JP6256697B2 - 電動モータの温度計測装置 - Google Patents
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Description
しかしながら、運転中のロータは高速回転しているので、リード線を持つ熱電対やサーミスタ等の電気式温度センサをロータに直接取り付けて温度計測を行うことは困難である。スリップリングのように静止体と回転体との間で電気信号の伝達を可能とする機構を用いることにより、ロータに取り付けた熱電対やサーミスタから信号を取り出すことも考えられるが、スリップリングのブラシ部において接触ノイズが混入することは避けられず、高精度の温度計測を行うことは難しい。また、電動モータの内部においては強力な電磁界が変動しているので、電波により温度センサの信号を伝達することも困難である。
また、非接触の温度計測手法としてはサーモグラフィーが挙げられるが、ステータの内側でロータが回転するインナーロータ型の電動モータにおいてはロータが外部に向かって露出していないので、ロータの温度を計測することはできない。
このように構成された本発明においては、電動モータの運転中においても、電動モータ内部の電磁界の変動や電気接点におけるノイズ等の影響を受けることなく、ファイバ・ブラッグ・グレーティング部による反射光の波長変化を光検出器によって検出し、この波長変化に基づいて温度変化を計測することができる。光ファイバにおけるファイバ・ブラッグ・グレーティング部を含む部分は、ロータの回転軸と平行に延びているので、ファイバ・ブラッグ・グレーティング部には軸線方向の歪が生じることはなく、温度変化に応じた特定の波長の変化だけを検出することができる。そして、ファイバ・ブラッグ・グレーティング部は、ロータの温度計測点に対して回転軸側から接触可能に配置されているので、電動モータの運転時にロータが回転すると、ファイバ・ブラッグ・グレーティング部は、ロータの径方向外側に向かって作用する遠心力によって温度計測点に押し付けられる。これにより、ファイバ・ブラッグ・グレーティング部を確実に温度計測点に接触させることができ、運転中の電動モータにおいてロータの温度を高精度に計測することができる。
また、電動モータの運転時にロータが回転すると、ファイバ・ブラッグ・グレーティング部は、ロータの径方向外側に向かって作用する遠心力によって界磁用永久磁石の温度計測点に押し付けられる。これにより、ファイバ・ブラッグ・グレーティング部を確実に界磁用永久磁石の温度計測点に接触させることができ、運転中の電動モータにおいてロータの界磁用永久磁石の温度を高精度に計測することができる。
このように構成された本発明においては、電動モータの運転時にロータが回転すると、ファイバ・ブラッグ・グレーティング部は、ロータコアの径方向外側に向かって作用する遠心力によって隅部に押し付けられるので、その隅部を形成する界磁用永久磁石の側面に確実に押し付けられる。これにより、ファイバ・ブラッグ・グレーティング部を一層確実に界磁用永久磁石の温度計測点に接触させることができ、運転中の電動モータにおいてロータの界磁用永久磁石の温度を高精度に計測することができる。
まず、図1により、本発明の実施形態による温度計測装置を適用した電動モータについて説明する。図1は、本発明の実施形態による温度計測装置を適用した電動モータの内部構造を示す断面図である。
FBGセンサ28は、光ファイバコアの軸線方向に沿って屈折率が周期的に変化するように回折格子を形成したものであり、このFBGセンサ28に光が入射すると、その入射光の内、回折格子の間隔及び光ファイバコアの屈折率に応じた特定の波長(ブラッグ波長)成分のみが回折格子により反射され、その他の波長成分は透過される。
FBGセンサ28の温度が変化することによって光ファイバコアの屈折率が変化すると、それに応じてブラッグ波長が変化し、FBGセンサ28の回折格子により反射される光の波長が変化するので、その波長変化を検出することによって回折格子部分の温度を計測することができる。
また、FBGセンサ28に外力が加わることによってFBGセンサ28の軸線方向に歪が生じると、回折格子の間隔が変化し、それに応じてブラッグ波長が変化する。従って、FBGセンサ28によって温度を計測する場合には、FBGセンサ28の軸線方向に外力が加わらないようにし、歪の発生を防止する必要がある。なお、FBGセンサ28の温度が変化すると回折格子部分に熱歪が生じるので、この熱歪によってもブラッグ波長が変化するが、光ファイバコアとして使用されるガラスの熱膨張率は非常に小さいので、ブラッグ波長の温度依存性については屈折率の変化による成分が支配的となっている。
図4に示すように、埋設孔42の溝部46b、46c、46dの断面寸法に対して光ファイバ30の断面寸法は小さいので、光ファイバ30を溝部46b、46c、46d内において特に固定しない場合、軸線方向に垂直な方向に光ファイバ30が動き、FBGセンサ28が温度計測点32である界磁用永久磁石6の側面から離れてしまう可能性がある。そこで、この溝部46b、46c、46dの内部において、光ファイバ30に対してロータコア18の径方向内側に、多孔質且つ熱膨張係数の小さい充填剤50が充填される。この充填剤50によって、光ファイバ30は界磁用永久磁石6の側面に接するように固定される。
上述したように、界磁用永久磁石6の4つの角部44a、44b、44c、44dの内、ロータコア18の径方向において最も外側に位置する角部44aを除く3つの角部44b、44c、44dの近傍に配置されたFBGセンサ28は、溝部46b、46c、46dの壁面と温度計測点32である界磁用永久磁石6の側面とにより形成された隅部48a、48b、48cに対してロータコア18の径方向内側から接触可能となっている。従って、電動モータ1の運転時にロータ8が回転すると、これらのFBGセンサ28は、ロータコア18の径方向外側に向かって作用する遠心力によって隅部48a、48b、48cに押し付けられ、その隅部48a、48b、48cを形成する界磁用永久磁石6の側面(温度計測点32)に押し付けられる。
また、界磁用永久磁石6の4つの角部44a、44b、44c、44dの内、ロータコア18の径方向において最も外側に位置する角部44aの近傍に配置されたFBGセンサ28は、界磁用永久磁石6の側面に対してロータコア18の径方向外側から接触可能となっている。従って、電動モータ1の運転時にロータ8が回転すると、このFBGセンサ28には、ロータコア18の径方向外側に向かう方向(即ち界磁用永久磁石6の側面から離れる方向)に遠心力が作用するが、上述したように、溝部46aにおいて光ファイバ30に対してロータコア18の径方向外側に充填された充填剤50によって、光ファイバ30は界磁用永久磁石6の側面に接するように固定されている。
このとき、遠心力はFBGセンサ28の軸線方向に直交する方向に作用するので、FBGセンサ28には軸線方向の歪が生じることはなく、温度変化に応じたブラッグ波長の変化だけを検出することができる。
上述した実施形態においては、電動モータ1は、永久磁石埋込型の三相交流同期モータであると説明したが、他の種類の電動モータにも本発明の温度計測装置26を適用することができる。例えば、永久磁石埋込型のブラシレスDCモータにおいて、ロータの界磁用永久磁石の表面温度を計測するために本発明の温度計測装置26を用いることができる。
2 コイル
4 ステータ
6 界磁用永久磁石
8 ロータ
18 ロータコア
20 出力軸
22 回転軸
26 温度計測装置
28 FBGセンサ
30、40 光ファイバ
32 温度計測点
34 光源
36 光検出器
38 光学式回転ジョイント
42 埋設孔
48a、48b、48c 隅部
Claims (2)
- 電機子巻線を備えたステータと、界磁用永久磁石を備えたロータと、このロータに連結された回転軸とを有する電動モータにおける上記ロータの温度を計測する電動モータの温度計測装置であって、
上記電動モータの上記ロータは、上記回転軸を中心に回転するロータコアを備え、上記界磁用永久磁石は、上記ロータコアにおいて軸線方向に延びるように形成された埋設孔に埋設され、
上記電動モータの上記回転軸の内部を経由して上記ロータの温度計測点まで配設された光ファイバと、
上記光ファイバに光を入射させる光源と、
上記光ファイバからの出射光を検出する光検出器と、
上記回転軸に設けられ、上記光ファイバと上記光源及び上記光検出器とを光学接続する光学式回転ジョイントとを有し、
上記光ファイバは、入射光のうち特定の波長成分のみを反射するファイバ・ブラッグ・グレーティング部を備え、上記光ファイバにおける上記ファイバ・ブラッグ・グレーティング部を含む部分は、上記埋設孔の内部において、上記回転軸と平行に延び、上記ファイバ・ブラッグ・グレーティング部は、上記ロータの温度計測点における上記界磁用永久磁石の表面と上記埋設孔の内壁面とにより形成された隅部に対して上記回転軸側から接触可能に配置されていることを特徴とする電動モータの温度計測装置。 - 電機子巻線を備えたステータと、界磁用永久磁石を備えたロータと、このロータに連結された回転軸とを有する電動モータにおける上記ロータの温度を計測する電動モータの温度計測装置であって、
上記電動モータの上記回転軸の内部を経由して上記ロータの温度計測点まで配設された光ファイバと、
上記光ファイバに光を入射させる光源と、
上記光ファイバからの出射光を検出する光検出器と、
上記回転軸に設けられ、上記光ファイバと上記光源及び上記光検出器とを光学接続する光学式回転ジョイントとを有し、
上記光ファイバは、入射光のうち特定の波長成分のみを反射するファイバ・ブラッグ・グレーティング部を備え、上記光ファイバにおける上記ファイバ・ブラッグ・グレーティング部を含む部分は、上記回転軸と平行に延び、
上記電動モータの上記ロータは、上記回転軸を中心とする円柱状のロータコアを備え、上記界磁用永久磁石は、上記ロータコアにおいて軸線方向に延びるように形成された埋設孔に埋設され、
上記光ファイバの上記ファイバ・ブラッグ・グレーティング部は、上記埋設孔の内部において、上記温度計測点における上記界磁用永久磁石の表面と上記埋設孔の内壁面とにより形成された隅部に対して上記回転軸側から接触可能に配置されていることを特徴とする電動モータの温度計測装置。
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