JP6261068B2 - 防災対策システム - Google Patents

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Description

本発明は、防災対策システムに関する。さらに詳しくは、地震に伴う火災が発生した際の避難ルートなどについて、住民等が自主的に調査研究することができる防災対策システムに関する。
地震に伴う火災(地震火災)が発生した際には、通常の火災の場合と異なり、建物の倒壊や道路の損傷などが生じる可能性がある。かかる建物の倒壊等が発生した場合には、通常の火災であれば避難することができる経路が倒壊等した建物によって塞がれて、その経路を通行できなくなる可能性がある。つまり、通常の火災であれば、避難できた可能性のある状況でも、避難できず命を落としてしまう可能性がある。
とくに、体の不自由な方や高齢者の方の場合には、より短時間かつ最短のルートでの避難が必要となるだけでなく、避難のために近隣の住民などの協力が必要となる。しかし、地震火災では、火災を想定している避難ルートや避難協力が有効に働かない可能性が高い。
また、通常の火災では、同時に異なる箇所で火災が発生する可能性は非常に低く、火災発生からある程度の時間内には消防が火災現場に到達して消火活動が可能となる。このため、通常の火災では、延焼による火災の拡大を防ぐことができる可能性が高い。
一方、地震火災では、同時多発的に火災が発生することが想定される。すると、消防隊員の人手が足りず、全ての火災現場に消防隊員を派遣することができない可能性がある。また、住民が避難する場合と同様に、倒壊等した建物が邪魔をして、通常の火災で消防が消火活動を行うために通行することを想定しているルートが使えず、消防が火災現場に到達できないことも想定される。したがって、地震火災では、効果的な火災の消火作業ができず、延焼による火災の拡大も想定される。
さらに、地震では、水道管の破損も考えられ、消火栓等が使用できない状況も起こり得る。すると、たとえ消防が火災現場に到達できても、消火活動自体が行えない場合も想定される。
以上のように、地震火災では、通常の火災では想定できないような種々の問題が生じる可能性があるので、地震火災の際に上述したような問題が生じた場合でも、安全に避難できるような避難ルートや避難協力体制を住民が把握しかつ避難する訓練をしておく必要がある。
ここで、避難ルートや避難協力体制を検討する上では、地震火災の際に、どのように延焼するのかなどを把握する必要がある。
従来、火災の延焼をシミュレーションする技術に関する技術が開発されており(特許文献1、2等)、最近では、市販の延焼シミュレーションソフトも存在する。
一方、火災や水害などの際に、人を安全に避難させる避難ルートをシミュレーションする技術も開発されている(特許文献3、4等)。
特許文献3には、地下街やビル等の建築物内での火災発生時の煙の挙動をシミュレーションする煙挙動シミュレータと、煙挙動シミュレータによる煙挙動のシミュレーション結果も含めて建築物内からの避難経路等を想定する避難シミュレータを備えた避難シミュレーションシステムが開示されている。この避難シミュレーションシステムでは、ドアの開閉といった環境の変化の煙に対する影響も考慮できるので、より最適な避難経路の計算が行なえる旨が記載されている。
また、特許文献4には、水位又は煙濃度又は温度等の環境状態を検知し、適切な避難経路へ誘導する避難誘導システムが開示されている。そして、特許文献4には、地下街等の構造物への水の浸入の仕方、煙の流れ方、火災の燃え広がり方等のシミュレーションデータに基づいて安全な避難経路を特定することができ、誘導灯により避難経路の方向を視覚的に示すことができる技術が開示されている。
特開2007−164625号公報 特開平8−249313号公報 特開平5−40887号公報 特開2006−163837号公報
ところで、上述した延焼シミュレーションソフト等は、火災の延焼の状況をシミュレートするものであり、安全な避難ルートを構築する機能を有していない。このため、避難ルートや避難協力体制は、シミュレーション結果に基づいて別途検討しなければならない。例えば、防災対策の専門家に依頼すれば、シミュレーション結果に基づいて避難ルートや避難協力体制を構築することは可能であると考える。しかし、専門家の場合、実際の現場の状況を十分に把握していることは稀であり、適切な避難ルートや避難協力体制を構築することが難しい。一方、シミュレーション結果に基づいて、住民が独自に避難ルートや避難協力体制を構築することも困難である。つまり、延焼シミュレーションソフト等によって火災の延焼の状況が得られても、地域の状況に適した避難ルートや避難協力体制を構築することは非常に難しい。
一方、特許文献3、4の技術では、火災時における避難ルートをシミュレーションすることができる。しかし、特許文献3、4の技術は、あくまでも建物や地下街など、ある程度閉鎖された空間かつ避難経路が限定されている状況での避難経路を計算するものに過ぎない。そして、特許文献3、4の技術は、屋外のように、想定できる避難経路が数限りなくあるような状況での避難経路を算出するものではないので、火災による延焼が生じた場合における避難経路をシミュレートすることは、実質的に不可能である。
そして、上述した引用文献1〜4のシミュレーションソフト等は、あくまでも通常の火災等が生じた場合に、延焼の状況を把握したり避難ルートをシミュレーションしたりするものに過ぎない。つまり、建物の倒壊等のような地震火災特有の現象をシミュ―レートする機能は有していない。このため、引用文献1〜4のシミュレーションソフト等によって延焼等の状況が得られたとしても、その結果だけでは、地震火災特有の現象を考慮した避難ルートや避難協力体制を構築することは困難である。
以上のように、現状では、地震火災による延焼の際における避難経路の構築に適したシミュレーションソフト等はない。
そして、地震火災等において適切な避難ルートや避難協力体制を構築する上では、実際の現場の状況を十分に把握している住民の意見などを取り入れることが重要である。そして、住民が参加する形態で避難ルートや避難協力体制を構築することができれば、適切な避難ルートを把握することの重要性や避難協力体制の構築の重要性を住民に理解させることができる。すると、実際の地震火災の際に、個々の住民が適切な対応を取りやすくなるという相乗効果が生まれることも期待できる。
本発明は上記事情に鑑み、地震火災の際における避難ルートの構築に住民が関与でき、しかも、災害対策の重要性を住民に教育する効果も得られる防災対策システムを提供することを目的とする。
第1発明の防災対策システムは、地震に伴う火災が発生した際の避難ルートなどを住民等が自主的に調査研究するために使用する防災対策システムであって、火災による延焼状況をシミュレーションする延焼シミュレーション手段と、火災の際における避難状況をシミュレーションする避難シミュレーション手段と、前記延焼シミュレーション手段がシミュレーションした延焼状況と、前記避難シミュレーション手段がシミュレーションした避難状況と、を表示し得る表示手段と、を備えており、前記避難シミュレーション手段は、避難する人を配置する避難開始位置を設定する避難開始位置設定部と、前記避難開始位置から避難場所までの避難ルートを設定する避難ルート設定部と、前記避難ルートを人が通過する避難速度を設定する避難速度設定部と、少なくとも前記避難ルートを住民等が入力できる設定値入力部と、を備えていることを特徴とする。
第2発明の防災対策システムは、第1発明において、前記表示手段は、前記延焼シミュレーション手段がシミュレーションした延焼状況と、前記避難シミュレーション手段がシミュレーションした避難状況とを、重ねわせて表示する機能を備えており、前記避難シミュレーション手段は、前記避難開始位置、前記避難ルート、前記避難速度の全てまたは一部の入力値を変更する設定値変更部を備えていることを特徴とする。
第3発明の防災対策システムは、第1または第2発明において、火災による延焼をシュミレーションする街並みを設定する街並み設定手段を備えており、該街並み設定手段は、建物および建物間の通路の情報を入力して記憶媒体に記憶させる街並み入力部と、前記記憶媒体に記憶されている前記街並みデータの情報を変更し、変更した変更街並みデータを前記記憶媒体に記憶させるデータ変更部と、を備えていることを特徴とする。
第4発明の防災対策システムは、第1、第2または第3発明において、設定した避難ルートによる避難の可否を判断する避難判断手段を備えており、前記避難シミュレーション手段は、避難対象者の情報を入力する避難対象者入力部と、前記避難対象者が避難する際に必要とする避難補助ツールの情報を記憶する避難補助ツール記憶部と、を備えており、該避難対象者入力部が、前記避難対象者が使用する避難補助ツールを選択する避難補助ツール選択機能を備えており、前記避難判断手段は、前記避難補助ツール選択機能によって選択された避難補助ツールの情報に基づいて、前記設定した避難ルートによる避難の可否を判断する機能を有していることを特徴とする。
第5発明の防災対策システムは、第1、第2、第3または第4発明において、前記延焼シミュレーション手段は、火災または地震による建物倒壊をシミュレーションする建物倒壊シミュレーション機能を備えていることを特徴とする。
第6発明の防災対策システムは、第1乃至5のいずれかに発明において、輻射熱の状況をシミュレーションする輻射熱シミュレーション機能を備えていることを特徴とする
7発明の防災対策システムは、第1乃至6のいずれかに発明において、設定した避難ルートによる避難の可否を判断する避難判断手段を備えており、前記延焼シミュレーション手段がシミュレーションした延焼状況および前記避難シミュレーション手段がシミュレーションした避難状況を記憶するシミュレーション結果記憶部を備えており、前記避難判断手段は、同一条件の火災が発生したときにおける、前記シミュレーション結果記憶部に記録されている複数の避難状況に基づいて、設定した避難ルートによる避難の可否を判断する機能を備えていることを特徴とする。
第1発明によれば、火災による延焼状況と避難状況とをシミュレーションするので、避難した場合に、避難中の自分の位置と延焼状況とを比較することができる。すると、設定された避難ルートを通って避難する場合における避難者の危険性を把握することができる。そして、避難開始位置、避難ルート、避難速度を、実際に避難する人に設定してもらえば、実際に災害が起こったときに近い状況での危険性を把握することができる。すると、避難ルートの設定に、実際に避難する人(住民)に関与してもらうことができるので、住民にとって最も適切な避難ルートの選定を行うことができる。しかも、避難ルートの設定に住民が関与することによって、住民の防災に対する意識を変えることができ、避難計画の重要性等を理解してもらうことができる。
第2発明によれば、火災による延焼状況と避難状況とを重ねて表示するので、避難ルートの危険性をより的確に把握することができる。しかも、避難開始位置、避難ルート、避難速度を変更することができるので、適切な避難ルートを探しやすくなる。
第3発明によれば、建物および建物間の通路の情報を、住民からの情報に基づいて変更するので、より住民の生活に密着した状態で延焼状況や避難状況をシミュレーションすることができる。また、街並み入力部が、外部から街並みデータを入力できる機能を有して入れば、シミュレーションの対象地域の状況を迅速に再現することができる。
第4発明によれば、高齢者や障害者の方の避難のように、車椅子を使用する必要がある場合や人の介助が必要な場合において、避難補助ツールの情報に基づいて使用できない避難ルートを判断することができる。このため、避難に時間を要する高齢者や障害者の方の避難に適した避難ルートの設定を行うことができる。
第5発明によれば、建物倒壊をシミュレーションするので、建物の倒壊によって使用できない通路を判断でき、実際の災害における避難に適した避難ルートの設定を行うことができる。
第6発明によれば、避難者が受ける輻射熱の状況をシミュレーションするので、延焼が広がっていないが避難できない通路を判断することができる。すると、実際の延焼が生じたときに、火の状況だけから判断して避難した場合には被災するような状況でも、適切な避難ルートを設定することができる。
第7発明によれば、実際の災害では多数の人が同時に避難する状況になるため、実際の災害により近い状況での避難ルートを設定することができる。
本実施形態の防災対策システム1の概略ブロックである。 街並み設定手段30が形成した街並みデータの情報に基づく街並みの平面図の概略説明図である。 (A)は街並み設定手段30によって街並みデータを形成するフローチャートであり、(B)は街並み設定手段30によって街並みデータを変更するフローチャートである。 メッシュデータ作成部35によって分割メッシュデータを形成するフローチャートである。 メッシュデータ作成部35によって分割メッシュデータを形成するフローチャートである。 (A)は延焼シミュレーション手段10によって延焼状況データを形成するフローチャートであり、(B)は避難シミュレーション手段20によって避難況データを形成するフローチャートである。 避難シミュレーション手段20により、避難場所EP、避難開始位置SP、避難ルートERを設定した状態の概略説明図である。 避難状況データおよび延焼状況データを街並みの平面図とともに表示手段40に表示した例である。 避難状況データおよび延焼状況データを街並みの平面図とともに表示手段40に表示した例である。 避難状況データおよび延焼状況データを街並みの平面図とともに表示手段40に表示した例である。 炎上メッシュ位置からみた,風向を考慮した近傍メッシュ位置の判定方法を示した図である。 近傍メッシュと可燃メッシュの状態推移を示した図である。 都市メッシュモデルの概略説明図である。 火災による熱放射のモデル図である。 建物倒壊シミュレーションの一例を示したフローチャートである。
本発明の防災対策システムは、地震に伴う火災が発生した際における延焼等や避難状況などをシミュレートするためのシステムであって、地震に伴う火災(以下地震火災という)の際における避難ルートなどを調査研究することができるような機能を有することに特徴を有している。
とくに、本発明の防災対策システムは、地震火災などに関する専門的な知識を有しない住民等であっても、自主的に避難ルートを調査研究することができる機能を有するようにしたことに特徴を有している。このため、本発明の防災対策システム(以下、本システムという)では、本システムを使用して住民等が自主的に避難ルートを検討することによって、住民等の防災に対する意識を高めることができるとともに、その地域に適した避難計画を構築できるという効果が得られる。
もちろん、本発明の防災対策システムの用途は、上述したような用途に限られないのはいうまでもない。例えば、地震や火災の専門家(例えば、消防や自治体職員、学者)などが地震火災に対する研究や、地震火災の際に被害を最小化するための都市計画を検討するなどの用途でも使用できる。
以下、本発明の防災対策システムを説明するが、以下では、主として、住民等が自主的に避難ルートを検討する場合を想定して、本発明の防災対策システムの機能および動作等を説明する。
図1に示すように、本実施形態の防災対策システム1は、延焼シミュレーション手段10と、避難シミュレーション手段20と、街並み設定手段30と、表示手段40と、結果表手段2と、を備えている。また、本実施形態の防災対策システム1は、各手段が使用する情報や各手段を介して入力された情報、各手段によるシミュレーション結果等を記憶する記憶手段60も備えている。
結果表手段2は、街並み設定手段30が形成した後述する街並みデータの情報に基づく街並みの平面図(いわゆる一般的な地図、図2参照)や、延焼シミュレーション手段10や避難シミュレーション手段20のシミュレーション結果を表示手段40に表示させる機能を有するものである。つまり、結果表手段2は、記憶手段60に記憶されているデータを表示手段40に表示させる機能を有するものである。後述するように、街並み設定手段30、延焼シミュレーション手段10、避難シミュレーション手段20が、それぞれ街並みの平面図やシミュレーション結果を表示させる機能を有していてもよい。しかし、これらの手段とは別に結果表手段2を設けておけば、これらの手段を起動させなくても、街並みの平面図やシミュレーション結果などを確認できる。しかも、街並みの平面図と全てのシミュレーション結果を重ねるなどして、各手段のシミュレーション結果を表示手段40に同時に表示させるのであれば、これらの手段と独立した結果表手段2を設けておくことが望ましい。
記憶手段60は、ハードディスクやフラッシュメモリー等の記憶媒体である。記憶手段60として使用する機器等はとくに限定されないが、延焼シミュレーション手段10や避難シミュレーション手段20、街並み設定手段30、表示手段40などから供給される情報等を記憶でき、また、前記各手段からの要求に応じて記憶されている所定の情報を各手段に供給できる機能を有するものであればよい。この記憶手段60が特許請求の範囲にいう記憶媒体やシミュレーション結果記憶部に相当する。もちろん、各手段がそれぞれ独立した記憶手段を有していてもよいが、一つの記憶手段60が全ての情報を記憶するようにしておけば、データ間の連携が取りやすくなるという利点が得られる。
表示手段40は、結果表手段2や延焼シミュレーション手段10、避難シミュレーション手段20、街並み設定手段30から指令によって、記憶手段60に記憶されている情報を表示する機能を有するものである。例えば、表示手段40は、街並み設定手段30からの指令によって、後述する街並みデータの情報に基づいて、街並みの平面図(いわゆる一般的な地図、図2参照)等を表示する機能を有している。また、延焼シミュレーション手段10からの指令によって、街並みの平面図と延焼状況を重ねた画像(図8〜10参照)や、避難シミュレーション手段20からの指令によって、街並みの平面図と避難状況を重ねた画像(図7参照)等を表示する機能を、表示手段40は有している。
この表示手段40は、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ等ように、画像等を表示できるものであればよく、とくに限定されない。しかし、表示手段40として、ディスプレイと入力装置とが一体化したタッチパネルを利用すれば、各種データ等の入力や変更が容易になるなどの利点が得られる。例えば、後述する街並み設定手段30における街並みデータの変更や、避難シミュレーション手段20における避難開始位置や避難場所、避難ルートの設定、また、延焼シミュレーション手段10における火災発生場所の設定等を、画面に触れて、言い換えれば、街並みの平面図上の対象物を直接触って入力や変更ができる。すると、操作が容易になるので、住民等が使用しやすくなる。もちろん、従来のように、各種データ等の入力等にキーボードやマウス等を利用してもよいのはいうまでもない。
(街並み設定手段30)
街並み設定手段30を説明する。
街並み設定手段30は、シミュレーションを行う地域(言い換えれば地震火災を発生させる地域)の建物や道路(建物間の通路も含む)等の状況を設定する手段である。つまり、住民等が避難する現場、言い換えれば、住民等が居住している地域の状況を設定する手段である。なお、以下では、街並み設定手段30によって設定された街並みの情報を、街並みデータという。
この街並み設定手段30は、街並みに関する外部の情報を読み込んで街並みデータを形成する街並み入力部31を備えている。この街並み入力部31は、街並みデータを記憶手段60に記憶させるデータ記憶機能も有している。具体的には、街並み入力部31は、インターネット等を介して取得できる市販の地図の情報を読み込んで、その情報に含まれる建物や道路等の情報に基づいて、街並みデータを作成するものである。例えば、国土地理院が提供する基盤地図情報データを取得して、街並みデータを作成することができる。
このように、市販の地図の情報などを読み込んで街並みデータを作成すれば、ある程度正確かつ迅速に街並みを再現することができるという利点がある。もちろん、街並み入力部31に街並みに関する情報(建物や道路等の情報)を入力する機能を設け、この街並み入力部31を利用して、住民等が街並みに関する情報を一から入力して街並みデータを作成してもよい。
また、街並み設定手段30は、記憶手段60に記憶されている街並みデータの情報を変更したり情報を追加したりするデータ変更機能を有するデータ変更部32を有している。上述した基盤地図情報データ等を初期の街並みデータとして使用した場合、現在の街並みは、基盤地図情報データ等が作成された時期における街並みから変化している可能性がある。そこで、データ変更部32によって街並みデータの情報を変更したり情報を追加したりすれば、現在の街並みに合った街並みデータを形成することができる。
このデータ変更部32では、街並みデータに対して以下のような情報を変更したり追加したりすることによって、変更された街並みデータを形成することができる機能を有している。
例えば、建物に関しては、その建物が建っている位置の微調整や、その建物の高さや広さ、その材質(木造か鉄筋コンクリートか等)、また、建物の周囲に設けられている空間(庭など)の情報を変更追加できる機能を有している。もちろん、建物がなくなったり新たに建設された場合には、建物の情報を消去して空き地としたり、新たな建物の情報を入力する機能も有している。
また、道路の情報としては、国道や県道の位置や幅を微調整したり、隣接する建物間に存在する生活用の通路の位置や幅等の情報を変更追加したりすることができる機能を有している。生活用の通路とは、自動車などは通れないが自転車や人は通行できるような通路を意味している。つまり、生活用の通路とは、住民が日常的によく使用している通路や、普段は使用しないが住民であれば人が普通に通行できることを理解している通路を意味している。なお、ここでいう普通に通行できる状態とは、少なくとも人が正面を向いて歩行できる程度の状態を意味しており、体を横にすればなんとか通行できるような状態は含まない意味である。
さらに、道路や公園、家庭の庭等に植えられている木などの植物の位置やその大きさなどの情報を変更したり、植物を追加したり除去したりすることができる機能を有している。
このように、データ変更機能32によって街並みデータを変更すれば、後述する延焼シミュレーション手段10や避難シミュレーション手段20における延焼状況や避難状況のシミュレーションをより正確に行うことができるようになる。とくに、住民からの情報に基づいて街並みデータを変更すれば、より住民の生活に密着した状態で延焼状況や避難状況をシミュレーションすることができるようになる。具体的には、住民が日常的に使用している通路等を使用した避難も検討できるし、現状に最も近い街並みに基づいてシミュレーションを実施できる。
もちろん、マクロな都市全体の地震火災リスクを知りたい場合等(例えば、行政区域全体の地震火災リスクの期待値の算定など)のように、予め用意されている街並みデータでも十分なシミュレーションができる場合には、データ変更機能32は設けなくてもよい。しかし、住民等の防災教育や自主的な防災対策に本実施形態の防災対策システム1を使用するのであれば、データ変更機能32を設けておくことが望ましい。
なお、街並み設定手段30は、本実施形態の防災対策システム1が起動した際に新たな街並みデータを形成するか否か、または、既に記憶されている街並みデータのうちとのデータを使用するか、などを選択するための画面を、表示手段40に表示させる機能を有していることが望ましい。
もちろん、本実施形態の防災対策システム1が起動すると、記憶手段60に記憶されている街並みデータのうち、最後に使用された街並みデータに基づいて、自動的に街並み画像を表示手段40に表示させるようにしていてもよい。この場合には、表示手段40に表示されている街並み画像の元となる街並みデータを変更するための画面を表示手段40に表示させる機能を有していることが望ましい。
(延焼シミュレーション手段10)
つぎに、延焼シミュレーション手段10を説明する。
延焼シミュレーション手段10は、火災が広がる状況(延焼状況)をシミュレーションする手段である。具体的には、上述した街並み設定手段30で設定された街並みデータ(予め用意されている街並みデータも含む)に記憶されている建造物の情報等に基づいて、延焼状況のシミュレーションする手段である。この延焼シミュレーション手段10は、火災発生場所設定部11と、条件入力部12と、延焼シミュレーション部13と、を備えている。
火災発生場所設定部11は、地震火災が発生する火元を設定する機能を有している。この火災発生場所設定部11では、複数箇所の火元を設定することができるようになっていることが好ましい。地震火災では、複数箇所で同時に火災が発生する可能性があるので、火災発生場所設定部11により火元を複数箇所設定できるようになっていれば、実際の地震火災に近い延焼状況をシミュレーションすることができる。
火元を設定する方法はとくに限定されない。例えば、表示手段40としてタッチパネルを採用した場合であれば、表示手段40に街並み画像を表示させて、所定の建造物や場所に触れることによって火元を設定することも可能である。また、街並みの各場所や建造物が番地や名称等と関連付けて街並みデータに記憶されている場合には、火元に設定する場所の番地や名称等をキーボード等の公知の入力機器を用いて入力するようにしてもよい。
条件入力部12は、延焼状況のシミュレーションを実施する環境条件を設定する機能(環境設定機能)を有している。条件入力部12によって設定する環境条件はとくに限定されない。例えば、環境設定機能で設定する条件として、風向きや風速、天候(晴れか雨か)、気温、湿度等の条件を変更できるようになっていれば、より実際の状況に近い条件でのシミュレーションを実施することができる。
延焼シミュレーション部13は、火災発生場所設定部11によって設定された火元の条件と、条件入力部12によって設定された環境条件、および、街並み設定手段30によって設定された街並みデータに基づいて延焼状況をシミュレーションして、延焼状況データを記憶手段60に記憶させる機能を有している。火元の位置や環境条件が同じでも、建造物の素材(木造かRCか等)や建造物間の距離、建造物の大きさ(高さや幅)、建造物の配列等によって延焼状況は変化する。本実施形態の防災対策システム1の延焼シミュレーション手段10では、上述した街並みデータを使用して延焼状況をシミュレーションするので、設定された街並みにおける火災の延焼状況を的確にシミュレーションすることできる。
延焼シミュレーション手段10が延焼状況をシミュレーションする方法、つまり、延焼を計算するアルゴリズムはとくに限定されない。例えば、都市メッシュモデルを用いてシミュレーションする延焼計算アルゴリズムなどを使用することができる。具体的には、設定された街並みにおける各場所による温度分布をシミュレーションして、家屋が延焼するか否かを判断する延焼計算アルゴリズムを採用することができる。この延焼計算アルゴリズムの場合、木造の家屋であれば、400℃以上になると延焼するという条件でシミュレーションを実施するので、木造家屋が密集する地域における延焼状況をシミュレーションする場合に適している。もちろん、この延焼計算アルゴリズムによって、それ以外の地域の延焼状況も適切にシミュレーションすることができる。この延焼計算アルゴリズムによるシミュレーションの詳細は後述する。
なお、延焼状況データには火災を発生させる場所や環境条件が記憶されているので、延焼シミュレーション手段10に、記憶手段60に記憶されている延焼状況データから火災を発生させる場所や環境条件だけを読み出す機能を設けてもよい。かかる機能を設ければ、過去に実施した条件と同じ条件で延焼シミュレーションする場合に、簡単にシミュレーション条件を設定することができる。
さらに、延焼シミュレーション手段10に、火災を発生させる場所や環境条件だけを延焼条件データとして延焼状況データから独立して記憶させる機能、および、延焼条件データを読み出す機能、を設けてよい。この場合も、過去に実施した条件と同じ条件で延焼シミュレーションする場合に簡単にシミュレーション条件を設定することができる。
なお、延焼条件データを延焼状況データから独立して記憶手段60に記憶させる場合には、両者を関連付ける形で記憶手段60に記憶させることが望ましい。つまり、延焼条件データから延焼状況データを検索したり延焼状況データから延焼状況データを検索したりできるように、延焼条件データおよび延焼状況データを記憶手段60に記憶させることが望ましい。
(避難シミュレーション手段20)
つぎに、避難シミュレーション手段20を説明する。
避難シミュレーション手段20は、避難する人(避難者)が避難する状況をシミュレーションする手段である。具体的には、この避難シミュレーション手段20は、後述する各設定部によって設定された情報に基づいて、避難を開始してから避難者の移動する状況をシミュレーションして、算出された避難状況データを記憶手段60に記憶させる機能を有している。この避難状況データとは、例えば、避難開始から一定時間の経過したときにおける避難者の位置データなどを含むデータである。後述する各設定部によって設定された情報も、必要に応じて、避難状況データに含ませてもよい。
この避難シミュレーション手段20は、避難場所設定部21と、避難開始位置設定部22と、避難ルート設定部23と、避難速度設定部24と、避難シミュレーション部25と、を備えている。
避難場所設定部21は、避難場所を設定する機能を有している。この避難場所設定部21では、地域で設定されている避難場所を設定したり、独自の避難場所を設定したりすることができる。すると、地域で設定されている避難場所が安全か否かを検証できるし、より適切な避難場所を検討することが可能となる。
なお、避難場所は必ずしも最終的な避難場所でなくてもよい。例えば、寝たきりの方などの場合には、自動車などでの避難が必要となる可能性が高い。このような場合には、自動車などが進入できる場所であって、避難者の家などから最も近い場所を避難場所として設定してもよい。
避難開始位置設定部22は、避難者を配置する避難開始位置を設定する機能を有している。言い換えれば、避難開始位置設定部21は、避難者がどこから避難するかを設定する機能を有している。例えば、避難者が自宅にいる状態からシミュレーションする場合には、自宅を避難開始位置に設定する。また、会社や学校、駅等からの避難をシミュレーションする場合には、それぞれの場所を避難開始位置に設定する。
避難場所設定部21や避難開始位置設定部22において、避難場所や避難開始位置を設定する方法はとくに限定されない。例えば、表示手段40としてタッチパネルを採用した場合であれば、表示手段40に街並み画像を表示させて、所定の建造物や場所に触れることによって避難場所や避難開始位置を設定することも可能である。また、街並みの各場所や建造物が番地や名称等と関連付けて街並みデータに記憶されている場合には、避難場所や避難開始位置に設定する場所の番地や名称等をキーボード等の公知の入力機器を用いて入力するようにしてもよい。
避難ルート設定部23は、避難者が避難開始位置から避難場所まで移動する避難ルートを設定する機能を有している。つまり、避難ルート設定部23は、避難者がどの道路を通って避難するかを設定する機能を有している。
避難ルート設定部23において、避難ルートを設定する方法はとくに限定されない。例えば、後述する表示手段40としてタッチパネルを採用した場合であれば、表示手段40に街並み画像を表示させて、避難開始位置から避難場所まで避難する際に通過するルートをなぞることによって避難ルートを設定することも可能である。また、避難する際に通過する交差点に触れることによって交差点をつなぐように避難ルートを設定するようにしてもよい。もちろん、道路の名称(例えば、国道X号線、XX通り、XX街道など)によって通るルートを指定してもよい。この場合、住民が通過する道路に住民が独自に名称を付けて、その名称で通過する道路を指定するようにしてもよい。なお、道路の名称でルートを指定する場合には、通過する順番に道路の名称を入力するようにすることが望ましい。
避難速度設定部24は、避難者が避難開始位置から避難場所まで移動する速度を設定する機能を有している。つまり、避難速度設定部24は、避難者に合わせて、避難する速度(避難速度)を設定する機能を有している。例えば、避難ルート設定部23によって、避難者が老人の場合には避難速度を遅く設定し、避難者が若者の場合には移動する速度を速く設定すれば、各避難者に合わせた適切な避難状況をシミュレーションすることができる。かかる避難速度を設定する方法は、とくに限定されない。例えば、避難者の避難速度を個別に数値入力するようにしてもよいし、避難者の年齢を入力するとその年代の平均的な避難速度(早歩き等)に設定されるようにしてもよい。平均的な避難速度に設定する場合には、適宜、避難速度を変更(速くしたり遅くしたり)することができるようになっていることが望ましい。
なお、避難速度は、避難ルート全体で一定に設定してもよいが、避難ルートの場所に応じて避難速度を変更できるようにしてもよい。避難ルートの通路の状況に応じて避難速度を変更すれば、避難状況をより適切にシミュレーションすることができる。例えば、避難通路において、速く移動できない状況となっている通路(例えば走れない通路や階段を昇る通路等)では避難速度を遅く設定すれば、実際の避難状況に近いシミュレーションを実施することができる。
避難シミュレーション部25は、避難ルート設定部23によって設定された避難ルートと、避難速度設定部24によって設定された避難速度、および、街並み設定手段30によって設定された街並みデータに基づいて、避難状況をシミュレーションして、避難状況データを記憶手段60に記憶させる機能を有している。避難開始場所と避難場所が同じでも、避難ルートの取り方やその際の避難速度によって、避難ができるか否か変化する。本実施形態の防災対策システム1の避難シミュレーション手段20では、上述した街並みデータを使用して避難ルートを指定できかつその避難速度も指定できるので、避難状況を現実の避難状況に近い形でシミュレーションすることできる。
上述した避難場所設定部21、避難開始位置設定部22、避難ルート設定部23および避難速度設定部24において、避難場所、避難開始位置、避難ルートおよび避難速度を設定する機能が、特許請求の範囲にいう設定値入力部または設定値変更部に相当する。
もちろん、避難場所設定部21、避難開始位置設定部22、避難ルート設定部23および避難速度設定部24とは独立した設定値入力部を設けて、避難場所、避難開始位置、避難ルートおよび避難速度を設定値入力部から入力して、これらを設定するようにしてもよい。
また、予め形成された、避難場所、避難開始位置、避難ルートおよび避難速度を含む避難基礎データを記憶手段60に記憶しておき、この避難基礎データを利用して避難状況をシミュレーションしてもよい。この場合には、上述した各設定部は必ずしも設けなくてもよいし、避難場所等を設定する機能を設けなくてもよい。しかし、全てまたは一部の設定部に避難場所等を設定する機能を設ければ(または各設定部に独立した設定値入力部を設ければ)、避難シミュレーションの結果などに基づいて、避難場所等を適宜変更できるので好ましい。
なお、避難者が避難を開始するタイミングは、通常、火災の発生に気づいてからであり、火災の発生から一定時間経過している。後述するように、避難状況データと延焼状況データを重ねて表示する際に、結果表手段2が、避難状況データを延焼状況データから遅らせて表示をスタートするようにすれば、火災の発生と避難開始のズレを考慮して避難状況を確認することができる。
かかるズレを考慮して避難状況を確認するのであれば、避難シミュレーション手段20が、避難開始時刻、つまり、火災の発生から避難を開始するまでの時間を設定する機能を有していることが望ましい。この場合、結果表手段2によって、避難状況データと延焼状況データを同時に表示させるだけで、火災の発生と避難開始のズレを考慮した避難状況を確認することができる。
(シミュレーション)
つぎに、本実施形態の防災対策システム1を使用して、住民等が地震火災の際に避難ルートを検討する状況を説明する。
なお、以下では、国土地理院が提供する基盤地図情報データを取得し変更して街並みデータとする場合を説明する。
(街並みデータ設定)
本実施形態の防災対策システム1を起動すると、街並み設定手段30によって、延焼状況や避難状況をシミュレーションする前に街並みデータを形成し、街並みデータに基づく街並み平面図を表示手段40に表示させる。
図3(A)のフローチャートを参照して、街並みデータを設定する手順を説明する。
まず、街並み設定手段30の街並み入力部31は、インターネットに接続して、国土地理院が提供する基盤地図情報データを取得する。そして、取得した基盤地図情報データは、街並みデータとして記憶手段60に記憶されるとともに、街並みデータに基づく街並み平面図(以下単に街並み平面図という)が表示手段40に表示される(図2参照)。
なお、基盤地図情報データを取得した場合には、道路縁や建築物の外周線の情報を含んだデータを取得できるので、街並みデータの街並み平面図は、一般的な地図と同等程度の道路配置や形状および建物の配置や形状の情報が取得できる。
街並み平面図が表示手段40に表示されると、街並み入力部31によって、街並み平面図上の各建物や各道路について、座標データや建物属性等を含む建物情報を入力する。各建物情報を入力する方法はとくに限定されないが、例えば、以下の方法を採用することができる。
まず、街並み平面図上に表示されているある建物の座標データを入力する場合には、その建物の角を時計回り(または反時計回り)に順番に指定する。建物の角は、画面に触れたり、ポインターを角に配置した状態でダブルクリックしたりする等の方法で指定することができる。建物の角を指定すると、街並み平面図上において、建物の角の座標が設定され建物の位置が設定される。
建物の位置が設定されると、建物の属性(耐火性等の性質や建物の高さ等)を入力する。建物の属性を入力する方法はとくに限定されないが、キーボードなどを利用して属性を入力する方法やチェックボックスで属性を指定するなどの方法を採用することができる。
建物の属性が入力されると、建物情報(つまり建物の属性と建物の位置情報を含む情報)が記憶手段60に記憶される。
また、各道路についても、その幅や位置などの情報が入力され、これら情報を含む建物情報が記憶手段60に記憶される。
そして、全ての建物や道路について、建物情報が記憶手段60に記憶されると、基礎となる街並みデータが形成される。
ここで、基礎となる街並みデータにおける建物情報や道路情報が現状と異なっている場合には、データ変更部32によって、建物の情報や道路の情報が変更され、変更後の街並みデータが記憶手段60に記憶される。
データ変更部32によって、建物の情報や道路の情報を入力する方法はとくに限定されない。
例えば、街並み平面図上には存在するが実際には存在しない建物がある場合には、その建物を指定してその情報を消去すれば、街並み平面図から建物を削除することができる。また、街並み平面図上では空き地であるが建物が存在する場合には建物を追加する。建物を追加する方法はとくに限定されない。例えば、街並み平面図において、複数の位置を順番に指定して特定の領域を囲めば、建物が追加されるようにしてもよい。
また、基盤地図情報データでは生活用の通路まではデータとして存在しない可能性があるため、データ変更部32によって追加する。生活用の通路を追加する方法もとくに限定されない。例えば、街並み平面図において、通路として使用できる道路あるいは空き地がある場合おいて、通路として設定する領域の起点と終点をマウスでクリックすれば、起点と終点の間の領域が通路として追加されるようにしてもよい。
なお、既に街並みデータが形成されておりその街並みデータが記憶手段60に記憶されている場合には、街並み設定手段30は、使用する街並みデータを記憶手段60から読みだして、その街並みデータに基づく街並み平面図を表示手段40に表示させる。
また、読みだした街並み平面図に変更を加える場合には、データ変更部32によって、上述した方法と同様の方法で変更することができる(図3(B)参照)。
(メッシュ作成)
街並み設定手段30によって街並みデータが形成されると、街並みデータを利用して延焼シミュレーション手段10が実施される。延焼シミュレーション手段10では、街並みデータをそのまま利用して、延焼状況をシミュレーションしてもよい。
しかし、都市メッシュモデルなどを使用して延焼をシミュレーションする場合には、街並み設定手段30にメッシュデータ作成部35を設け、このメッシュデータ作成部35によって街並みデータを複数のメッシュに分割した分割メッシュデータを形成することが望ましい。
以下、図4のフローチャートおよび図5を参照して、メッシュデータ作成部35によって分割メッシュデータを作成する方法を説明する。
まず、メッシュデータ作成部35は、街並み平面図とともにメッシュ幅を設定する画面を表示手段40に表示させる。例えば、メッシュデータ作成部35は、メッシュ幅の数値をキーボード等によって入力したりプルダウン方式でメッシュ幅を選択したりする画面を表示手段40に表示させる。すると、この表示画面を利用してメッシュ幅を設定することができる。
メッシュ幅が設定されると、メッシュデータ作成部35は、自動的に街並み平面図を複数のメッシュに分割し、分割した状態を表示手段40に表示させる(図5参照)。
ついで、分割された各メッシュについて、メッシュ情報を設定する。メッシュ情報としては、各メッシュ内に位置する建物の情報が入力される。この建物の情報は、街並み入力部31やデータ変更部32によって入力された情報と同等の情報である。この建物の情報も、メッシュデータ作成部35が表示手段40に表示させる画像によって入力することができる。例えば、建物の情報をキーボード等によって入力したりプルダウン方式で建物の情報を選択したりする画面を表示手段40に表示させる。すると、この表示画面を利用して建物の情報を設定することができる。
なお、メッシュ情報は、通常、各メッシュ内に位置する建物について、上述した街並みデータにおいて設定した情報と同じ情報が設定される。したがって、街並みデータに基づいて、各メッシュ内に位置する建物の情報を自動的に設定してもよい。
また、各メッシュは、単純にメッシュ幅に基づいて街並み平面図を分割したものである。すると、複数の建物や空き地等が一つのメッシュ内に入ったり(図5(B)参照)、一つのメッシュ内に複数の建物や空き地等の一部が存在する状況(図5(C)参照)になったりする可能性がある。この場合には、一つのメッシュ内に入っている建物や空き地等のうち、支配的なものの情報に基づいて、メッシュの性質が設定される。支配的なものとは、延焼をシミュレーションする際に最も影響の大きいものを意味している。例えば、複数の建物や空き地等のうち、メッシュ内において最も面積の大きいものを支配的な建物としてもよいし、小林の方法によるドットカウンターに基づいて支配的なものを決定してもよい。
さらに、建物の規模が大きい場合には、一つの建物が複数のメッシュに分割される状況になったりする可能性がある(図5(A)参照)。この場合には、個々のメッシュ毎に建物の情報を決定して、それぞれについて延焼を判断してもよいが、複数のメッシュのうち一つまたはいくつかのメッシュをコアメッシュとして指定し、このコアメッシュが延焼した場合(複数のコアメッシュを指定した場合には全てのコアメッシュが延焼した場合)に、建物全体が延焼したと判断するようにしてもよい。コアメッシュを指定した場合には、建物の延焼をシームレスにシミュレーションすることができるので、シミュレーションの結果得られる延焼状況を実際の延焼に近づけることができるなどの利点が得られる。
コアメッシュを指定する方法はとくに限定されない。例えば、複数のメッシュのうち、メッシュ中に含まれる建物の面積が大きいメッシュをコアメッシュとしてもよいし、建物の中心に近いメッシュをコアメッシュとしてもよい。前者の場合には、メッシュ中に含まれる建物の面積が小さい部分が建物全体の延焼状況に与える影響を抑えることができるので、延焼シミュレーションの誤差を小さくできる。また、後者の場合には、風向きなどの影響が最も小さい状態で延焼をシミュレーションすることができる。また、複数のメッシュのうち、一つのメッシュをコアメッシュとしてもよいし、複数のメッシュをコアメッシュとしてもよい。
なお、メッシュデータ作成部35によって形成された、建物の情報などを含む分割メッシュデータも、記憶手段60に記憶される。
(延焼シミュレーション)
上述したように、街並み設定手段30によって街並みデータや分割メッシュデータが形成されると、延焼シミュレーション手段10によって、延焼シミュレーションが実施される。
図6(A)のフローチャートを参照して、延焼状況データを形成する手順を説明する。
まず、延焼シミュレーション手段10は、街並みデータに基づいて、表示手段40に街並み平面図を表示させる。このとき、分割メッシュデーが形成されている場合には、街並み平面図とともにメッシュも表示される。
ついで、火災発生場所設定部11によって、火災を発生させる場所を指定する。火災を発生させる場所は、建物単位で指定してもよいし、メッシュ単位で指定してもよい。また、火災を発生させる場所は、一箇所だけ指定してもよいし複数箇所指定してもよい。
そして、条件入力部12によって、風向きや風速等の環境条件を設定すると、延焼シミュレーション部13によって延焼シミュレーションが実施される。すると、延焼シミュレーション部13によるシミュレーション結果である延焼状況データが形成され、この延焼状況データが記憶手段60に記憶される。
(避難シミュレーション)
また、街並み設定手段30によって街並みデータや分割メッシュデータが形成されると、避難シミュレーション手段20によって、避難シミュレーションが実施される。
図6(B)のフローチャートおよび図7を参照して、街並みデータ設定する手順を説明する。
まず、避難シミュレーション手段20は、街並みデータに基づいて、表示手段40に街並み平面図を表示させる。
ついで、避難場所設定部21によって避難すべき目的地である避難場所EPを設定し、避難開始位置設定部22によって避難開始位置SPを設定する。もちろん、避難開始位置SPを設定してから避難場所EPを設定してもよい。
避難開始位置SPが設定されると、避難ルート設定部23によって避難ルートERが設定される。避難ルートERは、上述したような種々の方法で設定することができる。例えば、避難開始位置SPの建物から出る道路、この道路につながる道路、さらにこの道路から移動する道路などの順で、避難場所EPまでのルートを設定することができる。
避難ルートERが設定されると、避難速度設定部24によって避難速度を設定する。避難速度は、全避難ルートで同じでもよいし、避難ルートERにおける道路や場所によって避難速度を変化させてもよい。
避難速度を設定が終了すると、避難シミュレーション部25によって避難シミュレーションを実施する。すると、避難シミュレーション部25によるシミュレーション結果である避難状況データが形成され、この避難況データが記憶手段60に記憶される。
(結果表示)
延焼シミュレーション手段10と避難シミュレーション手段20によるシミュレーションが終了すると、結果表手段2によって、避難状況データおよび延焼状況データが街並みの平面図とともに表示手段40に表示される。具体的には、避難状況データに基づく避難者の移動状況と延焼状況データに基づく延焼状況が、動画として、表示手段40に表示される。すると、地震火災が発生してから延焼が広がって行く状況と、避難者の相対的な位置関係を画像で把握できるので、使用する人が避難の状況を感覚的に把握しやすくなる。
図8〜図10には、図7に示す2つの避難ルートER1,ER2について、結果表手段2によって、避難状況データおよび延焼状況データを、街並みの平面図とともに表示手段40に表示させた場合を示している。
なお、図8〜図10において、黒くなっている建物が延焼した建物を示している。
図8に示すように、地震火災が発生してから、ある程度の延焼が進行するまでは、避難者が避難をしない状況とする。
図9に示すように、避難者が避難ルートER1,ER2で避難を開始してから、一定の時間が経過すると、避難者と延焼領域との距離が変化する。しかし、図9の時点では、避難ルートER1を避難する場合と、避難ルートER2を避難する場合で、避難者と延焼領域との距離はそれほど差がない。
しかし、さらに延焼が進行すると、図10に示すように、避難ルートER1を通る避難者は延焼領域から十分に離れることができているのに対し、避難ルートER2を通る避難者は、延焼領域(周囲の建物が延焼してしまっている領域)に入ってしまい、×の位置までしか避難できない状況となる。
2つの避難ルートER1,ER2は、避難開始位置SPからの距離がそれほど変わらない大通りまででて避難するルートであるにも関わらず、一方の避難ルートでは避難でき、他方の避難ルートでは避難できないことが視覚的に把握できる。つまり、本実施形態の防災対策システム1では、使用する人が避難の状況を感覚的に把握しやすくなるのである。
なお、上述した例では、延焼シミュレーションを先に実施した場合を説明したが、延焼シミュレーションと避難シミュレーションは、どちらを先に実施してもよい。延焼シミュレーションの結果を見てから避難ルートを検討するのであれば、延焼シミュレーションを先に実施すればよい。また、避難に対する感覚を確かめたりする場合であれば、火元だけ決めて、避難シミュレーションを先に実施してもよい。
(追加的機能)
本実施形態の防災対策システム1は、上述した機能に加えて、以下の機能を備えていれば、地震火災における避難をより現実に近い状況でシミュレーションすることができる。
(建物倒壊シミュレーション)
地震火災では、建物が倒壊して、通路が塞がれて通行できなくなっている可能性がある。すると、建物が倒壊していない状況での避難をシミュレーションしても、実際の地震火災の際に避難できない可能性もある。例えば、途中の避難ルートまでは避難できても、避難通路の前方(つまり現在位置と避難場所との間の避難ルート)で建物が倒壊している場合には、それ以上は進めない状況となる。この場合には、建物の倒壊によって塞がれた通路に到達した後の避難が困難になる可能性が高い。つまり、避難通路の前方で建物が倒壊している場合には、その状況を想定して避難ルートを検討する必要がある。
そこで、延焼シミュレーション手段10は、地震によって倒壊する建物や建物の倒壊によって通路を塞ぐか否かをシミュレーションする機能を有する建物倒壊シミュレーション部14を備えていることが好ましい。具体的には、建物倒壊シミュレーション部14は、地震の強度(震度)を入力すると、街並みデータに記憶されている建物の情報に基づいて、入力された震度において建物が倒壊するか否かのシミュレーションする機能を有している。かかる建物倒壊シミュレーション部14を有していれば、避難の際に使用できなくなる可能性がある通路を把握できるので、より適切な避難シミュレーションを実施することができる。
例えば、建物倒壊シミュレーション部14は、倒壊する建物や建物の倒壊によって塞がれる通路を算出し、算出されたこれらの情報を倒壊データとして記憶手段60に記憶させる。そして、延焼シミュレーション手段10からの指令によって、倒壊データを、街並みの平面図と延焼状況を重ねた画像とともに表示手段40に表示させるようする。合わせて、これらの画像とともに避難シミュレーション手段20からの指令によって避難状況も表示手段40に表示させるようにする。すると、避難ルートに倒壊した建物等が存在するか否かを確認できるので、地震火災の際に、設定した避難ルートが使用できるか否かを判断することができ、実際の地震火災に適した避難ルートを検討することができる。
かかる建物倒壊シミュレーション部14が建物の倒壊をシミュレーションする方法、つまり、建物の倒壊を計算するアルゴリズムはとくに限定されない。例えば、図15に示す倒壊建物アルゴリズムに基づいて、各通路における建物の倒壊をシミュレーションすることができる。つまり、震度階をパラメータとして、木造建物の建てられた年代によって倒壊確率を与えて、各通路における倒壊する建物の数を算定することができる。そして、各通路において倒壊建物の数が一定以上(例えば3棟以上)となると、その通路は建物倒壊に起因して通過できない(塞がれる)と判断するようにすることができる。なお、倒壊する建物の数は、想定する震度階と通路に存在する各年代の建物とそれらの倒壊率をパラメータとして確率的に求めることができる。
また、建物倒壊シミュレーション部14を設けずに、倒壊する建物と倒壊する建物によって塞がれる通路を予め設定した倒壊データを記憶手段60に記憶させておき、この倒壊データに基づいて、延焼シミュレーション手段10が、倒壊データを表示手段40に表示させるようしてもよい。この場合、倒壊データは、地震によって倒壊する建物やその倒壊状況を予めシミュレーションしたデータを使用してもよいし、防災対策システム1を利用する人が独自に(つまり経験や普段の状況に基づいて)倒壊する建物を指定して作成したデータを使用してもよい。
(輻射熱シミュレーション)
ここで、火災では、火災による炎からの輻射熱や熱風による気流熱によって、建物が延焼していない場所でも、人が受ける輻射熱が非常に大きくなっている場合がある。そして、輻射熱が2,050kcal/m・h以上の場所では、たとえ延焼していなくても、避難者がその場所を通って避難することはできない。例えば、延焼に伴って、輻射熱が上述したような値を超える場所が広がった場合には、途中の避難ルートまでは避難できても、避難通路の前方(つまり現在位置と避難場所との間の避難ルート)では、輻射熱が大きくなっており、それ以上は進めない状況となる可能性がある。この場合には、輻射熱が大きい場所に到達した後の避難が困難になる可能性が高い。つまり、避難通路の前方に輻射熱が大きい場所が形成される可能性がある場合には、その状況を想定して避難ルートを検討する必要がある。
かかる事情もあり、延焼シミュレーション手段10は、火災による輻射熱の状況をシミュレーションする輻射熱シミュレーション機能を備えた輻射熱シミュレーション部15を備えていることが望ましい。具体的には、輻射熱シミュレーション部15は、延焼シミュレーション部13がシミュレーションした延焼状況データと、街並みデータに記憶されている建物の情報に基づいて、地震火災の際における、街並みの各場所での輻射熱分布をシミュレーションする機能を有している。かかる輻射熱シミュレーション部15によって輻射熱の分布状況をシミュレーションすれば、延焼はしていないが避難できない通路や地域を判断することができる。すると、実際に地震火災が発生したり延焼が生じたりしたときに、火の状況だけから判断して避難した場合には被災するような状況を予め予測して、適切な避難ルートを設定することができる。
例えば、輻射熱シミュレーション部15は、火災や延焼による輻射熱分布の変動をシミュレーションして街並みの各場所における輻射熱分布を算出し、算出されたこれらの情報を輻射熱分布データとして記憶手段60に記憶させる。そして、延焼シミュレーション手段10からの指令によって、輻射熱分布データを、街並みの平面図と延焼状況を重ねた画像とともに表示手段40に表示させるようする(図8〜10参照)。合わせて、これらの画像とともに避難シミュレーション手段20からの指令によって避難状況も表示手段40に表示させるようにする。すると、避難ルートに輻射熱が大きい領域が存在するか否かを確認できるので、地震火災の際に、設定した避難ルートが使用できるか否かを判断することができ、実際の地震火災に適した避難ルートを検討することができる。
なお、図9を見ると、この時点で、避難ルートER2を避難する避難者は輻射熱が大きい領域に入っており、この時点で避難できないことも確認できる。
かかる輻射熱シミュレーション部15が輻射熱分布をシミュレーションする方法、つまり、輻射熱分布を計算するアルゴリズムはとくに限定されない。例えば、気流熱を考慮した輻射熱量計算モデルなどの公知のアルゴリズムを採用することができる。
(避難判断手段50)
上記例では、避難シミュレーション手段20がシミュレーションした避難状況を、街並みの平面図や延焼状況、倒壊データ等と重ねて表示手段40に表示することによって、設定した避難ルートでの避難が可能か否か判断している。つまり、表示手段40に表示されている画像を見て、避難が可能か否かを人が判断している。しかし、この場合には、避難の判断に画像を見た人の主観が入ってしまう可能性があり、避難の可否について適切に判断できない場合も生じる。
そこで、設定した避難ルートによる避難の可否を判断する避難判断手段50を設けてもよい。この場合には、避難ルートによる避難の可否について、客観的な判断を提示することができるので、適切な避難ルートを検討することができる。
避難判断手段50が避難の可否を判断する方法はとくに限定されないが、例えば、以下の方法によって避難の可否を判断することができる。まず、避難状況データに基づいて、設定した避難ルートで所定の時間内に避難場所に到達できない場合には、その避難ルートでは避難できないと判断することができる。また、倒壊データと避難状況データに基づいて、避難ルートが建物等によって塞がれている場合、その通路は通過できないので、その避難ルートでは避難できないと判断することができる。さらに、避難状況データ、延焼状況データおよび輻射熱分布データに基づいて、避難ルートの近傍が延焼する場合や輻射熱が大きくなる場合には、延焼領域や輻射熱が所定の値よりも大きい領域と避難者との距離が常時一定以上に保てない場合には、その避難ルートでは避難できないと判断することができる。
また、避難判断手段50が避難の可否を表示する方法もとくに限定されない。例えば、設定した避難ルートで避難できない場合には、単に「NG」と表示するだけでもよい。また、避難ルートが建物等によって塞がれている場合には、避難判断手段50からの指令によって避難ルートをその位置までしか表示させないようにしてもよい。つまり、設定した避難ルートでは、その位置までしか避難できないことを画像によって示してもよい。
(多数の人が避難する場合)
また、上記例では、避難判断手段50が、一人の避難者が避難する場合において、環境要因(通路の状況や延焼状況、輻射熱分布)に起因して避難ができるか否かを判断する場合を説明した。
しかし、実際の地震火災では、多数の人が同時に避難することになる。上記例の場合でも、避難者の避難速度を遅くすることによって、多数の人が避難する状況における避難の可否をある程度の精度で予測することもできる。しかし、多数の人が同時に避難する状況を、現実の避難に近い形で判断できるようになっていることが望ましい。
例えば、複数の人がそれぞれ避難ルートを設定して得られた避難状況データを、設定された火元の情報や環境条件と対応させて記憶手段60に保存するようにしておく。そして、避難判断手段50が、同一条件の火災が発生したときにおける複数の避難状況データに基づいて、設定した避難ルートによる避難の可否を判断するようにする。すると、複数の避難者の避難状況に基づいて避難ルートによる避難の可否を判断することになるので、より現実の避難に近い形で避難の可否を判断することができる。
この場合、設定した避難ルートによる避難の可否を判断する方法はとくに限定されない
例えば、以下の方法によって避難の可否を判断することができる。
まず、複数の避難状況データに基づいて同じタイミングで複数の避難者が同じ通路に進入する場合には、街並みデータの通路の情報に基づいて、複数の避難者が同時に通過できるか否かを判断する。そして、複数の避難者が同時に通行できない場合には、その避難ルートでは避難できないと判断することができる。このように避難の可否を判断する場合には、街並みデータの通路の幅の情報から、同時に通過できる避難者の数を避難判断手段50が判断してもよいが、街並みデータの通路の情報に、予めその通路を同時に並んで移動できる人の人数が含まれていることが好ましい。
また、異なるタイミングで複数の避難者が同じ通路に進入した場合で、すでに先に通路に進入した避難者の避難速度が、後で通路に進入した避難者の避難速度よりも遅い場合には、その避難ルートでは避難できないと判断することができる。複数人が通行できる通路の場合であれば、後で通路に進入した避難者よりも避難速度が遅い避難者が既にその通路に進入しており、しかも、避難速度が遅い避難者の人数がその通路を同時に通過できる人数よりも多い場合には、その避難ルートでは避難できないと判断することができる。
なお、多数の人が避難した状況を想定して避難判断手段50が避難できるか否かを判断する場合でも、避難判断手段50が避難の可否を表示する方法はとくに限定されない。例えば、設定した避難ルートで避難できない避難者がいる場合には、単に「NG」と表示するだけでもよい。また、避難判断手段50からの指令によって、避難できない避難者の避難ルートだけを避難できなくなる位置までしか表示させないようにしてもよい。
また、避難判断手段50を設けない場合には、複数の避難状況データを同時に表示手段40に表示させるようにしてもよい。この場合でも、複数の避難者の動きを同時に把握できるので、各避難者が設定した避難ルートで避難できるか否かを評価することは可能である。
(避難者情報による判断)
地域には、車椅子でしか移動できない避難者や寝たきりの避難者(以下要介護避難者という)がいる場合もある。要介護避難者の避難には、他の人の介助が必要となる。また、要介護避難者が避難する場合、健常者が通ることができる通路でも通行できない可能性がある。そこで、要介護避難者が設定された避難ルートで避難できるか否かを判断する機能を避難判断手段50に設けてもよい。
要介護避難者の避難の可否を判断する方法はとくに限定されない。例えば、以下の方法を採用することができる。
まず、避難対象者が避難する際に必要とする避難補助ツールの情報を記憶手段60(特許請求の範囲の避難補助ツール記憶部に相当する)に記憶させておく。
一方、避難シミュレーション手段20には、避難者特有の情報(つまり、避難補助ツールの情報等)を入力または選択する避難対象者入力部26を設けておく。そして、避難対象者入力部26によって入力または選択された避難者特有の情報を含む避難状況データが記憶手段60に記憶されるようにする。
そして、避難判断手段50は、避難状況データに基づいて、設定した避難ルートに含まれる通路を、避難者が通行して避難することができるか否かを判断するようにする。
上記のような方法で要介護避難者の避難の可否を判断すれば、避難補助ツールの情報に基づいて使用できない避難ルートを適切に判断することができる。すると、避難に時間を要する高齢者や障害者の方の避難に適した避難ルートの設定を行うことができる。
例えば、避難者が、階段を利用すれば短時間で避難場所に移動できるが、遠回りにはなるものの坂道を通っても避難場所に移動できる場合を考える。この場合、足が不自由な避難者の場合、避難対象者入力部26に、足が不自由であることを入力し、かつ、避難補助ツールとして杖または車椅子を選択または入力する。すると、杖を使用するとの情報が避難状況データに含まれている場合には、階段を通行する避難ルートを選択しても、避難判断手段50は避難可能と判断する。一方、車椅子を使用するとの情報が避難状況データに含まれている場合には、階段を通行する避難ルートを選択した場合、避難判断手段50は避難できないと判断する。つまり、通路の情報および避難状況データの情報に基づいて、避難者に応じて適切に避難の可否を避難判断手段50が判断するので、避難者の状態に応じた適切な避難ルートを検討することができるようになる。
また、避難者が、介助する人が一人いれば通路の状況によらず移動できる場合には、避難補助ツールとして介助者一人を選択または入力する。すると、一人ずつしか通れない避難ルートを選択した場合には、避難判断手段50は避難できないと判断するので、介助が必要な避難者に適した避難ルートを検討することができるようになる。
そして、避難者特有の情報を含む避難状況データが蓄積されれば、どこに要介護避難者が暮らしているかという情報を住民が共有することができる。そして、要介護避難者を介助する住民を決めたり、また、介助をする住民が通るべき適切な避難ルートを検討したりすることもできる。
上述した避難者特有の情報はとくに限定されない。例えば、体が不自由か否か、自力で歩けるか否か等の情報を挙げることができるが、要介護避難者の体調(高血圧や既往症)など避難後の生活に必要な情報が含まれていてもよい。
避難補助ツールの情報もとくに限定されない。例えば、避難者の移動に必要な車椅子や杖、担架等のツールだけでなく、避難者の活動を補助する機器(例えば、酸素吸入器等)の情報も含めておくことが好ましい。
(火災延焼シミュレーションについて)
本実施形態の防災対策システム1において採用できる延焼計算アルゴリズムはとくに限定されない。例えば、主に木造家屋の密集地域で発生した火災延焼状態を,都市メッシュモデルを用いてシミュレーションする延焼計算アルゴリズムを採用することができる。
以下では、都市メッシュモデルを用いてシミュレーションする延焼計算アルゴリズムの一例として、浜田の延焼速度式と、輻射熱・気流熱による受熱量計算と、を基に火災の延焼判定を行う延焼計算アルゴリズム(以下、単に本延焼計算アルゴリズムという)を説明する。
なお、本延焼計算アルゴリズムでは、上述した分割メッシュデータが形成されていることが必要となるので、以下の説明でも、街並み設定手段30のメッシュデータ作成部35によって分割メッシュデータが形成されていることを前提に説明する。
(本延焼計算アルゴリズムの簡単な説明)
本延焼計算アルゴリズムを、簡単に説明すると、本延焼計算アルゴリズムは以下の6ステップによって火災の延焼判定を行う。
なお、以下の説明は、建物が一般的な木材の場合(つまり木造建築の場合)をベースに説明しているが、建物の素材を一般的な木材以外(難燃材やコンクリート等)に変更すれば、木造建築以外についても適用できる。
まず、出火点として、可燃メッシュ上の建物を指定し(複数可)、風向・風速の気象条件を設定する(ステップ1)。
ついで、シミュレーション開始すると、時間経過に伴い、炎上状態メッシュは延焼可能状態に移行する(ステップ2)。
延焼可能状態メッシュの周囲にある一次近傍メッシュと風下二次近傍メッシュについて、可燃メッシュであるメッシュは類焼可能状態に移行し、浜田の延焼速度式による延焼判定を行う。具体的には、延焼速度に延焼距離をかけて延焼時間を求め、シミュレーション実行時間と比較して延焼判定を行う(ステップ3)。
浜田式による判定で延焼するとされたメッシュに関して、輻射熱・気流熱を考慮した受熱量判定を行う。受熱量判定は、計算で得られた受熱量と木材の発火温度400度とを比較して行う(ステップ4)。
延焼可能状態のメッシュはさらに時間経過に伴い、焼失状態へと移行する。焼失状態への移行は木造建物の鎮火式で得られる鎮火時間を超えた段階で行われる(ステップ5)。
これらの全てのメッシュについて、ステップ2〜5の各判定を行うことによって、街並みの炎症状態をシミュレーションすることができる。
(本延焼計算アルゴリズムの詳細な説明)
つぎに、本延焼計算アルゴリズムによるシミュレーションの流れを追いながら、本延焼計算アルゴリズムの詳細を説明する。
まず、出火点となるメッシュからの火災延焼を判定していく。この際、浜田の延焼速度式による判定は、出火点や炎上メッシュ(以下、両方を合わせて炎上メッシュという)の位置によって判定が異なってくる。具体的には、炎上メッシュからみて対象メッシュが風向に対してどの位置に存在するかによって判定が異なってくる。このため、炎上メッシュからみた近傍の可燃メッシュの位置を、風向を考慮して判定する必要がある。
図11に示すように、風向は、北から時計回りにHK=0〜7 の値を与えて判別する。また、炎上メッシュ(I,J)(HKが記載されているメッシュ)からみて、風上左側に位置するメッシュをS1=1として時計回りに1〜8 の値を設定する。すると、一時近傍メッシュ位置(K,L)をS2=(HK+S1)/8の余りとして求める。(ここでI,Kは左上を原点とする右方向メッシュ位置を示しており、J,Lは下方向メッシュ位置を示している)
図11に、それぞれの関係性を表す図を示す。
図11に示すように、風下二次近傍メッシュ位置(K,L)については風向と炎上メッシュ位置(I,J)を考慮して判定する。これらの判定の際に、延焼計算の対象となるメッシュが領域外となる場合(つまり街並みデータ外になる場合)や可燃メッシュではない場合には判定を行わずに次のメッシュ判定へ進む。
(メッシュ判定)
炎上メッシュと延焼計算対象メッシュとの間で延焼が発生するかどうかを調べるために、各メッシュ状態を状態変数MC(I,J)とする変数を持たせることで表現する。状態変数MC(I,J)は次式で定義する。

MC(I,J)=T×10+m
MC(I,J)=F×10+m

ただし、(I,J)はメッシュ番号,Tは延焼可能時間(min)で浜田の延焼速度式を使用して求めた値である。また、Fは鎮火時間(min)で木造建物の鎮火式より算出する。mはメッシュの状態定数で、未燃状態はm=0、炎上状態はm=6、類焼可能状態はm=7、延焼可能状態はm=8、鎮火状態はm=9とする。各状態の推移は図12に示しているが、炎上メッシュの近傍メッシュと判定されたメッシュは類焼可能状態m=7となる。
(浜田の延焼速度式)
つぎに、浜田の延焼速度式を以下に説明する。
浜田の延焼式は,風下・風上・風側面方向(以下,風横)の3種について、加害側建物の出火から受害側建物の着火までの時間を説明する式である。具体的には、建物の平均的な一辺長をa、隣棟間隔をd、着火までの時間をtとし、延焼速度はV=(a+d)/tとした上で、過去の火災事例の分析に実寸大の木造家屋火災実験の結果を追加して構築された式である。
この式では対象地域として,均一規模の建築物が格子状に規則正しく並んでいる市街地(図)を想定しており、その市街地を形成する建物は、式が求められた当初は、純木造平屋家屋のみが立地する市街地における式だった。
しかし、後に2階建て建物や防火木造建築物、耐火建築物の混成を考慮して延焼速度比n(木造混成比p,防火木造混成比q,耐火建物混成比rを用いた補正係数)を用いる等の改良が加えられている。
風下、風上、風横の3種について、それぞれの最終的な浜田式(改良が加えられた浜田式)は、以下のとおりである。
(1)風下について
炎上している建物の風下に位置する木造建物への延焼速度式V(m/min)は、延焼限界距離D(m)と着火から他の家に着火するまでの時間t(min)とで表される。なお、延焼限界距離Di(m)は、風速v(m/sec)を用いて、以下のように定義される。

=β
ただし、D=1.15(5+0.5v)
なお、βは係数であり、出火後から〜10分はβ=1.0、10〜30分はβ=1.5、30〜60分はβ=3.0、60分以上はβ=5.0、である。
次に,着火から他の家に着火するまでの時間t(min)は過去の実験より以下のようになることがわかっている。なお、式中のaは建物の平均一辺長(m)、dは隣棟間隔(m)である。

t=(3+3/8a+8d/D)/(α(1+0.1v+0.007v))
なお、α=1.6(t+14)/(t+25)
そして、上記tを延焼速度V=(a+d)/tに代入し、延焼速度比nを用いて補正した延焼速度V(m/min)は以下のようになる。

V=nα(a+d)(1+0.1v+0.007v)/(3+3/8a+8d/D
なお、n=(p+q)(1−r)/(p+q/0.6)であり、pは木造混成比、qは防火木造混成比、rは耐火建物混成比、nは延焼速度比、であり、p、q、rは、それぞれメッシュ内の建物情報に基づいてプログラムで算定することができる。
(2)風上について
(1)風下と同様に、炎上している建物の風上に位置する木造建物への延焼速度式V(m/min)は、延焼限界距離D(m)と着火から他の家に着火するまでの時間t(min)とで表される。風下における延焼速度Vは以下のとおりである。各式におけるパラメータは、風下と同じ値が使用される。

=1.15(5+0.2v)
t=(3+3/8a+8d/D)/(α(1+0.1v+0.002v))
V=nα(a+d)(1+0.1v+0.002v)/(3+3/8a+8d/D
(1)風下、(2)風上と同様に、炎上している建物の風横に位置する木造建物への延焼速度式V(m/min)は、延焼限界距離D(m)と着火から他の家に着火するまでの時間t(min)とで表される。風下における延焼速度Vは以下のとおりである。各式におけるパラメータは、風下と同じ値が使用される。

=1.15(5+0.25v)
t=(3+3/8a+8d/D)/(α(1+0.1v+0.005v))
V=nα(a+d)(1+0.1v+0.005v)/(3+3/8a+8d/D
延焼限界距離Dは、は延焼発生判定にも使用される。火災メッシュと延焼計算対象メッシュとの距離DL(m)が延焼限界距離内にある場合には,算出された延焼速度V(m/min)からメッシュ延焼可能時間T(min)は次式で与えられる。

T=DL/V
類焼可能状態(m=7)になってから上記の式で得られた延焼可能時間を超えた時点で,受熱量による延焼発生の判定へと移行する。
(輻射熱量計算モデル)
つぎに、受熱量計算を行う気流熱を考慮した輻射熱量計算モデルを説明する。
本発明は建物火災を想定しているが、本発明の輻射熱量計算モデルには、車両火災モデルと同様の考え方を取り入れている。
まず,図14に火炎面と火災熱放射のモデル概念図を示す。図14において、火炎傾きθ(°)と車両火炎高さHc(m)は以下の式で与えられる。

θ=sin-1(2/U)0.2
Hc=0.7(10/U)0.2
また、建物火炎高さHs(m)は以下のように表される。なお、Dsは同時延焼奥行き、aは市街地係数、Uは風速(m/s、U≧2)である。
Hs=4.7n(10/U)0.2
n=0.0133(Ds−10)(a−0.1)+3.98/(Ds0.6
車両火災モデルでは、f(x)に対する火炎面の平均輝面率eを以下のように定義すると、車両輻射熱量Rc(kcal/m・h)は,車両火災輻射発散強度Ec(kcal/m・h)、火炎面から受熱点の間の形態係数f(x)、遮蔽物iの平均透過率τ、平均輝面率eを用いて、以下のように表される。
なお、h’は遮蔽される火炎面の上限高さ(m)、hi+1’は下限高さ(m)を表している。
一方、車両火災モデルと同様に、建物火災についても、f(x)に対する火炎面の平均輝面率eを以下のように定義すると、建物輻射熱量Rs(kcal/m・h)は,建物火災輻射発散強度Rc(kcal/m・h)として火炎面から受熱点の間の形態係数f(x)、遮蔽物iの平均透過率τ、平均輝面率eを用いて、以下のように表される。
また、車両火災モデルでは、車両火災による気流熱Tac(℃)は,火炎面からの距離X(m),同時延焼奥行きDc(m)を用いて以下のように表される。
α=17.75DcU/X(1/(X+Dc/2))0.8

よって、車両火災による受熱温度を考慮した受熱点の温度T(℃)は、輻射熱量を℃に換算したものに気流熱と常温20℃を加えたものになり、以下の式で表される。

T=Rc/40+Tα+20
車両火災モデルと同様に、建物火災による気流熱Tac(℃)は,火炎面からの距離X(m),同時延焼奥行きDs(m)、市街地係数aを用いて以下のように表される。

α=209aDsU/X(1/(X+Ds/2))0.8

そして、建物火災による受熱点の温度T (℃)は,以下の式で求めることができる。

T=Rs/20+Tαs+20
以上の式により、初期条件として風速(m/s)、受熱距離(m)、火炎幅(m)、火炎奥行き(m)、遮蔽物の有無、遮蔽物の形状といった値を与えることで、建物火災が与える熱量を算出することができる。シミュレーション中ではこれらの式による受熱量が、木造家屋の場合であれば、木材の発火温度である400℃を上回った場合に、火災延焼が発生すると判定する。
火災延焼が発生すると判定されたメッシュは炎上状態(m=6)へ、さらに時間経過で他のメッシュへの延焼可能状態(m=8)になる。さらに、時間経過を経て焼失・鎮火状態(m=9)へと移行するが、その際の判定式として下記の木造建物の鎮火式を用いる。なお、式中のaは家屋長(m)、qは防火木造率、VRは構造混成比による延焼速度式である。

F=(a―2.5)/(1.8×VR×1.6)
VR=1−q/100+q/60
上記の式により炎上メッシュは炎上開始から鎮火時間F(min)を経過した段階で鎮火状態(m=9)となる。
以上の判定作業を、経過時間ごとに全ての炎上メッシュの一次近傍メッシュ・風下二次近傍メッシュに対して行うことにより、延焼状態をシミュレーションすることができる。
本発明の防災対策システムは、地域の防災対策を住民等が自主的に調査研究するためのシステムとして適している。
1 防災対策システム
2 結果表示手段
10 延焼シミュレーション手段
11 火災発生場所設定部
12 条件入力部
13 延焼シミュレーション部
14 建物倒壊シミュレーション部
15 温度シミュレーション部
20 避難シミュレーション手段
21 避難場所設定部
22 避難開始位置設定部
23 避難ルート設定部
24 避難速度設定部
25 避難シミュレーション部
26 避難対象者入力部
30 街並み設定部
31 街並み入力部
32 データ変更部
35 メッシュデータ作成部
40 表示手段
50 避難判断手段
60 記憶手段

Claims (7)

  1. 地震に伴う火災が発生した際の避難ルートなどを住民等が自主的に調査研究するために使用する防災対策システムであって、
    火災による延焼状況をシミュレーションする延焼シミュレーション手段と、
    火災の際における避難状況をシミュレーションする避難シミュレーション手段と、
    前記延焼シミュレーション手段がシミュレーションした延焼状況と、前記避難シミュレーション手段がシミュレーションした避難状況と、を表示し得る表示手段と、を備えており、
    前記避難シミュレーション手段は、
    避難する人を配置する避難開始位置を設定する避難開始位置設定部と、
    前記避難開始位置から避難場所までの避難ルートを設定する避難ルート設定部と、
    前記避難ルートを人が通過する避難速度を設定する避難速度設定部と、
    少なくとも前記避難ルートを住民等が入力できる設定値入力部と、を備えている
    ことを特徴とする防災対策システム。
  2. 前記表示手段は、
    前記延焼シミュレーション手段がシミュレーションした延焼状況と、前記避難シミュレーション手段がシミュレーションした避難状況とを、重ねわせて表示する機能を備えており、
    前記避難シミュレーション手段は、
    前記避難開始位置、前記避難ルート、前記避難速度の全てまたは一部の入力値を変更する設定値変更部を備えている
    ことを特徴とする請求項1記載の防災対策システム。
  3. 火災による延焼をシュミレーションする街並みを設定する街並み設定手段を備えており、
    該街並み設定手段は、
    建物および建物間の通路の情報を入力して記憶媒体に記憶させる街並み入力部と、
    前記記憶媒体に記憶されている前記街並みデータの情報を変更し、変更した変更街並みデータを前記記憶媒体に記憶させるデータ変更部と、を備えている
    ことを特徴とする請求項1または2記載の防災対策システム。
  4. 設定した避難ルートによる避難の可否を判断する避難判断手段を備えており、
    前記避難シミュレーション手段は、
    避難対象者の情報を入力する避難対象者入力部と、
    前記避難対象者が避難する際に必要とする避難補助ツールの情報を記憶する避難補助ツール記憶部を備えており、
    該避難対象者入力部が、
    前記避難対象者が使用する避難補助ツールを選択する避難補助ツール選択機能を備えており、
    前記避難判断手段は、
    前記避難補助ツール選択機能によって選択された避難補助ツールの情報に基づいて、前記設定した避難ルートによる避難の可否を判断する機能を有している
    ことを特徴とする請求項1、2または3記載の防災対策システム。
  5. 前記延焼シミュレーション手段は、
    火災または地震による建物倒壊をシミュレーションする建物倒壊シミュレーション機能を備えている
    ことを特徴とする請求項1、2、3または4記載の防災対策システム。
  6. 前記延焼シミュレーション手段は、
    輻射熱の状況をシミュレーションする輻射熱シミュレーション機能を備えている
    ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の防災対策システム。
  7. 設定した避難ルートによる避難の可否を判断する避難判断手段を備えており、
    前記延焼シミュレーション手段がシミュレーションした延焼状況および前記避難シミュレーション手段がシミュレーションした避難状況を記憶するシミュレーション結果記憶部を備えており、
    前記避難判断手段は、
    同一条件の火災が発生したときにおける、前記シミュレーション結果記憶部に記録されている複数の避難状況に基づいて、設定した避難ルートによる避難の可否を判断する機能を備えている
    ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の防災対策システム。
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