを人が判断している。しかし、この場合には、避難の判断に画像を見た人の主観が入ってしまう可能性があり、避難の可否について適切に判断できない場合も生じる。
また、上記例では、避難判断手段50が、一人の避難者が避難する場合において、環境要因(通路の状況や延焼状況、輻射熱分布)に起因して避難ができるか否かを判断する場合を説明した。
例えば、以下の方法によって避難の可否を判断することができる。
まず、複数の避難状況データに基づいて同じタイミングで複数の避難者が同じ通路に進入する場合には、街並みデータの通路の情報に基づいて、複数の避難者が同時に通過できるか否かを判断する。そして、複数の避難者が同時に通行できない場合には、その避難ルートでは避難できないと判断することができる。このように避難の可否を判断する場合には、街並みデータの通路の幅の情報から、同時に通過できる避難者の数を避難判断手段50が判断してもよいが、街並みデータの通路の情報に、予めその通路を同時に並んで移動できる人の人数が含まれていることが好ましい。
地域には、車椅子でしか移動できない避難者や寝たきりの避難者(以下要介護避難者という)がいる場合もある。要介護避難者の避難には、他の人の介助が必要となる。また、要介護避難者が避難する場合、健常者が通ることができる通路でも通行できない可能性がある。そこで、要介護避難者が設定された避難ルートで避難できるか否かを判断する機能を避難判断手段50に設けてもよい。
一方、避難シミュレーション手段20には、避難者特有の情報(つまり、避難補助ツールの情報等)を入力または選択する避難対象者入力部26を設けておく。そして、避難対象者入力部26によって入力または選択された避難者特有の情報を含む避難状況データが記憶手段60に記憶されるようにする。
そして、避難判断手段50は、避難状況データに基づいて、設定した避難ルートに含まれる通路を、避難者が通行して避難することができるか否かを判断するようにする。
本実施形態の防災対策システム1において採用できる延焼計算アルゴリズムはとくに限定されない。例えば、主に木造家屋の密集地域で発生した火災延焼状態を,都市メッシュモデルを用いてシミュレーションする延焼計算アルゴリズムを採用することができる。
本延焼計算アルゴリズムを、簡単に説明すると、本延焼計算アルゴリズムは以下の6ステップによって火災の延焼判定を行う。
なお、以下の説明は、建物が一般的な木材の場合(つまり木造建築の場合)をベースに説明しているが、建物の素材を一般的な木材以外(難燃材やコンクリート等)に変更すれば、木造建築以外についても適用できる。
ついで、シミュレーション開始すると、時間経過に伴い、炎上状態メッシュは延焼可能状態に移行する(ステップ2)。
延焼可能状態メッシュの周囲にある一次近傍メッシュと風下二次近傍メッシュについて、可燃メッシュであるメッシュは類焼可能状態に移行し、浜田の延焼速度式による延焼判定を行う。具体的には、延焼速度に延焼距離をかけて延焼時間を求め、シミュレーション実行時間と比較して延焼判定を行う(ステップ3)。
浜田式による判定で延焼するとされたメッシュに関して、輻射熱・気流熱を考慮した受熱量判定を行う。受熱量判定は、計算で得られた受熱量と木材の発火温度400度とを比較して行う(ステップ4)。
延焼可能状態のメッシュはさらに時間経過に伴い、焼失状態へと移行する。焼失状態への移行は木造建物の鎮火式で得られる鎮火時間を超えた段階で行われる(ステップ5)。
これらの全てのメッシュについて、ステップ2〜5の各判定を行うことによって、街並みの炎症状態をシミュレーションすることができる。
つぎに、本延焼計算アルゴリズムによるシミュレーションの流れを追いながら、本延焼計算アルゴリズムの詳細を説明する。
図11に示すように、風下二次近傍メッシュ位置(K,L)については風向と炎上メッシュ位置(I,J)を考慮して判定する。これらの判定の際に、延焼計算の対象となるメッシュが領域外となる場合(つまり街並みデータ外になる場合)や可燃メッシュではない場合には判定を行わずに次のメッシュ判定へ進む。
炎上メッシュと延焼計算対象メッシュとの間で延焼が発生するかどうかを調べるために、各メッシュ状態を状態変数MC(I,J)とする変数を持たせることで表現する。状態変数MC(I,J)は次式で定義する。
MC(I,J)=T×10+m
MC(I,J)=F×10+m
ただし、(I,J)はメッシュ番号,Tは延焼可能時間(min)で浜田の延焼速度式を使用して求めた値である。また、Fは鎮火時間(min)で木造建物の鎮火式より算出する。mはメッシュの状態定数で、未燃状態はm=0、炎上状態はm=6、類焼可能状態はm=7、延焼可能状態はm=8、鎮火状態はm=9とする。各状態の推移は図12に示しているが、炎上メッシュの近傍メッシュと判定されたメッシュは類焼可能状態m=7となる。
つぎに、浜田の延焼速度式を以下に説明する。
浜田の延焼式は,風下・風上・風側面方向(以下,風横)の3種について、加害側建物の出火から受害側建物の着火までの時間を説明する式である。具体的には、建物の平均的な一辺長をa、隣棟間隔をd、着火までの時間をtとし、延焼速度はV=(a+d)/tとした上で、過去の火災事例の分析に実寸大の木造家屋火災実験の結果を追加して構築された式である。
しかし、後に2階建て建物や防火木造建築物、耐火建築物の混成を考慮して延焼速度比n(木造混成比p,防火木造混成比q,耐火建物混成比rを用いた補正係数)を用いる等の改良が加えられている。
炎上している建物の風下に位置する木造建物への延焼速度式V(m/min)は、延焼限界距離Di(m)と着火から他の家に着火するまでの時間t(min)とで表される。なお、延焼限界距離Di(m)は、風速v(m/sec)を用いて、以下のように定義される。
Di=βiD0
ただし、D0=1.15(5+0.5v)
なお、βiは係数であり、出火後から〜10分はβi=1.0、10〜30分はβi=1.5、30〜60分はβi=3.0、60分以上はβi=5.0、である。
t=(3+3/8a+8d/Di)/(α(1+0.1v+0.007v2))
なお、α=1.6(t+14)/(t+25)
V=nα(a+d)(1+0.1v+0.007v2)/(3+3/8a+8d/Di)
なお、n=(p+q)(1−r)/(p+q/0.6)であり、pは木造混成比、qは防火木造混成比、rは耐火建物混成比、nは延焼速度比、であり、p、q、rは、それぞれメッシュ内の建物情報に基づいてプログラムで算定することができる。
(1)風下と同様に、炎上している建物の風上に位置する木造建物への延焼速度式V(m/min)は、延焼限界距離Di(m)と着火から他の家に着火するまでの時間t(min)とで表される。風下における延焼速度Vは以下のとおりである。各式におけるパラメータは、風下と同じ値が使用される。
Di=1.15(5+0.2v)
t=(3+3/8a+8d/Di)/(α(1+0.1v+0.002v2))
V=nα(a+d)(1+0.1v+0.002v2)/(3+3/8a+8d/Di)
Di=1.15(5+0.25v)
t=(3+3/8a+8d/Di)/(α(1+0.1v+0.005v2))
V=nα(a+d)(1+0.1v+0.005v2)/(3+3/8a+8d/Di)
T=DL/V
つぎに、受熱量計算を行う気流熱を考慮した輻射熱量計算モデルを説明する。
本発明は建物火災を想定しているが、本発明の輻射熱量計算モデルには、車両火災モデルと同様の考え方を取り入れている。
θ=sin-1(2/U)0.2
Hc=0.7(103/U)0.2
Hs=4.7n(103/U)0.2
n=0.0133(Ds−10)(a−0.1)+3.98/(Ds0.6)
Tα=17.75DcU/X(1/(X+Dc/2))0.8
よって、車両火災による受熱温度を考慮した受熱点の温度T(℃)は、輻射熱量を℃に換算したものに気流熱と常温20℃を加えたものになり、以下の式で表される。
T=Rc/40+Tα+20
Tα=209aDsU/X(1/(X+Ds/2))0.8
そして、建物火災による受熱点の温度T (℃)は,以下の式で求めることができる。
T=Rs/20+Tαs+20
F=(a―2.5)/(1.8×VR×1.6)
VR=1−q/100+q/60
2 結果表示手段
10 延焼シミュレーション手段
11 火災発生場所設定部
12 条件入力部
13 延焼シミュレーション部
14 建物倒壊シミュレーション部
15 温度シミュレーション部
20 避難シミュレーション手段
21 避難場所設定部
22 避難開始位置設定部
23 避難ルート設定部
24 避難速度設定部
25 避難シミュレーション部
26 避難対象者入力部
30 街並み設定部
31 街並み入力部
32 データ変更部
35 メッシュデータ作成部
40 表示手段
50 避難判断手段
60 記憶手段
Claims (7)
- 地震に伴う火災が発生した際の避難ルートなどを住民等が自主的に調査研究するために使用する防災対策システムであって、
火災による延焼状況をシミュレーションする延焼シミュレーション手段と、
火災の際における避難状況をシミュレーションする避難シミュレーション手段と、
前記延焼シミュレーション手段がシミュレーションした延焼状況と、前記避難シミュレーション手段がシミュレーションした避難状況と、を表示し得る表示手段と、を備えており、
前記避難シミュレーション手段は、
避難する人を配置する避難開始位置を設定する避難開始位置設定部と、
前記避難開始位置から避難場所までの避難ルートを設定する避難ルート設定部と、
前記避難ルートを人が通過する避難速度を設定する避難速度設定部と、
少なくとも前記避難ルートを住民等が入力できる設定値入力部と、を備えている
ことを特徴とする防災対策システム。 - 前記表示手段は、
前記延焼シミュレーション手段がシミュレーションした延焼状況と、前記避難シミュレーション手段がシミュレーションした避難状況とを、重ねわせて表示する機能を備えており、
前記避難シミュレーション手段は、
前記避難開始位置、前記避難ルート、前記避難速度の全てまたは一部の入力値を変更する設定値変更部を備えている
ことを特徴とする請求項1記載の防災対策システム。 - 火災による延焼をシュミレーションする街並みを設定する街並み設定手段を備えており、
該街並み設定手段は、
建物および建物間の通路の情報を入力して記憶媒体に記憶させる街並み入力部と、
前記記憶媒体に記憶されている前記街並みデータの情報を変更し、変更した変更街並みデータを前記記憶媒体に記憶させるデータ変更部と、を備えている
ことを特徴とする請求項1または2記載の防災対策システム。 - 設定した避難ルートによる避難の可否を判断する避難判断手段を備えており、
前記避難シミュレーション手段は、
避難対象者の情報を入力する避難対象者入力部と、
前記避難対象者が避難する際に必要とする避難補助ツールの情報を記憶する避難補助ツール記憶部を備えており、
該避難対象者入力部が、
前記避難対象者が使用する避難補助ツールを選択する避難補助ツール選択機能を備えており、
前記避難判断手段は、
前記避難補助ツール選択機能によって選択された避難補助ツールの情報に基づいて、前記設定した避難ルートによる避難の可否を判断する機能を有している
ことを特徴とする請求項1、2または3記載の防災対策システム。 - 前記延焼シミュレーション手段は、
火災または地震による建物倒壊をシミュレーションする建物倒壊シミュレーション機能を備えている
ことを特徴とする請求項1、2、3または4記載の防災対策システム。 - 前記延焼シミュレーション手段は、
輻射熱の状況をシミュレーションする輻射熱シミュレーション機能を備えている
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の防災対策システム。 - 設定した避難ルートによる避難の可否を判断する避難判断手段を備えており、
前記延焼シミュレーション手段がシミュレーションした延焼状況および前記避難シミュレーション手段がシミュレーションした避難状況を記憶するシミュレーション結果記憶部を備えており、
前記避難判断手段は、
同一条件の火災が発生したときにおける、前記シミュレーション結果記憶部に記録されている複数の避難状況に基づいて、設定した避難ルートによる避難の可否を判断する機能を備えている
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の防災対策システム。
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