以下、図面を参照し、この発明の実施形態について説明する。
<第1実施形態>
本実施形態による消音器1は、トランペット用の消音器である。以下、本明細書では、トランペットの中心からマウスピースに向かう方向を後方と呼び、トランペットの中心からベルに向かう方向を前方と呼ぶ。図1(A)は、この発明の第1実施形態による消音器1の構成を示す側面図であり、図1(B)は、後方から同消音器1を見たときの同消音器1の構成を示す背面図であり、図1(C)は、斜め後方から同消音器1を見たときの同消音器1の構成を示す斜視図である。また、図2は、同消音器1の構成を示す組み立て図である。図1および2に示すように、消音器1は、本体部10と、固定部20と、回転部材30とを有する。本体部10は、胴部11と底部12とから構成されている。
胴部11は、胴部11の内側に空洞を有する略円錐管形状の中空の管体である。胴部11は、前端である大径側端11aから後端である小径側端11bに向かってトランペットのベルの内壁に沿うようにして外径および内径が小さくなっている。ここで、管楽器(トランペット)におけるベルとは、音量を増大させるために管楽器の管の径が徐々に広げられた呼気の排出口付近の部分のことを言う。また、後端である小径側端11bは、開口しており、開口端となっている。
底部12は、椀状をなしている。底部12は、その外面が外側方向(前方)に突出する凸曲面となるように湾曲している湾曲部12aと、外径が一定である筒状部12bとから構成されている。湾曲部12aの縁の部分は筒状部12bの一端に連続している。湾曲部12aの突出している中央部分は、胴部11の回転軸(以下、単に軸という)近傍に位置している。筒状部12bにおける湾曲部12aに連続している端の反対側の端(底部12の縁の部分)は、胴部11の大径側端11aと接着剤等により接合している。底部12は、胴部11の前端である大径側端11aを閉塞する閉塞部として機能し、大径側端11aは閉塞端となっている。
小径側端11bに至る小径側端11b近傍の胴部11の外壁には、その外径が少し小さくなるように浅い溝13が設けられている。溝13は、胴部11の軸の周りに亙って設けられている。また、小径側端11b近傍の胴部11の外壁には、この溝13における小径側端11bの反対側の端から胴部11の大径側端11a方向に向かう複数の浅い溝14が設けられている。この溝14は、側面から見たときに台形となる形状であり、平面上に展開したときに扇形となる形状をなしている。溝14の深さは、溝13の深さと同程度である。また、溝14は、胴部11の軸周りの方向の120度毎に各々設けられている。そして、溝14と溝14が設けられていない通常部15とが、胴部11の軸の周りに沿って交互に繰り返されている。
回転部材30は、筒状部31と羽根部32とから構成されている。筒状部31は、略円錐管形状をなしている。筒状部材31は、その大径側端から小径側端に向かってベルの内壁に沿うようにして外径および内径が小さくなっている。筒状部31の回転軸(以下、単に軸という)方向の長さは、胴部11の溝13における軸方向の長さと同程度である。筒状部31の内径は、胴部11の溝13の部分における胴部11の外径よりも若干大きくなっている。筒状部31の厚さは、溝13の深さと同程度である。
回転部材30の羽根部32は、湾曲している板状の部材である。羽根部32は、側面から見たときに台形となる形状であり、平面上に展開したときに扇形となる形状をなしている。羽根部32は、筒状部31の軸周りの方向の120度毎に各々配置されている。そして、羽根部32における側面から見たときに台形の上底となる部分が、筒状部31の大径側端に接続されている。このとき、羽根部32は、その凸曲面が筒状部31の外面に連続するように接続されている。また、羽根部32は、筒状部31に接続されている端から反対側の端に向かうに従って、ベルの内壁に沿うようにして筒状部31の軸から遠ざかる方向に広がっている。羽根部32における筒状部31の軸方向の長さは、胴部11の溝14部分の軸方向の長さと同程度である。羽根部32における筒状部31の軸周りの方向の長さ(すなわち羽根部32の幅)は、胴部11の溝14部分の軸周りの方向の長さ(すなわち溝14の幅)よりも短くなっている。羽根部32の厚さは、溝14の深さと同程度である。
回転部材30は、本体部10を内側に収容している。より詳細には、回転部材30の筒状部31は胴部11の溝13の上に重なっており、回転部材30の羽根部32は胴部11の溝14内に収容されている。また、回転部材30の回転軸(以下、単に軸という)は、胴部11の軸と重なっている。このため、回転部材30は、胴部11の外壁上において胴部11に対して胴部11の軸周りの方向に回転可能である。回転部材30を回転させると、羽根部32は、溝14内において胴部11の軸周りの方向(溝14の幅方向)に移動する。そして、回転部材30の回転量を大きくすると、羽根部32は、溝14と通常部15との境界における段差に引っ掛かって止まる。すなわち、溝14の幅寸法と羽根部32の幅寸法により回転部材30の回転可能範囲が決定される。
固定部20は、胴部11の軸周りの方向に複数個並べられている。固定部20は、U字形のブロック状をなしている。固定部20は、本体側部21、回転部材側部22および連結部23から構成される。本体側部21、回転部材側部22および連結部23は、各々、胴部11の軸周りの方向に配置されている。より詳細には、後方から固定部20を見たときに、本体側部21に対して時計回り方向に連結部23が配置され、さらにその連結部23に対して時計回り方向に回転部材側部22が配置されている。本体側部21および回転部材側部22は、湾曲しているブロック状部材である。本体側部21および回転部材側部22は、例えば、コルクや硬めのスポンジゴムなど、あまり伸縮せず、適度な硬度と摩擦性能を有する柔軟な素材により形成される。本体側部21は、その凸曲面が外側となるようにして、胴部11の通常部15の外壁に固定されている。一方、回転部材側部22は、その凸曲面が外側となるようにして、回転部材30の羽根部32の外壁に固定されている。連結部23は、例えば、スポンジゴムなど、容易に伸縮する柔軟な素材により形成される。連結部23は、胴部11の軸周りの方向の一端において回転部材30に固定されている回転部材側部22に接続されており、かつ、他端において胴部11に固定されている本体側部21に接続されている。また、本体側部21、回転部材側部22および連結部23の各々における胴部11の軸から遠ざかる方向の長さ(すなわち本体側部21の高さ、回転部材側部22の高さおよび連結部23の高さ)は、同程度である。なお、固定部20は、胴部11の軸周りの方向の120度毎に3個設けられているが、固定部20の数および配置はこれに限られない。胴部11の溝14、胴部11の通常部15および回転部材30の羽根部32の各々における数およびそれらの配置についても同様である。
固定部20の本体側部21は、胴部11の通常部15に固定されているため、回転部材30を回転させても回転部材30とともに移動しない。一方、固定部20の回転部材側部22は、回転部材30の羽根部32に固定されているため、回転部材30の回転に伴って、羽根部32とともに胴部11の軸周りの方向に移動する。また、本体側部21と回転部材側部22とを連結する連結部23は、回転部材30の回転に伴って、胴部11の軸周りの方向に伸縮する。このため、回転部材30を回転させることにより、固定部20における胴部11の軸周りの方向の長さ(すなわち固定部20の幅)を変えることができる。一方、固定部20における胴部11の軸から遠ざかる方向の長さ(すなわち固定部20の高さ)は、回転部材30を回転させても変わらない。
また、本体部10と回転部材30との間(例えば、胴部11の溝14と回転部材30の羽根部32との間など)には、回転させた回転部材30の位置(回転角度)を保持する機構(例えば、ラチェット機構)が設けられている(図示略)。これにより、固定部20の連結部が縮もうとする力に抗して回転部材30の位置(回転角度)を保持することができる。
消音器1をトランペットのベル内に挿入すると、固定部20における本体側部21、回転部材側部22および連結部23の各々の外壁がベルの内壁に当接し、本体部10はベルに固定される。固定部20における本体側部21、回転部材側部22および連結部23の各々は、本体部10とベルとの間を閉塞させる。しかし、各固定部20同士は接触していないため、隣り合う固定部20と本体部10とベルとにより隙間が形成される。すなわち、固定部20は、本体部10とベルとの間にベル内の空間とベル外の空間とを連通させる隙間を一部形成しつつ本体部とベルとの間を閉塞させている。ここで、ベル内の空間とは、消音器の装着により当該消音器によって閉塞された管楽器(トランペット)の内側の空間のことを言い、ベル外の空間とは、同管楽器の外側の空間のことを言う。ベル内の空間とベル外の空間とを連通させる隙間は、消音器1を装着して吹奏したときの呼気をベル内からベル外に排気するとともに、ベル内に生じる音をベル内からベル外に放音する役割を担う。
図1は、後方から消音器1を見たときにおける反時計回り方向に回転部材30を最大限に回転させた場合を示している。このとき、回転部材30の羽根部32は、胴部11の溝14に対して反時計回り方向に隣接する通常部15と当該溝14との間の境界部分の段差に当接する。そして、回転部材30を回転させたときの各状態に比べ、この状態における連結部23は最も縮まり、この状態における固定部20の幅は最も小さくなる。
この状態(すなわち図1に示す状態)で本体部10をベルに固定した場合、固定部20の幅が最も小さいため、本体部10とベルとの間における閉塞される部分の断面積が最も小さくなる。一方、各固定部20の間隔は最も大きくなる。このため、隣り合う固定部20と本体部10とベルとにより形成される隙間の断面積は最も大きくなる。この場合、この隙間を通過する音が多くなるため、大きな音量の音が消音器1外に放音されることになる。換言すると、この場合、消音器1の弱音の度合いは小さくなる。
一方、図3は、後方から消音器1を見たときにおける時計回り方向に回転部材30を最大限に回転させた場合の消音器1の構成を示す側面図、背面図および斜視図である。このとき、回転部材30の羽根部32は、胴部11の溝14に対して時計回り方向に隣接する通常部15と当該溝14との間の境界部分の段差に当接する。そして、回転部材30を回転させたときの各状態に比べ、この状態における連結部23は最も伸び、この状態における固定部20の幅は最も大きくなる。また、このように固定部20の幅が最も大きくなっても、隣り合う固定部20同士は互いに接触しない。
この状態(すなわち図3に示す状態)で本体部10をベルに固定した場合、固定部20の幅が最も大きいため、本体部10とベルとの間における閉塞される部分の断面積が最も大きくなる。一方、各固定部20の間隔は最も小さくなる。このため、隣り合う固定部20と本体部10とベルとにより形成される隙間の断面積は最も小さくなる。この場合、この隙間を通過する音が少なくなるため、小さな音量の音が消音器1外に放音されることになる。換言すると、この場合、消音器1の弱音の度合いは大きくなる。なお、本体部10とベルとの間に形成されるすべての隙間の断面積を合計した総断面積は、マウスピースの最小断面積以上にすることが好ましい。
回転部材30は、溝14内において羽根部32が移動することができる範囲内における各位置に保持され得る。このため、羽根部32に固定されている固定部20の回転部材側部22も、羽根部32の移動に伴って、同範囲内における各位置に保持され得る。これにより、固定部20は、回転部材30を反時計回り方向に最大限に回転させたときの固定部20の幅寸法と回転部材30を時計回り方向に最大限に回転させたときの固定部20の幅寸法との間の範囲における固定部20の各幅寸法をとり得る。すなわち、消音器1が装着されたときにおける隣り合う固定部20と本体部10とベルとにより形成される隙間は、回転部材30を反時計回り方向に最大限に回転させたときの同隙間の断面積と、回転部材30を時計回り方向に最大限に回転させたときの同隙間の断面積との間の範囲における同隙間の各断面積をとり得る。そして、回転部材30の反時計回り方向の回転量を多くするに従って同隙間の断面積が大きくなり、放音される音量が大きくなり、消音器1の弱音の度合いが小さくなる。反対に、回転部材30の時計回り方向の回転量を多くするに従って同隙間の断面積が小さくなり、放音される音量が小さくなり、消音器1の弱音の度合いが大きくなる。
このように、回転部材30を回転させることにより、固定部20を伸縮させて、ベル内の空間とベル外の空間とを連通させる隙間の断面積を変化させることができる。すなわち、回転部材30は、その隙間の断面積を変える断面積可変手段である。
以上が、消音器1の構成である。
次に、本実施形態による消音器1の使用態様を説明する。まず、消音器1を装着して吹奏したときに放音される音量を小さくしたい場合について説明する。ユーザ(吹奏者)は、消音器1における回転部材30の筒状部31の外壁を掴み、掴んだ筒状部31を後方から消音器1を見たときにおける時計回り方向に回転させる。このとき、音量をより小さくしたい場合には、筒状部31の時計回り方向の回転量を多くする。筒状部31を時計回り方向に回転させることにより、羽根部32も同様に回転し、羽根部32に固定されている固定部20の回転部材側部22が時計回り方向に移動する。そして、固定部20における胴部11の軸周りの方向の長さが長くなる(固定部20の幅が大きくなる)。このとき、回転させた回転部材30の位置(回転角度)は保持される。回転部材30を回転させた後、ユーザは、消音器1をトランペットに装着する。そして、消音器1を装着したトランペットを吹奏すると、回転部材30の位置(回転角度)に従った小さな音量の音が放音される。
一方、消音器1を装着して吹奏したときに放音される音量を大きくしたい場合、ユーザは、掴んだ筒状部材31を反時計回りに回転させれば良い。このとき、音量をより大きくしたい場合には、筒状部31の反時計回り方向の回転量を多くする。筒状部材31を反時計回り方向に回転させることにより、羽根部32も同様に回転し、羽根部32に固定されている固定部20の回転部材側部22が反時計回り方向に移動する。そして、固定部20における胴部11の軸周りの方向の長さが短くなる(固定部20の幅が小さくなる)。このとき、回転させた回転部材30の位置(回転角度)は保持される。回転部材30を回転させた後、ユーザは、消音器1をトランペットに装着する。そして、消音器1を装着したトランペットを吹奏すると、回転部材の位置(回転角度)に従った大きな音量の音が放音される。
このように、本実施形態による消音器1は、本体部10と、本体部10の外壁とベルの内壁との間を閉塞させる固定部20と、本体部10を内側に収容して本体部10の軸周りの方向に回転可能な回転部材30とを有している。固定部20は、本体部の軸周りの方向に複数個並べられており、各固定部20の間にベル内の空間とベル外の空間とを連通させる隙間を形成する。各固定部20は、回転部材30に固定される回転部材側部22と、胴部11に固定される本体側部21と、伸縮自在な連結部23とを有し、これら各部は、胴部11の軸周りの方向に配置されている。連結部23は、胴部11の軸周りの方向の一端において回転部材側部22に接続され、かつ、他端において本体側部21に接続されている。このため、回転部材30の回転により、連結部23が胴部11の軸周りの方向に伸縮し、固定部20における本体部10の軸周りの方向の長さ(すなわち固定部20の幅)が変わる。固定部20の幅が変わるため、本体部10とベルとの間における閉塞される部分の断面積が変わる。これにより、各固定部20と本体部10とベルとの間に形成される隙間の断面積が変わる。この隙間の断面積が変わることにより、この隙間を通過する音の量が変わる。従って、本発明の消音器1では、回転部材30を回転した後にトランペットに装着することにより、消音器1を装着して吹奏したときに放音される音量を調節することができる。換言すると、消音器1の弱音の度合いを調節することができる。
<第2実施形態>
図4(A)および(C)は、この発明の第2実施形態による消音器1Aの構成を示す側面図であり、図4(B)および(D)は、後方から同消音器1Aを見たときの同消音器1Aの構成を示す背面図である。本実施形態による消音器1Aは、本体部10に代えて本体部10Aとし(より具体的には胴部11に代えて胴部11Aとし)、回転部材30に代えて回転部材30Aとし、固定部20に代えて固定部20Aとした点で第1実施形態による消音器1と異なる。本実施形態における固定部20Aは、第1固定部20A1と第2固定部20A2とから構成されている。本実施形態による消音器1Aは、第2固定部20A2に対して第1固定部20A1を回転させることにより、ベル内の空間とベル外の空間とを連通させる隙間の断面積を胴部11Aの軸の途中の位置において可変としたものである。
本体部10Aの胴部11Aは、小径側端11Ab近傍の胴部11Aの外壁に溝13および14に代えて溝13Aを有する点で第1実施形態による消音器1の胴部11と異なる。
溝13Aは、胴部11Aの軸の周りに亙る浅い溝である。また、溝13Aは、小径側端11Abから少し大径側端11Aa方向に移動した位置における胴部11Aの外壁に設けられている。
回転部材30Aは、本体部10Aを内側に収容する筒状の部材である。また、回転部材30Aは、溝13Aに収容されるように配置されている。回転部材30Aの軸は胴部11Aの軸と重なっている。回転部材30Aは、溝13A内において胴部11Aの軸周りの方向に回転可能である。また、溝13Aと回転部材30Aとの間には、回転させた回転部材30Aの位置を保持する機構が設けられている(図示略)。また、回転部材30Aの厚さは溝13Aの深さと同程度である。
第1固定部20A1は、湾曲しているブロック状部材である。第1固定部20A1は、例えば、コルクや硬めのスポンジゴムなど、あまり伸縮せず、適度な硬度と摩擦性能を有する柔軟な素材により形成される。第1固定部20A1は、胴部11Aの軸周りの方向に複数個並べられている。具体的には、第1固定部20A1は、胴部11Aの軸周りの方向の90度毎に各々配置されている。そして、第1固定部20A1は、その凸曲面が外側になるようにして回転部材30Aの外壁に固定されている。隣り合う第1固定部20A1同士は互いに接触していない。
第2固定部20A2は、第1固定部20A1と同様の形状をしており、同様な素材により形成されている。また、第2固定部20A2は、第1固定部20A1と同様に、胴部11Aの軸周りの方向に複数個並べられている。具体的には、第2固定部20A2は、胴部11Aの軸周りの方向の90度毎に各々配置されており、その凸曲面が外側になるようにして胴部11Aの溝13Aと小径側端11Abとの間の胴部11Aの外壁に固定されている。また、隣り合う第2固定部20A2同士は互いに接触していない。なお、第1固定部20A1および第2固定部20A2は、胴部11Aの軸周りの方向の90度毎に4個設けられているが、第1固定部20A1および第2固定部20A2の各々の数およびそれらの配置はこれに限られない。
第1固定部20A1と第2固定部20A2とは、互いに分離しており、かつ、胴部11Aの軸方向に互いに隣接している。より詳細には、第2固定部20A2における胴部11Aの大径側端11Aa側の側面が、第1固定部20A1における胴部11Aの小径側端11Ab側の側面に当接している。また、第2固定部20A2における胴部11Aの大径側端11Aa側の端部の胴部11Aの軸周りの方向の長さ(すなわち、第2固定部20A2の大径側端11Aa側の端部における第2固定部20A2の幅)は、第1固定部20A1における胴部11Aの小径側端11Ab側の端部の胴部11Aの軸周りの方向の長さ(すなわち、第1固定部20A1の小径側端11Ab側の端部における第1固定部20A1の幅)と同程度になっている。また、第2固定部20A2における胴部11Aの軸から遠ざかる方向の長さ(第2固定部20A2の高さ)と、第1固定部20A1における胴部11Aの軸から遠ざかる方向の長さ(第1固定部20A1の高さ)は、同程度である。
第1固定部20A1は、回転部材30Aに固定されているため、回転部材30Aの回転に伴い、胴部11Aの軸周りの方向に移動する。一方、第2固定部20A2は、胴部11Aに固定されているため、回転部材30Aを回転させても移動しない。このため、本実施形態による消音器1Aは、各第2固定部20A2の位置(角度)に対して各第1固定部20A1の位置(角度)を胴部11Aの軸周りの回転方向にずらすことができる。これは、第1固定部20A1と第2固定部20A2とからなる固定部20Aにおける胴部11Aの軸周りの方向の長さを変えることと等価である。ユーザは、回転部材30Aを回転させて第2固定部20A2に対して第1固定部20A1をずらしてから消音器1Aをトランペットに装着する。
消音器1Aをトランペットに装着した場合、第1固定部20A1の外壁と第2固定部20A2の外壁の各々はベルの内壁に当接され、第1固定部20A1および第2固定部20A2は本体部10Aとベルとの間を閉塞させる。このとき、隣り合う第1固定部20A1と回転部材30Aとベルとにより隙間が形成され、かつ、隣り合う第2固定部20A2と本体部10Aとベルとにより隙間が形成される。消音器1Aを装着して吹奏したときのベル内に生じる音は、第2固定部20A2により形成される隙間を通り、その後、第1固定部20A1により形成される隙間を通って消音器1A外へ放音される。
図4(A)および(B)は、後方から消音器1Aを見たとき、第1固定部20A1の位置(角度)と第2固定部20A2の位置(角度)とが重なっている状態を示している。このとき、第2固定部20A2における胴部11Aの軸周りの方向の側面は、第1固定部20A1における胴部11Aの軸周りの方向の側面に連続している。この状態の消音器1Aをトランペットに装着して後方から消音器1Aを見た場合、第1固定部20A1と回転部材30Aとベルとにより形成される隙間と、第2固定部20A2と胴部11Aとベルとにより形成される隙間とが重なる。この場合、第2固定部20A2により形成される隙間と第1固定部20A1により形成される隙間との境界において、第2固定部20A2により形成される隙間から第1固定部20A1により形成される隙間へ進んでもそれらの隙間の断面積は変わらない。すなわち、放音される音が通過する隙間の断面積は、固定部20Aにおける胴部11Aの軸方向の途中の位置において小さくならない。従って、この隙間を通過する音が少なくならないため、大きな音量の音が消音器1A外に放音される。換言すると、この場合、消音器1Aの弱音の度合いは小さくなる。
一方、図4(C)および(D)は、後方から消音器1Aを見たとき、第2固定部20A2の位置(角度)に対して第1固定部20A1の位置(角度)が、反時計回り方向にずれている状態を示している。このとき、第2固定部20A2における胴部11Aの軸周りの方向の側面は、第1固定部20A1における胴部11Aの軸周りの方向の側面に連続していない。この状態の消音器1Aをトランペットに装着して後方から消音器1Aを見た場合、第2固定部20A2と胴部11Aとベルとにより形成される隙間の位置に対して第1固定部20A1と回転部材30Aとベルとにより形成される隙間の位置が、胴部11Aの軸周りの回転方向(図4(C)および(D)の場合は反時計回り方向)にずれる。この場合、第2固定部20A2により形成される隙間を通って第1固定部20A1により形成される隙間に入る音の一部は、第2固定部20A2と第1固定部20A1との境界において、第1固定部20A1における胴部11Aの小径側端11Ab側の側面に当たる。すなわち、第2固定部20A2と第1固定部20A1との境界において、消音器1A外に放音される音が通過する領域は、第2固定部20A2と第1固定部20A1と胴部11A(または回転部材30A)とベルとにより形成される隙間となる。この部分の隙間の断面積は、第1固定部20A1により形成される隙間の断面積または第2固定部20A2により形成される隙間の断面積よりも小さくなる。すなわち、放音される音が通過する隙間の断面積は、固定部20Aにおける胴部11Aの軸方向の途中の位置において小さくなる。従って、この隙間を通過する音が少なくなるため、小さな音量の音が消音器1A外に放音されることになる。換言すると、この場合、消音器1Aの弱音の度合いは大きくなる。
第2固定部20A2に対して第1固定部20A1を胴部11Aの軸周りの方向にずらす度合いを大きくするに従って、第2固定部20A2と第1固定部20A1との境界における第2固定部20A2と第1固定部20A1と胴部11A(または回転部材30A)とベルとにより形成される隙間の断面積が小さくなり、消音器1A外に放音される音量が小さくなり、消音器1Aの弱音の度合いが大きくなる。また、第2固定部20A2に対して第1固定部20A1を胴部11Aの軸周りの方向にずらす度合いを小さくするに従って、同隙間の断面積が大きくなり、消音器1A外に放音される音量が大きくなり、消音器1Aの弱音の度合いが小さくなる。
このように、回転部材30を回転させることにより、第2固定部20A2に対して第1固定部20A1が回転方向にずれるため、ベル内の空間とベル外の空間とを連通させる隙間の断面積を変化させることができる。すなわち、回転部材30は、その隙間の断面積を変える断面積可変手段である。
従って、本実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を奏する。
なお、第1固定部20A1と第2固定部20A2とにより胴部11Aの軸の周りに亙って完全に本体部10Aとベルとの間を閉塞しないように、回転部材30Aの回転可能範囲を制限する機構を設けても良い。
また、第1固定部20A1の位置を第2固定部20A2の位置に対して後方から消音器1Aを見たときにおける反時計回り方向にずらした場合について例示したが、第1固定部20A1の位置を第2固定部20A2の位置に対して後方から消音器1Aを見たときにおける時計回り方向にずらすようにしても勿論良い。
<第3実施形態>
図5(A)および(C)は、この発明の第3実施形態による消音器1Bの構成を示す側面図であり、図5(B)および(D)は、後方から同消音器1Bを見たときの同消音器1Bの構成を示す背面図である。本実施形態による消音器1Bは、本体部10に代えて本体部10Bとし(より具体的には、胴部11に代えて胴部11Bとし)、回転部材30および固定部20に代えて固定部20Bを設けた点において第1実施形態による消音器1と異なる。本実施形態による消音器1Bは、胴部11Bの外壁に沿って胴部11Bの前後方向に固定部20Bを移動可能にしたものである。
本体部10Bの胴部11Bは、第1実施形態による本体部10の胴部11と同様にして、前端から後端に向かって外径が縮径されている。胴部11Bは、小径側端11Bbに溝13および14を有していない点で第1実施形態による消音器1の胴部11と異なる。
固定部20Bは、固定部本体20Baと伸縮部材20Bbとから構成されている。伸縮部材20Bbは、薄肉の筒状をなしている。伸縮部材20Bbは、例えば、ゴムなどの伸縮性を有する柔軟な素材により形成される。伸縮部材20Bbの軸方向の長さは、胴部11Bの軸方向の長さよりも短くなっている。また、伸縮部材20Bbの内径は、胴部11Bの外径よりも小さくなっている。
固定部20Bの固定部本体20Baは、湾曲したブロック状部材である。固定部本体20Baは、コルクや硬めのスポンジゴムなど、あまり伸縮せず、適度な硬度と摩擦性能を有する柔軟な素材により形成される。固定部本体20Baは、伸縮部材20Bbの軸周りの方向の120度毎に各々配置されている。すなわち、固定部本体20Baは、本体部10Bの軸周りの方向に並べられている。そして、固定部本体20Baは、その凸曲面が外側になるようにして伸縮部材20Bbの外壁に固定されている。すなわち、各固定部本体20Ba間に伸縮部材20Bbが設けられており、伸縮部材20Bbは、各固定部本体20Baを環状に連結している。また、隣り合う固定部本体20Ba同士は互いに接触していない。また、固定部本体20Baにおける伸縮部材20Bbの軸方向の長さは、伸縮部材20Bbにおける伸縮部材20Bbの軸方向の長さと同程度である。なお、固定部本体20Baは、伸縮部材20Bbの軸周りの方向の120度毎に3個設けられているが、固定部本体20Baの数および配置はこれに限られない。
固定部本体20Baはあまり伸縮しない素材により形成されているため、伸縮部材20Bbにおいて固定部本体20Baが固定されている部分はあまり伸縮しない。一方、伸縮部材20Bbにおける固定部本体20Baが固定されていない部分は、伸縮部材20Bbの軸周りの方向に伸縮可能である。このため、伸縮部材20Bbは、その内径を自在に変えることができる。
本実施形態による消音器1Bの固定部20Bは、本体部10Bから分離している。そのため、固定部20Bは、本体部10Bに取り付けられる。より詳細に説明すると、伸縮部材20Bb内には、胴部11Bが小径側端11Bb側から挿入される。このとき、伸縮部材20Bbにおける固定部本体20Baが固定されていない部分が伸縮部材20Bbの軸周りの方向に伸びて、伸縮部材20Bb内に胴部11Bが挿入される。そして、この伸びた部分に生じる伸縮部材20Bbの軸周りの方向に縮もうとする力により、伸縮部材20Bbは、胴部11Bを外側から締め付ける。これにより、固定部20B(換言すると、固定部本体20Ba)は、胴部11Bの外壁上に保持される。なお、伸縮部材20Bbの内壁に細かい凹凸を形成する等により伸縮部材20Bbの内壁と胴部11Bの外壁との間の摩擦を大きくし、より確実に固定部20Bが胴部11Bの外壁上に保持されるようにしても良い。
また、伸縮部材20Bbは、本体部10Bと分離しておりその内径を変えることができるため、固定部20B(換言すると、固定部本体20Ba)は、胴部11Bの外壁に沿って胴部11Bの軸方向に移動可能である。そして、固定部20Bは、胴部11Bの外壁上における胴部11Bの軸方向の各位置に保持され得る。ユーザは、固定部20Bを胴部11Bの軸方向に移動させて、その固定部20Bを胴部11Bの外壁上における胴部11Bの軸方向の所望の位置に取り付けてから消音器1Bをトランペットに装着する。
消音器1Bをトランペットに装着した場合、固定部本体20Baの外壁はベルの内壁に当接し、固定部本体20Baは本体10Bとベルとの間を閉塞させる。このとき、隣り合う固定部本体20Baと伸縮部20Bbとベルとにより隙間が形成される。消音器1Bを装着して吹奏したときにベル内に生じる音は、この隙間を介して消音器1B外に放音される。
ここで、図5(A)および(B)に示すように、固定部20Bを小径側端11Bb近傍に取り付けた場合、胴部11Bの外径が小さいため、伸縮部材20Bbにおける固定部本体20Baが固定されていない部分の伸び量は少なくなる。この場合、各固定部本体20Baの間隔は狭くなる。このため、この状態の消音器1Bをトランペットに装着した場合、隣り合う固定部本体20Baと伸縮部材20Bbとベルとにより形成される隙間の断面積は小さくなる。従って、この隙間を通過する音が少なくなるため、小さな音量の音が消音器1B外に放音されることになる。換言すると、この場合、消音器1Bの弱音の度合いは大きくなる。
一方、図5(C)および(D)に示すように、固定部20Bを胴部11Bの中央付近に取り付けた場合、中央近傍における胴部11Bの外径が小径側端11Bbにおける胴部11Bの外径よりも大きいため、伸縮部材20Bbにおける固定部本体20Baが固定されていない部分の伸び量は、固定部20Bを小径側端11Bb近傍に取り付けた場合における同部分の伸び量よりも大きくなる。この場合、各固定部本体20Baの間隔は広くなる。このため、この状態の消音器1Bをトランペットに装着した場合、隣り合う固定部本体20Baと伸縮部材20Bbとベルとにより形成される隙間の断面積は大きくなる。従って、この隙間を通過する音が多くなるため、大きな音量の音が消音器1B外に放音されることになる。換言すると、この場合、消音器1Bの弱音の度合いは小さくなる。
固定部20Bを取り付ける位置を胴部11Bの小径側端11Bbに近づけるに従って、消音器1Bを装着したときにおける隣り合う固定部本体20Baと伸縮部材20Bbとベルとの間の隙間の断面積が小さくなり、消音器1B外に放音される音量が小さくなり、消音器1Bの弱音の度合いが大きくなる。また、固定部20Bを取り付ける位置を胴部11Bの大径側端11Baに近づけるに従って、同隙間の断面積が大きくなり、消音器1B外に放音される音量が大きくなり、消音器1Bの弱音の度合いが小さくなる。
このように、伸縮部材20Bbに固定されている固定部本体20Baを胴部11Bの外壁に沿って胴部11Bの軸方向に移動させることにより、伸縮部材20Bbが胴部11Bの軸周りの方向に伸縮して、ベル内の空間とベル外の空間とを連通させる隙間の断面積を変化させることができる。すなわち、伸縮部材20Bbは、その隙間の断面積を変える断面積可変手段である。
従って、本実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を奏する。
なお、固定部20Bの位置を胴部11Bの軸方向に移動させたとしても、消音器1Bを装着したときにおけるベルの位置に対する本体部10Bの位置は変わらない。胴部11Bの外径が大径側端11Baから小径側端11Bbに向かってベルの内壁に沿って小さくなっているからである。
<第4実施形態>
図6(A)は、この発明の第4実施形態による消音器1Cの本体部10Cの構成を示す側面図であり、図6(B)〜(D)は、同消音器1Cの本体部10Cに固定部20Cを取り付けたときの背面図であり、図6(E)〜(G)は、本体部10Cに取り付ける固定部20Cの構成を示す上面図である。本実施形態による消音器1Cは、本体部10に代えて本体部10Cとし(より具体的には胴部11に代えて胴部11Cとし)、回転部材30および固定部20に代えて固定部20Cとした点において第1実施形態による消音器1と異なる。本実施形態による消音器1Cは、本体部10Cに対して固定部20Cを着脱可能とし、複数種類用意された固定部20Cの中から本体部10Cに取り付ける固定部20Cをユーザが選択して、固定部20Cをユーザが付け換えるようにしたものである。
本体部10Cの胴部11Cは、溝13および14に代えて結合部40Cを有する点において第1実施形態による消音器1の胴部11と異なる。
結合部40Cは、小径側端11Cb近傍の胴部11Cの外壁に設けられている。この結合部40Cは、胴部11Cの軸の周りに亙って設けられている。結合部40Cは、例えば、面ファスナーの一方である。より具体的には、フック側部材とループ側部材とからなる面ファスナーを用いた場合、ループ側部材を結合部40Cとして用いれば良い。そのループ側部材は、ループが設けられている面が外側になるように胴部11Cの外壁に固定される。
固定部20Cは、本体部10Cから分離している。固定部20Cは、固定部本体20Caとベース20Cbとから構成されている。ベース20Cbは、扇状をなしている。ベース20Cbは、例えば、布などの柔軟であまり伸縮しない素材により形成される。ベース20Cbの下面には、胴部11Cに設けられている結合部40Cに対応する結合部が設けられている(図示略)。このベース20Cbに設けられている結合部は、例えば、面ファスナーの他方である。より具体的には、胴部11Cの結合部40Cにループ側部材を用いた場合、そのループ側部材に対応するフック側部材をベース20Cbの結合部として用いれば良い。そのフック側部材は、フックが設けられている面が外側になるようにベース20Cbの下面に固定される。
本実施形態による消音器1Cでは、ベース20Cbの結合部を胴部11Cの結合部40Cに結合させることにより、固定部20Cを本体10Cに取り付けることができるとともに、ベース20Cbの結合部を胴部11Cの結合部40Cから引き剥がすことにより、固定部20Cを本体部10Cから取り外すことができる。このとき、固定部20Cは、ベース20Cbにおける短い円弧部分が胴部11Cの小径側端11Cbに重なるように、本体部10Cに取り付けられる。
ベース20Cbの上面には複数の固定部本体20Caが設けられている。すなわち、ベース20Cbは、固定部本体20Caの各々を連結している。固定部本体20Caは、湾曲しているブロック状部材である。固定部本体20Caは、例えば、コルクやスポンジゴムなどの適度な高度と摩擦性を有する素材から構成されている。固定部本体20Caは、固定部20Cを本体部10Cに取り付けたときに、固定部本体20Cが胴部11Cの外壁に沿うように湾曲しており、凸曲面が外側になるようにベース20Cbに固定されている。また、固定部本体20Caは、固定部20Cを本体部10Cに取り付けたときに、各固定部本体20Caが胴部11Cの軸周りの方向に並べられるようにベース20Cbに固定されている。例えば、各固定部本体20Caは、胴部11Cの軸周りの方向の120度毎に配置されている。
本実施形態による消音器1Cでは、各固定部本体20Caの間隔が異なる複数種の固定部20Cが用意されている。換言すると、固定部本体20Caにおけるベース20Cbの円弧方向の長さ(すなわち、固定部本体20Caの幅)が異なる複数の固定部20Cが用意されている。図6(E)は、各固定部本体20Caの間隔が広い固定部20Cを示しており、図6(G)は、各固定部本体20Caの間隔が狭い固定部20Cを示しており、図6(F)は、各固定部本体20Caの間隔が図6(E)の同間隔よりも狭く図6(G)の同間隔よりも広い中程度の固定部20Cを示している。本実施形態による消音器1Cでは、これら複数用意された固定部20Cの中から所望の音量を得ることができる固定部20Cをユーザが選択して本体部10Cに取り付けることになっている。図6(B)は、図6(E)に示す固定部20Cを本体部10Cに取り付けた場合を示し、図6(C)は、図6(F)に示す固定部20Cを本体部10Cに取り付けた場合を示し、図6(D)は、図6(G)に示す固定部20Cを本体部10Cに取り付けた場合を示す。そして、ユーザは、固定部20Cを本体部10Cに取り付けた状態で消音器1Cをトランペットに装着する。
消音器1Cを装着した場合、固定部20Cの固定部本体20Caは、本体部10Cとベルとの間を閉塞させる。ここで、各固定部本体20Caの間隔が広い固定部20C(図6(E))を本体部10Cに取り付けた消音器1C(図6(B))をトランペットに装着した場合、隣り合う固定部本体20Caとベース20Cbとベルとにより形成される隙間の断面積は大きくなる。従って、この場合、この隙間を通って消音器1C外に放音される音量は大きくなり、弱音の度合いは小さくなる。
また、各固定部本体20Caの間隔が狭い固定部20C(図6(G))を本体部10Cに取り付けた消音器1C(図6(D))をトランペットに装着した場合、隣り合う固定部本体20Caとベース20Cbとベルとにより形成される隙間の断面積は小さくなる。従って、この場合、この隙間を通って消音器1C外に放音される音量は小さくなり、弱音の度合いは大きくなる。
また、各固定部本体20Caの間隔が中程度の固定部20C(図6(F))を本体部10Cに取り付けた消音器1C(図6(C))をトランペットに装着した場合、隣り合う固定部本体20Caとベース20Cbとベルとにより形成される隙間の断面積は、各固定部本体20Caの間隔が広い固定部20Cを取り付けて装着したときの同隙間の断面積よりも小さく、各固定部本体20Caの間隔が狭い固定部20Cを取り付けて装着したときの同隙間の断面積よりも大きい、中程度になる。従って、この場合、この隙間を通って消音器1C外に放音される音量は中程度になり、弱音の度合いは中程度になる。
放音される音量を変える場合は、固定部20Cを付け換える。すなわち、本体部10Cに取り付けられている固定部20Cを取り外し、各固定部本体20Caの間隔が異なる他の固定部20Cを選択し、新たに選択した固定部20Cを本体部10Cに取り付ける。その後、当該消音器1Cをトランペットに装着する。
このように、断面積可変手段として、各固定部本体20Caの間隔が異なる複数種の固定部20Cが用意されている。そして、複数種の固定部20Cの中から選択した固定部20Cを本体部10Cに取り付けることにより、ベル内の空間とベル外の空間とを連通させる隙間の断面積を変化させることができる。
従って、本実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を奏する。
なお、図6では、3種類の固定部20Cを示したが、固定部20Cの種類はこれに限られない。固定部20Cの種類を増やすことにより、ユーザは、放音される音量をより細かく調節することができるからである。
<他の実施形態>
以上、この発明の第1〜第4実施形態について説明したが、この発明には他にも実施形態が考えられる。例えば次の通りである。
(1)上記各実施形態では、トランペット用の消音器1〜1Cを例に説明したが、トランペット以外の管楽器に用いる消音器においても同様な消音器を設計することができるのは勿論である。
(2)第2実施形態による消音器1Aでは、胴部11Aの小径側端11Ab近傍に回転しない第2固定部20A2が設けられており、その第2固定部20A2の大径側端11Aa側に回転可能な第1固定部20A1が設けられていた。しかし、胴部11Aの小径側端11Ab近傍に回転可能な第1固定部20A1を設け、その第1固定部20A1の大径側端11Aa側に回転しない第2固定部20A2を設けても良い。この態様においても、第2実施形態と同様の効果を奏する。
(3)上記第3実施形態による消音器1Bの固定部20Bは、筒状の伸縮部材20Bbの外壁に固定部本体20Baが固定されていた。しかし、固定部本体20Baの高さよりも低い高さの伸縮部材を固定部本体20Baの側面に固定するようにし、固定部本体20Baと伸縮部材とを交互に連結して、環状の固定部を形成しても良い。この態様においても、伸縮部材が胴部11Bの軸周りの方向に伸縮することで各固定部本体20Bの間隔が変わるため、第3実施形態と同様の効果を奏する。
(4)上記第3実施形態による消音器1Bでは、伸縮する伸縮部材20Bbを用いてその内径を変えることにより胴部11Bの軸方向に固定部20Bを移動可能としていた。しかし、伸縮部材20Bbを設けずに、胴部11Bの外壁上において胴部11Bの軸方向に固定部本体20Baを移動可能としても良い。例えば、胴部11Bの外壁上に胴部11Bの前後方向に沿った窪みを設け、固定部本体20Baにその窪みに収容されてその窪みに沿って摺動可能な突起を設けるという態様が挙げられる。このような態様においても、固定部本体20Baを胴部20Baの軸方向に移動することができるため、第3実施形態と同様の効果を奏する。
(5)上記第4実施形態による消音器1Cでは、面ファスナーを用いて固定部20Cを本体部10Cに取り付けていた。しかし、固定部20Cを本体部10Cに取り付ける手段は面ファスナーに限られない。本体部10Cに対して固定部20Cが着脱可能であれば良いからである。例えば、磁石により固定部20Cを本体部10Cに取り付けても良いし、突起と窪みによる嵌め合わせにより固定部20Cを本体部10Cに取り付けても良い。
(6)上記第4実施形態による消音器1Cでは、胴部11Cの外壁に設けられた結合部40Cに固定部20Cを取り付けていた。しかし、固定部20Cが固定されている小径側端11Cb側の胴部11C自体を本体部10C(すなわち当該胴部11Cの他の部分)から分離可能としても良い。この場合、固定部本体20Caの幅が異なる小径側端11Cb側の胴部11Cが複数用意される。そして、小径側端11Cb側の胴部11C自体を付け換えることにより放音される音量を調節する。この態様においても、第4実施形態と同様の効果を奏する。